憎悪、孤独、絡みあう感情から生み出る『昭和元禄落語心中』の中毒性

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『昭和元禄落語心中』(講談社)

――幼いころに夢中になって読んでいた少女まんが。一時期離れてしまったがゆえに、今さら読むべき作品すら分からないまんが難民たちに、女子まんが研究家・小田真琴が"正しき女子まんが道"を指南します!

<今回紹介する女子まんが>
雲田はるこ
『昭和元禄落語心中』1巻
講談社 590円

洋服から人と人の関係性を描く『繕い裁つ人』の優しく強靭な意思

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『繕い裁つ人』(講談社)

――幼いころに夢中になって読んでいた少女まんが。一時期離れてしまったがゆえに、今さら読むべき作品すら分からないまんが難民たちに、女子まんが研究家・小田真琴が"正しき女子まんが道"を指南します!

<今回紹介する女子まんが>
池辺葵『繕い裁つ人』1巻
講談社/620円

現代と江戸のシャッフル? ギャップから笑いを生み出す『ちょっと江戸まで』

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『ちょっと江戸まで』1巻/白泉社

――幼いころに夢中になって読んでいた少女まんが。一時期離れてしまったがゆえに、今さら読むべき作品すら分からないまんが難民たちに、女子まんが研究家・小田真琴が"正しき女子まんが道"を指南します!

<今回紹介する女子まんが>
津田雅美『ちょっと江戸まで』1~4巻(以下続刊)
白泉社/各420円

 少女マンガは時として受験勉強に役立ちます。『日出処の天子』(山岸凉子、白泉社)を読んで飛鳥時代を学び、『あさきゆめみし』(大和和紀、講談社)で源氏物語を学び、『ベルサイユのばら』(池田理代子、集英社)でフランス革命を学び、『エロイカより愛をこめて』(青池保子、秋田書店)で東西冷戦を学び......嗚呼、きりがありません。そうして私は受験勉強を乗り切りました。

これまでは壮大なフリ? 『町でうわさの天狗の子』最新刊で「萌え」が大爆発

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『町でうわさの天狗の子』1巻(小学館)

――幼いころに夢中になって読んでいた少女まんが。一時期離れてしまったがゆえに、今さら読むべき作品すら分からないまんが難民たちに、女子まんが研究家・小田真琴が"正しき女子まんが道"を指南します!

<今回紹介する女子まんが>
岩本ナオ『町でうわさの天狗の子』1~7巻
小学館/各410~420円

 壮大な前フリを経て、ついに『町でうわさの天狗の子』がそのポテンシャルを発揮し始めました。先ごろ発売された最新巻、7巻から溢れ出す「萌え」の奔流ときたら! 本作は岩本ナオ先生初の長編作品。2007年の夏に連載が始まってすでに3年と数カ月、2009年の『このマンガがすごい! オンナ編』(宝島社)では5位にランクインもした、堂々たるヒット作であります。

「笑い」という推進力を持つ"ネオ少女漫画"『海月姫』

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『海月姫』1巻/講談社

――幼いころに夢中になって読んでいた少女まんが。一時期離れてしまったがゆえに、今さら読むべき作品すら分からないまんが難民たちに、女子まんが研究家・小田真琴が"正しき女子まんが道"を指南します!

<今回紹介する女子まんが>
東村アキコ『海月姫』1~5巻
講談社/各440円

1割の嘘と9割の真実で作り上げられた『路地恋花』の揺るぎない世界観

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『路地恋花』1巻(講談社)

――幼いころに夢中になって読んでいた少女まんが。一時期離れてしまったがゆえに、今さら読むべき作品すら分からないまんが難民たちに、女子まんが研究家・小田真琴が"正しき女子まんが道"を指南します!

「すこし不思議」な世界での友情が味わい深い『第七女子会彷徨』

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『第七女子会彷徨』1巻/徳間書店

――幼いころに夢中になって読んでいた少女まんが。一時期離れてしまったがゆえに、今さら読むべき作品すら分からないまんが難民たちに、女子まんが研究家・小田真琴が"正しき女子まんが道"を指南します!

<今回紹介する女子まんが>
つばな『第七女子会彷徨』1~2巻
徳間書店/1巻590円・2巻620円

 舞台は多分、近未来の日本。学校の「友達選定」システムによって「友達」とされた女子高生「金やん」と「高木さん」のシュールな日常を、まるで漫才のように描くのが『第七女子会彷徨』です。

 例えば『聖☆おにいさん』(中村光著)においては、イエスとブッダというかなり特殊な"キャラクター"が、現代日本のごく標準的な郊外都市・立川市に暮らしていることで「おかしみ」が生み出されていきます。本作ではそれとは逆に、主人公は基本的にはフツーの女子高生。ボケ担当の高木さんはやや常軌を逸しているフシもありますが、金やんは非常に真っ当なツッコミ担当の優等生。ごく一般的なの女子高生が、「すこし不思議」な近未来に暮らすことによって「おかしみ」が生み出されます。

『ハチクロ』よりも"敗者"にフォーカスした意欲作『3月のライオン』

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3月のライオン1巻/白泉社

――幼いころに夢中になって読んでいた少女まんが。一時期離れてしまったがゆえに、今さら読むべき作品すら分からないまんが難民たちに、女子まんが研究家・小田真琴が"正しき女子まんが道"を指南します!

<今回紹介する女子まんが>
羽海野チカ『3月のライオン』1~4巻
白泉社/各510円(1巻のみ490円)

 すでに各方面で話題のこの作品ですが、本作によって『ハチミツとクローバー』(集英社、以下『ハチクロ』)のヒットがまぐれでないことを、羽海野チカ先生はその圧倒的な筆力で証明してみせました。今後『ハチクロ』を超えるかもしれない大傑作、それが『3月のライオン』です。

 テーマは将棋。東京・月島と思しき下町を舞台に、15歳でプロになった天才棋士・桐山零の成長と、そして主に挫折とを描きます。そう、この作品が描くのは「敗北」。勝負事がテーマとは言え、羽海野先生は安易にスポ根路線に走ることを選ばなかったのです。

切なさとユーモアを交えながら、「死」を描いた『夏雪ランデブー』

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『夏雪ランデブー』1巻

――幼いころに夢中になって読んでいた少女まんが。一時期離れてしまったがゆえに、今さら読むべき作品すら分からないまんが難民たちに、女子まんが研究家・小田真琴が"正しき女子まんが道"を指南します!

<今回紹介する女子まんが>
河内遙『夏雪ランデブー』1巻(以下続巻)
祥伝社/980円

 恋人、もしくは配偶者の死を起点として立ち上がる物語があります。たとえば一条ゆかり先生の名作『砂の城』(集英社)。最近作ではいくえみ綾先生の『潔く柔く』(同)。やや外れますが、くらもちふさこ先生『おばけたんご』(同)は、私の大好きな作品のひとつです。

 河内遙先生の初めての本格長編まんが『夏雪ランデブー』も、その系譜に属する作品のひとつです。生花店で働くフリーター青年・葉月。そもそもは店長の六花に一目惚れしたのが、アルバイトに応募したきっかけでした。秘めたる想いを抱えたまま淡々と働く日々の中で、葉月は遂に六花の部屋へと上がりこむチャンスを得ます。ところがそこには見慣れぬ半裸の男が! 「男いるじゃん」と、すねた葉月は部屋を出ますが、どうも六花のリアクションが不可解。数日後、半裸の男と再会した葉月は、彼が六花の亡き夫・島尾篤の幽霊だと知るのでした。