TWICE、J.Y.Park作曲の「Switch to me」から繙く、K-POPブーム前夜90~00年代の“韓国製”NJS楽曲紹介

――毎月リリースされるK-POPの楽曲。それらを楽しみ尽くす“視点”を、さまざまなジャンルのDJを経て現在はK-POPのクラブイベントを主宰するe_e_li_c_a氏がレクチャー。

今月の1曲:DAHYUN and CHAEYOUNG (TWICE) - 나로 바꾸자 Switch to me

 TWICEのメンバーが1人単位で、ほかのアーティストの曲をカバーする「Melody Project」という企画で発表された楽曲です。昨年大みそかにリリースされたRainとJ.Y.Parkの楽曲「나로 바꾸자 Switch to me」をダヒョンとチェヨンがカバーしました。原曲は、君には自分のほうが似合ってる、自分のほうが良い男だ、とRainとJ.Y.Parkが女性を取り合う曲です。ダヒョンとチェヨンのカバーは歌詞の性別が男から女に入れ替えられており、原曲よりも楽曲のテイストの90年代を意識したスタイリングになっています。

 J.Y.Parkは言わずもがなですが、2020年にRainはMBCの『遊ぶなら何する?』という番組の企画でユ・ジェソク、イ・ヒョリと共にSSAK3(サクスリー)という期間限定ユニットを結成し、90年代に主流だった夏のダンスミュージック楽曲をリバイバルするという趣旨で当時の曲をカバーしたり、新曲をリリースし、大ヒットしました。

 今までの連載を見てくださった方には聞いてわかる通り、「나로 바꾸자 Switch to me」はNJS(New Jack Swing)楽曲です。NJSについては一昨年、PENTAGONの「HAPPINESS」がリリースされた際に音楽的な面から解説しましたが、この記事では韓国にNJSが入ってきてから、2010年代までの間をかなり省いて書きました。

 またJ-Popに関しては、NJSの歴史に沿った読み物が探せば見つかりますが、日本語で韓国のNJSについて書いてある読み物があまり見つからなかったので、今回はNJSという切り口から、年代に沿ってアーティストや当時の韓国を取り巻く現状などを紹介していきたいと思います。以前の記事にも書いた、서태지와 아이들(ソテジワアイドゥル)と듀스(DEUX、デュース)については省いて、時系列順に紹介します。

90年代~00年代初頭の韓国のNJS楽曲

■이승철 (Lee Seung Chul) - 방황 (The Wandering、彷徨) (1992/11)

 イ・スンチョルは부활(復活)というバンドの2代目ボーカルとしてデビューし、アイドル級の人気を博します。イ・スンチョルがあまりに人気だったため、当時バンドの「復活」と言うより「イ・スンチョルのバンド」という認識を持っている人が多かったそうです。リーダーでプロデューサー兼作詞作曲家のキム・テウォンとの意見のすれ違いや彼の逮捕によりグループは解散し、1989年にイ・スンチョルはソロデビューします。

 この楽曲は作編曲を김홍순(キム・ホンスン)がやっており、後述するUptownの「다시 만나줘」(Back to me)にも彼の名前があります。

 ただこの曲は後に盗作疑惑がかけられ、作詞作曲の著作権者に関しては「無」という表記になります。Bobby Brownの「Humping Around」が原曲ではないかと言われていますが真相は闇の中です。94年にリリースされたアルバム『The Secret of Color』収録の「착각」(錯覚、勘違い)もNJSです。

 近年はMnetのオーディション番組『Super Star K』シリーズに審査員として出演したり、昨年35周年記念アルバムをリリースし、少女時代のテヨンとデュエットをしています。

■양준일 (Yang Joon-il) - Dance With Me 아가씨 (Dance With Me Lady) (1992/11)

 ヤン・ジュンイルの「Dance with me 아가씨」(アガシ、お嬢さん)です。この曲の収録されている2枚目のアルバム『나의 호기심을 잡은 그대 뒷모습』(僕の好奇心をつかんだ君の後ろ姿)に入っている「가나다라마바사」(Pass Word、カナダラマバサ)もNJSです。

 ヤン・ジュンイルは韓国系アメリカ人で、91年に「리베카」(レベッカ)という曲でステージデビューします。しかし93年に、「レベッカ」が公演倫理委員会(※1)によって盗作曲と判定を受け、ビザの更新もうまくいかず、しばらく姿を消すこととなります。「レベッカ」はJanet Jacksonの「Miss You Much」を盗作した疑惑がかけられていたそうですが、公演倫理委員会の判定基準は当時の専門家の間でも議論があったそうです。

 引用元は「米国の歌、日本の歌、香港の歌」とだけ記載され、具体的な引用元が明示されておらず、保守的な委員会の人たちが彼の自由奔放な姿を気に入らなかったからでは、ともいわれています。

 長い髪の毛やダボッとした服装が、まだ保守的だった当時の韓国ではだらしなく見え、英語がふんだんに散りばめられた歌詞に聞き慣れないジャンルの楽曲は「新鮮で型破り」という評価を受けますが、大ヒットとまではなりませんでした。サビに英語を持ってきて、それを繰り返す手法というのは現代のK-Popの定石ともいえますが、韓国語があまり得意ではないヤン・ジュンイルのような人が本能的にそのような曲を作ってパフォーマンスしていたというのは、今考えるととても興味深いです。

 当時の姿が、顔も含めてG-Dragonに似ていることから、2018年頃ネット上で話題になり、19年に出演した『シュガーマン』(※2)で時代の最先端を行っていたと再評価されます。番組出演のための来韓だったので、すぐにアメリカに帰国しますが、番組放送後の反響は凄まじく、最終的に韓国に移住し音楽活動をすることになります。つい先日、2月22日にもEPがリリースされ、CDの売り上げなどもアイドルグループに引けを取らない、かなり良い成績を残しています。

※1:現在の「映像物等級委員会」にあたる組織で、映像物の倫理性及び公共性を確保して青少年を保護するための等級委員会。
※2:韓国歌謡界で一世を風靡するも、いつの間にか消えてしまった、いわゆる一発屋の歌手のヒット曲にスポットライトを当て、当時のエピソードを聞いたり、最前線で活動するアイドルが彼らの楽曲をカバーするという番組。

■김건모 (Kim Gun-Mo) - 버려진 시간 (Lost time、失われた時間) (1993/10)

 韓国歌謡界の伝説と言われるキム・ゴンモの2枚目のアルバム『김건모 2』(キムゴンモ2)収録曲です。キム・ゴンモの総アルバム売り上げ数は330万枚で、19年に入って防弾少年団に339万枚で破られるまで、彼がこのギネス記録をずっと保持していたことを考えると、どれだけすごいことかわかると思います。

 デビューアルバムのタイトル曲はソウルミュージックで、『김건모 2』(キムゴンモ2)のタイトル曲「핑계」(ピンゲ、言い訳)はレゲエのリズムを取り入れたり、「버려진 시간」(Lost time)ではNJSをやったり、ハウス曲「어떤 기다림」(Waiting For)があったりと、この時代にダンスミュージックをうまくポップスに取り入れているアーティストです。

 90年代前半のラップはどの曲もまだしゃべる延長という感じがしますが、彼のラップは頭ひとつ抜けている印象です。96年リリースのアルバム「Exchange kg. M4」収録の「악몽」(悪夢)もNJS寄りの楽曲です。

■김성재 (Kim Sung Jae) - 말하자면 (As I Told You、言わば) (1995/11)

 DEUXの片割れキム・ソンジェのソロデビュー曲「말하자면」(マルハジミョン、言ったとおり)です。キム・ソンジェは小学生の終わり頃から日本に住み、BAE173のナム・ドヒョンやm-floのVERBALが通ったセント・メリーズ・インターナショナルスクールや、ZICOが通った東京韓国学校に通っていたそうです。

 SBSの『생방송 TV 가요20』(生放送TV歌謡20)という、現在日曜日に放送している音楽番組『人気歌謡』の前身番組でソロデビューしますが、次の日の11月20日にホテルで死んでいるところをマネジャーが発見します。腕にはたくさんの注射の跡があり、遺体からは動物に使う麻酔薬が検出されたそうで、交際していた歯学部生の彼女が逮捕されますが、最終的には無罪になるなど未解決事件となります。この事件をモチーフにした『真実ゲーム』という映画も、00年に公開されています。

 16年にBTSがカバーしたことで知っている人もいるかもしれません。

■룰라 (Roo'Ra) - 3!4! (1996/06)

 DEUXのキム・ソンジェの相方、イ・ヒョンドがプロデュースしたルーラの4枚目のアルバムタイトル曲、「3!4!」です。グループ名は彼らのデビューアルバムのタイトルにもなった「Roots Of Reggae」から来ており、文字通りレゲエを軸に活動するというコンセプトでした。

 当初、男性3人でのデビューが企画されますが、当時大人気だったソテジワアイドゥルと同じ構成になるため、男女混合グループの男性3人・女性1人でデビューします。その後男性1人が兵役のため脱退し、女性ボーカルが1人入り、この映像と同じ男女2人ずつのグループとなります。

 デビュー時から人気があり、日に日に人気は増していきますが、3枚目のアルバムタイトル曲「천상유애」(天上遺愛)がジャニーズ事務所所属・忍者が歌った美空ひばりのカバー「お祭り忍者」の盗作疑惑が出ると一変、世間の目が厳しくなり、音楽番組等に出られなくなります。キム・ソンジェの葬儀場で距離の縮まったイ・ヒョンドとルーラのメンバーですが、この状況だったルーラのためにイ・ヒョンドが曲を提供し、それがこの「3!4!」でした。この4枚目のアルバムでルーラは人気を取り戻します。

 ルーラのあまりの人気に当時「꼬마 룰라」(ちびっ子ルーラ)が結成され、幼少期のG-Dragonがメンバーに選ばれ、これがYGエンタテインメントからスカウトされるきっかけになったそうです。

 YGエンタテインメント第一号アーティストとしてデビューした、男性3人組グループKeep Sixのデビューアルバム『Six In The Cambah』のタイトル曲で、デビュー曲です。同じアルバムに入っている後続曲「어떻게」(オットケ、どうしよう)もNJS楽曲です。

 メンバーのうち2人はソテジワアイドゥルのバックダンサー出身で、メインボーカルのイ・セヨンは韓国系ブラジル人です。ソテジワアイドゥルのメンバーでYGエンタテインメント創始者、ヤン・ヒョンソクがソテジワアイドゥル解散後に作ったグループということで話題になりますが、当時NJSといえばDEUXの専売特許で、先に紹介したRoo'Raやイ・ヒョンドなどNJS楽曲で活動するアーティストが多く、無難で印象に残らなかったそうです。

 さらに96年末にはソテジワアイドゥルのメンバー、イ・ジュノが発掘したブレイクダンスができるダンサーを集めて作った男女混合グループYoung Turks Clubが大ヒットし、人気絶頂のH.O.Tが音楽授賞式で賞を総なめしたことで、大衆からは忘れられた存在になってしまいます。

 Keep Sixの商業的な失敗は今でもYGエンタテインメントの黒歴史扱いされているそうですが、その後デビューしヒットするJinuseanなどにノウハウが生かされました。

■업타운 (Uptown) - 다시 만나줘 (Back to me、やり直そう) (1997/01)

 今現在も韓国でラッパーとして活動するユン・ミレの所属していたHiphopグループ・Uptownのデビュー曲です。ユン・ミレは、アフリカ系アメリカ人の父と韓国人の母を持つアメリカ生まれの韓国系アメリカ人で、後のUptownのリーダー、チャン・ヨンジュンの目に留まり14歳でアメリカから韓国に移住することとなります。

 韓国ではインターナショナルスクールに通いますが、肌の色などで差別を受け、中退するなどつらい経験をしました。デビュー時15歳でしたが、芸能活動に支障があったため19歳と偽り活動します。途中で年齢が明らかになりますが、当時はそこまで問題視されずUptownの活動は続きます。ユン・ミレは同じ事務所の別ユニットTashannie(タシャニ)として活動するためUptownからは脱退し、ほかのメンバーが薬物疑惑で拘束されたことから、最終的には解散となりますが、後のHiphopシーンに多大な影響を与えます。

 「다시 만나줘 」(Back to me)の作曲は、先述イ・スンチョルの「방황」(彷徨)を作ったキム・ホンスンとチャン・ヨンジュンで、彼はほかにもUptownの曲をたくさん作ります。チャン・ヨンジュンは02年にKBSで放送された『Space HipHop Duck』というアニメの音楽監督も務め、OPとEDはYGエンタテインメント所属のアーティストが担当しています。

 Uptownは05年に再結成されますが、盗作疑惑などもあり「UPT」に改名し、今では韓国Hiphop界の重鎮となったラッパーSwingsなどをメンバーに迎えたものの、ヒットとまではならず、現在は解散の発表こそされていませんが、空中分解状態となっています。

■언타이틀 (Untitle) - 날개 (Wings、翼) (1997/2)

 自分たちの曲全てを作詞作曲するユ・ゴンヒョンと、作詞・ラップ・振り付けをするソ・ジョンファンの2人組グループ、アンタイトルの2枚目のアルバム『The Blue Color』のタイトル曲です。 DEUXファンだった2人はデモテープをイ・ヒョンドに送り、彼と同じ事務所に所属して音楽活動をしました。この曲はミリオンヒットを記録し、さまざまな音楽番組で1位を獲るほどの人気がありましたが、3枚目アルバムの収録曲「자살」(自殺)という曲が放送審議規定に引っかかり、プロモーション活動ができなくなり、人気は低迷します。

<韓国の音楽背景にある「健全歌謡」「セマウル歌謡」>

 韓国の“時代”を象徴する音楽は、1960年代半ば頃~70年代にかけては「貯蓄の歌」「豊かに暮らそう」「今年は働く年」など政府主導で進められる音楽統制政策の一環で作られた「健全歌謡」(政府権力者にとって望ましいものが「健全」という基準)、70年代は「勤勉」「自助」「協同」を基本精神とした農村近代化運動の「セマウル歌謡」があります。

 どちらも歌を利用して国を一丸とする、いわゆる“精神高揚運動”のようなものですが、80年代は「健全歌謡挿入義務制」が実施され、発売されるレコードやテープなどの音源全てに必ず1曲は「健全歌謡」を収録しなければいけなくなります。

 88年にその制度が廃止され、90年代はそういったものから解き放たれた時代……かと思いきや、アンタイトルのほとんどのアルバムには「奉仕」「犠牲」「愛」「正義」「礼儀」などのキーワードが散りばめられており、セマウル運動のスローガンとして掲げられた「잘 살아보세」(幸せに生きよう)を表しているようで、“ほとんどセマウル歌謡”と評価されていたりもします。

 アンタイトルの解散後もユ・ゴンヒョンはgodやPSY、オム・ジョンファ、Roo'Raなどの作曲を担当し、なんとあの江南スタイルはPSYとユ・ゴンヒョンの共作です。ついこの間リリースされたヒョナの「I'm Not Cool」を始め、PSYが設立したP NATIONの所属アーティストの楽曲は、ほとんどがユ・ゴンヒョンによるものです。

 韓国Hiphopの元祖と言えば、な2人ジヌとションで「ジヌション」です。2人ともアメリカで育った韓国系アメリカ人で、YGエンタテインメントから97年にデビューします。「말해줘」(Tell me)の収録されたデビューアルバム『Jinusean』は、Hiphopのアルバムでは異例の70万枚を売り上げます。

 このアルバムはソテジワアイドゥルのメンバーでYGの元代表ヤン・ヒョンソクとDEUXのイ・ヒョンドの共同プロデュースで、「말해줘」(Tell me)はイ・ヒョンドが、もう1つのタイトル曲「Gasoline」はヤン・ヒョンソクが作詞作曲をしています。「말해줘」(Tell me)の動画に出てくる女性ボーカルは、現在も最前線で活動する女優で歌手のオム・ジョンファです。昨年、前述の『遊ぶなら何する?』の企画でイ・ヒョリやラッパーのJessi、MAMAMOOのファサと共に「REFUND SISTERS」(払戻し遠征隊)を結成し、「DON'T TOUCH ME」という曲をリリース、大ヒットしました。

■S.E.S. - 너를 사랑해 (I Love You、君を愛してる) (1998/11)

 97年にデビューしたSMエンタテインメント所属、3人組女性グループS.E.S.の2枚目アルバム『S.E.S. 2』の後続曲「너를 사랑해」(I Love You)です。

 S.E.S.は追って紹介するFin.K.Lと共に、今までのK-Popに多大な影響を与えたグループで、90年代のガールズグループブームの主役であり出発点となりました。当時韓国にガールズグループという概念がなかったわけではないですが、ヒットを生むのは難しく、SMエンタテインメントは時間とお金をかけてS.E.S.を準備しました。

 若い女性たちがH.O.T.やSechs Kiesに熱中し、海外ではTLCやSpice Girls、日本でSPEEDなどが大ヒットしている中で登場したS.E.S.は、遠巻きでアイドルブームを見ていた男性たちにタイミング良くはまり、デビュー直後から人気は爆発します。デビュー曲の「I'm Your Girl」も少しNJSみのある曲です。

 2002年にグループは解散しますが、デビュー20周年記念として17年にアルバム『Remember - S.E.S. 20th Anniversary Special Album』がリリースされ、収録された「한 폭의 그림」(Paradise)は見事なNJS楽曲でした。

■유승준 (Steve Yoo) - 열정 (Passion、情熱) (1999/05)

 97年にデビューしたソロ歌手スティーブ・ユーの3枚目アルバム『Now Or Never』のリード曲「열정」 (Passion)です。このアルバムは、チョ・ソンモ、H.O.Tに続き99年のレコード販売枚数3位となるほど大ヒットします。

 スティーブ・ユー(ユ・スンジュン)は韓国で生まれ、13歳の時に家族でアメリカに移住します。歌手を夢見て韓国の企画会社に売り込みをし、20歳の時に契約が決まり、再び単身韓国に戻ります。97年に「가위」(悪夢)でデビューし、複数の音楽番組で1位を獲得、その後リリースする6枚目のアルバムまで連続で大ヒットします。4枚目アルバム『Over And Over』のタイトル曲「비전」(飛展)もNJSです。

 当時、一部の若者には日本のビジュアル系が流行し髪を長く伸ばす人もおり、中学高校などでは頭髪規定が厳しく、取り締まり問題も取り沙汰されましたが、スティーブ・ユーの人気が増したことで坊主が大流行します。ドラマやバラエティ番組などにもたくさん出演し、テレビ番組を通して謙虚で礼儀正しく、運動もでき何にでも熱心な姿を見せ、一方で話すとコミカルで近所のお兄さん的な身近さがある、という完璧とも言える印象で、文字通り老若男女から愛される芸能人となります。

<兵役法改正にも影響を与えた、アメリカの市民権取得>

 当時の人気を象徴するのが、2001年釜山で行われた日韓ワールドカップの組み合わせ抽選会で韓国伝統芸能やオペラなどと一緒にスティーブ・ユーがパフォーマンスをしたことでしょう。しかし02年に彼がアメリカの市民権を取得したことで、公益勤務要員(※3)が決まっていたのにもかかわらず、それを避けるためではないかとの疑惑が広がり、世論はヒートアップします。

 最終的に国は彼に韓国への入国禁止措置を取ります。普段の品行方正な印象やインタビューなどで兵役に行くと答えていたこともあったため、余計に世間の目は厳しく、これをきっかけに「ユ・スンジュン」と呼ばれていた彼は「スティーブ・ユー」と呼ばれるようになったわけですが、後の兵役法改正にも影響を与えるほどとなります。

 これまで男性芸能人は兵役免除や社会服務要員となることが多かった風潮も一変し、近年は兵役に行かなくてよい外国籍の芸能人が兵役に行ったりと、非常にデリケートな問題ではありますが、外から見ていると、どんどん生きるのに窮屈な社会になってきているように見えます。

※3:兵役に行く前に受ける徴兵検査で、健康状態などの理由から軍隊に入って役務をこなせないと判断された場合に割り振られる区分。現在は社会服務要員と呼ばれており、一般的なのは役所などに勤務するもの。自宅から通うことが義務付けられており、勤務時間も通常9時~18時なため、軍隊に入るよりはプライベートな時間を確保できるといわれている。

 ユニット名のTashannie(タシャニ)は先述のUptownのメンバー、ユン・ミレ(Tasha)とカナダ系韓国人で振付師のイ・スア(Annie)の英語名を組み合わせたものです。デビューアルバム『Parallel Prophecys』のタイトル曲「참을 수 없어」(我慢できない)に続く後続曲が「경고」(警報)です。アルバムのプロデュースはUptownのチョン・ヨンジュンが担当し、収録曲の作曲をヒット曲メイカーのパク・グンテ、Bighitエンタテインメント創始者のパン・シヒョクなどが担当しました。

 活動がH.O.T、Fin.K.L、S.E.S、Sechs Kies、Baby VOXなどの大御所とかぶり、あまり成績は振るいませんでしたが、「경고」(警報)がリズムゲーム「Pump It Up The O.B.G.」に収録され、このゲームがゲームセンターで大ヒットしたため、カラオケなどでも人気が出ます。

■브로스 (Bros) - 윈윈 (Win Win) (1999/10)

 先述のRoo'Raのメンバーであるイ・サンミンが当時のYGファミリーに対抗し、デビュー前の新人アーティストたちを広報する目的で作ったといわれるブロスのデビュー曲「Win Win」です。

 Roo'Raのメンバー4人、Roo'Raメンバーのチェ・リナを中心に作られた女性3人組グループ・디바(Diva)、男性5人組グループ・엑스라지(X-LARGE)、女性4人組グループ・샤크라(Chakra)のメンバーがおり、その後Chakraはデビュー65日で地上波音楽番組1位を獲得するなど、当時の3大ガールズグループ(S.E.S.、Fin.K.L、Baby VOX)の記録を破ります。

■2000 대한민국 (2000 Republic of Korea) - 아름다운 21C (Beautiful 21C、美しい21世紀) (2000/01)

 韓国初の正式にリリースされたHiphopコンピレーションアルバム『1999대한민국』(1999大韓民国)に続く第2弾シリーズ『2000 대한민국(大韓民國)』の収録曲です。

 『1999大韓民国』はX-Teenというユニットを中心に、ユン・ミレの夫TigerJKが所属するDrunken Tiger、Uptown、ソテジワアイドゥルのメンバーであるイ・ジュノが所属したHoney Family、現在『SMTM』(Show me the money)シリーズのMCを務めるキム・ジンピョ、Bobby Kimなどメジャーで活動していたラッパーを中心に34人が参加しています。Honey Family名義の「우리같이 해요」(一緒にやろうぜ)はマイクリレー曲にもかかわらず、音楽番組で良い成績を収め、約3年間のHiphopコンピレーションアルバム制作ブームのきっかけとなります。

 実は「2000 대한민국(大韓民國)」というタイトルのコンピレーションアルバムは、シンナラレコードから出たものと千里眼(現在のNaverのような、当時PC通信サービスを運営する会社)から出たものと2つあり、「아름다운 21C」(Beautiful 21C)が収録されているのはシンナラレコードからリリースされたものでした。

 『1999大韓民国』の時に参加したラッパーたちがどちらにも散らばり、自分たちが元祖2000大韓民国だと主張する騒動も起き、明確に勝敗が決まったわけではありませんが、千里眼からリリースされたものを元祖とすることが一般的になります。歌詞がいわゆる愛国歌のような内容で、どの国でもHiphopというジャンルにはこういう精神が反映されるものなのだな、と思わされます。

■핑클 (Fin.K.L) - 나우 (Now) (2000/10)

 98年に大成企画からデビューした女性4人組グループ、Fin.K.L(ピンクル)の3枚目アルバム『Now』のタイトル曲です。大成企画は現在のDSPmediaの前身で、Fin.K.L以外にもSechs KiesやSS501、KARAなどが所属し、90年代後半の歌謡界は“SMエンタテインメントかDSP”と言われるほどでした。現在はAPRILやKARDなどが所属しています。

 Fin.K.Lは冒頭で紹介したイ・ヒョリがリーダーを務め、女性アイドルグループとして「初」の記録を多数残すグループです。例を上げると、このNowで見られるスーツコンセプト、歌謡大賞の受賞、単独コンサート、平壌公演、ドラマOST参加、コンサートDVD発売などがあります。デビューから20年以上経った今でもロールモデルとしてFin.K.Lを挙げる人がいるぐらいで、後の「アイドル」という概念に多大な影響を与えたグループです。

 当時のプロモーション画像が見られる動画などを見ると、日本の女性グループや、主にSPEEDなどから多大な影響を受けてそうだなと感じます。

 『Now』以前は妖精、かわいさ、親近感などをコンセプトに売ってきましたが、『Now』ではセクシーでかっこいい方向にコンセプトをシフトチェンジします。今のK-Popであれば曲ごとにコンセプトを変えることはそこまで珍しいことではないですが、当時は大挑戦だったといわれています。しかしアルバム『Now』は2枚目のアルバムに劣らない大ヒットを飛ばし、コンセプトのおかげか女性ファンも増加します。

 2002年から個人活動がメインになり、メンバーそれぞれの所属事務所も別々になりますが、現在も解散という発表はしておらず、19年には「남아있는 노래처럼」(残っている歌のように)という曲をリリースします。

■디베이스 (D.BACE) - 모든것을 너에게 (Everything to you、全てを君へ) (2001/05)

 DEUXのイ・ヒョンドが作った男性5人組グループ、D.BACE(ディベース)のデビューアルバム『D.Bace』のタイトル曲です。「모든것을 너에게」 (Everything to you)はヒットし新人賞も取りますが、2枚目のアルバム『GO』では大きな反応は得られず、空中分解してしまいます。

 00年にSechs Kies、01年にH.O.T.が解散してからは、今まで紹介してきたようなHiphop、ダンスミュージック一辺倒だった歌謡界は歌い上げるバラード中心になり、音楽番組も生歌重視になったため、神話以外の歌とパフォーマンスをメインにする男性グループはほとんど受け入れられない時期だったそうです。

■주석 (Joosuk) - 정상을 향한 독주2 (Solo proceed to the top、頂上への独走2) (2003/11)

 韓国アンダーグラウンドHiphopの帝王と呼ばれたラッパーでありプロデューサーのジュソクの3枚目アルバム『Superior Vol. 1 This Iz My Life』のタイトル曲です。「2」とついているように、1の原曲は前述『2000大韓民国』の千里眼からリリースされたほうのアルバムに収録されています。聞き比べるとわかりますが、原曲の方はビートがかなりシンプルで、2のほうが聞きやすくなっています。

 幼少期に日本に住んでいたことがあり日本語が堪能で、日本のHiphop界ともつながりがあり、活動初期のアルバムにはOZROSAURUSのMACCHOやZEEBRAなどが客演しています。

 12年、Mnetで始まったラップサバイバル番組『SMTM』のシーズン1でプロデューサーを務めて、LOCOと共にWonder GirlsのLike Thisのトラックでステージを披露し、観客投票1位を獲得します。

 今回は00年代前半までを紹介しましたが、これ以降はHiphopやR&Bジャンルの楽曲でも電子音が多く取り入れられ、NJSの特徴の16分3連符が主体のスウィングビートは減り、はっきりとNJSと言える楽曲はほとんど見られなくなります。

 NJSという切り口からの特集でしたが、90年代に最低限押さえておけば大丈夫そうなアーティストは、ほとんど言及できたと思うので、いかにこの時代にNJSがはやっていたかがわかると思います。

 今回紹介した人たちのルーツが韓国だけでなく、主にアメリカなど複数国にまたがっていることが多いのも気になる点でした。そのような人たちが韓国にHiphopなどのいわゆるブラックミュージックを浸透させることにかなり寄与していそうですし、現在もK-PopがHiphopやR&Bベースな楽曲が多いことにも関係しているのではないかと思います。

 ちなみに韓国では自国外に住む韓国人・同胞のことをキョッポ(교포、僑胞)と呼び、在米の場合はチェミキョッポと言います。今回さまざまな文章を読みましたが、"キョッポ"の頻出度合いはすごかったです。

 また、現在活動するアーティストでそのような人を時々見かけていましたが、生まれてから今までずっと日本に住んでいる自分にとって、親の会社の海外赴任とかではなしにアメリカに移住し、さらにまた韓国に帰って来たり、アメリカで生まれても韓国に行ったりするという感覚がイマイチピンとこなく、そういう部分の歴史的背景、文化、心理などがわかればもう少し解像度の高い解説ができたかなと思います。

 引用したYoutubeのステージ動画はほとんどがテレビ局の公式アカウントからアップされており、アーカイブという観点から非常に有用なものだと思うので、権利関係などが難しいのはもちろんですが、いろいろな国でやって欲しい試みだなと思いました。またテレビ番組のステージ動画を中心に掲載したため、NJSじゃなくない? と思う曲もあるかもしれませんが、当時は生演奏などもあり実際の楽曲とは少し違うように聞こえることもあるので、原曲を探して聞くと納得してもらえると思います。

落選したけど……紹介したい1曲:온앤오프 (ONF) - Beautiful Beautiful

 いまさら紹介する必要もないような気もしますが、9月の記事で紹介した、ONFの正規アルバム『ONF: MY NAME』のタイトル曲です。デビュー直後の彼らの楽曲は大好きで、ここ最近のタイトル曲はそこまでピンと来ていなかったのですが、ここに来てアルバム丸ごと最高のものが来てしまいました……。

 公式の文章では、「前のアルバムが平行世界の中でもう一つの時間旅行に出たユートピアでのエピソードだったとすれば、今回は統制された未来での自由を求める少年たちの青春という名の話」となっています。コロナ禍をかなり意識したものになっており、アルバム丸ごと、是非歌詞の意味を調べながら聞いてほしいです。

<近況>

 最近はタイポップとアイドルグループが出演する映画にハマっています。PiXXiEとP1Harmonyが出演する、『P1H:新しい世界の始まり』をよろしくお願いします。

K-POP 2020年下半期ベスト15曲! SM・JYP・Big Hitエンタのほか、所属アーティスト1組の事務所もランクイン

――毎月リリースされるK-POPの楽曲。それらを楽しみ尽くす“視点”を、さまざまなジャンルのDJを経て現在はK-POPのクラブイベントを主宰するe_e_li_c_a氏がレクチャー。今回は2020年下半期に発表された楽曲を振り返ります!

 今月は2020年下半期(7月~12月)のリリースから私の好みの15曲をピックアップして紹介します。特に順位はなく、7月からリリース順に挙げています。上半期についてはこちらを参照ください。

레드벨벳 - 아이린&슬기 (Red Velvet - IRENE & SEULGI) - 놀이 (Naughty) (2020.07.06)

 SM Entertainment所属Red Velvetの年上メンバー2人、アイリーンとスルギによるユニット曲です。先にタイトル曲である「Monster」で音楽番組等出演し、「Naughty」は後続曲という扱いです。

 メンバーのウェンディが昨年末の事故によりしばらく活動できなくなってしまった状態で、昔のSMならしれっと4人で活動させていた気もしますが、この2人でユニットをできたことでさらにRed Velvetというグループに奥行きが出たと思います。やはりSMはこういう曲をやらせるとうまいな、と思うのと本人たちの雰囲気に合ったFuture HouseとDeep Houseの良いところ取りのようなハネた曲にヴォーギングをあわせているのも最高です。

여자친구 (GFRIEND) - Apple (2020.07.13)

 SOURCE MUSIC所属、6人組グループヨジャチングの9枚目EP『回:Song of the Sirens』のタイトル曲です。SOURCE MUSICは2019年にBTSの所属するBig Hit Entertainmentに吸収され、現在はBig Hitの子会社という立ち位置です。ガールクラッシュに食傷気味になっていたところに、ガツガツした感じでもニュートロでもない、妖艶に真正面から攻めて来たのが個人的にとてもハマりました。

 ヨジャチングは学校コンセプトでデビューし、いわゆる清純派として大ヒットし、段々と大人っぽい方向にシフトしてきました。K-Popアイドルは年齢を重ねるとコンセプトも段々と大人っぽくなっていくのが一般的ですが、Big Hitに吸収されていなくても今回の「Apple」のようなクオリティのコンセプト、楽曲が出てきたのかは少し気になります。例によってKBSの年末歌謡祭でのステージが(メンバー1人不在ですが)最高なのでよかったら見てみてください。

한승우 (HAN SEUNG WOO) - 답장해 (Reply) (2020.8.10)

 Play M Entertainment所属、7人組グループVICTON(ビクトン)のリーダー、ハンスンウのソロ・デビューEPから、サブタイトル曲()的な立ち位置の曲です。

 「Reply」はVICTONの初期を感じさせるようなハネた、少しポップな雰囲気がありつつ、彼の少し独特で気持ちの良い高音を生かした楽曲です。EPの『Fame』もアルバムとしてのクオリティが高く、4曲目の「원해(I Just Want Love)」とどちらを選ぶかとても悩みました。VICTONはやはりラップといえばハンセというイメージですが、『Fame』ではオールラウンダーなハンスンウが見られ、上半期に挙げた、同じく『Produce』シリーズに出演していたハソンウン・チョスンヨンと共に、グループとして活動しているだけでは見られない新たな一面が発見できた良いソロデビューだったと思います。

 上半期に挙げたApinkも同じPlay M所属ですが、Play Mはこういう“良い曲”に強いイメージがあります。

タイトル曲は1カ月前後の活動期間中に音楽番組などで披露する曲ですが、アーティストによっては初週に音楽番組でタイトル曲と一緒に披露する、1分半~2分程度に短く編集した曲があり、それを私が勝手に「サブタイトル曲」としています。後続曲とはまた違うものです。

루시 (LUCY) - 수박깨러가 (Watermelon) (2020.8.13)

 Mystic Story所属、4人組グループLUCYのEP『PANORAMA』のアルバム収録曲です。英語のタイトルは「Watermelon」となっていますが、ハングルの「수박깨러가」は「スイカ割りに行こう」という意味で、夏の情景を描いた真夏のリリースにぴったりの楽曲です。

 LUCYは9月の記事で紹介済みですが、「PANORAMA」に収録されている曲がどれもとても良く、1曲を選ぶのが大変でした。アルバムコメンタリーの冒頭で、EPの楽曲が「Jogging」の朝から「Flare」の夜のお祭りの雰囲気まで時間順に並んでいると説明していて、夏の1日の朝から晩までを感じて楽しめるEPになっています。

 サビ後に聞こえる水に潜るような音と、スティールパンのようなシンセ、リワインドの音が中毒的でとても好きです。コメンタリーでウォンサンが「ぶくぶくという音と一緒に水に潜って、出てくるとグァンイルのパートが始まる」と言っていますが、確かにこのサビの後の音は少しフィルターがかかっているようなはっきりとしない音になっていて、それがうまく水の中いることを表しているなと感じました。

에이스 (A.C.E) - 황홀경 (Baby Tonight) (2020.09.02)

 BEAT INTERACTIVE所属、5人組グループA.C.E(エイス)の3枚目EP『胡蝶之夢(HJZM : The Butterfly Phantasy)』のアルバム収録曲で、後続曲でもあります。タイトルの「황홀경」(ハンホルギョン)は漢字で書くとそのまま「恍惚境」(こうこつきょう)となります。

 2020年は恍惚境の年。私がようやくA.C.Eの良さに気付けた1年でもありました。11月の記事ですでに紹介しているため言うことはあまりありません……。ダンス付きで披露する音楽番組などのステージは、動画が残るのでうれしくはあるのですが、曲全てが好きすぎて真剣に歌って欲しいので、あまり踊ってほしくないという矛盾があり、いつも心で戦っています。

 年上メンバー2人の兵役が迫っているため、あまり時間が残っていませんが、せめてあと1回カムバして……と思う日々です。

 Warner Music Korea所属、シンガーのJamie(ジェイミー、パクジミン)のシングルで、Warnerに移籍してから初めてリリースする楽曲です。20年4月まではJYP Entertainment所属でしたが、契約期間が終わり、Warnerと契約しました。

 JYPにいる時から楽曲は大好きで、自分のブログで長々と紹介したこともありました。Numbersは「jiminxjamie」に収録された「뭐니(What)」や「하나 빼기 둘(Count You Out)」と似た方向性の楽曲で、3曲とも私が大好きな00年代前半R&Bの雰囲気を感じさせる楽曲です。客演に迎えたチャンモのラップを引き継ぐようにそのままJamieのラップに入るところで「さすが!!!!」となり、こんな状況じゃなければソウルの野外で開催されるHiphopフェスで2人のステージが見れたんじゃないかな……と思いを馳せるばかりです。

유아 (YooA) - 자각몽 (Abracadabra) (2020.09.07)

 上半期に挙げたOH MY GIRLのメンバー、ユアのソロ・デビューEPから、ダブルタイトル曲扱い的なサブタイトル曲です(音楽番組でも何度かフルで披露しているため)。

 元々振付師になりたかったところをOH MY GIRLのメインダンサーとして抜てきされたこともあり、どんなダンスも消化できる印象が強いですが、タイトル曲の「숲의 아이 (Bon voyage)」のようなコンテンポラリーダンスや「Abracadabra」のジャズやヴォーギングのようなダンスが、顔が小さく手足の長い彼女にとても合っていて、完璧なソロデビューだったと思います。

 曲はDeep Houseのような音色に彼女の真っ直ぐと伸びる声がマッチしていて、BPMは106というHouseほど速くなくHiphopやR&Bよりは速い絶妙な速さで、私が一番好きなBPM帯です(恍惚境も103で同じBPM帯です)。

스트레이 키즈 (Stray Kids) - Back Door (2020.09.14)

 JYP Entertainment所属、8人組グループStray Kidsのリパッケージアルバム『IN生』のタイトル曲です。

 1カ月弱あった活動期間中は、ほぼ毎日音楽番組でパフォーマンスを見ていたため、曲に慣れすぎて、褒められるポイントはいくらでもあるのに最初は15曲の中に入れないでいました。曲のリリース前からいろいろな情報が耳に入ってきていたため、コケないか本当に心配でしたが、EDMをうまく取り入れた楽曲で、CDの売り上げなどの成績も良く、ファンも増えた大成功のカムバックとなりました。これからも(良い意味での)トンチキ曲を高いスキルで真面目にやっていってほしいです。

 Stray Kidsが参加するMnetのサバイバル番組『キングダム』の先行きが心配すぎて、2月から収録が始まるのですがあまり先のことを考えたくない状態になっています。

아스트로 문빈&산하 (ASTRO MOONBIN&SANHA) - Bad Idea (2020.09.14)

 Fantagio所属、6人組グループASTROのムンビンとサナによるユニットのデビューEP『IN-OUT』のタイトル曲です。

 終始聞こえるギターのカッティングと、サビになると入ってくるベースが最高の曲で、2020年は先述のA.C.Eの「恍惚境」やBDCの「Shoot The Moon」、NATTYの「Nineteen」などこのぐらいのBPMのギターカッティング曲が豊作でした。「Bad Idea」があまりにも良すぎてしばらくこればかり聞いていましたが、EP『IN-OUT』のそれ以外の曲もとても良く、特に1曲目の「Eyez On U」がグルーヴいっぱいのR&Bで大好きです。

 ステージ衣装の露出が多く、トップスの丈がクロップされていたり、胸が深めに開いていたり、毎日音楽番組では目のやり場に困っていました。そしてサナくんのせいでパーツで色が違うヘアスタイルが好きになってしまいました。ついでに私が一番好きなステージを共有しておきます。

펜타곤 (PENTAGON) - Twenty Twenty (2020.09.16)

 上半期にも挙げたPENTAGONです。この曲は『Twenty Twenty』というWebドラマのOST曲としてリリースされたもので、MVもドラマのシーンの抜粋になっています。A-TEENという高校を舞台にした青春ラブストーリーのWebドラマのシリーズで、今回は大学を舞台に恋や友情、夢、そして家族との関係など、子どもと大人の間で揺れ動く心情にフォーカスしています。

 作詞をメンバーのキノとウソク、作曲をキノが担当しており、イントロの切ない雰囲気、歌詞もドラマの内容に沿ったものになっています。なので本当はドラマを見た上でこの曲を聞いて欲しい……というワガママな願望がありますが、興味があったら歌詞とドラマを見てみてください(21年2月現在、Abemaで視聴できます)。A.C.Eのチャンが絶妙な役柄で出てきて、主人公よりもそちらに気を取られたドラマでした。劇中に出てくるEDMエディットの「Twenty-Twenty」が良すぎて、自分でエディットを作ってしまいました。

 生バンドでパフォーマンスをするYoutubeの「it's live」という企画で彼らが披露したBLACKPINKの「Lovesick Girls」のカバー「Lovesick Boys」が非常に良く、その曲と「Twenty-Twenty」のどちらにするか最後までとても迷いました。

 OFF THE RECORD ENTERTAINMENT所属、9人組グループfromis_9 (プロミスナイン)の3枚目EP『My Little Society』のアルバム収録曲です。fromis_9はMnetのサバイバル番組『アイドル学校』から生まれたグループですが、こちらは『Produce』シリーズのように期限のあるグループではありません。

 タイトルがローマ字でそのままハングルの音「ムルコギ」と書いてありますが、「魚」という意味です。魚が水の中を泳ぐように想像の中を泳いで楽しむという内容の歌詞で、曲調にもその楽しさが反映されたポップな曲になっています。タイトル曲の「Feel Good」はもちろん、EP収録の「Weather」、「Somebody to love」も良い曲で、4曲の中からどれを選ぶか迷ったほど、すごいEPです。同じくOFF THE RECORD所属に『Produce 48』から結成されたIZ*ONEがいますが、どちらのグループも共通して曲が(お金をかけて丁寧に作られているように感じて)とても良いです。

 「Feel Good」は練習動画が何種類もありますが、スタッフたちがその場で掛け声をしてくれたFan Chant Ver.があり、コロナ禍でオンライン上ではファンと交流ができても音楽番組に観客を入れられない状態が長く続いている先の見えない不安な中で、彼女たちの支えになったのではないでしょうか。

세븐틴 (SEVENTEEN) - HOME;RUN (2020.10.19)

 Pledis Entertainment所属13人組グループ、SEVENTEENのSpecial Album『; [Semicolon]』のタイトル曲です。この曲については以前の記事で取りあげ、長々と語っているためあまり説明は必要ないでしょう。

 例によって年末の歌謡祭でのステージが最高すぎて、最後の花火が打ち上がったのと同時に、これが放送されたのはまだ12月の頭だったのに明けていない年が明けました。1月にあったオンラインコンサートは5,000円近く払う価値のあった念入りに準備されたもので、早く大きい会場で見たい……と強く思ったコンサートでした。

투모로우바이투게더 (TOMORROW X TOGETHER) - 5시 53분의 하늘에서 발견한 너와 나 (Blue Hour) (2020.10.26)

 Big Hit Entertainment所属、5人組グループTOMORROW X TOGETHER(トゥモローバイトゥギャザー)の3枚目EP『minisode1 : Blue Hour』のタイトル曲です。タイトルのハングルが読めない方でも、ハングルと英語全然違わない? と思うかもしれませんが、ハングルは「5時53分の空で見つけた君と僕」という意味です。

 ティーザー動画を見た時に、Michael Jacksonの「Rock With Youだ…」とつぶやいたのですが、さらに途中からカウベルが追加され、多幸感の増した「強化版Rock With You」のような曲になっています。

 この曲のすごいところはもちろん曲の良さもあるのですが、しっかりとしたラップパートがないところだと思っています。昨今はデビュー時からとてもラップがうまい人も増えていますが、(へたではないがグループ内で比較すると)歌がそこまで得意ではなく、ラップもそこまでうまくないメンバーが無理矢理ラップをやらされている状況もあるため、いろんなグループがラップを入れなくても良いんだ! と思えるような、固定観念の破壊につながったら良いなと密かに思っています(と思っていたら、つい先日出たCIXの「Cinema」もラップパートがありませんでした。しっかりラップができる人がいるグループですが、今後こういうパターンも増えていくのでしょうか)。

 EPの5曲目「하굣길 (Way Home)」も好きな曲で、始まりから和音が気持ち悪く、音がスライドする上に揺れていて不安になる雰囲気ですが、学校からの1人の帰り道に寂しさを感じる少年の物語をイメージして作られた曲とのことで、イメージを曲から感じ取れる良い楽曲だなと思いました。

트와이스 (TWICE) - BELIEVER (2020.10.26)

 JYP Entertainment所属9人組グループTWICEの2枚目正規アルバム『Eyes wide open』のアルバム収録曲です。

 1音目の伴奏のシンセ、その後に入るピーヒャラシンセ()の音でもう良い曲だな……と思いましたが、その後にジヒョの声で入ってくる「I'm a believer」がダメ押しになりました。ハネたビートでサビまで行き、サビで4つ打ちになる展開も良く、ユアの「Abracadabra」とほぼ同じBPMの105というのも私の好きな要素が揃っています。こういう曲を、ジヒョの耳目を引くソウルフルで強い声を中心に全員が支える構成は、楽曲の内容とも合っていて説得力が高く、見せかけではなく芯から強いというような印象を与える楽曲になっているのではないでしょうか。

 今回のアルバムは今までよりもターゲットの年齢が上になったと言われていますが、次にどんなアルバムが来るのか楽しみです。

Hiphopのサブジャンルの一つ、West Coast Hiphopがカリフォルニアで確立されたあとに起こったムーブメント「G-Funk」によく使われた高い音のシンセで、初期の頃はOhio Playersの「Funky Worm」がサンプリングされていた。

갓세븐 (GOT7) - Breath (넌 날 숨 쉬게 해) (2020.11.30)

 JYP Entertainment所属……ではなくなってしまった(つい先日JYPとの7年の契約が終了し全員JYP所属ではなくなりました)7人組グループGOT7の4枚目正規アルバム『Breath of Love:Last Piece』のダブルタイトル曲のうちの1つです。作詞作曲にはメンバーのヨンジェと私の大好きなトラックメイカー・プロデューサー・ラッパーとマルチタレントなNiiHWAも参加しています。

 JB、ジニョン、ユギョムと続く曲の始まりからヨンジェのサビまでの段々と高まっていく流れが完璧すぎて、ここだけ何回も聞きたいぐらいです。昔からGOT7の爽やかでポップな雰囲気が好きだったので、最後にダブルタイトル曲のもう1曲である「Last Piece」のようなかっこいい雰囲気の曲だけでなく、「Breath」をダブルタイトルとして持ってきてくれたことにとても感謝しています。

 ここ1年ぐらいは、リリースがあっても事務所がプロモーション活動に全く力を入れてくれないとファンの間では問題になっていました。もちろん本人たちがどうしたいのかというのが一番にありますが、これだけ世界的に売れているなら真夜中から準備をするような音楽番組などに毎日出たり、過酷なスケジュールを無理にこなす必要はないし、健康にほどほどでやっていけるならそれが一番良いのではと思うのは私の横暴でしょうか……。

 上半期と同じようにメジャーな楽曲を中心に選びましたが、インディーなものについてはTwitterで#e_e_li_c_a良い曲タグ2020というハッシュタグを使ってつぶやいているので気になった方はチェックしてみてください。

■ONEUS - 식은 음식 (Leftover)

 RBW所属6人組グループONEUS(ワンアス、韓国語発音でウォノス)の初正規アルバム『DEVIL』のアルバム曲です。

 タイトル曲「반박불가 (No diggity)」は自分的にはそんなに……という感じでしたが、アルバムでその次に流れてきた曲が良すぎてビックリしてその場でツイートしました。上記で挙げたJamieの「Numbers」系統のR&Bで、軽やかなピアノのサンプルが気持ち良い、1月にリリースされた中ではAB6IXの「BLIND FOR LOVE (Nu Disco Mix)」、VICTONの「Up To You」と並ぶ一番好きな曲です。

 ハングルは「식은 음식(シグン ウンシッ)」と回文のようなタイトルで、冷めた料理という意味です。料理の温かさを2人の関係性になぞらえて、以前は温かった2人の関係が冷めて修復できない状態を後悔する内容の歌詞で、歌詞の内容を知ると途端にピアノが切なく聞こえてきます。実はイドくんの低音ラップ(0:29~)があまり得意ではないのですが、この曲にはバッチリハマっており、オンラインコンサートで1度ステージが披露されたことがあるので、今後もっとやる機会が増えたら良いなと思いました。

<近況>
『キングダム』は見たくないし『Produce 101 Japanシーズン2』も見たくない…サバイバル番組はもう嫌だ……。

e_e_li_c_a
1987年生まれ。18歳からDJを始めヒップホップ、ソウル、 ファンク、ジャズ、中東音楽、 タイポップスなどさまざまなジャンルを経て現在K-POPをかけるクラブイベント「Todak Todak」を主催。楽曲的な面白さとアイドルとしての魅力の双方からK-POPを紹介して人気を集める。

Twitter @e_e_li_c_a TodakTodak 
mixcloud eelica

2020年、K-Popに氾濫した「ドゥンバキ」楽曲はなぜ生まれた? 音楽的側面から解説! 21年はaespaとStray Kidsに注目!? 

 BTSが米国進出で大成功を収め、日本ではNiziUが話題を集めた2020年。「K-Pop」というコンテンツが世界的に評価される動きがあった20年は、どんな1年だったのだろうか。K-Popに関するメディア出演や、イベントを主催するキーパーソン3名に、20年のK-Pop動向を音楽面から振り返ってもらった。

<座談会出席者プロフィール>

■e_e_li_c_a 2006年からDJを始めヒップホップ、ソウル、 ファンク、ジャズ、中東音楽、 タイポップスなどさまざまなジャンルを経て現在K-POPをかけるクラブイベント「Todak Todak」を主催。楽曲的な面白さとアイドルとしての魅力の双方からK-POPを紹介して人気を集める。

■DJ DJ機器 K-POPオタク。現在K-POPをかけるクラブイベント「Todak Todak」「Liar Liar」をe_e_li_c_a と主催。block. fmのK-POP番組『HB STUDIO』にレギュラー出演中。

■ラブ子 K-POPオタク。昨年K-POPファンの間で広まった「ドゥンバキ」というワードを最初に言い出した人。主なオタ活拠点は現場とTwitter。

“安直な”K-Popが目についた20年

ーーe_e_li_c_aさんとDJ機器さんが、昨年12月に出演されたTBSラジオ『アフター6ジャンクション』で、2020年のK-POPにおける音楽的な傾向に触れていましたが、あらためて全体的な潮流はどうでしたか?

e_e_li_c_a BTSの「Dynamite」によってディスコに火がつきましたが、K-POPアイドルはディスコサウンドの楽曲は今までもたくさんリリースしていましたよね。ディスコ以外だと「ニュートロ」の傾向もありました。EVERGLOW 「LA DI DA」とかTWICE 「 I CAN'T STOP ME」あたりでしょうか。

ラブ子 ディスコもニュートロもそうですが、全体的に2010年代頃のいわゆる「K-POP」の原点に戻ったように感じました。BTSが売れすぎて、各事務所も何が正解なのかわからない状態なのかもしれません。

DJ機器 そうですね。楽曲として何が売れるかわからなくなっている。世界的に見てもどんなジャンルがはやっているのか本当にわからない時代だと思います。だって、ビルボードでBTSの「Dynamite」の下に「WAP」(Cardi B feat. Megan Thee Stallion)があるわけで(笑)。

ラブ子 BTSが売れた理由を明確に説明できる人はほとんどいないですよね。私はBTSが成功した要因として、メンバーの個性とバックグラウンドがストーリーとして作品とリンクし、共感を得たことが大きいと思っているんですけど、2020年はストーリーではなく「K-POP」という「音楽ジャンル」の正解を見つけようとして各自奮闘していた1年だったのではないかと思うんですよね。ストーリーを効果的に生み出せるサバイバル番組が不祥事などもあり、大々的にやりづらくなったというのもあるかもしれません。

 その流れの中で、ガールズグループはK-POPとして満遍なく面白いものを全部やってくれたのかなと思っています。コロナの渦中でも、ちゃんとエンパワメントしてくれた。次のブームを予感させるような斬新な楽曲もリリースされたし、今までと路線を変えて頑張っているグループも自分らしさを失わなかったように感じます。Weeeklyの新人アイドルらしい王道のK-POPも良かったですね。

ーーボーイズグループの難しさというのは、楽曲としてヒットがなかったということでしょうか?

ラブ子 やっぱりBTSが“上がっちゃった”感じはありますよね。BTSとアワードを争い続けてきたEXOも兵役でグループとしては活動が制限されしまった。

DJ機器 BTS、 EXOの下の椅子に座る明確な2番手グループがいないように感じますね。3、4番手あたりに固まっているように見えます。

e_e_li_c_a 世代的な話ではなく、売り上げやコンサートをやる規模みたいなものを考えると、2番手にはGOT7とSEVENTEEN、MONSTA X、NCTあたりが入ってくるとは思いますし、世代的な話でいうとVIXXやBlock Bなどのメンバーは兵役に行っていて、残っているメンバーでソロ活動をできる人がしているという印象です。

ラブ子 K-POPアイドルって昔から「3年目ぐらいで殻を破らなきゃいけない」という意識が、どのグループにもあると思うんですけど、まさにその3、4番手の世代を中心に、多くのアイドルが同じ方向性ーー「ドゥンバキ」に走ったイメージがあるんですよ。

ーー20年、SNS上で「赤黒ドゥンバキ」「ドゥンバキ」という、いわゆる「K-POPぽい」ドゥーン、バキバキーッとした印象の楽曲を表現するワードが多用されていました。ラブ子さんがネーミングされたそうですね?

ラブ子 まずビジュアルのコンセプトとして、19年の年末から20年の年明けにかけて、複数のグループが割と似通ったダークなイメージ――「赤」と「黒」の2色でカムバックして、今までのイメージを打ち破ろうとしていたんです。THE BOYZの「REVEAL」や、PENTAGONの「Dr.BEBE」、イ・デフィ(AB6IX)のソロ楽曲「ROSE, SCENT, KISS」等がそうですね。

 4月に始まったMnetの『Road to Kingdom』という番組では、その世代周辺のアイドルが集められて、お互いに競いながら色々なステージを披露していたのですが、そこでもやはりダークなコンセプトがほとんどでした。もちろん印象に残る良いステージもたくさんありましたが、どちらかといえば楽曲そのものよりも、ステージでの見せ方を追求するパフォーマンスの多さに違和感がありました。

 元々自分は歌謡祭やアワードで見せるような「見せ場」として唐突に挟まれるダンスブレイクに食傷気味だったのですが、言ってしまえば『Road to Kingdom』はそれが延々と続く番組だったんです。そこで出てきた言葉が、原曲をTrap風にアレンジしてバキバキに踊ればカッコいいんだ、という安直さを揶揄した「ドゥーンバキバキ」だったんです。

 番組が終わった後も「赤と黒」や「ドゥンバキ」のイメージを打ち出してカムバックするアイドルが続々出てきて、2つを組み合わせた「赤黒ドゥンバキ」という言葉もいつのまにか生まれていました(笑)。

ーー3番手の世代が、そうした方向性にいったんですね。印象的なグループはいますか?

ラブ子 やっぱり自分の中ではTHE BOYZですね。彼らは楽曲を自作したり、制作面で苦悩するグループというよりは、与えられた楽曲で元気に活動するタイプのグループで、個々のキャリアやスキルの成長をストーリーとして見せていくグループではなかったんです。そこに「赤と黒」や「ドゥンバキ」というダークでシリアスなコンセプトを打ち出されても、“借りてきた感”が否めなかったんです。方向性の転換が唐突すぎたように感じたんですね。

e_e_li_c_a たしかに。でもTHE BOYZに関しては、その方向性でアルバム売上枚数や音源チャート、音楽番組での1位獲得など成功と言っても良い成績でしたからね……。

DJ機器 VERIVERYも、今年は<Face>シリーズでダークな路線を打ち出してきてはいたけど、「G.B.T.B」でトドメを刺した感じでしたね。

ラブ子 「ドゥンバキ」で検索するとVERIVERYファンが一番動揺していたように感じました。シリーズとして見ても、ここまで培ってきたコンセプトを変えてまでやる曲なのか、という疑問があるんですよね。VERIVERYに限らず、ドゥンバキに走ったグループの中には音楽的素養に恵まれたアイドルもたくさんいるのに、安直な戦略に巻き込まれて、こぞって赤と黒に乗ってしまったんではないかと。イメージ脱却のツールとして、ダークなコンセプトを安易に使わないでほしかったなと私は思いますね。特に今年はコロナで大変な年だったから、シリアスな路線より元気をもらいたかったです。

ーーいわゆる「K-POPっぽさ」という定型が完成した、ともいえるんでしょうか?

DJ機器 「K-POP」をやりたい人たちからすると、ああいう感じがいいのかもしれませんね。

ラブ子 手堅いというのもあると思うんですが、アイドル本人にもそれが大衆にウケるという認識があるのかもしれないですね。先日見た、『YG宝石箱』というサバイバル番組では、評価の過程でいろいろなステージを用意するのですが、どの練習生もちゃんと自分の持ち味を生かした素敵な楽曲を選ぶんですよね。その中でラッパーとしてもクリエイターとしても才能に溢れたヒョンソクという、一見アイドル的な楽曲とは無縁そうな練習生が、最終評価の直前で真っ先に何の迷いもなくWanna Oneの「Boomerang」を選んだことが本当に印象に残っているんです。洋楽が好きで、本格的なソウルやヒップホップの素養を持った練習生でも「勝つためのK-POP」というイメージを持っていたり、みんなの頭の中になんとなくひな形となる「K-POP」のイメージがあるんだなと思って。

DJ機器 なんらかのぼんやりした「K-POP像」みたいなものができてしまっているのかもしれません。先日、出演したラジオ番組でドゥンバキ系の曲が流れたときにパーソナリティの方から「なんかK-POPって感じですね!」っていうコメントが出た際に、いつもK-POPをそこまで聞いていない人からしても「最近よくあるK-POP」という認識があるんだなと思ったんです。ということは、韓国の事務所や業界内の人たちにも「外から見たかっこいいK-POP」のイメージになりつつあるのではないでしょうか。

ーー逆にドゥンバキが様になる人たちはいますか?

DJ機器 声質など楽曲との相性はもちろんあると思いますが、説得力をもたせる何かが重要だと思います。東方神起は元々テーマカラーがパールレッドというのもあるのですが、もうオーラと言うか迫力がすごいですし、MONSTA Xはジュホンの声質の他にも、ヒップホップの濃い部分をやってきているので、良い意味で治安の悪さと相性がいいように感じます。一見線が細く見えるグループは、どうせなら爽やかなほうが似合うのではないかと思ってしまうんです。

ラブ子 K-POPにはいわゆる「トンチキ」と呼ばれるようなユーモアやユニークな部分も大事ですよね。ドゥンバキにもそういった部分がもっとあっても良いんじゃないかと考えていて、私自身はSHINeeの「Everybody」がドゥンバキの最高峰だと思っているんですよ。初めて見た時は本当にものすごい衝撃で。この衣装で、こんな面白い動きで踊っていいの? って。でも、ちゃんとステージの上では成り立っているんですよね。純粋にかっこいいものとして。

ーー20年、3年目の葛藤をドゥンバキを使わずに乗り越えた人たちはいますか?

DJ機器 年数としてはデビューからもう少したっていますが、SEVENTEENの「HOME;RUN」は素晴らしかったですね。青年期から大人になるという成長の仕方がうまくいった好例なのではないでしょうか。

ラブ子 素晴らしいエンターテインメントでしたね。1曲見ただけでお金を払いたいくらいで。18~19年くらいがひたすらずっと悩んで葛藤しているイメージで、ステージもシリアスなパフォーマンスが多かったのですが、20年は急に一周回って「俺たちはSEVENTEENだぜ~!」というのをかっこいい楽曲でやってくれましたね。

ーー『Road to Kingdom』や、これから始まる『Kingdom』に出演するグループで、今後伸びそうな存在はいますか?

e_e_li_c_a どのグループにも売れてほしい気持ちはありますが、これから『Kingdom』に出演する予定のStray Kidsですかね。個人的にデビューからずっと追っていて、正直言うと『Road to Kingdom』にあまり良い印象がないので、出演してほしくない気持ちも大きいのですが、韓国内での人気や知名度があまりないので、これが何かのきっかけになれば良いなと思っています。ATEEZもデビュー前から追っていて、Stray Kidsと同じように海外人気はすごくあるのですが、国内での知名度はStray Kidsと同程度だと思うので、良いきっかけになることを願っています。

ラブ子 そう考えるとやっぱりJYPはすごいですよね。Stray Kidsが今年、謎のアングラテクノとか彼らが元々持っていた音楽的なエッセンスを全部掘り返して、楽曲にフィードバックしてカムバックしたのは本当に偉い。「神메뉴(神Menu)」のような、キャッチーで面白くてかっこいい楽曲とパフォーマンスは、絶対Stray Kidsしかできないじゃないですか。今年のアワードはSEVENTEENかStray Kidsですね。

DJ機器 あのノリをもう少し軽い感じにして明るく楽しくやっているのがSEVENTEENですよね。こういうパフォーマンスができるのは、今のところSEVENTEENかStray Kidsぐらいしか思い浮かばないです。

ラブ子 ラップに関しても、本来メインラッパーではないヒョンジン君を見ていても、鍛えられた子じゃないとあの説得力って出ないと思うんですよ。本当にStray Kidsらしい楽曲。

e_e_li_c_a 熱心に追っていない人から見てもそういうふうに見えるのであれば、Cooking Video(「神Menu」リリース前のティーザー動画)やBack Door Opening Video(Back Door リリース前のティーザー動画)の方向性に振り切った甲斐があったんじゃないかと思います。

ーー安泰したグループでいうと、BTSがあげられると思いますが。

e_e_li_c_a BTSはもう日本の音楽番組などでの扱いは「K-Popアイドル」というよりアメリカのポップスターみたいな「外タレ」枠のようになってる気がします。何しても全肯定される状態ですよね。今までの積み重ねがあったからですが、何をしても売れる。韓国語曲の「Life goes on」をこのタイミングでリリースしたのも戦略の一部かもしれないですが、ビルボード1位にもなりましたしね。

ラブ子 20年は番組数もステージ数も少なく、働き方としてはいったん落ち着きましたよね。兵役前とは思えない焦らなさ。もはや無我の境地ですよ。アメリカ進出した時にファンを辞めちゃった人もいっぱいいるけど、新規の人たちと、以前からちゃんと見守っている人たちが、温かく育ててくれている成功事例なのではないでしょうか。なんだかんだ「Dynamite」と「Life goes on」って覚えやすい、良質なポップスですよね。そういう楽曲でカムバしたのはすごいですね。

DJ機器 あれが出せて、ちゃんと売れるのは現状ではBTSしかいないですからね。そういえば1カ月ぐらい長期休養がありましたよね。

ラブ子 ありましたね。ご褒美みたいな休暇が。BTSはもうガッツかなくていいですし、テレビ番組も全部出演しなくていい。労働環境でいうと、そういう良い面を見せてくれた。ここまで売れれば国も動いて兵役も延長になるという(笑)。

ーー21年に注目したい傾向やグループはありますか?

DJ機器 SMからデビューしたばかりのaespa(エスパ)ですかね。アバター設定等も作り手側からすると、色々なことを体現できて楽しいだろうなと思うんですよ。

ラブ子 これだけバズると、多分21年は前面に打ち出してきますよね。

e_e_li_c_a 最初からあんまりK-POP的じゃないですよね。「このグループのファンです!」っていう層を私はあまり見つけられないんですが、大衆的にはそれなりの認知度も得ていて、音楽番組で1位候補になったりして。イ・スマン(SMエンターテインメント創始者)が昔目指していた「セレブ」という存在に、ハマってきているのではないでしょうか。それこそBTSのような。

ラブ子 裾野が広い感じがします。ガールズグループって、デビューに際して特定の層を狙って、そこでまずバズってから広げていく印象なので、最初から風呂敷が大きい感じはありますね。本人たちもつかみどころないですしね。

DJ機器 あくが強いんだか弱いんだかわからないですよね。fromis_9(プロミスナイン)とかが、ゆるい感じでワイワイやっているのはニコニコしながら眺められるんですが、なんだかそれとは違う感じですよね(笑)。

ラブ子 そうなんですよ。TikTokの本当にゆるいこと……(笑)。SMからめちゃくちゃ気張ってデビューした子たちが、こんなゆるいTikTokをやるんだと思って衝撃でした。別にナチュラルな雰囲気を押し出しているわけでもないし、ビジュアルも強いのに、本人たちの雰囲気や言動はあまり気張っていない。新世代ですかね? すごくいい流れだと思います。

DJ機器 音楽ジャンル的にもいろいろできるグループな気はするんですよね。レトロ方面をやっている先輩方がたくさんいると思うので、それこそHyperpopみたいな、Charli XCXや100 gecsみたいな音が割れまくっている楽曲でカムバックしてほしいですね。

ラブ子 エレクトロな方面に向かっても絶対に面白いですよね。NCTの妹分みたいな匂わせもしていますから、楽曲的には攻めてほしい感じはありますよね。コンセプトもちゃんと消化できそうです。

ーー男性グループはどうでしょうか?

ラブ子 『Road to Kingdom』に出演したグループが、20年は迷走して終わっちゃったイメージが強いですよね。ドゥンバキでカムバしたグループも、タイトル以外の清涼曲で活動したり、真逆のコンセプトでカムバックしたり、結局のところ、どっちの路線を打ち出すのか見えてこないですが、Stray Kidsが日本も本国も含めて、21年はもうちょっと爆発するかな? というのは感じますね。

e_e_li_c_a たしかにStray Kidsが頭一つ出ているように感じますが、『Kingdom』でドゥンバキに飲まれて終わるか、Stray Kidsっぽいことをしっかりやって「やっぱスキズだね」という方向に評価されるかという心配はあります。

ラブ子 『Road to Kingdom』は、かっこいいドス黒いラップをすると、褒めてもらえるんですよね。Stray Kidsはラップもうまいから、ギャングスタ路線にいこうと思えばいくらでもいけちゃうんですよね。アイドルを忘れて(笑)。なので、せっかくJYPに入ったんだから、ちゃんとJYPのマインドを良い方向に使ってほしいところです。私は、やっぱりYGのTREASUREに期待します。デビュー3曲目にして超かっこいい、20年にはなかったヒップホップ曲の「음 (MMM)」を出してくれたので。全員の個性がちゃんと出せる楽曲を着実にやり始めています。

DJ機器 YGのいいところが出ている気がしますね。

ラブ子 そうですね。優等生でした。来年もこの調子で頑張ってください!

 20年リリースの楽曲から、3名が「聞いてほしかった」楽曲をそれぞれ選出。K-Popアイドル曲と、そうでない曲をそれぞれ1曲セレクトしてもらった。

ラブ子セレクト!

WOODZ『BUMP BUMP』

 紆余曲折を得て再びソロとして再始動したWOODZことスンヨンくんの2作目。前作とはガラッと印象が変わって、MVもステージもとびきりキュートな作品に仕上がっていますが、聞けば聞くほどWOODZらしい野心と葛藤が伝わる骨太な1曲になっております。前作でも見せていたROCKとHIPHOPを融合したMIXTURE的なサウンドを基盤としながら、PUNKやBRIT POPなどUK ROCKのエッセンスがさらに色濃く反映されていて、彼が「アイドル」として目指している音楽性の幅広さに感心すると同時に、K-POPというジャンルにおける土壌のふくよかさと多様な可能性にあらためて感動しました。この曲が収録されているアルバムも、音楽的なチャレンジを感じる一方でデモ音源のような素朴な風合いもあり、ミックステープ感のあるザラッとした手触りがとてもファニーで人間味あふれる1枚となっていて、大変オススメです。機会があれば歌詞を読み解きながら楽しんでみてください。

■NOA『TAXI fear. tofubeats』

 K-POP……ではないんですが、元YG練習生のNOAくんとtofubeatsがタッグを組んで挑んだデジタル世代のネオソウル。2人ともガッツリ歌っているのに3分以内にカチッと終わるコンパクトな構成に時代を感じて、聞いた瞬間仰け反りました。情景と孤独を鮮やかに切り取る手腕と軽妙洒脱な雰囲気はまるで短歌のように軽やかでミニマルなリズム感があり、流れるような聞き心地と余韻のキレが最高に素晴らしいです。K-POPとJ-POPのハイブリッド的サウンドと言われると確かにその雰囲気もあるんですが、最低限の和音と情緒が香る転調の配置には和製R&BやTECHNOにも繋がってゆく「ルーツ」の確かな煌めきを感じられたりもして、自分にとってはこれが「J-POP」なのかなあと思ったりもします。MVもめちゃくちゃ素敵ですね。

DJ DJ機器がセレクト!

■Dreamcatcher 『Scream』

 どうしてもK-POP好きからはイロモノとして見えてしまうDreamcatcherですが、この「Scream」はフェスティバルロック+メタル要素という今までのようなアプローチに対して、もう少しEDMのようなクラブ要素の割合を増やした楽曲でとてもよかったです。楽曲ジャンル的には違いますが、迫力としては女性版ドゥンバキのようなものだと思って聞くといいのではないかと思います。この楽曲が収録されたファーストアルバム『Dystopia : The Tree of Language』は、世界観の作り込みと楽曲のバランスがものすごく良かったです。「Jazz Bar」や「Red Sun」、「Black Or White」などの収録曲も必聴です。

■GXXD (Girlnexxtdoor)  『춤사위 (Feat. MOON, Blase)』

 Sik-KやRAVI、HAONなどにトラックを提供してきたGXXDのEPに、急にBasslineジャンルの曲が収録されていて驚きました。韓国のトラックメイカーは本当に器用ですね……。GXXDとMOONは何回もコラボしていますが、MOONに関しては20年にはZion.TやSEHUN & CHANYEOL、Vince、Coogieなど、かなりいろいろなアーティストとコラボしており注目度がさらに上がったように感じます。Blaseの歌詞に Dave - Funky Friday (ft. Fredo) がサンプリングされているところもいいですね。

e_e_li_c_aがセレクト!

■P1Harmony(피원하모니) - Nemonade(네모네이드) 

 FNC Entertainment所属、6人組グループのP1Harmony(ピーワンハーモニー)のデビューEP収録曲です。20年10月28日にデビューし、Sirenというタイトル曲で活動したあと、後続曲として「Nemonade」で活動しました。韓国、カナダ、日本国籍のメンバーがいる多国籍グループで、平均年齢はなんと満年齢で17.3歳です。15歳のメンバーが2人いることを知った時は本当に驚きました。年齢を加味しなくてもデビュー直後のグループとは思えないほど、ボーカル・ラップ・ダンスのスキルが高く、特に最年少ジョンソプ(動画内の赤髪のメンバー)のラップは本当にすごいです。個人的にタイトル曲があまりピンと来なかったためリアルタイムでは活動を追っていなかったのですが、早いうちに彼らに気付けて良かったです。今後の活動に今一番期待しているグループです。

■Silica Gel (실리카겔) 『Kyo181』

 シリカゲルは15年にデビューした4人組のバンドで、デビュー時に韓国大衆音楽賞「今年の新人賞」を始めとする新人賞3冠を受賞しました。2017年12月のアルバムリリース、その後の東京公演をあとにメンバーの兵役のため活動休止期間に入り、2年半がたってのシングルがこの「kyo181」です。本人たちも「空白期間の間に新しい方向を眺めるようになり、そのような意味でkyo181はシリカゲルの新しいデビュー曲とすることができる」と語っており、確かに今までの楽曲に比べてエレクトロニクス色の強い楽曲になっています。4分20秒の間、全てのフレーズの頭に「kyoヤ」という単語がついた状態で曲が展開され、その繰り返しとメロディラインがとても耳に残りやすく、何度も聞いた楽曲です。

※e_e_li_c_aとDJ DJ機器が出演するK-Popイベント『NEXT BOWL 2021presented by TodakTodak』が東京・豊洲PITにて開催決定!
【配信日時】 2021年1月10日(日)17:00~21:00 ※追いかけ再生やアーカイブ配信はありません
【出演】 tofubeats, e_e_li_c_a, DJ DJ 機器, hoverboard, 310
【配信チャンネル】 PIA LIVE STREAM
【チケット料金】
・視聴券:¥2,000(税込)

購入はこちら

<解説:e_e_li_c_a・ DJ機器>

 もともとラブ子さんが示した「ドゥーンバキバキ」は、曲中のダンスブレイクのDubstepにおけるワブルベースやTrapのような部分を指しており、例えば、この動画の3:59~が該当します。

■2018 MAMA in KOREA Stray Kids/THE BOYZ

 その後、実際に「ドゥンバキ」と呼ばれた楽曲や「ドゥンバキ」のイメージに近い楽曲について音楽的側面から少し説明をしたいと思います。今回は海外のEDMなどフェスシーンに詳しいライターの高岡謙太郎さん(@takaoka)にもご協力いただきました。

 まずは、対談中にも名前が出たグループもありますが、20年にリリースされた「ドゥンバキ」楽曲例です。

■VERIVERY - G.B.T.B

■GHOST9 - Think of Dawn

■D-CRUNCH _ Across The Universe(비상(飛上))

 音楽的な下地としては12年、Hudson MohawkeとLuniceのユニット「TNGHT」がリリースした、Trapを取り入れたこの曲がダンスミュージックシーンとしてもインパクトが大きく、その後のポップミュージックのトレンドに影響を与えたといわれています。

 それまではTrapはアメリカのHiphopの中の1ジャンルという認識でしたが、この曲によってダンスミュージック(EDM)にもTrapが取り入れられ始めます。太いホーンのダークな印象やドラムの打ち方に何となくドゥンバキっぽさを感じられるでしょうか。

■TNGHT - Higher Ground

 楽曲の参照元としてはYellow Clawというオランダ人2人のデュオがやっていたEDM Trapとポップスの融合が起点ではないかという予想です。DJ SnakeやDiplo、Chainsmokersなどが2012年頃から同時多発的にそのような楽曲をリリースしています。

 あわせて、この曲を参照してそうだなと思われるK-POP楽曲を下に記載します。

■Yellow Claw - Shotgun ft. Rochelle (2013)

■몬스타엑스 (MONSTAX) - 히어로 (HERO) (2015)

■DJ Snake, Lil Jon - Turn Down for What (2013)

BTS(방탄소년단) - FIRE (불타오르네) (2016)

 

■The Chainsmokers - Don't Let Me Down ft. Daya (2016)

2PM - Promise (I'll be) (2016)

■Yellow Claw - Good Day ft. DJ Snake & Elliphant (2017)

JBJ - Say My Name (2017)

 K-POP側の流れとしては、16年頃にBass MusicとTrapジャンルを混ぜたような楽曲(BTSの「Fire」やEXOの「Monster」など)が上記の楽曲などを参照しリリースされたのが始まりのように思います。

 また、EDMとトラップの折衷を目指しているという点では、Steve Aokiの楽曲も近いのではないでしょうか。彼自身、BTSやMONSTA XなどのK-POPアーティストとのコラボをしています。この曲の0:50~に注意して聞くとわかりやすいと思います。

■Steve Aoki - Kolony Anthem feat. ILoveMakonnen & Bok Nero (2017)

 2016年の同時期にリリースされたNU'ESTの「Overcome」やBTSの「Save Me」などにみられる「Future Bass」と先程のBass Music+Trapが融合して、現在のいわゆる「ドゥンバキ」を表すような楽曲に進化して行ったのではないかと思いましたが、高岡さんからはどんどんとエモーショナルな方向に進んでいったTrapやEDMがそのままK-POPに参照されているのではないかという話もありました。

 ちなみにK-POPを追っていると、Future Bassというジャンルはダンスミュージックのメインストリームと感じるかもしれませんが、EDMシーンではどちらかというとクラブなどに行かない人でもSoundcloud上にアップして楽しむものだったり、少しアングラなイメージがあるものです。

TrapやEDMがエモーショナルな方向に進んだ楽曲例:

ODESZA - Loyal (2018)

 ODESZA(オデッザ)のSpotifyやYoutubeでの楽曲総再生数は億を優に超えており、グラミー賞にもノミネートされています。

ちなみに18年のCoachellaのライブは圧巻で、これをライブで目の当たりにしたら正直テンションが上がって飛び跳ねてしまう自信があります。

■Illenium - Afterlife (feat. ECHOS) (2016)

 上ネタに気が取られると、ドゥンバキ? となりますが、ドラムやベースなどのリズムセクションに注意して聞くとわかりやすいと思います。

 Dubstepはベース部分の音色がジャンルを規定しているため、あまりほかに使い回しがきかず、Trapはビート部分がジャンルを規定しているため使いやすくポップスに転用しやすいことから、上記のTrapが進化した形のような楽曲がたくさん生まれ、さらにそこからK-POPに落とし込みやすかったのではないでしょうか。

 また上記の楽曲は、Youtubeでの再生数が1千万回以上だったり、グラミー賞など音楽賞を取っている楽曲なので探し出しやすく、事務所やA&Rが参照元として挙げ、作曲を依頼しているのではないかという予想が立てられます。

 対談の中にも出てきましたが、「様になるドゥンバキ」と「そうでないドゥンバキ」があり、説得力を持たせる要素があるかどうかという点が出ましたが、それ以外にも前編のJO1のところで書いたような、表面をなぞっている楽曲(参照元が今まで挙げたEDM本場の楽曲なのか、それを参照したK-POP楽曲を参照しているのか)かどうかというのもあるでしょう。「2020年のドゥンバキはドゥンバキしか感じない」という感想が対談の中で出ましたが、これは既存のK-POP楽曲を参照してできたK-POP楽曲が多い印象にもつながるかと思います。

 本編の後編に『Kingdom』に出演するStray Kidsの話が出てきましたが、彼らはメンバーたちが組んだユニット「3Racha」を中心に自分たちで楽曲を作成しており、歌詞にもイギリスのラッパーでトラックメイカーである「Skepta」の名前が出てきます。

■3RACHA - P.A.C.E. (2017)

 この曲は、聞けば明らかにこれを参照元としていることがわかると思います。

■Skepta ft. JME - That's Not Me (2014)

 この曲に関しては、明確にどの曲というのはないですが、ラップも含めてStray Kidsの楽曲を聞いたことがある方には「Stray Kidsっぽい」というのが分かってもらえるのではないでしょうか。

■NEFFEX - Fight Back

 自分たちで楽曲制作をしてパフォーマンスする人たちは「表面をなぞる」の部分が自分たちでコントロールできるところに強みがあるため、この部分をどう『Kingdom』にうまく生かせるかが、今後にもつながってくると思います。

 これは『Road to Kingdom』のせいもあるかもしれないですが、その曲を通して何かを伝えたり自分たちの立ち位置を上げるというよりも、パフォーマンスをかっこよくこなしてファンに頑張っているところを見せたい、ー勝負感が内向きに感じるという話も対談の中で出ました。

 また、ドゥンバキ楽曲でパフォーマンスをすると実際はラップやボーカル、ダンスだったり何かしらのスキルが少し足りない状態でもパッと見は本格感が出せることから、経験が浅くスキルがまだ少し足りていない新人グループが手を出しやすいのではないかという予想も出ました。

 なぜこのような楽曲がリリースされるかについては、K-POPにありがちなビジュアルや世界観(ダークでシリアス、若者の葛藤、若干の暴力性など)を体現しやすいのではないか、BPMや曲の構造などが本格派に見えるダンスパフォーマンスと相性がいいのではないか、などが考えられ、ドゥンバキと呼ばれるような楽曲がK-POP的な要素との相性が良く、「パフォーマンス楽曲」として便利なのではないかということが考えられます。

 今は「ドゥンバキ」=「ダサい」というイメージがついてしまっている方が多いかもしれないですが、一概にダメなものではなく、パフォーマンスを裏付ける経験やスキルを兼ね揃えているグループがやればかっこいいものになるということも認識してもらえたら、今回の企画をやった甲斐があります。

 

2020年K-POPシーンを総まとめ! JYP、SMエンタ他4大事務所と、NiziU・JO1のポジションを考察

 BTSが米国進出で大成功を収め、日本ではNiziUが話題を集めた2020年。「K-Pop」というコンテンツが世界的に評価される動きがあった20年は、どんな1年だったのだろうか。K-Popに関するメディア出演や、イベントを主催するキーパーソン3名に、20年のK-Pop動向を振り返ってもらった。

<座談会出席者プロフィール>

■e_e_li_c_a 2006年からDJを始めヒップホップ、ソウル、 ファンク、ジャズ、中東音楽、 タイポップスなどさまざまなジャンルを経て現在K-POPをかけるクラブイベント「Todak Todak」を主催。楽曲的な面白さとアイドルとしての魅力の双方からK-POPを紹介して人気を集める。

■DJ機器 K-POPオタク。現在K-POPをかけるクラブイベント「Todak Todak」「Liar Liar」をe_e_li_c_a と主催。block. fmのK-POP番組『HB STUDIO』にレギュラー出演中。

■ラブ子 K-POPオタク。昨年K-POPファンの間で広まった「ドゥンバキ」というワードを最初に言い出した人。主なオタ活拠点は現場とTwitter。

Big HitとSM、YGの動きは?

――2020年のK-POP4大事務所の動向を振り返っていきたいんですが、まずはBig Hitエンターテインメントはどうでしたか?

DJ機器 Big Hitが2019年のSOURCE MUSICに続きPLEDIS Entertainmentを買収して、なんだかGoogleみたいに大きくなってきました。昨年末のファミリーコンサートにむけて少し無理やりではありましたがファミリー感を出したりしていますね。

e_e_li_c_a BTSが事務所の一強の存在だから、彼らが兵役に行くことを考えていろいろと準備をしているように見えますね。

ラブ子 絶妙なポジションの事務所を狙って吸収しているのが怖い事務所だなと(笑)。企業的戦略でガシガシ動いてる感じがしました。

――SMエンターテインメントはいかがでしたか?

ラブ子 SMは珍しく乱れた1年だったかと(笑)。2020年の後半にaespaのデビューやNCTの活動がいきなりぶち込まれたイメージがすごいありました。ひとつひとつのビックプロジェクトが、事務所の中であっちにいったりこっちにいったり。

DJ機器 NCTのアルバム『THE 2ND ALBUM RESONANCE Pt.2』が、印刷ミスにより発売延期になったりしました。いつも以上に無茶なスケジュールで制作していたんでしょう。

e_e_li_c_a スケジュールに関してはどこの事務所も新型コロナの関係で調整が難しかったのもあると思います。SMはここ1〜2年は特にグループ間でも印象を似せてきているのか、似てきてしまっているのか……。

DJ機器 ビジュアル面に関してはディレクターの趣味なのかもしれません。そういえばMARVELと絡むような動きもありましたが、SuperM然り、最終的には『アベンジャーズ』みたいなのをやりたいんですかね。

e_e_li_c_a ミュージックビデオの端々で、ほかのグループに繋がる謎のモチーフをいれてきたりするのも、その布石なのかもしれない。

ラブ子 ただ新型コロナの影響でアメリカなど海外展開ができなくなってしまいました。逆に日本では、地上波の歌番組に出演したりと一応、知名度を上げようという意図は感じました。

e_e_li_c_a もともとSuperMは東京ドームで公演をやる予定でしたが、それぞれのメンバーのグループやソロ活動などがあってしばらく音沙汰がなく、クリスマスか何かに挨拶の動画が突然公開されて、「そういえばまた続いていたんだ、このプロジェクト!」となりました(笑)。

――YGエンタはどんな動向でしたか?

e_e_li_c_a YGは事務所がバーニング・サン事件で一度足場が崩れてしまったから、その立て直しが大変な1年でしたね。ただTREASURE(トレジャー)は頑張っていますね。

ラブ子 そうですね、TREASUREのおかげで持ち直していると思います。マシホのおかげで株価も上がったので。でも国内でしっかり活動しているグループはTREASUREだけみたいな感じになっていますよね。あとは、ブラピン(BLACKPINK)。

DJ機器 BIGBANGも2020年にCoachella(コーチェラ)でカムバック公演の予定がありましたが、フェス自体が新型コロナの影響でなくなってしまいました。新しいアルバムのレコーディングに取り組むという話もありましたがどうなったんでしょうね……。

ラブ子 YGとJYPも、今年は手堅いというか、特殊な活動はしてないですよね。YGがブラピン、JYPはTWICEが目立って活動していたという印象でした。

――JYPエンターテインメントは、Nizi Projectによって日本での知名度が抜群に上がりました。

ラブ子 JYPは社長のJ.Y.Parkが一番目立っていました(笑)。こんなに社長の名前を聞いた1年は本当にかつてないことなのではないでしょうか。『スッキリ』(日本テレビ系)などに出演していたので、うちの母親まで「NiziUでしょ?」みたいに言い出して。

e_e_li_c_a 毎朝出ていたのは影響力として大きいですよね。

ラブ子 社長が偉人みたいなことになっちゃって。韓国の大統領よりメディアに出ていたと思います。

――今までKPOPファンの人が見てきたJ.Y.Parkと、今回で知った人の間で、彼に抱くイメージに乖離はありますか?

ラブ子 韓国では、自分もアイドル時代があったところを含めての「いじられキャラ」ですよね。

e_e_li_c_a たしかに、韓国だと自分が90年代から活動していたのが認識されていますからね。日本はそこの部分がすっぽりない。

DJ機器 K-POPのファンからしたら、いじられキャラなのになんで名言製造機みたいになっているんだと思っている人が多そうですよね。日本で注目されたのは、ああいう前に出てくるタイプのメンターみたいな人があまりいなかったのではないかと。ジャニー喜多川さんとかはあんまり表に出てくる感じではなかったですし、つんくさんのような立ち位置の人の席が空いたところに収まったようにもみえます。

e_e_li_c_a 事務所として気になる動きは、ITZY(イッジ)の「Not Shy」の英語版が出るんですよね。TWICE(トゥワイス)も最近、英語版楽曲を出していて。TWICEとかは今まで欧米圏よりも日本のが優先! って感じだったと思うんですけど、新型コロナのこともあって現地に行けなくても案外プロモーション出来るのかも? となって、ついでじゃないけど英語版楽曲を出してるように見えます。

DJ機器 TWICEは2019年には全世界9都市を巡回するツアーを開催していますね。「現地化」の足がかりを作りたいのかもしれないですね。

ラブ子 ワンガ(Wonder Girls)が米国進出に挑戦するも一度は諦めているからなのか、それ以降はグローバル向けのアイドルを養成するイメージがありませんでしたが、もしかしたら来年はガールズグループがグローバル路線にいくのかもしれないですね。

――日本でのJYPのイメージでは、NiziUが代名詞になったといえますが、K-POP風の日本アイドルという立ち位置をどう見ていますか? K-POPを聞いてきた人たちには違和感を持つ層もありますが。

ラブ子 K-POPファンとNiziUファンは、住み分けができているように思います。曲がりなりにもサバイバル番組出身の子たちなのでちゃんとスキルもあるし、JYPのDNAも感じますし、路線としてはうまくいっているのではないでしょうか。サバイバル番組自体は追わなかったのですが、デビューしたメンバーは可愛いし、「Make you happy」は、「世界中が夢見る日本のアイドル」みたいな感じじゃないですか。覚えやすいし。どこにも傷をつけない、角がないプレデビュー曲で。JYPって偉い(笑)。

DJ機器 「Make you happy」はいつもK-POPしか聞いてない人からすると物足りなさもあるんだと思うんですけど、いきなり「本格派グループ」みたいな打ち出しをされても、おそらくお茶の間には受け入れられない気はしますよね。個人的にはいい塩梅だなと思いました。

e_e_li_c_a 楽曲としてはTWICEの日本語曲と印象が近いところがありましたね。あとはデビューEPを聞くと、ラップがうまかったんです。日本で売ってくことを考えるとダントツなのではないでしょうか。

――「世界中が夢見る日本のアイドル」という言葉が出ましたが、それは日本人が考える日本の女性アイドルとは違うところがあるんでしょうか?

ラブ子 「海外から見た日本」という感じでしょうか。ハロー!プロジェクトやAKBグループはもっと変則というか、サウンドにもロックマインドがあると思っています。「Make you happy」に関しては「K-POPのひな型を使ったJ-POPっぽいもの」という、恐ろしいバランスになっている。日本のアイドルでJ-POPかと言われるとちょっと違う気もしますが、かと言って「K-POP」かと言われると難しいですよね。デビューして、全員が揃った次の曲が大事になってくるのではないでしょうか。

DJ機器 あとは新型コロナでコンサート等の現場がないから、どれだけお金を使ってくれるファンがついているのかもわからないですよね。ファンが若年層に集中しているような気もするので、NiziUカフェみたいなものをやったら来場者は多いとはと思うのですが。

e_e_li_c_a 確かに、コラボカフェ開催したら小中学生がたくさん押し寄せそうですね。ただ、コンサートをちゃんと開催する際に、一人では来られない層が多いので集客がわからないですね。

ラブ子 その点で、TWICEは本国の活動から応援しているファンが流入しているから、ガッツリ追う人、お金を落とす人が多いイメージがあります。

DJ機器 TWICEの東京ドーム公演に行ったのですが、親子で来ている人が多いし、普通に中年男性グループが客席にいるのが衝撃的でしたね。K-POPアイドルの初来日公演等だと明らかに服装や雰囲気などで「K-POPオタクっぽい人」が多いのですが、TWICEはもう全然関係なく色々な人がいるんですよね。

ラブ子 日本の現場でカメラの金額と腕力を活かせる現場ってそれほど多くないから、中年男性はハマっちゃうんだと思います。財力もありますし。ただNiziUは……あんまり、そうならないでほしいところもあるかな(笑)。やっぱり若い子に支持されてほしいですよね。あとはTWICEの妹分で、ITZYとも住み分けができているので、JYPとしても動かしやすいグループなのではないでしょうか。

 ボーカルやラップのスキルもあるのでもっとダークな雰囲気の楽曲もこなせるはずですし、そのような激しい楽曲も日本ではE-girlsなどの前例があるので、受け入れられる間口はあると思います。

――男性アイドルでいうと、JO1もK-POPコンテンツを輸入した形の存在です。吉本興業と韓国のCJ ENMが共同出資した事務所というのも新しかったですね。

この投稿をInstagramで見る

JO1(@official_jo1)がシェアした投稿

e_e_li_c_a 12月にあった、JO1の1stオンラインコンサートに対して「メンバーたちは頑張っているのにその努力を形にしてくれる人がいない」という、運営への不満を見かけました。

ラブ子 自分にもファンの方から報告が来ました。「コンサートなのに10曲しかやらないんですけどどういうこと?」とか「吉本燃やしていいですか?」という……。

DJ機器 単純に予算の問題な気もします。国によってエンタメに対しての力の入れ具合やリソースが違いますからね……。楽曲に関しては、リファレンス元がなんらかの「K-POP楽曲」で、一次ソースの楽曲を直接参照していないように感じました。K-POPっぽいことをしようとしているのではないかと思うのですが、コアな側面というよりも表面をなぞっている感じがして個人的には物足りなさを感じました。

ラブ子 そうですね……。ちょっと前の「K-POPっぽさ」を楽曲にしている感じはありますね。あえてNiziUと比べると、Nizi ProjectはJ.Y.Parkが個人のスキルを見ながらパフォーマンスを重視する「実力派」サバイバルグループ。一方、JO1は日プ(『Produce101 Japan』)という、大半の練習生が歌もダンスも未経験の状態で集められたサバイバル番組出身なので「実力派」とは違うのかなと。

e_e_li_c_a ただ売り方として、「グローバルボーイズグループ」とか「世界を目指す」的なことを打ち出すので違和感があるのではないでしょうか。

ラブ子 ファンや周りで遠巻きに見ている人が引っかかっている部分は「世界狙いなら、もっと育てるところがあるんじゃない?」とか、「楽曲もだんだんレベルアップしていってもいいんじゃない?」というところだと思うんですよね。ここから認知度、パフォーマンス、ビジュアルのクオリティもどんどん上がっていくという成長物語を見せてくれるなら自分は楽しいかなと。ただ、日本の芸能界における立ち位置で考えると、ジャニーズとLDHの中間的の存在としてJO1というアイドルがいてもいいんじゃないかと思っています。バラエティも出るし、楽曲も歌うという路線は、日本では間違っていないと思う。

DJ機器 日本で男性アイドルの本格派だと、LDHや三浦大知さんというパフォーマンスが強い存在がいるので、いきなりそういう人たちと比べられてしまうと大変ですよね。

ラブ子 でも、K-POPのコアなファンの中には、JO1がそこで止まっちゃうんだったら……と、揺れ動いている人がいるのかなと。それが1stコンサートへの不満につながったのかもしれません。でも、実績というか売れていらっしゃるから、よろしいのでは。売れればいいんじゃない?

e_e_li_c_a 『Produce101 Japan』は2も決まりましたしね。それも、きっと良い商売だと思ったから2をやるわけで。

DJ機器 メンバーやプロダクション側にお金が入ってくると、制作面でもさまざまなことが実現できたり解決できたりしますからね。

――K-POPは毎年、脱退者や活動休止などが多発していて、その理由に過酷な労働環境がよく語られていますよね。それこそ奴隷契約と揶揄されるような状態ですが、この問題は、今後どう解消されるのでしょうか?

DJ機器 お国柄はあると思いますね。兵役がある国ですから……。

ラブ子 「2年だったら兵役も我慢できるだろう」という感覚が備わっているので、時限をつけたものはちょっと体を壊しても頑張りきる! みたいな発想につながっているような気もします。

e_e_li_c_a これって、日本の企業でも同じような風潮があると思っていて。法令を違反してても、そういう雰囲気がないから有給が取れないみたいな。

ラブ子 現場の人たちもみんな、「それが芸能活動でしょ?」みたいなことになってしまっていると思うので、一度その歯車が動き出してしまうともう止められないのがエンターテインメント業界の闇というか。でも、私は韓国のアイドルビジネスの収益構造をわかっているわけじゃないから、やめろとも言えないです。そのサイクルを止めたことによって、結局アイドルたちの収益がなくったら、アイドルも生活ができなくなる。

e_e_li_c_a でもそれって商売として成り立ってないということじゃないですか。結局、無理して成立させてるものは長くは続かないし、体調を崩したりする原因にもなる。

ラブ子 成り立たせちゃいけないという意識を、エンタメを享受している側も、ある種の搾取になっているという構造を胸に置いておいたほうが健全なのではないでしょうか。あとは、メンバーが傷ついたら、事務所とファンが守る。

DJ機器 年々、素行監視が厳しくなっているようにも感じますね。ものすごいハードスケジュールで働いて、外で遊ぶこともできないし、私生活でも気が抜けない。スタイリストにブチ切れて毛布を投げつけたくなる気持ちもわかりますよ(笑)。

ラブ子 本当にそうなりますよ。だって、あんな過酷な練習とスケジュールをこなして、それで何か起きたときには本人が叩かれるんだから、事務所が守ってあげないと。海外のファンからエデュケーションを受ける流れがあったり、グローバルな視点を求められながら働かなきゃいけないのに、働き方はブラックって……(笑)。

e_e_li_c_a コロナ禍で少しはスケジュールに余裕が出るかと思いきや、オンラインライブなどで収録現場が増えているグループもあったり、接触を減らすためにより変な時間に稼働しているようにも見えますね。ここ1~2年ぐらいは昔に比べて休業するケースが増えてきているような気もしますね。

DJ機器 ただ、逆に休みたいと申告したら休ませてもらえるようになったんだなとは思いますけどね。

ラブ子 私はそれならカムバもやめてねと思いますけど。グループの人数を減らしてまでやる必要はない。そういえばイドン(Triple H)とヒョナ(同)は全然カムバしないですね。あれぐらいの働き方で食えているんだったら、健全じゃないですか?

e_e_li_c_a その2人はP NATION(ピーネーション)と契約したことが大きいんじゃないですかね。

DJ機器 カンナムスタイルマネーが……(笑)。

ラブ子 P NATIONか!JessiもP NATIONでしたっけ? Jessiは年末すごく頑張ってるじゃないですか。

DJ機器 CrushもP NATIONですしね、やはり原資が豊富だと余裕があるんですよ。お金がもっといろいろなところに回ってほしいですね、本当に(笑)。

ラブ子 今年はP NATIONに注目ですね(笑)。

――続きは1月4日公開!

NCT Uの「90’s Love」を徹底解剖! 90年代の元ネタから楽曲・歌詞・ビジュアルをフル解説

――毎月リリースされるK-POPの楽曲。それらを楽しみ尽くす“視点”を、さまざまなジャンルのDJを経て現在はK-POPのクラブイベントを主宰するe_e_li_c_a氏がレクチャー。11月にリリースされた曲から[いま聞くべき曲]を紹介します!

今月の1曲‖NCT U 엔시티 유 - 90's Love

 NCT2020で始まった「RESONANCE」活動のリパッケージアルバム「NCT RESONANCE Pt. 2 - The 2nd Album」の先発曲、「90's Love」です。
メンバーはテン、ウィンウィン、マーク、ジェノ、ヘチャン、ヤンヤン、ソンチャンの7人で、公式の説明はこのようになっています。

 "エキサイティングなアップビートとグルーヴィーなドラム、ベースラインが印象的なオールドスクールR&Bヒップホップ曲で、90年代ヒップホップとR&Bに現代的なサウンドが合わさってニュートロ感性を刺激する。歌詞には、過去の大切なものすべてが、時空を超越しても価値があるので、記憶して再解釈しNCTだけの新しい価値を作ろうというメッセージを含んでいる"

 歌詞にはところどころに90年代を象徴するキーワードが散りばめられ、MVでのスタイリングも90年代を意識したものになっています。私が中学生の頃90年代のUS HiphopのMVや歌詞カードを見ながら「これは何を表しているのだろう」と一生懸命調べたことを思い出します。

 そこで、いつもはK- Popの楽曲を切り口に音楽ジャンルの説明をすることが多いですが、今回は「90's Love」をいろいろな角度から徹底的に解説していきます。

 作詞はSM Entertainmentお抱えの作詞・作曲家Kenzie。少女時代の「Into the New World」やEXOの「Overdose」、最近ではRed Velvetの「Psycho」やベッキョンの「Candy」を作詞し、今年に入ってからはITZYやTHE BOYZ、TWICEなどSM外のアーティストにも詞を提供しています。SHINeeの「SHIFT」やNCT Dreamの「We Young」「We Go Up」、ベッキョンの「R U Ridin'?」などは、作詞作曲どちらも手掛けており、作曲は複数人でやることが多いですが、一番最初に名前が並んでおり、かなりの比率でSMの楽曲に携わっていることがわかります。Kenzieは1976年生まれで、まさに本人が10代~20代の多感な時期を過ごしてきた90年代を思い返して歌詞を書いたのではないでしょうか。

 それでは今回は、【1】楽曲【2】歌詞【3】ビジュアル、の3パートに分けて一つずつ繙いていきたいと思いますが、あくまで「私が感じた」引用元を挙げるだけなので本当にそうかはわかりません。

 是非このリファレンスを元に深堀りをして、自分の納得できるものを探し出せたら、さらに面白い楽しみ方ができると思います。

 まずはイントロからですが、これは何の知識がなくても私の記事を今まで見ていた方にはわかるでしょう、New Jack Swingです。もはや説明は不要だと思いますが詳しくはNJS特集を参照して下さい。

 「90's Love」のイントロに関しては、この曲を引用してそうな気がします。ちなみにBell Biv DeVoeは先月23日、アメリカで40年以上続くAmerican Music Awardsで初めてパフォーマンスを行い、NJSメドレーを披露しました。

■Bell Biv DeVoe - Poison (Remix) (1990)

 ただし音の処理など“はっきり”さに関しては、現代のNJS、Bruno Marsの「Finesse (Remix)」などの方が近いと思います。

 ビートが一度なくなりベースと一緒にサイレンのような浮遊感のある音が流れ始めますが、これはこの曲の9小節目(00:18)から始まる上ネタでしょうか。

■Miles Davis - Fantasy (92)

 この少し落ち着かない音の上ネタにもサンプリング元があり、81年にリリースされたESGというバンドの楽曲です。
■ESG - UFO (81)

 ちなみにFantasyの収録されているアルバム「Doo-Bop」はJazzy Hiphopを紹介した時に挙げたDoo Bop Songも収録されているアルバムです。

 全体的なビートの印象としてはHiphopですが、スネアなどは少し80年代のNJSっぽさも感じられます。90年代に入るとNJSのドラムはこもった感じの音になるため、80年代の方が近いように思います。

■Guy - Spend The Night (88)

 また「90's Love」のBPMは108ですが、90年代の黄金期と呼ばれるHiphop楽曲のBPMは80~どんなに速くても100前半ぐらいで、80年代後半~90年代前半に流行した以下のような楽曲のほうがBPM的には近いと言えるでしょう。

■Public Enemy - Fight The Power (89)

■Ultramagnetic MC's - Poppa Large (92)

■TLC - Hat 2 Da Back (92)

 今まで挙げた曲を「90's Love」と聴き比べると、サウンド的に少し音が薄かったり音数が少ないと感じるかもしれません。ここは、今聞いてほかの曲との聴き劣りがないように音圧を高く、音を厚く処理しているのでしょう。なので、サウンド的な面だけでいうと90年代コンセプトとはいえ、かなり現代風に解釈されているのを感じます。

 なかなか言葉で説明するのは難しいですが、ドラム全体の雰囲気としては00年中盤のこの辺りが近いでしょうか。

■Smitty feat. Swizz Beatz - Diamonds On My Neck (05)

■Platinum Pied Pipers - Stay With Me (DJ Mitsu The Beats Remix) (05)

 ビートのアタック感としてはLAビートシーン周辺のこの辺りが連想されます。

■Hudson Mohawke - Free Mo (06)

■Flying lotus - Clown Hair (06)

 さて、次に歌詞の引用元を冒頭から一つずつ繙いていきましょう。イントロから全部で14つ解説します。

1:「Hey hey hey hey hey hey (hoo hoo)」 (0:17~)

聞けばわかるのであまり説明は必要ないと思いますが、イントロの「hey, ho, hey, ho, hey, ho」を引用していると思われます。

■Naughty by Nature - Hip Hop Hooray (92)

2:1990's (how we do it)の「how we do it」 (0:28)

少しあとのほうに「This is how we do it」と出てくることからも、こちらを引用していると思われます。

■Montell Jordan - This Is How We Do It (95)

3:「자 누가누가 핫 하대?」(さぁ誰がホットだって?)の「ホット」 (0:34)

96年にSM Entertainmentからデビューした5人組男性アイドルグループ、H.O.T(エイチオーティー)です。衣装も引用が見られるため、追ってまとめて説明します。

4:Old school vive (that vibe)の「that vive」 (0:39)

ここは少しこじつけかもしれないですが、95年リリースのR.Kelly「She's Got That Vibe」の「That Vibe」を引用してそうな気がします。

■R. Kelly, Public Announcement - She's Got That Vibe (95)

5:「따라 부르는 kids on the block」(真似て歌う kids on the block)の「kids on the block」 (0:41)

 84年デビュー、94年に解散したアメリカの5人組男性グループ、New Kids On The Blockです。「Step by Step」はビルボードの全米シングルチャート第1位を獲得しました。

■New Kids On The Block - Step By Step (90)

6:「골목을 흔든 boombox」(路地を揺らす boombox)の「boombox」 (0:43)

 ラジオ付きのテープレコーダーは60年代頃生まれますが、70年代後半に高機能・多機能化しウーファーなどが付き大型化していきます。80年代に入りブレイクダンスやHiphopがはやり始めると大流行し、大型のポータブルラジカセのことをBoomboxやGhetto Blasterと言うようになります。

 これを肩に担いで大きな音を鳴らしながら歩いたり、ラップバトルやストリートダンスをする際のBGMを流すために使いましたが、騒音などの観点から公共の場所でBoomboxの利用が違法とされる地域もあったほどでした。90年代に入るとSonyのWalkmanが流行しBoomboxはあまり見ないようになりますが、Hiphop文化の一つの象徴ともされており、その後もMVやライブなどでHiphop感を表すアイテムとして使われ続けます。

 ちなみに私が所属していた大学のサークル、ソウルミュージック研究会・Galaxyにもいつからあるのかわからない、古くて大きいブーンボックスがあり、新入生歓迎会の時や、外でラップを練習する際に使っていました。

■Schoolly D - Livin' In the Jungle (89)

 ソウル・江南地区は元々は郊外の農地でしたが、63年のソウル市編入後、70年代以降にたくさんの高層マンションが建ち並びます。そこに新興裕福層がたくさん越して来ますが、80年代に入ると88年にオリンピックの開催もあり、どんどんと土地の価格が上昇し、持っていたマンションの価格が3倍近く上がるケースもあったそうです。

 歌詞の「オレンジ」は오렌지족(オレンジ族)のことを指しており、高級繁華街となった狎鴎亭(アックジョン)で、海外ブランドの服を着て外車に乗り高級カフェに出入りし、親の金で遊び回る20代の若者のことを言います。狎鴎亭は、江南の中でも特に高級デパートやブティックが多く並んでおり、現在も芸能人がよく出没する場所として知られています。

 オレンジ族の由来は諸説ありますが、当時輸入フルーツが珍しかった韓国で、外車に乗りながら道でナンパをする時にオレンジを持っていた、カフェでオレンジを丸ごと絞ったジュースを飲んでいた、カフェで好みの異性が現れるとオレンジジュースを渡していた、などが語源とされています。日本の80年代後半のバブル期のような状況ですが、日本では世間が全体的にそういうムードだったのに比べ、韓国では特に一部地域の人たちだけが成金になったため、疎まれるような存在だったとか。「オレンジ族」は、そのような過度な消費行動を皮肉る名称だったとも言われています。

8:「Here we go here we go here we go」 (1:11)

 冒頭0:18~の「Here we go, yo, here we go, yo」がほぼ同じなので、ここから引用しているのではないでしょうか。

 A Tribe Called Questは90年代を代表する伝説のグループといわれるほどで、この「Scenario」はなんと100曲以上にサンプリングされています。
Jazzy Hiphop特集の際、Jazz Rapというくくりで紹介しました。

■A Tribe Called Quest - Scenario (91)

9:「Don't this hit 진짜 느낌 오는 jump jump」(Don't this hit マジで良い感じの jump jump) (1:20)

 Busta Rhymesの「Pass The Courvoisier Part II」から「Don't this shit make a nigga wanna (JUMP JUMP!!!!)」のフレーズをそのまま引用しています。今まで90年代で固めてきたはずなのに、ここだけ2001年リリースの楽曲なのは何か意味があるのでしょうか……。どうせなら90年代楽曲のフレーズで押し切ってほしかったです。

■Busta Rhymes - Pass The Courvoisier Part II (01)

 「jump jump」のタイミングでMVに映る、メンバーを囲った下からのアングル (1:25)はN.W.Aのアルバム『Straight Outta Compton』のCDジャケットのオマージュでしょう。

10:주머니는 헐렁했지 (ポケットはダボダボだった) (1:32)

 今まで挙げたMVを見てきた方にはわかると思いますが、90年代のHiphopファッションを指しているように思います。ちなみに、このオーバーサイズのファッションには諸説あり、体を大きく見せるためや、Hiphopをメインでやっているアフリカンアメリカンに貧困層が多く、何度も買い換えなくていいからという理由で大きな服を子どもに買い与え、お下がりを着させていたという説などがあるようです。

11:자 찍어 cheese (さぁ 撮って チーズ) (1:34)

 ここは元ネタというよりは補足になりますが、「cheese」にはHiphopスラングとして「お金」という意味があります。「Blue cheese」になるとマリファナの意味になり、90年代で挙げるならこの曲でしょうか。

■The UMC's - Blue Cheese (91)

12:Friends (1:43)

 もはや説明不要なぐらい知名度の高い、94年から04年にかけて放送された米ドラマ『フレンズ』です。

13:So let me see you do your thang (come on) (1:55)

 チーズと同じく補足ですが、「thang」は「thing」のスラングで、「Do your thang」はアメリカのHiphopに限らず、R&Bなどの楽曲でタイトルや歌詞に良く使われるフレーズです。意味は「やることやれ」や「(何かを好きに)やってろ」のようなものになります。

 一般的に「thang」は少し距離を置くようなものや概念を指し、例としては、ヒートアップした議論や面倒くさいトラブルなどが定義されるそうです。Hiphopなどの楽曲で用いられる時は、「thang」が仕事なこともあれば性行為などの卑猥な意味のこともあり、いろいろな解釈ができるようなフレーズです。

 「90's Love」の文脈では「들어 봐 DJ drops it」(聞いてDJ drops it)や「feel a way」、「이 밤은 짧기에」(この夜は短いから)とあるようにクラブで踊っているようなイメージでしょうか。ほかにもいろいろ考えられるとは思いますが……。90年代に絞るとこの「7Mile」の曲が思い浮かびます。「恋人が離れていってしまいそうで悲しいけど、放っておかないと(あなたが好きなようにさせないと)  でもやっぱり無理だ もう一度チャンスをくれ」という恋の歌です。

■7 Mile - Do Your Thing (98)

14:코스모를 느낀 거야 난 (KOSMOを感じたんだ僕は)の「코스모」(KOSMO) (2:47)

 86年から90年にかけて週刊少年ジャンプで連載された聖闘士星矢に出てくる小宇宙(コスモ)でしょうか…?一般的な宇宙を表す場合「cosmo」ですが、公式MVの日本語字幕が「KOSMO」になっており、途中出てくる「광야」(広野)も日本語字幕では「KWANGYA」となっているため、固有名詞な気もします。「KWANGYA」に関しては少し前にリリースされたaespaの「Black Mamba」の歌詞にも同じ表記で出てくるため、SM Entertainmentの考えている何かの繋がりがあるのではと言われています。

 それではビジュアルの解説に入りたいと思います。全部で8つのモチーフを取り上げます。ただファッションの事に関してはあまり詳しくないので参考程度にどうぞ。

1:アイスホッケー

 全編を通してアイスホッケー場が舞台になっていますが、アイスホッケーはアメリカでは野球やバスケ、アメフトに並ぶ4大スポーツの一つです。カナダ発祥のスポーツとされており、80年代までホッケージャージをファッションとして着ていたのは白人(主にカナダ人)でしたが、80年代後半からHiphopファッションに取り入れ始められます。

■Audio Two - Top Billin' (87)

 14秒ぐらいに映る、Audio Twoのメンバー、Kirk "Milk Dee" Robinsonが着ている、白地に肩のところに赤いラインの入ったジャージがモントリオール・カナディアンズのユニフォームです。ちなみに、現在のモントリオール・カナディアンズのユニフォームは赤地に青のアクセントの入っているもので、「90's Love」の衣装に少し似ています。ニューヨーク・レンジャーズのユニフォームが青地に赤のアクセントが入ってるものなので、この辺りにもインスパイアされていそうです。

 94年頃からSnoop DoggやA Tribe Called Questなどの人気ラッパーたちがアイスホッケーのユニフォームを着始めます。直接的な理由はわかりませんが、ユニフォームの原色デザインが90年代の原色で色とりどりなファッショントレンドに合っていたことや、バスケなどでもそうですが、地域毎にチームが存在するためHiphopのレペゼン文化()に合っていたのではないでしょうか。Snoopは大のアイスホッケーファンといわれており、さまざまなチームのユニフォームを着ていますが……。

レペゼン文化:地元のことを歌詞に入れたりして地元愛、地元を代表していることを表す。N.W.Aの「Straight Outta Compton」から始まったと言われている。

■Snoop Dogg - Gin And Juice (94) :ピッツバーグ・ペンギンズのユニフォーム着用

■A Tribe Called Quest - Oh My God (94) :ニュージャージー・デビルスのユニフォーム着用

 98年にはニューヨーク・クイーンズ出身のグループOnyxが客演を迎えホッケー選手に変身し、白人チームと戦うというコンセプトのMVの「React」をリリースします。

■Onyx - React (98)

 「90's Love」のアイスホッケーコンセプトは上記から引用しているのもあると思いますが、同じように韓国でも当時のアメリカのファッションを取り入れた、前述のH.O.Tがアイスホッケーユニフォームで披露した「Candy」という曲があります。

■H.O.T - Candy (96)

 90年代後半の韓国ではソテジワアイドゥルが大流行したこともあり、いわゆるアイドルと呼ばれるような人たちがHiphop感のあるコンセプトをやることが珍しくありませんでした。一方で、引用元のアメリカでもHiphop関係なく最前線のアイドルがこのような雰囲気だったので、正直どちらの文脈なのか判断がつかないところではあります。

■서태지와 아이들 (Seo Taiji&Boys) - 컴백홈 (Come Back Home) (95)

■Backstreet Boys - Get Down (You're The One For Me) (96)

 またマークが整氷車の上に乗っているカット(0:31~など)は、ごく最近のものですがこのMVが思い出されます。

■Cashmere Cat, Major Lazer, Tory Lanez - Miss You (18)

2:赤い衣装 (0:17~)

 90年代で真っ赤な服装と言えば、ストリートギャングの「Bloods」(ブラッズ)が思い出されます。

 69年にカリフォルニア州ロサンゼルスで結成されたストリートギャング「Crips」(クリップス)は数々の暴力事件を起こし、それに対抗するため、アメリカ各地のギャングが結集し、同じくロサンゼルスで72年に結成されたのが「Bloods」(ブラッズ)です。前述のSnoop DoggやNate Dogg、Eazy E、WCなどはクリップスに所属しており、The GameやCardi B、DJ Quikなどがブラッズに所属していました。

 当時、ギャングを含む貧困層は安いからという理由で、白いTシャツにデニムジーンズというスタイルをしていましたが、クリップスの人たちがたむろしていると、デニムの青色のせいで「いつも青い服を着ている集団」として見られるようになります。中には、ジーンズに合わせて顔を隠すために青いバンダナをマスクとして身に付けている人もおり、クリップスには「青」のイメージが付きます。

 対抗してできたブラッズは、名前の血を意味する「Blood」から赤色のものを身につけるようになります。ほかにもクリップスが腰の左側にバンダナを垂らすのに対して、ブラッズは右側に垂らしたり、お互いの頭文字のBとCの存在を認めていなかったり、たくさんのルールがあります。DJ Quikは「Quick」が本来のつづりですが、ブラッズなのでCを抜いた「Quik」になっています。

 当時、ブラッズ内でMexican hat danceを取り入れた踊りが「Skip Walk」と呼ばれており、ライブなどで披露されていましたが、それを見たクリップスのメンバーがSkip Walkを取り入れステップを少し変え「Crip Walk」(C-Walk)というダンスを作ります。対してブラッズはSkip Walkを改め「Blood Walk」(B-Walk)とし、お互い自分たちだけのステップを定義します。

 WCのMV内1:30~C-Walkのステップが出てきます。段々とステップに儀式的な意味がついてきて、抗争などで勝利を知らしめる際に行うものなっていきます。相手の血をつま先に付け、「C」の文字を地面に書いたのが始まりとされていますが、アメリカの場所によってはC-Walkをすると傷害事件などに発達することもあり、地域や規則によって禁止されているところもあります。

■WC - The Streets ft. Snoop Dogg, Nate Dogg (02)

 細かいですが、本当に90年代のこのようなカルチャーに則るのであれば、赤を基調とした衣装に青のジャケットを合わせるのは正直どうなんだろう……と思ったりはします。

3:カラフルな衣装 (0:26~)

 このカラフルな衣装を着用しているパートは、ここまでのようにストレートに90年代を引用するというよりも、カラーリング、シルエット、アクセサリーなどで"90年代のイメージ"を再解釈した、現代的なスタイルに感じます。

 というのも、それ以外のシーンは皆Air MaxやAir Jordan、Air Forceなどを履いて、CarharrtやRaf Simonsなど昔からのブランドのものを身につけていますが、このシーンではヘチャンがCOMME des GARÇONSとASICSのGEL-Lyte IIIという今年発売されたスニーカーを履いていたり、マークが03年にできたBillionaire Boys Clubの今年発売されたシャツを着て、ソンチャンがRhudeという13年に誕生したブランドのポロシャツを着ています。

 90年代で、あえてこのようなカラフルでごちゃごちゃしたファッションを挙げるとすれば、80年代後半~90年代前半にかけてのこの辺りでしょうか。

■Salt-N-Pepa - Push It (86)

■DJ Jazzy Jeff & The Fresh Prince - Parents Just Don't Understand (88)

■TLC - Ain't 2 Proud 2 Beg (91)

 「90's Love」のリレーダンス動画でジェノやヘチャンがTommy Hilfigerの服を着ていますが、Tommy Hilfigerも90年代に人気を博したブランドで、当時R&Bシンガーとして大人気だったAaliyahが97年に広告塔としてCMに出演しています。

 ちなみに、またもや細かいことを言い出すと、赤い衣装でヘチャンが履いている青いソールのスニーカーはSankuanzという、08年に中国・アモイで設立されたブランドのものだったり、ジェノのシャツはバレンシアガだったり、ウィンウィンのTシャツはAPEだったりするので、今までの話なんだったんだ感が少しあります……。

 カラフルな衣装でテンが履いているスニーカーです。エアマックスの初代は87年に発売されますが、名前通り95年に発売されたエアマックス95の人気は凄まじく、日本でもプレミアが付きエアマックス95を履いている人を襲撃してスニーカーを奪い取る「エアマックス狩り」が頻発します。

5:3Dゲーム画面、キャラクターの登場 (1:01~)

 90年代のテレビゲーム引用はもちろんのこと、最近SM Entertainmentが動かそうとしているアバタープロジェクトに関係がありそうな内容です。

6:コラージュエフェクト (1:23~)

 冒頭のジェノが出てくる部分にも一瞬ありましたが、ここは90年代ドラマのオープニングでありそうな映像エフェクトが使われています。直接的なものを見つけられませんでしたが、イメージ的にはこれとかが近いのではないでしょうか。

■Saved by the Bell: The New Class Season 1 Opening (93)

7:NINTENDO64 (1:51~)

 私は完全にNINTENDO64世代で、弟にスマブラやゼルダ、マリカーなどを一緒にやらされていた人間なので懐かしいな……という印象です。NINTENDO64はスーパーファミコンの後継機として96年に発売されました。

8:黒い衣装 (2:13~)

 前身黒ずくめのファッションは90年代Hiphopではよくあるものですが、インナーに白Tシャツを合わせているものだと、何度も名前を出しているN.W.Aのイメージが一番近いような気がします。

■N.W.A. - Express Yourself (88)

 またそのファッションに身を包んで複数人で踊るとなると112が思い出されます。

■112 - It's Over Now (01)

 解説としては以上です。

 冒頭の引用した公式からの曲解説文に「ニュートロ」という言葉がありましたが、NewとRetroを組み合わせた造語で、韓国では2018年半ば頃から使われるようになったそうです。私が初めて聞いたのは、DIAのアルバム『Newtro』がリリースされることになった19年前半でしょうか。

 ニュートロとレトロの音の違いについては言葉でうまく説明できずにいましたが、12月2日に出演した『アフター6ジャンクション』(TBSラジオ)でRHYMESTER・宇多丸さんに、ニュートロについて「シンセの鳴らし方にてらいがない」「Trapなどまで行き着いた後の3周して戻ってきたビート」「タメがなくビートが始まっただけで半笑いしてしまう感じ」という説明をしていただき、なるほどなと納得しました。

 「90's Love」は「ニュートロ」ということを加味すると、90年代のさまざまな要素を取り込んで、現代風に昇華できているのではないでしょうか。

 実は「90's Love」の楽曲がリリースされる前に、メンバーたちが赤い衣装を着たティーザー画像だけがアップされ、それを見た私は、少し雰囲気がキレイすぎるしシルエットが細いなと思い、「ツメが甘くない?」というツイートをしました。その時は単純に、90年代コンセプトをやるんだ! と思っていたのでそのような印象を持ったのですが、ニュートロコンセプトをやる場合、どれぐらい引用元の時代を盛り込むのか、どれぐらい現代っぽくするのかのバランスがとても難しいと思っています。

 さらに、引用するコンセプトの文化や国・地域などの背景まで考えると、文化の盗用の話も出てきそうで、同じくNCT Uの「Make a Wish」などは相当問題になりました。一方で「90's Love」は、アフリカンアメリカンカルチャーをここまで引用しているのに、今回はいいんだ……と変な気持ちです。変に騒ぐのも良くないと思いますが。

 また、K-Popは突然、前触れもなくガラッと違うコンセプトをやることが一般的ですが、NCTに関しては人数が変化することも考えると、メンバーの組み合わせがほぼ無限にある状態なので、今までやってきたことや文脈、それをこなすメンバーのことを考えると、余計にコンセプトの選択が難しいとも思います。

 今まで紹介した80年代後半~90年代にかけてのNJSやHiphopは「カッコいいダサさ」があると個人的には思っているのですが、「90's Love」は漠然とそれとは違ったダサさが出ていると感じていて、個人的にはもう少しだけ、90年代の要素がしっかり盛り込まれていたほうが、より好みだったとは思いました。

 例を挙げるなら、EXOの「Ya Ya Ya」などは公式でSWVの「You're The One」をサンプリングしていると明かしているので、Busta Rhymesのラインなどは、そのまま引用したほうがインパクトがあったのではないでしょうか(そもそも90年代リリースではないですが……)。

 今までの連載を見てきている方にはわかると思いますが、Hiphopはサンプリング文化なので、そのような部分も含めて90年代を存分に引用したらより面白かったかもしれないです。

 今回の特集は、絶妙にさまざまな要素が混ざり合っていたため、音楽的な部分の解説にかなり手こずったこともあり、友人の渡邉千尋さんtheoria.さんに少し繙きを手伝ってもらいました。渡邉千尋さんは、私とは全く違った視点から広くK-Popについてブログを書いていて、theoria.さんは韓国でトラックメイカーとして活動しつつ、케이팝애티튜드(KPOP ATTITUDE)というクルーを運営し、K-Popパーティの開催や、楽曲レビュー投稿をしています。

落選したけど……紹介したい1曲

■BAE173(비에이이173) - 반하겠어(Crush on U)

 POCKETDOL STUDIO所属、9人組ボーイズグループ「BAE173」(ビーエーイー イルチルサム)のデビュー曲「반하겠어」(パンハゲッソ、惚れそうだ)です。

 11月19日がデビュー日で、現在音楽番組などに出演しながら絶賛活動中です。POCKETDOL STUDIOという事務所は、KBSで放送されたアイドル再起プロジェクト番組『THE UNIT』の製作のために、MBK EntertainmentとInterpark(書店やチケット販売などを行うエンタメ企業)が共同出資で設立した会社です。

 Mnetのサバイバル番組『PRODUCE X 101』から誕生したX1というグループに選ばれたメンバーが2人いましたが、PRODUCEシリーズの投票操作などの影響でX1が解散してしまったため、思ったより早くグループとしてデビューすることになりました(その2人はH&Dというユニットで先にデビューし半年程度活動していたので、このタイミングで9人組でデビューするのは少し驚きました)。

 この曲について言いたいことは、2015年頃にSEVENTEENにハマった人間は絶対に聞いてくれ! です。そんな人が今この記事を見てるのかどうかわかりませんが、曲やコンセプト、ステージなどが完全に「아낀다 (Adore U)」と「만세(MANSAE)」など初期のSEVENTEENから影響を受けています。曲を聞いただけではそこまで思いませんでしたが、たまたま音楽番組のステージを見て、これは!!!!! となりました。

 ということでここまでで気になった方は是非11月22日の音楽番組、人気歌謡のステージをご覧ください。

 実はMBKという事務所にあまり良い印象がなかったので頑張って欲しい! という気持ちでいっぱいです。

<近況>
2年ぶりぐらいにTBSラジオに出演しました。20分でDJセットを組むのは本当に大変です……。そして12月中と1月上旬に、もしかしたら何かあるかもしれません…。

e_e_li_c_a
1987年生まれ。18歳からDJを始めヒップホップ、ソウル、 ファンク、ジャズ、中東音楽、 タイポップスなどさまざまなジャンルを経て現在K-POPをかけるクラブイベント「Todak Todak」を主催。楽曲的な面白さとアイドルとしての魅力の双方からK-POPを紹介して人気を集める。

Twitter @e_e_li_c_a TodakTodak 
mixcloud eelica

SEVENTEEN「HOME;RUN」は「Jazz」を知るとさらに楽しい! MVの世界観と音楽ルーツを解説 

――毎月リリースされるK-POPの楽曲。それらを楽しみ尽くす“視点”を、さまざまなジャンルのDJを経て現在はK-POPのクラブイベントを主宰するe_e_li_c_a氏がレクチャー。10月にリリースされた曲から[いま聞くべき曲]を紹介します!

今月の1曲‖SEVENTEEN (세븐틴) - HOME;RUN

 今月はPledis Entertainment所属13人組グループ、SeventeenのSpecial Album『;[Semicolon]』のタイトル曲「HOME;RUN」から、あまりにも奥深すぎるジャンルなため踏み込みたくなかった「Jazz」について解説します。実は、Seventeenは私が初めて韓国までコンサートを見に行ったグループなので、それなりに思い入れのあるグループです。

 アルバムの説明として公式文章を引用します。

「『;[Semicolon](セミコロン)』は、前作『헹가래(ヘンガレ)』で伝えた'青春'への応援メッセージを再び共有しながら一歩前進し、休まず走る青春に'少し休んで青春の饗宴を楽しもう'という、より成熟した肯定のメッセージを伝えるアルバム。現在を生きながら孤軍奮闘している若者たちへ、『息抜きの時間』、『一緒に笑って楽しめる時間』を文章の途中で切り、説明を続ける時に使われる符号「Semicolon(セミコロン)」にたとえ、同時代の青春として生きる「SEVENTEEN」から共感と慰めと応援を伝えるメッセージがアルバムいっぱい込められている」

 今回はティーザー動画やMV、音楽番組のステージなどからもわかるようにSwing Jazzの流行した1930年代のファッション・雰囲気を引用しており、当時の時代背景がわかるとさらに「HOME;RUN」が楽しめる内容になっていると思います。パフォーマンスについては、毎回の音楽番組でコンサートレベルのパフォーマンスを披露していて、人数やスキルも含めてSeventeenだからこそ、というようなステージになっています。是非MVだけでなく音楽番組のステージをチェックしてみてください。

奴隷解放宣言から始まるジャズの歴史

 「Jazz」というと難しくてとっつきにくいというイメージがある方も多いかもしれませんが、今回は1862年アメリカで奴隷解放宣言が出された時代から歴史的な流れを中心に、ざっくりとジャズの成り立ちと、1930年代に流行した「Swing Jazz」というジャンルを中心に説明したいと思います。

 まずは年代と、その時代に流行したジャズのサブジャンルについて挙げます。今までのように、ここ30〜40年の話ではなく時代をぐっとさかのぼり、100年以上前の話になります。

1900年代:New Orleans Jazz(ニューオーリンズ・ジャズ)
1910年代:Dixieland Jazz(ディキシーランド・ジャズ)この年代もニューオーリンズ・ジャズと呼ばれることもある
<1900~1910年代を大きく括って「オールド・ジャズ」や「クラシック・ジャズ」と分類する>

1920年代:Chicao Jazz(シカゴ・ジャズ)
1930年代:Swing Jazz(スイング・ジャズ)
1940年代:Be-bop(ビ・バップ)

 ジャズの発祥は一般的にはアメリカと言われていますが、レゲエの説明をした時と同様、いろいろな場所から集まった人たちが元から持ち合わせていた音楽的な要素が交ざり合い、アメリカで育まれ発展したジャンルです。ヨーロッパから移住した人々や、奴隷制があった時代にアフリカから労働力として強制的に連行された人々、それらの混血のクレオール(※)など多種多様な人種が集まるルイジアナ州の港町・ニューオーリンズという街でジャズが生まれたといわれています。

 ニューオーリンズでは当時、スラングで性行為をJass、売春宿をJass Houseと呼んでいて、1階が酒場で2階が売春宿の、酒場部分を主な演奏場所にしていた演奏家たちのことを「Jass Band」と呼んでいたとされ、これが「Jazz」の語源という説があります。ほかにもフランス語の「Jaser」から来ているなど諸説ありますが、現在でもその語源ははっきりしません。

 音楽的な成り立ちについては、「Blues」(ブルース、ブルーズ)や「Ragtime」(ラグタイム)、ゴスペル、霊歌、初期のカントリーなどたくさんの音楽と互いに影響を受け合い形作られたといわれています。

※「クレオール」は言語や人のどちらにも使われ、レゲエの説明をした時の「パトワ語」がジャマイカ・クレオール語と表現されることもありますが、今回の文脈で「人」に使う場合は、ヨーロッパを中心に考え人種を問わず「植民地(アメリカ)で生まれた人」のことを指します。

 アメリカ南部のミシシッピ州北西部の川で囲まれたミシシッピデルタ地帯は広大で平らで肥沃な土地があり、1800年代後半たくさんの大規模農園が作られ、奴隷制から解放されたアフリカンアメリカンたちが誘い込まれて小作制が始まりました。アフリカンアメリカンは奴隷制から解放されたとはいえ、農園主のヨーロッパ人から金を借りる代わりに生産物の半分を差し出させられ、農園に縛り付けられます。そこで過酷な労働を強いられた彼らが怒りや苦悩、不満といった自らの感情を表現する手段として用いた音楽が1890年代ブルースへと発展します。

 ブルース登場以前は、土地を掘り返したり船を漕いだりするような、大勢が一斉にリズミカルな作業をする場で掛け声的に歌われた労働歌(ワーク・ソング)、農園で集団で仕事をしながら歌っていたフィールドハラー、誰かが歌うと誰かがそれに答えて歌うというコールアンドレスポンスなどがありましたが、ブルースはそれとは対象的に、仕事をしていない暇な時、身近な出来事や個人的なこと、感情などを独白的にしゃべって歌うというイメージのものです。

 彼らにとって身近だったギターが伴奏楽器として適していたこともあり、初期のブルースはギターの弾き語り形式のものがほとんどでした。1900年代に入るとブルースは楽譜に落とし込まれ、1920年代に入り初めてのブルース楽曲がレコーディングされます。その後、形式上奴隷から解放されたアフリカンアメリカンは季節労働者としてミシシッピ河口からアーカンソー、ルイジアナ、テキサス、テネシーなどを常に移動しました。ブルースのミュージシャンたちも例外ではなく、アメリカ南部地域を旅してブルースを広めました。

 メロディーに独特の節回しがあり、一般にブルーノートスケールと呼ばれている5音階(ペンタトニック・スケール)で演奏されます。

 長調でいうドレミファソラシドの3・5・7度(ミ・ソ・シ)の音をフラットさせて作った音階で、3度の音はメロディが長調的か短調的になるかを決定する部分ですが、ここがフラットすることで短調的になり少し悲しい響きに聞こえるというものです。このブルーノートスケールはジャズに大きく影響を与えており、1939年にはドイツでジャズ専門の「ブルーノート・レコード」というレコードレーベルができるほどで、ブルーノートはジャズを象徴するキーワードとなっていきます。

 1900年代前半はまだレコードというメディア自体が存在せず、音楽は生演奏をその場で楽しむものでした。1920年代に録音技術が発達し、レコーディングができるようになってから過去発表された楽曲が録音されることも多く、下記に紹介する楽曲もカッコ内に記載したリリース年と実際の楽曲ができた時期が合わないものが多いです。

■Charley Patton - Mean Black Cat Blues (1929)

■Robert Johnson - Kind Hearted Woman Blues (1936)

 Robert Johnsonは伝説的なブルース歌手兼ギタリストで、彼をモデルにした「俺と悪魔のブルーズ」という漫画が出版されており、私の大好きな作品です。

演奏スタイル「ラグタイム」の台頭 〜歓楽街の酒場で人気を博す

 時を同じくしてミズリー州ダリアやセントルイスでは、アフリカンアメリカンがピアノ演奏を中心に、自らのルーツ音楽を基本とするシンコペーションを多用したメロディー(右手)と、マーチ音楽や行進曲に起因する2拍子の伴奏(左手)を融合させた独特の演奏スタイルの「ラグタイム」が台頭します。シンコペーションとはリズムの拍の頭を短くし、裏拍を長くしたりアクセントを置き跳躍感を得る手法のことで、均等な4拍に対して「タタータ、タタータ」のようにリズムを取ることでグルーヴが生まれます。

 最初はピアノ用の楽譜として登場しそれ通りに弾くものでしたが、今までの西洋音楽(クラシック音楽)のリズムとは違う、軽快なピアノタッチと「ずれた」(Ragged)主旋律が特徴です。恐らく誰でも聞いたことがあるであろうこの曲の動画を見てもらえれば、先程の説明の「右手」と「左手」の意味がわかるかと思います。

■Scott Joplin - The Entertainer (1902)

 1900年初頭のニューオリンズでは、歓楽街でもあった売春地区・ストーリーヴィルの酒場やダンスホールでラグタイムが人気となり、アフリカンアメリカンもトランペット、トロンボーン、クラリネットといった西洋楽器を使ったマーチングバンドによる街頭演奏を行うようになっていました。「Maple Leaf Rag」は大ヒットとなり、アメリカ全土で人種や性別、身分などに関わらずたくさんの人がラグタイム曲を作曲しました。

■Scott Joplin - Maple Leaf Rag (1899)

 年代順で挙げた1900年代のニューオーリンズ・ジャズは文字通りニューオーリンズで生まれたものです。ニューオーリンズのアフリカンアメリカンの葬儀では墓地まで親族や友人などの関係者が行列で行進する風習があり、いつしか音楽隊も同行するようになりました。墓地に行く際は重々しい葬送歌や賛美歌を演奏しますが、墓地からの帰りにはスウィング感のある賛美歌や霊歌などの明るい曲が演奏されました。

 行きは「ファーストライン」、帰りは「セカンドライン」と呼ばれ、ニューオーリンズがフランスの植民地だったことで西洋音楽の影響を受けており、セカンドラインで使われる楽器はコルネットやクラリネット、トロンボーンやチューバなどの管楽器中心のブラスバンドになりました。コルネットのメロディを中心として歩きながら即興で演奏を行い、この「セカンドライン」がニューオーリンズジャズの原型になったと言われています。

 これは最近のものですが実際にニューオーリンズで行われた葬儀の模様で、動画の4:40頃までがファーストライン、それ以降がセカンドラインと聞くだけでわかると思います。

■King Oliver And His Creole Jazz Band (1923)

 ストーリーヴィルではラグタイムとニューオーリンズ・ジャズが交ざり合い、またラグタイムが一世風靡したこともあり、「ジャズかな?」と思うような曲でも曲名に「rag」と入っているものもあります。レゲエの説明をしたときの「メント」と「カリプソ」の関係と似ていますね。

 ラグタイムは基本楽譜通りに演奏をする音楽でしたが、左手の伴奏部分の自由度を上げ、さらにはアドリブやブルーノートを取り入れ演奏をするミュージシャンが出てきて、一般的なラグタイムと並行してジャズへ接近していく部分も出てきます。

■Eubie Blake - The Charleston Rag (1917)

 1917年、アメリカが第一次世界大戦に参戦し海軍基地が作られたのをきっかけに、20年間続いた売春地区・ストーリーヴィルは閉鎖されます。

 一方で、1800年代中盤のシカゴは運河の開通や鉄道路線の発達により主要なハブ拠点となり、人とモノが大量に行き交うようになります。1860年代の南北戦争の特需などで産業もさらに発展し、当時は世界史上最も急速に成長した都市といわれていました。1840年代の大飢饉以降、ヨーロッパ全土から貧困や迫害を受けた人たちが流入していたこともあり、なんと1890年頃のシカゴの人口は8割近くが移民でした。

 南部の畑の害虫や洪水被害で職を失った農民や、ストーリーヴィルの閉鎖で職を失ったミュージシャンたちは、発展の真っ最中で比較的差別の少ないシカゴへと向かいます。1915年頃から第一次世界大戦で母国の軍隊に入るために、移民たちがヨーロッパへ帰国する流れ、アメリカ自体の第一次世界大戦への参入もあり、一時的に人不足の状態になっていたシカゴに、ここぞとばかりに南部からアフリカンアメリカンが流入しました。

 当時はまだジャズというジャンルが「ジャズ」という名称ではなく、アメリカ南部地域のことを指す「Dixieland」(ディキシーランド)と呼ばれていたといいます。その頃に、シカゴで結成されたニューオーリンズスタイルのバンド「Original Dixieland Jazz Band」の楽曲がニューヨークでレコーディングされ、この時に発売されたレコードがジャズ史の中で初めて発売されたレコードとされています。

 彼らのバンド名はデビュー前は「jass」と綴られていましたが、デビューをきっかけに「jazz」と綴りを変え、彼らによって「jazz」という名称が多くの人に知れ渡ったといわれています。メンバーは皆ヨーロッパ系の白色人種ですが、初期メンバー全員がニューオーリンズ生まれのあまり裕福ではないシチリアやアイルランド系移民で、アフリカンアメリカンと同じようにストーリーヴィルの閉鎖後にシカゴに移動してきた人たちです。

■Original Dixieland Jazz Band - Livery Stable Blues (1917)

 1920年には国家禁酒法が施行されますが、人々はもちろんそれに従うはずもなく、国境付近の街はマフィアを中心に国外で作られたアルコールを輸入。秘密酒場(スピークイージー)と呼ばれるマフィア経営の酒場にアルコールを卸し、マフィアは莫大な利益を得るようになります。

 ニューヨークなどでは禁酒法施行後に酒場の数が何倍にも増えたという話もあるぐらいで、カナダとの国境が近かったシカゴも例に漏れず、1万軒あったといわれている秘密酒場はたくさんのジャズミュージシャンの演奏場所となります。

 基本的にシカゴ・ジャズは今までのオールドジャズの踏襲で、違いとしては、リズムがシンコペーションからスウィングリズムに変わっていきます。スウィングの話は追って詳しく説明しますが、シカゴからニューヨークにジャズが移り30年代のスウィング・ジャズとして流行する前触れとなります。

 またオールド・ジャズに比べ、それぞれの楽器のソロがわかるように演奏するスタイルに変わっていきます。使う楽器の種類にも変化が見られ、低音を担っていたチューバからコントラバスを使用するようになったり、今まで使われなかったサックスが取り入れられるようになります。

■Louis Armstrong & The Red Onion Jazz Babies - Terrible Blues (1924)

 1920年代、ニューヨークはヨーロッパから物理的に近かったこともあり、オペラやミュージカルといった芸術が輸入され、盛んに上映されていました。音楽業界が集中していたこともあり、鉄道の発達なども手伝いシカゴからニューヨークへミュージシャンが移動します。ニューヨークでは100組ほどが踊れる大きなダンスホールがあり、会場のダンスミュージックとしてジャズが演奏されました。大きな会場なため、今までの5~7人程度のバンドでは音が小さく、必然的に人が増えていきます。同じ楽器が複数人配置されるようになり、これがビッグバンドとなります。

■Duke Ellington & His Washingtonians: East St. Louis Toodle-Oo (1927)

 1930年代はラジオが普及し、実際の生演奏を聞きに行けない人たちもたくさんの人たちがジャズに触れることとなります。先述のDuke EllingtonオーケストラやBenny Goodmanオーケストラ、Glenn Millerオーケストラ、Count Basieオーケストラなどが人気を博します。

■Benny Goodman Orchestra - Sing, Sing, Sing (1937)

 シカゴ・ジャズの時に紹介したとおり、スウィング・ジャズはその文字の通り「スウィング」というリズムのことを指すのはもちろん、ジャズの演奏スタイル・ジャンルとして指す場合にも使います。「swing」の本来の言葉の意味は「揺れる」「振れる」で、バットのスウィングやゴルフのスウィングなどがそうです。

 まず前者の「スウィング」についてですが、ジャズ特有のリズムの「ノリ」のことを表す言葉として、「スウィング」という言葉を使います。ジャズという音楽の特徴である「躍動感」や「ノリ」を表現する時に、「スウィングする」「スウィングしている」というように使われます。スウィングの説明の仕方は人によってさまざまですが、文字で表せる範囲でざっくりと説明すると、3連符の123、223、323、423という8部音符の「タタタ」を「タァタ」とリズムを取り、さらに後ろのタにアクセントを付けます。ちなみに間が抜け落ちる「タッタ」になると「シャッフル」のリズムになります。

 丸を書いてそれを1拍に見立て、どこで取るとイーブン、スウィング、シャッフルと説明する方もいますが、個人的にこの方の説明がわかりやすかったのでまだピンと来ていない方は参考にしてみて下さい。

 当時の有名曲に「It Don't Mean A Thing (If It Ain't Got That Swing)」(スウィングしなけりゃ意味がない)という曲があり、ここでいう「スウィング」はこの「ノリ」の意味で使っていることがわかります。

■Duke Ellington - It Don't Mean A Thing (1943)

 私のTwitterを見ている方は、よく「グルーヴがある」 という表現を見ると思いますが「スウィング」 とほぼ同じ意味のものと思って大丈夫です。 もう少し細かく説明すると、「グルーヴ」 はどんなジャンルにも使えるものですが、「スウィング」 はジャズというジャンルの中でのグルーヴ感、 というイメージでしょうか。これはあくまでも私の解釈であり、「 グルーヴ」についても個々人でこれはグルーヴしている、 していない、という感覚が違うため一概には言えない概念です。

 「スウィング」 という感覚を掴むのが難しい方もいるかもしれないですが、 Jazzy Hiphopのこの曲を聞けば「ハネる」 という感覚はわかってもらえるのではないでしょうか。これが「グルーヴ」です。

■Jung Jin Woo(정진우) - MOVIE (Feat. Rohann)

 後者の「ジャズの演奏スタイル」としての「スウィング」という言葉についてです。

 世界恐慌が回復した1935年以降、ニューヨークを中心に急速に白人がリーダーのビッグバンドが台頭してきました。それから1940年代中頃までの間の、ビッグバンドとボーカルを迎えたジャズの演奏スタイルを「スウィング」といい、「スウィング・スタイル」や「スウィング・ジャズ」と呼ばれています。

 「スウィング・スタイル」のジャズは大衆化したダンス・ミュージックとしてラジオを通してアメリカ全土に放送され、一挙にポピュラー・ミュージックとしての地位を獲得していきました。演奏スタイルとしては、ビッグバンドという楽器構成上、譜面による演奏が行われるようになりました。レコーディングやラジオ放送、ダンスのバックミュージックなど、その時々の要求によって曲の長さを調節するためや、毎回曲の演奏時間が同じ長さになるように編曲(アレンジ)することが必要だったからです。

 シカゴ・ジャズ時代にベースとして使っていたチューバがコントラバスに変わったと説明しましたが、この部分はコントラバスで定着します。またドラムがそれまで単独で大太鼓、小太鼓、シンバルといった編成だったものが、ドラムセットが発明され1人の重要なパートとして確立しました。

 1930年中頃には「ジャズ」という言葉は「アフリカンアメリカのやるジャズ」を指すようになっていたので、白人たちはもともと売春宿から生まれたジャズといういかがわしい生い立ちの音楽を、自分たちの「上品なもの」にしようとし、ジャズを別の呼び方にしようと考えました。そうして選ばれた言葉が「スウィング」です。ジャズはこの頃、「ノリ」のことや演奏スタイル一部分ではなくジャンル全体を指す意味で「スウィング」、「スウィング・ミュージック」と呼ばれるようになりました。

 白人たちは、「スウィング」をアメリカの象徴の音楽として仕立てました。「スウィング」は、いわゆる「表」のジャズの形であり、その頃、ハーレムを中心としたアフリカンアメリカンたちの「ジャズ」は、「裏」のジャズとして発展していきました。そうして出現したのが「ビバップ」というジャズの演奏スタイルで、それから「モダン・ジャズ」と呼ばれるジャズが誕生することになります。

 ジャズに関連する映画はたくさんありますが、1930年代のニューヨークを舞台にした『ギター弾きの恋』(Amazon prime videoで視聴可能)や、ニューオーリンズで生まれ、シカゴ、ニューヨークと移動しながら活動を続けてきたルイ・アームストロングなどが出演した1958年のジャズフェスティバルを取り上げた『真夏の夜のジャズ』という映画がちょうど上映中です。終映してしまったところも多いですが、近くで見られそうな方は是非見てみてください。

「HOME;RUN」MVに見える「野球」「ミュージカル」

 Seventeenの「HOME;RUN」MVに要素が見える「野球」や「ミュージカル」の観点から、ジャズと絡めて少しだけアメリカの歴史を見たいと思います。
 
 1800年代後半にアメリカで野球が生まれ、現在のメジャーリーグは1903年に発足します。1920年にはベーブ・ルースが活躍し、戦時中や世界恐慌時に人気が下火になることもありますが、ジャズと時を同じくしてアメリカ全土で人気を博します。戦時中の人手不足があっても、アフリカンアメリカンはメジャーリーグへの出場は認められませんが、1947年にジャッキー・ロビンソンが初めてのアフリカンアメリカンのメジャーリーガーとして登場。彼が大活躍したことでアフリカンアメリカンの選手を雇う球団が増え、さらにはCount Basieによる「Did You See Jackie Robinson Hit That Ball?」というジャズ楽曲まで作られます。「HOME;RUN」の楽曲で、ジャズの「スウィング」と野球の「スウィング」がかかっていることがわかりますね。

■Count Basie & His Orchestra - Did You See Jackie Robinson Hit That Ball? (1947)

 ミュージカルスタイルの作品が上映されるようになったのは1850年頃からで、1880年代にオペラハウスがブロードウェイに登場したことをきっかけにミュージカルの劇場街が形成され始めたといわれています。

 1900年代に入るとブロードウェイに劇場が立て続けに建設され、1940年代半ばの第二次世界大戦中はブロードウェイ第1次黄金期とも言われ、ミュージカルが活発に上映されます。ミュージカルで演奏される楽曲がジャズへと引用されることも多く、ジャズのスタンダード・ナンバー(定番曲)だと思っていたものがミュージカル出身の曲だったということも珍しくありません。

 ミュージカル楽曲はミュージカル作品のために書かれているため、特定のアーティストのイメージが付きにくく、引用してジャズの楽曲としてアレンジしやすいというのもあるでしょう。日本でもCMなどに使われているため知っている方も多いであろう下記の曲は、1959年に上映されたミュージカル「The Sound of Music」の挿入歌です。

■John Coltrane - My Favorite Things (1965)

 スウィングの関連ジャンルとして「Electro swing」(エレクトロ・スウィング、またはSwing house musicともいう)というジャンルがあり、スウィング・ジャズとエレクトロミュージックを融合させたジャンルで、「踊れるジャズ」とも呼ばれています。HouseやHiphop、Drum & Bass、EDMなどと混ざり合って1990年代に生まれたジャンルで、黎明期にはAcid JazzやNu Jazz、Swing houseなどともいわれていました。

 4つ打ちのビートが乗せられており、ジャズのリズムをどうとって良いかわからないような人にも親切でわかりやすく、ノリやすいビートになっていると思います。

■Caravan Palace - Suzy (2008)

 New jack swingの「swing」も以前の記事で書いたように、ドラムマシーンのリズムをスウィング出来る機能のSwingボタンから来ているので関連があるといえるでしょう。

K-Pop関連曲

 ということでK-Popの関連楽曲についてです。厳密に分けることは難しいですが、エレクトロ・スウィングとスウィング・ジャズをそれぞれ紹介したいと思います。

 ライブバージョンのみのアレンジや曲の登録がなくてプレイリストに入れられなかったものなどもありますが、AppleとSpotifyのプレイリストを作成してあるので気に入った方はそちらもチェックしてみてください。

・Electro swing K-Pop Playlist
Apple 
Spotify

・Swing K-Pop Playlist
Apple
Spotify

Electro swing K-Pop

・달샤벳(Dal★shabet) - 있기 없기(Hate, Don't Hate!) 2012/11/14

・Orange Caramel(오렌지캬라멜) - Lipstick(립스틱) 2012/9/12

・TVXQ! 동방신기 - 수리수리 (Spellbound) 2014/2/26

・ORANGE CARAMEL(오렌지캬라멜) - My Copycat(나처럼 해봐요) 2014/8/18

・빅플로(BIGFLO) - 배드마마자마(BAD MAMA JAMA) 2014/11/25

・IMFACT - 롤리팝 Lollipop 2016/1/27

・HELLOVENUS(헬로비너스) - Mysterious 2017/1/11

・UNB - BLACK HEART (유앤비 - 블랙하트) 2018/1/28

・MOMOLAND(모모랜드) - I'm So Hot 2019/3/20

Swing K-Pop

・LEE HI - 1.2.3.4 2012/10/29

・이효리 (Lee Hyori) - 미스코리아 (Miss Korea) 2013/5/5

・IU(아이유) - The red shoes(분홍신) 2013/10/8

・TVXQ! 동방신기 - Something 2014/1/1

・SPICA(스피카) - You Don't Love Me 2014/1/27

・Red Velvet - 레드벨벳 'Be Natural (feat. SR14B TAEYONG (태용)) 2014/10/9

・Mamamoo - Um Oh Ah Yeh (2015 KBS Song Festival) 2015/06/19

・수지(Suzy), 백현(BAEKHYUN) - Dream 2016/1/6

・BUMKEY(범키) - backindadayz 2016/1/20

・로드보이즈 RoadBoyz - Shake It, Shake It 2016/3/20

・레이디스 코드(LADIES' CODE) - 더 레인(The Rain) 2016/10/13

・블락비(Block B) - 로맨틱하게 2017/1/11

・JESSICA (제시카) - 봄이라서 그래 2017/4/18

・MINSEO(민서) - Is Who 2018/1/20

・박경 (PARK KYUNG) - INSTANT (Feat. SUMIN) 2018/6/22

<落選したけど……紹介したい1曲>

■에이스(A.C.E) - 황홀경(Baby Tonight)


 10月、私がほぼこれしか聞いていなかった曲「황홀경(恍惚境)」です。この曲が収録されているミニアルバム『胡蝶之夢(HJZM : The Butterfly Phantasy)』のリリースは9月ですが、タイトル曲とは別に後続曲としてこの曲で音楽番組に出演し、MBCの『it's live』という生バンド企画で披露したのは10月に入ってからだったので今回挙げました。

 原曲ももちろん良いのですが、原曲よりも音数が少なくなりボーカルのハーモニーがわかりやすい部分、生になったドラム音が曲を柔らかくし、ピアノの音がより雰囲気を切なくしているところなど、良い点を挙げればキリがありません。サウンド全体がボーカルの邪魔をせず、かつ引き立てる役割を果たしており、個人的にはいわゆるバラード曲よりもずっと彼らの声と歌唱力を生かせている曲だなと感じました。

 グループの最年少でメインボーカルのチャンが出演しているウェブドラマ『Twenty Twenty』がちょうど放送されていたこともあり、音楽的な面でも人的な面でも興味を惹かれ、デビュー時から音源だけは追っていましたが、今さらハマりそうになっています。彼らそれぞれの声がこんなに特徴的で良いことに普段の楽曲では気付くことができませんでした。もっと丁寧に音楽を聞かなきゃな……という気持ちになった曲です。

<近況>
Stray Kidsのオンラインコンサートが決まったため、普段テレビを全く見ないのに40インチのテレビを買いました。音楽番組の4K固定カメラ動画を見たりして、なるほどこういう使い方がね~……となっています。

e_e_li_c_a
1987年生まれ。18歳からDJを始めヒップホップ、ソウル、 ファンク、ジャズ、中東音楽、 タイポップスなどさまざまなジャンルを経て現在K-POPをかけるクラブイベント「Todak Todak」を主催。楽曲的な面白さとアイドルとしての魅力の双方からK-POPを紹介して人気を集める。

Twitter @e_e_li_c_a TodakTodak 
mixcloud eelica

TikTokで世界的ブーム再燃!? ネット時代の音楽ジャンル「Jersey club」――K-Pop・EXOの“キシキシ”音に注目

――毎月リリースされるK-POPの楽曲。それらを楽しみ尽くす“視点”を、さまざまなジャンルのDJを経て現在はK-POPのクラブイベントを主宰するe_e_li_c_a氏がレクチャー。9月にリリースされた曲から[いま聞くべき曲]を紹介します!

今月の1曲‖썸 (XUM) - DDALALA

 A100 Entertainmentから9月24日にデビューした3人組グループ・XUM(サム)のデビュー曲です。

 実はついこの間までNeonpunchとして活動していた5人のうち3人がメンバーとして所属しています。事務所の経済的な状況悪化、メンバー2人の活動中断、新型コロナの影響などが重なりNeonpunchは解散することとなり、実質“再デビュー”的な立ち位置です。Neonpunch時代はYoutubeアカウントがハッキングに遭い、XUMデビュー前にはスタッフが新型コロナ感染者と間接的に接触があり検査をしたり、「DDALALA」のMV公開後も音質事故が発生しMVを再アップロードするなど不運が続いています。

 A100エンタはXUMとソロの女性歌手1人だけを抱える小さい事務所ですが、Neonpunch時代は音楽的にもハイクオリティなものをリリースしていたので、事務所の手腕があるのかないのかよくわからず、XUMでのデビューは期待半分不安半分という状態でした。いざMVがリリースされたらクリーンなイメージの強いK-Pop界でよくリリースできたな……というたくさんの女性が横たわったシーンが印象的な始まりのMVで、楽曲はまさかのJersey clubでした。リリース時の公式の文章には「シカゴハウスベースのクラブミュージックジャンルである"Jersey club"を取り入れた」と直接的に記載があります。

 作曲はシンサドンホレンイという韓国では有名な音楽プロデューサーが担当しています。ホーンの入ったファンク色の強いHiphop楽曲やEDMのBounceジャンルなどの楽曲が多く、ヒットメイカーとも呼ばれていますが、一方で盗作疑惑なども多く、韓国人のトラックメイカーの友人も、公式の説明文章に対し、どこまでJersey clubのことわかって作ってるんだか……と苦言を呈していました。

 最近はK-Popアイドルの衣装やコンセプトなどビジュアルの面でよく「文化の盗用」について指摘されますが、(それが本当に文化の盗用かどうかはまた別として)楽曲は聞いてすぐわかるものではなく、ある程度の知識がないと指摘できないこともあり、まだあまり議論されることはない……というのは、また今後そのようなトピックについて話ができればいいなと思います。

 EXOの「Tempo」によってJersey clubというジャンルを構成する要素の一つ「Bed squeak sound」(ベッドキシキシ音)が広まり、昨今たくさんのK-Pop楽曲に使用されていますが、ビート部分を引用した楽曲はK-Popではおそらく「DDALALA」が初めてだと思います。ということで、今月はアメリカはニュージャージー州のニューアークで生まれた「Jersey club(ジャージークラブ)」という音楽ジャンルについて解説します。

 Jersey clubは2000年代前半ごろに形作られた音楽ジャンルの一つで、源流を辿ると90年代後半にニューアークのクラブシーンで人気だったChicago houseにたどり着きます。Chicago houseは以前Jukeという音楽ジャンルの紹介をした時に説明しましたが、一緒に紹介したGhetto houseやMiami bassなどもJukeとあわせてJersey clubに影響を与えています。

 直接的にJersey clubに影響を与えたのは「Baltimore club(ボルチモア・クラブ)」というジャンルで、メリーランド州ボルチモアで1980年代後半にChicago house、Hardcore UK rave、Miami bass、Hip-houseなどさまざまなジャンルが交ざり合いできたものです。Bmore club(ビーモア・クラブ)やBmore(ビーモア)とも言います。

 ボルチモアのDJたちはイギリスのレイブシーンではやっていたBreakbeat hardcoreの楽曲からインスピレーションを受け、それらの楽曲をDJでプレイしたり、サンプリングして曲作りをしていました。Breakbeat hardcoreはJungle紹介時の記事にも書いたように、後にJungleやDrum&Bassなどにも影響を与えており、記事ではAmen Breakに焦点を当てて話を進めましたが、BmoreへつながっていくのはThink BreakやSing Singのドラムブレイクになります。

 Think BreakはLyn Collinsの「Think」という曲のドラムブレイク(動画内1:22~、1:34~などドラムがメインの部分)のことで、これを繰り返してトラックのビート部分に使用します。

■Lyn Collins - Think (about it) (1972)

 GAZの「SING SING」はHiphopなども含め数え切れないほどの楽曲にサンプリングされていますが、インスト部分が多くいろいろな場所がサンプリングされています(0:10~、3:52~など)。

■GAZ - SING SING (1979)

 ボルチモアのDJたちがプレイしたりサンプリングしたBreakbeat hardcoreには以下のようなものがあり、これらが後のBmoreを形作っていきます。

■The Blapps Posse - Don't Hold Back (91)

■Epitome Of Hype - Too Much Energy (91)

 Bmoreの楽曲としては以下のようなものがあります。しかし、ブレイクビーツと卑猥な歌詞が共通するぐらいでJersey clubの片鱗を感じるのは難しいかもしれません。
■Frank Ski - Tony's Bitch Track (92)

■DJ Equalizer & The Sounds Of Silence - We Bad (93)

■DJ Booman - See The Ho's (Remix) (95)

■Scottie B - Niggaz Fightin (98)

 Bmoreはラップのアカペラをベースに、ボーカルを刻んで繰り返したりするものが多く、歌詞の内容は卑猥なものが多いです。ジャンルが浸透し広まるにつれ、BPMは125前後から130前後へと速くなり、銃声や"What!"、"Hey!"などのフレーズが使われることが一般的になっていきます。

 ちなみにBmoreに影響を受けた有名な曲として、LMFAO ft. Lil Jonの「Shots」があります。

 ボルチモアを中心にリリースされるたくさんのBmoreに魅了されたニュージャージーのDJ TameilやDJ Tim Dollaは3時間かけて車でボルチモアに通い、現地で手に入れたレコードをニューアークの自分たちのパーティでプレイしました。

 99年、TAPPの「Shake Dat Ass」や「Dikkontrol」などのBmore楽曲が人気を博しており、この「Dikkontrol」の「ドンドン ドッドッドッ」というビートが後のJersey clubの基本のリズムトラックとなっていきます。

■TAPP - Dikkontrol (93) 1:30~2:30

 すごいタイトルの曲ですが、93年にリリースされたレコードはレア盤で非常に手に入りづらく、インターネットにフルで音源がアップされていないため、このようなDJミックスで一部を聞く方法しかない状態です。

 DJ Tameilは、ニューアーク以外のアーティストが自分たちと同じスタイルのトラックをまだ作っていなかったため、2002年にニューアークの愛称である「Brick City」にちなんで、「Brick City club」というジャンル名を生み出します。自分たちの作ったトラックとBmoreのトラックを入れたミックステープを作り、前半はClub、後半はHouseというような構成でした。

 ちなみに現在「Club music」というとクラブでかかるジャンルの音楽(≒ダンスミュージック)として捉えられがちですが、元々は90年代後半にニュージャージーで人気だったChicago HouseをClub musicと呼んでいました。その後、Baltimore clubとBrick City club(Jersey club)、またBaltimore clubから派生したPhilly clubの3つを指すようになります。ですので、このミックステープ前半の「Club」はBmoreやBrick City clubなどのことを指します。

■DJ Tameil - Grown Folks Shyt #1 (03)

 ちなみに、00年代後半に生まれたPhilly club(もしくは単にPhilly)は別名Party musicとも言われ、位置的にボルチモアとニューアークの間にあったペンシルベニア州のフィラデルフィアの愛称「Philly」から来ています。

 BmoreやJersey clubがフィラデルフィアで広まると、BPMは130~150に上昇し、サイレン音などが入るようになり、これがPhilly Clubとして確立していきます。
■DJ Sega - New Jack Philly (09)

 

 

 翌年の03年には、ボルチモアのレコード店員でたくさんのBmoreをニューアークへ紹介する橋渡し役になっていたBernie Rabinowitzが他界し、ボルチモアからニュージャージーへBmoreの供給が止まります。それでもニュージャージーのアーティストたちは自分たちのシーンを発展させていき、大学の進学などで音楽をやめるプロデューサーも出ますが、一方で大学に進学した人たちがカレッジ・パーティで自分たちの曲をかけ、パーティの終わりにその日にかけた曲が入ったミックスCDを客に渡し、徐々に大学のキャンパスなどでも人気が高まって行きます。

 Bmoreが成功を収め、Myspaceという音楽やエンターテインメントを中心としたSNSを介してシーンの知名度が上がり、ジャンル名がニューアークを越えて広まったこともあり、05年にはジャンル名を「Brick City club」から「Jersey club」に変えます。楽曲はMyspaceやファイル共有ソフトのLimewireにアップロードされ、さらには無料のミックスCDとして配布され、さまざまな場所でJersey clubがプレイされどんどんと広まっていきます。

 Jersey clubはもともとDJがマイクパフォーマンスすることが盛んなジャンルですが、この時期はダンスがシーンの中心になりつつあり、 パーティでかける曲に決まった振りで踊るよう、DJがオーディエンスにダンスを呼びかける文化ができました。DJ中に毎回ダンスムーブをコールすることが嫌になったTim Dollaは、手を振って膝に当てるように踊る「Swing dat」というダンスムーブから、「Swing dat sh*t」というフレーズが連呼される曲を作り、 大ヒットします。

 以降、気に入ったトラックを聞いたダンサーが自分たちでダンスを発案し、曲にのせて踊る動画をネットに上げるようになり、トラックの知名度も高まりました。現在のTikTokで起こっているような現象ですが、これが08年頃すでに行われていました。
■DJ Sliink - Get Da Patty Cake Goin'

■DJ TIM DOLLA - SWING DAT SHYT

BPMが上がり歌モノサンプリングなど独創的に変化

 その後Hot97やPower105などのHiphopやR&BをかけるNYのラジオ局や、NYのクラブなどでもJersey clubがプレイされるなど、ニュージャージー以外でもJersey clubが注目され始めます。Jersey clubのスタイルもBPMが135ぐらいまで上昇し、半分のテンポ(BPM68程度、R&BによくあるBPM)でのボーカルサンプリングが取り入れられ、使う音ネタも変わっていき、BmoreやPhillyとは全く違った独創的なものになっていきます。

 先述したBed squeak soundは04年にリリースされたTrillvilleの「Some Cut」が主にサンプリングされ、昨今Jersey clubだけでなくたくさんの曲に使われています。

 2010年代に入るとニューアークでのリリースも活発ながらも、DJ SliinkがDJ兼プロデューサーのDiploが主催するMad Decentというレーベルと組んだり、ノルウェーのプロデューサーCashmere CatがJersey club楽曲をSoundcloudで発表したり、フランスのDJがミックステープでJersey clubを紹介したりと段々と世界中に広まっていきます。
■DJ Sliink - Mad Decent Block Party (2013)

■CASHMERE CAT - Mirror Maru (2012)

 恐らくこのぐらいの時期からハウスやR&Bが原曲の曲がRemixされるようになり、さらにJersey clubの幅が広がります。ドンドン ドッドッドッというリズムのビート、歌モノのボーカル、チョップされたボーカルサンプル、Bed squeak soundなど現在Jersey clubといわれて想像する楽曲はこの辺りから始まっているといえるでしょう。

 以下は93年にアメリカでリリースされたHouseのアンセム曲といわれているRobin Sの「Show Me Love」という曲をサンプリングしています。

■DJ JayHood (ft DJ Mike Gip) - Show Me Love (Jersey Club Remix) (2012)

 13年3月頃、さまざまなトラックメイカーがR&BのJersey club Remixを音楽ファイル共有サービス「SoundCloud」に同時多発的にアップし、ニュージャージーのDJたちもそれに便乗する形でたくさん楽曲をリリースし、世界的に流行するきっかけとなります。

 私も13年に東京のクラブシーンでJersey clubを聞いており、自分のiTunesには11月にHoodboiの音源を取り込んでいる履歴があります。やはりインターネットを介して広がるブームには世界中で時差がなく、ほぼ同じタイミングで日本のクラブシーンにも流行が来ていることがわかります。当時サンプリングされる元の楽曲は自分が10代の時に聞いていたR&B楽曲が多く、ボーカルには懐かしさがありつつもフォーマットとしては新しいという新鮮さに魅了されました。ボーカルがチョップされていて少しもどかしい感じもありますが慣れるとやみつきになり、はやり廃りの多いクラブシーンですがJersey clubは今でも大好きです。

 当時はダンスミュージックを探すならばSoundcloud、という感じでSoundcloudでの音源公開が一般的でしたが現在は消えてしまっている曲も多く、Youtubeに転載されて残っているものもあります。

■Trippy Turtle - Get Up On It (2013/3)
Keith Sweat feat. Kut Klose - Get Up On ItのRemix

■Trippy Turtle - Senorita (2013/4)
Justin Timberlake - SenoritaのRemix

■Ciara - Body Party (DJ Sliink & Nadus Remix) (2013/6)

■Janet Jackson - I Get Lonely (DJ Hoodboi Remix) (2013/11)

■Blu-Ra¥'s K¥SS0F1if3 (Reprise) (2013/11)
ORIGINAL LOVE - 接吻のRemix

■Automatic YYIOY βootleg (Free DL) (2013/11)
宇多田ヒカル - AutomaticのRemix、YYIOYはマドリード在住の日本人トラックメイカーです。

 ポップス的な側面から見ると、取り入れるのが一番速かったのは中国のアイドル、元EXOのルハンが歌った映画『カンフーパンダ』のプロモーション曲「Deep(海底)」ではないでしょうか。
■LuHan鹿晗 - Deep/海底 (2015/12)

 と言っても、Trippy Turtleがリリースしたこの曲そっくりなので、取り入れて昇華したというよりはそのままコピーした感が強く、あまり自分のものにできているという感じではありません。

■Trippy Turtle - Trippy's Theme (2014/6)

 2017年には、韓国のトラックメイカーPure 100%と日本のトラックメイカーKOTONOHOUSEが共作した「Girlfriend」を、ニュージャージーで00年代初頭からBrick BanditsクルーでDJやプロデューサーとして活躍しているR3LLがRemixするという、データのやりとりが簡単にできる現代ならではのコラボレーションも起こります。
■Pure 100% & KOTONOHOUSE - Girlfriend (R3LL Remix)

 この頃にはFuture bassなど他のEDMジャンルと融合し、ビートのリズム部分だけ・ボーカルのチョップ部分だけ・Bed squeak sound部分だけ、など部分的にJersey clubの要素を取り込んだ楽曲もたくさん生まれます。

 近年ではニュージャージーを拠点にするCookiee Kawaiiというアーティストが19年4月にリリースした「Vibe」という曲がTikTokのダンス動画を通じて広がり、同時にSpotifyでも300万回再生を記録します。コロナ禍によるロックダウン期間中にさらなる広がりを見せ、現在は約6300万回の再生数となっています。恐らく世界で一番聞かれたJersey club楽曲ではないでしょうか。

 元々はMV等映像メディアは存在しませんでしたが、人気を受け2020年5月にはアニメーションMVを、8月にはMVを公開し、ラッパーのTygaを迎え尺を伸ばしMVも改めて撮り直したRemixも公開されています。
■Cookiee Kawaii - Vibe (If I Back It Up)

■Cookiee Kawaii &Tyga - Vibe (If I Back It Up)

 それではようやく韓国での話に移りますが、K-Popのシーンではトラックメイカーが非公式的にRemixを作ることはあっても、公式で楽曲にJersey clubのビートが取り入れられることはなく、先述のBed squeak soundだけが独り歩きし、さまざまな楽曲に取り入れられます。最近のものは挙げ出したら切りがないので初期のものだけ挙げます。

■GOT7 (갓세븐) - A (TOYO Remix) (2014/6) (1:39、1:53)

■NU'EST (뉴이스트) - OVERCOME (여왕의 기사) (2016/2)

■BTS (방탄소년단) - Boy Meets Evil (2016/9) (1:13に一瞬)

■SHINee - Prism (2016/10) (0:57~1:08)

■NCT127 - Baby Don't Like It (나쁜 짓) (2017/1)

 今までの説明を踏まえると、XUMの「DDALALA」は12年頃のBed squeak soundが入っていない、歌モノのボーカルが入るか入らないか頃のJersey clubを参考にしているのでしょうか? そこまで明確な引用元を設定しているとも思えませんが……。

 今回はBed squeak soundだけでなく、ビートもJersey clubなK-Pop楽曲のRemixをSoundcloudでプレイリストにしました。原曲のリリース順ではなく、Remix音源のリリースが古い順に並べてあります。

 4曲目に入れた2ИЕ1 - I Love You (тоуо яемıж)は全体的にFuture bassですが、上記GOT7の公式Remixを担当したTOYOが個人的にアップしており、Jersey clubのタグを付けているので入れてみました。

<落選したけど……紹介したい1曲>
■EVERGLOW (에버글로우) - LA DI DA

 Yuehua Entertainment所属6人組グループEverglowの新曲です。見事にシンセポップです。

 80年代のYMOの「ライディーン」やa-haの「Take On Me」、最近ではThe Weekndの「Blinding Lights」などが思い出されます。今月はJersey clubとシンセポップのどちらを特集するか最後まで悩みましたが、関連楽曲がJersey clubのが面白いかなと思いXUMを選びました。「LA DI DA」は振り付けと衣装がとにかくすごいので、是非音楽番組のステージなども見てみて下さい。

<近況>
Stray Kidsがリパッケージアルバム『IN生』でカムバックしました! 今までの活動を含めて初めて、音楽番組で2度1位を獲りました。デビューから追っているので喜びもひとしおです。引き続き音楽番組等に出演して活動しますので、MVの再生やCDの購入などよろしくお願い申し上げます。

e_e_li_c_a
1987年生まれ。18歳からDJを始めヒップホップ、ソウル、 ファンク、ジャズ、中東音楽、 タイポップスなどさまざまなジャンルを経て現在K-POPをかけるクラブイベント「Todak Todak」を主催。楽曲的な面白さとアイドルとしての魅力の双方からK-POPを紹介して人気を集める。

Twitter @e_e_li_c_a TodakTodak 
mixcloud eelica

EXOやTWICEなど続々! ONF「Sukhumvit Swimming」から繙くK-Pop「レゲエ」のこれまで 

――毎月リリースされるK-POPの楽曲。それらを楽しみ尽くす“視点”を、さまざまなジャンルのDJを経て現在はK-POPのクラブイベントを主宰するe_e_li_c_a氏がレクチャー。8月にリリースされた曲から[いま聞くべき曲]を紹介します!

今月の一曲‖온앤오프 (ONF)_스쿰빗스위밍 (Sukhumvit Swimming)

 今回はWMエンタテインメントの6人組グループ・ONF(オンエンオフ、韓国語のローマ字発音でオネノプ)の新曲、「Sukhumvit Swimming(スクンビットスイミング)」を取りあげて、Reggae(レゲエ)という音楽ジャンルについて説明しようと思います。

 ONFは2017年8月にEP「ON/OFF」でデビューし、今回の「SPIN OFF」は5枚目のEPになります。3枚目のEPのタイトル曲「사랑하게 될 거야 (We Must Love)」のMVはベトナム、4枚目のEPのタイトル曲「WHY」のMVはドイツ・フランス・スイス・ロシアなど、アルバム曲の「Moscow Moscow」のMVはロシアで撮影されており、今回も「Sukhumvit」(タイの首都バンコクの地域・通りの名前)とついていることから、タイでのMV撮影の予定があったもののCOVID-19の影響でかなわず、残念ながらCGとセットでの舞台になってしまいました。

 音楽番組のステージでは曲のイントロ部分でボトルフリップ(ペットボトルを宙返りさせて着地させられるか)に毎回挑戦しており、見ている側を楽しませてくれる内容になっているので是非音楽番組の動画も見てみて下さい。

 JungleMoombahtonの説明をした回でレゲエについて少し言及しましたが、今回はもう少し掘り下げて解説していきます。今回は、たくさんのジャンル名が出てくるため事前にもくじ的な意味でざっくりと流れを書きたいと思います。

【1:メント→2:スカ→3:ロックステディ→4:レゲエ(4-1:ルーツロックレゲエ→4-2:ダンスホールレゲエ初期)→5:後期】

 レゲエはジャマイカ共和国で生まれた音楽ジャンルで、源流は1940年代~50年代に人気を博した「Mento(メント)」というジャマイカのフォークミュージックのスタイルまで遡ります。

1:奴隷の音楽として生まれた「メント」

 メントは、西アフリカからジャマイカに奴隷として連れてこられた人たちが、主人(主にヨーロッパ諸国の人たち)に音楽を披露していた場で主人たちを喜ばせるために、ヨーロッパ音楽の要素を自分たちのアフリカ音楽に取り入れジャマイカ音楽として形成されていきました。

 ヨーロッパ音楽の要素としては、スクエアダンスの先駆けとなったヨーロッパ圏で生まれたカドリーユというダンスのリズムやメロディ、アフリカ音楽の要素として自家製の太鼓、竹笛、フィドル(バイオリンの元となった弦楽器)、馬やロバの顎の骨、牛の角、更にはおろし金にぶら下げられたスプーンやフォークなどを使ってオーケストラの音を作り、それらが融合しジャマイカ独自のサウンドを生み出しました。

 時がたつにつれ、奴隷が主人に音楽を披露する形から、同じ立場の人たちが娯楽として一緒に楽しむものに形を変え、前述の楽器とは言えないような演奏道具もルンバボックス(マリンブラ)、バンジョー、ザフーン(竹製のサックス)、マラカスなどに改良され、伴奏に使用されるようになります。

 メントは徐々にジャマイカ島中に広がり、1940年代にはダンスや社交行事で使われる唯一の音楽供給源になり、50年頃からCount LasherやAlerth Bedassee、Harold Richardson and The Ticklersなどのたくさんのメントシンガーが登場します。これらのアーティストを検索すると、「Calypso(カリプソ)」と曲名につくものが多いですが、カリプソはトリニダード・トバゴで発達した音楽ジャンルで、源流は違っていても類似性があることから同じものと混同されやすいです。イギリス領だったトリニダード・トバゴから戦後、イギリスに人が流れ、50年代にはイギリスでカリプソブームが起こったこともあり、アメリカのレコード会社がより知名度の高いカリプソを称してメントの楽曲が売られたことが原因です。

 「USA for Africa」の提唱者Harry Belafonteが歌った「Banana Boat Song」は100万枚以上を売り上げたカリプソのヒット曲として有名ですが、実際はメントの楽曲で、カリプソ風にアレンジしたと言われたりしています。
■Harry Belafonte - Banana Boat Song (1956)

 このように、50年代のジャマイカではメントがはやっていましたが、イギリス統治の影響から首都キングストンではブラスバンド形式のジャズ楽団があり、主にメントは労働者階級がメインで、中産階級にはジャズが好まれていました。1880年に設立されたキングストンにあるAlpha Boys Schoolはカトリック系の職業訓練学校で、ストリート生まれの恵まれない子や家庭に問題を抱えている子どもたちに厳しい躾を教育するのと共に、1950年代頃からジャズの音楽教育プログラムも取り入れられましたが、生計が立てられるようにという意味も込められていたのではないかと思います。

 Alpha Boys Schoolの卒業生は、ジャマイカのビッグバンド(ジャズを大人数のバンド形式で演奏するもの)で演奏したり、ラスタファリアンたちとナイヤビンギという集会で管楽器を演奏するセッションが度々行われました。ラスタファリアンというのはラスタファリ運動(ラスタファリアニズム)の実践者のことで、1930年代にジャマイカの労働者階級と農民を中心に発生したアフリカ回帰運動のことです。

 これは最近のものですが、ナイヤビンギのイメージがわかる動画を選びました。「Nyahbinghi chant」などで検索するとたくさんの動画が出てきます。「ナイヤビンギ」の語源は19世紀ウガンダの女王の名前及びその国にあるといわれています。

 ナイヤビンギではダンスやガンジャ(大麻)の吸引、食事、訓戒、祈り、音楽、霊感、社交、討論といった、ラスタファリアンたちにとって重要なことが行われ、以前からジャマイカにあったメントやジャズなどと結びつき「Ska(スカ)」という新しい音楽ジャンルが生まれます。

 旧約聖書に出てくる文章をエチオピアと結びつけて解釈し、聖書の登場人物は本当は黒人で、後に書き換えられ白人とされているという考え方や、エチオピアを世界に離散した黒人の母国のように捉える思想を「エチオピアニズム」と言いますが、当時カリブの黒人社会に根強く残っていたエチオピアニズムをMarcus Garveyが拡大解釈し、黒人に対してアフリカに帰ることを奨励する考えがガーベイ主義として布教され始め、これにより初期ラスタファリ運動が始まります。

 ちなみに、このラスタファリアニズムはレゲエはもちろん、Hiphopなど今日のブラックミュージック文化にもかなりの影響を及ぼしており、アフリカ系の人々のするドレッドロックスという髪型はラスタファリアニズムから来ています。 「忠実なる者は、刃を自らの頭にあてるべからず」という旧約聖書の教えに従い、ラスタファリアンは初期の頃から髪と髭を伸ばしていました。東アフリカのマサイ族とソマリ族の兵士の写真を見たラスタたちがその髪型を真似て、伸ばした髪を房に編んで垂らしたものがドレッドロックスになります。また、ジャマイカではまっすぐでつやのある髪がよいとされているため、この髪型自体が自由や社会的反抗のシンボルにもなっています。

 大麻に関しても、儀礼の際は「聖なる草」と呼びジャー(神)と交流する秘薬・神聖なものとして扱いますが、ジャマイカでは大麻の吸引は法律で禁止されているため非合法です。もちろん宗教上の意味合いもありますが、こちらも社会への抗議として反抗手段を表すのにも使われています。

 スカの話に戻ります。第二次世界大戦後からジャマイカではラジオの購入が増え、地理的に近いニューオーリンズなどアメリカ南部のラジオ局から当時はやっていたFats Dominoなどのリズムアンドブルースやジャズの楽曲を聞くことができました。スカは2・4拍目が強い、裏打ちのリズムが特徴ですが、この特徴は、電波が悪い環境でジャズを聞いたために2・4拍目が強調されて聞こえたとか、またナイヤビンギからの影響もあるともいわれています。

 60年代に入り、スカはジャマイカの音楽シーンに広がり、イギリスから独立した62年には独立を祝うスカの楽曲がリリースされます。

■Derrick Morgan - Forward March (1963)

 一方で50年代~60年代にかけて地方からキングストンに仕事を求める若年貧困層が大量に流入し、キングストン市内にはトレンチタウンやリバートンシティと言ったゲットー(貧困地域、転じて治安の悪いエリア)が発生します。イギリスから独立して世間は高揚ムードなのに自分の環境は一向に変わらないことなどに一部の若者はギャング化し、彼らはルードボーイやルーディ、スカフロウ(Scofflaw、常習的違反者)と呼ばれ、スカにもルードボーイの生活を歌詞に反映した楽曲がたくさんリリースされます。

■The Wailing Wailers - Simmer Down (64)

 62年には中国系ジャマイカ人Byron Leeが映画『007 ドクター・ノオ』に出演したこともあり、スカはジャマイカの上流階級や海外にも知れ渡り、64年にリリースされたMillie Smallの「My Boy Lollipop」は全世界で600万枚を売り上げる大ヒットとなり認知度を上げます。ちなみに、聞いてわかるように、日本で有名な東京スカパラダイスオーケストラのスカは言うまでもなく「スカ」から来ています。

■Millie Small - My Boy Lollipop (64)

 スカは主にジャズなどの才能に溢れた演奏家が牽引して来ましたが、BPMとしては少し速いため、60年代後半には当時アメリカで流行していたもっとテンポがゆったりしているソウルやリズムアンドブルースから影響を受けた同世代のミュージシャンたちを中心にしたRocksteady(ロックステディ)というジャンルが生まれます。ジャンル名の由来はAlton Ellisの「Rocksteady」という楽曲で歌われたダンスのスタイルからきています。

■Alton Ellis - Rocksteady (67)

 スカはBPMでいうと125前後ですが、Alton Ellisの「Rocksteady」はBPM85で、かなり遅くなっていることがわかると思います。他にもBPMが落ちた理由としては、66年の夏にジャマイカを襲った激しい熱波によりアップテンポなスカでは踊れなくなったという説、スカをリードしてきたThe Skatalitesのトロンボーン奏者Don Drummondが恋人を殺害し逮捕され、スカ自体がバッシングされるようになった説、アップテンポに疲れた説などさまざまです。

 ロックステディはバンドサイズがスカに比べて小さくなったことで管楽器の使用が減少し、音がシンプルになったことからベースラインが重要視されます。スカではベースのパートを四分音符で均等に弾きますが、ロックステディではギターリフで重ねてメロディアスで反復性のあるリフを使い、シンコペーションを強調して演奏されます。

 ルードボーイが主題の楽曲はロックステディにも引き継がれますが、アメリカ音楽の影響も大きいため恋愛やロマンスを歌う楽曲が多くみられます。
■Alton Ellis - Willow Tree (68)

 しかし、ロックステディの流行は2年ほどしか続きません。その間に、「Riddim(リディム)」(Versionともいう。英語のRhythmのパトワ語)という、曲のドラムとベースラインの伴奏部分のみを指すものが形作られます。現代で使っている言葉に言い換えると「ビート」や「トラック」にほぼ近いものと言えるでしょう。当時は、楽曲をレコーディングするにはたくさんの人数と楽器、レコーディングスタジオが必要でお金もかかり、今のように簡単に1曲を形にすることができない時代でした。

 そこで生演奏のドラムとベースラインを録音したさまざまなパターン(Riddim)に、全く別の歌詞・ボーカルを乗せ、新たな曲を作るという手法を取りました。ジャマイカ産レコードのB面には「Version」と呼ばれるA面のボーカルを抜いたインスト曲が収録されることが流行し、一般的になっていきます。

 代表的なRiddimを2つ挙げます。

1:Bob Marley & The Wailers - Hypocrites (67)

2:The Techniques - Queen Majesty (67)

 ロックステディの中心人物であったアーティストたちが国外に移住したことや、演奏・録音機材の発達などによりサウンドが進化したものとなり、拍子も4拍子から2拍子へと変わり、レゲエ特有のアンサンブルができていきます。

 ジャマイカ労働党の経済政策の失策による景気・治安の悪化や、66年にジャーの化身と言われていたエチオピア帝国の最後の皇帝ハイレ・セラシエ1世がジャマイカに訪問したことからジャマイカ国内のラスタファリアニズムが再燃し、歌詞の内容はスカやロックステディ期とは打って変わって黒人の誇りや社会問題について、レゲエが「ラスタの思想やメッセージを伝える手段としての音楽」という位置づけになり流行していきます。

 69年レコーディングされ71年にリリースされたThe Abyssiniansの「Satta Massagana」という曲は自分たちが開放される約束の土地・目指す土地(ラスタにとってはザイオン=天国やエチオピア)や王(ハイレ・セラシエ=ジャー)のこと、曲の最後ではエチオピアの公用語であるアムハラ語で「Satta Amassagana Ahamlack, ulaghize」(絶えず神に感謝を捧げる)と、崇高なるラスタの精神を歌う賛美歌のようなものとして、ルーツロックレゲエの金字塔とされています。

■The Abyssinians - Satta Massagana (71)

 また今までは曲の冒頭や間奏部分で楽曲の紹介をする役割の人(Deejay)がVersionが発明された以降はそこに言葉を乗せ、歌手のようにレコーディングし曲を発表するようになります。この「Deejay」は現在Hiphopなどで一般的な選曲をする「DJ」とは違い、Versionに乗せて喋ったり語ったりする(トースティングする)役割の人のことを言います。Deejayによるトースティングはレゲエ特有のボーカルスタイルとして定着していき、後のラップを生み出すことに影響を与えたと言われています。
■U-Roy - Wake The Town (70)

4-2:74年、Billboardチャートで初の1位〜「ダンスホールレゲエ」誕生

 レゲエの語源については諸説ありますが、1つはパトワ語の「rege-rege」(レゲレゲ、ぼろ・ぼろ布・口喧嘩・口論の意味のスラング)から転じたと言われており、Toots & The Maytalsの「Do The Reggae」という曲によってジャマイカ全体に広がったようです。

 72年にはSimon & GarfunkelのPaul Simonがレゲエを取り入れた「Mother and Child Reunion」の入ったアルバムをリリースしビルボードチャート4位になり、今までは欧米圏でイギリスしか認知のなかったレゲエがアメリカでも注目されることとなります。

 全てジャマイカで制作された初の長編映画『The Harder They Come』はジャマイカからロンドンに活動の場を映したジャマイカ人、Jimmy Cliffが主演をし、73年にはBob Marley & The Wailersがメジャーデビュー、74年にはEric ClaptonがBob Marley & The Wailersの「I Shot The Sheriff」をカバーし、レゲエ楽曲として初めてBillboard Hot 100チャートで1位を獲得します。

■『The Harder They Come』の日本公開時トレイラー

■Bob Marley - I Shot The Sheriff (73)

 以降もBob Marleyを中心にたくさんのルーツロックレゲエがリリースされ、名曲として今まで語り継がれています。

■Bob Marley & The Wailers - No Woman, No Cry (74)

■Burning Spear - Marcus Garvey (75)

 70年代後半に入ってもルーツロックレゲエの人気は衰えず、世界的人気のあったBob MarleyやJimmy Cliffは海外公演をたくさんこなしたためジャマイカ国内での活動は減ります。一方で、国内では政治経済の混乱も相まって、ラスタファリアニズム的な硬派なメッセージへの失望感が広がり、そんな中、81年にはBob Marleyが亡くなります。

 これらを機に、ラスタファリズム色は段々と薄れていき、YellowmanやSuper Cat、Buju Banton、Beenie ManなどのDeejayを中心にSlackness(スラックネス)と呼ばれる下ネタを中心とした歌詞に変わり、「思想の音楽」であったルーツロックレゲエから「踊るための音楽」であるダンスホールレゲエ(初期)へ変化していきます。

■Yellowman - Soldier Take Over (83)

■Little John - True Confession (84)

 80年代中盤になると、カシオトーンを使ったWayne Smithの「Under Me Sleng Teng」がジャマイカ初のデジタル録音を使った楽曲として大ヒットします。これまでは生演奏の録音が主流で、デジタル機材を使った「打ち込み」の手法はあまり使われてきませんでした。これを機に、ジャマイカではComputerized Revolution(デジタル革命)が起き、これがダンスホールレゲエの後期と位置付けられます。

■Wayne Smith - Under Me Sleng Teng (85)

■Uglyman - Computer (86)

 90年代に入ると打ち込みと下品な歌詞は当たり前のようにたくさんの楽曲がリリースされ、Versionに乗せてDeejay同士がステージ上で即興でトースティングし合うRub a Dub(ラバダブ)やClash(クラッシュ)が、頻繁に行われます。

■Shabba Ranks - Trailer Load a Girl (91)

■Supercat Vs. Ninjaman Clash (91)

 スラックネスが主流のジャマイカの音楽シーンで、92年頃からはコンシャス(真面目)なテーマで曲作りをしたGarnet Silkの登場によりラスタファリムーブメントが再加熱し始めます。Bob Marleyの再来とまで言われますが、94年に自宅での火事に巻き込まれ不慮の死を遂げます(一説では暗殺とも言われています)。

 Garnet Silkらの影響で方向転換をしたアーティストはたくさんおり、スラックネスで人気を博していたBuju Bantonは友人たちが殺人事件で殺害されたことやGarnet Silkが亡くなったことなどからラスタファリアニズムへ傾倒していき、楽曲やステージがスピリチュアルなものへと変化していきます。

■Garnet Silk - Hello Mama Africa (92)

 89年から92年にかけてスラックネスなスタイルでヒット曲を連発していたNinjamanが95年に復活し、同じくスラックネスなスタイルで再燃します。ラスタ思想の勢いも衰えることはなく、シーンはスラックネスとラスタ思想の2極化が起こります。90年後半に入るとセレクター(曲を選んでかけるDJのような人)がHiphopをかけたり、90年代前半から活躍してきたBounty KillerなどがHiphopアーティストと頻繁にコラボレーションするようになり、ダンスホールレゲエもその影響を受けます。現在も第一線で活躍するSean PaulやMr. Vegasなどもこの頃から頭角を現し始めます。

 2000年代に入るとアメリカのHiphopやR&Bアーティストとの共演によってブレイクするアーティストが増え、ソロでもジャマイカ出身のアーティストが頻繁にBillboardのHot100チャートに入ってくるようになります。

 私は下記の楽曲をリアルタイムで聞いていましたが、若くてあまり区別もつかなく、レゲエの要素が違和感なくアメリカのメインストリームシーンに溶け込んでいたので、レゲエを聞いているという認識がそこまでありませんでした。ちなみにSean PaulのGet BusyとWayne WonderのNo Letting GoはDiwali(ディワリ)という同じRiddimを使っています。

■No Doubt feat. Bounty Killer - Hey Baby (01)

■Beenie Man Ft. Janet Jackson - Feel It Boy (02)

■Sean Paul - Get Busy (02)

■Wayne Wonder - No Letting Go (03)

■Elephant Man - Good 2 Go (03)

 00年代後半にはMavadoやMungaなどのラスタファリアンでもありながらギャングスタ(ストリートギャングやヤクザなどを指す)でもあるGangsta Ras(ギャングスタ・ラス)をパーソナリティの売りとするアーティストも出現し人気を博しています。

■Munga Honorable - Excuse Me (15)

■Mavado - Progress (16)

ラップの説明をした回で出てきたHiphopの創始者と言われているKool Hercはジャマイカ人ですし、Jungleの説明をした回ではJungleはレゲエのベースラインとレゲエスタイルのラップを取り入れ、以降Raggamuffinにも派生すると説明しました。Moombahtonの説明をした回で挙げたようにMoombahtonはレゲエから派生したReggaetonが元になっていますし、音楽に限らず、文化的な面でも世界中でレゲエから影響を受けているものを挙げたら枚挙にいとまがないはずです。

 さて、ではいつも通り韓国での話に移りますが、今回はここまでの説明が長くなってしまったので簡潔に書きます。

 韓国ではレゲエは退廃的な音楽とされ長く視聴が禁止されてきましたが、92年に解禁されるとイギリスのUB40というバンドのレゲエ楽曲がヒットし、レゲエバンドやレゲエを取り入れたグループが次々と登場します。

 今回からApple MusicとSpotifyのプレイリストを作成してみました。下記以外の曲も入れているので参考にして下さい。

Apple Music K-Reggae Playlist
Spotify K-Reggae Playlist

 2つ目に挙げたSKULLに客演しているSizzlaは、95年頃から活動し始めたジャマイカ出身のDeejayで非常に多作なことでも知られ、日本人のレゲエアーティストにも客演しています。

■PRIMARY(프라이머리) - Don't Be Shy(아끼지마) (Feat. ChoA(초아) (AOA) , IRON(아이언)) (2015/07/24)

■SKULL(스컬) - Get Rich Feat.Sizzla (2016/05/27)

■EXID - L.I.E (Jannabi Remix) (2016/06/01)
Apple
Spotify

■Wonder Girls - Why So Lonely (2016/07/05)

■GFRIEND(여자친구) - Distance (한 뼘) (2016/07/11)

■OH MY GIRL(오마이걸) _ Listen to my word(내 얘길 들어봐)(A-ing)(Feat. SKULL(스컬)&HAHA(하하)) (2016/08/01)

■CLC - BAE (2017/08/03)
Apple
Spotify

■VAV - Flower (You) (2017/05/03)

■TWICE - 하루에 세번(Three Times A Day) (2017/05/15)

■EXO 엑소 - Ko Ko Bop (2017/07/18)

■청하(CHUNGHA) - Do It (2018/01/17)

■UNI.T(유니티) - No More(넘어) (2018/05/19)

■PENTAGON(펜타곤) - 청개구리(Naughty boy) (2018/09/10)

■Dreamcatcher(드림캐쳐) '약속해 우리(July 7th) (2019/01/10)

■SF9 - Enough(예뻐지지 마) (2019/02/20)

■Red Velvet - Sunny Side Up! (2019/06/19)

■CIX - Like It That Way (2019/07/23)
Apple
Spotify 

■THE BOYZ - Water (2019/08/19)
Apple
Spotify

■유권 (U-KWON) - Rise Up (Feat. Koonta) (2019/12/18)

■HYOLYN(효린) - SAY MY NAME(쎄마넴) (2020/08/19)

<落選したけど……紹介したい1曲>

■LUCY - 조깅(Jogging)

 ユン・ジョンシンが代表プロデューサーを務めるSM Entertainmentの子会社MYSTIC STORYに所属する4人組バンドLUCYの新曲です。JTBCの『スーパーバンド』というサバイバルプログラムで結成され準優勝し、今年の5月8日にデジタルシングル「개화 (Flowering)」でデビューしました。今回は初のミニアルバムリリースですが、タイトル曲の「Jogging」だけでなくEP単位で聞いて欲しい素晴らしい出来になっています。

 今までもバンド形式で音楽番組に出演するいわゆるアイドル的な立ち位置のグループはいくつかありましたが、バイオリニストがいるのは初めてだと思いますし、何よりMYSTIC所属で音楽的にもしっかりしているのがとても好感が持てます。

<近況>
ちょうどこの原稿を書いている締め切りの日に映画『ブッラクパンサー』主演のチャドウィック・ボーズマンが亡くなった知らせがあり、今回書いている内容も相まって、とても考えさせられた回となりました。Rest in Power, King.

e_e_li_c_a
1987年生まれ。18歳からDJを始めヒップホップ、ソウル、 ファンク、ジャズ、中東音楽、 タイポップスなどさまざまなジャンルを経て現在K-POPをかけるクラブイベント「Todak Todak」を主催。楽曲的な面白さとアイドルとしての魅力の双方からK-POPを紹介して人気を集める。

Twitter @e_e_li_c_a TodakTodak 
mixcloud eelica

K-POP、2020年上半期ベスト15曲! TWICE「OXYGEN」ベッキョン「R U Ridin’?」Stray Kids「Airplane」ほか

――毎月リリースされるK-POPの楽曲。それらを楽しみ尽くす“視点”を、さまざまなジャンルのDJを経て現在はK-POPのクラブイベントを主宰するe_e_li_c_a氏がレクチャー。今回は今年の上半期に発表された楽曲を振り返ります!

 今月は2020年上半期(1月~6月)のリリースから私の好みの15曲をピックアップして紹介します。特に順位はなく、1月からリリース順に挙げています。

SF9 - Good Guy (2020.01.07)

 FNC Entertainment所属9人組グループ、SF9の初フルアルバム「FIRST COLLECTION」のタイトル曲で、UK GarageやDeep Houseの要素を含んだ楽曲です。2月の記事でアルバム収録の「One Love」を紹介しました。

 年始に行ったホーチミンのパティスリーのインテリアがMVの雰囲気と似ていて、曲がリリースされた直後なこともありとてもテンションが上がりながらケーキを食べた思い出があります。また、この活動でデビューから4年目にして初めて音楽番組で1位を獲ります。個人的には音楽番組やチャートでの1位獲得を人気の物差しや目標にして欲しくはないですが、たくさんのアーティストに機会が多くあることは良いことだと思います。『셒구상사(SF9商事)』というリアリティ番組が大好きなので是非検索して見て下さい。

드림노트 (DreamNote) - Bittersweet (2020.01.08)

apple music
spotify

 iMe KOREA所属6人組グループ、Dreamnoteの3枚目シングル・アルバム『Dream Wish』の収録曲です。アルバムをブラック・アイド・ピルスンのチェ·ギュソンがプロデュースしており、全体的にコンセプトがしっかりした良いアルバムです。「Bittersweet」はChill House系の楽曲で、サビで聞こえるメインボーカルのララの特徴的な声が大好きです。

 事務所があまり聞き馴染みがないかもしれませんが、北京に本社がありアジア10カ国に子会社を置く、音楽を総合的に扱うiME Entertainment Group Asiaの子会社です。iME KOREAにアイドルグループが所属するのはDreamnoteが初で、俳優のイ・セジンやR&BデュオのFly to the skyが所属しています。

펜타곤 (PENTAGON) - TALK (2020.02.12)

 CUBE ENTERTAINMENT所属9人組グループ、Pentagonの初フルアルバム『UNIVERSE:THE BLACK HALL』の収録曲で、歌詞をメンバーのジノ、ウソクが書いています。1つ前のEP『SUM(ME:R)』に収録されている「SUMMER!」と作曲・作詞が同じ顔ぶれで、どちらもポップさと寂しさが共存する趣のある曲です。

 昨年、日本語楽曲の「HAPPINESS」について記事を書きましたが、音楽的にも彼らの実力が高いことは明らかなので、今後も今まで以上に多様なPentagonを見せて欲しいです。4月から6月にかけてMnetのサバイバル番組『Road to Kingdom』に出演し、兵役直前のジノへのサプライズステージが話題になりましたが、デビューからのさまざまな苦難を思い出し、私はまんまと大号泣しながら視聴しました。

NCT127 - 낮잠 (Pandora's Box) (2020.03.06)

 SM Entertainment所属10人組グループ、NCT127の2枚目のフルアルバム『NCT#127 Neo Zone』の収録曲です。アルバム全ての曲にTrack VideoというショートMVのようなものがあり、リリース前からすでにかなりの労力がかかっていることがわかりました。ちなみに「Pandora's Box」のTrack Videoはこちらです。このようなグルーヴたっぷりのR&Bをラップも乗せた上でさらりとこなせるメンバーの技術力の高さに毎回感嘆します。

 このアルバムは本当に大好きな曲が多く、「Elevator(127F)」と「Pandora's Box」と「우산(Love Song)」で最後までどれを挙げるか悩みに悩みました。全員にしっかりと実力があるからこそ実現できることなのかもしれませんが、サビやロングトーン以外の部分でもはっきりと誰が歌っているかわかるような気持ち良いボーカルの見せ場が作られているのが、聞いていてとても気持ち良いです。

강다니엘 (Kang Daniel) - Interview (2020.03.24)

apple music
Spotify

 元Wanna Oneメンバー、自分で立ち上げたKONNECT Entertainment所属のソロアーティスト、カン・ダニエルの2枚目EP『CYAN』の収録曲です。

 元々所属していた事務所との契約関係での訴訟問題や、以前からの誹謗中傷などによるうつ病やパニック障害などの症状に苦しめられ、ソロの活動を開始するまでにさまざまな困難がありましたが、1枚目のEPからとにかく楽曲が良く、Wanna One所属時代は彼自身にあまり興味を持ったことがありませんでしたが、今後はたくさん本人のやりたいことを目一杯やりながら活動して欲しいなと思います。

 TOP MEDIA所属5人組グループMCNDのシングル曲です。5月の特集で取り挙げているため細かい説明は不要だと思いますが、コロナ禍でこの曲と歌詞、彼らのプロモーションに救われた人がいるんじゃないかと思います。まだデビューして半年少しでシングルが2曲、EPが1枚しかリリースされていないですが今後に期待したいです。

에이핑크 (Apink) - Yummy (2020.04.13)

 Play M Entertainment所属6人組グループ、Apinkの9枚目のEP『LOOK』の収録曲です。一つ前のEP『PERCENT』も全体的に良く、今回も「Yummy」と「Be Myself」で本当に悩みましたが、「Be Myself」はメンバー3人のユニット曲なため、全員いる「Yummy」を選びました。ちなみに、あとの3人のユニット曲「Love is Blind」も良い曲で、音楽番組ではタイトル曲の「덤더럼(Dumhdurum)」とユニット曲の計3曲を披露して活動しました。

 K-Popアイドル自体、全員揃って契約更新をすることはあまり多くないですが、Apinkは2017年に全員が契約を更新し、それ以降発表された4枚のEPはどれもとても良いものになっています。メインボーカル・ウンジの透き通った落ち着きのある声が大好きで、これからもたくさん良い曲がリリースされたらうれしいです。

밴디트 (BVNDIT) - Children (2020.04.20)

 MHN Entertainment所属5人組グループBVNDITの2枚目EP『Carnival』の収録曲及び、その先行シングルとしてリリースされた楽曲です。グループ名にあまり馴染みがないかもしれませんが「バンディット(韓国語発音ではベンディト)」と読み、チョンハと同じ事務所なため、チョンハの妹グループとも言われています。

 Lo-Fi Hiphopとして6月の特集でこの曲を挙げましたが、このようなジャンルの楽曲かつオールアニメーションのMVを先行シングルとしてリリースし、さらには音楽番組に出演して活動することが今まではあまり考えられないことだったと思うので、挑戦したなと感心しました。今後ももっとK-Popシーンで音楽やパフォーマンス、形態などさまざまな表現が多様化していったら良いなと思います。

오마이걸 (OH MY GIRL) - 살짝 설렜어 (Nonstop) (2020.04.27)

 WM Entertainment所属7人組グループOH MY GIRLの7枚目のEP『NONSTOP』のタイトル曲です。OH MY GIRLは19年下半期に『Queendom』というMnetのサバイバル番組に出演し知名度を上げ、その後初めてのリリースが今回の『NONSTOP』でした。成績は恐らく誰もが想像する以上で、音楽番組で1位獲得はもちろんのこと、melon(韓国でシェア1位の音楽配信サイト)のチャートでもかなり長い期間にわたって1位、及び上位にチャートインします。melonは利用にあたり、韓国の携帯番号での認証が必要なため実質韓国に住む人しか利用ができず、音楽番組や他配信サイトに比べて、より韓国内での人気を反映しているチャートと言えます。

 この記事を書いている7月末に確認しても、いまだに「Nonstop」が13位にチャートインしています(ちなみに12位には収録曲「Dolphin」がいます)。また曲中のミミのラップが非常に良く、デビュー当時からOH MY GIRLの楽曲に好きなものはたくさんありましたが、デビューから5年たってようやくそれに気付けた曲でもあります。

공원소녀 (Girls in the Park) - 공중곡예사 (Wonderboy, the Aerialist) (2020.04.28)

 KIWI Media Group所属7人組グループ公園少女の4枚目EP『the Keys』の収録曲です(今回はメンバー・ソソがケガなどの理由で活動に参加していません)。デビューから「夜の公園シリーズ」と称してDeep House・UK Garage楽曲がタイトル曲のEPを3枚リリースしましたが、今回はタイトル曲が少しElecto寄りの楽曲になっており、また別のシリーズが始まるようです。

 今までの3枚のEPも全て良いのですが、今回も「공중곡예사(Wonderboy, the Aerialist)」と「Tweaks ~ Heavy cloud but no rain」の2曲でどちらを挙げるか非常に悩みました。4つ打ちやバラードの楽曲をやる女性アイドルグループはたくさんあれど、このようなシャッフル調のJazz楽曲をやるグループはあまりないためこちらを選びました。この曲はタイトル曲「BAZOOKA!」の後続曲として音楽番組で何度かステージも披露しているので検索して見てみて下さい。特に人気や反応などに左右されず、毎回最高クオリティの楽曲を準備出来るKIWI Mediaに、これからもよろしくね! と言いたいです。

백현(BAEKHYUN) - R U Ridin'? (2020.05.25)']

apple music
Sporty

 もはや説明不要、SM Entertainment所属EXOのメインボーカル・ベッキョンの2枚目のソロEP『Delight』の収録曲です。こちらもEPの「R U Ridin'?」「Bungee」「Poppin'」と、どれにするか迷いました。6月の記事で特集しています。SMのグループに所属するアーティストでソロ活動が好きなのは、SHINeeのキーとベッキョンなのですが、2人ともセルフプロデュースがうまく、今後もソロアルバムをリリースして欲しいなと思わせます。

트와이스 (TWICE) - OXYGEN (2020.06.01)

こちらも説明不要、JYP Entertainment所属9人組グループTWICEの9枚目EP『MORE & MORE』の収録曲です。1つ前のEP『Feel Special』から2stepアイドル(2step楽曲を持つグループを勝手にこう呼びます)の仲間入りをしたTWICE、今回も良い2step曲があってうれしいです。昨年の『Feel Special』リリース時に2stepについて書いた記事があるのでまだ読んでいない方は是非読んでみて下さい。

 TWICEは年々、アルバムをリリースしても音楽番組に出たりするプロモーションの期間が短くなってきていて、タイトル曲以外のステージを見られる機会がカムバックショーケースやコンサート以外では少ないため、是非この曲のパフォーマンスを8月9日のオンラインコンサートで見たいです。本当は4月に東京ドームで彼女たちを見るはずだったのに……。

하성운 (HA SUNG WOON) - Twinkle Twinkle (2020.06.08)

apple music
Spotify

 元Wanna Oneから2人目、StarCrew ent所属6人組グループHOTSHOTのメンバー、ハ・ソンウンの3枚目EP『Twilight Zone』の収録曲です。グルーヴのあるトラックにエレピとピアノの音が映える、ファルセットが気持ち良い曲です。

 こちらもEP全体が良すぎて「Lazy Lovers」「Puzzle」「Twinkle Twinkle」のどれを選ぼうか、かなり悩みました。3枚目のEPですが今までのリリースに比べて音楽的にかなり深みのあるEPになっているのを感じます。デビュー当時からHOTSHOTを追っていたので、グループとしての活動がないのはとても悲しいですが、事務所の経営が本当に厳しいらしいので大黒柱として頑張って欲しいです。

스트레이 키즈 (Stray Kids) - 비행기 (Airplane)(2020.06.17)

apple music
Spotify

 JYP Entertainment所属8人組グループStray Kidsの初フルアルバム『GO生』の収録曲です。こちらも同アルバムの収録曲「GO生」を7月に特集しましたが、それとは打って変わってポップでほんの少し哀愁のある楽曲です。楽曲の内容が、好きな人に旅行というアプローチで告白をする曲で、今まで彼らの曲で恋愛のことを歌う曲はなかったので変に深読みしてしまいます。

 Stray Kidsは毎回アルバム収録の1曲をStreet Ver.として、道端を歩いたり公園で遊ぶ模様を収録したMVを出すのですが、恐らく今回この曲がそれの対象になっているため、MVが突然公開されるのを今か今かと待ち続けています。追記:原稿を出したあとに突然、 メンバーのスンミン編集で動画がアップされました。 フルで見たい!

 元X1メンバー、Yuehua Entertainment所属5人組グループ、UNIQのメンバー・スンヨンの初ソロEP『EQUAL』の収録曲です。

 14年にUNIQでデビューしたものの、その後全くグループとしての活動がなく、16年からLuizy名義で個人的に曲をリリースしていましたが、18年からWOODZという名義に変更し、現在も引き続きその名義を使って活動しています。今までリリースした楽曲や、Mnetのラップサバイバル番組『SMTM5』への出演経歴から本人のスキルの高さは知っていましたが、X1のトラブルなどもあり、なかなか表舞台に立つ機会がなかったため、今回のEPは待望のリリースでした。この曲以外にも『SMTM8』の優勝者punchnelloを客演に迎えた楽曲もあり、今までのアンダーグラウンドでの地道な活動を生かした、(事務所からの公式)ソロデビューとなりました。

 今回はメジャーな楽曲を中心に選びましたが、インディーなものについてはTwitterで#e_e_li_c_a良い曲タグ2020というハッシュタグを使ってつぶやいているので気になった方はチェックしてみて下さい。

7月リリース楽曲、紹介できなかった1曲

■유키카 YUKIKA - Yesterday

 実写版ドラマ『アイドルマスター.KR』のReal Girls Project出身、現在はESTi(パク・ジンベ)が代表のESTIMATEという事務所に所属しているユキカのシングルです。この後、「서울여자 (SOUL LADY)」という楽曲をタイトル曲に同タイトルのアルバムをリリースし、この「Yesterday」は先行シングルという扱いになります。「SOUL LADY」も良い曲なのですが、個人的に「Yesterday」のほうが好きなのでこちらを挙げました。

 ESTiは学生時代、外大の日本語学科に所属していた経歴もあり、昔からゲーム音楽を作成したり、日本の音系・メディアミックス同人即売会M3に参加し楽曲を発表するなど日本との縁が深く、「アイドルマスター2」や「アイドルマスターシンデレラガールズ」などのゲーム楽曲を複数制作しています。ユキカがESTIMATEに所属してからは、全ての楽曲のプロデュースとクリエイティブディレクターをESTiが手掛けており、不思議な巡り合わせだなぁと感じます。アルバム『서울여자』も「From HND to GMP」という東京からソウルに行くのに定番の航路をタイトルにした楽曲が1曲目に置かれており、アルバムとして完成された作りなので是非通して聞いてみて下さい。

<近況>
 性懲りもなくMnetのサバイバル番組『I-Land』を毎週見ています。ニキ頑張れ……。

 昨年末から開催できていないクラブイベント『Liar Liar』を8月10日(月・祝)にオンラインで開催することにしました。当日は15時からTwitch経由でどこからでも見て頂けるので是非お時間を作って参加して下さい! 詳しくは@Todak_Todakkをチェックして下さい。

e_e_li_c_a
1987年生まれ。18歳からDJを始めヒップホップ、ソウル、 ファンク、ジャズ、中東音楽、 タイポップスなどさまざまなジャンルを経て現在K-POPをかけるクラブイベント「Todak Todak」を主催。楽曲的な面白さとアイドルとしての魅力の双方からK-POPを紹介して人気を集める。

Twitter @e_e_li_c_a TodakTodak 
mixcloud eelica

Stray Kids「GO生」だけじゃない、TWICEやBTSなどK-POPとDrum&Bass/Jungleの注目14曲!

――毎月リリースされるK-POPの楽曲。それらを楽しみ尽くす“視点”を、さまざまなジャンルのDJを経て現在はK-POPのクラブイベントを主宰するe_e_li_c_a氏がレクチャー。6月にリリースされた曲から[いま聞くべき曲]を紹介します!

今月の1曲 ‖Stray Kids(스트레이 키즈) - GO生

 6月17日に初フルアルバム『GO生』でカムバックしたStray Kidsのアルバム1曲目、「GO生」(ゴーナマ……ではなく고생(コセン)、苦労)です。

 これはアルバムリリース前にティーザーとして出た動画でわずか1分21秒と短いのですが、実際の楽曲も1分51秒しかなく、アルバムの中で1曲目として置かれており、イントロのような扱いになっています。2曲目に今回のタイトル曲「神メニュー」がありますが、1曲目の「GO生」を聞いた流れでこの曲を聞くと、よりすんなりと入ってくるように作られていると思います。

 曲が始まって聞こえるドラムがあまり聞き慣れず、リズムに乗りづらい方もいるかもしれませんが、このようなビートは「Breakbeats(ブレイクビーツ)」と言います。ブレイクビーツはビートの種類のことを言い、それ自体が音楽のジャンルではありません。

 サンプリング解説の記事でHiphopに絡めて少し説明しましたが、今回はブレイクビーツを使い、そこから発展した音楽ジャンルを中心に説明します。ブレイクビーツの発祥については以前の記事に書いたとおり、ソウルやファンクなどの曲のドラムブレイクを同じ曲の同じ部分につなぎ、ブレイクの部分だけを繰り返したもので、それを「ブレイクビーツ」と呼びます。もちろん、ドラムの部分が繰り返しやすければ楽曲はなんでもいいのですが、たくさんの楽曲にサンプリングされた有名な原曲も存在します。

■The Winstons - Amen Brother

 アメリカのファンク/ソウルバンドが1969年にリリースした「Amen Brother」という楽曲です。1:26~の6秒ほどのドラムソロの部分(ドラムブレイクの部分)について、楽曲の名前から「Amen Break」と呼ぶようになります。

 このドラムソロをループした楽曲として有名なものが、Dr.Dreの所属するN.W.A.のこの楽曲です。聞けば何となくわかると思いますが、Amen Breakの速度を落としてループしています。

■N.W.A. - Straight Outta Compton (1989)

 このAmen Breakをサンプリングした曲は、2,000曲以上も存在するといわれており、この動画のようにAmen Breakの歴史やサンプリングした楽曲の説明をする動画もたくさん存在します。

■The History Of The Amen break | Mixmag Originals

 1980年代後半から90年代初頭にかけて、イギリスではナイトクラブや一夜限りの野外イベント文化が発展し、Beakbeat Hardcore、Darkcore、Hardcore Jungleなどの新しいジャンルがレイヴシーンに誕生します。Amen Breakはアメリカからイギリスに渡り、そうしたジャンルの楽曲に使用されるようになります。ちなみに、今まではアメリカの音楽文化を紹介することが多かったですが、今回は全てイギリスがメインの舞台です。

■Double Trouble ft. Rebel Mc - Street Tuff (89)

■Carl Cox - Let The Bass Kick (90)

 Carl Coxの「Let The Bass Kick」はAmen breakを使ったBreakbeat Hardcoreの走りの一つといわれています。

 91年、Hardcore Jungleの先駆けとされるLenny Dee Iceの「We Are I.E」がリリースされますが、これはReggaeのベースラインを使い、Amen Breakの速度を上げたトラックです。単純にドラムの部分を繰り返してつなげループするパターンから、サンプラー(録音機材)を使いドラムの音を刻んだり、段々とベースラインやブレイクビーツが主体で、ダークなムードやメロディーのトラックがたくさん作られるようになります。

  Hardcore Jungleは、後に単に「Jungle」と呼ばれるようになります。以下2曲はJungle初期の楽曲といわれています。

■Bodysnatch - Euphony (92)

■Noise Factory - Set Me Free (92)

 Reggaetonの成り立ちで、プエルトリコではやっていたReggaeがHiphopから影響を受けてできたと説明しましたが、HardoreやJungleは、ロンドンのジャマイカやカリブ海地域など旧イギリス植民地の移民2世、アフリカ系イギリス人によって生み出されたとされています。

 たくさん楽曲がリリースされ、シーンでの人気も出てくるとチャートにJungleの楽曲が入るようになり、94年にリリースされた下記2曲はUK ChartのTop40に入ります。

■Shy FX & UK Apachi - Original nuttah

■M Beat feat. General Levy - Incredible

 M Beatの「Incredible」のブレイクビーツはBlowflyの「Sesame Street」という楽曲のドラム(0:25~)を、速度を上げてループしています。

 どちらもラップがReggaeのスタイルを強く感じさせるもので、「ラーダマスィー」と聞こえる「Lord have mercy」、「Booyaka」などのパトワ語のスラングもReggaeの楽曲に頻出するものです。パトワ語とは、ジャマイカの歴史と関係しており、スペイン・イギリスの植民地だったジャマイカに奴隷としてアフリカ大陸から連れてこられた西アフリカ・中央アフリカ地域の人々が、英語やスペイン語、自国のルーツであるアフリカ地域の言語を混ぜてできたものといわれています。成り立ちとして、支配階級のイギリス人たちに自分たちのしゃべっている言葉がわからないようにするためにという説もあります。正式名称はジャマイカ・クレオール語と言い、「パトワ」自体はフランス語で「訛り」の意味です。

 当時レイヴで主流だった他ジャンルに比べ、Jungleはより暗く、多幸感に乏しいスタイルが多く、イギリスの社会的な背景も影響しているとされています。90年代初頭のイギリスは社会構造が崩れかけており、幻滅した都市部の若者たちの感情がJungleに反映されていたといわれています。

 JungleはTechnoなどの当時レイヴで主流だったスタイルよりも、アメリカなどでのレイヴスタイルの影響を強く受けていましたが、特にアフリカ系イギリス人の若者層に人気がありました。Jungleのファン(Junglistと呼ばれる)は、若者のサブカルチャーの一部として認識されるようになり、Jungleはロンドンの下層階級の若者のための文化的表現の形、「Hiphopに対するイギリスの答え」ともいわれました。

 94~95年頃がJungleの人気のピークとされ、『Jungle Mania』や『Jungle Hits』というコンピレーションアルバムのCDがリリースされます。当時はラジオが新曲を聞くための主流なツールでしたが、ヨーロッパでは国営放送局にしか放送免許が認可されないことなどもあり、正式な放送免許を持たないラジオ放送(海賊放送)が横行します。このような海賊放送でJungleがたくさんプレイされていたのはもちろんですが、その人気も相まって95年には国営放送のBBC Radio1にて「One In The Jungle」というJungleを専門にした番組が週1で放送されます。こちらにアーカイブがあるので気になる方は是非聞いてみて下さい。

 ジャンルの性質上、コンピレーションアルバムやDJミックスがたくさん作られているので、さらにいろいろな楽曲を聞いてみたい方はこのようなミックスを探してみると良いでしょう。

 既存のジャンル(Raggamuffin sound, Dancehall, MC chants, Dub basslines)や複雑で重くエディットされたブレイクビートのドラムを取り入れ融合し、Jungleはさらに発展します。

Drum & Bassの注目曲

 一方でRaggamuffinの影響を受けたスタイルからは離れ、洗練され落ち着いたサウンドに重いドラムを乗せた楽曲も作られ始めます。

 これが後のDrum & Bass(ドラムンベースと発音)というジャンルにつながっていきます。93年にリリースされたThe Invisible Manの「The Beginning」という曲は、Jungle Drum & Bassジャンルの走りの楽曲の一つといわれており、さらに90年代中盤頃からは、より加工のされた、Amen Breakのソウルフルでジャジー(Jazzy)な面を反映した雰囲気を持ったものも出てきます。

■The Invisible Man - The Beginning (93)

■LTJ Bukem - Atlantis (93)

■Tom & Jerry - Airfreshner (94)

 Tom & Jerryの「Airfreshner」はBlowflyの「Sesame Street」をベースに、イントロはAlicia Keysの「Unbreakable」と同ネタの「Intimate Friends」(これはPaul Johnsonのカバー)が使われています。

■Goldie - Inner City Life (95)

 この年代は、Big beatの記事で書いたThe Prodigyの説明がちょうど同じぐらいの時期で、どちらも既存のレイヴシーンから影響を受け発展し、Big beatやDrum & Bassが作られていきます。

 Drum & Bassはたくさんのサブジャンルを内包する大きいジャンルのため、たくさん楽曲がありますが、私が好きなものをいくつか挙げたいと思います。

■Pendulum - Blood Sugar (07)

■High Contrast - Ghost Of Jungle Past (07)

■Nu:Tone - Jet Stream (07)

■4hero - Morning Child (L.A.O.S. D & B Mix) (07)

 95年を過ぎた頃から、Drum & BassはHardstep、Jump-up、Ragga、Intelligentなどがサブジャンルとして分裂し始めます。AtmosphericやJazzstepと呼ばれる、よりメロディックでJazzの影響を受けたサブジャンルが主流になり、96年にはTechnoの影響を受けたTechstepというサブジャンルも登場します。

 サブジャンルに関しては挙げたら切りがありませんが、Drum & Bassの主流なところではJump-up、Drumstep(Halftimeとも言う)、Drill 'n' Bass(Fungleとも言う)、ライトなDrum & BassにはIntelligentやAtmospheric、Jazzstep、Liquid funk、Sambassがカテゴライズされ、ヘビーなDrum & BassにはDarkstep、Techstep、Neurofunk、Hardstepがカテゴライズされます。

 正直私もこれらを聞き分けられる自信はないですし、聞いてもあまり違いがわからないかもしれません……。
【Jump-up】
DJ Hazard - Bricks Don't Roll

【Drumstep】
Tristam & Braken - Flight

【Drill 'n' Bass】
Squarepusher - 6

【Intelligent】
LTJ Bukem - Atmospherical Jubilancy

【Jazzstep】
Utah Jazz - Take No More

【Techstep】
Bad Company UK - Four Days

【Hardstep】
Zomboy - Mind Control

 このようなジャンルの細分化と並行して、 別のジャンルとの融合を図ったAsian Dub Foundationのようなバンドも出てきます。Dub、 Bangla Beats、Raggae、JungleやDrum & Bass、さらにはPunk Rockをミクスチャーした作品を中心にリリースし、 99年にリリースされたアルバムが全英チャート20位を記録します。

■Asian Dub Foundation - Real Great Britain

 ここまでBPMの話をしていませんでした。90年初頭のHardcore Jungleの時期はBPM120程度から始まり、Jungle初期は140前後、Jungle最盛期は160とどんどんBPMが上がっていきます。Drum & BassではBPM170~180が一般的です。JungleとDrum & Bassの違いについては、さまざまな切り口からの議論があり、「Jungle Drum & Bass」と呼ばれることもあるためはっきりと違いを定義するのは難しいですが、個人的にJungleはReggaeの影響を受けたサウンドと密接に関係しており、Drum & Bassはその要素のないものとざっくり考えています。

 ちなみにStray Kidsの「GO生」はBPM154なのでBPMで当てはめるとするならばJungle中期辺りに該当するでしょうか。楽曲自体はダークな上ネタがあったり、チチチチとTrapのようなハイハットがあったり、Dubstepのようにビートを半分で取るようなところもあり、Jungleがベースなのは間違いないですが、そこにさまざまなジャンルが合わさった楽曲になっています。

 Stray Kidsが結成される前、メンバーの3人(バンチャン、 チャンビン、ハン)がやっている3RACHAというユニットで2017年にリリースした楽曲に「P.A.C.E」という楽曲がありますが、これはGrimeというジャンルのものです。Drum & Bassの流行よりもっと先の話ですが、Jungleのビートにラップを乗せたところが始まりと言われているジャンルで、ロンドンで02年頃から流行し始め、09年頃にスタイルが確立します。2step記事で紹介した2stepやUK GarageをベースにHiphop、Raggae、 JungleやDrum & Bassなどの要素が混ざりあってできたジャンルです。P.A.C.Eの歌詞にはGrimeを代表するラッパーSkeptaの名前が 出てきて、このジャンルを知っている人にはおお! となる要素が盛り込まれています。

 さて、いつも通り韓国での話に移ります。

 もちろんブレイクビーツという点ではHiphopの楽曲でたくさん採用されていますが、ラップの事を書いた記事で紹介した韓国のHiphopグループ、ソテジワアイドゥルがロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団との共演形式で2008年に行った単独公演でAmen Breakが登場するので取り上げたいと思います。

 オーケストラでは誰もこのAmen breakを叩いている人はいないように見えるので、恐らく録音したものをわざわざ流しているのではないでしょうか。

■서태지 심포니(Seo Taiji Symphony) - 난 알아요 (08/9/27)0:10~0:45

 それではK-Pop楽曲に利用されているJungleやDrum & Bassの紹介をしますが、1曲目のEpik highと最後のCHUNG HAのみのみがJungleの楽曲で、あとはほとんどがDrum & Bassです。

■에픽하이(Epik high) - 1분 1초 (Feat. 타루) (11/5/23)

■TWICE - CHEER UP (16/4/25) 1:07~

■빈지노 (Beenzino) - Life In Color (16/5/27)

■드림캐쳐 (Dreamcatcher) - Sleep-walking (17/9/1)

■비투비 (BTOB) - Guiter (Stroke of Love) (17/10/16) 0:55~

■TWICE - What is Love? (18/4/9)

■임팩트 (IMFACT) - 빛나 (The Light) (18/4/17)

■아이오아이 (I.O.I) - 너무너무너무 (Very Very Very) (18/6/26)

■이달의 소녀 (LOONA) - Hi High (18/08/20)

■방탄소년단 (BTS) - I'm Fine (18/8/24) 1:14~

■Stray Kids - 0325 (18/10/23)

■설리 (Sulli) - 도로시 (Dorothy) (19/6/30) 2:30~

■드림캐쳐 (Dreamcatcher) - 거미의 저주 (The curse of the Spider) (19/9/18)

■CHUNG HA (청하) - Pre-Release Single #2 'PLEASURES' Concept Clip (20/7/1)

<落選したけど……紹介したい1曲>
■SEVENTEEN (세븐틴) - My My

Seventeenの夏!です。頭で紹介したStray kidsのアルバム『GO生』に収録されている「청사진(チョンサジン、青写真)」と「비행기(ピヘンギ、飛行機)」とこの「My My」の3曲があればもう今年の夏は越せます。

<近況>
 もうご存じのことかとは思いますが、Stray Kidsがカムバックしました。今回は現地に行けないため、夜中にデジタルメディアシティに行って7時間待機し、朝8時前からCJのスタジオで事前収録を見るということもないので、寂しさ半分安心半分という状態です。
今回のコンセプトのおかげか、虹プロのJ.Y.Park社長のおかげか、今まで全くStray Kidsに興味がなかった方も興味を持ってくれているようなのでとても嬉しいです。まだ活動は続くと思いますので、是非一度音楽番組の神メニューステージをご覧になって下さい。エプロンをしている回が当たりです。Youtubeで「Stray kids 神메뉴」で検索!

e_e_li_c_a
1987年生まれ。18歳からDJを始めヒップホップ、ソウル、 ファンク、ジャズ、中東音楽、 タイポップスなどさまざまなジャンルを経て現在K-POPをかけるクラブイベント「Todak Todak」を主催。楽曲的な面白さとアイドルとしての魅力の双方からK-POPを紹介して人気を集める。

Twitter @e_e_li_c_a TodakTodak 
mixcloud eelica