首都圏の大学でカルト新聞4000部を無断配布

tokyou02.jpg 宗教、洗脳、自己啓発セミナー、悪徳商法……身近に潜むニッポンのカルトな風景に「やや日刊カルト新聞」の藤倉善郎がゆる~く切り込む!  新聞といえば、契約を取るためには押し売りや悪徳商法まがいのことすらする悪名高き「新聞拡張団」の存在なしには語れません。新聞社とは別に、新聞の定期購読のための訪問販売を行う勧誘員集団です。有名新聞すらも「インテリが作ってヤクザが売る」と揶揄されるゆえんです。  しかし筆者が主宰する「やや日刊カルト新聞」は、トークイベントやコミケでお客様を待ち構える“受け”の販売しかしてきませんでした。新聞を名乗るからには、新聞拡張団のような“攻め”の姿勢も見せたいところ。というわけで、今年4月の約1カ月間、首都圏の大学を回って無断で新聞を配りまくるという活動をやってみました。  春先の大学では、大学生活のダークサイドをまだ知らない無垢な新入生を狙って、一般的な学生サークルに紛れてさまざまなカルト団体が勧誘攻勢をかけます。そこで大学生に向けて、カルト団体の名称や手口を伏字なしで掲載しまくった「やや日刊カルト新聞 2013年新入生歓迎特別版」を配りまくってやろうというわけです。 ■限界への挑戦  近年、全国の大学でカルト対策の機運が高まっています。2009年に設立された「全国カルト対策大学ネットワーク」には160以上もの大学が参加し、相互にカルト情報を交換しています。各大学で対策内容は違いますが、学生に注意を呼びかける掲示や配布物は基本中の基本。中には、学生向けにカルト問題に関する講義を開催したり、ガイダンスなどでカルト問題の専門家の講演を入れたりする大学も。カルト団体のダミーサークルに対して大学の公認を取り消した大学もあれば、サークルによる勧誘活動を届出制にしたり勧誘活動期間を定めてそれ以外の勧誘を許さないようにしつつ、大学職員が監視の目を強めたり。  とにかく、多くの大学が、カルト対策を頑張っています。  しかし限界はあります。ちょっとディスるとすぐ抗議してくるカルト団体のこと。大学側も警戒して、団体名を名指しして学生に注意を促すなどの対応はなかなかできません。  そこで、「やや日刊カルト新聞 2013年新入生歓迎特別版」では、統一教会、摂理、顕正会、親鸞会、ヨハン教会連合(ヨハン早稲田キリスト教会)、オウム真理教(アレフ)、幸福の科学、創価学会を名指し。大学での活動の問題を指摘し、学生に注意を呼びかけるため、無料で配布することに決めました。しかもカルトが大学に抗議することがないように、大学には無断で、カルト新聞の責任において勝手に配布することにしました。 tokyou01.jpg ■国公立大学ではやりたい放題  最もやりたい放題だったのは、東京大学駒場キャンパス。1限目が始まる前に、新入生の授業がある教室の机に新聞を置きまくりました。それが終わると、今度は構内の路上で「やや日刊カルト新聞」ののぼりを掲げ、授業に出席するためにやってきた学生たちに新聞を手渡し。最後は、学内の掲示板に勝手に新聞を貼りまくりました。  これだけやっても、大学の職員も教員も警備員も、誰も何も言ってきません。そりゃあ、カルト勧誘もやりたい放題になるわけです。  同じように警備が緩かったのは、首都大学東京や一橋大といった国公立大学です。私立大学は、あからさまに警備員が巡回していたりして、敷地内での配布は困難でした。早稲田大学や明治大学などでは、校門前の公道で配布を中心に行いました。基本的に複数人で配布していた上に、週刊誌やテレビの人が新聞配布の様子を取材しに来たりするなどしていたので、はた目にはずいぶん賑やかだったのではないかと思います。 syutou.jpg  明治大学では、大学職員たちが何人も出てきて、遠巻きにこちらを見守っていたりしました。  「カルト新聞」とでっかく書かれたオレンジ色ののぼりを立てて、謎の新聞を配る集団。そりゃあ大学関係者も怪しむでしょう。しかし学生の反応は案外よく、そこいらの資格の専門学校のティッシュなんかより、よっぽどたくさん受け取ってもらえました。通り過ぎた後、新聞を受け取るためにわざわざ引き返してくる学生もいました。筆者が悪ふざけして、 「カルト新聞だよ! 呪いのカルト新聞だよ! 読まないと地獄に落ちるよ!」 「恐怖新聞です!」 「日本一怪しい新聞配ってます!」 などと叫んでいたものだから、我々のことをカルトだと思った学生も多かったようです。しかし、それはそれで学生たちは喜んでくれました。通りがかった大学の先生が、「私の授業で学生に配る」と言って、ごっそり持って行ってくれたこともありました。「カルト新聞(のウェブサイト)読んでます!」とか「藤倉さんの本読みましたよ!」という学生もちらほらいて、中にはサインを求めてくる新入生まで…… ■創価大学前で警察沙汰に soukau02.jpg  この新聞配布活動は、「やや日刊カルト新聞」のウェブサイト上で予告したのですが、「○○大学で配ってほしい」という匿名のリクエストがいくつか寄せられました。その中に創価大学もありました。  創価大学の学生自体が、そもそもカルト信者じゃないのかという声もあるかもしれません。しかし創価大学の学生だって、統一教会などの街頭勧誘に出くわすことはありますし、某カルト団体が創価大学でビラまきを行ったことがあるという情報もありました。創価学会の信者とはいえ、彼らが他のカルト団体の勧誘に引っかかるのを見て見ぬふりはできません。  創価大学の学生もカルトから守らねば。そんな使命感に燃えて、筆者は八王子にある創価大学の正門前に立ちました。  しかし新聞を配るより前に、のぼりを掲げた時点で大学の職員が飛んできました。あっという間に2~3人の職員に囲まれ、「許可は取っているのか」「迷惑だからやめろ」と威圧されます。構わず新聞を配り始めると、職員たちはビデオカメラでこちらを撮影し始めました。ずいぶん手際がよくビデオカメラが出てくるものです。 soukau01.jpg  筆者と一緒に新聞を配っていた本紙・エイト記者に、職員が詰め寄ります。 「これ、これ! うちの!」  職員が指さす先には、「やや日刊カルト新聞」の「カルト教団」という大見出しや麻原彰晃受刑者、大川隆法総裁に並んで、池田大作先生の御顔が。 「ああ、池田大作さんですね」(エイト記者)  職員は、筆者に対しても「うちのどこがカルトなんだ! 説明してみなさいよ」と詰め寄ってきます。配布している紙面に、他大学に通う創価学会の信者学生が大学祭に偽装出店して宣伝活動をしていることが書かれていました。偽装伝道・偽装勧誘をしている時点で反社会的です。 「どこがカルトなのか、この新聞に書いてあるので読んでください」(筆者) 「読まないよ。あんたが自分で書いたんだろ。だったら説明しなさいよ」(職員) 「だから新聞を読んでください。読んでわからなければ質問してください」(筆者)  こんなやり取りをしながら新聞を配っているうちに、筆者たちを見張る職員の数は5~6人に。道の反対側から遠目に見張っている職員を含めると8人はいそうな勢いです。職員たちはしきりに「警察呼んだから」「警察まだ来ないな」と繰り返します。  他大学でも同じように新聞を配ったのですが、こんな対応をされたのは後にも先にも創価大学だけです。  そのうち学生の流れも少なくなったので引き揚げようと思ったのですが、「警察呼んだなら、警察が来るまで立ち去らないほうがいいですね」と言って、まばらになった学生たちに新聞を配り続けました。  創価大学の学生たちも、案外と新聞を受け取ってくれました。通りすぎてから引き返してきて新聞を受け取っていった学生もいました。職員が「受け取らないでいいですよ~」と言って、配布活動を妨害していたのですが、あまり効果はなかったようです。 soukau03.jpg  やがて警察が来たので、筆者たちは身分、目的、新聞の内容を全て正直に説明。警察官は「公道であっても、道路を占有するのだから警察の許可がいる」と言うのですが、こちらは道路を占有などしていません。通行の妨害も一切していません。それでも、どのみち引き揚げようとしていた矢先だったので、「とりあえず今日のところは収めてよ」という警察の言葉に従って、配布活動を終え、その場を後にしました。 ■トイレ貸してください  最近、やや日刊カルト新聞の編集部では、カルトの施設を見ると猛烈に尿意を催すという奇病が流行しています。  少し前、筆者が雑誌で書いた記事に幸福の科学が抗議してきて担当編集者を総合本部に呼び出したのですが、記事執筆者である筆者の同席を拒否しました。そこで筆者は、幸福の科学総合本部の前で「幸福の科学 DON'T IGNORE ME(私をシカトしないで)」というプラカードを首から下げて、「私に抗議して」という抗議活動を行いました。  教団広報との話し合いの末、とりあえず抗議活動を終了して撤収しようとしたのですが、その際、同行していたエイト記者を猛烈な尿意を襲います。すぐそばにコンビニは見えません。しかし幸福の科学は昨年末から、やや日刊カルト新聞の記者を全員出入禁止にしています。 「トイレ貸してくれませんか。漏れそうでヤバイんです」(エイト記者) 「仕方ありません。人道的配慮です」(教団広報)  エイト記者は「人道的というか、尿道的に助かった」と、幸福の科学に感謝していました。「幸福の科学総合本部のトイレに入ったら、心が洗われたような気分になった。手を洗うのは忘れた」とも言っていました。  創価大学の前で新聞を配り終え、警察への説明も終えて帰ろうとした時、今度は筆者が尿意発作に襲われました。 「トイレ貸してもらえませんか」(筆者) 「そういうことはしてません」(創価大学職員) 「幸福の科学は貸してくれましたよ」(筆者) 「うちは違いますから」(創価大学職員)  筆者たちは新聞配布後、正門向かいにある富士美術館(設立者:池田大作氏)で絵画を鑑賞する予定だったのですが、まだ開館していませんでした。警備員に「先にトイレだけ貸してもらえませんか」とお願いしましたが、警備員は「ちょっと待って」と言って立ち去り、そのまま開館時間まで筆者を放置しました。  開館後、ダッシュでトイレに駆け込みました。それでなんとか事なきを得たからいいようなものの、創価学会の関連組織は実に非尿道的であると言わざるを得ません。 ■「カルトな新聞拡張団」反省会  結局、この4月は首都圏10大学11キャンパスで計4000部以上を配布しました。新聞のデータをネット上で公表し、読者にも印刷と配布を呼びかけたのですが、ここでは1000部を印刷して配ってくれた読者がいたほか、北海道や愛知県の大学でも配布してくれた読者がいたようです。  中でも東京大学では、3回にわたって計2000部近くを配布しました。大学側の監視がゆるゆるだったという理由のほかに、現役学生の手引きと支援があったことが大きな要因でした。実際、東京大学は実にさまざまなカルトから狙われている(カルトも優秀な学生を欲しがっているのでしょう)ので、実にありがたい支援でした。  その現役東大生との雑談中、こんなプランが持ち上がりました。 「大学内で学生の手による“カルト新聞愛読者の会”のようなサークルを作ってもらい、来年度は学生の手による学内配布を目指してはどうか」 「カルト新聞の関連団体だと思われないように、“カルト新聞を糾弾する会”のほうがよくないか」 そこで6月6日、阿佐ヶ谷ロフトAで、やや日刊カルト新聞主催のトークイベント「カルトな新聞拡張団・営業反省会」を開催することにしました。今回の新聞配布活動に協力してくれた読者有志を招いて配布活動の報告と反省。さらに、来年に向けて、学内サークルの設立や配布活動に協力してくれる学生を大募集しようと思っています。 イベントには学割料金も設定したので、興味ある学生さんの参加をお待ちしています。もちろん単なる冷やかしも大歓迎ですが、「カルトな新聞拡張団」に参加表明してくれた方には、洗剤あげます。 「カルトなニッポン見聞録」過去記事はこちらから ●ふじくら・よしろう 1974年生まれ。東京出身。0型の乙女座。宗教やスピリチュアル団体をめぐる「カルト問題」を取材するフリーライター。ニュースサイト「やや日刊カルト新聞(http://dailycult.blogspot.jp/)」主筆。著書に『「カルト宗教」取材したらこうだった』(宝島社新書)。 ●やや日刊カルト新聞社主催「カルトな新聞拡張団・営業反省会」 【日時・料金】 2013年6月6日(木) OPEN 18:30 / START 19:30 前売¥1,500/当日¥1,600/学割¥1,000(全て飲食代別) ※学割料金:高校、高専、大学、短大、専門学校の学生証提示 前売りチケットはローソンチケット【L:39297】、ロフトAウェブ予約にて、5月3日より発売開始!! 問合せTEL:03-5929-3445(阿佐ヶ谷ロフトA) 【会場】 阿佐ヶ谷ロフトA 東京都杉並区阿佐谷南1-36-16-B1 JR中央線阿佐谷駅パールセンター街徒歩2分 【出演】 藤倉善郎(やや日刊カルト新聞社主筆) 鈴木エイト(やや日刊カルト新聞社副代表) アンチ創価学会活動家 アンチ民青活動家 ほか交渉中!! これまでネットで書き散らかしたりコミケやイベントで新聞を販売するだけだった「やや日刊カルト新聞」。それがこの4月、突如として首都圏の大学で学生に新聞を無断配布する暴挙に出た。目的は「学生をカルト勧誘から守るため」。首都圏10大学11キャンパスで計4000部以上をばらまき、さらに読者有志が北海道、埼玉県、愛知県で計1000部以上を配布。ところが、やや日刊カルト新聞メンバーが勢い余って創価大学でも新聞を無断配布して通報され警察沙汰になるわ、配達途中の主筆が交通違反で警察に捕まるわ、カルト団体から痴漢冤罪工作を計画されるわ、学生から鼻で笑われるわ。そんな“カルトな新聞拡張団”の大反省会。来年はもっと計画的に大学で新聞を配布するため、学内サークル設立協力者の学生を大募集! 今なら押し紙10部と洗剤差し上げます。

偽装勧誘する韓国系カルトの人を勧誘してみた

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ヨハン岡山教会
宗教、洗脳、自己啓発セミナー、悪徳商法……身近に潜むニッポンのカルトな風景に「やや日刊カルト新聞」の藤倉善郎がゆる~く切り込む!  ヨハン教会連合という韓国系のキリスト教団があります。本部は東京・新宿区にあり、本部がある教会「ヨハン早稲田キリスト教会」という名前でよく知られています。全国に教会を持ち、各教会は所在地名を冠して「ヨハン○○キリスト教会」と名乗っています。一般的にはあまり有名な宗教団体とはいえないのですが、団体名を隠して大学構内で勧誘活動をすることから、全国の大学では統一教会などと並んで「5大キャンパス・カルト」に数えられる、悪名高い教団です。さて、偽装勧誘をするカルト団体の信者を、カルト問題を考えるシンポジウムに逆勧誘してやったら、どうなるのでしょうか? ■大学関係者も頭を悩ます  ヨハン教会は、同じく新宿区にある淀橋教会の韓国人牧師と信者が独立して設立したものです。現在、日本人に対しても勧誘活動を行うほか、日本に来た韓国人留学生などにも勧誘を行っています。  特に問題視されているのは、大学生に対する勧誘です。ヨハン教会の場合、大学内でヨハン教会であることを明示せずにゴスペルコンサートなどを開催して学生を集め、ビラを配って教会のイベントに誘導して勧誘するという手法が問題視されています。また、こうした学内勧誘の際に大学の教室等を利用することもあります。その際、ヨハン教会であることを隠して大学に教室使用を申請したり、部外者による学内イベント開催を禁じている大学において、学生ではない教会関係者を動員してイベントを行ったり。そもそも教室等の利用申請すらもせずに無断で乗り込んできてイベントを行うこともあります。 「あるときは、学生からの通報で、彼らが学内で無許可のコンサートを行っているとわかり、大学職員が現場に駆けつけましたが、すでに逃げた後。学生ではない人間もいたようなので、完全な不法侵入ではないでしょうか。最近は、“ゴスペル”と称してこういうことをやるのはヨハン教会だと大学側にバレバレであることが彼らもわかっているようで、“ゴスペル”という言葉を使わずに音楽演奏などをしてビラを配っています」(ある大学の関係者)  学内サークルなら、代表者の学生でも呼び出して注意することもできますが、部外者が大学に乱入してゲリラ的に“やり逃げ”されると、大学としてもなかなか捕捉しにくいようです。 ■偽装勧誘カルトを勧誘してみた  カルト問題に取り組む弁護士やカウンセラー、宗教者や研究者でつくる「日本脱カルト協会(JSCPR)」という団体があります。この団体でも、大学におけるカルト問題は問題視されており、2012年6月には岡山で同協会主催の公開講座「大学でカルトに入った私たち」が開催されました。大学生時代にカルトに入信した経験を持つ脱会者たちが自らの体験を語る、というものです。  実はこの公開講座の会場から徒歩5分ほどのところに、ヨハン教会の支部である「ヨハン岡山キリスト教会」がありました。同教会もまた、地元岡山の大学で団体名を明示しない勧誘活動を行っています。  そんな団体の拠点のすぐそばで日本脱カルト協会が「キャンパス・カルト」に関する公開講座を行うとは、まさに神のお導き。ヨハン教会の関係者を公開講座に勧誘せよ、との啓示だと考えた私は、公開講座が始まる前にヨハン岡山キリスト教会に行ってみました。代表者は不在とのことで、女性信者が対応してくれました。 ──今日これから、大学でのカルト問題をテーマにした公開講座があるのですが、全国の大学で問題視されている団体としてコメントください。 「ぶしつけですね。私たちは本当の聖書の教えを伝える教会で、カルトではありません」 ──ぶしつけですいません。たまたま会場の近くに教会があったので、もののついでに寄りました。教えが本当かどうかはどうでもいいのですが、団体名を名乗らずに大学生を勧誘したり大学に無届けで教室を使って演奏をしたりしていて、全国の大学で問題視されています。 「私たちは、教会であること、クリスチャンであることはちゃんと言っています」 ──ヨハン教会だと、きちんと名乗っていますか? 「名乗っています。チラシにもきちんと書いています」  後で岡山大学の関係者に確認したところ、信者のこの説明は大ウソでした。 「ゴスペルコンサートがあるとか、韓国料理を作るサークルだなどと言って学内で勧誘していて、ヨハン教会だとは名乗っていません。大学側が彼らの勧誘を見かけたら、すぐ追い出すようにしています」(岡山大学の関係者)  それはそれとして、本題の勧誘です。 ──もしよかったら、これから公開講座があるので、それに来ていただければ大学のカルト問題がどういうものかわかると思います。 「代表はいま人と会いながら食事中なので、伝えておきます」 ■来てくれた!  日本脱カルト協会の公開講座では統一教会、摂理(MS教)、浄土真宗親鸞会の脱会者たちが、カルトの勧誘手口、カルト入信時代の活動、そこで得たものや失ったものなどについて、かなり具体的で率直な内容が語られました。いずれも正体を隠した勧誘によって入信した人々でした。  終了後、受付付近で知人たちに挨拶をしていたところ、2人組の女性が私に声をかけてきました。先ほどのヨハン岡山キリスト教会の女性信者と、岡山教会代表者の韓国人女性です。どうやら、私の勧誘に乗って本当に来てくれたようでした。 ──来てくださったんですね、ありがとうございます。 「いいイベントでした。最後は、宗教は必要だという結論でしたね」  公開講座では、フロアからの「宗教は必要か」という質問に対して、出演者が「自分には必要」「自分には必要ないが、必要とする人がいるのはいいと思う」と答えていました。いずれも「人による」という文脈なのですが、ヨハン教会の人たちは自分に都合のいい部分しか耳に入らなかったようです。 ──さっきヨハン岡山キリスト教会は団体名を名乗って勧誘していると言っていましたが、岡山大学の人にいま聞いたら、名乗ってないと言ってましたよ。 「そんなことないです。名乗っています」 ──ヨハン早稲田キリスト教会が、団体名を隠して勧誘していることも、私自身が直接取材で確認しています。 「東京(の早稲田教会)は人がたくさんいるので、個人がそういうことをしていても教会にはわからないです。それは個人の問題です」 ──個人であっても、ヨハンに人を誘っているわけですよね。ヨハン教会は、信者の指導もできない無責任な教会だということになりますが。 「ただ、私たちは本当のキリスト教を広めるために活動しているので、カルトとは違います」  問題は、「本当のキリスト教」であるかどうかではありません。正体を隠して相手を騙していることが問題なのです。偽装勧誘をするのが「本当のキリスト教」なのであれば、むしろキリスト教はまるごとカルトだという話になってしまうのですが。 ■すんごい抗議が来た  とにもかくにも、大学生を偽装勧誘するカルト団体の人を、こちらが勧誘することに成功しました。というわけで、私は「やや日刊カルト新聞」で「本紙記者らがヨハン教会信者の勧誘に成功!」という記事を書いて掲載しました。  記事を載せてしばらくたってから、ヨハン岡山キリスト教会の代表者が、すごい剣幕で私に電話をかけてきました。 「なぜ勧誘に成功したなんて、まるであなた方が私たちに勝利したかのような記事を書くんですか! やめてください!」 ──勧誘に成功したのは事実ですし。別に勝利したなんて書いてませんが。 「私たちは自分の意思でシンポジウムに行ったのです。あなたから誘われて、それで自分の意思で行きました」 ──いやだから、僕に誘われて来たんだから勧誘されたということでしょう。  どうもヨハン教会の人たちにとって「勧誘」とは相手の意思に反して行うものであり、勧誘に成功するというのは相手に「勝利」することのようです。日頃の彼らが、どういう姿勢で勧誘活動をしているのか、よくわかります。 「とにかく、今後こういうことのないように気をつけてください!」 ──記事にはなんの問題もないので、今後も特に何も気をつける気はありません。これからも同じように、あなた方のことを記事にしたいです。 「どうしてですか! おかしいです! 私たちはただイエスの教えを伝えているだけで………」  とにかくもう話が通じない上に、狂ったような金切り声でまくし立ててきます。面倒くさくなって、こちらから一方的に電話を切りました。  また何か機会があったら、ヨハン教会の人を勧誘しにいこうと思います。 「カルトなニッポン見聞録」過去記事はこちらから ●ふじくら・よしろう 1974年生まれ。東京出身。0型の乙女座。宗教やスピリチュアル団体をめぐる「カルト問題」を取材するフリーライター。ニュースサイト「やや日刊カルト新聞(http://dailycult.blogspot.jp/)」主筆。著書に『「カルト宗教」取材したらこうだった』(宝島社新書)。

偽装勧誘する韓国系カルトの人を勧誘してみた

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ヨハン岡山教会
宗教、洗脳、自己啓発セミナー、悪徳商法……身近に潜むニッポンのカルトな風景に「やや日刊カルト新聞」の藤倉善郎がゆる~く切り込む!  ヨハン教会連合という韓国系のキリスト教団があります。本部は東京・新宿区にあり、本部がある教会「ヨハン早稲田キリスト教会」という名前でよく知られています。全国に教会を持ち、各教会は所在地名を冠して「ヨハン○○キリスト教会」と名乗っています。一般的にはあまり有名な宗教団体とはいえないのですが、団体名を隠して大学構内で勧誘活動をすることから、全国の大学では統一教会などと並んで「5大キャンパス・カルト」に数えられる、悪名高い教団です。さて、偽装勧誘をするカルト団体の信者を、カルト問題を考えるシンポジウムに逆勧誘してやったら、どうなるのでしょうか? ■大学関係者も頭を悩ます  ヨハン教会は、同じく新宿区にある淀橋教会の韓国人牧師と信者が独立して設立したものです。現在、日本人に対しても勧誘活動を行うほか、日本に来た韓国人留学生などにも勧誘を行っています。  特に問題視されているのは、大学生に対する勧誘です。ヨハン教会の場合、大学内でヨハン教会であることを明示せずにゴスペルコンサートなどを開催して学生を集め、ビラを配って教会のイベントに誘導して勧誘するという手法が問題視されています。また、こうした学内勧誘の際に大学の教室等を利用することもあります。その際、ヨハン教会であることを隠して大学に教室使用を申請したり、部外者による学内イベント開催を禁じている大学において、学生ではない教会関係者を動員してイベントを行ったり。そもそも教室等の利用申請すらもせずに無断で乗り込んできてイベントを行うこともあります。 「あるときは、学生からの通報で、彼らが学内で無許可のコンサートを行っているとわかり、大学職員が現場に駆けつけましたが、すでに逃げた後。学生ではない人間もいたようなので、完全な不法侵入ではないでしょうか。最近は、“ゴスペル”と称してこういうことをやるのはヨハン教会だと大学側にバレバレであることが彼らもわかっているようで、“ゴスペル”という言葉を使わずに音楽演奏などをしてビラを配っています」(ある大学の関係者)  学内サークルなら、代表者の学生でも呼び出して注意することもできますが、部外者が大学に乱入してゲリラ的に“やり逃げ”されると、大学としてもなかなか捕捉しにくいようです。 ■偽装勧誘カルトを勧誘してみた  カルト問題に取り組む弁護士やカウンセラー、宗教者や研究者でつくる「日本脱カルト協会(JSCPR)」という団体があります。この団体でも、大学におけるカルト問題は問題視されており、2012年6月には岡山で同協会主催の公開講座「大学でカルトに入った私たち」が開催されました。大学生時代にカルトに入信した経験を持つ脱会者たちが自らの体験を語る、というものです。  実はこの公開講座の会場から徒歩5分ほどのところに、ヨハン教会の支部である「ヨハン岡山キリスト教会」がありました。同教会もまた、地元岡山の大学で団体名を明示しない勧誘活動を行っています。  そんな団体の拠点のすぐそばで日本脱カルト協会が「キャンパス・カルト」に関する公開講座を行うとは、まさに神のお導き。ヨハン教会の関係者を公開講座に勧誘せよ、との啓示だと考えた私は、公開講座が始まる前にヨハン岡山キリスト教会に行ってみました。代表者は不在とのことで、女性信者が対応してくれました。 ──今日これから、大学でのカルト問題をテーマにした公開講座があるのですが、全国の大学で問題視されている団体としてコメントください。 「ぶしつけですね。私たちは本当の聖書の教えを伝える教会で、カルトではありません」 ──ぶしつけですいません。たまたま会場の近くに教会があったので、もののついでに寄りました。教えが本当かどうかはどうでもいいのですが、団体名を名乗らずに大学生を勧誘したり大学に無届けで教室を使って演奏をしたりしていて、全国の大学で問題視されています。 「私たちは、教会であること、クリスチャンであることはちゃんと言っています」 ──ヨハン教会だと、きちんと名乗っていますか? 「名乗っています。チラシにもきちんと書いています」  後で岡山大学の関係者に確認したところ、信者のこの説明は大ウソでした。 「ゴスペルコンサートがあるとか、韓国料理を作るサークルだなどと言って学内で勧誘していて、ヨハン教会だとは名乗っていません。大学側が彼らの勧誘を見かけたら、すぐ追い出すようにしています」(岡山大学の関係者)  それはそれとして、本題の勧誘です。 ──もしよかったら、これから公開講座があるので、それに来ていただければ大学のカルト問題がどういうものかわかると思います。 「代表はいま人と会いながら食事中なので、伝えておきます」 ■来てくれた!  日本脱カルト協会の公開講座では統一教会、摂理(MS教)、浄土真宗親鸞会の脱会者たちが、カルトの勧誘手口、カルト入信時代の活動、そこで得たものや失ったものなどについて、かなり具体的で率直な内容が語られました。いずれも正体を隠した勧誘によって入信した人々でした。  終了後、受付付近で知人たちに挨拶をしていたところ、2人組の女性が私に声をかけてきました。先ほどのヨハン岡山キリスト教会の女性信者と、岡山教会代表者の韓国人女性です。どうやら、私の勧誘に乗って本当に来てくれたようでした。 ──来てくださったんですね、ありがとうございます。 「いいイベントでした。最後は、宗教は必要だという結論でしたね」  公開講座では、フロアからの「宗教は必要か」という質問に対して、出演者が「自分には必要」「自分には必要ないが、必要とする人がいるのはいいと思う」と答えていました。いずれも「人による」という文脈なのですが、ヨハン教会の人たちは自分に都合のいい部分しか耳に入らなかったようです。 ──さっきヨハン岡山キリスト教会は団体名を名乗って勧誘していると言っていましたが、岡山大学の人にいま聞いたら、名乗ってないと言ってましたよ。 「そんなことないです。名乗っています」 ──ヨハン早稲田キリスト教会が、団体名を隠して勧誘していることも、私自身が直接取材で確認しています。 「東京(の早稲田教会)は人がたくさんいるので、個人がそういうことをしていても教会にはわからないです。それは個人の問題です」 ──個人であっても、ヨハンに人を誘っているわけですよね。ヨハン教会は、信者の指導もできない無責任な教会だということになりますが。 「ただ、私たちは本当のキリスト教を広めるために活動しているので、カルトとは違います」  問題は、「本当のキリスト教」であるかどうかではありません。正体を隠して相手を騙していることが問題なのです。偽装勧誘をするのが「本当のキリスト教」なのであれば、むしろキリスト教はまるごとカルトだという話になってしまうのですが。 ■すんごい抗議が来た  とにもかくにも、大学生を偽装勧誘するカルト団体の人を、こちらが勧誘することに成功しました。というわけで、私は「やや日刊カルト新聞」で「本紙記者らがヨハン教会信者の勧誘に成功!」という記事を書いて掲載しました。  記事を載せてしばらくたってから、ヨハン岡山キリスト教会の代表者が、すごい剣幕で私に電話をかけてきました。 「なぜ勧誘に成功したなんて、まるであなた方が私たちに勝利したかのような記事を書くんですか! やめてください!」 ──勧誘に成功したのは事実ですし。別に勝利したなんて書いてませんが。 「私たちは自分の意思でシンポジウムに行ったのです。あなたから誘われて、それで自分の意思で行きました」 ──いやだから、僕に誘われて来たんだから勧誘されたということでしょう。  どうもヨハン教会の人たちにとって「勧誘」とは相手の意思に反して行うものであり、勧誘に成功するというのは相手に「勝利」することのようです。日頃の彼らが、どういう姿勢で勧誘活動をしているのか、よくわかります。 「とにかく、今後こういうことのないように気をつけてください!」 ──記事にはなんの問題もないので、今後も特に何も気をつける気はありません。これからも同じように、あなた方のことを記事にしたいです。 「どうしてですか! おかしいです! 私たちはただイエスの教えを伝えているだけで………」  とにかくもう話が通じない上に、狂ったような金切り声でまくし立ててきます。面倒くさくなって、こちらから一方的に電話を切りました。  また何か機会があったら、ヨハン教会の人を勧誘しにいこうと思います。 「カルトなニッポン見聞録」過去記事はこちらから ●ふじくら・よしろう 1974年生まれ。東京出身。0型の乙女座。宗教やスピリチュアル団体をめぐる「カルト問題」を取材するフリーライター。ニュースサイト「やや日刊カルト新聞(http://dailycult.blogspot.jp/)」主筆。著書に『「カルト宗教」取材したらこうだった』(宝島社新書)。

偽装勧誘する韓国系カルトの人を勧誘してみた

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ヨハン岡山教会
宗教、洗脳、自己啓発セミナー、悪徳商法……身近に潜むニッポンのカルトな風景に「やや日刊カルト新聞」の藤倉善郎がゆる~く切り込む!  ヨハン教会連合という韓国系のキリスト教団があります。本部は東京・新宿区にあり、本部がある教会「ヨハン早稲田キリスト教会」という名前でよく知られています。全国に教会を持ち、各教会は所在地名を冠して「ヨハン○○キリスト教会」と名乗っています。一般的にはあまり有名な宗教団体とはいえないのですが、団体名を隠して大学構内で勧誘活動をすることから、全国の大学では統一教会などと並んで「5大キャンパス・カルト」に数えられる、悪名高い教団です。さて、偽装勧誘をするカルト団体の信者を、カルト問題を考えるシンポジウムに逆勧誘してやったら、どうなるのでしょうか? ■大学関係者も頭を悩ます  ヨハン教会は、同じく新宿区にある淀橋教会の韓国人牧師と信者が独立して設立したものです。現在、日本人に対しても勧誘活動を行うほか、日本に来た韓国人留学生などにも勧誘を行っています。  特に問題視されているのは、大学生に対する勧誘です。ヨハン教会の場合、大学内でヨハン教会であることを明示せずにゴスペルコンサートなどを開催して学生を集め、ビラを配って教会のイベントに誘導して勧誘するという手法が問題視されています。また、こうした学内勧誘の際に大学の教室等を利用することもあります。その際、ヨハン教会であることを隠して大学に教室使用を申請したり、部外者による学内イベント開催を禁じている大学において、学生ではない教会関係者を動員してイベントを行ったり。そもそも教室等の利用申請すらもせずに無断で乗り込んできてイベントを行うこともあります。 「あるときは、学生からの通報で、彼らが学内で無許可のコンサートを行っているとわかり、大学職員が現場に駆けつけましたが、すでに逃げた後。学生ではない人間もいたようなので、完全な不法侵入ではないでしょうか。最近は、“ゴスペル”と称してこういうことをやるのはヨハン教会だと大学側にバレバレであることが彼らもわかっているようで、“ゴスペル”という言葉を使わずに音楽演奏などをしてビラを配っています」(ある大学の関係者)  学内サークルなら、代表者の学生でも呼び出して注意することもできますが、部外者が大学に乱入してゲリラ的に“やり逃げ”されると、大学としてもなかなか捕捉しにくいようです。 ■偽装勧誘カルトを勧誘してみた  カルト問題に取り組む弁護士やカウンセラー、宗教者や研究者でつくる「日本脱カルト協会(JSCPR)」という団体があります。この団体でも、大学におけるカルト問題は問題視されており、2012年6月には岡山で同協会主催の公開講座「大学でカルトに入った私たち」が開催されました。大学生時代にカルトに入信した経験を持つ脱会者たちが自らの体験を語る、というものです。  実はこの公開講座の会場から徒歩5分ほどのところに、ヨハン教会の支部である「ヨハン岡山キリスト教会」がありました。同教会もまた、地元岡山の大学で団体名を明示しない勧誘活動を行っています。  そんな団体の拠点のすぐそばで日本脱カルト協会が「キャンパス・カルト」に関する公開講座を行うとは、まさに神のお導き。ヨハン教会の関係者を公開講座に勧誘せよ、との啓示だと考えた私は、公開講座が始まる前にヨハン岡山キリスト教会に行ってみました。代表者は不在とのことで、女性信者が対応してくれました。 ──今日これから、大学でのカルト問題をテーマにした公開講座があるのですが、全国の大学で問題視されている団体としてコメントください。 「ぶしつけですね。私たちは本当の聖書の教えを伝える教会で、カルトではありません」 ──ぶしつけですいません。たまたま会場の近くに教会があったので、もののついでに寄りました。教えが本当かどうかはどうでもいいのですが、団体名を名乗らずに大学生を勧誘したり大学に無届けで教室を使って演奏をしたりしていて、全国の大学で問題視されています。 「私たちは、教会であること、クリスチャンであることはちゃんと言っています」 ──ヨハン教会だと、きちんと名乗っていますか? 「名乗っています。チラシにもきちんと書いています」  後で岡山大学の関係者に確認したところ、信者のこの説明は大ウソでした。 「ゴスペルコンサートがあるとか、韓国料理を作るサークルだなどと言って学内で勧誘していて、ヨハン教会だとは名乗っていません。大学側が彼らの勧誘を見かけたら、すぐ追い出すようにしています」(岡山大学の関係者)  それはそれとして、本題の勧誘です。 ──もしよかったら、これから公開講座があるので、それに来ていただければ大学のカルト問題がどういうものかわかると思います。 「代表はいま人と会いながら食事中なので、伝えておきます」 ■来てくれた!  日本脱カルト協会の公開講座では統一教会、摂理(MS教)、浄土真宗親鸞会の脱会者たちが、カルトの勧誘手口、カルト入信時代の活動、そこで得たものや失ったものなどについて、かなり具体的で率直な内容が語られました。いずれも正体を隠した勧誘によって入信した人々でした。  終了後、受付付近で知人たちに挨拶をしていたところ、2人組の女性が私に声をかけてきました。先ほどのヨハン岡山キリスト教会の女性信者と、岡山教会代表者の韓国人女性です。どうやら、私の勧誘に乗って本当に来てくれたようでした。 ──来てくださったんですね、ありがとうございます。 「いいイベントでした。最後は、宗教は必要だという結論でしたね」  公開講座では、フロアからの「宗教は必要か」という質問に対して、出演者が「自分には必要」「自分には必要ないが、必要とする人がいるのはいいと思う」と答えていました。いずれも「人による」という文脈なのですが、ヨハン教会の人たちは自分に都合のいい部分しか耳に入らなかったようです。 ──さっきヨハン岡山キリスト教会は団体名を名乗って勧誘していると言っていましたが、岡山大学の人にいま聞いたら、名乗ってないと言ってましたよ。 「そんなことないです。名乗っています」 ──ヨハン早稲田キリスト教会が、団体名を隠して勧誘していることも、私自身が直接取材で確認しています。 「東京(の早稲田教会)は人がたくさんいるので、個人がそういうことをしていても教会にはわからないです。それは個人の問題です」 ──個人であっても、ヨハンに人を誘っているわけですよね。ヨハン教会は、信者の指導もできない無責任な教会だということになりますが。 「ただ、私たちは本当のキリスト教を広めるために活動しているので、カルトとは違います」  問題は、「本当のキリスト教」であるかどうかではありません。正体を隠して相手を騙していることが問題なのです。偽装勧誘をするのが「本当のキリスト教」なのであれば、むしろキリスト教はまるごとカルトだという話になってしまうのですが。 ■すんごい抗議が来た  とにもかくにも、大学生を偽装勧誘するカルト団体の人を、こちらが勧誘することに成功しました。というわけで、私は「やや日刊カルト新聞」で「本紙記者らがヨハン教会信者の勧誘に成功!」という記事を書いて掲載しました。  記事を載せてしばらくたってから、ヨハン岡山キリスト教会の代表者が、すごい剣幕で私に電話をかけてきました。 「なぜ勧誘に成功したなんて、まるであなた方が私たちに勝利したかのような記事を書くんですか! やめてください!」 ──勧誘に成功したのは事実ですし。別に勝利したなんて書いてませんが。 「私たちは自分の意思でシンポジウムに行ったのです。あなたから誘われて、それで自分の意思で行きました」 ──いやだから、僕に誘われて来たんだから勧誘されたということでしょう。  どうもヨハン教会の人たちにとって「勧誘」とは相手の意思に反して行うものであり、勧誘に成功するというのは相手に「勝利」することのようです。日頃の彼らが、どういう姿勢で勧誘活動をしているのか、よくわかります。 「とにかく、今後こういうことのないように気をつけてください!」 ──記事にはなんの問題もないので、今後も特に何も気をつける気はありません。これからも同じように、あなた方のことを記事にしたいです。 「どうしてですか! おかしいです! 私たちはただイエスの教えを伝えているだけで………」  とにかくもう話が通じない上に、狂ったような金切り声でまくし立ててきます。面倒くさくなって、こちらから一方的に電話を切りました。  また何か機会があったら、ヨハン教会の人を勧誘しにいこうと思います。 「カルトなニッポン見聞録」過去記事はこちらから ●ふじくら・よしろう 1974年生まれ。東京出身。0型の乙女座。宗教やスピリチュアル団体をめぐる「カルト問題」を取材するフリーライター。ニュースサイト「やや日刊カルト新聞(http://dailycult.blogspot.jp/)」主筆。著書に『「カルト宗教」取材したらこうだった』(宝島社新書)。

統一教会系団体が靖国神社で慰霊祭

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宗教、洗脳、自己啓発セミナー、悪徳商法……身近に潜むニッポンのカルトな風景に「やや日刊カルト新聞」の藤倉善郎がゆる~く切り込む!  世界基督教統一神霊協会(統一教会)といえば、壺や印鑑を高額で売りつける「霊感商法」で有名ですが、一方で反共産主義活動を展開して日本の保守系人脈とも交流が強いことで知られています。ところが韓国の教団本体は、関連企業を使って北朝鮮で商売をしたり、日本人信者たちが韓国で「(日本の)従軍慰安婦問題」について謝罪してみせるパフォーマンスをするなど、日本での政治的スタンスとは逆のことをしていたりします。そんな統一教会の関連団体が、3月7日に靖国神社で「戦没者と東日本大震災犠牲者」の慰霊祭を行うと聞き、行ってみました。 ■反日カルトが靖国で?  統一教会は1960年代から、勝共連合という関連団体を使って反共運動を展開してきました。その関係から、日本の保守系人脈とも関係が深く、かつて安倍晋三首相などが統一教会の合同結婚式に祝辞を送ったことなど、自民党議員の関係もしばしば指摘されます。  一方で統一教会は、共産主義国家である北朝鮮で関連会社による観光事業や自動車の製造販売を展開しています。また2012年に韓国で、従軍慰安婦問題について「日本人たちが謝罪する」というイベントが行われているのですが、そこで「日本人代表」として謝罪した日本人参加者たちは合同結婚式で韓国人と結婚した日本人妻信者だと韓国メディアから指摘されています。  共産国で商売をし、韓国で反日活動に関わったとされる宗教が靖国神社で慰霊祭をするというのですから、まるで悪い冗談みたいな話です。  東日本大震災についても同様です。震災から半年ほどたった頃、統一教会では信徒組織の代表者(当時)が東日本大震災について、「このくらいしたら日本が本当に悔い改めるはず」「このくらいすれば真の御父母様(教祖・文鮮明夫妻)の入国もさせる」という意図で起こしたものだと講演していました。震災を、自分たちの宗教的な正統性を主張するネタにしているわけです。  また統一教会は、地震発生の数日後には、信者の全家庭に対して1世帯40万円の献金を指示しました。当時まだ存命中だった教祖・文鮮明は、被災地に義捐金1億4000万円を寄付したとされていますが、40万円で割ると350万世帯分です。統一教会でははるかに多くの日本人信者が合同結婚式で結婚していることになっているので、被災地に送ったカネより多くのカネが集まっていそうなのですが。
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■「左翼じゃない」認定もらいました  3月7日に靖国神社で慰霊祭を行ったのは、宗教新聞社と平和大使協議会という2つの統一教会関連団体です。慰霊祭のタイトルは「戦没者並びに東日本大震災犠牲者の追悼慰霊祭」で、今年で2回目。  共産国にすり寄り、韓国での反日活動に関わり、東日本大震災に際して被災者を愚弄した統一教会の関連団体が、靖国神社で戦没者と震災犠牲者の慰霊祭を行う。取材に行くまでもなく無茶なイベントです。  前日に事務局に「取材で入りたい」と電話したところ「会場がもういっぱいなのでお断り」と言われてしまいました。当日、受付でも、一旦は入場を断られたのですが、受付の前で慰霊祭参列者とおしゃべりをしていたら、主催者からこう言われました。 「あ、この人は入ってもらって大丈夫ですよ。左翼じゃないですから。いま下(会場の1階)に左翼がうろついていますが、この人は違います」 「昨日お電話くださった藤倉さんですか? 断ってすいませんでした。左翼の方が中に入ろうとしていたので警戒していたんです」  なんだかよくわかりませんが、私が左翼ではないことは確か(だと思う)なので、ありがたく慰霊祭を取材させていただくことにしました。 ■神道・仏教・キリスト教が揃い踏み  出席者は主催者発表で約100人。司会は宗教新聞代表・前田外治氏です。まずは国歌斉唱。左翼ではない私は、日本国民として日の丸に礼をして君が代を歌いました。  続いて、靖国神社の元宮司・湯沢貞氏が「宗教新聞の立場から」と称して挨拶に立ちました。 「(靖国神社には戦犯が祀られていると言われているが)日本の法律上、“戦犯”というものはありません。日本の政治家の中にも“戦犯”という言葉を使う人がいるが、もっと勉強してほしい。石原慎太郎氏が国会で安倍晋三首相に対して、“靖国に行かなくていいから、陛下に行っていただくように進言を”と言っていた。両陛下に揃って(靖国に)参拝してほしい」  その後、神道、仏教、キリスト教の聖職者が順番に出てきて、慰霊の儀式を執り行いました。  会場では式次第も配られず、慰霊を執り行う宗教者たちの所属・氏名が書かれたものも配られませんでした。慰霊の際に司会が所属や氏名を読み上げたのですが、取材後、筆者は主催者から「個人攻撃を受けるから、個人名や所属宗派などは記事にしないでほしい」と言われました。批判を浴びるであろう自覚はあるようです。  今回の慰霊祭、参列は事前申し込み制で、事前に申し込んで断られた人もいました。一般には公開しない仲間内イベントのようなので、私としても宗教者の個人名を晒すまでのことはないかなと思うのですが、宗派等の所属団体くらいは公にしておくべきだろうと思います。少なくとも会場では所属宗派も読み上げられた上で慰霊を執り行っているわけですから、単なる個人活動ではなく、宗派の看板が統一教会系イベントに並んだともいえるからです。
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【神道】 にっぽん文明研究所3名 茨城県と長野県の神社の神職3名 【仏教】 法華宗真門流1名 真言宗智山派1名 浄土宗1名 【キリスト教】 カトリック1名 日本基督教団1名 ?1名  統一教会を名乗る宗教者はいませんでしたが、カトリックを名乗るキリスト者は、統一教会のネット放送でキリスト教講座を担当していた人物でもあります。 ■祈りの言葉で「中国ガー」「北朝鮮ガー」  慰霊を行った宗教者のうち、キリスト教による祈りが最も扇情的でした。 「全能の父なる御神、慈愛に満ち溢れたもう天のお父様。私たちはここに、先の大戦で戦火に倒れた方々の鎮魂と、東日本大震災で亡くなられた方々の慰霊のために集まりました。これらの方々は、間違いなく日本のために犠牲になられた方々だと思います。先の大戦で亡くなられた方々は、新生日本の布石となられ、その犠牲において戦後日本の67年に及ぶ平和が作られました。感謝いたします。言葉では言い尽くしえぬ感謝です。しかし、その尊い犠牲によってもたらされた平和も、軍事大国の道をまっしぐらに進む中国や核武装を急ぐ北朝鮮、領土的野心を捨てないロシアなどの動きによって、日に日に危ういものとなっています。67年の栄誉栄華に酔いしれた日本には、公徳心を失い、国を守る気概も覚悟も持たない、愚かな民となり、滅びの時をただただ指を咥えて見ている、情けない姿を呈するようになりました。おお神よ、この国を救い給えと祈らざるをえない状況でありました。このような危機的な状況の中で、あなたは日本に覚醒の一撃を与えました。さる3月11日に起こった東日本大震災は、そのようなものであったと信じます……」  靖国神社で日の丸を前にして日本人の公徳心を語り、「中国ガー」「北朝鮮ガー」と神に祈る、憂国のクリスチャン。カッコイイですね。  それにしても、統一教会系イベントにこうやって参加して宗教儀式までやってしまった各宗教者たち、大丈夫なんでしょうか。統一教会が反日カルトだということ以前に、霊感商法や偽装勧誘、多額の献金等で社会問題化している宗教団体なんですが。 「カルトなニッポン見聞録」過去記事はこちらから ●ふじくら・よしろう 1974年生まれ。東京出身。0型の乙女座。宗教やスピリチュアル団体をめぐる「カルト問題」を取材するフリーライター。ニュースサイト「やや日刊カルト新聞(http://dailycult.blogspot.jp/)」主筆。著書に『「カルト宗教」取材したらこうだった』(宝島社新書)。

カルトな記者会見と自由報道協会

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宗教、洗脳、自己啓発セミナー、悪徳商法……身近に潜むニッポンのカルトな風景に「やや日刊カルト新聞」の藤倉善郎がゆる~く切り込む!  上杉隆氏という人が代表を務める「自由報道協会」という団体があります。この団体をカルトだと言うつもりはありませんが、私もいちおう報道に携わる身として、違和感を抱きつつ目の隅でややヲチしていました。しかし、まさかカルトネタで「自由報道協会」をいじる日が来ようとは。ましてや自分が自由報道協会を批判する記者会見を自由報道協会で行うなんてことも、さすがに想像していませんでした。 ■自由報道協会にサイエントロジーが登場  自由報道協会をざっくり説明すると、新聞やテレビによる記者クラブが官公庁等の記者会見などを独占しているのはおかしい、雑誌社やフリージャーナリストにも取材させろと主張して、自ら記者会見を開催する団体です。その目的はご立派なのですが、2012年4月、協会は自らが主催する記者会見で、カルト的な宗教団体の宣伝に加担してしまいました。精神医療を批判する4団体が名を連ねて、精神医療被害の実態報告や改善要求を披露した会見で、うち1団体が、宗教団体「サイエントロジー」の関連団体「市民の人権擁護の会」だったのです。  サイエントロジーは、トム・クルーズやジョン・トラボルタなどハリウッド・スターの信者を抱えていることで知られていますが、高額なセミナー料金などが原因で、日本も含めてさまざまな国で問題視されている宗教団体です。教義の一環として、精神医学、特に精神安定剤等の薬の使用を否定しており、「市民の人権擁護の会」はサイエントロジーの教えを広め実践するために教祖ロン・ハバードが創設したフロント組織といえる存在です。  「市民の人権擁護の会」は、自由報道協会主催の記者会見に登場した際、サイエントロジーとの関係を明らかにはしませんでした。協会が事前告知した会見概要等にも、その旨は書かれていません。さらに、ジャーナリスト・岩上安身氏責任編集の「IWJ」なども、「市民の人権擁護の会」がサイエントロジーであることを伝えないまま、会見内容をネットで垂れ流しました。  カルトにも表現の自由がありますから、記者会見をやるのも自由です。しかし、自らの素性を明らかにせずに布教活動をするのは、宗教ステルスマーケティングです。ましてや、そんなものに「報道」だの「ジャーナリスト」だのを名乗る人々がまんまと乗せられるというのは、あまりに恥ずかしい出来事です。 ■自由報道協会いじり  そこで私は、やや日刊カルト新聞の記者たちや、サイエントロジー問題に詳しい紀藤正樹弁護士とともに、自由報道協会で記者会見を開くことにしたのです。もちろん、自由報道協会を批判する記者会見です。  協会に会見開催の依頼を送ると、難なく承認されました。自由報道協会を批判する記者会見を自由報道協会が主催する。なんと懐の深い協会でしょう。  ところが協会側は、私が申請したタイトル「“サイエントロジー記者会見”に関する記者会見」を「サイエントロジーに関する記者会見」に変更するよう求めてきた上、会見概要の説明文を無断で改ざん。協会の問題ではなく、サイエントロジーの問題だけを語る記者会見であるかのように一般告知されてしまいました。  協会は、素性を明らかにしないカルト的な団体の会見情報はそのまま掲載するのに、会見の趣旨を正直に記載した我々の会見情報は、わざわざ違う趣旨に改ざんしてしまったのです。  こういう理不尽なリアクションがあると、よりいっそういじりがいが出てきます。 ■協会代表がルール無視
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 会見では、記者席に自由報道協会の上杉隆代表もいました。私たちがサイエントロジーの問題点や、自由報道協会がサイエントロジーの記者会見を開催したことの問題点、私たちの記者会見の内容について事実と違う告知を行ったことについて会見で語り、質疑の時間になりました。すると、上杉氏は、 「質問ではありませんが」 と前置きして、延々と自己弁護を始めました。そうかと思うと、私が発言している最中に遮りながら 「はい、いいですか? 今のご発言いいですか?」 などと不規則発言をします。  協会の記者会見には、いろいろ小うるさいルールがあります。たとえば会見者に質問する人は持論を展開するのではなく質問をしろとか、質問は1人1問だとか、会見者の発言を遮るなとか。  これらのルールはとても厳格に運用されています。2011年11月の小沢一郎氏の記者会見では、質問をした読売新聞の記者が、小沢氏の返答に納得いかなかったらしく食い下がり、小沢氏の発言を遮りながら何度も質問しようとしました。すると、上杉氏や前出の岩上さんらに取り囲まれ、口汚く罵倒され、その様子をネットで晒されるという仕打ちを受けました。  ところが私たちの記者会見では、このルールを代表の上杉氏自身が破りまくります。そして、自由報道協会の誰も、このルール違反を制止しようとしません。もちろん、上杉氏を取り囲んで口汚く罵り、吊るし上げる人もいませんでした。  自らの権利を主張し他者の行動を制限することには熱心で、自らのルール違反と他者の権利を守ることには無頓着。まさにカルトのような独善ぶり。  今回はカルトそのものをいじるのではなく、カルト的な団体に加担した自由報道協会をいじるという変則的な「いじり」でした。にもかかわらず、気分はすっかり「カルトいじり」です。 ■上杉隆氏の記者会見?  会見での上杉氏の主張の内容も、まるでカルト団体の人と会話しているかのような気分になれるほど、支離滅裂でした。 「自由報道協会の主催の会見の趣旨に対してのタイトルや文言については、自由報道協会に権限があります。主催者側に権限があるのであって、ゲストスピーカーである藤倉さんに文言の権限がありません」(上杉氏) 「であれば、サイエントロジーの記者会見を主催したことに対して、場を提供しただけとはいえない。編集権を持っているのであれば、編集したことに対する責任があります」(藤倉) 「編集権を持った瞬間から責任は発生しますよ。場を貸しただけにならないですよ。ホームページだって、場を貸しただけにはならない」(紀藤弁護士)  編集権というのは、雑誌等の編集部が表現の内容について他から干渉を受けない権利を指すもので、メディアの「表現の自由」を支える上でなくてはならないものです。しかし「編集権」には「編集責任」が伴います。  上杉氏はどうも、「編集権」は重要な事実を隠蔽して人々を誤解させても許されるという権利だと勘違いしているようです。  上杉氏の暴走は止まりません。 「この団体がサイエントロジーとウワサされていることは事前に知っておりました」 とまで言い出したのです。自由報道協会は、サイエントロジー会見の直後、私の取材に対して「サイエントロジーだとは知らなかった」とコメントしていました。なのに、代表者である上杉氏は知っていた。 「私は知ってました。ただ、他の人間が知ってたかどうかは知りません」(上杉氏)  それでは、会見者にサイエントロジーが混じっていることを代表者の上杉氏が知っていながら事務局等に教えず、そのまま会見を開催させてしまったということです。  上杉氏があまりにも不規則発言を繰り返すので、まるで「上杉隆記者会見」のようになってしまいました。おかげで、口を開けば開くほどドツボにハマる上杉氏を堪能することができました。  会見の最後の最後でも、上杉氏は 「質問がありましたので」 などと言って話し始めたりしていました。誰も上杉氏に質問なんかしていないのに。  上杉氏は、人間には聞こえない声を聞く能力も持っているようです。 ■今度は法輪功に加担  この記者会見から5カ月後の2012年10月。自由報道協会は、今度は法輪功の宣伝活動に利用されました。国際人権活動家を名乗るデービッド・キルガー氏による「中国の臓器移植事件について」という会見です。中国当局から弾圧されている法輪功の信者たちが、投獄され、移植用に臓器を奪われているというのです。    この会見を協会に持ち込んだのは、法輪功の関連団体である「大紀元」の広報担当者だったのですが、協会はこの会見と法輪功の関係に触れないまま一般に告知しました。実際の記者会見では、冒頭で司会者が「法輪功の支援団体である大紀元からの要請により開催」とアナウンスしましたが、大紀元は法輪功の支援団体ではなく、実質的にはほぼイコールに近い団体です。なぜって、大紀元を編集したり取材して記事を書いている人や路上で配布している人たちは法輪功信者ですから。  法輪功がカルトかどうかについては、とりあえず断定しないでおきます。彼らの主張がどこまで本当かも知りません。中国で自由に活動できなかったり人権を侵害されているのであれば気の毒に思いますし、法輪功問題に限らず中国は人権上、非常に問題がある国だと思います。  しかし、だからといって、「第三者による意見や報道」であるかのように偽って新聞(大紀元)を発行したり記者会見を行ったりする法輪功の手口が正しいのかというと、それはまた別問題。単なる正体隠しのプロパガンダです。まったく信用に値しません。 ■自由報道協会にご注意を  カルト団体を見て笑っている皆さんの中には、自分はカルトになんか騙されないと思っている人が多いのではないかと思います。確かに、カルトの滑稽さを笑い飛ばせる人は、比較的騙されにくいかもしれません。しかし正体を隠して「事実であれば深刻な問題」といえるテーマを使って宣伝活動をするカルトにも、絶対に騙されないと言い切れるでしょうか。そういった宣伝活動を、自由報道協会のような第三者団体が後押ししていても、絶対に騙されないと言い切れるでしょうか。そういう会見を取材した自称ジャーナリストが、無責任に会見内容を右から左に垂れ流していても、絶対に騙されないと言い切れるでしょうか。  この調子だと自由報道協会もそこに群がる「ジャーナリスト」たちも、今後またどんなカルトに利用されるか、わかったものではありません。みなさん、くれぐれもご注意を。  あと、自由報道協会での「発表モノ」を右から左に垂れ流してきた自称ジャーナリストの皆さん。それって、あなた方が批判している記者クラブメディアと、やっていることは変わりません。カルトに利用される云々以前に、もうちょっと考えてやったほうがいいと思いますよ。 「カルトなニッポン見聞録」過去記事はこちらから ●ふじくら・よしろう 1974年生まれ。東京出身。0型の乙女座。宗教やスピリチュアル団体をめぐる「カルト問題」を取材するフリーライター。ニュースサイト「やや日刊カルト新聞(http://dailycult.blogspot.jp/)」主筆。著書に『「カルト宗教」取材したらこうだった』(宝島社新書)。