千鳥・大悟とノンスタ・石田が即興漫才!? 『イッテンモノ!』が見せる、漫才師のすごみ

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「ほぼ20年戦士なのに、サンパチマイクの横で足がちゃんと震える!」  いまや押しも押されもせぬ実力派芸人としてテレビ界を席巻する千鳥。漫才師として、さまざまな修羅場をくぐってきた。  それでもノブは、この番組でマイクの前に立ち、漫才をした感想をそう語った。  漫才師の実力を測る舞台は『M-1グランプリ』をはじめ、いろいろある。が、これらは基本的に練りに練って完成したネタで競い合うものだ。  もちろん、それが漫才の実力を測るコンテストとしては正統だ。だが、一方で、漫才師の“すごみ”を感じさせてくれるひとつに、“即興”がある。  フリートークとは一味違う、漫才の文法に則った上で繰り広げられる漫才の即興はめったに見られるものではないが、それを見事に見せつけられると、“やっぱり漫才師って、すげーっ”とあらためて感じてしまう。  そんな驚きを毎回見せてくれるのが『イッテンモノ!』(テレビ朝日)だ。これは、もともと月曜深夜2時台の「キタイチ」という枠で放送されていたもの。「キタイチ」という名の通り、その後のレギュラー化を期待される実験番組を放送する枠。ここで『イッテンモノ!』は1カ月分、7月4日~8月8日まで全4回放送された。  しばらくは完全レギュラー化に向けてお休みかと思いきや、早くも8月26日から、土曜深夜で放送が再開された。  月曜深夜時代は、千鳥、サンドウィッチマン、三四郎の3組、8月26日の放送からは、千鳥は変わらず、ほかの2組はNON STYLEとハライチにバトンタッチ(サンドウィッチマン、三四郎は今後も登場予定だとアナウンスされている)。いずれも、漫才師として超実力派コンビだ。  この番組は、旬なゲストを招き、そのゲストとトーク。そのトークで引き出したキーワードを元に、“オーダーメイド”となるイッテンモノの漫才を仕立て披露するというもの。  漫才を披露する2人はゲストが指名する。その際、コンビは関係なくシャッフルされる。つまり、ボケ×ツッコミだけではなく、ボケ×ボケという組み合わせも、その逆もある。また、普段ネタを書いていない同士になってしまうことだってあるのだ。  指名された2人は制限時間わずか10分の間にネタ合わせをし、即興で漫才を作り上げていく。  視聴者にとっては、これまで見たことがない組み合わせの漫才が見られる“ドリームマッチ”感も楽しめるが、漫才をするほうにとっては、ネタを練りに練って完成させていくのとはまったく違う、漫才の筋力が試される過酷な番組である。 「今日ぐらいスベっておきたい」  大悟は、土曜深夜版の初回(通算5回目)のオープニングでそう語った。  月曜深夜版の初回は伊達×ノブ、2回目は富澤×小宮、3回目は富澤×大悟、4回目はノブ×相田という組み合わせで指名された。もちろん、この組み合わせで漫才をしたことなどない。小宮と富澤に至っては、これまで楽屋などでもほとんどしゃべったことはないという。にもかかわらず、それぞれが持ち味を発揮し、大きな笑いを取っていたのだ。  成功を続けると、ハードルはどんどん上がってしまう。それくらい、月曜深夜版の時の4回の漫才は見事なものだったのだ。  土曜深夜版・初回ゲストは「太眉ガール」として話題の現役女子高生タレント・井上咲楽。「オナラを我慢しない」「水虫をもらいにいく」「お笑い芸人を目指していた」「Mr.ビーンのものまねが得意」「ハニカミ笑いが好き」などといった話が引き出されていく。  そして、彼女が指名したのは、NON STYLE・石田と千鳥の大悟。ボケ×ボケの組み合わせだ。 「正直、石田が一番難しい」 と困惑する大悟が打合せの席に着くと、石田が事もなげに言ったという。 「ボケとツッコミ、どっちでもできます」  そして10分後、出来上がったのは、大悟がボケ、石田がツッコミの漫才。 「彼氏の前でもオナラを我慢しない」という漫才コントの中に、「Mr.のものまね」や「ハニカミ笑い」などキーワードを見事に取り込んだものだった。まさに漫才師のすごみを見せつけた。  だが、完璧に見える石田もサンパチマイクの前に立つと震えたのだろう。自らつかみのボケを提案したのに、それを飛ばしてしまったのだという。 『イッテンモノ!』は、漫才師のすごみと人間味を同時に見せてくれる番組なのだ。 (文=てれびのスキマ http://d.hatena.ne.jp/LittleBoy/「テレビ裏ガイド」過去記事はこちらから

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出番を飛ばしてもお咎めなし! 志村けんに完全に“ハマッた”千鳥・大悟が特別待遇?

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「子は親を選べない」というが、芸能界においては話が違ってくる。親として誰を慕い、誰の傘の下に入るか? それが、今後の芸能人生に大きく影響してくるのだ。どの親を選ぶか、そのチョイスは、若きタレントの腕の見せどころである。  関西芸人・千鳥が取った行動には虚をつかれた。話は、今年3月に放送された特番『志村けんのだいじょうぶだぁ』(フジテレビ系)にさかのぼる。居酒屋を模したセットでのトークコーナーに臨んだ千鳥、特に大悟が、志村に対する熱烈愛を打ち明けたのだ。“変なおじさん”のダンスを踊る際の細部、具体的に言うと「変なお~じさん♪」と腕を前後へ振る時の手首の巻き込み方について言及。「志村さんは、前だけでなく、後ろに手をやった際にも手首を巻き込んでいる」と、志村の笑いを真剣に研究する姿勢を大悟はアピール。結果、それは志村へ存分に伝わり、以降はなんと週4のペースで飲みに誘われるほど大悟は志村にハマった。  ほかの吉本芸人が明石家さんまや松本人志ばかり意識している隙を突き、関東の大物コメディアンである志村の元へ走る千鳥の決断力は際立つ。 ■志村の琴線を知り尽くす大悟  志村は、プライドが高い。ダウンタウンの浜田雅功には気軽に頭を叩かせるものの、一方で「ほかの若い人には叩かせない。そういう雰囲気を出さないもん」と浜田に打ち明けたこともあった。  今まで志村の傘の下にいた芸人といえば、ダチョウ倶楽部の上島竜兵と肥後克広、ハライチの澤部佑、古くは田代まさしや桑野信義などが挙げられるが、そういった芸人らとのフランクとは言い難い縦関係は、少なからず視聴者にも透けて見えた。やはり志村は、きっとそういう人なのだろう。  しかし、千鳥を迎え入れた志村のテンションは、今までのそれとは異なる印象を受ける。関西芸人が相手なだけに、“お客さん”という気分を若干含んでいるのかもしれないが。  7月30日放送の特番『志村けん聞録 ~初夏の鎌倉 元気が出るふれあい旅~』(テレビ朝日系)でも、千鳥が同行している。仕切り役はノブで、一方の大悟は進行の流れをまったく把握しておらず。「大悟は、ただ来てるだけです」(ノブ)と堂々と打ち明けられたというのに、志村のうれしそうな笑顔には一点の曇りもない。  旅を進める中、一行の中央に位置するのは、たいていが志村と大悟。時には千鳥の立ち位置(大悟が左でノブが右)を逆にしてまで、志村の隣に大悟をいさせようとする。  鎌倉宮に立ち寄った際、「かまくらぐう(ぐー)」に掛けて志村が「最初がグー」と冗談を言うと、すかさず「いかりや長介、頭がパー」とかぶせる大悟の態度も、志村の琴線へ触れるには十分。ソツがないし、ツボを心得ている。 ■“志村のお気に入り”大悟のミスに、誰も怒れない  7月25日深夜放送『志村の夜』(フジテレビ系)にも、千鳥は出演。前回の『だいじょうぶだぁ』と同じく居酒屋を模したセットでのトークコーナーに臨んだが、親密の度合いは前回とまるで異なる。 「(顔が)真っ赤な志村さんを何度も見てる!」「寿司屋行って高級クラブ挟んで、寿司屋戻って。どういう飲み方!?」「師匠(志村)は焼酎のロックに、ちょっとだけ水を入れる。これは混ぜたらダメなのよ。だから、一吸いしたら、あとはロック!」と、志村のエピソードを喜々として語る大悟。絆の深まるスピードが尋常じゃないのだ。  そしてトークは、前述の特番『志村けん聞録』の話題へ突入。ロケは1泊2日の予定だったが、長時間を嫌う“志村スケジュール”によって撮影自体は夕方に終了。泊まる必要はまるでなく、酒を目的にした泊まりであることは明らかだ。  これを察する千鳥が抜群だ。「飲むために行ってるから」(大悟)、「肝臓万全の状態で行きますから」(ノブ)と、タレントとしてはどうかと思う決意表明をして志村を喜ばせている。  もちろん、志村との親交は千鳥にメリットをもたらした。ある時、2夜連続で深夜まで飲み続けた志村と大悟。さすがに2日目の夜は大悟も参ってしまい、ホテルで気絶してしまったという。結果、沖縄の劇場の出番に2時間も遅れてしまった。 「何してたんだ!?」と現場で責められた大悟だが、「2夜連続、志村さんじゃ」と理由を話すや、完全にお咎めなしになったというからとんでもない。理由に「志村」の2文字が入れば、誰一人として文句を言わない。逆に「それは行ってこい」という空気になってしまったという。  すごいことだ、これは。劇場の出番を飛ばすミスなど問題じゃない。志村との親交を深めるほうが、優先順位としては上。“志村けんを懐柔する矢”として、吉本が千鳥を公認した証しではないだろうか?  ドリフターズのメンバーとして世に出た志村にしても、関西の若手漫才師が自分に発する「師匠」という響きは新鮮なはず。今までにない喜びを感じているに違いない。 (文=火の車)

地上波最狂バラエティ『キングちゃん』が最終回 「メタ視点とシンプルな笑い」というすごさ

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 ここ数年で最も狂っていた地上波バラエティ番組──。一部のお笑いファンからそんな絶賛を受ける深夜番組『NEO決戦バラエティ キングちゃん』(テレビ東京系)が、6月19日に最終回を迎えた。  お笑いコンビ・千鳥の東京キー局初MC番組である『キングちゃん』。毎週、千鳥と数人の芸人がロケに出かけ、あるテーマに沿った「〇〇王」を決めるというロケバラエティ番組だ。  2016年7月に1クール限定の予定でスタートしたが、2クールに延長。その後、今年1月にスペシャル版として深夜で復活。さらに、4月には日曜22時というプライムタイムでもスペシャル版が放送され、そのまま深夜でシーズン2のレギュラー放送がスタート。しかし、残念ながら1クールで終了となってしまった。 「ささやいて面白くしろ! エキストラプロデュース王」「ノブ嘆かせ王」「芸人 又吉を救え! 又吉プロデュース王」など、さまざまな企画が放送された『キングちゃん』。その最大の魅力は、出演する芸人たちの狂いっぷりだ。 「番組の基本は、ロケをしながら、芸人たちが思い思いのボケを繰り出していくというもの。その中で、信じられないようなハプニングが起こり、笑いが増幅していく。代表的な企画である『嘆かせ王』では、千鳥のノブなどツッコミ芸人から“嘆きツッコミ”を引き出すべく、芸人たちがとんでもないボケを見せていくというものですが、この企画での野性爆弾・くっきーが、とにかくとんでもない。最終回ではいきなり生卵をかじり始めたり、白いタオルを巻いた状態のペニスを出したりと、完全に常軌を逸しています。もはや恐怖を感じるレベルの衝撃映像を地上波に乗せるという英断に、あっぱれです」(お笑い関係者)  さらに、「今こそ気持ちを見せろ! 今ヤリにいけるアイドルGP」という企画も画期的だった。バイきんぐ・西村瑞樹が気功を使えるようになったという設定で、気功で吹っ飛ばされるアイドルのオーディションを実施。もちろん西村は気功など使えないのだが、アイドルたちが番組側の意向に沿って、吹っ飛ばされる演技をするかどうかを検証するというものだ。 「テレビに出たいと願いながらも、過剰な演技をしていいものかどうか葛藤するアイドルたちに迫った、ひとつのドキュメンタリーでしたね。その上で、しっかり笑いも生まれていて、感動すら覚えました。確かに“ヤラセ”という言葉がちらつく危険性がある企画ではありましたが、番組を成立させたいというアイドルの使命感や、売れたいと思う野心、さらには芸能界で生きていくんだという覚悟など、心の細かな動きがしっかり捉えられていて、とても興味深いものでしたね」(テレビ関係者)  この『キングちゃん』のプロデューサーを務めるのは、テレビ東京の佐久間宣行氏。『ゴッドタン』『ピラメキーノ』といったバラエティ番組のほか、『ウレロ』シリーズ、『SICKS ~みんながみんな、何かの病気~』など個性的なドラマも手がけている。 「『水曜日のダウンタウン』を手がけているTBSの藤井健太郎とともに、バラエティ界を背負って立つ人物であることは説明するまでもないでしょう。『ゴッドタン』も攻めた番組ですが、『キングちゃん』はそれ以上ですね。バラエティをメタ視点で解体するかのような挑戦的な試みをしているのに、シンプルに笑える番組に仕上げているというのは、本当にすごいことです」(同)  画期的なバラエティ番組『キングちゃん』。シーズン3の放送が待たれる。

1日8本撮りは当たり前、謎のから揚げ弁当……千鳥が伝説的ロケ番組のヤバさを訴える!!

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撮影=尾藤能暢
 テレビ埼玉視聴エリア以外の人たちから「一度見てみたい!」と熱烈に支持されているロケ番組『いろはに千鳥』。先月末にはDVD第4弾『いろはに千鳥(ぬ)(る)(を)』も発売、ますますそのカルト的人気は高まるばかり。「ユルい」「自由」などと評されるこの番組だが、そのユルさの裏には、とんでもない苦労と苦悩と苦情があり……千鳥自ら『いろはに千鳥』の窮状を訴えます!! *** ――『いろはに千鳥』も今年で4年目に突入です。すっかり愛される番組になっていますね。 ノブ そうですね。最初は1クールって聞いてて。「予算もない、ギャラも安いから、なんにも派手なことはできませんよ」って。でも、そんなことあるのかな?って思って。だって、テレビですよ? それなのに、最初の打ち合わせで「予算がないから、町歩くしかないんですよ。なんのセットも建てられないし」とか、あります? でも、実際にテレビ埼玉さんの本社に行ったときに「あ……なさそうやな」って。だって、ちょっと大きめの市民病院みたいなところで。だから、本当に1クールのつもりで頑張ってたんですけど、聞いたところによると、埼玉県民の方がいろいろ言ってくれたみたいですね、テレ玉さんに。 ――『いろはに千鳥』をもっと続けてくれ、と。 ノブ それで、ここまでやってこられました。 ――「一度は見てみたい!ローカルお笑い番組ランキング」(goo調べ)の第2位に選ばれたそうです。 ノブ おかしな人が投票したんでしょうね(笑)。でもこれ、アレですよね。見たいなと思うランキングですよね。見て面白かったランキングではないですよね(笑)。 ――(笑)。 ノブ おそらくですね、僕らが全国ネットの番組で『いろはに千鳥』の文句を言いまくっているので、それで興味が増してるんじゃないですか? 『アメトーーク!』(テレビ朝日系)でも言ってますし、この前は『出没!アド街ック天国』(テレビ東京系)でも言ってきましたよ。 大悟 ホンマに1クールで終わると思ってたし、今でも、なんでこんなに続いているのかわかんないですよ。ただまぁ、やってて面白いは面白いんで、「見たい」とか「続けてくれ」って言ってもらえるのはありがたいんですけど、僕もノブも非常に態度も悪く、表情もさえず、やればやるほど「よくない千鳥」をみなさんにお見せしているのは間違いないんですけどね。 ――作っていない、いわゆる「素の千鳥」を見せているということですか? 大悟 最初は一生懸命やろうとはしてるんですけど、6~7本目とかになってきたら、僕なんか完全に頭が回ってないときがあるんで。ただ単に脳が落ちてる。だから作ってないとかではなくて、しんどい(笑)。文句も言うし。
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ノブ バラエティというより、ドキュメンタリーとして見たほうがいいですね。やっぱりゴールデンの番組って、みんな元気にやってるんだなって思いますもん。それこそ、収録が1時間半とかでスパッと終わる番組は。『いろはに千鳥』は早朝から夜中まで、ずっとやってますからね。最後のほうとか、大悟なんて猫背になりすぎて顔すら映ってない。 大悟 でも「別に映らなくてもいい!」って思ってしまう。 ノブ そうですね。 大悟 非常によくないですね。 ――1日に8本って、録れるものなんですか……? ノブ はい。やるんですよ。結局、予算がないから。4本撮り4本撮りで2日やるとなると、2回スタッフさんを出さなきゃいけなくなるじゃないですか。僕らはまだ微々たるギャラをもらえるからいいんですけど、スタッフさんは大変ですよね。10分ものを1本撮るロケと同じギャラらしいんですよ。だからもう、後半はスタッフ笑わない笑わない。 ――それはキツイ(笑)。 ノブ 一人だけね、バラエティが好きなディレクターがいて、岩津っていうんですけどね。これが笑いの変態すぎて、この人だけが最後まで笑ってる。 ――みなさん体力的なキツさを感じながらも、それでもやる……。 ノブ そうですね。最初はスポンサーさんもほとんどついてなくて、墓石店さんが1社だけ……みたいな(笑)。でも、最近は、だいぶ増えたみたいです。 ――すごい! ノブ それなのにですよ、なんっっの待遇の改善もない!! 弁当は、相変わらず見たこともない安そうなやつ。なんの肉かわからない、でっかいから揚げ2個とパンッパンの白飯。腹さえ膨れればええんか、人間は。 ――タンパク質と炭水化物(笑)。 ノブ 今は、テレ玉さんに恩返ししてる時期じゃないでしょうか。制作費がない中、僕らにとって初の関東での冠番組を作ってくれた恩返し。だから、これからでしょうね……。 大悟 テレ玉さんには感謝しかないですし、今後『いろはに千鳥』でテレ玉さんが得することがあれば全然いいんですよ。うれしいです。ただ、このDVDの取材でこんなこと言うのもなんなんですけど、こんなもんが3,600円……。 ノブ 高いんですよ(笑)。 大悟 こんなの、ロケやって1回テレビで流しているのを焼いてるだけ、裏ビデオみたいなもん。 ――裏ビデオ(笑)。 大悟 DVDだからといって、それ用の企画が入ってるわけでもないし、こんな裏ビデオを3,600円で売っていることが恐ろしい。 ――……でも、ほら、未公開映像とか。 ノブ いやいや。
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大悟 ほぼ完パケ状態で撮ってるんだから、未公開なんてありませんよ。 ノブ だって、こんだけやって「未公開映像12分」て。 大悟 テレビで放送している本編が、ほぼ未公開シーンなんですよ。普通のテレビでは編集して切り落とすべきところを本編として流しているわけだから。 ――確かに、お2人がただ歩いているところもちゃんと使う……。 ノブ すぐノーカットでお送りするでしょ? どうでもいい話してるのを。 大悟 あれ本編でやってて、未公開シーンもくそもない。 ノブ でも、どうやらこれ(DVD)売れてるらしいんですよ。 大悟 見られない地域の方が買ってくれてるんですかね……。 ――視聴地域に住んでいる方も、コレクション的に買われてますよ。 ノブ なんかね、たまにあるんですよ。Twitterで「初任給が入ったので、念願の『いろはに千鳥』のDVD、全巻買おうと思ってるんです」とか。 ――初任給で『いろはに千鳥』って、いいですね。 ノブ いや、やめとけと。初任給は、親にネクタイなりハンカチなり買いなさいよと。そっちに回してほしいです。 ――たとえば、この番組がキー局の他の番組をやる上で勉強になってるとか、生かされてるなぁと感じることはありますか? ノブ&大悟 ないです。 ――キッパリ(笑)。 ノブ なんの参考にもなってない。だって、ロケ地も変なところばっかりなんですよ。この前の『アド街ック天国』も「埼玉県久喜」特集で出させてもらったんですけどね、めっちゃいいところあるんですよ、久喜って。公園とか温泉とか、ごはん屋さんもおいしそうで。それなのに『いろはに千鳥』で久喜に行ったときは、写真館でマタニティ―ヌードを撮っただけなんですよ。なんでこんなところをチョイスした? もっとあったやろと。 ――久喜をよく知るゲストとして呼ばれたのに……。 ノブ 勉強になる、参考になるどころか、ほかの番組への悪影響が出てきてますよ。 ――悪影響ですか? ノブ 『いろはに千鳥』の衣装って、めちゃめちゃダサイんですよ。ダサイというか、僕らの年代に合ってない。そのせいで「千鳥にはダサイ服を着させたらええんや」とほかの番組のスタッフたちが勘違いして、いま広島でやってるロケ番組でも、めちゃめちゃダサイ海賊の格好させられてる。 大悟 『いろはに千鳥』っていうタイトルが、そもそもダサイですもんね。語呂はいいんですけど。あと、かるた。今さらのかるた。 ノブ 作家がジジイなんですよ。
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――業界内では「2017年は千鳥の年」といわれていますが、そんな中、ご自身はその「潮目変わった」感じを味わっていらっしゃいますか? ノブ 知ってくれてる人の割合は多くなったけど、そんなに変わったことはないですね。ほかの番組でのロケの仕事は増えましたけど。 ――正直、もうロケの仕事はやりたくないな~とか、思うこともあります? ノブ ロケは好きなんで、2人でわーっと楽しくやれるから。ただ……これも『いろはに千鳥』の悪影響といいますか、ロケってどうしても効率悪いんですよ。だいたい1日かけて1本録るじゃないですか、ロケは。これがスタジオ人気芸人になると1日2~3本いけるんですよ。だから、ロケ芸人やってるうちはお金貯まらないだろうなっていうジレンマとの戦い……。でも『いろはに千鳥』やりだしてから、「千鳥のロケ面白い」ってなって、『笑神様は突然に…』(日本テレビ系)とか呼んでもらったりして、そこから東京のテレビのオファーが増えたんで、ありがたいっちゃありがたいです。原点というか。 ――『いろはに千鳥』は、千鳥にとってのホームってことになりますね……。 ノブ それだけはね、それだけは勘弁してください。これが代表作ってなるのだけは。僕らも一応芸人ですから、もっともっとバラエティ番組に出たいなって思うんですけど、僕らのところにくるのって、濃いぃバラエティばっかりなんですよ。大悟がよく言ってますけど「さあ笑かせ」「実力見せろ」みたいな。 ――出し尽くさなきゃいけないものが多いと。 ノブ ゴールデンのクイズ番組の司会とか、オードリー若林的なやつ。ああいうのやらせてくれって思うんですけどね……。実際は、そうじゃないゴリッゴリの仕事ばっかりくるから、ちょっと困ってます。 大悟 いろいろね、夢を持ってこの世界に入ってきて、お笑いの仕事はずっとやっていきたいと思っているんですけど、もしも、もしもですよ、この『いろはに千鳥』をずっとやり続けて、いつかノブがめっちゃハゲて、僕が太るかもしくはガリッガリになったら、それはそれでもっと面白いかもしれんなとは思いますね。3本撮りくらいで死にそうになっちゃってて。 ノブ 若手にバカにされながらね。ジジイ2人で何やっとん?って(笑)。 大悟 カート乗ったり、マタニティヌード撮ったり。 ノブ 「30年やってるらしいで、あれ」ってなったら、まぁ確かにちょっと面白いですよね。 大悟 伝説残した人って、若い時から同じ番組やり続けていたりするじゃないですか。『さんまのまんま』(フジテレビ系)とか『ガキの使い』(日本テレビ系)とか。そういう意味で僕らはもう手遅れなんで、できるとしたら『いろはに千鳥』しかない。 ノブ 伝説の番組は『いろはに千鳥』(笑)。ただ、ジジイになって1日8本撮りだけは勘弁して。 (取材・文=西澤千央)
DVD「いろはに千鳥(ぬ)」「いろはに千鳥(る)」「いろはに千鳥(を)」 価格:各巻3,600円(税別) 時間:各巻 約105分程度 (実尺95分程度+未公開12分) amazon_associate_logo.jpg

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 テレビ埼玉視聴エリア以外の人たちから「一度見てみたい!」と熱烈に支持されているロケ番組『いろはに千鳥』。先月末にはDVD第4弾『いろはに千鳥(ぬ)(る)(を)』も発売、ますますそのカルト的人気は高まるばかり。「ユルい」「自由」などと評されるこの番組だが、そのユルさの裏には、とんでもない苦労と苦悩と苦情があり……千鳥自ら『いろはに千鳥』の窮状を訴えます!! *** ――『いろはに千鳥』も今年で4年目に突入です。すっかり愛される番組になっていますね。 ノブ そうですね。最初は1クールって聞いてて。「予算もない、ギャラも安いから、なんにも派手なことはできませんよ」って。でも、そんなことあるのかな?って思って。だって、テレビですよ? それなのに、最初の打ち合わせで「予算がないから、町歩くしかないんですよ。なんのセットも建てられないし」とか、あります? でも、実際にテレビ埼玉さんの本社に行ったときに「あ……なさそうやな」って。だって、ちょっと大きめの市民病院みたいなところで。だから、本当に1クールのつもりで頑張ってたんですけど、聞いたところによると、埼玉県民の方がいろいろ言ってくれたみたいですね、テレ玉さんに。 ――『いろはに千鳥』をもっと続けてくれ、と。 ノブ それで、ここまでやってこられました。 ――「一度は見てみたい!ローカルお笑い番組ランキング」(goo調べ)の第2位に選ばれたそうです。 ノブ おかしな人が投票したんでしょうね(笑)。でもこれ、アレですよね。見たいなと思うランキングですよね。見て面白かったランキングではないですよね(笑)。 ――(笑)。 ノブ おそらくですね、僕らが全国ネットの番組で『いろはに千鳥』の文句を言いまくっているので、それで興味が増してるんじゃないですか? 『アメトーーク!』(テレビ朝日系)でも言ってますし、この前は『出没!アド街ック天国』(テレビ東京系)でも言ってきましたよ。 大悟 ホンマに1クールで終わると思ってたし、今でも、なんでこんなに続いているのかわかんないですよ。ただまぁ、やってて面白いは面白いんで、「見たい」とか「続けてくれ」って言ってもらえるのはありがたいんですけど、僕もノブも非常に態度も悪く、表情もさえず、やればやるほど「よくない千鳥」をみなさんにお見せしているのは間違いないんですけどね。 ――作っていない、いわゆる「素の千鳥」を見せているということですか? 大悟 最初は一生懸命やろうとはしてるんですけど、6~7本目とかになってきたら、僕なんか完全に頭が回ってないときがあるんで。ただ単に脳が落ちてる。だから作ってないとかではなくて、しんどい(笑)。文句も言うし。
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ノブ バラエティというより、ドキュメンタリーとして見たほうがいいですね。やっぱりゴールデンの番組って、みんな元気にやってるんだなって思いますもん。それこそ、収録が1時間半とかでスパッと終わる番組は。『いろはに千鳥』は早朝から夜中まで、ずっとやってますからね。最後のほうとか、大悟なんて猫背になりすぎて顔すら映ってない。 大悟 でも「別に映らなくてもいい!」って思ってしまう。 ノブ そうですね。 大悟 非常によくないですね。 ――1日に8本って、録れるものなんですか……? ノブ はい。やるんですよ。結局、予算がないから。4本撮り4本撮りで2日やるとなると、2回スタッフさんを出さなきゃいけなくなるじゃないですか。僕らはまだ微々たるギャラをもらえるからいいんですけど、スタッフさんは大変ですよね。10分ものを1本撮るロケと同じギャラらしいんですよ。だからもう、後半はスタッフ笑わない笑わない。 ――それはキツイ(笑)。 ノブ 一人だけね、バラエティが好きなディレクターがいて、岩津っていうんですけどね。これが笑いの変態すぎて、この人だけが最後まで笑ってる。 ――みなさん体力的なキツさを感じながらも、それでもやる……。 ノブ そうですね。最初はスポンサーさんもほとんどついてなくて、墓石店さんが1社だけ……みたいな(笑)。でも、最近は、だいぶ増えたみたいです。 ――すごい! ノブ それなのにですよ、なんっっの待遇の改善もない!! 弁当は、相変わらず見たこともない安そうなやつ。なんの肉かわからない、でっかいから揚げ2個とパンッパンの白飯。腹さえ膨れればええんか、人間は。 ――タンパク質と炭水化物(笑)。 ノブ 今は、テレ玉さんに恩返ししてる時期じゃないでしょうか。制作費がない中、僕らにとって初の関東での冠番組を作ってくれた恩返し。だから、これからでしょうね……。 大悟 テレ玉さんには感謝しかないですし、今後『いろはに千鳥』でテレ玉さんが得することがあれば全然いいんですよ。うれしいです。ただ、このDVDの取材でこんなこと言うのもなんなんですけど、こんなもんが3,600円……。 ノブ 高いんですよ(笑)。 大悟 こんなの、ロケやって1回テレビで流しているのを焼いてるだけ、裏ビデオみたいなもん。 ――裏ビデオ(笑)。 大悟 DVDだからといって、それ用の企画が入ってるわけでもないし、こんな裏ビデオを3,600円で売っていることが恐ろしい。 ――……でも、ほら、未公開映像とか。 ノブ いやいや。
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大悟 ほぼ完パケ状態で撮ってるんだから、未公開なんてありませんよ。 ノブ だって、こんだけやって「未公開映像12分」て。 大悟 テレビで放送している本編が、ほぼ未公開シーンなんですよ。普通のテレビでは編集して切り落とすべきところを本編として流しているわけだから。 ――確かに、お2人がただ歩いているところもちゃんと使う……。 ノブ すぐノーカットでお送りするでしょ? どうでもいい話してるのを。 大悟 あれ本編でやってて、未公開シーンもくそもない。 ノブ でも、どうやらこれ(DVD)売れてるらしいんですよ。 大悟 見られない地域の方が買ってくれてるんですかね……。 ――視聴地域に住んでいる方も、コレクション的に買われてますよ。 ノブ なんかね、たまにあるんですよ。Twitterで「初任給が入ったので、念願の『いろはに千鳥』のDVD、全巻買おうと思ってるんです」とか。 ――初任給で『いろはに千鳥』って、いいですね。 ノブ いや、やめとけと。初任給は、親にネクタイなりハンカチなり買いなさいよと。そっちに回してほしいです。 ――たとえば、この番組がキー局の他の番組をやる上で勉強になってるとか、生かされてるなぁと感じることはありますか? ノブ&大悟 ないです。 ――キッパリ(笑)。 ノブ なんの参考にもなってない。だって、ロケ地も変なところばっかりなんですよ。この前の『アド街ック天国』も「埼玉県久喜」特集で出させてもらったんですけどね、めっちゃいいところあるんですよ、久喜って。公園とか温泉とか、ごはん屋さんもおいしそうで。それなのに『いろはに千鳥』で久喜に行ったときは、写真館でマタニティ―ヌードを撮っただけなんですよ。なんでこんなところをチョイスした? もっとあったやろと。 ――久喜をよく知るゲストとして呼ばれたのに……。 ノブ 勉強になる、参考になるどころか、ほかの番組への悪影響が出てきてますよ。 ――悪影響ですか? ノブ 『いろはに千鳥』の衣装って、めちゃめちゃダサイんですよ。ダサイというか、僕らの年代に合ってない。そのせいで「千鳥にはダサイ服を着させたらええんや」とほかの番組のスタッフたちが勘違いして、いま広島でやってるロケ番組でも、めちゃめちゃダサイ海賊の格好させられてる。 大悟 『いろはに千鳥』っていうタイトルが、そもそもダサイですもんね。語呂はいいんですけど。あと、かるた。今さらのかるた。 ノブ 作家がジジイなんですよ。
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――業界内では「2017年は千鳥の年」といわれていますが、そんな中、ご自身はその「潮目変わった」感じを味わっていらっしゃいますか? ノブ 知ってくれてる人の割合は多くなったけど、そんなに変わったことはないですね。ほかの番組でのロケの仕事は増えましたけど。 ――正直、もうロケの仕事はやりたくないな~とか、思うこともあります? ノブ ロケは好きなんで、2人でわーっと楽しくやれるから。ただ……これも『いろはに千鳥』の悪影響といいますか、ロケってどうしても効率悪いんですよ。だいたい1日かけて1本録るじゃないですか、ロケは。これがスタジオ人気芸人になると1日2~3本いけるんですよ。だから、ロケ芸人やってるうちはお金貯まらないだろうなっていうジレンマとの戦い……。でも『いろはに千鳥』やりだしてから、「千鳥のロケ面白い」ってなって、『笑神様は突然に…』(日本テレビ系)とか呼んでもらったりして、そこから東京のテレビのオファーが増えたんで、ありがたいっちゃありがたいです。原点というか。 ――『いろはに千鳥』は、千鳥にとってのホームってことになりますね……。 ノブ それだけはね、それだけは勘弁してください。これが代表作ってなるのだけは。僕らも一応芸人ですから、もっともっとバラエティ番組に出たいなって思うんですけど、僕らのところにくるのって、濃いぃバラエティばっかりなんですよ。大悟がよく言ってますけど「さあ笑かせ」「実力見せろ」みたいな。 ――出し尽くさなきゃいけないものが多いと。 ノブ ゴールデンのクイズ番組の司会とか、オードリー若林的なやつ。ああいうのやらせてくれって思うんですけどね……。実際は、そうじゃないゴリッゴリの仕事ばっかりくるから、ちょっと困ってます。 大悟 いろいろね、夢を持ってこの世界に入ってきて、お笑いの仕事はずっとやっていきたいと思っているんですけど、もしも、もしもですよ、この『いろはに千鳥』をずっとやり続けて、いつかノブがめっちゃハゲて、僕が太るかもしくはガリッガリになったら、それはそれでもっと面白いかもしれんなとは思いますね。3本撮りくらいで死にそうになっちゃってて。 ノブ 若手にバカにされながらね。ジジイ2人で何やっとん?って(笑)。 大悟 カート乗ったり、マタニティヌード撮ったり。 ノブ 「30年やってるらしいで、あれ」ってなったら、まぁ確かにちょっと面白いですよね。 大悟 伝説残した人って、若い時から同じ番組やり続けていたりするじゃないですか。『さんまのまんま』(フジテレビ系)とか『ガキの使い』(日本テレビ系)とか。そういう意味で僕らはもう手遅れなんで、できるとしたら『いろはに千鳥』しかない。 ノブ 伝説の番組は『いろはに千鳥』(笑)。ただ、ジジイになって1日8本撮りだけは勘弁して。 (取材・文=西澤千央)
DVD「いろはに千鳥(ぬ)」「いろはに千鳥(る)」「いろはに千鳥(を)」 価格:各巻3,600円(税別) 時間:各巻 約105分程度 (実尺95分程度+未公開12分) amazon_associate_logo.jpg

『キングちゃん』収録日にフライデーされちゃった千鳥・大悟 半べそで“笑いの無双状態”に!

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 芸人用語に「つかみ」というものがある。大ざっぱに言うと、漫才やコントの序盤に設けられた笑いどころのこと。これがハマれば好調の波に乗り、あわよくばそのままエンディングまで突っ走ることも可能だ。  4月24日深夜に放送された『NEO決戦バラエティキングちゃん』(テレビ東京系)のつかみは秀逸だった。この日、MCである千鳥の大悟は、なんと1時間以上という大遅刻を犯して収録現場に姿を現している。  当然、相方のノブに「何してんの?」と問い詰められる大悟。彼は、スゴい表情をしながら「今まで、週刊誌につかまってました。出ます、来週」と、遅刻の理由を説明し始めた。気になる記事の内容は、言うまでもなく“お姉ちゃん系”。事の経緯を話す大悟をよく見ると、その目は完全に赤い。週刊誌への登場は4カ月ぶり2度目とのことで、涙目になるのも無理はないだろう。  奇遇にも今回、番組が行うのは「ドラマチックハートブレイク王」なる企画である。過去に体験した傷ついたエピソードやカッコ悪い思い出を青春ドラマ風に披露、最もカッコ良く話し、トラウマを昇華させた芸人が優勝するという趣旨だ。  品川祐(品川庄司)、川島明(麒麟)、斉藤慎二(ジャングルポケット)、岩井勇気(ハライチ)といった腕に覚えのある芸人が招集された今回であるが、信じられないスタートダッシュを見せた大悟を前に、全員の足がすくんでしまった。「このオープニングは超えられねえぞ」とボヤく品川に対し、「今日はいつでも泣ける」と胸を張る大悟。 ■「これをやりながら死んでいきたい」  この企画内容、そしてこの芸人たちがそろえば、小細工なしでも面白さは折り紙付き。 「ネットで『ハライチ 岩井』って検索すると、次のワードに『病気』と『逮捕』って出るらしい」(岩井) 「たまにエゴサーチする。でも傷つきたくないから『品川 面白い』『品川 楽しい』とポジティブなワードを付け検索すると、水族館やイルミネーションなど品川周辺の楽しい思い出ばかりが出てくる」(品川) 「テレビ東京で競馬番組のMCをやってるけど、競馬場を歩いてたら酔っぱらいのおじさん3人組に『お前のせいでテレビ東京が嫌いになった』『井森美幸に代われ』と言われた」(斉藤)  どれも爆笑ものなのだが、今回ばかりはどうしても大悟が上を行く。 「偶然にも今日、嫁の親が東京に泊まりに来てる」 「なんでも笑うかわいらしいマネージャーがいるんだけど、週刊誌の件についてはずっとタメ口だった」 「俺、わかんねえんだよ。離婚届って、どこに出せばいいんだ?」 「お前らもだよ。俺が下向いて落ち込んでる写メ撮ったりよ。『大悟なら大丈夫だ』って、大丈夫じゃねーよ!」  心の傷に塩をまぶしながら、身を削ったネタを展開し続ける大悟。絶好調だ。  本領を発揮したこの現場を、大悟自身も離れたくないのだろうか? 合間合間で「今日、このみんなと永遠にいたい」「永遠にやろうよ、これを。これをやりながら死んでいこうよ」と、いつになく前向きな姿勢を見せるのだ。よほど、この企画が肌に合ったのか? いや、嫁の親が来ている家に帰りたくないだけ。  最後まで涙目だった大悟は、まさに“笑いの無双状態”だった。 (文=寺西ジャジューカ)

さんま、たけしもお気に入り……東京進出を果たした千鳥・ノブが「大阪に帰りたい」ワケとは

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「東京キー局で初の冠番組を持ったり、ファッション誌に出たりと、まさに飛ぶ鳥を落とす勢いです。今はどのバラエティでも、必ずキャスティングに名前が挙がりますね」(バラエティスタッフ)  いまやバラエティ番組に欠かせない存在となった、お笑いコンビ・千鳥。ノブも大悟も、コンビだけでなくピンでも出演することが増えた。 「本来ならもろ手を挙げて喜ぶところなのですが、実はノブは親しい人には少し前まで『大阪に帰りたい』と相談していたそうなんです。なんでも、2014年に3,900万円でマイホームを買っていて、東京でブレークしたために大阪に帰ることが難しくなったようです。まだローンもフルで残ってるでしょうからね。まあ、うれしい悲鳴だとは思いますが……」(バラエティプロデューサー)  実際、同じ吉本興業で冠番組を持つ芸人たちは、ほとんどが千鳥のことを気に入っているため、準レギュラー扱いの番組が多いという。 「ダウンタウンさんをはじめ、今田耕司さん、東野幸治さん、明石家さんまさんもお気に入りですね。あのビートたけしさんも、2人のことを気に入ってるみたいですよ。なので、しばらくは安泰じゃないですかね。ノブさんも、最近になってようやく『東京でもマイホームを建ててやる!』と意気込んでるそうです。今は2人で年収5,000万円くらいは稼いでいるとは思いますが、今年の活躍で、さらに増えるでしょうね」(芸能事務所関係者)  東京でのマイホームも、そう遠くはないかもしれない。

さんま、たけしもお気に入り……東京進出を果たした千鳥・ノブが「大阪に帰りたい」ワケとは

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「東京キー局で初の冠番組を持ったり、ファッション誌に出たりと、まさに飛ぶ鳥を落とす勢いです。今はどのバラエティでも、必ずキャスティングに名前が挙がりますね」(バラエティスタッフ)  いまやバラエティ番組に欠かせない存在となった、お笑いコンビ・千鳥。ノブも大悟も、コンビだけでなくピンでも出演することが増えた。 「本来ならもろ手を挙げて喜ぶところなのですが、実はノブは親しい人には少し前まで『大阪に帰りたい』と相談していたそうなんです。なんでも、2014年に3,900万円でマイホームを買っていて、東京でブレークしたために大阪に帰ることが難しくなったようです。まだローンもフルで残ってるでしょうからね。まあ、うれしい悲鳴だとは思いますが……」(バラエティプロデューサー)  実際、同じ吉本興業で冠番組を持つ芸人たちは、ほとんどが千鳥のことを気に入っているため、準レギュラー扱いの番組が多いという。 「ダウンタウンさんをはじめ、今田耕司さん、東野幸治さん、明石家さんまさんもお気に入りですね。あのビートたけしさんも、2人のことを気に入ってるみたいですよ。なので、しばらくは安泰じゃないですかね。ノブさんも、最近になってようやく『東京でもマイホームを建ててやる!』と意気込んでるそうです。今は2人で年収5,000万円くらいは稼いでいるとは思いますが、今年の活躍で、さらに増えるでしょうね」(芸能事務所関係者)  東京でのマイホームも、そう遠くはないかもしれない。

千鳥 いよいよ全国区に羽根を広げる「媚びない心」の切れ味

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『千鳥の白いピアノを山の頂上に運ぶ』
(よしもとアール・アンドシー)
 関西を拠点に活動している千鳥が、ついに東京進出を果たしつつある。この4月からは22時台に進出した『ピカルの定理』(フジテレビ系)でもレギュラーメンバーの仲間入りを果たした。関西ではロケ芸人として名が知られていた千鳥の勇姿を、全国ネットで見かける機会も少しずつ増えてきている。  千鳥が漫才の祭典『M-1グランプリ』で初めて決勝の舞台に立ったのは2003年。その印象は強烈なものだった。1番手として舞台に上がった彼らが披露したネタは、司会の今田耕司から「エロ漫才」と呼ばれる衝撃的な代物だった。  ボケ担当の大悟は、ツッコミ担当の相方のノブを女性役にして、幼なじみの女の子と虫取りに行った思い出を再現する。その設定で話が進んでいく中で、不意に大悟は女の子の胸に止まった虫を捕るふりをして彼女の胸を触る。そんな彼をノブ演じる女の子がやんわりとたしなめる演技も妙に生々しい。客席は静まり返り、百戦錬磨の審査員たちもただ苦笑いを浮かべるばかりだった。全国ネットの漫才番組にあえてこんなネタをぶつけてくるところに、千鳥の芸人としてのこだわりの一端がうかがえる。この年、千鳥は決勝で最下位の9位。それ以降も、決勝には三度上がっているが9位、6位、8位という結果に終わっている。  そんな彼らが漫才の全国大会で華麗な復活を遂げたのは11年。『THE MANZAI』に出場した彼らは決勝に駒を進め、そこで爆笑を勝ち取った。決勝16組の中から最終4組にまで勝ち残り、3位入賞を果たした。ここで自分たちの漫才の面白さを見せつけた千鳥は、ようやく全国区への足がかりをつかんだ。  彼らの漫才師としての特徴は、第一にネタの種類が豊富であるということ。彼らの漫才には決まったパターンのようなものがほとんどなく、ひとつひとつのネタが違っている。ひとつのボケを何度も繰り返して用いるネタもあれば、わかりやすい笑いどころをあえて設けないストーリー性の高いネタもあるし、リズミカルなしゃべりの掛け合いで笑わせるネタもある。設定が奇抜なものから下ネタ交じりのものまで、とにかく圧倒的に種類が豊富なのだ。  また、彼らの漫才の技術も折り紙付きだ。チンピラのような怪しい雰囲気を持つボケの大悟は、岡山弁のよどみない語り口で一瞬にして自分の世界を作ってしまう。また、ツッコミのノブは、抜き身の日本刀のように鋭い大悟のボケに対して、いなすようにして優しくツッコミをいれる。シンプルな訂正ツッコミをするだけでなく、ボケを否定せず聞き流すこともあるし、ツッコミのフレーズをひとひねりして笑いを増幅させることもある。一見温厚そうなノブのえびす顔の奥には、漫才サイボーグとしての確かな技術が潜んでいるのだ。  ただ、千鳥の漫才で最も注目すべきは、その堂々とした姿勢だ。彼らは決して観客に媚びない。大悟は自分が面白いと思うものに対して揺るぎない信念を持ち、それを荒削りな状態でやや無造作に観客にぶつけてみせる。恐らく彼にとって漫才とは、自分の生き方を表現することなのだ。  だからこそ、大悟の放つボケにはほかの漫才師にはない、生き生きとした魅力がある。それを受け止めて、できるだけわかりやすい形にして観客に提示するのが相方のノブの役目だ。ノブはツッコミという形で常識を提示して、大悟の狂気が暴走するのをギリギリのところで引き留めているのだ。  千鳥の2人の関係性は、バンジージャンプを試みる人とそれを支える命綱にたとえられる。大悟が無謀にも崖の上から飛び降りると、そんな彼をノブは命綱として必死でつなぎ止めようとする。このスリリングな関係こそが、千鳥の漫才がはらんでいるゾクゾクするような魅力の源泉だ。彼らは、全国区のテレビで自分たちの持ち味である「媚びない笑い」をどこまで進化させることができるのだろうか。 (文=お笑い評論家・ラリー遠田) ●連載「この芸人を見よ!」INDEX 【第105回】渡辺直美 希代のドリームガールが見つけた「かわいいとブサイクの間にあるもの」 【第104回】ロバート コント日本一をかっさらった暴風雨・秋山竜次の芝居に宿る「殺気の正体」 【第103回】TKO 不遇を乗り越えたかつてのアイドル芸人が「太って咲かせた、もう一花」 【第102回】オアシズ それぞれにブスを昇華した「現実と空想のアンサンブル」 【第101回】スリムクラブ 最後のM-1を駆け抜けた「超スローテンポという革命」 【第100回】レイザーラモンRG  "吉本団体芸"が生んだ「強心臓のニューヒーロー」 【第99回】麒麟 5度の決勝進出が「M-1グランプリの申し子」をどう変えたか 【第98回】ピース 噛み合わない2つの破片が力ずくで組み上げた「笑いのパズル」 【第97回】次長課長 変幻自在のオールラウンダー河本を生かす、井上の「受け止めるツッコミ」 【第96回】 オセロ松嶋尚美 大先輩・鶴瓶に見初められ「褒められて咲いた大輪の花」 【第95回】 ダイノジ 雌伏16年──ついに訪れる「二頭の虎が目覚めるとき」 【第94回】 キングオブコメディ 極限の不運と"顔芸人"のレッテルを払拭して掴んだ「コント日本一」 【第93回】 山田邦子 史上初の「天下を取った女芸人」その栄光と転落のタレント人生 【第92回】エレキコミック 一度ハマるとクセになる!?「一点突破の納豆コント」 【第91回】野性爆弾 「遅れてきた吉本最終兵器」がブレイクを果たした秘密とは 【第90回】野沢直子 今振り返るカリスマ女芸人の「先駆者としての比類なき存在感」 【第89回】サバンナ 野生の勘で芸能界を疾走する「発展途上のロジカルモンスター」 【第88回】東京ダイナマイト 破壊なくして創造なし! ハチミツ流「笑いのセメントマッチ」 【第87回】トータルテンボス 進化を止めない本格派コンビを育てた「M-1急転直下の挫折劇」 【第86回】ロッチ  シンプルな構図でコントに魂を吹き込む「関係性のスペシャリティ」 【第85回】山崎邦正 ダウンタウンによって強制開花した「ヘタレの天才」が巻き起こす奇跡 【第84回】フルーツポンチ 確かな演技力でポストバブル世代に現出した「キザ男のリアリズム」 【第83回】よゐこ 爆発力と切れ味で支持層を拡大する「自然体のシュール」 【第82回】バッファロー吾郎 マニアック芸人の権化が極めた「もうひとつの天下」 【第81回】ドランクドラゴン 完璧な構築物に風穴を開けて回る「鈴木拓のガッカリ力」 【第80回】高田純次 還暦過ぎても華衰えぬ「日本一の適当男」が歩み続けた孤高の道程 【第79回】森三中  メンバーの結婚で進化する「ブスとブスとブスの関係性」 【第78回】Wコロン・ねづっち  「整いました!」なぞかけ芸が時代にハマった深い理由 【第77回】所ジョージ  突出した安定感を生み出すボーダレスな「私の世界」 【第76回】土田晃之  元ヤン、家電、ガンダム......でも嫌われない「ひな壇の神」の冴えたやりかた 【第75回】タカアンドトシ  非関西系漫才のツッコミ新境地「欧米か!」が生まれた理由 【第74回】キングコング西野亮廣  嫌われるには理由がある!? 天才を悩ませる「出た杭の憂鬱」 【第73回】椿鬼奴  虚栄心から自由になった女芸人の「自然体が放散する魅力」とは 【第72回】萩本欽一  テレビを作り、テレビに呑み込まれた「巨人の功罪」 【第71回】アンガールズ  キモカワ芸人が精緻に切り出した「人生のNGシーン」に宿る笑い 【第70回】エハラマサヒロ   「究極の器用貧乏芸人」が無限の笑いをコラージュする 【第69回】なだぎ武 R-1二連覇を成した演技派芸人の「本当の運命の出会い」とは 【第68回】いとうあさこ 悲観なき自虐を操る「アラフォー女性のしたたかなリアル」 【第67回】チュートリアル M-1完全優勝を勝ち取った「ひとつもボケない」漫才進化論 【第66回】松村邦洋 己を棄てて己を活かす「笑われる天才」が生きる道 【第65回】キャイ~ン・ウド鈴木 20年目の変わらぬ想い──「満面の笑顔で愛を叫ぶ」 【第64回】しずる 緻密なマーケティングと確かな演技力で突っ走る「腐女子枠のプリンス」 【第63回】青木さやか 仕事も家庭も......不器用に体現する「現代女性の映し鏡」 【第62回】 今田耕司 好きな司会者第3位にランクされる「代弁者としての3つの極意」 【第61回】我が家 「変幻自在のローテーション」が3人のキャラ薄をメリットに転化する 【第60回】ハライチ "ツッコミ"を棄てた関東M-1新世代が生み出す「面の笑い」とは? 【第59回】出川哲朗 稀代のリアクション芸人が「計算を超えた奇跡」を起こし続ける理由 【第58回】中川家 すべてはここから始まった!? 兄弟が奏でる「舞台芸と楽屋芸のハイブリッド」 【第57回】板尾創路 笑いの神に愛された男が泰然と歩む「天然と計算の境界線」 【第56回】清水ミチコ 対象者の心を浮き彫りにする「ものまねを超えた賢人の不真面目芸」 【第55回】とんねるず 暴れ放題で天下を取った「学生ノリと楽屋オチの帝王学」 【第54回】友近 孤高の女芸人が体現する「女としての業と生き様」 【第53回】ウンナン内村光良 受け継がれゆく遺伝子「終わらないコント愛」 【第52回】モンスターエンジン 結成2年でシーンを席巻する「高次元のバランス」 【第51回】関根勤 再評価される「妄想力」ひとり遊びが共感を呼ぶ2つの理由 【第50回】南海キャンディーズ しずちゃんを化けさせた山里亮太の「コンビ愛という魔法」 【第49回】フットボールアワー 無限の可能性を秘めた「ブサイクという隠れみの」 【第48回】ますだおかだ 「陽気なスベリ芸」という無敵のキャラクターが司る進化 【第47回】ナインティナイン あえて引き受ける「テレビ芸人としてのヒーロー像」 【第46回】インパルス タフなツッコミで狂気を切り崩す「極上のスリルを笑う世界」 【第45回】アンタッチャブル 「過剰なる気迫」がテレビサイズを突き抜ける 【第44回】おぎやはぎ 「場の空気を引き込む力」が放散し続ける規格外の違和感 【第43回】志村けん 「進化する全年齢型の笑い」が観る者を童心に帰らせる 【第42回】はるな愛 「すべてをさらして明るく美しく」新時代のオネエキャラ 【第41回】明石家さんま テレビが生んだ「史上最大お笑い怪獣」の行く末 【第40回】ブラックマヨネーズ コンプレックスを笑いに転化する「受け止める側の覚悟」 【第39回】笑い飯 Wボケ強行突破に見る「笑わせる者」としての誇りと闘争心 【第38回】笑福亭鶴瓶 愛されアナーキストが極めた「玄人による素人話芸」とは 【第37回】島田紳助 "永遠の二番手"を時代のトップに押し上げた「笑いと泣きの黄金率」 【第36回】東野幸治 氷の心を持つ芸人・東野幸治が生み出す「笑いの共犯関係」とは 【第35回】ハリセンボン 徹底した自己分析で見せる「ブス芸人の向こう側」 【第34回】FUJIWARA くすぶり続けたオールマイティ芸人の「二段構えの臨界点」 【第33回】ロンブー淳 の「不気味なる奔放」テレ朝『ロンドンハーツ』が嫌われる理由 【第32回】柳原可奈子 が切り拓くお笑い男女平等社会「女は笑いに向いているか?」 【第31回】松本人志 結婚発表で突如訪れたカリスマの「幼年期の終わり」 【第30回】はんにゃ アイドル人気を裏打ちする「喜劇人としての身体能力」 【第29回】ビートたけし が放った『FAMOSO』は新世紀版「たけしの挑戦状」か 【第28回】NON STYLE M-1王者が手にした「もうひとつの称号」とは 【第27回】ダチョウ倶楽部・上島竜兵 が"竜兵会"で体現する「新たなリーダー像」 【第26回】品川祐 人気者なのに愛されない芸人の「がむしゃらなリアル」 【第25回】タモリ アコムCM出演で失望? 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千鳥 いよいよ全国区に羽根を広げる「媚びない心」の切れ味

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『千鳥の白いピアノを山の頂上に運ぶ』
(よしもとアール・アンドシー)
 関西を拠点に活動している千鳥が、ついに東京進出を果たしつつある。この4月からは22時台に進出した『ピカルの定理』(フジテレビ系)でもレギュラーメンバーの仲間入りを果たした。関西ではロケ芸人として名が知られていた千鳥の勇姿を、全国ネットで見かける機会も少しずつ増えてきている。  千鳥が漫才の祭典『M-1グランプリ』で初めて決勝の舞台に立ったのは2003年。その印象は強烈なものだった。1番手として舞台に上がった彼らが披露したネタは、司会の今田耕司から「エロ漫才」と呼ばれる衝撃的な代物だった。  ボケ担当の大悟は、ツッコミ担当の相方のノブを女性役にして、幼なじみの女の子と虫取りに行った思い出を再現する。その設定で話が進んでいく中で、不意に大悟は女の子の胸に止まった虫を捕るふりをして彼女の胸を触る。そんな彼をノブ演じる女の子がやんわりとたしなめる演技も妙に生々しい。客席は静まり返り、百戦錬磨の審査員たちもただ苦笑いを浮かべるばかりだった。全国ネットの漫才番組にあえてこんなネタをぶつけてくるところに、千鳥の芸人としてのこだわりの一端がうかがえる。この年、千鳥は決勝で最下位の9位。それ以降も、決勝には三度上がっているが9位、6位、8位という結果に終わっている。  そんな彼らが漫才の全国大会で華麗な復活を遂げたのは11年。『THE MANZAI』に出場した彼らは決勝に駒を進め、そこで爆笑を勝ち取った。決勝16組の中から最終4組にまで勝ち残り、3位入賞を果たした。ここで自分たちの漫才の面白さを見せつけた千鳥は、ようやく全国区への足がかりをつかんだ。  彼らの漫才師としての特徴は、第一にネタの種類が豊富であるということ。彼らの漫才には決まったパターンのようなものがほとんどなく、ひとつひとつのネタが違っている。ひとつのボケを何度も繰り返して用いるネタもあれば、わかりやすい笑いどころをあえて設けないストーリー性の高いネタもあるし、リズミカルなしゃべりの掛け合いで笑わせるネタもある。設定が奇抜なものから下ネタ交じりのものまで、とにかく圧倒的に種類が豊富なのだ。  また、彼らの漫才の技術も折り紙付きだ。チンピラのような怪しい雰囲気を持つボケの大悟は、岡山弁のよどみない語り口で一瞬にして自分の世界を作ってしまう。また、ツッコミのノブは、抜き身の日本刀のように鋭い大悟のボケに対して、いなすようにして優しくツッコミをいれる。シンプルな訂正ツッコミをするだけでなく、ボケを否定せず聞き流すこともあるし、ツッコミのフレーズをひとひねりして笑いを増幅させることもある。一見温厚そうなノブのえびす顔の奥には、漫才サイボーグとしての確かな技術が潜んでいるのだ。  ただ、千鳥の漫才で最も注目すべきは、その堂々とした姿勢だ。彼らは決して観客に媚びない。大悟は自分が面白いと思うものに対して揺るぎない信念を持ち、それを荒削りな状態でやや無造作に観客にぶつけてみせる。恐らく彼にとって漫才とは、自分の生き方を表現することなのだ。  だからこそ、大悟の放つボケにはほかの漫才師にはない、生き生きとした魅力がある。それを受け止めて、できるだけわかりやすい形にして観客に提示するのが相方のノブの役目だ。ノブはツッコミという形で常識を提示して、大悟の狂気が暴走するのをギリギリのところで引き留めているのだ。  千鳥の2人の関係性は、バンジージャンプを試みる人とそれを支える命綱にたとえられる。大悟が無謀にも崖の上から飛び降りると、そんな彼をノブは命綱として必死でつなぎ止めようとする。このスリリングな関係こそが、千鳥の漫才がはらんでいるゾクゾクするような魅力の源泉だ。彼らは、全国区のテレビで自分たちの持ち味である「媚びない笑い」をどこまで進化させることができるのだろうか。 (文=お笑い評論家・ラリー遠田) ●連載「この芸人を見よ!」INDEX 【第105回】渡辺直美 希代のドリームガールが見つけた「かわいいとブサイクの間にあるもの」 【第104回】ロバート コント日本一をかっさらった暴風雨・秋山竜次の芝居に宿る「殺気の正体」 【第103回】TKO 不遇を乗り越えたかつてのアイドル芸人が「太って咲かせた、もう一花」 【第102回】オアシズ それぞれにブスを昇華した「現実と空想のアンサンブル」 【第101回】スリムクラブ 最後のM-1を駆け抜けた「超スローテンポという革命」 【第100回】レイザーラモンRG  "吉本団体芸"が生んだ「強心臓のニューヒーロー」 【第99回】麒麟 5度の決勝進出が「M-1グランプリの申し子」をどう変えたか 【第98回】ピース 噛み合わない2つの破片が力ずくで組み上げた「笑いのパズル」 【第97回】次長課長 変幻自在のオールラウンダー河本を生かす、井上の「受け止めるツッコミ」 【第96回】 オセロ松嶋尚美 大先輩・鶴瓶に見初められ「褒められて咲いた大輪の花」 【第95回】 ダイノジ 雌伏16年──ついに訪れる「二頭の虎が目覚めるとき」 【第94回】 キングオブコメディ 極限の不運と"顔芸人"のレッテルを払拭して掴んだ「コント日本一」 【第93回】 山田邦子 史上初の「天下を取った女芸人」その栄光と転落のタレント人生 【第92回】エレキコミック 一度ハマるとクセになる!?「一点突破の納豆コント」 【第91回】野性爆弾 「遅れてきた吉本最終兵器」がブレイクを果たした秘密とは 【第90回】野沢直子 今振り返るカリスマ女芸人の「先駆者としての比類なき存在感」 【第89回】サバンナ 野生の勘で芸能界を疾走する「発展途上のロジカルモンスター」 【第88回】東京ダイナマイト 破壊なくして創造なし! ハチミツ流「笑いのセメントマッチ」 【第87回】トータルテンボス 進化を止めない本格派コンビを育てた「M-1急転直下の挫折劇」 【第86回】ロッチ  シンプルな構図でコントに魂を吹き込む「関係性のスペシャリティ」 【第85回】山崎邦正 ダウンタウンによって強制開花した「ヘタレの天才」が巻き起こす奇跡 【第84回】フルーツポンチ 確かな演技力でポストバブル世代に現出した「キザ男のリアリズム」 【第83回】よゐこ 爆発力と切れ味で支持層を拡大する「自然体のシュール」 【第82回】バッファロー吾郎 マニアック芸人の権化が極めた「もうひとつの天下」 【第81回】ドランクドラゴン 完璧な構築物に風穴を開けて回る「鈴木拓のガッカリ力」 【第80回】高田純次 還暦過ぎても華衰えぬ「日本一の適当男」が歩み続けた孤高の道程 【第79回】森三中  メンバーの結婚で進化する「ブスとブスとブスの関係性」 【第78回】Wコロン・ねづっち  「整いました!」なぞかけ芸が時代にハマった深い理由 【第77回】所ジョージ  突出した安定感を生み出すボーダレスな「私の世界」 【第76回】土田晃之  元ヤン、家電、ガンダム......でも嫌われない「ひな壇の神」の冴えたやりかた 【第75回】タカアンドトシ  非関西系漫才のツッコミ新境地「欧米か!」が生まれた理由 【第74回】キングコング西野亮廣  嫌われるには理由がある!? 天才を悩ませる「出た杭の憂鬱」 【第73回】椿鬼奴  虚栄心から自由になった女芸人の「自然体が放散する魅力」とは 【第72回】萩本欽一  テレビを作り、テレビに呑み込まれた「巨人の功罪」 【第71回】アンガールズ  キモカワ芸人が精緻に切り出した「人生のNGシーン」に宿る笑い 【第70回】エハラマサヒロ   「究極の器用貧乏芸人」が無限の笑いをコラージュする 【第69回】なだぎ武 R-1二連覇を成した演技派芸人の「本当の運命の出会い」とは 【第68回】いとうあさこ 悲観なき自虐を操る「アラフォー女性のしたたかなリアル」 【第67回】チュートリアル M-1完全優勝を勝ち取った「ひとつもボケない」漫才進化論 【第66回】松村邦洋 己を棄てて己を活かす「笑われる天才」が生きる道 【第65回】キャイ~ン・ウド鈴木 20年目の変わらぬ想い──「満面の笑顔で愛を叫ぶ」 【第64回】しずる 緻密なマーケティングと確かな演技力で突っ走る「腐女子枠のプリンス」 【第63回】青木さやか 仕事も家庭も......不器用に体現する「現代女性の映し鏡」 【第62回】 今田耕司 好きな司会者第3位にランクされる「代弁者としての3つの極意」 【第61回】我が家 「変幻自在のローテーション」が3人のキャラ薄をメリットに転化する 【第60回】ハライチ "ツッコミ"を棄てた関東M-1新世代が生み出す「面の笑い」とは? 【第59回】出川哲朗 稀代のリアクション芸人が「計算を超えた奇跡」を起こし続ける理由 【第58回】中川家 すべてはここから始まった!? 兄弟が奏でる「舞台芸と楽屋芸のハイブリッド」 【第57回】板尾創路 笑いの神に愛された男が泰然と歩む「天然と計算の境界線」 【第56回】清水ミチコ 対象者の心を浮き彫りにする「ものまねを超えた賢人の不真面目芸」 【第55回】とんねるず 暴れ放題で天下を取った「学生ノリと楽屋オチの帝王学」 【第54回】友近 孤高の女芸人が体現する「女としての業と生き様」 【第53回】ウンナン内村光良 受け継がれゆく遺伝子「終わらないコント愛」 【第52回】モンスターエンジン 結成2年でシーンを席巻する「高次元のバランス」 【第51回】関根勤 再評価される「妄想力」ひとり遊びが共感を呼ぶ2つの理由 【第50回】南海キャンディーズ しずちゃんを化けさせた山里亮太の「コンビ愛という魔法」 【第49回】フットボールアワー 無限の可能性を秘めた「ブサイクという隠れみの」 【第48回】ますだおかだ 「陽気なスベリ芸」という無敵のキャラクターが司る進化 【第47回】ナインティナイン あえて引き受ける「テレビ芸人としてのヒーロー像」 【第46回】インパルス タフなツッコミで狂気を切り崩す「極上のスリルを笑う世界」 【第45回】アンタッチャブル 「過剰なる気迫」がテレビサイズを突き抜ける 【第44回】おぎやはぎ 「場の空気を引き込む力」が放散し続ける規格外の違和感 【第43回】志村けん 「進化する全年齢型の笑い」が観る者を童心に帰らせる 【第42回】はるな愛 「すべてをさらして明るく美しく」新時代のオネエキャラ 【第41回】明石家さんま テレビが生んだ「史上最大お笑い怪獣」の行く末 【第40回】ブラックマヨネーズ コンプレックスを笑いに転化する「受け止める側の覚悟」 【第39回】笑い飯 Wボケ強行突破に見る「笑わせる者」としての誇りと闘争心 【第38回】笑福亭鶴瓶 愛されアナーキストが極めた「玄人による素人話芸」とは 【第37回】島田紳助 "永遠の二番手"を時代のトップに押し上げた「笑いと泣きの黄金率」 【第36回】東野幸治 氷の心を持つ芸人・東野幸治が生み出す「笑いの共犯関係」とは 【第35回】ハリセンボン 徹底した自己分析で見せる「ブス芸人の向こう側」 【第34回】FUJIWARA くすぶり続けたオールマイティ芸人の「二段構えの臨界点」 【第33回】ロンブー淳 の「不気味なる奔放」テレ朝『ロンドンハーツ』が嫌われる理由 【第32回】柳原可奈子 が切り拓くお笑い男女平等社会「女は笑いに向いているか?」 【第31回】松本人志 結婚発表で突如訪れたカリスマの「幼年期の終わり」 【第30回】はんにゃ アイドル人気を裏打ちする「喜劇人としての身体能力」 【第29回】ビートたけし が放った『FAMOSO』は新世紀版「たけしの挑戦状」か 【第28回】NON STYLE M-1王者が手にした「もうひとつの称号」とは 【第27回】ダチョウ倶楽部・上島竜兵 が"竜兵会"で体現する「新たなリーダー像」 【第26回】品川祐 人気者なのに愛されない芸人の「がむしゃらなリアル」 【第25回】タモリ アコムCM出演で失望? 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