8月25日(日)の深夜、匿名掲示板「2ちゃんねる」で祭りが起こった。最近トレンドの、アルバイトによる炎上ではなく、「●」(通称:まる)の情報が漏えいしたというのだ。「●」は、「2ちゃんねるビューア」(http://2ch.tora3.net/)で利用されているサービス。●を購入すれば、2ちゃんねるの過去スレッドを閲覧したり、規制中のプロバイダーからも書き込むことができる。価格は年間33ドル(約3,200円)で使い放題だ。規約で禁止されている住所などの個人情報を書き込む輩がいると、そのプロバイダーすべてのユーザーが2ちゃんねるに書き込めなくなってしまうのだが、最近は多くのプロバイダーが規制を受けており、●がないとろくに書き込めなくなっていた。今回の漏えい事件は、●を買う人が増えてきたタイミングで起きた、国内ネット史上最悪のトラブルなのだ。 流出した情報は多岐にわたる。匿名掲示板の2ちゃんねるで発言者が同じことを証明するためのトリップの情報、●のIDとメアド、ここ2年間の●購入時の個人情報とクレジットカード、IPアドレス、そしてここ2カ月分くらいの書き込み履歴だ。それぞれ別ファイルにまとめられており、すでに入手は難しくなっているが、それでも数え切れない人によってこれらの情報をダウンロードされている。 個人情報とクレジットカードがセットで流出しているため、まずは金銭的被害が考えられる。しかし、いくつかの大手銀行は利用者の口座を24時間監視し、不正利用された場合でも負担をかけないと発表した。いち早くカードを止め、再発行手続きを行えば問題ないだろう。 問題は、すべてのデータをリンクさせて細かく分析すると、2ちゃんねるへの書き込みと個人情報がひも付けられてしまうこと。これがどうして重大なのかわからないなら、常識人の幸せ者。“便所の落書き”といわれてきた2ちゃんねるの膨大な罵詈雑言を、誰が書いたのか丸わかりになるのだ。心当たりがある人は、漏えい事件を知ったときに人生終了の鐘が聞こえたと思われる。 自分が勤めている会社の悪口や内部情報を書き散らした者。会社では責任のある地位にいるのに、子どもみたいな書き込みを連発した人。アウトなエロ画像・動画を張りまくった人。他人のプライバシーを侵害したり、脅迫した輩。掲示板を荒らしまくったバカ者。これらすべてが、本名とメールアドレスとセットでバレてしまうのだ。顔面蒼白では済まない。 動物を虐待する書き込みを行った人物を特定しようという動きが出ているなど、多くの人がデータの照会を始めている。すでに特定されている事案もある。例えば、ライトノベル『神様のメモ帳』の作者である杉井光氏は数百件の書き込みを特定された。匿名で、ほかの作家へ暴言や誹謗中傷を投稿しまくっていたのだ。現在は、ホームページで謝罪文を公開している。2ちゃんねるのまとめサイト「僕自身なんJをまとめる喜びはあった」の管理人も、書き込み履歴が漏えい。謝罪文で、荒らし行為をライフワークのように行っていたと告白。ブログを閉鎖することを宣言した。そのほかにも、ステマやライバル企業の誹謗中傷、目を覆うばかりのネトウヨ・ネトサヨ発言などの投稿者も特定されつつある。漏えいした約4万人のうち、ほとんどが書き込みをしているはず。書き込みが常識の範囲内であれば晒されることはないだろうが、匿名をいいことにモラルに反した書き込みをしているなら危ない。 漏えいしてしまった情報を回収することはできない。しかし、心当たりがあるがまだ晒されていない人たちがあがき始めた。まず、漏えい内容を書いた人をサイバーポリスに片っ端から通報しているのだ。確かに、個人情報の流布は取り締まりの対象になるし、プロバイダーに削除を要請することもできる。また、漏えいした情報と同じファイル名のダミーファイルを作成し、ありとあらゆるルートでばらまいている。本物をこれ以上拡散させないためだ。焼け石に水とはいえ、さすが生粋の2ちゃんねらーは対応が早い。 漏えいした情報には、大手企業や政治家の名前、メールアドレスも含まれている。すべての書き込みがリンクされたら、大事になるだろう。ただ、不幸中の幸いなのが、あまりにも規模が大きすぎて、少々の書き込みであれば風化してしまうという点。記録がネットに残ってしまうのはいたしかたないが、被害はある程度抑えられるかもしれない。 今回の漏えい事件はしばらく収まらないだろう。とはいえ、2ちゃんねるのひどい書き込みも、少し沈静化しているように見える。心当たりがある人は、2ちゃんねるなどの誹謗中傷行為に詳しい弁護士に相談するという手もある。自暴自棄にならずに、再生の手段を模索していただきたい。今回の災難を逃れた人は、ネットでの行動に責任を持つよう意識したほうがいいだろう。 (文=柳谷智宣)イメージ画像(「Thinkstock」より)
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Androidアプリに要注意! うかつに入れると、個人情報が漏えいする!?
7月下旬、スマートフォンの電話帳のデータを不正に抜き取ったとして、東京のIT会社社長以下9人が逮捕された。なんと、3700万件ものメールアドレスを収集し、出会い系サイトの勧誘メールを送信した容疑だ。昨年10月には、1000万件の個人情報を盗んだ容疑で会社役員ら5人が逮捕されている。これだけの規模の漏えいが起こるということは、いつ自分が被害者になるかもわからない。また、不正アクセスされると、その端末内の電話帳データが丸ごと盗まれる。電話帳に登録されている友人が多いほど、被害を受ける可能性も高くなるというわけだ。 これは、Android OSの不具合ではなく、悪意のあるアプリが原因。ユーザーが自分でGoogle Playにアクセスし、インストールしているのだ。その際、アプリのアクセス権限を確認する画面が開いているはずだが、無視して許可しているのが問題。ある意味、自業自得といえる。 「the Movie」というアプリは動画アプリに見せかけて、端末の番号や電話帳のデータなどを外部に送信していた。ずる賢いのは、3月21日にアプリを公開し、出回ったことを確認できた4月に不正アクセスを開始している点だ。3700万件の漏えいは、「安心ウイルススキャン」というアプリ。皮肉にもセキュリティを高めようとしている人がターゲットになり、結果、81万人がインストールしてしまった。 アクセス権限を確認しても、限界がある。例えば、フラッシュを光らせるだけのアプリで、システムツールや位置情報、ストレージなどへのアクセスを求めてきたら、変だということがわかる。しかし、電話帳アプリなら電話帳へのアクセスを拒否するわけにはいかない。レビューをよく読んで、ほかの人が問題なく使えているかを確認。アプリ名でGoogle検索し、セキュリティの問題が報告されていないかもチェックしたい。万全を期すなら、シマンテック社の「ノートンモバイルセキュリティ」といったマルウェア対策アプリを購入しよう。価格は1年版で2980円と少々高いが、前出のような怪しい無料アプリでは本末転倒になりかねないので要注意。どちらにせよAndroid端末は、気軽にアプリをインストールして試すという使い方には向いていないといえる。 iOSではこのような問題がほとんど起きていない。これは、App Storeの審査が厳しいため。Appleは怪しいアプリは公開させないし、万一何かあっても即対応してくれる。反面、Androidは審査がない上、Google Play以外の場所からでもアプリをインストールすることができる。このため、なんでもありの無法状態になっているのだ。Androidのほうが「自由」なのは確かだが、個人情報ダダ漏れではスマホとして使うのは怖い。Googleには早急に、根本的な対処をしてほしいところだ。 (文=柳谷智宣)イメージ画像(「足成」より)
使い回しパスワードが危ない!「Yahoo!」「グリー」相次ぐ不正アクセスから身を守る方法
ウェブサービスのパスワードを個別に設定するのが面倒で、共通の文字列を使い回していないだろうか? ITに詳しくない人の多くは、同じメールアドレスとパスワードを使っていることが多く、パスワードを定期的に変更することもしない。たまに、友人に変更するようアドバイスしても、「誰も私なんか狙わない」「そんなに重要なデータを扱ってないから、大丈夫」という言葉が返ってくる。 だが、パスワードは簡単に漏えいする。2013年5月に「Yahoo! JAPAN」が不正アクセスされ、2200万件のIDが流出。そのうち、148万6000件はパスワードも一緒に漏えいした。しかも、パスワードを忘れたときに使う「秘密の質問」までセットになっているという、おまけ付き。実は、このような流出事件は頻繁に起きているのだ。 前述の筆者の友人のように、「Yahoo!はメールしか使っていないし、それさえほとんど使っていないので関係ない」とスルーする人がいるが、パスワードを使い回しているなら、それだけでは済まない。メールアドレスとパスワードのセットで、ほかのウェブサービスにログインされてしまうのだ。 通販のディノスは、同じく5月に中国と韓国のサーバーから不正アクセスを受けた。111万回のアクセスがあり、1万5000アカウントが不正ログインされている。この成功率はランダムアクセスではあり得ないので、他社から漏えいしたデータを元に行われていたことは確実。大量アクセスに気がついた担当者が該当IPからのアクセスを遮断したため、不正利用などの被害は起きていないが、タイミングが遅ければ被害が拡大していた可能性は高い。また、今月に入り、ソーシャルゲーム大手の「グリー」のサイトから最大でおよそ4万件、旅行予約サイト「じゃらんnet」から2万8000件の個人情報が流出したおそれがあることが発覚している。 ショッピングを悪用されるだけでなく、顧客情報ページに載っている住所や電話番号などが取得されたら危険度大。メールとパスワードのセットと、氏名と住所のセットがあれば、いろいろなことができるのだ。 メールサービスに不正ログインされたら、過去のメールのやりとりが筒抜けになる。ビジネスから交友関係まで丸裸だ。要職にいる人なら、社外秘の情報が見つかってしまうかもしれない。普通の会社員でも、脅迫のネタに使える内容があるかもしれない。それに氏名や住所までバレていたら、タダではすまない。海外旅行の予定をやりとりしていたら、その間は空き巣の格好のターゲットだし、ネットバンクも、いくつかのハードルはあるが、個人情報が揃っているならそこそこの確率で不正アクセスは可能。SNSをハックされて、交友関係をめちゃくちゃにされてしまう可能性もある。 パスワードを使い回している人は、いつか絶対に被害に遭う。銀行やメールといった重要サービスはもちろん、ろくに使わないサービスや怪しい新興のサービスこそ使い回しはNG。「abcdef01」を「abcdef10」にするといったちょっとの変更でもいいので、文字列を変えておきたい。パスワードをきちんと管理できるかどうかは、今後のネット社会でさらに重要になることは間違いない。 (文=柳谷智宣)「Thinkstock」より
好調なXperia Aの陰に死屍累々 ドコモのツートップ戦略の明暗と迷走
NTTドコモは5月の発表会で9種類のスマートフォンを公開したが、ソニーモバイルコミュニケーションズの「Xperia A(エース) SO-04E」と韓国サムスン電子の「GALAXY S4 SC-04E」をツートップとして押し出した。定時株主総会では、この2モデルだけで1カ月後には100万台を売り上げたと、好調ぶりをアピールした。しかし、その陰で、これまでのパートナーが死屍累々としている。 1カ月の販売台数はXperia Aが64万台、GALAXY S4が32万台。これは悪くないペースなのだが、それ以外がひどい。シャープの「AQUOS PHONE ZETA SH-06E」と富士通の「ARROWS NX F-06E」が7万台、パナソニックの「ELUGA P P-03E」は1万5000台、NECの「MEDIAS X N-06E」に至っては1万台前後しか売れていない。とはいえ、これは当たり前。CMでの露出は段違いだし、割引にも差を付けられ、実売価格がツートップと比べると高いためだ。 その結果、7月26日の発表では、Xperia Aが110万台、GALAXY S4が55万台売れたという。しかし、6月末の契約数では、なんと純減という結果になった。要は、他社に大幅に流出しているのだ。6月のソフトバンクは+24万9100人、auは+23万2200人となっている。買い換え需要をツートップに誘導する効果はあったが、顧客を増やすことはできなかったわけだ。 この結果を受け、ドコモは6月に中止した販売奨励金を復活。さらに、ガラケーから乗り換える際の「はじめてスマホ割」を増額した上、ツートップ以外の機種にも適用した。しかし、時すでに遅し。確定ではないものの、パナソニックはドコモの冬モデルに新モデルを投入しないとか、NECは携帯事業から撤退するといったニュースが流れている。確かに、これまで一緒にやってきたのに、いきなり切られたようなものなので当然ではある。 加えて、ツートップの片割れであるGALAXY S4にも、「『ケタ違いに故障が多い!』サムスンGALAXYシリーズに、ドコモショップから悲鳴が……」という罠がある。ユーザー側も死屍累々という悲惨さだ。 ドコモの迷走ぶりは、経営の素人目に見ても泥縄状態といえる。しかし、「出るの? 出ないの!? “一人負け”ドコモがiPhone参入できない深いワケ」で述べたように、すでに国内メーカーとの離別が進んでおり、いよいよiPhoneの導入準備と、言い訳が揃いつつあるようにも見える。iPhone 5の売れ行きも芳しくなく、アップルも何か手を打とうと考えているはず。お互いが妥協して、いよいよ、という可能性も出てきた。ドコモから離れたくない! というロイヤルユーザーは、もうそろそろ新iPhoneの情報が出てくるので見逃さないようにしよう。 (文=柳谷智宣)NTTドコモ公式サイトより
過去最大級の出会い系の温床に!? 若者を中心に大人気の「LINE」に忍び寄る暗い影
中高生を中心に大人気のコミュニケーションツール「LINE」。現在、ユーザー数は1億5,000万を超え、飛ぶ鳥を落とす勢いだ。それと同時に、大人と児童が手軽に出会えるツールとしても利用されており、多数の事件を引き起こしている。 実際、今年だけでも数え切れないほどの逮捕者が出ている。1月8日には愛知県で、児童買春などの疑いで会社員3人が逮捕された。14~16歳の少女とLINEで知り合い、関係を持ったという疑いだ。3月11日には32歳の会社員がLINEで知り合った15歳の女子高生とホテルで関係を持った。その後、クルマの助手席に乗せているときに検問で引っかかり、職務質問のうえ逮捕されている。さらに悪質な事件も起きている。LINEで知り合った女子高生に睡眠薬を飲ませて乱暴した32歳の男が、京都府警に逮捕されている。合意・非合意にかかわらず、表に出ているのが氷山の一角であることは間違いない。 これまでも、無料掲示板からSNSまで、出会い系に使われるサービスはあったものの、LINEは規模が違う。スマートフォンが若年層まで広がったうえ、手軽に使えるサービスとあって、これまでにないほど中高生のユーザーが増えているのだ。また、友だちになるにはLINE IDを交換する必要があるが、それを媒介するサービスが多数登場したことも大きな原因だ。それらの無料アプリをインストールすれば、すぐに女子中高生の投稿をいくらでも閲覧できる。中には「¥」「さぽ」など、露骨に援助交際を求めている投稿もある。そこでIDをコピーし、LINEアプリで連絡を取るという仕組みだ。 先月末、LINEの出会い系アプリ「L!マッチ」を提供している業者が、京都府警の要請でアプリストアからの削除に応じた。これは全国初のことで、取り締まりに向けたいい流れではある。とはいえ、この手の事件が掲示板で取り上げられると、「裏山死刑」「動画はどこ?」といったコメントが殺到する。大人にもお金が欲しい児童にも大きなニーズが存在するため、徹底的に対応しないと、駆逐するのは難しいだろう。LINEも大いに頭を悩ませている問題だとは思うが、このままずるずるユーザーを増やしていくと、パブリックエネミーに祭り上げられかねない。 まずはAppleやGoogleと協力し、仲介アプリを根絶。セキュリティサイトと連携し、出会いサイトをNGサイトとして登録してもらったり、警察の取り締まりもさらに強化し、誘いをかける児童側にも罰則を設けるといった対処も必要だろう。児童ポルノ根絶に関して見当違いの運動を必死に行っている政治家や慈善家には、ぜひその労力を目の前にある事件を減らすために使ってもらいたいものだ。 (文=柳谷智宣)イメージ画像
阿鼻叫喚のネット選挙解禁間近!「大量の公職選挙法違反者が出ることは確実」
ネット選挙が解禁される参院選が近づいてきた。しかし、ネット選挙がなんなのか、何ができて何ができないのかがまったくわかっていない人が多い。中には、インターネットで投票できるようになると勘違いし、投票会場に行かなくてもいいと思っている人もいるようだ。 ネット選挙解禁とは、ウェブサイトや電子メールによる選挙運動が解禁される、ということ。今までもTwitterやFacebookで意見などを発信していた政治家はいるが、これとは異なる。政治理念の表明などではなく、選挙期間中に票を入れてもらうために活動することができるようになったのだ。今まで禁止されていたのが不思議なくらいだが、この規制緩和で、無駄にポスターを貼りまくらなくてもよくなるし、無料の動画投稿サイトを利用して有権者にアプローチすることも可能になる。もちろん従来どおり、投票は会場で行う。 ただし、無制限に解禁するとユーザーの混乱を引き起こすため、ネット選挙には制限がかけられている。例えば、選挙運動メールを送信できるのは「自ら通知」してくれたアドレス宛のみとなる。「自ら通知」とは、名刺を直接交換したり、後援会の入会申込書に記入するといったことを指す。つまり、名簿屋からメールアドレスのリストを購入して、大規模に送信することはできないのだ。電話番号の一部を利用するSMSでも駄目なのだが、実はメールシステムを使っていないSNSのメッセージ機能ならOK。そのため、TwitterやFacebook、LINEといったSNSが抜け道的に活用されると考えられる。ちなみに、メールで選挙活動ができるのは政党や候補者だけ。一般の有権者が、誰かを応援するためにメールを配信するのはNGなのだ。 メールひとつ取ってもこれだけの違いがある。そのほか、例えば有料のネット広告は政党のみ利用できるが、候補者や有権者は利用できないといった細かい規制はたくさんある。もとより、未成年者は選挙活動ができないのだから、特定の候補者に関するツイートを行ったり、シェアしたりすることはできない。候補者から届いたメールを転送したり、印刷して配布したりするのもNGだ。 当然のことながら、これでまともに選挙が終わるわけがない。数え切れないくらい細かい違反が起きるし、政党や候補者も微妙なラインを攻めてくるはず。もちろん、なりすましや誹謗中傷といった、ネットのダークサイドも現れるだろう。国会では、なりすましや誹謗中傷について、名誉毀損罪や虚偽表示罪で対処するとしているが、監視カメラのないところでポスターにイタズラするのと同様、ネットで身元を特定されない方法などいくらでもある。また、ネットに詳しい人たちが、候補者からの報酬を求めて動き出すに違いない。 候補者の情報をネットで得られるとなれば、みんなネットを見るようになる。そこに、スキャンダルを流されたら被害甚大だ。当然、ライバルと接戦状態にある候補者は期待することだろう。今回も、候補者とは関係ないという建前の人たちが、いろいろな候補者のネガティブキャンペーンを打つことは必至。2ちゃんねるなどの掲示板にもスレが立つだろうし、TwitterやFacebookではいかがわしい投稿がシェアされまくることだろう。 情報が有権者に浸透していない状態でのネット選挙は、阿鼻叫喚の修羅場になることは間違いなし。筆者としては、ネット選挙に反対するレガシーな候補者の誘導にさえ思える。どちらにしても、有権者はうそはうそであると見抜かないと、間違った情報に踊らされてしまう。刺激的な情報でも、ひとつの情報源だけを見て脊髄反射しないようにしたい。 (文=柳谷智宣)総務省「インターネット選挙運動の解禁に関する情報」より
ネット選挙解禁で阿鼻叫喚の修羅場は必至! 県議会議員が病院で「刑務所に来たんじゃないぞ」
6月5日、岩手県議会議員がブログにアップした記事が大炎上した。あまりの炎上ぶりに、テレビでも取り上げられたほどなので、ご存じの方も多いだろう。 くだんの議員は、病院で番号で呼ばれたことに立腹し、「ここは刑務所か!」と受付嬢に食ってかかり、さらに会計をせずに帰宅したという。その上で、「このブログをご覧の皆さん私が間違っていますか」と問いかけた。匿名のTwitterでも炎上するレベルの投稿だが、今回は顔出し名前出しかつ要職にある人物によるものなので、大きな話題になった。 同じエントリーには、「病院の会計が1万5,000円以上だから上得意の客だ」「精算書を持ってカウンターから出て患者のほうに来い」など、モンスターペイシェントといわれても仕方がない過激な発言が目立つ。そもそも、病院が番号で呼び出すのはプライバシー保護の観点からだ。その点を指摘されると、「個人情報の関係?。馬鹿言っちゃいかんよ。あんたのような個人情報の中身を知らない者が個人情報と振りかざすから、こんな窮屈な世の中になるんだ」と反論。これには、ネットイナゴも大集合。何度もこのコラムで紹介している通り、一度炎上すると過去のエントリーもほじくり返される。以前も病院の支払いをせずに帰宅したり、銀行で5分待たされると通帳やおつりを無視して帰る、といった投稿が見つかってしまう。議員は謝罪文は掲載したものの、騒動が収まるわけはない。ブログだけでなくホームページも削除した上、電話番号も変えてしまった。病院へのクレームで、「事務長は逃げ回っているのですか」と食ってかかった人物とは思えない。 このニュースを見て、常識のない人もいるものだ、と終わらせるのは早計だ。議員は地元での評判がよく、堂々と実名で投稿している。投稿時点では、病院のひどい対応を世に知らしめる、といったつもりだったのだ。もちろん、今回は間違いだったのだが、これは誰にでもあること。ほかの炎上をバカにしつつ、間を置かず炎上を起こしたSNSユーザーは枚挙にいとまがない。自分では常識だと思っていることが、世間の反感を買うことはよくあるのだ。同じ価値観のクラスタで行動しているとわかりにくいが、誰でも閲覧できるネットではすぐに破綻してしまう。他人のふり見て我がふり直せで、攻撃的な投稿をする前はよく読み返し、少しでも不安があるなら取り消すくらい慎重になったほうがいいだろう。 それにしても心配なのがネット選挙だ。7月に行われる可能性が高い参議院選挙では、選挙中にホームページやブログ、Twitter、Facebookなどで情報を発信したり、投票を呼びかけたりできるのだ。街頭演説の情報を告知したり、YouTubeやニコニコ動画でメッセージを発信することも可能。これからの時代には当然の流れといえが、今回の事件のように自分が正義だと思っていることをネットで発信する場合、勘違いだった時に炎上するという高いリスクがある。 今回の議員のような年代だと、ITリテラシーが総じて低い。例えば、メールで投票を呼びかける場合、政党もしくは候補者が直接名刺をもらうなどした相手にしか送信できない。候補者から頼まれたから個人がメールで友人を勧誘する、といった行為はNGなのだ。ただ、メール機能を利用していないSNSのメッセージ機能(Facebookのメッセージや、Twitterのダイレクトメールなど)は規制対象外と、穴もある。 一方で、“当選されたらたまらない”と、ある候補者の落選運動を展開するというのはOK。連絡先の表示は必要だが、虚偽の内容でなければ問題ないのだ。しかし、落選運動へ対抗するために、業者に書き込みを依頼するのは買収行為と見なされてしまう。ITと公職選挙法の改正に詳しくないと、全貌を正確に把握するのは難しい。片っ端から選挙違反を起こす候補者も続出するはずだ。 また、日本人は投票先を直前まで確定させないケースが多い。そのため、投票日直前に、ネガティブキャンペーンが打たれる可能性がある。内容がひどければ、一気に炎上して票が落ちることは間違いない。匿名でリークすることも簡単なので、ギリギリ競っている陣営はなりふり構わず攻撃すると思われる。 どうやら初めてのネット選挙は、阿鼻叫喚の地獄絵図となりそうだ。 (文=柳谷智宣)大炎上した、岩手県議会議員のブログ。(現在は削除されている)
自分のアカウントが、知らぬ間に独り歩き!? Facebookの‟ニセモノ”にご用心
国内だけで約1,900万アカウントも利用されているFacebookなので、同姓同名のユーザーが存在する可能性は高い。アメリカでは同姓同名の人に友達申請を送るのがはやったり、同姓同名の男性と女性が結婚したことがニュースになったりしている。しかし、日本では好ましくない動きが目立ってきた。 実在するFacebookユーザーと同じ名前でアカウントを登録し、そのユーザーの友人・知人に友達申請を出しまくるのだ。写真を流用されたり、プロフィールを似た内容に編集されたら、友人・知人は本人だと思い込み、多くが友達申請を受け入れてしまうことだろう。顔を合わせた友人から「なんで2つ目のアカウントを作ったの?」と言われて初めて、自分の名前の別アカウントが存在することを知ることになる。 この恐ろしさがわかるだろうか? 今のところは、信用させてから出会い系サイトやアフィリエイトサイトに誘導するくらいしか報告されていないが、悪用しようと思えばいろいろできる。例えば、「ある製品がすごくいいので購入した」という記事をアップすればステマになるし、直接購入をお願いすることだってできる。「自分が開発に携わった」などと言われれば、安い物なら買ってしまいかねない。さすがに借金の申し込みはSNSでしないと思うので、金銭的な被害は限定的だが、本物ユーザーの信用を落とすのは簡単だ。 友人の投稿に対し、偽物が暴言を書き込みまくったらどうなるだろう? 明らかに攻撃的なら、いっそFacebookに通報されたほうが話が早い。しかし、地味に嫌な投稿を続けられると、水面下で被害が広まることになる。言い合いになり「だったら友達をやめればいいだろう」と書き込まれたら? 相手は当然、偽物だけでなく本物のアカウントとの関係性も切ることだろう。本当に仲のよい友人なら、電話やメールで真相を確かめてくれるかもしれない。しかし、数百人とつながっている人なら到底無理。ネットでつながっている人やコミュニティ仲間なら、壊滅的な被害を受けることは確実だ。学校や会社つながりでも深刻な問題になる。しかも、時間がたってから状況の説明ができても、そんな状況になるのもなんか変だよね――という空気が残ってしまいがち。 事が起きてからFacebookに報告しても、明らかにプロフィールや写真を盗んでいない限り、簡単にアカウントを削除してくれることはないだろう。削除されても、再作成するのは簡単だ。 このような事態に陥らないために、注意することは2つ。利用するSNSは限定し、使わないSNSは確実にアカウントを削除すること。次に、見知らぬ人とつながらないこと。友達申請をむやみに受け入れていると、そのうちスパムアカウントとつながり、餌食にされかねないからだ。 最後に、この記事をSNSでシェアしてはいかがだろう。万一の際になりすましの可能性を考えてくれて、本物のアカウントに状況の確認をしてくれるかもしれない。 (文=柳谷智宣)Facebookより
情弱ホイホイにご用心! ネット上のウソを見抜くテクニックとは?
ネット上は欺瞞に満ちている。 「ウソをウソと見抜けないと(2ちゃんねるを使うのは)難しい」。これは、2ちゃんねるの元管理人・西村博之氏の言葉だが、今の時代、SNSやTwitter、ブログにまで当てはまる箴言(しんげん)と言える。単に間違った情報を得てしまうだけならともかく、シェアして拡散したり、偏った意見に同調して知人に迷惑をかけるという実害も出る。ネットのウソを見抜き、正確な情報だけを効率よく得ることは、意外と難しい。 ネット上のウソは、ありとあらゆるところで問題を引き起こす。例えば、先日アメリカのボストンでテロが起きた際、とんでもない動画がYouTubeに投稿された。「テロを祝福する在日米軍は不要」といった内容の英語のメッセージで、プロフィールには「I am JAPANESE」と書かれていた。テロで死傷者が出ているところに、政治を絡めてあおり立てるのは最悪だ。これを日本人の投稿と受け取ったアメリカ人がいるなら、ひどい反感を持つに違いない。しかし、うかつに真に受けず、ちょっと調べると何か変だということがわかる。投稿者のアイコンは韓国国旗にも使われている太極マークで、過去の投稿はすさまじい反日コメントだらけ。突如として日本人を装った投稿を行ったのは、動画を見た人に日本を攻撃させることが目的だとわかる。当然のように炎上したので動画は削除されたが、著作権侵害の申し立てをしたのは「kim min songさん」。ここまでくれば、日本に反感を持つことはないだろう。 これは日本人にとってはわかりやすい事例だが、通常はブログやTwitter、SNSなどで目にした情報が自分の琴線に触れると、真実かどうかのジャッジを行わず、良かれ悪かれ過剰反応してしまう。「イイ話をシェアする情弱が急増中 SNSで感動話を創作して「いいね!」を稼ぐ輩たち」(http://www.cyzo.com/2013/04/post_12968.html)でも触れたように、創作話に飛びついて、このいい話をシェアする自分ってなんてセンスがいいのでしょう、と情弱ぶりを晒している人たちも増えている。URLの転送先がアフィブログで、金儲けのコマにされているのに気がつかないのだ。「いいね!」やフォロワーを集めてから、突然内容を変えて怪しい商材を売ったり、偏向メッセージの発信をし始めるケースもある。 自分が共感できる意見だとしても、他人に発信する前には真偽を確認すること。ものすごく反感を覚える意見だとしても、すぐには反論しないこと。その人を貶めるために、逆の立場の人が偽装している可能性も高いのだ。耳に優しい情報だけを流動食のように摂取するのではなく、検索してウラを取り、正確な情報を得るようにしたい。Googleで検索するテクニックはみんな持っているはずだし、ネットにはすべての情報がある。ウソをウソと見抜くのは技術の有無ではなく、心がけの問題。とはいえ、すべてを疑って陰謀論にハマってしまうのもまた情弱。情報の流れの中道に立ち、真実を手にしてほしい。 (文=柳谷智宣)くだんのYouTube動画。
巨人Amazonの牙城に挑む、国内量販店の逆襲
近年、ネット通販の雄Amazonは日を追うごとに巨大化し、小売りを殲滅するかのような状態だった。しかし、ここにきて新しい局面を迎えている。ヨドバシカメラやビックカメラといった家電量販店が、Amazonに対抗したサービスをスタートさせたのだ。 今年1月、ヨドバシカメラはショッピングサイト「ヨドバシ・ドット・コム」にてコミックを取り扱うようになった。オンライン注文の場合は、全品送料は無料。今では、小説から実用書、ゲームの攻略本まで品揃えが充実している。しかも、ポイント還元が大きいのも魅力だ。Amazonの場合は、ポイントが付く商品と付かない商品があるが、ヨドバシカメラの書籍は一律3%。通常、割引のない書籍でこのポイント還元はうれしいところだ。さらに、当日配送や翌日配送など、スピーディに届けられるのも見逃せない。 送料無料でポイント還元も付ければ、ヨドバシカメラ側の利益は少ない。膨大なアクセスが集中するショッピングサイトの構築・運営を考えれば、ヨドバシカメラ副社長の藤沢和則氏が「なんとか商売にはなるかなというレベル」と言うように、ビジネスになるぎりぎりのところだろう。公式にはサービスを開始した理由は語られていないが、筆者は、Amazonの寡占状態にメスを入れる目的が大きいと見ている。 書籍を買ってもらえるようになれば、ついでということで、ほかの商品もまとめ買いしてもらえるかもしれない。ポイントが付くので、囲い込みにもなる。それらのメリットの代わりに、配達スピードとポイント還元に力を入れたのだ。具体的な数字はまだ公開されていないが、注目度は抜群。ラインナップはどんどん充実していくことだろう。 売り上げ日本一の量販店、ヤマダ電機はAmazonと「価格」で真っ向勝負する。そのコストは、経営の合理化によって捻出している。日本の技術と根性は効果を上げ、ライバルと比べても高い利益率を叩き出しているのだ。 ビックカメラはAmazonが苦手な医薬品の取り扱いを開始した。処方箋のいらない第3類医薬品ではあるものの、ネットで購入できるのはありがたいところ。医薬品通販サイト「ケンコーコム」のように、第1類・第2類の販売が可能になれば、大きなアドバンテージとなるだろう。 このように、Amazon包囲網は着実に狭まってきている。筆者としても、売り上げ全体にかかる税金を日本に納めてくれる企業で買い物したいという気持ちもある。今はまだ劇的な変化はないが、今後ユーザーが流れることは確実。その時に、Amazonはどう迎え撃つのだろうか。顧客第一主義のAmazonのことだから、ユーザーが飛びつくようなサービスを打ち出してくるに違いない。 (文=柳谷智宣)「ビックカメラ.com」より









