
大きな瞳と厚めのくちびる。セクシーでいて、どこかホッとするような癒やしのオーラも併せ持つ。いま注目の女優、水崎綾女。現在放送中の『特命戦隊ゴーバスターズ』(テレビ朝日系)では、敵の幹部エスケイプ役でおなじみ。ほとんどのスタントを自らこなす、アクション女優だ。話題の映画『ユダ』では3,000人の中からオーディションで主演を射止めるなど、演技力と存在感も作品ごとに増している。
まもなく公開になるオムニバス映画『BUNGO~ささやかな欲望~/見つめられる淑女たち』の一編、『乳房』では、乳房が膨らんでいく夢に悩まされる中学生の寛次が出会う、理髪店の女主人かな江を演じた彼女。その素顔は、女優の仕事に真面目に取り組む、かわいらしい23歳の女性だった。
――三浦哲郎「乳房」をはじめ、永井荷風や坂口安吾など昭和の文豪の短編を映画化するという、面白い企画のオムニバス映画ですね。
水崎綾女(以下、水崎) オムニバスですけど物語が続いているわけではなく、それぞれ個性のある作品になっているのが、見ていて面白いなと思いましたね。監督もキャストの方たちも豪華なので、そこに入れていただけてありがたかったです。原作の『乳房』は、撮影が終わってから読みました。原作を読むとそっちばかりに気を取られてしまいそうだし、台本にある情報を読み取れなくなってしまうのは嫌だったので。撮影が終わってから読んだら、原作にかなり忠実な脚本だったんだなって、演じた感じに近くてちょっとホッとしましたね。自分の解釈が違っていたとしても、それはそれで面白いと思いますけど。
――新婚早々に旦那さんが戦地に赴くことになり、ひとりで理髪店を切り盛りしている女主人。演じたかな江について、どう思いましたか?
水崎 戦争はもちろん嫌なことだけど、好きな人と離れ離れになっていることもすごく切ないなぁ、って思いましたね。メールもウェブカメラもある、現在の遠距離恋愛の気持ちでは演じられない。そこはもう、想像力をフル活用して演じました。

――ひとり暮らしの若い奥さんということで、近所に住む中学生の寛次から意識されるようになります。
水崎 私、5人姉妹の4番目なんです。男の子とあまり接する機会がなかったので、撮影中よりも空き時間のほうが緊張しちゃいました。「何を話したら楽しんでくれるのかな」みたいなことばかり考えていたんですよ。でも、寛次役の影山(樹生弥)くんは本当にあっけらかんとしてて。監督に「(きれいな女の人と一緒にいるんだから)お前、もうちょっとありがたがれよ」っていつも言われてたのがおかしかったですね(笑)。
――お店で2人きりのときに空襲があり、怯えるかな江が思わず寛次に体を寄せるという、見ていてドキドキするシーンもありました。
水崎 理髪店のシーンは、本物の床屋さんを昭和っぽくして使っているんです。狭い空間の中にスタッフさんがいっぱいいるので、空気が薄くなったのか、本当に2人でハアハア言ってたんですよ(笑)。自然と汗ばんでたこともあり、それが空襲の緊張感を出すのに役立ったかなと思います。寛次に対して大人として振る舞っていても、空襲はやっぱり怖い。あのときだけ年上ということを忘れているような感じ。でも、寛次に悩みを相談されたときの対応はやっぱりお姉さん。その二面性がうまく出せたらいいなと思いました。
――そんな水崎さんですが、最近はあちこちで見かけるほど大活躍ですね。
水崎 みなさんそう言ってくださるんですけど、私の中では特に忙しくなったとも感じていないんですよ。ここ最近のお仕事がメインキャストが多いので、そう見えるのかもしれないですけど。昔はグラビアのお仕事をたくさんやらせてもらったし、今は女優としていろんな役をいただけているので。そう言われてみたらそうだな、ぐらいの感じなんです。
――水崎さん自身の意識は、ずっと変わらないんですね。
水崎 私こそ、仕事に関してはあっけらかんとしているのかも(笑)。ひとつひとつの役に一生懸命。この仕事はメインどころだからいつもより頑張る、というのは違うと思うから。この『BUNGO』でも、素敵な役者さんたちが脇を固めていますよね。そっちにスポットが当たればその人が主役にもなり得るわけですし。物語って、誰にスポットが当たっているかの違いだと思う。主役だから頑張る、とかいう気持ちはないんです。
――プライベートな時間とのバランスは取れていますか?

水崎 気をつけているのは、プライベートのときは、なるべく仕事を忘れるようにすること。普通の女の子でいることも大事だと思っているんです。ボーッとする時間を増やしたり、自分の好きなことをしたり。家に帰っても台本をずっと開けているかっていったら、そんなことないんです。それぐらい切り替えをちゃんとしないと、けっこう引きずられるタイプ。家に帰ったら仕事のことは忘れて、ゆっくりお風呂に入り、次の日に備える。次の日のセリフを確認する程度ですね。
――好きな映画のジャンルや俳優さんは?
水崎 プライベートでは、なんにも考えなくても楽しめるような映画が好きなんです。やっぱりアクションが好きなので、ものすごいお金がかかっていそうなハリウッド映画とかをよく見に行きますね(笑)。お仕事として見る場合は、俳優さんに注目することよりは、「この役、素敵だな」って思うことのほうが多いです。
――これから先、どんな女優さんになっていきたいですか?
水崎 私は今、年を取るのがすごく楽しみなんです。年を重ねていろんな経験を積んだほうが、演技に深みが出る。そう考えると年を取るのがすごく楽しみになるし、10年後も同じように「年を取るのが楽しみ」って思っていたい。過去にもあまりとらわれたくないんです。今なら『BUNGO』での演技が一番いいし、これを経てまた違う作品をやったときは、その作品が最高になっているのが理想的。それは『BUNGO』を経験したからこそできた演技だと思うから。この仕事が大好きなので、10年、20年と続けていきたいなって思います。
――その年齢の水崎さんにしか、できない役があるでしょうからね。
水崎 もう上しか見えないんです。いろんな役をやって素敵になったら最高だし、もし失敗したとしてもそれもOK。「うまくできなかったな」と思ったとしても、できないってことを知ることができたわけだから。次はうまくできるように頑張れる。
――前向きですね。昔からそういう性格ですか?
水崎 いえ、全然。10代のときは悩んでばかりでした。1つダメ出しされると10、ときには100へこんじゃう。通知表にも「できるのに気にしすぎです」って、いつも書かれてたぐらい(笑)。前の私は自分に厳しくて、むしろ痛めつけてばかりでした。でも自分の人生だから、自分が主役ですよね。自分がかわいがってあげなくてどうするの、って思ったんです。もちろん今も悩むことはあります。悩んで解決するんだったら、いっぱい悩む。でも、悩んで解決しないことだったら、その自分を放っておいてみる。そうするようにしたら、すごく楽になって、人見知りもなくなりました。最近は、誰かに話すようにもなりましたね。

――5人姉妹ということで、なんでも言い合う性格なのかなと思ってました。
水崎 4番目なので、昔は「自分は、いらない子なんじゃないか」なんて思っていたこともありました(笑)。相談もあまりしなくて、家族からは「なんでもいつもひとりで決めつけるの」ってよく言われてましたね。でも今は昔より自分に優しくなったし、人を信じられるようになったのかなって思います。
――今は、家族や姉妹のみなさんとどういう関係ですか?
水崎 今は家族となんでも話せるんですけど、何に出たかとかはあまり話さないので、そのことだけは相変わらず怒られます(笑)。「放送日ぐらい教えてよ」って。でも自分から言うのも、なんか恥ずかしくって。
――「ブログに書いてあるから見てよ」みたいな?
水崎 うん、そういうタイプなんですよね(笑)。
――最後に日刊サイゾー読者にメッセージをお願いします。
水崎 『BUNGO』は、日本文学が好きな方も、文豪の作品をあまり読んだことのない方も、幅広い世代の方に楽しんでもらえるオムニバス映画です。私が出演した『乳房』は、男性に思春期を思い出してもらえる一編。思春期を過ぎた男性のみなさんが、あの頃の気持ちを思い出してくれたらうれしいですね。大人のお姉さんの色気にドキドキしてください!
(取材・文=大曲智子/撮影=後藤秀二)
●みさき・あやめ
1989年4月26日生まれ、兵庫県出身。グラビアアイドルとして活躍した後、女優として活動の場を広げる。2007年、テレビドラマ『キューティーハニー THE LIVE』(テレビ東京系)でアクションを経験し、アクション女優としての技術も上昇中。現在、『特命戦隊ゴーバスターズ』(テレビ朝日系)、『つるかめ助産院~南の島から~』(NHK)に出演中。立花胡桃の私小説を原作にした主演映画『ユダ』は、2013年1月公開予定。
●『BUNGO~ささやかな欲望~』
・「見つめられる淑女たち」―『注文の多い料理店』監督:冨永昌敬 出演:石原さとみ 宮迫博之/『乳房』監督:西海謙一郎 出演:水崎綾女/『人妻』監督:熊切和嘉 出演:谷村美月
・「告白する紳士たち」―『鮨』監督:関根光才 出演:橋本愛 リリー・フランキー/『握った手』監督:山下敦弘 出演:山田孝之 成海璃子/『幸福の彼方』監督:谷口正晃 出演:波瑠 三浦貴大
※3作品ずつ、2編に分けての上映
9/29(土)より、角川シネマ有楽町ほか全国順次ロードショー
(C)「BUNGO ささやかな欲望」製作委員会
公式サイト <
http://bungo-movie.jp>