『大恋愛』アルツハイマー患者は、消費されて捨てられた……残酷な最終回に「後味悪すぎ」

 14日に放送されたドラマ『大恋愛~僕を忘れる君と』(TBS系)最終回の視聴率は13.2%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)を記録。過去最高です。おめでとうございます。

 さて、第1話から好意的なレビューをしてきたし、実際とっても面白い作品だと思っていましたが、まあ最終回は、どうなのこれ。どうなのよ。振り返りましょう。

(前回までのレビューはこちらから)

 

■あっけなく死んだ

 若年性アルツハイマーが日々進行していた尚ちゃん(戸田恵梨香)が書き置きを残して失踪してから半年。夫の真司(ムロツヨシ)たちはテレビの「見つかりました」的な番組に依頼して、尚ちゃんの居所を突き止めました。

 片田舎の小さな診療所に、尚ちゃんは身を寄せていました。発病前に貯め込んでいた5,000万円の預金通帳を手に「これで面倒を見てくれ」と頼み込んだそうです。診療所の手伝いをしたり、看護師さんに世話をしてもらったりしながら、ゆっくりと時を過ごしていた尚ちゃん。真司の顔を見ても、それが誰だかわかりません。

 診療所の医師から手渡されたビデオカメラには、尚ちゃんの自撮りムービーがたくさん残っていました。小さなモニター画面の中で、真司、真司と語りかける尚ちゃん。

「あたし、あたしね、真司に会いたいな」

 号泣してしまう真司は、医師に促され、“はじめましての人”として尚ちゃんと話してみることにしました。

 真司は、自分と尚ちゃんのことを書いた小説を読み聞かせます。最初はただ、心地よく聞いていただけの尚ちゃんでしたが、自分が病気になったことを真司に告げるシーンで、変化が訪れました。

「『ごめんね、面倒な病気になっちゃって』妻は続けて語った。『ぜんぜん平気。迷惑かけると思うけど』」

 真司がそこまで読み上げると、尚ちゃんが不意に続きを暗唱しました。

「一生懸命生きるから、よろしくお願いします」

「真司……」尚ちゃんが、真司の目を見つめています。

「やっぱり真司は才能あるね、すごい」

 記憶が、そのときだけ戻ったのでした。その日以来、尚ちゃんは真司のことを思い出すこともなく、「それから1年後、尚は、肺炎であっけなくこの世を去った」んだそうです。そのほかいろいろありましたが、大筋そんな感じです。

 

■まず町医者がヤバい

 いや、あのさ、家の前に前後不覚の女が立ってて、そいつが「私アルツハイマーです」と言いながら5,000万円の預金通帳を出して「面倒みてくれ」ってなったときにですよ。言いなりになって面倒みますか? という話です。まず警察でしょ。

 どういうつもりで町医者は身元を引き受けたのか。本人は「家を出てきた」と言っているが、アルツハイマーを自称する通り、意思は不明瞭です。尚ちゃんは財布を置いて出て行ったから健康保険証など身分を明かすものは持っていなかったかもしれないけど、通帳はあったわけです。通帳からは口座名義と銀行支店名がわかるし、警察に届ければ口座から住所氏名はわかります。しかも尚ちゃんには捜索願が出ている。そうじゃなくても「間宮尚」の通帳と間宮真司の著書を持っているわけですから、町医者さえその気になれば、翌日か翌々日には尚ちゃんは真司の家に帰れたのです。彼ら夫婦を引き剥がして、恵一くんから母親との日々を奪ったのは、この町医者です。

「診療所の手伝いをさせた」とか「看護師を雇って世話をさせた」とか、何を勝手なことをやっているのか。この町医者にとって尚ちゃんは患者でもないし、患者扱いで診療行為を行っていたつもりだとしても、家族の意思を確認しようとしないのは、どういう了見か。もうね、犯罪の匂いさえ漂いますよ。何しろこの自称若アル患者には5,000万円の預金残高があるわけです。アルツハイマー患者の財産って、それこそ医療関係者にとって、もっとも慎重に取り扱うべきものでしょう。成年後見制度とかさ、ちゃんと制度があるわけでしょう。ちゃんとしようよ。

 しかも町医者を訪れた時点で尚ちゃんの病気は進行中ではあっても、まだ「何もかも忘れました」という状態ではなかった。適切な治療を受ければ、進行を遅らせることだってできたかもしれないし、何しろ真司と尚ちゃんの義理の父親となった井原侑市(松岡昌宏)という人は、尚ちゃんの主治医であり、アルツハイマーの世界的権威で、最先端医療に携わってる。どう考えても、その時点で井原に診せるのが医者として最善の判断なはずです。専門家でもない町医者が独自の判断で適切な医療を受けさせず、病気の進行を早めてる。まるで「早く全部忘れてしまえ」とでも言いたいかのような。アルツハイマーの診断が下れば、口座を凍結される可能性もありますからね。町医者にとっては、尚ちゃんを専門医に診せないほうが都合がいいわけだ。5,000万円下ろし放題だからね。

 とにかく、アルツハイマーを自称していて、その症状が明らかに見られる患者の意思だけを尊重し、家族の意向を確認しない医者というのはヤバすぎだし、真司はもっと怒ったほうがいい。「お前さえすぐに警察に届けていれば……!」って、怒ったほうがいいよ。井原先生も専門家なら怒れよ。ママも怒れよ。何してんだよ。

■結局、消費された

 性懲りもなく、真司は尚ちゃんの記憶が戻った瞬間を「神様が僕らにくれた奇跡だったのかもしれない」とかポエミーな解釈をしています。そして、それをそのまま小説に書いて『大恋愛~僕を忘れる君と』という新刊を出版しました。どうせバカ売れでしょう。おめでとうございます。

 女神だとか奇跡だとか、結局「また小説を書けた」ことだけが真司にとって大切だったわけだし、尚ちゃんが死んだ後には「尚ちゃんのことはこれで終わり、もう書かないよ」とか言ってる。

 このドラマでは、再三にわたって「作家が身近な病人をネタにすること」の是非について疑問を投げかけてきました。尚ちゃんと同じMCI患者の松尾(小池徹平)は「尚は小説の道具だろ」と真司を糾弾したし、担当編集の水野さん(木南晴夏)も尚ちゃんに「小説家の嫁としての覚悟」を問うたりしていました。

 そういう疑問を、結局疑問のまま放り投げて、ドラマは尚ちゃんを殺して終わりました。病気はネタとして消費されただけで、作品そのものが「難病をネタにすること」とどう向き合ってきたかは示されなかった。真剣に向き合っているというポーズだけだった。

 このドラマで描かれたのは、小説家の嫁が「病気になるまで」であって、尚ちゃんが「病気になった後(完全に記憶を失った後)」のことは何も語られません。

「あれ以降、一度も思い出さなかった」
「あれは奇跡だった」

 真司は、記憶を失った尚ちゃんの面倒を見ることもなく、たまに会いに行くだけで、発症後には生活を共にすることすらしなかった。「あれは奇跡だった」と「死んだ」の間に、本来なら長大で退屈で代わり映えしない、苦難と絶望に満ちた日々があるはずです。人によっちゃ数十年、そういう日々が続くわけです。それがアルツハイマー患者を家族に持つということなんです。

 そういう日々は、小説家である真司には必要なかったと、ドラマは言っている。なぜなら、小説に書けることがないからだ。毎日同じ苦難の繰り返しだからだ。

 だから、ドラマは尚ちゃんを棄てたのです。記憶を失い、「尚ちゃんでなくなった尚ちゃん」は「もう尚ちゃんではない」と、断言したのです。

 病気が進行し、だらしなく口からこぼれ落ちるヨダレを拭ったり、尚ちゃんの激臭ウンコにまみれた大人用オムツを交換したり、ときに癇癪を起こしてモノを投げつけられたり、そうなった尚ちゃんの面倒を見たのは、真司じゃなくて、尚ちゃんの5,000万円で雇われた田舎の看護師だった。

 このドラマが多くの視聴者の涙を搾り取った“大恋愛”の正体は、そういうものです。ボケ切る前の尚ちゃんなら愛せるけど、ボケ切ったら愛せないんです。『僕を忘れる君』は好きだけど、『僕を忘れた君』には興味がないんだ。「尚ちゃんが尚ちゃんでなくなっても、尚ちゃんじゃなきゃ嫌なんだ」と真司が言っていたのも、ハイ、全部ウソでした。

 病気になっても「一生懸命生きるから、よろしくお願いします」と言った尚ちゃんでしたが、どっかで勝手に死にました。早々に死んでくれてよかったね。めでたしめでたし。

 なかなか最低な結論だったと思います。

 

■戸田ムロはすごかった。

 そんなわけで、脚本的には“メッセージ性”だけあって“メッセージ”がないという、そのわりに、すごく悲しい場面や神々しい場面が訪れて泣けちゃうという、いかにもベテランにいいようにやられたなという感想なんですが、戸田さんとムロさんのお芝居はすごかったね。がっつり感情移入しちゃったものだから、余計に最終回の尚ちゃんが不憫で、ひたすらムカついていたのだけど。

 あと、今になって思うと、サンドウィッチマン・富澤たけしが演じた引っ越し屋の木村が、ぼちぼち脚本自体を自己弁護するようなセリフを言わされていたなあと感じます。病気になった尚ちゃんのことを「書くべきだ」とか、いなくなった尚ちゃんを「探すべきでない」とか。真司にとってではなく、物語の進行にとって都合のいいことを、説得力のある雰囲気で述べていました。そういう意味で、富澤さんはすごく信頼されていたのでしょうね。

 そういうわけで、後味悪いけどここで終わります。よいお年を!
(文=どらまっ子AKIちゃん)

『下町ロケット』第10話 下町の舞台・大田区を襲う蒲田くんを迎え撃て!! 明かされた軽部の素顔

 阿部寛主演の熱血理系ドラマ『下町ロケット』(TBS系)もいよいよクライマックスです。裏番組ではテレビ朝日が大ヒット映画『シン・ゴジラ』(16年)という強力な刺客を差し向けてきましたが、『下町ロケット』も復活のイモトアヤコ、変人・軽部の意外な素顔、そして吉川晃司の華麗なボウリングフォームといった見せ場で応戦しました。エンジンフル稼働状態となった『下町ロケット ヤタガラス』第10話を振り返りましょう。

 後半戦に入って出番がすっかり減り、『世界の果てまでイッテQ!』(日本テレビ系)のやらせ問題も尾を引き、心配されていたイモトアヤコ扮する天才エンジニア・島津ですが、第10話で完全復活です。プー子生活を脱して、大学の非常勤講師として働き始めた島津は、念願叶ってカリフォルニアの工業大学で研究職に就けるチャンスも手に入れます。また、「帝国重工」時代から苦楽を共にしてきた「ギアゴースト」の伊丹社長(尾上菊之助)からも戻ってきてほしいと頼まれます。

 しかし、島津が選んだ再就職先は、佃社長(阿部寛)率いる中小企業「佃製作所」でした。自分を本当に必要としている職場で働くことが彼女の仕事のモチベーションだったのです。日本の農業を救いたいという佃社長の熱い想いに協力することにしたのです。

 三顧の礼をもって「佃製作所」に迎え入れられた島津は、さっそく社名入りの作業着に着替えます。あまりに作業着姿がぴったり似合うため、「佃製作所」の社員たちは大喜びです。「帝国重工」の財前部長(吉川晃司)の勝負服が高級感漂うスリーピース・スーツなら、天才エンジニア・島津はシンプルな作業着こそが勝負服なのです。

(前回までのレビューはこちらから)

■島ちゃん軽ちゃんコンビの誕生!

 気になるのは、「佃製作所」きっての変人・軽部(徳重聡)のリアクションです。途中入社の島津が役員待遇で、軽部がそれまでリーダーだったトランスミッション開発チームを担当することになりました。島津が「ギアゴースト」を退職した際には、目から「一緒に働こうよ」ビームを発していた軽部ですが、カメラは無言のままの軽部を映し出すだけです。しかも、相変わらず定時になると帰社してしまいます。立花(竹内涼真)とアキ(朝倉あき)は、島津にチームリーダーの座を奪われたことが面白くないのではと勘ぐってしまいます。トランスミッション開発チームに不穏な空気が漂います。

 開発部長の山崎(安田顕)は立花とアキをおでん屋に誘い、軽部の家庭の事情について説明します。軽部には生まれつき心臓の弱い娘がおり、妻も共働きのため、病院への送り迎えは軽部がしなくてはいけなかったのです。職場ではぶっきらぼうな軽部ですが、娘には子煩悩そうな優しい表情を見せていました。

「帝国重工」が開発した農業ロボット「アルファ1」の内部に不具合があることに気づいた軽部が「アルファ1」を思い遣るような表情を見せ、出来たばかりの「佃製作所」の試作ロボットに「がんばれ!」と声援を送っていたのは、自分の娘とロボットたちを重ね合わせて見ていたからだったのです。

 軽部がいつも定時で退社し、週末を利用した農作業ボランティアにも参加しなかった理由がこれで分かりました。しかも、立花やアキがおでん屋で呑んでいる間、軽部は会社に戻って黙々とひとりで作業を続けていたのです。タイムカードは一度押しているので、これはサービス残業でしょう。

 天才エンジニアの島津は、軽部の堅実な仕事ぶりをしっかり理解していました。きっちりの自分の担当パートを仕上げてみせた軽部のことを「これからもよろしくね、軽ちゃん!」とねぎらう島津に対し、「よろしく、島ちゃん♪」と応える軽部でした。才能ある人間同士が認め合うことで、トランスミッション開発チームは急激な進化を遂げていくのでした。軽部のことを過小評価していた立花とアキは、エンジニアとしても社会人としてもまだまだ次元が下だったのです。

 島津の歓迎会を兼ねたボウリング大会が開かれます。「アルファ1」の改良を「佃製作所」に依頼している財前部長も、途中参加することに。上着だけ脱いだスーツ姿で、パーフェクトな投球フォームを披露する財前部長。改良型「アルファ1」完成への祝砲代わりとばかりに、見事なストライクを決めてみせます。

■ドラマと現実世界をつなげたクボタのCM

 裏番組の『シン・ゴジラ』では「佃製作所」の所在地である東京都大田区にゴジラの第二形態である“蒲田くん”が上陸し、下町をメタメタに蹂躙します。一方の『下町ロケット』も大変な事態を迎えました。記録的な大豪雨という自然災害が、新潟県燕市を襲ったのです。元「佃製作所」の経理部長・殿村(立川談春)は実家の田んぼの稲刈りを間近に控えていたのですが、成す術なく稲は全滅してしまいました。脱サラした殿村があれだけ苦労して育て上げたのに、たった一夜の大雨がすべてを奪い去ったのです。自然と触れ合いながら、田舎生活を満喫していた殿村は、農業で食べていくことの恐ろしさを身を持って体感したのでした。

 さらに自然災害以上に恐ろしいのが、田舎の人間関係です。農業法人に参加することを断り、独自ブランド米の販売を続けてきた殿村に対し、農林協の職員・吉井(古川雄大)は容赦ありません。本年度の収穫ゼロとなった殿村が農林協に500万円の融資を申し込むと、窓口に現われた吉井は「農業法人に入らないから、こんなことになったんですよ」とニヤニヤ顔で対応します。勝手なことをするから、災害に遭ったのだと言わんばかりです。ブランド米を止めて、今後はこちらに服従するなら融資を考えるという悪代官ぶりです。閉鎖的社会の恐ろしさがまざまざと描かれます。

 さまざまな悪役が登場する『下町ロケット』ですが、殿村家を村八分扱いする吉井は最上級のゲス野郎です。殿村が絶望しながら去った後、吉井の上司が「農林協は農家の人の助けになるためにあるんだ」とフォローを入れましたが、もっとしっかり部下の仕事内容をチェックしてほしいものです。しかし、ここまで嫌な奴は、役とはいえなかなか演じられるものではありません。古川雄大はミュージカルの舞台というホームグランドがあるからこそ、徹底して悪役を演じられるのでしょう。舞台とテレビの仕事をうまく使い分ける、古川雄大のクレバーさにも恐れ入ります。

 第10話では、CM中に他局にチャンネルを変えられないための秘策も投じられました。クボタが開発して実用化に成功した「アグリロボトラクタ」の勇姿がCMとして流れたのです。『下町ロケット』の世界が現実化したようなリアルな映像で、CMかドラマなのか分からないほどでした。日本の農業を守りたいという佃社長や財前部長たちの願いが現実のものになりつつあることに、驚きを覚えた第10話でした。

 驚いたといえば、軽部が結婚して、娘もいたこともショックでした。軽部には根っからの変人でいてほしかったなというのが、正直な思いです。残業は頑なにやらない頑固者であっても、「佃製作所」は活躍できる理想の職場であってほしかったからです。サービス残業以外にも、会社に貢献できる方法はあると思います。まぁ、社員が自主的に黙々と残業する姿を映すことが、テレビドラマとしては分かりやすい盛り上げ方なのでしょう。日本に本当の意味での「働き方改革」が浸透するのはまだまだ先のことのようです。

 分かりやすい盛り上げ方に徹したことで、15分拡大スペシャルだった第10話の視聴率は15.5%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)と、第8話の11.5%、第9話の12.6%からグ~ンと数字を伸ばしました。次週の最終回は、前シリーズの最終回22.1%にどこまでまで迫ることができるのでしょうか。首相の前で実演が行なわれる小型ロボット「ダーウィン」と進化を遂げて生まれ変わった「アルファ1」とのリターンマッチの行方に注目です。
(文=長野辰次)

TBS大誤算!? 視聴率低迷の『下町ロケット』正月スペシャルは爆死濃厚か

 TBS日曜劇場枠で放送されている連続ドラマ『下町ロケット』(阿部寛主演)の「新春ドラマ特別編」が、来年1月2日午後9時から2時間15分枠でオンエアされることがわかった。だが、業界内外では「TBSの大誤算」といった声が漏れ伝わってくる。

 10月期の連ドラが年をまたいで、正月ドラマになるのは、極めて異例なことだが、同局の挑戦は“不発”に終わる可能性も高そうだ。

 23日放送の第11話が日曜劇場枠でのラストとなるが、正月スペシャルでは、さらにその続きが描かれるというから、それが実質的な“最終回”になりそうだ。

 同ドラマの原作は、『半沢直樹』などで知られる人気作家・池井戸潤氏の同名小説。2015年10月期に、同じ日曜劇場枠でシーズン1が放送され、全話平均18.5%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)の高視聴率をマークする大ヒットとなった。

 3年ぶりに制作されたシーズン2も、当然高い数字が期待されたものの、第9話(9日)を終えた時点で、最高が第3話の14.7%、最低は第8話の11.5%で、ここまでの平均は13.0%とパッとしない。シーズン1の最低は16.1%で、1度も15%を割ることはなかったが、シーズン2は、逆に現状一度も15%超えを果たせていない。

 ここ最近の同枠ドラマでは、昨年10月期『陸王』(役所広司主演)が平均16.0%、1月期『99.9―刑事専門弁護士― SEASONⅡ』(嵐・松本潤主演)が17.6%、4月期『ブラックペアン』(嵐・二宮和也主演)が14.3%を獲得しており、『下町ロケット』シーズン2は、それらに大差をつけられている状況だ。

「シーズン2は脚本家が替わったことで、ストーリー上の問題も物議を醸していますし、マンネリも叫ばれています。それに今シリーズには、イモトアヤコ、福澤朗、古舘伊知郎らの役者ではないキャストが多数出演しているため、“学芸会”と揶揄されるなど、不評を買っている面があります。そのへんが敗因ではないでしょうか」(テレビ誌関係者)

 同局としては、「『下町ロケット』なら高い視聴率が取れる」と判断して、早い段階で正月スペシャルを編成したと思われるが、さすがにここまで低調が続くのは、“計算外”だったに違いない。

「そもそも正月三が日は帰省や旅行、初詣などで、ふだんより在宅率が下がりますし、なんせ忙しいわけです。2時間ドラマをじっくり見るような環境にはなかなかならないでしょう。そのうえ、ゴールデン・プライム帯では、各局とも毎年恒例の人気バラエティー番組を並べてきます。『相棒』(水谷豊主演/テレビ朝日系)の元日スペシャルのように慣例化されていれば話は別ですが、レギュラー枠でもイマイチの『下町ロケット』はなんとも分が悪いでしょう。2ケタに乗せられればいいですが、爆死の可能性も十分あるでしょうね」(テレビ関係者)

 ストーリー上、正月スペシャルを見なければ完結しないようなら、ファンにとっては、ある意味はた迷惑な話かもしれない。編成上、どうしても年をまたぎたかったのであれば、1月6日日曜に最終回を通常放送した方が、よっぽど数字が取れるかもしれない。
(文=田中七男)

TBS大誤算!? 視聴率低迷の『下町ロケット』正月スペシャルは爆死濃厚か

 TBS日曜劇場枠で放送されている連続ドラマ『下町ロケット』(阿部寛主演)の「新春ドラマ特別編」が、来年1月2日午後9時から2時間15分枠でオンエアされることがわかった。だが、業界内外では「TBSの大誤算」といった声が漏れ伝わってくる。

 10月期の連ドラが年をまたいで、正月ドラマになるのは、極めて異例なことだが、同局の挑戦は“不発”に終わる可能性も高そうだ。

 23日放送の第11話が日曜劇場枠でのラストとなるが、正月スペシャルでは、さらにその続きが描かれるというから、それが実質的な“最終回”になりそうだ。

 同ドラマの原作は、『半沢直樹』などで知られる人気作家・池井戸潤氏の同名小説。2015年10月期に、同じ日曜劇場枠でシーズン1が放送され、全話平均18.5%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)の高視聴率をマークする大ヒットとなった。

 3年ぶりに制作されたシーズン2も、当然高い数字が期待されたものの、第9話(9日)を終えた時点で、最高が第3話の14.7%、最低は第8話の11.5%で、ここまでの平均は13.0%とパッとしない。シーズン1の最低は16.1%で、1度も15%を割ることはなかったが、シーズン2は、逆に現状一度も15%超えを果たせていない。

 ここ最近の同枠ドラマでは、昨年10月期『陸王』(役所広司主演)が平均16.0%、1月期『99.9―刑事専門弁護士― SEASONⅡ』(嵐・松本潤主演)が17.6%、4月期『ブラックペアン』(嵐・二宮和也主演)が14.3%を獲得しており、『下町ロケット』シーズン2は、それらに大差をつけられている状況だ。

「シーズン2は脚本家が替わったことで、ストーリー上の問題も物議を醸していますし、マンネリも叫ばれています。それに今シリーズには、イモトアヤコ、福澤朗、古舘伊知郎らの役者ではないキャストが多数出演しているため、“学芸会”と揶揄されるなど、不評を買っている面があります。そのへんが敗因ではないでしょうか」(テレビ誌関係者)

 同局としては、「『下町ロケット』なら高い視聴率が取れる」と判断して、早い段階で正月スペシャルを編成したと思われるが、さすがにここまで低調が続くのは、“計算外”だったに違いない。

「そもそも正月三が日は帰省や旅行、初詣などで、ふだんより在宅率が下がりますし、なんせ忙しいわけです。2時間ドラマをじっくり見るような環境にはなかなかならないでしょう。そのうえ、ゴールデン・プライム帯では、各局とも毎年恒例の人気バラエティー番組を並べてきます。『相棒』(水谷豊主演/テレビ朝日系)の元日スペシャルのように慣例化されていれば話は別ですが、レギュラー枠でもイマイチの『下町ロケット』はなんとも分が悪いでしょう。2ケタに乗せられればいいですが、爆死の可能性も十分あるでしょうね」(テレビ関係者)

 ストーリー上、正月スペシャルを見なければ完結しないようなら、ファンにとっては、ある意味はた迷惑な話かもしれない。編成上、どうしても年をまたぎたかったのであれば、1月6日日曜に最終回を通常放送した方が、よっぽど数字が取れるかもしれない。
(文=田中七男)

宇垣美里アナ、好きな女子アナランクインも……TBS内で物議醸す「同期のイス隠し」報道

 年末恒例の「好きな女性アナウンサーランキング」(オリコン調べ)で、今回初めてトップ10入りしたTBS・宇垣美里アナウンサー。「アイドル系のルックスと毒舌キャラのギャップでファンを増やしている」(芸能誌編集者)という彼女だが、局内での好感度は決して高くないようだ。

「宇垣アナといえば、今年3月に同局の情報番組『あさチャン!』を降板していますが、その後、男性誌のグラビアページに登場したり、『サンデー・ジャポン』でコスプレに挑戦したりと活躍。また『サンジャポ』で“闇キャラ”の一面をのぞかせ、注目されたことも、今回の女子アナランキング入りにつながったとみられます」(スポーツ紙記者)

 しかし、世間の人気とは裏腹に、業界内における宇垣アナの印象は「よろしくない」のだという。

「宇垣アナは大学時代に“ミスキャンパス”に輝いた経歴を持つだけあって、ルックスこそ周囲に認められていますが、それよりも『TBS随一の好感度の低さ』とする声が圧倒的。というのも、宇垣アナは、3月発売の『週刊現代』(講談社)に、『あさチャン!』降板をプロデューサーから伝えられて激怒し、コーヒーカップを壁に投げつけたと報じられるなど、とにかく気が強いんです」(TBS関係者)

 女子アナランキングで9位を獲得したという話題についても、「局関係者の間では『あのルックスを持ってしてもトップ10ギリギリなのは、やはり性格によるところが大きいのでは?』と、ささやかれています」(同)という。

「その後、8月にはウェブサイト『Smart FLASH』で、宇垣アナが同期の男性アナウンサーのイスを隠していたことが明らかに。記事では宇垣アナによる“イタズラ”として、冗談っぽく伝えられていましたが、局内での反応は違いました。『陰湿』『笑えない』などと、ちょっとした騒ぎになっていたものです」(同)

 一部では、宇垣アナの“退社説”も報じられているが、確かに彼女の場合はテレビ局の一社員として生きていくよりも、生き馬の目を抜く芸能界の方が向いているのかもしれない。

宇垣美里アナ、好きな女子アナランクインも……TBS内で物議醸す「同期のイス隠し」報道

 年末恒例の「好きな女性アナウンサーランキング」(オリコン調べ)で、今回初めてトップ10入りしたTBS・宇垣美里アナウンサー。「アイドル系のルックスと毒舌キャラのギャップでファンを増やしている」(芸能誌編集者)という彼女だが、局内での好感度は決して高くないようだ。

「宇垣アナといえば、今年3月に同局の情報番組『あさチャン!』を降板していますが、その後、男性誌のグラビアページに登場したり、『サンデー・ジャポン』でコスプレに挑戦したりと活躍。また『サンジャポ』で“闇キャラ”の一面をのぞかせ、注目されたことも、今回の女子アナランキング入りにつながったとみられます」(スポーツ紙記者)

 しかし、世間の人気とは裏腹に、業界内における宇垣アナの印象は「よろしくない」のだという。

「宇垣アナは大学時代に“ミスキャンパス”に輝いた経歴を持つだけあって、ルックスこそ周囲に認められていますが、それよりも『TBS随一の好感度の低さ』とする声が圧倒的。というのも、宇垣アナは、3月発売の『週刊現代』(講談社)に、『あさチャン!』降板をプロデューサーから伝えられて激怒し、コーヒーカップを壁に投げつけたと報じられるなど、とにかく気が強いんです」(TBS関係者)

 女子アナランキングで9位を獲得したという話題についても、「局関係者の間では『あのルックスを持ってしてもトップ10ギリギリなのは、やはり性格によるところが大きいのでは?』と、ささやかれています」(同)という。

「その後、8月にはウェブサイト『Smart FLASH』で、宇垣アナが同期の男性アナウンサーのイスを隠していたことが明らかに。記事では宇垣アナによる“イタズラ”として、冗談っぽく伝えられていましたが、局内での反応は違いました。『陰湿』『笑えない』などと、ちょっとした騒ぎになっていたものです」(同)

 一部では、宇垣アナの“退社説”も報じられているが、確かに彼女の場合はテレビ局の一社員として生きていくよりも、生き馬の目を抜く芸能界の方が向いているのかもしれない。

今夜最終回『大恋愛』戸田恵梨香の“神演技”にハッピーエンドは訪れない!?

 今夜、いよいよ最終回を迎えるドラマ『大恋愛~僕を忘れる君と』(TBS系)。7日に放送された第9話の視聴率は10.0%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)と2ケタに返り咲きです。

 いやー、それにしても戸田恵梨香。戸田無双です。戸田、すごいお芝居でした。戸田すごい。と、戸田戸田言ってないと戸田が演じる尚ちゃんに感情移入しすぎて泣いちゃうくらい、実に悲しい回です。はい、振り返りましょう。

(前回までのレビューはこちらから)

■ああ、もう……

 どうやらアルツハイマーの進行は止められないことが確定的になってきた尚ちゃん。無事、夫である流行作家・真司(ムロツヨシ)の子を妊娠することができましたが、喜びもつかの間、すぐさま教えられた出産予定日の「8月2日」をメモします。忘れちゃうので、あらゆることをメモするようになっているようです。家の中も、部屋中がメモ書きの貼り紙だらけ。それにしても達筆です。戸田恵梨香の字なのかな。

 事あるごとに「あなたは妊娠中です(だから体を大切にね)」と念を押す真司に、「うっふふふふ」と新鮮な喜びで応える尚ちゃん。忘れる病気だからこその表情ですが、このあたり、子を迎える夫婦の心温まるエピソードとアルツハイマーによる悲劇が同時進行していく感じで、実にこう、ドラマの質量のようなものを感じます。

 やがて生まれた子どもに、2人は「恵一」と名付けました。いちばん恵まれるように、恵一だそうです。

 恵一はすくすくと育ちます。2人の出会いを書いた前作『脳みそとアップルパイ』は50万部を超えたそうで、真司が新しく始めた続編の新聞連載『もう一度 第一章から』も好評です。

 そんな折でも、尚ちゃんの病状は日々進行しているようです。出版社の間宮担当・水野さん(木南晴夏)が、かいがいしく子どもの面倒を見てくれているからいいものの、もう、ひとりでは赤ん坊の世話もできません。

「4人で暮らしてるみたいですね」とか、わりとドキッとすることを真司に言ってくる水野さんですが、その動機は、あくまで「作家に売れる本を書かせるため」でしょう。少しくらい「作家に優れた文芸作品を書かせるため」というのはあるかもしれないけど、別に特別な感情があるわけではなく、真司が筆を折ればもうこの家に来ないことは自明のようです。その証拠に、真司が「赤ちゃんが生まれたところで終わりたい」と告げると、鬼の形相になって説得にかかります。

「そこが見せ場でしょう」

 今後、尚ちゃんの病気が進行して、真司のことも子どものこともわからなくなって、一家が悲劇に包まれて、本当に大切なものを失って、目の前には「僕を忘れた君」しかいなくなったとき、作家が何を思うのか。それを書け、というのです。

「めでたしめでたしじゃ、読者は納得しません」
「中途半端なものになってしまう」
「逃げないでください」

 編集者というのは、かくも残酷な生き物です。

 しかも、この一連のやり取りを、尚ちゃんは聞いてしまいました。

「あたしの病気が進行しないと、真司の小説は中途半端になってしまうんでしょうか……?」

 死んだ目で、尚ちゃんが水野さんに問います。水野さんの答えは、それでも残酷です。

「違います。奥様は、生きてるだけで、先生の創作の源なんです」

 決して「生き甲斐」だとも「誰よりも大切な人」だとも言いません。担当作家が、作品を仕立て上げるための“道具”。それは前回、MCI(軽度認知障害)患者の松尾(小池徹平)が真司に突きつけた糾弾と同じニュアンスでした。むしろサイコ色ゼロの笑顔な分だけ、水野さんのほうが厳しい。

 当人たちがどれだけしんどくても、それが作品として昇華され、読者を喜ばせてしまえば、価値が生まれる。この夫婦が作品を生み出すことに価値があるのだとすれば、作品を生み出さないアルツハイマーに価値はないと、水野さんは言外に告げているのです。水野さんはそんなことを言葉にして言うつもりはないし、そこにあるのは「おまえたちの“お気持ち”より作品の出来(売り上げ)のほうが大切なのだ」という厳然たる優先順位だけ。つまりは、編集者としてすこぶる優秀ということです。

 水野さんを優秀な編集者として描くことで、このドラマは編集者が作家から作品を刈り取ることの卑しさもまた同時に語っています。もちろん、そうした卑しさの表現には、脚本家である大石静さんの「悲劇を創作するうえでの自戒」も込められているはずです。

 3年後、4年後、どんどん壊れていく尚ちゃん。もう靴も靴下もひとりじゃ身に着けることができません。「自分で服も着られなくなる」──病気が発覚したときに尚ちゃん自身が予測した通り、アルツハイマーは進行していきます。

 そしてついに大切な大切な子どもが自分のせいで行方不明になってしまう事件を起こしてしまいました。恵一がいなくなった当初は、自分が目を離してしまったことすら覚えていなかった尚ちゃん。でも、ようやく見つかってベッドで眠る父子を眺めていると、それが愛おしくてたまらない存在であることは認識できるようです。

 眠る真司にひとつキスをして、尚ちゃんは姿を消してしまいました。テーブルには書き置きが1枚。

「しんじさま ありがとうございました。尚」

 震えて歪んで、かつての達筆が見る影もない文字で、そうしたためられていたのでした。いやー、うまい。筆跡が壊れるって、すごくわかりやすく病状を伝えてて、ホントにうまい。うまい、とか言って評論じみた視点に立たないと、泣いちゃう、このくだり。

 というわけで、今夜は最終回。まるで死に場所を探すネコみたいに、フラフラと家を出て行った尚ちゃん。どうあれ、ここまで病気が進行してしまった以上ハッピーエンドはあり得ないわけですが、果たしてどんな物語になるのか。大石さんが何を作ろうとしたのか、見届けたいと思います。

■そういえば、黄昏流星群の2人は……

 前回、唐突に始まった尚ちゃんママ(草刈民代)と、かつての尚ちゃんの婚約者で元主治医の井原先生(松岡昌宏)の『黄昏流星群』的な関係は、無事ゴールイン。結婚しちゃいました。朝日が差し込む部屋で中年同士がじゃれ合ってるシーンなんかもあって、ちょっとこれ、どう見たらいいのかわからなかったです。最終回で意味が出てくるのかな。まさかマボファン向けのサービスカットってことないよね……?
(文=どらまっ子AKIちゃん)

 

『水曜日のダウンタウン』の「モンスターハウス」に風雲急! “独裁者”クロちゃんが不気味に動き出す

『水曜日のダウンタウン』(TBS系)内で、放送されるたびに話題となる「モンスターハウス」。もはや蛇足だとは思うが、一応説明すると「もしもテラスハウスの中にゲスの権化・クロちゃん(安田大サーカス)が紛れ込んでしまったら……」的な企画内容。

 最近はプレゼンテーターのたむらけんじが登場するだけで観覧客のボルテージが上がるのがわかる、異様な人気ぶり。

 今夜放送の最新回(第6週目)の前に、クロちゃんの本性が同居人たちにバレまくるなど急展開を迎えた前回(第5週目)を振り返りたい。

■ハウス内結婚を目論むクロちゃん

 まず第5週目の本編前に、クロちゃんの衝撃のキスシーン(第4週目)を「おさらい」するスタジオ出演者たち。何度見ても、観客席から悲鳴が上がる。

 もはや今年1年を振り返るニュースの中に紛れ込んでいても違和感がないほどの事件映像。「嘘ツイート」「胎動するベッド」らと並ぶクロちゃんの代表作だ。

 そして、第5週目本編は、クロちゃんと友人の芸能マネジャーの会話からスタート。

 キスをした蘭のことも、キスはしてないけどデートを重ね口説きまくってる莉音のことも、両方とも好きだとノロケる二股真っ最中のクロちゃん。

ついには「モンスターハウスで彼女作ったらそのまま結婚するつもりだからさ」

というちょっとした犯行予告まで飛び出す。

 

■ハウス全員でのオンエア鑑賞

 この日は「モンスターハウス」の最初の回がテレビ放送される日で、クロちゃん含めたハウスの住人全員でオンエアを観ることに。

 クロちゃん的には「一番好き」などと、それぞれの女性を口説いている場面を双方の女性と一緒に観ることになるわけで、普通に考えたらその地獄の状態は回避したいはず。

 なので仕事のフリでもして帰ってこないのでは? と思ったが、しっかりオンエア時間前に帰宅するどころか、「楽しみ」と言いながらシャンパン開けて盛り上がる図太いクロちゃん。

 図太いというか、いまいちその心理が読めない。

 そして、いよいよオンエアスタート。

 クロちゃんが莉音と2人きりになるや否や「本当に一番好きだよ」と光の速さで告白したシーン。

 意外にも、まんざらでもない様子でその映像を観る莉音。クロちゃんも特に嫌がるでもなくそれを観ている。

「俺もう決めたの、莉音にだけは嘘つかないでおこうって」

 こういうシーンを当事者が観る場合、現状いい関係でないとキツイはずなのだが、普通に観れているということは、やはりそれなりに莉音とはいい関係であるということなのだろうか。

 しかしその直後の蘭とクロちゃんのシーンで、ハウス内の空気が激変する。

 

■「どっちが好き?」「どっちも」

 クロちゃんと2人きりのとき「蘭ちゃんが一番好き」と蘭に言っていたのが莉音にバレてしまったのだ。

 莉音はすぐさま「うわ最悪!」と反応、立て続けに「ショックっていうか、悲しい」「人間不信になりそう」と嘆く。

 ここですかさず、この期に及んで「なんかあったら助けるから」とお馴染みの口説き文句を、やや雑に繰り出すクロちゃん。

 今まさにその「なんか」を巻き起こしてる張本人なのに。

 しかし、これは嫌な見方だが、今回は口説きモードのときに言ってるのとは違い、芸人モードで笑かしにかかっていた感も否めない。笑っていた人は少ないかもしれないが、言い方がボケのそれだった。

かしその言葉に対し「それ私にも言ってたよね」と蘭が付け加えると、事態は更に深刻に。「本当に泣きそう」と取り乱す莉音。

 一方、蘭は終始落ち着いているように見えた。

 こちらはキスしているからなのか、事前に莉音とクロちゃんのことは織り込み済みだからなのか、はたまたクロちゃんのことなど元からなんとも思っていないからなのか、とにかく実に余裕のある蘭。

 もともと無邪気そうな莉音より大人びている蘭は、酒の勢いで面白半分にキスしただけの可能性も強い。

 蘭はさらに「どっちの方が好き?」と、やけに艶っぽい声で、この状況を楽しむかのようにクロちゃんを追い込む。

 しかし、やられっぱなしだったクロちゃんが前半で一番光っていたのは、この質問に「どっちも」と即答したところ。実に最低で最高だ。

 その後、男女別々で部屋に別れ、ダメなオジさんのダメな言い訳を聞かされる2人の若者たちの顔も完全に感情が無でよかった。

「自分に嘘つきたくない」

「今までこうやってきたから」

 こんなクロちゃんのどうしようもない言葉に言い返したいけど、一応歳上だし黙って聞いててあげてる感じ。悲劇と喜劇が入り混じる様に、妙な味わいがあった。

 しかし、本当にクロちゃんがゲスとして黒光りするのは、もう少し後だ。

■結局普通にモテているのでは?

 ここまで見て、クロちゃんの不誠実さに目が行きがちだが、まず何よりクロちゃんが普通に二股を成立させ、三角関係のど真ん中、いわゆるモテのポジションに居座っているのに驚く。

 女性との一対一のやりとりもオンエアされてしまう特殊な環境でなかったら、このモテ期もまだ続いているわけだからすごい。

 女の子のグラスをこっそり舐めるクロちゃんのお家芸的な非モテの「ゲス」と、女の子の気持ちを弄び、嘘の言い訳で傷つけるヤリチン的な「ゲス」はまるで違うはずだが、この日のクロちゃんは基本後者だった。

 だから、クロちゃん「ごとき」に「積み上げてきたものが……」と真剣に悲しむ莉音を見ていると、確かに修羅場ではあるのだが、それはそれとして、悲しまれるほどモテている現状は、今までのクロちゃん的には、ある種幸せなのでは? と思えてしまう。

 だって、二股さえしなければ、少なくともこのままどちらかとは付き合えたかもしれないのだ。

 これは彼女を作るのが念願だったクロちゃん(マネジャーとの会話で言っている)からしたら大金星のはずだ。

 なのに「好き」の大安売りで“二兎を追う者は~”状態へと落下。

 すぐ相手に好きだと伝えることで見返りに自分を愛してもらいたいという弱さが根底にあると思われるが、いつか「ゲス」の座から引退し、商売抜きで動けるようになったとき、クロちゃんに今は語れない気持ちを語ってほしい。

 

■さりげなくダウンタウン今田の共演に触れる余裕も

 しかし疑問なのは、クロちゃんが2人の女性にそれぞれ「好きだ」と言いまくっていたのはいいとして(よくはないが)、それがカメラ前であること、オンエアされるであろうことをどう踏まえていたかということである。

 普通ならオンエア鑑賞冒頭から、もっとおどおどしそうなものだが、このときのクロちゃんは他のメンバーと同じように、自分たちが映るたびにキャッキャ盛り上がり、なんならその日の『水曜日の~』のスタジオゲストに「今田さんが出てない?」と、お笑い好きなら気になるダウンタウンと今田耕司の共演に食いついてみせたりと、ある種の余裕すら感じさせた。

 つまり、まったくと言っていいほど後ろめたさや、二股がバレるという不安な顔を見せてはいなかったのだ。

 

■松本のコメントを観ているハウス住人も見たかった

 この疑問に対し、スタジオの松本は「うまく編集してもらえてると(クロちゃんは)思ってたのでは?」との見方を提示していたが、確かにそういう「辻褄」がないとクロちゃんの心理は説明できない。「ゲスだから」で片付けるのは少し無理があるのだ。

 松本は「気持ち悪い」だけで片付けられない、このコーナーが成立するための核心部分に常に敏感だ。

 第1週目の鑑賞直後も「お互いが口説かれてるっていうのは、オンエア見ないようにできてるの?」と、いの一番に構成のキモに触れていた。

 その際も、オンエアを全員で見る予定だと聞くや否や「そこをクロちゃんが、どうさばくかやな」と、今回(第5週目)の筋書きにまで言及している。

 今回のオンエアでは、第1週目のごく一部を鑑賞した部分しか放送されていないが、当然このVTR明けた後の松本のコメントも全員で鑑賞していたはずである。

 だとしたら、ハウス内は輪をかけて重い空気になったと思うので、そのときの映像も見てみたかった。

 

■権力を手に入れた悪魔

 そして数日後。なあなあにしようとするクロちゃんに対し、莉音の怒りは収まらない。クロちゃんが帰ってくるまでは楽しそうだったのに、クロちゃんが帰宅後、一気にハウスの空気が悪くなる。もはやこれ以上共同生活は無理なのでは? と思われた直後、絶妙なタイミングで「使者」が現れる。

 それはコーナー開始時、クロちゃんを目隠しして連れてきたのと同じような黒服の男(よく見たら別人だが)。

 彼が提示してきたのは「これからこの家を出て行く人を1名決めて頂きます。」と書かれたメモ。

 それは、くじ引きをして「◯(当たり)」を引いた人間1人に、その人選の決定権が与えられるというもので、もちろん本家『テラスハウス』にはない展開。

「俺、やめないからね!」

 追い出される理由に関しては身に覚えのありまくるクロちゃんは、指名される前から空気をビンビンに察知し、声を荒らげる。

 生き残るためには自分が指名する側になるしかないのだが、なんとここで見事に「◯」の書いた紙を引き当てる、まさにモンスターなクロちゃん。

 先ほどの醜態など微塵もなかったかのように、ニヤリと微笑むクロちゃん。言葉を失うメンバー。

 やらせかどうかなんて、どうでもいい。最悪なのにどこか気持ち良さを感じてしまう見事な展開。

「俺のことを落とそうとしてたじゃん? 困ったなあ」

「1人ずつ、面談しよっか? どんだけの思いがあって、ここで生活してるのか?」

 いろいろありつつも楽しかった楽園に、独裁制が敷かれる。

「じゃあ、わかりました。わたくし下の部屋にいるから、一人ずつ来てもらおうかな」

「みんなが納得する方法を考えよう」

「下で待ってまーす」

 敬語が余計に恐怖を倍増させる。

 最初にくるように言われたのは、山崎大雅というイケメン大学生。

 莉音とキスをしたというクロちゃんの嘘を、今回皆の前でバラした格好になった彼が「消される」可能性は高い。

 今夜放送となる第5週目回の予告動画でクロちゃんは語る。

「俺があっての企画だから。『モンスターハウス』っていうくらいだから」

 どんな感情で言っているのわからない、謎の「自負」。

 しかも女性陣が全員泣いている映像も。

 今夜、独裁者がどんな「醜さ」を見せてくれるのか楽しみだ。

(文=柿田太郎)

『下町ロケット』第9話 変人・軽部に父性を目覚めさせた意外な相手は!? 時代劇とSFとが融合

 前シリーズに比べて視聴率が伸び悩んでいる阿部寛主演ドラマ『下町ロケット』(TBS系)ですが、かなりユニークな状況となってきました。石原プロのイケメン俳優だった徳重聡が変人キャラ・軽部を演じていることでも話題ですが、ここにきて軽部が人間らしい表情を見せるようになってきたのです。軽部を変えたのは、いったい誰だったのでしょうか? さっそく『下町ロケット ヤタガラス』第9話を振り返りたいと思います。

(前回までのレビューはこちらから)

 第9話は杉良太郎演じる「帝国重工」の藤間社長が大活躍です。経営不振から引退がささやかれていた藤間社長ですが、次期社長と目されている重役の的場(神田正輝)が完成させた農業用大型ロボット「アルファ1」がデモンストレーションに大失敗してしまったことで俄然ヤル気が蘇りました。的場に任せては、「帝国重工」には未来はないと確信したのです。一方、目の前で「アルファ1」が大横転した現場を見てしまった的場は、急に白髪が増えたようです。

 的場の太鼓持ち・奥沢部長役の福澤朗は演技がビミョーなことが以前から気になっていましたが、今回はまた違った意味で気になりました。「アルファ1」の問題点は、走行システムを開発した野木教授(森崎博之)側にあると主張する奥沢は、異議を唱える財前部長(吉川晃司)をギョロ目で睨みつけます。落ち着きなくやたらに目をギョロギョロさせるメガネ姿が、ある人物を連想させました。佐村河内ゴーストライター事件で有名になった新垣隆さんです。視聴者の注目を惹く表情の作り方など、参考にしているのかもしれません。新垣さんはクラシック音楽業界の闇を暴露することで一躍ブレイクしましたが、俳優・福澤朗にブレイクする日は果たして来るのでしょうか。

 

■杉良太郎の背中に刻まれた桜吹雪は消えてなかった!

 話を進めましょう。「アルファ1」の問題箇所を調べるため、佃社長(阿部寛)率いる「佃製作所」が協力することになりました。野木教授の走行システムを搭載した「佃製作所」の試作ロボットで「アルファ1」と同じような走行テストを行い、これで問題がなければ野木教授のシステムに不備はないことになります。

「よし、行け!」「がんばれ!」と立花(竹内涼真)とアキ(朝倉あき)は走行テストを始めた試作ロボットに声援を送ります。いつもはクールに後ろのほうで腕組みをしている軽部(徳重聡)ですが、この日は立花やアキと一緒になって「がんばれ~!!」と前のめりになってコブシを震わせています。今まで見せたことのない軽部の熱い姿がそこにはありました。

 プログラムに従って動くロボットを励ますなんて、意味がないことです。これまでの軽部なら、熱くなる立花たちを冷笑していたことでしょう。でも、軽部が開発に関わったトランスミッションを内蔵した試作ロボットゆえに、他人事ではありません。生まれたてのロボットに対して、軽部に父性的な愛情がいつしか芽生えていたのです。平気で嘘をついたり、他人の顔色をうかがう人間よりも、無口だけど正直なロボットに軽部は愛情を抱いているのかもしれません。ロボットを育てることで、コミュ障っぽかった軽部が人間らしくなっていく。不思議な感慨が湧いてくるシーンでした。

 走行テストに無事成功した「佃製作所」の試作ロボットですが、それでも的場と奥沢は「帝国重工」側に非があることを頑なに認めようとはしません。そこに颯爽と現れたのが、藤間社長です。このときの杉良太郎は時代劇スターとしてのオーラ全開でした。

 失敗の責任を野木教授ひとりに押しつけようとする的場と奥沢を、藤間社長は厳しく叱責します。「自分たちが世の中の中心だと思っている連中に、新規事業ができるはずがない」と一刀両断。胸がすくような大岡裁きです。いや違った、杉良太郎の当たり役だった時代劇『遠山の金さん』(テレビ朝日系)の世界でした。スーツ姿の藤間社長の背中には、きっと桜吹雪が咲き乱れていたことでしょう。

■親子鷹の夢は、遥か火星を目指すことに

 第9話は佃利菜(土屋太鳳)と佃航平との父子関係もクローズアップされました。祖母(倍賞美津子)が詩吟の練習に使っている古いカセットレコーダーを利菜が修理していたところ、会社から帰ってきた父・航平も手伝うことに。父子で一緒に修理に取り組む姿は往年の「日曜劇場」を思わせるものがありました。幼い頃の利菜は、航平が映らなくなったテレビやラジオを直してしまう様子を見て「パパは魔法が使えるんだ」と感動し、彼女自身も理系の道へと進むことになったのです。仕事に追われる佃航平にとっては、娘と話す思い出話は格別なものがありました。

「帝国重工」のロケット用バルブの開発リーダーに抜擢された今の利菜にとって、「佃製作所」の社長である佃航平はライバルでもあります。利菜がありったけの情熱を注いで開発した自社バルブは性能試験の結果、見事に合格ラインをクリアしますが、「佃製作所」の改良バルブはさらにそれを上回る数値を記録します。利菜は完敗を喫します。でも、利菜がエンジニアとしての成長を諦めない限り、いつかは父・佃航平に引導を渡す日が訪れることでしょう。

 バルブ対決を終えた佃父子は自宅前の川の堤防に横になり、頭上に広がる夜空を眺めます。淀んだ東京の夜空でも、火星は赤く輝いています。いつの日か利菜が開発した新型バルブを搭載したロケットが、火星まで到着することになるかもしれません。理系親子ならではの、大きな大きな夢を共有する佃航平と利菜でした。

 いつもはストーリー展開が早すぎて、ドラマの描き方が雑な『下町ロケット』ですが、第9話はかなり上質な出来だったと思います。杉良太郎と吉川晃司が登場する「帝国重工」の場面は完全に時代劇の世界ですし、変人・軽部が農業用ロボットに愛情の眼差しを注ぐシーンはSFドラマの要素を感じさせます。さらに第9話では、理系親子が夢をバトンリレーしていくエピソードが描かれました。池井戸潤原作の企業ドラマ『下町ロケット』ですが、ひとつの作品の中に時代劇、SFドラマ、ホームドラマと実にいろんなレイヤーが重なって構成されていることが分かります。「日曜劇場」という伝統ある放送枠を使って、TBSドラマ班は新しい試みに挑戦していると言えるのではないでしょうか。挑戦なくして、伝統を育んでいくことはできません。

 気になる第9話の視聴率は12.6%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)でした。第7話は12.0%、第8話は11.5%とワースト記録を更新していましたが、クライマックスを控えてようやく持ち直すことができました。企業ドラマ、時代劇、SF、ホームドラマと多彩な側面を持った『下町ロケット』は残り2話で、果たしてどんな領域にまで進むことができるのでしょう。軽部の活躍ともども期待したいと思います。

(文=長野辰次)

戸田恵梨香『大恋愛』サイコホラーと化した小池徹平の“ウザさ”に救いは訪れるか

 先月30日に放送されたドラマ『大恋愛~僕を忘れる君と』(TBS系)の第8話、視聴率は8.5%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)と再びダウン。ロマンティックなビッグ・ラブを求める層からは完全に見放されたようです。

 何しろ、6話から登場した小池徹平の存在が重いし、ウザいのよね。特に、ステキな恋愛劇に没頭してニヨニヨしようと真剣に見ていた方面からすると、もうジャマでジャマでしょうがないと思う。急にサイコホラーですからね。

 けっこう珍しいな、と思うんです。難病を扱うフィクションで、その患者さんを「迷惑な存在」「主人公たちに危害を加える存在」として描く作品というのは。

 たいてい物語の中で病人や精神障害者というのは、不幸な境遇と引き換えに「でも心は美しい」とか「純粋なんだよ」みたいな感じで登場するのが定番ですが、今回、主人公の尚ちゃん(戸田恵梨香)と同じMCI(軽度認知障害)患者として登場した松尾(小池)は、それこそ視聴者離れを起こすほどに嫌な、不快で邪魔な存在として描かれました。

 今回はそんな松尾が尚ちゃんと真司くん(ムロツヨシ)夫婦をひっかき回し、ドラマから一時退場するまでが描かれました。振り返りましょう。

(前回までのレビューはこちらから)

 

■おぅ、なかなか破壊力のあるセリフを……

 真司くんとの子どもを作る決心をした尚ちゃん。食卓には特大肝入りの肝吸いを添えた鰻重を並べ、基礎体温チェックにも余念なし。さすが、産科医だけあって“子作り”に関しては知識も情熱も常人並みではありません。

 ベッドの方でも情熱的なようで、事後には「今日、密度濃かったから……」と、なかなかに破壊力(エロ方面)のあるセリフを聞かせてくれます。もちろん、真司くんもデレデレです。

 一方、MCIからアルツハイマー病になった尚ちゃんの病状は、進行の一途をたどっています。部屋中に物忘れ防止用の付箋が貼り付けられ、梅干しおにぎりを作ったつもりも梅干しを入れ忘れ、もちろんベッドでの真司くんとのピロートークも、翌朝になればキレイさっぱり忘れています。

 そんな尚ちゃんの心のスキに付け込もうとしているのが、自称“唯一のMCI理解者”松尾です。いつの間にか尚ちゃんを「尚」とか呼び出すし、「僕らは健康な人と対等じゃいられないんだよね……」など、遠い目で共感を求めてきたり。あげく「死ねば、永遠にきれいなままでいられるんだ……」と無理心中まで示唆してきます。

 ここまで、松尾の目的は、いかにも不明瞭でした。同じ病気の尚ちゃんと出会って、驚かせて失神させて、尚ちゃんの病気が進行したら喜んで、意識のない尚ちゃんにキスしたり、旦那である真司を無駄に煽ったりしていましたが、「で、何がしたいねん」の部分はよくわからなかった。それが松尾という人物の不快な印象に拍車をかけていたわけですが、今回、はっきりと語られました。

 一緒に死にたかったんですね。死ねば永遠だから、美しいままでいられるから、同じ病気の人と死にたい。

 そんな松尾に対し、すでに真司くんや尚ちゃんママ(草刈民代)、主治医・井原先生(松岡昌宏)は“危険人物”として警戒を強めていますが、尚ちゃん本人はいたって無防備。それどころか、松尾の「対等じゃない」という言葉がやけに心に残ってしまい、それが原因で真司とケンカになったりします。そんなこと言われたの、忘れちゃえばいいのに、いろいろ大切なことは忘れても、こういうのは憶えてるところが病気の難儀で。

 家を飛び出した尚ちゃん、夜の街をひとり見下ろしながらポロポロと涙を流していると、クルマで尾行してきた松尾が睡眠薬をしこたま溶かしたコーヒーを手渡し、車内に誘います。

 真司くんは姿を消した尚ちゃんに電話をかけますが、尚ちゃんのスマホはなぜか冷蔵庫の中で呼び出し音を鳴らすばかり。それを手に取って夜の街に駆け出すと、2人の思い出の橋に差し掛かったころに「松尾さん」からコールが。

「ははははははは真司だー」

 今日一番のサイコっぷりを見せた松尾。真司くんを呼び出すと、

「尚は別の世界に行ったよ(逝ったよ)」

「あんたにとって尚ちゃんは小説の道具だろ」

「あんたは尚を利用して自己実現してるだけだよ」

「観察すればいい、僕たちの純愛を書けよ美しく永遠になっていく結末まで、あんたが書けよ、書けよ!」

 肝心の尚ちゃんは松尾カーの助手席で気を失っていたようでしたが、実はコーヒーを飲んでおらず、正気でした。「死にたい」とか言ってた松尾を、それなりに警戒していたようです。

 思わぬ“裏切り”にショックを受ける松尾を、なんかわりと正論ぽい言葉で諭した尚ちゃん。松尾もなんかわりとあっさり納得して、どこかへ行ってしまいました。

 そんなわけで、その日も子作りに励む真司くんと尚ちゃんでした。今夜放送の第9話では、いよいよ出産するようです。

■“本質”は描き切れたか

 先日、戸田さんが番組のインスタライブで、「7・8話あたりを見ないとアルツハイマーの本質は見えないし、最終回が成り立たない」といった発言をしていました。最終回にも松尾は登場しますので、松尾の存在こそがこの作品の本質ということのようです。

 展開そのままに解釈すれば、その本質とは「記憶を失うことがつらい」ではなく「病気により周囲の理解を失う」「孤独になる」ことのほうがつらいのだということでしょう。

 実際、松尾の振る舞いはほとんど理解不能でしたし、自ら理解を拒み、孤独を志向する様子がありました。病人という立場からの「病人は小説の道具だろうが」という正論は真司くんを打ちのめしましたし、何をやっても「ボク、病気なんで憶えてないです」と病気を利用する姑息さも描かれました。

 例えば、渡辺謙がアルツハイマー患者を演じた映画『明日の記憶』(2006)では、ほとんど記憶を失った主人公の周囲に「それでも寄り添ってくれる家族がいる」という事実が救いとして語られています。一方で今回の松尾には、どうにも救いがなさそうで、その救いのなさこそがドラマに得も言われぬスリルを生み出していたんですが、なんだかヌルッと退場させたな、というのが素直な印象でした。「MCIだかWaTだか知らんが地獄に堕ちろクズが!」と視聴者に思わせる展開を作ったわりに、さほど説得力を感じない説得によって、松尾は尚ちゃんのことをあきらめちゃった。

 このへん、最終回に向けての伏線もあるのでしょうけれど、松尾メインで見ていただけに物足りなく感じたのが正直なところです。

 

■それにしても脂の乗り切ったムロ&戸田コンビ

 ムロさんと戸田さんの演技合戦は、あいかわらず充実しています。たぶん、演出部の要求以上のことをしていると思う。今回印象に残ったのは、真司くんの小説『脳みそとアップルパイ』の続編のタイトルについてのやりとりです。

 真司くんは、続編のタイトルについて「決まったら最初に尚ちゃんに相談する」と約束していました。そしてベッドの上で、「『もう一度第1章から』って、どう思う?」と、約束通り尋ねました。

「すごくいいと思う!」

 大喜びの尚ちゃん。真司くんが「ホント?」と聞き直すと、もちろん「うん」と。

 でも、この「うん」の発声が、ちょっとボヤけてるんです。ちょっとだけ引っかかる程度にボヤけてる。見逃してもいいくらいのボヤけ。

 その後、尚ちゃんはそのことを忘れてしまい、2人はケンカになります。ここで「ホント?」「うん」のちょいボヤけが、完全に伏線として機能しました。あー計算してた! みたいな。

「続編のタイトルだって、最初にあたしに教えてほしかったのに!」

「言ったよ!」

「聞いてない!」

 癇癪を起した尚ちゃん。ここでの真司くんの一瞬の表情がすごかったんだ。

「言ったじゃねえかよバカ野郎! なんで憶えてねえんだよ!(ブチ切れ)」→「憶えてねえのか、そうか、病気か、病気だった(思い出し)」→「だからって、こんな大切なことまで忘れることねえだろ!(蒸し返し)」→「しかも自分が忘れてるくせに人のせいにしやがって!(激昂)」→「でも病気なんだ、しょうがないんだ(思い直し)」→「なんで尚ちゃんにだけ、自分たちにだけこんな悲劇がのしかかるんだ(悲しみ)」→「それでも生きていこう。2人で。俺がしっかりしなきゃ(決意)」

 くらいの感情の流れを1拍の中に納めてからの「言ったって……」という返し。まあそこまで具体的じゃないけど、そういうことを表現したこのときのムロツヨシの顔面動作は、すさまじかったです。ちょっと見てて泣いちゃうくらい。何しろ2人のお芝居が達者なので、単純に楽しいです。

 あと、今のところどう機能していくのかまったくわからない松岡昌宏と草刈民代のベッタベタな『黄昏流星群』的関係も、行く末が楽しみです。はい。今日を含めて、あと2話だって。
(文=どらまっ子AKIちゃん)