超人化する5歳児・ハジメの大衆扇動能力がすごすぎた『はじめまして、愛しています。』

hazime0812
テレビ朝日系『はじめまして、愛しています。』番組サイトより
 遊川和彦脚本の『はじめまして、愛しています。』(テレビ朝日系)は第6話。視聴率は9.1%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)と、五輪開催中のわりには堅調に推移しています。  信ちゃん(江口洋介)と美奈ちゃん(尾野真千子)の夫婦は、特別養子縁組制度を利用してハジメ(横山歩)を本当の家族として迎え入れようと奮闘中。  前回はヒステリーを起こした信ちゃんがハジメを庭に放り出し「出て行け! 施設に戻ればいい!」などととんでもない発言をしたりしましたが、ハジメは「すてないでください」と書いた手紙を手渡すなどして、再び家族のもとに帰ることになりました。このあたりのハジメの機転というか、何をどうすれば大人が感動してくれるかをわかっている感じが、ちょっと気味が悪かったんですが、今回もハジメ無双。ハジメ機転が冴え渡りました。  この日から、幼稚園に通うことになったハジメ。すっかりいい子になっており、みんなの前で「はじめまして、うめだはじめです。みんなに愛していますって言いたいです」などと大人びた演説をしてみせます。これには付き添いに来ていた信ちゃん美奈ちゃんも大喜び。ハジメはどうやら、初日からうまく幼稚園に馴染めたようです。そりゃ、いい大人だって手玉に取るハジメ先生ですから、幼稚園児を懐柔するなど赤子の手をひねるようなものでしょう。  ところが後日、ハジメがトラブルを起こします。老人ホームで開催される出張おゆうぎ会の練習中に、イジメっ子を押し倒したそうです。  幸い、お相手の親御さんは温厚な方だったらしく、信ちゃんが電話で謝罪するとあっさり許してくれます。しかし、この謝罪の様子を見ていたハジメは納得いきません。 「僕は悪いことしたの?」 「なんで謝るの?」 「僕は間違っているの、お母さん?」 「また同じことがあったら、僕はどうすればいいの?」  信ちゃんも美奈ちゃんも、まともに答えることができません。  美奈ちゃんが児童相談所の堂本(余貴美子)に相談すると、虐待に遭っていた子がイジメを見ると、極端な正義感に走ることがあるんだそうです。アドバイスを乞うても、堂本は「自分で考えろ」しか言いません。  必死で考えた信ちゃんと美奈ちゃんの答えは、こうでした。 「イジメを見かけたらどうすればいいか、それはハジメが決めるしかない」 「ハジメが決めたことなら、お父さんとお母さんは全力で応援する」  そんなこんなで、おゆうぎ会の本番の日を迎えます。おゆうぎ会は、信ちゃんママの入っているホームで行われるのでした。  ホームに梅田家の家族親類が集まります。今回、周囲のそれぞれの家族が問題に直面していました。  信ちゃんの妹・春代(坂井真紀)は、小学生の娘・アスカちゃんが言うことを聞かなくてイライラ中。ところが、アスカちゃんは春代の保護者会での傍若無人な振る舞いが原因で、クラスでイジメに遭っていました。  なんとか仲直りしたものの、今度はその親子の仲の良さを見せつけられた信ちゃんママが、アル中で育児放棄したことを思い出し「ごめんね、春代……」と涙。春代も涙。  信ちゃんの弟・タクミ(37歳フリーター)は、信ちゃんママの担当職員さんを孕ませてしまい「堕胎せよ」と説得中。自分に父親になる資格がないことを美奈ちゃんに吐露し、「変われない自分」に悩んでいます。  そんなこんなで、おゆうぎ会オンステージです。  先生のピアノの伴奏にあわせて、20人ほどの園児が「手のひらを太陽に」を合唱します。その中には、ハジメもいます。ニッコニコです。  ところが歌の最中、ハジメの後ろでイジメが勃発。2人の園児が、ひときわ小柄な男の子の足を踏んだりなど、ちょっかいを出し始めます。気付いているのはハジメだけ。ハジメは先生にアイコンタクトを送りますが、演奏に夢中の先生は気付いてくれません。  ここでハジメが、信ちゃんと美奈ちゃんに「ハジメが決めるしかない」と言われた通り、行動を起こします。  まず、足で床ドン! そして、周囲をにらみつけます。迫力満点。歌が中断しました。先生は「ハジメくん、前見て歌いましょ」と不安気です。  次にハジメは、イジメっ子2人の手を引き、先生の前に連行します。そして、意外なことを言うのです。 「先生、ピアノを弾かせてください」 「3人で、ピアノを弾かせてください」 「お願いします」  イジメっ子2人に手分けして左手パートを弾くよう手ほどきをすると、自分は右手のメロディを奏でます。曲はサン=サーンス「動物の謝肉祭」より「白鳥」。美奈ちゃんパパがハジメに弾いて聞かせた曲です。ハジメは、世界的なコンダクターである美奈ちゃんパパがそうしたように、イジメっ子2人に音楽の美しさを説くのです。 「この世界にはきれいなものがいっぱいあるんだよ」 「それなのに、どうしてみんなケンカするの」 「どうしてみんなで仲良く歌を歌わないの」  一同、厳粛に受け止める中、今度は「ドレミの歌」を弾き語り始めました。もう独壇場です。アスカちゃんも、信ちゃんママも、イジメっ子も、イジメられっ子も、歌いださずにはいられません。ホームで暮らすご老人たちも巻き込んで、大合唱になります。  なんたる扇動能力でしょう。インパクト抜群の登壇から始まり、シンプルで明快な演説、さらに、全員を自然な形で合唱に参加させることで群衆心理を操ってみせます。時代が違えば、言葉悪いけど、すごく悪い例を出すけど、先に謝っておくけどごめんなさいね、これ、ヒトラーかよ! と思いました。信ちゃんママなんてずっとアル中で苦しんでたのに、この会のあと、飲みかけのお酒捨ててたからね。  でもまあ、そんな超人ハジメも、やっぱり虐待の過去を引きずっています。幼稚園で「家族の絵を描け」と言われて描いた絵には、信ちゃんと美奈ちゃんと手をつないだ自分、その斜め上に、顔面をグチャグチャに黒塗りされた人物が浮いていました。  それでも、信ちゃんと美奈ちゃんはうまくいってたんです。堂本も、「このままいけば裁判所の判断で特別養子縁組が認められる」と太鼓判を押していました。でもその条件は、ハジメが「親に捨てられた子」のままであることなんですね。  今回のラスト、ハジメの生みの親を名乗る人間が現れます。黒塗りの高級セダンから高級オバサマ(富田靖子)が降りてきて、ハジメに「ひかり?」と語りかけるのです。  ここまで、ハジメの実母はクソ貧乏アパートから姿を消した最悪の貧乏女で、男も取っかえひっかえだったので父親も不明と説明されていましたが、正反対の川島なお美さんみたいな富田靖子さんが現れたのです。さて、どうなることやら……どうなることやら! このドラマ、おもしろーい!  あと、富田靖子さんが川島なお美さんに見えたのもそうですし、1話目のときに「宮地雅子さん出てるー」と思ったら坂井真紀さんだったり、なんか時間の流れを感じました。関係ないけど。 (文=どらまっ子AKIちゃん)

超人化する5歳児・ハジメの大衆扇動能力がすごすぎた『はじめまして、愛しています。』

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テレビ朝日系『はじめまして、愛しています。』番組サイトより
 遊川和彦脚本の『はじめまして、愛しています。』(テレビ朝日系)は第6話。視聴率は9.1%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)と、五輪開催中のわりには堅調に推移しています。  信ちゃん(江口洋介)と美奈ちゃん(尾野真千子)の夫婦は、特別養子縁組制度を利用してハジメ(横山歩)を本当の家族として迎え入れようと奮闘中。  前回はヒステリーを起こした信ちゃんがハジメを庭に放り出し「出て行け! 施設に戻ればいい!」などととんでもない発言をしたりしましたが、ハジメは「すてないでください」と書いた手紙を手渡すなどして、再び家族のもとに帰ることになりました。このあたりのハジメの機転というか、何をどうすれば大人が感動してくれるかをわかっている感じが、ちょっと気味が悪かったんですが、今回もハジメ無双。ハジメ機転が冴え渡りました。  この日から、幼稚園に通うことになったハジメ。すっかりいい子になっており、みんなの前で「はじめまして、うめだはじめです。みんなに愛していますって言いたいです」などと大人びた演説をしてみせます。これには付き添いに来ていた信ちゃん美奈ちゃんも大喜び。ハジメはどうやら、初日からうまく幼稚園に馴染めたようです。そりゃ、いい大人だって手玉に取るハジメ先生ですから、幼稚園児を懐柔するなど赤子の手をひねるようなものでしょう。  ところが後日、ハジメがトラブルを起こします。老人ホームで開催される出張おゆうぎ会の練習中に、イジメっ子を押し倒したそうです。  幸い、お相手の親御さんは温厚な方だったらしく、信ちゃんが電話で謝罪するとあっさり許してくれます。しかし、この謝罪の様子を見ていたハジメは納得いきません。 「僕は悪いことしたの?」 「なんで謝るの?」 「僕は間違っているの、お母さん?」 「また同じことがあったら、僕はどうすればいいの?」  信ちゃんも美奈ちゃんも、まともに答えることができません。  美奈ちゃんが児童相談所の堂本(余貴美子)に相談すると、虐待に遭っていた子がイジメを見ると、極端な正義感に走ることがあるんだそうです。アドバイスを乞うても、堂本は「自分で考えろ」しか言いません。  必死で考えた信ちゃんと美奈ちゃんの答えは、こうでした。 「イジメを見かけたらどうすればいいか、それはハジメが決めるしかない」 「ハジメが決めたことなら、お父さんとお母さんは全力で応援する」  そんなこんなで、おゆうぎ会の本番の日を迎えます。おゆうぎ会は、信ちゃんママの入っているホームで行われるのでした。  ホームに梅田家の家族親類が集まります。今回、周囲のそれぞれの家族が問題に直面していました。  信ちゃんの妹・春代(坂井真紀)は、小学生の娘・アスカちゃんが言うことを聞かなくてイライラ中。ところが、アスカちゃんは春代の保護者会での傍若無人な振る舞いが原因で、クラスでイジメに遭っていました。  なんとか仲直りしたものの、今度はその親子の仲の良さを見せつけられた信ちゃんママが、アル中で育児放棄したことを思い出し「ごめんね、春代……」と涙。春代も涙。  信ちゃんの弟・タクミ(37歳フリーター)は、信ちゃんママの担当職員さんを孕ませてしまい「堕胎せよ」と説得中。自分に父親になる資格がないことを美奈ちゃんに吐露し、「変われない自分」に悩んでいます。  そんなこんなで、おゆうぎ会オンステージです。  先生のピアノの伴奏にあわせて、20人ほどの園児が「手のひらを太陽に」を合唱します。その中には、ハジメもいます。ニッコニコです。  ところが歌の最中、ハジメの後ろでイジメが勃発。2人の園児が、ひときわ小柄な男の子の足を踏んだりなど、ちょっかいを出し始めます。気付いているのはハジメだけ。ハジメは先生にアイコンタクトを送りますが、演奏に夢中の先生は気付いてくれません。  ここでハジメが、信ちゃんと美奈ちゃんに「ハジメが決めるしかない」と言われた通り、行動を起こします。  まず、足で床ドン! そして、周囲をにらみつけます。迫力満点。歌が中断しました。先生は「ハジメくん、前見て歌いましょ」と不安気です。  次にハジメは、イジメっ子2人の手を引き、先生の前に連行します。そして、意外なことを言うのです。 「先生、ピアノを弾かせてください」 「3人で、ピアノを弾かせてください」 「お願いします」  イジメっ子2人に手分けして左手パートを弾くよう手ほどきをすると、自分は右手のメロディを奏でます。曲はサン=サーンス「動物の謝肉祭」より「白鳥」。美奈ちゃんパパがハジメに弾いて聞かせた曲です。ハジメは、世界的なコンダクターである美奈ちゃんパパがそうしたように、イジメっ子2人に音楽の美しさを説くのです。 「この世界にはきれいなものがいっぱいあるんだよ」 「それなのに、どうしてみんなケンカするの」 「どうしてみんなで仲良く歌を歌わないの」  一同、厳粛に受け止める中、今度は「ドレミの歌」を弾き語り始めました。もう独壇場です。アスカちゃんも、信ちゃんママも、イジメっ子も、イジメられっ子も、歌いださずにはいられません。ホームで暮らすご老人たちも巻き込んで、大合唱になります。  なんたる扇動能力でしょう。インパクト抜群の登壇から始まり、シンプルで明快な演説、さらに、全員を自然な形で合唱に参加させることで群衆心理を操ってみせます。時代が違えば、言葉悪いけど、すごく悪い例を出すけど、先に謝っておくけどごめんなさいね、これ、ヒトラーかよ! と思いました。信ちゃんママなんてずっとアル中で苦しんでたのに、この会のあと、飲みかけのお酒捨ててたからね。  でもまあ、そんな超人ハジメも、やっぱり虐待の過去を引きずっています。幼稚園で「家族の絵を描け」と言われて描いた絵には、信ちゃんと美奈ちゃんと手をつないだ自分、その斜め上に、顔面をグチャグチャに黒塗りされた人物が浮いていました。  それでも、信ちゃんと美奈ちゃんはうまくいってたんです。堂本も、「このままいけば裁判所の判断で特別養子縁組が認められる」と太鼓判を押していました。でもその条件は、ハジメが「親に捨てられた子」のままであることなんですね。  今回のラスト、ハジメの生みの親を名乗る人間が現れます。黒塗りの高級セダンから高級オバサマ(富田靖子)が降りてきて、ハジメに「ひかり?」と語りかけるのです。  ここまで、ハジメの実母はクソ貧乏アパートから姿を消した最悪の貧乏女で、男も取っかえひっかえだったので父親も不明と説明されていましたが、正反対の川島なお美さんみたいな富田靖子さんが現れたのです。さて、どうなることやら……どうなることやら! このドラマ、おもしろーい!  あと、富田靖子さんが川島なお美さんに見えたのもそうですし、1話目のときに「宮地雅子さん出てるー」と思ったら坂井真紀さんだったり、なんか時間の流れを感じました。関係ないけど。 (文=どらまっ子AKIちゃん)

『はじめまして、愛しています。』善人・江口洋介の“ウソっぽさ”の正体とは

hazime0812
テレビ朝日系『はじめまして、愛しています。』番組サイトより
 前回、衝撃の“出産ごっこ”で視聴者の度肝を抜きつつ血涙を搾り取った『はじめまして、愛しています。』(テレビ朝日系)。脚本の遊川和彦の番組公式サイトでの発言によれば「4話までは取材したことをそのまま」「5話以降は、この家族がどうなっていくか、ドラマとして自分で描いていかなければならない」だそうですが、今回がその第5話です。  前回までで、里子になった子どもたちのほとんどに現れるという“試し行動”や“赤ちゃん返り”といった典型的な問題行動の時期は終わりました。つまり、今後は養子として引き取られたハジメ(横山歩)がどんな行動に出るのか、誰にもわからないということです。  信ちゃん(江口洋介)と美奈ちゃん(尾野真千子)にとって、初めての育児。信ちゃんは、とにかくハジメを甘やかします。丸めた新聞紙でブッ叩かれても怒りません。ちょっと「いただきます」とか言おうものなら、ライオンをホメるムツゴロウさんのようにハジメをホメまくります。  一方、美奈ちゃんはなかなかハジメをホメることができません。野菜も食べなきゃ「ダメ」、箸の持ち方がそれじゃ「ダメ」、「ダメよ~ダメダメ」と、とにかくダメ出ししまくりです。公園デビューを飾っても、すべり台の「じゅんばんをまもりましょう」という看板を無視して別の子の順番を抜かしたハジメに「ダメ!」です。  ところがハジメくん、字が読めなかったんですね。ならば字を教えるのも美奈ちゃんの役目です。普遍的な子育ての負担が、ストレスとなって美奈ちゃんを追い詰めていきます。  ハジメはハジメで、ストレスをため込んでいきます。信ちゃんだけでなく、美奈ちゃんにもホメられたくて自主的に字の練習をしたり、お豆で箸の練習をしたりしますが、一向にホメてくれません。  ピアノ教室の生徒のことはめっちゃホメるのに!  というわけで、ハジメは授業中のピアノ教室に乱入。「ボクが弾く!」と言い放ち、生徒さんをイスの上から突き飛ばします。なかなかの問題行動です。  当然、美奈ちゃん激怒。 「謝りなさい!」 「ボク悪くないもん!」 「いいかげんにしなさい!」  思わず振り上げた手をなんとか止めた美奈ちゃんでしたが、「どうするのが正解なんだろう」と自問するしかありません。  今回描かれたのは、子育てにおける「正解のなさ」でした。突然、成り行きでハジメの親になった美奈ちゃんは、「ハジメにどんな人間になってもらいたいか」を一生懸命考えます。信ちゃんの妹(子持ち)に相談して「普通はそんなふうに考えないんじゃないかな」「子どもに幸せになってほしいだけ」と言われても、どこかピンときません。  児童相談所の堂本(余貴美子)は、子育てには2パターンしかないと言います。 「自分が親にされたのと同じようなことをしたいと思うか、親にしてもらえなかったことをしたいと思うか」  美奈ちゃんは自分を全然かわいがってくれなかった父親に、信ちゃんはアル中になって家族生活を放棄した母親に、それぞれ「どんな人になってほしかったか」と聞いてみますが、やはり腑に落ちるような答えを得ることはできません。  そんなある日、ハジメが夫婦に問います。 「愛って、何?」 「幸せって、何?」  なんとなく口先だけで答えを取り繕う美奈ちゃんと、美奈ちゃんにピアノを弾かせて「どうだ幸せだろう」と悦に入る信ちゃんでしたが、これは甘かった。  ハジメはピアノを弾いている美奈ちゃんに割り込むと、鍵盤を乱暴に叩いて咆哮します。 「幸せじゃない! お母さんのピアノ聞いても幸せじゃない! お母さん嫌い! 大っ嫌い!」  本当の母親ではない美奈ちゃんを「お母さん」と呼びながら「大っ嫌い!」と叫ぶしかないハジメの複雑な心理が描かれますが、信ちゃんにはそのへんの機微は伝わりません。おもむろにハジメを抱え上げると庭に放り出してしまいます。 「だったら出て行け! 施設に戻ればいいだろ!」  絵に描いたようなネグレクトです。ほとんど殺人行為と言っていいでしょう。これもう、お話終わっちゃうじゃん、と思いました。  ところが、意外なハジメの機転によってドラマは感動の展開を迎えます。家を閉め出されたハジメは児童相談所に堂本を訪ね、「手紙を書きたいから字を教えろ」と言い、「おとうさんとおかあさんへ」の手紙をしたためるのでした。  その手紙には、たった2行、こうありました。 「ごめんなさい」 「すてないでください」  堂本によれば、ハジメはもう一言、書きたかったそうです。でもその一言は、直接伝えることにしたんだそうです。  ハジメは、信ちゃんと美奈ちゃんをしっかりと見つめ、口を開きます。 「愛しています」  そう、はっきりとした口調で。  いや、あのね、泣けるんです。実に泣ける展開なんですけど、なんかすごく不穏な空気がドラマ全体を包んでいる気がするんですよね。特に今回、「愛」とか「幸せ」とか、そういう言葉が言葉として乱発されすぎてる。どんどん意味が希薄になってきてる。というか、今回はハジメの行動が混乱と解決の両方を担っているので、夫婦の発する言葉が上滑りして聞こえるし、行動がことごとくバカに見えるんです。  タクミ(速水もこみち)が、信ちゃんを評して「ウソっぽいまでに家族を大切にするノリ」となじった場面がありました。  こっちのほうが、しっくりくる見え方なんですよね。ドラマ全体が、愛と幸せを語るフリをしながら、のちのちこの夫婦を断罪しようとしているんじゃないかと邪推してしまうんです。  だって、あの遊川が言うんだもん。「5話以降は、この家族がどうなっていくか、ドラマとして自分で描いていかなければならない」って。 (文=どらまっ子AKIちゃん)

『はじめまして、愛しています。』善人・江口洋介の“ウソっぽさ”の正体とは

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テレビ朝日系『はじめまして、愛しています。』番組サイトより
 前回、衝撃の“出産ごっこ”で視聴者の度肝を抜きつつ血涙を搾り取った『はじめまして、愛しています。』(テレビ朝日系)。脚本の遊川和彦の番組公式サイトでの発言によれば「4話までは取材したことをそのまま」「5話以降は、この家族がどうなっていくか、ドラマとして自分で描いていかなければならない」だそうですが、今回がその第5話です。  前回までで、里子になった子どもたちのほとんどに現れるという“試し行動”や“赤ちゃん返り”といった典型的な問題行動の時期は終わりました。つまり、今後は養子として引き取られたハジメ(横山歩)がどんな行動に出るのか、誰にもわからないということです。  信ちゃん(江口洋介)と美奈ちゃん(尾野真千子)にとって、初めての育児。信ちゃんは、とにかくハジメを甘やかします。丸めた新聞紙でブッ叩かれても怒りません。ちょっと「いただきます」とか言おうものなら、ライオンをホメるムツゴロウさんのようにハジメをホメまくります。  一方、美奈ちゃんはなかなかハジメをホメることができません。野菜も食べなきゃ「ダメ」、箸の持ち方がそれじゃ「ダメ」、「ダメよ~ダメダメ」と、とにかくダメ出ししまくりです。公園デビューを飾っても、すべり台の「じゅんばんをまもりましょう」という看板を無視して別の子の順番を抜かしたハジメに「ダメ!」です。  ところがハジメくん、字が読めなかったんですね。ならば字を教えるのも美奈ちゃんの役目です。普遍的な子育ての負担が、ストレスとなって美奈ちゃんを追い詰めていきます。  ハジメはハジメで、ストレスをため込んでいきます。信ちゃんだけでなく、美奈ちゃんにもホメられたくて自主的に字の練習をしたり、お豆で箸の練習をしたりしますが、一向にホメてくれません。  ピアノ教室の生徒のことはめっちゃホメるのに!  というわけで、ハジメは授業中のピアノ教室に乱入。「ボクが弾く!」と言い放ち、生徒さんをイスの上から突き飛ばします。なかなかの問題行動です。  当然、美奈ちゃん激怒。 「謝りなさい!」 「ボク悪くないもん!」 「いいかげんにしなさい!」  思わず振り上げた手をなんとか止めた美奈ちゃんでしたが、「どうするのが正解なんだろう」と自問するしかありません。  今回描かれたのは、子育てにおける「正解のなさ」でした。突然、成り行きでハジメの親になった美奈ちゃんは、「ハジメにどんな人間になってもらいたいか」を一生懸命考えます。信ちゃんの妹(子持ち)に相談して「普通はそんなふうに考えないんじゃないかな」「子どもに幸せになってほしいだけ」と言われても、どこかピンときません。  児童相談所の堂本(余貴美子)は、子育てには2パターンしかないと言います。 「自分が親にされたのと同じようなことをしたいと思うか、親にしてもらえなかったことをしたいと思うか」  美奈ちゃんは自分を全然かわいがってくれなかった父親に、信ちゃんはアル中になって家族生活を放棄した母親に、それぞれ「どんな人になってほしかったか」と聞いてみますが、やはり腑に落ちるような答えを得ることはできません。  そんなある日、ハジメが夫婦に問います。 「愛って、何?」 「幸せって、何?」  なんとなく口先だけで答えを取り繕う美奈ちゃんと、美奈ちゃんにピアノを弾かせて「どうだ幸せだろう」と悦に入る信ちゃんでしたが、これは甘かった。  ハジメはピアノを弾いている美奈ちゃんに割り込むと、鍵盤を乱暴に叩いて咆哮します。 「幸せじゃない! お母さんのピアノ聞いても幸せじゃない! お母さん嫌い! 大っ嫌い!」  本当の母親ではない美奈ちゃんを「お母さん」と呼びながら「大っ嫌い!」と叫ぶしかないハジメの複雑な心理が描かれますが、信ちゃんにはそのへんの機微は伝わりません。おもむろにハジメを抱え上げると庭に放り出してしまいます。 「だったら出て行け! 施設に戻ればいいだろ!」  絵に描いたようなネグレクトです。ほとんど殺人行為と言っていいでしょう。これもう、お話終わっちゃうじゃん、と思いました。  ところが、意外なハジメの機転によってドラマは感動の展開を迎えます。家を閉め出されたハジメは児童相談所に堂本を訪ね、「手紙を書きたいから字を教えろ」と言い、「おとうさんとおかあさんへ」の手紙をしたためるのでした。  その手紙には、たった2行、こうありました。 「ごめんなさい」 「すてないでください」  堂本によれば、ハジメはもう一言、書きたかったそうです。でもその一言は、直接伝えることにしたんだそうです。  ハジメは、信ちゃんと美奈ちゃんをしっかりと見つめ、口を開きます。 「愛しています」  そう、はっきりとした口調で。  いや、あのね、泣けるんです。実に泣ける展開なんですけど、なんかすごく不穏な空気がドラマ全体を包んでいる気がするんですよね。特に今回、「愛」とか「幸せ」とか、そういう言葉が言葉として乱発されすぎてる。どんどん意味が希薄になってきてる。というか、今回はハジメの行動が混乱と解決の両方を担っているので、夫婦の発する言葉が上滑りして聞こえるし、行動がことごとくバカに見えるんです。  タクミ(速水もこみち)が、信ちゃんを評して「ウソっぽいまでに家族を大切にするノリ」となじった場面がありました。  こっちのほうが、しっくりくる見え方なんですよね。ドラマ全体が、愛と幸せを語るフリをしながら、のちのちこの夫婦を断罪しようとしているんじゃないかと邪推してしまうんです。  だって、あの遊川が言うんだもん。「5話以降は、この家族がどうなっていくか、ドラマとして自分で描いていかなければならない」って。 (文=どらまっ子AKIちゃん)

尾野真千子の“推定Dカップ”をモミッ! 『はじめまして、愛しています。』がファン必見だったワケ

hazime0805
テレビ朝日系『はじめまして、愛しています。』番組サイトより
 特別養子縁組の制度によって、見知らぬ男の子を実の家族として迎えようとする『はじめまして、愛しています。』(テレビ朝日系)は第4話。視聴率は9.8%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)と、ふたたび2ケタに回復しそうです。今季は日本テレビ系の『家売るオンナ』とTBS系『仰げば尊し』以外、3話を終えてすべて1ケタという低調なクールにあって、目立つ存在になりつつありますね。  前回、男の子(横山歩)を「一(ハジメ)」と名付け、家に迎え入れた不動産屋の信ちゃん(江口洋介)とピアノ教師の美奈ちゃん(尾野真千子)夫婦。飲み物をブチまけたり腕を噛んだりといった“試し行動”の時期はようやく終わりましたが、今回は“赤ちゃん返り”が始まりました。  ハジメはとにかく1日中美奈ちゃんに抱きついて、決して離れません。トイレも一緒。服の上からですが、乳を吸ったりもします。ちなみに某一流実話誌によれば、オノマチの乳は推定Dカップだそうです。モミッとされてました。モミッ。ああ~。ファン必見ですね。  話を戻します。こうした行動は、親に愛されずに育った子どものほとんどに見られるそうで、特に5歳までという長い期間にわたって虐待されたハジメの場合、赤ちゃん返りの時期は長くなることもあると、児童相談所の堂本(余貴美子)は言います。  その負担は、すべて“母親”である美奈ちゃんにかかってきます。肉体的にも精神的にも、美奈ちゃんは爆発寸前。そんな美奈ちゃんに信ちゃんは、「一緒にピアノを弾いてみたら」と提案します。ここまで一言も発さず、表情もほとんど変えないハジメでしたが、ピアノにだけは反応するのでした。  美奈ちゃんがピアノの前にハジメを座らせようとすると、スルッと離れました。やっぱり、ハジメにとってピアノだけは特別なようです。  第1話でハジメと夫婦の運命を決定づけた「ドレミの歌」を一緒に弾こうという美奈ちゃん。するとハジメは、教えてもいないのに「ミーはみんなのミー」以降をスラスラと弾いてみせるのでした。リトルピアノマン! 耳で聞いた音を、どの鍵盤が鳴らすかを本能的に知っている天才か、もしくは経験者のどちらかでしょう。ピアノをちゃんと練習していた時期(普通に暮らしていた時期)があったのかもしれませんね。それなら、ピアノにだけ反応することにも説明がつきますし。  で、ハジメがピアノに気を取られているうちに、美奈ちゃんはずっとガマンしていたトイレへ。用を足している間、どうやらハジメはおとなしくしているようでしたが、出てきたらピアノの横でおもらししてました。「リベンジされた」と美奈ちゃんの心の声。“試し行動”の名残りですね。  とりあえずピアノを弾かせておけば背負ったり抱き上げたりし続ける必要はないことを学習したはずの美奈ちゃんでしたが、その後もなぜか背負い続け、ストレスをため続けます。旦那の信ちゃんもわかってくれないし、どうしたらいいかわからず、それでもハジメは1日中ベッタリくっついているし、美奈ちゃんの悩みは深まるばかりです。  そんな折、堂本が家庭訪問に訪れました。悩みを吐露し、涙を流す美奈ちゃんに、堂本は言うのです。美奈ちゃんも堂本も好きだという、ミュージカル『アニー』のセリフを引用して。 「ノーと言うのは、イエスというのが怖いからよ」  ハジメは、信じる勇気が湧かないのだと堂本は説明します。自分が愛されていると信じることが怖いのだと。  美奈ちゃんは、ハジメを産むことにしました。ハジメが「母さん、もう一度僕を妊娠してください」とか言ったわけではありませんが、とにかくそうすることにしたのです。ちょっと何言ってるかわからないと思いますが、里親研修のときに“出産ごっこ”をしたという夫婦のエピソードを聞いていたんだそうです。 「ハジメを産んでよ、美奈ちゃん!」  信ちゃんはあいかわらず能天気なものです。  3人は寝室に移動し、美奈ちゃんのお腹の上に、頭を下にしてハジメが乗っかります。信ちゃんが、ハジメを包み込むように毛布をかけます。そして、必死にいきみ始める美奈ちゃん。馬乗りの5歳児は、微動だにしません。  下から毛布をめくり、信ちゃんがハジメに語りかけます。 「生まれてきて大丈夫だから」 「この世界はつらいことだけじゃないから」  のそのそと、ハジメは美奈ちゃんの股の間から這い出すのでした。と、こうやって文章で書くとバカみたいですけど、第4話までで一番の泣きどころです。 「よーし、ハジメが生まれたぞー! お母さん、こんな元気な子が生まれたぞ!」と信ちゃん。美奈ちゃんはハジメをじっと見つめ、「はじめまして、愛しています。」と告げるのでした。ここでタイトルを美奈ちゃんに言わせるあたり、完全に尾野真千子のドラマだなーと思いました。同時に、養子を取るということは母親側の問題なんだよというメッセージも込められた、ニクイ演出です。「泣いていいんだよ」と美奈ちゃんに促され、初めて、ハジメは夫婦の前で泣き出しました。  ハジメはその後、日に日に赤ちゃんから普通の5歳児へと成長していきます。そしてある日、夫婦を「お母さん」「お父さん」と呼ぶ日がやってきたのでした。というところで第4話おしまい。  ハジメが夫婦を両親と認めたことで、今後は児童相談所も頼りになりません。信ちゃんと美奈ちゃんが、ハジメをどんな子に育てたいか、本当の育児が始まるわけです。 『はじめまして、愛しています。』では、ここまで毎話必ず、信ちゃんと実母、美奈ちゃんと実父の不仲についてのエピソードが挟み込まれています。とにかく信ちゃんも美奈ちゃんも、親が大っ嫌いなのです。しかし、自分たちがハジメを「どう育てるか」を考えるうえで、自分が「どう育ったか」という問題は避けて通れません。人を育てるのは親の教育方針ではなく生活環境ですからね。たとえば、美奈ちゃんが「愛する信ちゃんのように、明るく楽しく育ってほしい」と願うことは「信ちゃんのように母親(つまり自分)を激しく嫌うかも」ということですし、その逆もまた然り。なんとなく見ていた夫婦の親子間不和ですが、実は練られた設定だったんですねー。気付かなかった。バカなのかな。 (文=どらまっ子AKIちゃん)

尾野真千子の夫“目線なし写真”の衝撃! パワハラ問題に関係が……

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TOM company公式サイトより
 先月中旬、「週刊文春」(文藝春秋)が報じた、EXILEや三代目J Soul Brothersらを抱える芸能事務所LDHの“パワハラ疑惑”。記事によると、同社では体育会系的なイジメが横行。幹部社員がささいな理由で部下に土下座を命じたり、ラーメン10杯の完食を強要するなどしていたという。  また、時間外勤務に対して適正な残業代が支払われず、労働基準監督署に相談した元社員もいたという。  そうしたパワハラの“主犯格”といわれているのが、双子の名物役員X氏とY氏。弟のY氏は、昨年7月に人気女優・尾野真千子と結婚したことでも話題となった。  そのY氏の近影が、29日発売の写真週刊誌「フライデー」(講談社)に“目線なし”で掲載された。 「フライデーの名物コーナー『目撃!ハリコミ24』内で、Y氏と尾野さんのツーショット写真が掲載されています。それもカラー。Y氏は基本的に裏方の人なので、目線なしには驚きました」とはスポーツ紙関係者。  その理由について、芸能プロ幹部は「フライデーとLDHは比較的良好な関係なので、協議した上で“目線なし”ということになったはず。パワハラ問題で主犯格扱いされている中、目線を入れたら犯罪者のようになりますからね(笑)。あえて入れないことで『問題なし』を業界中にアピールしたのでしょう」と推測する。  小細工を労したところで、世間のパワハライメージが変わるとは思えないが……。

無表情の子役怖すぎ! 尻を痛がる尾野真千子がエロすぎ!『はじめまして、愛しています。』

hazimemasite0715
テレビ朝日系『はじめまして、愛しています。』番組サイトより
 遊川和彦脚本のテレビ朝日系『はじめまして、愛しています。』は第3話。前回、里親として登録された信ちゃん(江口洋介)と美奈ちゃん(尾野真千子)の夫婦が、男の子(横山歩)を引き取る場面からスタートです。  いまだもって、どうしてそんなに養子がほしいのかよくわからない信ちゃんですが、相変わらず能天気に施設に向かいます。ここで子どもを引き取って、里親委託という形で同居し、親子関係が築けていると裁判所が判断したら、戸籍上も本当の家族になることができるんだそうです。  信ちゃんはその場で、男の子を「ハジメ」と名付けました。「一」と書いてハジメです。「俺たちの一番愛する存在になるから」というのが、その理由だそうです。ここで引き取っても、何年か後に弟や妹をつくるつもりは一切ないようですね。「絶対に実子をつくらない」という信ちゃんの人生設計が、さらりと挟み込まれました。やっぱり、「この子に運命を感じた」だけじゃない何かがあるみたい。  児童相談所の堂本(余貴美子)は、夫婦に念を押します。この子は必ず、“試し行動”をする。短ければ1週間、長い子では6カ月も、極端な偏食や過食、暴れる、飲み物をまき散らす、噛みつくなどなど、親の愛を試す行動をするものだと。そのときに、叱ってはいけない。すべてを受け入れなければいけない。叱ってやめさせたりしたら、不満や怒りをため込んで爆発する。非行に走ったり、自殺する子もいると。  ハジメを引き取って3日後、いよいよ恐れていた“試し行動”が始まりました。手始めに夫婦の寝室の床にオレンジジュースをたれ流すと、あとはやりたい放題です。 「できれば、そういうことはやめたほうがいいんじゃないかなー」  と、やんわり忠告する信ちゃんを尻目に、ハジメは床にケチャップ、ソース、卵、しょうゆなどを分量関係なしにまき散らし、片っ端から引き出しの中身を放り投げ、風呂場ではシャワーを振り回して暴れます。パンと海苔しか食べなくなり、買い物に行けばバナナをカゴいっぱいに詰め込みます。  信ちゃんは仕事があるので、後始末をするのは全部美奈ちゃん。ストレスがたまって、痔が悪化してしまいました。  ようやく信ちゃんが休みの日、気が休まると思った美奈ちゃんでしたが、さらにストレスをためることに。信ちゃんが勝手に、美奈ちゃんと仲が悪いお義父さん・追川(藤竜也)を家に呼んでしまったのでした。  追川は、かつて美奈ちゃんにそうしてあげたように、ハジメにピアノを弾いて聞かせます。そして「音楽って美しいだろう、たくさん教えてやるからな」と優しく語りかけますが、美奈ちゃんはこれが気に食わない。「どうせ忙しくて教えてなんかくれないくせに!」と積年の恨みをぶつけ、追川を追い出してしまいました。 “試し行動”が始まってからというもの、信ちゃんは「美奈ちゃんならできるよ」「がんばろう」「気持ちわかるよ」「大丈夫だよ」と貼り付いた笑顔で励ましていましたが、それも美奈ちゃんのストレスを加速させることに。地獄への道は善意で舗装されているといいますが、美奈ちゃんだけが、すべてを抱え込んで、さらに痔が悪化していくのでした。尻を痛がるオノマチは妙にエロいので、今後、どんどん悪化してほしいところではあります。  それはそうと、他人が来ている間は“試し行動”をしなかったハジメですが、3人になるとナイフとフォークでソファをザックザクに。さすがに止めに入った美奈ちゃんの腕に噛みついてきました。手はピアニストの命ですし、さすがにブチ切れた美奈ちゃん、ハジメを突き飛ばしました。  この、突き飛ばされたハジメの芝居がスゴかった。床に倒れ込んだままの姿勢で、美奈ちゃんを見つめます。にらみつけるでもなく、悲しみをたたえるでもなく、ただ無表情に、見てる。見てる。見てる。そしてゆっくりと立ち上がると、その場でおもらしをして見せるのでした。  この期に及び、美奈ちゃん、ついにギブアップです。信ちゃんに「ハジメを養子にするなら離婚」宣言。さすがの信ちゃんも折れて、翌日、施設にハジメを返しに行くことにしました。  ハジメを返すと、美奈ちゃんは児相の堂本を相手に、自身の弱さを吐露します。 「覚悟はしていたけど、限界なんです」 「夫にもわかってもらえないし」 「突き飛ばしたとき、思ったんです。自分も虐待をする可能性があるんだって」 「そしたら、もう怖くて……」  たぶん、慰めてほしかったんでしょうね。美奈ちゃんは堂本に「経験上、わかりますよ。どうかご自分を責めないで」とでも言ってほしかったんでしょう。  しかし堂本は「もういいですか、忙しいので」と極めて冷たく言い放ちます。あくまで里親は子どものための制度。あんたの泣き言に付き合うより前に、次の里親候補を探さなければいけない。一番大切なのは、子どもの命だから、と。  美奈ちゃんは、信ちゃんと仲の悪いアル中の信ちゃんママ(浅茅陽子)をホームに訪ね、“母親失格”の実例を目の当たりにしたり、家に帰ってピアノに触りながらハジメとのひとときを思い出したりしているうちに、完全復活。もう一度ハジメを迎えに行くことにしたのでした。  信ちゃんと一緒に施設を訪ねると、ポツンとしているハジメがいます。 「ハジメ! 帰るよ、ハジメ」  ハジメは名前を呼ぶ声に反応し、駆けてきました。抱き合う美奈ちゃんとハジメ。信ちゃんは、『ひとつ屋根の下』(フジテレビ系/1993)のあんちゃんがよくやってたあの泣き顔で、2人を見つめるのでした。  そうしてハジメの“試し行動”は終わり、3人の里親委託生活は続いていくことになりました。  というところまでで第3話。公式サイトで遊川氏が「4話までは取材したことをそのまま」と話している通り、痛々しいまでのリアリティで描かれた“試し行動”。何より、ハジメ役の横山歩が超怖い。無表情で意味不明の行動を繰り返す様は、ほとんどホラーと言っていいほどです(ほめてます)。  前半部分で、この夫婦が里親になることを、堂本が強く推薦していたことが明かされました。面談を通して、堂本はこの夫婦が里親に「向いている」と判断していたということです。それでも、音を上げればすぐにあきらめて次へ……と「大人の都合は関係ない」という養子制度の本質を、視聴者にちゃんとわからせようという意図も感じる回だったと思います。  そして、考えちゃうのはやっぱり、相模原の事件のことなんですよね。ハジメの“試し行動”は長くても半年で終わるものでしたが、あのような行動を死ぬまで何十年も、24時間体制で、大人のフルパワーで行使し続け、決して終わる見込みのない人たちというのが、実際にいるんですもんね。福祉に携わる方々には、ホントに頭が下がる思いです。 (文=どらまっ子AKIちゃん)

無表情の子役怖すぎ! 尻を痛がる尾野真千子がエロすぎ!『はじめまして、愛しています。』

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テレビ朝日系『はじめまして、愛しています。』番組サイトより
 遊川和彦脚本のテレビ朝日系『はじめまして、愛しています。』は第3話。前回、里親として登録された信ちゃん(江口洋介)と美奈ちゃん(尾野真千子)の夫婦が、男の子(横山歩)を引き取る場面からスタートです。  いまだもって、どうしてそんなに養子がほしいのかよくわからない信ちゃんですが、相変わらず能天気に施設に向かいます。ここで子どもを引き取って、里親委託という形で同居し、親子関係が築けていると裁判所が判断したら、戸籍上も本当の家族になることができるんだそうです。  信ちゃんはその場で、男の子を「ハジメ」と名付けました。「一」と書いてハジメです。「俺たちの一番愛する存在になるから」というのが、その理由だそうです。ここで引き取っても、何年か後に弟や妹をつくるつもりは一切ないようですね。「絶対に実子をつくらない」という信ちゃんの人生設計が、さらりと挟み込まれました。やっぱり、「この子に運命を感じた」だけじゃない何かがあるみたい。  児童相談所の堂本(余貴美子)は、夫婦に念を押します。この子は必ず、“試し行動”をする。短ければ1週間、長い子では6カ月も、極端な偏食や過食、暴れる、飲み物をまき散らす、噛みつくなどなど、親の愛を試す行動をするものだと。そのときに、叱ってはいけない。すべてを受け入れなければいけない。叱ってやめさせたりしたら、不満や怒りをため込んで爆発する。非行に走ったり、自殺する子もいると。  ハジメを引き取って3日後、いよいよ恐れていた“試し行動”が始まりました。手始めに夫婦の寝室の床にオレンジジュースをたれ流すと、あとはやりたい放題です。 「できれば、そういうことはやめたほうがいいんじゃないかなー」  と、やんわり忠告する信ちゃんを尻目に、ハジメは床にケチャップ、ソース、卵、しょうゆなどを分量関係なしにまき散らし、片っ端から引き出しの中身を放り投げ、風呂場ではシャワーを振り回して暴れます。パンと海苔しか食べなくなり、買い物に行けばバナナをカゴいっぱいに詰め込みます。  信ちゃんは仕事があるので、後始末をするのは全部美奈ちゃん。ストレスがたまって、痔が悪化してしまいました。  ようやく信ちゃんが休みの日、気が休まると思った美奈ちゃんでしたが、さらにストレスをためることに。信ちゃんが勝手に、美奈ちゃんと仲が悪いお義父さん・追川(藤竜也)を家に呼んでしまったのでした。  追川は、かつて美奈ちゃんにそうしてあげたように、ハジメにピアノを弾いて聞かせます。そして「音楽って美しいだろう、たくさん教えてやるからな」と優しく語りかけますが、美奈ちゃんはこれが気に食わない。「どうせ忙しくて教えてなんかくれないくせに!」と積年の恨みをぶつけ、追川を追い出してしまいました。 “試し行動”が始まってからというもの、信ちゃんは「美奈ちゃんならできるよ」「がんばろう」「気持ちわかるよ」「大丈夫だよ」と貼り付いた笑顔で励ましていましたが、それも美奈ちゃんのストレスを加速させることに。地獄への道は善意で舗装されているといいますが、美奈ちゃんだけが、すべてを抱え込んで、さらに痔が悪化していくのでした。尻を痛がるオノマチは妙にエロいので、今後、どんどん悪化してほしいところではあります。  それはそうと、他人が来ている間は“試し行動”をしなかったハジメですが、3人になるとナイフとフォークでソファをザックザクに。さすがに止めに入った美奈ちゃんの腕に噛みついてきました。手はピアニストの命ですし、さすがにブチ切れた美奈ちゃん、ハジメを突き飛ばしました。  この、突き飛ばされたハジメの芝居がスゴかった。床に倒れ込んだままの姿勢で、美奈ちゃんを見つめます。にらみつけるでもなく、悲しみをたたえるでもなく、ただ無表情に、見てる。見てる。見てる。そしてゆっくりと立ち上がると、その場でおもらしをして見せるのでした。  この期に及び、美奈ちゃん、ついにギブアップです。信ちゃんに「ハジメを養子にするなら離婚」宣言。さすがの信ちゃんも折れて、翌日、施設にハジメを返しに行くことにしました。  ハジメを返すと、美奈ちゃんは児相の堂本を相手に、自身の弱さを吐露します。 「覚悟はしていたけど、限界なんです」 「夫にもわかってもらえないし」 「突き飛ばしたとき、思ったんです。自分も虐待をする可能性があるんだって」 「そしたら、もう怖くて……」  たぶん、慰めてほしかったんでしょうね。美奈ちゃんは堂本に「経験上、わかりますよ。どうかご自分を責めないで」とでも言ってほしかったんでしょう。  しかし堂本は「もういいですか、忙しいので」と極めて冷たく言い放ちます。あくまで里親は子どものための制度。あんたの泣き言に付き合うより前に、次の里親候補を探さなければいけない。一番大切なのは、子どもの命だから、と。  美奈ちゃんは、信ちゃんと仲の悪いアル中の信ちゃんママ(浅茅陽子)をホームに訪ね、“母親失格”の実例を目の当たりにしたり、家に帰ってピアノに触りながらハジメとのひとときを思い出したりしているうちに、完全復活。もう一度ハジメを迎えに行くことにしたのでした。  信ちゃんと一緒に施設を訪ねると、ポツンとしているハジメがいます。 「ハジメ! 帰るよ、ハジメ」  ハジメは名前を呼ぶ声に反応し、駆けてきました。抱き合う美奈ちゃんとハジメ。信ちゃんは、『ひとつ屋根の下』(フジテレビ系/1993)のあんちゃんがよくやってたあの泣き顔で、2人を見つめるのでした。  そうしてハジメの“試し行動”は終わり、3人の里親委託生活は続いていくことになりました。  というところまでで第3話。公式サイトで遊川氏が「4話までは取材したことをそのまま」と話している通り、痛々しいまでのリアリティで描かれた“試し行動”。何より、ハジメ役の横山歩が超怖い。無表情で意味不明の行動を繰り返す様は、ほとんどホラーと言っていいほどです(ほめてます)。  前半部分で、この夫婦が里親になることを、堂本が強く推薦していたことが明かされました。面談を通して、堂本はこの夫婦が里親に「向いている」と判断していたということです。それでも、音を上げればすぐにあきらめて次へ……と「大人の都合は関係ない」という養子制度の本質を、視聴者にちゃんとわからせようという意図も感じる回だったと思います。  そして、考えちゃうのはやっぱり、相模原の事件のことなんですよね。ハジメの“試し行動”は長くても半年で終わるものでしたが、あのような行動を死ぬまで何十年も、24時間体制で、大人のフルパワーで行使し続け、決して終わる見込みのない人たちというのが、実際にいるんですもんね。福祉に携わる方々には、ホントに頭が下がる思いです。 (文=どらまっ子AKIちゃん)

“善人夫婦”は、どう壊れていくか……『はじめまして、愛しています。』の残酷な世界

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テレビ朝日系『はじめまして、愛しています。』番組サイトより
「前半は丁寧に作りこんで、後半グダグダにして最終回でドーンと壊す」でおなじみの脚本家・遊川和彦にとって初めてのテレビ朝日系ドラマとなる『はじめまして、愛しています。』は第2話。視聴率は初回の10.0%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)から11.4%と、けっこう上がりました。初回の再放送やネット配信を見た人が2話目を“待って見た”ということですので、高評価なのでしょう。  特別養子縁組についての物語、前回は信ちゃん(江口洋介)と美奈ちゃん(尾野真千子)の梅田夫婦が、見知らぬ男の子を引き取る決意を固めるところまでが描かれました。  信ちゃんは、とことんポジティブな熱血漢。突然、家に現れた男の子を引き取る理由を「運命だ」「運命だ」「運命なんだ」と言い張り、強引に物事を進めてしまいました。美奈ちゃんは当然、戸惑いを見せるものの、信ちゃんへの絶対的な信頼感でもって、話に乗ることにしました。  ここまで、夫婦の人物像は“善き人”としか描かれていません。どうやら経済的にも安定しているし、地域にも溶け込んでいるし(主に信ちゃんの性格によるものですが)、ケンカもなさそうで、平和そのものの家庭です。いかにも「養子を取るのに向いている夫婦」という描かれ方でした。  第2話では、そんな夫婦に闇が差してきます。特別養子縁組を前提に、まず里親になるための研修を受ける必要がありました。児童相談所の堂本(余貴美子)による遠慮のない「面接」によって、夫婦が互いに「秘密にしてきたこと」「別に言う必要がないと思っていたこと」が次々に暴かれます。 「ご家族のことを教えていただけますか?」  信ちゃんは8歳のときに兄と父を交通事故で亡くし、それ以来、母はアルコールに溺れてしまったこと。美奈ちゃんは5歳のときに、母が入水自殺してしまったこと。そのとき、美奈ちゃんも「2人で海に入っちゃおっか」と誘われたことを告白します。それは互いに、10年の結婚生活の中で話していなかったことでした。 「どうして話してくれなかったのか」  2人の間で、ピキピキと緊張感が走ります。そこに堂本の冷静な言葉が降ってきます。 「なんなら(養子縁組を)やめても構いませんよ」  こうして面接をしていくうちに、互いの知らなかった面を知り、大ゲンカして別れた夫婦もあるそうです。  その後も堂本は、チクチクと夫婦の「話したくないこと」ばかりを聞いてきます。  夫婦はともに片親で、信ちゃんはアル中の母に、美奈ちゃんは父親の愛人に育てられました。そして2人とも大人になった今、その遺された親との関係がよくありません。一見、子どもがいないだけの“普通の家庭”に見えた梅田家でしたが、“普通の家庭”で育った人間は、この家にはいないのでした。  そうした人間が里親に向いているのかどうか、おそらく堂本には経験上、ひとつの推論が働いているように見えます。だからまるで、信ちゃんと美奈ちゃんの関係を破壊し、再構築しようとしているかのようです。知らない子と「本当の家族になる」ためには、まずは夫婦が「本当の家族」かどうかを試す必要があるということでしょう。養子を取るために必要な覚悟が、リアリティをもって描かれていきます。  児相によるテストが終わり、夫婦は都の児童福祉審議会で「里親認定」の審議を受けることになりました。その結果を待つ間、2人は「あの子に会いたい」と施設を訪ねます。施設の職員も堂本も「話しかけても無駄だ」「あの子は何も答えない」とあきらめムードですが、男の子は美奈ちゃんをしっかりと見つめ、立ち上がるのでした。男の子にとっても、2人が他の大人とは違う特別な存在であることが明らかになりました。  まるで家族のように手をつなぎ合って動物園に向かった3人でしたが、ここで男の子が迷子になってしまいました。園内放送をかけようにも、男の子には名前がありません。必死で探す中、また2人は、面接で互いに打ち明けた過去について言い争いになります。美奈ちゃんは「やっぱりやめよう、養子なんか。こんなんじゃ無理だよ、あの子を育てるなんて」「あの子がうちにきたのも、ただの思い込み」とまで言い出してしまいました。  そこに現れたのが、またピアノでした。広場にあったピアノを係員さんに頼み込んで弾かせてもらうと、男の子が引き寄せられてくるのでした。  また手をつないで、3人は施設に戻ります。来るときは信ちゃんから強引につないだ手でしたが、帰るときには、手を差し伸べようとする信ちゃんを、美奈ちゃんが制しました。 「そっちから、ちゃんと手をつなぎなさい」 「この人はあんたを裏切らない。そんな人の手は絶対離しちゃダメ」  美奈ちゃんの脳裏に、手を離してしまった母が海に入っていくシーンがよぎるのでした。  信ちゃんと美奈ちゃんは里親認定を受け、里親になる資格があると登録されました。今後は、里親委託という形で、男の子と同居することになります。  しかし、2人の間で明らかになったわだかまりは、何ひとつ解決されていません。互いに不満を飲み込んだまま、男の子を家に招き入れることになるのです。  特別養子縁組という制度は、子どものための福祉制度だそうです。つまり、親になる側が「ほしい」とか「愛してる」とか言っても、基本的にはその希望が叶えられるものではありません。その「ほしい」「愛してる」が、決してひとりよがりの感情や一時の欲望ではなく、子どもにとって最適な環境を作りえると裁判所に判断されたときにだけ、認められるのです。  だから、この2人にどんな過去や、どんな家族とのトラブルや、どんなトラウマがあったとしても、まったく関係ありません。信ちゃんが養子に固執する理由が、まだ明かされていないその過去にあったとしても、その過去を克服しようとどれだけ頑張っても、その行為が子どもにとって「ちょっとあんまりよろしくないね」ということになれば、認められないわけです。この子のために、自分の歴史と未来を犠牲にすることが強いられるわけです。自分の幸せより、この見知らぬ子どもの幸せを優先しなければならないということです。この先、ずっと。  筆者の知り合いにも、児童障害者福祉に身を投じた人間がいます。その人は、「施設の子のことを考えると、自分の子どもが運動会なんかで走り回っているのを見るのが忍びない」と言って、子どもの学校行事などに一切参加しませんでした。そして、その子が18歳になるのを待って、一家は離散しました。  福祉の世界は、「与える側」の頑丈な心も、容赦なく壊す世界です。普通の人も、普通じゃいられなくなる世界です。あんまり頑丈そうじゃない過去を持った夫婦がどのように壊れていくのか……いよいよ、今回はいつもより早く、遊川らしい残酷な世界が描かれそうで楽しみですね☆ (文=どらまっ子AKIちゃん)

『はじめまして、愛しています。』とことん善人な江口洋介が“アレ”じゃなきゃいいけど……

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テレビ朝日系『はじめまして、愛しています。』番組サイトより
『家政婦のミタ』(日本テレビ系)で最終回40%という、とんでもない視聴率を叩き出したと思ったら、『純と愛』(NHK)、『○○妻』『偽装の夫婦』(ともに日本テレビ系)ではトンデモ展開で視聴者を混乱の極みに陥れた脚本家・遊川和彦の最新作『はじめまして、愛しています。』(テレビ朝日系)がスタートしました。初回視聴率は10.0%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)と、まあまあな感じ。初回10%が「まあまあ」と感じるあたり、昨今のドラマ離れを実感するところです。  主人公は、底抜けに明るい不動産営業マン・梅田信次(江口洋介)と、自宅でピアノ教室を営む妻・美奈(尾野真千子)。「美奈がプロのピアニストを目指しているから」という理由で、2人に子どもはありませんでしたが、互いを「信ちゃん」「美奈ちゃん」と呼び合う仲良し夫婦。  そんな夫婦宅の庭に、忽然と現れた知らない子どもに運命を感じた2人が、その子と特別養子縁組しようとする物語です。  特別養子縁組というのは、実子として戸籍に入り、養親からの離縁はできない制度で、6カ月以上の試験養育期間を経て裁判所の審判によって成立するもの。簡単にいえば、気持ち的な問題だけでなく法律上でも「よその子と本当の家族になる」ということですね。  美奈ちゃんは、ピアニストとしてまったく優秀ではありません。10代から受け始めたコンテストは、35歳になる現在まで49連敗中。父親が大物コンダクターなので、たまにオーケストラで弾く仕事を請けても「親の七光りだろ」という視線に苦しむだけ。さらに、ピアノ教室を開いているのに子どもとのコミュニケーションも苦手です。  一方、信ちゃんは「コミュニケーションお化け」です。困っている人がいれば助けてあげずにはいられないし、余計な世話を焼いて迷惑を被ることもしばしば。町中の人はだいたい知り合いという感じです。  そうした人物像が実に手際よく紹介されていて、さすがベテラン脚本家。すんなりとキャラクターが入ってきました。  そして、いきなり姿を現した孤児(横山歩)が、全然かわいくない。これが、ドラマ的にすごく正しい感じがしました。2人が孤児を養子にする理由から、「かわいいから」が、まず排除されるんですね。この子が「別にかわいくない」からこそ、「養子にする」という決断に相応の理由が必要になる。  その理由を、信ちゃんは「運命」だと言い張ります。なぜだかわからないけれど、この子は2度も自宅の庭に現れた。だから「運命」を感じるのだと。当然、美奈ちゃんは渋りまくりです。  フィクションの世界で、説得力をもって「運命」を描くのは、実に難しいことです。そもそもドラマというのは全部ウソですから、主人公が「運命」だと言った瞬間に、それはドラマの都合で「運命」になってしまう。けれど、それでは視聴者は納得しない。この「運命」が「運命」であることを形をもって納得させるのが、ウソの中で本当を見せる脚本家の仕事になるわけです。  そこで「運命」を扱うドラマには「サイン」というものが登場することになります。登場人物の認識や感覚、記憶といったものが偶然共通し、そこに意味らしきものが宿ったときにだけ、「運命」は形をもって画面に現れることになるのです。  今回、この「サイン」の表現が素晴らしかった。  もともと夫婦を結びつけたのは、美奈ちゃんのピアノでした。コンテストではまったく評価されない美奈ちゃんのピアノですが、信ちゃんにとっては世界一でした。若いころの信ちゃんは、自分が紹介した部屋で美奈ちゃんが弾くピアノの音色に救われたのでした。  そして、孤児がこの家を訪れた理由も、まさに美奈ちゃんのピアノなのでした。美奈ちゃんがピアノの練習をしているときにだけ、孤児は施設を飛び出してこの家に現れるのです。  ここまででもじゅうぶんに「サイン」ですが、一言も口をきかない孤児は、美奈ちゃんがピアノを弾いて聞かせると、鍵盤ににじり寄って「ド」の音を鳴らします。  それに合わせて、美奈ちゃんが「ドレミの歌」を歌うシーンがあります。 「ド」は、ドーナツの「ド」。孤児が初めて庭に姿を現したとき、美奈ちゃんが差しだしたのがドーナツでした。 「レ」は、レモンの「レ」。美奈ちゃんの作るレモネードは親族一同に大評判で、梅田家にはいつもレモンが常備されています。 「ミ」は、みんなの「ミ」、「ファ」はファイトの「ファ」。子のいない夫婦と見知らぬ孤児が、声を重ねて歌います。 「ソ」は青い空。ホームで暮らす信ちゃんのお母さんによると、美奈ちゃんがお見舞いに来る日は「いっつもバカみたいに青空」なんだそうです。 「ラ」は、ラッパの「ラ」。信ちゃんはいつも、ラッキーアイテムとしてラッパの玩具を持ち歩いていました。マンションの内見に来たお客さんの連れていた赤ちゃんは、そのラッパを吹くと途端に泣き止みました。 「シ」は幸せよ。身元のわからない子どもは、最終的に自治体の首長が名前を付けることになります。最近では、「幸」の字を入れた名前を付けるケースが多いんだそうです。 「さぁ、歌いましょう」  美奈ちゃんと孤児が、ともに歌うのです。 「さぁ、歌いましょう」  劇中、まったく無関係に思えた小さなアイテムや心象描写が、意味を持ってクライマックスの「サイン」として作用し、明確に「運命」を演出したのでした。さすがベテラン脚本家。圧巻のストーリーテリングです。  児童相談所の堂本(余貴美子)によれば、養子を取るのは簡単なことではありません。養子たちの中には、養親の愛を試す「試し行動」として海苔しか食べなかったり部屋を散らかしたり、赤ちゃん返りをしたりといった問題行動を起こす子も少なくないんだそうです。そして、その負担は主に母親となる美奈ちゃんにかかってくると言います。「地獄の毎日が待っている」と。  それに対し、美奈ちゃんは「母親になる自信がありません」と言いながらも、誰よりもこの子のために何かしようとする信ちゃんを信じて、特別養子縁組を申請することを決意しました。  決心を前に、正論で説得しまくる信ちゃんに、美奈ちゃんは「そうやって反論しづらいこと言わないでよ」と、困惑していました。  正しいことが、なんなのか。困っている人が目の前にいたら、どうすべきか。それはみんなわかっています。それをやるのか、やらないのか、それがこのドラマのテーマになっていくような気がしたセリフでした。  かように、とても充実した初回だったと思います。  そして、不安になるんです。これは遊川のドラマだぞ、と。  とことん善人に描かれた信ちゃんのキャラクターでしたが、とことん善人のままハッピーなエンドになる気がしないんですね。  どうしても養子を取りたい信ちゃんの本当の狙いが、孤児のアナルだったとしたら……要するに、同じ江口洋介主演の映画『闇の子供たち』(2008年)ですね。あの作品では、タイにおける子どもの性搾取撲滅に燃える正義感バリバリの新聞記者を演じた江口が、最後の最後で重度のショタペドだったことが明かされました(ネタバレごめん)。このドラマ、そうならないといいけどなーと思うんですよ。実際、養親による養子に対する性的虐待だって、ない話じゃないですし。夫婦に実子がいない理由も、本当は信ちゃんが「実の子に手をつけてしまう」ことを恐れている、とかだったりしてね。ホント怖いけど。まさかホームドラマで、そこまでするとは思わないけど。  それはそれとして、江口の気が触れたかのような“スーパーポジティブキャラ”は、『ひとつ屋根の下』(1993年/フジテレビ系)のあんちゃんを彷彿とさせて懐かしい思いもしましたね。あれからもう23年です。そういえばチイ兄ちゃんも先日、映画『そして父になる』(2013年)で、親子の血のつながりについていろいろ悩んでいました。その間、小雪は覚せい剤で捕まり、和也は大麻で捕まり、文也は堀北真希と結婚し……なんだか、時の流れを感じますね。小梅はよく知りません。 (文=どらまっ子AKIちゃん)