
中田前市長の"実績"についても、
「まやかしだ」と一刀両断の太田市議。
■前編はこちらから
自身のスキャンダル報道の真相と地方政治の実態を記した前横浜市長・中田宏氏の著書『政治家の殺し方』(幻冬舎刊)。市長在任中から中田氏を追及してきた太田正孝市議は、同書の内容について「すべてがゴマカシ」と憤る。前編ではスキャンダル報道の"本当の真相"について語ったが、後編に当たる今回は虚飾に彩られた疑惑まみれの中田市政の実相を明らかにする。
――中田氏は、横浜市長時代に行革で約1兆円もの負債と市職員6,000人の削減を実現したと同書の中で触れていますし、自身も至るところで吹聴しています。今回、大阪市の区政改革のまとめ役に就任するのも、そうした実績を橋下市長が評価してのことだと思うのですが......。
太田 市職員6,000人の削減といっても、定年退職などに伴う自然減と、多くは外郭団体に職員を移しただけで実態は何も変わっていない。別に行革の成果でもなんでもありませんよ。横浜市の借金を1兆円減らしたというのも、そこには"カラクリ"があるんです。
――そのカラクリというのは?
太田 中田氏がいう「1兆円」とは、市債残高で約4,400億円、横浜市建築助成公社の借入金残高で約3,400億円、横浜市土地開発公社の借入金残高で約1,200億円などをそれぞれ減らしたといったようなことを指しているのでしょうが、これが大きなまやかし。公社関係の借入金は中田氏が減らしたわけではないし、これらの借入金は本来、横浜市の負債にカウントすべきものではないんです。
――どういうことでしょうか?
太田 横浜市土地開発公社の主な業務は市営の駐車場の管理運営などのほかに、住宅の建築・取得のために横浜市民へ融資を行うことなんですが、要は同公社が金融機関からお金を借りて市民に住宅資金を融資しているわけですよ。つまり、"銀行からの借入金=市民への貸出"だから、純粋な負債ではないわけです。同公社の借入金残高が約3,400億円減ったというのも、それは市民が普通に同公社へ返済しただけのこと。別に中田氏の行革の成果ではありません(笑)。横浜市土地開発公社の借入金にしても土地を購入するためのもので、資産として土地が残っているわけだから、こういうのは負債にはカウントしないんですよ。
――なるほど、ということは中田氏が純粋に減らした負債というのは市債残高分の約4,400億円なわけですね。
太田 そこも微妙で、実は横浜市には中田市長時代に作った約1,000億円もの"隠れ借金"とも言うべき負債があるんです。
――自治体が市債を発行しないで借金なんてできるんですか?
太田 ところができるんです。たとえば、横浜市が施設を建てるといったようなとき、通常は市債を発行して資金を調達するのですが、「PFI(プライベート・ファイナンス・イニシアチブ)」という手法を使えば、市債を発行せずに施設を建てることが可能なんです。つまり、市債を発行しないので、見かけ上は横浜市の借金がないことになるんです。
――PFIというのは、どういう手法なんですか?
太田 施設の整備から資金調達、サービス提供までを民間業者に委ねて、その代償として自治体は"施設提供サービス購入費"を民間業者に支払うという手法です。正しく行われれば自治体にとってコスト削減にもなるし、民間の力を最大限に活用できるのですが、横浜市の場合は極めて不健全な形で行われてきました。というのも、民間業者がノンバンクなどから高金利の資金を調達して建てた施設を横浜市が借り入れるという形を取っていたんです。
――つまり、結局は横浜市がその高金利を負担しているというわけですね。そうしたノンバンクの金利は市債の金利より当然高いわけですから、起債による借金よりも市の財政を圧迫しますよね。
太田 そういうこと。バランスシート上の借金を減らすために、中田市長時代の横浜市はこんなインチキをやっていたわけです。実態はただの"粉飾決算"ですよ。そう考えると、中田市長時代に減った借金なんて3,000億円程度。それも、「受益者負担」だとかいって以前は無料だった公会堂などの使用に料金を課したり、税収をアップさせたりと別の形で市民からカネを巻き上げていますから、中田氏が称する行革とやらで減らした借金なんてもっと少ないでしょう。
――じゃあ、橋下市長は中田氏のそうした"まやかしの実績"にダマされちゃったわけですね。
太田 彼は"人たらしの名人"ですからね。横浜の大物財界人から聞いた話なのですが、その財界人と寿司屋で同席した際、中田氏が上着を脱がないのでその財界人が促したところ「私は●さん(財界人のこと)が上着を脱ぐまでは脱ぎません」といったようなことを中田氏は言うんだそうです。その財界人はいたく感激して中田氏を支援するようになったそうで、そんなことぐらいで中田氏を支援するのもどうかと思うけど(笑)、ことほど左様に中田氏は人に取り入るのが上手いわけです。しかし、「開国博Y150」の大失敗でいよいよゴマカシがきかなくなって、任期途中で逃げ出しちゃったわけですよ。
――25億円もの大赤字を出したY150の大失敗は、どう取り繕っても申し開きができないですもんね。
太田 市議会が参考人招致を求めても、多忙を理由に逃げ回っていますからね。こんな本を書く暇があったら、まずは議会へ出て横浜市民にきちんと説明するべきでしょう。それに中田氏が市長を辞めても、彼が残した"負の遺産"は今でも横浜にダメージを与え続けているんです。
――どういうことでしょうか?
太田 中田氏は市長時代、自分と親密だった企業や個人にさまざまな便宜供与を図っているんです。たとえば横浜の観光名所の1つであるマリンタワー、あれは横浜市からの委託で地元の不動産会社が管理運営を行って月々のテナント料を横浜市に支払っているのですが、いくらだと思いますか?
――マリンタワーの展望台だけでも年間収入は約2億円だそうですから、月に支払うテナント料も相当なものなのでしょうね。ほかにもレストランやショップがあるわけだから......。
太田 ところがたったの240万円。マリンタワーのテナント料を設定するに当たっては専門家が鑑定したそうなんですが、横浜市の観光に活用されるスペースについては基本的にタダという訳のわからないルールをデッチ上げて格安のテナント料にしちゃったんですよ。2億円も収益を上げている展望台部分のテナント料がタダですからね。事業者の選定についても露骨な"出来レース"だったし、あり得ませんよ!
――そこまで便宜を図ったということは、その不動産会社から中田氏へ対してなんらかの見返りがあったということですよね。
太田 その不動産会社から中田氏へ数百万円の献金があったことが確認されていますが、実態はそんなものじゃきかないと思いますよ。それと市役所の駐車場ですが、なぜか民間業者が管理運営しています。
――ああ、あれ、市役所の駐車場というのは行政財産なのに、なぜ民間がやっているのか不思議に思っていたんですよ。
太田 民間に委託したほうがコストを削減できるというのが横浜市の言い分ですけどね。あの駐車場は市役所に用がある人は1時間無料なんですが、それ以外のクルマの駐車も認めて駐車料金を取っているわけです。土日なんて市役所が休みだから、バンバン駐車料金が入ってきて業者は大儲け(笑)。あまり感心できるやり方ではないにせよ、それでも業者から委託費が入れば財政の厳しい横浜市にとっては少しでもプラスになるのかなと思っていたのですが、実は横浜市は業者から委託費を取っていない。つまり、業者にタダで市役所の駐車場を貸して商売をやらせているんです。
――えっ、じゃあ横浜市にとって何のメリットもないじゃないですか!?
太田 だから、これも中田氏が市長時代に行った露骨な便宜供与なんです。こうしたケースは他にもあって、彼が市長を辞めた後も契約上の縛りがあるので今でも続いているんです。結局、中田氏が市長時代にやったことなんて横浜を私物化しただけなんですよ。今度は大阪市政に携わるようですが、私は大阪の人たちが彼に食い物にされないかと非常に危惧しているんです。
(取材・文=牧隆文)
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橋下徹大阪市長の懐刀・中田宏横浜前市長を現役横浜市議が実名告発!(前編)

中田前市長を厳しく糾弾する現役横浜市議・太田正孝氏。
橋下徹・大阪市長の肝いりで、大阪市の区政改革のまとめ役に就任することになった前横浜市長の中田宏氏だが、昨年出版した著書『政治家の殺し方』(幻冬舎刊)が話題を呼んでいる。同書は、中田氏が週刊誌の捏造スキャンダルによって「ハレンチ市長」とレッテルを貼られ追い詰められていく過程と、魑魅魍魎が跋扈(ばっこ)する面妖な地方政治の実態を克明に記したものだ。だが、同書の内容に「すべてがゴマカシ、この本こそ捏造だ!」と反論するのが、横浜市議の太田正孝氏だ。太田氏は、中田氏が市長在任中から市政について市議会で徹底追及してきた市議の1人。そんな太田市議に話を聞いた。
――同書を一読された感想を聞かせてください。
太田正孝氏(以下、太田) もう、すべてがゴマカシの一言に尽きますね。横浜での失政のほとぼりが冷めたと思って、自分を正当化するためにこんな本を書いたのでしょうが、ウソばかりの内容です。
――中田氏といえば、何といっても「愛人騒動」ですが(笑)、愛人だったとされるNさんとの民事裁判に全面勝訴して週刊誌の報道は捏造だったことが証明されたと、中田氏は同書の中で主張しています。裁判に勝ったということは、やはり中田氏とNさんは愛人関係になかったということなのでしょうか? 特に、太田さんはNさんが中田氏を告発した記者会見を仕切っていらしたわけですが......。
太田 確かに、その民事裁判は当事者であるNさんが裁判を放棄したということで中田氏の勝訴で結審したのですが、争点は「Nさんが中田氏と愛人関係にあったか否か」ではなかったんです。
――と言いますと?
太田 Nさんは愛人関係にあった中田氏が結婚の約束をしたのに守らなかった、つまり"結婚詐欺"だということで訴えたわけです。つまり、裁判で争われたのは中田氏が結婚詐欺を行ったかどうかであり、裁判に勝訴して結婚詐欺の事実がなかったと認定されただけで、愛人関係にはなかったという点が法的に証明されたわけじゃないんですよ。
――結婚詐欺の事実がなかったからといって、愛人関係がなかったというわけではないんですね。でも、中田氏はみなとみらいにある「ヨコハマグランド インターコンチネンタルホテル」でNさんと密会していたという週刊誌報道についても、著書の中で「もし愛人関係にあるなら、そんな目立つ場所で密会するはずがない」などと一笑に付しています。
太田 そんな目立つ場所で密会していたから、多くの人たちに目撃されているんだって(笑)。でも、さすがに報道があってからは、密会場所を「ホテルニューグランド」に替えたようですけどね。これは、私自身がニューグランドの従業員から聞いた話ですから間違いないですよ。
――そういえば、同書の中には書かれていませんが、太田さんはNさんと一緒に名誉棄損で中田氏に告訴されていたんですよね?
太田 そうそう。中田氏が落選した一昨年の参院選の前だったんだけど、名誉棄損の件で東京地検に「ちょっと話を伺いたい」と呼ばれたんです。前述の民事裁判でNさんは中田氏とやり取りしたメールの文書を証拠として提出していて、中田氏は著書の中で「そんな何年も前のメールなんて本物かどうか証明のしようがない」なんてごまかしていたけれど、そのとき事情を聴かれた検事さんには「あのメールは本物ですから、民事裁判は続行すべきですよ」と言われました。
――結局、名誉棄損の告訴はどうなったんですか?
太田 どうなったんでしょうか(笑)。まあ、勝ち目がないと思って取り下げたんでしょうね。少なくとも、私は何の咎(とが)も受けていないわけですから。こんな具合に、あの本には自分の都合の悪いことには一切触れずに自己弁護とゴマカシばかりが書かれている。
――地検では名誉棄損についてだけでなく、ほかのことについてもいろいろと聴かれたそうですね。
太田 地検では数時間ぐらい話を聴かれたんだけど、名誉棄損についてはほんのちょっとで、あとは「横浜市長時代の中田氏にはいろいろと胡散臭い点があるので詳しく教えてくれませんか」ということだったんです。
――つまり、名誉棄損うんぬんは口実で、地検の目的はほかにあったと?
太田 とにかく、中田氏の動向に強い関心を示していましたね。それで、2時間ぐらい話した後、検事がしばらく中座して戻ってくるなり私にこう言ったんです。「今、中田氏をどうすべきか上席と相談してきたんです」と。
――それは機会があれば、東京地検に中田氏を検挙しようという意志があったということですか?
太田 私にはそう感じられましたね。
――同書の中では、横浜市会という地方政界の黒幕的な存在として「A市議」という匿名ですが、太田さんも登場しています。
太田 まあ、必ずしも私と決まっているわけじゃないけどね(笑)
――いやいや、こりゃどこからどう読んでも太田さんですって(笑)。同書によると、A市議というのは法律の抜け道に詳しくて、暴力団や建設業界と癒着して横浜市の利権を漁っている札付きの悪徳市議で、A市議の利権を潰そうとした中田氏を裏で糸を引いてスキャンダルを捏造することによって追い落としたなんて描かれていますが......。A市議というのは、相当のワルですよね(笑)
太田 そこまで悪しざまには書かれていないと思うんだけど(苦笑)、まあ仮に私がA市議であり悪徳市議だとしたならば、中田氏は任期途中で逃げ出さずに私を追放すればいいだけじゃないですか。彼の日頃の勇ましい言動からすると、明らかに矛盾していますよね。ただ、この際だからハッキリ申し上げておきますが、私は暴力団や建設業者との不適切な付き合いなんてまったくないし、金銭を得ていたこともありません。
――A市議が太田さんだという前提で話を進めますが(笑)、太田さんは前述のNさんの記者会見を仕切っていたじゃないですか。そういう点も、中田氏のスキャンダル報道はA市議の陰謀なんじゃないのかという印象を同書の読者に抱かせますよね。
太田 あれは、Nさんの元カレが私の知人の知り合いだったの。中田氏とNさんとの愛人関係が周囲に表沙汰になるにつれて、中田氏はNさんに冷たく接するようになった。しかし、Nさんとしては当然だけど、「2年も付き合っているのに、このままじゃ遊ばれただけ」と面白くないわけですよ。そこでその知人を介して彼女が中田氏を告発したいということだったので、私が記者会見をセッティングしたわけです。
(後編に続く/取材・文=牧隆文)
●おおた・まさたか
1945年、神奈川県生まれ。1979年の横浜市議選で初当選。通算9期を数える横浜市会最古参の市議でもある。最近では横浜市の放射能対策について議会で厳しく追及するなど、横浜市民の支持を得ている。現在は無所属クラブに籍を置く。
橋下徹大阪市長の懐刀・中田宏横浜前市長を現役横浜市議が実名告発!(前編)

中田前市長を厳しく糾弾する現役横浜市議・太田正孝氏。
橋下徹・大阪市長の肝いりで、大阪市の区政改革のまとめ役に就任することになった前横浜市長の中田宏氏だが、昨年出版した著書『政治家の殺し方』(幻冬舎刊)が話題を呼んでいる。同書は、中田氏が週刊誌の捏造スキャンダルによって「ハレンチ市長」とレッテルを貼られ追い詰められていく過程と、魑魅魍魎が跋扈(ばっこ)する面妖な地方政治の実態を克明に記したものだ。だが、同書の内容に「すべてがゴマカシ、この本こそ捏造だ!」と反論するのが、横浜市議の太田正孝氏だ。太田氏は、中田氏が市長在任中から市政について市議会で徹底追及してきた市議の1人。そんな太田市議に話を聞いた。
――同書を一読された感想を聞かせてください。
太田正孝氏(以下、太田) もう、すべてがゴマカシの一言に尽きますね。横浜での失政のほとぼりが冷めたと思って、自分を正当化するためにこんな本を書いたのでしょうが、ウソばかりの内容です。
――中田氏といえば、何といっても「愛人騒動」ですが(笑)、愛人だったとされるNさんとの民事裁判に全面勝訴して週刊誌の報道は捏造だったことが証明されたと、中田氏は同書の中で主張しています。裁判に勝ったということは、やはり中田氏とNさんは愛人関係になかったということなのでしょうか? 特に、太田さんはNさんが中田氏を告発した記者会見を仕切っていらしたわけですが......。
太田 確かに、その民事裁判は当事者であるNさんが裁判を放棄したということで中田氏の勝訴で結審したのですが、争点は「Nさんが中田氏と愛人関係にあったか否か」ではなかったんです。
――と言いますと?
太田 Nさんは愛人関係にあった中田氏が結婚の約束をしたのに守らなかった、つまり"結婚詐欺"だということで訴えたわけです。つまり、裁判で争われたのは中田氏が結婚詐欺を行ったかどうかであり、裁判に勝訴して結婚詐欺の事実がなかったと認定されただけで、愛人関係にはなかったという点が法的に証明されたわけじゃないんですよ。
――結婚詐欺の事実がなかったからといって、愛人関係がなかったというわけではないんですね。でも、中田氏はみなとみらいにある「ヨコハマグランド インターコンチネンタルホテル」でNさんと密会していたという週刊誌報道についても、著書の中で「もし愛人関係にあるなら、そんな目立つ場所で密会するはずがない」などと一笑に付しています。
太田 そんな目立つ場所で密会していたから、多くの人たちに目撃されているんだって(笑)。でも、さすがに報道があってからは、密会場所を「ホテルニューグランド」に替えたようですけどね。これは、私自身がニューグランドの従業員から聞いた話ですから間違いないですよ。
――そういえば、同書の中には書かれていませんが、太田さんはNさんと一緒に名誉棄損で中田氏に告訴されていたんですよね?
太田 そうそう。中田氏が落選した一昨年の参院選の前だったんだけど、名誉棄損の件で東京地検に「ちょっと話を伺いたい」と呼ばれたんです。前述の民事裁判でNさんは中田氏とやり取りしたメールの文書を証拠として提出していて、中田氏は著書の中で「そんな何年も前のメールなんて本物かどうか証明のしようがない」なんてごまかしていたけれど、そのとき事情を聴かれた検事さんには「あのメールは本物ですから、民事裁判は続行すべきですよ」と言われました。
――結局、名誉棄損の告訴はどうなったんですか?
太田 どうなったんでしょうか(笑)。まあ、勝ち目がないと思って取り下げたんでしょうね。少なくとも、私は何の咎(とが)も受けていないわけですから。こんな具合に、あの本には自分の都合の悪いことには一切触れずに自己弁護とゴマカシばかりが書かれている。
――地検では名誉棄損についてだけでなく、ほかのことについてもいろいろと聴かれたそうですね。
太田 地検では数時間ぐらい話を聴かれたんだけど、名誉棄損についてはほんのちょっとで、あとは「横浜市長時代の中田氏にはいろいろと胡散臭い点があるので詳しく教えてくれませんか」ということだったんです。
――つまり、名誉棄損うんぬんは口実で、地検の目的はほかにあったと?
太田 とにかく、中田氏の動向に強い関心を示していましたね。それで、2時間ぐらい話した後、検事がしばらく中座して戻ってくるなり私にこう言ったんです。「今、中田氏をどうすべきか上席と相談してきたんです」と。
――それは機会があれば、東京地検に中田氏を検挙しようという意志があったということですか?
太田 私にはそう感じられましたね。
――同書の中では、横浜市会という地方政界の黒幕的な存在として「A市議」という匿名ですが、太田さんも登場しています。
太田 まあ、必ずしも私と決まっているわけじゃないけどね(笑)
――いやいや、こりゃどこからどう読んでも太田さんですって(笑)。同書によると、A市議というのは法律の抜け道に詳しくて、暴力団や建設業界と癒着して横浜市の利権を漁っている札付きの悪徳市議で、A市議の利権を潰そうとした中田氏を裏で糸を引いてスキャンダルを捏造することによって追い落としたなんて描かれていますが......。A市議というのは、相当のワルですよね(笑)
太田 そこまで悪しざまには書かれていないと思うんだけど(苦笑)、まあ仮に私がA市議であり悪徳市議だとしたならば、中田氏は任期途中で逃げ出さずに私を追放すればいいだけじゃないですか。彼の日頃の勇ましい言動からすると、明らかに矛盾していますよね。ただ、この際だからハッキリ申し上げておきますが、私は暴力団や建設業者との不適切な付き合いなんてまったくないし、金銭を得ていたこともありません。
――A市議が太田さんだという前提で話を進めますが(笑)、太田さんは前述のNさんの記者会見を仕切っていたじゃないですか。そういう点も、中田氏のスキャンダル報道はA市議の陰謀なんじゃないのかという印象を同書の読者に抱かせますよね。
太田 あれは、Nさんの元カレが私の知人の知り合いだったの。中田氏とNさんとの愛人関係が周囲に表沙汰になるにつれて、中田氏はNさんに冷たく接するようになった。しかし、Nさんとしては当然だけど、「2年も付き合っているのに、このままじゃ遊ばれただけ」と面白くないわけですよ。そこでその知人を介して彼女が中田氏を告発したいということだったので、私が記者会見をセッティングしたわけです。
(後編に続く/取材・文=牧隆文)
●おおた・まさたか
1945年、神奈川県生まれ。1979年の横浜市議選で初当選。通算9期を数える横浜市会最古参の市議でもある。最近では横浜市の放射能対策について議会で厳しく追及するなど、横浜市民の支持を得ている。現在は無所属クラブに籍を置く。
