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ソニーがiTunesに音楽配信、でレコチョク大炎上? - Business Journal(7月18日)

「レコチョクHP」より
「ソニーがiTunes Storeで音楽を配信する」
というニュースが流れたのは、7月2日のことだ。事の発端は、日経新聞Web刊が速報カテゴリで「ソニー、アップルに楽曲配信 販売増へ戦略転換」という見出しの記事を掲載したことだった。この見出しを見る限り、ソニー・ミュージックエンタテインメント(以下、ソニー)がついに、これまでの独自路線を廃してiTunes Storeに楽曲を配信するという、とてつもないビッグニュースのように見える。実際、そのタイトルに誰もが驚いた。
しかし、事実はまったく違っていた。記事本文を読むと、ソニーがこれまでの戦略を全面的に方向転換したのではなく、ソニーが出資している「レコチョク」という音楽配信サービスを利用できるiPhone、iPad向けアプリを、アップルのiTunes Storeで配布(無料)するというものだった。
ソニーは日経報道で、とんだとばっちり?
しかもこの日経の記事は有料であり、会員でないと全文が読めないのもまずかった。最初の部分だけプレビューされているが、それだけでは内容がわからない。「大々的にソニーがiTunes Storeで音楽を配信する」と早合点したユーザが、騒ぎ始めたところ、「それは違う」ということがネットなどで広まり、一気にネット上でソニー批判へと発展したのだ。翌日のTwitterやFacebookのタイムラインはこのニュースで賑わいを見せ、さまざまな論争に発展することも少なくなかった。
しかし、最も大変な事態になったのは、iTunes Storeの「レコチョクPlus+」販売ページのカスタマーレビューだ。ちなみに「レコチョクPlus+」はレコチョク会員向けのアプリで自分が購入した曲を、iPhoneやiPadで聞けるようにする音楽プレーヤーアプリであり、「ソニーがiTunes Storeで音楽配信をする」ということではない。

炎上した「レコチョクPlus+」のカスタマーレビュー
カスタマーレビューには、7月13日の時点で162件ものソニーを批判する内容のコメントが大量に並び、大炎上状態となっている。もちろん、ほとんどのコメントは★1つであり、
「SONY潰れろ」
「サイアク」
「最低だね」
「さよなら、SONY」
など、辛辣なメッセージが並んでいる。本来は、アプリの評価のためにあるレビューコーナーがまったく機能しておらず、こうなるともう、お手上げの状態だ。
ソニーのかたくなな姿勢に、ユーザは不満
これまで、ソニーはかたくなにiTunes Storeへの参加を拒み、マイケル・ジャクソンやセリーヌ・ディオンなど一部のアーティストを除いて、同社の音楽がiTunes Storeで購入できない状態が続いている。日本のレーベルで、iTunes Storeに参加していないのはソニーだけだ。これが、日本のiTunes Storeにおける大きな問題となって久しい。
iTunes Storeはいうまでもなく、世界最大の音楽配信システムだ。このサービスは2003年4月にアメリカでiTunes Music Storeとして開始され、最近では6月に香港、シンガポール、台湾、ブルネイ、カンボジア、ラオス、マカオ、マレーシア、フィリピン、タイ、スリランカ、ベトナムでも開始。世界合計155カ国で利用されているという、一大プラットフォームに成長している。どう考えてもソニーが太刀打ちできる相手ではない。
これが、ソニーが対抗しているiTunes Storeのリアルな姿であり、まさに音楽配信の巨人だ。だが、対抗する相手がどうであれ、ソニーはあくまで、独自路線を捨てるつもりはないようだ。ソニーは独自の「ミュージックアンリミテッド」という音楽配信サービスを7月からスタート。あくまで、iTunes Storeに対抗してビジネス展開を行う考えであり、iTunes Storeとの対抗路線を明確に打ち出している。
小室哲哉氏もTwitterで疑問を呈す
だが、そのことがミュージシャン、ユーザにとってメリットとなるのだろうか? ソニーがiTunes Storeに参加しないことについて、元ソニー所属アーティストである小室哲哉氏は、5月1日、Twitterで20万人のフォロワーに向けて「日本だけSONYブランドの曲がiTMSに置いてないのは変じゃないですか?」とツイートし、話題となった。このツイートは現在削除されているが、関連するツイートはそのまま残されている。

小室哲哉氏のソニー批判ツイート
このようなミュージシャン、ユーザの声は決して少なくはない。ユーザにとってみれば、音楽レーベルの問題などまったく関係はない。自分の好きな曲が自由にiTunes Storeで購入できることが一番である。レコチョクアプリのレビュー炎上は、「ソニーがiTunes Storeに楽曲を提供してほしい」と願う人々が、これほど多いということの一端を示す事件であろう。
もちろん、そこに書かれている言葉は辛辣であり、ソニーに対するあからさまな批判であるが、逆に、それらのメッセージは、ソニーに対し門戸開放を望む、希望の表れであるようにも見える。
そのような想いに、ソニーは応えていくつもりはあるのだろうか?
それとも、独自の音楽配信サービスを発展させ、iTunes Storeとの対抗色を一層強めていこうとしているのだろうか?
引き続き、動向を見守りたい。
(文=池田冬彦)
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