あの重大事件の犯人たちは今……赤軍、オウム、林真須美ら死刑囚78人の肉筆

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「週刊文春」2月7日号 中吊り広告より
グランプリ 「桜宮高生徒・保護者が初告白『バスケ部と家庭の真実』」(「週刊文春」2月7日号) 第2位 「死刑囚78人の肉筆」(「週刊ポスト」2月15・22日号) 第3位 「AKB峯岸みなみEXILE弟分ダンサー宅にお泊まり愛!」(「週刊文春」2月7日号)  安倍バブルに、私はいまだに懐疑的である。まだ何もしていないのに期待感だけ膨らますのは、まさに危なっかしいバブル(泡)そのものであろう。  このままいけば宿敵・韓国を再び追い越せると囃し立てるのがいるが、韓国が優位に立っているのは円高だけではない。技術革新と斬新な物作りで日本のソニーやパナソニック、シャープを凌駕したからで、円安で多少競争力は増すだろうが、根本的なところで追いつかないと腰砕けになる。  週刊朝日までが「1カ月後に1割上がる株142銘柄」をやっている。専門家6人に予測させているが、そのうち4人が推しているのが「三菱商事」。2月1日の終値1,890円が1カ月後には1割上がって2,079円になるというのである。銘柄に驚きはない。  ギャンブルの世界の鉄則は「人の行く裏に道あり」である。ガチガチの1番人気でも、来ないことがままあるのだ。「当て事と畚褌は先から外れる」という言葉もある。  みんながいいと言い出したら、その株の妙味は薄れる。「三菱商事」は今から買っても仕方ないのではないか。  朝日には「実は日銀『やる気なし』」という特集もある。安倍に言われて嫌々やっているだけの面従腹背で、物価上昇は日銀の金融政策だけでは難しいとの考えが、日銀の内外にあるというのだ。  今週も「もう止まらない『安倍バブル』あっという間に株価1万2,000円」と、私には悪乗りとしか思えない週刊現代だが、ノーベル経済学者ポール・クルーグマンまで引っ張り出して「1ドル100円越え、アベよ、これでいいのだ」と赤塚不二夫みたいなことを言わせている。だが、クルーグマンもこう言っているのだ。 「残された問題は、今はまだ唱えられている段階の政策が実行された際に、十分強力であることを維持できているかどうかだ。いざ実行に移す際に見かけ倒しに終われば、人々の期待感は一気に消えてしまうだろう」  これから安倍総理の「本物の総理の器かどうか」が試されるのだ。浮かれるのはまだ早い。  今週の第3位は、AKB48スキャンダルがお家芸になった文春のスクープ撮。峯岸みなみ(20)の「お泊まり愛」撮った! だ。  峯岸のキャッチフレーズは「年中無休の反抗期!」だそうだ。  ギョロギョロした目が特徴で、“みぃちゃん”の愛称で知られる峯岸はAKB48の1期生。昨年の十代最後の総選挙では14位に順位を上げ、見事選抜メンバー入りした。 「最近ではダウンタウンの浜田雅功やタモリらお笑い界の大御所にも可愛がられ、多くのバラエティ番組に出演している。『オネエタレントに“ブス!”とイジられながら、いいポジションを勝ち取った。トークも上手い。今では指原にかわる、AKBのバラエティ担当です』(番組制作スタッフ)」  そんな彼女が1月17日深夜、密かに男の家に向かったところをキャッチした。文春によれば、 <相手の男性は白濱亜嵐(19)。人気グループEXILEの弟分、昨年メジャーデビューした「GENERATIONS」の人気メンバーだ。「まだまだ名前も知られていない白濱ですが、昨年はドラマ『GTO』や『ろくでなしBLUES』に出演。秋の深夜ドラマ『シュガーレス』では主役をつとめました」(芸能デスク)  亜嵐が住むマンションは小さなデザイナーズマンション。住人の部屋の入口はどれも目視が可能なつくりになっている。  その夜、黒い帽子に黒パンツ、コートをまとった峯岸が亜嵐の部屋にはいったのは○時九分、部屋の電気が消えたのは三時間後の深夜三時過ぎだった。  寒空のもと、二人が出てくるのを待ちつづけること四時間、最初に出てきたのは亜嵐。黒のニット帽にマスク姿、白黒のチェックのブルゾンを着て、何度も後ろを振り返り、駅方面へ歩いていく。地下鉄に乗り、赤坂のTBSへと向かっていった>  峯岸のほうは三十分後にタクシーを呼び、途中コンビニで朝食の椀物とダイエットコーラを買って自宅へ戻ったそうだ。  この記事が出てから大騒ぎになった。朝日新聞までがこう報じている。 「AKB48の峯岸みなみさん(20)が、動画サイト『ユーチューブ』に丸刈り姿で登場、涙の謝罪をした。一体何があったのか。『たくさんの皆様にご心配をおかけしまして、本当に申し訳ありません』。映像は1月31日午後、同サイトのAKB公式チャンネルで公開された。ロングヘアだった峯岸さんが丸刈り姿で冒頭に謝罪の言葉を述べ、約8秒間頭を下げた。『私がしてしまったことは軽率で自覚のない行動』『まだ……頭の中が真っ白で』と言葉をつなぐ。不ぞろいな額の生え際が生々しい。『いてもたってもいられず(略)誰にも相談せずに坊主にすることを自分で決めました』と、左目から涙がこぼれた。大粒の涙を流し、『AKBをやめたくない』と訴え3分49秒の動画は終わる」  秋元康の演出だろうが、いつまで「AKBは恋愛御法度」などとお題目を唱えているつもりだろう。健全な肉体をもった若い娘が異性と付き合うのはごく自然な行動。なまじ禁止するから、夜陰に乗じて不善を為すのだ。老婆心だが、もっとおおらかにしてやったほうが、彼女たちのためにもなるのではないだろうか。  ポストに載っている死刑囚たちの肉筆を見ている。几帳面な文字、細かい字でビッシリと書かれた文字、自分の思いを一筆書きのように一気に書いているものもある。  中には光市母子殺人事件の元少年のように内容を判読しがたいものもあるが、多くは率直に現在の心境や死刑制度に対する考え方を綴っている。  これは昨年9月から11月にかけて、福島瑞穂社民党党首が法務省に事前に断った上で、全死刑囚を対象にアンケートを実施し、133人のうち78人が回答を寄せたものからの抜粋である。  裁判で死刑が確定すると、拘置所での待遇は大きく変わる。塀の外との交流は遮断され、面会や手紙のやり取りは指定された親族などごく一部に限られてしまう。  以前は運動や集会などで死刑囚同士が顔を合わせる「集団処遇」があったが、今は生活の大半を独居房で過ごす。  福島党首は、外部との交流を極端に制限するのは、死刑に対する情報を閉ざすとともに、死刑囚の精神状態にも悪影響を及ぼしかねないと批判している。  オウム真理教の井上嘉浩死刑囚は「何という恐ろしいとりかえしのつかないことを、しかも救済すると信じてやってしまったのだと、たとえようのない苦悶の波におそわれます。(中略)犯した大罪をどれほど苦しみもだえても、苦しんでいるものまねにすぎないと思い知らされ、ただただとりとめなく悲しみがあふれます」と、悔恨の情がうかがえる文章を書いている。  連合赤軍事件の坂口弘死刑囚のように「過去の過ちを克服して社会に貢献せんとしている姿を伝えたい」と前向きな考えを書いている者もいる。  死刑執行の日に脅える者も多い。 「私のいる舎房は今の所は何も有りません。でも独房の鉄のとびらを急にあけたり、しめたります(ママ)ので、鉄のとびらですので大きな音がして、自分の番がきたと思って、脅えるので有ります」(江東恒・堺夫婦殺人事件)  世の中への怨みを綴る者もいる。 「まじめに働いて安心して生活できるなら犯罪なんて起こしたいとは思わないし……ましてや死にたいなんて考えて事件をなんていうことはありません」(松井喜代司・群馬、交際女性ら3人殺人)  自分に死刑判決を下した裁判官への批判を書いているのもいる。 「私を死刑にした裁判官がバスの中で19歳の大学生の女のパンツの中に手を入れ捕まっています。こんな奴らからしてもないことを信用されずに判決されたのかと思うと」(中原澄男・福岡・長崎、元組長ら殺人)  判決への部分的異議を含めて、78人中46人が再審請求中だという。週刊新潮の「『死刑囚』30人 それぞれの独居房」では、東京拘置所で数年間衛生夫として服役した30代の男性が、彼が見てきた死刑囚の姿を語っている。  その中に「再審請求中は死刑執行のないことは暗黙のルール」だという記述があるが、そういうことが再審請求の多さに関係があるのだろうか。  和歌山毒物カレー事件の林真須美死刑囚は、自分は無実だと訴え続けている。 「そんなこと考えたこともない。死刑確定者という法的身分ではあるが、自分では、死刑確定者有実(ママ)人殺し者だとは、全く思い考えたことはない」  中にはこんなのもある。 「世の中には悪い人がいっぱいいる。その一人を私が殺した」(川崎政則・香川祖母・孫姉妹殺人) 「人生は何事においても一発勝負だという事が今頃になってようやく気がつきました。これから残りの人生はオマケの人生として生きていこうと思います」(加賀山領治・大阪2人強盗殺人) 「自民の安倍総裁は改憲論者、この先、世の中どうなるのやら」(早川紀代秀・坂本弁護士一家殺人など)  わずかな楽しみを夢に求める者もいる。 「楽しみは夢の中で娘と逢って会話すること」(神宮雅晴・京都・大阪連続強盗殺人)  死刑制度についても聞いている。 「死刑は残虐な刑罰にはならないと云うのであれば、また8割の国民が制度存続を認めていると云うのであれば、刑を公開すれば良い」(小林正人・大阪・愛知・岐阜連続リンチ事件) 「死刑は都合の悪い者は殺してもいいという殺人を肯定する意識を国民に植え付け、殺人や暴力を助長する」(林泰男・地下鉄サリン事件など) 「死刑囚は被害者でもない刑務官によって殺されるのは頭に気(ママ)ます。被害者の立ち会いで執行ならかまいません」(西川正勝・女性4人殺人)  死後に臓器提供したいのに、そうできない現行制度を批判する者もいる。 「私は自分の臓器などを提供するドナー登録をしているのですが、現行の法律では死刑囚の臓器提供はできないようになっていますので、その点を変えていただけたら」(松田幸則・熊本男女強盗殺人)  ポストはこう結んでいる。 「国家の名の下に人の命を強制的に奪い去る死刑は最高度の権力行使である。だが、この国ではその実態が極度に隠されている。そして、死刑囚たちは単なる凶悪非道なモンスターではない。死刑制度を是とするにせよ、非とするにせよ、本特集のアンケートをじっくり読んで欲しい。議論はそこから始まる」  重い特集ではあるが、多くの人に読んでほしいものである。これが今週の第2位。  今週のグランプリは、文春の桜宮高校の体罰問題を追った巻頭特集。  これまで桜宮高校で起きた自殺問題は、体罰が原因と報じられてきた。橋下徹大阪市長もそう主張してきたが、文春は「日常的に体罰を行っていたというK顧問が処分されるのは当然」としながら、A君は他にも重大な悩みを抱えていたというのだ。  大阪市立桜宮高校で、自殺したA君と付き合いの深かった同級生がこう語っている。 「Aが亡くなったとき、実はバスケ部員たちは、『先生の体罰が原因じゃない』と言っていた。Aには他にもっと悩んでいることがあったから」  桜宮高校関係者はこの問題が起こった後、こんなことが起きていると嘆く。 「市長が『桜宮は腐っている』と煽るので、運動部と関係のない普通科の子までが桜宮というだけでバスに乗せてもらえなかったり、通学途中に罵声を浴びたりしておるんです。校舎の窓には投石され、自転車も嫌がらせでパンクさせられるといういわれのない差別がある現状を知ってほしい」  橋下市長はワイドショーなどに出て「この学校では暴行が常態化していて、それが原因で一人の生徒が自殺している。こんな学校をそのまま継続させるような価値判断はやっちゃいけない」という主張を繰り返しているが、どこまで桜宮高校の実情を知っているのか、これを読むと疑念が湧いてくる。  バスケット部のOBは、こんなことを語っている。 「A君のお母さんはバスケ経験者で、K先生の一種の信奉者でした。保護者の間で、K先生の指導法を一番と言っていいほど容認していました。他のお母さんが『一発でも、手を出したら体罰じゃないの』とK先生に抗議しようとしたとき、『桜宮のバスケ部に入ってきた以上、覚悟があるはずでしょう』『厳しい指導は承知で入部してきたんじゃないの』などと先頭に立って諌めたこともあります」  バスケット部の関係者もこう言う。 「先生は『勝利至上主義』みたいに言われていますが、実際は『たかがバスケ』という考えの人。『僕はバスケを教えたくて教師になったんじゃない。教師になりたいから教師になったんです』が口癖で、どちらかと言えば自主性を重んじるタイプの指導者です。試合ではベンチ入りメンバーも選手同士で決めさせたりするし、テスト前になると『勉強も頑張らなアカン』って言って、放課後の練習時間を割いて皆で勉強させられます」  きっかけは、昨年10月にA君がバスケット部のキャプテンに自ら立候補したときからだというのだ。  A君はレギュラーになるのには苦しい実力だったが、どうやらキャプテンになれば大学進学に有利になると考えていたようだと、先の同級生が話している。  しかし、キャプテンにはなってみたものの、なかなか部内でうまくいかないため、本人もキャプテンを辞めたいと考えていたようだ。  練習試合中にK先生から注意され、十数発のビンタを両頬に食らったA君は、その後、キャプテンを辞めたいとK先生に告げに行き、衝撃的な事実を告げられてしまう。 「その日、A君は初めて先生に『もう無理です。キャプテンを辞めたい』という旨を伝えた。K先生はA君に『じゃあBチーム行きやで』と、這い上がって来いという親心を込めて言ったんです。でも本人はBに落ちたらいやですよね。『じゃあやっぱりキャプテン続けます』って言った。先生が『お前、どうしてそこまでキャプテンにしがみつくねん?』って聞いたら、『大学進学のためです』と漏らした。先生が『そんなこと誰に言われたんや?』って聞いたらA君は無言だったみたいなんですけど、先生が『お母さんに言われたんか?』って聞いたら『そうです』と。それで先生は『キャプテンをやったからといって、大学には行けない』という現実の話をして、A君はそれにショックを受けたようなんです。桜宮から指定校推薦の枠は無い。でもA君はその時まで、バスケで進学できると信じて疑っていなかった。目標があったからこそ、嫌々ながらもキャプテンを必死にやっていたのに……」  A君が遺書を書き、自宅の寝室で首を吊ったのは、その日の深夜から翌日の未明にかけてと見られているようだ。  思春期の子どもは多感である。それを「体罰は反対」というだけで学校に介入し、問答無用で桜宮高校を解体しようというのはおかしいと、「桜宮を応援する会」の伊賀興一弁護士が語っている。 「生徒を主人公にして、職員と保護者が学校の問題点を忌憚なく言えるような場にしていかなければならないのです」  橋下市長は、主人公である生徒たちの声を真摯に聞くところから始めなくてはいけなかったはずだ。今からでも遅くない。生徒たちと車座になって、自分も受けてきたという体罰の思い出を話し、生徒の生の声を聞いてみたらいい。  そういえば、『スパルタ教育』(光文社)という本をベストセラーにし、生徒への体罰によって死者を出した戸塚ヨットスクール戸塚宏校長とも親交のあった石原慎太郎共同代表は、この問題でなぜ発言しないのだろう。  本の中の100か条に「子どもをなぐることを恐れるな」とあるはずだが、橋下市長と「いい体罰と悪い体罰」とでも名付けて公開論争をしたらいいのに。  蛇足だが、ポストの袋とじ大型ピンナップ「YURI 顔」がいいよ! (文=元木昌彦) ●もとき・まさひこ 1945年11月生まれ。早稲田大学商学部卒業後、講談社入社。90年より「FRIDAY」編集長、92年から97年まで「週刊現代」編集長。99年インターネット・マガジン「Web現代」創刊編集長を経て、06年講談社退社。07年2月から08年6月まで市民参加型メディア「オーマイニュース日本版」(2006年8月28日創刊)で、編集長、代表取締役社長を務める。現「元木オフィス」を主宰して「編集者の学校」を各地で開催、編集プロデュースの他に、上智大学、法政大学、大正大学、明治学院大学などで教鞭を執る。