
※イメージ画像 photo by sir.Kir from flickr
昨年、東京大学教養学部学生自治会が、長らく加盟していた日本共産党系の全学連(全日本学生自治会総連合)からの脱退を決議。日本共産党が将来の幹部党員の養成所兼資金源を失った事件として、注目を集めた。
その東京大学から、ついに日本共産党が完全に拠点を失うことが明らかになった。さまざまな組織・政治団体の草刈り場としての側面もある東京大学の今後はどうなるのだろうか?
■「日が変わる前に提出した」と強弁する共産党
教養学部学生自治会が全学連を脱退。同時に、多くの党員・民青(日本民主青年同盟。共産党傘下の学生青年組織)同盟員からも三行半を叩きつけられた共産党。彼らが最後の拠点としていたのが、駒場キャンパスのキャンパスプラザB109号室にある「平和研究会」と「環境研究会『青空の会』」の部室だ。この同居する2つのサークルは、学内の共産党員で構成される、いわばダミーサークル。このサークルが、駒場キャンパスの部室割り振りを担当する学友会学生理事会から、部室取り上げ処分を受けることになってしまったのだ。
しかも理由は、部室使用継続申請書を、昨年12月7日の期限までに提出できなかったこと。すなわち、締切を守れなかったから、というから笑えない。
「青空の会」代表責任者の小西祐司(法学部4年)氏名義で配布されたビラによれば、共産党側は「締切間際でしたが、12月7日中に部室使用継続申請書を学友会ポストに提出したにもかかわらず、申請書の提出期限遅れを理由に部室取り上げとなっています」と主張する。
学友会は、キャンパスプラザが閉館される21時35分に受付を締め切ったとする。対して、「青空の会(と、平和研究会)」は、担当者が閉館後もキャンパスプラザの外のポストに投函できると勘違いしていたことが原因。同日の22時半頃、学生会館キャンパスプラザ運営委員に依頼して、館内の学友会のポストに投函した。その上で、同日23時52分に、謝罪と事情説明のメールを送信したとする。
整理すると「青空の会(と、平和研究会)」側は、閉館時間を過ぎてしまったが、12月7日中には投函した。キャンパスプラザ外のポストに投函すればよいと勘違いしていたのだから考慮してほしいと主張。対して、学友会側は閉館時間=締切なのは当然。さらに、前述の22時半頃、学生会館キャンパスプラザ運営委員に依頼した際に、締切を過ぎていることは説明していること。さらに、キャンパスプラザ外のポストは学友会のものではなく、提出先は学友会室か館内の学友会ポストに限られることは申請書にも記載し、再三にわたって説明していると、突っぱねたのだ。
■実態は共産党・民青のオルグ部屋だと、元関係者も証言
次年度の部室の割り振りも決定し、1月18日を退去期限に定められた「青空の会(と、平和研究会)」は、同じく部室取り上げの通告を受けたサークル、フォイヤーヴェルク管弦楽団と平和研究会、青空の会の連名で異議を申し立て、評議員会(学友会の議決機関)を開催して公平な判断を下すよう要求するビラを各サークルに配布した(フォイヤーヴェルク管弦楽団は、今年度の学生会館の連絡委員を登録していなかったことが取り上げの理由と見られる。その後「東京大学フォイヤーヴェルク管弦楽団は、特定の政治的思想、信条とは一切関係ありません」として、共同申し立ての撤回を表明)。
これに対して、元教養学部学生自治会委員長で、昨年の全学連脱退決議の主要メンバーだった何ろく氏(教養学部3年)は、共産党のやり方を批判するビラを配布。この中で「窓口の時間までで締め切られるのは自明のこと」「言い訳はおよそ通用するものではありません」「特定政党がダミーサークルを作って部室を確保するような、学生を欺く行為は許されるべきではない」と非難する。さらに「『青空の会』の人は、現在、法学部4年生です。1~3年生に動ける人がいないような『サークル』に部室を割り振っていいのでしょうか」と、共産党系ダミーサークルのお粗末な内情をも暴露する。
元・平和研究会の会員でもあった何氏によれば、部室は実質的に共産党と民青が利用しており、平和研究会も、青空の会も活動実態はほとんど存在しないと断言する。
「そもそも、平和研究会・青空の会には実態のある会員がいません。党員の中に、平和研究会担当があったといったほうがよいでしょう。青空の会については、実態ゼロでした。今回の彼らの弁明文書に書かれたものを読むと、要は、民青のやってる環境問題関係の活動が、すなわち青空の会の活動のようです。今回の騒動でも、平和研究会・青空の会の会員の存在を見ることはついぞありませんでした。人材が枯渇していることがうかがえます」
この部室を共産党と民青は、活動拠点として大いに活用してきた。駒場キャンパス近くのマンションには、共産党の東京都委員会が家賃を払う拠点もある。ここに連れ込んで、オルグしてメンバーに仕立て上げるのが、彼らの最終目標。部室は、その前段で関係性を築く場所として大いに活用されてきたのである。
このことは、以前にも問題になっており、2010年初めに同年度の部室を割り振る際にも学友会内部で「民青がダミーサークルを作ってB109を使っている」ことが問題になったが、この時は学友会内に党員がいたため「民青とは関係ない」というキャンペーンを張って、難を逃れている。そうしてまで確保してきた拠点を、ささいなミスで失うことになってしまったのだ。いま、党内で、どれだけ問題(というか、関係者の針のムシロっぷり)になっているのか……想像に難くない。
■最後の日は、一人で荷物を運び出し……
一時は「部室に立てこもりか?」とのウワサも流れたが、協議の結果18日に一旦退去の上で23日に学友会が臨時の評議員会を開催し、再検討を行うことで合意。18日には、小西氏が一人で荷物を運び出す寂しい姿が見られたという。
23日に開催された評議員会では青空の会と平和研究会が、あらためて「部室継続申請を期限内に提出した」と主張し、「民青に彼らの部室として使わせていたというのは大きな誤解」とも発言したが、認められることはなく、部室取り上げが確定することとなった。
昨年の党員及び民青同盟員の集団脱党と、それに続く教養学部学生自治会の全学連脱退決議により、風前のともしびだった東大内の共産党勢力。
東京大学には、教養学部学生自治会のほかに本郷キャンパスの情報学環教育部に自治会があるが、こちらは長年にわたって政治色のカケラもない(昨年は自治会長選挙で立候補者ゼロで、仕切り直しという事態も……)。
つまり、今回、共産党系サークルが部室を取り上げられたことで、東京大学から学生運動は、ほぼ姿を消したといってよいだろう。前述の新左翼系をはじめ、右派系や新興宗教系のものまで、東大内部には依然としてさまざまなサークルが存在するものの、活発に活動しているところは、まずない。せいぜい、年に2度の学園祭、五月祭と駒場祭の時に、存在しているのがわかる程度である。
怪しいサークルも、大学生活の彩りと思う筆者としては、ちょっと寂しい気もする。
(取材・文=昼間たかし)
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学外者も傍聴可能、ネット中継もご自由に! 共産党に反旗を翻した東大自治会が新たな一手

※イメージ画像 photo by sir.Kir from flickr
すでにいくつかのメディアが報じている、東京大学教養学部学生自治会の全学連(全日本学生自治会総連合)および都学連(東京都学生自治会連合)脱退をめぐる騒動。6月14日に予定されている、自治会の最高議決機関である代議員大会への脱退案の提出を前に、新たな動きが起こっている。
先週から東大駒場キャンパスでは、脱退案の阻止を狙ってか、現・自治会執行部を批判するビラが教室内で配布されている。このビラは元自治会常任委員で、現在全学連のスタッフとして活動している法学部4年小西祐司氏名義で、14日の代議員大会において全学連脱退提案と共に議題として予定されている自治会規約改正案を批判するもの。「学生自治会規約改正についてのOBの意見」と題し、「私が一番危惧しているのは、今回の規約改正が、現行規約で定められている正規の手続きを踏もうとしていないことです」と、現・自治会執行部の提案を真っ向から非難している。
また、元・自治会副委員長で大学院理学系研究科修士1年の深堀信一氏名義で撒かれたビラは、現・執行部が配布している「学生自治会ガイドブック」に対する抗議と訂正を求める内容だ。この中でもっとも驚くのは、深堀氏が「当時の副自治委員長として、私たちの代において、学外党派による指導と介入などありませんでした」としている点だ。深堀氏が自治会でスタッフを務めていたのは2008年4月から10年3月まで。この時期に、(東京大学が所属する全学連の上部組織である)日本共産党・民主青年同盟が、どのような形で介入していたかはネット上に当事者の証言があるし、メディアも徐々に報じつつある。大学院理学系研究科修士課程に所属し、科学の道を志す者である深堀氏が思想にとらわれて事実をねじ曲げるとは、これも「東大話法」の一種なのだろうか。
■代議員大会は誰でも傍聴可能に!
こうしたビラは、これまでの党派的介入の事例に基づけば個人が作成したものではなく、全学連、あるいは日本共産党青年学生部または民主青年同盟が指示して作成(あるいは、作成した上で学生に署名させる)したものであることは容易に想像がつく。こうなってくると、14日の代議員大会がどの程度荒れるのか気になるところだ。そんな中、現・自治会執行部は10日、今回の代議員大会の傍聴は事前申し込み制と発表。しかも、自治会員である東京大学教養学部の前期課程生に限らず、学生・院生・一般社会人まで参加可能(ただし、座席数は20席限定)となった。傍聴者は東京大学の学生に限られ、承認制が取られていたこれまでの代議員大会とは大きな違いだ。さらに「議長が別に指示をしない限りは、メモ、録音、録画、中継いずれも可能です」としている。つまり、座席からUSTREAMでもニコニコ生放送でも勝手にやってくれということらしい。
日本の学生運動の一潮流、あるいはひとつの議会政党が終焉へと向かう歴史的な場面を、見逃す手はないぞ。
(取材・文=昼間たかし)
「岩波書店のコネなんてもらえない!」底辺東大生の就職活動はFラン大よりも悲惨!

※イメージ画像 photo by sir.Kir from flickr
就職活動シーズンまっさかりに発表したためか、一向に冷める様子もない岩波書店のコネ入社をめぐる議論。「不公平だ!」という批判意見がある一方で、「合理的だ」と称賛する声も増えてきている。先の記事に記したように(※記事参照)、岩波書店が求めているのは、基本は東大卒を中心としたエリート層である。明確な志望動機もなく、「なんとなくマスコミに行きたい」というような学生の応募で事務処理が煩雑にならなくて済む。「コネが必要な上に東大生じゃないとダメ」となればさらに不公平な感じもするが、実は東大生の就活事情も内情はかなり悲惨なのだ。
実は、岩波書店のコネ報道が流れてから、東大生たちから聞こえてくるのは「岩波に紹介状を書いてもらえるようなヤツはいいよな......」という怨嗟の声だ。
東京大学といえば、日本で一番偏差値が高い大学である。ゆえに、日本国内に住んでいて成績優秀な学生は、ほぼすべて東京大学に入学することになる(最初から海外の大学に進学する人もいるだろうけど、ごく少数だ)。なので「この人は神か?」と思うようなハイパーエリートもいるかと思えば、十数年の人生を受験勉強に費やしてなんとか入学した学生まで、実は頭のデキが随分と幅広い。にもかかわらず、就職活動で企業から「東京大学」と十把一絡げに分類されてしまう。こうなると、悲惨なのがいわば「底辺東大生」ともいえる学生たちだ。
「東大に入ってしまったがために、最初から就活の対象になる企業がある程度絞られてしまうんです。どこでもいいから就職したい、と思って誰も知らないような中小企業に行こうとしても『なんで東大なのにウチの会社なんかに?』と、何か問題があるんじゃないかと書類でハネられてしまうんです......」
と、話すのは、就職先が決まらずに留年することを決めた東大4年生の男子学生。東大ならではのコネが通じる企業はいくつもある。でも、コネをもらえるためには一定水準以上の能力が必要というわけだ。彼に限らず、大学受験を終えた解放感の中で4年間を過ごしてしまい、就職も決まらずに留年を決めたり、大学院進学へ「逃げ」たりする東大生は数多い。
また、就職活動にあたっては「とりあえずマスコミも受けてみる」という東大生はやっぱり多い。
「朝日新聞と講談社と......あと、P&Gも(日本では台所用洗剤で有名な会社だが、世界でも指折りの優良企業で東大生の採用率が高い)とりあえず受けてみる予定です」
と、就職活動中のある東大女子は話す。ちなみに、第1志望は堅そうな独立行政法人を狙っているというから、わけがわからない。
それでも心が折れて就職活動を断念してしまう最底辺を除けば、どこかには就職できるのだから「腐っても東大生」というべきか。
ただ、彼らの場合は具体的に「どこそこの教授の研究室にいたヤツがコネで就職した」といった情報を得る機会が多いので、このニュースを通じてコネのぜひを論議している人々よりも怨嗟が強いのは間違いない。
(取材・文=三途川昇天)
「岩波書店のコネなんてもらえない!」底辺東大生の就職活動はFラン大よりも悲惨!

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就職活動シーズンまっさかりに発表したためか、一向に冷める様子もない岩波書店のコネ入社をめぐる議論。「不公平だ!」という批判意見がある一方で、「合理的だ」と称賛する声も増えてきている。先の記事に記したように(※記事参照)、岩波書店が求めているのは、基本は東大卒を中心としたエリート層である。明確な志望動機もなく、「なんとなくマスコミに行きたい」というような学生の応募で事務処理が煩雑にならなくて済む。「コネが必要な上に東大生じゃないとダメ」となればさらに不公平な感じもするが、実は東大生の就活事情も内情はかなり悲惨なのだ。
実は、岩波書店のコネ報道が流れてから、東大生たちから聞こえてくるのは「岩波に紹介状を書いてもらえるようなヤツはいいよな......」という怨嗟の声だ。
東京大学といえば、日本で一番偏差値が高い大学である。ゆえに、日本国内に住んでいて成績優秀な学生は、ほぼすべて東京大学に入学することになる(最初から海外の大学に進学する人もいるだろうけど、ごく少数だ)。なので「この人は神か?」と思うようなハイパーエリートもいるかと思えば、十数年の人生を受験勉強に費やしてなんとか入学した学生まで、実は頭のデキが随分と幅広い。にもかかわらず、就職活動で企業から「東京大学」と十把一絡げに分類されてしまう。こうなると、悲惨なのがいわば「底辺東大生」ともいえる学生たちだ。
「東大に入ってしまったがために、最初から就活の対象になる企業がある程度絞られてしまうんです。どこでもいいから就職したい、と思って誰も知らないような中小企業に行こうとしても『なんで東大なのにウチの会社なんかに?』と、何か問題があるんじゃないかと書類でハネられてしまうんです......」
と、話すのは、就職先が決まらずに留年することを決めた東大4年生の男子学生。東大ならではのコネが通じる企業はいくつもある。でも、コネをもらえるためには一定水準以上の能力が必要というわけだ。彼に限らず、大学受験を終えた解放感の中で4年間を過ごしてしまい、就職も決まらずに留年を決めたり、大学院進学へ「逃げ」たりする東大生は数多い。
また、就職活動にあたっては「とりあえずマスコミも受けてみる」という東大生はやっぱり多い。
「朝日新聞と講談社と......あと、P&Gも(日本では台所用洗剤で有名な会社だが、世界でも指折りの優良企業で東大生の採用率が高い)とりあえず受けてみる予定です」
と、就職活動中のある東大女子は話す。ちなみに、第1志望は堅そうな独立行政法人を狙っているというから、わけがわからない。
それでも心が折れて就職活動を断念してしまう最底辺を除けば、どこかには就職できるのだから「腐っても東大生」というべきか。
ただ、彼らの場合は具体的に「どこそこの教授の研究室にいたヤツがコネで就職した」といった情報を得る機会が多いので、このニュースを通じてコネのぜひを論議している人々よりも怨嗟が強いのは間違いない。
(取材・文=三途川昇天)
