軍歌・北朝鮮、そして新左翼まで……アブないマニアが全国動員!「軍歌対決!北朝鮮 vs 世界」へ結集せよ

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 今年の夏の最後は、軍歌と北朝鮮歌謡でシメてみないか? 来たる8月31日、早稲田大学戦史研究会主催によるイベント「軍歌対決!北朝鮮 vs 世界」が、早稲田奉仕園・リバティホールにて開催される。このイベントは世界でもまれな、古今東西の軍歌を収録した奇書『世界軍歌全集』(社会評論社)の著者である軍歌研究家の辻田真佐憲氏と、北朝鮮マニアなら誰でも知っているサイト「朝鮮労働党万歳!」管理人のマカオ氏のトークを中心にしたイベントだ。トーク後には、交流会とバザーの時間を設け、主催者らが所有する秘蔵資料の販売も行う予定だという。  かつては、ごくごく限られた趣味だった軍歌や北朝鮮マニアの世界だが、YouTubeやニコニコ動画などの動画投稿サイトの普及もあって、信じられないほどコアなマニアの数が増殖している。しかも、意外に女性も増えている(特に軍歌)。軍歌と北朝鮮マニアは、結構な確率でかぶっているのだが、いずれにしても資料を収集するには資金が必要だし、歴史知識や教養がなければ楽しむ域には達することができない。カップリングが違うとか、自分の政治思想と異なる相手とも争うことなく、むしろ共に楽しむ心の広さも欠かせない。つまり、真面目に「これはネタだ!」と楽しめるという点で、ある程度インテリじゃないとできない趣味なワケ。文化系男子が好きな女性が集まるのも当然だ。  そんな軍歌趣味の盛り上がりの中心人物ともいえる辻田氏は、今回のイベントの意義を次のように語る。 「主催者の早大戦史研は、軍事関連であれば国内外はもちろんのこと、共産主義からオウム真理教の研究まで、なんでもアリの将来有望な学生の揃う組織です。私が今回のイベントで期待しているのは、北朝鮮の軍歌が体系的に紹介されることです。近年、メディアで報じられる映像の中で登場する機会の増えた北朝鮮の軍歌ですが、体系的に語られる機会はほとんどありませんでした。参加費は学生500円、社会人1000円と安いので、これまで以上に誰もが参加しやすいと思いますよ」  さて、読者の諸君もお分かりかもしれないが、このイベントは会場自体がネタを含んでいる。会場の早稲田奉仕園は、音楽系のイベントや結婚式も行われるが、左翼系団体の集会会場としても定番スポットなのだ。 「いや、単に大学に近いので備品を運びやすいからだと思うのですが……」(辻田氏)  しかも、主催の早大戦史研究会の会誌のタイトルは「烽火」だという。これは、かつて存在した左翼党派・共産主義者同盟全国委員会、通称・烽火派の機関紙名のパクリとしか思えない……。やっぱりコイツら、真面目をネタにできるものすごい奴らなのかも。 (取材・文=昼間たかし) ●早大戦史研主催イベント「軍歌対決!北朝鮮 vs 世界」 【日時】8月31日(土) 16:30~ 【会場】早稲田奉仕園・リバティホール(〒169-0051 東京都新宿区西早稲田2丁目3-1) 【入場料】学生500円、社会人1000円 (来場者には入場券の代わりとして「烽火」(早大戦史研機関誌)をご購入いただき、その売り上げを会場のレンタル料等に充てさせていただきます)

名古屋から八紘一宇を目指したのか……?『大名古屋軍歌』開戦記念日に発売決定

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『「大名古屋軍歌」 Militarythm in The Central 
City Great Nagoya’s TSURU・ASAHI War song
collection 1931~1939』
 「便衣隊討伐の歌」「日本ファッショの歌」「奪つたぞ!漢口」……この歌を聴かずにマニアを名乗れるかい! 戦前、名古屋の地から独自色溢れる歌謡を発信し続けたツル・アサヒレコード。太平洋戦争前に消えた、このレーベルの曲から軍歌・時局歌・戦時歌謡を集めたCD『「大名古屋軍歌」Militarythm in The Central City GreatNagoya’s TSURU・ASAHI War song collection 1931~1939』が、開戦記念日の12月8日に発売される。  この企画は東海林太郎の幻の音源を発見したことで一躍話題になった、保利透さんのプロデュースによるもの。保利さんは「ぐらもくらぶ」レーベルで、『二村定一~街のSOS!~』『戦前ジャズ・コレクション テイチクインスト篇 1934~1944』など、SP盤時代の歴史の陰に埋もれかかっていたさまざまな音源をまとめたCDを送り出してきた。  このCDの意義を、ライナーノーツを担当した一人で『世界軍歌全集』(社会評論社)の著書がある辻田真佐憲さんは、次のように語る。 「このレコード会社が活動していた当時、日本のレコードレーベルは東京のビクターやポリドール、関西のテイチクなどが中心でした。その間に挟まれた名古屋の地で時局に合わせた曲を出したり、各社競作曲にも参加したり、とても意欲的に活動していたのが、このツル・アサヒレコード。競作曲の『愛国行進曲』や『愛馬進軍歌』なんて名古屋の交響楽団が参加していたり、名古屋ローカルの会社なのに、非常にユニバーサルに活躍していたレーベルなんです」  このツル・アサヒレコードは、大和蓄音器商会を前身として1924(大正13)年に名古屋で発足したアサヒ蓄音器商会から生まれたレーベル。当初はツルレコードのレーベルで活動していたが、1935(昭和10)年に、東京のレーベルに対抗する形でアサヒレコードと改称。しかし、東京と関西の巨大資本に打ち勝つことはできず、太平洋戦争前に、活動は途絶えた。今回も、収録にあたってはコレクターの所蔵するレコードを使用。歌詞カードは、ほぼ現存せず、聞き取りで確認しなければならなかったほど、資料の少ない幻のレコード会社だ。 ■軍歌・昭和歌謡・寮歌を愛好する女性も急増?  そんな苦労で出来上がった、このCD。単に幻のレコード会社の曲という以外にも聞きどころは多い。例えば、参加している歌手・黒田進は楠木繁夫のことだし、大久良俊は近江俊郎だ。2人とも、まだブレイク前で楠木は本名、近江はいくつもある芸名の一つで活躍していた頃の吹き込み。いわばスター歌手が、まだ駆け出しだった頃の歌を聴くことができる、またとない機会になっているのだ。  歴史の証言者として価値のある曲もある。黒田進が作曲もしている『五・一五事件 昭和維新行進曲(海軍の歌)』は、あまりにも首謀者を賛美しすぎだとして内務省が出版法を改定してレコードを検閲するきっかけとなった歴史的な曲だ(なお、ライナーノーツの解説は『沙漠に日が落ちて 二村定一伝』(講談社)の著者・毛利眞人さんが担当しているので詳しいことこの上なし)。  ものすごくマニアックな、このCD。なぜか制作者も驚くほど予約が殺到中なのだとか。  従来、軍歌をはじめ、昭和歌謡や寮歌のイベントといえば高齢者ばっかり、男性ばっかりだった。ところが、昨年あたりからこうしたイベントに若者が増え、しかも「会場を間違えたかな……」と思うぐらい女性が多かったりして驚くこともある。  今まさに、軍歌・昭和歌謡・寮歌は脚光を浴びつつあるジャンル。来年は、さらなるブレイクが期待できる。