女子校出身者をディスりまくる、「non・no」恋愛あるある企画の意図とは?

 今月の「non・no」(集英社)の表紙は、この秋の流行カラーである、くすみピンクを身にまとい、ふんわりとした笑顔を浮かべる乃木坂46・西野七瀬。レギュラーモデルでもある西野は、メインのファッション特集「今→秋どっちもアガる服」のほか、「七瀬が恋した秋ピンク」「乃木坂46の愛され顔の作り方」、そして巻末連載の「ななせるふ。」と1冊を通して出ずっぱり。前号では、けやき坂46が特集を組まれていましたが、坂道グループは現役大学生であるノンノ読者の理想の女子像なのでしょうか。まあ、確かに、体育会系なノリのAKB48グループより全方位的にモテそうだし、女優やアーティストよりも等身大でマネしやすそうですもんね。それでは、早速本編をチェックしていきましょう!

<トピックス>
◎今→秋どっちもアガる服
◎1女・菜々花の大学後期はコスパで大人見え着回し20days
◎女子校育ちVS.共学育ちの恋愛あるある

■女子大生ファッションはちょっとずつ進化する

 まずはメインのファッション特集「今→秋どっちもアガる服」を見ていきましょう。「秋色」「花柄」「チェック柄」「ベロア素材」「ファーアイテム」「フェミニントップス」「丈短アウター」など、この秋の流行アイテムが紹介されているのですが、前号で指摘した“皆と同じ流行スタイルにちょっとだけ個性を取り入れたい”女子大生心理をくすぐるように、「ベリーピンク」と「くすみピンク」、「タータンチェック」と「グレンチェック」、「肩透け」と「肩あき」、「フリル」と「レース」、「スウェードライダース」と「デニムのライダース」などなど、細かな違いのあるアイテムがずらり! これなら他人と被るにしても、丸被りという事態は避けられますね。

 また夏ファッションでもはやっていた「花柄」は、レトロで大人っぽい雰囲気の「ヴィンテージ花柄」に、しっかり肌見せしていた「オフショル」はさりげない肌見せの「フェミショル」に進化しています。マイナーチェンジすぎる! コーディネートの中のちょっとした個性アピールと同じなのか、流行についても突然のイメチェンではなく、ちょっとずつ進化していくスタイルのようです。それは、イマドキ女子大生の謙虚さなのか自信のなさなのか、どちらにせよ興味深い発見でした。

 続いてチェックするのは「1女・菜々花の大学後期はコスパで大人見え着回し20days」。ちなみに、念のため解説すると「1女」とは「大学1年生」のことです。ここでも「『いかにも1女』な量産型ガーリーは前期で卒業!」というキャッチの通り、“皆と同じが安心だけど、明らかに同じに見えてしまうのもダサい”イマドキ女子大生ファッションの真髄が表れています。「ビジュー衿つきトップス」や「花柄・ミニ丈・リボンつき」のワンピースなど、ただ甘いだけのガーリーアイテムはNGだそうです。

 この着まわし企画は、1女の菜々花が、キャンパスですれ違いざまに「今年の秋は断然くすみピンク」という情報を教えてくれた優華先輩(何のコミュニティの先輩かは謎)をオシャレのお手本に、「大人ガーリー」を目指すという内容。最初は、「後期は勉強も頑張りたい!黒でまとめてまじめで賢そうな女の子に」と宣言していたものの、その後は「今日は授業がお昼まで。気になっていたお店でカフェモカをテイクアウト♪」「今日はショッピング♪憧れのお店ものぞいちゃおうかな」「今日は話題のパン屋さんへ。サンドイッチにしてインスタにアップしよ(はぁと)」と放課後を満喫しつつ、合間に「テニスサークル」と「バイト」に明け暮れる日々……。そして秋の連休には「仲間と小旅行」へ。「最近、授業も楽しくていい感じ。差し色の赤トップスで勉強のやる気もアップ!」と言っていますが、一体いつ勉強しているのかわからないほど遊び呆けていました。まあ、文系の女子大学生の日常なんてこんなものですよね。

 一方、オシャレ面では、アクティブな活動が多く、パンツスタイルになりがちだった菜々花が、女のコらしさと大人見せを意識したスタイルをマスターし、友達から「菜々花、最近可愛い(はぁと)」と褒められるまでにレベルアップ。小旅行のメンバーには男の子もいたため、「男子モテ」も意識しているのですが、菜々花の関心は、それより「同級生モテ」や「先輩モテ」にあるようでした。「話がある」という男の子からの呼び出しよりも、女友達に「そのバッグマネしたい(はぁと)」と言われたときの方が、目に見えてテンションが上がっています。

 そして、この着まわし企画は、優華先輩と「姉妹みたい♪」と言われるほど仲良くなるというエンディングを迎えるのですが……なんだろう、この、可愛い女の子たちが仲間内でただひらすらにイチャイチャしてる感じ。嫉妬とかモテとか目立ちたいとか、そういったリアルなドロドロ要素が一切感じられない平和な女子校ユートピア。あまりにリアリティがないけれど、どこかで既視感があるような……。

 そう、これって乃木坂の世界観なのではないでしょうか。秋元康が乃木坂を通して表現する、“理想の私立女子高校”的なイメージに直結しているような気がするんです。特に、表紙に起用された西野は、乃木坂の中でも優等生的なイメージが強い。もしもノンノ編集部が、こんなオッサンのような価値観を理想の女子大生像として提唱しているのなら、あまりにも前時代的すぎるのではないでしょうか。

 最後に気になったのは読者アンケート企画「女子校育ちVS.共学育ちの恋愛あるある」です。

 「共学育ち」「女子校育ち」とそれぞれのイメージがまとめられているのですが、これがあまりにも偏見だらけ。まず「共学育ち」のファッションは、流行を取り入れたパステルカラーにオフショルで肌見せ、フレンドリーな性格で、協調性があり、集団行動も得意。さらに、友情が恋愛に発展するパターンが多いとされています。一方、「女子校育ち」のファッションは、全身モノトーンにまとめがちで、ミニ丈は着ない。自我が強めで、1人で全部できちゃう。男子への幻想を抱きがちで、優しくされると好きになってしまうとのこと。まるで上から目線で「女子校出身者は男に免疫がないんでしょ?」と言われているようで、女子校出身者になんか恨みでもあるんですかね? 

 確かに、女子校出身者の方が、恋愛下手になりやすいという一般論はあります。しかし続く「恋愛シーン別やりがちあるある」においても、女子校育ちはディスられまくり。飲み会で、自分からは話さず受け身に徹する、気になる男子と同じ授業になったときも、なんとなく近くの席に座るのが精一杯のアピールとされていて、さすがにこれはバカにしすぎだと感じました。

 しかもこの企画、ただ「あるある」が並べられているだけで、ディスられがちな女子校出身者の言い分を聞くだとか、もっとこうした方がいいとか、特に結論があるわけではないんです。生産性なさすぎ! しかし、ここはノンノ女子会。無益な争いを避け、誌面を広げながら「えー!」「わかるー!」「ひどーい!」「あるあるー!」とオチのない平和なおしゃべりに興じてもらうことを目的としたページなのだと理解しました。編集部が目指すのはノンノ女子大というユートピアなのでしょう。そんな穏やかな日々がいつまで続くのかはわかりませんが、これからも温かく見守っていきたいと思います!
(橘まり子)

「non・no」モデルの私服に見る、新しい“量産型女子大生”と葛藤

 創刊45年を超える老舗女性ファッション誌「non・no」(集英社)。かつては「an・an」(マガジンハウス)のライバル誌という位置付けで、「アンノン族」という言葉まで生まれましたが、現在は“保守的な女子大生雑誌”というイメージ。「1女」「2女」「ハタチ」「ゼミ」「夏合宿」など、“大学生ワード”が散りばめられた表紙から、早くも拒絶されている感を否めない三十路の筆者ですが、意を決して「non・no」ワールドを潜入調査していきます!

<トピックス>
◎ノンノモデルの最強(ハート)夏私服50連発!
◎新木優子&西野七瀬の夏イベ楽しすぎ着回し14days
◎ハタチの恋のリアル

■真夏に「ドクターマーチン」って!?

 まずは巻頭特集「ノンノモデルの最強(ハート)夏私服50連発!」を見ていきましょう。ノンノモデルといえば、女優やタレントへの登竜門。かつては、りょうや松雪泰子、近年では菜々緒や佐々木希を輩出しました。また日本テレビアナウンサーの岩本乃蒼も、実は元ノンノモデルで、2010年のオーディションでグランプリを受賞しています。現在は約20名の専属モデルが活動しており、主に表紙を飾るのは本田翼、新川優愛、新木優子、鈴木友菜、西野七瀬(乃木坂46)の5名です。それぞれにドラマや映画、バラエティ番組のMCにアイドル活動など多方面で活躍中の彼女たちは、17年現在の女子大生たちが「マネしたくなる」ファッションアイコンなのでしょう。

 さっそく私服コーデをチェックしていくと、流行とはいえ、ワイドパンツ率100パーセント! 合わせるトップスも、オフショルダーかふんわり袖のカットソーか白Tシャツで、もちろんパンツにイン! バッグはミニショルダー、小物は大きめのアクセサリーやベースボールキャップ、そしてビビッドカラーを差し色として取り入れるところまで同じです。さらに、このクソ暑い中、なぜかドクターマーチンやエンジニアブーツを履いている人が続出しています。

 3~4年ほど前、「量産型女子大生」という言葉が、流行の女子大生ファッションを揶揄する言葉として使われました。パステルカラーに、リボンやフリル使いなど、甘くて可愛い(ちょっと野暮ったいコンサバファッションとも言う)雰囲気だった、当時流行の女子大生ファッションは、集団になった時のインパクトが大きく、皆が同じ格好をしているように見えました。しかし現在の女子大生は、皆が同じ格好をしていても、パッと見では、そのように見えません。というのも、今回の私服コーデにおいても、実は「古着」を活用している子が多く、Tシャツの柄や裾のデザインなど「レトロな雰囲気」のアイテムと流行アイテムをミックスさせているんです。またミニショルダーも「他の人とカブらないデザインが魅力」と丸型を選んだり、人気のドクターマーチンに至っては「シューレースがない10ホールブーツ」「ネイビー」「パテント素材」とそれぞれ個性をアピールしていました。

 もしかすると、女子大生たちの“周りから浮きたくない”という学校生活を送る上での保守的な気持ちと、“だけど「量産型女子大生=ダサい」とは言わせない!”という気持ちが結集し、ここ数年で女子大生のオシャレレベルがグッとアップしたのかもしれません。

 続いて、ストーリー仕立ての着回し企画「新木優子&西野七瀬の夏イベ楽しすぎ着回し14days」を見ていきましょう。「大人見えカジュアル優子」は、「沖縄の友人宅(庭付き)」で夏休みを過ごします。ざっとストーリーを追ってみましょう。

 「おしゃれなカフェで見かけた窓際の男の子(本を読むメガネ男子)からなんだか目が離せなくて」「頭の中は彼のことばかり」になってしまう優子。そんなある日、彼が「うちの畑で採れたゴーヤを持ってきました」と友人宅にやって来ます。「なんと友達の幼なじみ」だったみたい! 「メガネ男子」と「ゴーヤ」がうまくつながりませんが、「とんとん拍子で話が進んで」、「ドライブ」「浜辺を散歩」「キャンプ」を「みんなで」楽しみます。途中、2人きりで「なんだかいい感じ」になったりしつつ、最終日。「連絡先さえ聞け」なかったことを後悔していたら、「彼からまさかの電話!」。彼が東京に観光に遊び来ることになり「また会える(ハート)」と、優子はときめく――(完)。もしこれが友人からの“一夏の恋”の報告だったら、「で?」としか感想が出てきません。今どき小学生でも、もっと積極的にアピールするのでは? と思うほど主人公は受け身です。

 一方「華やかフェミニン七瀬」のストーリーを見てみましょう。「友達と水遊び」「友達とサイクリング」「ママと買い物」「地元仲間とBBQ」と、どうやら彼氏はいない様子。そんなある日「地元(大阪)でのロックフェス」に参戦したところ、「大好きなロックバンドのボーカルの彼と目が合った気がするー!」とのこと。そこから七瀬の「報われるはずのない恋」が始まります。「ファンレターを書こうかな」と悩んだせいで寝不足。なぜか「お菓子作りでストレス発散」。ところが事態は急展開! 旅行で東京に遊びに行くと「風に飛ばされた帽子を拾ってくれたのは、あのロックバンドのボーカル!? 夢みたい!」と浮かれるものの、ありがちなシンデレラストーリーが始まるわけではなく、「あの彼の結婚記者会見」で幕を閉じます。またしても「で?」な展開です。

 もしかすると乃木坂46の西野は恋愛禁止のため、リアルな恋愛ストーリーはNGだったのかなとも邪推したのですが、その後にある企画「優華が着回すプチプラ20days」においても同様で、恋に恋する片想いストーリーが展開されていました。いくら「non・no」が保守的な女子大生をターゲットにしているからといって、夢見がちどころか恋愛の入口にも立っていないなんてことがありえるのでしょうか……?

 そんな疑問を解決するためにピッタリの企画がありました! 7,610人の読者にアンケートを取った「ハタチの恋のリアルまとめ」です。アンケートによると、「ノンノ読者の彼アリ率は約4割」。なーんだ、リアルに彼氏いるんじゃーん! と安心しましたが、「交際経験ナシ」という回答も全体の4分の1ということで、やっぱりノンノ女子は奥手なのかも? そして交際中カップルの半数以上が、クラスメイトやサークル内での“同い年カップル”だそうで、身近なところで相手を見つけているのも受け身体質ゆえでしょう。そして、なんと8割以上が「彼からの告白」で付き合い始めたといい、どうやら「non・no」読者の生きる世界には「草食男子」という言葉は存在しないようです。

 また9割以上の読者に結婚願望があり、理想の年齢は「26.1歳」。現在の女性の初婚年齢が「29歳」という事実に鑑みると、“婚活に悩むアラサー女子”たちにケンカを売っている気もします。「今の彼と結婚したい」と考えている読者が6割以上いるようですが、「絶対にその彼氏逃がすなよ!」と老婆心ながら思ってしまいます。

 さらにアンケートでは「結婚後の理想の働き方」についても聞いており、不景気ゆえか専業主婦志向は少ないものの、半数以上が「家庭を優先しながら働きたい」と答えています。もちろんこれらは現段階での希望であって、社会に出ていない女子大生の理想。しかし告白はもちろん、デート代についても「彼が多めに支払う」カップルが半数を超えており、オシャレのレベルはアップしても、恋愛や結婚観については受け身な旧世代の価値観のままアップデートされていないノンノ女子像が浮かび上がりました。
(橘まり子)