釈ちゃんを15年支えた芸能マネージャーのビジネス術とは?

 サイゾー新ニュースサイト「Business Journal」の中から、ユーザーの反響の大きかった記事をピックアップしてお届けしちゃいます! ■「Business Journal」人気記事(一部抜粋) なぜ“汎用技術”iPodはヒットしたのか? ケータイ、キャバクラ、株含み益…失敗する経営者の“条件” 小さくてもいいじゃん!豊胸手術で乳がん検診が受けられない? ■特にオススメ記事はこちら! 釈ちゃんを15年支えた芸能マネージャーのビジネス術とは? - Business Journal(7月26日)
グラビアアイドル時代よりもさらに
進化した釈由美子が見られる !?
(『I am 釈由美子写真集』より)
 デビュー15周年を迎えて……と聞いて「エッ!? もうそんなにたっちゃうの?」と驚かれた方も多いことと思うが、女優の釈由美子が、来る8月30日に10年ぶりの水着写真集『I am 釈由美子写真集』(学研パブリッシング)を発売することを発表した。撮影場所はタイ有数のリゾート地・クラビ。実に34歳という年齢ではあり得ない健康的なナイスバディを惜しげもなく披露。2万にも及ぶショットから厳選されたカットが満載で、彼女の15年という芸歴が凝縮されたような1冊になっている。とはいえ15年という経年を全く感じさせないところも、さすがというほかはないのだが……!  さて、浮き沈みの激しい芸能界でひと口に15年といっても、それは並大抵の時間ではない。逆にいえば10年以上も芸能界で生き残ること、活動を続けられることはまれなのだ。もちろん本人の才能と努力もあるが、女優を陰で支えるスタッフの存在が大きいことは言うまでもない。  そこで、釈由美子デビュー15周年および10年ぶりの水着写真集の発売に際して、彼女の所属事務所であるトミーズアーティストカンパニーのチーフマネージャー、熊谷修宏氏(41)に話を聞いた。釈由美子と共に過ごした事務所の15年はもちろん、知られざるマネージャーという仕事の中身や仕事術、ビジネスに生かせるノウハウなど、話は多岐にわたったので、これから数回に分けて紹介していこう。 釈ちゃんの15年は熊谷氏の15年  熊谷氏は先述の通り、釈の所属事務所のスタッフのひとりで、マネージャー数名を束ねるチーフ。デビュー当時から釈の営業を行っており、彼女の15年は、まさに熊谷氏の15年ともいえる。  10年ぶりの水着写真集については「釈のデビュー当時からのファンに聞いたんです。『記念に何をしたらよいですか?』と。そうしたら『イベントで本人に会いたい』『写真集を出してほしい』という意見が多かったりと、いろいろな偶然が重なって、こういう結果を生んだんです」(熊谷氏)  その熊谷氏のスタートは実はマネージャーではなく、いわゆる“スカウトマン”だったという。スカウトマンとは文字通り、その辺を歩いている“普通の女の子や男の子”に声をかけ、芸能界に誘う仕事である。
独特の名刺・スケジュール管理法でも
知られる熊谷氏。そのテクニックは、
次回以降の当コラムで公開していく。
「もともとは、あまり人と話すことが得意じゃないというか、苦手だったんです。ただ、大学の学生寮でいろいろな大学の先輩に恵まれて、その中にいた早稲田の先輩が当時『Hot-Dog PRESS』(講談社/現在休刊)で読者モデルを集めるアルバイトをしていたんです。その方に『手伝ってもらえないか? 』と言われて始めたのが、人生初のスカウトでした。最初は話しかけてもなかなか聞いてもらえず大変だったんですが、あるとき銀座のOLに声をかけて、その方はダメだったんですけど、『スカウトがんばってくださいね』と言われたんです。そう言われたときに、すごいやりがいを感じたというか……それからスカウトに前向きになりましたね」(同) スカウトのクラスは、事務所のバリューで決まる  確かに、我々も普段仕事をしている中で、見知らぬ人に「がんばって」と声をかけられることなど、ほとんどない。一見、なんでもないそのひと言に強く励まされたという熊谷氏、以降は読者モデルから、イベントコンパニオン、レースクイーンまで、さまざまな女の子をスカウトしていく。スカウトにはA〜Dクラスがあり、そのクラス分けはスカウトした女の子が所属することになる事務所のバリューや、そこからスカウトに支払われる紹介金の額面で決まるという。 「最初はBとかCだったんですけど、だんだん欲が出て。Aクラスの扱いを受けられる女の子をスカウトしようとがんばろうと思いました。そのためには、しっかりとしたタレント事務所に籍を置いた上でスカウトしたいと思い、自分から事務所に電話をして、スカウトマンをさせてほしいと営業をかけたんです。何十社か電話したんですけど、たまたまそのうちの1社のズーム・リパブリックの方が『うちでやらないか?』と言ってくださって、そこでスカウトマンをすることになりました。その事務所の方が、たまたま母校が同じ明治大学でもあり、今の会社の社長と知り合いで、後に僕を紹介してくれることになったんですけど……スカウトをやっていなかったらこの業界には入っていませんでしたね」(同) ガス器具メーカーから芸能マネージャーへの転身  “今の会社の社長”とは、トミーズアーティストカンパニーの代表取締役社長・小林謙治氏のこと。小林氏は“トミーさん”のニックネームで親しまれ、元ジャニーズのダンサー・振付師という素敵な経歴の持ち主だけあり、齢50を過ぎてなおイケメンであり続ける社長。かつて国際派女優の工藤夕貴を育て、「あたし、脱いでもすごいんです」の名キャッチフレーズで一世を風靡した北浦共笑を輩出。そして釈由美子、山本梓を世に送った芸能界きっての名士でもある。大学卒業後、熊谷氏もすぐにその門戸を叩いたのかと思いきや、意外にも最初の就職先はガス器具メーカーの老舗・リンナイだったという。 「先の明治大学の先輩のもとで、ズーム・リパブリックの名刺を作ってもらって1年半くらいスカウトをしていたんですけど、就職活動を始めようとした時に、事務所の方から『芸能事務所はやめたほうがいい』と言われました。なぜかというと、まず日本のビジネス構造においては、一番上にメーカー、その次に流通がありきで、その後にマスコミ、芸能界があるから、まずメーカーで勉強しなさいと言われて、大学卒業後はリンナイに入りました。そこに約2年いたのですが、日本の社会や経済の構造を知る上で、すごく勉強になりましたね。その後、トミーズアーティストカンパニーに入ってからも、広告代理店があって、広告収入の比重が大きい芸能界があってと……だからトミーズカンパニーでも、自分の担当するタレントが、企業のイメージキャラクターになった時に、“日本と初めてつながった”という感覚がありました。今も、メーカーにいたことが役立っているとの思いはあります。まずメーカーがあって、日本が成り立っているというところから芸能界を考えられるようになった部分もありますし」(同)  なるほど、芸能界といえど、あくまでもビジネスの世界。釈由美子の15年も、そんな熊谷氏をはじめとするトミーズアーティストカンパニーという一企業の理念に支えられているのかもしれない。  それでは次回は、気になる“スカウト術”に肉迫してみよう。ビジネスはもちろんだが、ナンパや合コンにも役に立つかも……! (構成=岩佐陽一) ■「Business Journal」人気記事(一部抜粋) なぜ“汎用技術”iPodはヒットしたのか? ケータイ、キャバクラ、株含み益…失敗する経営者の“条件” 小さくてもいいじゃん!豊胸手術で乳がん検診が受けられない? 駅のゴミ箱が復活しないのは、経費削減のため? GREE、DeNAは新しい“卓越した”コンプガチャを生む 敵はジャパネット? ヤマダ電機会長、ジリ貧の焦り 厚労省が、禁断の被生活保護者一斉調査を断行

なぜ“汎用技術”iPodはヒットしたのか?

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「Apple Store HP」より
 ゴールドマン・サックス証券、ベイン&カンパニーなどの複数の外資系金融機関やコンサルティング会社を経て、ライブドアに入社。あのニッポン放送買収を担当し、ライブドア証券副社長に就任。現在は、経営共創基盤(IGPI)で多くのITベンチャー企業のスタートアップ、事業開発、M&Aアドバイザリーに従事するのが、塩野誠氏である。  そんな塩野氏へのインタビューの模様を掲載した前回記事に引き続き、今回はその後編として、「アップルが強い理由」「日本企業苦戦の理由」「ベンチャー、ITサービス成功の秘訣」などについてお届けする。 ――ITサービス/ビジネスは、今後どのような方向に向かうのでしょうか? 塩野誠氏(以下、塩野) スマホとスマートデバイスの連携が進むと考えています。例えば、腕にリング状のデバイスを着けて、Bluetoothでスマホに飛ばす。そうすると自分の脈等のログを24時間ずっと取ることができます。このようなライフログ、医療系でのデータを手間暇かけないで取ることができて、そのデータに医療機関等がアクセスできれば、検査時間が短縮化され、かつ確実な医療が受けられるようになると思います。しかもデバイスがオシャレであれば、言うことなしですね。この「オシャレである」というのは、重要なファクターです。iPodの基本技術はどのメーカーでも持っていた一般的なものなのに、「iPodを持っているのがかっこいい」というマーケティングをして、アップルは大成功を収めたのですから、ハードのデザイン性は重要な要素なのです。ここに、実はベンチャー企業が成功するヒントがあるのです。 ――日本企業も、もっとオシャレさを追求すべきということでしょうか? 塩野 これまでのITや電機業界は、あえて単純化した言い方をすると、「独裁者・ジョブズ的なもの」対「合議制・日本メーカー的なもの」の戦いなのです。ジョブズという思想家が独裁してつくった製品は、デザインも機能もエッジが立っています。一方、合議制でモノづくりをしてきた日本メーカーは、マーケティング部があり、営業販売部があり、デザイン部があり、技術部があり、合議制の中でエッジーなアイディアをネガティブチェックしていくうちに、普通なものにしてしまうということの繰り返しをしてきました。「先輩が言ったから」とか、「上司が言ったから」とかいってエッジを削ぎ落としていった結果、極めて普通の製品になってしまったんですね。 iPhoneは粗利益率70% ――日本のモノづくりが苦戦しているのは、デザインや設計思想ですか? 塩野 そうです。今はベーシックな機能は、どのメーカーでも同じコモディティになってしまいました。すると、製品やサービスの根底にある思想やデザインにかけるリソースの違いが、「消費者が感じる価値」に変換されるようになりました。iPhoneは、電子機器製品として見ると、粗利益率が70%くらい取れているんです。でも、世界中で売れている。これは、デザインや設計思想の部分が、商品価値として評価されているということなんです。そういう意味においては、日本の合議制というモノづくりでは、機能で劣らないのに非常に負けが濃いんですね。 ――日本的企業経営が、時代にフィットしなくなってきたのでしょうか? 塩野 少なくともIT・インターネットを介したサービスや製品では、「合議制」で、「完全な製品」を、「いくつものバリエーション」で販売していこうとする日本企業のやり方は、時代にフィットしないようになりつつあると思います。アップルが成功したのは、ジョブズという独裁者が、「自分が欲しいと思う製品・サービスをつくったら、実はみんな欲しかった」というスーパーユーザーの発想です。製品数も少ないため粗利益率も高いわけです。でもこれは、ベンチャー企業そのものですよね。ベンチャーは思想家は経営トップひとりですから、「先輩に言われたから」とか、「社長の案件だから」とかはない。「そのサービスは、誰の何を解決しているサービスなのか」それをひたすら追求していけばいいわけです。 ベータ版でもリリースして、チューニングし続ける ――追求していく上で重要なポイントは? 塩野 現在のSNSでのサービスは、「Facebookログイン」「Twitterログイン」など、プラットフォームの上に乗っかったアプリとしてのサービスが中心です。しかし、プラットフォームに依拠してサービスを展開するというのは、DJみたいなものです。センスのある人間がミックスしているにすぎない。従って、そこのユーザーの属性の  ・インタレストグラフ  ・ソーシャルグラフ のデータを借りてきて、サービスを洗練させていくということになる。しかし、プラットフォームという「誰かのつくった思想」に依拠してしまうので、限界があるし、誰でもできてしまうから、すぐにキャッチアップする競合相手が生まれてくるのです。そこで求められるのが、 「コンセプトをよりエッジーにするために、チューニングをし続けていくこと」 です。インターネットの世界においては、完成度60〜80%程度のベータ版でサービス開始した後に、適時チューニングし続けるということができてしまうので、「ユーザの反応を見ながら、いかに早くチューニングをしていくのか?」が重要です。でもこれは、日本人が得意な「おもてなしの心」なんですよ。「ユーザがこう言ってきたら、どんどん変えていこう」という、ユーザフレンドリーな「おもてなしの心」なのです。 グーグルのジレンマ ――海外の成功しているIT企業は、その「ベータ版」というポイントを意識してサービス提供を行っているのでしょうか? 塩野 ええ。しかし、グーグル本社で聞いたのですが、グーグルが大企業になって社会的責任が出てきた時に、ベータ版で出すのがすごく難しくなってきたそうです。今までなら無料ということで、ベータ版を出していたのが、それがすごく難しくなってきた。これも、企業が大きくなったがゆえに失ったモノなんですよ。そうするとIT業界においては、スピードを失っていくんです。そこでどうするかというと、ベータ版でチューニングして完成した製品やサービスを買収するのです。これには、 「テクノロジーやエンジニアを買う」 「自分の将来の敵を消す」 という2つの意味があります。そしてスピード感のある人間をチームに入れることで、組織内の活性化を図っているんですね。 「個人の支払い能力」を制する者が、ビジネスを制す? ――グーグルの競合であるヤフーが、先日カルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)とポイント事業を統合することを発表しましたが、この動きについてはどのように見ていますか? 塩野 こうした動きのベースにあるのは、1つのIDですべてにアクセスしたいという、ユーザの要望を反映したものです。わかりやすくいえば、クレジットカードを1つにまとめてしまうみたいなことです。しかも、1IDにお金とパーソナルデータが入っていて、「誰がそれを握るのか?」だけではなく、同時に「ネットワークの外部性とか利便性が効いているか?」という視点も必要です。企業から見れば、 「どの企業がメインIDを管理する権限を持って、そのメインIDの中に入っているパーソナルデータにアクセスするか?」 「どの企業がデータの利用許諾ゲート(入り口)に成り得るか?」 の勝負なのです。データへのアクセス許諾権は、ユーザ個人とそこの管理者が持っているので、管理者はビジネス上の強い権限を持つことができるのです。そうした中で、リアルの実店舗とヤフーという大きなメディア、ECが融合されるというのは、ビッグニュースですね。 ――このような動きは、これまでもあったのでしょうか? 塩野 楽天が、電子マネー「Edy」を発行するビットワレットを買収しました。すると、「Edy」を利用できる各店舗には、楽天のマークがつくようになりましたね。このような動きは今後も広がっていくでしょうね。ユーザ側でも、どのブランドに対してシンパシーを持って、メインIDとしてパーソナルデータを提供するかという選択が、加速するように思います。この先グーグルが「グーグルクレジットカード」を発行して、リアル店舗での買い物ができるようになったら、面白いことになるかもしれないですね。でも、日本において一番個人データを持っているのは、やはりビザやマスターといったクレジットカード会社です。重要なのは個人の支払い能力です。この情報も保有したメインIDは、本当の意味で脅威です。最終ビジネスでの重要な一角を占める、「個人の支払い能力」に関する情報にアクセスできるメインIDとなるわけですから。そのアクセス許諾権を誰が握るのかが、今後の勝負になってくるはずです。 ■「Business Journal」人気記事(一部抜粋) 釈ちゃんを15年支えた芸能マネージャーのビジネス術とは? 今晩スペイン戦 日本人好みの“走るサッカー”では勝てない! ロンドン五輪、ケータイ、ルンバ…身の回りは軍事技術だらけ!? ケータイ、キャバクラ、株含み益…失敗する起業家の“条件” 本がない!? 東京国際ブックフェアで見えたどん底の出版業界 「配属テストは麻雀だった !?」ファンドマネージャー座談会 ヤフー・ツタヤ提携が狙うネット&リアルの覇権と楽天潰し!?

なぜ“汎用技術”iPodはヒットしたのか?

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「Apple Store HP」より
 ゴールドマン・サックス証券、ベイン&カンパニーなどの複数の外資系金融機関やコンサルティング会社を経て、ライブドアに入社。あのニッポン放送買収を担当し、ライブドア証券副社長に就任。現在は、経営共創基盤(IGPI)で多くのITベンチャー企業のスタートアップ、事業開発、M&Aアドバイザリーに従事するのが、塩野誠氏である。  そんな塩野氏へのインタビューの模様を掲載した前回記事に引き続き、今回はその後編として、「アップルが強い理由」「日本企業苦戦の理由」「ベンチャー、ITサービス成功の秘訣」などについてお届けする。 ――ITサービス/ビジネスは、今後どのような方向に向かうのでしょうか? 塩野誠氏(以下、塩野) スマホとスマートデバイスの連携が進むと考えています。例えば、腕にリング状のデバイスを着けて、Bluetoothでスマホに飛ばす。そうすると自分の脈等のログを24時間ずっと取ることができます。このようなライフログ、医療系でのデータを手間暇かけないで取ることができて、そのデータに医療機関等がアクセスできれば、検査時間が短縮化され、かつ確実な医療が受けられるようになると思います。しかもデバイスがオシャレであれば、言うことなしですね。この「オシャレである」というのは、重要なファクターです。iPodの基本技術はどのメーカーでも持っていた一般的なものなのに、「iPodを持っているのがかっこいい」というマーケティングをして、アップルは大成功を収めたのですから、ハードのデザイン性は重要な要素なのです。ここに、実はベンチャー企業が成功するヒントがあるのです。 ――日本企業も、もっとオシャレさを追求すべきということでしょうか? 塩野 これまでのITや電機業界は、あえて単純化した言い方をすると、「独裁者・ジョブズ的なもの」対「合議制・日本メーカー的なもの」の戦いなのです。ジョブズという思想家が独裁してつくった製品は、デザインも機能もエッジが立っています。一方、合議制でモノづくりをしてきた日本メーカーは、マーケティング部があり、営業販売部があり、デザイン部があり、技術部があり、合議制の中でエッジーなアイディアをネガティブチェックしていくうちに、普通なものにしてしまうということの繰り返しをしてきました。「先輩が言ったから」とか、「上司が言ったから」とかいってエッジを削ぎ落としていった結果、極めて普通の製品になってしまったんですね。 iPhoneは粗利益率70% ――日本のモノづくりが苦戦しているのは、デザインや設計思想ですか? 塩野 そうです。今はベーシックな機能は、どのメーカーでも同じコモディティになってしまいました。すると、製品やサービスの根底にある思想やデザインにかけるリソースの違いが、「消費者が感じる価値」に変換されるようになりました。iPhoneは、電子機器製品として見ると、粗利益率が70%くらい取れているんです。でも、世界中で売れている。これは、デザインや設計思想の部分が、商品価値として評価されているということなんです。そういう意味においては、日本の合議制というモノづくりでは、機能で劣らないのに非常に負けが濃いんですね。 ――日本的企業経営が、時代にフィットしなくなってきたのでしょうか? 塩野 少なくともIT・インターネットを介したサービスや製品では、「合議制」で、「完全な製品」を、「いくつものバリエーション」で販売していこうとする日本企業のやり方は、時代にフィットしないようになりつつあると思います。アップルが成功したのは、ジョブズという独裁者が、「自分が欲しいと思う製品・サービスをつくったら、実はみんな欲しかった」というスーパーユーザーの発想です。製品数も少ないため粗利益率も高いわけです。でもこれは、ベンチャー企業そのものですよね。ベンチャーは思想家は経営トップひとりですから、「先輩に言われたから」とか、「社長の案件だから」とかはない。「そのサービスは、誰の何を解決しているサービスなのか」それをひたすら追求していけばいいわけです。 ベータ版でもリリースして、チューニングし続ける ――追求していく上で重要なポイントは? 塩野 現在のSNSでのサービスは、「Facebookログイン」「Twitterログイン」など、プラットフォームの上に乗っかったアプリとしてのサービスが中心です。しかし、プラットフォームに依拠してサービスを展開するというのは、DJみたいなものです。センスのある人間がミックスしているにすぎない。従って、そこのユーザーの属性の  ・インタレストグラフ  ・ソーシャルグラフ のデータを借りてきて、サービスを洗練させていくということになる。しかし、プラットフォームという「誰かのつくった思想」に依拠してしまうので、限界があるし、誰でもできてしまうから、すぐにキャッチアップする競合相手が生まれてくるのです。そこで求められるのが、 「コンセプトをよりエッジーにするために、チューニングをし続けていくこと」 です。インターネットの世界においては、完成度60〜80%程度のベータ版でサービス開始した後に、適時チューニングし続けるということができてしまうので、「ユーザの反応を見ながら、いかに早くチューニングをしていくのか?」が重要です。でもこれは、日本人が得意な「おもてなしの心」なんですよ。「ユーザがこう言ってきたら、どんどん変えていこう」という、ユーザフレンドリーな「おもてなしの心」なのです。 グーグルのジレンマ ――海外の成功しているIT企業は、その「ベータ版」というポイントを意識してサービス提供を行っているのでしょうか? 塩野 ええ。しかし、グーグル本社で聞いたのですが、グーグルが大企業になって社会的責任が出てきた時に、ベータ版で出すのがすごく難しくなってきたそうです。今までなら無料ということで、ベータ版を出していたのが、それがすごく難しくなってきた。これも、企業が大きくなったがゆえに失ったモノなんですよ。そうするとIT業界においては、スピードを失っていくんです。そこでどうするかというと、ベータ版でチューニングして完成した製品やサービスを買収するのです。これには、 「テクノロジーやエンジニアを買う」 「自分の将来の敵を消す」 という2つの意味があります。そしてスピード感のある人間をチームに入れることで、組織内の活性化を図っているんですね。 「個人の支払い能力」を制する者が、ビジネスを制す? ――グーグルの競合であるヤフーが、先日カルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)とポイント事業を統合することを発表しましたが、この動きについてはどのように見ていますか? 塩野 こうした動きのベースにあるのは、1つのIDですべてにアクセスしたいという、ユーザの要望を反映したものです。わかりやすくいえば、クレジットカードを1つにまとめてしまうみたいなことです。しかも、1IDにお金とパーソナルデータが入っていて、「誰がそれを握るのか?」だけではなく、同時に「ネットワークの外部性とか利便性が効いているか?」という視点も必要です。企業から見れば、 「どの企業がメインIDを管理する権限を持って、そのメインIDの中に入っているパーソナルデータにアクセスするか?」 「どの企業がデータの利用許諾ゲート(入り口)に成り得るか?」 の勝負なのです。データへのアクセス許諾権は、ユーザ個人とそこの管理者が持っているので、管理者はビジネス上の強い権限を持つことができるのです。そうした中で、リアルの実店舗とヤフーという大きなメディア、ECが融合されるというのは、ビッグニュースですね。 ――このような動きは、これまでもあったのでしょうか? 塩野 楽天が、電子マネー「Edy」を発行するビットワレットを買収しました。すると、「Edy」を利用できる各店舗には、楽天のマークがつくようになりましたね。このような動きは今後も広がっていくでしょうね。ユーザ側でも、どのブランドに対してシンパシーを持って、メインIDとしてパーソナルデータを提供するかという選択が、加速するように思います。この先グーグルが「グーグルクレジットカード」を発行して、リアル店舗での買い物ができるようになったら、面白いことになるかもしれないですね。でも、日本において一番個人データを持っているのは、やはりビザやマスターといったクレジットカード会社です。重要なのは個人の支払い能力です。この情報も保有したメインIDは、本当の意味で脅威です。最終ビジネスでの重要な一角を占める、「個人の支払い能力」に関する情報にアクセスできるメインIDとなるわけですから。そのアクセス許諾権を誰が握るのかが、今後の勝負になってくるはずです。 ■「Business Journal」人気記事(一部抜粋) 釈ちゃんを15年支えた芸能マネージャーのビジネス術とは? 今晩スペイン戦 日本人好みの“走るサッカー”では勝てない! ロンドン五輪、ケータイ、ルンバ…身の回りは軍事技術だらけ!? ケータイ、キャバクラ、株含み益…失敗する起業家の“条件” 本がない!? 東京国際ブックフェアで見えたどん底の出版業界 「配属テストは麻雀だった !?」ファンドマネージャー座談会 ヤフー・ツタヤ提携が狙うネット&リアルの覇権と楽天潰し!?

小さくてもいいじゃん!豊胸手術で乳がん検診が受けられない?

 サイゾー新ニュースサイト「Business Journal」の中から、ユーザーの反響の大きかった記事をピックアップしてお届けしちゃいます! ■「Business Journal」人気記事(一部抜粋) ヤフー・ツタヤ提携が狙うネット&リアルの覇権と楽天潰し!? 原発で大儲け、出版社に脅し…電通と博報堂のふしだらなリアル 「配属テストは麻雀だった !?」ファンドマネージャー座談会 ■特にオススメ記事はこちら! 小さくてもいいじゃん!豊胸手術で乳がん検診が受けられない? - Business Journal(7月25日)
『がんのひみつ』(朝日出版社/中川恵一)
 人口動態統計によると、平成21年、乳がんによる死亡者数は約1万2000人。昭和40年には約2000人にすぎなかったことから見ると、ここ40年ほどで大激増したといえよう。  これを受けて、平成17年度より、全国の9割以上の市区町村で、触診・エコー・マンモグラフィーの3本立てによる乳がん検診が行われるようになった。厚生労働省が乳がん撲滅のため、全国に40億円の機器購入補助金を出した成果である。  しかし、検診を受ける女性の数は、現在でも4人に1人程度と決して多くはない。その理由は、「検診を受けられる場所が遠い」「異常がないから大丈夫」「数千円の検診料を払えない」などさまざまである。  しかし、少数ながら「豊胸手術のせいで検診が受けられない」という女性たちがいることは、ほとんど知られていない。そのため、魅力的なバストに憧れて豊胸手術を受けてみたものの、乳がん検診を受けられず不安な思いをする女性たちが後を絶たないのだ。 豊胸手術のせいでマンモグラフィーが使えない  豊胸手術経験者の亜由美さん(仮名、40代)に、自治体から乳がん検診の通知が来た。しかし検診案内の注意書きには、「豊胸手術をしている方は、マンモグラフィーにより豊胸バッグ破損の怖れがあるため、検診をお断りさせていただいております」と書かれていたのだ。  亜由美さんはかつて豊胸手術を受ける前、いくつもの美容クリニックを訪れて、手術方法や術後の健康への影響について医師のカウンセリングを受けている。 「授乳に影響はない、とか、触っても違和感がない、などと言われました。かなり低い確率でバストが変形することがあるとの説明も受けていました。でも、乳がん検診を断られるなんて、どのクリニックでも一言も言われませんでした」(亜由美さん)  亜由美さんは手術をしたクリニックの医師に、 「どうして乳がん検診への影響について教えてくれなかったのか」 と、質問を投げてみたところ、医師は次のように答えたそうだ。 「マンモグラフィーの検診を断る医療機関はあるかもしれませんね。でも、ちゃんと探せば、検診してくれる病院はあるんじゃないですか?」 医者も知らん顔  しかし、実際に自治体の検診は受けられなかったと返答すると、その医師から次のように言われたという。 「受けられる自治体もあるはずですよ? 患者さんが将来、どの街に住むかまでは予想できませんからねえ。なんでしたら紹介料はかかりますけど、検診をしてくれる病院を紹介しましょうか?」  水掛け論めいたやりとりに嫌気が差した亜由美さんは、乳がん検診をしてくれる医療機関を自力で探し始めた。  しかし、近隣の病院ではどこも「バッグを破損させるからマンモグラフィーは使えない」というところばかり。中には「豊胸手術をした胸の触診はできない」と断る病院も。  この件について、美容クリニック経営者のA氏は次のように語った。 「豊胸バッグが入っているとマンモグラフィーを使えなくなることは、医師なら誰でも知ってますよ。でも、手術を勧める立場としては、あえて言わないんです。手術件数を増やさないと経営が成り立ちませんから」 医療機関の冷たい対応  20代の頃、豊胸手術を受けた元モデルの由紀恵さん(仮名、50代)は、乳がん検診を受けたことがない。 「マンモグラフィーが使えなくても、触診とエコーで検診はできるんですよね。それだけでも受けようかなと思うけど、医師に豊胸手術のことを言うと、態度が変わるっていうか、冷たくされるっていうか……。『大事な身体を傷つけて』みたいに言われたこともあったんです。ただでさえ整形をカミングアウトするのは辛いんです。医師の態度には本当に傷つきました。乳がんは怖いです。でも、あんな不愉快な思いをしてまで検診を受ける勇気が、出ないんです」  豊胸手術に対する、医療機関の“偏見”とも言える冷たさを指摘する女性は少なくない。 出産後、バストアップのため手術を受けた雅子さん(仮名、30代)もそのひとりだ。 「病院で『豊胸手術をしてますが、乳がん検診を受けられますか?』と聞いたんです。そうしたら『おっぱいの整形? ええっ?』と聞き返され『そんなの診たことないですよ』とバカにしたように言われたんです。田舎のせいか、そんな病院ばかり。なんだかすごく惨めになって、検診は受けていないんです」  前出の亜由美さんは、ACジャパンのテレビCMで乳がん検診の必要性を熱く訴える某財団法人に電話をかけ、検診を行ってくれる医療機関について聞いてみたが、 「豊胸手術した人の乳がん検診? どこで受けたらいいんでしょうねぇ。もしかしたら、ここならやってるかも」 と、4~5カ所の医療機関を教えられたものの、いざ問い合わせをしてみると1カ所を除いて乳がん検診自体を断られた。そしてその1カ所に行ってはみたものの、やはりマンモグラフィーは使えず、エコーと触診のみだったというのだ。 検診のために豊胸バッグを抜去  かつて「豊胸手術をすると乳がんになりやすい」と報道された時期もあったが、現在、豊胸手術と乳がん発症の因果関係については今ひとつ不明とされている。豊胸手術大国と言われるアメリカの医療機関には、後追い調査の結果、豊胸手術をしても乳がん発生率は変わらないと発表している機関もある。  しかし、日本では、豊胸バッグがあるため検診が受けられず、乳がんの早期発見ができないケースは決して少なくないのではないだろうか?  一体、彼女たちがマンモグラフィーによる乳がん検診を受けるには、どうすれば良いのだろう。  前出のクリニック経営者・A氏は続けて語る。 「健康のために再手術をして、豊胸バッグを抜去する女性も少なくありません。抜去や乳がん検診のできる豊胸への再手術の費用が、クリニックの収入源のひとつであることも否定しません」 信頼できる病院を探すのも大変  ちなみに抜去費用はクリニックそれぞれ。十数万円のところもあれば、百万円以上を請求するところもある。手術経験者たちによると、手術料金が高ければ技術が高い、大病院だから信頼できるとは決していえないようだ。  かなりの低価格で優良な施術をする医師もおり、彼らの名前はインターネットのクチコミサイトである程度、確認することができる。  ちなみに、抜去手術をした後、胸が小さくしぼんでしまうだけではない。豊胸手術で膨らまされていた胸の皮膚は、バッグを失うと同時に張りを失い、実年齢以上に垂れてしまうケースがほとんどだ。手術をしてまで「美しさ」を追求した女性たちが受ける精神的ダメージは、決して少なくはない。  胸に豊胸バッグを入れたまま、マンモグラフィーのかわりにMRIによる乳がん検診を受けることも可能だ。アメリカの医療機関では、豊胸手術をした人に対して2年に1度の割合で、MRIによる乳がん検診を勧めるところが多い。しかし、日本ではMRI検診をした場合、検査費用3万円程度を自費で支払うケースが多く、通常の乳がん検診に比べて、かなりの出費になることを覚悟しなければいけない。 「豊胸手術をしてもマンモグラフィー検診を受けられる」とされる、脂肪注入(自分の皮下脂肪を胸に移植する)、ヒアルロン酸注入(ヒアルロンで胸を膨らませる)など、いくつかの方法もないわけではない。  しかしいずれも、胸がすぐにしぼむ、豊胸バッグに比べてかなり費用がかかる、数十万から百万以上のお金をかけて定期的に注入を繰り返さなければいけない、などの問題点が挙げられる。  日本国内で現在、どれくらいの数の豊胸手術が行われているか、正確な数字は出ていない。豊胸手術の善し悪しを問うつもりもないし、魅力的な胸を求めて手術する女性たちを愚かと決めつけるつもりもない。  ただ、こういった理由で乳がん検診から遠のいている女性たちがいるのは、事実なのだ。 (文=玉置美螢/ライター) <おすすめ記事> ヤフー・ツタヤ提携が狙うネット&リアルの覇権と楽天潰し!? 原発で大儲け、出版社に脅し…電通と博報堂のふしだらなリアル 「配属テストは麻雀だった !?」ファンドマネージャー座談会 アマゾンなんて怖くない? 楽天、凸版、電子書籍リーダーの未来 駅のゴミ箱が復活しないのは、経費削減のため? GREE、DeNAは新しい“卓越した”コンプガチャを生む 敵はジャパネット? ヤマダ電機会長、ジリ貧の焦り

小さくてもいいじゃん!豊胸手術で乳がん検診が受けられない?

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『がんのひみつ』(朝日出版社/中川恵一)
 人口動態統計によると、平成21年、乳がんによる死亡者数は約1万2000人。昭和40年には約2000人にすぎなかったことから見ると、ここ40年ほどで大激増したといえよう。  これを受けて、平成17年度より、全国の9割以上の市区町村で、触診・エコー・マンモグラフィーの3本立てによる乳がん検診が行われるようになった。厚生労働省が乳がん撲滅のため、全国に40億円の機器購入補助金を出した成果である。  しかし、検診を受ける女性の数は、現在でも4人に1人程度と決して多くはない。その理由は、「検診を受けられる場所が遠い」「異常がないから大丈夫」「数千円の検診料を払えない」などさまざまである。  しかし、少数ながら「豊胸手術のせいで検診が受けられない」という女性たちがいることは、ほとんど知られていない。そのため、魅力的なバストに憧れて豊胸手術を受けてみたものの、乳がん検診を受けられず不安な思いをする女性たちが後を絶たないのだ。 豊胸手術のせいでマンモグラフィーが使えない  豊胸手術経験者の亜由美さん(仮名、40代)に、自治体から乳がん検診の通知が来た。しかし検診案内の注意書きには、「豊胸手術をしている方は、マンモグラフィーにより豊胸バッグ破損の怖れがあるため、検診をお断りさせていただいております」と書かれていたのだ。  亜由美さんはかつて豊胸手術を受ける前、いくつもの美容クリニックを訪れて、手術方法や術後の健康への影響について医師のカウンセリングを受けている。 「授乳に影響はない、とか、触っても違和感がない、などと言われました。かなり低い確率でバストが変形することがあるとの説明も受けていました。でも、乳がん検診を断られるなんて、どのクリニックでも一言も言われませんでした」(亜由美さん)  亜由美さんは手術をしたクリニックの医師に、 「どうして乳がん検診への影響について教えてくれなかったのか」 と、質問を投げてみたところ、医師は次のように答えたそうだ。 「マンモグラフィーの検診を断る医療機関はあるかもしれませんね。でも、ちゃんと探せば、検診してくれる病院はあるんじゃないですか?」 医者も知らん顔  しかし、実際に自治体の検診は受けられなかったと返答すると、その医師から次のように言われたという。 「受けられる自治体もあるはずですよ? 患者さんが将来、どの街に住むかまでは予想できませんからねえ。なんでしたら紹介料はかかりますけど、検診をしてくれる病院を紹介しましょうか?」  水掛け論めいたやりとりに嫌気が差した亜由美さんは、乳がん検診をしてくれる医療機関を自力で探し始めた。  しかし、近隣の病院ではどこも「バッグを破損させるからマンモグラフィーは使えない」というところばかり。中には「豊胸手術をした胸の触診はできない」と断る病院も。  この件について、美容クリニック経営者のA氏は次のように語った。 「豊胸バッグが入っているとマンモグラフィーを使えなくなることは、医師なら誰でも知ってますよ。でも、手術を勧める立場としては、あえて言わないんです。手術件数を増やさないと経営が成り立ちませんから」 医療機関の冷たい対応  20代の頃、豊胸手術を受けた元モデルの由紀恵さん(仮名、50代)は、乳がん検診を受けたことがない。 「マンモグラフィーが使えなくても、触診とエコーで検診はできるんですよね。それだけでも受けようかなと思うけど、医師に豊胸手術のことを言うと、態度が変わるっていうか、冷たくされるっていうか……。『大事な身体を傷つけて』みたいに言われたこともあったんです。ただでさえ整形をカミングアウトするのは辛いんです。医師の態度には本当に傷つきました。乳がんは怖いです。でも、あんな不愉快な思いをしてまで検診を受ける勇気が、出ないんです」  豊胸手術に対する、医療機関の“偏見”とも言える冷たさを指摘する女性は少なくない。 出産後、バストアップのため手術を受けた雅子さん(仮名、30代)もそのひとりだ。 「病院で『豊胸手術をしてますが、乳がん検診を受けられますか?』と聞いたんです。そうしたら『おっぱいの整形? ええっ?』と聞き返され『そんなの診たことないですよ』とバカにしたように言われたんです。田舎のせいか、そんな病院ばかり。なんだかすごく惨めになって、検診は受けていないんです」  前出の亜由美さんは、ACジャパンのテレビCMで乳がん検診の必要性を熱く訴える某財団法人に電話をかけ、検診を行ってくれる医療機関について聞いてみたが、 「豊胸手術した人の乳がん検診? どこで受けたらいいんでしょうねぇ。もしかしたら、ここならやってるかも」 と、4~5カ所の医療機関を教えられたものの、いざ問い合わせをしてみると1カ所を除いて乳がん検診自体を断られた。そしてその1カ所に行ってはみたものの、やはりマンモグラフィーは使えず、エコーと触診のみだったというのだ。 検診のために豊胸バッグを抜去  かつて「豊胸手術をすると乳がんになりやすい」と報道された時期もあったが、現在、豊胸手術と乳がん発症の因果関係については今ひとつ不明とされている。豊胸手術大国と言われるアメリカの医療機関には、後追い調査の結果、豊胸手術をしても乳がん発生率は変わらないと発表している機関もある。  しかし、日本では、豊胸バッグがあるため検診が受けられず、乳がんの早期発見ができないケースは決して少なくないのではないだろうか?  一体、彼女たちがマンモグラフィーによる乳がん検診を受けるには、どうすれば良いのだろう。  前出のクリニック経営者・A氏は続けて語る。 「健康のために再手術をして、豊胸バッグを抜去する女性も少なくありません。抜去や乳がん検診のできる豊胸への再手術の費用が、クリニックの収入源のひとつであることも否定しません」 信頼できる病院を探すのも大変  ちなみに抜去費用はクリニックそれぞれ。十数万円のところもあれば、百万円以上を請求するところもある。手術経験者たちによると、手術料金が高ければ技術が高い、大病院だから信頼できるとは決していえないようだ。  かなりの低価格で優良な施術をする医師もおり、彼らの名前はインターネットのクチコミサイトである程度、確認することができる。  ちなみに、抜去手術をした後、胸が小さくしぼんでしまうだけではない。豊胸手術で膨らまされていた胸の皮膚は、バッグを失うと同時に張りを失い、実年齢以上に垂れてしまうケースがほとんどだ。手術をしてまで「美しさ」を追求した女性たちが受ける精神的ダメージは、決して少なくはない。  胸に豊胸バッグを入れたまま、マンモグラフィーのかわりにMRIによる乳がん検診を受けることも可能だ。アメリカの医療機関では、豊胸手術をした人に対して2年に1度の割合で、MRIによる乳がん検診を勧めるところが多い。しかし、日本ではMRI検診をした場合、検査費用3万円程度を自費で支払うケースが多く、通常の乳がん検診に比べて、かなりの出費になることを覚悟しなければいけない。 「豊胸手術をしてもマンモグラフィー検診を受けられる」とされる、脂肪注入(自分の皮下脂肪を胸に移植する)、ヒアルロン酸注入(ヒアルロンで胸を膨らませる)など、いくつかの方法もないわけではない。  しかしいずれも、胸がすぐにしぼむ、豊胸バッグに比べてかなり費用がかかる、数十万から百万以上のお金をかけて定期的に注入を繰り返さなければいけない、などの問題点が挙げられる。  日本国内で現在、どれくらいの数の豊胸手術が行われているか、正確な数字は出ていない。豊胸手術の善し悪しを問うつもりもないし、魅力的な胸を求めて手術する女性たちを愚かと決めつけるつもりもない。  ただ、こういった理由で乳がん検診から遠のいている女性たちがいるのは、事実なのだ。 (文=玉置美螢/ライター) <おすすめ記事> ヤフー・ツタヤ提携が狙うネット&リアルの覇権と楽天潰し!? 原発で大儲け、出版社に脅し…電通と博報堂のふしだらなリアル 「配属テストは麻雀だった !?」ファンドマネージャー座談会 アマゾンなんて怖くない? 楽天、凸版、電子書籍リーダーの未来 駅のゴミ箱が復活しないのは、経費削減のため? GREE、DeNAは新しい“卓越した”コンプガチャを生む 敵はジャパネット? ヤマダ電機会長、ジリ貧の焦り

ヤフー・ツタヤ提携が狙うネット&リアルの覇権と楽天潰し!?

 サイゾー新ニュースサイト「Business Journal」の中から、ユーザーの反響の大きかった記事をピックアップしてお届けしちゃいます! ■「Business Journal」人気記事(一部抜粋) 原発で大儲け、出版社に脅し…電通と博報堂のふしだらなリアル 小さくてもいいじゃん!豊胸手術で乳がん検診が受けられない? 「配属テストは麻雀だった !?」ファンドマネージャー座談会 ■特にオススメ記事はこちら! ヤフー・ツタヤ提携が狙うネット&リアルの覇権と楽天潰し!? - Business Journal(7月25日)
「TSUTAYA公式Facebookページ」より
 6月19日に発表された、ヤフー株式会社(以下、ヤフー)と「TSUTAYA」を運営するカルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社(以下、CCC)の業務提携発表が、各方面に波紋を呼んでいる。  国内最大のポータルサイト「Yahoo!JAPAN」と、国内最大の音楽・映像ソフトレンタル・チェーン「TSUTAYA」の提携だけに、一般的には、勝ち組同士の“強者連合”と捉えられている。しかし、それぞれの企業の置かれた状況を冷静に分析していくと、今回の提携劇の違った側面が見えてくる。  まず、今回の提携内容をチェックしてみよう。重要なポイントは以下の3点。  (1)両社が発行してきたポイントは、Tポイントに統一される。  →Yahoo!ポイントが、Tポイントに統合される。  (2)両社のインターネット上のIDは、Yahoo! JAPAN IDに統一される。  →TSUTAYAやTポイントのユーザが利用するT-SITEの会員IDであるT-IDが、Yahoo! JAPAN IDに統合される。  (3)上記(1)と(2)の提携で、日本最大級の「O2Oプラットフォーム」を構築して、インターネットとリアルの双方における、圧倒的な経済圏の確立を目指す。 狙いは「O2Oプラットフォーム」の構築  上記のうち、(3)については少し解説が必要だろう。 「O2O」とは、「オンライン to オフライン」の略称である。ネット上のオンラインから、オフラインつまりリアルな店舗やサービスへユーザを誘導することを意味する。一時期盛んに用いられた、企業間取引を指した「B2B」、企業と消費者(コンシューマ)間の取引を指した「B2C」を転用した新語である。  ヤフーとCCC提携の最重要ポイントは、この(3)だ。ヤフーがオンライン、CCC がオフラインを担当し、その間の行き来をスムーズにする「O2Oプラットフォーム」を構築することが、提携の目的であるといえよう。  その目的を達成するために、ヤフーはYahoo!ポイントをCCCに譲り、CCCはネット上のユーザの管理・運営を、ヤフー側に委ねることをお互いに譲歩したわけである。  さて、提携内容を念頭に置きつつ、両社が現在置かれている状況を見てみよう。  まずはヤフー。提携のニュースリリースにも書かれているが、運営するYahoo!JAPANの1カ月あたりのユニークカスタマー数は約5100万人に上り、国内最多のページビューを誇っている。その結果、インターネット広告事業では1人勝ちの状況だ。2012年3月期の決算を見ても、売上高3020億円のうち、広告関連事業は1900億円を超えており、増収増益を続けている。目下、ライバルとなりそうなサイトも見当たらないため、当面1人勝ちの状況が続くと予想することに異論はないだろう。 ヤフーは新サービスで失敗続き  しかし、企業としてのほころびも見え始めている。新しく始めたウェブサービスで、順調に育っている事業が見えないのである。それよりも、最近はサービスの休止・閉鎖が相次いでいる。例えば、06年からスタートしたSNS「Yahoo! Days」は、盛り上がりを欠いたまま、昨年ひっそりと終了した。また、投稿型まとめサイト「Yahoo!くくる」も、サービス開始から1年足らずで、今年7月に終了している。  特に、「Yahoo! Days」は、当初SNSは日本でははやらないと、その存在を軽視していたため完全に出遅れてしまい、その遅れを取り戻すことができないまま終わってしまった。ヤフーといえども、変化の目まぐるしいネット業界では、常に勝ち組となることは非常に難しいことを、図らずも証明してしまったのである。  4月に、創業者のひとりである井上雅博氏が社長を退き、11歳年下の宮坂学・執行役員が社長に昇格する人事を発表したが、変化に対する一連の対応の遅れが原因となったことは言うまでもない。  そして、業績の伸びの鈍化も目立ってきた。12年3月期の売上高は前年比3.3%増、営業利益は同3.4%増と、一時期の勢いはない。純利益は9.1%増と健闘しているが、新規事業が停滞していることを考えれば、今後業績が伸び悩む可能性は小さくない。 CCCは主力のレンタル事業が縮小中  一方、CCCのほうはさらに楽観できない状況だ。業績面にそれは顕著に表れている。ピーク時の売上高は、08年3月期の2377億円。それ以降、年を追うごとに減少し、11年3月期には1699億円まで落ち込んだ。12年3月期は1726億円と前年比プラスとなったが、それまでの減少が大幅だったため、下げ止まったとは言えない水準だ。  減少してきた原因は、はっきりしている。主力の音楽・映像ソフトレンタル事業が、競合他社との低価格競争によって収益性が低下したことに加えて、インターネットを使った音楽・動画配信サービスが台頭し、レンタル事業そのものの根幹が揺らぎつつあるからだ。特に、配信サービスはますます盛んになると予想されることから、レンタル事業は一段と厳しくなるだろう。直営店およびフランチャイズ店が多く、維持・運営コストの削減には限界があるため、早晩、店舗の統廃合が進むのではないか。とすると、劇的に業績が悪化する局面もあるかもしれない。  ただし、こうした環境は、CCC経営陣もかなり早い段階から意識していた。MBOという経営陣による会社の買収を決定した際に、「主力事業である TSUTAYA 事業においては、今後のさらなる競争激化に加えて、インターネットによるコンテンツの配信速度の加速が見込まれ、(中略)経営環境はより一層厳しさを増すものと見込まれる」と述べている。そして、それに対処するために、「グループの経営資源の集中と経営の効率化を図る」べく、MBOを決めたという主旨を公式に発表しているからだ。 CCCの柱はTポイント  では、今後のCCCの柱となる事業はなんだろうか?  それは、Tポイントサービス事業である。CCCがアライアンス・コンサルティング事業と呼んでいるTポイントサービス事業は(以下、Tポイントサービス)、同社の売上高が減少する過程でも好調を維持し、大きな収益源に成長している。  すでに上場廃止になっているため直近の細かいデータは参照できないが、11年3月期決算では109億円の売上高となっている。しかも、営業利益は36億円となっており、Tポイントサービスの売上高営業利益率は33%。11年3月期のCCC全体の連結売上高営業利益率が8.4%であったことを考慮すると、Tポイントサービスの収益性と、事業としての成長力の高さは抜きんでている。中長期的に、CCCの中心事業になっていくことも十分にあり得る。  そこで、今回の提携劇。ヤフーの業績が頭打ちになっていることはすでに述べたが、実は、売り上げが伸びている分野もある。  BS事業と呼ばれている部門だ。BS事業とは、中小企業や地元密着型店舗などに向けたネット広告事業であり、大企業向けの広告事業であるメディア事業とは区別されている。ヤフーでは、最近このBS事業が伸びており、従来の柱であるメディア事業と、Yahoo!オークションやYahoo!プレミアム関連の売り上げが占めるコンシューマ事業の2つに、売上高で肩が並びつつある。  伸び率でいえば、横ばいが続くメディア、コンシューマ両事業を尻目に、売上高、営業利益で2ケタに近い数字を記録している状態だ。 カギはスマホと決済機能  ヤフーとCCCの提携は、ヤフー側ではBS事業のさらなる伸び、CCC側ではTポイントサービスの拡大という、大きな相乗効果が望めるのである。Yahoo!ポイントがTポイントに統合されることで、ネットユーザのリアル店舗への送客が期待でき、Tポイントサービスのマーケットが広がる。また、Tポイントに加盟しているリアルの店舗がヤフーに広告を出したり、TSUTAYA会員やリアル店舗がヤフーのネットサービスを活用することで、リアルのネットサービスに対する需要が増えることになる。(ちなみに、このリアルからネットへの送客は、ヤフーの有効な楽天市場への対策となりうる)  ヤフーとCCCは、10年7月から提携をしていたのだが、これまで解説してきた分野で一気に全面的な提携関係を結ぶに至ったのは、スマートフォンの予想を超える普及にあったことは想像に難くない。ネットからリアルへ、リアルからネットへという誘導・送客は、スマホによってかつてないほどスムーズに行えるようになったからだ。スマホをネットとリアルの結節点としてプラットフォームを築けば、ビジネスチャンスは飛躍的に広がる。両社に経営体力があり、十分なアドバンテージがあるうちに、O2O経済圏を制覇してしまおうという狙いだろう。    ただ、不透明要素もある。O2O経済圏を制覇するには、お金の決済機能をさらに強化しなければならない。今後は、カード事業への注力(場合によっては整理・統廃合)や、電子マネーとの強固なパートナーシップの構築を図る必要がある。すでにヤフーが大株主となっている、ジャパンネット銀行の動向も焦点となるだろう。いずれにしても、この提携のインパクトは、日増しに大きくなるに違いない。 (文=松岡賢治/フィナンシャル・プランナー) <おすすめ記事> 原発で大儲け、出版社に脅し…電通と博報堂のふしだらなリアル 小さくてもいいじゃん!豊胸手術で乳がん検診が受けられない? 「配属テストは麻雀だった !?」ファンドマネージャー座談会 アマゾンなんて怖くない? 楽天、凸版、電子書籍リーダーの未来 駅のゴミ箱が復活しないのは、経費削減のため? GREE、DeNAは新しい“卓越した”コンプガチャを生む 敵はジャパネット? ヤマダ電機会長、ジリ貧の焦り

ヤフー・ツタヤ提携が狙うネット&リアルの覇権と楽天潰し!?

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「TSUTAYA公式Facebookページ」より
 6月19日に発表された、ヤフー株式会社(以下、ヤフー)と「TSUTAYA」を運営するカルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社(以下、CCC)の業務提携発表が、各方面に波紋を呼んでいる。  国内最大のポータルサイト「Yahoo!JAPAN」と、国内最大の音楽・映像ソフトレンタル・チェーン「TSUTAYA」の提携だけに、一般的には、勝ち組同士の“強者連合”と捉えられている。しかし、それぞれの企業の置かれた状況を冷静に分析していくと、今回の提携劇の違った側面が見えてくる。  まず、今回の提携内容をチェックしてみよう。重要なポイントは以下の3点。  (1)両社が発行してきたポイントは、Tポイントに統一される。  →Yahoo!ポイントが、Tポイントに統合される。  (2)両社のインターネット上のIDは、Yahoo! JAPAN IDに統一される。  →TSUTAYAやTポイントのユーザが利用するT-SITEの会員IDであるT-IDが、Yahoo! JAPAN IDに統合される。  (3)上記(1)と(2)の提携で、日本最大級の「O2Oプラットフォーム」を構築して、インターネットとリアルの双方における、圧倒的な経済圏の確立を目指す。 狙いは「O2Oプラットフォーム」の構築  上記のうち、(3)については少し解説が必要だろう。 「O2O」とは、「オンライン to オフライン」の略称である。ネット上のオンラインから、オフラインつまりリアルな店舗やサービスへユーザを誘導することを意味する。一時期盛んに用いられた、企業間取引を指した「B2B」、企業と消費者(コンシューマ)間の取引を指した「B2C」を転用した新語である。  ヤフーとCCC提携の最重要ポイントは、この(3)だ。ヤフーがオンライン、CCC がオフラインを担当し、その間の行き来をスムーズにする「O2Oプラットフォーム」を構築することが、提携の目的であるといえよう。  その目的を達成するために、ヤフーはYahoo!ポイントをCCCに譲り、CCCはネット上のユーザの管理・運営を、ヤフー側に委ねることをお互いに譲歩したわけである。  さて、提携内容を念頭に置きつつ、両社が現在置かれている状況を見てみよう。  まずはヤフー。提携のニュースリリースにも書かれているが、運営するYahoo!JAPANの1カ月あたりのユニークカスタマー数は約5100万人に上り、国内最多のページビューを誇っている。その結果、インターネット広告事業では1人勝ちの状況だ。2012年3月期の決算を見ても、売上高3020億円のうち、広告関連事業は1900億円を超えており、増収増益を続けている。目下、ライバルとなりそうなサイトも見当たらないため、当面1人勝ちの状況が続くと予想することに異論はないだろう。 ヤフーは新サービスで失敗続き  しかし、企業としてのほころびも見え始めている。新しく始めたウェブサービスで、順調に育っている事業が見えないのである。それよりも、最近はサービスの休止・閉鎖が相次いでいる。例えば、06年からスタートしたSNS「Yahoo! Days」は、盛り上がりを欠いたまま、昨年ひっそりと終了した。また、投稿型まとめサイト「Yahoo!くくる」も、サービス開始から1年足らずで、今年7月に終了している。  特に、「Yahoo! Days」は、当初SNSは日本でははやらないと、その存在を軽視していたため完全に出遅れてしまい、その遅れを取り戻すことができないまま終わってしまった。ヤフーといえども、変化の目まぐるしいネット業界では、常に勝ち組となることは非常に難しいことを、図らずも証明してしまったのである。  4月に、創業者のひとりである井上雅博氏が社長を退き、11歳年下の宮坂学・執行役員が社長に昇格する人事を発表したが、変化に対する一連の対応の遅れが原因となったことは言うまでもない。  そして、業績の伸びの鈍化も目立ってきた。12年3月期の売上高は前年比3.3%増、営業利益は同3.4%増と、一時期の勢いはない。純利益は9.1%増と健闘しているが、新規事業が停滞していることを考えれば、今後業績が伸び悩む可能性は小さくない。 CCCは主力のレンタル事業が縮小中  一方、CCCのほうはさらに楽観できない状況だ。業績面にそれは顕著に表れている。ピーク時の売上高は、08年3月期の2377億円。それ以降、年を追うごとに減少し、11年3月期には1699億円まで落ち込んだ。12年3月期は1726億円と前年比プラスとなったが、それまでの減少が大幅だったため、下げ止まったとは言えない水準だ。  減少してきた原因は、はっきりしている。主力の音楽・映像ソフトレンタル事業が、競合他社との低価格競争によって収益性が低下したことに加えて、インターネットを使った音楽・動画配信サービスが台頭し、レンタル事業そのものの根幹が揺らぎつつあるからだ。特に、配信サービスはますます盛んになると予想されることから、レンタル事業は一段と厳しくなるだろう。直営店およびフランチャイズ店が多く、維持・運営コストの削減には限界があるため、早晩、店舗の統廃合が進むのではないか。とすると、劇的に業績が悪化する局面もあるかもしれない。  ただし、こうした環境は、CCC経営陣もかなり早い段階から意識していた。MBOという経営陣による会社の買収を決定した際に、「主力事業である TSUTAYA 事業においては、今後のさらなる競争激化に加えて、インターネットによるコンテンツの配信速度の加速が見込まれ、(中略)経営環境はより一層厳しさを増すものと見込まれる」と述べている。そして、それに対処するために、「グループの経営資源の集中と経営の効率化を図る」べく、MBOを決めたという主旨を公式に発表しているからだ。 CCCの柱はTポイント  では、今後のCCCの柱となる事業はなんだろうか?  それは、Tポイントサービス事業である。CCCがアライアンス・コンサルティング事業と呼んでいるTポイントサービス事業は(以下、Tポイントサービス)、同社の売上高が減少する過程でも好調を維持し、大きな収益源に成長している。  すでに上場廃止になっているため直近の細かいデータは参照できないが、11年3月期決算では109億円の売上高となっている。しかも、営業利益は36億円となっており、Tポイントサービスの売上高営業利益率は33%。11年3月期のCCC全体の連結売上高営業利益率が8.4%であったことを考慮すると、Tポイントサービスの収益性と、事業としての成長力の高さは抜きんでている。中長期的に、CCCの中心事業になっていくことも十分にあり得る。  そこで、今回の提携劇。ヤフーの業績が頭打ちになっていることはすでに述べたが、実は、売り上げが伸びている分野もある。  BS事業と呼ばれている部門だ。BS事業とは、中小企業や地元密着型店舗などに向けたネット広告事業であり、大企業向けの広告事業であるメディア事業とは区別されている。ヤフーでは、最近このBS事業が伸びており、従来の柱であるメディア事業と、Yahoo!オークションやYahoo!プレミアム関連の売り上げが占めるコンシューマ事業の2つに、売上高で肩が並びつつある。  伸び率でいえば、横ばいが続くメディア、コンシューマ両事業を尻目に、売上高、営業利益で2ケタに近い数字を記録している状態だ。 カギはスマホと決済機能  ヤフーとCCCの提携は、ヤフー側ではBS事業のさらなる伸び、CCC側ではTポイントサービスの拡大という、大きな相乗効果が望めるのである。Yahoo!ポイントがTポイントに統合されることで、ネットユーザのリアル店舗への送客が期待でき、Tポイントサービスのマーケットが広がる。また、Tポイントに加盟しているリアルの店舗がヤフーに広告を出したり、TSUTAYA会員やリアル店舗がヤフーのネットサービスを活用することで、リアルのネットサービスに対する需要が増えることになる。(ちなみに、このリアルからネットへの送客は、ヤフーの有効な楽天市場への対策となりうる)  ヤフーとCCCは、10年7月から提携をしていたのだが、これまで解説してきた分野で一気に全面的な提携関係を結ぶに至ったのは、スマートフォンの予想を超える普及にあったことは想像に難くない。ネットからリアルへ、リアルからネットへという誘導・送客は、スマホによってかつてないほどスムーズに行えるようになったからだ。スマホをネットとリアルの結節点としてプラットフォームを築けば、ビジネスチャンスは飛躍的に広がる。両社に経営体力があり、十分なアドバンテージがあるうちに、O2O経済圏を制覇してしまおうという狙いだろう。    ただ、不透明要素もある。O2O経済圏を制覇するには、お金の決済機能をさらに強化しなければならない。今後は、カード事業への注力(場合によっては整理・統廃合)や、電子マネーとの強固なパートナーシップの構築を図る必要がある。すでにヤフーが大株主となっている、ジャパンネット銀行の動向も焦点となるだろう。いずれにしても、この提携のインパクトは、日増しに大きくなるに違いない。 (文=松岡賢治/フィナンシャル・プランナー) <おすすめ記事> 原発で大儲け、出版社に脅し…電通と博報堂のふしだらなリアル 小さくてもいいじゃん!豊胸手術で乳がん検診が受けられない? 「配属テストは麻雀だった !?」ファンドマネージャー座談会 アマゾンなんて怖くない? 楽天、凸版、電子書籍リーダーの未来 駅のゴミ箱が復活しないのは、経費削減のため? GREE、DeNAは新しい“卓越した”コンプガチャを生む 敵はジャパネット? ヤマダ電機会長、ジリ貧の焦り

原発で大儲け、出版社に脅し…電通と博報堂のふしだらなリアル

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『電通と原発報道』
(本間龍/亜紀書房)
 連結売上高約1兆7000億円(2011年度)、単体では世界一の広告代理店・電通。日本の広告の20%以上を取り扱い、その莫大な広告予算を背景に、各企業のみならず政府・政党のメディア対策まで引き受けている。スポンサー収入に頼るメディアにとっては、最大最強のタブーとされている。  原子力発電をめぐっても、電通の影響力は大きい。11年3月11日の東京電力福島第一原子力発電所の事故をきっかけに、産・官・学のいわゆる「原子力ムラ」が長年にわたってメディアに大金をバラまき、原発に反対するような言論を封じ込んでいたその一端が明らかになったが、その背後では電通の暗躍があった。 「なぜメディアが原子力ムラの圧力に萎縮していたか、そのメカニズムを知らなければ、日本はまたいつの間にか連中の思い通りにされてしまう」というのは、『電通と原発報道 巨大広告主と大手広告代理店によるメディア支配のしくみ』(亜紀書房)の著者・本間龍氏。本間氏は電通に次ぐ国内第2位の広告代理店・博報堂に、約18年間勤務していた人物だ。  今回本間氏に、大手広告代理店の知られざる仕掛けについて語ってもらった。  10年度、東電の広告費は269億円でした。東電は関東地方でしか電気を売らないのにもかかわらず、広告費の全国上位ランキングで10位に入っているのです。このように大量に広告出稿したのは、関東地方の人たち、また関東圏以外の原発立地県(福島・新潟)においても、原発の安全性・重要性をアピールするためでした。それどころか、同時に、その広告を掲載するメディアに、原発に対してマイナスイメージを与える報道をさせないためでもあったのです。 東電のメイン担当代理店は電通だ。東京電力、関西電力など一般電気事業者からなり、全国的なメディアへの広告出稿を引き受けていた電気事業連合会(電事連)も担当代理店は電通だった。  電事連加盟10社のマスコミ広告費など普及開発関係費は 866億円(10年)と、同年広告費1位のパナソニック(733億円)をも軽々と抜いてしまう巨額なものでした。つまり電力業界は、マスコミにとって大スポンサーであり、最大のタブーだったのです。また不況になればなるほど、安定的なスポンサーになってくれる電力業界に対し、都合の悪い記事を書こうとは思わなくなっていく。  ドキュメンタリー番組で反原発をテーマにして反原発の知識人を登場させるような番組は、テレビ局内部でも自粛ムードになりますし、その動きを察知した代理店側も、大スポンサーを刺激しないように暗躍を始める。  こうして、反原発の番組はトーンダウンし、制作を担当したディレクターは左遷されてしまうのです。そして、テレビからは「原発はクリーンで安全です」などと詐欺まがいの広告、ニュースだけが量産されるのです。  つまり、電通を中心に「広告」という手段で「原発安全神話」、原発礼賛キャンペーンを打ち出してきた。利潤追求に狂奔した産官学の原発ムラを、側面から支えていた大手広告代理店とマスメディアの関係を、一人でも多くの方に知っていただきたい。 この本を出版する際にも、露骨な広告代理店側の働きかけがあったという。  私は、06年、博報堂退職後に知人に対する詐欺容疑で逮捕・有罪となり、栃木県の黒羽刑務所に1年間服役。出所後、その体験を紹介した『「懲役」を知っていますか?』(学習研究社)で作家デビュー、その後、文筆活動に入りました。ただし、広告代理店関係の企画を大手出版社に持ち込んでも、編集者レベルでは好感触なのですが、経営レベルでNGになってしまうことがありました。やはり大手出版社では、広告代理店に関する話はタブーになっているということを実感しました。  今回の本を出す過程でも、本書の発売が明らかになると、博報堂の広報室長より出版元に「出版前に本をチェックさせてほしい」旨の要請がありました。博報堂の広報室長は「本間さんとは退職時に『在職中に知り得た、博報堂の機密を漏洩して会社に損害を与えることはしない』という旨の守秘義務の念書を交わしている。本書で情報漏洩しているということはないか」「電通と東京電力も、この件に関しては情報収集をしている」などといった理由で、発売前のゲラの公開、また電通と東京電力という名前を持ち出してプレッシャーをかけてきたのです。  私は博報堂の役員ではありませんでしたし、博報堂社員時代から原発に対して懐疑的で「原子力資料情報室」の会員でしたから、原発のPR活動とは一定の距離があり、原発広報の仕事で「博報堂の機密」などがあるかどうかも知る立場にないのに、です。つまり、広告代理店がこういったプレッシャーをかければ、広告収入をビジネスモデルにしている大方の出版社では「発売自粛」になっていたでしょう。広告代理店側は電話一本で、メディアを意のままに操れるというのが現実です。 こうして電通はメディアを操り、国民を洗脳していくということか。  ただし、私の経験から言えるのは、電通が全社を統合するような1つの意思の下に動いているわけではありませんし、国民を洗脳しようという目的を持って行動しているわけではありません。このあたりの広告代理店マンの考え方は、『大手広告代理店のすごい舞台裏』(アスペクト刊)に書きましたが、ただ単に広告代理店とは、クライアントの意思を忠実に代行するだけの存在なのです。  つまり、クライアントである政府が仮に「反原発」の政策をとり、そのために広告予算を組むようになったら、電通は、これまでの行動を手のひらを返したように「反原発」のキャンペーンを始めるでしょう。広告代理店はそういった存在にすぎないのです。ですから、やはりいちばん重要なのは、政府の姿勢ということになります。  東日本大震災の被災地3県のがれき処理問題で、政府はがれきの広域処理を呼び掛けるメディアキャンペーンを展開していますが、これらのために、環境省には12年度、除染関連と合わせて30億円以上の予算が計上されています。地方紙を中心に政府の広告予算がバラまかれ、マスコミは再び自由に政府対応への批判ができなくなっていくのです。また電通主導でのキャンペーンが始まりますね。 原発問題も一段落した現在、電通にとって、最大の関心はオリンピックだ。といっても、現在、開催中のロンドンオリンピックではない。20年のオリンピックの開催予定地だ。2013年9月にIOC総会で決定されるが、トルコ・イスタンブール、スペイン・マドリード、そして東京の3都市が正式立候補している。  電通にとっては、オリンピックはテレビ放映権収入などが確実に入るおいしいビジネス。ただし、外国開催のロンドンオリンピックでは想定内の収益しか上がりません。もっと莫大なお金が動くのは、オリンピックの自国開催です。たとえば、16年夏季五輪招致活動だけで、67億円のお金が東京都から入ってきましたが、東京開催ともなれば、JOCを中心とした大会の運営の実働スタッフとなるのは電通です。オリンピックをまるごとプロデュースできるわけですから、丸儲けができるイベントなのです。  現在、20年の開催地候補は3候補に絞られましたが、東京開催が現実味を帯びるためには、支持率が依然として低い状況を打開しなければなりません(五輪開催に「賛成」と答えた都民は47%、マドリード78%、イスタンブール73%)。そこで、電通が考えるのは、ロンドンオリンピックで選手たちに活躍をしてもらって、感動が印象付けられたところで、招致支持率を再調査することです。オリンピックで感動して、東京でも見たいという声を高める作戦です。  ただし、電通にとって悩ましいのは、スポーツの結果は手を回しようがないという点です。電通は「誘拐」と「殺人」以外ならなんでもやるといわれていますが、さすがにスポーツ選手の成績には手の出しようがない。だからこそ、オリンピックの結果が悪くても、日本のマスメディアに感動報道をさせることで、「東京でオリンピックを」という心理にさせようとするのです。 オリンピックでの感動は、電通によって作られたものかもしれないのだ。 (構成=松井克明/CFP) <おすすめ記事> なぜ“汎用技術”iPodがヒットしたのか? 駅のゴミ箱が復活しないのは、経費削減のため? GREE、DeNAは新しい“卓越した”コンプガチャを生む 経団連の反発でオシャカになった社外取締役の義務化法案 LIBOR以上?大企業が日銀短観、景気調査を都合よく操作? 敵はジャパネット? ヤマダ電機会長、ジリ貧の焦り 厚労省が、禁断の被生活保護者一斉調査を断行

原発で大儲け、出版社に脅し…電通と博報堂のふしだらなリアル

 サイゾー新ニュースサイト「Business Journal」の中から、ユーザーの反響の大きかった記事をピックアップしてお届けしちゃいます! ■「Business Journal」人気記事(一部抜粋) なぜ“汎用技術”iPodがヒットしたのか? 駅のゴミ箱が復活しないのは、経費削減のため? GREE、DeNAは新しい“卓越した”コンプガチャを生む ■特にオススメ記事はこちら! 原発で大儲け、出版社に脅し…電通と博報堂のふしだらなリアル - Business Journal(7月24日)
『電通と原発報道』
(本間龍/亜紀書房)
 連結売上高約1兆7000億円(2011年度)、単体では世界一の広告代理店・電通。日本の広告の20%以上を取り扱い、その莫大な広告予算を背景に、各企業のみならず政府・政党のメディア対策まで引き受けている。スポンサー収入に頼るメディアにとっては、最大最強のタブーとされている。  原子力発電をめぐっても、電通の影響力は大きい。11年3月11日の東京電力福島第一原子力発電所の事故をきっかけに、産・官・学のいわゆる「原子力ムラ」が長年にわたってメディアに大金をバラまき、原発に反対するような言論を封じ込んでいたその一端が明らかになったが、その背後では電通の暗躍があった。 「なぜメディアが原子力ムラの圧力に萎縮していたか、そのメカニズムを知らなければ、日本はまたいつの間にか連中の思い通りにされてしまう」というのは、『電通と原発報道 巨大広告主と大手広告代理店によるメディア支配のしくみ』(亜紀書房)の著者・本間龍氏。本間氏は電通に次ぐ国内第2位の広告代理店・博報堂に、約18年間勤務していた人物だ。  今回本間氏に、大手広告代理店の知られざる仕掛けについて語ってもらった。  10年度、東電の広告費は269億円でした。東電は関東地方でしか電気を売らないのにもかかわらず、広告費の全国上位ランキングで10位に入っているのです。このように大量に広告出稿したのは、関東地方の人たち、また関東圏以外の原発立地県(福島・新潟)においても、原発の安全性・重要性をアピールするためでした。それどころか、同時に、その広告を掲載するメディアに、原発に対してマイナスイメージを与える報道をさせないためでもあったのです。 東電のメイン担当代理店は電通だ。東京電力、関西電力など一般電気事業者からなり、全国的なメディアへの広告出稿を引き受けていた電気事業連合会(電事連)も担当代理店は電通だった。  電事連加盟10社のマスコミ広告費など普及開発関係費は 866億円(10年)と、同年広告費1位のパナソニック(733億円)をも軽々と抜いてしまう巨額なものでした。つまり電力業界は、マスコミにとって大スポンサーであり、最大のタブーだったのです。また不況になればなるほど、安定的なスポンサーになってくれる電力業界に対し、都合の悪い記事を書こうとは思わなくなっていく。  ドキュメンタリー番組で反原発をテーマにして反原発の知識人を登場させるような番組は、テレビ局内部でも自粛ムードになりますし、その動きを察知した代理店側も、大スポンサーを刺激しないように暗躍を始める。  こうして、反原発の番組はトーンダウンし、制作を担当したディレクターは左遷されてしまうのです。そして、テレビからは「原発はクリーンで安全です」などと詐欺まがいの広告、ニュースだけが量産されるのです。  つまり、電通を中心に「広告」という手段で「原発安全神話」、原発礼賛キャンペーンを打ち出してきた。利潤追求に狂奔した産官学の原発ムラを、側面から支えていた大手広告代理店とマスメディアの関係を、一人でも多くの方に知っていただきたい。 この本を出版する際にも、露骨な広告代理店側の働きかけがあったという。  私は、06年、博報堂退職後に知人に対する詐欺容疑で逮捕・有罪となり、栃木県の黒羽刑務所に1年間服役。出所後、その体験を紹介した『「懲役」を知っていますか?』(学習研究社)で作家デビュー、その後、文筆活動に入りました。ただし、広告代理店関係の企画を大手出版社に持ち込んでも、編集者レベルでは好感触なのですが、経営レベルでNGになってしまうことがありました。やはり大手出版社では、広告代理店に関する話はタブーになっているということを実感しました。  今回の本を出す過程でも、本書の発売が明らかになると、博報堂の広報室長より出版元に「出版前に本をチェックさせてほしい」旨の要請がありました。博報堂の広報室長は「本間さんとは退職時に『在職中に知り得た、博報堂の機密を漏洩して会社に損害を与えることはしない』という旨の守秘義務の念書を交わしている。本書で情報漏洩しているということはないか」「電通と東京電力も、この件に関しては情報収集をしている」などといった理由で、発売前のゲラの公開、また電通と東京電力という名前を持ち出してプレッシャーをかけてきたのです。  私は博報堂の役員ではありませんでしたし、博報堂社員時代から原発に対して懐疑的で「原子力資料情報室」の会員でしたから、原発のPR活動とは一定の距離があり、原発広報の仕事で「博報堂の機密」などがあるかどうかも知る立場にないのに、です。つまり、広告代理店がこういったプレッシャーをかければ、広告収入をビジネスモデルにしている大方の出版社では「発売自粛」になっていたでしょう。広告代理店側は電話一本で、メディアを意のままに操れるというのが現実です。 こうして電通はメディアを操り、国民を洗脳していくということか。  ただし、私の経験から言えるのは、電通が全社を統合するような1つの意思の下に動いているわけではありませんし、国民を洗脳しようという目的を持って行動しているわけではありません。このあたりの広告代理店マンの考え方は、『大手広告代理店のすごい舞台裏』(アスペクト刊)に書きましたが、ただ単に広告代理店とは、クライアントの意思を忠実に代行するだけの存在なのです。  つまり、クライアントである政府が仮に「反原発」の政策をとり、そのために広告予算を組むようになったら、電通は、これまでの行動を手のひらを返したように「反原発」のキャンペーンを始めるでしょう。広告代理店はそういった存在にすぎないのです。ですから、やはりいちばん重要なのは、政府の姿勢ということになります。  東日本大震災の被災地3県のがれき処理問題で、政府はがれきの広域処理を呼び掛けるメディアキャンペーンを展開していますが、これらのために、環境省には12年度、除染関連と合わせて30億円以上の予算が計上されています。地方紙を中心に政府の広告予算がバラまかれ、マスコミは再び自由に政府対応への批判ができなくなっていくのです。また電通主導でのキャンペーンが始まりますね。 原発問題も一段落した現在、電通にとって、最大の関心はオリンピックだ。といっても、現在、開催中のロンドンオリンピックではない。20年のオリンピックの開催予定地だ。2013年9月にIOC総会で決定されるが、トルコ・イスタンブール、スペイン・マドリード、そして東京の3都市が正式立候補している。  電通にとっては、オリンピックはテレビ放映権収入などが確実に入るおいしいビジネス。ただし、外国開催のロンドンオリンピックでは想定内の収益しか上がりません。もっと莫大なお金が動くのは、オリンピックの自国開催です。たとえば、16年夏季五輪招致活動だけで、67億円のお金が東京都から入ってきましたが、東京開催ともなれば、JOCを中心とした大会の運営の実働スタッフとなるのは電通です。オリンピックをまるごとプロデュースできるわけですから、丸儲けができるイベントなのです。  現在、20年の開催地候補は3候補に絞られましたが、東京開催が現実味を帯びるためには、支持率が依然として低い状況を打開しなければなりません(五輪開催に「賛成」と答えた都民は47%、マドリード78%、イスタンブール73%)。そこで、電通が考えるのは、ロンドンオリンピックで選手たちに活躍をしてもらって、感動が印象付けられたところで、招致支持率を再調査することです。オリンピックで感動して、東京でも見たいという声を高める作戦です。  ただし、電通にとって悩ましいのは、スポーツの結果は手を回しようがないという点です。電通は「誘拐」と「殺人」以外ならなんでもやるといわれていますが、さすがにスポーツ選手の成績には手の出しようがない。だからこそ、オリンピックの結果が悪くても、日本のマスメディアに感動報道をさせることで、「東京でオリンピックを」という心理にさせようとするのです。 オリンピックでの感動は、電通によって作られたものかもしれないのだ。 (構成=松井克明/CFP) <おすすめ記事> なぜ“汎用技術”iPodがヒットしたのか? 駅のゴミ箱が復活しないのは、経費削減のため? GREE、DeNAは新しい“卓越した”コンプガチャを生む 経団連の反発でオシャカになった社外取締役の義務化法案 LIBOR以上?大企業が日銀短観、景気調査を都合よく操作? 敵はジャパネット? ヤマダ電機会長、ジリ貧の焦り 厚労省が、禁断の被生活保護者一斉調査を断行

駅のゴミ箱が復活しないのは、経費削減のため?

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あの日から消えた……。「足成」より
 人気放送作家の鮫肌文殊氏と山名宏和氏が、知ってトクもしなければ、自慢もできない、だけど気になって眠れない、世にはびこる難問奇問を直撃解決!する連載「だから直接聞いてみた」。月刊誌「サイゾー」で連載されていた同企画(宝島社より単行本となって発売中!)が、ビジネスジャーナルにて復活!   今週は、山名宏和氏が、かつて駅のホームに設置されていたゴミ箱のいまについて聞いてみた。 [回答者]東京メトロお客様センター様・京王お客様センター様  6月に元オウム真理教信者の高橋克也容疑者が捕まった。17年間の逃亡生活。長いよ、17年は。逃亡をはじめた時に生まれた子どもは、もう17歳だ。女の子なら、結婚して、なんだったら一度離婚できるぐらいの歳月だ。  オウムが起こした地下鉄サリン事件は、社会に多大な影響を及ぼしたが、僕に直接影響があったのは、駅のゴミ箱である。あの事件をきっかけに、テロ防止のためにと駅のゴミ箱がなくなった。最初は捨て口をテープで封鎖するだけだったが、いつしかゴミ箱自体が撤去されてしまった。  あれから十数年。東京メトロなどは改札付近にゴミ箱を設置するようになったが、ホームのゴミ箱は依然設置される気配がない。  でも、ホームにゴミ箱がないと不便なんだよ。たとえば、夏場のこの時期は、車内で洗顔シートの類を使いたいことがある。だけど、使っても捨てるところがない。あれは濡れているから、ポケットに入れるわけにもいかないし。まったく不便だ。  ようやく高橋容疑者も捕まったわけだし、そろそろ駅のホームのゴミ箱も復活させていいんじゃないだろうか。  そこで、東京メトロお客様センターに直接聞いてみた。 『駅のホームのゴミ箱は、いつになったら復活するんですか?』 担当者 今のところとりあえず、係員が見えるような所の改札の付近には置いてある事は置いてあるんですけど、ホームに復活するっていうのは、まだお伝えできるような状態にはないですね。  担当者いわく「オウムの方も全部片付いたわけじゃないから」、まだ係員の目が届かぬホームにはゴミ箱を置くことはできないという。  そのわりには、ホームの自販機の脇には缶やペットボトルを捨てるゴミ箱が必ず置いてあるが、あれはどうなんだ?  では、同じ質問を京王お客様センターにも聞いてみた。京王線の場合、東京メトロと違って、改札口付近にもゴミ箱が設置されていない。 担当者 はい、まだ駅の方にゴミ箱を戻すっていう計画はなくてですね、今現在、売店の横にはですね、ジュースのアミアミの空き缶入れが置いてあるんですが、あとはですね、ゴミは駅係員がお預かりするという形をとらせていただいております。 ――ゴミを捨ててくれるんですか? 担当者 そうですね、はい、「ゴミがあるんですけど」と係員に言っていただければ、係員の方でお引き取りをさせていただいています。 ――どんなゴミでも大丈夫ですか? 担当者 お菓子の袋とかでしたら、まぁ、家庭用のゴミとかは別なんですが、空き缶とかもお持ちいただければお引き取りします。 ――それだったら、ゴミ箱設置すればいいのにと思うんですが? 担当者 そうですね、ゴミ箱を設置いたしますと、なにか有事があった場合、対応がままならないということもありますし、まだ脅威が拭いきれていないということもございますので、今現在は設置していないですね  なるほど。  東京メトロにしても京王電鉄にしても、鉄道会社にとって、地下鉄サリン事件はまだ終わったことではないようだ。  と、まとめたいところだが、実はもう1つ気になることがある。  ゴミ箱が復活しないのは、実は経費を抑えるためじゃないだろうか?  ホームにゴミ箱を置くと、それを管理するための人件費などがかかる。一度撤去したのをいいことに、経費節減のためゴミ箱を復活しないんじゃないだろうか。  そこで、やはり直接聞いてみた。 『ゴミ箱が復活しないのは、経費節減みたいなこともあるんですか?』  東京メトロお客様センターの回答は、 担当者 それは聞いてないですね。  一方、京王お客様センターの回答は、 担当者 削減ということはないと思うんですが、やはりゴミの方も有料化になってきますし、ゴミを少なくするという考えもありますので。  本当のところは分からないが、少なくとも売店があるような駅には、ホームにゴミ箱を置くべきじゃないだろうか。そこで売っているものから、ゴミが出るんだから。 (文=山名宏和) <おすすめ記事> 原発で大儲け、出版社に脅し…電通と博報堂のふしだらなリアル なぜ“汎用技術”iPodがヒットしたのか? GREE、DeNAは新しい“卓越した”コンプガチャを生む 経団連の反発でオシャカになった社外取締役の義務化法案 LIBOR以上?大企業が日銀短観、景気調査を都合よく操作? 敵はジャパネット? ヤマダ電機会長、ジリ貧の焦り 厚労省が、禁断の被生活保護者一斉調査を断行