TBS『SASUKE』で“字幕詐欺”!? 「3年ぶり快挙達成!」テロップも、完全制覇者は現れず……

 3月26日に『SASUKE 2018』(TBS系)が放送されたのだが、番組に登場したとあるテロップが「字幕詐欺では?」と話題になっている。

 今大会の「SASUKE」にも、“サスケ君”の愛称でお馴染みの森本裕介やゴールデンボンバーの樽美酒研二など、体力自慢の100名が登場。3年ぶりの完全制覇を目指して、さまざまな難所に挑んでいる。

 しかし1stステージ終了時点で挑戦者の人数は8人に。難関と言われる3rdステージに進んだのはたった5名で、相当な難易度の高さがうかがえた。しかし視聴者は、この状況でも“完全制覇”の瞬間を待ち望んでいたという。

「というのも、今回の放送では『今夜3年ぶり快挙達成! 完全制覇は誰だ!?』というテロップが表示され続けていました。しかし結果は誰もファイナルステージをクリアしておらず、視聴者からは『快挙達成とはなんだったのか……』『テロップが紛らわしい!』『これはBPO審議入り案件では?』といった声が。たしかに今大会では森本が3年ぶりの快挙となる“3rdステージクリア”を成し遂げていますが、このテロップでは完全制覇を期待してしまってもおかしくないでしょう」(芸能ライター)

 結局今回も完全制覇者は現れなかったのだが、これには「ステージが難しすぎる」といった指摘も。特に1stステージの「ドラゴングライダー」という新エリアが注目を集めている。トランポリンを利用してバーにつかまり、レールを滑走して向こう岸に渡れば成功なのだが、そもそもバーにつかまるのが難しい模様。32組目にしてようやくバーにつかまる人が現れるも、滑走中に墜落してしまう。最終的にこのエリアが攻略されたのは、60組目でのことだった。

「『SASUKE』の難易度は32回大会あたりから急激に跳ね上がったようで、3大会にわたりファイナリストの不在が続きました。特にいわく付きなのが、3rdステージの『ウルトラクレイジークリフハンガー』から『バーティカルリミット』への流れ。どちらも指の力だけで全体重を支えなくてはいけないエリアで、視聴者の間では『これクリアするの人間には不可能でしょ』『設計ミスなのでは?』などとささやかれています。ところが今回は森本がこの難関をクリア。これには『SASUKEくんの執念がすごすぎる!』『一見不可能なことでも頑張ればなんとかなるんだなぁ』と歓声が上がりました」(同)

 今回3年ぶりに登場したファイナルステージも「クリアできる人いるの?」などと言われているが、次回は本当に完全制覇者が現れるかも?

吉岡里帆演じるキョドコは死んでしまったのか!? 走馬灯のようにめぐる淡い幸せ『きみ棲み』最終話

 吉岡里帆が連続ドラマ初主演を果たした『きみが心に棲みついた』(TBS系)の最終回の視聴率は8.3%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)でした。後半では最も高い数字でしたが、全10話をとおして一度も10%台に乗せることはできませんでした。ヒット作とは呼べませんが、数字以上に吉岡演じるキョドコが心に棲みついてしまった視聴者も少なくないのではないでしょうか。『きみ棲み』最終話とキョドコ&星名がドラマ界に残したものについて振り返りたいと思います。

 第9話で漫画誌編集者の吉崎(桐谷健太)から別れを告げられた小川今日子(吉岡里帆)ことキョドコでした。恋愛相手に依存しているというのが、吉崎の言い分でした。シリーズ序盤のキョドコだったら、失恋のショックで会社も休んでいたはずですが、新ブランドの発売日が迫っていたのが幸いでした。仕事に打ち込むキョドコを見て、彼女をずっと見守ってきた先輩の堀田(瀬戸朝香)は「オガちゃん、変わったね」と温かい言葉を掛けるのでした。相性がまるで合わなかった八木(鈴木紗理奈)の「振った男に感謝やな」という憎まれ口にも「はい」と笑って返すことがキョドコはできるようになったのです。

 数々のパワハラ&セクハラがバレて停職処分となったゲス上司・星名(向井理)のいない職場で、キョドコはせっせと働きます。そんなとき、星名の姉・祥子(星野園美)が会社に電話を掛けてきます。星名の母(岡江久美子)が入院したので、星名に誰か連絡してほしいというものでした。

 星名とはすっぱり縁を切ったキョドコですが、自分の母親(中島ひろ子)に別離宣言した後ろめたさもあって、星名の母親が入院している病院へお見舞いに訪ねます。そんな余計な気遣いこそが、キョドコらしさです。病床の星名の母親が言った「優しいのね。あなたみたいな人があの子の周りにいるのなら、よかった」という言葉が胸に沁みるキョドコでした。

 タワーマンションの自宅で酒浸りの日々を送っていた星名に、キョドコは「お母さんに会いに行ってください」と電話で伝えますが、途中で切られてしまいます。結局、星名は母親の見舞いに行くことはありませんでした。新ブランドの発売日という晴れやかな日に、星名の母親はこの世を去るのでした。星名が完全に音信不通になったことに不吉な予感を感じたキョドコは、星名がひとりで行きそうな場所を探して回ります。星名はいました。大学の部室に篭って、練炭自殺をしようとしているところでした。

「キョドコかよ。あんただけだよ、このクソみたいな世界に。じゃあ、いいや。お前もつきあえよ」

 星名は父親を刺殺したのは母親ではなく、実は自分だったことをキョドコに打ち明け、キョドコとの心中を図るのでした。「星名さんをただ助けにきたんです」というキョドコでしたが、2人とも一酸化炭素中毒に陥り、お互いに心のキズを舐め合った大学の部室で重なるように倒れ込んでしまいます。

 

■ドラマを脇で支え続けたムロツヨシ。こちら側の人間に幸あれ!

 

 キョドコが目を覚ますと、そこは天国でした。というか、天国みたいなメルヘンワールドでした。別れたはずの吉崎がギリギリのところで現われ、病院へ搬送してくれたのです。キョドコが一度死んでからは、素晴しいことばかりが次々と起こります。星名は姿を消し、吉崎が担当した漫画家のスズキ先生(ムロツヨシ)は日本漫画大賞を受賞。その受賞パーティーの帰り道、吉崎は路上に転がっていた靴を拾います。見覚えのある靴でした。すっかり元気になったキョドコがまた盛大に路上でコケていたのです。灰かぶり姫のような悲惨な人生を歩んできたキョドコは、こうして無事に吉崎王子との再会を果たしたのでした。晴れてキョドコは純白のウェディングドレスに身を包み、幸せなエンディングを迎えます。結婚パーティーには仲の悪かった母親も出席し、キョドコとは恋敵だった飯田(石橋杏奈)や為末(田中真琴)も笑顔で参加しています。絵に描いたような大団円です。そして最後の最後に「Happy Wedding キョドコのクセに」とメッセージが添えられた星名からの花束が届くのでした。

 星名の練炭自殺騒ぎ以降、いっきに恋愛ファンタジーと化してしまった『きみ棲み』最終話でした。練炭自殺の巻き添えになったキョドコが、死ぬ間際に脳裏に浮かんだ妄想の世界なのかなと思ってしまうほど、キョドコにとってあまりに都合のいい幕切れです。まぁ、このくらいのハッピーエンドを用意しないと、キョドコの暗い人生を3か月間共にした視聴者も後味が悪いわけですけどね。

 ご都合主義で終わった最終話の中で眩しく輝いたのは、ドロドロの物語における一服の清涼剤としてコメディリリーフを務めてきたスズキ先生役のムロツヨシでした。キョドコをモデルにした『俺に届け 響け!』で漫画大賞を受賞したスズキ先生のスピーチは名言でした。

「この漫画は僕と同じような少数の、こちら側の人間の、淡々とした日常を描いたものです。普通から外れた変だと言われる人の、うれしいなぁとか、つらいなぁとか、まぁまぁだなぁとか、そんなことを思って生きている普通の人生です。最初は今の編集担当さんだけでした、分かろうとしてくれたのは。いや、分からなくても、彼が僕の味方でいてくれたから、僕はここまで描くことができたんです」

 スズキ先生にとって、編集担当の吉崎は恋人でもなければ、家族でもなく、仕事上の関係でしかありません。でも吉崎は仕事仲間として、親身になってスズキ先生と向き合い続けました。ドラマ版『きみ棲み』のいちばんのテーマが、スズキ先生のこのスピーチに凝縮されているようです。幼少期に家族の愛情を感じることができなかったキョドコと星名は、出会う人を自分のことを心から愛してくれる人か、そうでないかで選別していましたが、人と人との繋がり方はもっと多様で濃淡があっていいはずです。

 星名とキョドコが部室で倒れているのを救ったのは吉崎でしたが、その後ろにはバーテンの牧村(山岸門人)もいました。星名とキョドコがいそうな場所を思い出したのは、きっと牧村だったのでしょう。キョドコの校内ストリップを盗撮するなど、決して100%の善人ではない牧村ですが、かといって100%の悪人でもないわけです。「お前のことを一度も友達だと思ったことはない」と星名からも牧村は見下されていましたが、牧村は星名が100%の悪人ではないことを分かっていて、助けに走ったのです。

 ひとりの人間を悪人か善人かに簡単に分けられないように、人間の人生もどこからが幸せで、どこからが不幸かと線引きするのは難しいのではないでしょうか。善と悪も、幸と不幸も、とても微妙な紙一重の違いでしかないことをほのめかして『きみ棲み』全10話は終わりを告げるのでした。

 

■視聴者の心に棲みついたキョドコの正体は……?

 

 最後に『きみ棲み』がドラマ界に残したものについて考えてみたいと思います。視聴率的にはいまひとつだった『きみ棲み』ですが、2つの大きな鉱脈を探り当てたのではないでしょうか。ひとつは地上波テレビで、SMテイストなドラマが成立できたということ。吉岡里帆が下着姿やセミヌードになったことが話題となりましたが、吉岡の肌の露出以上に向井理との精神的なサド&マゾヒスティックな関係がドラマを盛り上げたように感じられます。大沢伸一のソロプロジェクトMONDO GROSSOが楽曲提供した「偽りのシンパシー」が流れると、職場が急にエロいムードになる展開は、大人の視聴者をゾクゾクさせるものがありました。

 TBSサイドは、ハリウッドが女性向けにつくったSM映画『フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ』(15)っぽい世界を意識したのでしょう。ちなみにスズキ先生の描いた漫画『俺に届け 響け!』の作画・監修を担当したのはSMコメディ漫画『ナナとカオル』(白泉社)で知られる甘詰留太先生です。TBSが開発したソフトSM路線、深夜枠かBSドラマとして再挑戦すれば充分成功するのではないでしょうか。

 もうひとつ、『きみ棲み』が掘り当てた鉱脈は、アンチヒーローものには大きな可能性があるということです。向井理演じる星名が、暗い過去を封印して大学や企業内であくどい手を使いながら成り上がり人生を突き進むくだりは、松田優作主演のハードボイルド映画『蘇える金狼』(79)のようなピカレスクな魅力に溢れていました。

 大手芸能プロダクションが幅を利かせている現代のテレビ&映画界では、人気俳優たちの目標設定は、いい作品や面白い役に出会うことではなく、多くのCM契約を結ぶことになってしまっています。多くのCMに出るためには高視聴率ドラマに出演し、好感度の高いキャラクターを演じることが求められます。汚れ役や悪役に挑戦して、演技力を磨きたいという俳優本人の希望は、芸能プロダクションの方針にはなかなか反映されません。

 でも善人だらけのドラマほど、つまらないものはありません。NHKの朝ドラ『ゲゲゲの女房』のヒロインの夫役でブレイクした向井理ですが、同じく朝ドラ出身の国仲涼子と結婚し、いいタイミングでクセの強い星名役がオファーされました。女を利用するだけ利用して、ポイ捨てする星名は女性視聴者から嫌われて当然のゲスキャラクターでしたが、哀しい過去が多くの女性の母性本能を刺激するという非常に美味しい役となりました。星名のような二面性を持ったキャラクターは、今後のドラマでも大いにニーズがあるはずです。

 キョドコに振り回され続けた3カ月間でした。吉岡里帆演じるキョドコが幸せを手に入れてドラマは終わりを迎えましたが、視聴者の中には心の奥にもうひとりのキョドコの存在を感じている人もいるのではないでしょうか。キョドコはもしかしたら、視聴者の心に宿るトラウマのメタファーなのかもしれません。家族とずっと不仲だったり、学生時代の人間関係や別れた恋人のことを今も引き摺ってしまったり、みんなそれぞれ大なり小なりのキョドコを心に抱えているようです。そんなキョドコと、今後どう接すればいいのか。すごくうざいけれど、気になって仕方ない存在。その名はキョドコ。これからも長い長い付き合いとなりそうです。
(文=長野辰次)

吉岡里帆演じるキョドコは死んでしまったのか!? 走馬灯のようにめぐる淡い幸せ『きみ棲み』最終話

 吉岡里帆が連続ドラマ初主演を果たした『きみが心に棲みついた』(TBS系)の最終回の視聴率は8.3%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)でした。後半では最も高い数字でしたが、全10話をとおして一度も10%台に乗せることはできませんでした。ヒット作とは呼べませんが、数字以上に吉岡演じるキョドコが心に棲みついてしまった視聴者も少なくないのではないでしょうか。『きみ棲み』最終話とキョドコ&星名がドラマ界に残したものについて振り返りたいと思います。

 第9話で漫画誌編集者の吉崎(桐谷健太)から別れを告げられた小川今日子(吉岡里帆)ことキョドコでした。恋愛相手に依存しているというのが、吉崎の言い分でした。シリーズ序盤のキョドコだったら、失恋のショックで会社も休んでいたはずですが、新ブランドの発売日が迫っていたのが幸いでした。仕事に打ち込むキョドコを見て、彼女をずっと見守ってきた先輩の堀田(瀬戸朝香)は「オガちゃん、変わったね」と温かい言葉を掛けるのでした。相性がまるで合わなかった八木(鈴木紗理奈)の「振った男に感謝やな」という憎まれ口にも「はい」と笑って返すことがキョドコはできるようになったのです。

 数々のパワハラ&セクハラがバレて停職処分となったゲス上司・星名(向井理)のいない職場で、キョドコはせっせと働きます。そんなとき、星名の姉・祥子(星野園美)が会社に電話を掛けてきます。星名の母(岡江久美子)が入院したので、星名に誰か連絡してほしいというものでした。

 星名とはすっぱり縁を切ったキョドコですが、自分の母親(中島ひろ子)に別離宣言した後ろめたさもあって、星名の母親が入院している病院へお見舞いに訪ねます。そんな余計な気遣いこそが、キョドコらしさです。病床の星名の母親が言った「優しいのね。あなたみたいな人があの子の周りにいるのなら、よかった」という言葉が胸に沁みるキョドコでした。

 タワーマンションの自宅で酒浸りの日々を送っていた星名に、キョドコは「お母さんに会いに行ってください」と電話で伝えますが、途中で切られてしまいます。結局、星名は母親の見舞いに行くことはありませんでした。新ブランドの発売日という晴れやかな日に、星名の母親はこの世を去るのでした。星名が完全に音信不通になったことに不吉な予感を感じたキョドコは、星名がひとりで行きそうな場所を探して回ります。星名はいました。大学の部室に篭って、練炭自殺をしようとしているところでした。

「キョドコかよ。あんただけだよ、このクソみたいな世界に。じゃあ、いいや。お前もつきあえよ」

 星名は父親を刺殺したのは母親ではなく、実は自分だったことをキョドコに打ち明け、キョドコとの心中を図るのでした。「星名さんをただ助けにきたんです」というキョドコでしたが、2人とも一酸化炭素中毒に陥り、お互いに心のキズを舐め合った大学の部室で重なるように倒れ込んでしまいます。

 

■ドラマを脇で支え続けたムロツヨシ。こちら側の人間に幸あれ!

 

 キョドコが目を覚ますと、そこは天国でした。というか、天国みたいなメルヘンワールドでした。別れたはずの吉崎がギリギリのところで現われ、病院へ搬送してくれたのです。キョドコが一度死んでからは、素晴しいことばかりが次々と起こります。星名は姿を消し、吉崎が担当した漫画家のスズキ先生(ムロツヨシ)は日本漫画大賞を受賞。その受賞パーティーの帰り道、吉崎は路上に転がっていた靴を拾います。見覚えのある靴でした。すっかり元気になったキョドコがまた盛大に路上でコケていたのです。灰かぶり姫のような悲惨な人生を歩んできたキョドコは、こうして無事に吉崎王子との再会を果たしたのでした。晴れてキョドコは純白のウェディングドレスに身を包み、幸せなエンディングを迎えます。結婚パーティーには仲の悪かった母親も出席し、キョドコとは恋敵だった飯田(石橋杏奈)や為末(田中真琴)も笑顔で参加しています。絵に描いたような大団円です。そして最後の最後に「Happy Wedding キョドコのクセに」とメッセージが添えられた星名からの花束が届くのでした。

 星名の練炭自殺騒ぎ以降、いっきに恋愛ファンタジーと化してしまった『きみ棲み』最終話でした。練炭自殺の巻き添えになったキョドコが、死ぬ間際に脳裏に浮かんだ妄想の世界なのかなと思ってしまうほど、キョドコにとってあまりに都合のいい幕切れです。まぁ、このくらいのハッピーエンドを用意しないと、キョドコの暗い人生を3か月間共にした視聴者も後味が悪いわけですけどね。

 ご都合主義で終わった最終話の中で眩しく輝いたのは、ドロドロの物語における一服の清涼剤としてコメディリリーフを務めてきたスズキ先生役のムロツヨシでした。キョドコをモデルにした『俺に届け 響け!』で漫画大賞を受賞したスズキ先生のスピーチは名言でした。

「この漫画は僕と同じような少数の、こちら側の人間の、淡々とした日常を描いたものです。普通から外れた変だと言われる人の、うれしいなぁとか、つらいなぁとか、まぁまぁだなぁとか、そんなことを思って生きている普通の人生です。最初は今の編集担当さんだけでした、分かろうとしてくれたのは。いや、分からなくても、彼が僕の味方でいてくれたから、僕はここまで描くことができたんです」

 スズキ先生にとって、編集担当の吉崎は恋人でもなければ、家族でもなく、仕事上の関係でしかありません。でも吉崎は仕事仲間として、親身になってスズキ先生と向き合い続けました。ドラマ版『きみ棲み』のいちばんのテーマが、スズキ先生のこのスピーチに凝縮されているようです。幼少期に家族の愛情を感じることができなかったキョドコと星名は、出会う人を自分のことを心から愛してくれる人か、そうでないかで選別していましたが、人と人との繋がり方はもっと多様で濃淡があっていいはずです。

 星名とキョドコが部室で倒れているのを救ったのは吉崎でしたが、その後ろにはバーテンの牧村(山岸門人)もいました。星名とキョドコがいそうな場所を思い出したのは、きっと牧村だったのでしょう。キョドコの校内ストリップを盗撮するなど、決して100%の善人ではない牧村ですが、かといって100%の悪人でもないわけです。「お前のことを一度も友達だと思ったことはない」と星名からも牧村は見下されていましたが、牧村は星名が100%の悪人ではないことを分かっていて、助けに走ったのです。

 ひとりの人間を悪人か善人かに簡単に分けられないように、人間の人生もどこからが幸せで、どこからが不幸かと線引きするのは難しいのではないでしょうか。善と悪も、幸と不幸も、とても微妙な紙一重の違いでしかないことをほのめかして『きみ棲み』全10話は終わりを告げるのでした。

 

■視聴者の心に棲みついたキョドコの正体は……?

 

 最後に『きみ棲み』がドラマ界に残したものについて考えてみたいと思います。視聴率的にはいまひとつだった『きみ棲み』ですが、2つの大きな鉱脈を探り当てたのではないでしょうか。ひとつは地上波テレビで、SMテイストなドラマが成立できたということ。吉岡里帆が下着姿やセミヌードになったことが話題となりましたが、吉岡の肌の露出以上に向井理との精神的なサド&マゾヒスティックな関係がドラマを盛り上げたように感じられます。大沢伸一のソロプロジェクトMONDO GROSSOが楽曲提供した「偽りのシンパシー」が流れると、職場が急にエロいムードになる展開は、大人の視聴者をゾクゾクさせるものがありました。

 TBSサイドは、ハリウッドが女性向けにつくったSM映画『フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ』(15)っぽい世界を意識したのでしょう。ちなみにスズキ先生の描いた漫画『俺に届け 響け!』の作画・監修を担当したのはSMコメディ漫画『ナナとカオル』(白泉社)で知られる甘詰留太先生です。TBSが開発したソフトSM路線、深夜枠かBSドラマとして再挑戦すれば充分成功するのではないでしょうか。

 もうひとつ、『きみ棲み』が掘り当てた鉱脈は、アンチヒーローものには大きな可能性があるということです。向井理演じる星名が、暗い過去を封印して大学や企業内であくどい手を使いながら成り上がり人生を突き進むくだりは、松田優作主演のハードボイルド映画『蘇える金狼』(79)のようなピカレスクな魅力に溢れていました。

 大手芸能プロダクションが幅を利かせている現代のテレビ&映画界では、人気俳優たちの目標設定は、いい作品や面白い役に出会うことではなく、多くのCM契約を結ぶことになってしまっています。多くのCMに出るためには高視聴率ドラマに出演し、好感度の高いキャラクターを演じることが求められます。汚れ役や悪役に挑戦して、演技力を磨きたいという俳優本人の希望は、芸能プロダクションの方針にはなかなか反映されません。

 でも善人だらけのドラマほど、つまらないものはありません。NHKの朝ドラ『ゲゲゲの女房』のヒロインの夫役でブレイクした向井理ですが、同じく朝ドラ出身の国仲涼子と結婚し、いいタイミングでクセの強い星名役がオファーされました。女を利用するだけ利用して、ポイ捨てする星名は女性視聴者から嫌われて当然のゲスキャラクターでしたが、哀しい過去が多くの女性の母性本能を刺激するという非常に美味しい役となりました。星名のような二面性を持ったキャラクターは、今後のドラマでも大いにニーズがあるはずです。

 キョドコに振り回され続けた3カ月間でした。吉岡里帆演じるキョドコが幸せを手に入れてドラマは終わりを迎えましたが、視聴者の中には心の奥にもうひとりのキョドコの存在を感じている人もいるのではないでしょうか。キョドコはもしかしたら、視聴者の心に宿るトラウマのメタファーなのかもしれません。家族とずっと不仲だったり、学生時代の人間関係や別れた恋人のことを今も引き摺ってしまったり、みんなそれぞれ大なり小なりのキョドコを心に抱えているようです。そんなキョドコと、今後どう接すればいいのか。すごくうざいけれど、気になって仕方ない存在。その名はキョドコ。これからも長い長い付き合いとなりそうです。
(文=長野辰次)

嵐・松本が木村超え! 深田恭子と広瀬すず、芳根京子がビリ争い! 1月期ドラマ視聴率ランク

 元SMAP・木村拓哉、嵐・松本潤、KAT-TUN・亀梨和也、Hey! Say! JUMP・山田涼介らが主演を務めた1月スタートの冬ドラマ(午後8~10時台)。3月23日までにそれぞれ最終回を迎え、視聴率ランキングでは松本主演の『99.9-刑事専門弁護士-SEASONⅡ』(TBS系)が全話平均17.4%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)で、トップに輝いた。

 2016年の第1期で過去最高視聴率19.1%(第2話と最終回)を獲得するなど、大好評を博した『99.9』。約2年ぶりの続編は、榮倉奈々に代わって木村文乃をヒロインに迎えたが、小ネタ満載の世界観は変わらず、初回も15.1%と2ケタのスタートを切った。木村主演の『BG~身辺警護人~』(テレビ朝日系)が第1話で15.7%をマークしたため、初回視聴率ランクは2位にとどまったものの、2話で18.0%にジャンプアップ。以降も16~18%台が続き、最終回は自己最高の21.0%で有終の美を飾った。

 惜しくも2位に終わったのは『BG』。民間警備会社のボディガードたちの奮闘を描いた物語で、木村はキレキレの格闘シーンをみせ、高さ約50メートルの橋の上でのアクションにも挑んだ。しかし、視聴率は初回15.7%、2話で15.1%を記録後、13.4%(3話)、13.6%(4話)と停滞。ドラマの終盤には、チームを取りまとめていた身辺警護課の課長・村田五郎(上川隆也)が足に銃撃を受け負傷し、後に死去するという衝撃な展開が描かれた。歌手の矢沢永吉が本人役でゲスト出演した最終回は、最高値の17.3%で、全9話の平均は15.1%だった。

 ベスト3位は石原さとみ主演の『アンナチュラル』(TBS系)。法医解剖医の三澄ミコト(石原)が“不自然な死”を究明していくストーリーで、16年の大ヒット作『逃げるは恥だが役に立つ』(同)を手がけた野木亜紀子氏が脚本を担当した。初回は12.7%で4位にランクインし、視聴率面では飛び抜けなかったものの、第1話の放送後からネット上で「面白すぎる!」「次回も絶対見る」といった高評価が相次いだ。9%台を二度記録し、全10話の平均は11.1%とさほど伸びなかった一方、早くも続編を期待する声が多く上がっている。

 深田恭子、0.1%差で最下位免れる

 続いて、ワースト3作品の結果を見ていこう。深田恭子と松山ケンイチが“妊活”に励む夫婦を演じた『隣の家族は青く見える』(フジテレビ系)は、全10話の平均が6.2%でフィニッシュした。同作は7.0%でスタートし、初回の視聴率ランキングでは最下位に。5話で4.6%にまで下がるも、8話は6.5%、9話で6.9%と上がり始め、ラスト10話は前番組『とんねるずのみなさんのおかげでした』(同)の最終回が9.7%を記録した効果か、自己最高である7.9%となった。

 下位2作品の『海月姫』(フジテレビ系)と『anone』(日本テレビ系)は、どちらも全10話の平均が6.1%となり、同率10位。芳根京子主演の月9ドラマ『海月姫』は、東村アキコ氏による同名人気漫画が原作で、14年には能年玲奈(現在はのん)主演で映画化されている。男子禁制の共同アパートに住むオタク女子・倉下月海(芳根)の恋模様を描くラブコメディで、視聴者の間では鯉淵蔵之介役・瀬戸康史の女装姿が大きな話題となった。初回は8.6%だったものの、7話で4.9%と“大爆死”。その後は8%台に浮上できず、平均ランクでワースト入りした。

 広瀬すず主演の『anone』は、『Mother』『Woman』に続く、日テレと人気脚本家・坂元裕二氏がタッグを組んだオリジナル作の第3弾。ネットカフェで寝泊まりしていた少女・辻沢ハリカ(広瀬)が、老齢の女性・林田亜乃音(田中裕子)らと出会い、生活が一変していく過程を描きつつ、主人公たちが“偽札作り”を始めるというダークな内容へと進んでいった。

 坂元氏は15年の『問題のあるレストラン』(フジテレビ系)を皮切りに、『いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう』(同)『カルテット』(TBS系)と、4年連続で1月期ドラマの脚本を担当。印象的な名ゼリフが多い点が支持されている理由の1つだが、『anone』が最終回を迎えた21日、坂元氏はインスタグラムで「来年の1月はありません。これにてちょっと連ドラはお休みします」と、突如宣言。「4年前にそれを決めて、周囲にもそう話して、ずっと今日を目指して来ました」とのことで、しばらくは連ドラ以外の脚本に専念するそうだ。

 このほか、今期は松本と木村以外にもジャニーズタレント主演作がほかに2本あったが、残念ながら成績はイマイチ。山田主演の『もみ消して冬 ~わが家の問題なかったことに~』(日本テレビ系)は、初回こそ13.3%の高視聴率を記録するも、第5話で7.1%に転落。7話で6.6%の最低値を更新してしまい、全10話の平均は9.8%に終わった。

 亀梨は『FINAL CUT』(フジテレビ系)で、母親を追い詰めた者たちへの復讐に燃える主人公を熱演。初回から7.2%と“消費税割れ”し、以降も6~7%台を辿った末、2ケタに上昇せずに平均は6.9%(全9話)となった。

 4月期の春ドラマは、『99.9』の後枠で嵐・二宮和也が初の外科医役を演じる『ブラックペアン』が控えており、ディーン・フジオカ主演の『モンテ・クリスト伯 -華麗なる復讐-』(フジテレビ系)に関ジャニ∞・大倉忠義が出演。嵐・松本の出世作『花より男子』(TBS系)シリーズの続編にあたる『花のち晴れ~花男 Next Season~』には、King&Princeの一員として5月にCDをリリースするジャニーズの若手・平野紫耀が抜擢され、デビュー曲「シンデレラガール」が主題歌に決まった。また、渡瀬恒彦が主演を務めた『警視庁捜査一課9係』(テレビ朝日系)のメンバーが再集結する『特捜9』は、V6・井ノ原快彦が主演に代わり、新たなスタートを切る。

 そのほか、長澤まさみ主演の月9ドラマ『コンフィデンスマンJP』(フジテレビ系)をはじめ、中谷美紀主演『あなたには帰る家がある』(TBS系)や、波瑠主演『未解決の女 警視庁文書捜査官』(テレビ朝日系)に加え、吉高由里子主演『正義のセ』(日本テレビ系)、菜々緒主演の『Missデビル 人事の悪魔・椿眞子』(同)と、女優陣のドラマが続々。この中から名作は誕生するのか、放送開始を楽しみに待ちたい。

【2018年冬ドラマ(午後8~10時台、民放5局)平均視聴率一覧】

1位『99.9-刑事専門弁護士-SEASONⅡ』(TBS系・日曜午後9時)全9話/17.4%
2位『BG~身辺警護人~』(テレビ朝日系・木曜午後9時)全9話/15.1%
3位『アンナチュラル』(TBS系・金曜午後10時)全10話/11.1%
4位『もみ消して冬 ~わが家の問題なかったことに~』(日本テレビ系・土曜午後10時)全10話/9.8%
5位『きみが心に棲みついた』(TBS系・火曜午後10時)全10話/7.7%
6位『トドメの接吻』(日本テレビ系・日曜午後10時30分)全10話/6.9%
6位『FINAL CUT』(フジテレビ系・火曜午後9時)全9話/6.9%
8位『特命刑事カクホの女』(テレビ東京・金曜午後8時)全7話/6.6%
9位『隣の家族は青く見える』(フジテレビ系・木曜午後10時)全10話/6.2%
10位『海月姫』(フジテレビ系・月曜午後9時)全10話/6.1%
10位『anone』(日本テレビ系・水曜午後10時)全10話/6.1%

※平均視聴率は単純平均視聴率(全話合計÷放送回数)。小数点第2位以下を四捨五入。昨秋から2クール連続で放送された『相棒』『科捜研の女』(ともにテレビ朝日系)と、2月7日スタートの『バイプレイヤーズ~もしも名脇役がテレ東朝ドラで無人島生活したら~』(テレビ東京、全5話)はランキング対象外とする。

嵐・松本が木村超え! 深田恭子と広瀬すず、芳根京子がビリ争い! 1月期ドラマ視聴率ランク

 元SMAP・木村拓哉、嵐・松本潤、KAT-TUN・亀梨和也、Hey! Say! JUMP・山田涼介らが主演を務めた1月スタートの冬ドラマ(午後8~10時台)。3月23日までにそれぞれ最終回を迎え、視聴率ランキングでは松本主演の『99.9-刑事専門弁護士-SEASONⅡ』(TBS系)が全話平均17.4%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)で、トップに輝いた。

 2016年の第1期で過去最高視聴率19.1%(第2話と最終回)を獲得するなど、大好評を博した『99.9』。約2年ぶりの続編は、榮倉奈々に代わって木村文乃をヒロインに迎えたが、小ネタ満載の世界観は変わらず、初回も15.1%と2ケタのスタートを切った。木村主演の『BG~身辺警護人~』(テレビ朝日系)が第1話で15.7%をマークしたため、初回視聴率ランクは2位にとどまったものの、2話で18.0%にジャンプアップ。以降も16~18%台が続き、最終回は自己最高の21.0%で有終の美を飾った。

 惜しくも2位に終わったのは『BG』。民間警備会社のボディガードたちの奮闘を描いた物語で、木村はキレキレの格闘シーンをみせ、高さ約50メートルの橋の上でのアクションにも挑んだ。しかし、視聴率は初回15.7%、2話で15.1%を記録後、13.4%(3話)、13.6%(4話)と停滞。ドラマの終盤には、チームを取りまとめていた身辺警護課の課長・村田五郎(上川隆也)が足に銃撃を受け負傷し、後に死去するという衝撃な展開が描かれた。歌手の矢沢永吉が本人役でゲスト出演した最終回は、最高値の17.3%で、全9話の平均は15.1%だった。

 ベスト3位は石原さとみ主演の『アンナチュラル』(TBS系)。法医解剖医の三澄ミコト(石原)が“不自然な死”を究明していくストーリーで、16年の大ヒット作『逃げるは恥だが役に立つ』(同)を手がけた野木亜紀子氏が脚本を担当した。初回は12.7%で4位にランクインし、視聴率面では飛び抜けなかったものの、第1話の放送後からネット上で「面白すぎる!」「次回も絶対見る」といった高評価が相次いだ。9%台を二度記録し、全10話の平均は11.1%とさほど伸びなかった一方、早くも続編を期待する声が多く上がっている。

 深田恭子、0.1%差で最下位免れる

 続いて、ワースト3作品の結果を見ていこう。深田恭子と松山ケンイチが“妊活”に励む夫婦を演じた『隣の家族は青く見える』(フジテレビ系)は、全10話の平均が6.2%でフィニッシュした。同作は7.0%でスタートし、初回の視聴率ランキングでは最下位に。5話で4.6%にまで下がるも、8話は6.5%、9話で6.9%と上がり始め、ラスト10話は前番組『とんねるずのみなさんのおかげでした』(同)の最終回が9.7%を記録した効果か、自己最高である7.9%となった。

 下位2作品の『海月姫』(フジテレビ系)と『anone』(日本テレビ系)は、どちらも全10話の平均が6.1%となり、同率10位。芳根京子主演の月9ドラマ『海月姫』は、東村アキコ氏による同名人気漫画が原作で、14年には能年玲奈(現在はのん)主演で映画化されている。男子禁制の共同アパートに住むオタク女子・倉下月海(芳根)の恋模様を描くラブコメディで、視聴者の間では鯉淵蔵之介役・瀬戸康史の女装姿が大きな話題となった。初回は8.6%だったものの、7話で4.9%と“大爆死”。その後は8%台に浮上できず、平均ランクでワースト入りした。

 広瀬すず主演の『anone』は、『Mother』『Woman』に続く、日テレと人気脚本家・坂元裕二氏がタッグを組んだオリジナル作の第3弾。ネットカフェで寝泊まりしていた少女・辻沢ハリカ(広瀬)が、老齢の女性・林田亜乃音(田中裕子)らと出会い、生活が一変していく過程を描きつつ、主人公たちが“偽札作り”を始めるというダークな内容へと進んでいった。

 坂元氏は15年の『問題のあるレストラン』(フジテレビ系)を皮切りに、『いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう』(同)『カルテット』(TBS系)と、4年連続で1月期ドラマの脚本を担当。印象的な名ゼリフが多い点が支持されている理由の1つだが、『anone』が最終回を迎えた21日、坂元氏はインスタグラムで「来年の1月はありません。これにてちょっと連ドラはお休みします」と、突如宣言。「4年前にそれを決めて、周囲にもそう話して、ずっと今日を目指して来ました」とのことで、しばらくは連ドラ以外の脚本に専念するそうだ。

 このほか、今期は松本と木村以外にもジャニーズタレント主演作がほかに2本あったが、残念ながら成績はイマイチ。山田主演の『もみ消して冬 ~わが家の問題なかったことに~』(日本テレビ系)は、初回こそ13.3%の高視聴率を記録するも、第5話で7.1%に転落。7話で6.6%の最低値を更新してしまい、全10話の平均は9.8%に終わった。

 亀梨は『FINAL CUT』(フジテレビ系)で、母親を追い詰めた者たちへの復讐に燃える主人公を熱演。初回から7.2%と“消費税割れ”し、以降も6~7%台を辿った末、2ケタに上昇せずに平均は6.9%(全9話)となった。

 4月期の春ドラマは、『99.9』の後枠で嵐・二宮和也が初の外科医役を演じる『ブラックペアン』が控えており、ディーン・フジオカ主演の『モンテ・クリスト伯 -華麗なる復讐-』(フジテレビ系)に関ジャニ∞・大倉忠義が出演。嵐・松本の出世作『花より男子』(TBS系)シリーズの続編にあたる『花のち晴れ~花男 Next Season~』には、King&Princeの一員として5月にCDをリリースするジャニーズの若手・平野紫耀が抜擢され、デビュー曲「シンデレラガール」が主題歌に決まった。また、渡瀬恒彦が主演を務めた『警視庁捜査一課9係』(テレビ朝日系)のメンバーが再集結する『特捜9』は、V6・井ノ原快彦が主演に代わり、新たなスタートを切る。

 そのほか、長澤まさみ主演の月9ドラマ『コンフィデンスマンJP』(フジテレビ系)をはじめ、中谷美紀主演『あなたには帰る家がある』(TBS系)や、波瑠主演『未解決の女 警視庁文書捜査官』(テレビ朝日系)に加え、吉高由里子主演『正義のセ』(日本テレビ系)、菜々緒主演の『Missデビル 人事の悪魔・椿眞子』(同)と、女優陣のドラマが続々。この中から名作は誕生するのか、放送開始を楽しみに待ちたい。

【2018年冬ドラマ(午後8~10時台、民放5局)平均視聴率一覧】

1位『99.9-刑事専門弁護士-SEASONⅡ』(TBS系・日曜午後9時)全9話/17.4%
2位『BG~身辺警護人~』(テレビ朝日系・木曜午後9時)全9話/15.1%
3位『アンナチュラル』(TBS系・金曜午後10時)全10話/11.1%
4位『もみ消して冬 ~わが家の問題なかったことに~』(日本テレビ系・土曜午後10時)全10話/9.8%
5位『きみが心に棲みついた』(TBS系・火曜午後10時)全10話/7.7%
6位『トドメの接吻』(日本テレビ系・日曜午後10時30分)全10話/6.9%
6位『FINAL CUT』(フジテレビ系・火曜午後9時)全9話/6.9%
8位『特命刑事カクホの女』(テレビ東京・金曜午後8時)全7話/6.6%
9位『隣の家族は青く見える』(フジテレビ系・木曜午後10時)全10話/6.2%
10位『海月姫』(フジテレビ系・月曜午後9時)全10話/6.1%
10位『anone』(日本テレビ系・水曜午後10時)全10話/6.1%

※平均視聴率は単純平均視聴率(全話合計÷放送回数)。小数点第2位以下を四捨五入。昨秋から2クール連続で放送された『相棒』『科捜研の女』(ともにテレビ朝日系)と、2月7日スタートの『バイプレイヤーズ~もしも名脇役がテレ東朝ドラで無人島生活したら~』(テレビ東京、全5話)はランキング対象外とする。

不条理の連鎖を断ち切った石原さとみのドヤ顔が美しい! 『アンナチュラル』最高のフィナーレでシリーズ化に期待

 石原さとみ主演ドラマ『アンナチュラル』(TBS系)も今回で最終回。これまでで最高となる平均視聴率13.3%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)を記録し、有終の美を飾りました。

 さて、まずは前回のあらすじを少し。8年前に恋人・糀谷夕希子(橋本真実)を殺されて以来、犯人を捜し続けていた不自然死究明研究所(通称・UDIラボ)の法医解剖医・中堂系(井浦新)は、その犯人が高瀬文人(尾上寛之)だと気づき、復讐のため高瀬のもとへ向かいます。

 しかし、ちょうど同じ頃、身の危険を感じた高瀬は警察へ出頭。そして今回の冒頭で高瀬は、26名の女性の死体損壊および死体遺棄の罪は認めるものの、殺人については犯行を否認します。

 中堂の無念を晴らすべく、三澄ミコト(石原さとみ)らUDIラボ・メンバーもサポート体制に入るのですが、これまでの被害者はすべて自殺とみなされ、すでに火葬されてしまったため、高瀬の殺人を立証する証拠はありません。

 また、前回、スーツケースの中から見つかった遺体に関しては、ホルマリン投与が死因だったのですが、胃の中からボツリヌス菌が検出されたため、高瀬は「(被害者は)食中毒で死んだ」と卑怯な言い逃れをします。

 ただ、この供述については、検視の鑑定書からボツリヌス菌検出に関する記述を削除してしまえば、高瀬を不利な立場へと追い込める。担当検事の烏田守(吹越満)からそう提案されたミコトは、中堂の復讐のため鑑定書の偽装に手を貸すか、解剖医としてのプライドやモラルを守るため削除を拒むか、悩みに悩みます。

 結局、ミコトは偽装を拒否。そして、それを予測していた中堂は、高瀬の共犯者でフリージャーナリストの宍戸理一(北村有起哉)を襲い、高瀬の犯行を立証できる証拠を出せと脅します。

 しかし、宍戸はこれを拒絶。怒り狂った中堂は宍戸を毒殺しようとするのですが、そこへ駆けつけたミコトに説得されたことで冷静になり、血を血で洗う惨事に至らずに済むのでした。

 そんな折、ニュースによって事件を知った糀谷夕希子の父親・和有(国広富之)が、勤務地・アメリカから帰国。UDIラボを訪れ、夕希子の遺体を火葬ではなく土葬したという情報をもたらします。

 そのことを知ったミコトは、すぐに遺体を掘り起こす手続きをおこない、8年前にはなかった最新の解析機器を用いて再解剖。その結果、夕希子の口の中から高瀬のDNAを検出。犯人だという動かぬ証拠を突き付けられた高瀬は犯行を自供し、中堂の無念が晴れたところで大団円となりました。

 これまでハズレ回なしで大いに楽しませてくれた『アンナチュラル』ですが、最高のフィナーレとなりました。特に秀逸だったのは、単純な勧善懲悪ものの展開にせず、ミコトにきっちりと筋の通った正義感を示させたところ。鑑定書の偽装を拒否させた点ですね。

 状況的には高瀬の犯行はほぼ100%クロ。しかも、ミコトは中堂の苦悩を痛いほど知っている。私情的には復讐に手を貸したいし、その方が手っ取り早い。また、刑事局長からは、鑑定書を書き換えなければUDIラボへの補助金を打ち切る、という脅しに近い通達もあったのです。

 しかし、ミコトは解剖医としての正義を守った。そして、正攻法できっちりと高瀬に犯行を認めさせたのです。

 また、この勝利には、ただ単に中堂の復讐の完遂や被害者たちの鎮魂ということ以外にも大きな意味がありました。

 実はミコトは、中堂が宍戸を殺そうとした際、「不条理な事件に巻き込まれた人間が自分の人生を手放して、同じように不条理なことをしてしまったら、負けなんじゃないですか」と説得したんですね。

 つまり、正々堂々と裁判に臨むことで、不条理の連鎖を見事に断ち切ってみせたのです。それだけに、高瀬が犯行を自供した際に見せたミコトのドヤ顔は爽快感に満ち、そして美しくもありました。

 また、ミコト自身も、幼少期に母親の手によって一家心中に巻き込まれ、1人だけ生き残ったという不条理な事件の被害者でもあります。そのため、中堂への説得は、これまでの人生で自分に言い聞かせてきた言葉なのかもしれませんね。ミコトの心の闇とそれに抗う強さを、石原さとみが抑えた演技で見事に表現していました。

 キャストの演技については、UDIラボのメンバー全員が素晴らしかった。週刊誌の潜入記者としてこれまで裏切り行為を重ねていたことを皆の前で懺悔したアルバイトの久部六郎(窪田正孝)。それに驚き、怒り、混乱した時の臨床検査技師・東海林夕子(市川実日子)の演技。ミコトの代わりに検察に鑑定書の偽装拒否を通達した際の、所長・神倉保夫(松重豊)の啖呵の切り方。挙げればキリがありません。

 そして、8年越しに恋人の復讐を果たした中堂。不愛想ながらも実は純粋な男という役柄を、井浦新が絶妙に演じていました。

 その中堂からのパワハラ被害により、UDIラボを去っていた臨床検査技師の坂本誠(ずん・飯尾和樹)がラストで復帰。さらに、六郎も新人アルバイトとして戻って来たため、これは続編への布石なのではと勘繰ってしまうのですが、どうなんでしょう。視聴率も良かったですし、ぜひともシリーズ化を期待してます。
(文=大羽鴨乃)

神木隆之介でも救えなかった『CDTVスペシャル!』、素人エピソードが苦痛すぎると話題に……

 3月21日に『CDTVスペシャル! 卒業ソング音楽祭2018』(TBS系)が放送されたのだが、一般人の卒業エピソードに「歌番組でこれやる必要ある?」と疑問の声が上がっている。

 同番組のテーマは“卒業”ということで、3時間にわたりさまざまなアーティストが卒業ソングの生ライブを披露した。まず最初に登場したアーティストはKiroroで、NHK連続テレビ小説『ちゅらさん』の主題歌としてお馴染みの「Best Friend」を歌唱。“卒業ソング音楽祭”という名にふさわしい名曲で、視聴者を感動させている。

 その後もサンプラザ中野くんや藤巻亮太、King & Prince、Kis-My-Ft2といった、さまざまなアーティストやアイドルが登場。彼らのパフォーマンスに視聴者からは、「キスマイのサクラヒラリが最高だった!」「ほとんどフルコーラスで歌ってくれてうれしい」「サンプラザ中野くんの『大きな玉ねぎの下で』がめっちゃかっこいい! 今までRunnerしか知らなかった」と称賛の声が。一方で生ライブの合間には一般人から寄せられた卒業に関するエピソードが紹介されたのだが、歌番組を楽しみにしていた人には不評だったようだ。

「番組では冒頭から卒業エピソードがVTRで流され、同時に過去の名曲を紹介。1組目のKiroroが登場したのは、放送開始から15分ほど経ってからのことでした。さらにKiroroのパフォーマンスが終わるや否や、再び卒業エピソードを挟み、しばらくしてから2組目のサンプラザ中野くんが生歌を披露。このような番組構成に、視聴者からは『素人のエピソードはマジでいらない。早く音楽をくれ』『番組の半分以上が一般人エピソードなの笑う。これは本当に“音楽祭”なのか?』『苦痛すぎてリタイアした』といった声が上がっていました」(芸能ライター)

 また同番組で卒業エピソードをナビゲートしたのは人気俳優の神木隆之介だったのだが、「いくら神木くんがイケボでも、このつまらなさは救えない」「エピソードの退屈さが神木くんの良さを潰してる」「神木くんの無駄遣い」といった声も。神木の好感度をもってしても視聴者を惹きつけることは出来なかったようだが、『CDTV』は過去にも“一般人エピソード”で不評を買っているという。

「昨年の12月25日に放送された、『CDTVスペシャル! クリスマス音楽祭2017』も悲惨でした。この時は曲の合間に一般人カップルの胸キュンエピソードなどが登場。これにネット上では『街中のカップルを避けながら帰宅したのに、なんで音楽番組でカップルの馴れ初めを見なきゃいけないの?』『つらい… だけどキスマイのために我慢しなくては』『クリスマスソングまだ?』『苦痛すぎてちょっとした修行』と阿鼻叫喚の様相を呈していました」(同)

 4月7日に放送される『CDTV祝25周年SP』(TBS系)では、アーティストのパフォーマンスに期待したい。

“カトパン”加藤綾子の女優デビューに「伊藤綾子と一字違いだから見たくない!」嵐・二宮和也との共演で……

“カトパン”ことフリーアナウンサーの加藤綾子が、4月スタートの日曜劇場『ブラックペアン』(TBS系)で本格的に女優デビューすることが発表された。

 同ドラマは嵐・二宮和也主演の医療モノで、加藤は物語を引っ張る重要人物である治験コーディネーターを演じるという。

「2016年にフジを退社しフリーになった加藤ですが、ユースケ・サンタマリアや芳根京子ら役者が多く所属する事務所に入ったことで、当初から女優業を視野に入れていると目されていました。同じ日曜劇場の『下町ロケット』で、フジテレビの先輩アナだった高島彩が医療ジャーナリスト役で好演していますが、加藤も同じようなポジションでの起用でしょう」(テレビ誌ライター)

 今もっとも高視聴率が期待される日曜劇場で、満を持しての女優業お披露目となる加藤だが、出演が決まるや、ネット上は不穏な空気になったという。

「加藤が“人気アナ”だったのはフジ時代の話で、『週刊文春』(文藝春秋)の『2017年嫌いな女子アナ』ランキングでは1位になるなど、フリー転身後の人気はガタ落ちです。今作でも原作にはない役を無理やり彼女のために作ったことで、原作ファンからブーイングが起こったほか、出演に際しての『新人のつもりで吸収できるものは、すべて吸収して取り組みたい』というコメントに『つもりっていうか、女優としては完全に新人だろうが!』と辛らつな声が飛び交っています。また、フリー後もフジにベッタリなイメージで、TBSへの出演に違和感を覚える人も多いようですね」(芸能ライター)

 想定外の逆風だが、メイン視聴者ともいえる嵐ファンにまで、そっぽを向かれてしまっているというから深刻だ。女性誌編集者が語る。

「二宮は16年に、フリーアナウンサーの伊藤綾子との交際を報じられています。2人は破局したと思われていましたが、今年に入り、伊藤が自身のSNSでまたぞろ二宮との交際を匂わし始めたことで、嵐ファンは神経質になっています。その彼女と“加藤綾子”は一文字違いで、同じフリーアナ。そのため『伊藤綾子を思い出させるから見たくない』と視聴拒否を宣言したり、中には伊藤本人と勘違いしている人までいるようです。完全なトバッチリですが、もし視聴率が低迷すれば、戦犯扱いされてしまうかもしれません」

 ドラマには、NHK朝ドラ『わろてんか』のヒロインで名を上げた葵わかなも出演予定。ヘタな演技をしようものなら公開処刑されて、“女優デビュー即廃業”となるかもしれない。

“カトパン”加藤綾子の女優デビューに「伊藤綾子と一字違いだから見たくない!」嵐・二宮和也との共演で……

“カトパン”ことフリーアナウンサーの加藤綾子が、4月スタートの日曜劇場『ブラックペアン』(TBS系)で本格的に女優デビューすることが発表された。

 同ドラマは嵐・二宮和也主演の医療モノで、加藤は物語を引っ張る重要人物である治験コーディネーターを演じるという。

「2016年にフジを退社しフリーになった加藤ですが、ユースケ・サンタマリアや芳根京子ら役者が多く所属する事務所に入ったことで、当初から女優業を視野に入れていると目されていました。同じ日曜劇場の『下町ロケット』で、フジテレビの先輩アナだった高島彩が医療ジャーナリスト役で好演していますが、加藤も同じようなポジションでの起用でしょう」(テレビ誌ライター)

 今もっとも高視聴率が期待される日曜劇場で、満を持しての女優業お披露目となる加藤だが、出演が決まるや、ネット上は不穏な空気になったという。

「加藤が“人気アナ”だったのはフジ時代の話で、『週刊文春』(文藝春秋)の『2017年嫌いな女子アナ』ランキングでは1位になるなど、フリー転身後の人気はガタ落ちです。今作でも原作にはない役を無理やり彼女のために作ったことで、原作ファンからブーイングが起こったほか、出演に際しての『新人のつもりで吸収できるものは、すべて吸収して取り組みたい』というコメントに『つもりっていうか、女優としては完全に新人だろうが!』と辛らつな声が飛び交っています。また、フリー後もフジにベッタリなイメージで、TBSへの出演に違和感を覚える人も多いようですね」(芸能ライター)

 想定外の逆風だが、メイン視聴者ともいえる嵐ファンにまで、そっぽを向かれてしまっているというから深刻だ。女性誌編集者が語る。

「二宮は16年に、フリーアナウンサーの伊藤綾子との交際を報じられています。2人は破局したと思われていましたが、今年に入り、伊藤が自身のSNSでまたぞろ二宮との交際を匂わし始めたことで、嵐ファンは神経質になっています。その彼女と“加藤綾子”は一文字違いで、同じフリーアナ。そのため『伊藤綾子を思い出させるから見たくない』と視聴拒否を宣言したり、中には伊藤本人と勘違いしている人までいるようです。完全なトバッチリですが、もし視聴率が低迷すれば、戦犯扱いされてしまうかもしれません」

 ドラマには、NHK朝ドラ『わろてんか』のヒロインで名を上げた葵わかなも出演予定。ヘタな演技をしようものなら公開処刑されて、“女優デビュー即廃業”となるかもしれない。

愛された記憶のない人は一生幸せにはなれない? キョドコと星名が地獄へ墜ちる『きみ棲み』第9話

 3カ月にわたって慎重に築いてきた積み木の塔が、完成直前に大崩壊してしまった。そんな衝撃です。恋に仕事にトライ&エラーを繰り返しながら、少しずつ社会人として成長しつつあった吉岡里帆演じるキョドコでしたが、恋人である吉崎の口からは別れの言葉が飛び出したのでした。最終回を直前に控え、風雲急を告げる『きみが心に棲みついた』(TBS系)の第9話を振り返りましょう。

 小川今日子(吉岡里帆)は下着メーカーに勤めるOLです。子どもの頃から母親(中島ひろ子)にも、学校でも無視され続けてきました。自分に自信が持てず、いつも言動が挙動不審なため「キョドコ」と呼ばれてきました。そんなキョドコにも、漫画誌編集者の吉崎(桐谷健太)という誠実な恋人がようやくできたのです。キョドコは大学時代からずっと精神的に依存してきた会社の上司である星名(向井理)と手を切るために星名のマンションへ向かったのですが、その様子を職場の同僚である飯田(石橋杏奈)に盗撮されてしまいます。

 吉崎は匿名で郵送されてきた映像データを再生し、キョドコが星名に連れられてマンションへ入っていく姿を見てしまいました。第3話で起きたキョドコの下着姿でのランウェイウォーキング騒ぎ、吉崎が解決したばかりの大学時代の校内ストリップ映像をめぐるトラブルに続く、衝撃映像です。キョドコのあまりの脇の甘さには唖然とさせられます。我慢強い吉崎も忍耐の限界に達していました。漫画家のスズキ先生(ムロツヨシ)とのネームの打ち合わせに集中することもできません。

 夜遅くにキョドコのアパートを訪ねた吉崎は、星名のマンションに行ったことを黙っていたキョドコに本音をぶつけます。「仕事って嘘ついて、他の男と会って。俺は今日子の何を信じればいいの? おかしいだろ? 言ってることと、やってることが無茶苦茶なんだよ」。あまりにも正論です。全視聴者がキョドコに対して感じていたことを、吉崎は正しくキョドコ本人に伝えるのでした。

「俺たち付き合ってるんだよね? いや、怒ってるわけじゃないんだ。でも実際は、嫉妬で頭の中がどうかなりそうなんだよ」

 いつも自信満々で自分が正しいと思ったことしかやらない吉崎ですが、その夜はキョドコを前にして頭を掻きむしり、悶え苦しむ姿がありました。キョドコと交際するようになってから、吉崎は弱々しい男に変わってしまったようです。

 吉崎の誤解を解こうと、キョドコは小さい頃から母親の愛情を感じることがなかったこと、大学時代の星名がそんな自分を初めて受け入れてくれた存在だったことを打ち明けるのでした。吉崎から「お母さんとの関係を克服しないと、また星名さんのところに戻るんじゃない?」と指摘されたキョドコは早速有休をとり、5年ぶりに日吉にある実家を訪ねるのでした。里帰りなのに、キョドコはひどく緊張してしまいます。

 長女であるキョドコがひとり暮らしを始めて以来、久々に実家に戻ってきたのに、母親はとても冷ややかです。お茶も出さずに、「(キョドコの妹の)菜穂子が友達を連れて来るから、その前に帰ってちょうだい」と、あまりにもつれない言葉です。そんな母親に、子どもの頃から感じてきた不満をぶつけるキョドコでした。親から愛された記憶のないキョドコは、家庭でも学校でも自分の居場所を見つけることができなかったのです。「何を今さら」と聞く耳を持たない母親に、キョドコは星名に続いて決別の言葉を吐くのでした。

「私のことを嫌いでもいいけど、せめて親なら隠してほしかった。小さい頃から、ずっと傷ついてきたんだよ。でも、私は前に進むから。昔の自分とは違うから。それを言いに来ただけ」

 言うべきことを言い、実家を後にするキョドコでした。星名の10年ごしの洗脳からも、親は子どもを無条件で愛するものだという常識という名の呪縛からも解き放たれたキョドコでした。新ブランドの成功と恋人・吉崎を手に入れたことで、キョドコは自分に自信が持てるようになったのです。これで、すべてのケジメはついた。あとはもう、吉崎の胸に飛び込んでいくだけ。そう確信していたキョドコでしたが……。

 

■この世で最もつらく、哀しい誕生日

 

 一方、会社では星名のこれまでの悪行の数々が社内メールとなって暴露され、大問題となっていました。人事部の部長(阿南健治)がキョドコたち女子社員を会議室に呼び出し、星名のパワハラ&セクハラ被害の実態について聞き取り調査を行います。この席で爆弾発言をしたのは、それまでずっと星名のことを慕ってきた飯田でした。会社でエリートコースを驀進中の星名は、実は少年時代は父親から虐待されていたこと、同級生たちからもイジメられていたこと、母親は殺人罪で服役していたこと、星名は中学のときに顔を整形手術して別人になったこと。星名の過去をすべて知った飯田が、星名の企業内での生殺与奪権を握っていたのです。

 飯田が星名のセクハラ被害の証拠として開示したのは、「愛のないセックスほど興奮する」という星名の名台詞が記録されたICレコーダーでした。つい数日前までは星名への執着を見せていた飯田ですが、星名が自分には心を開かないと悟るや、星名が地獄へ墜ちていく様子を見届ける立場へとポジションチェンジしたのでした。飯田の心の中では、星名への愛情が憎しみへと反転してしまったのです。

 キョドコが下着姿でランウェイウォーキングした件も、星名に強要されたのではないかと聞き取り調査で取り上げられますが、キョドコはなぜかこれを否定します。最終的に判断したのは自分だった、断ることのできなかった自分に非があると自己批判するキョドコでしたが、この言動が取り返しのつかない悲劇を呼び寄せてしまいます。

 折しも、この日はキョドコの28歳の誕生日でした。母親、そして星名とのドロドロの過去を断ち切ったキョドコは、吉崎にプレゼントされたネックレスをつけて吉崎のマンションを訪ねます。多分、バッグの中にはお泊まりセットも忍ばせていたことでしょう。ところが2人だけの甘い甘い誕生日の夜とはなりません。吉崎からの贈り物は、キョドコの誕生日を祝うものではなく、「もう別れよう」という冷たい言葉でした。聞き取り調査で星名のことを断罪しなかったキョドコのことを、星名を庇ったと吉崎は解釈したのです。キョドコがいくら「私が好きなのは吉崎さんだけ」と主張しても、もう吉崎の心の中にはキョドコの居場所はどこにもないのでした。

「もし、この先も付き合っても、それは恋愛じゃなくて、依存する相手が俺に変わるだけじゃないかと思う」と吉崎は冷静に語るのでした。ここにきて吉崎は、キョドコへの想いは実は珍獣のようなキョドコに対する好奇心と暗い過去に悩む弱者に対する同情心だったことに気づいたのでした。吉崎の真面目さが裏目に出てしまいます。恋愛にはいろんな形があるはず。言ってみれば、恋愛のゴールのひとつでもある結婚にも、精神的もしくは経済的な依存が含まれるケースは多いのではないのでしょうか。お互いに完全に自立している男女ならば、一緒に暮らす必要はありません。でも、曲がったことが嫌いな吉崎は、そのことが受け入れられなかったのです。

 吉崎に励まされ、ここまで積み木の塔を懸命に登ってきたキョドコにとっては、いきなりハシゴを外されたような驚きしかありません。いちばん信頼していた吉崎によって、キョドコが登っていた積み木の塔はジェンガのように根底から突き崩されてしまったのです。すっかり星名のことを見限った飯田が「小川さん、すごいね。地獄まで星名さんと一緒に墜ちていくつもり?」と笑っていたとおりの展開となってしまいます。

 結局、子どもの頃に親から愛された記憶のない人間は、どれだけ努力を重ねても、本当の愛を手に入れることができないのでしょうか? 人間はその生い立ちに、一生苦しみ続けなくてはいけないのでしょうか? 漫画家のスズキ先生が言うところの「あちら側の人間」は「こちら側の人間」とは心から交わることはできないのでしょうか?

 せっかく、第8話で視聴率7.9%(ビデオリサーチ、関東地区調べ/以下同)まで盛り返したものの、キョドコの28歳の誕生日があまりにも悲惨すぎたためか、第9話は7.0%と再びダウンしてしまいました。支離滅裂な言動で吉崎だけでなく視聴者も惑わせてきたキョドコですが、最終回はどんなサプライズを見せてくれるのでしょう。星名と一緒に地獄の底まで転げ落ちるのか、吉崎を翻心させることができるのか、それとも……。キョドコ最後の決断に注目が集まります。
(文=長野辰次)