「R-1には夢がありますよ」と、お笑い芸人ハリウッドザコシショウは言う。多くの優勝者たちがその「夢」をつかみきれないのはなぜなのか。ネタをよりエモーショナルに見せる「人間力」と、他者に頼らずとも笑いが取れる「自己完結ネタ」……地下から這い上がってきたザコシショウがテレビの世界で学んだサバイバル術とは。常に「マスをとりにいく」ザコシショウがどんなに多忙になっても単独ライブをやめない理由。
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「日本のR&Bは連帯が必要」 aimiが語る、R&Bと〈STAY READY〉への強い想い
「R&Bシンガー」を名乗って2020年から活動しているaimi。1万4000人が参加した国内大規模のオーディションで準グランプリに輝き、英国マンチェスター留学中には現地のコンテストで優勝、帰国後から本名名義でシンガーソングライターとして活動を続け、テレビゲームの日本語版テーマソングを歌うなどの活躍をしてきたキャリアの持ち主でもある。その彼女が「aimi」と名乗ってR&Bプロ…
「R-1はウケがすべて」ザコシショウが評価するピン芸とは
NSC時代は中川家、陣内智則、ケンドーコバヤシなど錚々たる顔ぶれとともに学び、しかしそこから現在に至る過程は、同期たちとは全く異なる茨の道だった。ハリウッドザコシショウ。バラエティで唯一無二の存在感を示しつつ、SMA芸人たちの師匠として多くの若手に檄を飛ばすザコシショウにあらためて聞きたい、ザコシショウの笑いの原点とピン芸人の在り方について。
ーーザコシショウさんはどんな子供…
森達也監督の劇映画デビュー作『福田村事件』 正義に染まった集団が過ちを犯すメカニズム
1923年9月1日、相模湾北西部を震源地とする首都圏直下地震「関東大震災」が発生した。マグニチュード7.9と推測される大地震は、建物の崩壊や広範囲にわたる火災を招き、死者・行方不明者は10万人以上という未曾有の大災害となった。
パニック状態に陥った首都圏をさらに襲ったのが、流言飛語だった。「富士山が爆発する」「大津波がきた」という噂に続き、「朝鮮人が襲ってくる」「朝鮮人が井…
なぜジャニーズファンは、性被害の告発者を誹謗中傷するのか? 臨床心理士が語る“暴走”の理由
現在、国内外で大きく取り沙汰されているジャニーズ事務所創業者・ジャニー喜多川氏(2019年に死去)の性加害問題。これまでタレントが語ってきた“ジャニーさん”像とは大きくかけ離れた同氏の性加害者の一面を知り、ジャニーズファンの多くは大きなショックを受けている。また、これまで同氏にそうしたうわさがなかったわけではないだけに、自身が見て見ぬふりをしてきたことを後悔し葛藤したり、応援するタレントの活動にどのような影響が及ぶのかと不安になっているファンもいることだろう。
そんな中、一部ジャニーズファンが被害を訴える元タレントたちに対し、二次加害を行っていることが大きな問題に。こうしたファンはSNS上で、「カネや売名のため、嘘の告発を行っている」などと被害者を激しく攻撃しており、実際、元タレントが誹謗中傷に苦しめられていると吐露する場面も増えている。
これまで幾度となく問題視されてきた性被害者への二次加害だが、なぜ一部のファンはこうした行為に走ってしまうのか――今回、神奈川大学心理相談センター所長、人間科学部教授である臨床心理士の杉山崇氏に、心理学の観点からその理由について、見解をお聞きした。
ジャニー氏性加害問題、被害者を二次加害するファン心理
SNSを見ると、ジャニーズ事務所を擁護し、被害者を非難するジャニーズファンが少なからずいる。被害者の告発インタビューと、過去のニュース記事や経歴などを照らし合わせ、「彼らの証言は嘘」と主張。特定の政党と組んで、ジャニーズ事務所を潰そうとしているといった持論を展開し、その怒りの矛先は、ジャニーズ批判をする著名人やマスコミなどにも向けられている。
こうした被害者への二次加害に走る過激ジャニーズ擁護派のファンは、どのような心理状況にあるのだろう。
「偶像(=アイドル)崇拝に人生を捧げているタイプの人は、アイドルと自分の間に“絆”を感じることの高揚感で、心理的な生きづらさであったり、自分の生き方に対する迷いを緩和している面があるんです。そういう人のことを、私は『絆スタイル』の人と呼んでいて、ジャニーズファンにはこのスタイルを持つ人が相対的に多いのではないでしょうか。この『絆スタイル』の人は、絆を感じる対象を美化するときは徹底的に美化する傾向があり、その対象が所属する事務所=ジャニーズをまだまだ必要としている人が、事務所を擁護し、被害者を非難するという行為に走っているのではないでしょうか(杉山氏、以下同)
一方、「絆スタイル」の人には、絆を感じる対象が、少しでも自分の理想通りではないと感じると、こき下ろす傾向もあるとのこと。今回のファンの反応を見ていると、「『絆スタイル』の人たちが、事務所を徹底的に批判する/擁護する側のいずれかに分かれている印象を抱いた」そうだ。
「もちろん『絆スタイル』ではないジャニーズファンも存在する。そういうタイプの人が、ジャニーズ批判派/擁護派の間で、困惑しているように見えます」
アイドルと自身の絆を壊されたくないという気持ちは理解できるが、「性被害者への二次加害はしてはいけない」という倫理観を見失うほどの行為に出てしまうのはなぜなのか。杉山氏は、二次加害を堂々と行っているジャニーズファンは、「おそらく被害者をすり替えていて、ジャニー氏並びにジャニーズ事務所が『被害者』という認識」と指摘する。
「『絆スタイル』の人にとって、絆を感じる対象は“自分の一部”ですので、対象の所属する事務所も大事な一部。性被害の告発者を『自分を傷つける敵』とも認識してしまいます。敵に苦痛を与えることは“快楽”であり、そのモードが全開になると、自分のやっていることが正しいのか、間違っているのかの判断を失ってしまうのです」
こうしたファンの中には、告発者の証言が嘘である証拠を探すだけでなく、メディアや著名人の過去のジャニーズ批判を掘り起こして非難する者も見られるが、杉山氏の目には「敵を追い詰めているという実感から、アドレナリンやドーパミンが出て、脳が興奮状態になっている」ように映るという。
「絆スタイル」になりやすい性格の人とは?
なお、「絆スタイル」になりやすい人には、もともと「敏感で悲観的になりやすい」「ドーパミンによる高揚感を好む」「社会的に協調性は獲得しているものの、実際には人に合わせるのが嫌い」といった性格の傾向があると杉山氏。
「悲観的になりやすいのに高揚感を好むというのは、矛盾しているといえますが、こういった性格の人は、ゆえに『こんなはずじゃない』『何かがおかしい』という不全感による葛藤が強い。人との交流を好むタイプであれば、その中で葛藤が緩和されるのですが、人に合わせるのが嫌いな場合は、それもできない。となると、自分が主導権を持ち、好きな時に絆を感じられる“アイドル”という存在に救いを見いだすようになるんです」
「アイドルに救われている」と感じるファンはたくさんいるだろうが、それが性被害者への誹謗中傷につながってしまうのは断じて許されない。
「『絆スタイル』の人は対象を美化するための妄想や、敵をこき下ろすための妄想が暴走しやすいんです。現実検討能力を失いがちで、現実社会で逸脱した行動に出て、結果的に人を傷つけてしまうことが少なくありません」
ジャニー氏の性加害問題をめぐっては、今後も事務所の対応や被害者のケアなど、さまざまな論点で議論が繰り広げられるだろう。その一つに、被害者への誹謗中傷問題も挙げられるが、一部のファンを加害に走らせる“心理”を把握することの重要性を実感させられる。
杉山崇(すぎやま・たかし)
神奈川大学心理相談センター所長、人間科学部教授。公益社団法人日本心理学会代議員。子育て支援、障害児教育、犯罪者矯正、職場のメンタルヘルスなど、さまざまな心理系の職域を経験。『いつまでも消えない怒りがなくなる 許す練習』(あさ出版)など著書多数。
日比野コレコは「ビューティフル」を求めて小説を書き続ける
2022年に発表したデビュー作『ビューティフルからビューティフルへ』(河出書房新社)で、安堂ホセ著『ジャクソンひとり』と第59回文藝賞をW受賞し、一気に文壇の寵児となった作家、日比野コレコ。
一方で…
Sexy Zoneオタクのよしもと芸人・ながちが選ぶ、好きなダンス楽曲6選!
ジャニーズファンのよしもと芸人、ながち。SNSに投稿しているSexy Zoneファン全開の内容がオタクの心をつかみまくっています。今回は、そんなながちさんに「Sexy Zoneの振り付けで一番好きな楽曲のはどれ?」と聞いてきました!
……のはずが、「ほぼ良いから、しぼれないな……」ということで「ファンも踊れる振り付けベスト3」と「見る振り付けベスト3」に分かれて選出です!
Sexy Zoneファン・ながちが選ぶ「ファンも踊れる振り付け」ベスト3
「Sexy Zone」ダントツで楽しい!
「Sexy Zone」は踊っていてダントツで楽しいですね。2021年の年末に行った『Johnny's Festival ~Thank you 2021 Hello 2022~』が東京ドームの天井席だったんですが、そこからこの曲を見たとき、めちゃくちゃキレイで! いろんなグループのファンがいるのに、「地球は回ってる〜♪」のところをみんながやってる。天井席から見た全体の光景がすごくきれいだったんです。どのファンでもできる振り付けって、すごいなと思いましたね! それに、自分の席のスペースをはみ出さないでできるのもポイントだと思います。
「RUN」 指のサインがたまらん!
これも、ペンラでやれる振り付けです。サビの「止まらない」のところがいいですよね。あと、ふまけん(菊池風磨・中島健人)の背中合わせのところも、振り付けとして好きです。なにより、「きみがいなきゃなにも始まらない」と歌い出す風磨くんの最初のところ。(松島)聡ちゃんがいないころは、手を前に出していたんですが、最近は指を5本出していくようになって、そこにグッときます。SMAP「世界に一つだけの花」で中居(正広)くんが指で「5」を示していたのを彷彿とするというか……。ちなみに、ふまけんの背中あわせだと「NOT FOUND」とも迷いました!
「Cream」ペンラをみんなで上げるところ!(2:13)
今年のツアー『セクシーゾーン Live Tour 2023 ChapterII.』に入ったんですが、「Cream」の「君と僕の旅へ〜」のところでペンラを挙げたのが、めっちゃ楽しくて!! 会場全体でペンラが上に向かって挙がった光景が本当にすごくよかったんですよね。とにかく「気持ち良かった」というだけなので言葉でうまく語れないのですが(笑)。とにかく、みんなで手が挙がるところが好きです!
Sexy Zoneファン・ながちが選ぶ「見てるだけですごい振り付け」ベスト3
「RIGHT NEXT TO YOU」まったく系統が違う!
「RIGHT NEXT TO YOU」の映像が公開されたとき、これまでとまったく系統が違うなと思いました。まずバックダンサーがいるし、ダンスもちょっとはやりの系統。今の時代、ダンスのきれいなグループが売れてくイメージがあるので、セクゾもそこに挑戦したと受け取りました。他グループのファンからも「こんなに踊れるんだ!」って驚いた反応がありましたよね。ちなみに、この系統でいうと今年リリースの「Purple Rain」も好きです!
「Purple Rain」 一番好きなダンス!
4人のダンスのそろい具合でいくと、「RIGHT NEXT TO YOU」より「Purple Rain」のほうがスキルアップしているのがわかると思います。サビのそろい方が気持ち良いんですよね。細かい余韻もそろっているんです。「掻き立てる様々な Feeling冷静と情熱が夜を駆ける」の部分は、聡ちゃんのフリがダンサーさんとの相性抜群で、ひとつの体なんじゃないかというくらいそろってます。この5秒のパートで、満足度バラ5本です(笑)! 全体的な歌詞も大人な恋愛の歌でもありながら夜をイメージしていて、夜明けがテーマのアルバムイメージにぴったり。車で高速を走ってる時に聞きたいです。
「Celebration!」出だしのロックダンスが好き!
「Celebration!」のイントロのダンスが好きなんです。短いんですがテンション上がります! サビの「ガッチュガチュガチュ」もいいですし。ダンスの種類は詳しくないのですが、これはロックダンスってジャンルかな? 僕はどっちかというと、いまはやりのダンスよりこういう「アイドル!」って感じのものが好きなんです(笑)。
同じようなアイドル系の振り付けだと、「好きすぎて」もあるな……。あと「Lady ダイヤモンド」もいいですよね〜。「君にHITOMEBORE」も「カラフルEyes」も良いですよね。あ、やっぱり「With you」も! 選びきれないです!!
インターン制度を悪用した企業犯罪を映画化 ペ・ドゥナが慟哭する『あしたの少女』
インターンシップといえば、学生が就業体験できる貴重な制度として知られている。日本でも就職活動の一環として活用されていることが多い。だが、そうしたインターン生たちが、入ったばかりの職場で過酷な労働を強いられ、死に至るケースが韓国では相次いだ。インターン生が危険な業務に配属され、重傷を負った事故も報告されている。
これらのインターン生をめぐる事件をベースにしたのが、ぺ・ドゥナ主…
女優・久保田紗友は「とにかく真面目で視野が広い」——映画『Love Will Tear Us Apart』宇賀那健一監督が語った“魅力”
映画『サラバ静寂』(2018年)や『転がるビー玉』(20年)などで知られる宇賀那健一監督の最新作『Love Will Tear Us Apart』が絶賛公開中だ。
同作は、とある出来事をきっかけに、主人公・真下わかばと関わった人物が次々と殺されていくサスペンスホラー&ラブロマンス映画。数々のドラマや映画に出演している今注目の新進女優・久保田紗友が主演を務め、青木柚、莉子、ゆうたろう、前田敦子(特別出演)、高橋ひとみ、田中俊介、麿赤兒、吹越満らがキャストに名を連ねている。
今回、「サイゾーウーマン」では宇賀那監督にインタビュー。「狂おしいほどの、愛。」というキャッチコピーがつけられた映画の見どころはもちろん、製作のきっかけや撮影の裏側についてお話を伺った。
オーディションで選んだ、久保田紗友と青木柚の“魅力”
――まずは、製作過程のお話からお聞きしたいのですが、撮影はいつ頃行われたのでしょうか?
宇賀那健一監督 2021年の8月に撮影しました。コロナ禍での撮影だったので制限されることが多く、しかも真夏ということもありハードな現場ではありましたが、なんとか形にできました。
――今作は、渡辺紘文さんとの共同脚本ですよね。「狂愛」がテーマになっていると思うのですが、ラブストーリーとホラー要素を掛け合わせようと思ったきっかけは?
宇賀那監督 ずっとジャンルというものに縛られていることに違和感があったんです。そんな中、ここ数年、主に海外などでジャンルを越境する作品がすごく増えているなと感じていて、挑戦するなら今じゃないかなって思ったんです。
あと、「喜劇王」と呼ばれたチャールズ・チャップリンの言葉で、「人生はクローズアップで見れば悲劇だが、ロングショットで見れば喜劇だ」というものがあるんです。渦中の人物はすごく必死で、いろんな感情が渦巻いているけど、冷静になって俯瞰してみると、笑い話になったりすることってあるじゃないですか。近年、世界では新型コロナウイルスの流行や戦争など、いろんなことが起きている中、そういった不条理を笑い飛ばせるような作品にしたいなと思いました。
――渡辺さんとはどのように製作を進めていったのでしょう。
宇賀那監督 共同脚本の場合、いつもは初稿まで僕が担当することが多いんですが、今回はロングプロットまでを僕が書いて渡辺さんに初稿を起こしてもらい、あとはお互い確認し合いながら、「こういうアイディアがほしい」などと細かいやりとりをしながら本の精度を上げていきました。
――メインキャストはオーディションで選ばれたそうですね。
宇賀那監督 キャスティングの上で大きなポイントとなったのは、いかに“真面目にやりきるか”という点です。コメディ要素があるところで、演者が良かれと思って「笑わせよう」とすることってよくあるんです。でも、観客側の見る目って実は肥えていて、そのあざとさがすぐにバレて冷めてしまうこともよくあると思っていて。そうはしたくないので、とにかく「真面目」ということにはこだわりました。
特に、主人公のわかばは、彼女の気持ちに入り込んで、最後まで演じきることができるかというところを重視しました。オーディションでは、みなさんにシリアスなシーンとコミカルなシーンを演じてもらったんですが、久保田さんは感情を高ぶらせた演技がとにかく素晴らしく、惹きつけられました。そしてその後、コメディシーンを演じる前に、「ちょっとだけ待ってもらっていいですか」と、気持ちが切り替わるまでの時間を確保したいと言ってくれたんです。その役や芝居に対する真面目さが、わかばの真面目さに通じるところがありました。
また、男性キャストに関しては、一番最後にオーディションに参加したのが、青木さんだったんです。セリフを言いながらも、セリフと感情が必ずしも一致してないところがすごく人間臭くて魅力的だなと感じ、惹きつけられました。
――お二人と事前に役柄について話すことはありましたか?
宇賀那監督 僕は基本的に、撮影前に本読みをすることはありません。相手の出方を想定して役を演じると、だんだん自分自身の芝居に飽きて、本番で「何か違うことをやらなきゃ」と勝手に思い込むことがあるんですよ。こちらからしたら、それがベストの芝居なのに、考えすぎたり、どう演じるべきか迷ってしまう人がいるので、それをできるだけ避けたい、鮮度を保ちたいという意味で、今回も本読みは行いませんでした。でも、役について話し合う時間は設けて、「このとき誰がどういう感情でこういう行動をしたか」という質問に答えたり、参考作品に関するお話をしましたね。
ただ、セリフの言い回しなど、「このほうがいい」と現場で変更したことはあったものの、大きく変えた部分はほぼありません。僕は脚本を変えることに対してネガティブではないんですが、今回、“当て書き”的に変えていった部分はなかったように思います。
――それだけ、お二人が役柄にぴったりだったということですね。撮影を通して、印象の変化はありましたか?
宇賀那監督 第一印象から大きくは変わっていなくて、久保田さんはとにかく真面目にどう若葉役をやりきるかということを第一に考えてくれていました。同時に、とにかく視野が広い人だなと思いましたね。スタッフやほかのキャストのことだったり、常に気にしてくださっていた。座長として、すごく信頼感がありました。現場では細かいディスカッションも重ねていったんで、そこで信頼関係がより強固になっていったなと思います。
青木さんに関していえば、役をどう広げていくかを深く考えていた印象です。芝居はもちろん、「キャラクターを表現するためにどんなアクションをしたら一番面白いか」とか「この衣装を見せたほうが、この役のパーソナリティが出るんじゃないか」など、小道具や衣装など細かい部分の使い方からも自分の役の魅せ方を考えているんだなと実感しました。本当に“映画愛”があって、俳優部だけじゃない、製作に関わる各部署の重みもちゃんと知っている人だなとも思いましたね。
――そんな魅力あふれる久保田さんや青木さんをはじめ、若い役者が多かったと思いますが、現場の雰囲気はいかがでしたか?
宇賀那監督 座長として、久保田さんがいてくれるというところの安心感はありましたね。それと同時に、キャンプシーンなどは、本当に和気あいあいとしていましたし、みんながこの映画を良くしようと向き合ってくれたからこそ、現場の雰囲気はとても良かったです。
――ベテランの吹越満さんの演技も印象的でした。
宇賀那監督 とても楽しんで演じてくださって、うれしかったです。吹越さんからどんどん演技や魅せ方について提案してくださいました。
僕は映画作るときに、「自分が見たことないものを見たい」と思っているし、お客さんとして映画館に行くときもそう思っていて。俳優部の皆さんも、やったことない役に挑戦してみたいという思いを持っていて、そこにこの作品がうまくハマったのかなとは思っています。
――撮影はどこで行ったのですか?
宇賀那監督 コロナ禍で撮影に際しての制約が多く、今後しばらく同じような場所で撮影する映画が増えるんじゃないかと思い、いろんな場所を転々としたいなと考えました。かといって、普通のロードムービーとして撮るのではなく、殺人鬼に追いかけ回されるロードムービーにしたら面白いんじゃないかなと思い、栃木、茨城、神奈川、東京、奄美と、各地で撮影しました。
――特に、クライマックスのシーンはホラー作品とは思えない、とても綺麗なロケーションでした。ちなみに、今回、監督が特に力を入れたシーンはどこですか?
宇賀那監督 パブで撮影したシーンは、僕のやりたかったことがすべて集約されているので、芝居に関しては珍しくかなり粘ってしまったかなとは思います(笑)。でも、撮影していて一番楽しかったシーンでもありました。いい芝居を撮れたという達成感もあったし、造形的な意味でも見せ場、エンターテインメント要素もてんこ盛りだったので、ハードな撮影でボロボロになりつつ、たくさん笑ったシーンでもありますから、ぜひ注目していただきたいです。
――今作では、宇賀那監督の作品では初めてタイトルが英語になっているのも気になりました。イギリスのロックバンド「ジョイ・ディヴィジョン」の同名楽曲からインスパイアを受けたのでしょうか?
宇賀那監督 そうです。彼らはポストパンクを代表するバンドの一つで、パンクの新しいスタイルを提示した人たち。今作も、ホラー映画のその後、“ポスト・ホラー”として自分の中では位置づけています。
また、作中では、良かれと思ってやったことが、「Love Will Tear Us Apart(愛は2人を引き裂いていく)」ことにつながるし、同時にスラッシャームービーとして「2人を引き裂いていく」っていう意味も込めた、ダブルミーニングとなっています。
それに、ジョイ・ディヴィジョンのボーカルのイアン・カーティスは、1980年に23歳の若さで自死を図ったんですが、真面目な性格で知られていました。彼の真面目さを、キャラクターたちに乗せていきたいなっていう意味で、このタイトルにしたんです。
――これまでさまざまなジャンルの作品を生み出してきた宇賀那監督ですが、どのようなところからストーリーのアイディアを思いつくのですか?
宇賀那監督 デビュー作の『黒い暴動』(16年)は、元ガングロギャルたちの物語なんですが、その前に撮った自主映画のオーディションに参加してくれた木夏咲という女優が、地元の山形でガングロギャルをしていたそうで、当時のエピソードを聞いて、ストーリーが思いついたんです。彼女いわく、山形の一部のガングロギャルの間では“階級”があって、自分のレベルを上げるためには、河原で決闘して相手のルーズソックスを奪い取るか、神経衰弱で勝負するんですって。それを真顔で話していたこともあり、「ギャルならではの文化って面白いな」と興味が湧きました。
また、娯楽が禁止された日本で音楽に出会った若者たちの姿を描いた『サラバ静寂』(18年)は、16年に風営法(風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律)が改正されたことが製作のきっかけです。
『魔法少年☆ワイルドバージン』(19年)は、「童貞のまま30歳を迎えると魔法使いになれる」という都市伝説をモチーフにしていて、飲みの席で言った冗談がすごくウケたので、「これを映画にしたらイケるな」と(笑)。だから、映画を作るアイディアはいろんな瞬間に生まれています。
――今回の『Love Will Tear Us Apart』を拝見し、恋は人を狂わせるとあらためて感じました。恋をすればするほど、その人しか見えなくなるというか……。
宇賀那監督 そうなんですよね。本人たちは至って真面目ですが、一歩引いて考えると、キャラクターたちの行動は、狂っていないとできないことだし、愛があるからこそできることでもあるんです。
――そういった意味では、この作品はホラー映画が苦手な人でも見やすい作品なのではないかと思いました。日本での公開に先駆け、『ブリュッセル国際ファンタスティック映画祭』にてワールドプレミアも行われましたが、海外の方の反応はいかがでした?
宇賀那監督 「そうだよね」って納得した部分と、「そうなんだ」と驚いた部分がありました。前者についていうと、海外ではスプラッターシーンで笑いが起きるんです。『ポートランドホラー映画祭』でグランプリをいただき、そのプログラマーが上映中の様子を動画に収めて送ってくれたんですが、やはり、スプラッターシーンで爆笑と拍手が起きていました。これは海外ならではの反応かなと思います。これはある種、映画のリテラシーが高いからこそ起こる文化でもありますよね。
一方で、後者については、海外の方のレビューを見ると、わりと真面目な感想が多くて、「いじめとかネグレクトとか、貧困から生まれた悲劇へのアンサーだ」という声もあり、そういった捉えられ方もするんだなと意外に感じました。
――では最後に、「ぜひここを見てほしい」というポイントがあれば教えてください。
宇賀那監督 この映画は、僕の中では、「超純愛映画」として作りました。もちろん、ホラーシーンもないわけではありませんが、あくまでジャンルの一つとして、その要素を借りているだけなので、ホラー映画は苦手という方でも楽しんで見ていただけると思っております。新しい愛の形を描いた作品だと思いますので、好き嫌いは分かれるかもしれませんが、ぜひ劇場に足を運んでいただけたらうれしいです。
『Love Will Tear Us Apart』
公式サイト:https://lwtua.jp/
監督:宇賀那健一
脚本:宇賀那健一 渡辺紘文
出演:久保田紗友、青木柚、莉子、ゆうたろう、前田敦子(特別出演)、高橋ひとみ、田中俊介、麿赤兒、吹越満ほか
プロデューサー:當間咲耶香 宇賀那健一 共同プロデューサー/編集:小美野昌史
制作プロダクション:VANDALISM
製作:「Love Will Tear Us Apart」製作委員会
配給:VANDALISM/エクストリーム
2023年/87分/シネスコ/日本/カラー/DCP/R15+
(C)『Love Will Tear Us Apart』製作委員会
フースーヤとして活動し続ける意味「自分たちにはギャグ漫才をやる責任がある」
矢継ぎ早に飛び出すギャグの応酬で構成される、フースーヤの漫才。2021年の『M-1グランプリ』では準々決勝では観客を大ウケさせたにもかかわらず敗退したことで、トレンド入りも果たした。
そんな二人のギャグ漫才は、伝統的な「掛け合い漫才」「喋り漫才」とは異なり、時代を先取りしているスタイルなのかもしれない。
そこで今回は、フースーヤが出演する8月25日開催のイベ…