大阪市職員覆面座談会「橋下市長、残業なんてできませんよ〜」

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「週刊スパ」(扶桑社/2月28日号)
「住民や地域コミュニティーの声を適切に反映した行政を目指す」 との掛け声のもと、橋下徹大阪市長肝いりの施策、同市公募区長選考が終了。6月21日、最終合格者である24新区長の顔ぶれが発表された。  彼ら新区長は、民間からの登用が18名、職員からの登用が6名と、大方の予想通り、民間からの登用者が多数を占めたものだった。しかし、見方を変えれば、実に4分の1は市職員である。  政治主導を推し進める橋下市長のわりには、市職員からの登用が多く、橋下市長を支持する選挙民の中には、どこか物足りなさを感じた人も少なくはないだろう。  事実、市職員の中でも、今回の人事は「24区長全員を外部からの登用者で固めるものと思っていた」(大阪市職員)という声があったように、意外感をもって迎えられたようだ。しかし数人の市職員に話を聞くと、異口同音に次のように話す。 「6名の職員出身の新区長のつく区長ポストと人となりを見れば、『合区【編註:区と区の合併】』シフトであることは明白」 「大阪都構想」を掲げ、橋下市長が推し進める大阪府・大阪市の合併は、行政のスリム化、スピーディ化を目指したものだ。  まずはそのモデルケースとして、橋下市長のお膝元である大阪市において、市内各区を合併(合区)、大阪市行政のスリム化を図ろうという意図が、今回の新区長人事から透けて見えるという。  そんな大阪市の現状について、現役の市職員はどのように見ているのだろうか?  そこで今回、3人の職員に、日頃のうっぷんを晴らすべく、大いに語ってもらった。 市職員出身区長は"捨て駒" ――今回の公募区長人事について、区の合併を目的とした「合区」シフトであることは明白だと、皆さんの同僚からお伺いしています。やはり皆さんも、そう思われますか? Aさん(以下、A) 今回、職員から区長ポストに就いた地区は、港、大正、東淀川、生野、住之江、平野の6区。これらの区は、橋下市長が推し進める行政のスリム化を目指し、合区を目指しているとされるところばかり。合区が実現すれば職員出身の区長は"用済み"なので、市長はあえて職員を登用したのだろうというのは、職員なら誰でもわかる。 Bさん(以下、B) 特に淀川区長から東淀川区長に横滑りした金谷一郎区長の人事を見ると、市長の職員への姿勢がよくわかる。東淀川区は合区対象であると同時に、いわゆる同和地区も抱えており、市営住宅も多い。簡単に言えば「ややこしい地域」の区長には、職員を充てているとの印象が強い。 Cさん(以下、C) 東淀川区は淀川区と、生野区は東成区とそれぞれ合併される予定だというのは明白。ほかには、どういう区分けになるかわからないが、平野区は、東住吉区か生野区と一緒になり、「東成区」に。住之江区と大正区は、西成区との合区が考えられる。また、港区は此花区と合区する可能性がある。 橋下市長に協力的な職員なんていない ――市職員から区長職に就いた6人のうち、港区長、大正区長、平野区長はそのまま留任しています。橋下市政に協力的で、市長の覚えめでたい方々なのでしょうか? A そんなことはない。そもそも市長に協力的な職員なんて誰もいない。皆、面従腹背を決め込んでいるだけ。もっとも、職員から請われて区長公募に応募した区長はいる。 B 区長公募後もそのまま留任した港、大正、平野の3区は、行政上の課題が山積する区。難しい区行政を強いられる。港区は天保山もあり観光地ではあるけれど、海・川に囲まれて交通の便もよくない。住民が増える公算もないので、税収増は見込めない。大正、平野の両区も、人口減による税収減といった事情はそんなに変わらない。 C 市長にとって、今回の公募区長任命は絶対に失敗が許されない。なので、難しい区行政を強いられるところは、市職員を充てている。いかにも市長らしいやり方だ。 ――例えば、先述の金谷東淀川区長のように、公募区長人事により、区長職を横滑りした市職員出身区長について、皆さんはどう見ています? A 東淀川、生野、住之江の3区は、明確に合区を目指した。合区前の行政上の整理を行うために充てた人材と見る向きが多い。 B 現市長に近い職員というのは、職員の中にはいない。しかし、特に合区を視野に入れ東淀川などの3区長は、見方によっては現市長が「俺の政策を実現してくれそう」と期待するタイプの人かもしれない。 市職員出身区長は、合区が終われば終わり C 人望が厚い人もいる。行政マンとしては辣腕というか、その豪腕ぶりで知られるのが、先ほど名前が挙がった東淀川区の金谷新区長。彼は橋下路線でもなければ、組合とも距離を置くタイプ。下につく職員にとっては厳しい人だが、仕事がデキることは確か。それでも合区が実現すれば、職員出身区長は、もうその時点で終わりだろう。今回の公募区長人事で横滑りした職員出身区長は、市長にとっては"捨て駒"要員であることは間違いない。 ――「あいりん地区」を抱え、生活保護受給者も多い西成区は、公募で民間から登用された区長ですね。 C そこだけは、市長にとって(生活保護問題の)目玉となる地区なので、民間人を充てたのだろう。難しい地域性なので、その分、市長の言う"成果"を上げるために、相当区の職員にしわ寄せがくることになるだろう。 市長と民間出身区長は、行政の目的を理解していない ――大阪市24区のうち、18区は民間から登用された市長です。民間出身の区長を職員はどう見ています? A 所詮は4年間の任期制職員、アルバイトが来たという認識。本当に行政をわかっているかどうかは疑問。こちらも宮仕えの身。市民が選んだ市長が連れてきた区長なので、しっかりサポートするが、法やこれまでの行政慣習を無視した区行政を行うのであれば、それはもうサポートのしようがない。 B そもそも、市長は「行政を民間並みにする」とおっしゃるが、行政とは、世の規範のモデルであるべき。それを行政が民間に合わせては、社会がおかしくなる。例えば、新北区長に就任する中川暢三氏は、兵庫県加西市長時代、民間の発想を市役所に取り入れようとして、行政を引っかき回し、加西市の職員間では「市職員からの支持率0%」といわれた人。どういう意味でも先が思いやられる」 C 行政に民間の視点を取り入れるというのは、聞こえはいい。でもそれだと、例えば職員の勤務ひとつ取ってみても、サービス残業なども行えと言っていることになる。違法なことは、行政としてはできない。市長のよく言う成果主義も、行政の成果は民間とは異なる基準がある。そうした基準を、民間出身の区長が理解してくれればいいが......。新区長の経歴をみる限り、それは難しいだろう。 橋下市長は、市民にとっては不幸 ――民間と行政で異なる基準とは、具体的には? A 今、各種報道で知られる生活保護受給の問題を例に取ると、市長は、その受給率を減らせという方針。実際、減らすことは簡単。でもそうすると、本来福祉の網にかかるべき人を取りこぼす可能性がある。これでは市民にとっても不幸だ。 B 橋下市長就任以降、職員にも成果主義が求められている。生活保護受給の話が出たが、これも職員が受給を希望する市民を受け付け面談する際、じっくり話を聞き、手厚く対応すると、どうしても一日に面談する時間と人数は限られる。市民と血の通った行政を行うのなら、たとえ面談した人数が少なくとも、問題視するべき部分ではない。しかし今は、「数をこなせ」「できるだけ生活保護は受け付けるな」という雰囲気が色濃い。 C 市長のコストカットという意識は認めるが、民間企業と行政の目指すものの違いを、市長と市長を選んだ選挙民は、どうもよくおわかりではない気がする。市長の政策は、平たく言えば「弱者切り捨て」なのだが。社会的に弱い立場にあるであろう市民が、なぜ市長を支持しているのかよくわからない。マスコミにも責任があるのではないか? ――最後に、もし大阪市各区の合区が進めば、どうなると思いますか? C 市の経費は大幅に削減できる。ただし、それまで各区がそれぞれ独立して行ってきた業務サービスを、1つの区で行うことになるので、きめの粗い行政とならざるを得ない。住民サービスという点では、住民の皆さんにとっては不利益が多い。 (構成=編集部) <おすすめ記事> 【対談】勝間和代・安藤美冬「一発屋と定番の分かれ目」 リクルート上場で、億万長者の社員が続出は吉と出るか? ビニール傘に付く"APO"や"EVA"の意味とは? "豪腕"森ゆうこ語る「処女作ヒット」「小沢一郎バッシング」 Tポイント、楽天など20種で使える銀行ポイント 芸能マネージャー「バーニングは防弾チョッキ必須!?」 ワタミにユニクロ......不況下で伸びている企業はキケン!?

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「住民や地域コミュニティーの声を適切に反映した行政を目指す」 との掛け声のもと、橋下徹大阪市長肝いりの施策、同市公募区長選考が終了。6月21日、最終合格者である24新区長の顔ぶれが発表された。  彼ら新区長は、民間からの登用が18名、職員からの登用が6名と、大方の予想通り、民間からの登用者が多数を占めたものだった。しかし、見方を変えれば、実に4分の1は市職員である。  政治主導を推し進める橋下市長のわりには、市職員からの登用が多く、橋下市長を支持する選挙民の中には、どこか物足りなさを感じた人も少なくはないだろう。  事実、市職員の中でも、今回の人事は「24区長全員を外部からの登用者で固めるものと思っていた」(大阪市職員)という声があったように、意外感をもって迎えられたようだ。しかし数人の市職員に話を聞くと、異口同音に次のように話す。 「6名の職員出身の新区長のつく区長ポストと人となりを見れば、『合区【編註:区と区の合併】』シフトであることは明白」 「大阪都構想」を掲げ、橋下市長が推し進める大阪府・大阪市の合併は、行政のスリム化、スピーディ化を目指したものだ。  まずはそのモデルケースとして、橋下市長のお膝元である大阪市において、市内各区を合併(合区)、大阪市行政のスリム化を図ろうという意図が、今回の新区長人事から透けて見えるという。  そんな大阪市の現状について、現役の市職員はどのように見ているのだろうか?  そこで今回、3人の職員に、日頃のうっぷんを晴らすべく、大いに語ってもらった。 市職員出身区長は"捨て駒" ――今回の公募区長人事について、区の合併を目的とした「合区」シフトであることは明白だと、皆さんの同僚からお伺いしています。やはり皆さんも、そう思われますか? Aさん(以下、A) 今回、職員から区長ポストに就いた地区は、港、大正、東淀川、生野、住之江、平野の6区。これらの区は、橋下市長が推し進める行政のスリム化を目指し、合区を目指しているとされるところばかり。合区が実現すれば職員出身の区長は"用済み"なので、市長はあえて職員を登用したのだろうというのは、職員なら誰でもわかる。 Bさん(以下、B) 特に淀川区長から東淀川区長に横滑りした金谷一郎区長の人事を見ると、市長の職員への姿勢がよくわかる。東淀川区は合区対象であると同時に、いわゆる同和地区も抱えており、市営住宅も多い。簡単に言えば「ややこしい地域」の区長には、職員を充てているとの印象が強い。 Cさん(以下、C) 東淀川区は淀川区と、生野区は東成区とそれぞれ合併される予定だというのは明白。ほかには、どういう区分けになるかわからないが、平野区は、東住吉区か生野区と一緒になり、「東成区」に。住之江区と大正区は、西成区との合区が考えられる。また、港区は此花区と合区する可能性がある。 橋下市長に協力的な職員なんていない ――市職員から区長職に就いた6人のうち、港区長、大正区長、平野区長はそのまま留任しています。橋下市政に協力的で、市長の覚えめでたい方々なのでしょうか? A そんなことはない。そもそも市長に協力的な職員なんて誰もいない。皆、面従腹背を決め込んでいるだけ。もっとも、職員から請われて区長公募に応募した区長はいる。 B 区長公募後もそのまま留任した港、大正、平野の3区は、行政上の課題が山積する区。難しい区行政を強いられる。港区は天保山もあり観光地ではあるけれど、海・川に囲まれて交通の便もよくない。住民が増える公算もないので、税収増は見込めない。大正、平野の両区も、人口減による税収減といった事情はそんなに変わらない。 C 市長にとって、今回の公募区長任命は絶対に失敗が許されない。なので、難しい区行政を強いられるところは、市職員を充てている。いかにも市長らしいやり方だ。 ――例えば、先述の金谷東淀川区長のように、公募区長人事により、区長職を横滑りした市職員出身区長について、皆さんはどう見ています? A 東淀川、生野、住之江の3区は、明確に合区を目指した。合区前の行政上の整理を行うために充てた人材と見る向きが多い。 B 現市長に近い職員というのは、職員の中にはいない。しかし、特に合区を視野に入れ東淀川などの3区長は、見方によっては現市長が「俺の政策を実現してくれそう」と期待するタイプの人かもしれない。 市職員出身区長は、合区が終われば終わり C 人望が厚い人もいる。行政マンとしては辣腕というか、その豪腕ぶりで知られるのが、先ほど名前が挙がった東淀川区の金谷新区長。彼は橋下路線でもなければ、組合とも距離を置くタイプ。下につく職員にとっては厳しい人だが、仕事がデキることは確か。それでも合区が実現すれば、職員出身区長は、もうその時点で終わりだろう。今回の公募区長人事で横滑りした職員出身区長は、市長にとっては"捨て駒"要員であることは間違いない。 ――「あいりん地区」を抱え、生活保護受給者も多い西成区は、公募で民間から登用された区長ですね。 C そこだけは、市長にとって(生活保護問題の)目玉となる地区なので、民間人を充てたのだろう。難しい地域性なので、その分、市長の言う"成果"を上げるために、相当区の職員にしわ寄せがくることになるだろう。 市長と民間出身区長は、行政の目的を理解していない ――大阪市24区のうち、18区は民間から登用された市長です。民間出身の区長を職員はどう見ています? A 所詮は4年間の任期制職員、アルバイトが来たという認識。本当に行政をわかっているかどうかは疑問。こちらも宮仕えの身。市民が選んだ市長が連れてきた区長なので、しっかりサポートするが、法やこれまでの行政慣習を無視した区行政を行うのであれば、それはもうサポートのしようがない。 B そもそも、市長は「行政を民間並みにする」とおっしゃるが、行政とは、世の規範のモデルであるべき。それを行政が民間に合わせては、社会がおかしくなる。例えば、新北区長に就任する中川暢三氏は、兵庫県加西市長時代、民間の発想を市役所に取り入れようとして、行政を引っかき回し、加西市の職員間では「市職員からの支持率0%」といわれた人。どういう意味でも先が思いやられる」 C 行政に民間の視点を取り入れるというのは、聞こえはいい。でもそれだと、例えば職員の勤務ひとつ取ってみても、サービス残業なども行えと言っていることになる。違法なことは、行政としてはできない。市長のよく言う成果主義も、行政の成果は民間とは異なる基準がある。そうした基準を、民間出身の区長が理解してくれればいいが......。新区長の経歴をみる限り、それは難しいだろう。 橋下市長は、市民にとっては不幸 ――民間と行政で異なる基準とは、具体的には? A 今、各種報道で知られる生活保護受給の問題を例に取ると、市長は、その受給率を減らせという方針。実際、減らすことは簡単。でもそうすると、本来福祉の網にかかるべき人を取りこぼす可能性がある。これでは市民にとっても不幸だ。 B 橋下市長就任以降、職員にも成果主義が求められている。生活保護受給の話が出たが、これも職員が受給を希望する市民を受け付け面談する際、じっくり話を聞き、手厚く対応すると、どうしても一日に面談する時間と人数は限られる。市民と血の通った行政を行うのなら、たとえ面談した人数が少なくとも、問題視するべき部分ではない。しかし今は、「数をこなせ」「できるだけ生活保護は受け付けるな」という雰囲気が色濃い。 C 市長のコストカットという意識は認めるが、民間企業と行政の目指すものの違いを、市長と市長を選んだ選挙民は、どうもよくおわかりではない気がする。市長の政策は、平たく言えば「弱者切り捨て」なのだが。社会的に弱い立場にあるであろう市民が、なぜ市長を支持しているのかよくわからない。マスコミにも責任があるのではないか? ――最後に、もし大阪市各区の合区が進めば、どうなると思いますか? C 市の経費は大幅に削減できる。ただし、それまで各区がそれぞれ独立して行ってきた業務サービスを、1つの区で行うことになるので、きめの粗い行政とならざるを得ない。住民サービスという点では、住民の皆さんにとっては不利益が多い。 (構成=編集部) <おすすめ記事> 【対談】勝間和代・安藤美冬「一発屋と定番の分かれ目」 リクルート上場で、億万長者の社員が続出は吉と出るか? ビニール傘に付く"APO"や"EVA"の意味とは? "豪腕"森ゆうこ語る「処女作ヒット」「小沢一郎バッシング」 Tポイント、楽天など20種で使える銀行ポイント 芸能マネージャー「バーニングは防弾チョッキ必須!?」 ワタミにユニクロ......不況下で伸びている企業はキケン!?