おフェロ顔の次は「うさぎFACE」!? 自己陶酔ポエムが垂れ流される「ar」メイク術

 ビューティ&ファッション誌「ar」(主婦と生活社)6月号は、夏前恒例のボディ特集です。表紙のキャッチフレーズは「Happy BodyでSexy Summer! 美味ボディはつくれる!」。このキャッチ、素晴らしいです。ありがちな「“Sexy” Bodyで“Happy” Summer!」ではないところがキモです。「セクシーだから幸せになれるのではなくて、ハッピーだからセクシーになれるんだよ!」という、同誌らしい夢見がちでキラキラとしたメッセージが表現されています。あっぱれ! この「ハッピーであればセクシー!」という多少無理矢理な思考は、誌面でも発揮されているのでしょうか。早速、見ていきましょう。

<トピックス>
◎おナチュなお色気 岸本セシル ONLYセシル
◎考えるのはこのことだけ! スタイルUP虎の巻
◎うさぎFACEになりたくて

■カバーガールが言い訳「撮影前に風邪」
 巻頭のメイン企画に登場したのは、今月号のカバーガールも務めているモデル・岸本セシル。合計8ページの特集には、「お生BODYのレシピはコレッ(ハート)」「ハダと髪とセシル」「CECIL BODY SECRET」「BODY BODY BODY」「セシルのフレッシュフェロモンBODY!」と見出しが並び、よくこれだけ似通った見出しを考え付いたものだなぁと感心してしまいます。それぞれのページでは、彼女のお気に入りボディケアアイテム、体形をきれいに見せるおすすめファッションアイテムなど、セシルに近付くための“アイテム”が多数紹介されています。食事、運動法といった実践的アプローチではなく“アイテム”というのがポイントです。努力ではなく、このアイテムさえ買えば、もしかして……、と読者に夢を与えます。

 注目したのはインタビューでの彼女の発言。ボディラインを出す撮影があるときには「3か月くらい前から腹筋でくびれをつくって、ラスト1週間はお昼の炭水化物も減らしつつ、筋トレも強化するのが私流のメソッド」と、実践的アプローチをやっと語っておきながら、「だけど今回は撮影前にひどい風邪をひいてしまって運動も食事制限も思うようにできなくて」と“言い訳”めいた告白をしています。編集部からは「なんと撮影1週間前にインフルエンザで寝込んでしまったそう。病み上がりとは思えぬオーラ&輝く美肌で、スタッフ一同さらにメロメロ」とフォローまで。こういった裏側の事情を、あえて明かす必要はあったのでしょうか。記事の中でも「ヘルシーさ」や「健康的な魅力」を押し出しているセシルの、インフルでダウン情報……。万全な状態ではないのにハッピーボディのセシルを見せつけられた読者は、ただ別世界の人間にウットリとするしかありません。“ウットリ→ハッピー→私もセクシー!”と考えられたら良いのかもしれませんが、かなりの思考の飛躍が必要です。

 続いての「考えるのはこのことだけ! スタイルUP虎の巻」も、ボディ特集の一環。スタイルアップして見えるファッションを紹介するページです。「ボンキュッボン」「美脚」「美小尻」「美胸」などのキーワードに合わせて服が紹介されているのですが……。例えば「美胸」のコーナー。掲載されている6着全て、胸元がガッツリ開いたノースリーブです。「着るだけで美胸を叶える神TOPS」と謳われていますが、これらを貧乳女子が着たら、かがんだ時に全てが丸見えの大惨事となることが目に見えています。「美脚」コーナーでも、大胆なスリット入りスカート、レース越しに脚が透けるスカートなど、露出の多いアイテムが紹介されています。この特集、「コレを着たら美胸・美脚に見える」というアイテム紹介に見せかけていますが、実のところは「美胸のあなたはコレを着ろ」という、逆説的なもののようです。

 セクシーでなければ、ハッピーに着こなせないアイテムの羅列によって、表紙で示されていた「セクシーだからハッピーになれるのではなくて、ハッピーだからセクシーになれるんだよ!」という教えが、崩れ去っていきました。

■裏設定に萌えるメイク
 先月号でも紹介されていた「うさぎ女子」。うさぎ女子とは「『こっちは計算してるわけじゃないのに、なんだか惑わしちゃう……』的な、ナチュラルボーン・モテ子」であると先月号では紹介されていましたが、今月号では「うさぎ女子」の「うさぎFACE」を作るメイク方法の詳細が明かされています。

 モデルを務めるのは、欅坂46の今泉佑唯と上村莉菜。よく似ていて見分けがつきませんが、今泉が「おてんばうさぎFACE」、上村が「甘えんぼうさぎFACE」を披露しています。うさぎには2種類いるのだということも、初めて知りました。

 「おてんばうさぎFACE」は、「好奇心旺盛でひとつの場所に留まることを知らないから、ちゃんとつかまえないと、遠くに行っちゃっても知らないんだからねっ(ハート)」というキャラ設定。メイクのポイントは「元気系キャロットオレンジとまぁるい瞳」だそうです。もう一方の「甘えんぼううさぎFACE」は、「基本かまってほしいけど、たま~に放っておいてほしい時もある、普段はふわふわしてるのに、ちょっとツンデレ系なわがままもご愛嬌な甘えぼう」という設定で、メイクは「ドキドキさせるつもりはないの。でもじんわり血色感が止まらない!」を表現するため、赤みを目元、頬、そして鼻先にまで乗せたもの。「あ…、今ギューッてしたいって思ったでしょ!?」と、自分に酔ったかのようなリードまで付けられています。

 ぱっと見、流行した「おフェロメイク」との差がわからないのが正直なところですが、こうしたメイクの裏設定(=物語)に気分が上がるのが、「ar」の良い読者となる「ハッピーだからセクシー!」女子なのかもしれません。「うさぎ女子」もブームとなるのか、注目していきたいところです。
(島本有紀子)

四つん這いで、にんじんをくわえる吉岡里帆は「計算じゃない」! 疑問だらけの「ar」モテ指南

 「雌ガール」や「おフェロ」といった新語を生み出してきた20代向けビューティ&ファッション誌「ar」(主婦と生活社)。その「モテよう! 女子力!! 色気出そうぜ!!!」と一切の恥じらいなく発信する世界観は、現在も衰えることなく続行中ですが、5月号のテーマは「可愛くなるチャンスは今! Beauty Addict」。ここ最近のどの号と比べても、大変ざっくりとしたテーマです。さらに誌面のどこを読んでも、なぜ可愛くなるチャンスが今なのか、その根拠は書かれていません。春だからですか? 過ごしやすい時期だからですか? それとも新製品が多く発売される季節なのでしょうか? こういった些細なことにも根拠を求めてしまう女性は、「ar」の世界観とは相容れないように見えますが、実は逆なのではないかと思うのです。なぜなら、一切の論理性を無視したテンションとオシャレっぽい雰囲気に、ただ身を任せることの気持ち良さを感じられるから。そのために、さぁ今月も「ar」を手に取りましょう。

<トピックス>
◎ベビーなエロティック顔がクルーっ(ハート)
◎有村架純、デニムgirlになる
◎モテるよ“ゴルフ女子”

■カタカナ言葉の雰囲気に酔うメイク特集

 ビューティ企画の最初は、メイクアップアーティスト・イガリシノブとモデル・森絵梨佳の“おフェロ”顔ブーム立役者コンビによるページ。今号で提唱される「ベビーなエロティック顔」が、これまでの「おフェロ顔」とどう違うのかは、やっぱりここでもはっきりと示されることはありません。ベビーなエロティック顔とは「最強にソソるオンナ像」であり「ウブでエロスでキュンキュンさせるウワテなベビー顔」だそうですが、この異様なカタカナ多用にどのような効果を持たせたかったのか。そこも、気にせず流しましょう。

 今回のメイク方法は、「自分の主張を押し出さず、キラめきと色に頼り切る」というもの。ベビーのような「ぽや~んとした頼りなさ」を醸し出し、「男子みんなが構いたくなるフレンドリーな愛されオーラ」を発することができるそうです。何度読んでも、ベビーとエロスがイコールでつながりません。ベビーにエロスを感じる男性には普通、犯罪のにおいしか感じないような……?

 しかし、そんなことも考え込んではいけません。思考を停止して「ベビーなエロティック」という、やわらかな文字面の雰囲気だけにときめけばよいのです。そうすると、だんだん気持ちが明るくなってきませんか……? そうは思っていても、1つだけどうしても説明がほしい箇所がありました。水色のネイルが「ベビーなニュアンスを生む」と、特に解説もなく書かれています。なぜ水色ネイルがベビーなのか。編集部に質問状を送りたいまでの衝動にかられます。まったく想像が付かなかったので「水色 ベビー」でネット検索してみたところ、水色のランジェリー(ベビードール)を着たセクシー美女画像がたくさん出てきました。謎は深まるばかりです。

 今号の表紙と巻頭インタビューには有村架純、そして特集には吉岡里帆と、旬な2人の若手女優が登場しています。目次を見てみると「有村架純、デニムgirlになる」「吉岡里帆、うさぎ女子になる」。似すぎています。とっても単純に付けた、転生ものライトノベルのタイトルみたいです。

 まずは有村のインタビューページ、こちらは文字が細い&色が薄すぎて、目を凝らさないと読めません。さらに先へ進んで19ページ、編集部員と有村の対談企画の文字は、1文字が約1.2ミリ幅という超小文字。老眼でなくても、虫眼鏡がほしくなります。有村が「できれば読まないで」と希望している事柄でも語っているのではないかと勘ぐってしまうほどだったので、頑張って全文読んでみましたが、セミヌードになった疑惑の姉・有村藍里について語っているわけでもなく、オンオフの切り替え方や朝ドラの宣伝など通常の内容でした。

 これではっきりしたのは、「ar」にとって大切なのは言葉そのものではなく、文字ヅラ。文字による誌面デザイン。つまり誌面のオシャレさ、雰囲気なのだということでした(しかし有村側はせっかく受けたインタビューをこんなに読みにくい掲載のされ方をして怒らないのだろうか)。

 一方の吉岡は「うさぎ女子」をテーマに、四つん這い体勢で生にんじんを口にくわえたりと、うさぎコスプレを披露しています。メイク特集で赤ちゃんを目指し、こちらではうさぎを目指したり、とにかく「ar」は“男性に守られる女性像”を追い求めているよう。うさぎ女子とは「『こっちは計算してるわけじゃないのに、なんだか惑わしちゃう……』的な、ナチュラルボーン・モテ子」だそうですが、果たして計算ではなく四つん這いで生にんじんをくわえる女性がどこにいるのでしょうか。きっとこの言葉の意味も考えてはいけません。吉岡の可愛らしい写真と、「うさぎ女子」という文字面のほんわかさに酔えば幸せな気持ちになってきますよ。

■やっつけ仕事すぎるゴルフ連載

 見開き2ページの連載物「モテるよ“ゴルフ女子”」8回目の今回は、イケメンゴルファー特集でした。10人の男性ゴルファーを紹介していますが、このページだけやっつけ感が半端ない。ほかのページであれだけおしゃれ感をむんむんさせているのに、レイアウトも写真のチョイスも適当です。イケメンと紹介しておきつつ、お顔がよく見えない写真で掲載されてしまっている方も。お気の毒です。女性を可愛く見せることには全力を注ぐ同誌ですが、男性ゴルファーにはその愛情は注がれない様子。

 言葉の意味も、読みやすさも犠牲にして守られているオシャレな「ar」の誌面。この特集は別の編集プロダクションにでも下請けしているのでしょうか。はたまた連載も8回目を迎え、「ゴルフって別にモテなくない?」などと、編集部側が気づいてしまったのでしょうか。2ページだけが落とし穴のように雑で、現実に引き戻された気持ちになりました。
(島本有紀子)

半目・いびき・大の字はNG! 熟睡中にまで“可愛い”を要求し、女子を追い詰める「ar」

<p> 先月号では、表紙を飾った女優・有村架純に「arはどの雑誌よりも、色があって独自の路線を確立されてるイメージ」「arは振り切っているイメージもあるんですが、女の子が大好きな“キュン”をする世界観を表現していらっしゃる」と、とってつけたように賞賛させていた「ar」(主婦と生活社)。今月号も新垣結衣に「アールのカバー初登場、光栄です! 明確なコンセプトがあり、振り切っている印象があるので……」と言わせていました。「振り切っている」という言葉がよほどお好きなようですが、さて今月号ではどんな振り切り方を見せてくれているでしょうか。</p>

「ar」創刊20周年記念号、“内輪ネタと編集者アゲのどんちゃん騒ぎ”でいいの?

<p> 今月号は「ar」(主婦と生活社)創刊20周年記念号。ということで、平素から浮かれ気味の「ar」が、よりいっそう「祭り」とばかりに浮かれ騒いでいます。20周年記念企画「ウラアール」では、「なんでもarアワード」と題し、モデルをはじめ、フォトグラファー、スタイリスト、ヘアメイク、ライターといった裏方に至るまで何人も顔出し登場し、賞をあげています。</p> <p> その賞というのが、「いつでも真剣勝負で賞」「スタイリングに愛があるんだよ大賞」「取材力最強・最高大賞」などなど、制作側として当たり前じゃんというものから、「撮影中に人生相談にのってくれるで賞」「飲むとめちゃくちゃ気前よくなるで賞」といった内輪ウケのものまで……。その浮かれ具合が、読んでいてツラくなりました。</p>

「モテるために趣味を」と啓蒙する「ar」を覆した、ジビエ女子・釣り女子のガチっぷり

<p> 今月の「ar」(主婦と生活社)はヘアスタイル特集。その前に先月号から連載が始まった「雌ガールのミーハーこそすべて」をチェック。“雌ガールが最近気になること”をジャンルにこだわらずにフィーチャーするというページなんですが、今月は「夏だ! 浴衣だ! 水着だ~!!」というテーマでした。浴衣や水着って、別に“ミーハー”でも“最近気になること”でもなんでもなく、毎年のように夏に繰り返される話題ですよね。連載タイトルの意味がサッパリわからないのですが、内容も「浴衣を着た時に首とか横顔がスッとしてきれいな子ってポイント高い。二重あごとか、首の肉とか、正直論外っす。スミマセン」「やはり(水着の)永遠の憧れは黒&三角。そしてサイドの紐がほどけたら…なんて(はぁと) あぁ~こんな子と海行きたい!」という気持ちが悪い男の意見ばかり掲載していてゲンナリ。首がスッとした子が好きなら、キリンとセックスしとけ。</p>

「バージンピンクな粘膜」「チュルピカ」「Oh! Yes Yes Yes」、「ar」7月号は絶賛発情中!

<p> 今月号の「ar」(主婦と生活社)は「Sexy SUMMER GIRL’S Talk」と表紙にデカデカと掲げるほど解放感MAX。いや、解放感というよりもはや発情。目次を見ても「お色気アレンジ塾」「夏のエロ髪は質感勝負」「うちで一番エロいの、コレです」「色気を醸す声と話術」と包み隠さないエロ推しで、「Sexy特集」というより「いかにSexに持ち込むか特集」。「真夏のエリカ」「ar的ネアカな色気ある女の子」「おフェロなパンツ物語」などのメインとなるファッションページでは肩出し、背中出し、足出し、腹出し、谷間見せ……毎日これらのコーディネートをしてたら、間違いなく友人・同僚に露出癖認定されそうです。</p>

おフェロ顔で読者を呼び込み、美容情報は迷信と口コミだらけ! 「ar」の残念ビューティ特集

<p> 最近、目の下を真っ赤に染めたおフェロメイクの若い女性を見かけます。「一応はやってるし~」ということなんでしょうけど、おフェロメイクはおフェロっぽいシチュエーション、ポーズ、表情で撮影したグラビアだからこそ生きるわけで、その顔で電車に乗ってもコンビニでリアルゴールドを買っても全然おフェロでもなんでもなく、チークがやたら濃い人でしかないんですよね~。そんなんでいいのかと疑問に思っていたら、Twitterやインスタグラムで検索すると、おフェロメイクでタコチュー口をした自撮りがわんさか出てきました。なるほど、みなさんリアルでどう見えるかより、SNS相撲で勝てればいいわけなんですね! 今月号は、そんなセルフィー序二段必見のビューティ特集号です。</p>

オシャレな表紙とハイテンション造語でごまかされてる、「ar」の“今じゃない”ジェンダー観

<p> 今月号のテーマは「春の服を着よう!!!」というファッション特集です。表紙&グラビアを飾るのは、長澤まさみ。「ヘアスタイルは、今の自分に似合う似合わないという考え方では決めない!」「女友達の前と好きな男性の前とで、身なりや態度が違っていても、私はいいと思うんです」「(2015年の)テーマは『シャキらら!』。しゃっきり&だらんのメリハリをエンジョイしたいです★★」など、長澤まさみのあの顔、あのバディがないと口にできないオリジナリティあふれるおしゃれ論が語られています。読んだところでなにひとつ参考にならないのですが、「Q.身体をキレイに保つ日常の心がけは?」という質問に、「所作は人を表すっていいますよね。女子は、がさつなのが一番よくないかも」と回答していたところでは、ぐうの音も出なかったです。キレイじゃない上に、がさつ、最悪ですね。ああ、スミマセン。</p>

「男はみんな浮気する」「男はいつまでも怒られたい」、男目線を持ち出した「ar」の恋愛特集

<p> 「ar」(主婦と生活社)3月号のテーマは「愛あるオンナ一直線」。1冊まるごと恋愛特集です。表紙&グラビアを飾る石原さとみも、恋愛相談に答えています。これが意外にも読者と同じ目線で、理論ではなくリアルな恋愛経験に基づいた的確な答えで、石原の恋愛強者感もよく表れていました。たとえば、優柔不断な彼に結婚を詰め寄っていいかどうか、「自分が結婚したいって思ってるんだったら、ハッキリと言っていいと思う」とした上で、「面白くカジュアルに。重くなりすぎないのが大事」と回答。元カレと再会したら「客観視して、ひとつのドラマのようにとらえる」「思い切って、オープンリアクションして、ちゃんとその場を楽しむ」など。“恋愛カウンセラー”みたいな肩書きの人にきれいごとを言われるより、ずっと実践的かもしれません。</p>