
京都府児童ポルノの規制等に関する
条例の概要チラシ。
昨年10月に成立した、京都府児童ポルノの規制等に関する条例。山田啓二知事が、2010年の府知事選のマニフェストで「日本で一番厳しい児童ポルノ規制条例をつくります」と掲げたことから、“日本一厳しい児童ポルノ規制条例”とも呼ばれている。条例の目玉は、正当な理由なく「児童ポルノ(国の法律である“児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律”の第2条第3項に規定するもの)」を所持している者に対して、「知事による廃棄命令」を出すことを定めていることだ。
9月13日、「児童ポルノ」が記録されたDVD38枚を所持していた京都市内の男性が、条例の初適用を受け、自主的に廃棄をしていたことが明らかになった。
京都府青少年課によれば、9月7日に京都府警から京都府に対して「“児童ポルノ”と確定はできないが、疑われるものを所持している者がいる」と連絡があり、担当職員2名を警察署に派遣し、男性に指導を行ったとのこと。
新聞各紙の報道によれば、7月に京都府警が「児童ポルノ」のDVDを販売していた販売業者2名を逮捕。そこから、購入者として今回の指導の対象となった男性が浮かび上がったという。
「指導にあたっては、38枚のDVDのうち1枚を職員が再生しました。もちろん、医学的な検証を行わなくては“児童ポルノ”と確定はできませんが、明らかに児童の性交類似行為、具体的には裸が映っていました。男性本人も“児童ポルノ”であると認め、残り37枚も“児童ポルノ”だと本人から申告がありましたので、条例の趣旨を説明し、その場で廃棄してもらいました」(京都府青少年課)
今回は、所持していたのが明らかに「児童ポルノ」であり、男性も自主的な廃棄に応じたため「廃棄命令」は出なかった。もし、指導を受けても廃棄を拒否したら「廃棄命令」が出されるのだが、その後も「抵抗」の余地は大きい。「廃棄命令」にあたって条例では「児童ポルノを所持し、又は児童ポルノ記録を保管していると認められる者その他の関係者(以下この条において『関係者』という)に対し、当該児童ポルノを所持し、又は当該児童ポルノ記録を保管していると認められる場所に立ち入り、調査させるよう求めさせることができる」としている(第9条)。また、「知事は、前各項の規定による命令(以下『廃棄命令等』という。)をしようとするときは、京都府行政手続条例(平成7年京都府条例第2号)第13条第1項の規定による意見陳述のための手続の区分にかかわらず、聴聞を行わなければならない」ともある(8条の5)。
つまり「廃棄命令」を行おうとすれば、府は該当する人物が所持しているのが「間違いなく児童ポルノだ」と医学的な方法などで証明しなくてはならない。また、所持しているかがはっきりしないなら「立ち入り調査」が必須だが、これはあくまで「任意」なのだ(第9条の4で“第1項及び第2項の立入調査等は、犯罪捜査のためのものと解してはならない”と規定)。つまり、警察当局が相当計画的にでっち上げをする気でなければ『関西援交』の類だとか、明らかに被写体が「児童」であり、なおかつ摘発された販売業者のリストに購入履歴があったぐらいでしか、適用されそうもない。
「プライバシーの問題もありますし、冤罪の可能性を防ぐために、運用は警察からの情報提供と被害児童からの申告に限定しています」(同)
この条例では、「児童ポルノ」を所持して京都府に行ったら、自動的に条例が適用されてしまうのかという点も危惧される。例えば、筆者が「正当な理由なく」東京駅から「児童ポルノ」を所持して新幹線に乗り京都駅に降りたら、いきなり条例適用になってしまうのか? とも考えられるが、それはないようだ。
それにしても、今どきインターネットなどを通じて購入すれば、芋づる式に警察にバレる可能性は極めて高いのに、それでも購入する者がいるのが不思議だ。そんなにリスクを冒してまで、子どもの裸が見たいのか?
なお、京都府青少年課が廃棄を指導したDVDに収録されていた作品タイトルなどは「被写体個人が特定される恐れがある」として、回答してもらえなかったことも記しておく。
(取材・文=昼間たかし)