日本IBMの大量リストラ「退職強要は裁判所のお墨付き」

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IBM
11年、IBMは創立100周年を迎えた。
(「日本IBM HP」より)
ーーニュースサイト「マイニュースジャパン」を中心に、企業のパワハラ問題や労働争議を追いかけ、常に弱者の立場にたった取材を続けるジャーナリストの佐々木奎一。独自のルートで取材した、企業裁判のか中にある人々の声を世間に届ける!  今年10月31日、日本IBMの元社員4人が会社を相手取り、損害賠償を求めている裁判の控訴審判決が、東京高裁であった。これは、日本IBMが08年秋、社員たちに執拗な退職強要を繰り返し、わずか2カ月余りの間に約1500人もの社員を退職に追い込んだ事件によるものだ。  それは会社が打ち出した正式名称「2008年4Qリソースアクションプログラム」(以下、RAプログラム)という名のリストラ策だった。  RAプログラムの対象となる社員の大半は、平均以上の評価にもかかわらず、会社から難癖をつけられるケースがほとんどだった。具体的な対象の定義は、「PBC評価」(社員の業績評価を数値化したもの)で、「昨年度は2(着実な貢献度を指す。5段階評価で真ん中)だが、本年度の業績が低下していて今後も業績向上や高い貢献度は見込めないと判断できる社員」や、「50歳以上かつ、今後高い貢献を期待できない社員」、「今後も継続してアウトソーシング可能な業務への従事が見込まれ、組織変更が難しい社員」というもの。  これらの定義は上司の腹一つで、どうとでも解釈する余地があり、恣意的に社員を狙い撃ちすることを可能にしている。実際、ターゲットにされたのは、「メンタルヘルスの問題を抱えている人や、従順な人、自分の意志をハッキリと言えない人、新しい仕事に就いて間もない人、身体障害者などが狙い撃ちされていた」と原告たちは語る。  こうしてターゲットにされた社員を、上司は個室に呼び出し、退職支援金(加算金を最大給料15カ月分支給)を提示し、再就職支援会社(人材派遣会社の、パソナキャリア、ライトマネジメントジャパン、リクルートキャリアコンサルティングのいずれか)を紹介しながら退職勧奨をする。社員が断ると「今後も1週間に一度程度面談を行っていく」と通告。  そして、2度〜3度と呼び出しをする。面談を重ねるごとに、上司の言動はエスカレートしていくのが特徴だ。例えば、「あなたにやってもらう仕事はない。IBM以外のキャリアを選択してください」、「あなたはこのままだと、成績が下がる。そうなれば減給や降格もあり得ますよ」などと脅す。  それでも社員が断ると、4度〜5度と面談は続き、上司はこう言い始める。「残るなら、これから会社にどう貢献していくのか答えろ」、「来年にPBC『1』(最大貢献度、5段階の最高評価)をとる方法を考えろ」などと無理難題を押し付けるようになる。  こうして退職強要を断れば断るほど、さらに強硬に退職を強いられ、やむなく退職する意志を固めた社員が続出した。辞めると言った社員に対して会社側は「自己都合退職届」を提出させた。さらに、退職の取り消しや撤回を防ぐため、以下の「確認書」まで書かせた。 「この退職願の提出が自主的に行われたものであり、かつ、取り下げ・撤回不可能であることを、本書面により確認致します。また、私は退職について、一切異議を唱えません」  こうして退職強要のクビ斬りプログラムは、当初の締切り日の08年12月19日より10日以上も早い同月7日に締め切られた。会社側が最初に出した号令から、わずが2カ月弱の出来事だった。原告たちが加盟する労働組合JMIU日本アイビーエム支部によると、この間、推定約1500人もの正社員の首が斬られたという。 ●裁判による“合法”判断で、加速するIBMの首切り  原告たちは09年、会社に対し、それぞれ「違法な退職強要による精神的損害」として300万円、「弁護士費用」として30万円を請求する訴訟を東京地裁に起こした。  一審判決は、11年も押し迫った12月28日にあり、東京地裁民事19部の渡邉和義裁判長は、日本IBMの退職強要の手口を合法と判断し、原告の請求をいずれも棄却した。  これに対し原告側は即控訴。その控訴審判決が今年10月31日、東京高裁第1民事部であったが、地裁判決を踏襲する形で、控訴は棄却された。原告たちは「到底納得できるものではない」として、上告した。  この退職強要事件の後、日本IBMは、さらに強硬的になり、退職強要の過程すら飛ばして、即解雇という乱暴な首斬りを断行し始めている。これにより解雇された組合員たちによる訴訟は現在、東京地裁で係争中である。  日本IBMで吹き荒れる正社員斬りは、決して他人事ではない。裁判の行方に注目したい。 (佐々木奎一) ■おすすめ記事 大阪市職員「橋下市長は認めるが、維新の会議員には敵対心のみ」 盗撮で書類送検のIBM元社長はブラック企業化の張本人 同性愛は6兆円市場?IBMも積極的にLGBT採用のワケ マック既存店売上減が映す、消費者の“食”への欲望低下 シャープも追随? NECの大量リストラに立ち込める暗雲

ブルームバーグ 社員教育を偽装したノルマで追い詰めクビ斬り

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 原告一審勝訴でどうなる?(「bloomberg HP」より)
ーーニュースサイト「マイニュースジャパン」を中心に、企業のパワハラ問題や労働争議を追いかけ、常に弱者の立場にたった取材を続けるジャーナリストの佐々木奎一。独自のルートで取材した、企業裁判のか中にある人々の声を世間に届ける!  元大手通信社のY氏(現50歳)は、05年11月から米通信社ブルームバーグの東京支局の記者職に中途採用で入社した。その後、株式相場の記者職、陸海空の運輸業界の記者業を経て、09年2月から遊軍の記者として、さまざまな業界の記事を書いていた。その頃は仕事になんの支障もなく、順調だったという。  しかし09年4月、08年に起こったリーマンショックを背景に、会社はノルマ制を導入した。Y氏に課せられたノルマは、「独自記事」を年間約20本、「ベスト・オブ・ザ・ウィーク」記事が年間3本だった。 「独自記事」とは、企業や官庁の幹部へのインタビュー、業界の動向などを分析した、独自の視点の手の込んだ記事を指す。「ベスト・オブ・ザ・ウィーク」とは、同社の配信した記事のうち、特によい記事として世界各地の支局から週に数十本リストアップしれたもので、編集局長賞に相当する。  設定されたノルマは何とかこなせる範囲のものだった。しかし、会社からリストラ候補の標的にされたY氏は同年9月、突然、ノルマを倍増された挙句、「Yさんは独自が少ない。もっと独自を書いてください」と命じられた。  さらに2週間後Y氏は、会議室に呼び出された。中に入ると、東京支局の最高責任者からナンバースリーまでの上役3名と、直属の上司A、人事課B氏がズラリと並んでいた。  その席でY氏に1枚の紙が差し出された。それは「PIP(Performance Improvement Plan)」、直訳すると、「成績改善計画」。これは表向きは、成績不振の社員に課題を与えて能力を向上させることを目的としているが、実態は、社員教育を偽装したクビ斬り計画といえる代物。  紙には、こう書いてあった。 「ミーティングでお伝えしたように、独自記事及びベスト記事(ベスト・オブ・ザ・ウィーク)の出稿が十分でないことを懸念しています。これらを改善するため、以下のアクションプランに取り組んでください。今後このプランに基づき、あなたのパフォーマンスをモニターし、約1カ月後にフィードバックを行います」  さらに、その1カ月のノルマとしては 「今後は1週間に1本、独自記事を配信してください」 「独自記事のうち1カ月に1本は、ベスト・オブ・ザ・ウィークに提出できる程度の記事を求めます」  などの内容が記載されていた。独自記事が週1回ということは、4月当初に比べ2.6倍。ベスト・オブ・ザ・ウィークに至っては、4倍に激増している。  悪夢のような課徴ノルマの通達から約1カ月後、Y氏は再び会議室に呼び出された。Y氏はこの時までに、独自記事のノルマの本数が、一本足りなかった。上司は「もう一回、パフォーマンス・プランをやれ」といい、紙を差し出した。文面の最後には、こう書いてあった。 「期待されるパフォーマンス・レベルやそのほかの会社規則もしくは手続きに従わない場合、解雇を含むさらなる措置を受ける可能性があることを必ずご理解ください」  それからY氏は、馬車馬のように記事を書いた。約1カ月後、Y氏はこの時点で独自記事のノルマ数をクリアしていた。ただ、ベスト・オブ・ザ・ウィークがなかった。上司たちは、もう一度、プログラムを受けるように言う。そして、前回同様、「解雇を含むさらなる措置」の文言が記された文書にサインさせられた。  そもそもベスト・オブ・ザ・ウィークとは、東京支局の幹部がその週のナンバーワン記事を恣意的に選び、ニューヨーク本社に上げて選ばれるシステムなので、幹部たちがこいつの書いた記事は上げたくないと思えば、どんなに良い記事でも採用されない。

●裁判所も認めるブルームバーグの無理難題

 このような恣意的なノルマであるにもかかわらず、1カ月後、会議室に呼ばれたY氏は、直属の上司A氏からこう言われた。 「ベスト・オブ・ザ・ウィークがなかった」  そして、「我々は、もうあなたをこれ以上、チームにおいておくつもりはありません。ほかのチームへの移動も考えましたが、おいておける場所はありませんでした。だから、あとのことは、ここにいる人事の人と話して下さい」と言われた。  そう言った後、幹部4人が整列して会議室から出て行った。正味3分の出来事だった。  その後、人事B氏は慇懃無礼に、「もう仕事をするための社内システムも止めてあります。もうYさんは仕事ができませんので、この場で玄関に行かれてお帰り下さい。社員証もお返しください」と言い放ち、Y氏に自宅待機を命じた。その後Y氏は、10年8月に解雇された。  これに対してY氏は11年3月、ブルームバーグを相手取り、東京地裁に提訴。Y氏の訴えた内容は、「地位確認」と、解雇された10年9月以降の賃金として「毎月67万5千円の支払い」の2点だ。  Y氏の訴えに対し、会社側は、能力不足だったから解雇した、と主張した。具体的には「記者として求められるスピードで記事を配信できない」「配信記事数が少ない」「質の高い独自記事を配信できないという致命的な問題があり、会社側は繰り返し改善を求めてきたが、Y氏は改善する努力すらせず、改善の見込みがなかった」といった主張をした。  その後結審を経て、12年10月5日に判決。東京地裁民事36部の光岡弘志裁判長は、こう述べた。 「原告が、被告に対し、労働契約上の権利を有する地位にあることを確認する」 「被告は、原告に対し、平成22年9月から毎月25日限り、67万5000円を支払うこと」  結果的にY氏の全面勝訴判決である。判決文を読むと、同裁判長は、Y氏が能力不足だったという会社の主張について、「客観的合理性があるとはいえない」と、この日だけで実に5度に渡りダメ出しを出していた。  その後、ブルームバーグは控訴した。一審判決についての見解を聞くと、同社は「判決内容を詳細に検討した上で対応を考えております。現時点で、これ以上のコメントは差し控えさせていただきたいと思います」というのみだった。  PIPによるノルマ地獄の末の解雇は、ブルームバーグ以外の会社でも横行しているはずである。会社から標的にされている社員は、是非、今回の判決を参考にしてほしい。 (文=佐々木奎一/ジャーナリスト) ■おすすめ記事 巨大新聞社、外部からのチェックゼロで社長のやりたい放題!? 主人公は右翼の女子高生、著者は経営者…異色の小説がブーム!? 転職エージェント、広告は不要!?外資系企業のスゴい採用 スーパーゼネコンで竹中工務店だけが赤字に転落の理由 ドルヲタが支える音楽界!? SKE48好調でエイベックス26%売上増