先日「ビッグコミックスピリッツ」(小学館)に掲載された25年後の『東京ラブストーリー』が、好評を受け連載化が検討されていることがわかった。 『東京ラブストーリー』は、柴門ふみによって1988年から同誌で連載され、91年にフジテレビ系でドラマ化。主人公のカンチ役を織田裕二、恋人役のリカを鈴木保奈美が演じた。「ねえ、セックスしよ!」の大胆なフレーズも流行語となった。 舞台は、バブル真っ盛りの東京の広告代理店だ。結論からいえば、恋人同士であった2人は結婚しない。カンチは別の人間と結婚、リカはシングルマザーとなる。その後、思わぬ縁から25年ぶりの再会を果たすというのが、読み切りのストーリーだった。 「25年後のカンチは、民間人として学校の教頭先生となり単身赴任中。リカは、シングルマザーを続けつつ、ロハス的な農業に従事しています。この設定は、賛否両論といった感じですね。特に“自由人”だったリカが、収入よりも生きがい重視の農業で生活しているのは納得という人もいれば、都合がよすぎるという人もいますね」(雑誌編集者) 続編の連載化には、作者である柴門も乗り気なようだ。『東京ラブストーリー』だけでなく、『あすなろ白書』や『Age,35』など、彼女の作品は90年代に数多くドラマ化されている。いずれも、特定の年代、世代を描いたものであり、その後の展開が気になる読者も多いだろう。 「いまや雑誌文化は風前の灯火。若い人を狙うより、中高年の読者を“懐かし”のキーワードで取り込む方が効果的といえるでしょう。昨年の紅白で、マッチと聖子ちゃんが大トリを務めたのは示唆的です。やっぱり中高年は、若い人よりはお金も持っていますし趣味にお金をかけてくれますからね」(同) 「東京ラブストーリー」の登場人物と同世代の人間たちは、80年代に大学生活を送り、就職後の20代はバブル真っ盛りである。さすがに“勝ち逃げ”とはいかないまでも、恵まれた世代であり、経済的余裕もある。 そのため、高額なCD-BOXや何万円もするディナーショーチケットなど、彼らの“財布”をターゲットにしたようなビジネスが数多く存在する。懐かし漫画の復活も、そのひとつかもしれない。 だが、今回のリバイバルが賛否両論であったように、美しい思い出のままでとどまっていたほうがいいものがあることも確かだろう。 (文=平田宏利)『東京ラブストーリー (1) (小学館文庫)』(紫門ふみ/小学館)
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「ああ、美しい思い出が……」『東京ラブストーリー』連載化に見る“中高年ビジネス”の可能性
先日「ビッグコミックスピリッツ」(小学館)に掲載された25年後の『東京ラブストーリー』が、好評を受け連載化が検討されていることがわかった。 『東京ラブストーリー』は、柴門ふみによって1988年から同誌で連載され、91年にフジテレビ系でドラマ化。主人公のカンチ役を織田裕二、恋人役のリカを鈴木保奈美が演じた。「ねえ、セックスしよ!」の大胆なフレーズも流行語となった。 舞台は、バブル真っ盛りの東京の広告代理店だ。結論からいえば、恋人同士であった2人は結婚しない。カンチは別の人間と結婚、リカはシングルマザーとなる。その後、思わぬ縁から25年ぶりの再会を果たすというのが、読み切りのストーリーだった。 「25年後のカンチは、民間人として学校の教頭先生となり単身赴任中。リカは、シングルマザーを続けつつ、ロハス的な農業に従事しています。この設定は、賛否両論といった感じですね。特に“自由人”だったリカが、収入よりも生きがい重視の農業で生活しているのは納得という人もいれば、都合がよすぎるという人もいますね」(雑誌編集者) 続編の連載化には、作者である柴門も乗り気なようだ。『東京ラブストーリー』だけでなく、『あすなろ白書』や『Age,35』など、彼女の作品は90年代に数多くドラマ化されている。いずれも、特定の年代、世代を描いたものであり、その後の展開が気になる読者も多いだろう。 「いまや雑誌文化は風前の灯火。若い人を狙うより、中高年の読者を“懐かし”のキーワードで取り込む方が効果的といえるでしょう。昨年の紅白で、マッチと聖子ちゃんが大トリを務めたのは示唆的です。やっぱり中高年は、若い人よりはお金も持っていますし趣味にお金をかけてくれますからね」(同) 「東京ラブストーリー」の登場人物と同世代の人間たちは、80年代に大学生活を送り、就職後の20代はバブル真っ盛りである。さすがに“勝ち逃げ”とはいかないまでも、恵まれた世代であり、経済的余裕もある。 そのため、高額なCD-BOXや何万円もするディナーショーチケットなど、彼らの“財布”をターゲットにしたようなビジネスが数多く存在する。懐かし漫画の復活も、そのひとつかもしれない。 だが、今回のリバイバルが賛否両論であったように、美しい思い出のままでとどまっていたほうがいいものがあることも確かだろう。 (文=平田宏利)『東京ラブストーリー (1) (小学館文庫)』(紫門ふみ/小学館)
部数激減中「スピリッツ」の『東京ラブストーリー』に総スカン! 35周年企画は大丈夫?
1991年に織田裕二と鈴木保奈美主演でテレビドラマ化されたコミック『東京ラブストーリー』の25年後を描いた『東京ラブストーリー ~After25years~』が、「週刊ビッグコミックスピリッツ」(小学館)の創刊35周年読み切り企画として、25日発売の同誌に掲載された。 『東京ラブストーリー』は1988~89年に同誌に連載された作品で、作者である柴門ふみの代表作の1つ。純朴な若手サラリーマンのカンチこと永尾完治、同僚でアフリカ育ちの自由奔放な赤名リカ、カンチの初恋の幼なじみである関口さとみ、さとみに惹かれる医大生の三上健一の恋愛模様が描かれ、バブル期だった当時、一世を風靡した。コミックやドラマの内容を知らなくとも、「カンチ、セックスしよう!」というリカのセリフだけは聞いたことがある人も多いのではないか。四半世紀ぶりの新作は、結局は結ばれなかったカンチとリカが25年ぶりに再会するというストーリーなのだが、これがなんとも肩すかし的な内容なのだ。 ネット掲示板などでも、「カンチ、セックスしよ! もう無理だよ 勃たないもん」「50歳のオッサン、オバサンの恋愛話とかゲロ出そうだわ」「勝手にSEXしてろよ。馬鹿バブル共が」「アラフィフの日常系恋愛ものなんざ、今さら見たくねーだろ」「50代トレンディーとか大丈夫なのか?」といった声が相次いでいる。 「新作ではカンチの娘とリカの息子との恋愛をキッカケに、50代になった2人が25年ぶりに再会するのですが、そこから新たな展開があるわけでもなく、再会するまでの25年間をカンチがただ振り返るというだけの内容。物語というよりは、ちょっとしたエピソードにすぎない感じですね。ハッキリ言って、創刊記念企画に相応しいとは言えないクオリティーです。老境を迎えた男女の心の機微を描かせたら、旦那の弘兼憲史の『黄昏流星群』のほうが1枚も2枚も上手でしょう」(コミック誌編集者) 35周年を迎えたスピリッツだが、現在の発行部数は約17万部で低落傾向にある。『東京ラブストーリー』が人気を博していた90年当時は、なんと約150万部もの発行部数を誇っていた。 「スピリッツに限らず、コミック誌はいずれも部数を落としているのですが、この25年間で10分の1近くまで部数を落としているのは、今さらながらに出版不況を痛感させます。柴門の新作は25年前の『東京ラブストーリー』を知らなければ、全く面白くない内容だし、思い入れも持てません。これだけ発行部数を減らしている中、当時を知る読者がどれだけいるのでしょうか。ちょっとピントがずれているとしか思えません。同誌の窮状がうかがえるというもの」(同) 今回の創刊35周年読み切り企画には柴門のほかにも、浦沢直樹や高橋留美子、細野不二彦など、スピリッツの興隆を支えた大御所らの作品がラインナップされているが、“夢よ、再び”となるか。「週刊ビッグコミックスピリッツ 2016年9号」(小学館)

