『クローズZERO』をどう更新するか? ヤンキーマンガ論から観る映画『HiGH&LOW THE WORST』(後半)

 現在公開中の『HiGH&LOW THE WORST』について、ヤンキーマンガや映画を長年見続けてきたライター・藤谷千明氏と、アクション映画やバイオレス映画に造詣の深いライター・加藤よしき氏が4度目の集結を果たし、放談を繰り広げる。(以下、映画『HiGH&LOW THE WORST』のネタバレを含みます)

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編集部 私は『THE WORST』を観て、久しぶりに『クローズZERO』を見返したくなりました。あらためてあの映画は強烈なエポックだったな、と。

加藤 僕、地元が北九州なんですよ。『クローズZERO』がDVDで出た直後、レンタルショップからそのDVDが全部消えました。何回通っても店頭になくて、ある日行ったら「予約制になりました」「当日あるいは最大1泊です」って張り紙がされていたんです。あれは前代未聞でした。それくらいのヘビロテ作品でしたね。

藤谷 本当に2000年代を代表する映画ですからね。『THE WORST』のキャスト陣にインタビューしても、みんな「男たるもの『クローズZERO』に出たかったに決まっている」という感じでした。まあ、私も出たかったですけどね? っていうか今でも出たいです。

編集部 志尊淳さんは、『クローズ』シリーズのオーディションを受けたけど「線が細い」という理由で書類で落ちた、とパンフレットで語っていますね。

藤谷 志尊くんが今回鳳仙の頭になれたのは、ハイローを経ての『クローズ』『WORST』だからだと思うんですよね。窪田正孝くんや林遣都くんのような美少年のイメージがある人たちが出ていることで、ハイローは世の中の不良コンテンツのルックスを書き換えたと思う。『クローズZERO2』にも三浦春馬くんや綾野剛くんも出ていますが、鳳仙の頭は金子ノブアキなわけで。それが『THE WORST』までの10年でいろいろな変化があった結果、志尊くんは晴れて鳳仙の頭になった(拍手)。

加藤 まったくその通りだと思います。たぶん『クローズEXPLODE』の時代でも、この鳳仙のメンバーは成立しないんですよ。

藤谷 劇中歌の「Don’t」を歌っているSALUくんも、「RGTO」のMVがめちゃくちゃ『クローズZERO』でしたよね。あの「SALUくんにはがんばってほしい」のパンチラインで有名な。

加藤 まさにSALUくんは頑張った結果、今に至ったわけですからね。全部つながっている。

藤谷 ハイロー本編も含めて、『クローズZERO』の二次創作をやってきた人たちが集っているわけですよ。

加藤 アクション関係でいっても、海外の映画関係者が『クローズZERO』を観て影響を受けてアクションが発展した部分があって、そこで修行して日本に帰ってきた人たちが『THE WORST』に参加してたりするわけですから。国内外の『クローズ』的なものが全部集まって元の作品と合体する、本当に不思議な構図の映画です。

藤谷 SALUくんの話が出たので音楽の話をしておくと、やっぱりLDHらしく今回もかっこいいですよね。映画のオープニングでEXILE THE SECONDの「TOP DOWN」がかかった瞬間、楽曲面でも『クローズZERO』に負けるつもりはないという意志を感じました。

加藤 あの曲、最初にギターがジャーンと鳴るじゃないですか。そのあとにダンダカダンダカ……って始まっていく。あの「ジャーン」がすごくTHE STREET BEATS(『クローズZERO』シリーズ主題歌担当)っぽいんですよね。

藤谷 そうそう、目配せを感じました。

加藤 ロックの文脈をリスペクトしつつ、ちゃんとセカンドの曲として出してくるのがすごくいいですよね。

編集部 芸能史オタクとしては、今の日本の芸能界の男の子の勢力図の中で強大な力を持っているのは、「ジャニーズ帝国」「LDH国」「小栗旬国」だと思うんです。ハイローの何がすごかったかって、役3年ほど前までは弱小だったLDH国が、その2国を打ち負かすようなものをつくった! っていう高揚感があった。でも今作は、小栗国の耕した畑があってのものという感じが少しあって、そこをどう判断していいのか、まだ迷っている部分があります。今作を小栗国王がどう思ってるのか。

藤谷 『今日から俺は!』で、滝谷源治の髪型をした床屋役でカメオ出演するというギャグをやっていたので……何も気にしてないのでは……。

加藤 ハリウッドで『ゴジラVSキングコング』に出るから、それどころじゃないですよ。学校で頂点極めてる場合じゃない、地球の生態系がかかってますから。

編集部 たしかに、小栗国王は今やハリウッドに向かっているからもう『クローズ』はやらないし、そういう意味では今はLDHにしかできないことではありますね。

藤谷 今回この対談の前に『クローズZERO』シリーズを見返したんですけど、ちょっと説教臭いんですよね。もちろん、ハイローも説教臭さはあるんですけど、それとは違う。これは山本又一朗(『クローズZERO』シリーズプロデュース/トライストーン・エンタテイメント代表取締役)とHIROさんの説教臭さの違いなんだろうな、と。特に豊田利晃監督の『EXPLODE』は、三池監督の持つコミカルさ、ポップさがなくなってストレートに説教が出てきてる。

加藤 むしろ『EXPLODE』は、三池崇史さんが描いたヤンキーのファンタジー性を解体しようってアプローチの映画ですからね。

藤谷 『クローズZERO』以降邦画で流行ったヤンキーファンタジーに対するカウンターとして『EXPLODE』を打ち出したかったんでしょうけど、単に説教臭くなっちゃってる。

加藤 思うに、『EXPLODE』と『THE WORST』は、扱っているテーマはたぶん一緒なんですよ。青春は永久に続くものじゃないとか、本当に貧困に陥ってしまった人が半グレ的な存在になってしまうし、そういう連中の暴力は学生のケンカとは異なるとか。ハイロー自体も、言ってみれば説教臭い話ではあるんですよ。でもHIROさんはやっぱり根底にラブドリームハピネスがあるエンターテイナーだから「よし、コンテナ街に1000人集めて殴り合わせよう」「よし、団地攻めよう」って方向にいく。

藤谷 たしかに今作も、要所要所で生々しいところはありますよね。「貧困と半グレ」みたいなテーマだったり。

加藤 そうなんですよね。ものすごいアクションに覆われているから気づかないだけで、結構生々しい話をしている。

藤谷 NHKスペシャルで半グレ特集があったじゃないですか(2019年7月27日放送『半グレ 反社会勢力の実像』)。番組内で半グレのリーダーが「俺達はグレてるわけじゃない」「まっすぐ育った結果こうなった」みたいなことを言ってて、ほぼほぼ『クローズ』じゃん、って思ったんですよ。ある種そういう、ダメな意味での男らしさを補強するものになってしまっている側面も『クローズ』にはあった。

加藤 「真似すると危ない」という、ヤンキーものやヤクザ映画にずっとつきまとっているテーマですよね。「フィクションなんだから真似するやつなんかいない」って言う人もいますけど、肯定的な面でいえば、『スラムダンク』を観てバスケを始める人はいっぱいいる。それと同じように、ヤンキーマンガを読んでヤンキーっぽくなる人もいますよ。僕の周りの何人の少年たちが『クローズ』を読んでからウォレットチェーンをつけ始めたことか。そういう側面に対して、ハイローはかなり配慮しているんだろうなとは思います。

藤谷 それでいうと今作ですごいと思ったのが、この20年くらいくすぶっていた「ヤンキーが大人になる」問題をちゃんと描いたことです。ヤンキーものにおいて大人になるというとヤクザになるか堅実に生きるかで、後者の生き方も作品内で提示してはいるものの、説得力が薄かったんですよ。その後、『闇金ウシジマくん』あたりが大ヒットした影響からリアルアウトロー路線が主軸になっていって、2000年代後半からは『ギャングース』など半グレを扱うものが増えていった。景気が悪くなっているせいもあって、そういう路線がリアリティを持っていたと思うんですね。そんな中にあって、ちゃんと働いてお金を貯める姿を見せて「子どもは夢を見るだけで終わるけど、大人は夢を叶えることができるんだ」って語るのは、綺麗事ではあるけれど、この作品の中では説得力を持って響いたと思う。

加藤 その言葉を言うのが小沢仁志というのも非常に説得力がありますよね。小沢仁志に言われちゃかなわない。フィリピンに行って映画を撮ったり、銃を撃ちまくったりしている大人ですからね、小沢仁志さんは。

編集部 「大人になる」と言えば、唯一の原作キャラとして大人になったパルコ(塚本高史)が登場しましたね。あれは原作ファンとしてはどうなんですか?

藤谷 主人公と絡んでもいないし、単に登場人物とすれ違ったこの街の人として存在している距離感で、よかったと思います。

加藤 僕も肯定的ですね。原作のパルコのポーズもやってくれて、「パルコは元気でやってるんだな」とわかるところも含めてよかったです。

藤谷 『その後のクローズ』的なことですよね。

編集部 ちなみに、おふたりのお気に入りのキャラクターは?

藤谷 サバカンはすごい。高橋ヒロシのキャラクターとして100点満点。「君、原作にいたでしょ?」っていう見た目じゃないですか? 前髪パッツンとか、眉毛の形とか。

加藤 鼻とおでこがつながってる感じもそうですね。

藤谷 完全に“原作通り”のキャラクターですよ。原作にいませんけど。

加藤 僕は泰志ですね。出番は少ないけど、その全部でキャラが立ってる。「ケンカ買いに来たぜ~」の言い方とか、轟のことを楓士雄が「ドロッキー」って言ったときに後ろでプッて笑ってるところとか。ああいうのがイイですよね。楓士雄のキャラ立てにも貢献していたと思います。あんなふうに笑わされちゃったら、なかなか殴り合いはできないじゃないですか。そういう紙一重のニュアンスを表現ができているのがすごいです。

藤谷 反射神経がいいんでしょうね。佐藤流司さんは2.5次元で活躍していて『ミュージカル刀剣乱舞』では加州清光だったり、中性的でかわいい役も多いんですけど、その彼に戦闘狂みたいな役をやらせるという采配もいいですよね。私が好きなのはまどかちゃんです。不良マンガの文脈において、なかなかいないキャラクターだな、って。ブスブス言われていじられるキャラでも、おかんキャラでもない。まどかちゃんは6人の中で紅一点でも対等なんですよね。それは不良マンガ・映画では相当珍しいし、すごく新しいと感じます。高橋先生もインスタで「冨田さんはすごい」と書いていたり、LINEスタンプでもまどかちゃんはイラストも2個ありますし、先生も気に入ってる気がします。

加藤 演じている富田さんの力によるところも、かなりありますよね。僕もやっぱり、変な容姿いじりは嫌なんですよ。『THE WORST』にも若干それはあるけど、陰険な感じに見せないようにリアクションしてみせているのが効いている。

藤谷 幼馴染キャスト全員で、そういうふうにはならないようにしてますよね。

加藤 そこはかなり意識してつくっている感じがしましたね。

藤谷 そして圧倒的な小田島有剣ブームですよ。『クローズZERO』の漆原凌(綾野剛)もそうでしたけど、鳳仙を実写化するととんでもない化け物が一体生まれるんだな、と。「殺しの軍団」というだけあって、オタクの女を殺す化け物が……。

加藤 原作でも鳳仙はどちらかというと美形のイメージですよね。キングジョーもいますが、美藤兄弟とか、いわゆるボウズでゴツいという感じではなくて、線が細くてかっこよくて強い。

藤谷 ボウズの中に君臨する美男子というギャップ萌えを高橋先生も意識してますよね。

加藤 そしてグレーの学ランという非日常感。

編集部 演じている塩野瑛久さんの絶妙なナルシスト感がうまくハマっていましたね。あの振る舞いが自分に似合うと思ってやりきれることがすごい。

加藤 僕じゃ狂っても真似できないです。

藤谷 『クローズZERO』に出ていた人たちって、そのあと妙に男らしくなっていったじゃないですか。小栗旬もそうだし、桐谷健太も山田孝之も、男らしさを出す役が増えた。世代的に、今の30代半ば以上の人たちって「イケメン」と呼ばれることに抵抗があるけど、その下の世代はそこに屈託がないんですよね。イケメンという概念が当たり前にある世代だから。

加藤 自分のことを客観的に見ることができるのは俳優の大事な能力ですから、「この役は俺に似合う」「これくらいやっても俺はかっこいい」とわかっているのは優れた俳優である証ですよね。僕がなんの立場で言ってるのかわかりませんが……。

編集部 それがわかっている、セルフプロデュース力がある人たちが集まるのがハイローですしね。

藤谷 爪痕を残すことに長けてる人が勝つ場所です。

加藤 出てる人たちみんなが、なんらかの形で爪痕を残そうという意識が感じられましたね。定時の3人+轟という先人たちが同じようにがんばった結果、この映画があるわけですし。

編集部 そう考えると、良い卒業式でしたね。寂しい気持ちはありますが、こうして入れ替わっていくのもハイローらしいのかな、と。

藤谷 「変わっていくことと仲間を失うことは全然違う」って龍也さんも言ってましたから。

編集部 世代交代させながら、同時にひとつの作品としてまとめ上げていて、ザムの頃と比べて洗練を感じます。

藤谷 過去の作品を観てなくても『THE WORST』から観られるので、人に勧めやすいですね。

加藤 ドラマ版を観てなくてもいけるというか、むしろドラマを観ていたほうが混乱する部分があるかもしれません。

藤谷 司くん問題ですね。最初に映画版を観たとき、「司くんをないがしろにしないで!」と、司のモンペになるか思いました。でもその後5回くらい映画を観て、「これはもう仕方ないな」と。ドラマ版で司と楓士雄の2人の物語は完結してるので、映画では楓士雄のスタンドになるのは致し方ない。団地戦でジャム男を助けてるから偉い。

加藤 でも、ドラマの最終話のタイマンはすごくよかったです。司くんの格が上がりましたもん。

編集部 あれで眠れる獅子が目覚めたのに、映画ではまた眠ってしまった感じが……。

加藤 2人は今後に期待ですよね。単純に、2人とも長編映画への出演がまだ2本目ですし、ハイローじゃなくてもいいのでこれからの活躍を応援したいです。続編があるとしたら、鳳仙側にLDHの人がいるのもアリだと思うんですよ。ハイローを通して毎回LDHさんは学んでいっている感じがあるので、次に期待できるのは大きいです。

藤谷 まどかちゃんの表現も、ヤマトがナオミにブスブス言ってたドラマ版から成長が見られるし、PDCAを着実に回している感じはしますね。だからぜひ今後は女の子をエンパワメントするような作品も作ってほしいです。海外進出をするなら、そこは避けて通れない道ですよ。チャリ盗んだりパンツ盗んだりするのはそろそろやめないといけない。

編集部 撮り方の部分での話だと思いますが、今作を撮るにあたって久保監督が『バトル・オブ・ザ・セクシーズ』を参考にしたと話していたので(「日本映画navi」vol.82)、期待はできますよね。

加藤 インタビューで言っていましたね。あれはまさにジェンダーを取り扱った映画なので、そういうものを観ていくうちに感覚でわかっていくと思うんですよ。ハイローは特に現場の意見でバンバン変わっていく作品なので、もし上から「なんじゃこりゃ?」っていうネタが降りてきても、現場で「これはないわ」と変えるようなことが起きうるのではないか。そうやって改善されていくんじゃないかと思います。これも何目線だって話ですけど……。

編集部 久保監督がハイロー以外の作品を撮るのも観てみたいです。それこそ女の子をメインにしたアクションものとか。

藤谷 強くてかっこいい女の子を活躍させたいという気持ちはLDHにもあるでしょうからね。

加藤 僕が勝手に思ってるのは、それをできる場所があるとしたら、ハイローでいうとルードボーイズだけだな、と。女の子にアクションをさせるとしたらルードしかない。久保監督はルードのスピンオフを撮りたいと言ってましたよね【URLリンク:https://realsound.jp/movie/2019/10/post-424662.html】。ぜひ日本全国の動ける女性陣を集めて撮ってほしい。なかなか活躍する場所がなくて、動ける女性がくすぶってる現象はあるんですよ。

編集部 そうなったら、トップは水野美紀ですね。

加藤 水野美紀がラスボスで、そこにLDHや武田梨奈とか、女性たちが全員で立ち向かっていく。香港映画のラストバトルみたいに1対多数で水野美紀が鬼のような動きで全員さばいていくのを観たい。みんなで一生懸命倒して「やったー!」ってなったあと、エンドロールでサノスみたいに志穂美悦子が出てくる。これができるのは今LDHしかいないですよ! ぜひ久保監督に撮ってほしい。

藤谷 こんなに想像力を越えたことをやってくれるんだ、更新してくれるんだっていうのは本当にハイローの魅力ですからね。

編集部 そのためには、ハイローがもっとヒットしてほしいですね。現時点で『THE WORST』の興行収入は7億円だそうです。

加藤 もっと伸びていいはずの作品ですよ。僕としては、一刻も早く国外に売り出してほしいです。絶対売れると思う。『クローズZERO』がヒットした土壌があるから、最悪海外タイトルは『クローズZERO 3』にしてもいい。日本でもスティーブン・セガールの主演作は全部タイトルに「沈黙」をつけてますし、そういうやり方は別にあることですからね。あとは全国の高校生に割引券を配るとか。

藤谷 『クローズZERO』は中国語圏では『熱血高校』というタイトルで愛されています。たしか『RED RAIN』は『熱血街』でしたよね。そうやってしれっとタイトルをかぶせていって……。

加藤 海外の人が観たら疑問に思う部分はところどころあるでしょうけど、アクションがとにかくすごいので、絶対人気が出ると思うんですよね。あとはオープニングにTHE STREET BEATSのライブシーンを追加撮影で入れて『クローズZERO』感を出せば……。『ザ・レイド』だって、リンキン・パークのマイク・シノダさんが音楽を差し替えてアメリカでヒットしたので。そういうローカライズを行うのはひとつの手ですよ。

藤谷 もしくは中華圏で爆発的人気の片寄くんをポスターに入れる。

加藤 それは詐欺だからダメです! 

藤谷 せめてNetflixに入ってほしいですね。huluへの恩義もあるかもしれませんが、Netflixより影響力が弱いのでは。世界中のアクションファン、学ランの男の子たちが戦う作品ファンに観てほしい。

加藤 誰か大いなる力を持った人が、アメリカで布教を……。

藤谷 それこそ小栗旬では?

加藤 そうか。『ゴジラVSキングコング』の現場で「俺が出た映画の続編なんだ」と観せて回れば解決ですね。

編集部 冗談抜きで、海外とのコラボはやってほしいですね。いま韓国のSMエンタテインメントがマーベルと正式にコラボしてるんですよ。SUPER Mというユニットをデビューさせるにあたって「K-POP界のアベンジャーズ」という触れ込みだったんですけど、それが本当に手を組んだ。

加藤 じゃあLDHはDCと組みましょう。『アクアマン』は音楽の使い方とかがLDHぽかったし、ジェームズ・ワンを呼んでくれば解決です。『ワイルド・スピード SKY MISSION』を撮った人でもあるので、ノリは合うはず。

編集部 そうなると、国内で壁を作ってる場合じゃない。ジャニーズも体制が変わりましたし、今後は期待してもいいんじゃないかと勝手に思ってます。滝沢(秀明)さんはLDHの手法に影響を受けているという報道もありましたよ!【参照記事】

藤谷 いよいよ休戦協定を……そもそも戦っていたのか?

加藤 我々の悲願である岡田准一さんのハイロー出演の日が……。

藤谷 俺たち……待ってますから……(『ファブル』を思い出しながら)。

編集部 以前から我々は「岡田さんにハイローに出てほしい」と言い続けてますからね。それが実現したら、我々のこの企画も最終回ですね。

加藤 俺たちは毎回最終回という気持ちで臨んでるんですが、ハイローが新しいものを出してくるので……。でも、映画秘宝のムック(『映画を進化させる職人たち 日本アクション新時代』(洋泉社))によれば、すでに現場レベルで岡田さんとハイローの接触はあったと聞きますし。可能性はありますよ!

編集部 『ザム』の頃、アクション監督の大内貴仁さんがRUDE BOYSと空き瓶のあの場面の動画コンテを撮っていたら、撮影所でばったり岡田さんと会って、とりあえず瓶を一発投げてもらったという珠玉のエピソードがあるんですよね。大内さんと岡田さんは『SP』シリーズからの旧知の仲だし、本当になくはないのかも……。

藤谷 この対談、もう3年くらいやってますからね。全日だったら卒業してますよ。いつか爆破セレモニーをして終わりましょう。

加藤 サイゾー爆破セレモニーを!?

『HiGH&LOW THE WORST』

監督:久保茂昭/脚本:高橋ヒロシ、平沼紀久、ほか/出演;川村壱馬、吉野北人、山田裕貴 ほかの

2015年のテレビドラマから始まった『HiGH&LOW』シリーズ、その劇場版第6弾。全国から札付きの悪が集まるという鬼邪高校内で起こる派閥争い、さらには鳳仙学園との熾烈なケンカを描いた青春群像アクション。人気マンガ『クローズ』シリーズとのコラボとして、脚本にはマンガ家・高橋ヒロシも参加している。

加藤よしき

ライター。1986年生まれ。「Real sound」などで執筆。『別冊映画秘宝 90年代狂い咲きVシネマ地獄』(洋泉社)に寄稿。

ブログ:http://blog.livedoor.jp/heretostay/

twitterID:@daitotetsugen

 

藤谷千明

ヴィジュアル系とヤンキーマンガとギャル雑誌が好きなフリーライター。1981年生まれ。執筆媒体「サイゾー」「Real sound」「ウレぴあ」ほか。共著に『すべての道はV系へ通ず。』(シンコーミュージック)がある。

twitterID:@fjtn_c

EXILE×高橋ヒロシのキメラ映画が爆誕!『HiGH&LOW THE WORST』に見るヤンキーマンガの到達点(前編)

 現在公開中の『HiGH&LOW THE WORST』について、ヤンキーマンガや映画を長年見続けてきたライター・藤谷千明氏と、アクション映画やバイオレス映画に造詣の深いライター・加藤ヨシキ氏が4度目の集結を果たし、放談を繰り広げる。(以下、映画『HiGH&LOW THE WORST』のネタバレを含みます)

編集部 前作『FINAL MISSION』公開時の座談会の際、「これが最後の祭だ!」なんて宣しましたが、新作公開ということで再びお集まりいただきました。

藤谷 あれからもう2年……。

加藤 お久しぶりですね。

編集部 ハイローが終わらない限り、この座談会も終わりません。ということで、もうかなりレビューや批評が世に出ているので、ここではネタバレ全開の無礼講でいきたいと思います。特に、原作の『クローズ』をはじめヤンキーものの系譜に詳しいおふたりなので、その点から今作を語っていければ。

藤谷 ハイローと高橋ヒロシ作品とのコラボって、よく考えたらすごいことですよ。初めて鬼邪高校を見たとき、「なんだこのクローズの二次創作は」って思いませんでした? 私は思った。

加藤 そりゃ思いましたよ。

藤谷 LDHと高橋ヒロシ先生はかなり前から交流があったし、高橋先生のマンガを愛好しているメンバーも多いんですよ。昔、「月刊EXILE」でマンガ特集があって、メンバーの好きなマンガをあげるページで、HIROさんを筆頭にみんな『クローズ』や『WORST』を紹介していました。だからEXILE的な男らしさと高橋ヒロシ作品の男らしさってわりと共通点は多いというか、むしろHIROさんの思う“男らしさ”のルーツの中に高橋ヒロシ先生の作品がある。

加藤 『エグザムライ戦国』も高橋ヒロシ先生がキャラクター原案でしたよね。

藤谷 でもそれにしても鬼邪高は、当初「あんな無邪気な二次創作をやっていいのか」という驚きがありました。それが本当に本家とコラボするとは。こんなこと、前例がないのでは。

加藤 そうですね。まさかこのコラボを本当にやるとは思わなかったですよ。ハリウッドでいうと、『トワイライト』の同人小説を、キャラを少し変えて映画にまでしてしまった『フィフティ・シェイズ』というアクロバティックなシリーズがあります。そんなことって日本ではあんまり起きないですよね。怒られることはあっても実現はしない。そこの驚きがまずありました。

藤谷 さすがラブ、ドリーム、ハピネス。しかもそれがめちゃめちゃおもしろい映画になっているという奇跡ですよ。

加藤 そう、僕がすごくびっくりしたのは「成功している」ってところです。『THE WORST』には、『ハイロー』にしかないものもあるし『クローズ』にしかないものもあって、それぞれがうまいこと混ざって補い合っている。たとえば、轟や小田島みたいなキャラクターは高橋先生のマンガには絶対出てこない。これはハイロー側の持ち味です。対して、物語中で描かれる絆であったり主人公の楓士雄のキャラだったりは高橋ヒロシ先生の要素。特に、最後のタイマンで楓士雄が佐智雄に負けちゃうところはすごく高橋ヒロシ感があるな、と思います。「主人公が負ける」って、ハイローからはあんまり出てこない発想だと思うんですよ。ハイローの世界で高橋ヒロシ先生的な主人公が高橋ヒロシ先生的に負けて、そこにハイロー的なキャラである轟が手を差し伸べて2人で立ち上がる。コラボとして象徴的で完璧なシーンだと思いました。

編集部 『ザム』のときに行なった最初のこの対談でも、「決着がつかない」問題は話しましたね。

藤谷 「LDH同士だと決着がつかないバトルが多い」という話ですね(キリンジは負けていますが……)。今回も相手は志尊淳君ですが、LDHの次世代を担うTHE RAMPAGEのボーカルが負けるところを描くっていう意味でも面白さがある。

加藤 あそこで負けて、楓士雄のキャラが立ったと思いました。

藤谷 あれがないと、単に「ひとたらしでケンカが強い人」に留まりますからね。楓士雄のキャラクターは、『クローズ』の主人公の坊屋春道、『WORST』の主人公・月島花がベースにあるんだろうなと思います。特に月島花の影響は大きそう。楓士雄は轟を「ドロッキー」って呼んだり、上田佐智雄を「サッチー」と呼んだりと、変なあだ名をつけたりするじゃないですか。そういうところも月島花を思い起こさせます。それと、みんながピリピリしている場所でも口をムニッとさせて「ん?」みたいな表情でほわーんとしているところは、月島花っぽい。川村壱馬くんが完全に月島花をインストールしている。

加藤 立ち姿やビジュアルは映画『クローズZERO』の滝谷源治で、中身が月島花なんですよね。

藤谷 高橋ヒロシ作品のキメラだからこそ、人間味がなさすぎるというのはあるかなと思いました。「誰からも好かれる」というキャラクターとして描かれるものの、好かれる理由はドラマでも映画でもそこまで書き込まれていない。単に「めちゃめちゃいいやつ」ということしか触れられていない。村山ちゃんが轟に「あいつはお前にないものを持ってるかもしれないぜ」って言っていたけど、その“持っているもの”の背景はそんなに見えてこないんですよ。

加藤 そこは僕も問題に感じました。鬼邪高校の面々が楓士雄を祭り上げてリーダーに据えて納得している理由は「昔からの知り合いだから」に集約されてしまう。つまり「顔が広いから」になっちゃうんですよ。「顔が広いからリーダーです、轟はそれに及びません」っていう扱いをされると、顔が広けりゃ最高の男なのか? って話になるじゃないですか。じゃあカラテカ入江が最高の男なのか? って話になっちゃうじゃないですか。でも、さっきも言った通り、最後の最後で負けることで、彼の魅力が出たと思います。あそこで負けたことで「この子はこうやって負けたことを素直に受け止められる子なんだ。だからこれから先、鬼邪高校の人と殴り合って本当の意味での頭になっていくのかな……続編に期待!」みたいになる。ただ、この1本だけだと、まだ鬼邪高校の頭と言っていいのかどうなのかとは思いますね。

藤谷 それって原作の『WORST』の問題でもあるんですよね。月島花の主人公補正はすごいですから。周囲の人たちが「あいつは鈴蘭を背負う男だ」って言うから、すごい人なんだな、って読者が思う。それは当時の高橋先生のモチベーションの問題でもあると思うんですけど……。『クローズ』である程度、男の子の青春を描ききったわけじゃないですか。そのあとに『QP』で「青春が終わった後はどうする?」というのを描いた。ちゃんと手に職をつけて大人になろうとする石田小鳥と、ずっと子どもでいたいからヤクザの世界に入っていく我妻涼、という対比があった。『WORST』も一応、鈴蘭にいてもロクな未来がないから鈴蘭という場所を変えなきゃいけない、変えてくれるのが花かもしれない……みたいなテーマがあったんですけど、そこをちゃんと描ききらないまま33巻までいってしまった。とにかくキャラクターが多くて、良くも悪くもそれを見て楽しむものになっちゃったんですよね。

加藤 どんどんいろんな組織が出てきて登場人物が増えて、「なんかすげぇな」って人は出てくるけど、じゃあ話が進んでるかというと実はそうでもない……という問題はありました。

藤谷 連載中に映画『クローズZERO』がヒットして、さらに人気が出たからシリーズは続けないといけなくて、そして異様にスピンオフが増える……という。

加藤 本当に異様に増えましたね。ちょっと話が逸れるんですが、今「週刊少年チャンピオン」で連載中の『WORST外伝 グリコ』は若干ハイローの影響を受けてるんじゃないかっていうくらい話がぶっとんでいて面白いです。福岡を舞台に花木九里虎の中学時代を描いてるんですけど、本当にすごくて、要塞みたいな学校が出てくるんですよ。

藤谷 完全にハイローだ。

加藤 口が裂けてるヤツなんかも出てきます。しかもヤンデレで、自分の憧れの先輩が九里虎に夢中だから「あの九里虎っていうヤツを消してやろう」って考える。それまで普通に博多弁でしゃべってたのが、そこだけ「九里虎くん、君を消さないとね」みたいになる。そういう過剰さは、ハイローと接近したことによる良い作用なのかなと思いました。

藤谷 『WORST』の中でも『クローズZERO』の芹沢多摩雄や滝谷源治の存在に言及したりしてますからね。コラボやスピンオフに対する高橋先生のそういう寛大さが『THE WORST』を生んだのかもしれません。

加藤 普通このコラボは許さないですよね。だって手塚治虫のところにディズニーが『ライオンキング』持ってきて「すみません、これと『ジャングル大帝』をコラボさせてください!」って言ったらキレるじゃないですか、多分。手塚先生も帽子を叩きつけますよ。ベレー帽パーン! ってすると思う。

編集部 劇場特典の冊子「WORST 816」の高橋先生へのインタビューによると、「鬼邪高校の設定に違和感があり、そんな世界に鳳仙を出すわけにはいかないと思っていた。でもHIROさんが『鬼邪高を叩きのめしてください』と言ったので燃えた」ということらしいです。

藤谷 でもそれは『クローズZERO』のときもそんな感じだったから……「実写化は絶対にしないと考えていたが、旧知のやべきょうすけさんの真摯な説得により実現」みたいなこと言ってたから……。今回はハイロー脚本陣が高橋先生の作業場に出向いて、一緒に泊まり込みで脚本をつくったそうですし、体育会的なコミュニケーションが行われたに違いない(断言)。

編集部 プロジェクトが発表される前から高橋さんのインスタにTHE RAMPAGEの子たちがよく登場してました。

加藤 おそらく何度も飲みを重ねて、腹を割って話せるようになったところでいい感じにまとまったんでしょうね。

藤谷 LDH側はみなさん『クローズ』大好きでインストールされてるでしょうし。『THE WORST』に関してオロチ兄弟の2人(小森隼・中務裕太)にインタビューしたんですけど、「GENERATIONSのメンバー同士で『WORST』を共有で買って読んでいた」というめっちゃいい話がありました。「俺の『WORST』、今どこにあるんだっけ?」「龍友の家じゃない?」みたいな感じで。中学生感! 小森くんは特に好きらしくて、好きなキャラクターを聞いたら「ゼットンとブルで悩みますね……」と真剣に考えてました。(アプリ「ぴあ」10月7日掲載「『HiGH&LOW THE WORST』小森隼・中務裕太「大人が存在しない“青春”の世界を楽しんでほしい」)

編集部 俳優枠じゃない小森さんと中務さんの2人がすごく良かったのは、LDHオタク的には収穫でした。ほかの人より体格が良いところも、『クローズ』世界の住人という感じがしてよかったです。

藤谷 「もっとEXILEになったほうがいい」じゃないですけど【https://www.premiumcyzo.com/modules/member/2017/09/post_7810/】、「もっと『クローズ』になったほうがいい」ということで日サロに通ったり体重を増やしたりしたみたいですね。それと、久保(茂明)監督ももちろん高橋ヒロシ作品が大好きじゃないですか。高橋先生の絵は集団の佇まいが美しいから、すごく参考にしているという話をインタビューでされていて。実際、映画の随所に制作陣のこだわりがあふれてますよね。鈴蘭高校の壁の落書きや、『クローズZERO』に出てくるGPSのステッカーだとか。

加藤 原作の雰囲気の再現度はめちゃくちゃ高い。下手したら『クローズZERO』よりも高いかもしれません。あれも再現度は高かったですが、同時に三池崇史さんという偉大な監督の作品という文脈があるので。『THE WORST』は、たとえば『クローズ』のトリビュートに『浦安鉄筋家族』の浜岡賢次先生が寄稿した作品の中で、『浦安』のキャラクターたちが「今からみんなでクローズ歩きしようぜ!」って言って見開きで『クローズ』っぽい歩き方をするコマがあるんですよ。

藤谷 (爆笑)

加藤 そういう「クローズ歩き」「クローズ立ち」も、『THE WORST』は完璧に再現してます。

編集部 久保監督はEXILEのMVで一列に並んでゆっくり歩いてくる「EXILE歩き」をつくった人ですが、「クローズ歩き」はその大元なのかもしれませんね。

藤谷 原作がらみで私がすごくいいと思ったのが、誠司の「きゅうり演説」ですね。あそこで「彼らはグレてるわけでもひねくれているわけでもない」的なことを言うじゃないですか。あれは『クローズ』1巻の坊屋春道のオマージュなんですよ。そして高橋ヒロシ作品におけるポリシーでもある。それを優等生に言わせる書き換えがおもしろい。しかも「真っ直ぐなきゅうりになってみせる」って啖呵を切る。それも間違ってないんだ、っていうのがいいですよね。ヤンキーものにありがちな「優等生のほうが実は悪いヤツ」理論から距離を置いてる。

加藤 そこから脱したのは多様性があっていいですよね。セリフの使い方もいいですし。うまいことサンプリングしたな、と。

藤谷 日テレが『ごくせん』から脱却したな! って思いました。まだ原作を読んでいない人も多いと思うんですけど、『クローズ』『WORST』を読んでから観ると、めっちゃ奥行きが出るはずです。

加藤 そう、奥行きが出るんです! そういえば、僕は『THE WORST』を見終わったときに、これはコラボであると同時にサンプリングだと感じたんです。それで、これに似た形って過去に何かあったかな? と考えたときに、1995年のビルボードアワードを思い出しました。クーリオというラッパーが出した「ギャングスタズ・パラダイス」が受賞したんですが、この曲はスティービー・ワンダーの「パスタイム・パラダイス」をサンプリングしていて、授賞式ではスティービー・ワンダーが登場してバースを歌ったんですよ。この一連の流れと似ているな、と。元ネタの「パスタイム・パラダイス」は哲学的な歌詞なんですが、「ギャングスタズ・パラダイス」は曲名通り、荒れた生活をストレートに歌ってるんです。もとは社会意識の高い歌を、あの過ちは消えない、生まれた場所も誇れない人たちの歌に書き換えるという、サンプリングのおもしろさがある。さらにそこに本人が来て歌うことでより文脈が複雑になる。

藤谷 サンプリングというのはたしかにありますね。

加藤 やっぱりLDHという会社はヒップホップ・マインド、ミュージシャン・マインドみたいなものが強いんだな、と。『THE WORST』にはヒップホップ感がある。ある意味、常識に縛られていたらこんなコラボ企画は動かさないですからね。

藤谷 秋田書店から始まって、各方面に話をつけないといけないですしね。大人の力の見せどころですよ。(後編に続く)

まだまだ続くハイロー放言!後編は明日公開です!

『HiGH&LOW THE WORST』
監督:久保茂昭/脚本:高橋ヒロシ、平沼紀久、ほか/出演;川村壱馬、吉野北人、山田裕貴 ほか

2015年のテレビドラマから始まった『HiGH&LOW』シリーズ、その劇場版第6弾。全国から札付きの悪が集まるという鬼邪高校内で起こる派閥争い、さらには鳳仙学園との熾烈なケンカを描いた青春群像アクション。人気マンガ『クローズ』シリーズとのコラボとして、脚本にはマンガ家・高橋ヒロシも参加している。

加藤よしき
ライター。1986年生まれ。「Real sound」などで執筆。『別冊映画秘宝 90年代狂い咲きVシネマ地獄』(洋泉社)に寄稿。
ブログ:http://blog.livedoor.jp/heretostay/
twitterID:@daitotetsugen

藤谷千明
ヴィジュアル系とヤンキーマンガとギャル雑誌が好きなフリーライター。1981年生まれ。執筆媒体「サイゾー」「Real sound」「ウレぴあ」ほか。共著に『すべての道はV系へ通ず。』(シンコーミュージック)がある。
twitterID:@fjtn_c

EXILE×高橋ヒロシのキメラ映画が爆誕!『HiGH&LOW THE WORST』に見るヤンキーマンガの到達点(前編)

 現在公開中の『HiGH&LOW THE WORST』について、ヤンキーマンガや映画を長年見続けてきたライター・藤谷千明氏と、アクション映画やバイオレス映画に造詣の深いライター・加藤ヨシキ氏が4度目の集結を果たし、放談を繰り広げる。(以下、映画『HiGH&LOW THE WORST』のネタバレを含みます)

編集部 前作『FINAL MISSION』公開時の座談会の際、「これが最後の祭だ!」なんて宣しましたが、新作公開ということで再びお集まりいただきました。

藤谷 あれからもう2年……。

加藤 お久しぶりですね。

編集部 ハイローが終わらない限り、この座談会も終わりません。ということで、もうかなりレビューや批評が世に出ているので、ここではネタバレ全開の無礼講でいきたいと思います。特に、原作の『クローズ』をはじめヤンキーものの系譜に詳しいおふたりなので、その点から今作を語っていければ。

藤谷 ハイローと高橋ヒロシ作品とのコラボって、よく考えたらすごいことですよ。初めて鬼邪高校を見たとき、「なんだこのクローズの二次創作は」って思いませんでした? 私は思った。

加藤 そりゃ思いましたよ。

藤谷 LDHと高橋ヒロシ先生はかなり前から交流があったし、高橋先生のマンガを愛好しているメンバーも多いんですよ。昔、「月刊EXILE」でマンガ特集があって、メンバーの好きなマンガをあげるページで、HIROさんを筆頭にみんな『クローズ』や『WORST』を紹介していました。だからEXILE的な男らしさと高橋ヒロシ作品の男らしさってわりと共通点は多いというか、むしろHIROさんの思う“男らしさ”のルーツの中に高橋ヒロシ先生の作品がある。

加藤 『エグザムライ戦国』も高橋ヒロシ先生がキャラクター原案でしたよね。

藤谷 でもそれにしても鬼邪高は、当初「あんな無邪気な二次創作をやっていいのか」という驚きがありました。それが本当に本家とコラボするとは。こんなこと、前例がないのでは。

加藤 そうですね。まさかこのコラボを本当にやるとは思わなかったですよ。ハリウッドでいうと、『トワイライト』の同人小説を、キャラを少し変えて映画にまでしてしまった『フィフティ・シェイズ』というアクロバティックなシリーズがあります。そんなことって日本ではあんまり起きないですよね。怒られることはあっても実現はしない。そこの驚きがまずありました。

藤谷 さすがラブ、ドリーム、ハピネス。しかもそれがめちゃめちゃおもしろい映画になっているという奇跡ですよ。

加藤 そう、僕がすごくびっくりしたのは「成功している」ってところです。『THE WORST』には、『ハイロー』にしかないものもあるし『クローズ』にしかないものもあって、それぞれがうまいこと混ざって補い合っている。たとえば、轟や小田島みたいなキャラクターは高橋先生のマンガには絶対出てこない。これはハイロー側の持ち味です。対して、物語中で描かれる絆であったり主人公の楓士雄のキャラだったりは高橋ヒロシ先生の要素。特に、最後のタイマンで楓士雄が佐智雄に負けちゃうところはすごく高橋ヒロシ感があるな、と思います。「主人公が負ける」って、ハイローからはあんまり出てこない発想だと思うんですよ。ハイローの世界で高橋ヒロシ先生的な主人公が高橋ヒロシ先生的に負けて、そこにハイロー的なキャラである轟が手を差し伸べて2人で立ち上がる。コラボとして象徴的で完璧なシーンだと思いました。

編集部 『ザム』のときに行なった最初のこの対談でも、「決着がつかない」問題は話しましたね。

藤谷 「LDH同士だと決着がつかないバトルが多い」という話ですね(キリンジは負けていますが……)。今回も相手は志尊淳君ですが、LDHの次世代を担うTHE RAMPAGEのボーカルが負けるところを描くっていう意味でも面白さがある。

加藤 あそこで負けて、楓士雄のキャラが立ったと思いました。

藤谷 あれがないと、単に「ひとたらしでケンカが強い人」に留まりますからね。楓士雄のキャラクターは、『クローズ』の主人公の坊屋春道、『WORST』の主人公・月島花がベースにあるんだろうなと思います。特に月島花の影響は大きそう。楓士雄は轟を「ドロッキー」って呼んだり、上田佐智雄を「サッチー」と呼んだりと、変なあだ名をつけたりするじゃないですか。そういうところも月島花を思い起こさせます。それと、みんながピリピリしている場所でも口をムニッとさせて「ん?」みたいな表情でほわーんとしているところは、月島花っぽい。川村壱馬くんが完全に月島花をインストールしている。

加藤 立ち姿やビジュアルは映画『クローズZERO』の滝谷源治で、中身が月島花なんですよね。

藤谷 高橋ヒロシ作品のキメラだからこそ、人間味がなさすぎるというのはあるかなと思いました。「誰からも好かれる」というキャラクターとして描かれるものの、好かれる理由はドラマでも映画でもそこまで書き込まれていない。単に「めちゃめちゃいいやつ」ということしか触れられていない。村山ちゃんが轟に「あいつはお前にないものを持ってるかもしれないぜ」って言っていたけど、その“持っているもの”の背景はそんなに見えてこないんですよ。

加藤 そこは僕も問題に感じました。鬼邪高校の面々が楓士雄を祭り上げてリーダーに据えて納得している理由は「昔からの知り合いだから」に集約されてしまう。つまり「顔が広いから」になっちゃうんですよ。「顔が広いからリーダーです、轟はそれに及びません」っていう扱いをされると、顔が広けりゃ最高の男なのか? って話になるじゃないですか。じゃあカラテカ入江が最高の男なのか? って話になっちゃうじゃないですか。でも、さっきも言った通り、最後の最後で負けることで、彼の魅力が出たと思います。あそこで負けたことで「この子はこうやって負けたことを素直に受け止められる子なんだ。だからこれから先、鬼邪高校の人と殴り合って本当の意味での頭になっていくのかな……続編に期待!」みたいになる。ただ、この1本だけだと、まだ鬼邪高校の頭と言っていいのかどうなのかとは思いますね。

藤谷 それって原作の『WORST』の問題でもあるんですよね。月島花の主人公補正はすごいですから。周囲の人たちが「あいつは鈴蘭を背負う男だ」って言うから、すごい人なんだな、って読者が思う。それは当時の高橋先生のモチベーションの問題でもあると思うんですけど……。『クローズ』である程度、男の子の青春を描ききったわけじゃないですか。そのあとに『QP』で「青春が終わった後はどうする?」というのを描いた。ちゃんと手に職をつけて大人になろうとする石田小鳥と、ずっと子どもでいたいからヤクザの世界に入っていく我妻涼、という対比があった。『WORST』も一応、鈴蘭にいてもロクな未来がないから鈴蘭という場所を変えなきゃいけない、変えてくれるのが花かもしれない……みたいなテーマがあったんですけど、そこをちゃんと描ききらないまま33巻までいってしまった。とにかくキャラクターが多くて、良くも悪くもそれを見て楽しむものになっちゃったんですよね。

加藤 どんどんいろんな組織が出てきて登場人物が増えて、「なんかすげぇな」って人は出てくるけど、じゃあ話が進んでるかというと実はそうでもない……という問題はありました。

藤谷 連載中に映画『クローズZERO』がヒットして、さらに人気が出たからシリーズは続けないといけなくて、そして異様にスピンオフが増える……という。

加藤 本当に異様に増えましたね。ちょっと話が逸れるんですが、今「週刊少年チャンピオン」で連載中の『WORST外伝 グリコ』は若干ハイローの影響を受けてるんじゃないかっていうくらい話がぶっとんでいて面白いです。福岡を舞台に花木九里虎の中学時代を描いてるんですけど、本当にすごくて、要塞みたいな学校が出てくるんですよ。

藤谷 完全にハイローだ。

加藤 口が裂けてるヤツなんかも出てきます。しかもヤンデレで、自分の憧れの先輩が九里虎に夢中だから「あの九里虎っていうヤツを消してやろう」って考える。それまで普通に博多弁でしゃべってたのが、そこだけ「九里虎くん、君を消さないとね」みたいになる。そういう過剰さは、ハイローと接近したことによる良い作用なのかなと思いました。

藤谷 『WORST』の中でも『クローズZERO』の芹沢多摩雄や滝谷源治の存在に言及したりしてますからね。コラボやスピンオフに対する高橋先生のそういう寛大さが『THE WORST』を生んだのかもしれません。

加藤 普通このコラボは許さないですよね。だって手塚治虫のところにディズニーが『ライオンキング』持ってきて「すみません、これと『ジャングル大帝』をコラボさせてください!」って言ったらキレるじゃないですか、多分。手塚先生も帽子を叩きつけますよ。ベレー帽パーン! ってすると思う。

編集部 劇場特典の冊子「WORST 816」の高橋先生へのインタビューによると、「鬼邪高校の設定に違和感があり、そんな世界に鳳仙を出すわけにはいかないと思っていた。でもHIROさんが『鬼邪高を叩きのめしてください』と言ったので燃えた」ということらしいです。

藤谷 でもそれは『クローズZERO』のときもそんな感じだったから……「実写化は絶対にしないと考えていたが、旧知のやべきょうすけさんの真摯な説得により実現」みたいなこと言ってたから……。今回はハイロー脚本陣が高橋先生の作業場に出向いて、一緒に泊まり込みで脚本をつくったそうですし、体育会的なコミュニケーションが行われたに違いない(断言)。

編集部 プロジェクトが発表される前から高橋さんのインスタにTHE RAMPAGEの子たちがよく登場してました。

加藤 おそらく何度も飲みを重ねて、腹を割って話せるようになったところでいい感じにまとまったんでしょうね。

藤谷 LDH側はみなさん『クローズ』大好きでインストールされてるでしょうし。『THE WORST』に関してオロチ兄弟の2人(小森隼・中務裕太)にインタビューしたんですけど、「GENERATIONSのメンバー同士で『WORST』を共有で買って読んでいた」というめっちゃいい話がありました。「俺の『WORST』、今どこにあるんだっけ?」「龍友の家じゃない?」みたいな感じで。中学生感! 小森くんは特に好きらしくて、好きなキャラクターを聞いたら「ゼットンとブルで悩みますね……」と真剣に考えてました。(アプリ「ぴあ」10月7日掲載「『HiGH&LOW THE WORST』小森隼・中務裕太「大人が存在しない“青春”の世界を楽しんでほしい」)

編集部 俳優枠じゃない小森さんと中務さんの2人がすごく良かったのは、LDHオタク的には収穫でした。ほかの人より体格が良いところも、『クローズ』世界の住人という感じがしてよかったです。

藤谷 「もっとEXILEになったほうがいい」じゃないですけど【https://www.premiumcyzo.com/modules/member/2017/09/post_7810/】、「もっと『クローズ』になったほうがいい」ということで日サロに通ったり体重を増やしたりしたみたいですね。それと、久保(茂明)監督ももちろん高橋ヒロシ作品が大好きじゃないですか。高橋先生の絵は集団の佇まいが美しいから、すごく参考にしているという話をインタビューでされていて。実際、映画の随所に制作陣のこだわりがあふれてますよね。鈴蘭高校の壁の落書きや、『クローズZERO』に出てくるGPSのステッカーだとか。

加藤 原作の雰囲気の再現度はめちゃくちゃ高い。下手したら『クローズZERO』よりも高いかもしれません。あれも再現度は高かったですが、同時に三池崇史さんという偉大な監督の作品という文脈があるので。『THE WORST』は、たとえば『クローズ』のトリビュートに『浦安鉄筋家族』の浜岡賢次先生が寄稿した作品の中で、『浦安』のキャラクターたちが「今からみんなでクローズ歩きしようぜ!」って言って見開きで『クローズ』っぽい歩き方をするコマがあるんですよ。

藤谷 (爆笑)

加藤 そういう「クローズ歩き」「クローズ立ち」も、『THE WORST』は完璧に再現してます。

編集部 久保監督はEXILEのMVで一列に並んでゆっくり歩いてくる「EXILE歩き」をつくった人ですが、「クローズ歩き」はその大元なのかもしれませんね。

藤谷 原作がらみで私がすごくいいと思ったのが、誠司の「きゅうり演説」ですね。あそこで「彼らはグレてるわけでもひねくれているわけでもない」的なことを言うじゃないですか。あれは『クローズ』1巻の坊屋春道のオマージュなんですよ。そして高橋ヒロシ作品におけるポリシーでもある。それを優等生に言わせる書き換えがおもしろい。しかも「真っ直ぐなきゅうりになってみせる」って啖呵を切る。それも間違ってないんだ、っていうのがいいですよね。ヤンキーものにありがちな「優等生のほうが実は悪いヤツ」理論から距離を置いてる。

加藤 そこから脱したのは多様性があっていいですよね。セリフの使い方もいいですし。うまいことサンプリングしたな、と。

藤谷 日テレが『ごくせん』から脱却したな! って思いました。まだ原作を読んでいない人も多いと思うんですけど、『クローズ』『WORST』を読んでから観ると、めっちゃ奥行きが出るはずです。

加藤 そう、奥行きが出るんです! そういえば、僕は『THE WORST』を見終わったときに、これはコラボであると同時にサンプリングだと感じたんです。それで、これに似た形って過去に何かあったかな? と考えたときに、1995年のビルボードアワードを思い出しました。クーリオというラッパーが出した「ギャングスタズ・パラダイス」が受賞したんですが、この曲はスティービー・ワンダーの「パスタイム・パラダイス」をサンプリングしていて、授賞式ではスティービー・ワンダーが登場してバースを歌ったんですよ。この一連の流れと似ているな、と。元ネタの「パスタイム・パラダイス」は哲学的な歌詞なんですが、「ギャングスタズ・パラダイス」は曲名通り、荒れた生活をストレートに歌ってるんです。もとは社会意識の高い歌を、あの過ちは消えない、生まれた場所も誇れない人たちの歌に書き換えるという、サンプリングのおもしろさがある。さらにそこに本人が来て歌うことでより文脈が複雑になる。

藤谷 サンプリングというのはたしかにありますね。

加藤 やっぱりLDHという会社はヒップホップ・マインド、ミュージシャン・マインドみたいなものが強いんだな、と。『THE WORST』にはヒップホップ感がある。ある意味、常識に縛られていたらこんなコラボ企画は動かさないですからね。

藤谷 秋田書店から始まって、各方面に話をつけないといけないですしね。大人の力の見せどころですよ。(後編に続く)

まだまだ続くハイロー放言!後編は明日公開です!

『HiGH&LOW THE WORST』
監督:久保茂昭/脚本:高橋ヒロシ、平沼紀久、ほか/出演;川村壱馬、吉野北人、山田裕貴 ほか

2015年のテレビドラマから始まった『HiGH&LOW』シリーズ、その劇場版第6弾。全国から札付きの悪が集まるという鬼邪高校内で起こる派閥争い、さらには鳳仙学園との熾烈なケンカを描いた青春群像アクション。人気マンガ『クローズ』シリーズとのコラボとして、脚本にはマンガ家・高橋ヒロシも参加している。

加藤よしき
ライター。1986年生まれ。「Real sound」などで執筆。『別冊映画秘宝 90年代狂い咲きVシネマ地獄』(洋泉社)に寄稿。
ブログ:http://blog.livedoor.jp/heretostay/
twitterID:@daitotetsugen

藤谷千明
ヴィジュアル系とヤンキーマンガとギャル雑誌が好きなフリーライター。1981年生まれ。執筆媒体「サイゾー」「Real sound」「ウレぴあ」ほか。共著に『すべての道はV系へ通ず。』(シンコーミュージック)がある。
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『PRINCE OF LEGEND』が提示した“胸キュン”の新時代 女性ファンの心掴む、ジェンダー観とは

 LDHがおくる、新たな“プリンスバトルプロジェクト”としてスタートしたドラマ『PRINCE OF LEGEND』(日本テレビ系)も、5日深夜に最終回を迎えました。来年3月に劇場版の公開が控えている本作品ですが、どのように映画へとつないだのか、あらすじから振り返っていきたいと思います。

(前回までのレビューはこちらから)

■Episode10「王子道大渋滞! そこのけそこのけ王子が通る!」

 聖ブリリアント学園で3年に一度行われる「伝説の王子選手権」。理事長の実相寺(加藤諒)は、伝説の王子を育て、伝説の王子を世界に広めるために、その審美眼を養うべく、努力を重ねてきました。今回で3回となる伝説の王子選手権ですが、有望な王子候補が学園に集まってきたことで、理事長は今大会に大きな可能性を感じているようです。

 そんなときに、王子たちが1人の女子生徒・成瀬果音(白石聖)に夢中になっていることを知り、理事長は果音にある“お願い”をしました。

 王子たちはというと、他の王子たちは果音を好きになっているのに、なぜ自分は彼女を好きにならないのか、自分には王子の資質がないんじゃないかと思い悩み「僕も成瀬果音を好きになりたい!」と教師としてはアウトな発言をした先生王子・結城(町田啓太/劇団EXILE)に、美容師王子・ハル(清原翔)が率いる「Team3B」が選手権への参加を宣言します。

 生徒会は全員参加だという生徒会王子・綾小路(佐野玲於/GENERATIONS from EXILE TRIBE)に対し、「興味がない」と言い切るセレブ王子・奏(片寄涼太/同)。ヤンキー王子の兄・京極尊人(鈴木伸之/劇団EXILE)や弟・竜(川村壱馬/THE RAMPAGE from EXILE TRIBE)の「Team京極兄弟」、ダンス王子レッド・天堂(吉野北人/THE RAMPAGE from EXILE TRIBE)率いる「Teamネクスト」も冷やかし気味に笑っています。すると、そこへ現れた果音、

「私、伝説の王子になった人とお付き合いしようかな」

 と、語尾にハートマークをつけて言います。もちろん、これには裏があり、王子たちを選手権に出場させようとする理事長が、彼女に頼んで言わせたセリフでした。報酬はなんと、1,000万円。「タダより高いものはない」と奏と尊人の父からの援助を断り、バイトを掛け持ちして借金を返してきた彼女は、演技のバイトとして、この条件をのんだわけです。

 その夜、朱雀家では、奏と尊人が父(六角精児)を呼び出し、2人は「金目当てで近づいたと思われたくない」「財産のことが絡むと、(果音を振り向かせるという)目的がブレる」と、“初恋の女性の娘である果音を幸せにしたほうに財産を譲る”という父の提案を断ります。とはいえ、未だに果音への恋心を自覚していない奏。「勝つのは俺だ」と、尊人は対抗心を燃やすのでした。

 翌日、果音が登校すると、何やら生徒たちが大騒ぎ。そこには14人の王子たちが横一列に並び、彼女を待ち構えていました。

「財産はもう関係ない。僕はここから君を奪いに行く。僕がもっと幸せにしてあげる」

尊人「果音。こないだは悪かった。もうお前を傷つけたりしない。大事にする。だから俺が伝説になる!」

「俺は兄貴をサポートする」

綾小路「成瀬香音。名前を覚えた今、君を世界一幸せにしたい」

天堂「俺は果音さんと幸せになりたいです!」

結城「正直、僕は成瀬果音には興味はない。王子推しで行くよ!」

ハル「俺も果音には興味ない。でも、果音を狙っている男は、チェックさせてもらうぞ!兄貴目線でな」

 それぞれが思い思いに告白&意気込みを披露したところで終了。映画へと続きます。

■意外にもちゃんと考えられていた“ジェンダー観”

「すべての女子たちの“シンデレラ願望”を叶える刺激的かつ極上のプロジェクト」のひとつとしてスタートしたこのドラマ。“「伝説の王子」になるべく14人の王子がバトルを繰り広げる”来年3月公開の映画版の前日譚という位置づけだけに、最終回は映画版への“つなぎ”の要素が多く、“王子たちが選手権への参加を決める”というわかりきった展開だったため、これまでの話と比べて退屈に感じてしまったことは否めません。そう感じるのは、これまでがトンチキ展開の連続だったため、すっかり感覚が麻痺してしまったからなのかもしれませんが……。

 なお、個人的な「トンチキシーン」ナンバーワンは、8話での「森のくまさん」輪唱シーンです(記事参照)。

 それはさておき、そんなトンチキ要素が詰まった作品ながら、「男の妄想、押し付けないでください」という果音のセリフだったり、無理やりのキスは「唇を殴られるようなもの」、「イクメン」ではなく「グッドダディ」などという表現を使っているあたり、女性と男性両方に配慮を感じられたし、乙女系作品のわりには、そのあたりのジェンダー観がしっかりしているなあという印象を全話を通して受けました。だからこそ、「プリレジェは信用できる」「ただの胸キュン作品じゃない」と、「“胸キュン”の時代は終わり、“新時代”が幕を開ける――」という狙い通りの反応を視聴者たちから得ることができているのだと思います。

 あと、個人的には各話タイトルがパワーワード連発でとっても愉快だったので、言葉選びのセンスを見習いたいなあと思った次第です。はい。

 

■誠一郎の奏に対する恋心はどこいった!?

 最終回を迎えたということで、改めてキャラクターを整理すると、果音目的で王子選手権にエントリーするのが、以下の4人。

「Team奏」……セレブ王子・奏(メガネ王子・誠一郎、下克上王子・元はサポート?)

「Team京極兄弟」……ヤンキー王子兄・尊人(ヤンキー王子弟・竜はサポート?)

「Team生徒会」……生徒会王子・綾小路(金髪SP王子・ガブリエル笹塚はサポート?)

「Teamネクスト」……ダンス王子レッド・天堂(ダンス王子ゴールド・日浦、ダンス王子ブラック・小田島はサポート?)

 

 純粋に“伝説の王子”を目指しているのが、以下の2人。

「Team先生」……先生王子・結城

「Team3B」……美容師王子・ハル(バーテンダー王子・翔、バンドマン王子・TAICHIはサポート)

 そのため果音を奪い合うのは、奏、尊人、綾小路、天堂の4人(もしかしたら竜も入るかもしれませんが)となるわけですが、映画の予告映像をみると、他の王子たちも果音を口説きまくっています。選手権ではさまざまな競技で争うようですが、奏のことが好きだったはずの第一側近・誠一郎までもが、「俺のこと、好きなんだろ?」と壁ドンをしています。「LDHがとうとうBLに手を出した!」と腐女子の間では話題になっていただけに、「Team奏」に仲間割れはあるのかどうか、映画版ではそのあたりにも注目したいところです。

 

■映画へ残された伏線は……

 王子がメインだったため、果音サイドのことはドラマではあまり描かれてきませんでしたが、最終話のラストで、果音がほっぺをつねるのには、過去の出来事が関係していることがわかりました。とってもクールな果音様ですから、ポーカーフェイスを貫くための照れ隠しくらいにしか思っていなかったのですが、ネット上を見ると、「奏と果音は過去に出会っていて、そのとき奏が果音のほっぺに触れていた」とかなんとか予想する声が上がっているようですが果たして……。

 ちなみにこのプリレジェ、『PRINCE OF LEGEND LOVE ROYALE』というタイトルでアプリゲームにもなるそうです。「実際に王子と会える!? 究極の恋愛ゲーム」ということなので、気になる方は事前登録をしてみてはいかがでしょうか。

(文=どらまっ子TAROちゃん)

今夜最終回の『PRINCE OF LEGEND』、LDHお得意の“血の繋がらない兄妹”設定に視聴者大興奮!

「すべての女子たちの“シンデレラ願望”を叶える刺激的かつ極上のプロジェクト」として展開中のドラマ『PRINCE OF LEGEND』(日本テレビ系)も、いよいよ今夜で最終回。28日深夜放送の第9話では、14人の王子が出揃い、いよいよ“お祭り感”が増してきました。

 ということで、10話の放送を前に、まずはあらすじから振り返っていきたいと思います。

(前回までのレビューはこちらから)

■Episode9「妹よ魂を叫べ この世の敵は俺が斬る」

 兄としてずっと果音(白石聖)を見守ってきた美容師王子の嵯峨沢ハル(清原翔)。「女は最高だ」と言い切る彼は天性のモテ男。落ちてる恋は逃さない、落ちてなくても逃さないそうですが、果音のことは、女としては見ていません。

 それは、4年前、果音の母が亡くなったとき。新聞配達やエキストラのバイトをして父の借金を返しながら1人で生活を始めた果音に、高校生だったハルはお小遣いを手渡そうとします。しかし、「タダより高いものはない。貧乏でも施しは受けない。お金は自分の力で稼ぐもの」と、母の遺言を守り、果音は受け取ろうとしませんでした。人に頼らず、自分の力で生きていこうと頑張る果音を、ハルはただそばで見守ってきました。

 しかし、最近果音にモテ期が来ていることに不安を覚えたハルは、事態を把握するために母校でもある聖ブリリアント学園に向かうことを決めます。

 そんな中、痴漢に遭った果音を心配したセレブ王子・奏(片寄涼太/GENERATIONS from EXILE TRIBE)は、転校初日、果音をアパートまで迎えに行き、一緒に登校することに。学園に着くと、ヤンキー王子の兄・尊人(鈴木伸之/劇団EXILE)と弟・竜(川村壱馬/THE RAMPAGE from EXILE TRIBE)や、ダンス王子・天堂(吉野北人/THE RAMPAGE from EXILE TRIBE)らが駆け寄ってきました。

「明日は俺が(迎えに行く)!」と揉める一同に、状況をわかっていない果音は「これってなんかのゲームなんですか? 私を落とせたら100万円もらえるとか」と一言。尊人は朱雀家の財産がかかっていると、うっかり口を滑らせてしまいます。それを聞いた果音は、

「私を幸せにするなんて余計なお世話です。私、これでも今、わりと幸せなんで」

と怒った様子で、校内に入っていってしまいました。そして理事長の実相寺(加藤諒)に呼ばれ、頼みごとをされます。

 一方、ハルは仲間のバーテンダー王子・翔(遠藤史也)、バンドマン王子のTAICHI(こだまたいち)とともに、学園へ。「Team3B」が集まり、全チームが揃ったところで、最終回へ。

■“血の繋がらない兄妹”がここにも

 3話で奏と尊人、そして竜が異母兄弟であることが明らかになったワケですが(レビューはこちら)、今話では、ハルが果音を妹のように可愛がっている、つまり血の繋がらない兄妹であることが明らかになりました。奏、尊人、竜が前作『HiGH&LOW』シリーズにおける雨宮兄弟ならば、ハルと果音は、スモーキーとララであるわけです。血の繋がらない兄弟だけでなく、兄妹まで、オタク心をくすぐる設定をこれでもかとぶち込んでくるLDHさん、期待を裏切りません。

 さて、「ヤるかヤらないかは別として、ハートは常にエロ」とサラッと言えちゃうくらいにチャラ男のハルですが、長かった果音の髪をハルがカットしてあげたり、河原で「女が好きだー!」と叫び、自分の本心をなかなかさらけ出さない果音に「バカヤロー!ふざけんなー!」と本音を吐き出させたり、見た目によらず、なかなかいいヤツです。

 視聴者たちも、「9話、嵯峨沢ハル無双だった」「ハルさんめっちゃいいお兄ちゃん」「胡散臭そ~と思っていた嵯峨沢ハルがこんな沼だったなんて……」「最高の兄妹」と、ハルのギャップにやられてしまったようす。

 ハルは果音への下心はないと否定していましたが、果音はハルに肩を抱かれても「はいはい」と適当にあしらうくらいで拒絶したりはしないし、距離感を感じさせるかたっくるしい敬語だって使いません。一緒に過ごしてきた時間があるからなのかもしれませんが、奏や尊人たちに見せる姿とは違って、ハルへの警戒心はゼロだし、一番心を開いているように思います。他の王子たちにとって、ハルは一番の強敵になりそうです。

 

■果音の真意は……?

 今話で全ての王子たちがそろったので状況を整理してみると、14人の王子たちの中で、聖ブリリアント学園で3年に一度行われる「伝説の王子選手権」に興味を示しているのは、“3代目伝説の王子”の称号を手に入れるべく脱サラして教師になった先生王子の結城理一(町田啓太/劇団EXILE)と、過去にモテたいがため出場するも敗退し、「モテと王子は一致しない」と学んだというハルだけ。「伝説の王子になる」という本来の目的のために選手権にエントリーするのはこの2人でしょう。

 奏も側近のメガネ王子・誠一郎(塩野瑛久)と下克上王子・元(飯島寛騎)から話を聞かされ、その存在は知っているものの、「勝負事には興味ない」と言い切っていました。

 最終回の予告で果音が「伝説の王子になった人と、お付き合いしようかな」と言っていましたから、果音目当てでエントリーするのが、奏、尊人、竜、天堂、生徒会長の綾小路(佐野玲於/GENERATIONS from EXILE TRIBE)の5人。

 誠一郎や元、金髪SP王子のガブリエル笹塚(関口メンディー/GENERATIONS from EXILE TRIBE、EXILE)ら7人は、それぞれ各チームのリーダーのサポートに回るために出場を決めることになるのでしょう。

 問題は、なぜ果音が理事長からの願いを聞き入れ、自ら王子選手権の切り札となったのか。王子たちに言い寄られるたび、「男の妄想、押し付けるのやめてもらえますか?」と、ブチ切れてきた彼女ですが、今話で奏が自分に近づいた目的を知ったとき、どことなく悲しそうな印象を受けました。今までなら、「ふざけんな!」と切れてもおかしくないのに……。

 奏のことが気になり始めていたのに本当のことを知ってショックを受け、吹っ切れたから理事長のお願いを受け入れたとか、そんなありがちな展開がこの作品にあるとは思えませんが、何か裏があることは間違いないので、最終回ではそのあたりにも注目したいところです。

 

■劇場版のヤバさがジワジワ……

 そういえば、最終回を目前に、映画版の新たな予告映像とポスタービジュアルが公開されたのですが、予告では尊人役の鈴木くんが拳を振るっていたし、ポスターには「胸キュン is DEAD」の文字とともに、武器らしき物を持った王子たちの姿が。はっきり言って、ヤバさしか感じませんし、『ハイロー』ではコブラが「拳だけじゃ解決できねぇ」と言っていましたが、乙女系作品なのに拳をぶつけ合うことになった『プリレジェ』、全くもって意味がわかりません。でも、とっても楽しみです。

(文=どらまっ子TAROちゃん)

王子が渋滞してきた『PRINCE OF LEGEND』、ナルシスト・町田啓太が大暴れ! ギャップにやられる女子が続出

『HiGH&LOW』に続く、LDHの新たな“プリンスバトルプロジェクト”『PRINCE OF LEGEND』。21日深夜放送のドラマ(日本テレビ系)第8話では、町田啓太演じる先生王子がナルシストの本領を発揮し、視聴者たちをザワつかせていたようです。

 ということで、今週もあらすじから振り返っていきましょう。

(前回までのレビューはこちらから)

■Episode8「餓鬼どもに告ぐ 俺の色気(フェロモン)の前に土下座せよ」

 聖ブリリアント学園で3年に一度行われる「伝説の王子選手権」。このドラマでは、なぜ14人の王子候補が、その優勝者に贈られる、“3代目伝説の王子”の称号を懸け争うことになったのかを描いてきましたが、王子選手権の存在を知るのは、学園の理事長・実相寺(加藤諒)と秘書の服部(大和孔太)ら、まだほんのわずか。

 そんな中、誰よりも王子選手権に情熱を燃やすのが、先生王子・結城理一(町田啓太/劇団EXILE)です。「赤ちゃん王子」「神童王子」「かけっこ王子」「ミスター王子」と、これまでさまざまな王子の称号を手にしてきた彼は、「丸の内王子」として会社勤めをしていた時代にカフェで偶然にも伝説の王子の存在を知り、「僕のためにある称号としか思えない」と、参加条件をクリアするため学園の教師になりました。

 しかし、ライバルとなりそうなキラキラした王子たちが続々と学園に集結。でも、彼らの目的は伝説の王子の座ではなく、特に目立った生徒ではない、成瀬果音(白石聖)。

 理事長たちが王子選手権の切り札として彼女を使おうとしていることを知った結城先生は、果音に直接話を聞こうと彼女のアパートを訪れ、隣に住む美容師王子・嵯峨沢ハル(清原翔)と顔を合わせることに。

 果音を妹のように可愛がっている様子のハルは、聖ブリリアント学園の卒業生で、王子選手権に敗れた過去がありました。結城先生から卒業生も選手権に参加できると聞き、目を輝かせます。期せずしてライバルをまた1人増やしてしまうのでした。

 さて、果音はというと、夜道を歩いていたところ、怪しい男に襲われそうになりますが、ボディガードとして密かに後をつけていたダンス王子・天堂(吉野北人/THE RAMPAGE from EXILE TRIBE)と、果音のアパートの近くで痴漢被害が多発していることを知り心配してやってきたヤンキー王子弟・竜(川村壱馬/THE RAMPAGE from EXILE TRIBE)に助けられます。そして両脇から震える果音の手を取り、3人で仲良く手を繋いで帰ることに。

 アパートに着くと、ハルが果音の帰りを待っていました。2人を見るや、「前髪長すぎ」「ネクタイ下すぎ」とダメ出し。さらに、「勝手に手ェ出したりしたら、お前らの頭坊主にすんぞォ!」と、美容師らしい(?)脅し文句をキメるのでした。

 その頃、朱雀家では、父(六角精児)との食事を済ませた腹違いの兄弟、セレブ王子・奏(片寄涼太/GENERATIONS from EXILE TRIBE)とヤンキー王子・尊人(鈴木伸之/劇団EXILE)が睨み合い、バチバチと火花を散らしていました。

■ナルシスト・町田啓太が“ぶっ飛んでる”

 今回は、先生王子・結城のメイン回。6話のレビューでも書きましたが、演じる町田くんは今クール、有村架純ちゃん主演の『中学聖日記』(フジテレビ系)にも、主人公の婚約者役(ドラマではすでに別れてしまいましたが……)で出演していて、この『プリレジェ』でも、美人の婚約者がいる設定。偶然なんでしょうが、こちらの町田くんもすんなり結婚することはできなさそうな予感です。

 ただ、キャラクターは全く異なり、「美しいモノを愛し、美しく生きる。美意識高めのナルシスト」とナレーションの銀河万丈さんに紹介されていたように、かなりキャラが濃い役柄。共演者やファンから“まっちー”という愛称で親しまれている町田くんですが、結城先生のときの彼は、“ミッチー”こと及川光博さんを想像していただけると一番わかりやすいかと。

「この顔に生まれ、この顔を見て育ったのだ」とカメラ目線でドヤ顔をキメたり、「美しい彼女と結婚すれば、ナイスハズバンド王子、グッドダディー王子と呼ばれるだろう」と将来を想像してニヤニヤしたり、頭の中で王子たちを想像して「成瀬の周りに王子が渋滞している!」と本気で焦ってみたり……、かなりトチ狂った演技を披露している町田くん。

「結城先生激ヤバのヤバのヤバだった」「勝太郎さんとのギャップスゴいww」「ナルシストになるのが分かる見た目。こういう人が演じるからおもしろくなるんだよ!!」と視聴者は大興奮のようです。中には「こっちは安心して見られる~」という声も。

 あちらのドラマでは吉田羊さんとラブラブしているだけに、その代わりとしてヒロさんが用意した免罪符的なアレなのかもしれませね。

 

■突然の「森のくまさん」 by RAMPAGE from EXILE TRIBE

 8話で視聴者から一番ツッコミが殺到していたのが、果音と天堂、竜の3人が手を繋いで帰る場面。2人に手を引かれ「離してください」と嫌がる果音と、画面の向こうの視聴者に、

天堂「やだ(ハートマーク)」

竜「ダメ(ハートマーク)」

 と、カメラ目線で訴えかけてくる演出は、まさに王道の胸キュンシーン。と思ったのも束の間、天堂が「ねぇ、なんか歌おうよ!」と提案し、何を歌いだすのかと思えば、

天堂「あるーひ」竜「あるーひ」

天堂「もりのなーか」竜「もりのなーか」

天堂「くまさーんに」竜「くまさーんに」

天堂「であーった」竜「であーった」

 と、まさかの童謡「森のくまさん」という謎チョイス。しかも、竜も嫌がることなく乗っかって輪唱しだすという謎展開。

「この流れハチャメチャに意味が分からない」「森のくまさん歌う仲良しライバルってどーゆーこと!!!」「あんなイケボで美声の森のくまさん聞いたことない」「こんなかわいい森のくまさんある????」「表情筋おかしくなりそう」「ボーカル二人起用してめっちゃかわいいシチュエーションで森のくまさん歌わせた河合監督と松田脚本にマジでお歳暮贈りたい」と、混乱しつつもファンは大興奮だったようです。

「森のくまさん」の歌詞からすると、ひょっとしたら、果音を襲おうとした男は何かを拾ってあげただけで、かっこつけたい天堂と竜が早とちりしてやっつけてしまったという可能性も無きにしもあらずですが、「夜道の痴漢」という犯罪行為の“怖さ”を、この輪唱シーンを差し込むことで一瞬にしてとっぱらい、ほのぼのした可愛らしいシーンに変えてしまうLDHさん、まさに「Love,Dream,Happiness」って感じで素敵だなあと思いました。はい。

 

■『プリレジェ』≒「EXILE TRIBE」

 今回は、歴代の伝説の王子が誰なのかも判明。肖像画がバッチリと画面に映しだされたことから、既に名前が挙がっていた通り、初代・現王丸修吾はTAKAHIRO、二代目・龍崎恭也は岩田剛典であることがわかりました。理事長曰く、伝説の王子になった者は、「伝説の王子」の名を世に広めるため、王子活動に従事するんだそうです。

 中の人の世間的イメージやこれまでの活動をみても、TAKAHIROはEXILEファミリーの初代プリンスであり、その後を継ぐのは岩ちゃんといえるでしょう。この『プリレジェ』は、EXILE TRIBEの名を知らしめるために次なるプリンスを育て上げ、広告塔へと仕立てるための壮大なプロジェクト、つまり『プリレジェ』は、EXILE TRIBEそのものなのかもしれません。

“推され”ともいえる主人公的立場の役柄をもらった片寄くんなのか、ドラマや映画で大活躍中の鈴木くん&町田くんの劇団コンビなのか、ファミリーの一番後輩にあたるRAMPAGEの川村くん&吉野くんなのか……、物語と同時に、今後EXILE TRIBEを担っていくメンバーがわかりそうです。

 ドラマは残すところあと2話。今夜放送の9話では、美容師王子のハルが学園に乗り込んでくるとか……。果音との関係にも注目しながら楽しみたいと思います。

(文=どらまっ子TAROちゃん)

王子が渋滞してきた『PRINCE OF LEGEND』、ナルシスト・町田啓太が大暴れ! ギャップにやられる女子が続出

『HiGH&LOW』に続く、LDHの新たな“プリンスバトルプロジェクト”『PRINCE OF LEGEND』。21日深夜放送のドラマ(日本テレビ系)第8話では、町田啓太演じる先生王子がナルシストの本領を発揮し、視聴者たちをザワつかせていたようです。

 ということで、今週もあらすじから振り返っていきましょう。

(前回までのレビューはこちらから)

■Episode8「餓鬼どもに告ぐ 俺の色気(フェロモン)の前に土下座せよ」

 聖ブリリアント学園で3年に一度行われる「伝説の王子選手権」。このドラマでは、なぜ14人の王子候補が、その優勝者に贈られる、“3代目伝説の王子”の称号を懸け争うことになったのかを描いてきましたが、王子選手権の存在を知るのは、学園の理事長・実相寺(加藤諒)と秘書の服部(大和孔太)ら、まだほんのわずか。

 そんな中、誰よりも王子選手権に情熱を燃やすのが、先生王子・結城理一(町田啓太/劇団EXILE)です。「赤ちゃん王子」「神童王子」「かけっこ王子」「ミスター王子」と、これまでさまざまな王子の称号を手にしてきた彼は、「丸の内王子」として会社勤めをしていた時代にカフェで偶然にも伝説の王子の存在を知り、「僕のためにある称号としか思えない」と、参加条件をクリアするため学園の教師になりました。

 しかし、ライバルとなりそうなキラキラした王子たちが続々と学園に集結。でも、彼らの目的は伝説の王子の座ではなく、特に目立った生徒ではない、成瀬果音(白石聖)。

 理事長たちが王子選手権の切り札として彼女を使おうとしていることを知った結城先生は、果音に直接話を聞こうと彼女のアパートを訪れ、隣に住む美容師王子・嵯峨沢ハル(清原翔)と顔を合わせることに。

 果音を妹のように可愛がっている様子のハルは、聖ブリリアント学園の卒業生で、王子選手権に敗れた過去がありました。結城先生から卒業生も選手権に参加できると聞き、目を輝かせます。期せずしてライバルをまた1人増やしてしまうのでした。

 さて、果音はというと、夜道を歩いていたところ、怪しい男に襲われそうになりますが、ボディガードとして密かに後をつけていたダンス王子・天堂(吉野北人/THE RAMPAGE from EXILE TRIBE)と、果音のアパートの近くで痴漢被害が多発していることを知り心配してやってきたヤンキー王子弟・竜(川村壱馬/THE RAMPAGE from EXILE TRIBE)に助けられます。そして両脇から震える果音の手を取り、3人で仲良く手を繋いで帰ることに。

 アパートに着くと、ハルが果音の帰りを待っていました。2人を見るや、「前髪長すぎ」「ネクタイ下すぎ」とダメ出し。さらに、「勝手に手ェ出したりしたら、お前らの頭坊主にすんぞォ!」と、美容師らしい(?)脅し文句をキメるのでした。

 その頃、朱雀家では、父(六角精児)との食事を済ませた腹違いの兄弟、セレブ王子・奏(片寄涼太/GENERATIONS from EXILE TRIBE)とヤンキー王子・尊人(鈴木伸之/劇団EXILE)が睨み合い、バチバチと火花を散らしていました。

■ナルシスト・町田啓太が“ぶっ飛んでる”

 今回は、先生王子・結城のメイン回。6話のレビューでも書きましたが、演じる町田くんは今クール、有村架純ちゃん主演の『中学聖日記』(フジテレビ系)にも、主人公の婚約者役(ドラマではすでに別れてしまいましたが……)で出演していて、この『プリレジェ』でも、美人の婚約者がいる設定。偶然なんでしょうが、こちらの町田くんもすんなり結婚することはできなさそうな予感です。

 ただ、キャラクターは全く異なり、「美しいモノを愛し、美しく生きる。美意識高めのナルシスト」とナレーションの銀河万丈さんに紹介されていたように、かなりキャラが濃い役柄。共演者やファンから“まっちー”という愛称で親しまれている町田くんですが、結城先生のときの彼は、“ミッチー”こと及川光博さんを想像していただけると一番わかりやすいかと。

「この顔に生まれ、この顔を見て育ったのだ」とカメラ目線でドヤ顔をキメたり、「美しい彼女と結婚すれば、ナイスハズバンド王子、グッドダディー王子と呼ばれるだろう」と将来を想像してニヤニヤしたり、頭の中で王子たちを想像して「成瀬の周りに王子が渋滞している!」と本気で焦ってみたり……、かなりトチ狂った演技を披露している町田くん。

「結城先生激ヤバのヤバのヤバだった」「勝太郎さんとのギャップスゴいww」「ナルシストになるのが分かる見た目。こういう人が演じるからおもしろくなるんだよ!!」と視聴者は大興奮のようです。中には「こっちは安心して見られる~」という声も。

 あちらのドラマでは吉田羊さんとラブラブしているだけに、その代わりとしてヒロさんが用意した免罪符的なアレなのかもしれませね。

 

■突然の「森のくまさん」 by RAMPAGE from EXILE TRIBE

 8話で視聴者から一番ツッコミが殺到していたのが、果音と天堂、竜の3人が手を繋いで帰る場面。2人に手を引かれ「離してください」と嫌がる果音と、画面の向こうの視聴者に、

天堂「やだ(ハートマーク)」

竜「ダメ(ハートマーク)」

 と、カメラ目線で訴えかけてくる演出は、まさに王道の胸キュンシーン。と思ったのも束の間、天堂が「ねぇ、なんか歌おうよ!」と提案し、何を歌いだすのかと思えば、

天堂「あるーひ」竜「あるーひ」

天堂「もりのなーか」竜「もりのなーか」

天堂「くまさーんに」竜「くまさーんに」

天堂「であーった」竜「であーった」

 と、まさかの童謡「森のくまさん」という謎チョイス。しかも、竜も嫌がることなく乗っかって輪唱しだすという謎展開。

「この流れハチャメチャに意味が分からない」「森のくまさん歌う仲良しライバルってどーゆーこと!!!」「あんなイケボで美声の森のくまさん聞いたことない」「こんなかわいい森のくまさんある????」「表情筋おかしくなりそう」「ボーカル二人起用してめっちゃかわいいシチュエーションで森のくまさん歌わせた河合監督と松田脚本にマジでお歳暮贈りたい」と、混乱しつつもファンは大興奮だったようです。

「森のくまさん」の歌詞からすると、ひょっとしたら、果音を襲おうとした男は何かを拾ってあげただけで、かっこつけたい天堂と竜が早とちりしてやっつけてしまったという可能性も無きにしもあらずですが、「夜道の痴漢」という犯罪行為の“怖さ”を、この輪唱シーンを差し込むことで一瞬にしてとっぱらい、ほのぼのした可愛らしいシーンに変えてしまうLDHさん、まさに「Love,Dream,Happiness」って感じで素敵だなあと思いました。はい。

 

■『プリレジェ』≒「EXILE TRIBE」

 今回は、歴代の伝説の王子が誰なのかも判明。肖像画がバッチリと画面に映しだされたことから、既に名前が挙がっていた通り、初代・現王丸修吾はTAKAHIRO、二代目・龍崎恭也は岩田剛典であることがわかりました。理事長曰く、伝説の王子になった者は、「伝説の王子」の名を世に広めるため、王子活動に従事するんだそうです。

 中の人の世間的イメージやこれまでの活動をみても、TAKAHIROはEXILEファミリーの初代プリンスであり、その後を継ぐのは岩ちゃんといえるでしょう。この『プリレジェ』は、EXILE TRIBEの名を知らしめるために次なるプリンスを育て上げ、広告塔へと仕立てるための壮大なプロジェクト、つまり『プリレジェ』は、EXILE TRIBEそのものなのかもしれません。

“推され”ともいえる主人公的立場の役柄をもらった片寄くんなのか、ドラマや映画で大活躍中の鈴木くん&町田くんの劇団コンビなのか、ファミリーの一番後輩にあたるRAMPAGEの川村くん&吉野くんなのか……、物語と同時に、今後EXILE TRIBEを担っていくメンバーがわかりそうです。

 ドラマは残すところあと2話。今夜放送の9話では、美容師王子のハルが学園に乗り込んでくるとか……。果音との関係にも注目しながら楽しみたいと思います。

(文=どらまっ子TAROちゃん)

ジェネファン歓喜の『PRINCE OF LEGEND』7話 先輩・TAKAHIRO&岩田剛典の出演に期待高まる!

 LDHが手がける“プリンスバトルプロジェクト”の一つとして毎週水曜深夜に放送中の『PRINCE OF LEGEND』(日本テレビ系)。14日深夜放送の7話は、GENERATIONSファン大喜びのストーリーが展開されました。

 ということで、今週もあらすじから振り返っていきたいと思います。

(前回までのレビューはこちらから)

■Episode7「君の名は忘れない この世代(ジェネレーション)の王子は私だ」

 転校の手続きのために学園にやってきたセレブ王子・朱雀奏(片寄涼太/GENERATIONS from EXILE TRIBE)は、聖ブリリアント学園の生徒会長王子・綾小路葵(佐野玲於/同)から、成瀬果音(白石聖)にプロポーズしたと聞かされ、「果音は僕のプリンセスです」と戦線布告。奏は異母兄弟であるヤンキー王子・京極尊人(鈴木伸之/劇団EXILE)との相続争いのために、好きでもない果音をかけて勝負をしているのですが、そうとは知らずの綾小路は思わず、奏に中指を立てます。

 2人には過去にある出来事がありました。幼い頃から「神童」と呼ばれ、学園でも生徒会長として生徒たちからの人望も厚く、由緒正しき家柄に生まれ伝統芸能を嗜み、マッチョな体にも自信アリ。欠点を挙げるなら、人の名前を覚えられないことくらいな綾小路は、同世代には敵なしだと思い込んでいたそうです。

 しかし、2年前のパーティーで、自分へ向けられていた女子たちの視線を一気にかっさらった奏に嫉妬し、初めて挫折を味わいました。彼が果音にプロポーズまがいの告白をしたのは、彼女のことが好きだったわけではなく、因縁の相手である奏に勝つため。果音にはそれを見透かされ、告白は失敗してしまったワケですが……。

 その果音はというと、「俺が果音さんを守る!」と告白してきた後輩の天堂光輝(吉野北人/THE RAMPAGE from EXILE TRIBE)や、日浦海司(藤原樹/同)、小田島陸(長谷川慎/同)の3人のダンス王子たちからつきまとわれてウンザリ気味。

 と、そこへ現れた奏、果音に転入してくることを告げ、「いい子で待ってるんだよ、クソ果音」と頭に手を置きます。一瞬面食らった果音は「待ってるわけないじゃないですか、クソ王子!」と吐き捨て去って行きました。キーッと顔をしかめて怒りを露わにする奏を、第一側近のメガネ王子・誠一郎(塩野瑛久)がなだめます。

 果音が向かった先に、今度は綾小路がやってきました。一度フラれている綾小路ですが、「女性の名前を覚えたのは君が初めてです。運命としか思えない」「動機は不純でした。でも、名前を覚えた今、君にときめいています」と全く懲りていません。奏もやってきて、「僕たちはライバルですね」と、2人は微笑み合いながら握手を交わします。

 するとそこへ「俺が果音さんを守るんで」と、天堂が割って入り、もはやカオス状態。果音そっちのけで王子たちが小競り合いを始め、「バッカじゃないの」と冷めた様子で果音は学校を後にしました。

■“ジェネが大渋滞”だった7話

 タイトルにもあるように、今回は奏役の片寄くんと綾小路役の佐野くんというGENERATIONSメンバーがフィーチャーされた今回。ネット上でもファンから喜びの声が上がっていました。

 特にその声が多かったのが、綾小路と金髪SP王子のガブリエル笹塚(関口メンディー)の生徒会コンビのシーン。奏に中指を立てる綾小路を慌てて制止したり、果音の名前を覚えたくらいで大喜びして、綾小路がガブリエルに抱きついて熱い抱擁を交わしたり……。初めにドラマに登場したときは、厳粛な雰囲気をまとっていた2人ですが、こんな人たちが学園のトップでいいのかと心配になるくらい、わちゃわちゃしていて見ていて楽しいシーンでした。

 見た目こそ、金髪にした南海キャンディーズの山ちゃんにしか見えない関口メンディーも、献身的に会長を支える側近という役柄を、見た目のインパクトに負けないくらい個性的に演じています。視聴者も「もう普段のメンれおwwwww」「会長もガブ様もかわいいよ……」「メンさん演技うまくない?」と大興奮のようです。

 乙女系作品で新規ファン獲得を狙いつつ、既存ファンのニーズにも応える姿、さすがLDHさんだなぁと思った次第です。はい。

 

■TAKAHIRO&岩田剛典が出演の可能性!?

 今話では、後に王子たちが争うこととなる「伝説の王子選手権」についても新たな情報が明かされました。理事長の実相寺(加藤諒)によれば、伝説の王子は過去に2人存在し、次の争いで決まるのが、「三代目伝説の王子」。三代目J Soul Brothersみたいな語感です。

 初代は現王丸修吾、二代目は龍崎恭也という王子らしいのですが、ドラマが始まる以前から、特報映像でチラッと映った肖像画に使われている画像が、LDHが誇る2大イケメン・TAKAHIROと岩田剛典であるとファンの間で話題になっていたため、今話を見て、二人の出演を期待する声がふつふつと上がっているようです。

 前作の『HiGH&LOW』もそうでしたが、ドラマのシーズン2で、シリーズの始まりを担う伝説のチーム「MUGEN」の過去が描かれ映画へと発展していったように、初代王子・TAKAHIRO(仮)と二代目王子・岩田剛典(仮)の回想シーンだったり、スピンオフの製作なんかも期待できるかもしれません。公式ではまだ何も発表されていませんが、あからさまに匂わせているので、期待しながら続報を待ちたいところです。

 

■果音がほっぺをつねる意味は?

 気になるのが、果音が奏と接しているときだけ、自分の頬をむぎゅっとつねること。照れ隠しなのか、夢ではなく現実の出来事だと実感するための行動なのか……。相変わらず果音サイドの気持ちは一切語られないし、王子主導のストーリーとなっているため、果音については“母親を亡くし、父親が作った借金の返済のためバイトをいくつも掛け持ちしている苦学生”ということと、“クールな性格”“意外にも喫煙者”ということくらいしかわかりません。

 全10回のドラマだとすると、残りはあと3話になるわけですが、「Team3B」の面々もまだ登場していないので、もろもろの伏線は映画に残し、ドラマでは王子たちのこじらせっぷりを描ききることになりそうです。

 今夜放送の8話では、Team奏、生徒会、ネクストの面々に「すごい王子率の高さじゃないか……」と目を輝かせていた先生王子・結城(町田啓太/劇団EXILE)のメイン回となる模様。「その席は、僕のものだ」とドヤ顔をキメていた先生が、なぜそこまで伝説の王子選手権に固執するのかが明らかになるとのことなので、初代や二代目の肖像画にも注目しつつ、テレビにかじりつきたいと思います。

(文=どらまっ子TAROちゃん)

ジェネファン歓喜の『PRINCE OF LEGEND』7話 先輩・TAKAHIRO&岩田剛典の出演に期待高まる!

 LDHが手がける“プリンスバトルプロジェクト”の一つとして毎週水曜深夜に放送中の『PRINCE OF LEGEND』(日本テレビ系)。14日深夜放送の7話は、GENERATIONSファン大喜びのストーリーが展開されました。

 ということで、今週もあらすじから振り返っていきたいと思います。

(前回までのレビューはこちらから)

■Episode7「君の名は忘れない この世代(ジェネレーション)の王子は私だ」

 転校の手続きのために学園にやってきたセレブ王子・朱雀奏(片寄涼太/GENERATIONS from EXILE TRIBE)は、聖ブリリアント学園の生徒会長王子・綾小路葵(佐野玲於/同)から、成瀬果音(白石聖)にプロポーズしたと聞かされ、「果音は僕のプリンセスです」と戦線布告。奏は異母兄弟であるヤンキー王子・京極尊人(鈴木伸之/劇団EXILE)との相続争いのために、好きでもない果音をかけて勝負をしているのですが、そうとは知らずの綾小路は思わず、奏に中指を立てます。

 2人には過去にある出来事がありました。幼い頃から「神童」と呼ばれ、学園でも生徒会長として生徒たちからの人望も厚く、由緒正しき家柄に生まれ伝統芸能を嗜み、マッチョな体にも自信アリ。欠点を挙げるなら、人の名前を覚えられないことくらいな綾小路は、同世代には敵なしだと思い込んでいたそうです。

 しかし、2年前のパーティーで、自分へ向けられていた女子たちの視線を一気にかっさらった奏に嫉妬し、初めて挫折を味わいました。彼が果音にプロポーズまがいの告白をしたのは、彼女のことが好きだったわけではなく、因縁の相手である奏に勝つため。果音にはそれを見透かされ、告白は失敗してしまったワケですが……。

 その果音はというと、「俺が果音さんを守る!」と告白してきた後輩の天堂光輝(吉野北人/THE RAMPAGE from EXILE TRIBE)や、日浦海司(藤原樹/同)、小田島陸(長谷川慎/同)の3人のダンス王子たちからつきまとわれてウンザリ気味。

 と、そこへ現れた奏、果音に転入してくることを告げ、「いい子で待ってるんだよ、クソ果音」と頭に手を置きます。一瞬面食らった果音は「待ってるわけないじゃないですか、クソ王子!」と吐き捨て去って行きました。キーッと顔をしかめて怒りを露わにする奏を、第一側近のメガネ王子・誠一郎(塩野瑛久)がなだめます。

 果音が向かった先に、今度は綾小路がやってきました。一度フラれている綾小路ですが、「女性の名前を覚えたのは君が初めてです。運命としか思えない」「動機は不純でした。でも、名前を覚えた今、君にときめいています」と全く懲りていません。奏もやってきて、「僕たちはライバルですね」と、2人は微笑み合いながら握手を交わします。

 するとそこへ「俺が果音さんを守るんで」と、天堂が割って入り、もはやカオス状態。果音そっちのけで王子たちが小競り合いを始め、「バッカじゃないの」と冷めた様子で果音は学校を後にしました。

■“ジェネが大渋滞”だった7話

 タイトルにもあるように、今回は奏役の片寄くんと綾小路役の佐野くんというGENERATIONSメンバーがフィーチャーされた今回。ネット上でもファンから喜びの声が上がっていました。

 特にその声が多かったのが、綾小路と金髪SP王子のガブリエル笹塚(関口メンディー)の生徒会コンビのシーン。奏に中指を立てる綾小路を慌てて制止したり、果音の名前を覚えたくらいで大喜びして、綾小路がガブリエルに抱きついて熱い抱擁を交わしたり……。初めにドラマに登場したときは、厳粛な雰囲気をまとっていた2人ですが、こんな人たちが学園のトップでいいのかと心配になるくらい、わちゃわちゃしていて見ていて楽しいシーンでした。

 見た目こそ、金髪にした南海キャンディーズの山ちゃんにしか見えない関口メンディーも、献身的に会長を支える側近という役柄を、見た目のインパクトに負けないくらい個性的に演じています。視聴者も「もう普段のメンれおwwwww」「会長もガブ様もかわいいよ……」「メンさん演技うまくない?」と大興奮のようです。

 乙女系作品で新規ファン獲得を狙いつつ、既存ファンのニーズにも応える姿、さすがLDHさんだなぁと思った次第です。はい。

 

■TAKAHIRO&岩田剛典が出演の可能性!?

 今話では、後に王子たちが争うこととなる「伝説の王子選手権」についても新たな情報が明かされました。理事長の実相寺(加藤諒)によれば、伝説の王子は過去に2人存在し、次の争いで決まるのが、「三代目伝説の王子」。三代目J Soul Brothersみたいな語感です。

 初代は現王丸修吾、二代目は龍崎恭也という王子らしいのですが、ドラマが始まる以前から、特報映像でチラッと映った肖像画に使われている画像が、LDHが誇る2大イケメン・TAKAHIROと岩田剛典であるとファンの間で話題になっていたため、今話を見て、二人の出演を期待する声がふつふつと上がっているようです。

 前作の『HiGH&LOW』もそうでしたが、ドラマのシーズン2で、シリーズの始まりを担う伝説のチーム「MUGEN」の過去が描かれ映画へと発展していったように、初代王子・TAKAHIRO(仮)と二代目王子・岩田剛典(仮)の回想シーンだったり、スピンオフの製作なんかも期待できるかもしれません。公式ではまだ何も発表されていませんが、あからさまに匂わせているので、期待しながら続報を待ちたいところです。

 

■果音がほっぺをつねる意味は?

 気になるのが、果音が奏と接しているときだけ、自分の頬をむぎゅっとつねること。照れ隠しなのか、夢ではなく現実の出来事だと実感するための行動なのか……。相変わらず果音サイドの気持ちは一切語られないし、王子主導のストーリーとなっているため、果音については“母親を亡くし、父親が作った借金の返済のためバイトをいくつも掛け持ちしている苦学生”ということと、“クールな性格”“意外にも喫煙者”ということくらいしかわかりません。

 全10回のドラマだとすると、残りはあと3話になるわけですが、「Team3B」の面々もまだ登場していないので、もろもろの伏線は映画に残し、ドラマでは王子たちのこじらせっぷりを描ききることになりそうです。

 今夜放送の8話では、Team奏、生徒会、ネクストの面々に「すごい王子率の高さじゃないか……」と目を輝かせていた先生王子・結城(町田啓太/劇団EXILE)のメイン回となる模様。「その席は、僕のものだ」とドヤ顔をキメていた先生が、なぜそこまで伝説の王子選手権に固執するのかが明らかになるとのことなので、初代や二代目の肖像画にも注目しつつ、テレビにかじりつきたいと思います。

(文=どらまっ子TAROちゃん)

町田啓太、『中学聖日記』は好評でも『PRINCE OF LEGEND』の先生役は期待外れ……?

“プリンスバトルプロジェクト”の一つとして、LDHの若手を筆頭にさまざまな王子たちが1人の女の子を奪い合っているドラマ『PRINCE OF LEGEND』(日本テレビ系)。7日放送の第6話には、このトンチキドラマらしからぬ、いい意味で“普通”な王子が男を見せたほか、町田啓太演じる先生王子が初登場し、ネット上の視聴者たちからさまざまな声が上がっていたようです。

 ということで、今夜放送の第7話の前に、まずはあらずじから振り返りたいと思います。

(前回までのレビューはこちらから)

■Episode6「過去は捨てた 俺の求愛の舞踏(ダンス)しかと見届けよ」

 想いを寄せる成瀬果音(白石聖)が、「京極兄弟」の兄・尊人(鈴木伸之/劇団EXILE)に唇を殴られるのを黙って見ているしかなかった、“粗削りだがフレッシュ、スタイリッシュだが素朴、クールに見えて努力家”なダンス王子レッド・天堂光輝(吉野北人/THE RAMPAGE from EXILE TRIBE)。

 彼は、世帯年収一億円以上のセレブを親に持つ生徒が大半の聖ブリリアント学園に設けられた、家柄や年収は不問で奨学金制度のあるエコノミークラスに通う2年生。美しさと伸び代だけを条件に選ばれた生徒が集まるクラスの中心的な存在です。

 果音に惚れたのは、2年前。中学生だった天堂は、泣きながら写真をクシャクシャに丸める果音を見かけ一目惚れ。そして今にも壊れてしまいそうな果音に何もしてあげられない自分を不甲斐なく思い、果音を守れる男になろうと、ランニングを始めたり、ボクシングジムに通ったりと、トレーニングを始めます。

 そうして聖ブリリアント学園に入学したものの、肝心の果音は天堂のことを覚えているどころか、すれ違っても目すら合いません。まさにアウトオブ眼中の天堂は、自分磨きを継続。そのうちに仲良くなったのが、“怖そうに見えて意外と気弱、周囲を和ませる天然キャラ”なダンス王子ゴールド・日浦海司(藤原樹/THE RAMPAGE from EXILE TRIBE)と、“チャラそうに見えて意外と真面目、優柔不断に見えて情に厚い、男気溢れる”ダンス王子ブラック・小田島陸(長谷川慎/THE RAMPAGE from EXILE TRIBE)の2人。3人は「Team ネクスト」を結成しました。

 天堂がなかなか果音とお近づきになれない中、ある日、生徒会長王子の綾小路葵(佐野玲於/GENERATIONS from EXILE TRIBE)が突然、果音のクラスにやってきて、「僕と結婚してください」と段階をすっ飛ばしてプロポーズ。しかし、そこは超絶クールな果音様、やすやす受け入れるわけもなく、バッサリ断ります。

 それを知ったネクストの3人。日浦と小田島は「他のヤツにとられるぞ!」とけしかけ、目すら合わせてもらえない天堂は、思い切って果音を呼び止め、

「俺、果音さんに憧れてこの学校に来たんです。果音さんを守れる男になるって決めたんです」

「果音さんは俺が守るから。今日から全力で果音さんに向かってく」

 と告白。案の定、全く相手にしてもらえない天堂ですが、彼のまっすぐな想いに、さすがの果音様もほんのちょっとだけ照れているようす。

 その頃、果音とハプニングキスをして以来、彼女のことが頭から離れない“セレブ王子”の奏(片寄涼太/GENERATIONS from EXILE TRIBE)が、転入の手続きのため、第一側近の“メガネ王子”誠一郎(塩野瑛久)と第二側近の“下克上王子”元(飯島寛騎)とともに、学園を訪れていました。次回、奏が再び果音にアプローチをかけるようです。

■普通の男子高校生・天堂は唯一の良心?

 これまで、奏と尊人は、映画研究部の撮影でスイッチが入った女優モードの果音に惚れて告白しました。

 何かと奏に固執する生徒会長の綾小路はというと、果音が見抜いていたように、「名前もちゃんと覚えていないけど、奏が好きな人だから手に入れたい」という不純な動機で彼女にプロポーズし、「男の妄想、押し付けるのやめてもらえますか?」とお決まりのセリフで断られました。

 今話の主役である天堂も、フラれたのは同じですが、演技ではない素の果音を好きになったのは彼が(今のところは)初めて。「また妄想押し付け系……」と果音に呆れられても、

「あの時俺が見たのは絶対、果音さんだった。だから、俺が好きなのは果音さんっす!」

「今の俺じゃまだ無理とか思ってたけど、それもうやめる」

「俺、まだまだ全然で……。けど、果音さんを思う気持ちは絶対負けない!」

 と、純粋な恋心をぶつけます。このシーンだけを見ていると、まるで青春ラブストーリーを見ているような気分になったし、今までの王子たちの告白がぶっとんでいたぶん、余計にグッときました。

 ネット上でも、「光輝くんと果音ちゃんの絡み激かわいい」「光輝が1番普通だし1番青春キラキラ物語だね」「光輝くん応援したくなるな」「光輝くんがんばれ~! ってなるけど少女漫画文脈だとまともな男の子って絶対負けてるイメージあるからなー」と、彼を支持する声が続出。

 殻を破った年下男子・天堂が、今後どう果音に迫っていくのか、冷やかし気分で見守っていきたいです。はい。

 

■「対比」に弱いオタクのツボを押さえた配役

 なお、年下キャラといえば「京極兄弟」の弟・竜(川村壱馬/THE RAMPAGE from EXILE TRIBE)がいますが、天堂がピュアなイマドキ高校生なのに対し、竜は子犬系ヤンキー。しかも、中の人たちは同じ「THE RAMPAGE」メンバーという間柄。オタクって、ライバルとか兄弟とか、そういう対比に弱いし、「関係性萌え」という言葉の通り、キャラ同士の関係にロマンを感じる人も多いので、オタクのツボを押さえたそのあたりの配役のしかたも、さすがLDHさんといったところ。

 それでいうと、奏と綾小路の中の人である片寄くんと佐野くんも同じ「GENERATIONS」メンバーで、2人の間にある因縁が第7話で明かされるようなので、次回はジェネファン必見の内容となりそう。個人的には、2人と同じジェネメンバーの関口メンディーが演じる金髪SP王子・ガブリエル笹塚についても、何か明かされるとうれしいのですが……。

 

■期待外れだった“先生王子” 町田啓太

 また、今回、先生王子の結城理一(町田啓太/劇団EXILE)が登場。中の人である町田くんは、有村架純ちゃん主演の『中学聖日記』(フジテレビ系)に主人公・聖の婚約者役で出演しており、「中学生」に自分の婚約者を奪われるという不憫な役を演じているため、「こっちでは自分が生徒に恋する役を演じるのか!」と勝手にワクワクしていたのですが、これが期待外れ。

「I’m the prince who has been loved by every woman in the world.(私は世界中の女性から愛される王子です)」と独特の英文で授業をしたり、「こんな王子度の高い生徒が近くにいたのに、何も感じなかったなんて」と、京極兄弟の存在に気がつけなかったことを悔やんだりと(先生には「王子センサー」があるようです)、今のところ、果音というよりも王子たちに興味があるようす。

 公式サイトには、「美意識高めのナルシスト」とあったので、てっきり年上俺様系で攻めてくるのかと思いましたが、斜め上のキャラクターでした。視聴者からも「思ってたのと違った」という声がチラホラ。まぁ、何度も言っているように、このトンチキドラマに女性ウケの常識を期待してはいけないことは回を重ねるごとによくわかってきたし、こっちでは『中学聖日記』では見られないハジけた姿を見せてくれているので、今後の結城先生の活躍にも期待したいところです。

(文=どらまっ子TAROちゃん)