主演映画『ゴースト/ニューヨークの幻』(1990)での、みずみずしい演技で世界中をとりこにした女優デミ・ムーア。近年キャリアはパッとしないが、自叙伝『Inside Out』を9月24日に発売し、プロモーションに大忙しの日々を送っている。
ジャーナリスト、ダイアン・ソイヤーにインタビューを受けた様子が、前日23日、朝の情報番組『グッド・モーニング・アメリカ』で放送された。『Inside Out』を中心にトークが展開されたのだが、その内容があまりにも衝撃的だと世間を驚かせている。
今回のインタビューは、ハリウッドを見下ろす高級住宅街にある豪華な自宅で行われた。まずは『Inside Out』に書かれていた、12歳の時に母親が起こした最初の自殺未遂について。同書には「自分の小さく細い指を母の口の中に入れ、飲み込もうとしている錠剤を懸命にかき出そうとした」と書かれている。改めてこの件を聞かれたデミは、「この瞬間、私の子ども時代は終わったのよね」「人生が変わる瞬間って感じ」「まぁ、その後も(母は)何度も自殺未遂してたけど」と感情を込めずに語った。
母親は、男たちの注目を浴びるために、デミが10代になるとバーに連れて行くようになった。15歳のある夜、帰宅すると、なぜか家の鍵を持った知り合いの年配の男が室内にいた。そして男はデミを強姦した。行為が終わると、男はこう聞いてきた。
「母親に500ドル(約5万3,000円)で売られる気分って、どんなだい?」
ダイアンから、男の言葉を信じたかと問われたデミは、「心の底では、母が私を売ったなんて思っていない。“取引”をしたわけではなかったと思う」「でも……男に家の鍵を渡した。私が危険な目に遭う状況を作ったのよね」と無感情な目で語った。
その後、デミは高校を中退。女優を目指してオーディションを受ける日々を送り、19歳で国民的昼メロに出演。順調にキャリアを積み重ねていったが、母親同様、アルコールとコカインに溺れるようになった。オーバードーズで倒れることも多く、「私には“オフスイッチ”がないのよね」「ここらへんでやめとこう、ができないの」と説明していた。
84年、若手役者たちを集めた青春映画『セント・エルモス・ファイアー』への出演を決めたデミは、撮影前にプロデューサーから「酒と薬を断て」と告げられ、リハビリ施設に送られた。このリハビリで「きっぱりやめられた」といい、40代半ばになるまでの20年近く、禁酒・薬断ちができていたとウインクした。
ここで、デミとダイアンは広々としたリビングに移動。デミはテレビに映し出される自分のヒット作を、少女のようにはしゃぎながら鑑賞。映画『ア・フュー・グッドメン』(92)のワンシーンが映った時には、「この時、製作会社のお偉いさんに言われたの。『セックスシーンがないのに、なんでおまえが出てるんだ?』って」と、失礼極まりないセクハラ発言をされたことをさらっと告白。最も稼ぐハリウッド女優になった際には、「『もっとギャラを上げろ』と要求する銭ゲバ」と叩かれたが、デミは「だって男性俳優と同じことやってるのに。同じ出演料をもらって当然じゃない?」と、キョトンとした顔をしていた。
ダイアンのデミへのインタビューだが、3日連続で放送される予定。現地時間24日に放送されたインタビューでは、2番目の夫ブルース・ウィリスとの10年にわる結婚生活や、40歳で当時25歳のアシュトン・カッチャーと恋に落ちた時に「まるで15歳の少女のような気分だった」ことを告白。42歳の時にアシュトンの子を妊娠したが、妊娠6カ月のころに死産。その後も体外受精を試みたと、包み隠さず明かした。
妊娠できず、“家族”に執着し始めたデミから、アシュトンの気持ちがどんどん離れていき、子ども時代に感じていた「私なんかいらない、と思われたらどうしよう」という不安が再び襲ってきたこと。その気持ちを打ち消すために、20年間断っていた酒を飲み始め、麻薬性鎮痛薬バイコディンにも手を出すようになったこと。知人からアシュトンの浮気を警告され、問い詰めたら、彼があっさりと認めたことなどを語った。
アシュトンとの関係が崩れていく時のことを語るデミは、母親の話の時とは対照的に涙をうっすらと浮かべており、とても悲しげな表情だった。
大人になってからも、子ども時代に母親にされた仕打ちのトラウマに苦し続けているデミ。10代でデミを妊娠・出産した母親は、重度のアルコール依存症で、飲酒運転や放火などで何度も逮捕されたトラブルメーカーだった。父親が自殺したため、唯一の肉親である母親に尽くしてきたデミだったが、90年にリハビリ施設から母親が脱走したことで限界を感じ、絶縁。その後、母親は金目当てで「デミ・ムーアのママ」として成人雑誌でヌードを披露。『ゴースト』のろくろを回すシーンや、有名なデミの妊婦ヌードをパロディし、だるだるな体形を見せつけたのだった。
そんなやりたい放題していた母親だが、98年7月にがんとの闘病に敗れ、死去。亡くなる直前、デミは子どもたちを連れて母親を見舞い、和解している。
暗い話が多い『Inside Out』だが、デミは、男女平等の出演料を求めたり、妊婦ヌードを披露したり、ハリウッドで働く女優たちの地位を上げ、道を切り開いてきたことについても書かれている。
ネット上では、子ども時代の壮絶な経験に対して同情が寄せられる一方で、「自分の弱さを見せることはすごい勇気」「芯は強い女性なのだろう。かっこいい」とたたえられている。20日に全米公開された主演コメディホラー映画『Corporate Animals』は「駄作にもほどがある」と恐ろしいほどの低評価を受けているが、この自叙伝のおかげで“かっこいいハリウッド女優”というイメージは維持できそうだ。
なお、現地時間25日の放送では、デミが失敗から学んだこと、家族や今の充実した生活について語ると予告されている。



