
2009年から始まった異色のトークライブ「あんぎゃー」。ケンドーコバヤシと宮川大輔が月1のペースでライブを行い、47都道府県をすべて“行脚”するという壮大すぎるプロジェクトである。2人が出会った名物、迷物、名所、迷所……それらをすべて還元してきたトークライブも、ついに東京でファイナルを迎える。感動のラストを前に、今ケンドーコバヤシは何を思うのか――。知られざる「あんぎゃー」の魅力を探る。
――ケンコバさんと宮川(大輔)さんのトークライブ「あんぎゃー」、いよいよファイナルですね。
ケンドーコバヤシ(以下、ケンコバ) 単純計算で(全国行脚は)4年で行けるって言ってたんやけど、震災で開催できない月があったり、あと勝手に海外でやったりとかもあったので、結果足かけ5年くらいになりました。
――そもそもこの企画のきっかけは、なんだったのでしょう?
ケンコバ 以前、ヨシモト∞ホールで2人のトーク番組を一発やってもらったんですよ。そこですっごいスケベな話ばっかりしまして。いくらなんでもこれはアカンぞ、って怒られたんです
――確か「最強のAVを考える」とかでしたっけ?
ケンコバ 日本刀の先にペニスつけて入れるとか(笑)。自由にやってええとは言ったけども、いくらなんでもこれはアカンやろ、と各所から言われまして。それを聞いて「だったら、ライブでやってやるよ!」と。トークでダメ出し食らったんで、トークで仕返ししたったっていうだけですね。
――謎の反骨精神!
ケンコバ 基本、反骨というか、反体制の2人ですから。スタンス的には。
――全国を回るというコンセプトは?
ケンコバ それは大輔さんがすごい俺のことを心配してくれてて、その心配が実際には5年後にも解消されてなかったんですけど、はよ結婚せいと。お前は田舎の純朴な子が似合うから、この企画で嫁を見つけろと。
――そんな裏テーマがあったのですね。
ケンコバ そうなんです。いやぁね、女の子に関しては壮絶なエピソードが結構ありますよ。全国を「あんぎゃー」してきた中で。
――では後ほど、強烈な思い出をお伺いするとして、まずはケンコバさんと宮川さんのつながりから教えていただけますか?
ケンコバ これはね、本当に不思議な縁です。大阪で僕がデビューしたときは、すでに大輔さんは東京で(吉本印)天然素材というスターやったんですよ。その頃は飯食い行ったのも2~3回くらいの、あんまり近しい感じではなかったんです。
で、僕は大阪でちょいちょい忙しくなってきたのに、一回コンビを解散して仕事がゼロになったんですよね。それと時を同じくして大輔さんもチュパチャップスを解散しはって、まったくお笑いの仕事がないと。東京と大阪でお互い無職みたいな状態のときに、これまた東京に出てきてまったく仕事がなくなっちゃった雨上がり(決死隊)さんが、「もうこうなったらコントライブやる。全国ツアーやるから、大輔とコバ、おまえらヒマやから手伝え」と声をかけてくれたんです。当時東京には、よしもとが借り上げた合宿所みたいなところがあったんですよ。そこに僕と大輔さんずっと泊まって、雨上がりさんはそこから仕事行って、帰ってきたら4人でネタ考えて練習して。
――テラスハウスみたいですね。
ケンコバ そう(笑)。そこで大輔さんと毎日オナニー見せ合ったりとか、どっちが飛ばすかとか、中学生みたいなことやっていて(笑)。「あ、いつまでもこういうノリで接せられる人おんねんな」とお互い思ったと思うんですよ。大輔さんは、この世界ではちょっと変わった人で、「俺、よしもとのそういうの(芸歴で先輩後輩を決めること)あんまり好きじゃないねん」っていうのを、当時からおっしゃっていて。年齢で一緒なのが一番心地ええねんなと。大輔さんとは同い年ですけど2年先輩なので今でも敬語は使ってますが、ほぼ同級生というか友達感覚でお付き合いさせてもらってます。

――以前お2人のトークライブで「大輔さんは究極のSで、僕は究極のM」とおっしゃっていましたが、そういう部分でも波長が合ったのでしょうか?
ケンコバ 当時はそういう体になっていたかもしれないけど、実際Mに関しても大輔さんはすごいから(笑)。俺も、なかなか尊敬できるM仲間っていないんですよ。「俺Mです」とか言ってるヤツに限って、全然ガキだったり。だけど。大輔さん見てたら、この人、心から尊敬できるなって思いました。
――どんな大輔さんを見て、Mを確信したのですか?
ケンコバ いやぁ、大輔さんはお子さんもおられるんで、ここではあんまり言えないですけどね。まぁギリギリ言える範囲としたら……そうですね、「あんぎゃー」でタイに行ったときに、夜中にスーパー行ったら、大輔さんが2メートルくらいあるブラジル人のレディボーイと一緒に買い物してたことですかね。顔の下半分、ヒゲで青なってた。
――タイ、ブラジル人、レディボーイ、2メール、青ヒゲ……
ケンコバ そうです。2人で魚卵のコーナーを物色してましたよ。なんやねん、まったく意味が分からない。
――ホンマモンですね。
ケンコバ 今、居酒屋トーク感覚でSとかMとか言うじゃないですか。でもオマエらのそれはSじゃなくMじゃなく、自分勝手でガキなだけやと思うんですけど、大輔さんの話は、そんなことまったく思わないですね。あぁ、この人は求道者なんだなと。
――その道を究めていると。
ケンコバ 陶芸家とか居合い抜きの人に近いですね。大輔さんは本当に感覚で生きている人。一方、僕は物事を考えるのが好きで、考察が趣味。でも、舞台ではちょっと逆っていうのが不思議なんです。僕が舞台では感覚で、大輔さんは理論。
――「あんぎゃー」で2人が見つけるオモロイものは、まったく違いますか?
ケンコバ いや、そこは似てるんです。だからやれてるんだと思います。あいつエロそうやな、っていう人も一緒。あいつ美人やけど、セックスあんまり良くないやろなっていうのも一緒(笑)。そういう感覚がすごく近い。
――全国を旅するにあたり、事前リサーチなどはするのですか?
ケンコバ 「るるぶ」ですよ。やっぱり昼飯は「るるぶ」頼りなところはありますね。でもね、地方に行くと日本の政治とかいろいろ考えますよ。中央集権って、ホンマなんです。「るるぶ」ペラペラな県とかありますよ。表紙と森の写真だけの「るるぶ」がね、ホンマにあるんですよ。中央集権については、もう一度考え直さなあきませんよ。
――逆に地方のパワーを感じたのは?
ケンコバ まぁ、ヤカラ方面ですね。マジかコイツらと。俺と大輔さんはどっかで頭おかしいから、マジのケンカになりかけたこと何回かありますよ。絶対ダメじゃないですか、テレビに出させてもらってる人間が。
――ヤバかったのは、たとえば……
ケンコバ 山口県と千葉県でデカイ抗争ありましたね(笑)。なんかね、後でゾッとするんですけど、大輔さんといると一歩も引かへんようになっちゃうんですよ。うまく引けたのは埼玉くらいですね。埼玉は相手が超強そうやったんで(笑)。もう「ウソやろ?」っていう武闘派軍団出てきて。
――マイルドじゃないヤンキー(笑)。
ケンコバ 一方で、東北に行ったら人の優しさに触れましてね。日本は北へ行けば行くほど、優しくなる。寒いからですかね、人にも優しくなれるのは。「あんぎゃー」は東日本大震災を挟んでいるんですけど、震災の時は大輔さんともよく話し合いましたよ。なんか俺たちもせなあかんと。「あんぎゃー」のカウントには入れてませんけど、宮城に行きましたし。2人が真面目な話したんは、あれが初めてかもしれないですね。
――震災では、「笑い」が難しい局面に立たされていました。
ケンコバ あの時初めて、笑いの葛藤を感じましたね。笑かしてええんかなっていう。でも行ってみたら、皆さん笑いを求めていた。僕はこの世界に入って初めて、ちゃんと人を笑かそうと思ったかもしれない。

――あれ? それまでは……
ケンコバ 正直、そんな気持ちはないんですよ、俺。笑ってくれたらいいなとは思ってますけど。
――自分が面白いと思うことをやって、結果お客さんが笑ってくれたらいいなという感じですか?
ケンコバ いやいや、もっと自分勝手ですね。刑務所入らへんようにという具合です。こうやって吐き出しとかな、俺はいろいろ溜めたらきっとよからぬことをしてしまう。常識人とよく言われるし、確かに常識を守るのが趣味です。夜中の信号を守っているのは、俺くらいですよ、歩行者で。誰も見てないところで正義を貫くのが趣味なんですよ。頭おかしいんでしょうね。お前らにできへんことやったるっていうとこがあるんでしょう。難しいのは夜中の信号守ることですよ。
――己との戦いですね。
ケンコバ だから、僕もちょっと求道者のところがあるのかもしれない。自分のそういうところも見つめ直した5年でした。
――では、インタビューもたけなわになって参りましたので、そろそろ5年間の「あんぎゃー」におけるインパクト大エピソードを教えていただけますでしょうか?
ケンコバ これは僕の中で「誰が呼んでん?」シリーズと呼んでいるんですけど、そうですね……あれは広島県での出来事です。僕と大輔さんと作家さんとよしもとの社員さんで打ち上げしてたんですけど、その時なぜか同じテーブルに両足血まみれの女の子がいて、一緒に飲んでたんです。後で振り返って、あれ誰やねん? と。謎中の謎なんですよ。両足血まみれの女の子を呼ぶわけないし、声かけるわけもないし。
――飲んでるときは、気が付かなかったんですか?
ケンコバ 僕らの会話を聞いてニコニコしてるだけだったので、別にジャマじゃなかったんですよ。これが話に入ってきたりしたら「おまえ誰やねん?」ってなったんでしょうけど。おまえ誰やねん、の機会すら与えてくれなかった。
――こわいな~こわいな~系ですね。
ケンコバ ホンマですよ。あとやっぱり山口県の抗争ですかね。今どきそんなタレントいませんよね、昭和やないねんから(笑)。
――事の発端はなんだったんですか?
ケンコバ それもね、日本の中央集権の闇を感じたんですけど、山口はメインの繁華街がほぼシャッタータウンなんですよ。タクシーの運転手さんに「一番栄えてるとこに連れてってください」ってお願いしたら「何言ってんのよ、ここは滅びゆく街だよ」って言うんです。やっと一軒ラーメン屋を見つけて、そこでとりあえず飲んでたんですよ。そしたら若いやつらがTwitterかなんかで広めたんでしょうね。まず暴走族みたいなのが入ってきた。「おぉやっぱりおった~。一緒に飲もうや」って。なんでおまえらと飲まなあかんねんってモメてたら、めちゃめちゃイカついラーメン屋の大将が「うるさいんじゃ、おまえら。ラーメン食ってる間は俺の客じゃ、出ていけ!」って、暴走族に包丁突き出したんです。大将にお礼を言って飲み直してたら、さらにその上の方がバーンって入ってきよった。ホステス30人くらい連れてきて「コイツらとツーショット撮れ!」と。おお! 武闘派の大将どうすんのかと思ったら、ラーメンの湯切りして聞こえへんフリしてた(笑)。
――大将!!
ケンコバ ずっとお互いにらみ合いながら、ホステス30人と写真撮ったのはいい思い出ですね。
――それもある意味「誰が呼んでん!」シリーズですね。
ケンコバ 後で山口出身のロンブー淳に聞いたら「実は、僕もあそこの店で殴られたことあるんです」って。そういう場所なんやと(笑)。でもよう考えたら、両足血まみれのニコニコ女のほうが怖いですけどね。
――とにかく「あんぎゃー」では、お2人がすごい経験をされてきたと。
ケンコバ 静岡では「私のおっぱいは20代並みにキレイ」って豪語する80歳のママがやってるスナックに行って、大輔さんが「見せろ!」って言ったらホンマにキレイなおっぱい出てきたとか。そのとき、俺は泥酔してたから、もしかしたら記憶が間違ってるかもしれないんですけど、大輔さん、ちょっと咥えてたような気がします。
――(笑)。今度の東京がファイナルというのは惜しいような、ステキな話ばかりですね。
ケンコバ 東京公演では全国からの選りすぐりの話が聞けますよ(笑)。ここには書けないような、すごい話いっぱいありますから。それを、わりかし今テレビに出させてもらってる2人がやってるというのは考えられないと思いますけどね。このコンプライアンス社会で。俺らも「あんぎゃー」してるときはヤンキーなんで。やったる! っていう気持ち。全国制覇の気合ですね。
(取材・文=西澤千央)
●「あんぎゃー」公演情報
日時:2014年5月30日(金) 18:30開場/19:00開演
チケット:前売 3,000円 当日 3,500円
※全席指定
※参加資格:高校生不可、18歳以上
会場:よみうりホール 【東京都千代田区有楽町1-11-1読売会館7階(ビックカメラ上)】
出演:宮川大輔、ケンドーコバヤシ
プレイガイド
・チケットよしもと…0570-550-100【Yコード:100020】
・チケットぴあ…0570-02-9999【Pコード:435-842】
・ローソンチケット…0570-084-003【Lコード:33658】
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