2023年に新しい賞レースが始まった。それは芸歴16年以上のベテラン漫才師が競い合う「THE SECOND~漫才トーナメント」だ。この賞レースが登場したおかげで、15年以内の芸人は「M-1グランプリ」、16年以上は「THE SECOND~漫才トーナメント」という具合で現在活動している全ての漫才師へチャンスが訪れるようになった。
しかしこの2つは似て非なる大会で、求めている芸…
2023年に新しい賞レースが始まった。それは芸歴16年以上のベテラン漫才師が競い合う「THE SECOND~漫才トーナメント」だ。この賞レースが登場したおかげで、15年以内の芸人は「M-1グランプリ」、16年以上は「THE SECOND~漫才トーナメント」という具合で現在活動している全ての漫才師へチャンスが訪れるようになった。
しかしこの2つは似て非なる大会で、求めている芸…
お笑い芸人が売れる為のわかりやすい道筋としてぱっと思いつくのは「M-1グランプリ」や「キングオブコント」のような賞レースだ。今やこういったコンテストで何かしらの爪痕を残せなければ芸人として認知されることは難しい。昔の芸人がやっていたように、いろいろなネタ番組に出てちょっとずつ知名度を上げて世間に認知してもらうという方法はかなり時間がかかってしまうので、売れる道筋としては選ばれにくくなってい…
お笑い賞レースと言えば、やはり一般的に頭に浮かぶのは「M-1グランプリ」「キングオブコント」「R-1グランプリ」「女芸人No.1決定戦THE W」で、これらが四天王だとは思います。芸人さんは、これらの大会の決勝を目指しながら活動するという目標があります。決勝に出られれば馬鹿売れする可能性も秘めています。
それとは真逆に、凄い小さな賞レースもあります。僕が知る限りは、これより…
15日放送のTBS系『ラヴィット!』のロケVTRにヤーレンズ(楢原真樹・出井隼之介)が出演。ラヴィット大好き芸人というポジションで無双していた。
2022年下半期ベストヒット商品を紹介するコーナーで初めて同番組に出演したヤーレンズ。楢原は芸人いちの番組ファンで、毎日感想をツイートし、プロフィール欄にも「ラヴィットのレギュラーになれたらあがりです」と書くほど。
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「M-1グランプリ2022」の決勝進出者が11月30日に22時からGYAO!生配信で発表されました。今年の準決勝は有料生配信も行われ、アーカイブも短いながら12月1日12時00分~23時59分まで楽しむことが出来るようになっていました。
今年決勝に選ばれたのは、ダイヤモンド、男性ブランコ、カベポスター、ロングコートダディ、さや香、真空ジェシカ、キュウ、ウエストランド、ヨネダ2…
お笑い大好きプロデューサー・たかはし(TP)が見た、芸人たちの“実像”をつづる。今回は、『M-1グランプリ2022』東京3回戦の敗退組のネタ動画に注目。
『M-1グランプリ2022』3回戦のネタ動画が出揃った。ネタ数は圧巻の299本。すべてを観ようとすると約15時間はかかる。僕は当たり前のようにすべてのネタを観たのだが、みなさんはいかがだろうか。忙しくて観る余裕がない人のため…
今年開催予定の「M-1グランプリ2022」において、これまで長きに渡り決勝戦の審査員をと詰めてきたオール巨人師匠が、引退を表明。その理由のひとつとして “漫才の進化”をあげていました。
「M-1」は新しい漫才師を発見できる場として今もかなり注目されていますがその半面、ぱっと見ただけでは簡単に理解が追いつかない、複雑な笑いが盛り込まれた漫才も多くなっています。“新しい”というこ…
祝・錦鯉2年連続M-1決勝進出! 準決勝進出が決定した段階で行われたこのインタビューにも、今の錦鯉の強さの一端が垣間見える。M-1決勝出場最年長記録を「鳥人セルゲイ・ブブカ方式」で塗り替え続ける長谷川雅紀と、多くの芸人から「ネタ、トーク、大喜利なんでもいける」オールマイティ芸人と称えられる渡辺隆。2人が出会い誕生した錦鯉が芸人界に起こした「逆襲」のすべてが綴られた『続きを読む
2画面左からボケの伊織とツッコミの杉本青空(撮影=荒熊流星)
ついに明日、今年のNo.1漫才師が決まる。2019年『M-1』グランプリ決勝、なんと9組中7組が初の決勝進出というフレッシュな顔ぶれがそろう。中でも「優勝候補」と の呼び声が高いのが、熊本出身の同級生コンビ、からし蓮根。190センチの長身ボケが舞台狭しと動き回れば、独特のワードセンスを熊本弁にくるんだ小気味良いツッコミがそれをコントロールする。新しいのに懐かしいのは、その確かな技術ゆえ。霜降り明星がくさびを打ち込んだ「お笑い年功序列」に、今再び「第7世代」が襲いかかる。
***
――決勝を目前に控えた今のお気持ちは?
杉本青空(そら/以下、青空) まぁ、そうですね……怖いですね。まぁまぁ、楽しいですけど、決勝までのこの期間がね(※インタビューは12月17日)。
――今年の『M-1』の決勝は、出場者も年齢層もガラッと変わって……その象徴がからし蓮根さんなのかなと思い、インタビューをお願いしました。お2人も、そういう流れの変化みたいなものを感じていますか?
伊織 やっぱり去年、霜降り(明星)さんが優勝してからですね。若手が注目されるようになった。
青空 追い風ですね。ありがたいですね。
――第7世代……提唱者といわれている(霜降り明星の)せいやさんは、すごいその言葉を嫌がっていますが(笑)。
青空 確かに。こんな大変なことになるとは思ってなかったでしょうから。
伊織 ラジオでたまたま言った言葉がね~。
――からし蓮根さんは、「若さ」ももちろんですが、熊本弁での漫才というのも異色です。
青空 最初は違ったんです。標準語と関西弁が入り混じった、どこの言葉ともつかないものでやってたんですけど、たまたま方言をちょろっと入れてみてたら、お客さんの反応が良かったので。そっちのほうが僕らも楽だった。地元の言葉でやるほうが。
――最初からではなかったんですね。
青空 そうですね。なんか、熊本弁は受け入れられないと思ってたんで。
――テンポとか、言葉の意味が伝わらないとか?
青空 それもあるし、ネタの邪魔になると思ってて。
――でも、実際やってみたら、熊本弁のほうがしっくりきたんですね。
2人 そうですね、はい。
青空 上手にね……なりたいなと思ってたんです、漫才を。大阪弁とか標準語のほうが、高等なテクニックを使ってるような感じするじゃないですか。でも、もうそれをあきらめて。上手になるのは無理がある。
――おっしゃる感じはわかります。なんというか、方言の「あざとさ」みたいなものも、最初躊躇されていた要因なのかなって。
青空 そうなんですよ。ただちょっと背伸びするのをやめて、素の感じでできるようになろうと思って。やったらまぁ、自然と方言になった感じです。
――お2人は高校時代の同級生ですよね?
2人 そうです。
――青空さんは「高校生活があまり楽しくなかった」と、以前インタビューでおっしゃっていましたが。
青空 そうそうそう。入学して、僕ホームシックになったんです。高校は市内にあって、でも僕は田舎の中学校から入ってきて、ほんと友達も誰もいなかった。すぐに辞めようと思ってました。
――青空さんは内向的なタイプ……?
青空 めっちゃそうですね。
――そのインタビューによると、青空さんが辞めようと思ってるからなんとかしてくれと、先生が伊織さんに頼んだと。
伊織 そうですね。でも何もしてないです。ただしゃべっただけです。
――お互い気が合うなと思いましたか?
青空 気が合う……? うーん、そうですね、僕は小さい頃からお笑いがめっちゃ好きやって、中学の時に『M-1』でサンドウィッチマンさんやキングコングさんを見て、格好いいなと思って。一緒にお笑いやる人おったらなって探してたら、伊織がね、そんなんやらされてたんで、周りの友達に。
――一発ギャグ的なものを?
青空 それ見てたので、ちょっと誘いやすかったというか。
――内向的なタイプとおっしゃいましたが、人前に出てネタをやることに戸惑いはなかったですか?
青空 まぁそうですね。でも、テレビで見たギャグとかをぱっと覚えてて、親戚の集まりとかでちょっとふざけてやるみたいなのの、その快感はあったんですよ。この感覚すごいなぁって。
――勝手なイメージなんですけど、やっぱり熊本の、九州の男の人は無口で、どんと構えてという……
2人 そうです。基本はそうです。
青空 もちろん漫才はやりますけど、ほかのところでは本当にその通りですね。
――もともとは同級生だった友達が、一緒に仕事する仲間になって。関係性に変化はありますか?
2人 関係性……?
伊織 逆に高1の時しかクラス一緒じゃなかったんで、それも相まって、ちょうどいい関係性、ちょうどいい距離感でやってますね。
青空 そうじゃないと、やっていけないですよ。仲悪かったらやっていけない。良すぎても……ですけど(笑)。
――楽屋では、どんな感じなんですか?
青空 仲良い、しゃべりやすい人とはしゃべりますけど、新しく誰かに話しかけて……みたいなのは自分からはしないですね。話しかけてもらって、やっとです。
――伊織さんは?
伊織 僕は逆にいろんな人と仲良くなりたいんで、いろんな人としゃべってます。幅を広げていく感じです。
――同世代で、仲のいい芸人さんはいらっしゃいますか?
青空 先輩だと吉田たちさん。同期は、紅しょうがの熊元プロレスというマイナーな芸人がいるんですけど、そいつと仲いいです。
――吉田たちさんも準々決勝に進出していました。
青空 正直言うと、もう戦いたくないんですよ、本当に。(吉田さんたち)おったら、たぶん勝てない。だからよかったといえばよかったのかもしれないけど、悔しい気持ちもある。メチャクチャ面白いのに、なんであそこで落とされるんだ……って。でも、これが勝負の世界なんですね。
伊織 僕も、吉田たちさんは仲いいですね。同期だったら、レインボーの実方(孝生/現・ジャンボたかお)とか。あとはEXITの兼近(大樹)とか、四千頭身の都築(拓紀)とか、たくろうのきむらバンドとか。そんな感じです。
――今をときめく方々が!
伊織 今どきの人と。なんか広く(笑)。
――伊織さんとジャンボさんが一緒に歩いてるところ、ちょっと面白そう(笑)。
伊織 いつも東京来たら連絡するし、向こうが大阪来たら一緒に遊んでますね。
――青空さんが「出待ちに冷たい」というウワサを聞きましたが、それについてはいかがですか?
青空 そうですね。よく言われます(笑)。うれしいのは、うれしいんですよ!「キャー!」ってしてくれるのも。でも「この人たちも、いつかいなくなるもんや ……」と思って接しないと、たぶんやっていけないかなと。
――伊織さんは……?
伊織 僕は全然。どんどん来てくれ! っていう。全力でお相手します(笑)。
――本当に真逆ですね(笑)。伊織さんは現在、オール巨人師匠のところでアルバイトをしてらっしゃるんですよね。
伊織 たまたま師匠のスナックがあるエリアに僕が住んでて、「バイト来いよ」って誘われて、それからです。サイズが合うっていうのもあって、衣装のお下がり頂いたり、よくしてもらってます。
――ネタについて、アドバイスもらったりとかは?
伊織 ネタは……個人的に見てもらったりとかはしてないですね。アドバイスも「やめるな」って言われたぐらい。
――究極ですね。
伊織 最初の頃に「やめたらあかん」って。「続けといたらいつかチャンス来るから、やめずにおれ」と。全然「やめたい」とか言ってないんですけど(笑)。なんか基本、根っこの部分で、そこが大事やでってことだと思います。
――最初から、何かを見抜いてらっしゃったのかもしれないですね。
伊織 テレビでネタにできるエピソードが増えたり、先輩や師匠に「あ、お前スナックでバイトしてたな」って声かけてもらったり。ありがたいです!
青空 伊織が広げてくれた人脈に僕が入れてもらうという、そういう感じです。僕は、なんもしてないです……。
――なんもしないってことは……。
青空 いや、でもそうですね。僕は漫才考えるだけですね。
――かっこいい……。
青空 あぁ、まぁそうですね(照)。
――ネタは、どうやって作ってるんですか?
青空 いろいろですね。ツッコミから思いつくこともあるし、ボケから広げてくことも。
――からし蓮根さんの漫才は、見たことないけど懐かしい感じもあって、不思議な感覚です。
青空 設定自体は、だいたいみんなが漫才でやってるようなやつですし。でも、その中でも誰もやってないことを探す、みたいな感じですね。
――入り口は普通だけど、入ってみたら見たことのない世界。
青空 そうそうそう。それって、逆に誰も手を出さない気がする。みんなもっと新しいほう新しいほうへ行くんで。
――キーになるのはやはり伊織さんのキャラだと思うのですが、青空さんはどういう戦略でネタを作られているのですか?
青空 そうですね。生かすって感じでもない。伊織ができるかどうか、です。これ言えるかとか、ちゃんと思った通りに笑いにつなげられるかとか。
――なるほど……。
青空 伊織が無理してたら、全然おもんないですよ。
――伊織さんは「こういう表情や動きで笑わせよう」みたいな欲が、ものすごく薄いように思います。
青空 たぶんそれが見えると、本当に寒くなるというか。
――その押し付けがましくなさが、からし蓮根のすごいところだと。
伊織 僕はもう、やるだけなんで。
――正直、今年の『M-1』はいけるのではないかという、手応えみたいなものはあったのでしょうか?
2人 手ごたえ……?
青空 手ごたえ……いや、ないですね。
――そ、そうなんですね!
青空 去年は準決勝で、3回目ですね、準決は。(手ごたえのなさは)それもあるかもしれないです。最初に準決行けた時は、確実に手ごたえあったんですよ。まぁ初めてやったんで。そっからはもうなんか「大丈夫? これで」みたいな。だんだん自信なくなってきて、通過したら「よかった……よかった……」ってホッとする感じになってきました。
――『M-1』で準決勝に残ることがまずすごいわけですが、そこからさらに高い壁が「決勝」にはある。
2人 ありました。
――どんな壁なのでしょうか?
青空 なんでしょうね、あれは。
伊織 わかんないです(笑)。
青空 でもなんかもう……無理でした。1回目の(準決勝の)時は、本当にもうそんな感じ。1言目、2言目ぐらいで、2人ともたぶん「無理だ」ってわかってた。
――空気のような?
青空 空気ですね。やり始めた感じで、もうなんかわかる。
伊織 これはちょっとレベルが違うわ、みたいな。
――『M-1』決勝進出が決まった後の記者会見で、インディアンスさんが「漫才中に『「これいったな』」って思った」みたいなことをおっしゃってましたが、その逆もまたわかるんですね。
青空 そうですね。
伊織 でも、今年も、やってる時は正直わかんなかったです。ただ落ち着いてやってこうと。
青空 (準決勝の)映像を見返しましたけど、みんな「よっしゃ」みたいな感じで袖に戻ってくるんですけど、僕ら2人とも腕組んで歩いてて。
伊織 うーん、どうだろうって(笑)。
青空 「どうだろう?」だった。ただ、ウケてりゃいいなと思って。
――無心ということですね。
青空 そうですね。ちゃんと見ごたえのあるものになってるかなっていう、そのことしか考えてないです。
――今年は確実視されていた方が準決勝で姿を消したり、始まる前から波乱含みです。
青空 そうなんですよ、本当に。
――俺たちの時代がきてる……みたいな感覚は?
青空 時代ですか……。
伊織 時代はまったく……確かに若い世代が注目されてるなって感じはするんですけど、別に大阪はそんな感じでもないんですよ。第7世代がきてる感じはあまりしない。
――ああ、この異様な「第7世代」ムーブメントは、割と関東特有のものなのか!
伊織 そうだと思うんですよね。関西は、そんなに気にしてない感じで。
――それって、関西のお笑い界のほうが、うまいこと新陳代謝がなされているということでもあるんでしょうね。今、それが東京にも起こりつつあると。
青空 そうかもしれないです。若い……僕らぐらいにも仕事が来るように、やっとなってるのかもしれないですね。
――決勝に出たら、認知度もまたグーンと上がると思われますが、これからやってみたい仕事などありますか?
青空 なんやろう。レギュラーが欲しいですね、番組の。『ワンナイR&R』(フジテレビ系)とか好きやったんで、ああいう。『笑う犬』(同)もめっちゃ見てたな。でもとにかく、『M-1』で目に見える結果を出してからですかね。
――以前(霜降り明星)粗品さんが「『M-1』で優勝してから、やっと自由に漫才ができるようになった 」ということをおっしゃってましたが。
青空 あぁ、そうやと思います。
――アドリブを効かせてネタをするとか。
青空 確かに。今はメチャクチャ避けますね。まぁね、簡単ですもん。お客さんの目線に合わせようと思えば、たぶんいくらでも合わせてできる。そういうのなしで、普通にちゃんと漫才をしないと、今は。
伊織 とにかく、たくさんの方々に笑ってもらえるように頑張ります!
――なんか、でもドキドキしますね……。決勝組で、ライバル視してるコンビはいますか?
青空 決勝で? 誰やろう? ちょっとどんな感じになるのかわからない。
伊織 最近……思うんです。やっぱりネタの最初のほう、まだまだ緊張してるなって。やっていったら徐々に落ち着いてはいくんですけど。だからライバルは……自分自身。
――なんか……イチローみたい。優勝後に、またインタビューをさせてください。その時は……もうちょっと心を開いていただけるように、私も精進します(笑)。
伊織 なかなか開かないんで。(青空は)開かないタイプなんで。
青空 いや、そんなことは、いや。またよろしくお願いします。
――(開いてない……)
(取材・文=西澤千央)
『M-1』グランプリの決勝が近づいている。今年は過去最多となる5,040組がエントリーし、夏から予選でしのぎを削ってきた。現在の『M-1』は予選出場者のネタ動画をGYAO!で配信しており、そこで要注目の新星を見つけるのも好事家たちの楽しみのひとつになっている。そして今年、「漫才うますぎる」「アマチュアってウソでしょ」と一躍話題をさらったのが「ラランド」だ。大学生と会社員、若き男女コンビは、いったい何者なのか?
***
――「『M-1』グランプリ」3回戦のネタ動画がGYAO!で公開されて、一躍話題になりましたね。お笑いファンがTwitterで反応しているのをたくさん見かけました(本インタビューは準決勝開催前の11月下旬に実施)。
さーや そうですね。お笑いのコアなファンの人たちが起点になってくれて、広がりました。私、毎分くらいの勢いでエゴサーチするんですけど、著名人の方もGYAO!の動画をリンク貼ってくれて「面白い」みたいにツイートしてくれてるんですよ。それがきっかけで、ライブを観に来てくれる人が増えてます。
――もともと上智大学のお笑いサークル出身の同級生なんですよね?
さーや そうです。SCS(Sophia Comedy Society)というお笑いサークルにいました。
ニシダ 同じ学部・学科の同級生です。
――ニシダさんはまだ大学生で、さーやさんが社会人2年目。
ニシダ 恥ずかしながら、僕は今も大学生ですね。ちょっと、退学したり復学したりとか、いろいろありまして……。
さーや 本来、社会人2年目くらいになってないといけないけど、足踏みしてるよね(笑)。
――さーやさんは広告系のお仕事をしながらお笑いをやっているとのことですが、これまで両立を続けてみてどうですか?
さーや 週5で働いて土日にライブ出るようなスケジュールでやってみて、意外といけるなって感じです。卒業のタイミングでいろんな事務所からオファーをいただいて、すごい迷ったし葛藤したんですけど、中学から大学まで私立に通わせてもらったとてつもない恩義が親にあるし、これは一回社会人にならないとなってことで就職したんです。でも、お笑いも諦めたくなかったので、両立してみよう、って。最近は平日もちょっとずつ依頼が増えてきてるんですけど、会社の制度を使いながらうまく空き時間を見つけてできているので、そんなに苦ではないですね。今日も午前休もらってて、このあと普通に出社します。
――おつかれさまです! ニシダさんは、相方が社会人になって自分だけ学生という状態に、不安はなかったですか?
ニシダ 最初は不安でしたけど、やってみたら学生の頃よりも活動できてるくらいなので、現状はそんなにないですね。ライブの数も、今のほうが増えてますし。
――ネタは2人で書いてるんですか?
さーや 2人で話し合いながら、私が大喜利部分を考えて、ニシダが笑ったところを使う感じです。
――さーやさんが社会人になって、ネタの中身が変わってきたところはありますか?
さーや どう……ですかねぇ。社会に出たらもうちょい鈍るのかなと思ってたんですけど、逆に人間観察がはかどった部分もあります。ネタの中でよくおばさん役を演じるんですけど、社会人になってからのほうがリアルさが増したんじゃないかなって思ってます。仕事の中でおじさん、おばさんと会って、リアルなところを見るので。
ニシダ 確かに、それはあるかもね。
――過去の『M-1』は2回戦進出が最高成績だったのが、今年は準決勝まで進めた理由は、どこにあると思いますか?
さーや 大学お笑いって、やっぱりお笑いマニアが集まってるから、どうしてもそこに向けたネタを作っちゃうんですよね。すごい伝わりづらいボケを楽しむみたいな文化があって、自分たちも、わりとそっち寄りになっちゃってたのかなと思います。それが社会人になって、「このボケはもうちょっと伝わりやすく変えよう」とか考えるようになりました。広告関係の仕事というのもあって、「伝える」「広める」ことに対してどんどん意識が変わってきたのを実感してます。多くの人に伝わって、それでいてちゃんとお笑いファンの人にも届くようなネタ作りになってきたというか。それは今年の結果に関係してると思います。もし大学を卒業したあとそのままお笑い一 本でやってたら、そういう発想になってなかったと思うので、そこはよかったかな。
ニシダ 場数も、学生の頃に比べると増えたよね。K-PROさんがよく呼んでくださって、いろんなプロの方たちと同じライブに出させていただいてます。それで新ネタもよく作るようになりました。今年は、月1~2本は作ってました。
さーや 大学お笑いのファンだけじゃない、普通のお笑いファンがいっぱいいるハコにたくさん出て、「どうやったらウケるのか」を考え直した感じはしますね。
――視界が広がった部分があるんですね。ただこの数年、大学お笑いに注目が集まる中で、「その代でいちばん面白いと言われる人ほど、芸人にならないで普通に就職する」と聞いたことがあります。
さーや それは本当にそうです。面白い人ほど就職しちゃう。しかもそういう人って、大企業にいくんですよ。大学お笑いで出した結果を武器に就活するので、いいところに入れる(笑)。それで揺らいじゃう部分があるみたいですね。最初から「お笑いをやるのはサークルの間だけ」と決めている人もいます。(小声で)信じらんない……。
――一緒にやっていた人からすると、「あんなに面白いのに続けないんだ……」って寂しくありませんか?
さーや でも逆に、プロになってスベってるところを観たくないとも思うんですよ。「あんなに輝いてた人が、(ヨシモト)∞ホール立つとこんなになっちゃうんだ!」って時がたまにあるので。
ニシダ あるある。
――さーやさんは、さっき小声で「信じらんない」って言ってましたが……?
さーや (笑)。私みたいに両方バリバリやるスタイルの人は今まであんまりいなかったので、後輩や先輩からも「頑張れ」「切り開け」って言ってもらえてます。今回の私たちを機に、同じような立場の人が「もっと活動しようって思っていいんだ」って思ってくれたらいいですよね。社会人をやりながらお笑いやるのってどうしても引け目を感じがちで、みんな「趣味です」って控えめな感じにしてるんですよ。私もちょっと前まではそうだったんですけど、そこに引け目を感じる必要はないのかなって最近は思い始めました。それでここ数カ月はオフィシャル感を出すというか、「趣味じゃないよ」って見せるやり方を結構考えてます。
ニシダ TwitterやSNSの発信の仕方を変えよう、って話は2人でしてるよね。
――それでいうと、今は事務所に所属しないフリーの芸人さんが増えてますよね。『M-1』はずっとアマチュアにも門戸を開いているけど、“フリーとアマチュアの違いってなんだろう?”と思うんです。「その仕事で食べている人」と定義すると、事務所に入っていてもお笑い一本で食べられてない若手の方はたくさんいるわけですし。
さーや そうなんですよね。『M-1』に出ているアマチュアの人を見てても、プロと差がないくらい面白い人はいっぱいいるので、「どう違うの?」って聞かれると……。
ニシダ 難しいとこだよね。何が違うんだろう。心意気?
さーや 「プロフェッショナルです」って言えるかどうか? でもそうなってくると、私たちも「プロ」って言いたいもんね。
ニシダ 頑張ってはいるからね。ただ、僕らは「アマチュア」で注目されてる部分も絶対あるから、難しいですね。「フリーです」って名乗ってたら、こんなに上がれてないのかもなと思う。
さーや そうだね。その恩恵はありがたく受けつつ、「アマチュアだからこれくらいでいいでしょ」っていうことではないものを見せたいなという思いはあります。
――しかしニシダさんはいま学生なので、今後は就活するかどうかというのもありますよね。
さーや それ、私も聞きたい。
ニシダ どうしようね?
さーや 知らん。ニシダは全然せかせかしないんですよ。
ニシダ 先のこと、あんまり考えないからね。俺の長所、1個だけしかなくて。「未来に不安を抱かない」なんですよ。
――かっこいいですね!
さーや いや、すっごいよく言ってますけど、なんもしてないだけですから。明日テストでヤバいときでも、普通にタバコ吸ってぼーっとしてるし。うらやましいくらい焦りがない。それを長所って言われたらもう「そうですか」としか言えないよ。
ニシダ でも、もし今年の『M-1』きっかけで事務所から声かかって、それなのに就職活動したらヤバくない?
さーや 意外と大丈夫じゃない? 私もそうだけど、副業OKの会社も今は多いし。メディアの人から見て「会社員でもある」というのが面白みになれば仕事につながるし、芸人一本でやってる人より見せられるところが増えるんじゃないかと思ってます。
――一方で、やっぱりいずれはお笑い一本でやっていけるようになりたい考えもあるんでしょうか?
さーや そうですね……お笑いだけでやっていけるくらいになったら、会社の仕事にも支障を来しちゃうと思うので、そうするかもしれません。でも今の仕事もすごい楽しいし、相乗効果みたいになってるので、あんまり簡単には手放せないかな。上司もすごい応援体制で、『M-1』予選の前日には「練習あるだろうから休みなよ」って言ってくれるんですよ。お笑い大好きな上司で、すごく恵まれてます。ニシダは……?
ニシダ 両親には、お笑いやってるって言ってないんですよ。
さーや 今回の『M-1』を機に、バレる可能性あるよね。敗者復活でテレビ出るし。
ニシダ ちょっと嫌ですね。
――Twitterに「家族仲が悪い」って書いてましたね。
親と壊滅的に仲が悪いので、家で優しくしてくれるのは犬だけです。
最近飼いはじめたんです。かわいいです。
でも、いつかこいつも死ぬのかなって考えると悲しいです。
僕がオナニーをしたあとは、きまって僕の股間周りを注意深く嗅いでから吠えるので将来は警察犬になれるでしょうね。— ニシダ (ラランド) (@DaalsKe) August 5, 2017
ニシダ そうなんですよ、めちゃくちゃ仲悪いです。家庭内の序列は犬より下です。
さーや 犬のほうが高いヨーグルト食べてたんでしょ?
ニシダ そう、俺よりいいヨーグルト食べて、もりもりウンコしてる。
――バレて好転するといいですね……。話は変わりますが、さーやさんはTwitterのプロフィールに「ニートtokyoに出るのが夢」って書いてますよね。ヒップホップ好きなんですか?
さーや すごい好きです。
ニシダ 2人とも好きなんですよ。
――いま一番よく聴いてるのは誰ですか?
さーや dodo君が好きです。同い年だし、彼も仕事しながらラップやってるので、自分と通ずる部分があると思って。社会人になってから、ずっと聴いて励まされてます。いつかどこかで仕事で出会いたいです。
ニシダ 僕は最近だとwebnokusoyaroですね。
さーや 服装も、表舞台に立たないときはストリートっぽいのが多くて、そういうカルチャーも含めて好きですね。
――プロじゃなくても自分たちでやっていく、道は自分たちでつくっていくというラランドさんのスタイルは、ヒップホップと通じる部分があるのかもしれません。
さーや そういう歌詞も多いじゃないですか。般若の曲でも「メジャーもインディーも違いはねぇ」「ウソつけ(ライブの客)8割身内だろ」とかあって(「はいしんだ feat. SAMI-T from Mighty Crown」)、すごい通じる部分があるなって(笑)。
ニシダ そういう人、いるもんね。俺らもストリートっていうか野良みたいなもんだからね。野良芸人。
さーや 犬より高価なもん食べれてない、マジの野良ね(笑)。
●ラランド
さーや(1995年12月13日、東京都出身 )とニシダ(1994年07月24日、山口県出身)のコンビ。2014年結成。12月22日放送の「『M-1』グランプリ2019」敗者復活戦に出場予定。
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