自転車あってもなくても田切駅へ!『究極超人あ~る』再現イベントが今年も開催決定!

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昨年のイベントの様子。
 昨年7月、元祖アニメの聖地で行われた『究極超人あ~る』OVA版再現イベントが、今年も開催されることが決まった。  昨年、JR飯田線伊那市駅開業100周年行事の一環として行われた「田切駅→伊那市駅1hour Bicycle Tour“轟天号を追いかけて”」。 『究極超人あ~る』OVA版のクライマックス、田切駅から1時間以内に伊那市駅にたどり着かなければならない主人公たちが、自転車8人乗りで疾走するシーンの再現を目指したイベントであった。  16時に自転車持参で田切駅に集合。17時にスタートし18時までにゴールしなければならないというハードルの高さにもかかわらず、60人以上が自転車を担いで(家から漕いで来た人や車に積んできた人も)結集した。  さらに、応援にやってきた人も含め、田切駅と伊那市駅には100名以上が集まる一大イベントとなった。  この盛況を受け、今年も7月27日(土)に「田切駅→伊那市駅・1hour Bicycle Tour Returns “轟天号を追いかけて、ふたたび。”」というタイトルで開催する運びとなったのだ。  昨年、主催者でありながら劇中に登場する自転車・轟天号を再現すべく、もう販売されていないブリヂストンロードマンをオークションで落札。真夏にもかかわらず、学生服に下駄履きのR・田中一郎コスで走り抜いた伊那市創造館の捧剛太館長によれば、今年も開催を決めた理由は、伊那市のふるさと大使が行った職員向けの講演がきっかけだという。 「講演の中で『あなたは伊那市のために何ができるか』という話があったんです。それを聞いた、昨年の主催団体である伊那市役所職員の自転車サークル・Cycle倶楽部R(伊那市役所自転車部)のメンバーが、“自分にできるのはこれだ”と、開催することになりました」  昨年は「伊那市駅開業百周年」を記念したが、今年は「R・田中一郎28周年」に決定。ゴールした後は、参加者一同で「R・田中一郎28周年ばんざーい」して終了する予定だ。 『究極超人あ~る』OVA版は、ファンが「聖地」を巡礼した元祖とされる作品。現在でも、毎年大勢のファンが名曲「飯田線のバラード」を歌いながら巡礼に訪れ、作品と飯田線のファンのサークル・田切ネットワークによる田切駅清掃活動も続けられている、いわば究極のアニメの聖地。  昨年は、頼んでもないのにR・田中一郎を筆頭にキャラコスでやってくる人もいるかと思えば、作品中の名物料理「おかゆライス」を作り出す人もいた。また、自転車の種類も多種多様で、ママチャリや折りたたみ自転車でやってくる猛者も。「田切駅集合」と聞いて、一見、ハードルは高そうに見えるが、実はヤル気と出たトコ勝負を楽しむ心の余裕があれば、誰もが参加できるイベントなのだ!  ちょうど、青春18きっぷも真盛りの時期、自転車に乗らなくても、見送りだけでもよいので、なんとか都合をつけて参加してみるしかない!  また、飯田線といえば秘境駅の宝庫としても知られるところ。参加のついでに駅寝への挑戦をお勧めする。飯田線で一度は駅寝してみたいオススメ駅は秘境駅で知られる小和田駅だが、扉がないので夏は蚊に食われて大変な目に遭うのは必然。無難なところで、唐笠駅あたりが駅寝初心者にはよいとだけ伝えておく(くれぐれもSTB憲章を守るように!)。もちろん、田切駅での駅寝に挑戦してみるのもオツなもの(昨年は、イベント終了後、田切駅に戻って駅寝→翌朝から清掃活動に参加という人もいた)。人生で、ほかには得がたい経験をさせてくれるはずだ。  また、作中で主人公たちが旅したルートを忠実に再現しようとすると、次のようになるので参考にしてほしい。 東京駅―(東海道線踊り子号)―伊豆急下田駅―(バス)―石廊崎―(バス)―伊豆急下田駅―(伊豆急)―河津駅―(バス)―修善寺駅―(伊豆箱根鉄道)―三島駅―(東海道線各駅停車)―豊橋駅 豊橋駅―(飯田線各駅停車)―田切駅 ※作中では、伊豆急下田駅~修善寺駅間は、山道で遭難しかけたわけだが、その再現は無理!  なお、筆者は伊那名物・ローメン食べたさに、今年も駆けつける予定だ。 (取材・文=昼間 たかし) <参加案内> 日時:平成25年(2013)7月27日 土曜日(午後16時より受付開始) 場所:JR飯田線・田切駅前集合(おそらく昼過ぎくらいから、テキトーに人がいます) 主催:タウンステーション伊那まち(伊那まちの再生やるじゃん会)、Cycle倶楽部R(伊那市役所自転車部)と、その協力者 協力:田切ネットワーク 申し込み方法: <http://iisaya.lfchs.com/> <http://docs.com/SW9R> 上記から、企画書・申込書をダウンロードし記入の上、7月1日までに郵送必着。 ※見送りや見物の人は不要

「元旦から聖地巡礼したことも」20年も巡礼し続ける「田切ネットワーク」の軌跡

20年目のまさに手作り感あふれる同窓会だ
 いまや全国各地で当たり前のように開催されている<聖地巡礼>。世の中には、すでに20年目に突入している熱いヤツらがいた。  その熱い姿を見ることができたのが、伊那市駅開業100周年記念『究極超人あ~る』OVAクライマックス再現イベント「田切駅→伊那市駅 1hour Bicycle Tour “轟天号を追いかけて”」に合わせて、現在も駅スタンプを管理してくれている田切駅前の「元・下村酒店」で行われた「田切ネットワーク」創立20周年記念展覧会「夏への扉~20年目の同窓会」だ。  そもそも、田切が作品に登場し聖地となったゆえんを、現代表の中尾一樹氏は語る。 「もともと、田切駅の先にあるオメガカーブは、飯田線の撮影名所として知られたところでした。とりわけ、1983年までは飯田線を走っていた旧型国電を撮影するために、全国から大勢の人が訪れていました。その中に、『究極超人あ~る』の登場人物たちが通う春風高校光画部のモデルになった人がいたんです」
予想を遙かに超えて自転車で、電車で次々と訪問者がやってくる

店の向かいの日陰が休憩ポイントになり。訪れた人々との談笑の場となっていた

参加者ならではのやり方で、交流を深める
 もとは絶好の撮影ポイントとして、鉄道愛好者たちに知られていた田切駅。それが、アニメになったことで新たな人々を呼び込み、新しい形で栄えたというわけだ。そんな古くからの田切駅の歴史を伝えるのが、今は「田切ネットワーク」が保管している「田切のたぬき」である。
こちらが、今では秘蔵の品となっている「田切のたぬきである」
「『究極超人あ~る』以前から、田切駅では国鉄職員の方が駅スタンプを自作して設置したりしていました。そうした中で、光画部のモデルになった人が置いていたのが“田切のたぬき”だったんです。長いこと駅に設置されて名物になっていたんですが1984年に田切駅が現在の場所に移転することになり、捨てられてしまっては困るので、回収されて、その後は設置せずに保管されてきました」(中尾氏)  『究極超人あ~る』に登場したことで、従来の鉄道愛好者だけでなく、多くのアニメファンも訪れるようになった田切駅。「田切ネットワーク」は、飯田線を使ってロールプレイングをする列車や、車内即売会、コスプレなど、さまざまなイベント列車の運行も行った。だが、そうした中でも目を見張るのは、現在も年3回行われている、田切駅の清掃活動だ。鉄道愛好者からアニメファンまでがホームをホウキで掃き、待合室の窓ガラスを雑巾で拭く光景は、地元の人々にとって驚きだった。
かつてのイベント列車の際につくられたTシャツ。一番右のは折しもオウム事件の頃で大変なことに……

メンバーらが制作した数々の同人誌も、並んだ

次々とやってくる見学者で店内は大混雑に
「大みそかに田切駅に大勢で泊まって、元旦の朝から、寒い中を冷たい水で雑巾を絞って、窓ガラスまで拭いていたこともありました。私らは、駅にホウキを持っていったこともないのに、驚きました」  と、今回の会場を提供してくれた「元・下村酒店」のご主人は語る。かつては、田切駅での駅寝も一つの楽しみ方だったそうで、ある時は線路に足を投げ出した格好で寝てしまい、あわや大惨事という人もいたのだとか。まさに、若さゆえの過ちといったところか。  そんな「田切ネットワーク」の無鉄砲さを象徴するのが、『究極超人あ~る』OVAに触発されて制作したスタンプツアーのポスターだ。作品中で、登場人物たちが参加する西園寺ツーリスト主催のスタンプツアー。作中では、この告知ポスターが一瞬だけ画面に映る。そこで「田切ネットワーク」の面々は、このポスターを再現しようと、ビデオを一時停止してテレビの画面にトレーシングペーパーをあててなぞり、手書きで再現したのだ。  まさに、熱いファンのなせるワザだが、版権的にはユルかった当時でも完全にアウト。バンダイから激怒されたが、「商売じゃないんです」と泣きを入れ、A4用紙3枚にびっしりの詫び状で許してもらえたのだとか。  版権的にはアウトだが、ファンの情熱がこもったポスター。いつの日か、陽の目を見る日が来ることを祈りたいものだ。  現在、年3回の清掃活動は、日程を決めて来られる人が来る形でユルく開催されている。それでも、参加者が絶えることはない。 「里帰りのようなものですね。やはり、(「元・下村酒店」のご夫妻のように)来て、話をできる人がいること。これは、ほかの無人駅にはない魅力ですから」(メンバーの熊谷さん)
とりあえず、これを展示しておかなければ始まらないという品もちゃんと準備されていた

こちらには「元・下村酒店」さんの制作した、、あ~るが並んでいる
 かつて駅スタンプを保管してくれていた「小松屋」さん(現在は建て替えで店舗も姿を消した)、閉店後も駅スタンプを保管して、時折訪れるファンに対応してくれる「元・下村酒店」さん。単に聖地を訪れて写真を撮影して満足するのではない、真の楽しみ方がここにはある。「田切ネットワーク」内では、20年の間に3組のカップルが結婚したというが、こんな濃い楽しみ方をしていれば当然だ。  なお、「田切ネットワーク」のメンバーの一人は自転車イベント終了後、田切駅に戻り駅寝をして、翌朝から田切駅の清掃に参加した。 ■南信のディープスポット・伊那市の祭りはまだまだ続く  地方都市をめぐっては、東京にないものを探す筆者だが、伊那市は何度も探訪する価値のある街である。人口6万4,000人あまりのこの街、その人口に比して街にある店舗のレベルは高い。同じ人口でも東京周縁圏の街だと駅前にコンビニとチェーン系の居酒屋と、テキトーな書店が並ぶだろう。だが、伊那の街は独特だ。チェーン店よりも老舗が多いし、歓楽街も山間の地方都市とは思えないほど、充実していて味がある。  そのような味のある店を、地元の人々はごく日常的に利用しているからうらやましい。伊那でもメジャーな老舗の一つである蕎麦屋・クロネコなんて、都内だったらちょっとひねったサブカル好きな若者が一眼レフカメラを手に、続々と訪れるんじゃないかと思う。 「田切駅→伊那市駅 1hour Bicycle Tour “轟天号を追いかけて”」のほかにも、各種のイベントが開催中だが、その中でも、8月4日の伊那まつりに向けて準備されている開業当時の電車の復元は、目を見張るものがある。作業場所の伊那市立図書館のロビーに入るサイズということで、幾分か縮小した復元電車は、台座にキャスターをつけて木で枠をつくり、段ボールの部材で囲むというもの。段ボールなのに、まったく安っぽさを感じさせない精巧さが魅力的だ。筆者が訪ねた際には、ほぼ車体は完成し、塗装作業に入るところ。 「残っていた当時の図面と写真をもとに制作しました。延べ10人、1週間ほどで、ここまで完成しました」  と、作業に参加した鄭あきとしさんは話す。ライトもついて、中にはひしゃくでできたベルもつけるなど細かいギミックが光る復元電車。伊那まつりの際には、子どもを乗せて走る予定だとかで、さながら人車鉄道を彷彿とさせる。  作業場所の伊那市立図書館では、現在伊那市の歴史の資料や写真展示も行われている。  同館では、こんな手作り感あふれるイベントの一方で、地域の歴史を集積するデジタルアーカイブの作業も進んでいる。同館も制作に参加した江戸・明治・大正・昭和のデジタル古地図上にGPSを使って現在地を表示し、当時の風景を見ることができるiPhoneアプリ「高遠ぶらり」も提供中だ。
なんだかわからんが、やたらと女子の参加率が高く驚く。20代も多かったし……

この日ばかりは、押し放題のスタンプも大盛況だ
「サービスを提供するのではなく、地域の住民と一緒になって作っていくというスタンスで作業を行っています。デジタルアーカイブも、地域の皆さんに呼びかけて、昔の写真を提供してもらっているんです」  と同館の館長平賀研也さんは話す。町おこしといえば、何かと予算を大量につぎ込んで大々的にやる(そして、大失敗する)ものが多いのだが、これらの試みは、とてつもなく地に足の着いた感じがする。やはり、その背景には文化レベルの高さが感じられる。 「伊那には幕末に(「北の松代、南の高遠」といわれた)高遠藩の藩校・進徳館が開設され、多くの人材が生まれました。その後も、大正時代には信州白樺派の中心地にもなりました。今でも『教育県』の中心として、総合学習のメッカにもなっています」(平賀さん)  なるほど、過去の文化の蓄積が人口も少ない地方都市とは思えない、独特の香りを醸し出していることは間違いない。  年度内を通して行われる伊那市駅開業100周年記念イベントだが、その締めくくりとして行われるのが、来年1月から伊那市創造館で行われる予定の企画展「飯田線マニアックス」だ。飯田線の魅力をディープに語る、このイベントでは、屋外に飯田線の人間双六が登場するという計画も。  伊那市をはじめ南信地方は、一度や二度の訪問では味わい尽くせない魅力が満載だ。まずは、この夏訪問してみてはいかがだろうか。 (取材・文=昼間たかし)

「元旦から聖地巡礼したことも」20年も巡礼し続ける「田切ネットワーク」の軌跡

20年目のまさに手作り感あふれる同窓会だ
 いまや全国各地で当たり前のように開催されている<聖地巡礼>。世の中には、すでに20年目に突入している熱いヤツらがいた。  その熱い姿を見ることができたのが、伊那市駅開業100周年記念『究極超人あ~る』OVAクライマックス再現イベント「田切駅→伊那市駅 1hour Bicycle Tour “轟天号を追いかけて”」に合わせて、現在も駅スタンプを管理してくれている田切駅前の「元・下村酒店」で行われた「田切ネットワーク」創立20周年記念展覧会「夏への扉~20年目の同窓会」だ。  そもそも、田切が作品に登場し聖地となったゆえんを、現代表の中尾一樹氏は語る。 「もともと、田切駅の先にあるオメガカーブは、飯田線の撮影名所として知られたところでした。とりわけ、1983年までは飯田線を走っていた旧型国電を撮影するために、全国から大勢の人が訪れていました。その中に、『究極超人あ~る』の登場人物たちが通う春風高校光画部のモデルになった人がいたんです」
予想を遙かに超えて自転車で、電車で次々と訪問者がやってくる

店の向かいの日陰が休憩ポイントになり。訪れた人々との談笑の場となっていた

参加者ならではのやり方で、交流を深める
 もとは絶好の撮影ポイントとして、鉄道愛好者たちに知られていた田切駅。それが、アニメになったことで新たな人々を呼び込み、新しい形で栄えたというわけだ。そんな古くからの田切駅の歴史を伝えるのが、今は「田切ネットワーク」が保管している「田切のたぬき」である。
こちらが、今では秘蔵の品となっている「田切のたぬきである」
「『究極超人あ~る』以前から、田切駅では国鉄職員の方が駅スタンプを自作して設置したりしていました。そうした中で、光画部のモデルになった人が置いていたのが“田切のたぬき”だったんです。長いこと駅に設置されて名物になっていたんですが1984年に田切駅が現在の場所に移転することになり、捨てられてしまっては困るので、回収されて、その後は設置せずに保管されてきました」(中尾氏)  『究極超人あ~る』に登場したことで、従来の鉄道愛好者だけでなく、多くのアニメファンも訪れるようになった田切駅。「田切ネットワーク」は、飯田線を使ってロールプレイングをする列車や、車内即売会、コスプレなど、さまざまなイベント列車の運行も行った。だが、そうした中でも目を見張るのは、現在も年3回行われている、田切駅の清掃活動だ。鉄道愛好者からアニメファンまでがホームをホウキで掃き、待合室の窓ガラスを雑巾で拭く光景は、地元の人々にとって驚きだった。
かつてのイベント列車の際につくられたTシャツ。一番右のは折しもオウム事件の頃で大変なことに……

メンバーらが制作した数々の同人誌も、並んだ

次々とやってくる見学者で店内は大混雑に
「大みそかに田切駅に大勢で泊まって、元旦の朝から、寒い中を冷たい水で雑巾を絞って、窓ガラスまで拭いていたこともありました。私らは、駅にホウキを持っていったこともないのに、驚きました」  と、今回の会場を提供してくれた「元・下村酒店」のご主人は語る。かつては、田切駅での駅寝も一つの楽しみ方だったそうで、ある時は線路に足を投げ出した格好で寝てしまい、あわや大惨事という人もいたのだとか。まさに、若さゆえの過ちといったところか。  そんな「田切ネットワーク」の無鉄砲さを象徴するのが、『究極超人あ~る』OVAに触発されて制作したスタンプツアーのポスターだ。作品中で、登場人物たちが参加する西園寺ツーリスト主催のスタンプツアー。作中では、この告知ポスターが一瞬だけ画面に映る。そこで「田切ネットワーク」の面々は、このポスターを再現しようと、ビデオを一時停止してテレビの画面にトレーシングペーパーをあててなぞり、手書きで再現したのだ。  まさに、熱いファンのなせるワザだが、版権的にはユルかった当時でも完全にアウト。バンダイから激怒されたが、「商売じゃないんです」と泣きを入れ、A4用紙3枚にびっしりの詫び状で許してもらえたのだとか。  版権的にはアウトだが、ファンの情熱がこもったポスター。いつの日か、陽の目を見る日が来ることを祈りたいものだ。  現在、年3回の清掃活動は、日程を決めて来られる人が来る形でユルく開催されている。それでも、参加者が絶えることはない。 「里帰りのようなものですね。やはり、(「元・下村酒店」のご夫妻のように)来て、話をできる人がいること。これは、ほかの無人駅にはない魅力ですから」(メンバーの熊谷さん)
とりあえず、これを展示しておかなければ始まらないという品もちゃんと準備されていた

こちらには「元・下村酒店」さんの制作した、、あ~るが並んでいる
 かつて駅スタンプを保管してくれていた「小松屋」さん(現在は建て替えで店舗も姿を消した)、閉店後も駅スタンプを保管して、時折訪れるファンに対応してくれる「元・下村酒店」さん。単に聖地を訪れて写真を撮影して満足するのではない、真の楽しみ方がここにはある。「田切ネットワーク」内では、20年の間に3組のカップルが結婚したというが、こんな濃い楽しみ方をしていれば当然だ。  なお、「田切ネットワーク」のメンバーの一人は自転車イベント終了後、田切駅に戻り駅寝をして、翌朝から田切駅の清掃に参加した。 ■南信のディープスポット・伊那市の祭りはまだまだ続く  地方都市をめぐっては、東京にないものを探す筆者だが、伊那市は何度も探訪する価値のある街である。人口6万4,000人あまりのこの街、その人口に比して街にある店舗のレベルは高い。同じ人口でも東京周縁圏の街だと駅前にコンビニとチェーン系の居酒屋と、テキトーな書店が並ぶだろう。だが、伊那の街は独特だ。チェーン店よりも老舗が多いし、歓楽街も山間の地方都市とは思えないほど、充実していて味がある。  そのような味のある店を、地元の人々はごく日常的に利用しているからうらやましい。伊那でもメジャーな老舗の一つである蕎麦屋・クロネコなんて、都内だったらちょっとひねったサブカル好きな若者が一眼レフカメラを手に、続々と訪れるんじゃないかと思う。 「田切駅→伊那市駅 1hour Bicycle Tour “轟天号を追いかけて”」のほかにも、各種のイベントが開催中だが、その中でも、8月4日の伊那まつりに向けて準備されている開業当時の電車の復元は、目を見張るものがある。作業場所の伊那市立図書館のロビーに入るサイズということで、幾分か縮小した復元電車は、台座にキャスターをつけて木で枠をつくり、段ボールの部材で囲むというもの。段ボールなのに、まったく安っぽさを感じさせない精巧さが魅力的だ。筆者が訪ねた際には、ほぼ車体は完成し、塗装作業に入るところ。 「残っていた当時の図面と写真をもとに制作しました。延べ10人、1週間ほどで、ここまで完成しました」  と、作業に参加した鄭あきとしさんは話す。ライトもついて、中にはひしゃくでできたベルもつけるなど細かいギミックが光る復元電車。伊那まつりの際には、子どもを乗せて走る予定だとかで、さながら人車鉄道を彷彿とさせる。  作業場所の伊那市立図書館では、現在伊那市の歴史の資料や写真展示も行われている。  同館では、こんな手作り感あふれるイベントの一方で、地域の歴史を集積するデジタルアーカイブの作業も進んでいる。同館も制作に参加した江戸・明治・大正・昭和のデジタル古地図上にGPSを使って現在地を表示し、当時の風景を見ることができるiPhoneアプリ「高遠ぶらり」も提供中だ。
なんだかわからんが、やたらと女子の参加率が高く驚く。20代も多かったし……

この日ばかりは、押し放題のスタンプも大盛況だ
「サービスを提供するのではなく、地域の住民と一緒になって作っていくというスタンスで作業を行っています。デジタルアーカイブも、地域の皆さんに呼びかけて、昔の写真を提供してもらっているんです」  と同館の館長平賀研也さんは話す。町おこしといえば、何かと予算を大量につぎ込んで大々的にやる(そして、大失敗する)ものが多いのだが、これらの試みは、とてつもなく地に足の着いた感じがする。やはり、その背景には文化レベルの高さが感じられる。 「伊那には幕末に(「北の松代、南の高遠」といわれた)高遠藩の藩校・進徳館が開設され、多くの人材が生まれました。その後も、大正時代には信州白樺派の中心地にもなりました。今でも『教育県』の中心として、総合学習のメッカにもなっています」(平賀さん)  なるほど、過去の文化の蓄積が人口も少ない地方都市とは思えない、独特の香りを醸し出していることは間違いない。  年度内を通して行われる伊那市駅開業100周年記念イベントだが、その締めくくりとして行われるのが、来年1月から伊那市創造館で行われる予定の企画展「飯田線マニアックス」だ。飯田線の魅力をディープに語る、このイベントでは、屋外に飯田線の人間双六が登場するという計画も。  伊那市をはじめ南信地方は、一度や二度の訪問では味わい尽くせない魅力が満載だ。まずは、この夏訪問してみてはいかがだろうか。 (取材・文=昼間たかし)

本物の<聖地巡礼>を見せてやる! 『究極超人あ~る』の聖地で“轟天号”を追いかけてきた!!

早朝の東京駅から荷物を抱えてヨロヨロと乗車。
日頃の運動不足を実感する汽車旅だ
 「これは、参加するしかない!」と筆者は、東京駅から旅立った。  空前の成り行き任せな仕切りで全国のファンの注目を集めた、伊那市駅開業100周年を記念した『究極超人あ~る』OVAクライマックス再現イベント「田切駅→伊那市駅 1hour Bicycle Tour “轟天号を追いかけて”」。集合してスタートしたら、あとは好きな道を走って、好きな角を曲がって午後6時までに伊那市駅に来てください、というからムチャクチャだ。  早々と参加申し込みをした筆者だが、イベント発案者の一人から「当然、豊橋経由で輪行(自転車を公共交通機関を利用して運ぶこと)してくるんですよね?」との声が。なるほど、OVAの通りのルートを選ぶなら、東京駅から踊り子号で下田から石廊崎、天城峠を越えて三島から豊橋で一泊して、飯田線で……とても無理! 無理だが、少しでもOVAに近づいて、ほかの誰もがやらないことをやらなければ取材に値しない。  かくして、イベント前日の7月27日の早朝。筆者は、自転車に荷物を積み込んで旅立った。まだ誰もいない東京駅の前で、まずは自転車を分解。輪行袋に詰め込んでいく。この輪行袋、自転車を買ったときにオマケについてきたものなので、車体にリアキャリアやらなにやらを取り付けた今、きっちりと袋には入ってくれない。それでも、なんとか詰め込んでホームまで移動開始。筆者の旅の友である愛車・パナソニックのOSD3は、フレームを前後に分割できる輪行重視の自転車なのだが、あくまで分割しやすいだけで車体が軽いわけではない。10キロを超える車体が肩に食い込み、荷物を積み込んだフロントバッグやリュックやらも肩に食い込み、東海道線のホームに到着するまでに挫折しそうだ。  それでもなんとか、5時46分発の沼津行き一番列車に乗車完了。始発だからすいているかと思いきや、横浜を過ぎたあたりから混雑が始まる。朝のラッシュの時間に自転車を持ち込んでいる筆者には、厳しい視線が……。どうにかたどり着いた沼津では、駅そば屋が営業時間外。向かいのホームまで行く体力はなく、すきっ腹を抱えながら、トイレのない列車を走らせるJR東海に怒りを覚えつつ浜松を経由し、なんとか豊橋に到着した。だが、ここからはまだ長い。12時前に到着したのに、伊那市へ行く飯田線は2時前までないのだ。豊橋駅の名物の駅そば「壺屋」にて、天ぷらきしめんの旨さを久々に噛みしめたあと、呆然とホームで時が流れるのを待つのであった……。
豊橋駅といえば「壺屋」のきしめんである。
壺屋の本業は駅弁屋で、いなり寿司がオススメだ
 ようやくやってきた天竜峡駅行きの列車に乗り込み、これまた長い飯田線の旅が始まる。なにせ、まだ午後2時前なのに伊那市に到着するのは夕方を過ぎて夜の7時過ぎなのだ。3月のダイヤ改正でワンマンの運用が始まった飯田線だが、ワンマン列車のはずなのになぜか車掌が乗車している。その車掌が、駅が近づくたびに「前の車両から降りてくださーい」と連呼し、ドアが開くと「キップは、そこの箱に入れてくだ~さい」と連呼している。主な利用客が年寄りと高校生の飯田線、相当慣れていない人が多いようだ。
「飯田線のバラード」が似合う風景が見えてきても、まだまだ先は長い……
 東京では見かけない、独特の味のある高校生たちに新鮮さを感じながら睡魔に襲われ、気がついたら天竜峡駅、乗り換えて気がついたら伊那市駅に到着していた(というわけで、今回は秘境駅の話はない)。
伊那は馬肉の産地でもある。「いたや」の馬肉料理は、ご飯がいくらでもすすむね
■そして、灼熱のサイクリングへ  さて、当日である。輪行するよりは自走したほうが楽だと宿を出た筆者は、綿半(長野県では超メジャーなホームセンター。野菜も売っているよ!)で買い物を済ませ、本番の想定コースを逆に一路田切駅へ。交通量の多い国道を避けて旧道を選んでみたのだが、車は少ないものの、アップダウンがけっこう激しい。ここに比べれば、東京の坂なんぞ平らに見える。そもそも、筆者が普段、修行(あえて、トレーニングではない)している荒川サイクリングロードは、ほとんど平地である。旧道ゆえに地方にありがちなロードサイド型の店舗があるでもなく田舎ののんびりした風景は、素敵な「ごほうび」だ。
余裕をかまして寄り道をしていたら、次第にジリジリと日に焼かれていくことに

穏やかな天竜川の河畔。こんな風景が見られるなら多少の苦労も仕方ないよね

交通量の少ない旧道は、ほぼ独り占め。思いの外、自販機もあるので熱中症の心配もなさそう
 それにしても、やはり苦しい。体力は十分なハズなのだが、身体が暑さに慣れるまで時間がかかるのだ。旧道とはいえ、けっこうな数の自販機があるので水分補給には事欠かないが、照りつける日差しが急速に体力を奪っていく。時折、横を通り抜ける自動車がとても恨めしい。自転車マンガの古典『サイクル野郎』(荘司としお)ならば、適度なところで美女と行き会う展開なのだが、誰にも会うことなく孤独にペダルをこぐ作業は続く。伊那市駅と田切駅間の距離は、ざっと17キロあまり。自転車乗りならば、本来は大した距離ではないのだが、知らない道ゆえに、ほんとに負担が大きい。  途中、駒ヶ根市に入る時の上り坂についにくじけた筆者は、駒ヶ根駅前で一休み。何か腹に入れないと死んでしまうと思い、駒ヶ根名物ソースカツ丼のコースへ。最近、伊那市と駒ヶ根市の2つの町が「名物」と主張しているソースカツ丼だが、どちらの名物かは別にして、やはりおいしい。伊那のローメンといい、これを食べるためだけに、交通費を使う価値は十分にある。
店ごとに工夫を凝らす、駒ヶ根市のソースカツ丼。全店を制覇するのは、いつの日になるだろうか
こんなノスタルジックな店もちらほらと

駒ヶ根市を抜けて、飯田線の跨線橋を越えて、田切駅は、もうちょい先だ
 かくて、体力を回復した筆者は、一直線に今回の催しのスタート地点田切へと向かう。  さらに、照りつける太陽。上昇する気温に苦しみながら、ようやくたどり着いた田切。そこには、数多くの驚愕が待っていた……。
田切駅前に、こんなに大勢の人が集結するなんて誰が予測しただろうか
■ついに迎えた、クライマックス再現イベント  当初の予想を超えて、自転車持参の人から見送りのファンまでが聖地・田切駅に大集合となった。当日、現在も駅スタンプを管理してくれている田切駅前の「元・下村酒店」では、20年にわたって<聖地巡礼>として、田切駅の掃除をしているグループ「田切ネットワーク」が創立20周年記念展覧会「夏への扉~20年目の同窓会」を開催するということもあり、早い時間から参加者は続々と集結。「元・下村酒店」や田切駅周辺で、新たな光画部員と出会い、トークに華を咲かせていた。  当日、自転車持参で駅に集まった参加者は約80名あまり。田切駅までの集合方法は、電車で輪行してきたり、車に積んで移動したりとさまざまだ。だが、やる気のある参加者の中には、杖突峠を越えてきたという人も。杖突峠は、茅野市から高遠へ至る峠なのだが、標高1,247メートル、わずか数キロで高低差400メートル以上の急傾斜となる、有数の険しさで知られる峠である。そこまで「苦行」を楽しむこともできるのも『究極超人あ~る』のファンであればこそ。
電車が到着するたびに続々と、あ~るファンが降りてくる。ん、ホームのハジに妙な人が

田切の集落も、大勢の人で混雑。なお、今は集落には自動販売機が一台あるだけ
 そんなムチャを楽しむ人も交えながら、田切の集落には続々と参加者が集結していく。中には、さっそく作品世界を再現すべく、飯盒でごはんを炊き始める人もいるではないか。
作品世界を再現すべくリュックまで用意する完璧さ。これが本物の<聖地巡礼>だ

まさか、世界征服を企む博士が再び田切にやってくるなんて。この水鉄砲は危険すぎる!
やる気の参加者かと思いきやキャリアに積まれているのは、おひつ……
 開始時間も近づき、続々とファンが集まってきて驚いた。多くはロードバイクなのだが、中には「なぜ、この自転車をセレクトしたんだ!」という参加者も。  京都から参加したという男性は、いつも通勤に使っているという、ブロンプトンを持参。これでもかと外装をカスタマイズしているので、ギアも内装8段変速に改造しているのかと思いきや、ノーマルのままだという。街乗りに映える折りたたみ自転車の代名詞であるブロンプトンだが、アップダウンの激しいコースに、この自転車をセレクトするとは相当の自信家に違いない(実際、とても脚力のある人だった)。さらに、折りたたみ自転車持参の人には「いや、バイクにこれしか積めなかったので……」と、さらに驚くような車種をセレクトしている人も。ほかにも「DMMでレンタルした」という自転車で手には軍手という、光画部の成り行き任せテイストを、ものすごく理解した女性も。
この自転車でも、ちゃんと完走できたんだから恐るべしファン魂だ!

まさかのママチャリ参加者。なお、筆者はこのママチャリの人にも追い抜かれました……
 そんな中でとくに目を引いたのが、ママチャリ持参の女子である。いつも2キロあまりの通勤に使っているという愛車を持参したその女性は、OVA発売当時に行われた公開イベント「ザ・夏祭り」にも参加したという筋金入りのファン。今回のイベントを知って、友人を集めて上映会も開き、友人も一緒に参加することになったのだとか。  さらに、見送り組の女子には「『日刊サイゾー』の記事を見てイベントを知ったので来ました」という人も。  見送り組には、あ~るはもちろん、成原博士や鳥坂先輩に、あさのに小夜子まで、等々各種のコスプレも集結。千葉から、あ~るのコスプレ衣装一式持参でやって来た男性は、「明日はワンフェスなんで、急いで帰ります」と。ファンの熱さにはもはや感涙だ。  そうしたファンの中でも、もっとも熱さを放っていたのは、主催者の一人でもある伊那市創造館の捧剛太館長だ。あ~るの愛車・轟天号を再現すべくロードマンを入手、可能な限りOVA仕様に近づけ、学生服持参でやってきた捧氏が田切に姿を現すと、会場はわあっと沸いた。
実は、伊那はこの作品の聖地でもあったんだね……。と、気づくまでちょっと時間がかかった

飯島町のゆるキャラ・いいちゃんは地元のお祭りが重なり多忙な中駆けつけてくれたぞ
 かくて、イベントは始まった。主催のCycle倶楽部R(伊那市役所自転車部)の牧田豊さんは 「こんなに、馬鹿な人が多いとは……」  と、シャレの効いた挨拶で、会場をどっと沸かせる。飯島町のゆるキャラ・いいちゃん、地元の住民、コスプレ混じりの見送り組に声援を送られながら、自転車参加者は続々と出発していく。途中、パラパラと夕立が降るが、身体の火照った参加者には、よいシャワーだ。どの道を通るのも自由なので、参加者は国道、旧道、さらにはOVAよろしく火山峠を目指して別れ、合流しながら伊那市駅へと向かっていく。  相当、体力の落ちている筆者は、次々と追い抜かれつつ、なんとかゴールを目指す。正直、往路よりも上り坂が少ないので幾分かは楽である。さまざまなルートへ分割した参加者は、伊那市駅周辺で再び合流しながら、ゴールの伊那市駅前を目指す。OVAに従えば、西園寺ツーリストのガラス戸をぶち破って突入しなければならないのだが、80枚もガラス戸は準備できないので、駅前に西園寺ツーリスト伊那市支店の出店が。誰も、突入することなく声援や拍手に迎えられながら、続々と到達。この日のために用意された特製の西園寺ツーリストのスタンプを獲得した。
ガラス戸をぶち破られる危険を回避すべく、西園寺ツーリスト伊那市支店は屋外に設置
閉会式会場は、コスプレ撮影会へ。やばい、あ~るのカメラは危険すぎるぞ!

無事にイベントを終えて捧剛太館長もほっと一息。
しかし、3000円の中古ロードマンはかなりキツかったとか
 とくに大きな事故もなく、参加者は、駅近くの閉会式が行われる広場に移動。ここでは、伝説のおかゆライスを配布するファンが現れたり、コスプレ撮影会も行われるなど、会場は大盛り上がりだ。出店で販売される名物の高遠まんじゅうで、糖分を補給する参加者も多かった。出店ではラムネが販売されていたのも注目ポイントだ。レトロな雰囲気が漂う伊那市には、ラムネがよく似合う。  前夜も、轟天号の整備をしていて睡眠不足気味の捧剛太館長も 「続々と人数が増えて、どうなることやらと思っていましたが、大きな怪我人も出なくてよかった」  と、ホッとした表情。かくて、イベントは「伊那市駅開業100周年万歳!」「Cycle倶楽部R20周年万歳!」「究極超人あ~る万歳!」の万歳三唱を行って終幕。参加者は、Cycle倶楽部Rの牧田氏が「足を使ってお願いしてきた」参加者向けのサービスを提供してくれる市内の飲食店へと、三々五々散っていった。
まずは「うしお」にてローメン分を補給。もちろん、超々大盛りで。名物のトーフ汁がサービスだった
(取材・文=昼間たかし)

無人駅に200名以上が集結!? 『究極超人あ~る』聖地の盛り上がりが、どうにもとまらない

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筆者の自転車もアップを始めました。
 各地で盛んに行われている、アニメ・マンガの舞台になった場所を訪れる<聖地巡礼>。先日、当サイトではその元祖である『究極超人あ~る』の聖地で行われる「伊那市駅開業100周年記念イベント 田切駅→伊那市駅・1Hour Bicycle Tour “轟天号を追いかけて”」を紹介したが(記事参照)、無事に参加者募集を終えて空前の盛り上がりを見せている。  7月28日(土)に行われるこのイベントは、伊那市駅開業100周年をお祝いするために、『究極超人あ~る』OVA版のクライマックスであるJR飯田線の田切駅から伊那市駅までを自転車で一時間かけて走り抜けるというもの。当初、募集は50名限定を予定していたが、総応募数は63人となった。そのため、イベントを主催するCycle 倶楽部R(伊那市役所自転車部)では、「13人の皆さんだけお断りすることは、あまりにも忍びない」「落選者を決めることが、あまりにも心苦しい」として、全員当選を決定。当選通知では<これもまた、あ~るファンの皆様ならば「良い加減=いいかげん」の精神を語らずもご理解いただけるものと信じての措置でございます>と綴っている。  さらに、応募枠とは別に、Cycle 倶楽部Rからも多数のメンバーが参加するため、自転車でやってくるメンバーだけでも80名あまり(一般参加者のほかに、伊那市役所自転車部13名、友好関係にある自治体自転車部から4名が参加予定)。さらに、田切駅で参加者を見送った後に電車などで伊那市駅に先回りして待ち構える予定の人々も多数いるという。  無人駅である田切駅は、普段は電車の時間に併せてちらほらと乗客がやってくる長閑な場所。失礼ながら、伊那市駅も普段はあまり人の姿はない(いつの間にか立ち食い蕎麦屋もなくなったし、今年、筆者が駅でコインロッカーの場所を聞いたら「数年前にキヨスクと一緒になくなっちゃったんだよね……」といった場所である)。そんな場所に、予想されるだけでも100人……いや、200人あまりが集結するわけだから、はからずもオタクと伊那市と飯田線を愛する人やらなにやらで、とにもかくにも祭典が催されることになる。  このイベント、なによりも主催者のノリが本気だ。Cycle 倶楽部Rの一員である伊那市創造館の捧剛太館長は、自身のTwitterで、『究極超人あ~る』の主人公であるR・田中一郎の正装たる学生服と下駄を準備。加えて、彼の愛車「轟天号」そのままの、ブリヂストンサイクルの名車・ロードマン(1980年代くらいまで、漫画雑誌によく広告が掲載されていたドロップハンドルの自転車で、多様なカスタムができることで知られた自転車である)も準備していることを告知している。しかも、伊那市駅前では、コスプレでゴールインを待ち構える予定の人もたくさんいるらしい(コスプレでの見送りは『究極超人あ~る』の原作でも登場したネタでもあり、期待が持てる)。
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当日は、この田切駅が200人あまりの
人で大混雑する(予定)。
 加えて、当日には1993年3月の結成以来、聖地である田切駅の清掃活動など20年にわたって<聖地巡礼>を続けて来た飯田線を愛する不思議な団体「田切ネットワーク」が、創立20周年を記念し13時より田切駅前「元・下村酒店」(田切駅の駅スタンプを保管してくれている)にて展覧会「夏への扉~20年目の同窓会」を開催する予定だ。この展覧会では、20年間の活動を記録した写真や資料が公開される。近年、<聖地巡礼>が盛り上がる中で学術的な研究も行われているが、過去どのような形で<聖地巡礼>が行われてきたのか、あるいは今盛り上がっている地域の未来はどうなるのかは、あまり語られることがない。この展覧会が、そうしたアプローチのきっかけになることを願って止まない。いや、意義とか語らなくても、まず20年続けて来たことがスゴい!  なお、イベント翌日の29日には、田切駅の清掃活動も行われる予定だ。かつて『究極超人あ~る』がとくに盛り上がっていた時期には、田切駅で駅寝をする人もいたようなので、我こそはという人は、まず駅寝して合流をしてほしいモノだ(なお、田切駅のホームはものすごく狭い! 落ちたら怪我ですまないかも知れないので自分の身は自分で)。  イベントも近づき、伊那市だけでなく田切駅の地元自治体である飯島町も協力を表明し、祭りに向けた準備は盛り上がり、着々と進んでいる。『究極超人あ~る』の正規ルートだと、東京発→石廊崎→下田→三島→豊橋→田切とものすごく遠いが、バスなら伊那市駅まで3時間半で到着できる。また、幸運にも青春18きっぷの期間なので片道1800円で中央線経由で7時間程度で田切駅までやってくることもできる。  出たトコ勝負で、前夜祭や打ち上げも開催される様相の一大イベント。自転車に乗らなくてもいいいから、駆けつけるしかない!  それにしても、こんなに作品が愛され続けるなんて、原作者のゆうきまさみ先生は、なんて幸せなんだろうか。 (文=昼間たかし) <自転車に乗らない人向け参加案内> ・「夏への扉~20年目の同窓会」 日時:7月28日(土)13:00頃~17:00頃 場所:田切駅前「元・下村酒店」 ※田切駅の階段降りて右へ ・自転車参加者見送り 日時:7月28日(土)17:00頃 田切駅前あたり ・ゴールイン出迎え 日時:7月28日(土)18:00頃 伊那市駅前 (田切駅発17:12で悠々到着できます) のち「伊那市駅100周年ばんざーい!」をして解散 伊那市駅開業100周年記念イベント <http://inashi-kankoukyoukai.jp/cms2/archives/16906> 田切ネットワーク <http://tagiri.net/>

無人駅に200名以上が集結!? 『究極超人あ~る』聖地の盛り上がりが、どうにもとまらない

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筆者の自転車もアップを始めました。
 各地で盛んに行われている、アニメ・マンガの舞台になった場所を訪れる<聖地巡礼>。先日、当サイトではその元祖である『究極超人あ~る』の聖地で行われる「伊那市駅開業100周年記念イベント 田切駅→伊那市駅・1Hour Bicycle Tour “轟天号を追いかけて”」を紹介したが(記事参照)、無事に参加者募集を終えて空前の盛り上がりを見せている。  7月28日(土)に行われるこのイベントは、伊那市駅開業100周年をお祝いするために、『究極超人あ~る』OVA版のクライマックスであるJR飯田線の田切駅から伊那市駅までを自転車で一時間かけて走り抜けるというもの。当初、募集は50名限定を予定していたが、総応募数は63人となった。そのため、イベントを主催するCycle 倶楽部R(伊那市役所自転車部)では、「13人の皆さんだけお断りすることは、あまりにも忍びない」「落選者を決めることが、あまりにも心苦しい」として、全員当選を決定。当選通知では<これもまた、あ~るファンの皆様ならば「良い加減=いいかげん」の精神を語らずもご理解いただけるものと信じての措置でございます>と綴っている。  さらに、応募枠とは別に、Cycle 倶楽部Rからも多数のメンバーが参加するため、自転車でやってくるメンバーだけでも80名あまり(一般参加者のほかに、伊那市役所自転車部13名、友好関係にある自治体自転車部から4名が参加予定)。さらに、田切駅で参加者を見送った後に電車などで伊那市駅に先回りして待ち構える予定の人々も多数いるという。  無人駅である田切駅は、普段は電車の時間に併せてちらほらと乗客がやってくる長閑な場所。失礼ながら、伊那市駅も普段はあまり人の姿はない(いつの間にか立ち食い蕎麦屋もなくなったし、今年、筆者が駅でコインロッカーの場所を聞いたら「数年前にキヨスクと一緒になくなっちゃったんだよね……」といった場所である)。そんな場所に、予想されるだけでも100人……いや、200人あまりが集結するわけだから、はからずもオタクと伊那市と飯田線を愛する人やらなにやらで、とにもかくにも祭典が催されることになる。  このイベント、なによりも主催者のノリが本気だ。Cycle 倶楽部Rの一員である伊那市創造館の捧剛太館長は、自身のTwitterで、『究極超人あ~る』の主人公であるR・田中一郎の正装たる学生服と下駄を準備。加えて、彼の愛車「轟天号」そのままの、ブリヂストンサイクルの名車・ロードマン(1980年代くらいまで、漫画雑誌によく広告が掲載されていたドロップハンドルの自転車で、多様なカスタムができることで知られた自転車である)も準備していることを告知している。しかも、伊那市駅前では、コスプレでゴールインを待ち構える予定の人もたくさんいるらしい(コスプレでの見送りは『究極超人あ~る』の原作でも登場したネタでもあり、期待が持てる)。
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当日は、この田切駅が200人あまりの
人で大混雑する(予定)。
 加えて、当日には1993年3月の結成以来、聖地である田切駅の清掃活動など20年にわたって<聖地巡礼>を続けて来た飯田線を愛する不思議な団体「田切ネットワーク」が、創立20周年を記念し13時より田切駅前「元・下村酒店」(田切駅の駅スタンプを保管してくれている)にて展覧会「夏への扉~20年目の同窓会」を開催する予定だ。この展覧会では、20年間の活動を記録した写真や資料が公開される。近年、<聖地巡礼>が盛り上がる中で学術的な研究も行われているが、過去どのような形で<聖地巡礼>が行われてきたのか、あるいは今盛り上がっている地域の未来はどうなるのかは、あまり語られることがない。この展覧会が、そうしたアプローチのきっかけになることを願って止まない。いや、意義とか語らなくても、まず20年続けて来たことがスゴい!  なお、イベント翌日の29日には、田切駅の清掃活動も行われる予定だ。かつて『究極超人あ~る』がとくに盛り上がっていた時期には、田切駅で駅寝をする人もいたようなので、我こそはという人は、まず駅寝して合流をしてほしいモノだ(なお、田切駅のホームはものすごく狭い! 落ちたら怪我ですまないかも知れないので自分の身は自分で)。  イベントも近づき、伊那市だけでなく田切駅の地元自治体である飯島町も協力を表明し、祭りに向けた準備は盛り上がり、着々と進んでいる。『究極超人あ~る』の正規ルートだと、東京発→石廊崎→下田→三島→豊橋→田切とものすごく遠いが、バスなら伊那市駅まで3時間半で到着できる。また、幸運にも青春18きっぷの期間なので片道1800円で中央線経由で7時間程度で田切駅までやってくることもできる。  出たトコ勝負で、前夜祭や打ち上げも開催される様相の一大イベント。自転車に乗らなくてもいいいから、駆けつけるしかない!  それにしても、こんなに作品が愛され続けるなんて、原作者のゆうきまさみ先生は、なんて幸せなんだろうか。 (文=昼間たかし) <自転車に乗らない人向け参加案内> ・「夏への扉~20年目の同窓会」 日時:7月28日(土)13:00頃~17:00頃 場所:田切駅前「元・下村酒店」 ※田切駅の階段降りて右へ ・自転車参加者見送り 日時:7月28日(土)17:00頃 田切駅前あたり ・ゴールイン出迎え 日時:7月28日(土)18:00頃 伊那市駅前 (田切駅発17:12で悠々到着できます) のち「伊那市駅100周年ばんざーい!」をして解散 伊那市駅開業100周年記念イベント <http://inashi-kankoukyoukai.jp/cms2/archives/16906> 田切ネットワーク <http://tagiri.net/>

これが<聖地巡礼>の神髄──『究極超人あ~る』のクライマックス再現イベント

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伊那市観光協会公式ホームページより
 いまや全国各地で盛んに行われている、漫画やアニメ作品の舞台となった土地を訪問する「聖地巡礼」。訪れるファンの心を掴み、町おこしのきっかけにしようと、あちこちの市町村が作品にあやかった企画を展開している。祭りから婚活イベントまで、その内容は多種多様だ。そんな中、「聖地巡礼」の元祖といわれる土地で、作品のテイストを理解しまくったイベントが開催される。  7月28日(土)に開催予定の「田切駅→伊那市駅 1hour Bicycle Tour“轟天号を追いかけて”」だ。伊那市駅開業100周年記念行事の一環として行われるこのイベントは、飯田線の田切駅、伊那市駅をはじめ沿線が舞台となり、ファンが押し寄せる「聖地巡礼」の元祖となったアニメ『究極超人あ~る』(1991年OVAリリース)のクライマックスシーンを再現するというもの。  このイベントを主催するのは、Cycle 倶楽部R(伊那市役所自転車部)と伊那市の暮らし100年地域活性化推進委員会だ。伊那市駅開業100周年を記念すると共に、「聖地巡礼」の元祖でもある当地の町おこしを兼ねている。  ところが、このイベント、ほかの「聖地巡礼」イベントでは見たことのない強烈な個性を放っているのだ。  開催要項によれば、早くも92年夏に伊那市役所の自転車愛好者たちは、田切駅から伊那市駅を1時間で走れるのか実験を行ったという。その結果を開催要項では、次のように記す。 「参加車は36分から1時間10数分のうちに全員が完走。1台1人乗車であれば(普通に走れば)充分『田切駅→伊那市駅1時間』は走りきれることが証明されたのである(ちなみに1時間以上かかったヤツは普通に走っていない)」  田切駅から伊那市駅までは17.5キロ。36分なんて、よほど自転車に乗り慣れた強靱な肉体の持ち主でなければ不可能なんじゃなかろうか。さらに、開催要項の「開催主旨」の項目では「これを期に関係者・参加者全員が正気に戻ることを祈念します」と書いているし、開催日程の項目でもスタート後は「好きな角を曲がってください」と、元ネタを知らないと、まったくわからないギャグを挿入しているのだ。  さらに、「ゴールゲートやゴールラインはありません。が“西園寺ツーリスト”の辺りが、ゴールっちゃあゴールです。……そういえばスタートラインもないです」と投げっぱなし。おまけに、ゴールした後は「伊那市駅100周年ばんざーい! をして解散」とのこと。まるで、脳天気で出たこと勝負な『究極超人あ~る』の登場人物たちが作成したかのような開催要項である。  イベントを主催するCycle 倶楽部Rの一員である伊那市創造館の捧剛太館長は、「伊那市駅開業100周年記念でさまざまな行事が行われる中で、この資産を生かさない手はないと思ったんです」と話す。いまだに飯田線を旅する人々が『究極超人あ~る』のことを思い浮かべ、挿入歌「飯田線のバラード」を聞きながら列車に揺られているのは、よく見られる風景。さまざまな作品の舞台となる伊那市だが、これほど熱い作品はほかにない。  とはいえ、17.5キロを1時間以内に走破するのは、かなり苦しいような気がするのだが……。 「普通に走ると、ちょっとキツイかも知れません。ママチャリだと無理でしょうね」(捧館長)  とのこと。とはいえ、基本的なルートは国道沿いなので、それなりの自転車ならば無理のない距離らしい。それに、原作では自転車に10人乗りで走り抜いた(うち7人は途中で、振り落とされる展開)のだから、1台の自転車で1人なら、かなり楽勝なのではなかろうか。  さらに今回、参加者に配布されるスタンプカードは、原作者のゆうきまさみ氏、小学館、バンダイビジュアルの許可も得た公式のもの。しかも、無事にゴールすれば、このイベントのために制作された「西園寺ツーリスト伊那営業所17:59」のスタンプが押してもらえるのだとか。  参加者は50人限定、自分で自転車を持って田切駅まで集合と、かなりハードルの高いイベントだ。だとしても、この夏、これほど参加することに意義のあるイベントはないだろう。さっそく応募してトレーニングに励みたい。  なお、OVAを知っている人は「西園寺ツーリスト」のガラス戸を轟天号もろともぶち破ってゴールしたシーンを記憶していると思うが、現実には“西園寺ツーリスト”のあるあたりは無関係なお店なので注意を。 (取材・文=昼間たかし) イベントの詳細:伊那市観光協会公式ホームページ伊那市駅開業100周年記念イベント <http://inashi-kankoukyoukai.jp/cms2/archives/16906>