
『世界一のあきらめない心: なでしこジャ
パン栄光への軌跡』
(小学館)
先日行われた「キリンチャレンジカップ2012」で見事優勝したサッカー日本女子代表(なでしこジャパン)だが、実は試合中継が高視聴率だったにもかかわらず、観客動員が振るわなかったことが話題を集めている。果たして、なでしこの人気は本物なのか?
4月1日の日曜日にユアテックスタジアム仙台(ユアスタ)で行われた米国戦の観衆は1万5,159人、平日の5日に行われたブラジル戦に至っては1万2,862人と、会場だったホームズスタジアム神戸の4割程度しか埋まらなかったという。
だが、地上波テレビ生中継は米国戦は14.8%、ブラジル戦は17.5%と高視聴率を記録(関東地区、ビデオリサーチ社調べ)。とりわけ米国戦の数字は、同時間帯に放送されたフィギュアスケート世界選手権女子フリーと並ぶ視聴率だ。集客力よりテレビでの人気が先行している格好だが、「それも仕方ないこと」だと評するのはサッカー誌編集者。
「男子のA代表ならいざ知らず、女子代表の試合をわざわざ試合場で観戦するのは、よほどのサッカーおたくか日本代表ファン。一般的なサッカーファンは女子サッカーを見ても、それほど楽しめないんです。というのも、なでしこのプレーのレベルというのは、中学強豪校の男子チーム程度なんです。日ごろ、A代表や欧州の強豪チームのプレーに触れているサッカーファンが、中学生レベルの試合なんて見ても楽しめるわけがないじゃないですか。別になでしこがどうこうではなく、これは女子サッカーの構造的な問題ですよ」
一方、テレビで観戦する層というのはライトなサッカーファンや、とりあえず話題のなでしこの試合だから見ておこうという人々。こうしたこれまでサッカー、とりわけ女子サッカーに熱心ではなかった層に関心を持たれるというのは、決して悪いことではない。それどころか、サッカー人気の裾野が広がってきたともいえ、女子サッカー界にとっては好材料だろう。
「ただ、懸念されるのは、こうしたライトなファン層による人気は移ろいやすいということ。今はW杯での優勝や澤(穂希)のFIFAバロンドール(世界年間最優秀選手賞)受賞など話題性があるから人気を保っていますが、時間が経てば次第に忘れられていくことだって考えられます。そうならないためにも女子の競技人口を増やし、彼女たちにアピールするよう努めなければなりません」(前出・サッカー誌編集者)
一過性のブームに終わらないためには、なんとしても来たるロンドン五輪で金メダルが求められる。その意味で、なでしこジャパンは正念場を迎えているのだ。
(文=牧隆文)
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「やはり人気は一過性?」高視聴率なのに観客が入らない“なでしこジャパン”の構造的問題

『世界一のあきらめない心: なでしこジャ
パン栄光への軌跡』
(小学館)
先日行われた「キリンチャレンジカップ2012」で見事優勝したサッカー日本女子代表(なでしこジャパン)だが、実は試合中継が高視聴率だったにもかかわらず、観客動員が振るわなかったことが話題を集めている。果たして、なでしこの人気は本物なのか?
4月1日の日曜日にユアテックスタジアム仙台(ユアスタ)で行われた米国戦の観衆は1万5,159人、平日の5日に行われたブラジル戦に至っては1万2,862人と、会場だったホームズスタジアム神戸の4割程度しか埋まらなかったという。
だが、地上波テレビ生中継は米国戦は14.8%、ブラジル戦は17.5%と高視聴率を記録(関東地区、ビデオリサーチ社調べ)。とりわけ米国戦の数字は、同時間帯に放送されたフィギュアスケート世界選手権女子フリーと並ぶ視聴率だ。集客力よりテレビでの人気が先行している格好だが、「それも仕方ないこと」だと評するのはサッカー誌編集者。
「男子のA代表ならいざ知らず、女子代表の試合をわざわざ試合場で観戦するのは、よほどのサッカーおたくか日本代表ファン。一般的なサッカーファンは女子サッカーを見ても、それほど楽しめないんです。というのも、なでしこのプレーのレベルというのは、中学強豪校の男子チーム程度なんです。日ごろ、A代表や欧州の強豪チームのプレーに触れているサッカーファンが、中学生レベルの試合なんて見ても楽しめるわけがないじゃないですか。別になでしこがどうこうではなく、これは女子サッカーの構造的な問題ですよ」
一方、テレビで観戦する層というのはライトなサッカーファンや、とりあえず話題のなでしこの試合だから見ておこうという人々。こうしたこれまでサッカー、とりわけ女子サッカーに熱心ではなかった層に関心を持たれるというのは、決して悪いことではない。それどころか、サッカー人気の裾野が広がってきたともいえ、女子サッカー界にとっては好材料だろう。
「ただ、懸念されるのは、こうしたライトなファン層による人気は移ろいやすいということ。今はW杯での優勝や澤(穂希)のFIFAバロンドール(世界年間最優秀選手賞)受賞など話題性があるから人気を保っていますが、時間が経てば次第に忘れられていくことだって考えられます。そうならないためにも女子の競技人口を増やし、彼女たちにアピールするよう努めなければなりません」(前出・サッカー誌編集者)
一過性のブームに終わらないためには、なんとしても来たるロンドン五輪で金メダルが求められる。その意味で、なでしこジャパンは正念場を迎えているのだ。
(文=牧隆文)
美形推し&礼賛ばかりのサッカーメディアが「なでしこジャパン」をダメにする!?

「なでしこジャパン2011W杯速報号
2011年08月号」
(ベースボール・マガジン社)
先頃、ポルトガルで開催されたアルガルベカップ2012で準優勝に終わったサッカー女子日本代表「なでしこジャパン」だが、ロンドン五輪金メダルの勝算はいかほどか。
「決勝戦のドイツ戦でもそうだったように、フィジカルの強い相手だと押し込まれて、持ち前のパスワークも影を潜めていましたね。ドイツに限らず、アメリカやブラジルなど世界の強豪はどこもフィジカルが強いので、五輪へ向けての不安材料だといえるでしょう」(サッカー誌記者)
そもそも、なでしこの世界ランキングはドイツ、アメリカに次いで第3位。順当にいって銅メダルというところ。ただ、今回はエースの澤(穂希)が体調不良で決勝など2試合を欠場した中、準優勝というのは善戦したといえなくもないが……。
「メディアではそうした点を強調して、今回結果について批判がありませんよね。決勝戦ではあまり試合に出ていなかった選手を多く起用しましたが、そこで露呈したのは、選手層の薄さ。やはり、澤や宮間(あや)、川澄(奈穂美)、鮫島(彩)、熊谷(紗希)らの主力におんぶに抱っこというのが実情。今回の大会で果たして選手層の底上げはできたのか、ということをメディアはもっと検証すべきです。新戦力が出てこないと、金メダルは厳しいですよ」(同)
最近メディアでは、INAC神戸に入団した京川舞、仲田歩夢、田中陽子の美形“高卒トリオ”が話題を呼んだ。彼女たちはU-19代表だけにA代表の新戦力として期待が寄せられている。
「確かに、美形ということで話題にもなりやすいし、女子サッカーを盛り上げるためにも彼女たちを取り上げるのは大いに結構だと思うのですが、A代表の新戦力としては時期尚早でしょう。メディアは、もっとシビアになでしこジャパンを見るべきです。とにかく礼賛ばかりのメディアの反応が気がかり。強い代表というのはメディアの厳しい目が育てるものなんです」(同)
考えてみれば、2006年のW杯で「黄金の中盤」などとメディアに持てはやされたジーコジャパンはどうだったか。さんざん国民を期待させたあげく、惨敗を喫しチームが崩壊してしまったことは記憶に新しい。こんなことを繰り返さないためにも、メディアにはいま一度厳しい視点で報じてほしいものだ。
(文=牧隆文)
