「通常の警備指導をしただけ」COMIC CITY 大阪94『黒子のバスケ』を中止に追い込んだ所轄警察署が回答

rkfljqhgwrgtolirjeg.jpg
 8日、同人誌即売会 COMIC CITYを運営する赤ブーブー通信社は、5月12日に開催予定だった「COMIC CITY 大阪94」で、インテックス大阪と住之江警察署との協議の結果、『黒子のバスケ』スペースのサークル参加見合わせを決定したことを発表した。昨年来、各種のイベントが中止に追い込まれた『黒子のバスケ』脅迫事件。この間、東京ビッグサイトが警備を強化した上での開催を容認するなど、正常化に向かう流れの中で水を差した格好だ。  発表によれば、今回の決定を余儀なくされた理由は、7日の住之江署での協議の際に求められた警備指導内容のいくつかに、実施に際し現実にはかなり厳しい内容があったというもの。また「住之江警察署の現時点の基本見解として、他会場とは大きく異なり「“事件完全解決”まで、通常開催には 広域かつ厳重な警備実施が必要というご指導」もあったという。  赤ブーブー通信社の発表では、今回の開催に際して全サークル・一般来場者への手荷物確認をはじめ、『黒子のバスケ』のエリアを別のホールへ「隔離」する措置も行われていた。にもかかわらず、住之江警察署は更なる警備を求めたのである。  いったい、住之江警察署はどのような警備を求めたのか。同署に問い合わせたところ担当者は説明を拒んだ。 「取材であっても、電話ではあなたが何者かわからないので話せません。また、あなたがこちらに出向いても話すとは限りません。(会場に)イベント実施の届け出があって、会場の担当者と一緒に来たならお話しします」 と、同署警備課の担当者。それでも説明を求めたところ、 「今までやってきた通りの指導しかしていません。通常の警備指導を行った上で、向こう(主催者)が判断したものです」 と、あくまで通常の通りの対応だったと主張する。  さらに、東京ビッグサイトなどでは同等の警備体制で開催を行っていることに対しては、「地域によっての判断がある」とも。担当者の対応からは「面倒ごとは避けたい」という雰囲気が漂う。もはや「脅迫に屈する」どころの騒ぎではない。こうした対応が、悪しき前例とならないことを祈るばかりだ。  なお、他地域で開催予定の即売会での『黒子のバスケ』申込みは、平常通り続けられている。 (取材・文=昼間 たかし) ●大阪94一部参加見合わせのお願い <http://www.akaboo.jp/event/0512osaka94_notice.html>

「喪服の死神」と異なる“厨二病”な文体──『黒子のバスケ』の新たな脅迫状は模倣犯?

kuroko0502.jpg
『黒子のバスケ 22 』(集英社)
 昨年、全国で同人誌即売会の開催中止が相次いだ、人気漫画『黒子のバスケ』脅迫事件。4月、静岡、神戸、金沢のイベント会場に新たな脅迫状が届いていたことが明らかになった。昨年12月まで全国各地に脅迫状を送付した「喪服の死神」が活動を再開させたという説がある一方で、脅迫状の文章の内容から、模倣犯ではないかとの説も強まっている。  「喪服の死神」を名乗る犯人からの脅迫状は、昨年12月を最後に途絶えていた。今年1月には、ネット掲示板「2ちゃんねる」の上智大学スレに犯人一味の1人を名乗る「怪人801面相」なる人物が登場。グリコ・森永事件の脅迫状を模した文面で「わしらとしてはもう関知せん」とする終結宣言を記した。事実、この書き込み以降、新たな脅迫状は現れず、事態の沈静化を受けて、同人誌即売会での『黒子のバスケ』の扱いも復帰の方向へと動いていた。  その渦中で送付された新たな脅迫状に対して、静岡、神戸、金沢の対応は分かれた。静岡と神戸は開催を中止。金沢では警備を強化した上で開催され、大きな混乱もなく終了した。 ■脅迫状の文面から見える模倣犯の可能性  果たして「喪服の死神」が活動を再開させたのだろうか。今回の脅迫状は、従来のものと合致する点と異なる点とがある。合致するのは、静岡、神戸、金沢の施設に届いた脅迫状が、すべて施設近くの郵便局から郵送されていること。そして、会場以外の周辺施設にも半ば手当たり次第に脅迫状が送付されていることだ。わざわざ遠く離れた会場近くまで足を運び脅迫状を投函する偏執性は、「喪服の死神」を名乗る犯人と共通する。  対して、大きく違うのが脅迫状での名乗りが異なる点だ。それぞれの地域の施設に送付された脅迫状は「黒報隊」あるいは、その「別働隊」を名乗っており「喪服の死神」の名前は記されていない。  また、脅迫状の文面も、これまで「喪服の死神」が送付したとされるものと大きく異なる。今回送付された脅迫状では、ネットで見ることができる実在の組織「東アジア反日武装戦線」の犯行声明など、実際に起きた事件で使われたものを模したような文章が使われている。これまで送付された脅迫状でも「喪服の死神」を名乗りながらも、丁寧な文体で記されたものから乱暴な言葉遣いのものまで、いくつかのパターンはあったものの、いずれも自分で考えて書いた文章だと読み取れた。対して、今回の脅迫状では、既存の文章を換骨奪胎してつなげた痕跡が見て取れる。要は、従来の脅迫状に比べて、文章が幼稚かつ「厨二病」的なのだ。このことから、今回の脅迫状はグリコ・森永事件を模した「怪人801面相」の書き込みをヒントにした模倣犯・愉快犯である可能性も大きい(脅迫被害を受けた施設が被害届を提出しているため、文面は掲載しない)。  いずれにしても、脅迫に対する対応は昨年とは大きく違いを見せている。中止に追い込まれる同人誌即売会がある一方で、脅迫に屈せずに警備を強化して開催する同人誌即売会も現れているのだ。つまり、脅迫状によってイベントを中止に追い込むという犯人の目的も、徐々に達成できなくなっている。筆者は4月10日に脅迫状到着の情報を入手して以降、水面下で取材を行っていたが、脅迫状を送付されても「イベントの中止はあり得ない」と判断している施設も多い。卑劣な脅迫は、イベント開催を求める声に、次第に敗北しつつある。 (取材・文=昼間たかし) 【※追記】 昨年、コミックマーケットに対して『黒子のバスケ』をジャンルごと中止することを求めた東京ビッグサイトも5月2日に「万全の体制を整えて対応する」ことを発表している。 http://www.bigsight.jp/info_scc22.html

「喪服の死神」と異なる“厨二病”な文体──『黒子のバスケ』の新たな脅迫状は模倣犯?

kuroko0502.jpg
『黒子のバスケ 22 』(集英社)
 昨年、全国で同人誌即売会の開催中止が相次いだ、人気漫画『黒子のバスケ』脅迫事件。4月、静岡、神戸、金沢のイベント会場に新たな脅迫状が届いていたことが明らかになった。昨年12月まで全国各地に脅迫状を送付した「喪服の死神」が活動を再開させたという説がある一方で、脅迫状の文章の内容から、模倣犯ではないかとの説も強まっている。  「喪服の死神」を名乗る犯人からの脅迫状は、昨年12月を最後に途絶えていた。今年1月には、ネット掲示板「2ちゃんねる」の上智大学スレに犯人一味の1人を名乗る「怪人801面相」なる人物が登場。グリコ・森永事件の脅迫状を模した文面で「わしらとしてはもう関知せん」とする終結宣言を記した。事実、この書き込み以降、新たな脅迫状は現れず、事態の沈静化を受けて、同人誌即売会での『黒子のバスケ』の扱いも復帰の方向へと動いていた。  その渦中で送付された新たな脅迫状に対して、静岡、神戸、金沢の対応は分かれた。静岡と神戸は開催を中止。金沢では警備を強化した上で開催され、大きな混乱もなく終了した。 ■脅迫状の文面から見える模倣犯の可能性  果たして「喪服の死神」が活動を再開させたのだろうか。今回の脅迫状は、従来のものと合致する点と異なる点とがある。合致するのは、静岡、神戸、金沢の施設に届いた脅迫状が、すべて施設近くの郵便局から郵送されていること。そして、会場以外の周辺施設にも半ば手当たり次第に脅迫状が送付されていることだ。わざわざ遠く離れた会場近くまで足を運び脅迫状を投函する偏執性は、「喪服の死神」を名乗る犯人と共通する。  対して、大きく違うのが脅迫状での名乗りが異なる点だ。それぞれの地域の施設に送付された脅迫状は「黒報隊」あるいは、その「別働隊」を名乗っており「喪服の死神」の名前は記されていない。  また、脅迫状の文面も、これまで「喪服の死神」が送付したとされるものと大きく異なる。今回送付された脅迫状では、ネットで見ることができる実在の組織「東アジア反日武装戦線」の犯行声明など、実際に起きた事件で使われたものを模したような文章が使われている。これまで送付された脅迫状でも「喪服の死神」を名乗りながらも、丁寧な文体で記されたものから乱暴な言葉遣いのものまで、いくつかのパターンはあったものの、いずれも自分で考えて書いた文章だと読み取れた。対して、今回の脅迫状では、既存の文章を換骨奪胎してつなげた痕跡が見て取れる。要は、従来の脅迫状に比べて、文章が幼稚かつ「厨二病」的なのだ。このことから、今回の脅迫状はグリコ・森永事件を模した「怪人801面相」の書き込みをヒントにした模倣犯・愉快犯である可能性も大きい(脅迫被害を受けた施設が被害届を提出しているため、文面は掲載しない)。  いずれにしても、脅迫に対する対応は昨年とは大きく違いを見せている。中止に追い込まれる同人誌即売会がある一方で、脅迫に屈せずに警備を強化して開催する同人誌即売会も現れているのだ。つまり、脅迫状によってイベントを中止に追い込むという犯人の目的も、徐々に達成できなくなっている。筆者は4月10日に脅迫状到着の情報を入手して以降、水面下で取材を行っていたが、脅迫状を送付されても「イベントの中止はあり得ない」と判断している施設も多い。卑劣な脅迫は、イベント開催を求める声に、次第に敗北しつつある。 (取材・文=昼間たかし) 【※追記】 昨年、コミックマーケットに対して『黒子のバスケ』をジャンルごと中止することを求めた東京ビッグサイトも5月2日に「万全の体制を整えて対応する」ことを発表している。 http://www.bigsight.jp/info_scc22.html

東京ビッグサイトが『黒子のバスケ』同人誌即売会を容認へ

kuroko0404.jpg
『黒子のバスケ 21』(集英社)
 昨年12月、コミックマーケットが史上初のジャンル丸ごと中止の決断を余儀なくされた『黒子のバスケ』脅迫事件。今年に入っても東京ビッグサイトの対応は変わらず、『黒子のバスケ』を扱うオンリー即売会の中止、即売会内での関連サークル出展の見合わせが相次いできた。  ところが、4月になり東京ビッグサイトは「漫画『黒子のバスケ』にかかる一連の脅迫事案への対応について」(http://www.bigsight.jp/info130403.html)と題する文書を発表。5月以降のイベントについては「通常の対応」を行うとした。年度が変わった途端、大きく方針が転換された理由は何か?  今年に入り、新たに脅迫状が送付される事態が見られなくなる中で、東京ビッグサイトの方針は混乱していた。3月17日に開催された同人誌即売会「HARU COMIC CITY18」では、主催する赤ブーブー通信社に対して「事態に収束の兆しが見受けられず、依然としてリスクを伴う」として、『黒子のバスケ』関連サークルの出展見合わせを要求し、受諾させていた。  ところが、翌週の3月21~24日に開催された「東京国際アニメフェア」では、会場内に堂々と『黒子のバスケ』のポスターが掲示されていたのである。そのため、一部の関係者からは「東京都主催ならいいのか?」と疑念の声も挙がっていたのである。  消息筋によれば「イベント開催に脅迫状がつきものというのは東京ビッグサイトも理解しており、『黒子のバスケ』を再開するタイミングを探っていた」と話す。『黒子のバスケ』が前例となって、脅迫状が原因で催事が中止になるのは、東京ビッグサイトとしても避けたいところ。ゆえに、年度の替わり目を契機にしたのではないかと見られている。  ここで気になるのは、8月に開催が予定されている「コミックマーケット」が、どのような方針を取るかだ。さまざまな情報から推測すると、「コミックマーケット」でも『黒子のバスケ』の再開は、ほぼ確実と見られている。一部の報道では、再開しても「入場導線の個別化」や「手荷物検査」「警備員の増員」と、「コミックマーケット」の警戒レベルは極めて高くなるのではないかという憶測も流れている。だが、信頼できる情報筋は、そうした憶測に否定的だ。 「コミックマーケットがそこまで警戒レベルを高めるのは非現実的。(以前も、脅迫が原因で行われたことのある)“手荷物検査”くらい」  これまでの騒動の過程でも「脅迫犯に目撃される可能性があるから、会場で『黒子のバスケ』に関するものを見せるな」といった、勝手に参加者の間で警戒レベルが上昇していく動きもあった。まずは、主催者の発表を冷静に判断するのが、参加者の義務。勝手に警戒レベルを増幅させる動きに荷担していないか、我々メディアの側も注意しなくてはならない。 (取材・文=昼間たかし)

『黒子のバスケ』騒動で露呈した、大手同人企業・スタジオYOUの権利意識

sutudioyou.jpg
スタジオYOU 公式サイトより
 最近相次いでいる、漫画『黒子のバスケ』の作者・藤巻忠俊氏の母校や出版社、イベント会場などに脅迫状や薬物のようなものが送り付けられる事件。そんな中、脅迫状が届いた同人誌即売会主催企業が、フジテレビの取材を「無断撮影」だとして、撮影した動画などの廃棄を求めて波紋を呼んでいる。  この事件が起きたのは10月21日のこと。この日、フジテレビは東京ビッグサイトで『黒子のバスケ』を扱う同人誌即売会に脅迫状が届いていたことを知り、取材に訪れた。主催者の「スタジオYOU」の説明によれば、会場を通じて取材の申し出があったが、これを断った。ところが当日夕方のニュース番組で、会場の様子を撮影した映像が流れたため、同社に電話で抗議。ところが同社がそれに応じなかったため、弁護士を通じて謝罪と撮影素材の廃棄を求める内容証明を送付したというものだ。  スタジオYOUの要求は、「撮影等によって本件参加者のプライバシー権を侵害したことについて謝罪の意を表明すること」「貴社ウェッブサイト上にアップロードされている本件動画又は静止画像を削除すること」「貴社内に保管されている本件動画及びその静止画像を廃棄すること」といったもの。さらに、イベント参加者のプライバシー権侵害、業務妨害だと激しく指弾している。  これに対してフジテレビは、11月6日「本件撮影等は適法と認識している」「したがって,当該映像データの一切(静止画像,DVDメディア等を含む)は廃棄する必要がないと考えている」と回答し、いまだに両者の主張は平行線をたどっている。  この事件で最も疑問なのは、フジテレビの取材を「無断撮影」だとするスタジオYOUの主張だ。筆者も当日のニュース映像を見てみたが(本編動画は削除されているが、キャプチャ画像は現在でも掲示板やまとめサイトで見ることができる)、映像は少し離れた場所から会場の風景、参加者の首から下を撮影したもの。おそらくは、敷地外から望遠で撮影したものと思われ、スタジオYOUもホームページで、その可能性が高い旨を述べている。  スタジオYOUは、この点も「敷地外なら、主催者が取材を断っているのに、報道としては間違っていないステップを踏んでいると言い切れるのか? もっと踏み込んで言わせていただけるならば、敷地外なら何をしてもいいのか? 理解できない部分です」と、厳しく口撃している。  果たして、敷地の外から見える光景が「無断撮影」になり「個人のプライバシー」を侵害するものになるのか? 日本雑誌協会編集倫理委員長の山了吉さんの答えはNOだ。 「プライバシーの侵害になるケースは、自宅の室内や病室など私的空間に限定されたものです。誰もが訪れることのできる場所、見ることができる場所で群衆を撮影したものは該当しません。ありえるとしたら、群衆の中のひとりをクローズアップして行動を、ことさらに撮影した場合です。今回の件は、それには該当しないのではないでしょうか。(フジテレビの撮影は)東京駅前で朝の通勤風景を撮影した映像にモザイクをかけていないのと、同じです」  スタジオYOUも法人である以上、この程度のことは理解しているはず。  では、同社が執拗に撮影素材の廃棄までを求める理由は、どうしてだろうか。BL作家の水戸泉さんは語る。 「腐女子の中には、自分の趣味を職場や学校など他人に知られることを恐れる人がとても多いのです。そのため、スタジオYOUとしては顧客に対して、ちゃんと抗議している姿勢を示さなくてはならないのでしょう」  なるほど、あくまで客に対してのポーズを示す、ビジネス上の理由が先ということか。  とはいえ、「プライバシーの侵害」「無断撮影」という言い方は、ちょっと過剰ではなかろうか。  同社をめぐっては、2008年に同人誌業界の企業・団体が多く参加した「児童ポルノ法」改正案に反対する署名活動の際、「ウチの客は中高生が多いから」と参加を拒否した件が思い出される。18禁イベントを開催しながらも、そうした発言をするのが同社のスタンス。今回の一件と併せてみれば、スタジオYOUという企業が「言論・表現の自由」をどのように理解しているか、すべてが露呈してしまったと見ることができる。  なお、当日どういった理由で取材を拒否したのか、フジテレビへの今後の対応などを聞くべくスタジオYOUに取材を申し込んだが、「ホームページに掲載していること以外に、お話しすることはありません」との回答であった。 (取材・文=昼間たかし)