「ドラマのこのシーンってありえるの?」「バラエティーのあのやり方ってコンプライアンス的にどうなの?」……テレビを見ていて感じた疑問を弁護士に聞いてみる、テレビ好きのための法律相談所。
<今回の番組>
「MOCO’Sキッチン」(『ZIP!』日本テレビ系/月〜金7時台)
<今回の疑問>
テレビにおける「食べ物の無駄遣い」の規定は?
日本テレビ系情報番組『ZIP!』内で俳優・速水もこみちが担当する人気料理コーナー「MOCO’Sキッチン」に対し、視聴者から厳しい意見がBPO(放送倫理・番組向上機構)に寄せられ、議論を呼んでいる。「オリーブオイルを使い過ぎだ。視聴者の健康や家計などに配慮すべきではないか」などという声が上がっているが、そもそも、テレビにおける「食べ物」の無駄遣いに規制はあるのだろうか? アディーレ法律事務所の日田諭弁護士に話を聞いた。
「『食べ物』の無駄遣いの許容範囲について明確に規定している法律はありません。ですから、原則として放送事業者がどのように放送したとしても法律違反とはなりません。そもそも、『放送番組は、法律に定める権限に基づく場合でなければ、何人からも干渉され、又は規律されることがない』という放送法3条があります」
また、放送事業者は、国内放送及び内外放送(以下「国内放送等」)の放送番組の編集に当たっては、以下のような「放送法4条1項 」があるという。
「(1)公安及び善良な風俗を害しないこと(2)政治的に公平であること(3)報道は事実をまげないですること(4)意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること、と規定されており、放送事業者はこれを守った上であれば、どのような内容を放送するかについては原則として自由に決められることになっています。よって、特に明確な許容範囲というものは法律上はありません。そのため、仮にそれを真似して家計を圧迫したり、健康を害してしまったとしても、放送事業者に責任を問うことはできません。ただし、虚偽の情報を放送してしまい、それが理由で損害が生じた場合は責任を追及できる余地はあります。その場合は、放送法9条により、訂正した内容で放送するよう請求することも認められています」
では、バラエティー番組で定番の「大食い企画」や「リアクション芸の熱々おでん」などは、放送基準に照らし、問題はないのだろうか。
「本人の意思に反して無理に大食いをさせたり、熱々おでんを食べさせるといった行為は、傷害罪や脅迫罪に該当する可能性があります。ただし、本人の同意があれば違法性がないということになるので、傷害罪や脅迫罪は成立しないことになります。なので、バラエティー番組の『大食い企画』や『リアクション芸の熱々おでん』が許されるのは、本人の同意があるから許されるということになります。ただし、実際の企画内容によっては本人が同意したと言っていたとしても、本当に真意から同意したのかということが問題になりうると思います。なので、テレビ局としては本当に同意しているのかについては、相当慎重に判断しているものと思われます」
そもそもオリーブオイルを大量に使う調理スタイルは、ネタとして楽しまれており、ネットでは「今さらそれ言う?」「イヤなら見なきゃいい」などといった声も出ている。『MOCO’Sキッチン』へのクレームに対し、日本テレビ側は「広報部の担当者が不在」とだけコメントしたと報じられているが、今回の件で番組の方向性は変わってしまうのだろうか? 今後の同局の対応が注目される。
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