「すべての原点はヴァギナだ!」“1331人斬り”宍戸錠の男前伝説

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「週刊新潮」10月25日号 中吊り広告より
グランプリ 「裏路地の居酒屋女将になった『淋しき「未来のファースト・レディ」安倍昭恵』の隙間風」(「週刊新潮」10月25日号) 第2位 「決意の内部告発!『原発ゼロ』はこうして潰された」(「週刊ポスト」11月2日号) 第3位 「エースのジョー【宍戸錠・78】『1331人斬り』」『世界第3位!?』伝説」(「週刊ポスト」11月2日号) ワースト第1位 「おわびします 編集長河畠大四」(「週刊朝日」11月2日号)  同業者OBとして読むに堪えない「おわび」が出た。  先週のこの欄で、週刊朝日の「緊急連載 ハシシタ 奴の本性 佐野眞一+本誌取材班」について概ねこう書いた。 「週刊朝日がノンフィクション・ライターの佐野眞一を起用して連載を始めた。この連載の意図は、タイトルにある『ハシシタ』や『奴の本性』でわかろうというものだ。『あんぽん』(小学館)で孫正義の在日三世としての出自を徹底的に取材した佐野が、この連載で向かうのはどこになるのか。彼がじっくり腰を据えて橋下に取り組む覚悟なら、橋下本人にとってはもちろんのこと、読者にとっても興味深いものになるかもしれない。次回以降を注目したい」  この中で、橋下徹大阪市長の父親の出身地を明記し、そこには被差別部落があると書いている。当然ながら、そのことを橋下市長が批判してくるのは予期されたことであろう。  佐野はこうも書いているのだ。 「一番問題にしなければいけないのは、敵対者を絶対に認めないこの男の非寛容な人格であり、その厄介な性格の根にある橋下の本性である。そのためには、橋下徹の両親や、橋下家のルーツについて、できるだけ詳しく調べあげなくてはならない」  また、書けば橋下はオレの身元調査までするのかと生来の攻撃的な本性をむき出しにしてくるかもしれないが、「それぐらい調べられる覚悟がなければ、そもそも総理を目指そうとすること自体笑止千万である」。この連載を佐野に頼んだ時点で、どういうものになるか編集長は予想できたはずだし、それ故、連載のタイトルも「橋下」ではなく「ハシシタ」にし、リードにも「血脈をたどる取材を始めた」と書いたのではないのか。  それが、想定通り橋下市長が攻撃してきたとたん謝ってしまうというのは、私には理解できない。河畠編集長はこう書いている。 「同和地区を特定するなど極めて不適切な記述を複数掲載してしまいました。タイトルも適切ではありませんでした」  連載も中止し、「橋下徹・大阪市長をはじめ、多くのみなさまにご不快な思いをさせ、ご迷惑をおかけしたことを心よりおわびします」と続けている。全面降伏である。  私は、被差別地域を明記したことをよしとするものではない。差別問題には、メディアに携わる人間は最大の関心と細心の注意を払うべきだと思っている。この連載の中で、具体的な地名まで挙げる必要があったのか、読んでみて疑問が残った。だが、編集長も筆者も、そうしなければいけないという確固たる意識があったからこそ、わざわざ明記したのではないのか。  あえて「言論の覚悟」と言わせていただく。河畠編集長にはその覚悟もなく原稿を依頼し、内容をチェックし(文中には、社内の関係部署のチェックを受けたともある)、タイトルを付けたというのだろうか。  橋下市長の批判に対して受けて立つ論理を編集部側が構築していなかったというのでは、言論機関として体をなさない週刊誌と言われても仕方あるまい。  筆者である佐野眞一のコメントが載ってないのはどうしてなのか。彼には言いたいことが山ほどあるに違いない。それを次号に掲載すべきだろう。週刊誌への信頼がまた大きく傷ついた「事件」である。残念だ。  尼崎の連続怪死事件や「山中伸弥教授のノーベル賞に泥を塗った」森口尚史など、不可解な出来事が多く、沈みがちな気持ちがさらに落ち込んでいく毎日だが、そんな時ほど痛快な読み物が読みたくなるものである。  とっておきのがポストにあった。かつて日活で「エースの錠」といわれて一世を風靡した宍戸錠インタビューがそれである。  インタビュアーは吉田豪。宍戸は年末に79歳になるが「今年、子どもを作る予定だった」と話し始める。  相手は? と聞かれて、 「宍戸 相手はいたけど60歳だから。そいつがまあ、すごくて……もう嫌で(笑)。そいつの友達もまた俺の追っかけでね。その人たちが28とか27だったらいいけど、60と58じゃ……嫌だよ、こっちだって」  でも、今年中にはやろうと思っていると“断言”している。  女の経験人数の世界第1位はウォーレン・ベィティで1万2,775人、次にチャーリー・シーンで5,000人だそうだ。どうやって数えたのかね?  できるのはコンディション次第かと問うと、 「宍戸 いや、相手のね。こないだ、ちょっと年寄りもできるのかなと思ってヤッてみたらね、やっぱり年寄りとヤッちゃいかんな。人数にも入れたくねえよ!」  人数にカウントするのか? 「宍戸 入れないよ。入れたくもねえ。入れるところもねえっていうか(笑)」  中学生の時に、同級生と「内緒で教える女のデカメロン」という猥本を作ったというから天才的早熟。日活の仲間では二谷英明が凄腕で、女に関しては「あいつにかなうヤツはいねえよ」と太鼓判を押している。  ある大物の4号と関係があったといわれるが? 「宍戸 まあ、『役者買い』が流行ってたわけ。育ててやろうかとか、そういうのが昔からあって。そういうのは一度、絶対経験しておかないといけねえなって思うじゃない。だから経験したんだけど、ホントに勃たなくなるわ。金をもらったり、洋服を買ってもらったりしてるとダメなんだよな。金を払う側にならないと勃たないな」  その女とは別の女を、赤木圭一郎に紹介したのだという。  52~53歳の連中を「若い子」と呼び、今でも東京・仙川のカウンターバーでナンパしているそうだ。女遊びと言われるが、向こうからしたら男遊び、女も計算していると語る。  宍戸はかつてこう言ったことがある。 「スキーだのスキューバだのスカイダイビングだの、ほかの遊びが増えたのはわかるけど、海山空よりもすべての原点であるヴァギナだけは忘れないでほしい」  ポスト批判もチクリ。 「宍戸 ただ、『週刊ポスト』でもヴァギナの特集をずっとやってるけど、あれはえげつないな」  高倉健とほぼ同じ年だが、まだまだ十分に男くさい、人間くさい男の話を読むと、こちらまで何かしら元気が出てくる。  同じポスト。野田政権が示した「原発ゼロ」方針は、国家的詐術だと批判する記事が第2位。  ジャーナリストの長谷川幸洋が、政府の脱原発路線を支えてきた最高ブレーン・田坂広志多摩大学大学院教授にインタビューしている。長谷川は、野田政権が決めた「2030年代原発ゼロ」という方針は、実はゼロではなく「30年に原発依存度15%」なのだと指摘する。 「長谷川 私は『政府の30年代ゼロ案は、30年15%案だ』と見ている。この理解は正しいか。 田坂 (中略)『ゼロ案のデータは実質15%案のもの』という指摘は鋭い指摘と思います」 「長谷川 私は『39年ゼロ』も実はないだろうと読む。この理解は間違いか。 田坂 これも残念ながら、『戦略』の表現は、『コミットメント』(公約)ではなく、あくまでも『ベストの努力をする』という主旨に抑えてある。それは『綱引き』の結果生まれてきた文章だからです」  田坂が言うには、原発をなんとか残したいという側とゼロにするという人たちの意見を合わせて修正した、妥協の「霞ヶ関文学」だという。  また、経産省も資源エネルギー庁の官僚も、一番こだわったのは「原発維持の可能性を残す」という点だったと話す。それは財界、立地自治体も同じだ。  端からゼロなんて選択肢はなかったのだろう。  田坂は「『脱原発依存』に向けた12の政策パッケージの宣言」を出した。その意図をこう語る。 「田坂 脱原発に向かう場合、『地元の経済は破綻する』との疑問には『脱原発交付金』の政策を示す。『原子力技術者がいなくなる』との疑問には、『原子力環境安全産業』(廃炉・解体など)の政策を示す。こうした諸政策をパッケージで示さないかぎり、必ず矛盾が出てきます」  廃炉がビジネスになるかという長谷川の疑問には、 「田坂 廃炉や放射性廃棄物処理などは、脱原発に向かうために絶対必要な産業です。さらに、我が国は、ベトナムや韓国、中国なども視野に入れ、国家戦略として、この産業を国際的な産業に育てるべきでしょう」  田坂は「脱原発は選択の問題ではなく不可避の現実」だとし、活断層がないところでも地震の可能性があり、地下水によって高レベル放射性廃棄物がどう運ばれるか分からないこの国では、放射性廃棄物や使用済み核燃料の最終処分は日本の中ではできないと断言する。 「田坂 この最終処分の問題は非常に重い課題となって、次の政権にものしかかってきます。近く行われる総選挙では、本当は、『原発ゼロ社会をめざすか否か』が争点ではない。『不可避的に到来する原発ゼロ社会に、どう準備するか』こそが本当の争点になるべきなのです」  先週、園子温監督の映画『希望の国』を見た。大地震で原発事故が起こり、家族が離れ離れになる悲劇描いた佳作である。酪農家の老夫婦を夏八木勲と大谷直子が熱演している。 これを見ていて、東日本大震災が起き、福島第一原発が爆発したのがわずか1年半ぐらい前だということに改めて気付き、愕然とする。  現代の「世界最低最悪のビジネスの現場から 日本人いじめ ここまでやるか中国」を読んでいて、確かに日中、日韓問題は大きいが、それより日本人が今すぐ議論し尽くさなくてはいけないのは、地震大国日本で原発をどうするのかということである。「国家戦略として、この産業(廃炉や放射性廃棄物処理)を国際的な産業に育てるべき」という考えは正しいと、私も思う。  今週のグランプリは、次期総理が確実視される安倍晋三自民党総裁の妻「アッキー」こと昭恵夫人が、都内に居酒屋を開いたと報じた新潮の記事に捧げる。  夫の原発推進是とする考え方とは違い、反原発運動に傾倒したり、これも反中国の夫とは異なり、中国出身のミュージシャン・金大偉のファンだと公言したりと、話題に事欠かない夫人だが、今度は東京・内神田の裏路地に「UZU」という居酒屋を10月10日にオープンしたのだ。  カウンター5席とテーブルが9席のこぢんまりした店で、新米と豚汁が980円、ひじきの五目煮が480円という庶民的な値段である。  新潮は、次期ファースト・レディになる彼女が、店で酔っぱらったり、亭主がいないのにコンビニでビールを買って帰ったりすることを難じ、2人は仮面夫婦ではないかと心配しているが、いいではないか。  森永製菓の社長令嬢で、やや線は細いが政界のサラブレッド安倍と結婚し、一度はファースト・レディにまでなったのだ。亭主は亭主、私は私で、好きな人生を生きていくというのは、多くの女性たちの共感を得るのではないか。 「私はオーナーで料理は作りませんが、できるだけお店に出て、お客さんと話したい。店の場所は、学校の先輩が近くで料理教室を開いていたこともあって、ここに決めました。店名は、いろんな人が店に集まって、人の渦ができればいいなと思って付けたの。地球の成り立ちも渦で、宇宙に通じているすべてが渦になっていたりもしますしね。いろんなお客さんが出入りして危険なんじゃないかと言われても、何か起きたときに考えればいいかなと。ひとり4,000円くらいで食べられるお店を目指しています。とにかくたくさんの人に来てもらってお話を伺いたい。さまざまな方からお話を聞くのは選挙活動と同じだと思うんです。(中略)主人は大賛成ってわけではないと思います。このお店のことには触れたくないみたいですね、ふふふっ」  こうアッキーは語っている。  今夜は、アッキーの店でいっぱいやってみようか。これを読んだ都内の多くのサラリーマンがそう思うのではないか。私も今週中に行くつもりである。 (文=元木昌彦)
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撮影/佃太平
●元木昌彦(もとき・まさひこ)
1945年11月生まれ。早稲田大学商学部卒業後、講談社入社。90年より「FRIDAY」編集長、92年から97年まで「週刊現代」編集長。99年インターネット・マガジン「Web現代」創刊編集長を経て、06年講談社退社。07年2月から08年6月まで市民参加型メディア「オーマイニュース日本版」(2006年8月28日創刊)で、編集長、代表取締役社長を務める。現「元木オフィス」を主宰して「編集者の学校」を各地で開催、編集プロデュースの他に、上智大学、法政大学、大正大学、明治学院大学などで教鞭を執る。 【著書】 編著「編集者の学校」(編著/講談社/01年)、「日本のルールはすべて編集の現場に詰まっていた」(夏目書房/03年)、「週刊誌編集長」(展望社/06年)、「孤独死ゼロの町づくり」(ダイヤモンド社/08年)、「裁判傍聴マガジン」(イーストプレス/08年)、「競馬必勝放浪記」(祥伝社/09年)、「新版・編集者の学校」(講談社/09年)「週刊誌は死なず」(朝日新聞社/09年)ほか 

気鋭のノンフィクション・ライターが暴く、‟独裁者”橋下徹の本性

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「週刊新潮」10月18日号 中吊り広告より
佳作 「法務大臣『田中慶秋』と暴力団の癒着」(「週刊新潮」10月18日号) 注目記事 「安倍晋三『黒い交際写真』の謀略」(「週刊ポスト」10月26日号) 注目記事 「緊急連載 ハシシタ 奴の本性 佐野眞一+本誌取材班」(「週刊朝日」10月26日号) 注目記事 「世界初の快挙! 性交中の男女MRI画像の衝撃」(「週刊ポスト」10月26日号)  今週は、ノーベル医学生理学賞を受賞した山中伸弥京大教授を、多くの週刊誌が取り上げている。スマートな容姿や話し方、それにスポーツマンという文武両道の魅力的な人物である。  新潮によれば、iPS細胞(人工多機能性幹細胞)というのは 「“万能細胞”とも言われますが、皮膚や神経、臓器などあらゆる細胞になりうる能力をもった若い細胞と思ってもらっていい。つまり、理論的には心臓や各種臓器、神経から皮膚まですべて作り出せる夢のような細胞で、移植など“再生医療”に道を開く画期的な発見なのです」(科学評論家・佐川峻)  大阪で生まれ、実家は東大阪でミシン部品工場を経営。少年時代はスポーツ少年で、柔道に打ち込んでいたという。勉強は親にいわれなくてもやるタイプだったと、母親の美奈子が週刊朝日で語っている。  長男だから跡継ぎの問題も出てきそうだが、 「うちの主人は東大阪の町工場の2代目でしたが、当時は人手不足で、人寄せだけでも気苦労の連続。伸弥には向いてません。継がせるなんて、思うたことありませんねん。そやけど今、200人の研究所の所長でやりくりできているのは、主人の商売の血が流れとるからでしょうかね」(美奈子)  神戸大学医学部時代はラグビーをやり骨折も経験し、卒業した後は整形外科医を目指したが、研修医時代、20分で出来る手術が2時間もかかり、ついた渾名が「ジャマナカ」だったという。  山中教授は臨床医からドロップアウトして基礎研究の道に進み、そこでも何度か挫折を味わいながらiPS細胞の研究を結実させる。  山中教授は『「大発見」の思考法』(文春新書)で「『人生万事塞翁が馬』だと思っています。挫折や回り道を経験したからこそ、iPS細胞に出会うことが出来た」(文春)と語っている。  今週は全体にタイトル倒れの記事が多かった。週刊現代でいえば、松浪健太、石関貴史、小熊慎司など「日本維新の会」に駆け込んだ議員を集めた緊急座談会「なぜ、われわれはガラクタと呼ばれるのか(涙)」は、タイトルに惹かれて読んだが目新しい話はなく、(涙)の部分がどこにもなかった。  文春の「小林幸子号泣インタビュー」も同じだ。  週刊新潮が4月12日号で報じた小林の個人事務所「幸子プロモーション」元社長・関根良江と元専務・沢田鈴子の解任に端を発し、33年にわたって幸子を支えてきた関根や沢田が、昨年結婚した小林の夫・林明男に経営に口を出された揚げ句、小林に切り捨てられたと批判し、泥沼の騒動になった。 「幸子プロの内情を知る小林の知人によれば、会社の経理は不明朗なものだった。『小林は世間知らずで実務のことはまったく分からず、今までは経理を仕切る沢田さんと関根さんの二人で自由に回してきました。そこに、夫の林さんが介入したことが、彼女たちにはおもしろくなかったのです』」  小林の知らないところで二人は甘い汁を吸っていた、と言いたいようだ。  関根はこの騒動が起きる前、音楽業界に絶大な権力をもつ“芸能界のドン”のもとに駆け込み、小林からの和解申し込みもドンの意向で断られたというのである。6月15日にやっと関根側と和解するが、このことが報じられると関根側から「全面和解ではない」と再び声が上がる。  追い詰められた中で、芸能界の孤児になった小林を救ったのが「兄貴」と慕うさだまさしだった。  さだが新曲の作詞・作曲を引き受けてくれたが、小林の名前ではスタジオさえも借りれず、新曲のレコーディングは別の歌手の名前を借りて極秘裏にやったという。新曲は「茨の道」。歌には「耐えて 耐えて 耐えて 生きて 生きて 生きて」という詩が入る。  タイトルといい歌詞といい、今回のスキャンダルに便乗しているように思えるが、したたかな彼女だから、それも計算済みなのだろう。文春の誌面を借りて小林側の言い分を語っただけ。そう受け取られても仕方ない記事づくりである。  辛口にならざるを得ない中で、いくつか注目記事を取り上げてみた。ポストの「男女のMRI画像」は“衝撃”かどうかはともかく、へぇーと思わせるものではある。  これは著名な科学者アレグザンダー・シアラスが、セックスとオーガズムの関係を視覚的に分析するために、性交中の男女の性器の断面図をMRIによって撮影したのだそうである。  その男女の写真が出ているが、なかなかの美男美女。薄いガウンを羽織っただけの二人は、濃厚なキスを交わした後、MRIカプセルの中で正常位セックスを12分間続けた。  その時の断面写真が掲載されている。これまでイラストなどではあったが、こうしたものは珍しいかもしれない。膣内のヒダもリアルに再現されている。  毎週似たり寄ったりのセックス記事が多い中、少し新鮮みのある企画ではある。  お次は、やや人気に陰りが見える橋下徹大阪市長だが、週刊朝日がノンフィクション・ライターの佐野眞一を起用して連載を始めた。  この連載の意図は、タイトルにある「ハシシタ」や「奴の本性」でわかろうというものだ。  冒頭は9月12日に開かれた「日本維新の会」の旗揚げパーティーのシーンから始まる。橋下の挨拶を占い師・細木数子と重ね合わせ、 「田舎芝居じみた登場の仕方といい、聴衆の関心を引きつける香具師まがいの身振りといい、橋下と細木の雰囲気はよく似ている」  また、 「橋下徹はテレビがひり出した汚物である、と辺見庸が講演で痛烈に批判したとき、我が意を得た思いだった」  と書いているように、相当きつい橋下批判の連載になりそうな予感。  パーティーで出会ったけったいな老人の話から続けて、佐野ノンフィクションの常道である橋下の血脈、父親・橋下之峯と被差別部落へと向かい、中上健次との世界と重ね合わせるところで1回目は終了する。  『あんぽん』(小学館)で孫正義の在日三世としての出自を徹底的に取材した佐野が、この連載で向かうのはどこになるのか。彼がじっくり腰を据えて橋下に取り組む覚悟なら、橋下本人にとってはもちろんのこと、読者にとっても興味深いものになるかもしれない。次回以降を注目したい。  ポストの安倍晋三の「黒い交際写真」は、羊頭狗肉気味の記事ではあるが、このタイミングで出てきたのは何かあるのかと思わせるものはある。  この写真は08年、安倍が健康上の理由で総理を辞任してから1年も経っていない頃、安倍事務所内で撮られた。真ん中に安倍、左に米共和党の大物政治家マイク・ハッカビー元アーカンソー州知事、右に現在刑事被告人として公判中の韓国籍の男性・永本壹柱だそうである。  永本が問われているのは貸金業法違反。永本は山口組暴力団関係者で「山口組の金庫番」と捜査当局は見ていると書いている。また彼は、北朝鮮とも深い関係があり「北に30億円を送った」などと公言していたという。  こうした人間と親密だったとしたら、北朝鮮への強硬な姿勢を見せている安倍総裁にとって大きな痛手になりそうだが、安倍側は「ハッカビー氏が訪れた際、複数名いた中の一人で、面識も付き合いもない」と回答し、永本のほうも「その時に会っただけで、親しく付き合っているわけではない」と答えている。  今のところこれ以上発展しようがないようだが、総理になれば再び火を噴きそうな予感のする写真ではある。  今週のグランプリは残念ながら該当記事なし。佳作として週刊新潮の「『田中慶秋法務大臣』と暴力団の癒着」を挙げたい。  失礼だが、田中慶秋という代議士はそれほどポピュラーな人物ではないし、就任当初、自ら代表を務める民主党神奈川県第5区総支部が、台湾籍の男性が経営する企業から計42万円の献金を受けていた政治資金規正法違反が浮上した際も、一般的な関心はさほど引かなかった。  だが、新聞マスコミは新潮が出る前から騒ぎ出し、10月11日のasahi.comではこう報じた。 「藤村修官房長官は同日午前の記者会見で『政治家の交際や地元活動は、いささかも違法、不適切のそしりを受けないようにするのが当然』と述べた。『必要なら政治家本人が説明責任を果たすことに尽きる』とも語り、田中氏自身が事実関係を明らかにすべきだとの考えを示した」  この御仁のクビは風前の灯火。臨時国会が開かれれば真っ先に責任を問われることになる。  新潮によれば、今から30年ほど前、横浜・新富町の高級クラブで開かれた稲川会系の組長の新年会や忘年会に、田中が出席していたという。  それだけではない。彼と親しかった稲川会の幹部の名を挙げれば切りがないと暴力団関係者が語っているほど、関係は密なようだ。中でも志村久之(仮名)というヤクザで右翼団体の会長だった人物とは「極めて親密だった」といわれる。彼は昨年50歳で死んでいるが、志村の結婚の仲人をしたのが田中議員だった。  新潮のインタビューで田中法務大臣は「縷々、弁明を続けた田中大臣だったが、最も重要な点である暴力団との交遊については、意外なほどアッサリと事実関係を認めたのである」  新潮発売の翌日、田中法相は閣議後の記者会見で暴力団関係者との交際を大筋で認め、「そういう関係をしたこと自体、大変申し訳ない」と陳謝したが、辞任するとは言わなかった。  昔から法務大臣には大物を据えない「慣習」があるといわれるが、ワースト3には入る“大物”人物のようではある。 (文=元木昌彦)
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撮影/佃太平
●元木昌彦(もとき・まさひこ)
1945年11月生まれ。早稲田大学商学部卒業後、講談社入社。90年より「FRIDAY」編集長、92年から97年まで「週刊現代」編集長。99年インターネット・マガジン「Web現代」創刊編集長を経て、06年講談社退社。07年2月から08年6月まで市民参加型メディア「オーマイニュース日本版」(2006年8月28日創刊)で、編集長、代表取締役社長を務める。現「元木オフィス」を主宰して「編集者の学校」を各地で開催、編集プロデュースの他に、上智大学、法政大学、大正大学、明治学院大学などで教鞭を執る。 【著書】 編著「編集者の学校」(編著/講談社/01年)、「日本のルールはすべて編集の現場に詰まっていた」(夏目書房/03年)、「週刊誌編集長」(展望社/06年)、「孤独死ゼロの町づくり」(ダイヤモンド社/08年)、「裁判傍聴マガジン」(イーストプレス/08年)、「競馬必勝放浪記」(祥伝社/09年)、「新版・編集者の学校」(講談社/09年)「週刊誌は死なず」(朝日新聞社/09年)ほか 

富も名声も手に入れたはずが……売れっ子文化人・姜尚中が抱える複雑な家庭問題

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「週刊文春」10月11日 中吊り広告より
グランプリ 「姜尚中・知られざる『家庭崩壊』」(「週刊文春」10月11日号) 第2位 「野田政権が隠蔽する『年間34万円負担増』の極秘試算」(「週刊ポスト」10月19日号) 第3位 「徹底検証 安倍晋三のお腹は本当に治ったのか?」(「週刊文春」10月11日号)  日本初の快挙を首差で逃した。10月7日にフランス・ロンシャン競馬場で行われた「凱旋門賞」で、惜しくも2着に敗れたオルフェーヴルのことである。クリストフ・スミヨン騎乗のオルフェーヴルは最外枠ながらいいスタートで飛び出し、外の1頭を壁にしながら後方を進む。スミヨンにすれば、どこかでインが開けば突っ込みたかったのだろうが、団子状態のためそれは叶わず、終始後方でロスを少なくする騎乗に徹していた。  4角を周り直線に入ると、スミヨンは手綱をしごく。それに応えてオルフェーヴルは他馬とは次元の違う脚色で一気に先頭に躍り出る。テレビを見ていたほとんどの競馬ファンは、「歴史的快挙」を確信したはずである。私も椅子から立ち上がって絶叫した。  しかし、ここの直線は長い。一旦は楽にかわしたソレミアがジリジリ二の足を使って迫ってくる。さしものオルフェーヴルも、大外枠からの発馬と、外外を回らざるをえなかった不利が堪えて、ゴール前で脚が上がりクビ差で差されてしまった。  この世界最高峰のレースに勝っていれば、人間以外で初の「国民栄誉賞」ものだったはずである。勝った馬より1.5キロ重く、回った距離は10馬身以上違うだろう。たら、れば、は競馬には御法度だが、内枠に入っていれば3馬身は突き抜けていただろう。オルフェーヴルよ、ぜひ、もう一度「凱旋門賞」にチャレンジしてほしいものである。  2週間近くハワイのカウアイ島でボンヤリしていたので、帰ってきてから週刊誌をまとめて読んだが、行く前とでは大分変化が出てきているようだ。  民主党の代表選はともかく、下馬評では3番人気だった安倍晋三が新総裁になり、それまでは飛ぶ鳥を落とす勢いだった橋下徹人気にやや陰りが出てきたようだ。週刊朝日の「<決定版> 衆院選300選挙区当落予想」を見ても、政治評論家の森田実が選挙区・比例区を合わせて「日本維新の会」の議席は61と予想し、田崎史郎が67と見ている。  週刊ポストが「橋下維新『大失速』の真相」で書いているように、みすぼらしい候補たちの顔ぶれに加え、橋下が出馬すれば反橋下派は平松邦夫前市長を擁立するだろうから、大阪という本丸を失いかねない。しょせん橋下人気に頼っているだけの根無し草政党だから、これまでのようなブームが再び起こるとは思えない。さあ、どうする橋下大阪市長。  さて、今週の3位は、誰しもが不安視する安倍新総裁のお腹の具合をしつこく調査した文春の記事  5年前の総理辞任後、安倍は「文藝春秋」で、自ら厚労省が難病指定する「潰瘍性大腸炎」であったことを認めている。大腸に潰瘍ができる病気で、下痢、粘血便の症状が出て、発熱、体重の減少が起きるという。原因は明らかではないようだが、ストレスや遺伝的な要因が考えられるらしい。  当時、首相秘書官だった井上義行がこう語る。 「辞める二ヵ月ほど前から、総理執務室の後ろにベッドルームをつくり、私服を着た医師を入れて毎日点滴を打っていました。トイレに行く回数は、一日、何十回ではきかないくらい」  そんな安倍を見ているだけに、彼は今回の出馬にも慎重だったという。  そんな人が総理になって大丈夫なのか? また体調を理由に総理の座をほっぽり出してしまうのではないか? 当然の疑問であろう。だが、その安倍に朗報が届く。潰瘍性大腸炎に効く「アサコール」という薬が日本で発売されたのだ。  この薬で病気は「ほぼ完治した」とアピールするため、総裁選の決起集会では3,500円のカツカレーを完食するパフォーマンスも見せた。  文春は、それでも信用ならんと、首相辞任の際発表したのは「潰瘍性大腸炎」ではなく、「機能性胃腸障害」だとし、「アサコール」は潰瘍性を抑えられても機能性のほうが発症するリスクはあると追及する。 「潰瘍性大腸炎も機能性胃腸障害も、完全に治る病気ではないのでコントロールすることが大切です。これらは、頑張りすぎる人がなる病気。患者さんには百点ではなく七十五点合格主義を勧めています」(鳥居内科クリニック鳥居明院長)  次の総選挙で自民党が勝てば、安倍総理が誕生する可能性大である。難問が山積する中、75点主義でのんびりやられてはたまらないが、さりとて頑張りすぎて、首脳会談の最中に何度も中座してトイレに入っていたのでは、まともな話し合いなど期待できはしない。また、任期半ばで放り出してしまう姿が浮かぶようである。  先週の週刊ポストのタイトルが絶妙であった。「『結局、安倍かよ~』というとてつもない空虚感」。その通りである。  2位には、消費税増税しても、社会保障に全額は回らないと警鐘を鳴らし続けているポストの記事。  このところ値上げラッシュである。9月には東京電力管内の電気料金が平均8.46%上がり、10月からの環境税導入により都市ガス料金引き上げが検討されている。  7月からガソリン価格がリッター10円以上の値上げになった。輸入小麦の政府卸価格が平均3%引き上げられたため、10月からは食用油や乳製品の値上げが始まり、制度改定により生命保険や自動車保険の保険料も引き上げられる。  ポストは「内閣官房社会保障改革担当室」が作成した極秘資料を入手した。作成日は9月14日、まさに民主・自民の党首選の真っ直中である。  これを要求したのは民主党の中でも消費税増税に反対していた川内博史議員で、議員の求めによって試算したとあり、2011年4月における水準と2016年4月における水準の差という副題がついている。  年収500万円世帯(夫は40代サラリーマン。妻は専業主婦。小学生の子ども2人)の場合は、年額33.8万円の負担増になり、年収300万円の単身世代では年額11万円の負担増になる。  さらに、これを作成した側の卑劣さは中身だけではなく、試算を出してきたタイミングにある。川内代議士が試算を求めたのは消費増税法案が国会で審議中だった6月なのに、出てきたのは法案が成立した後の9月だった。  ポストは、この資料を入手しているはずのメディアのほとんどがこれを公表していないことにも怒りをぶつける。  唯一報じた朝日新聞でさえ、「年11.5万円負担増 消費税10%時 年収500万円4人家族」とだけ伝え、「これだけの負担増を示す試算が消費増税法案採決の前ではなく、採決を終えてから提出されたことが最大の問題」(川内代議士)なのに、そこに言及しないのかと難じる。  川内代議士はこう訴える。 「大増税でも社会保障は充実せず、国民の負担だけが増えて、増税分はシロアリに喰われていくだけです。今からでも遅くないから、負担増ばかりが国民を襲う現実を公表し、改めて増税の是非を議論すべきです」  消費税増税を民主党以上にリードした自民党が、次の総選挙で与党に返り咲いたとしても、増税見直しなどできるわけはない。国民はこの怒りをどこへ向ければいいのだろうか。  今をときめく売れっ子文化人・姜尚中東大教授(62)のスキャンダルとなれば、読んでみたいのは誰しも同じであろう。この文春の記事が文句なしに今週のグランプリ。  熊本県で生まれ、両親は戦前に来日した韓国人。幼い頃は粗末なバラックに百世帯以上が肩を寄せ合うように生活していたと、自著『在日』(講談社)に書いている。両親の廃品回収業が成功して、彼が6歳の時にそこを出る。しかし、在日として生きる悩みは深かったと姜が話す。 「中学校で、在日は僕一人だったと思います。異性を意識するようになり、好きな子が出来れば、自分が在日と知れるのが嫌で、勉強は、まあ出来たし、野球も出来ましたが、何とか高校へ進学したものの、野球部を辞めました。中・高は楽しくなかった。その代わり本をたくさん読みました。それが今につながっていると思います」  その後、一浪して早稲田大学に入学。政治思想を専攻して大学院に進み、西ドイツへ留学したそうである。  日本名を捨てた時期や、初めて韓国を訪れた時期などに本人と周囲の人間との齟齬はあるが、これは省く。  在日コリアン向けの論壇誌に気鋭の論客として登場し、これがテレビ朝日のディレクターの目に触れ出演依頼が来る。そこからスマートな容姿と説得力のある話しぶりで、テレビの寵児となるのである。  文春らしく、姜の北朝鮮寄りの発言を、在日コリアンの人権問題について活動してきた川人博弁護士にこう批判させている。 「彼は、自分の母親をはじめ在日が苦しんだことは書きましたが、現在の在日を苦しめている北朝鮮の独裁体制のことは書いていません。小泉訪朝後様々な理屈を並べ、北朝鮮の体制維持に向けた発言を繰り返していました」  同じような批判は在日コリアンからも出ているというが、姜はこう反論している。 「拉致を解決するためには、北朝鮮の核問題と、日朝間に山積みされている日朝平壌宣言の三点をパッケージにして一挙に解決するしかありません。それはずっと主張してきたことです。私は変わっていません」  この記事は、姜尚中の思想的な問題を問おうというのではない。在日コリアン初の東大教授になり、マスコミでもてはやされ、『悩む力』(集英社新書)がミリオンセラーになるなど、華やかな外向きの顔とは別に、家庭では複雑な問題を抱えているというのである。  2009年6月、千葉県流山市の住宅街で死亡事故が発生した。姜の長男が自殺したのである。  長年の引き籠もり生活の末であった。母親はその心労のためか新興宗教に入信したという。  姜はこれまで長男の死について言及したことはない。  テレビで売れっ子になるにつれて、姜の家には脅迫状が次々来るようになった。小学生だった息子はそれに苦しみ、家で暴れるようになったという。高校生になって引きこもり、母親と怒鳴り合い、テレビ出演中の姜が慌てて帰ることもあった。  だが姜は、長男の死は自殺ではなく病死だという。生まれたときから「神経のインパルスが欠落していた」ため、長くは生きられないことを知っていて、哲学書などを読み、最終的な死因は「呼吸困難だったんじゃない?」と話す。  長男の死を公表しなかったのは? と問われて、 「隠していたわけではない。自分の不幸をわざわざ人には伝えないでしょ? 僕が言いたいのは、魂は生きているということ。肉体的にはなくなっても魂は生きているし、妻にとっても同じです。そして息子の死があったから、僕は『悩む力』が書けた。これは息子との合作です」  と語っている。  来年3月、定年まで3年を残して姜は東大教授を辞めるという。  私は姜とは一度だけしか会ったことはないが、テレビで見るよりはるかにスマートで格好いい人だった。話し口調は穏やかで説得力があり、在日コリアンを代表する論客であることは間違いない。  だが、数年前にNHKの『紅白歌合戦』の審査員として登場したとき、違和感を覚えた。何か勘違いしているのではないか、そう思ったのである。  名声も富も得て、何不自由なく暮らしていると思われていた彼に、複雑な家庭問題があったとは。この記事は、姜尚中の著作を読むためにも重要なものであろう。  「噂の真相」がなくなってから、作家や学者たちのスキャンダルが読めるのは「サイゾー」ぐらいしかなくなってしまった。  文藝春秋は姜の本をほとんど出していないから、こうした記事ができたのかもしれないが、どこかで東野圭吾のスキャンダル(あれば、だが)を書く勇気のある出版社はないかな。 (文=元木昌彦)
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撮影/佃太平
●元木昌彦(もとき・まさひこ)
1945年11月生まれ。早稲田大学商学部卒業後、講談社入社。90年より「FRIDAY」編集長、92年から97年まで「週刊現代」編集長。99年インターネット・マガジン「Web現代」創刊編集長を経て、06年講談社退社。07年2月から08年6月まで市民参加型メディア「オーマイニュース日本版」(2006年8月28日創刊)で、編集長、代表取締役社長を務める。現「元木オフィス」を主宰して「編集者の学校」を各地で開催、編集プロデュースの他に、上智大学、法政大学、大正大学、明治学院大学などで教鞭を執る。 【著書】 編著「編集者の学校」(編著/講談社/01年)、「日本のルールはすべて編集の現場に詰まっていた」(夏目書房/03年)、「週刊誌編集長」(展望社/06年)、「孤独死ゼロの町づくり」(ダイヤモンド社/08年)、「裁判傍聴マガジン」(イーストプレス/08年)、「競馬必勝放浪記」(祥伝社/09年)、「新版・編集者の学校」(講談社/09年)「週刊誌は死なず」(朝日新聞社/09年)ほか 

押収されたPCには未成年とのハメ撮り動画も!? GACKT、タレント生命の危機 

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「週刊新潮」9月27日号 中吊り広告より
グランプリ 「新婚『松田聖子』と元愛人が『深夜のコンビニ』で買ったもの」(「週刊新潮」9月27日号) 佳作1 「橋下徹は日本の救世主か?」(「週刊新潮」9月27日号) 佳作2 「釈由美子は10年間GACKTの“通い妻”でした」(「週刊文春」9月27日号) 佳作3 「貫目が足りない『石原伸晃』おバカの伝説」(「週刊新潮」9月27日号)  PHP研究所へ、電子書籍の現状とこれからについて取材に行ってきた。角川書店や講談社と並んで電子書籍に熱心な出版社である。その中で、アマゾンとは契約内容の詰めを行っていて難しいところも残っているようだが、アマゾンの書籍専用端末「キンドル」がようやく10月上旬に日本でも発売されると示唆してくれた(同様のニュースは日経でも報じられている)。  だが、楽天の「kobo」がそうであるように、コンテンツの品揃えは充実したものとはいえないようだ。電子書籍に前向きな出版社がまだ少ないこと、著作隣接権などが認められないと出版社にハッキリしたメリットがないこと、プラットフォームをアマゾンに牛耳られることへの警戒感など、先行きは不透明である。ましてや出版社にとって電子書籍がビジネスになる日が来るのは、取材した感触では、まだまだ先のことのようだ。  今週は尖閣諸島をめぐる日中間の緊張が高まる中、中国の現地報告を含めて各誌大きく取り扱っている。「日本人よ、戦いますか 中国が攻めてくる」(現代)、「日中一触即発!」(文春)、「日中冷戦 経済戦争勃発」(週刊朝日)、「袋叩きにされる『日本人』現地報告」(新潮)、「中国政府が扇動する反日デモの『白髪三千丈』」(週刊ポスト)。どれも似たり寄ったりの情報で、代わり映えがしないが、朝日と現代は、下手をすると日本経済が破滅に向かう可能性があると書いている。  現代でビジネス・ブレークスルー大学の田代秀敏教授が、こう語っている。 「日本の不買運動だけでも、日本企業は恐ろしいほどの損害を被っています。たとえば中国側の発表によると、この8月の北京、上海、広州の3地点での日系企業のカラーテレビの売り上げは、前月比で東芝が40・3%減、三洋が44・3%減、パナソニックが23・4%減と著しく減少しました」  中国の日本法人が現地で部品を調達する割合は59・7%もあり、レアアースはほとんどを依存している。日中貿易の総額は約27兆円、全貿易量の約20%を占めている。このままの状態が続けばダメージは日本のほうが遙かに大きい。そう考えれば、日本が取るべき方法は自ずと決まってくるはずだと思うが。    同じ特集の中で、2週間にわたって姿を消していた習近平が、胡錦涛に「軟禁」されていたという情報を載せている。9月1日、「中央党校」という大学で行った習の挨拶が胡錦涛を怒らせたというのだ。 「中国共産党は、図らずも党の根本理論にそぐわない『失われた10年』を過ごしてしまったが、この秋からは正しい指針を持った新時代を迎えるであろう」  こう話したというのだ。つまり、胡錦涛政権時代を否定したのだから、逆鱗に触れてもおかしくはない。そのため、中南海で軟禁生活を余儀なくされていたというのである。中国内部の権力争いは、日本など及ぶところではない。これが事実だとすれば、これからも胡と習の暗闘は、江沢民と胡がそうであったように、長く陰湿に続いていくのであろう。 今週はグランプリが1本で、後はどんぐりの背比べなので、佳作3本を選んでみた。  自民党総裁選が大詰めを迎えているが、文春、新潮は石原伸晃が総裁に一番近いと考えたのか、同じようなタイトルでやっている。ちなみに、文春は「石原伸晃よ『軽くてパー』にもホドがある」。どちらも総理の器ではないという点で一致している。内容はほぼ同じだが、新潮のタイトルが優勢と見た。  パーだおバカだといわれる理由は、親と叔父・石原裕次郎の七光りのもと「他力本願」で生きてきたから哲学がない、決断ができないからだろう。  新潮によれば、1981年に慶応大学を卒業して日本テレビ報道局で記者をしていたが、当時の同僚に「仕事に対する熱意やガッツがまったくなかった」と酷評されている。運輸省(当時)を担当していた時代に驚くべきことがあったと、別の同僚が語る。 「85年8月に日航ジャンボ機が御巣鷹山に墜落した際のこと。伸晃君は休暇中の連絡先を知らせずにイタリア旅行中で、僕らは八方手を尽くして、やっと連絡をつけたのですが、彼は“あとはよろしくお願いします”と電話で答え、旅行を続けたんです。これは今もなお、日本テレビ報道局史上に残る致命的失態といわれています」  こんな人間がトップになって原発事故でも起きたら、小沢一郎のように自分だけさっさと逃げかねない。人材不足ここに極まれり。いやはや困ったものである。  佳作2は、文春が火をつけたミュージシャン&俳優GACKTの連続追及第3弾である。  もともとGACKTのファンだった釈由美子は、紹介者を入れて食事をし、早速意気投合して懇ろになったようだ。定期的に釈がGACKTの家を訪ねる“通い婚”。だが時には、運転手つきの愛車の中で、後部座席は暗幕で仕切られていたとはいえ、釈がGACKTの膝の上で○○○(本文にはハッキリ書いてある)っていた」と事務所関係者が証言している。  地下2階にはプレイルームがあり、そこで頻繁に釈を目撃したという。 「びっくりするほどいやらしいカラダをしていた」(事務所関係者)  プレイルームのテーブルにはアダルトグッズ一式が並んでいたという。その上、 「実は国税に押収されたパソコンの中には、十八歳未満の少女とハメ撮りをした動画があり、本人はそれを一番心配しています」(GACKTの知人)  ここまで醜聞がダダ漏れするのは、身近にいた人間が離れ、取材に答えているからであろう。GACKTのタレント生命は絶体絶命のようだ。  連載といえば、新潮の「秋元康研究」第2弾は、秋元の想像を絶するギャンブル好きに焦点を当てている。ルーレットに、一度に300万円賭けるそうだ。秋元の仕事仲間は「ラスベガスでトータル15億円も負けた」と、10年ほど前に秋元が漏らしていたと話している。そうした「疑惑」に対して秋元は、15億円なんてないと否定している。だが、一ケタの億単位で負けたことはあるのではないかと聞かれ、こう答えている。 「それは……累積だったらあるかも知れない。ただ、それも、金額とかは言いたくないんですよ。書き方や読み手によっては、すごい湯水の如くお金を使う人にも見えてしまうでしょうし……」  どう言い訳しても、そう見えてしまうのは当然であろう。少女たちから吸い上げた大金がギャンブル場に吸い込まれていくというのは、何か一幕ものの喜劇を見ているようで、もの悲しい。  橋下徹大阪市長の「日本維新の会」はまだそれなりの人気を保っているようだが、現代を除いては、多くの週刊誌が反橋下のようだ。今週は文春でもやっているが、これも新潮のほうが性根が据わっている。  新潮では、橋下が司法修習生を終え「イソ弁」として所属していた事務所の樺島正弁護士が、橋下のことをこう語っている。 「橋下は本質的には弁護士という職業を嫌っていたと思います。彼は弱い者の側に立つのが嫌いです。(中略)彼は、弱い人間を見ると腹が立つのだと思います。自分はそういう苦境から這い上がってきた。だから、負けたままの人間には虫唾が走るのでしょう」  また、「日本維新の会」が経済だけでなく、教育などあらゆる分野で競争を加速させると言っていることに、榊原英資元大蔵省財務官はこう批判する。 「話が逆。いま、日本に限らず、世界の政治家がやらなければならないことは、先ほども触れた格差是正なんです。非正規雇用者をどう減らすかといった課題が政治に託された大きな責務なのに、競争を煽り、格差を拡大させてどうするんですか。総じて『維新八策』は、各論なき総論でスローガンの羅列。いくら総論を訴え続けても、各論がなければ実現まで辿り着けません」  作家の佐藤優は、韓国大統領の竹島上陸にからんで、慰安婦問題にも言及したことを、こう難じている。 「慰安婦問題で、韓国に向けて『論戦したらいい』と言い放ちましたが、そんなことを始めたら収拾がつかなくなります。また、『強制連行があったかどうかの確たる証拠はなかったというのが日本の考え方だ』とも述べていますが、日本政府の考え方、すなわち河野談話では、強制を認めている。聞きかじりの耳学問で、外交ブレーンがいないのでしょう」  さらに、3ページにわたって橋下全語録をやっている。尊敬しているのが、ゴキブリなんだそうだ。 「僕が虫の中で一番尊敬しているのはゴキブリ。新聞紙を丸めたら後ろにパッと逃げる。危機感がすごい」  だが、不思議なことに現代でも取り上げていたテレビタレント時代の発言、「徴兵制賛成」「核兵器を持て」という重大なものが抜けているが、どうしたのだろうか? もしかして、新潮はそれについては賛成なのだろうか。  今週の栄えあるグランプリに輝いたのは、あの松田聖子を徹底して追いかけた新潮の記事。書き出しはこうである。 「9月9日、日曜日。東京・有楽町の『東京国際フォーラム』では、熱いステージが繰り広げられていた。米ジャズ界の大御所として知られるボブ・ジェームスがメインを務めた『東京JAZZ』。その終盤、スペシャルゲストとして松田聖子(50)が登場したのだ。そして1時間あまり、純白のマーメイドドレスでジャズナンバーを熱唱。左手薬指には、大きなシルバーリングが光っていた。   終演後、都心のホテルで関係者と会合をし、日付が変わった午前1時前。後部座席に聖子、助手席に男性マネジャーを乗せた迎えのワンボックスカーは、自宅のある世田谷区成城方面に走り出す。(中略)  が、車は何故か自宅近くのコンビニ駐車場に吸い込まれていく。(中略)大きなマスクで口を覆ってはいるが、紛れもない聖子本人だ。そして助手席のマネジャーを従えて、店内に入っていく。(中略)2人はカップの冷やし中華などが並ぶ棚の前で立ち止まり、しばし思案……。  すると今度は、お隣のおにぎり棚に移動し、再び思案。(中略)傍から見ている限り、まるで恋人同士かおしどり夫婦にしか見えない。(中略)結局、カゴには冷やし中華とおにぎりが2個ずつ」  天下の聖子が新しい夫のために買ったのがこれか? だが、事実は小説より奇なり。その後、2人は聖子の自宅である豪邸へ帰り、聖子はその中へ入り、マネジャーは隣の2階建ての民家に入る。な~んだ、それだけか。  ところが新潮によれば、この2つの建物は奥で行き来できるようになっていて、「その夜、両方の電気はそのまま消えた」というのである。意味深な書き方である。  聖子が慶応大学病院歯科・口腔外科の河奈裕正准教授と3度目の結婚をしたのは6月。 仲睦まじく冷やし中華とおにぎりを食べたのかと思いきや、自宅には夫の影が見えないというのだ。しかも、コンビニへついていったマネジャーは8年越しの聖子の愛人で、結婚するのは彼とだろうと周囲で思われていた人物なのだ。 「結婚してみたものの、マネジャーと聖子の関係にも頭を痛め、早くも別居しているのではという見方すらある」(芸能デスク)  河奈准教授はもともとプライベートなことは明かさないタイプだったそうであるが、それにしても新妻を放っておいて、どこへ隠れているのだろう。  さらに河奈の父親は取材に対し、聖子が夫の実家に挨拶にも来ていないことを認めている。奇妙な夫婦生活だが、松田聖子らしいともいえる。グラビアに写っているコンビニでの2人の仲睦まじい姿を見ていると、恋多き女の面目躍如である。  彼女のような「自立した女」を女房にするには、よほど寛容で剛胆な男でないと務まらないだろうが、これまで彼女が相手にしてきたのはそれとは正反対の男たちである。オスを食ってさらなる高みを目指すからこそ、中年のオンナたちにはたまらない格好いい存在なのだろう。聖子、健在である。  (文=元木昌彦)
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撮影/佃太平
●元木昌彦(もとき・まさひこ)
1945年11月生まれ。早稲田大学商学部卒業後、講談社入社。90年より「FRIDAY」編集長、92年から97年まで「週刊現代」編集長。99年インターネット・マガジン「Web現代」創刊編集長を経て、06年講談社退社。07年2月から08年6月まで市民参加型メディア「オーマイニュース日本版」(2006年8月28日創刊)で、編集長、代表取締役社長を務める。現「元木オフィス」を主宰して「編集者の学校」を各地で開催、編集プロデュースの他に、上智大学、法政大学、大正大学、明治学院大学などで教鞭を執る。 【著書】 編著「編集者の学校」(編著/講談社/01年)、「日本のルールはすべて編集の現場に詰まっていた」(夏目書房/03年)、「週刊誌編集長」(展望社/06年)、「孤独死ゼロの町づくり」(ダイヤモンド社/08年)、「裁判傍聴マガジン」(イーストプレス/08年)、「競馬必勝放浪記」(祥伝社/09年)、「新版・編集者の学校」(講談社/09年)「週刊誌は死なず」(朝日新聞社/09年)ほか   

裏カジノ、振り込め詐欺にクリカラモンモンまで!? AKB48創設者の黒い過去

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「週刊新潮」9月20日号 中吊り広告より
グランプリ 「『人形遣い』の錬金術 時代の寵児『秋元康』研究」(「週刊新潮」9月20日号) 第2位 「73歳『松下忠洋』金融担当大臣 痴情果てなき電話と閨房」(同) 第3位 「仰天スクープ撮!国民的アイドル前田敦子 深夜の『お姫様抱っこ』」(「週刊文春」9月20日号) 次点 「服用者が自殺していた!有名禁煙薬で意識障害」(「週刊朝日」9月28日号)  中国の反日デモが、日ごとに激しさを増してきている。中国にある日本のスーパーや日本製自動車が壊され、日本領事館や大使館前に群衆が押しかけ、警察や軍隊まで出動する騒ぎになっている。日本レストランは軒並み休業し、日本人と親しい中国人から「日本語は話すな」と忠告され、外出もままならないそうだ。  これでは反日デモではなく、反日テロではないか。竹島をめぐって韓国にも反日気運が高まっている。これだけの非常事態だというのに、政界は代わり映えのしない代表選や総裁選にうつつを抜かして、有効な手を打つことができていない。  こういうときこそ、一時休戦して臨時国会を開き、対応について全党で話し合うべきではないのか。また、野田佳彦首相は国内で犬の遠吠えを繰り返すだけでなく、直接、韓国、中国の首脳に連絡して、事態打開の方策を話し合うべきであろう。  為す術のない大臣たちが、アメリカの威を借りようと来日したパネッタ米国防長官にすがったが、「尖閣諸島への日米安保条約の適用については『我々は条約上の義務を守る』と述べたうえで、『主権に関する対立では特定の立場をとらない』」(朝日新聞9月18日付より)と、体よくあしらわれてしまった。自分の頭のハエは自分でどうにかしろということだ。  中国や韓国のメディアは日本非難の論調で沸き立っているようだが、日本の週刊誌は意外に静かである。  今週めぼしいのは、文春の「李登輝×阿川佐和子『尖閣は日本の領土です』」だけである。  尖閣諸島を政府に売った「地権者」について扱ったものが多い。文春が「尖閣『地権者』の正体」、新潮が「『石原都知事』に恥をかかせた『尖閣地主』が恐れるもの」、サンデー毎日が「地権者の弟・栗原弘行氏激白『恫喝まがいに島売却を迫った政府』」などである。  尖閣諸島は国が20億5,000万円で手に入れるようだが、文春は地権者代表としてメディアにしばしば登場する栗原弘行の娘と元妻が、彼には虚言癖があり、女にだらしなく、尖閣交渉を長引かせたのも高く売りつけるためだと、容赦のない批判をしている。  義兄で尖閣の所有者である國起が尖閣諸島を購入したのは72年のこと。石油などの海底資源があるという噂を耳にし、現金で5,000万円払ったという。  いまの評価額は5億円ぐらいだそうである。それがつり上がり、新潮は、栗原家の手元に残るのは15億1,800万円だと試算している。  これほど多額の税金を使い、中国との関係を悪化させてまで購入する必要があるのか。私にはいまだ疑問に思えてならない。  さて、今週の次点には週刊朝日の記事。私は煙草を吸わないので縁がないが、ファイザーが販売するチャンピックスという禁煙薬は「魔法の薬」と呼ばれるほど売れていて、全世界の年間売上が約7億2,000万ドル(約560億円)にもなるそうだ。  2006年から米国で販売が始まり、08年から日本でも、保険が適用される医師による処方薬として販売がスタートした。俳優の館ひろしがCMに出たことで知名度を上げ、国内での累計服用者は約120万人に上る。  この薬、飲んで脳に直接作用するタイプで、効き目が評価されているようだが、実はかなり危険な副作用があるというのだ。  8月2日、東日本に住む30代の男性会社員が自宅で首をくくって死んでいるのが発見された。警察は自殺と見ているが、その男性の両親が話すには、前の晩の息子の様子がおかしかったというのである。  そして息子の部屋で見つけたのが、チャンピックスと患者に渡される禁煙手帳だった。  今のところ因果関係はハッキリしていないようだが、チャンピックスには、死にたいと思う自殺念慮や攻撃的行動などの副作用の疑いがあり、そのことはファイザーから医療機関に渡される添付文書に記載されている。自殺念慮やうつ、心疾患などを引き起こしたとして、患者1,200人が米ファイザーを相手に訴訟を起こしていると谷直樹弁護士が語っている。  厚労省の独立法人・医薬品医療機器総合機構によれば、08年度から12年度までに「自殺念慮」が18件、「自殺既遂」が2件など、自殺に関わる事例は計28件あるという。これはファイザーに報告された数である。だが、ファイザーが運営するサイト「すぐ禁煙JP」では自殺について一切触れられていない。  朝日はファイザーや国をこう批判している。 「思い起こされるのは『薬害肝炎』や『薬害エイズ』の問題だ。これらの問題では、国がやるべきことをやらない『不作為』によって、多数の犠牲者が生まれた。チャンピックスでは“犠牲者”がどれだけいるか見当もつかないが、注意喚起などの状況を見る限り、『不作為』が現在進行形で行われているように思えてしまう」  この問題は、タバコを吸わない人間にも無関係ではない。厚労省はチャンピックス服用後に起きた『運転中の意識障害』が、2011年9月までに少なくとも12件あったと公表している。  公共機関やトラックの運転手に意識障害が起きたら大惨事は免れない。米国では米連邦航空局や全米トラック協会が、パイロットや運転手に対してチャンピックスの服用を禁止している。  日本の航空業界は、業務前の健康チェックで服用が認められた場合は業務につかせないそうだが、他の業界は手つかずだ。  昔、「私はこれで禁煙しました」というCMが話題になったことがあったが、「私はこれで禁煙しましたが、事故を起こしました」では何もならない。  3位はAKB48を卒業した国民的アイドル・前田敦子(21)の某夜の「事件」をグラビアと記事でねちっこくやっている文春の記事。  9月5日、前田の卒業記念アルバム『前田敦子AKB48卒業記念フォトブック あっちゃん』(講談社)の発売記念のイベントの後、六本木で打ち上げの会が開かれた。  23時半、打ち上げがお開きになった前田は、事務所のクルマで麻布十番の高級カラオケカフェ「M」へ向かう。  そこにはAKB48の大島優子や人気俳優の佐藤健(23)ら5人がいた。6人でテキーラを30杯ほど飲んだあと、午前3時半過ぎ、泣きながら前田がそこを飛び出し、タクシーを捕まえて消えてしまう。  だがその後、再び前田が戻って来る。やがて他の4人が帰り、佐藤と前田の二人が残った。身体を密着させながら二人が部屋から出てくると、前田がまた嗚咽を漏らし始め、次第に声をあげて泣き出したというのである。  しばらくして佐藤は前田を抱きかかえ、待たせていたタクシーに乗り込む。  前田の住んでいるマンションに行き、酔っぱらったのかグッタリしている前田を佐藤が抱きかかえるのだが、支えきれず「国民的アイドルのスカートはまくられ、お尻丸出しのあられもない姿に」なる。このシーンがグラビアに載っているが、一見の価値ありだ。  この後の展開を期待させるが、AKB48の仲間が助けに来て、佐藤が見送り、前田は背負われて中へ入ってしまったのだ。  佐藤という俳優は、07年の『仮面ライダー電王』に主演して人気を集め、いま公開中の映画『るろうに剣心』がヒットしている。  一見草食系に見られそうだが、そうではないと、六本木の飲食関係者がこう語る。 「タケルは西麻布・六本木界隈じゃ有名。海老蔵事件で有名になったバルビゾンビルのバーも常連だったし。(中略)一番派手に遊んでる」  女性関係も相当なものだそうだ。  この記事を読む限り、二人の関係は相当いいところまで進んでいるようだし、前田のほうが佐藤にお熱である。  前田の「ある夜の出来事」をグラビアと記事で逐一見せた、文春の執念を感じさせる記事である。  第2位は新潮が掲載した話題の記事。松下忠洋金融担当相(73)の長年の愛人だった時任玲子(70)の告白である。  この記事が出ることに悩んだのか、松下金融担当相は発売2日前の9月10日に自室で首つり、自殺してしまったのだ。  報道によれば、室内から「密葬にしてくれ」などとする、首相、閣僚、妻宛計3通の遺書が見つかったそうである。  これまでも週刊誌には数多の男女のスキャンダルが掲載されたが、自殺者を出すというケースは稀である。彼が死を選ばなくてはならないほどの内容が新潮に書かれていたということか?  愛人だった時任が松下と初めて会ったのは、91年1月のこと。彼女は鹿児島の高校を出て水商売に入り、神戸の大型キャバレーでトップになって、80年にラウンジバーを始めた。そこへ、当時建設省砂防課長だった松下が二人の共通の知り合いに連れてこられ、同郷ということで意気投合する。  当時の彼女と現在の写真の二枚が載っているが、新潮の書いているように加賀まりこ似の美人である。  二人は10月に「東京で出会った時、ホテルで男女の仲になりました」(時任)  松下に妻子がいたとしても、ここまではよくある男女関係に過ぎない。  だが、続いてそのころ、彼が彼女に出した手紙の全文が載っている。 「玲さま いつもこまやかな心のこもったお便りありがとう いつも3回ほど、繰り返し読んでいます。そして、初めて肌を重ねた熱いニューオータニの朝のベッドを胸キュンで思い出しています。そして加納町のオリエンタルホテルで朝まで過ごしたダブル(×)シングルベッド、いつの間にかおなかを出して、スキだらけで眠ってしまっている玲子姫の白い肌をドキドキして思い出しています」  寝ている彼女の大切なところにキスしていたことなどを書き連ねている。  その後、建設族のドンといわれた金丸信元副総裁のバックアップで、93年の衆院選に自民党候補として出馬し、初当選する。  二人の不倫関係はその後も続く。時任は彼とのSEXをこう語っている。 「松下さんのエッチは品がなく、乱暴でした。自分本位ですごく慌ただしいんです。体位をコロコロ変えるし、動きが素早かったですね。手で激しく責めてくるんです。(中略)  部屋を出る際に、松下さんは“お化粧代”としてお金を渡してくれました。だいたい5万円から10万円、多くて30万円でした」  二人の逢瀬は年に2~3度しかなかったそうだ。  松下は一度落選するも、09年に国民新党から立候補して政界復帰を果たし、鳩山由紀夫内閣で経済産業副大臣になる。  その年、彼女は神戸のラウンジを閉めて鹿児島に戻る。  そのころから、松下がテレホンセックスを求めるようになったと、彼女は語っている。 「松下さんから“電話をちょうだい”というメールが入ると、それが合図になって、しました。だいたい朝4時から5時が多かったですね。(中略)松下さんは電話でエッチをする時はすごく優しくなるんです。口数もいつもより増えますし、何か慣れている様子で、私に対して触る場所を優しく指示してくれました」  彼が彼女に送ったメールを2通載せている。一つにはこうある。 「早く一つに繋がりたいです。いろいろ貴女を探検したいです」  だが、だんだん松下からの連絡がなくなり、地元へ帰って来たときも、翌日の新聞やテレビで知ることが多くなった。  2011年3月11日の東日本大震災が起き、松下は原発現地対策部長として福島に入り、多忙を極めるようになる。  だが、3月30日未明に「電話を下さい」というメールが彼から届く。  彼女は、鹿児島に来たのに知らせてくれなかったのはなぜかと問い質すが、一方的に電話を切られてしまう。  縁あって好きになった二人なのに、別れ話もしないまま自然消滅みたいなやり方をする彼のことが許せない、と彼女は弁護士を通じて手紙を出す。しかし、彼の対応は不誠実だと感じた彼女は、何度かやり取りの末、今年の5月に彼と対面する。  だが、高い金を要求するのはおかしいと難じたり、これまで「化粧代」として払っているじゃないかと言い募り、最後に80万円入りの封筒を差し出したそうだ。 「結局、私は都合の良い女だと思われていたんです。お金を出せとも言わないし、表舞台にも出ようともせず、陰で支えてくれるし、他の男に目移りしないくらいに自分に惚れていてくれる……。私自身、女は男の後ろをついていくのが当然だと思っていたんですよ。でも、いまはそのことにあぐらをかいてきた松下さんが許せないんです。今頃になって、“私は貴女をズッと好いていました。惚れていました。愛している”なんてメールを送ってきますが、私の思いに真摯に向き合っているとは到底思えません。どうにか時間稼ぎをして、逃げようとしているのがミエミエです。たかが女一人のために大臣の座を降ろされたらたまったもんじゃないと思っているんでしょうね」  彼女と会った9日後に、彼は金融・郵政民営化担当大臣に就任する。  松下は新潮の取材を受けてこう語っている。 「私が彼女を無視するようになったと言っているようですが、それは全く違う。福島に打ち込んでいて、全く外界との関係がなくなってしまい、彼女ともそうなってしまった」  男女の関係だったことも認め、今でも愛していると話している。これを読む限り誠実な人柄のようである。  前立腺がんを発症していたそうだが、治療を受けており、命には別状なかったそうだから、病気が自殺の動機ではないようだ。  政治家の女性スキャンダルですぐに思い出すのは、宇野宗佑、中川秀直、山崎拓であろう。宇野はスキャンダルもあって、あっという間に総理の座から滑り落ちた。  中でも愛人に衝撃的な告白をされたのは山拓であろう。その上、愛人が外国特派員協会で記者会見まで開いてしまったのだ。将来の首相候補だった山拓は落選し、その後も出馬するが、当選する可能性はほとんどない。だが、私が彼の元愛人に博多でインタビューしたとき、彼女は「まだやる気満々ですよ、あの人」と笑って話していた。  宇野、中川、山崎は自殺せず、中川衆院議員はいまだに永田町で大きな顔をして生き延びている。彼らと松下金融担当相を分けたのは何だったのか。  時任の模泰吉弁護士が言っているように、「松下氏の女性の扱い方がヘタだったと言われても仕方ない」ところはある。  セックスのテクニックやテレホンセックスのことをバラされ、晩節を汚されたと思ったのかもしれないが、「その歳でよう頑張ってはる」という見方もあるのではないか。  私は、自殺の動機は政治家という職業にあると思う。大野伴睦は「猿は木から落ちても猿だが政治家は選挙に落ちればタダの人だ」といった。  総選挙は間近であるが、松下が所属する国民新党も苦戦が予想されている。ましてやこのスキャンダルが出ては、当選する見込みはほとんどない。  中川、山拓には、もう一度永田町に戻るという強い意欲があったが、松下にはそれが弱かった。このスキャンダルが明るみに出てしまうことで、生きる意欲まで失ってしまったのではないか。  朝日は松下の別の愛人にインタビューしている。二人のことは2003年4月に写真誌「FLASH」で報じられているが、今回の自殺に対して、信じられないとこう疑問を呈している。 「女性問題というのは表のことであって、もっと根深い何かに思い悩んでいたんじゃないでしょうか」  今週のグランプリは新潮の青沼陽一郎と取材班が、AKB48の生みの親・秋元康の研究を始めた連載第1回に贈りたい。  今回は秋元と一緒に「AKS」を立ち上げた窪田康志と芝幸太郎のうち、芝について多くを割いているが、だいたいはこれまで文春が報じてきたことである。  芝と窪田は、六本木にあった芝が経営する「裏カジノ」で知り合った。芝は強引な取り立てで社会問題化した「商工ファンド」に入り、日本一の営業成績を収めるようになった。「貸します詐欺」や「振り込め詐欺」のあくどい仕事に手を染めていたなどである。  今回面白いのは、まず、芝のかつての上司にこう言わせていることである。 「芝の背中には一面に龍の刺青が入っている。赤や青のハデな色合いで、その龍の周りには鯉もからみついている絵柄だ」  AKB48を創り上げた一人がクリカラモンモンを背負っているというのだ。  もう一つは、AKB48の48という数字の謎についてである。この48はメンバーの数ではない。では、何を指すのか?  かつて芝は、芸能関係の仕事を始めるとき「office48」という会社を立ち上げたことがある。ここにも48が使われているが、これは「芝=シバ=48」を指しているというのである。  新潮は「このアイドル発掘プロジェクトに参画した芝の元手は、“振り込め詐欺”や裏カジノの収益ではないのだろうか」と疑問を投げかけている。  芝は取材に対して、詐欺や裏カジノについては否定したが、刺青に関してはプライベートなことだと返答を拒否したという。  秋元はインタビューに対して、「アイデアということでは100%僕。お金ということでは100%窪田君」と答えている。  芝にそういう過去があることはまったく知らなかったと話し、知っていたら一緒にやらなかったという。芝はいまはAKB48から手を引いていて関係がないとも話すが、劇場支配人も衣装担当者も、秋元才加らAKB48数名の所属事務所も芝の会社になっているではないかと、新潮側は指摘する。  こうした闇の人脈と手を組むことになった秋元の謎は、「彼の生い立ちを追う過程で明らかになるだろう」と、次回への含みを持たしている。何だろう? 楽しみである。  文春の前田敦子や新潮の記事を読むと、そろそろAKB48人気にも綻びが出てきたことを感じるのだが。 (文=元木昌彦)
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撮影/佃太平
●元木昌彦(もとき・まさひこ)
1945年11月生まれ。早稲田大学商学部卒業後、講談社入社。90年より「FRIDAY」編集長、92年から97年まで「週刊現代」編集長。99年インターネット・マガジン「Web現代」創刊編集長を経て、06年講談社退社。07年2月から08年6月まで市民参加型メディア「オーマイニュース日本版」(2006年8月28日創刊)で、編集長、代表取締役社長を務める。現「元木オフィス」を主宰して「編集者の学校」を各地で開催、編集プロデュースの他に、上智大学、法政大学、大正大学、明治学院大学などで教鞭を執る。 【著書】 編著「編集者の学校」(編著/講談社/01年)、「日本のルールはすべて編集の現場に詰まっていた」(夏目書房/03年)、「週刊誌編集長」(展望社/06年)、「孤独死ゼロの町づくり」(ダイヤモンド社/08年)、「裁判傍聴マガジン」(イーストプレス/08年)、「競馬必勝放浪記」(祥伝社/09年)、「新版・編集者の学校」(講談社/09年)「週刊誌は死なず」(朝日新聞社/09年)ほか 

国民総監視時代もすぐそこ? ヤクザを潰しにかかる、“国家権力”の本当の姿

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「週刊文春」9月13日号 中吊り広告より
グランプリ 「GACKTの愛人・隠し子・黒いカネ」(「週刊文春」9月13日号) 第2位 「現役親分衆が実名激白『改正暴対法』に異議アリ!」(「週刊アサヒ芸能」9月13日号) 第3位 「『めぐみさんは生きている』野田総理は2度言った!」(「週刊新潮」9月13日号) 次点 「いまこそ落選運動を始めよう」(「週刊ポスト」9月21・28日号)  AERAの「『性犯罪男』の傾向と対策」を読んでいたら、盗撮者230人の年齢層は30代が一番多く28%で、次が20代の27%、40代の26%と続く。  公務員が多いのは、ストレスがたまるせいだろうか。民間人の70人を除いた盗撮者160人の職業では教職員が54人、地方公務員36人、警察・消防・自衛官が31人となっているそうだ。  そんなところに、こんなニュースをネットで見つけた。 「文化祭でチアダンスをしていた女子高校生の下半身などを撮影したとして、神奈川県警相模原南署は9日、県迷惑行為防止条例違反(卑わいな言動)と建造物侵入の疑いで、みずほ信託銀行本店営業部次長の○○(実名だが筆者が匿名に=43)=東京都江戸川区=と、川崎市危機管理室主任の○○(同=36)=横浜市磯子区=の両容疑者を現行犯逮捕した。同署によると、○○容疑者は『間違いありません』と逮捕容疑を認めているが、○○容疑者は『ステージ全体を映していた』と否認しているという」(毎日新聞2012年09月10日より)  これだけでは事件の詳細はよくわからないが、チアガールの下半身を執拗にビデオカメラでズーム撮影していたのだろう。  教員が気づいて「事情を聴いて映像を確認した上で、同署に通報した」(毎日)そうだ。  確かに「不謹慎な行為」であることは間違いないが、IBM元社長のように、エスカレーターで女性のスカートの中を盗撮していたのとはかなり違うと思うのだが。しかも実名報道である。  娘の運動会へ行ってほかの娘の下半身を撮ったら、カミさんに叱られるだけではなく、これからは逮捕されるのだろうか。  週刊誌はこの事件を詳しく調べて、論議を巻き起こしてほしいと思う。  今週の次点はポストの記事。類似の企画はこれまでもあったが、ポストは「落選運動は政治の堕落を止めるためのいわば『最後の暴力装置』」と位置付けているところがいい。現在、国民の最大関心事である5つの分野で、民意と逆行する行動をした政治家をランク付けして、その理由を書いている。  原発では、上から枝野幸男、細野剛志、仙谷由人の順である。枝野は原発事故の直後から「ただちに健康に影響はない」と繰り返し、国民から情報を隠蔽した罪である。  増税では、岡田克也、谷垣禎一、山口那津男で、意外にも野田佳彦は第4位である。岡田の罪は、衆院選でのマニフェストをまとめる責任者であったにもかかわらず、野田の増税路線を推進したことである。  年金&子ども手当では、上から長妻昭、小宮山洋子、小沢一郎となっている。これには説明は要しないだろう。  公務員改革では仙谷由人、岡田克也、蓮舫。蓮舫は仕分けの女王などともてはやされたが、結局は財務省のシナリオ通りに演じた主演女優でしかなかったという罪。  領土では前原誠司、安倍晋三、石破茂の順になっている。3位の石破は、2004年3月、中国の尖閣上陸問題発生時に、防衛長官として強制送還を容認した罪である。  こうした政治家たちの在任中の通信簿を、選挙前に全議員に広げて作ってもらえないだろうか、ポストさん。  3位は拉致被害者・横田めぐみさんについての新潮の記事。文春でも「本当に生きているのか」をやっているが、新潮の注目すべきは一点「野田総理が横田めぐみさんは生きている」と、確信に満ちた口調で語ったというところである。  約4カ月前、新聞各社の編集委員らと会食した際、野田総理がそう話したというのだ。なぜそこにいた新聞の連中は、そのことを書かなかったのだろう。いつも通り「オフレコだったから」とでも言うのだろうな。  だが、このことはめぐみさんの母親・横田早紀江さんに伝えられ、今年の6月か7月頃に彼女は、野田総理へ手紙を送ったそうである。  当然ながら彼女は、娘が帰ってくるのを一日千秋の思いで待っている。野田総理がそのような情報を持っていたのなら、なぜ自分たちに最初に教えてもらえなかったのかと悲憤慷慨している。  だが、それに対する返事はいまだにないそうだ。  産経新聞も、8月31日にこう書いている。 「めぐみさん 2001年に生存 政府 2ルートから情報入手」  8月末から始まった「日朝課長級協議」で、早期に両国の「関心事」について本協議を行うことで合意した。外務省関係者はこう語る。 「政府当局者の中には、めぐみさんを含む、未だ奪還できていない拉致被害者12人に加え、特定失踪者など2,3人も、“帰国させられるかもしれない”と話す人もいる。かなり“前のめり”な発言ですが、そこまで言うからには何らかの根拠があるのではないか、と受け取らざるを得ません」  週刊現代は9月8日号で、北朝鮮ですし職人をしていて日本へ戻った藤本健二が、北朝鮮側の招待で7月21日から8月3日まで平壌に滞在したとき、金正恩第一書記と再会した話を掲載した。  藤本は「正恩王子と再会できるこのチャンスに、拉致問題を早く解決し、日本と国交を結んでほしい」と、彼の書いた手紙を金正恩第一書記に通訳を通じて読み上げた。  金第一書記は肯きながら聞いていたそうだ。藤本は「私は、正恩王子がすぐに行動を取ることを確信しました」と話している。  金正日総書記の突然の死で、若い金正恩に体制が変わったため、拉致問題解決にはいいチャンスが訪れたことは間違いない。  これを実らせるかどうかは政治家や役人たちの力量にかかっている。自分に都合のいいことしか書かない新聞記者たちの前で、根拠も示さずめぐみさん生存説をたれ流すのではなく、そうした“確実”な情報があるなら北朝鮮に乗り込み、金正恩と差しで解決へ向けての話し合いをしたらいいではないか。  拉致問題さえ解決すれば、一気に経済制裁解除、日朝国交正常化へ向けて動き出すかもしれない。わずかだが、薄明かりが見えてきている気はする。  2位はヤクザに強いアサ芸の注目すべき記事。  7月26日に暴対法改正法案が成立した。施行から20年。4年ごとに改正が重ねられ今回で5度目となる。  これに基づいて都道府県公安委員会が認定した組織は22団体。「当局から指定されたヤクザのみが規制を受けるという希有な法律」(アサ芸)である。特に今回の改正点で注目されるのは、「特定指定団体」の新規定。  企業や経営者などへの襲撃の危険性が高い組織を「特定危険指定暴力団」とし、対立抗争事件を繰り返して住民の生命や身体に危険を及ぼす恐れのある組織を「特定抗争指定暴力団」とあらためて認定するのだ。  現在「特定危険──」には五代目工藤會と太州会が、「特定抗争──」には道仁会と九州誠道会が認定されると報じられている。ともに九州・福岡県に本拠を置く団体である。 「この『特定危険指定団体』の認定では、実行犯の特定がなくても、警察が“疑わしい”とした組織が認定されることが可能になる。警察にとって強力な武器になる反面、直罰規定もあり『疑わしきは罰せず』という法の精神からの逸脱も指摘されています」(社会部記者)  もはやメディアはヤクザを取り上げることさえタブーになりつつあると、アサ芸は批判する。ヤクザの生の声はアサ芸などわずかな雑誌でしか聞くことはできないのだ。  そこでわれらがアサ芸は、3人の現役ヤクザの親分から、現在の状況や暴対法への率直な思いを聞き出している。  五代目工藤會・木村博幹事長はこう語る。 「よくもまあ、国家や警察当局はヤクザを苦しめる手を次から次へと考え出すものだとアキレたり、感心したりしています。(中略)  我々を排除するという題目とは裏腹に、現状では『天下り』という悪しき慣例を存続させることに躍起になっているとしか見えません。税金で飯を食ったあと、民間に寄生し、みずからの縄張りを拡大させ、合法的なミカジメ料を得る狩場をせっせと作っています。パチンコ業界への規制をはじめ、結果的にでも警察OBらが利益を受けるシステムは、正義を隠れ蓑にした偽善と言わざるをえません。  福岡県警もかねてから汚職、情報漏洩、破廉恥事件と不祥事に事欠くことなく、その体質は昔から一向に変わっていません。警察による行為は前提として正しいという『警察無謬の原則』は幻に過ぎないことがよくわかりました。(中略) 『ヤクザが犯罪者になる』のではなく、『ヤクザを犯罪者に仕立てる』という段階まで踏み込んだ法律解釈が行われ、当局の裁量しだいで犯罪者が生み出されるという恐ろしい時代に我々は生きています」  日本最大のテキヤ組織で、指定団体に唯一入っている極東会五代目松山直参・野木勝執行部はこう語る。 「バブルの崩壊以降、景気はずっと停滞していますから、世間一般の人と同様に私たちもつらいですよ。(中略)特に、ここ数年はひどい。まともにバイ(編集部注・商売のこと)ができていません。昨年は、東日本大震災での祭りの自粛がありましたが、それよりもキツく感じるのはやはり警察の締めつけです。長いテキヤ人生でも最悪の時期ですね。(中略)  世間からは暴力団だと蔑まれる私たちですが、古きよき日本の伝統であるテキヤ文化を守っているという自負があります。改正暴対法が成立し、これからも険しい道のりが続くと思いますが、私たちを必要としてくれる人がずっと増え、縛りつける法律が廃止される日がきっと来ると信じ、歯を食いしばって生きていきますよ。  テキヤ文化は、これまで長い年月にわたり受け継がれてきた伝統なんですからね。法律や国家の力でもそう簡単に消し去ることはできないんです」  四代目浅野組・重政宜弘若頭はこう語る。 「ワシらヤクザ者から見れば、改正暴対法は悪法としか言えん。人権無視も甚だしいで。ヤクザは人間やないと断言しとるようなもんやろう。(中略)  国家権力が本気でヤクザを潰しにかかってきとるのかもしれん。ついにここまで来たんかい、というのが本音やな。  ただ、今回の改正暴対法はヤクザ者だけやなく、カタギにとっても悪法と映っているのと違うか。昨年、全国で暴排条例が施行されたわけやが、今回の改正暴対法では努力義務規定として事業者に暴排を義務づけた。カタギにも規定が設けられたわけやから。  例えば、ゴルフにしても、カタギとはプレーしちゃいけんだけやのうて、プレーそのものをしちゃいけんことにまでなっとる。(中略)  ワシらも暴力団なんて勝手に呼ばれて久しいが、最近では反社会勢力やからね。(中略)  ワシはこう思っとる。悪者にしやすく、かつ文句を言わないヤツから取り締まろうとなって、ヤクザ者が一番に選ばれたはずや。次はあいつら、その次はこいつらと、もう国家権力の中では順番が決まっとるはずやで。ワシはこれがいちばん怖いことやと思うが、最終的に国家が国民全体を監視するようになるやろう。そりゃあ、国民を思いどおりに操ることができたら楽なことかもしれんが、それはもう国家やのうて刑務所や。もしくは半島にあるどこかの国や。あんなところには誰も住みたないじゃろう。   今は、まだ笑い事で済むかもしれんが、いずれそうなってもおかしくない空気が世の中には流れとるな」  ヤクザには人権なんかないという考え方は警察には都合がいいだろうが、ヤクザも人間だという前提でものを考えないと、警察に都合のいい考え方が拡がり、いつかは一般市民も警察に監視され取り締まられる対象になりかねない。  ヤクザたちは現実に警察という権力と対峙しているから、その危険性が肌でわかるのだろう。今ではあまり聞かれなくなった「国家権力」という言葉は、やがてヤクザだけが使う言葉になるかもしれない。  さて、今週のグランプリは文春のGACKT(39)のスキャンダル。同じものを新潮もやっていて、書き出しは新潮のほうが見事である。 「東の空が白む頃、ヴァンパイアはゴシック建築の城の地下に隠された棺に帰る。現代の東京でも、ある男は夜毎、あやめもわからぬ暗闇の棲家へと帰陣する。近くを流れる滝の音を聞きながら、眠りに落ちる至福の時。傍らには艶やかな四肢を伸ばす美女が横たわる。自らの腕に女の柔肌を抱きつつ、夢の世界へと誘われ……。しかし、その瞬間、まどろむ彼はベッドの上で飛び上がったという。『東京国税局の査察部です。調査を行いますので、ドアを開けてください』」(新潮)  飛び上がったとされるのはGACKTで、ミュージシャンにして俳優活動もするビジュアル系カリスマである。  8月28日、GACKTが所有する東京の閑静な住宅街にある地上4階、地下2階の瀟洒なデザイナーズ・マンションに、マルサを名乗る20名近い男たちが強制捜査に踏み込んだ。  新潮によれば、このマンションにはスポーツジムのようなスペースもあり、寝室には滝が流れ、古代ローマの浴場のような30畳のバスルームもあるそうだ。  彼と寝ていたのは、ICONIQという美人歌手。国税の目的は脱税疑惑。 「メインバンクの取引支店、またGACKT個人の口座がある銀行の支店などにも同時に調査を入れました」(国税関係者)  GACKTの疑惑について、同じ関係者がこう語っている。 「GACKTは震災後、被災者支援の基金を設立し、義援金を募る口座を開きました。しかし、当初は彼がCMキャラクターを務める韓国のオンラインゲーム会社の口座を借り、そこにお金を集めていた。途中からこれが日本の銀行に切り替わり、そこに振り込まれた分の約2億円は日本赤十字に寄付された。しかし、その前に集められたお金が消えて、行方が分からなくなっているという疑惑が囁かれ続けているのです」  GACKTというよりも、彼の個人事務所の社長やファンクラブを運営する会社への疑惑のようだが、そことGACKTとの関連性については、これからの捜査次第のようである。  しかしこのGACKT、税金滞納で東京都から差し押さえをかけられたのは1度ではなく、いくつもやったサイドビジネスもうまくいかず、そのたびにタレント活動でピンチを脱してきたそうだ。  文春によればGACKTは沖縄出身となっているが、本当は滋賀県栗東町(現在は栗東市)で、本名は岡部学。その後、沖縄の母方の祖母の養子になり、大城姓に改名した。彼は顔の整形を繰り返してきたから、いまのGACKTを見て気づく幼なじみはいないそうだ。  なぜそうまでして顔を変え、過去まで消したかったのか? それは独立する際のもめ事が背景にあるというのだが、ここでは省く。  彼は女性関係が多い。10年ほど前にTBS深夜番組『ワンダフル』に出ていたアシスタントガールのE子と付き合うようになり、彼女は妊娠してしまう。  自分のイメージダウンになることを心配したGACKTは、子どもは認知しない、日本から出て行くことを条件に、生活の面倒を見続けているという。  彼女が住んでいるのはカナダのバンクーバーだという情報に、文春記者は現地へ赴く。彼女たちは月の家賃が日本円で40万円は下らないだろうという高級マンションに暮らしていた。  GACKTの知人は、自分と関係した女を海外に住まわせるのはE子が初めてではないと、語っている。 「今度は隠し子までいて、家族総出でカナダ暮らしだから、相当な出費が続いて本人は頭が痛いんじゃないですか。ファンクラブの会員もかつての三分の一ほど。最近はCDもあまり売れてないですから」  内容的には甲乙つけがたいが、整形、愛人、隠し子を見つけ出し、現地まで飛んだ文春に軍配をあげたい。  脱税疑惑はどうなるのか、この2本の記事を読む限り定かではないが、アラフォーの星だったGACKTに降りかかった最大の試練には違いないようである。  蛇足。数週前に芸術としての「女性器」をポストが取り上げ、現代がそれを追いかけている。  今週はポストが袋とじで「芸術としての女性器一挙160個」、現代が「日本女性『外性器の研究』第2弾 1万人にひとりの女性器」をやっている。  だが、こんなにたくさんのモノを見せられ、研究されてもな~という感じである。ワイセツ感などどこにもない。  ヌードもニュースである。ニュースなヌードを見てみたいものだ。 (文=元木昌彦) (文=元木昌彦)
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撮影/佃太平
●元木昌彦(もとき・まさひこ)
1945年11月生まれ。早稲田大学商学部卒業後、講談社入社。90年より「FRIDAY」編集長、92年から97年まで「週刊現代」編集長。99年インターネット・マガジン「Web現代」創刊編集長を経て、06年講談社退社。07年2月から08年6月まで市民参加型メディア「オーマイニュース日本版」(2006年8月28日創刊)で、編集長、代表取締役社長を務める。現「元木オフィス」を主宰して「編集者の学校」を各地で開催、編集プロデュースの他に、上智大学、法政大学、大正大学、明治学院大学などで教鞭を執る。 【著書】 編著「編集者の学校」(編著/講談社/01年)、「日本のルールはすべて編集の現場に詰まっていた」(夏目書房/03年)、「週刊誌編集長」(展望社/06年)、「孤独死ゼロの町づくり」(ダイヤモンド社/08年)、「裁判傍聴マガジン」(イーストプレス/08年)、「競馬必勝放浪記」(祥伝社/09年)、「新版・編集者の学校」(講談社/09年)「週刊誌は死なず」(朝日新聞社/09年)ほか 

大躍進は確定的な橋下徹と大阪維新の会に、週刊誌の評価は真っ二つ!

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「週刊現代」9月15日号
佳作1 「寺川綾『イケメンスイマーと衝撃のキス!』写真」(「フライデー」9月14日号) 佳作2 「誰も批判しない『AKB48前田敦子』卒業バカ騒ぎ」(「週刊新潮」9月6日号) 佳作3 「怒号乱れ飛ぶ『住民説明会』実況中継」(「週刊ポスト」9月14日号) 注目記事 「やっぱりこの国には橋下徹しかいない」(「週刊現代」9月15日号)VS.「橋下徹と寝たい政治家たち『嫉妬と怨嗟で眠れぬ夜』」(「週刊ポスト」9月14日号)  尖閣諸島をめぐって日中関係が緊張している。  文春は「総力特集 韓国・中国を屈服させる方法」で「自衛隊vs.中国人民解放軍『尖閣海戦で日本は中国に圧勝する』」とジャーナリストの古森義久に書かせている(ポストも同様の内容を「『もしいま尖閣沖海戦なら日本が圧勝』の迫真シミュレーション」でやっている)。  古森は大手外交雑誌「フォーリン・ポリシー」9月号に「2012年の日中海戦」と題して、米海軍大学のジェームズ・ホルムス准教授が書いた論文を取り上げ、尖閣をめぐる日中海戦はまず起きないだろうと前置きしてはいるが、中国人民解放軍が尖閣軍事占拠作戦を始めた場合、少なくとも局地戦では日本が勝つだろうという見方を紹介している。  もはや「日中もし戦わば」という危険水域まで入っているようだ。丹羽宇一郎中国大使の車が襲撃され国旗を奪われた事件が起きたが、より深刻な事件が起きたらどうなるのか、心配である。  今週もグランプリに推したい記事にはお目にかからなかった。そこで、いま話題の中心にある橋下徹大阪市長が率いる「大阪維新の会」について取り上げている現代とポストを比較してみたい。 「産経新聞社とFNNの合同世論調査で、橋下徹大阪市長が率いる地域政党『大阪維新の会』が次期衆院選の比例代表投票先として約24%を占め、自民党(22%)、民主党(17%)を抑えてトップに立った」(産経ニュース9月4日より)  文春の「解散目前!総選挙全300選挙区当落予測 ザ・ファイナル」でも、「大阪維新の会」が相当な数を獲得すると予想している。  民主党89、自民党236、国民の生活が第一18、公明党21、日本共産党8、みんなの党33、そして大阪維新の会58。  橋下大阪市長に対する記事は概ね好意的なところが多く、サンデー毎日の「橋下維新と安倍の連携はニッポンを滅ぼす!」のような論調は少数派のようである。  中でも現代は橋下大いに持ち上げ派で、今週もこの男しかいないといい切る。  だが読んでみると意外にも、辛口コメントが多い。  衆議院議員を半減させるという案には、 「定数を半分にしたら、残りのスカスカの人数で衆院の常任委員会や特別委員会を開くことになってしまう。まさに役人天国になってしまう。橋下氏は単なる受け狙いで、何も考えずにただブチ上げたのだろう」(自民党山口俊一総務会長代理)  また、こういう書き方もしている。 「自党の若手・中堅代議士が維新の会に擦り寄っていくのを見て、既存政党のベテラン議員からは、『維新の会は落選候補者の救命ボート』などと、揶揄する声も上がる」  さらに、橋下の過去の発言を取り上げている。タレント弁護士時代、テレビでこんな発言をしている。 「日本の一番情けないところは、単独で戦争ができないことだ」 「徴兵制には賛成」 「アメリカの核の傘に入っているから日本は(アメリカに)抗議できない。日本も核兵器を持つべき」  もちろん現代は橋下のフォローをしているが、衆議院議員を半数にしなくても、救命ボートに乗った議員と素人同然の維新チルドレン議員が多数生まれれば、民主党の政権交代時よりも役人頼みが多くなり、官僚支配が強くなること間違いないはずである。  ましてや万が一にも橋下総理誕生となれば、憲法改正、徴兵制、核兵器を持てとなるかもしれない。  一方のポストは冷ややかに橋下大阪市長に擦り寄る政治家たちを見ている。  「大阪維新の会」に入ろうと野心満々の民主党・松野頼久元官房副長官や自民党・松浪建太を新人ホステスと呼び、松野はTPP強硬反対派で松浪は消費税増税法案に賛成した増税派なのに、TPP加盟賛成、増税反対の「大阪維新の会」に媚びを売るのは、 「要するに、政治家にとって政策は衣装。橋下氏が望むなら、どんなコスプレでも厭わないというわけだ。そもそも、安倍氏にしても、大の原発推進派で消費税増税賛成と、橋下氏と政策は全く逆方向なのである」  さらに橋下が敬愛する石原慎太郎都知事の息子・伸晃が8月初めに橋下と会談したが、 「こちらはチーママが大女将のコネで若旦那に『どうか私を選んでおくんなまし』としなをつくっているかのよう」  と茶化す。  したがって、絶対裏切らないのは石原都知事だけで、橋下が「役に立たないと判断すれば、躊躇なく伸晃を切り捨てるはずです」と、石原と橋下をよく知る人間にいわせている。  「大阪維新の会」は衆院選までに400人規模の候補者を擁立するといわれる。  ブームに惑わされることなく、候補者を見極めて一票を投じなければ、民主党よりもひどい政治になりかねない。なにしろ橋下大阪市長以外の候補者たちについては、われわれは何も情報を持っていないのだから。  佳作3は、8月27日に大阪・西成区の区民センターで開かれた「西成特区構想を考えるシンポジウム」の様子を伝えたポストの記事。  西成を変えることが大阪を変える第一歩と位置づける橋下大阪市長にとって、改革の重点地域である。  この日は市特別顧問の鈴木亘学習院大学教授らが特区の方向性を説明し、住民とのディスカッションが行われた。600人の会場に650人が詰めかけ、怒号が飛び交ったという。 「あいりん地区の簡易宿舎をゲストハウスエリアとして国際観光の拠点にする? そんなトコに外人が来るかい!」 「人口が減少して保護費の出費が減っていくっていうのは、人(受給者)が死ぬのを待つわけかッ?」 「一貫校もええが、通学路問題はどうするねん。小学校の校門前で朝からエロ本が売られとるんやで。買いに来るおっさんと子供たちが一緒に歩いとるのを知ってまっか」  治安問題では、鈴木教授が「警察は協力的」だというと、 「アンタのような偉い先生には紳士的やろが、ワシらにはボロクソや。通報しても何もしてくれん。自転車泥棒を捕まえるくらいしか能がないで」  と手厳しい。  生活保護受給者が4人に1人という現状は放置できるものではないが、だからといって、いきなり国際観光の拠点というのは飛躍しすぎであろう。  石原都知事が好きな橋下市長だから、新宿歌舞伎町浄化のケースを考えているのかもしれないが、そのおかげでどれだけ歌舞伎町がつまらない街になったか、一度見に来たらいい。  この記事はワイドの1本だが、こうした情報は他のメディアではやらないから、極上の週刊誌ネタだと思うのだが。  佳作の2位は、AKB48前田敦子の“卒業”を重大ニュースの如く扱ったメディアを批判した新潮の記事。  8月24日から3日間、AKB48は東京ドーム公演を開催し、27日には秋葉原AKB48劇場で前田の「卒業記念公演」が行われた。 「この期間、新聞・テレビ・雑誌の各メディアは、完全にAKB側にコントロールされていたといっても過言ではない。スポーツ紙は言うに及ばず、AKBを創刊135周年記念のイメージキャラクターに起用し、ドーム公演も特別後援している読売新聞をはじめ、朝日・毎日・産経から日経まで、全国紙は軒並み“あっちゃん”の動向を報じてきたのだ」(新潮)  雑誌はもっとひどい。秋葉原の改札を抜けると、至る所に前田のポスターが貼られていたのだ。  新潮は、ご丁寧にもその数を数えた。ちなみにこのポスターを貼るにはJR側に1枚あたり7万円を払わなくてはいけない。  集英社が38枚、講談社が20枚、文藝春秋が3枚、朝日新聞出版とマガジンハウス、日経BPが1枚ずつ、キングレコードが7枚だそうである。 「常日頃、彼らが口癖のように唱えている『批判精神』、あるいは『編集権の独立』といったお題目は、ここでは用を成さない。これでは、たかだか独り立ちする程度でから騒ぎを引き起こす無芸アイドルに、茶々を入れるわけにもいくまい」(新潮)  文春は「AKB48『仰天組閣』ウラ事情」をやっているが、内容的にどうということはない。  宮澤佐江と鈴木まりやが上海で発足するSNH48へ、高城亜樹と仲川遥香がジャカルタのJKT48へ移るそうだ。  これ以上AKBのまがい物をつくってどうするのかと思うのだが、それが秋元康戦略なんだろう。  最後にわざわざこう書いている。 「小誌は今後もガチですので、よろしくお願いします」  これからもAKB48のスキャンダルを追いかけるという決意表明なのだろうか。「御用メディア」に成り下がらないように、文春さん、気張ってな。  佳作の1位は、フライデーが掲載した美しすぎるアスリート・寺川綾(27)とイケメンスイマーとの「衝撃のキス!」。  ロンドンオリンピックの背泳ぎで2個の銅メダルを獲得した寺川は、日本の代表の中で一番輝いたアスリートといってもいいだろう。  帰国してからも多忙を極めているらしい。  その彼女が、しばらく前らしいが、飲み会の集合写真に写っている。ところがよく見ると、みんながピースサインを出しているのに、彼女は隣の男に「チュ!」しているではないか。  別のツーショット写真は、ホテルの部屋とおぼしきベッドの上で仲良く寄り添っている。もう一枚は、沖縄旅行をした際に撮られたのではないかと書いてあるが、沖縄そば屋で二人ともニッコリ笑って写っている。  男の名は細川大輔(30)。100メートルと200メートル自由形の元日本記録保持者で、いまは引退して、北島康介が主宰するスイミングクラブ「KITAJIMAQUATICS」でチーフインストラクターをやっているそうだ。 「寺川と細川の二人の交際は関係者の間では周知の事実でした。その後、別れたという話は、聞いていません。むしろ、来春には結婚するのでは、という話しも聞きましたが……」(寺川と親しい水泳関係者)  二人に直撃しているが、決定的なコメントはとれていない。だが、いい交際をしているという雰囲気ではある。  フライデーは「スクープ連弾2」として、女子バレーのエース木村沙織(26)がスカイツリーデートをした相手とのツーショットも掲載している。相手は男子バレー日本代表の米山裕太(28)。  中目黒の高級焼き肉屋から出てきた二人。木村のホットパンツから伸びている美脚が素晴らしい。一見の価値あり。 (文=元木昌彦)
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撮影/佃太平
●元木昌彦(もとき・まさひこ)
1945年11月生まれ。早稲田大学商学部卒業後、講談社入社。90年より「FRIDAY」編集長、92年から97年まで「週刊現代」編集長。99年インターネット・マガジン「Web現代」創刊編集長を経て、06年講談社退社。07年2月から08年6月まで市民参加型メディア「オーマイニュース日本版」(2006年8月28日創刊)で、編集長、代表取締役社長を務める。現「元木オフィス」を主宰して「編集者の学校」を各地で開催、編集プロデュースの他に、上智大学、法政大学、大正大学、明治学院大学などで教鞭を執る。 【著書】 編著「編集者の学校」(編著/講談社/01年)、「日本のルールはすべて編集の現場に詰まっていた」(夏目書房/03年)、「週刊誌編集長」(展望社/06年)、「孤独死ゼロの町づくり」(ダイヤモンド社/08年)、「裁判傍聴マガジン」(イーストプレス/08年)、「競馬必勝放浪記」(祥伝社/09年)、「新版・編集者の学校」(講談社/09年)「週刊誌は死なず」(朝日新聞社/09年)ほか 

拉致問題解決は間近!? 金正恩第一書記が日本政府へメッセージ?

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「週刊現代」9月8日号
優秀作 「世界的スクープ! 金正恩『単独会見』4時間」(「週刊現代」9月8日号) 佳作 「領土に侵略者!『野田総理』尖閣に立つべし」(「週刊新潮」8月30日号) 佳作 「読売新聞『取材メモ誤送信』ネタ元警察官は自殺未遂していた!」(「週刊文春」8月30日号) 次点 「急進的反原発に染まりかけた元首相夫人『安倍昭恵』」(「週刊新潮」8月30日号)  夏バテのせいか、週刊誌にも疲れが見える。中でも連続スクープを連発してきた文春にその色が濃い。今週の売り物は「主犯格は大物女優の娘【いじめ】青学中等部『セレブ子女』」だが、文春らしくない記事である。  いじめ事件が起きたのは、今年の5月下旬だそうである。保護者の一人がこう語る。 「二年生のA子さんが、数人のいじめグループによって、校内のトイレに追い込まれた。加害生徒は同級生の女子四人と男子二人。女子四人は直接手を下さず、“実行犯”の男子生徒に、いじめの指示をしていたらしい。男子はトイレの個室に無理矢理入り込み、白無地のブラウスにスカート姿のA子さんの衣服を剥ぎ取り、その様子を携帯電話のカメラで撮影したのです」  A子はこのことを父親に話し、激怒した父親が学校に怒鳴り込んで事態が明るみに出てしまった。ここまではいいのだが、それから後がいけない。「首謀者の一人はB子。あの○○さん(大物女優の実名)の娘です」というのだが、この女優が誰なのかさっぱりわからない。  もちろん、それがわかれば生徒たちのプライバシーに関わるから、配慮したのはわからないでもないが、読んでいて面白くない。これなら大物女優の実名を出して、娘の素行はボカして書けなかったものだろうか。  今週も「原色美女図鑑」でAKB48をやっているのも文春らしくない。東京ドーム公演の公式ムックを取れたことがそんなにうれしいのかね。  今週はそのようなわけで、グランプリ該当作が見当たらないので、優秀作と佳作、次点を選んでみた。  次点になったのは新潮の安倍元首相の妻の記事。これは現代でもやっているが、新潮のほうが短くピリッとしていていい。  夫の安倍晋三元首相は橋下徹大阪市長から組まないかと誘われているそうで、ご機嫌がいいようだが、その妻アッキーこと昭恵夫人が、山口県知事選に出馬した反原発の旗手・飯田哲也環境エネルギー政策研究所長と親交があるというのだ。  彼女は新潮のインタビューで、彼の講演会に行って、原発システムの在り方について疑問を抱くようになったと答えている。上関原発の建設予定地の祝島で、島中が建設阻止の反対運動を続けているが、そこへも行ってきたという。さすがに行くときは亭主から反対されたようだが、押し切ったそうである。  彼女は大学院で学び直して修士課程を終えた。修士論文のテーマはミャンマーでの寺子屋教育で、お金がなくて学校に通えない子どもたちの支援も続けている。震災以降は自給自足の生活を目指して、無農薬稲作も手がけているそうだ。  ウルトラ保守の星・安倍元首相も原発推進、憲法改正なんて言っていると、小沢一郎のように、自立した妻から三行半を突き付けられないとも限らないぞ。  佳作の文春の記事は、今の大新聞のお粗末さを浮き彫りにしていて興味深い。  読売新聞西武本社社会部記者が、福岡県警の暴力団捜査について取材した内容を、他社の記者たちに誤送信していた“事件”は、なんともお粗末である。  そこには、県警の東署警部補が暴力団関係者から、捜査上の便宜を図った見返りに現金を受け取っていたという情報が書いてあった。記者は慌てて受信者全員にメールを送信して削除と情報が漏れないように依頼し、社会部長にも報告していた。だが、読売新聞は翌日、その取材メモの内容を元に朝刊一面トップに記事を掲載してしまうのだ。 「『取材源の秘匿』を大原則にすれば、あり得ない判断である」(文春)  他社もやむなく読売の記事の後追いを始め、取材源として県警警務部監察室のX警視の名が浮上してきた。そしてX警視は自殺を図った。幸い一命はとりとめたが、捜査中の情報を漏らしたという警察内部の非難の目に耐えられなかったのであろう。  取材源を守るというジャーナリストとして最低限度のことさえ、今の新聞は忘れかけているようだ。  竹島、尖閣諸島をめぐって緊張が増している。週刊誌を読んでいるといつ戦争が起きても不思議ではない雰囲気である。中でも、この手のものでは「老舗」の強みを発揮しているのが文春と新潮である。  新潮は、タイトルは「尖閣」だが、もちろん中国だけではなく韓国にも言及している。  両誌を読んで感じるのは、韓国に対して厳しい論調が目立つようだ。文春は李明博大統領の肉親や側近20人が逮捕されていて、彼が大統領の座を退けば50%の確率で逮捕されるのではないかとこき下ろしている。  私は不勉強だから、尖閣諸島と竹島をめぐってなぜこのように対立が深まるのかよく理解できなかったが、新潮がこの素朴な疑問に答えてくれているので、こちらを佳作とした。  先日の野田佳彦首相の記者会見でも同様のことが述べられていたが、ときの首相が国民に説明するのは珍しいことのようだ。  江戸時代から日本人は尖閣諸島を利用していた。最盛期には200人を超す定住者がおり、1895年に明治政府は「これらの島々が他国に属していないことを慎重に確かめた上で日本の領土として編入」(新潮)したのだが、1968年に尖閣諸島の近海に石油が埋蔵されている可能性が指摘され、71年になって中国と台湾が領有権を主張し始めたというのだ。  一方、竹島は1905年に「明治政府が、尖閣諸島と同様に、周辺諸国の占有がなされていないと判断した上で閣議決定により島根県に帰属する官有地として実効支配を始めた」(新潮)とある。  これを見ると、尖閣諸島はともかく竹島のほうは「日本固有の領土」とするにはやや根拠が弱い気がする。そのためか、韓国は李承晩大統領のときに「李承晩ライン」なる境界線を引いて韓国領土に組み入れ、以降警備兵を常駐させるなどして「実効支配」を続けている。  この中で、中国問題に詳しい平松茂雄は「近代社会では国際法に則った実効支配が問題」で、尖閣諸島は日本の領土にし、日本が実効支配しているから問題ないとしているが、「国際法に則っている」かは疑問視されるが、竹島は韓国が現在では「実効支配」しているのだから、ややこしいことになるようだ。  ロシアのメドベージェフが大統領だった2年前に北方領土を訪問した。行く前に中国の胡錦涛国家主席と会い、領土問題について支持し合うという連携ができたと解説するのは中西輝政京都大学名誉教授。韓国はそれを見ていて、李大統領が「今だ」と竹島に上陸したのだと読む。  竹島に李大統領が上陸したことも日本側の反発を招いたが、その後の、「(天皇は)韓国を訪問したがっているが、独立運動で亡くなった方々を訪ね、心から謝るなら来なさいと(日本側に)言った」発言は、私のような自称リベラル派でも怒り心頭であった。  いくら支持率が落ちているからとはいえ、言っていいことと悪いことをわきまえるべきであろう。中国はもちろんだが、韓国と日本の溝は長く深い。私が最初に韓国を訪れたのは40年ほど前になるが、そのとき向こうの政府高官が、秀吉と加藤清正の朝鮮出兵によって韓国の歴史的建造物や重要な文書が焼かれたことを、つい昨日の如く怒り、私に食って掛かってきたことを思い出す。事の本質は領土問題ではなく、日韓双方の国民の中に根強くある嫌悪の情であろう。  ちなみに文春の中の首都大学東京鄭大均教授の「韓国被害者アイデンティティには未来がない」を引用してみたい。 「ほぼすべての韓国人には日本に対する敵意や憎悪が自明で本質的な感情になるという準備のようなものがあって、それは彼らの韓国人としての体験と分かちがたく結びついている。  韓国で韓国人として生きるものは、日本に対する敵意や憎悪がその心や身体に思考や感情のパターンとして刷り込まれるという体験から自由ではいられない。韓国人はその社会化の過程で、国家との一体感のようなものを早くから学ぶと同時に、反日の刷り込みもおこなわれる。  韓国では小学生の子どもでも『独島(日本では竹島=筆者注)はわれらの地』などと本気でいうが、この本気は、テレビの公共広告が毎日流し続けている『独島』の風景につながり、また学校教育における歴史理解の正答に支持され、よく知られた歌の文句に共鳴し、さらには、よく知られた清涼飲料水であるとか、その他の商品の広告宣伝によっても刷り込まれている。(中略)  ある程度の条件、状況が整えば、韓国人は誰しもが反日を実践してしまう。ロンドン五輪でのサッカー選手の行動も、今回の李大統領の言動も、その事例のひとつと考えればよい。(中略)  かつて国交正常化(65年)以後の日韓関係について、韓国研究者の故・田中明氏は『逃げの姿勢でその場をしのいでいこうとする日本』と『そうした日本を逃がすまいと襟首を掴んで要求し糾弾する韓国』と表現した。もう半世紀も続くこの構図を変えることを、私は日韓関係の新しい正常化と考えたい」  長く続いてきた日韓の歴史を冷静に見つめ直し、鄭教授の言うように「この構図を変える」努力を双方が歩み寄ってしなければ、日韓の負の歴史遺産を孫子の代まで残すことになる。今の日本が中国や韓国と付き合わないで生きていけるはずはないのだから。  ところで、シリア北部アレッポで取材中に殺害された山本美香(45)さんの死について触れておきたい。紛争地域へ入るだけでも覚悟がいることなのに、そこで虐げられている弱者の側に立ってカメラを回し、レポートする勇気には頭が下がる。  新聞記者だった父親は「娘は私の背中を見てジャーナリストになったそうだが、もう追い抜いた」とテレビで語っていたが、その通りであろう。それは親としての父を超えたのではない。大新聞にいたジャーナリストの父親を超えたのである。  新聞やテレビの特派員は、赴任している地域に紛争が起きれば、その地からいち早く引き上げてしまう。福島第一原発が爆発を起こした後、南相馬市や飯舘村から日本人記者がいなくなってしまったと、マーティン・ファクラー『ニューヨーク・タイムズ』東京支局長が『「本当のこと」を伝えない日本の新聞』(双葉新書)で書いている。そして、その後の現地報告をするのはフリーのジャーナリストたちである。紛争地域でも福島の高線量の避難区域に入ってルポしたのも彼らであった。  山本さんの志や勇気を評価するのはもちろんだが、そこで終わらせてはいけないと思う。既成メディアの記者たちの勇気のなさやジャーナリスト魂の欠如が指弾されなければならないはずである。自分たちは安全なところにいて、フリーが命懸けでとってくる現場報告や映像を流すだけではジャーナリストを名乗る資格はない。  8月26日付の朝日新聞社説「シリアでの死──山本さんが伝えた危機」の中の末尾にこうある。 「極限の危機に置かれた人々が生きる場に入り、その現実を世界に伝える。ジャーナリズムの重い責務を改めてかみしめる」  自分たちは危険から遠い場所にいて、ジャーナリストはこうあらねばいけないなどと寝言をいうだけの典型的な悪文である。朝日には、死を覚悟して戦地を取材するフリージャーナリストに対して恥ずかしいと思う気持ちが欠如している。  さて、今週の優秀作は現代の金正恩単独会見である。TBSテレビではその模様を8月22日から流しているから、現代の独占ではない。  これは、1982年に北朝鮮に渡って寿司職人となり、その後「金正日ファミリーの専属料理人」を務めた後、日本へ戻った藤本健二(66)が、北朝鮮側の招待で7月21日から8月3日まで平壌に滞在したとき、金正恩第一書記と再会した話である。  始めは北朝鮮からの訪朝要請に驚いたようだ。彼は1989年に20歳年下の有名歌手と金正日将軍の仲人で結婚し、間もなく成人する娘がいるそうだ。幼かった金正恩とよく遊んであげたそうである。  だが、2001年に北朝鮮を出て以来、妻子とは離ればなれである。会いたい気持ちは強いが逡巡していたところ、金正恩第一書記が自筆の手紙をよこし、ようやく決断した。  11年ぶりに見る平壌は「見違えるようでした。人々の表情は明るいし、ファッションはオシャレになっているし、携帯電話をかけたりしている」(藤本)  通称「8番宴会場」と呼ばれる場所で金正恩第一書記と会った。彼は李雪主夫人を従えて待っていた。我を忘れて走り寄り金正恩に抱擁したとき、涙が止めどなく流れたという。その時の様子が写真に撮られている。叔父で金正恩の信頼を得ているといわれる張成沢党行政部長とも親しく挨拶した。  歓迎の宴会は高級ボルドーワインを呑みながら行われた。藤本が持ち込んだマグロを食べ、フカヒレやアワビのご馳走が並んだ。そんな中で、藤本は「正恩王子」に言いたかったことを手紙にしたため、通訳に代読してもらったというのだ。  彼は「拉致問題」という言葉は北朝鮮の幹部たちのプライドを傷つけるため使わなかったが、「正恩王子と再会できるこのチャンスに、拉致問題を早く解決し、日本と国交を結んでほしいとお願いしたのです」(藤本)  金正恩第一書記は肯きながら聞いていた。「私は、正恩王子がすぐに行動を取ることを確信しました」(藤本)。彼は2000年に元山(ウオンサン)の将軍の別荘へ行ったとき、横田めぐみさんらしき女性とバッタリ出会ったのだそうだ。  そうだとすると、横田さんは生きている可能性が十分にある。しかも現在29歳の金正恩には、日本人拉致問題に関してはなんら責任がない。拉致問題を「過去の問題」として精算し、日朝国交正常化を金正恩第一書記の手で成し遂げてほしいという思いからだというのだ。  確かに、藤本が金正恩に手渡した日本文の手紙には、「敬愛する金正恩将軍、お願いです。横田めぐみさんたちを日本に帰国させてあげてください。そうしていただければ、日本との国交正常化や日本から多額の資金を引き出す道も必ず開けると思います」とある。藤本は「正恩王子が、遠からず拉致問題を解決してくれると信じています」と語っている。  今回の彼の訪朝はTBSテレビでも放映されることが事前にわかっていたから、北朝鮮側がそれを利用しない手はないだろう。政治色のない寿司職人・藤本だし、金正恩とは顔なじみで妻子もいるから、入国させる理由はつく。  金正恩に見せる手紙は事前に北の了解を取っているのは間違いない。そうだとすると、藤本を通じた金正恩第一書記の日本政府へのメッセージだと考えてもいいのではないか。  4年ぶりに北朝鮮との政府間協議が8月29日から中国・北京で開催される。このタイミングで出された「朗報」は現実になりうるのかもしれない。そんな期待を抱かせる記事である。もしそうなったら、この記事はテレビと共に世界的なスクープに昇格することは間違いない。 (文=元木昌彦)
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撮影/佃太平
●元木昌彦(もとき・まさひこ)
1945年11月生まれ。早稲田大学商学部卒業後、講談社入社。90年より「FRIDAY」編集長、92年から97年まで「週刊現代」編集長。99年インターネット・マガジン「Web現代」創刊編集長を経て、06年講談社退社。07年2月から08年6月まで市民参加型メディア「オーマイニュース日本版」(2006年8月28日創刊)で、編集長、代表取締役社長を務める。現「元木オフィス」を主宰して「編集者の学校」を各地で開催、編集プロデュースの他に、上智大学、法政大学、大正大学、明治学院大学などで教鞭を執る。 【著書】 編著「編集者の学校」(編著/講談社/01年)、「日本のルールはすべて編集の現場に詰まっていた」(夏目書房/03年)、「週刊誌編集長」(展望社/06年)、「孤独死ゼロの町づくり」(ダイヤモンド社/08年)、「裁判傍聴マガジン」(イーストプレス/08年)、「競馬必勝放浪記」(祥伝社/09年)、「新版・編集者の学校」(講談社/09年)「週刊誌は死なず」(朝日新聞社/09年)ほか 

‟謎の美女”YURI見納めで名物編集長も涙! 今週のポスト・グラビアページは永久保存版

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「週刊ポスト」8月31日号
グランプリ 「ピース綾部34歳『若貴の母 藤田紀子』64歳と!『おかみさん、いま逢いに行きます』」(「週刊ポスト」8月31日号) 第2位 「橋下維新・総選挙候補888人出馬選挙区を公示する」(「週刊ポスト」8月31日号) 第3位 「『謎の美女YURI』に関する編集部からの重大なお知らせ」(「週刊ポスト」8月31日号) 次点 「河野太郎が出馬宣言 総理になって原発ゼロの日本を作る」(「週刊現代」9月1日号)  月刊誌だが「サイゾー」9月号がすこぶる面白い。テーマは「タブーな本」。これまでも何度かやっているが、今回は秀逸だ。「暴力団も関与した!? 芸能人暴露本の“顛末”」では『芸能界本日モ反省ノ色ナシ』(はまの出版)を取り上げているが、これを書いたダン池田はフジテレビの『夜のヒットスタジオ』や『NHK紅白歌合戦』の演奏を担当していた人気指揮者だったが、これを書いたために芸能界から完全に干されてしまった。私も当時の騒動を覚えているが、それだけ内容が衝撃的だった。これだけの暴露本はその後見たことがない。  警視庁公安部から流失した情報を無修正で掲載した『流失「公安テロ情報」全データ』を出した第三書館、新聞の押し紙問題に斬り込んだ『新聞があぶないー新聞販売黒書』を出した花伝社、福島県浪江町の町民が原発立地に反対した軌跡をたどった『原発に子孫の命は売れないー原発ができなかったフクシマ浪江町』を出した七つ森書館など、タブーな本を出し続ける小出版社を紹介している姿勢もいい。  一番引かれたのが、文芸編集者のタブー座談会。編集者がタブーとしている話なのに、作家自らが作品にその事件を連想させる話を書いてしまっている小説として、桐野夏生の『アンボス・ムンドス』(文藝春秋)の中の「怪物たちの夜会」を挙げている。私はこの小説は読んでいないが、女性誌のライターが不倫相手の男の自宅に乗り込んで暴れる話だそうだ。事実、桐生はだいぶ前になるが、講談社の文芸編集者と不倫関係にあり、その間、編集者の自宅に乗り込んで大きなトラブルになったことがある。  相手の編集者はその後亡くなってしまったが、われわれ講談社OBにとっても忘れられない“事件”であった。桐生はしばらく前に『IN』(集英社)という小説で、不倫の全容を自ら詳細に書いている。そういう意味で桐生は、すごい作家である。  夫からのDVで離婚した島本理生がDVをテーマにした『大きな熊が来る前に、おやすみ』(新潮社)を書いたり、連載中に自分の妻が死んだ石田衣良が、妻の事故死を自殺ではないかと疑う小説家を主人公にした『チッチと子』(毎日新聞社)を書いたりするのも、作家の「業」とでもいうべきものなのだろう。 「噂の眞相」が休刊した後、作家や出版社の裏話を書く雑誌がなくなってしまった。そういう意味でもサイゾーには、もっとこの分野に斬り込んでもらいたいと期待している。  さて今週は文春、新潮が合併号でお休みだから、ポスト、現代、朝日の三誌から選んでみた。結果は見ていただけばわかるように、ポストの圧勝である。  残念ながら、朝日は取り上げるべきものは何もない。このところ低調気味の朝日だが、この業界ではつまらない誌面が4週続くと読者は離れてしまうといわれている。奮起を促したい。  現代もお寒い誌面である。「待ってました、解散総選挙 これが『橋下新党』の全貌だ!」と、橋下徹大阪市長に肩入れするのはいいが、「はっきり言えば、橋下氏は大阪市民・府民に土下座してでも、次期衆院選には自ら出馬すべきだろう」と誌面でけしかけるのはいかがなものだろう。これでは民主党が「政権交代」というお題目だけで政権を奪取したが、政党の体をなしていないお粗末さで自壊したことの繰り返しになりはしないか。「橋本になれば何かが変わる」という甘い期待だけで橋下新党ができたとしても、寄せ集めの素人集団では民主党の二の舞になるのは明らかであろう。    今のメディアに求められるのは、橋下市長が目指す「国づくり」が、国民のためになるのかどうか、徹底的に取材して冷静な分析データを読者に提供すべきときであろう。  次点には自民党の河野太郎が次の総裁選へ参戦すると表明した記事である。    この人のオヤジさん河野洋平はみんなから好かれて御輿に担ぎ上げられたが、息子はものの言い方が直截すぎるのか、周りに人を集めない損な性格のように見える。だが、彼の徹底した反原発の姿勢は買う。今回の長老支配への挑戦などどうでもいい。「原発は放棄します」「東京電力は徹底的に解体します」「消費税は全額年金に充てます」「文科省を解体します」という公約ははっきりしていていい。  私がアドバイスするなら、オヤジの河野洋平が自民党の金権体質を批判して飛び出し、「新自由クラブ」をつくってブームを起こしたように、今こそ自民党などという旧態然としたところを飛び出し、この公約を旗印に仲間を集めて衆院選に臨むのがいいと思う。そのときどれだけの人が集まってくるのかで、この人の器量がわかる。直情径行型で人望のない河野だが、一世一代の賭に出れば、オヤジさん同様、公約に賛同してかなりの人が集まるかもしれない。自民党は腐蝕が進みすぎて組織内からの改革は不可能だと、私は思うからだ。  3位からグランプリまでポストが完全制覇である。第3位は「『謎の美女YURI』に関する編集部からの重大なお知らせ」という、いささか気を引くタイトルの巻頭カラーグラビア。  名前も年齢も国籍さえもわからない謎の「YURI」なる美女が、ポストのグラビアに登場してだいぶたつ。なんとなく、いいところのお嬢さんを思わせる品のいい容姿と、彼女が見せる大胆なセクシーポーズは、ポストを読む大きな楽しみだった。  今週も薄汚れた畳の部屋でポーズをとる写真で始まって、畳の上にほとんど全裸に近い姿で横たわるセクシーな彼女がとてもいい。ツンと尖っている乳首が愛おしい。彼女の写真には男の影がない。全裸で外したブラジャーをじっと見つめる彼女には、情事の後といった雰囲気がないのだ。なんとも不思議な透明感をもった女性である。  グラビアの最後にこう書いてある。 「謎の美女YURIに大変多くのご支持ご反響を頂き、厚くお礼を申し上げます。そのような中、突然ではございますが、本人からの申し出により今回をもってYURIの登場を最後とさせていただくことになりました。皆様から頂きました熱い声をお伝えし、強く慰留はいたしました。ですが、彼女の決断は揺るぎなく、しかも理由もわかりません。最後まで謎でした」  肌を合わせ、よく知っているはずだった女が突然、理由もわからず急に自分のもとから去っていってしまった。そんな気にさせる、不思議で魅力的な女の子だった。惜しいけど、サヨウナラYURI。  ポストは先週号で橋下市長がやっている「維新塾」888人の名簿を入手して公開した。だが私は、そこで終わってはなんのための公開だったのかと疑問を呈した。そこでポストは今週、名前がわかった888人の住所を基に選挙区別に並べて「888人の選挙区を公示する」と第2弾をやってきた。これが今週の第2位。  こうして見てみると、「維新塾」が意識的に塾生を全国から満遍なく集めていることがよくわかる。 「リストを見て驚くのは、“維新候補”が山形と高知、宮崎を除く44都道府県に散らばっていることだ。選挙区にして300小選挙区中、215区。地域政党という性格上、関西圏に約半数の塾生が集中しているが、それでも維新への参加者が全国的な広がりをもっていることは注目に値する。  また、選挙区を知る“即戦力候補者”といえる地方議員や議員秘書が100人以上いることも既成政党にとっては脅威だろう」(ポスト)  橋下市長は「200議席を獲得して政権奪取」を目標に掲げているが、自民党保守派の安倍晋三元首相と教育問題や憲法改正などで政策合意したといわれる。橋下新党の方向が見えてきたようだ。既成政党対橋下新党という対立ではなく、既成政党対ウルトラ保守・橋下新党連合ととらえなければいけない。これでは仮に橋下徹政権ができたとしても、「国民の生活が一番」という政治ではなく、よりコンサバティブで国民監視を強める政府ができるでのではないのか。  日本人は唯一の原爆被爆国なのに、世界有数の原発推進国になったように、歴史を忘れ去ってしまう国民である。「郵政民営化イエスかノーか」「政権交代」という謳い文句だけで大量の賛成票を投じ、いまの惨状を招いてしまった。一地方政治で、しかも何も結果を出していない首長への「期待感」だけに、明日の日本を賭けるのはやめたほうがいい。小泉政治、民主党政治と同じことになるだけである。  さて今週のグランプリ。張り込みネタとしては小粒だが、取り合わせが面白い。 「ピース」の綾部祐二(34)は、レギュラー番組を週10本抱え、芸能界でいま最も輝いている芸人だそうである。背は165センチ程とやや小柄だが、彼の強味はジャニーズ系アイドル顔負けのルックス。その綾部が人目を避けて逢瀬を続ける熟女がいるというのだ。   きっかけは綾部が芸人仲間に漏らしたこんな言葉だった。彼と親しい芸人がこう話す。 「綾部のヤツ、藤田紀子さんの自宅に行って何度か関係を持ったっていうんです。嘘にしては話のディテールが詳しすぎる。“部屋に若貴の写真が飾って、その前でエッチするのは興奮した”とか、“夜中に会いたいって電話があった”とか、“元おかみさんだけあって手料理はすごく旨い”とか‥‥‥。これは本当だと確信しました」  綾部が「いま逢いに行きます」とご執心の相手は、年の差実に30歳、若乃花(41)、貴乃花(40)の母親・藤田紀子(64)だというのである。  ポストも最初はダメモトぐらいの軽いノリで取材を始めたらしい。    まずは紀子の自宅マンションを張り込んだ。すると8月某日夜10時頃、マンションのインターフォンを鳴らす若い男が現れたのだ。軽くウェーブがかかった黒髪に黒縁メガネ、165センチ前後の身長、流行の7分丈のパンツ。情報通りにあの綾部が現れたのである。  母子以上年の離れたカップルの恋は燃え上がっているのか? ポストは早速、紀子に直撃する。  記者に綾部と親しく付き合っているかと聞かれ、 「え? ウソよ。あの方とは一度番組で共演しただけですよ。親密なんてウソよ、ウソ」  と否定したが、食事したことはあるのかと聞かれて、 「食事? どこで? 外で? したことありませんよ。第一、私もあの方も飲めないじゃないですか」  と答え、食事したことがないのになぜ飲めないことを知っているのかと突っ込まれ、ドギマギする。自宅に招いたことがあるのではないかと聞かれ、「そんなことはありえません」と答えたが、綾部がマンションの前にいる写真を見せられるとシドロモドロになり、 「他のお家に行かれたんじゃないかしら……」  綾部はあなたのタイプかと聞かれて、 「ちょっと待ってくださいよ。困りますよぉ。ウフ、ウフフフ。私じゃなくて、綾部さんがなんて言ってるか聞いてみて。ウフフ」  女はいくつになっても女。なんとも初々しい受け答えである。  今度は綾部に直撃。こちらは真剣さがうかがえる返答である。 「僕はこれまで何度も40代、50代の方とお話ししたり食事に行ってきたりしました。その中でも彼女だけは特別です。綺麗すぎる。美しすぎる。僕は大の熟女好きで、それをテレビなどでも公言しています。だけど、熟女好きじゃない男が見たって、彼女のことは綺麗だと思うでしょ。実年齢を聞いてもまったく信じられない。僕があの人と会うのは、ビジネスのためとか、ネタ作りのためとか、まったくそんなんじゃないんです! 彼女からは“私のこと好きだなんて、ネタでいってるんでしょ?”って聞かれることもある。でも、そんなわけないじゃないですか!」  紀子とは遊びじゃないかと聞かれ、 「遊びっていうのも、遊びじゃないっていうのもおかしいでしょ(笑い)。いや、本当に仲良くさせてもらってるだけで、それが若いお笑い芸人と遊んでて何なんだ、となっちゃうと申し訳ないと思うけど」  歯切れは悪いが、年上の恋人を気遣い続けたとポストは結んでいる。この恋が実を結べば芸能界初の「逆年の差婚・金メダル」になることは間違いない。   (文=元木昌彦)
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撮影/佃太平
●元木昌彦(もとき・まさひこ)
1945年11月生まれ。早稲田大学商学部卒業後、講談社入社。90年より「FRIDAY」編集長、92年から97年まで「週刊現代」編集長。99年インターネット・マガジン「Web現代」創刊編集長を経て、06年講談社退社。07年2月から08年6月まで市民参加型メディア「オーマイニュース日本版」(2006年8月28日創刊)で、編集長、代表取締役社長を務める。現「元木オフィス」を主宰して「編集者の学校」を各地で開催、編集プロデュースの他に、上智大学、法政大学、大正大学、明治学院大学などで教鞭を執る。 【著書】 編著「編集者の学校」(編著/講談社/01年)、「日本のルールはすべて編集の現場に詰まっていた」(夏目書房/03年)、「週刊誌編集長」(展望社/06年)、「孤独死ゼロの町づくり」(ダイヤモンド社/08年)、「裁判傍聴マガジン」(イーストプレス/08年)、「競馬必勝放浪記」(祥伝社/09年)、「新版・編集者の学校」(講談社/09年)「週刊誌は死なず」(朝日新聞社/09年)ほか