進化を続ける「ウルトラ」シリーズ 受け継がれる円谷プロのDNAとは?

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円谷プロダクション公式サイトより
(c)円谷プロ
 日本を代表する特撮ヒーロー「ウルトラマン」。1966年の初代『ウルトラマン』以来、実に46年にわたり特撮のみならず、漫画、アニメなどメディアの壁を超えて新作が作り続けられている国民的ヒーローだ。  3月24日からは、AKB48が地球を守るという新機軸を打ち出し、各方面から話題を呼んでいる劇場最新作『ウルトラマンサーガ』が公開される。シリーズ初となる隊員がすべて女性という設定や3D公開、新旧3人のウルトラマンのコラボなど、誰も見たことがない「ウルトラマン」の仕掛けが満載だ。  映画のほかにも、ウルトラ怪獣がコントをする『ウルトラゾーン』や、「月刊ヒーローズ」で連載中のコミック「ULTRAMAN」、往年のテレビシリーズ『ウルトラQ』がカラーになって甦ったり……と次々に意表を突く驚きの展開を繰り広げている。  そこにきて、中学2年生の美少女ウルトラマンが登場するというライトノベル『ウルトラマン妹(シスターズ)』(PHP研究所、スマッシュ文庫)の発表には日本全土が衝撃に揺れた。我が国のテレビ史とともに歩んできた“メインカルチャー”の代表である「ウルトラマン」が、ライトノベル、萌え、妹などサブカルチャー的な手段で展開されるなんて!  「ウルトラ」シリーズを制作する円谷プロダクションは一体どうなってしまったのか? なぜ、今サブカルチャーとウルトラマンが急接近したのか!?   ということで、今回、円谷プロダクションの担当者にその真意を聞いてみた。 *** ──『ウルトラマン妹』のようなオタク的、二次創作的な作品が、円谷プロダクションから公式で発表されたことに非常に驚きました。 「『ウルトラマン妹』はPHP研究所との間で立ち上がったライトノベル企画ですが、当初はそこまで話題になるとは思ってはいませんでした。ただ、サブカルチャー的な方向性で『ウルトラマン』を展開するというのは『ウルトラマン妹』が最初というわけではなく、実は相当前からやっているんです」 ──例えば、どんな事例があるのでしょうか。
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コミケで発売された同人誌。
「まず、昨年夏に開催されたコミックマーケット80にて、ウルトラマンの同人誌的な本が頒布されました。そこで、現在『月刊ヒーローズ』(ヒーローズ)でコミック版『ULTRAMAN』を連載している清水栄一さんと下口智裕さんや、『GTO』の藤沢とおるさんやヒロモト森一さんがイラストを描き下ろしてくださいました。  そのコミック版『ULTRAMAN』のウルトラマンは、従来のツルッとした外見ではなく、メカ的な装甲をまとったデザインになっています。最近の映画でもウルトラマンゼロが装甲をまとい、武器を手にしています。これはマーチャンダイジングや映画の企画開発という側面もあるのですが、最近の、特にガンダムなどのロボットアニメを経てウルトラマンにたどりついた人からすると、そんなに違和感なく受け入れられているような気がします。  そういう意味で1980年代、平成になってからそれぞれの作り手が自分の得意とする技法を作品に盛り込んだり、著名な監督や脚本家の方々が『ウルトラ』シリーズに参加していることを考えると、すでに制作レベルでいい物を作ろう、面白い物を作ろう、今の若い人に受ける要素を取り込んでいこうと考えているから、こういう風な流れになっているんじゃないかと思います」 ──「面白いものを作ろう」という発想で「ウルトラ」シリーズを制作している、というお話から考えると、怪獣がコントを繰り広げる『ウルトラゾーン』(DVD Vol.1発売中)という番組が生まれた理由も分かる気がします。
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『ULTRAMAN』
(「月刊ヒーローズ」にて連載中)
「そうですね。この感覚はもともと、プロレス風のナレーションを入れて怪獣同士の格闘を流すという『ウルトラファイト』(1970年放送)が確立した時点から存在していて、知的な人がクールに笑ってくれるオフビートな感覚、言い換えれば、作家性と呼ばれる感覚は、常に意識しています。僕らみたいな40~50代の人たちが『ウルトラマンって絶対こうだよ』って言うかもしれないけど、20~30代くらいの作家さんたちは、彼らがその時に新しい、面白いと思う演出にいろいろと挑戦しているんです。その一方で、過去作品の演出などを上手に引用したりしているのを考えると、結局どれが本流だとか亜流だとかはあまり関係ないんじゃないかなと思います。そこに、メインカルチャーとサブカルチャーが絶妙にひっくり返る感覚を覚えますね」 ――なるほど。 「ネット上で企業が“エイプリルフールを遊ぶ”ということがまだ一般的ではなかった2005年に、“バルタン星人に円谷プロ公式HPがジャックされた”という企画を試したのが最初のエイプリルフール企画なのですが、以降、毎年その年の注目度の高いネタで作り込むようになりました。2010年は、1日限定でウルトラヒーローや怪獣たちがつぶやく円谷ッター(ツブッター)というものをTwitterと連動して行ったり、『ウルトラマンナイスの部屋』という番組をニコニコ生放送で配信しました。相当チャレンジングな企画でしたが、そのおかげでエイプリルフールのアワードを2つも受賞させていただきました。“セルフパロディで新しいカルチャーを生み出した”というところを評価していただけたのだと思います。エイプリルフールにこだわらず、これからも新しいことをやっていきたいと思っています」
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『ウルトラゾーン 1』(キングレコード)
──「ウルトラマン」は新しい作品やキャラクターを生み出すだけでなく、カルチャーそのものに対して大きな影響を与えているんですね。作品単体で考えても、以前のシリーズのヒーローが勢ぞろいした『ウルトラマンA(エース)』、海外で制作された『ウルトラマンG(グレート)』、あるいはイケメン俳優を主人公に据えた平成『ウルトラマン』シリーズなど、後のほかの特撮作品でも行われた試みが、実は相当早い段階で「ウルトラ」シリーズで行われていたわけですしね。 「創業者の円谷英二は『特撮の神様』と言われていますが、高度な特撮技術だけでなく、“誰もやったことのないことをやってしまう”という部分が真骨頂だったのだと思います。私たち現スタッフも、世の中の皆さんをあっと言わせたり、楽しませたいと考えています。もし、私たちが歴史ある作品を抱えて守りに入るようなことがあれば、天国の英二さんから『何やってるの?』と言われてしまうのではないかと思います。  時代は変わってゆきますし、新しいファンの方やウルトラマンをご覧になったことがない世代の方もいますので、常に新しい手法を模索していくことが必要だと思います」 ──劇場映画最新作『ウルトラマンサーガ』ではAKB48が全員女性隊員の防衛チームとして出演しますが、それも「新しいことへの挑戦」という文脈になるのでしょうか。 「『ウルトラ』シリーズの原点である『ウルトラQ』は、意外に子ども目線で描かれていたと思いませんか? その子どもの目線と、現場で状況に対処する大人の間に立って子どもたちを守ろうとする10代の女の子の原点が江戸川由利子だと考えると、『ウルトラ』シリーズの系譜から考えると正統な作り方だと思います。そういう意味では原点回帰している部分もあります」
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(c)2011「ウルトラマンサーガ」製作委員会
──確かに! 秋元才加さんなんて、見た目も格好いいしイメージ的に江戸川由利子を演じた桜井浩子さんに通じるものを感じます。新作と旧作の復刻という二輪で、これからも「ウルトラマン」は展開していくということですね。 「これは桜井浩子さんも言っていますが、今後も最初の『ウルトラQ』のDNAを少しでも受け継いで『ウルトラ』シリーズが続いてくれたらうれしいと思っています。キャラクター・マネジメントを考える時に一番怖いのがキャラクターの陳腐化です。つまり、普通になってしまうことなんです。例えばイベント会場で見られる光景ですが、怪獣やウルトラマンが出てくると、アイドルさながらに『キャー!』と言われますし、安心してCMにも使うことができる。それは登場以来、見てくださる方々に脈々と刻まれた信頼感や懐かしさ。言わば、親と一緒にいる気持ちのようなもので、日本人の本質に迫るものと言えます。40~50代の人には懐古的に訴えるし、若い人には新規性や革命的、チャレンジ精神を推し出す感じで表現できるといいんじゃないかなと考えています」 ***  『ウルトラマン妹』の登場は突然変異ではなく、「ウルトラ」シリーズ全体を貫くコンセプトの中から自然発生的に生まれた企画であり、そこに息づく「魂」はシリーズの原点『ウルトラQ』から何も変わらず存在しているのだ。担当者の言葉からは、それを強く感じることができた。  「新しいもの」「驚き」「好奇心」「探究心」……。そんなフロンティア精神に満ちた「ウルトラ」シリーズは、今後もさまざまなプラットホームで僕たちの心を魅了し続けることだろう。 (取材・文=有田シュン) ●『ウルトラマンサーガ』 謎の侵略者・バット星人によって占領されてしまった地球を舞台にウルトラマンゼロ・ウルトラマンダイナ・ウルトラマンコスモスが、地球人たちと力を合わせて希望と平和を取り戻す。 出演/DAIGO、つるの剛士、杉浦太陽 秋元才加、宮澤佐江、佐藤すみれ、梅田彩佳、増田有華、小林香菜、島田晴香ほか  声の出演/宮野真守、東国原英夫 監督/おかひでき 特技監督/三池敏夫  脚本/長谷川圭一  音楽/原文雄  制作/円谷プロダクション 配給/松竹 製作/「ウルトラマンサーガ」製作委員会 3月24日(土)全国ロードショーhttp://www.ultramansaga.com/
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