例年に続き、今年も銃乱射事件が多発したアメリカ。複数の有名女優が追訴された、米史上最悪の名門大学不正入試発覚事件が起こり、格差への不満が噴出した。加えてヘイトクラム事件も目立ち、シビアな社会情勢を映す犯罪が増えてきた。とはいえ、今年も脱力してしまうような情けない犯罪も多かった。今回は2019年に全米を失笑させた、よりすぐりの「米脱力ニュース」を紹介しよう。
銃で負傷した男、手術中にアナルからマリファナが……
4月5日、ワシントン州カシミアのアパートで、ズボンのポケットに入れていたピストルが暴発し、キャメロン・ジェフリー・ウィルソンの太ももと睾丸を貫通。キャメロンは、ガールフレンドに車を運転させ、痛みに耐えながら、まず違法所持していたピストルを捨てるために公園に向かわせ、その後に最寄りのセントラル・ワシントン病院に行った。
キャメロンはすぐに手術を受けたのだが、その最中に彼のアナルから“ヌルッ”と何かが出てきた。それは、バルーンに入れられた大麻。
「被弾した男が病院で治療を受けている」との通報を受けて駆けつけた警察官は、キャメロンの車を検査。すると病院に入る前に脱いだジーンズの中から、袋に入ったメタンフェタミン(覚せい剤)を発見。警官は拳銃や覚せい剤所持などの罪で逮捕状を請求し、キャメロンが退院するのを待つことにした。
それを受け、退院後の同月18日、キャメロンは出頭することに。しかし、アナルに大麻を入れていたことについては、「売買とかではなく性癖」と説明。逮捕時の身体検査でもさらにアナルからバルーンに入れた大麻が出てきたと報道されている。
6月12日、ルイジアナ州セントマーティン郡で発生した事件の容疑者逮捕につながる情報収集活動をしているNPO団体「セントマーティン・クライム・ストッパーズ」(以下、SMCS)が、公式Facebookに「週末に発生した事件で、第2級殺人未遂容疑で指名手配されているプレシャス・ランドリーがどこに潜伏しているのか、情報をお持ちの方はお電話ください。1,000ドル(約11万円)の懸賞金あり」と掲載した。
逃亡中のプレシャスは捜査状況が気になったのか、「SMCS」をチェックし、自分に関する投稿を発見。指名手配に使われている写真にショックを受け、自分のFacebookアカウントにログインした状態で、「その写真、超ブス」と怒りのコメントを書き込んだ。
指名手配の写真は、恐らく過去に警察沙汰を起こした際に撮影されたマグショットだと思われる。ノーメイクの状態でムッとした表情を浮かべ、髪もセットされておらず、額はニキビだらけの写真だ。ログインしたまま投稿すれば足がつくと考えなかったわけではないだろうが、自分が気に入らない写真を使われたため、コメントせずにはいられなかったのだろう。
「SMCS」はすぐに反応。「最寄りの警察に来てくれたら、新しい写真を撮影しますよ。もしくは、そのまま逃亡して1,000ドルの賞金目当てで誰かに通報されるか、選んでください」と提案。プレシャスは自首する選択肢を選んだ。
この指名手配投稿はまだ残っているが、プレシャスのコメントはすでに削除されている。しかし、このコメントに気づいた人は多く、指名手配投稿には9,000近くのコメントが書き込まれており、プレシャスの「超ブス」写真は全米に知られるハメになってしまった。
名前と住所が記載された書類の裏に「金を出せ!」と書いた銀行強盗
7月29日午前11時過ぎ、オハイオ州クリーブランドの「U.S.バンク」ユークリッド・アベニュー支店に、緊張した面持ちの男がやってきた。男は硬い表情で窓口に歩み寄り、カウンターの女性に「強盗だ、おとなしく金を出せ」と書いた紙を手渡した。
窓口の女性は驚きながらも、紙の裏に何か書かれていることに気がつき、裏返した。それはオハイオ州自動車管理局が発行した書類であり、男性の名前と住所がはっきりと記載されていた。男は、強盗に入る前に用事を済ますためにオハイオ州自動車管理局を訪れ、そこで渡された書類の裏に「金を出せ!」と殴り書きしたのだ。
窓口の女性は手元にあった206ドル(約2万2,000円)を、「どうぞ、マイケル」と名前を呼びながら手渡した。54歳のマイケル・ハレルはうなずきながら金を受け取り、足早に銀行を出て行ったという。
この事件の報告を受けたFBI捜査官は、女性が覚えていた男の名前と住所をもとに、すぐにマイケルを逮捕できた。そして、「銀行強盗事件は犯人探しに苦労するものですが、今回は犯人が窓口の女性に名前と住所を“提示”してくれたので、非常にスムーズに逮捕できました」という声明を発表した。
A motorist was stopped and issued a summons by @NYPDHighway Unit #2 Police Officer Gatto for driving in the High Occupancy Vehicle (HOV) Lane in #Brooklyn with a homemade dummy in the backseat. #NYPD pic.twitter.com/f3g5UnB5Sc
— NYPD Highway (@NYPDHighway) July 11, 2019
車社会のアメリカでは通勤・通学に車を使う人が多く、渋滞の原因となるため、複数の同乗者がいる場合に走行できる「HOV車線」という優先車線がある。同乗者数の規定は州によって異なるが、渋滞の時間帯にHOV車線を走ることができれば、ストレスなく運転できるのだ。
7月12日、ニューヨーク市高速警察隊が「後部座席に自家製のダミー人形を乗せ、HOV車線を走行していた運転手を検挙した」というツイートを投稿した。投稿には、キャップをかぶってサングラスをしたダミー人形の証拠写真も掲載。どう見ても怪しい人形なのだが、運転手は「これでHOV車線を堂々と運転できるぞ!」と思ったのだろう。
この証拠写真を見たTwitterユーザーは、「気持ちはわかる」「もう少しうまく作ればよかったのに」「いや、かなりがんばったと思う」と大盛り上がり。ニューヨーク市高速警察隊のアカウントにしては異例の1,300もの「いいね」を集めた。
一方、ネバダ州でも7月3日、運転手だけしか見当たらない車がHOV車線を走行していたため、高速警察隊が停止を命じた。運転手は悪びれることなく「葬儀用車両です」といい、後方に遺体を乗せているため、人数的にはクリアしていると主張。隊員は苦笑いしながら、「遺体は同乗者にカウントしない。カウントされるのは生きている人間のみ」と説明し、運転手に警告を与えた。
お尋ね者のアラフォー女性が、21歳の実娘と偽る
8月31日、ユタ州デービス郡のメイン・ストリートで、ナンバープレートをつけずに走行していた車がパトカーに止められた。BMWを運転していたのは、レディ・ガガのステージメイクのような奇抜な化粧を施した中年女性。
車内検査をしたところ、麻薬使用の際に使われる器具や白い粉が発見された。警官に名前と生年月日を問われた女性は、「メルセデス(・ガルシア)、1998年生まれ」と答えた。21歳のわけがないと警官が疑いつつデータと照合したところ、女性はメルセデスの母親で、38歳のヘザー・ガルシアであることが判明。
ヘザーがウソをついたのは、過去に薬物所持や、自動車保険の加入を証明できない状態で運転していた容疑などで逮捕状が発行されていたから。要はお尋ね者だったわけで、それをごまかすために娘の名前を出したのだった。
警察署に連行された直後に撮影されたマグショットのヘザーは、どうがんばっても20代には見えず。すでに出されている逮捕状に加えて、新たな薬物所持、免許停止処分中の運転、警官に偽の個人情報を伝えた容疑などが加わり、拘置所に送られた。
9月13日深夜、フロリダ州ナッソー郡のフェルナンディーナ・ビーチを、無灯火の自転車がふらふらと走行し、車にはねられそうになっているところをパトロール中の警官が発見した。自転車に乗っていた男女2人は共にアルコールのにおいがプンプンして、ろれつが回らない。真っすぐ歩けるかどうかを確かめる簡単な飲酒検査もパスできないため、このまま自転車に乗せて帰すわけにはいかないと、警官はパトカーの後部座席に乗せ、自らは現場の状況を確認・記録する作業を行った。
作業を終えた警官がパトカーに戻ったところ、後部座席の2人は、なんとセックスの真っ最中。男はいつのまにか全裸になっており、女のほうもパンツを下げ、乳房を丸出しにして行為に及んでいた。警官は「やめろ」と一喝し、男を引き離してパトカーの外に出した。すると直後、男は警官を突き飛ばして全裸のまま走り出した。が、ふらふらであるため、すぐに捕まってしまった。
性衝動に駆られたティーンの犯罪かと思いきや、男は31歳のセス・アーロン・トーマス、女は35歳のメーガン・リン・マンダナロと、いい大人同士によるもの。セスは、警官に対する危険行為、みだらな行為、性器の露出、飲酒運転、メーガンは飲酒運転、性器の露出、みだらな行為、警官への暴力行為はなかったものの抵抗したとして、それぞれ4つの罪で逮捕された。
マグショット撮影時、2人は酔っているからかヘラヘラした顔。メーガンは顔中が傷だらけで見るからに痛々しいのだが、酔っていて痛みを感じないのかニコニコ顔だった。
キッチンで朝食を作り始めた男、起きてきた住人に「まだ寝てろ」
9月3日、フロリダ州ピネラス郡にある住宅に男が侵入。早朝4時に鍵がかかっていない裏口から入った男は、キッチンに直行し、料理を始めた。物音を聞き、目を覚ました住人は、キッチンで見知らぬ男が朝食をとっている光景にびっくり。男は呆然とする住人を見て「まだ寝てろ」と指示したが、驚いた住人が「911通報するぞ」と告げると、ダッシュで家から飛び出した。通報を受けた警官は、周辺の林の中に隠れていた男をすぐに発見。侵入したのは自分だと認めたため、その場で逮捕された。
逮捕された男の名前はギャビン・クリム、19歳。海兵隊員だった。ぶすっとした顔のマグショットの顔は赤くはないが、警察は酔った上での犯行である可能性が高いと発表している。

