「努力は本当に報われる」最年長研究生・松村香織が涙 AKB48総選挙徹底分析!!(後編)

AKBIMG_2409.jpg  6月6日に幕を閉じたAKB48“涙の祭典”「27thシングル選抜総選挙」。初ランクイン、急上昇、歓喜、涙、抱擁……数々の熱いドラマが繰り広げられた順位から注目の名場面をピックアップして紹介する。 ■16位:梅田彩佳 (AKB48チームK:速報14位/09年圏外、10年32位、11年22位/2万4522票) AKBIMG_2062.jpg  昨年は22位でアンダーガールズのセンターを務め、今年は自分だけの順位“位置位”を目指した梅田彩佳が6ランクアップ。総選挙での選抜入りは初であり、第2回じゃんけん選抜の「上からマリコ」、配信限定シングル「Baby! Baby! Baby!」を抜かせば、メジャーデビューシングル「会いたかった」以来の選抜入りとなる。  足の骨折によって2006年末から約1年半の活動休止し、地元・福岡で療養。復帰後もAKB48の冠番組にはなかなか呼ばれない日々があった。悔しさをバネに大好きなダンスに打ち込み、自ら研鑽を続けてきた彼女。常にファンとの交流を“だいじんもん(博多弁で大事なもの)”として、今年は、自分の生誕祭の実行委員に自らが加わり、握手会のわずかな時間でファンと一緒に演出を考えた。  そんな優しいファンに支えられ、3年連続のガッツポーズで壇上に上がり、「芸能界で頑張っていく間に楽しいことも、苦しいこともたくさんあると思いますが、たとえ苦しいことが100%のうち99%あったとしても、たった1%うれし涙が流せるようなうれしいことがあるなら、私は必ず前を向いて頑張ります。これからも私の足あと見ていてください。本当にありがとうございました」と堂々の挨拶。順位が上がったら、写真集を出すと公約しており、その行方も注目だ。 ■19位:渡辺美優紀 (NMB48チームN・AKB48チームB:速報19位/09年未加入、10年未加入、11年圏外/1万9159票) AKBIMG_1991.jpg  魔性の笑顔でファンをトリコにする渡辺美優紀が昨年ランク外から19位を獲得。昨年は泣きながら会場を後にしたが、今年は見事壇上に上がった。「去年の総選挙では、最後まで名前を呼ばれることがなく、皆さんにこうしてお顔を見せることができなかったんですが、今年はこうして皆さんのお顔を見て、感謝の気持ちを伝えられることが、本当にうれしいです」とうれし涙を見せた。「もっともっと上を目指して、日本一のアイドルになれるように、みなさんと一緒に頑張っていきたい」と宣言。09年に松井珠理奈、10年に指原莉乃、11年に横山由依が輝き、さらに飛躍していった“ラッキーナンバー”19位を胸に、彼女の進撃が始まる。 ■34位:松村香織 (SKE48研究生:速報39位/09年未加入、10年圏外、11年圏外)/9030票) AKBIMG_1756.jpg  現在、AKB48グループ最年長最長研究生であるSKE48研究生・松村香織。メイドカフェ店員からSKE48に加入し、日の目を浴びないこと2年。半年前にGoogle+と出会い、「今夜も1コメダ」開始、ぐぐたす選抜入りを経て、今回34位に躍り出た。「2年半諦めないで頑張ってきたということを皆さんが証明してくださいました。努力は本当に報われると思いました」と感情を爆発させた。ただ自分をアピールするだけでなく、卒業生していった仲間の無念さも背負いながら、「まだまだ、SKE48研究生は知られていません。私よりももっと可愛い子、ダンスが上手い子、引っ張ってくれる子、裏で支えてくれる子、いっぱいいます。48グループ正規チームに負けないくらいの勢いなので、SKE48研究生と松村香織をよろしくお願いします」とSKE48研究生の心の声を代弁し、仲間たちも涙。最後に、「BBQ松村香織の今夜も~」とファンに呼びかけ、「1コメダ!」と日本武道館に轟かせた。ステージから汗を飛ばし、突風を吹かせるSKE48研究生公演は、必見だ。 ■37位:中田ちさと (AKB48チームA:速報40位/09年圏外、10年圏外、11年圏外/8315票) AKBIMG_1734.jpg  Mousaの長女・中田ちさとが36位・仲谷明香と並んでランクイン。「私は今まで総選挙に入ったことがなくて、それでもファンの皆さんは、『入っても入らなくても応援し続けることは変わらないから』とずっと言って下さっていたので、ここまで頑張ってこれました」とファンの支えによって活動できたことに感謝。「37位という順位を大切にこれからは悩むことなく進んでいきたいと思います」と決意を語った。ブラックな“ブラっちぃ”な面も時に見せながら、『雪崩式ブレーンバスターラジオ』(新宿ネット局)、『PigooRadio~Mousa』(エンタ!371)などを通じてトーク力を身に着け、常にファンへの恩返しの方法を考えながら成長してきた中田。6月18日のMousaイベントで祝勝会だ。 ■41位:小林香菜 (AKB48チームB:速報43位/09年圏外、10年圏外、11年圏外/7195票) AKBIMG_1723.jpg  現在AKB48最多劇場出演者である小林香菜がついに総選挙に初ランクイン。壇上に上がる際に、「私の彼氏」と語ったこともある秋元才加と歓喜の抱擁を交わし、メンバー全員を笑顔にさせた。「私は4回目で初めてこのステージに上がることができました。毎日不安でいっぱいだったんですけど、秋元才加ちゃんと話したら、『小林のファンの力強さはハンパないよ』と言われたので、今度は私の底力を見せる番だと思います」と熱弁。強く気高く実は脆い秋元にとって、おバカだけど感性豊かな小林には、唯一素の自分を見せられる存在だったのかもしれない。小林は「リクエストアワーセットリストベスト100」でメイン曲「くるくるぱー」が14位に急浮上し、ウド鈴木との冠番組『ウドちゃんカナちゃん お悩み相談本舗』(TOKYO MX)も開始するなど活動の幅を広げている。 ■44位:仲川遥香 (AKB48チームA:速報38位/09年圏外、10年20位、11年24位/6890票) AKBIMG_1707.jpg  総選挙の演説VTRでは、漆黒のドレスで大人の女性をアピールした仲川遥香。だが、前回24位から20ランクダウンとなってしまった。すると「私、仲川遥香は、今まで呼んでいただいている“はるごん”を卒業したいと思います」とまさかのはるごん卒業を宣言。「はるごんというイメージでキャラがついてしまったり、それに甘えて、自分がちゃんと成長できていなかったと感じるようになって、新しい仲川遥香になって、皆さんに応援して頂けるように、頑張りたい」とその事情を説明。実は、仲川は20歳の誕生日に秋元康総合プロデューサーから「もう二十歳なんだから、自分のことを“はるごん”と言うのはやめた方がいいんじゃないか?」と提案されていたのだった。早速、仲川はGoogle+で新ニックネーム総選挙を行って今後は「はるさん」を名乗ると決定し、変化を恐れず突き進む。 ■45位:田野優花 (AKB48チーム4:速報圏外/09年未加入、10年未加入、11年未加入/6694票) AKBIMG_1646.jpg  今年劇場最多出演となる70回オーバーのチーム4・田野優花がランクイン。大島優子、高橋みなみ、渡辺麻友のアンダーを担当し、キレのあるダンスで先輩からも一目置かれている。「私の総選挙の目標は64位だったのでフューチャーガールズが呼ばれた時点で諦めていたんですけど、45位という順位をすばらしい順位を頂いて本当に嬉しいです。これからも自分らしさを忘れずに頑張っていきますのでよろしくお願いします」と圏外からの入賞に驚きながらも、感謝を語った。 ■47位:宮脇咲良 (HKT48チームH:速報圏外/09年未加入、10年未加入、11年未加入/6635票) AKBIMG_1767.jpg  「慣れは去れ」を標語とする劇団四季の「ライオン・キング」にヤングナラとして出演経験があり、HKT48として活動する宮脇咲良が圏外からランクイン。「昨日より今日、今日より明日と日々向上心を持って、支えてくれた人たちに恩返しをしながら、頑張って行きたいと思っていますので応援よろしくお願いします」と今回入賞者で最年少14歳ながら堂々たるコメント。被災地を訪問した際に綴ったGoogle+の文章は反響をもたらし、公演では誰よりも熱いまなざしで客席を見つめる彼女。だが、『あるあるYYテレビ』(TVQ)で付いたあだ名は「よだれちゃん」。それも糧として女優としての未来を着実に見据えながら、成長する宮脇の歴史はまだ始まったばかりだ。 ■56位:木本花音 (SKE48チームE:速報44位/09年未加入、10年未加入、11年圏外/5982票) AKBIMG_1587.jpg  SKE48チームEのから唯一ランクインしたのはエース・木本花音。SKE48では「1!2!3!4! ヨロシク!」以来6作連続で選抜に入り、「真夏のSounds good!」でAKB48の選抜にも参加した。「本当にこのステージに立ててうれしいです。でも、私の目指すところは選抜メンバーなので、もっとそこに近づけるように頑張っていきます」と宣言。だが、SKE48研究生をアピールした松村香織のコメントに触発され、Google+に「チームEのアピールをできなかったのが心残りです」と綴った。14歳の次世代ホープに新たな自覚が芽生えた。 ■60位:小笠原茉由 (NMB48チームN:速報圏外/09年未加入、10年未加入、11年圏外/5919票) AKBIMG_1575.jpg  アグレッシブに汗をかきながら踊る小笠原茉由が圏外から60位に。「このステージは私を信じて支えてくださっている皆さんが送って下さったステージです。皆さんとこのステージに一緒に立ってるつもりで、皆さんの代表のつもりでマイクを持ってしゃべらしていただいています」とファンに感謝。「これからも小笠原超特急になって、皆さんを乗せて、愛を乗せて、どんどん上の世界まで突っ走っていきたい」とさらに向上することを誓った。この結果をバネに『キングオブコント2012』(TBS系)に挑む。 ■63位:中西優香 (SKE48チームS:速報63位/09年圏外、10年圏外、11年圏外/5592票) AKBIMG_1488.jpg  “巷で噂の男子系女子”SKE48・中西優香が初のランクイン。常にテンションアゲアゲなパフォーマンスと後輩に率先してダンスを教える優しさで、SKE48を支えてきた真の功労者。「こうやってこの舞台に立てるなんて本当に夢みたいです。私にこんなに票を入れてくだされるなんて、こんなに思って頂けるなんて本当に幸せです。この順位に恥じないようこれからも精進していくことを誓います」と歓喜の涙。チームSメンバー、AKB48の“地方組”の仲間である大家志津香、北原里英、指原莉乃も大いに喜んだ。仲間とファンの愛に包まれて、「愛の歌を歌おう みんな 一緒に」。  * * *  胸に去来した思いを自分の言葉で表現したメンバーたち。彼女たちが涙を流すのは、その順位が、“誰かの涙のしみた順位”だからだ。普段は仲間であるメンバーが立ちたかったその位置を奪い合う、その残酷なまでのリアリティが人々を魅了する。世代交代をテーマに、切磋琢磨しながら互いを成長させあう彼女たち。来年の総選挙への戦いは、もう始まっているのかもしれない。 (文=本城零次<http://ameblo.jp/iiwake-lazy/>/撮影=後藤秀二)

「努力は本当に報われる」最年長研究生・松村香織が涙 AKB48総選挙徹底分析!!(後編)

AKBIMG_2409.jpg  6月6日に幕を閉じたAKB48“涙の祭典”「27thシングル選抜総選挙」。初ランクイン、急上昇、歓喜、涙、抱擁……数々の熱いドラマが繰り広げられた順位から注目の名場面をピックアップして紹介する。 ■16位:梅田彩佳 (AKB48チームK:速報14位/09年圏外、10年32位、11年22位/2万4522票) AKBIMG_2062.jpg  昨年は22位でアンダーガールズのセンターを務め、今年は自分だけの順位“位置位”を目指した梅田彩佳が6ランクアップ。総選挙での選抜入りは初であり、第2回じゃんけん選抜の「上からマリコ」、配信限定シングル「Baby! Baby! Baby!」を抜かせば、メジャーデビューシングル「会いたかった」以来の選抜入りとなる。  足の骨折によって2006年末から約1年半の活動休止し、地元・福岡で療養。復帰後もAKB48の冠番組にはなかなか呼ばれない日々があった。悔しさをバネに大好きなダンスに打ち込み、自ら研鑽を続けてきた彼女。常にファンとの交流を“だいじんもん(博多弁で大事なもの)”として、今年は、自分の生誕祭の実行委員に自らが加わり、握手会のわずかな時間でファンと一緒に演出を考えた。  そんな優しいファンに支えられ、3年連続のガッツポーズで壇上に上がり、「芸能界で頑張っていく間に楽しいことも、苦しいこともたくさんあると思いますが、たとえ苦しいことが100%のうち99%あったとしても、たった1%うれし涙が流せるようなうれしいことがあるなら、私は必ず前を向いて頑張ります。これからも私の足あと見ていてください。本当にありがとうございました」と堂々の挨拶。順位が上がったら、写真集を出すと公約しており、その行方も注目だ。 ■19位:渡辺美優紀 (NMB48チームN・AKB48チームB:速報19位/09年未加入、10年未加入、11年圏外/1万9159票) AKBIMG_1991.jpg  魔性の笑顔でファンをトリコにする渡辺美優紀が昨年ランク外から19位を獲得。昨年は泣きながら会場を後にしたが、今年は見事壇上に上がった。「去年の総選挙では、最後まで名前を呼ばれることがなく、皆さんにこうしてお顔を見せることができなかったんですが、今年はこうして皆さんのお顔を見て、感謝の気持ちを伝えられることが、本当にうれしいです」とうれし涙を見せた。「もっともっと上を目指して、日本一のアイドルになれるように、みなさんと一緒に頑張っていきたい」と宣言。09年に松井珠理奈、10年に指原莉乃、11年に横山由依が輝き、さらに飛躍していった“ラッキーナンバー”19位を胸に、彼女の進撃が始まる。 ■34位:松村香織 (SKE48研究生:速報39位/09年未加入、10年圏外、11年圏外)/9030票) AKBIMG_1756.jpg  現在、AKB48グループ最年長最長研究生であるSKE48研究生・松村香織。メイドカフェ店員からSKE48に加入し、日の目を浴びないこと2年。半年前にGoogle+と出会い、「今夜も1コメダ」開始、ぐぐたす選抜入りを経て、今回34位に躍り出た。「2年半諦めないで頑張ってきたということを皆さんが証明してくださいました。努力は本当に報われると思いました」と感情を爆発させた。ただ自分をアピールするだけでなく、卒業生していった仲間の無念さも背負いながら、「まだまだ、SKE48研究生は知られていません。私よりももっと可愛い子、ダンスが上手い子、引っ張ってくれる子、裏で支えてくれる子、いっぱいいます。48グループ正規チームに負けないくらいの勢いなので、SKE48研究生と松村香織をよろしくお願いします」とSKE48研究生の心の声を代弁し、仲間たちも涙。最後に、「BBQ松村香織の今夜も~」とファンに呼びかけ、「1コメダ!」と日本武道館に轟かせた。ステージから汗を飛ばし、突風を吹かせるSKE48研究生公演は、必見だ。 ■37位:中田ちさと (AKB48チームA:速報40位/09年圏外、10年圏外、11年圏外/8315票) AKBIMG_1734.jpg  Mousaの長女・中田ちさとが36位と並んでランクイン。「私は今まで総選挙に入ったことがなくて、それでもファンの皆さんは、『入っても入らなくても応援し続けることは変わらないから』とずっと言って下さっていたので、ここまで頑張ってこれました」とファンの支えによって活動できたことに感謝。「37位という順位を大切にこれからは悩むことなく進んでいきたいと思います」と決意を語った。ブラックな“ブラっちぃ”な面も時に見せながら、『雪崩式ブレーンバスターラジオ』(新宿ネット局)、『PigooRadio~Mousa』(エンタ!371)などを通じてトーク力を身に着け、常にファンへの恩返しの方法を考えながら成長してきた中田。6月18日のMousaイベントで祝勝会だ。 ■41位:小林香菜 (AKB48チームB:速報43位/09年圏外、10年圏外、11年圏外/7195票) AKBIMG_1723.jpg  現在AKB48最多劇場出演者である小林香菜がついに総選挙に初ランクイン。壇上に上がる際に、「私の彼氏」と語ったこともある秋元才加と歓喜の抱擁を交わし、メンバー全員を笑顔にさせた。「私は4回目で初めてこのステージに上がることができました。毎日不安でいっぱいだったんですけど、秋元才加ちゃんと話したら、『小林のファンの力強さはハンパないよ』と言われたので、今度は私の底力を見せる番だと思います」と熱弁。強く気高く実は脆い秋元にとって、おバカだけど感性豊かな小林には、唯一素の自分を見せられる存在だったのかもしれない。小林は「リクエストアワーセットリストベスト100」でメイン曲「くるくるぱー」が14位に急浮上し、ウド鈴木との冠番組『ウドちゃんカナちゃん お悩み相談本舗』(TOKYO MX)も開始するなど活動の幅を広げている。 ■44位:仲川遥香 (AKB48チームA:速報38位/09年圏外、10年20位、11年24位/6890票) AKBIMG_1707.jpg  総選挙の演説VTRでは、漆黒のドレスで大人の女性をアピールした仲川遥香。だが、前回24位から20ランクダウンとなってしまった。すると「私、仲川遥香は、今まで呼んでいただいている“はるごん”を卒業したいと思います」とまさかのはるごん卒業を宣言。「はるごんというイメージでキャラがついてしまったり、それに甘えて、自分がちゃんと成長できていなかったと感じるようになって、新しい仲川遥香になって、皆さんに応援して頂けるように、頑張りたい」とその事情を説明。実は、仲川は20歳の誕生日に秋元康総合プロデューサーから「もう二十歳なんだから、自分のことを“はるごん”と言うのはやめた方がいいんじゃないか?」と提案されていたのだった。早速、仲川はGoogle+で新ニックネーム総選挙を行って今後は「はるさん」を名乗ると決定し、変化を恐れず突き進む。 ■45位:田野優花 (AKB48チーム4:速報圏外/09年未加入、10年未加入、11年未加入/6694票) AKBIMG_1646.jpg  今年劇場最多出演となる70回オーバーのチーム4・田野優花がランクイン。大島優子、高橋みなみ、渡辺麻友のアンダーを担当し、キレのあるダンスで先輩からも一目置かれている。「私の総選挙の目標は64位だったのでフューチャーガールズが呼ばれた時点で諦めていたんですけど、45位という順位をすばらしい順位を頂いて本当に嬉しいです。これからも自分らしさを忘れずに頑張っていきますのでよろしくお願いします」と圏外からの入賞に驚きながらも、感謝を語った。 ■47位:宮脇咲良 (HKT48チームH:速報圏外/09年未加入、10年未加入、11年未加入/6635票) AKBIMG_1767.jpg  「慣れは去れ」を標語とする劇団四季の「ライオン・キング」にヤングナラとして出演経験があり、HKT48として活動する宮脇咲良が圏外からランクイン。「昨日より今日、今日より明日と日々向上心を持って、支えてくれた人たちに恩返しをしながら、頑張って行きたいと思っていますので応援よろしくお願いします」と今回入賞者で最年少14歳ながら堂々たるコメント。被災地を訪問した際に綴ったGoogle+の文章は反響をもたらし、公演では誰よりも熱いまなざしで客席を見つめる彼女。だが、『あるあるYYテレビ』(TVQ)で付いたあだ名は「よだれちゃん」。それも糧として女優としての未来を着実に見据えながら、成長する宮脇の歴史はまだ始まったばかりだ。 ■56位:木本花音 (SKE48チームE:速報44位/09年未加入、10年未加入、11年圏外/5982票) AKBIMG_1587.jpg  SKE48チームEのから唯一ランクインしたのはエース・木本花音。SKE48では「1!2!3!4! ヨロシク!」以来6作連続で選抜に入り、「真夏のSounds good!」でAKB48の選抜にも参加した。「本当にこのステージに立ててうれしいです。でも、私の目指すところは選抜メンバーなので、もっとそこに近づけるように頑張っていきます」と宣言。だが、SKE48研究生をアピールした松村香織のコメントに触発され、Google+に「チームEのアピールをできなかったのが心残りです」と綴った。14歳の次世代ホープに新たな自覚が芽生えた。 ■60位:小笠原茉由 (NMB48チームN:速報圏外/09年未加入、10年未加入、11年圏外/5919票) AKBIMG_1575.jpg  アグレッシブに汗をかきながら踊る小笠原茉由が圏外から60位に。「このステージは私を信じて支えてくださっている皆さんが送って下さったステージです。皆さんとこのステージに一緒に立ってるつもりで、皆さんの代表のつもりでマイクを持ってしゃべらしていただいています」とファンに感謝。「これからも小笠原超特急になって、皆さんを乗せて、愛を乗せて、どんどん上の世界まで突っ走っていきたい」とさらに向上することを誓った。この結果をバネに『キングオブコント2012』(TBS系)に挑む。 ■63位:中西優香 (SKE48チームS:速報63位/09年圏外、10年圏外、11年圏外/5592票) AKBIMG_1488.jpg  “巷で噂の男子系女子”SKE48・中西優香が初のランクイン。常にテンションアゲアゲなパフォーマンスと後輩に率先してダンスを教える優しさで、SKE48を支えてきた真の功労者。「こうやってこの舞台に立てるなんて本当に夢みたいです。私にこんなに票を入れてくだされるなんて、こんなに思って頂けるなんて本当に幸せです。この順位に恥じないようこれからも精進していくことを誓います」と歓喜の涙。チームSメンバー、AKB48の“地方組”の仲間である大家志津香、北原里英、指原莉乃も大いに喜んだ。仲間とファンの愛に包まれて、「愛の歌を歌おう みんな 一緒に」。  * * *  胸に去来した思いを自分の言葉で表現したメンバーたち。彼女たちが涙を流すのは、その順位が、“誰かの涙のしみた順位”だからだ。普段は仲間であるメンバーが立ちたかったその位置を奪い合う、その残酷なまでのリアリティが人々を魅了する。世代交代をテーマに、切磋琢磨しながら互いを成長させあう彼女たち。来年の総選挙への戦いは、もう始まっているのかもしれない。 (文=本城零次<http://ameblo.jp/iiwake-lazy/>/撮影=後藤秀二)

「総選挙は切磋琢磨し、向上するための目盛り」世代交代の兆しが見えたAKB48総選挙徹底分析!!(前編)

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1位発表の瞬間、優子はメンバーを振り向いて高々と鬨を挙げた。
 AKB48は磨き抜かれたダイヤモンドではない。まだまだ原石である。原石ゆえに互いを切磋琢磨し合わなければ、光れない。だが、互いを研磨し、火花を散らすその“熱さ”に人々は魅了される。ファンが自ら手を加え、原石をラフカットし、真に輝ける角度を見つけていく。そのプロセス、その現象も含めて、AKB48なのだ。今日も彼女たちは時に傷つきながら、互いを磨き合う。いつか真のダイヤモンドになれる日を、愚直に、夢見て……。  AKB48“涙の祭典”「27thシングル選抜総選挙」が6月6日に幕を閉じた。取材メディアは昨年より200人多い700人が駆けつけ、Google+で生中継があったにもかかわらず、フジテレビの生中継の視聴率は、平均18.7%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)を記録した。大島優子の返り咲き1位、若手メンバーの躍進、SKE48の浮上と数々のドラマを生んだ総選挙に、独自の分析を交えてレポートする。  上位陣には、渡辺麻友2位、松井珠理奈9位とそれぞれ躍進し、世代交代の兆候が見えた。新勢力に向けて最年長の篠田麻里子は「先輩ツブすつもりで来てください」と挑発ともとれる言葉で若手を鼓舞し、新旧世代のせめぎ合いから新たなAKB48像を模索することを宣誓した。  今年は、昨年までの40位から64位まで枠が拡大する中、SKE48は、15人がランクイン。昨年は40位内に6人だったが、今年は40位内に12人が入賞。熱烈峻厳の思いで必死にパフォーマンスに励み、ストイックに汗を流してきた名古屋嬢の底力を見せつけた。東海地方では、中継番組は21.5%(ビデオリサーチ調べ、名古屋地区)と関東よりも高い視聴率を記録し、大村秀章愛知県知事もTwitterで賞賛した。  そのSKE48の最年長最長研究生・松村香織、AKB48からSKE48に移籍し、立ち上げから功労を果たしてきた中西優香、握手会で客が0人だった経験がある矢方美紀が初ランクイン。彼女たちと同じく、メディアよりも劇場を中心に活躍してきたAKB48メンバーも次々入賞。小林香菜、中田ちさと、仲谷明香のほか、今年最も公演に出演している田野優花も総選挙に名を刻み、テレビで振りまく笑顔同等あるいはそれ以上に、劇場で流す汗の一滴一滴の美しさが、ファンの心に刺さることを証明した。中でも、自称カップルの小林と秋元才加が交わした歓喜の抱擁は総選挙史上に残る名場面として語り継がれるだろう。  過去に09年に松井珠理奈、10年に指原莉乃、11年に横山由依が輝いた“ラッキーナンバー”19位は、NMB48の小悪魔・渡辺美優紀が獲得。NMB48は合計5人が入り、存在感を示し、18位・山本彩は昨年の8,697票に対して、今年2万3,020票を獲得し、前年との比較で2.7倍という最高倍率を記録。今年の速報と最終結果の比較では秋元才加の11.2倍が最高だった。  総投票数は138万4,122票で、昨年の116万6,145票から約22万票も増加。だが、1位・大島優子の獲得票数は昨年の12万2,843票から10万8,837票、2位の渡辺麻友は昨年5万9,118票から今年7万2,574票と増えたものの、3位柏木由紀は昨年7万4,252票から今年7万1,076票と下がっても順位を維持。一方、2年連続40位の藤江れいなは昨年4,698、今年7,782票で同位となっている。これは、64位まで当選枠が拡大したことで、前回以上に下位メンバーまでまんべんなく投票数の裾野が広がったことを表し、それだけAKB48グループの層が厚くなったことを証明した。 ■1位:大島優子 (AKB48チームK:速報1位/09年2位、10年1位、11年2位/10万8837票) AKBIMG_2527.jpg  大本命として見事1位を戴冠した大島優子は「私は秀でた才能もないですけども、ただただ何事も全力で笑顔でやってきたことが実になって、その実に皆さんが水をかけてくれて、太陽のような光を浴びさせてくれて、咲くことができています。でも、花はいつか枯れてしまうと思いますので。枯れないためにも、いつまでも太陽のような存在でいてください」とファンに支えられて成長する自らを花になぞらえた。センターの座に返り咲き、「この景色をもう一度見たかったんです。本当にありがとうございます」とファンから贈られた1位という絶景に感謝した。  前田敦子が卒業を決め、世代交代がテーマとされた今回だが、仲間のメンバーに対しては「あっちゃんが道を開こうと頑張ってくれるので、私はこの順位で、その開いた道の土台になればいいと思っています。64位からずっとみんなのコメントを聞いてると、本当に士気が高くて、AKB48グループは本当に志が高いと思います。それだったら、まだまだやれる! そう思いました」と、新たなAKB48を作る礎となることを宣言。駆けつけた前田敦子と大島はハグを交わし、前田は「今日の優子は、本当にキラキラしてます」と絶賛し、「AKBには限界はない」とエールを送った。 AKBIMG_2554.jpg  総選挙終了後の囲み取材で大島は、今後の卒業の可能性について聞かれ、「ないですね。本当にAKB48を全力でやらせていただきます」と否定。改めて世代交代について、「私たちをはねのけるぐらい、『どけ!』って言うぐらいの子たちが上がってきたら、私たちだって『この子たちがいるんなら大丈夫だ』と思える。『どうぞ、立ち向かってきてください』という思い。それに私たちもちゃんとぶつかる覚悟でいます」と、新世代からの挑戦を待ち望んだ。  変幻自在のエンターティナー・大島が誰より華麗に踊るのは、天賦の才というよりは努力によって獲得したもの。そして、彼女の言葉が人の心を打つのは、語彙を増やそうと読書も心がけているから。昨年、大島が「票数は皆さんの愛です」と語り、今回、多くのメンバーがその言葉を引用した。仲間たちを鼓舞するメッセージ力も彼女の強さだ。 ■2位:渡辺麻友 (AKB48チームB:速報3位/09年4位、10年5位、11年5位/7万2574票) AKBIMG_2488.jpg  昨年は「順位には左右されません」と語った渡辺麻友だが、「いままでは遠慮して、先輩についていくように活動をしてきましたが、これからは私たちのような若い世代が新しい道を切り開いていかなくてはならないと思います」と、世代交代を宣言。「もし、来年もまた総選挙があるならば、私は1位を獲りたいです! まだまだ私は未熟者かもしれませんが、来年までには必ずセンターになれるような人になりたいと思います!」と、次回のトップ獲りを予告した。  加入初期から次世代エースといわれながら、09年の4位以降、ランクアップできずに2年連続5位と「残念少女」の悔し涙を飲んできた渡辺。ドラマ『さばドル』(テレビ東京系)を通して、アイドルから38歳まで演じられる表現力を見せ、「シンクロときめき」でソロデビューを果たし、歌唱力も向上させ、「初のランクアップよ、こんにちわ」。これまでの「CGレボリューション」は一度も口にせず、ツインテールの髪型の頻度も減らして、ガールからレディーへと変ぼうしつつある。渡辺と大島優子は、二人で“おしりシスターズ”を結成しており、総選挙終了後も「おしりシスターズでワンツー獲ったね」と喜んだ。結成のきっかけとなったのは、柏木由紀の衣装のお尻の部分が汚れていたのを二人で指摘したことから。偶然にも、お尻仲間の3人が上位3位を独占した。 ■3位:柏木由紀 (AKB48チームB:速報2位/09年9位、10年8位、11年3位/7万1076票) AKBIMG_2412.jpg  前回“神7”の牙城を突き崩した柏木由紀。「選挙の政見放送で、『去年3位をいただいて、ステキな夢を見させていただきました』と言ったら、ファンの方が握手会で『夢で終わらせないからね』と言ってくださり、私はファンの皆さまに支えられているんだなと改めて実感しました」と握手会を大切にする彼女ならではのファンとの対話から得たエピソードを告白。  写真集『ゆ、ゆ、ゆきりん…』(集英社)発売時の会見では、「ファンの方が望んでくださるのでしたら、もっと上を目指したい」といつもの謙虚な発言だったが、壇上では「順位は一つでも上げたいなと思っていた」と秘めたる胸のうちを明かした。さらに、「今まで先輩に遠慮していたり、周りを見て気を遣っている自分が逆に申し訳ないなと思いました。これからは自分の思ったことや、自分のやりたいことや、闘争心もありのままを皆さんに見せていけるような、ステキな大人の女性として頑張っていけるように、これからも皆さんに感謝の気持ちを伝えていきたいと思います」と“闘争心”という大胆な言葉でその意識の変化を表した。  帰宅後、AKB48加入以来、ワンルームに二人で暮らす母から、昨年と同じく柏木の大好物・スイカに「おめでとう」と手書きしたものを手渡された柏木。今年も総選挙の壇上では一切泣かずに笑顔を振りまいた彼女だが、唯一、“一生アイドル”の戦闘服を脱いで安らげる母の前で、味わったそのスイカは、少しだけ涙の味がしたのではないだろうか。自分の夢のために、鹿児島から上京し、毎日自分より早起きしてくれる母への感謝という名の。 ■4位:指原莉乃 (AKB48チームA:速報4位/09年27位、10年19位、11年9位/6万7339票) AKBIMG_2370.jpg  速報4位で『笑っていいとも!』(フジテレビ系)でタモリから「誤報でしょ」とツッコまれた指原莉乃。前回「ダンスも下手で、歌も下手で」と語った彼女だが、「弱音を吐かない」と宣言。へたれキャラから意外とかわいいと思わせる“さしこ力”で、今の地位を築いた彼女だが、「指原でも4位になれるかなっていうのを勇気にしてくれる人が1人でもいるなら、もっともっと頑張らなきゃなと思いました」と、ファン目線を持ち、等身大で生きる彼女に自分を重ねて応援してくれるファンに感謝。故郷・大分の家族にも感謝し、地方組の仲間である中西優香の初ランクインに涙する姿も彼女らしかったが、徳光和夫の「今ならば バンジージャンプ 飛べるかも」という川柳には、両腕で“×”を作り、相変わらずの指原クオリティを見せた。 ■5位:篠田麻里子 (AKB48チームA:速報6位/09年3位、10年3位、11年4位/6万7017票)
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 松井珠理奈、多田愛佳など年下メンバーをかわいがる篠田麻里子だが、今回は違った。「『後輩に席を譲れ』と言う方もいるかもしれません。でも、私は席を譲らないと、上に上がれないメンバーはAKBでは勝てないと思います」と後輩を育てるためにあえて愛のムチを打った。「悔しい力をどんどん、先輩、私たちにぶつけてきて下さい。ツブすつもりできてください。私はいつでも待ってます。そんな心強い後輩が出てきたならば、笑顔で卒業したいと思います」とあえて挑発ともいえる表現で檄を飛ばし、壇上を見つめる非選抜メンバーも姿勢を正した。  かつて、新日本プロレスで起きた世代闘争でアントニオ猪木が叫んだ「てめえらの力で勝ち取ってみろコノヤロー」を彷彿させるストロングスタイルだった。総選挙終了後、Twitterで篠田は「終わってたくさんのメンバーから宣戦布告されました(笑)負けるもんか(笑)」と明かした。彼女の言葉は後輩たちの火を着け、それぞれブログやGoogle+で心情を吐露。NMB48・山本彩は「私の中の何かに火が点きました。言って下さったからには行かせて頂きます」、岩田華怜は「篠田さんの御言葉、絶対忘れません。全力で、ぶつかっていきたいと思います」、藤田奈那は「いつか必ず、先輩の席を奪えるような人になります」と記すなど、早くも化学反応を起こしている。この新旧勢力が互いを切磋琢磨するエネルギーこそがAKB48の今後の原動力となるだろう。 ■6位:高橋みなみ (AKB48チームA:速報5位/09年5位、10年6位、11年7位/6万5480票) AKBIMG_2331.jpg  AKB48グループの絶対的リーダー・高橋みなみ。「努力は報われない」という意見に対し、「全部は報われないかもしれない。運も必要かもしれない。でも、努力しなけりゃ始まりません。私にとって努力は無限大の可能性です」と改めて努力の尊さを説いた。総選挙について、「こうして順位をつけることで、一つの目盛り、秤ができて、私たちは切磋琢磨できているんだと思います」と、順位が互いを向上させあう指標になっている事実を強調。そして、改めて、整然と「努力は必ず報われると、私は人生をもって証明します」と宣言した。今回、初ランクインしたチームAの仲間・岩佐美咲、仲谷明香、中田ちさとの名前が呼ばれる度に涙した高橋。彼女たちの躍進は本人たちの努力はもちろん、愚直に生きる、愚直にしか生きられない高橋の背中を見ていたこともその一助となったことだろう。 ■7位:小嶋陽菜 (AKB48チームA:速報11位/09年6位、10年7位、11年6位/5万4483票) AKBIMG_2272.jpg  2010年速報10位から7位、11年も速報10位から6位、そして今年は速報11位から7位と、本人と同じくファンもスロースターターなのが定番の小嶋陽菜。過去2年連続で「10位用のコメントしか用意してなくて……」とお笑い用語の"天丼(同じボケを2回繰り返して笑いをとる手法)"で笑わせたが、今回は「(ブログに)『こじはるは大丈夫そうだから、ほかの子に投票しました』という言葉がたくさんあって……」と新たな笑いを提供。だが、今年はかつてない不安を感じていたことを明かし、「この子を応援しなきゃダメだと思われるような人になりたいと思いました。だから皆さんも、私のこともイチオシにしてください」と彼女だけを見てくれる単推しのファンが増えることを切望した。 ■8位:板野友美 (AKB48チームK:速報9位/09年7位、10年4位、11年8位/5万0483票) AKBIMG_2264.jpg  速報よりは1ランク上げ、昨年と同じ8位を得た板野友美。「去年はたくさん悩みました。私の居場所はもうここにはないんじゃないかなと思ったり……。1年間悩み続けました。でも、順位が下がったり、他人と比べたりすることじゃなくて、私は私らしくいていいんだよということを教えてくれたのは、この5万という票を投票してくれた皆さんです」と心境を吐露。「ともはともらしく、我が道をこれからも歩んでいこうと思います」と“my way”を生きる決意を告白した。彼女のソロイベントには男性ファンはもちろん、多くの小学生の少女たちが駆けつける。「Carry On my way」と歌ったSPEEDにかつて板野が憧れたように、今度は、板野が少女たちのポップ・アイコンとなっているのだ。 ■9位:松井珠理奈 (SKE48チームS・AKB48チームK:速報8位/09年19位、10年10位、11年14位/4万5747票) AKBIMG_2247.jpg  SKE48チームSだけでなく、AKB48チームK兼任としての活動もついに開始した松井珠理奈。ここ数ヶ月過労で倒れるなど苦難を乗り越えてきた彼女は、「人前で泣くのが好きじゃない」と語りながらも「今日だけは許してください」と少しだけ涙を見せた。だが、すぐに持ち直し、兼任という新たな挑戦に「私はどこにいても変わりません。なので、ここで皆さんと約束をさせてください。チームSとしてもチームKとしても自分らしく、精いっぱい全力投球して務めていきたいと思います」とSKE48、AKB48双方を大切にし、全力を尽くすスタンスは変わりがないことを強調。そして、ファンに「一緒に階段を上って下さい」と『マジすか学園2』(テレビ東京系)のセンターを彷彿させる言葉を添えた。さあ上ろう、「楽園の階段」を。「伝説になれ! 楽園の頂上へ」。 ■10位:松井玲奈 (SKE48チームS:速報9位/09年29位、10年11位、11年10位/4万2030票) AKBIMG_2207.jpg  「儚いが、強い」という二律背反する現象を具有するSKE48のかすみ草・松井玲奈。「皆さんが私にとっても素敵な場所を、いつもプレゼントしてくれます」とファンからの贈り物である順位に感謝。「もっともっと沢山の人におめでとうを言ってもらって、私がありがとうを言えるように頑張っていきたいと思います」と内に秘めた強さを笑顔に変えて語った。  2010年の総選挙では速報、中間で松井珠理奈が下位だったが、最終結果で珠理奈が10位、玲奈が11位。昨年は、玲奈が上位のままだったが、今回は、10年と同じく最終結果で珠理奈が1ランク上となった。SKE48は、両側から燃える花火のように火花を散らす二人の少女の熱き戦いの歴史だ。時に、互いに背中を預け合うバディとして支えあい、時に姉妹のように“手をつなぎながら”数々の修羅場を潜り抜けてきた。互いを引き立てあう二人の「ロープの友情」。栄に咲く2輪の可憐な花は「TWO ROSES」。 ■11位:宮澤佐江 (AKB48チームK:速報11位/09年14位、10年9位、11年11位/4万261票) AKBIMG_2193.jpg  誰より人の痛みに敏感なゲンキング・宮澤佐江。「去年の総選挙のとき2位に選ばれた優子がこのステージで、『皆さんからの票は私たちにとって愛です』と話してくれました。私はこの言葉を聞いた時にAKB総選挙で探していた答えが見つかった気がしました。結果に残るのは順位ですけど、私のことを考えていれてくれた皆さんからの愛や気持ちやその行動がとても心に響いています」と“心友”・大島優子の言葉に救われたことを明かした。温かいファンと家族に支えられ、「私がAKBに居る間に感謝の気持ちを伝えさせていただきたいと思います」と冴え渡った笑顔でメッセージ。 ■12位:河西智美 (AKB48チームB:速報17位/09年10位、10年12位、11年16位/2万7005票) AKBIMG_2141.jpg  体調不良に打ち勝ち、JRA主催の「AKBのガチ馬」で万馬券を当て、CM出演も決定した河西智美。「今年私は頑張り時だと思うので、応援して下さる皆さんのためにも、自分のためにも一生懸命頑張って、頂いたチャンスを次のチャンスに変えていけるように頑張りたい」と宣言。バラエティ番組露出は増え、和田アキ子にキスしたこともあったが、昨年、彼女が願ったソロ写真集発売の行方も期待だ。 (後編につづく/文=本城零次<http://ameblo.jp/iiwake-lazy/>/撮影=後藤秀二)

総選挙注目の指原莉乃へガチヲタが緊急寄稿「批判を受け入れる指原莉乃の“察しの美学”」

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 発表前日に控えた「AKB48 27thシングル選抜総選挙」。その開催を記念して、Google+で、6月6日(水)24時まで受け付けているのが、推しメンに応援メッセージを投稿する「推しメン応援グランプリ」だ。そこで、今回は、AKB48のガチヲタX氏が緊急寄稿。今回の総選挙で、ランクアップが期待される指原莉乃に宛てた手紙形式で、応援メッセージをここで紹介。指原の歴史を振り返りながら、彼女がなぜここまでファンに受け入れられたのかを探っていく。  * * * 拝啓 指原莉乃さま  初めてあなたを見たのはチームB 3rd公演でした。大分から出てきたちょっと田舎臭くて、でも、誰よりも足が細い君に、ぶっちゃけ、最初はそんなに……魅かれませんでした。  そんな中、チームBに欠員が出て、「鏡の中のジャンヌ・ダルク」のセンターの旗持ちを任されるようになりましたね。かりそめのそのポジションを、君は必死に自分のものにしようと、表情も意識し、変わっていきました。この頃からちょっとだけ君に興味を持つようになりました。  らぶたん(多田愛佳)にサシハラスメントを繰り返すころから君の本性が見えてきたね。当時は、AKB48劇場で握手会をしていて、その場でプレゼントしつつ、メンバーと話せたりもできた。君にハロー!プロジェクトネタを振ると過剰に食いついてくる話は有名でした。「えりっくまぱわー」と握手会でつぶやいてみた僕に、「懐かしい!」と返してくれたことは一生忘れません(笑)。  同期の北原里英、仁藤萌乃、宮崎美穂とラジオ『AKB48の全力で聴かなきゃダメじゃん!!』(スターデジオ)を始めて、ぶっとんだトークで大好きだったな。中でも一番好きな君の発言がこれ。 「ファンの人には叩かれてなんぼだ。批判されるということはありがたいことだ。例えばファンの方に批判をされても、それは良い風に考えれば、私の名前がどんどん広がっているということだ。むしろ一人の人が私を叩いても、何も始まらないですよ、ぶっちゃけ。ここで北原里英さんの名言を紹介しよう。『叩くということ。それは疲れることである。それを顧みず、話題にしてくださっている、と考えるべきだ』。いかがだろうか。私はこの言葉を聞いて、頑張ろうと思った」  タレントはもちろん、人気商売の宿命ともいえる批判を受けることの大切さをこの当時から考えていた君には、一種の感銘すら受けました。それから、『週刊AKB』(テレビ東京系)でバンジージャンプを飛べず、特訓しても飛べずに“ヘタレキャラ”が定着し、『週刊プレイボーイ』(集英社)のグラビアで「さしこのくせに生意気だ!」と秀逸なコピーが書かれ、さしこ改名騒動を経て、秋P(秋元康総合プロデューサー)にハマったんだよね。  “ハマる”……相手の趣味嗜好や方向性を把握して、その人が次にやろうとしていることに順応する。芸人がよく使う言葉だけど、それが見事にできたのが君らしかったね。  評価された要素の一つがブログで、よく世間的には「ブログでその才能を認められた」とか言われてるけど、実はそれはチャンチャラおかしい。君の文才はモバメ(モバイルメール=登録制のメール配信サービス)の方がより生かされてたわ。  モバメは、本当のファンしか取らない分、メンバーもよりディープな情報を送ってくれる。君は昔から、妙な俳句だとか、北原里英とのポエム対決とか、安定のハロプロネタで随分笑わせてもらったよ。そのくせ、時々、鬱な内容やメンバーの誕生日には、その子との良エピ(いいエピソード)もよかったね。ブログはやっぱり不特定多数の人が見るし、変なこと書くと、ゲスなニュースサイトが取り上げちゃうから、そりゃ思い切ったこと書けないよね。それはわかる。  そんな君がブログで注目を集めてるようになると、どんどん更新頻度が落ちて、書けなくなっていったよね。秋Pに怒られても、ブログを書けない……でも実はその気持ち、本当によくわかります。  僕も、とある仕事が認められて、大きな仕事を任されたんだ。人生を賭けて挑んだぐらいの大勝負で多少結果を残せたけど、周囲から期待されればされるほど、自分の中でもハードルが高くなって、思い切ったことができない……そんな悪循環に陥ってしまったんだ。君も同じなんじゃないかな? ■Google+300回更新、Berryz工房との共演で見せた本気  ソロデビューして、5月4日から24時間でGoogle+300回更新は久々に“指原節”を見られてすばらしかったね。 「柏木ちゃん『ソースがない!』状態だった」 「この前、スタジオにいったら、かれんちゃんが自主レッスンしてた。すごいよね、がんばってない研究生なんていないんですよね」 「指原の号泣はみなさんにとってあくびのようなものなのです」 「木本花音ちゃんのお兄ちゃんになったら抑えられない気持ちと戦うんだと思う」 「バンジーのときのディレクターさん。いまでも顔をみるともらしそうになる」(以上、原文ママ)  わかる人にはわかるネタをちりばめながら、“笑いの燃料”を大量投下してくれて、充実の300回更新だったよ。そして、ソロデビュー曲「それでも好きだよ」をリリースして一番よかったのは、君にとっての“神”・Berryz工房と競演できたこと。しかも、熊井友理奈ちゃんは、7年前に、君がヲタ時代に渡したファンレターを大切に残していてくれて、番組に持ってきてくれてたんだよね。これは感動的だった。一介の大分のファンだった少女が、7年の時を経て、当時憧れていたアイドルと対面し、自分のソロ曲を一緒に歌ってもらう……。アイドル史上に残る伝説だと思うよ。  熊井ちゃんに手が触れて、感激している君は、どんなに知名度は増しても、相変わらずだった。そんな君にあえて、一つだけお願いをしてみようと思うんだ。これは君にしかできない、君にならできるミッション。それはね、君ががんばっていると思う仲間や、後輩をもっとブログで紹介してあげること。君にも選抜に入れない、報われない時代があった。そんなとき、先輩から掛けられた言葉や、ふとした気遣いに大きく救われたと思う。その優しさを、今度は次のAKB48を担う仲間たちのために実行してほしいな。だって、君には貴重なハロヲタ時代の感性がある。熊井ちゃんに書いていたように、AKB48のメンバーへのファンレターを君ならではの表現でブログで伝えて、AKB48みんなの良さをもっと教えてほしいな。だって、中田ちさとちゃんに宛てた「AKB48推し!」 (別冊宝島) の文章は本当にすばらしかったじゃん。  とまあ、何だか君には妙なアドバイスしてしまいたくなってしまう。これが、「さしこ力」の一種なんじゃないかと思うんだ。秋Pの「この『期待されないところから意外にいいんじゃない? と見直させるエネルギー』を“さしこ力”と名付けた。今の日本に必要なのはこの“さしこ力”なのではないか?」ってやつね。  戦後、日本は数々の好景気に湧き、バブルという幻想を見た。だけど、ゼロ年代以降、かつての高級志向の価値観は崩壊し、世は低価格居酒屋、ファストファション、LCC(格安航空会社)で満たされる“そこそこの幸せ”を追求ようになった。過剰に期待せずに、使ってみていい商品(モノ)だったらラッキー!! 的な感覚。そんなお手ごろ感の象徴が君だと思う。主力メンバーには、顔では敵わないけど、「ダンスも下手だし、歌も下手だし」と言いながら、“そこそこ”できる。いったん、期待値のハードルを下げておいて、でも、やりこなす。そして、その裏で、それを維持するための努力はしている。それが君なんだと思う。 ■指原莉乃の魅力は「さっしー(察し)の心」  君は「さしこ」と祭り上げられてしまった時から、どこか孤独を感じるようになってしまった。でも、君の本質は「さっしー」なんだと思う。「さっしー」すわなち、「察し」を君は大切にしているはず。「察し」という「相手の感情を理解して、相手の言いたいことを汲み取る能力」が君にはあると思う。だから、バラエティでヒール(悪役)を要求されれば、それに応え、ぶっとんだ発言もできる。そのくせ、中身は小心者なので時々、その悩みも暴露する。そんな日本人的な察しとサービス精神が君らしいね。等身大で、ありのままで嘘がない姿に君のファンは魅れているんだと思うよ。  去年、AKB48の被災地訪問を一番多く行ったのは君だった。被災されて、辛いこともたくさんあっただろう中学生ぐらいのジャージ姿の女の子が号泣して「サシハラ~」と言いながら、握手している姿は印象的だった。この呼び捨てはいけないことではなくて、本当の親近感の現れだと思うよ。遠くで見上げるスターではなく、ファンの近くでいつも寄り添うAKB48らしいじゃん。秋Pも言ってるよね。 「指原は悲観的でいい。弱い者は弱い者の味方をしてくれるから」  世のみんなは君の弱さに自分を重ねて、魅かれてるてるんじゃないかと思うんだ。でも、弱いだけじゃなく、そこでめげない強さも持っている。たとえば、『笑っていいとも!』(フジテレビ系)に出始めたとき、君は“ぼっち(一人ぼっち)”だった。でも、徐々に共演者とカラめるようになっていった。そのプロセスも見ていて面白かったな。今では、総選挙速報4位についてタモリさんから「誤報でしょ」とイジられる。タモさんは、本当にイジリがいのある人しかイジらないんだ。タモさんにもハマった瞬間だったね。おめでとう。  批判を受け入れる感覚を持ち、日本人らしい察しの心を持つ。あえて、期待のハードルを下げておいて、でも、「そこそこ」なんでもできる。それが指原莉乃だよ。あまりに推されすぎて、どうかと思った時期もあったけど、さしこ、「それでも好きだよ」。

AKB48最高身長・鈴木紫帆里ヒストリー 一度あきらめたAKB48に彼女が復帰を遂げた理由

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 AKB48最高身長の171cmを誇るチームBメンバー・鈴木紫帆里。ダイナミックなパフォーマンスと知性で知られた優等生だった彼女は、7期生として加入したものの学業との両立に悩み、一度は劇場を去りながらも、11期生として復帰し、今年、ぐぐたす選抜にも選ばれた。自らの努力で未来を切り開こうとしつつある彼女のヒストリーに迫る。  2008年12月、中学3年生の時に7期生研究生オーディションに合格した鈴木紫帆里。劇場公演のバックダンサーをこなしながら、09年3月6日、シングル「10年桜」(キングレコード)購入者から抽選で選ばれたファンだけが鑑賞できた「B4th研究生特別公演」で公演デビューを果たした。ユニット曲の「片思いの対角線」ではセンターを担当。親友の彼氏に恋心を抱く揺れる思いを描いた曲で、切ない表情ながらダンスは激しいという曲に挑んだ。  後に、そろって身長が高いことから“ダブルタワー”を名乗り、仲を育む佐藤すみれ、同じく交流を深める小森美果との3人のユニットで、レッスン当初は、3人の振りが合わず、何回も練習を行い、1カ所振りが合うだけで飛び上がって喜びながら、必死で練習したのだった。懸命に活動する彼女の姿勢は評価され、研究生ながら『週刊AKB』(テレビ東京系)の第1回目から出演する。  そうして経験を積む中、8月23日、日本武道館でのコンサート『AKB104選抜メンバー組閣祭り』で、新たに体制が変わるチームBの正規メンバー昇格が発表された。しかし、そのわずか6日後の公演の最後で鈴木は自ら衝撃の発表を行った。 「私、鈴木紫帆里は8月31日をもちまして、AKB48研究生を辞退させていただくことになりました。武道館で昇格させていただいて、正規メンバーになるという時に、自分の中途半端さに気がついて、ほかのメンバーは必死に夢を追いかけているのに、AKBに入って夢を見つければ、という甘い考え方で続けてるわけにはいかないと思って、AKBにいて悩んで立ち止まっているより、自分で夢を見つけて、その夢にまっすぐに向って歩くことに決めました」  実は、『組閣祭り』終了後、勉強との両立から、スタッフにAKB48での活動を辞退することを告げようとしていた鈴木。突然の昇格発表を受けてもその決意は変わらず、自らグループを去ることを涙ながらに語ったのだった。「中途半端さ」「甘い考え」……そう表現した裏には、彼女がAKB48を愛しているがゆえに、気持ちが揺らいでいては失礼だという誠実さが表れていたのではないだろうか。  公演への出演は翌日の8月30日が最後となった。「サヨナラは言いません あなたともう一度 この場所で会えるその日まで」と歌うアンコールの楽曲「アリガトウ」では大粒の涙を流しながら、彼女は劇場を巣立っていったのだった。だが、その翌日、8月31日、チームK 5th「逆上がり」公演の冒頭の寸劇で意外なサプライズが行われた。秋元康総合プロデューサー脚本の芝居で鈴木の突然の辞退がテーマにされ、大島優子の台詞でこう語られたのだった。 「紫帆里は大学受かったら、またここに戻ればいいんだよ。大学生になってから、またうちの高校に通うというのもアリでしょ?」  AKB48を「高校」になぞらえた演劇の中に、「また戻ればいい」というメッセージが忍ばされていたのだった。 ■メンバー全員への感謝の思いと、ファンに捧げた最後日48通のモバメ  鈴木は、辞退発表前に決まっていた9月20日の握手会に参加し、ファンとの最後の交流をはかり、9月30日まではモバメ(モバイルメール=登録制のメール配信サービス)を送った。モバメでは、AKB48メンバー全員との思い出をひとりひとりに宛てて綴り、中でも研究生の先輩として慕った大家志津香には、「しーちゃん(大家)が一番初めに7期の面倒をみてくれて掃除から何まで色々教えてもらいました。しーちゃんはだからうちらの『お母さん』的な存在」と記すなど、感謝を伝えた。そして、モバメ発信可能な最終日である9月30日、最後までファンへの感謝、メンバーへの思いを綴り、それは10通……20通……30通……40通を越えて、ついに「ラストメール」と書かれたメールが届けられた。 「AKB48という最高のグループにいることができたことを誇りに思って、自分の決めた道へと歩んでいきたいと思います」  前向きな決意が込められたそのメールは、彼女が最も愛するグループの名前に冠してある数字と同じく48通目で終了したのだった。  鈴木とAKB48との関係はここで一旦幕を閉じた。誰よりはつらつと踊っていた彼女の姿はもはや劇場にはない。一方、AKB48は「RIVER」でのオリコンウィークリーチャート1位、第2回総選挙、じゃんけん大会開催などさらに話題を振りまいていく。だが、ひとつだけ変わらないものがあった。それは、鈴木が写された『週刊AKB』公式サイトのトップページの画像。主要メンバーと共にガッツポーズを決めた鈴木の画像は、微笑をたたえたままだった。あたかも、いつか帰ってくる主を待つように……。 ■AKB48に電撃復帰!! 先輩からの温かいエール  そんな折、2010年10月10日、野外ライブ「AKB48東京秋祭り」で11期生がお披露目され、その中に、鈴木の姿があったのだった。ファンからも「おかえり!!」と声援を送られ、メンバーからも祝福される中、鈴木と親交の深かった浦野一美がその日のブログでこう鈴木にメッセージを送った。 「鈴木紫帆里ちゃん。11期生になって帰ってきた。っと思ったらステージ終わって楽屋で泣いてやんの。かわいいやつだ。ファンっていうのは私たちにとって支えであり、誇りなんだよね。きっといつ帰って来るか、わからないのに待っててくれたんだよ。それで変わらずに側にいて笑顔でいてくれる。一緒に泣いたり、笑ったり、喜んだり、仲間ってそういうもんなのかもね。本当の仲間ってさ、不思議といつ会っても変わらないじゃんね。彼女の最後のステージが終わった日に手作りクッキーをもらったんだ。しほりちゃんったら律儀にメンバー分用意してたんだよ。その時 しほりちゃんがさ、めっちゃ笑顔でさ『お世話になりました』ってどんな気持ちで言ったんだろって、あの日苦しくなったのを覚えてる。まぁ 今だから言える話。でも、そんな経験があったから今日の綺麗な涙があるのかも……またコンサートとかで一緒にステージに立てるのが楽しみだな。なんか良い日だ」  浦野自身も当時、SDN48移籍などさまざまな経験を経ているだけに鈴木の心境を察しながら、ファンとメンバーの絆の深さを伝えたのだった。それから20日後の10月30日、研究生公演に鈴木は出演。復帰間もないにもかかわらず、新たなセットリストを習得し、誰よりも大きく踊ろうとする彼女のパフォーマンスが注目を集める中、11月20日の研究生公演には、助っ人としてチームBからメンバーがひとり参加した。それは、偶然にもその日が誕生日で、鈴木の盟友である佐藤すみれで、1年3カ月ぶりに劇場にダブルタワーが降臨したのだった。「自分が持っている一番の宝物」というテーマに鈴木は一旦辞退した際に、すみれからもらった色紙を挙げ、再び、ステージに立てたことに感謝の涙を流したのだった。  それから、鈴木はチームAでは篠田麻里子ポジション、チームKでは秋元才加、宮澤佐江のポジションも覚えていく。7期と11期の橋渡しとして、公演のMCでは後輩に話を振ってまとめ、身長を生かしたダイナミックさと、メリハリのある運動量の多い1公演完全燃焼型の彼女のパフォーマンスは話題を呼ぶようになる。11期としても公演100回目を越え、101回目の4月24日から「シアターを支える3本目の柱になりたい」というキャッチフレーズを付け、まさに劇場を支える2本の柱に並ぶ、公演の要となっていた。そんな中、2011年5月21日、公演の最後に秋元康氏からの手紙が届き、鈴木のチームBへ昇格が発表された。 「7期研究生としてAKBに入り、学業との両立の為に一度研究生を辞退し、再度11期研究生として加入し、いろいろな葛藤の中、学業との両立、本当に大変だったと思います。また、ひとつひとつの公演への姿勢は素晴らしいものがあります。君の頑張りは、舞台監督、劇場スタッフ、現場スタッフから聞いています。よく頑張りましたね。この頑張りがAKBのメンバーに一番大切なことだと思うので、その努力を讃え、鈴木紫帆里を今日5月21日、研究生からチームBに昇格させます。本当におめでとう。秋元康」  昇格後もこれまで通りの全力パフォーマンスを続けていた彼女。かつて、所属するはずだったチームBに“復帰”したともとらえられるが、ある意味では9期、10期のメンバーを一挙に追い抜かしてしまったのも事実。しかも、9期生は当時、正規メンバー昇格後も、まだ所属チームが決まらないというあいまいな状態だった。そんな彼女たちの思いも考慮しながら、彼女たちも納得できるパフォーマンスを心がけていたのかもしれない。  かつて出演した『週刊AKB』にも再び出演し、「抜き打ちテスト」企画では、得意な数学なしで18人中3位に入るなど実力を見せた。また、実は幼いころに2年間住んでいたシンガポールでのAKB48の公演にも出演するなど、活動の幅を広げた。だが、そんな中、11月8日、左大腿直筋腱々鞘炎のため、約1か月の間劇場公演を休むことが発表。これまでも時折、足にテーピングを巻いて公演に出ることもあった彼女。リハビリを重ねながら、12月12日、劇場公演に復帰した。 ■“キャラ崩し”で見つける「自分らしさ」  『びみょ~』(ひかりTV)ではコントに挑み、Google+では「ラッパーしほたす」を名乗るなど“キャラ崩し”を決行。優等生だけでない多面性を見せ、前髪も作って心機一転を果たした鈴木。そうして、2012年2月17日に18歳の誕生日を迎え、その二日後の19日に、公演で彼女の生誕祭が行われた。MCではメンバーが鈴木について語り、佐藤亜美菜はこう明かした。 「私が思う紫帆里の一番の思い出は、1回学業に専念して、もう1回戻ってきたでしょ? 学業専念の間、AKBをやめていたわけじゃないですか。なのに、私のお誕生日に紫帆里はすごい長文でメールをくれたんですよ。それが本当に感動して。そうやって出会いを大切にして、メールを送るっていう思いやりはすごいなって思った」  7期で同期だった鈴木まりやも「確かに紫帆里は1つ1つの、出会いを大事にする人だなって思います」とこれに応じた。さらに、鈴木に対して、12期の岩田華怜は「壁にぶち当たった時に相談に乗ってくれた」と語り、佐藤夏希は「見えないところでものすごい努力をしてる」と絶賛したのだった。先輩・後輩からも信頼され、彼女はまさにAKB48の精神的支柱としての才覚を秘めている。  そうして、行われた生誕祭では鈴木は18歳の抱負として、失敗を恐れずにチャレンジする「覚醒」を挙げ、「2012年、輝いて、輝きまくって、やっぱり選抜に入ることが私のAKBでのステップの1つなので、今年18歳のうちに選抜に、入れたらいいなと思います」と照れながらも、熱意を語ったのだった。初めて語った選抜への思い――。それは、わずか12日後の3月2日に、結実した。Google Galaxy Nexus CMソング「ぐぐたすの空」を歌うぐぐたす選抜に鈴木が選ばれたのだった。シングル1曲目ではないが、一つの足がかりとなったはずだ。  身長171cmを生かしたモデルを将来の夢に掲げている鈴木。彼女が11期として再びオーディションに参加したときに歌った楽曲はダブルタワーの相方・佐藤すみれも参加する楽曲「自分らしさ」だった。 「自分らしさは それぞれさ 道が分かれるように いくつもの未来が広がっているよ どれを選ぶか決めればいい」  まさにその歌詞の通り、自ら再びAKB48を選択した。仲間やファンに支えられながら、道を切り開いてきた。Google+を通じて、美術部としても活動し、「GIVE ME FIVE!」のバンド演奏ではベースも開始するなど、新たなチャレンジを続けている。今はまだバンビ(初心者)でも、未来の覚醒を夢見ている。再びオーディションに参加し、「自分が一番成長できる環境がAKB48に整っている」と語った彼女の言葉は、実現しつつあるのだ。 (文=本城零次<http://ameblo.jp/iiwake-lazy/>)

2011年公演最多出演のAKB48研究生・伊豆田莉奈ヒストリー 笑顔の裏に隠された12ポジションの苦悩

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AKB48の10期研究生“いずりな”こと伊豆田莉奈
 AKB48の歴史は、4期以降は研究生の歴史である。  現在、13期までが加入している大所帯であるAKB48。1~3期は順番に加入、それぞれチームA、K、Bとして活動し、4期以降は一旦、研究生として先輩メンバーの休演時のアンダー(代役)を経て、正規メンバーに昇格するというスタイルをとっている。研究生はチームA、K、Bと、現在はチーム4も含め、4チームの公演を覚え、同じチームでも複数のポジションも担当する。さらに公演前の前座やバックダンサーを務めながら、次のスターを夢見て、表現力を磨いている。その中でも、昨年メンバー最多となる200回以上の公演に出演し、全チームで合計12ポジションも習得している10期研究生の“いずりな”こと伊豆田莉奈(いずた・りな)にスポットを当てる。  2010年3月、中学2年生の終わりにオーディションでAKB48「言い訳Maybe」を歌い、10期生として合格した伊豆田。レッスン期間を経て、6月19日に市川美織、仲俣汐里ら10期生とともにチームB 5th「シアターの女神」公演のアンダーとして公演デビューを果たした。伊豆田が最初に任されたのは、チームBのエースである渡辺麻友のポジション。アンダーは、その研究生の注目度によって決まる傾向があり、渡辺のポジションを担った伊豆田は次第に成長を遂げていく。そこから彼女は、持ち前のダンス習得の早さを発揮し、9月13日には、AKB48の公演で最も難易度が高いとされるチームA 6th「目撃者」公演に片山陽加のアンダーで出演するなど、次々に先輩のポジションをマスターしていった。 ■仲間、先輩も認めた伊豆田莉奈の努力  その後も彼女は公演のポジションを次々に覚え、B 5thでは北原里英、宮崎美穂の位置、チームK 6th「RESET」公演では板野友美のポジションと、公演ユニットのメイン的なアンダーを任されるようになる。同じ公演でも狭い範囲でフォーメーションが入れ替わる公演は、覚える数が多いほど、混同する確率が高くなる。だが、彼女はそれを巧みに覚えていくのだった。  2011年のゴールデンウィークには出演が続き、同じく公演出演が多かった阿部マリア、伊豆田、鈴木紫帆里と、それぞれの名前の頭の1文字を取って「チームアイス」を名乗り、互いに励ましあう仲となっていった。常に微笑をたたえながら、先輩の話を聞くその姿に、正規メンバーの中にも彼女を認める者が現れ始める。チームB公演で共演することが多かった佐藤すみれとは、頻繁に二人で出掛け、互いの家に泊まりに行くなど、「もはや家族」とすみれが語るほど、交友を深める。それは、伊豆田が懸命に努力していることを認めているからだった。  そんな中、7月22~24日に行われたコンサート「よっしゃぁ~行くぞぉ~! in西武ドーム」の2日目、23日に、同期の阿部マリア、入山杏奈が新たに発足するチーム4へ昇格することが発表される。先に昇格していた仲俣汐里、市川美織に続いて10期から4人が昇格を果たしたのだった。仲間に先を越される中、9月20日開催の「AKB48 24thシングル選抜じゃんけん大会」には、カッパのコスチュームで参戦。これは『有吉AKB共和国』(TBS系)の「化け物と化したAKBを救え 超常現象グルメ」という企画に出演した際に彼女が扮したものだったが、じゃんけんでは、菊地あやかに敗れてしまい、選抜入りはならなかった。  だが、このカッパキャラを通して、小嶋陽菜や篠田麻里子から慕われることになり、意外な効果を発揮したのだった。 ■生誕祭で初めて明かした“不器用さ”  10月1日に、ついにチーム4の「僕の太陽」公演が始動する中、伊豆田は11月26日に16歳の誕生日を迎え、その当日の彼女にとって初の生誕祭がチームB公演で行われた。そこで、彼女は涙をこぼしながら初めて秘めていた胸の内を語ったのだった。 「いろんな公演に出させてもらっていて、ファンの皆さんには『いずりなは、器用なんだね』と言ってもらえて、うれしいんですけど、内心はすごい不器用で、自分の意見も言えないし、嫌なことも断れなくてそのままやっちゃったり、子供っぽいし、何もできないんですよ……。だから、これからは、ちょっとずつ自分の意見も言える大人に近づいていけたらいいなと思います」  器用だから多くのポジションができたわけでなく、不器用ながら、自らの努力でポジションを覚えていたことを、初めて明かした伊豆田。そんな彼女に、自分も同じく過去に多くのポジションをこなした経験のある佐藤亜美菜は、公演の映像が配信されている『AKB48 LIVE!! ON DEMAND』の“手書きコメント”で伊豆田にメッセージを送った。 「(伊豆田が)まゆゆのアンダーを久々にやった時、口では『大丈夫です!』と言ってたから、『さすが、いずりな。できる子だな』と思ってたら、自己紹介MCでしゃべる時に足がめっちゃ震えてて、『あ、まだ15歳だもんな。もっと支えてあげなきゃ』って思いました。いずりな! ひとりじゃないよ!! みんな仲間だ」  同じ状況を経験した先輩からのエールと、熱意あるファンの声援に包まれ、少女はひとつ大人になったのだった。 ■チームB昇格フラグからのまさかの展開  2012年3月23~25日には、コンサート『業務連絡。頼むぞ、片山部長!in SSA』が開催される。伊豆田は、チームBの空いたポジションを担当しており、一部のファンの間では「いずりなのチームB昇格フラグ」ともてはやされていた。同様にチームKには12期生・大森美優が参加し、公演に励んでいる二人の昇格はファンからは順当なものだとウワサされた。  だが、2日目の24日に衝撃の発表が行われた。チーム4への追加メンバーが明かされるが、そこに伊豆田の名前はなかった。さらに、松井珠理奈のSKE48チームSとAKB48チームKの兼任、渡辺美優紀のNMB48・チームNとAKB48・チームB兼任というサプライズがもたらされた。その翌日には前田敦子の卒業も発表され、波乱の展開でコンサートは幕を閉じた。だが、伊豆田はGoogle+でチーム4に昇格したメンバーたちにエールを送り、改めて自分を律して、決意を語ったのだった。 「本当におめでとう! そして莉奈も頑張るから頑張って欲しい! 自分に足りないものをなくして少しでも上にあがって行けるように絶対に諦めたくないです! 周りには沢山のメンバーさんがいるしスタッフさんがいるしそして皆さんがいるので心強いです!」  チーム4が16人揃い、彼女が昇格できる場所はなくなった。だが、秋元康総合プロデューサーはAKB48から5番目となる新チーム・チーム8の結成構想があることを発表し、新たな望みが生まれたのだった。そんな伊豆田には、先輩から励ましの声が届き、仲谷明香はGoogle+で「いずちゃん(伊豆田)が頑張ってること、みんな知っているでござる」と激励した。さらに、コンサートの翌日の劇場公演では、チームB公演を行い、そこで前日までのコンサートの話になり、伊豆田が「3日間チームBさんのステージに立てたことが本当にうれしかった」と語ると、メンバーから「ありがとう」と声が上がり、河西智美が伊豆田にこう語りかけた。 「いずりなちゃんは、すごいがんばって覚えてくれて、私たちよりも完璧に振りを覚えてるぐらい。そういうところを、私たちの方が見習わなきゃいけないね」  選抜常連メンバーである河西からも絶賛されるほど、伊豆田はコンサートに心血を注いでいたのだった。そんな中、全国ツアーが行われることになり、伊豆田はチームBの4月11日の広島市文化交流会館、12日の神戸国際会館こくさいホールでの公演に参加した。メンバーたちがアイデアを出し合い、過去の公演曲など新たな挑戦も行った公演となったが、そこで、自己紹介の際に伊豆田は「チームBさんのツアーに連れてきてもらえて、うれしいです」と歓喜の涙を流したのだった。 ■同期、姉妹グループの研究生同志の絆  AKB48において、最も研究生からの昇格が遅かったのは大家志津香で、2007年5月の4期生合格から2010年7月まで、約3年2カ月の間研究生だった。だが、チームAへの昇格は2009年8月に発表されており、実質2年3カ月ともいえる(当時はセレクションという研究生から落とされる制度もあったが)。だが、伊豆田莉奈は2010年3月に合格し、2012年6月現在、昇格の予定はなく、2年3カ月経過した。  それでもなお、伊豆田が努力を続けていられるのは、ファンの支え、夢への熱意、そして、同じく研究生として支えてくれる同期の仲間がいるからだろう。小林茉里奈は「いずりなは昨日新たに河西さんポジションを覚えて出たらしくて。すごいなあ!!  しかも時間なくてもちゃんと間に合わせるとこや中途半端なパフォーマンスにはしないとこ。いずりなのこと尊敬するっ!」とモバメ(モバイルメール)で明かしている。そして、実は公演出演回数は伊豆田よりは少ないものの、ポジションは伊豆田以上の13覚えている藤田奈那は痛めた足や腰にテーピングをしながら踊り、3月には「肩と肋骨を痛めてしまっていて、昨日と今日はテーピングをして公演に出演させていただいたのですが、今日のおやつ公演の時に痛みに耐えられず、過呼吸を起こしてしまいました」とGoogle+で明かすほど、痛みと戦いながら活動を続けている。さらに、SKE48の研究生で生き様を舞台に叩きつけるように踊る斉藤真木子とも伊豆田は交流を深めている。「笑い顔」とメンバーから呼ばれる笑顔で、同期、先輩、後輩、姉妹グループとも交流し、AKB48劇場公演を支えているのだった。  彼女のレアな苗字である伊豆田を調べたところ、神社などで精進潔斎(肉食を断ち、行いを慎んで身を清めること)する人・斎(いつき)から、斎田(いつきだ)になり、それが訛って伊豆田になったという説があるようだ。  AKB48にとって、神社のように日参する場所はAKB48劇場であり、まさに彼女はそこで精進を続けて、確実に成長してきた。そんな彼女の好きな言葉は、AKB48のリーダーのあの名言のようだ。今年、高橋みなみの生誕祭の行われた公演に参加した伊豆田はこう明かしている。 「莉奈はたかみなさんの『努力は必ず報われる』って言葉が好きなので今日のたかみなさんのコメントを聞いて、信じて、これからももっともっと頑張ろうって思いました!」  今年も60回以上公演に出演し、AKB48劇場を支えている伊豆田。多くのポジションを覚えている彼女には、きっと彼女にしか見られない景色が見えているはずだ。だが、これはいつか必ず自分だけのポジションを勝ち取るための鍛錬。秋元康氏は語る。 「夢は、伸ばした手の1ミリ先にある。たった1ミリ先にあっても、実際に触れられなければ、遠く先にあるように思えてしまう。でも、そこでくじけて手を伸ばすことをやめてしまうと、永遠に夢をつかむことができない。見えない夢に手が届くことを信じて、懸命に伸ばし続けてみよう」  助走が長ければ長いほど、より高く、遠くへ飛べるはずだ。チームB 5th公演のラストナンバー「僕たちの紙飛行機」のように。 (文=本城零次<http://ameblo.jp/iiwake-lazy/>)

2011年公演最多出演のAKB48研究生・伊豆田莉奈ヒストリー 笑顔の裏に隠された12ポジションの苦悩

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AKB48の10期研究生“いずりな”こと伊豆田莉奈
 AKB48の歴史は、4期以降は研究生の歴史である。  現在、13期までが加入している大所帯であるAKB48。1~3期は順番に加入、それぞれチームA、K、Bとして活動し、4期以降は一旦、研究生として先輩メンバーの休演時のアンダー(代役)を経て、正規メンバーに昇格するというスタイルをとっている。研究生はチームA、K、Bと、現在はチーム4も含め、4チームの公演を覚え、同じチームでも複数のポジションも担当する。さらに公演前の前座やバックダンサーを務めながら、次のスターを夢見て、表現力を磨いている。その中でも、昨年メンバー最多となる200回以上の公演に出演し、全チームで合計12ポジションも習得している10期研究生の“いずりな”こと伊豆田莉奈(いずた・りな)にスポットを当てる。  2010年3月、中学2年生の終わりにオーディションでAKB48「言い訳Maybe」を歌い、10期生として合格した伊豆田。レッスン期間を経て、6月19日に市川美織、仲俣汐里ら10期生とともにチームB 5th「シアターの女神」公演のアンダーとして公演デビューを果たした。伊豆田が最初に任されたのは、チームBのエースである渡辺麻友のポジション。アンダーは、その研究生の注目度によって決まる傾向があり、渡辺のポジションを担った伊豆田は次第に成長を遂げていく。そこから彼女は、持ち前のダンス習得の早さを発揮し、9月13日には、AKB48の公演で最も難易度が高いとされるチームA 6th「目撃者」公演に片山陽加のアンダーで出演するなど、次々に先輩のポジションをマスターしていった。 ■仲間、先輩も認めた伊豆田莉奈の努力  その後も彼女は公演のポジションを次々に覚え、B 5thでは北原里英、宮崎美穂の位置、チームK 6th「RESET」公演では板野友美のポジションと、公演ユニットのメイン的なアンダーを任されるようになる。同じ公演でも狭い範囲でフォーメーションが入れ替わる公演は、覚える数が多いほど、混同する確率が高くなる。だが、彼女はそれを巧みに覚えていくのだった。  2011年のゴールデンウィークには出演が続き、同じく公演出演が多かった阿部マリア、伊豆田、鈴木紫帆里と、それぞれの名前の頭の1文字を取って「チームアイス」を名乗り、互いに励ましあう仲となっていった。常に微笑をたたえながら、先輩の話を聞くその姿に、正規メンバーの中にも彼女を認める者が現れ始める。チームB公演で共演することが多かった佐藤すみれとは、頻繁に二人で出掛け、互いの家に泊まりに行くなど、「もはや家族」とすみれが語るほど、交友を深める。それは、伊豆田が懸命に努力していることを認めているからだった。  そんな中、7月22~24日に行われたコンサート「よっしゃぁ~行くぞぉ~! in西武ドーム」の2日目、23日に、同期の阿部マリア、入山杏奈が新たに発足するチーム4へ昇格することが発表される。先に昇格していた仲俣汐里、市川美織に続いて10期から4人が昇格を果たしたのだった。仲間に先を越される中、9月20日開催の「AKB48 24thシングル選抜じゃんけん大会」には、カッパのコスチュームで参戦。これは『有吉AKB共和国』(TBS系)の「化け物と化したAKBを救え 超常現象グルメ」という企画に出演した際に彼女が扮したものだったが、じゃんけんでは、菊地あやかに敗れてしまい、選抜入りはならなかった。  だが、このカッパキャラを通して、小嶋陽菜や篠田麻里子から慕われることになり、意外な効果を発揮したのだった。 ■生誕祭で初めて明かした“不器用さ”  10月1日に、ついにチーム4の「僕の太陽」公演が始動する中、伊豆田は11月26日に16歳の誕生日を迎え、その当日の彼女にとって初の生誕祭がチームB公演で行われた。そこで、彼女は涙をこぼしながら初めて秘めていた胸の内を語ったのだった。 「いろんな公演に出させてもらっていて、ファンの皆さんには『いずりなは、器用なんだね』と言ってもらえて、うれしいんですけど、内心はすごい不器用で、自分の意見も言えないし、嫌なことも断れなくてそのままやっちゃったり、子供っぽいし、何もできないんですよ……。だから、これからは、ちょっとずつ自分の意見も言える大人に近づいていけたらいいなと思います」  器用だから多くのポジションができたわけでなく、不器用ながら、自らの努力でポジションを覚えていたことを、初めて明かした伊豆田。そんな彼女に、自分も同じく過去に多くのポジションをこなした経験のある佐藤亜美菜は、公演の映像が配信されている『AKB48 LIVE!! ON DEMAND』の“手書きコメント”で伊豆田にメッセージを送った。 「(伊豆田が)まゆゆのアンダーを久々にやった時、口では『大丈夫です!』と言ってたから、『さすが、いずりな。できる子だな』と思ってたら、自己紹介MCでしゃべる時に足がめっちゃ震えてて、『あ、まだ15歳だもんな。もっと支えてあげなきゃ』って思いました。いずりな! ひとりじゃないよ!! みんな仲間だ」  同じ状況を経験した先輩からのエールと、熱意あるファンの声援に包まれ、少女はひとつ大人になったのだった。 ■チームB昇格フラグからのまさかの展開  2012年3月23~25日には、コンサート『業務連絡。頼むぞ、片山部長!in SSA』が開催される。伊豆田は、チームBの空いたポジションを担当しており、一部のファンの間では「いずりなのチームB昇格フラグ」ともてはやされていた。同様にチームKには12期生・大森美優が参加し、公演に励んでいる二人の昇格はファンからは順当なものだとウワサされた。  だが、2日目の24日に衝撃の発表が行われた。チーム4への追加メンバーが明かされるが、そこに伊豆田の名前はなかった。さらに、松井珠理奈のSKE48チームSとAKB48チームKの兼任、渡辺美優紀のNMB48・チームNとAKB48・チームB兼任というサプライズがもたらされた。その翌日には前田敦子の卒業も発表され、波乱の展開でコンサートは幕を閉じた。だが、伊豆田はGoogle+でチーム4に昇格したメンバーたちにエールを送り、改めて自分を律して、決意を語ったのだった。 「本当におめでとう! そして莉奈も頑張るから頑張って欲しい! 自分に足りないものをなくして少しでも上にあがって行けるように絶対に諦めたくないです! 周りには沢山のメンバーさんがいるしスタッフさんがいるしそして皆さんがいるので心強いです!」  チーム4が16人揃い、彼女が昇格できる場所はなくなった。だが、秋元康総合プロデューサーはAKB48から5番目となる新チーム・チーム8の結成構想があることを発表し、新たな望みが生まれたのだった。そんな伊豆田には、先輩から励ましの声が届き、仲谷明香はGoogle+で「いずちゃん(伊豆田)が頑張ってること、みんな知っているでござる」と激励した。さらに、コンサートの翌日の劇場公演では、チームB公演を行い、そこで前日までのコンサートの話になり、伊豆田が「3日間チームBさんのステージに立てたことが本当にうれしかった」と語ると、メンバーから「ありがとう」と声が上がり、河西智美が伊豆田にこう語りかけた。 「いずりなちゃんは、すごいがんばって覚えてくれて、私たちよりも完璧に振りを覚えてるぐらい。そういうところを、私たちの方が見習わなきゃいけないね」  選抜常連メンバーである河西からも絶賛されるほど、伊豆田はコンサートに心血を注いでいたのだった。そんな中、全国ツアーが行われることになり、伊豆田はチームBの4月11日の広島市文化交流会館、12日の神戸国際会館こくさいホールでの公演に参加した。メンバーたちがアイデアを出し合い、過去の公演曲など新たな挑戦も行った公演となったが、そこで、自己紹介の際に伊豆田は「チームBさんのツアーに連れてきてもらえて、うれしいです」と歓喜の涙を流したのだった。 ■同期、姉妹グループの研究生同志の絆  AKB48において、最も研究生からの昇格が遅かったのは大家志津香で、2007年5月の4期生合格から2010年7月まで、約3年2カ月の間研究生だった。だが、チームAへの昇格は2009年8月に発表されており、実質2年3カ月ともいえる(当時はセレクションという研究生から落とされる制度もあったが)。だが、伊豆田莉奈は2010年3月に合格し、2012年6月現在、昇格の予定はなく、2年3カ月経過した。  それでもなお、伊豆田が努力を続けていられるのは、ファンの支え、夢への熱意、そして、同じく研究生として支えてくれる同期の仲間がいるからだろう。小林茉里奈は「いずりなは昨日新たに河西さんポジションを覚えて出たらしくて。すごいなあ!!  しかも時間なくてもちゃんと間に合わせるとこや中途半端なパフォーマンスにはしないとこ。いずりなのこと尊敬するっ!」とモバメ(モバイルメール)で明かしている。そして、実は公演出演回数は伊豆田よりは少ないものの、ポジションは伊豆田以上の13覚えている藤田奈那は痛めた足や腰にテーピングをしながら踊り、3月には「肩と肋骨を痛めてしまっていて、昨日と今日はテーピングをして公演に出演させていただいたのですが、今日のおやつ公演の時に痛みに耐えられず、過呼吸を起こしてしまいました」とGoogle+で明かすほど、痛みと戦いながら活動を続けている。さらに、SKE48の研究生で生き様を舞台に叩きつけるように踊る斉藤真木子とも伊豆田は交流を深めている。「笑い顔」とメンバーから呼ばれる笑顔で、同期、先輩、後輩、姉妹グループとも交流し、AKB48劇場公演を支えているのだった。  彼女のレアな苗字である伊豆田を調べたところ、神社などで精進潔斎(肉食を断ち、行いを慎んで身を清めること)する人・斎(いつき)から、斎田(いつきだ)になり、それが訛って伊豆田になったという説があるようだ。  AKB48にとって、神社のように日参する場所はAKB48劇場であり、まさに彼女はそこで精進を続けて、確実に成長してきた。そんな彼女の好きな言葉は、AKB48のリーダーのあの名言のようだ。今年、高橋みなみの生誕祭の行われた公演に参加した伊豆田はこう明かしている。 「莉奈はたかみなさんの『努力は必ず報われる』って言葉が好きなので今日のたかみなさんのコメントを聞いて、信じて、これからももっともっと頑張ろうって思いました!」  今年も60回以上公演に出演し、AKB48劇場を支えている伊豆田。多くのポジションを覚えている彼女には、きっと彼女にしか見られない景色が見えているはずだ。だが、これはいつか必ず自分だけのポジションを勝ち取るための鍛錬。秋元康氏は語る。 「夢は、伸ばした手の1ミリ先にある。たった1ミリ先にあっても、実際に触れられなければ、遠く先にあるように思えてしまう。でも、そこでくじけて手を伸ばすことをやめてしまうと、永遠に夢をつかむことができない。見えない夢に手が届くことを信じて、懸命に伸ばし続けてみよう」  助走が長ければ長いほど、より高く、遠くへ飛べるはずだ。チームB 5th公演のラストナンバー「僕たちの紙飛行機」のように。 (文=本城零次<http://ameblo.jp/iiwake-lazy/>)

AKB48の強さは「メッセージ力」 総選挙を行う真の理由の裏に潜む“承認欲求”の真実(後編)

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(c)AKS
前編はこちらから ■ランク外のメンバーが誓った“恩返し”と自己実現意欲を喚起させる“承認欲求”  シングル参加メンバーを選ぶ「AKB48 27thシングル選抜総選挙」。光あるところには、当然影も存在する。昨年の総選挙で惜しくもランク外となったメンバーはそれぞれブログでファンにメッセージを送った。多くのメンバーがそれぞれ綴ったのは「ごめんなさい」と「恩返ししたい」という言葉だった。中田ちさとは「たくさん応援してもらっているのに恩返しできなくて本当にごめんなさい。今日のことをしっかり受け止めて改めて自分と向き合って今後どうしていったらいいか考えます」とコメント。また、小林香菜は「私は今回もあのステージに上がることはできませんでした でも、凄く納得しています きっと、私はあのステージに立っていたメンバーよりも欠けている所がたくさんあるんだと思います だから、これからはきちんとその足りない物、欠けている所を直していきます」と明かした。壇上に立つことはできなかったが、総選挙を通して、メンバーたちは改めて自分と向き合い、さらに向上することを誓うきっかけとしたのだった。  ランク外となっても総選挙は、向上心を培う――。右脳と左脳をつなぐ脳梁が男性よりも太く、より感情的な女性は承認欲求が強いとされ、誰かに認められることで、喜びと心の平穏を得る場合が多い。   心理学者・マズローの「人間は自己実現に向かって絶えず成長する生き物である」という「自己実現論」がある。人間の基本的欲求を低次から生理的欲求、安全の欲求、所属と愛の欲求、承認の欲求、自己実現の欲求という5段階あると定義している。AKB48で例えれば、研究生として加入、正規メンバー昇格、アンダーガールズ、選抜メンバー、神7(あるいはSKE48のセレクション8、NMB48のNMBセブン)となぞらえられるかもしれない。また、今回の総選挙では、フューチャーガールズ(49位~64位)、ネクストガールズ(33位~48位)、アンダーガールズ(17~32位)、選抜(1位~16位)、神7(選抜の中の1位~7位。あるいは筆者提唱の新概念・G8=記事参照)となる。つまり、各メンバーに目標を設定し、常に成長するきっかけとしているのだ。  努力し、成長を続けるメンバーたちによる総選挙は見る者の心を鷲づかみにする。マーケティングに「エンゲージメント・リング」という発想がある。人々の心を揺り動かし、物事を「自分ごと化」するもので、ファンが自ら参加して順位が決まり、メンバーが壇上で思いのたけを語る総選挙のように、ここまで人間の感情が揺さぶられるようなイベントを見てしまうと、ファンはメンバーたちに共感と連帯感を感じずにはいられない。選抜総選挙は単なる人気格付けを超越して、メンバーを成長させ、さらにファンとメンバーの間にある絆を深めるような人間の情動に響く、年に一度の“涙の祭典”となったのだった。   ■総選挙後、メンバーブログに起きた“聖地現象”  総選挙でメンバーたちが語った嘘偽りない言葉は、同性である女性たちにも刺さった。「なんでこの人たちはこんなに泣いているのだろう?」……そんな疑問からAKB48に興味を持ち、メンバーたちに“共感”してファンになった女性が増えたのだ。  男性ファンのみならず、女性ファンの共感も得た結果生まれたのが「聖地現象」。メンバーたちが、総選挙を終えてファンへの感謝のメッセージを綴ったブログには、膨大なコメントが寄せられ、それが1年を経過した今でもファンが、その投稿にコメントを続け、いつしか聖地と呼ばれるようになっている。昨年2位になった大島優子は「皆さんの愛は私の身体にじゅうじゅう染み渡っています。(中略)だから一緒にまた歩いてくれませんか?」と綴り、彼女の言葉に感銘を受けたファンがコメントを記し、そのコメントに別のファンが共感して、さらなるコメントを書き、次第にファン同士が日々の生活の苦悩や喜びを吐き出す場所となり、やがては、そのコメント欄を通じて知り合い、一緒に握手会に参加している例まであるのだ。そのほか、昨年の総選挙で「なぜか7人までで切られてしまうことが多くて……」と“神7”への苦悩を初めて吐露した柏木由紀や高城亜樹、北原里英のブログで聖地が発生。また、指原莉乃のブログ更新100回目の投稿やNMB48・山本彩が誕生日に18歳の決意を綴ったブログも“聖地”となっており、メンバーのブログのコメント欄が一種のSNSとして機能しているのだ。ほかのアーティスト、タレントには見られない自然発生的なこの現象は、メンバーのメッセージ力が共感を生み、もたらしたAKB48ならではの共同幻想なのだろう。 ■嫌われる勇気を持ち、個性をさらけ出す……AKB48の最終目標  AKB48グループの特徴は、AKB48や姉妹グループ、そしてノースリーブスなどの派生ユニットなど、レコード会社が各社に分かれ、メンバーも各芸能プロダクションに分かれて移籍している点。AKB48本体を運営するAKSを中心としながら、複数の芸能プロ、レコード会社と協力し、協調しながらプロジェクトを進めているようなグループは、異例の存在だろう。だが、秋元康氏は関わる団体が多い中で、積極的にNG事項を無くし、メンバーたちのありのままの姿をファンに見せようと取り組んでいる。メンバーのGoogle+の投稿をスタッフの検閲をなくし、同サイトと通じて、AKB48内に美術部、演劇部などの部活をスタートさせるなど新たな個性が発揮させる場を作っている。  素人からプロへと進化する過程を見せるAKB48において、彼女たちのありのままの姿を見せることが重要だった。中でも今回、総選挙速報で上位に来た大島優子、柏木由紀、渡辺麻友はそれぞれ自分をさらけ出すことで大きく変わっていったメンバーだ。優等生から変顔も辞さないコメディエンヌぶりを見せた大島、「ブラック」「雨女」と呼ばれながらもアイドルを貫く柏木、二次元好きをアピールすることで人間臭さが増した渡辺など、AKB48には、ありのままの自分をそのまま出すことでファンがその多面性に共感し、人気を集めていった経緯がある。  時に自分の本性を出すことには、“嫌われる勇気”が必要だ。だが、彼女たちは自分たちの弱さも認めながら、それを克服するために努力し、大勢の仲間たちに触発されながら、互いの個性を認め合い、「己をさらけ出すことの美しさ」を獲得していった。  そんなグループの目標について秋元康氏は「将来的には、エンタメ界で最強の進学校にしたい。女優や歌手、タレントになりたい人だけの集団ではなく、作詞家や漫画家、デザイナーなど様々な夢を持った人たちの登竜門になるのが理想です」と明かす。劇場公演を通じて培った表現力、協調性などを通して、この構想が実現する日も遠くないだろう。その試金石となるのが、前田敦子の卒業となるはずだ。彼女もまたAKB48を通して、大きく魅力を開花させた人材であり、AKB48だから、ここまで輝けた人だから。  そんな彼女がAKB48を去る中で、行われる今回の総選挙。年に一度の祭りであり、ファンからの通信簿とも評されるイベントだ。この1年間、彼女たちの続けてきた努力がファンからどのように評価されるだろうのか? そして、順位以上に重大なのが壇上で彼女たちが語るメッセージ。世代交代が注目のAKB48、この1年で大きく飛躍したSKE48、さまざまな出来事を通して、一丸となったNMB48、潜在能力は計り知れないHKT48……。彼女たちのメッセージ力が今年も試される日がやってくる。 (文=本城零次<http://ameblo.jp/iiwake-lazy/>)

AKB48の強さは「メッセージ力」 総選挙を行う真の理由の裏に潜む“承認欲求”の真実(後編)

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前編はこちらから ■ランク外のメンバーが誓った“恩返し”と自己実現意欲を喚起させる“承認欲求”  シングル参加メンバーを選ぶ「AKB48 27thシングル選抜総選挙」。光あるところには、当然影も存在する。昨年の総選挙で惜しくもランク外となったメンバーはそれぞれブログでファンにメッセージを送った。多くのメンバーがそれぞれ綴ったのは「ごめんなさい」と「恩返ししたい」という言葉だった。中田ちさとは「たくさん応援してもらっているのに恩返しできなくて本当にごめんなさい。今日のことをしっかり受け止めて改めて自分と向き合って今後どうしていったらいいか考えます」とコメント。また、小林香菜は「私は今回もあのステージに上がることはできませんでした でも、凄く納得しています きっと、私はあのステージに立っていたメンバーよりも欠けている所がたくさんあるんだと思います だから、これからはきちんとその足りない物、欠けている所を直していきます」と明かした。壇上に立つことはできなかったが、総選挙を通して、メンバーたちは改めて自分と向き合い、さらに向上することを誓うきっかけとしたのだった。  ランク外となっても総選挙は、向上心を培う――。右脳と左脳をつなぐ脳梁が男性よりも太く、より感情的な女性は承認欲求が強いとされ、誰かに認められることで、喜びと心の平穏を得る場合が多い。   心理学者・マズローの「人間は自己実現に向かって絶えず成長する生き物である」という「自己実現論」がある。人間の基本的欲求を低次から生理的欲求、安全の欲求、所属と愛の欲求、承認の欲求、自己実現の欲求という5段階あると定義している。AKB48で例えれば、研究生として加入、正規メンバー昇格、アンダーガールズ、選抜メンバー、神7(あるいはSKE48のセレクション8、NMB48のNMBセブン)となぞらえられるかもしれない。また、今回の総選挙では、フューチャーガールズ(49位~64位)、ネクストガールズ(33位~48位)、アンダーガールズ(17~32位)、選抜(1位~16位)、神7(選抜の中の1位~7位。あるいは筆者提唱の新概念・G8=記事参照)となる。つまり、各メンバーに目標を設定し、常に成長するきっかけとしているのだ。  努力し、成長を続けるメンバーたちによる総選挙は見る者の心を鷲づかみにする。マーケティングに「エンゲージメント・リング」という発想がある。人々の心を揺り動かし、物事を「自分ごと化」するもので、ファンが自ら参加して順位が決まり、メンバーが壇上で思いのたけを語る総選挙のように、ここまで人間の感情が揺さぶられるようなイベントを見てしまうと、ファンはメンバーたちに共感と連帯感を感じずにはいられない。選抜総選挙は単なる人気格付けを超越して、メンバーを成長させ、さらにファンとメンバーの間にある絆を深めるような人間の情動に響く、年に一度の“涙の祭典”となったのだった。   ■総選挙後、メンバーブログに起きた“聖地現象”  総選挙でメンバーたちが語った嘘偽りない言葉は、同性である女性たちにも刺さった。「なんでこの人たちはこんなに泣いているのだろう?」……そんな疑問からAKB48に興味を持ち、メンバーたちに“共感”してファンになった女性が増えたのだ。  男性ファンのみならず、女性ファンの共感も得た結果生まれたのが「聖地現象」。メンバーたちが、総選挙を終えてファンへの感謝のメッセージを綴ったブログには、膨大なコメントが寄せられ、それが1年を経過した今でもファンが、その投稿にコメントを続け、いつしか聖地と呼ばれるようになっている。昨年2位になった大島優子は「皆さんの愛は私の身体にじゅうじゅう染み渡っています。(中略)だから一緒にまた歩いてくれませんか?」と綴り、彼女の言葉に感銘を受けたファンがコメントを記し、そのコメントに別のファンが共感して、さらなるコメントを書き、次第にファン同士が日々の生活の苦悩や喜びを吐き出す場所となり、やがては、そのコメント欄を通じて知り合い、一緒に握手会に参加している例まであるのだ。そのほか、昨年の総選挙で「なぜか7人までで切られてしまうことが多くて……」と“神7”への苦悩を初めて吐露した柏木由紀や高城亜樹、北原里英のブログで聖地が発生。また、指原莉乃のブログ更新100回目の投稿やNMB48・山本彩が誕生日に18歳の決意を綴ったブログも“聖地”となっており、メンバーのブログのコメント欄が一種のSNSとして機能しているのだ。ほかのアーティスト、タレントには見られない自然発生的なこの現象は、メンバーのメッセージ力が共感を生み、もたらしたAKB48ならではの共同幻想なのだろう。 ■嫌われる勇気を持ち、個性をさらけ出す……AKB48の最終目標  AKB48グループの特徴は、AKB48や姉妹グループ、そしてノースリーブスなどの派生ユニットなど、レコード会社が各社に分かれ、メンバーも各芸能プロダクションに分かれて移籍している点。AKB48本体を運営するAKSを中心としながら、複数の芸能プロ、レコード会社と協力し、協調しながらプロジェクトを進めているようなグループは、異例の存在だろう。だが、秋元康氏は関わる団体が多い中で、積極的にNG事項を無くし、メンバーたちのありのままの姿をファンに見せようと取り組んでいる。メンバーのGoogle+の投稿をスタッフの検閲をなくし、同サイトと通じて、AKB48内に美術部、演劇部などの部活をスタートさせるなど新たな個性が発揮させる場を作っている。  素人からプロへと進化する過程を見せるAKB48において、彼女たちのありのままの姿を見せることが重要だった。中でも今回、総選挙速報で上位に来た大島優子、柏木由紀、渡辺麻友はそれぞれ自分をさらけ出すことで大きく変わっていったメンバーだ。優等生から変顔も辞さないコメディエンヌぶりを見せた大島、「ブラック」「雨女」と呼ばれながらもアイドルを貫く柏木、二次元好きをアピールすることで人間臭さが増した渡辺など、AKB48には、ありのままの自分をそのまま出すことでファンがその多面性に共感し、人気を集めていった経緯がある。  時に自分の本性を出すことには、“嫌われる勇気”が必要だ。だが、彼女たちは自分たちの弱さも認めながら、それを克服するために努力し、大勢の仲間たちに触発されながら、互いの個性を認め合い、「己をさらけ出すことの美しさ」を獲得していった。  そんなグループの目標について秋元康氏は「将来的には、エンタメ界で最強の進学校にしたい。女優や歌手、タレントになりたい人だけの集団ではなく、作詞家や漫画家、デザイナーなど様々な夢を持った人たちの登竜門になるのが理想です」と明かす。劇場公演を通じて培った表現力、協調性などを通して、この構想が実現する日も遠くないだろう。その試金石となるのが、前田敦子の卒業となるはずだ。彼女もまたAKB48を通して、大きく魅力を開花させた人材であり、AKB48だから、ここまで輝けた人だから。  そんな彼女がAKB48を去る中で、行われる今回の総選挙。年に一度の祭りであり、ファンからの通信簿とも評されるイベントだ。この1年間、彼女たちの続けてきた努力がファンからどのように評価されるだろうのか? そして、順位以上に重大なのが壇上で彼女たちが語るメッセージ。世代交代が注目のAKB48、この1年で大きく飛躍したSKE48、さまざまな出来事を通して、一丸となったNMB48、潜在能力は計り知れないHKT48……。彼女たちのメッセージ力が今年も試される日がやってくる。 (文=本城零次<http://ameblo.jp/iiwake-lazy/>)

AKB48の強さは「メッセージ力」 総選挙を行う真の理由の裏に潜む“承認欲求”の真実(前編)

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昨年の総選挙。抱き合う前田と大島。
「“偶像としてのアイドル”を“そこに生きているアイドル”に変えたい」  AKB48総合プロデューサー・秋元康氏はそう語る。AKB48がここまでブレイクした要素のひとつがその言葉通り、「等身大のリアリティ」だろう。だが、AKB48が一般の女性より、持っているものがあるとすれば、それは「メッセージ力」ではないだろうか……。  6月6日に日本武道館で最終結果が発表される「AKB48 27thシングル選抜総選挙」。2009年の第1回から回を増すごとにその注目の度合いを強め、中でもメンバーたちが順位発表の際に語る“魂の咆哮”ともいえる壇上での発言も話題を呼んできた。前田敦子の「AKB48に一生を捧げる」、大島優子の「背中を押してくださいとは言いません……ついてきてください!」など数々の名シーンが生まれてきたが、その背景には、AKB48ならではの“強さ”である「メッセージ力」が潜んでいる。  AKB48グループの最大の特徴は、「ほぼ毎日劇場で公演を行い、ファンと間近で触れ合いながら、成長するプロセスを見せること」。だが、メディアでしかAKB48を見ていない人々は知らないだろう。劇場で何が行われているのかを……。そして、多くのファンが何に魅かれているのかを……。「AKB48のどこがいいのかわからない」。その言葉ももはや聞き飽きた。いまだにAKB48を肯定できないアナタにお届けしよう。AKB48とは何者なのか? 総選挙がなぜここまでファンを熱くさせるのか? AKB48が「選抜総選挙」を行う真の意味を検証する。 ■総選挙開始の理由「総選挙はファンからの通信簿」  AKB48のシングルは全メンバーから20人前後の選抜メンバーを秋元康総合プロデューサーおよびスタッフが決定してきた。だが、固定化傾向のあったその人選にファンは常々疑問を呈しており、その声を汲んで、行われたのが09年の第1回選抜総選挙「AKB48 13thシングル選抜総選挙」だった。  アイドルグループの事実上の人気順を白日の下にさらすというタブーを打破した結果、メンバーは互いを仲間であるとともに、切磋琢磨しあえるライバルだと再認識した。さらに、メンバーは票を投じたファンの存在によって、ステージに立てていることを実感し、自らのタレントとしての存在理由を再考する機会を与えられたのだ。中でも、順位が発表される度にメンバーは壇上でファンへの感謝、夢への情熱を語り、その感情むき出しの言葉は見る者の心を打った。  「総選挙はファンからの通信簿」とも言われるが、まさに通信簿のように、順位を発表することで、今、各自が置かれている状況を明らかにし、メンバーに成長を促しているのだ。そして、ファンはメンバーに投票することで、プロデューサー感覚を味わえる。握手会でダンスについてのアドバイスを語り、メンバーを成長させることもできるAKB48だが、総選挙では、シングルに参加できるか否かもファンの投票によって決まる。だが、シビアに順位が出るものの、上位だからと言って慢心できるわけはなく、結果をどう受け止めるかは、メンバー本人の心次第。プロ野球でファンによる投票で選抜された選手が出場する「オールスターゲーム」のように、年に一度の祭りのようなイベントとして、定着している。 ■改めて問う劇場公演の意味 公演によって培われるメッセージ力  AKB48がここまでファンの心をつかんだ理由は「メッセージ力」だ。それは日々行っている劇場公演で培われている。最前列までの距離はわずか1.5m、滴る汗や息遣いまで見え、演者と観客の視線の真剣勝負のような劇場で、メンバーたちは16人1チームという人数ならではのダンスパフォーマンスを行う。狭い範囲でフォーメーションがめまぐるしく変わるダンスは、一人が陣形を乱せば破綻する。そのため、メンバーたちには日々レッスンに励み、先輩・後輩を通り越した強い結束が生まれるのだ。  ポップなアイドルソングから、ダークな曲、バラードなど多彩な曲(その詳細は、公演楽曲300曲を解説した拙著『AKB48神公演クロニクル』<メディアックス>に詳しい)が並ぶ公演を通して、表現力を学ぶ一方、公演で重要なのが、MCタイムのトーク。実際、2時間の公演の曲間に行われるMCタイムは合計25分~30分ある。台本の一切ないそのMCで語られるのは、お題に沿ったテーマトーク。“箸が転がっても面白い”世代が多い故のブットんだトークで笑いも誘う一方、メンバーが真剣に自らの思いを語るのが劇場名物の「生誕祭」だ。  誕生日直後にそのメンバーが出演する公演の最後に行われる生誕祭では、両親や仲間のメンバーから手紙が届き、祝福された本人が1年の抱負と、将来の夢への決意、ファンへの感謝を述懐する(その具体例は、拙著『泣けるAKB48』<サイゾー>参照)。時に、ファンを爆笑させ、時に涙を流させるまでの感情の機微がそこにはある。それは、250人というファンの顔がわかる劇場で、何を言えば観客が反応し、何を話せば人の心に届くのかを日々、自らの肌で体感してきたからに相違ない。AKB48は、連日舞台に立ち、握手会をこなし、ファンの顔と名前を覚えながら、自らの肌でファンのリアクションを間近で見ながら成長する。人間関係が稀薄になった時代に、あえて濃密なフェイス・トゥ・フェイスのコミュニケーションを続けてきたのがAKB48の強みである。  加入したばかりの研究生は、自己紹介もおぼつかない場合もある。だが、先輩と同じ舞台に立ち、年間200回近い公演をこなしながら、舞台度胸をつけ、パフォーマンスはもちろんトークでも成長する。この公演というシステムを「大声ダイヤモンド」などの振り付けで知られる牧野アンナ氏は「発明」と語るほど、メンバーの成長に役立っているのだ。  生誕祭、総選挙、あるいは仲間のメンバーの卒業、公演の千秋楽などの儀式で、自身の思いのたけを語る機会が多いメンバーたちは、そうしてメッセージ力を培ってきた。そうして生まれた真摯な思いが多くのファンの心に刺さったのだ。そして、公演を通して学んだメッセージ力、運営がファンの意見を汲み取る姿勢、互いにぶつかり合いながら成長してきた各メンバーのハイコンテクストな物語性……それらが一極に集中したのがAKB48の総選挙だ。 ■感謝、決意、覚悟、直訴、愛……総選挙から生まれたドラマ  2008年の「大声ダイヤモンド」(キングレコード)がオリコン週間3位を記録し、ヒットの兆しが見えたものの、その前年の2007年には出場した『紅白歌合戦』(NHK総合)には出演できなかったAKB48。  固定ファンはつかんだが、一般層への知名度はまだまだだった2009年に初めて企画されたのが、第1回の総選挙だった。初期メンバー・浦野一美(元・SDN48/現・渡り廊下走り隊7)の初選抜というドラマもありながら、衝撃を呼んだのが佐藤亜美菜の8位という順位だった。選抜未経験でほかのチームの公演にもアンダー(代役)として出演していた亜美菜は「私はテレビや雑誌で見るAKBの子たちみたいにキラキラできないから、貢献できてないと思っていて、でもこうやって選抜に入ることができて、本当にうれしいです」と涙ながらに告白。メディア出演は少なくとも、公演に誰よりも励んでいた彼女が報われ、総選挙はメンバーとファンの願望が成就する場であることを証明したのだった。  翌年の第2回総選挙では1位、2位のトップが逆転。“絶対的エース”だった前田敦子が2位となり、「私は1位という器ではないと思います」と積年の思いを吐露し、次回のリベンジを宣誓。大島優子は「背中を押してくださいとは言いません……ついてきてください!」という名台詞を残した。渡辺麻友が慟哭しながら語った「今のこの現状には満足していません!!」や、松井玲奈が「『1番が取りたい』じゃなくて、『お前が1位になれ!』と言われるような、そんな素敵な人になりたい」という言葉も彼女たちが背負う覚悟をより鮮明にした。  そして第3回総選挙では、壇上で秋元康氏に直訴するという“事件”が起きる。高柳明音が「私たちに公演をやらせてください!!」と懇願。オリジナル公演の開始が約1年半、遅れているチームKIIのリーダーである彼女が、メンバーの焦燥を代弁したのだった。  そして、前回の逆転劇から1年、2位で名前を呼ばれた大島優子は「『ひとり何枚も買って本当に総選挙と言えるのか?』『選挙はひとり1票じゃないか?』……ですが、私たちにとって票数というのは皆さんの“愛”です」と発言。世間の批判に自らメスを入れ、その上で、ファンの行動を“愛”だと完全肯定した。自ら矢面に立ち、批判を正面から受け止めながら、ファンに感謝を捧げたのだった。また、前田敦子の「私のことは嫌いでもAKB48は嫌いにならないでください」という言葉はエースの重圧を感じさせ、高橋みなみの「努力は必ず報われると、私はこの人生をもって証明します!!」というメッセージはAKB48グループ全体のリーダーを担う彼女の愚直な生き様を改めて世に知らしめた。  年を増すごとに、メッセージ力にあふれた言葉を発信しているメンバーたち。互いの違いを認め合いながら、辛い時間も仲間とともに乗り越えてきたのがAKB48だ。その根底には、支えてくれるファンや周囲に人々への感謝、自分のためだけに努力するだけでなく、常に“誰かのために”成長してきた経緯があるのは言うまでもないだろう。 * * *  承認欲求とAKB48の関係、総選挙後に起きた“聖地現象”、AKB48の最終目標に迫る後編へ続く。 (文=本城零次<http://ameblo.jp/iiwake-lazy/>)