
撮影=佐藤裕之
二階堂ふみ。もうすぐ18歳を迎えるこの女優について、すでに説明は不要かもしれない。今年1月に公開された園子温監督の『ヒミズ』に、同世代の新進俳優・染谷将太と共にW主演。全身全霊での演技は海を超えて称賛を受け、第68回ヴェネチア国際映画祭で日本人初のマルチェロ・マストロヤンニ賞(新人俳優賞)を染谷と共に受賞。その名を日本中、いや世界中に一気に知らしめた。
しかしそこに甘んじることなく、その後もさまざまなタイプの映画やドラマに果敢に取り組んでいる彼女。9月22日(土)から公開される映画『王様とボク』は、事故によって12年間眠り続けていた青年モリオの突然の目覚めが、周囲を変えていく青春ストーリー。二階堂は、モリオの目覚めに生き方を変えていく幼なじみミキヒコの恋人、キエを演じる。そんな彼女に映画のこと、私生活のこと、そして女優としてのこれからについて、思うままに話してもらった。18歳とは思えない、素直でしっかりとした語り口にも注目してほしい。
二階堂ふみ(以下、二階堂) 私サイゾー大好きなんですよ。イラついてる感じがいいですよね。
――最高の褒め言葉、ありがとうございます(笑)。いつから読んでくれてるんですか?
二階堂 中学生からです。事務所の人が読んでて、読んでみたら「何これ、超面白い」って。だから今回、日刊サイゾーに載れるのもすごくうれしいです。
――こちらこそ出ていただいてありがたいです。『王様とボク』、ファンタジーなテイストなのかなと思ったら、ちょっと違いましたね。意外なストーリーの映画でした。
二階堂 そうなんです。生っぽさのある映画ですよね。前田哲監督とは以前ご一緒してたこともあって、またお仕事したいなって。それに、やまだないとさんの原作だったので。
――二階堂さんが演じたキエという女の子、どう思いましたか?
二階堂 別に不思議な子ではないんですよ。監督が、普通の女の子としての感覚を持っている前提で演じさせてくれたんです。ミキヒコとの関係を一番大事にしながらお芝居をしました。

――この映画は「大人になりたいか、なりたくないか」がテーマのひとつでした。キエも二階堂さんも、子どもと大人の間にいる年齢ですが。
二階堂 あまり役と自分を照らし合わせたりはしないので、共感することはなかったですけど。私は大人になりたくないとも、大人になりたいとも思わないので。子どもには子どもの良さが、大人には大人の良さがあるので、今のうちに楽しんでおこうって感じですね。
――二階堂さんは、大人に対するイメージってありますか?
二階堂 ちゃんと常識を持っている人が大人なんじゃないかな、って思います。人に迷惑をかけないというか。
――となると、世の中には大人ではない人が多い?
二階堂 そうそう。そういう人はね、カスですよ。別に人に迷惑をかけることはあってもいいと思うんです。でもそれを反省しないで何度もやっちゃったり、無差別に人を殺したりする人いるじゃないですか。酔っぱらって人に迷惑かけてばかりの人とか、ああいうだらしない大人には絶対になりたくないなと思いますね。
――『ヒミズ』以降、世界的に注目されるようになりましたが、それを実感することはありますか?
二階堂 そうですね。でもあの後からどんどん、世界が広がっているような気がします。やりたい監督ともできるようになったり、いろんなところで自分を発信できる場が増えたことは、身をもって感じてます。賞自体もとてもうれしいことでしたし。でも、通過点にしかすぎないですね。確かにあそこで何かが変わったと思うけど、それにすがりつくことなく、どんどん進んでいければなと思います。
――でも、あれからお仕事は忙しくなったんじゃないですか?
二階堂 いや、あの後は全然ヒマでしたよ。冬休みもグータラしてて、ヒマ人の極みでしたね。ずっと寝てて、あとは映画を見たり本を読んだりしてました。
――趣味についても聞かせてください。映画がお好きだそうですね。
二階堂 時間があれば映画館に行きますね。映画館派なんです。最近は『ゴッド・ブレス・アメリカ』を見たんですけど、超面白かったです。映画館には、だいたいひとりで行きますね。見終わってから人と討論し合うのとか、好きじゃないんですよ。自分の思想を人に押しつけるのも好きじゃないし。だから、ディベートとかも好きじゃないんです。学校でやるんですけど、「意味わかんない」とか思ってて(笑)。十人十色、いろんな考えを持った人が集まったら、それはそれで面白いだろうなとは思うんですけどね。
――本やマンガも大好きだとか。
二階堂 マンガよりは本、活字のほうが好きなんです。だから古本屋さんにもよく行きます。今は、室生犀星の『性に目覚める頃』を読んでますね。前に一度読んでるんですけど、こないだ金沢の室生犀星記念館に行ったんですよ。作者の背景を知った後だと感じ方が違ってくるかなって思って、読み直してます。
――昔の日本文学を読むことが多いんですか?
二階堂 いろんなのを読むけど、比較的そういうのが多いですね。言葉がきれいな文学が好きなので。室生犀星も言葉がきれいだし。現代の小説も読むけど、言葉があまり美しくないものは好きじゃないです。一日に2冊ぐらい読めちゃうときもあれば、じっくり読むときもあるし、マイペースで読んでいますね。橋本治の『二十世紀』とかいまだに全部読めてなくて。
――部屋には本がたくさんあるんですか?
二階堂 そうなんですよ。こないだ引っ越ししてちょっと捨てたんですけど、読み返したくなる本が多すぎて捨てきれなくて。グータラしてた冬休みなんて、枕の周りが本であふれてました。友達が家に来た時、「相変わらず娯楽の少ない家だね」って言うから、「ゲームがないだけで娯楽がないとか言うんじゃないよ」って。
――話しているうちに、二階堂さんが18歳ということを忘れそうになりました(笑)。年齢差を超えてお話しできるのがすごい。
二階堂 でも、人とあんまりぶつからないようにしないと、とは思ってますよ。じゃないと、いろいろめんどくさいじゃないですか。私、そこらへんにいる子より、ずっと言うこと聞きますよ(笑)。「これやって」って言われたら、「はい、わかりました」ってちゃんとやるし。

――そうなんですか。じゃあ、意外とストレスがたまってたりして……。
二階堂 大丈夫です。それでもうまいこと発信していくのが、プロだと思ってるので。妥協するところは妥協して、妥協したくないところは絶対に妥協しないっていうポリシーを持っておけば、ブレないんじゃないかな。
――無理に自分を曲げたり、カッコつけてる感じにも見えないですしね。
二階堂 うん、まっすぐ生きてるつもりですよ。ふふふ。
――理想の女性像はありますか?
二階堂 高峰秀子さんですね。あとジーナ・ローランズ。その2人を兼ね備えてる女性がいたら最強だなって思います。
――2人ともスクリーンに映える、真の女優ですね。
二階堂 うん、女優としての理想です。あと、この『王様とボク』で共演した松田美由紀さんも理想の人ですね。精神が強くて、本当に素敵な人でした。美由紀さんのことが好きすぎて、美由紀さんがクランクアップするとき寂しくて泣いちゃったほどです。
――女優としての、近い未来の目標を教えてください。
二階堂 とっとと英語話せるようになって、海外の監督と仕事しようと思ってます。そのために、まずは英語。それがあれば、壁をぶち抜けると思うので。そういうところからちゃんとやらないと話にならない。ただ「世界に行きたい」なんて誰でも言える。どれだけ実力をつけてそこに近づけるかっていうのは、努力次第だなと思うから。
――受験勉強の真っ最中だそうですが、大学では何を勉強したいですか?
二階堂 文章を書くのが好きなので、文学部に入って、あと倫理学も学びたいです。ロシアが好きなので、第二外国語でロシア語もとれたら素敵だなって思いますけど……これ、入れたらの話なんですよねぇ(笑)。まずは勉強を頑張ります……。
――最後にサイゾー読者に向けて、「二階堂ふみ」のPRをお願いします。
二階堂 そろそろ思春期から抜けてきた頃なので、しっとり系の女子を目指したいと思います。またサイゾーに出たいので、応援よろしくお願いします。
(取材・文/大曲智子)
●にかいどう・ふみ
1994年9月21日生まれ、沖縄県出身。ティーン誌のモデルとして活動した後、2009年『ガマの油』(監督:役所広司)で劇場映画デビュー。2011年『劇場版 神聖かまってちゃん ロックンロールは鳴り止まないっ』(監督:入江悠)、『指輪をはめたい』(監督:岩田ユキ)などに出演。2012年1月公開の『ヒミズ』(監督:園子温)に染谷将太とW主演。第68回ヴェネチア国際映画祭で、染谷と共に日本人初のマルチェロ・マストロヤンニ賞を受賞した。現在放映中のNHK大河ドラマ『平清盛』に出演中。待機作は、『悪の教典』(監督:三池崇史、11月10日公開予定)。
●『王様とボク』
監督:前田 哲/原作:「王様とボク」やまだないと(イースト・プレス刊)/出演:菅田将暉 松坂桃李 相葉裕樹 二階堂ふみ 中河内雅貴 松田美由紀/配給:ユナイテッド エンタテインメント
9/22(土)ユナイテッド・シネマ、シネマートほか全国順次ロードショー
公式サイト <
http://www.o-boku.com>