いよいよ、BL(ボーイズラブ)への規制が本格化するのだろうか? 10日に開催された東京都の青少年健全育成審議会で、BLと男性向け合わせて一挙に5冊が不健全図書指定された。 東京都が毎月実施している不健全図書指定だが、近年は毎月2~3冊程度で推移しており、一度に5冊も指定されるのは、極めて異例だ。 指定図書の内訳はBLが3冊、男性向けが2冊。 BLは、藍川いたる『かべアナ 学園入獄編』『かべアナ 学園出獄編』(ともにマガジン・マガジン)と、アンソロジー『カーストBL』(フロンティアワークス)。その他は、早乙女もこ乃『つぐなわれ』、甘乃くぐり『いつの間にか背後にキモいオヤジが…』(ともにジーウォーク)である。 ここで目立つのは、BLが一挙に3冊も指定されていること。とりわけマガジン・マガジンの2冊は、2015年1月に指定された『かべアナ』に続くシリーズ。すでに指定されたシリーズ作がありながら、変わらず発行しているということを鑑みて指定候補に挙げられたと考えられる。 また、昨年から審議会に出席している委員からは「BLに対する風当たりは相当厳しい」という声も漏れてきている。 「指定の候補となる図書は、東京都の職員が店頭で購入している。その中で、BLが明らかに目立っているのは間違いありません。出版社側も、すでにどんなことをやったら指定されるのか、わかっていないはずがないでしょう。事態は、指定されるような表現をやめるか、男性向けのように自主規制マークをつけるかを判断するところまできていると思います」 そう語るのは、不健全図書指定の事情をよく知る業界関係者。 今回、指定されたBLのうちマガジン・マガジンは、大手出版社が多く加盟する日本雑誌協会の加盟社。フロンティアワークスは、言わずと知れたアニメイトグループの重要な一角で、数々のアニメ作品にも関係する業界の大手企業。常々、指定回数の累積を避けるために、発行元を別法人に切り替える手段を取る出版社もあるが、「そうしたテクニックは、東京都にバレバレ」といわれてきた。ゆえに、この指定も単なる店頭で目立っているという事実を超えた意図も感じられる。 なお、今回のBL大量指定について東京都青少年課の重成浩司課長に尋ねたところ「まだ公表前なので、お話は公表後にしていただけると……」と丁寧な対応であった。 (取材・文=昼間たかし)東京都青少年・治安対策本部ホームページより
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東京都が本格的なBL規制を開始か!? 東京都の不健全図書指定で異例の一挙に5冊指定
いよいよ、BL(ボーイズラブ)への規制が本格化するのだろうか? 10日に開催された東京都の青少年健全育成審議会で、BLと男性向け合わせて一挙に5冊が不健全図書指定された。 東京都が毎月実施している不健全図書指定だが、近年は毎月2~3冊程度で推移しており、一度に5冊も指定されるのは、極めて異例だ。 指定図書の内訳はBLが3冊、男性向けが2冊。 BLは、藍川いたる『かべアナ 学園入獄編』『かべアナ 学園出獄編』(ともにマガジン・マガジン)と、アンソロジー『カーストBL』(フロンティアワークス)。その他は、早乙女もこ乃『つぐなわれ』、甘乃くぐり『いつの間にか背後にキモいオヤジが…』(ともにジーウォーク)である。 ここで目立つのは、BLが一挙に3冊も指定されていること。とりわけマガジン・マガジンの2冊は、2015年1月に指定された『かべアナ』に続くシリーズ。すでに指定されたシリーズ作がありながら、変わらず発行しているということを鑑みて指定候補に挙げられたと考えられる。 また、昨年から審議会に出席している委員からは「BLに対する風当たりは相当厳しい」という声も漏れてきている。 「指定の候補となる図書は、東京都の職員が店頭で購入している。その中で、BLが明らかに目立っているのは間違いありません。出版社側も、すでにどんなことをやったら指定されるのか、わかっていないはずがないでしょう。事態は、指定されるような表現をやめるか、男性向けのように自主規制マークをつけるかを判断するところまできていると思います」 そう語るのは、不健全図書指定の事情をよく知る業界関係者。 今回、指定されたBLのうちマガジン・マガジンは、大手出版社が多く加盟する日本雑誌協会の加盟社。フロンティアワークスは、言わずと知れたアニメイトグループの重要な一角で、数々のアニメ作品にも関係する業界の大手企業。常々、指定回数の累積を避けるために、発行元を別法人に切り替える手段を取る出版社もあるが、「そうしたテクニックは、東京都にバレバレ」といわれてきた。ゆえに、この指定も単なる店頭で目立っているという事実を超えた意図も感じられる。 なお、今回のBL大量指定について東京都青少年課の重成浩司課長に尋ねたところ「まだ公表前なので、お話は公表後にしていただけると……」と丁寧な対応であった。 (取材・文=昼間たかし)東京都青少年・治安対策本部ホームページより
幼なじみ、義兄弟、闇堕ち…『HiGH&LOW』を見た腐女子が読み返すべき傑作BL40選
<『HiGH&LOW』総力特集>
■興行収入だけでは測れない!映画『HiGH&LOW』ムーブメントに迫る
■【映画ライター座談会/前編】『HiGH&LOW』は〈国産の海外映画〉である。
■【映画ライター座談会/後編】HiGH&LOW』でHIROが望むのは「親殺し」? 今後の展開を予想する!。
■『HiGH&LOW』は対ジャニーズ連合軍か!? イケメン文化の集大成としてのハイロー
――ドラマシリーズの総集編として5月に2周間限定で劇場公開された『ROAD TO HiGH&LOW』。その舞台挨拶の際、九龍グループ家村会の幹部役を演じた橘ケンチ氏(EXILE THE SECOND所属)が物語について、「ブロマンス要素もある」と口走ったことで、当時一部界隈をザワつかせたのは記憶に新しい。 橘氏が劇中で描かれる男と男の絆を「友情」という言葉で収めることできなかった心中は、既に本作をご覧になった方なら察することができるだろう。 『HiGH&LOW』は男のドラマである。幼なじみの死、闇堕ちと救済、兄を探し続ける義兄弟、ライバルとの共闘……男と男の絆や、男と男の因果がみっしりと詰まった作品であり、そこで描かれる人間関係は、「友情」という言葉で片付けてしまうには余りあるほどの熱気をはらんでいる。 では、男と男の「友情」の先には何が存在するのか。答えは簡単。腐女子である。少々強引な展開だが、こういう企画だと理解してほしい。 男の肢体が2体あらばそこに腐女子は必ず寄生する――。2体どころか、スクリーン一面の男、男、男。男(HIRO)による、男(EXILE)のための、男祭であるハイローを腐女子が素通りできるわけがない。 ここまでは「『HiGH&LOW THE MOVIE』大研究」と銘打って、映画の内容や出演者について深く考察する企画を展開してきたが、これだけでは片手落ちの感が否めない。『HiGH&LOW』フィーバーの一端を担っているであろう、ある層をどうしても無視できないのである。ある層とは、そう腐女子である。くどいようだが、こういう企画だと理解してほしい。 先に公開された記事(『『HiGH&LOW』は〈国産の海外映画〉である。』)でも、「どこかで見たような設定が多いのが今作の特徴」と指摘されていたが、実はそれは一般的な映画やマンガに限った話ではなく、商業BLのあらゆる設定やキャラクターすら彷彿とさせやがるんだ……というのが腐女子の言い分だ。 そこで、本稿では『HiGH&LOW』で描かれる男たちの因果をまとめつつ、その男たちの物語を目撃した腐女子が、「この関係って…あの商業BLにどこか似ているのでは…!」と脳裏をよぎった至極のBL作品を紹介していこう。(※「『HiGH&LOW THE MOVIE』大研究」のおまけ企画なので肩の力を抜いてご一読あれ) (文/才蔵腐女子連合会) ■全ての物語はこの3人の因果から始まった 琥珀+九十九+龍也(MUGEN) 『HiGH&LOW』の壮大なストーリーが始まるきっかけとなった3人。幼なじみの琥珀と龍也が作ったバイクチームがMUGENであり、幼少期にいじめられていたところを龍也に救ってもらったときから、琥珀にとって龍也はかけがえのない存在であった。一方、九十九は天涯孤独に過ごしていたが、あることをきっかけに琥珀に拾われる。親友の龍也を敵の策略によって失った琥珀は、我を失い暴走しはじめるが、そんな彼に最後まで寄り添い続けようとしたのは九十九だった。 タグ:幼なじみ、おっさん、死別、バッドエンド、闇堕ち、共依存、ゴリラ百合「HiGH & LOW~THE STORY OF S.W.O.R.D.~」(秋田書店)
★腐女子eye<死別三角関係> 死んでしまった男に囚われる男と、その男に付き従う男、という「死別三角関係」といえば、よしながふみの名作「僕の見た風景」(『こどもの体温』収録)。高校の山岳部に所属していた3人組・酒井、綾小路、黒田は、大人になって久しぶりに山に出かけた帰り道、綾小路が運転する車で交通事故を起こし、酒井は死亡、黒田は半身不随になってしまう。責任を取るべく、綾小路は献身的に黒田に尽くし、自分の人生を明け渡すがごとく彼に付き従う。生き残った者同士の、痛みを伴う少しの幸福な結末が胸に刺さる。 【キーワード関連作】 吉池マスコ『藤原征爾君追悼特集に寄せて』
■優等生×ヤンキー×ヤンキーの絆 コブラ+ヤマト+ノボル(山王連合会) コブラ、ヤマト、ノボルも幼なじみだが、不良だったコブラとヤマトにとって、優等生で弁護士を目指して大学に通うノボルは希望の星だった。しかしノボルはガールフレンドをレイプされ、報復に手を染めてしまう。ノボルの帰ってくる場所を作るため、コブラとヤマトは山王連合会を結成するが、刑務所から出たノボルは九龍グループ・家村会の構成員として2人の前に現れるのだった。 タグ:幼なじみ、三角関係、ヤンキーとエリート、体格差萌え
★腐女子eye<二等辺三角関係> 二等辺三角形のような関係性で描かれるBLといえば、「先生×生徒×生徒」の三角を描いた中村明日美子の『同級生』だ。男子高校の音楽教員である原に思いを寄せる生徒・佐条と、その健気さに惹かれてゆく同級生の草壁。やがて佐条と草壁が両思いとなるが、実は密かに原は佐条に惹かれていた……という、なんともほろ苦い展開は三角関係ならではだ。 【キーワード関連作】 恋煩シビト『溺れる』 門地かおり『恋姫』
■主人公と二番手の戦友コンビ コブラ+ヤマト(山王連合会) 家村会に利用されたノボルを救い出すときも、さらにSWORD討伐に乗り出す琥珀を止めようとするときも、いつも2人並んで戦い続けた戦友にして親友のコブラとヤマト。コブラのピンチにはヤマトが駆けつけ、ヤマトがピンチのときにはコブラが駆けつける。ケンカでボロボロになった身体を支え合うシーンもシリーズを通して散見された。小さいコブラと大きいヤマトの身長差も名コンビの雰囲気を醸している。 タグ:幼なじみ、ヤンキー、バディもの、相方、体格差萌え
★腐女子eye<金髪のかわいいヤンキー> ガタイのいい黒髪×小柄な金髪ヤンキーというルックスから夏目イサク『デビルズハニー』を推薦。先生×生徒という王道の設定で、生徒に人気の体育教師・菅谷とヤンキー集団のリーダー格・吉野のほんわかキラキララブが描かれる。金髪ヤンキー吉野が恋愛においては健気で可愛い一方で、ケンカが強く男気あふれる性格なのがキュンとする。 【キーワード関連作】 小松『それから、君を考える』 水渡 ひとみ『恋する鷹はツメを隠す』 山本小鉄子『明日はどっちだ!』
■孤立する少年を救う正義漢 ヤマト+チハル(山王連合会) 鬼邪高校で揉め事を起こし、不良学生たちから追いかけ回されていたチハルを助けたのがヤマトだった。以来、チハルの恩人であり一番の憧れの人がヤマトとなった。チハルは髪型までヤマトのマネをしており、そのリスペクト精神は健気ですらある。チーム内でチハルに裏切りの容疑がかけられた際も、ヤマトはチハルを信じてかばった。 タグ:先輩後輩、師弟、下克上、一方通行
★腐女子eye<師弟関係や憧れはやがて……> 強い憧れが恋に変わるという王道なストーリーながら、ボクシングというスポーツを題材により汗臭く描かれているのがウノハナの『犬と欠け月』だ。目の怪我で引退を余儀なくされトレーナーに転身した一条と、そんな彼に憧れてボクサーとなった岳の師弟関係がどう恋愛に変わっていくのか。「俺…一条さんのために絶対勝つんで」なんて健気なセリフを言う岳は、さながら忠犬ハチ公のようで放っておけない。 【キーワード関連作】 羽生山 へび子『僕の先輩』
■Instagramで育む友情 チハル+テッツ(山王連合会) ドレッドヘアが特徴的なテッツと、チームの新入りチハルは、いつの間にか親友のような仲に。他勢力とのケンカの際も共闘することが多い。公式 Instagramを持っている2人でもあり、服の貸し借りや、テッツの彼女の誕生日プレゼントを 2人で買いに行くなど、ドラマや映画では描かれない微笑ましいやりとりを垣間見ることができる。 タグ:同級生、親友、ノンケ
★腐女子eye<親友同士だけど……> 親友同士BLの決定版といえば井戸ぎほう『B.S.S.M.』。友達同士でドラッグやって、ラリったついでにヤっちまう。まさに若気の至りでひた走るけいまとなおの関係だったが、そんなことをしているうちにソノ気になってしまうのが人の性。無邪気な親友同士のじゃれ合いが、恋人同士のそれに変わる瞬間の甘酸っぱさとこっ恥ずかしさで胸がいっぱいに。
■義兄弟という禁断の響き 雨宮雅貴+雨宮広斗(雨宮兄弟) もともとは3兄弟だが、1年前に失踪した長男を探してSWORD地区に降り立った2人。女好きで軟派かつ弟に甘い兄・雅貴と、自分勝手でクールな弟・広斗。「お兄ちゃんの言うことを聞きなさい!」とぼやきながらも、弟の身勝手な行動に振り回される兄だが、ケンカはピカイチ強い。そんな兄弟が主演を務める次回作『THE RED RAIN』では、弟・広斗が実は連れ子で、血の繋がりは無いという事実が明かされるとか。 タグ:義兄弟、近親相姦、クリスチャン、尻に敷かれ系、ツンデレ
★腐女子eye<兄弟!近親相姦!> 兄弟・義兄弟BLは数あれど、中村明日美子の『薫りの継承』ほど濃厚な物語はなかなかない。義理の兄である忍に冷たくされるほどに欲情する竹蔵は、ついに忍に目隠しをして事に及ぶ。忍の妻を巻き込みながらも物語は進むが、最終的には義兄弟として育った2人にまつわる衝撃の事実が明らかになる。禁断の性愛ここに極まれり。 【キーワード関連作】 ためこう『泥中の蓮』 朝田 ねむい『兄の忠告』
■ヤンチャDKわちゃわちゃ萌えの極み 鬼邪高校の面々 「オヤコウコウ」というバカバカしいネーミング、さらに「全国から札付きのワルが集まっているため極道組織からのスカウトが絶えず、より良い組織からのスカウトを得るために生徒達は留年を繰り返す。5回留年すれば一流!」というトンデモ設定だが、そんなワルたちが「村山さん!村山さん!」とボスを慕う姿にほっこり。村山にくっついて歩く大男の古屋と関、この2人のコントラストも絶妙。 タグ:学ラン、DK、番長、ケンカ、舎弟、姫と家来、チーム男子
★腐女子eye<ヤンキー高校生の日常系> 男子高校生のドタバタものなら、SHOOWA『イベリコ豚』シリーズ一択(主観)。登場人物たちはだいたい見た目がチャラかったりいかつかったりするものの、厳密にはヤンキーではなく「ゴミ拾い集団」という、ずっこけるような設定も◎。バカでアホな高校生がたくさん登場し、メインカップルの恋のみならず周囲の友人や後輩たちのくだらないやりとりがテンポよく描きこまれ、わちゃわちゃ感を醸し出す。
■バカ番長とインテリ眼鏡 村山+轟(鬼邪高校) 山王連合会・コブラとの死闘に負け、腑抜けた状態になっていた鬼邪高校の番長・村山。そんな彼の前に現れたのは、裕福がゆえに不良に恐喝されたことをきっかけに不良への憎しみを募らせ、己の拳を磨き続けた轟だった。轟との戦いによって、本当に守りたいものは何なのかということに気づく村山。その後、SWORD vs琥珀の大決戦に単身乗り込もうとした村山を追いかけてきた轟、2人の間で交わされるデコピンシーンは名場面である。 タグ:学ラン、クール眼鏡、不良×優等生、先輩後輩、夜間と全日
★腐女子eye<クール眼鏡高校生の青さ> 学ランクール眼鏡がメインキャラといえば、黒娜さかき『青春ソバット』。BLでありながら、青年誌「IKKI」で連載していた変わり種。全4巻をたっぷり使って、思春期特有の不安定な感情や、友情と恋愛と欲情の境目が曖昧な“青春”感を描き出す。最終巻では大人になった主人公たちが描かれ、その一筋縄ではいかない結末は、10代の青い頃に出会った人間同士ならではの関係の濃密さを感じさせる。 【キーワード関連作】 たうみまゆ『傘を持て』
■ケンカで負けて親友に? 村山+コブラ(鬼邪高校/山王連合会) 鬼邪高校で100人からの鉄拳制裁に耐え、トップに上りつめた村山だったが、コブラとのタイマン勝負に負けてしまう。村山はコブラとのケンカが忘れられず、「俺とお前の何が違うんだ!」と苦悩しながらも、自分は一体何のために戦うのかと、己と向き合っていく。以降は、「コブラちゃんならどうする?(お悩み相談)」「コブラちゃんまた(ケンカ)やろうぜ」「コブラちゃん山王入れて」と、何かっちゃコブラちゃんコブラちゃん言うようになる村山であった。 タグ:ライバル、不良学生、片思い、一方通行
腐女子eye<一方通行の片思い> かまってちゃんの熱烈な片思いといえばコウキ。の『喰われたがりの仔羊くん』。幼なじみの士狼を追って同じ高校に入学したものの、実らない片思いを抱え続ける羊。「一回でいいからおれのこと抱いて」と迫っても、士狼は「お前は性欲と恋愛を勘違いしてんだよ」と釣れない態度。一途すぎる羊に思わず「がんばれ!(泣)」と感情移入してしまう1作。 【キーワード関連作】 どつみつこ『Cutting Age』
■王様と冷徹な執事 ロッキー+KOO(White Rascals) 繁華街のケツ持ちであるWhite Rascalsは、頭であるロッキーの「女たちを守りたい」という信念のもと、経営しているクラブで女性たちを安全に働かせている。そんなロッキーの信念を傍らで支えるのがKOOだ。冷静で物腰の柔らかいしゃべり方とは裏腹に、敵に対しては冷酷なKOOが、なぜロッキーの側に仕えるのかは謎だが、母親と姉に自殺され天涯孤独となったロッキーの心の拠り所になっていることは想像に難くない。 タグ:執事、おっさん、絶対忠誠
★腐女子eye<クールな執事の熱い忠誠心> 執事モノBLといえば真っ先にあがるのが、日高ショーコ『憂鬱な朝』だろう。10歳にして子爵家当主の座を継いだ久世と、その教育係を務めるスチュワードの桂木が織りなす貴族の恋物語。冷静沈着、頭もキレておまけに眉目秀麗である桂木は理想的な執事像の典型例。こんな人に四六時中世話になっていたら、そら男でも恋に落ちますわ!と思わず単行本を投げたくなること受け合い。 【キーワード関連作】 緒川千世『王子の箱庭』
■男×心は女の男 カイト+キジ―(White Rascals) 元々は黒いスカウト集団DOUBTに所属していたカイトとキジー。しかし、ロッキーと対峙した際、心が女であることを見ぬかれたキジーは、パートナーであるカイトと連れ立ってWhite Rascalsに転身しロッキーのサポート役に。長身でハンサムなカイトの周りに女子が群れようものなら、「アンタ、ブスねー!」「キジーのダーだから!」とすぐさま蹴散らすキジー。恋愛要素の少ないハイローの物語に華を添える公式のカップルである。 タグ:トランスジェンダー、両思い、オネエ言葉
★腐女子eye<揺れ動く性を受け止める愛> 男性が女性に憧れる姿を瑞々しくも、時に残酷かつ鮮烈に描いたのが中村明日美子の『Jの総て』だ。マリリン・モンローに憧れる少年Jと、彼に出会い翻弄されながらも運命を共にしようとするポール。過去のトラウマのせいで自分の幸せに臆病になっているJの激動の半生には、はたしてどんな結末が待っているのか……。 【キーワード関連作】 永井三郎『スメルズライクグリーンスピリット』 秀良子『宇田川町で待っててよ。』
■屈強な者同士だからこそ認め合える ロッキー+ヤマト(White Rascals/山王連合会) ドラマシリーズでレッドラム(ドラッグ)をめぐる揉め事の際に衝突した2人。女にはとことん優しいが男には容赦しないロッキーによって、杖で殴られるヤマト。しかし映画では、その杖によってヤマトを助けるロッキーの姿が。ヤマト「女以外は助けないんじゃねーのかよ」ロッキー「うるせぇ、バカ(ニヤリ)」という印象的な和解シーンも。 タグ:DV、杖、8 等身、ギャング、歳の差、ライバル
★腐女子eye<敵対からの……> 屈強な肉体美と華麗なダンス描写で人気シリーズとして今も続いている井上佐藤の『10DANCE』は、男同士のプライドや反発心を描くことで、より濃厚な愛に着地しようとしている。ソシアルダンスのラテン日本チャンピオンの鈴木信也と、スタンダード日本チャンピオンの鈴木信也。最初は憎まれ口を叩き合いバチバチの2人だが、ダンスという肉体言語を通じて絆を深めていく。 【キーワード関連作】 常倉三矢『咬みつきたい』 柊 のぞむ『どっちもどっち』
■愛の意味さえ知らない、生まれた場所も誇れない RUDE BOYS(無名街)(RUDE BOYS) 親に捨てられた者や身寄りの無い者などが集まり、身を寄せあって暮らす治外法権のスラム「無名街」。そこで守護神として君臨する集団がRUDE BOYSだ。リーダーであるスモーキーは、街の人々を「家族」と呼び、文字通り血を吐きながらも懸命に守ろうとし、ピーやタケシといった仲間たちは、吐血を繰り返すスモーキーの身を常に案じている。ドラマシリーズ最終話では、無名街の地下から鉱物が採取できることが明らかになった。 タグ:貧困、スラム、無国籍街
★腐女子eye<荒廃した世界で傷だらけの男たち> 槇えびし『みずのいろ。』の舞台となるのが、まさに無名街的な荒廃した世界観で描かれる「天国」と呼ばれる街だ。そこで殺し屋として生きる世都と、彼がたったひとり守りたい少年・礼夏。さらに世都を拾ったロマネと、そしてもう一人の礼夏。男たちの因果を描いた一代絵巻。体中に傷があり、「赤色」が認識できないというミステリアスな世都の儚さと乱雑な街が絶妙なコントラストを描いており、BL抜きにしても美しいマンガである。
■男は誰がために罪を犯す スモーキー+シオン(RUDE BOYS) スモーキーの右腕として活躍していたシオンだが、陰で家村会の人間に協力しレッドラム製造工場を仕切っていたことが表沙汰になる。しかしそれは、胸の病気を患っているスモーキーの治療費を稼ぐために犯した罪であった。スモーキーは自分のために罪を犯したシオンに「すまなかった」と言い、「ここにいたら家村会に追われるだろうから」と街から追い出すのだった。 タグ:忠誠、片思い、貧困、ドラッグ、自己犠牲、一方通行
★腐女子eye<自己犠牲という愛> 吉田ゆうこの『BLT』の登場人物・浩輔の自己犠牲精神は痛々しくもいじらしい。アイドルグループ「BLT」のメンバーであるみさきはまだ恋も知らない。そんなみさきやメンバーを守りたいがために、枕営業に勤しむ浩輔だったが、努力の甲斐も虚しくみさきにまで枕営業の魔の手が迫る……。チームのため、愛する人のために身体を差し出すという究極の自己犠牲BLだ。
■絶体絶命に颯爽と現れるタキシード仮面的なアレ スモーキー+雨宮広斗(RUDE BOYS/雨宮兄弟) スモーキーが敵の罠に嵌まり絶体絶命のピンチに陥っているところに颯爽と現れ、手を貸したのが雨宮広斗であった。共闘しながらも、広斗のサポートむなしく背中を切りつけられたスモーキー。瀕死のスモーキーに闇医者を手配し、(多分)保険がきかないであろう治療費まで工面してやる広斗のスパダリっぷりが冴え渡る。DOUBTにさらわれたスモーキーの妹も広斗が助けた。 タグ:アラブ系、白馬に乗った王子系、スパダリ、格差
★腐女子eye<アラブ系BL> 恵まれない環境で育った影のある子に、“王子”が強引に手を差し伸べるのはBLのひとつの王道だが、ここではあえて複雑な世界設定の寿たらこ『SEX PISTOLS』(5巻)をチョイス。生い立ちゆえに、まっとうな恋愛とは無縁だと思い、かつては体まで売っていた少年。あるとき、異国からやってきた男と出会い、その強引なのに優しい手に惹かれてゆく。互いの身分の違いや相手を思いやる気持ちから、素直に結ばれることができないのに、そのすべてを吹き飛ばす「運命」の強さが、シークものという非現実的な設定をより輝かせる。
■「久しぶりだな」って、いつ会ってたの スモーキー+ヤマト(RUDE BOYS/山王連合会) ドラマシリーズにて、チハルを探して無名街に潜入しようとしたヤマトだが、 RUDE BOYSに見つかりスモーキーと対峙する。スモーキー「…ヤマト」ヤマト「スモーキー、久しぶりだな」と挨拶を交わした後、即殴り合いに。だが、スモーキーはヤマトに関節技を決めながら発作を起こす。目の前で血を吐くスモーキーを、ヤマトは地面に倒れたまま虚を突かれた顔で見上げるのだった。 タグ:筋肉、ミステリアス、体格差、自己犠牲と世話焼き
★腐女子eye<ミステリアス少年と筋肉少年> 湖水きよ『カラダめあてで悪いか』は、無口でミステリアスな少年・蓮見と、彼に妙に懐かれて放っておけない、強く美しい肉体を持つ同級生・角野という真逆の2人が、徐々に互いを知ってゆく過程が美しく描かれる。「角野の体を見てみたい」という蓮見の謎の申し出から体の関係を持つようになったものの、もともとタイプが違いすぎるゆえに友人でもなかった彼らは、当然恋人と呼べるような甘い関係にすぐにはなれない。微妙に噛み合わない会話と、一見淡々として見える仲から踏み込んでいく瞬間が、色気のある絵柄で描かれる。
■狂気のボスと法被軍団 達磨一家 MUGENによって滅ぼされた九龍グループ・傘下組織「日向会」の日向四兄弟の四男である日向紀久や、MUGENに恨みをもつ饕餮兄弟など、とにかくMUGENに恨みをもつ人間で結成されたのが達磨一家だ。とはいえ、ドラマシーズン1最終話でコブラと対決した後から日向になんらかの心境の変化があった模様。ケンカのあとは奥の間に日向を寝かせ、饕餮兄弟は廊下で寝るなど、舎弟たちから日向へ向けられる温かい思いやりにグっとくる。 タグ:姫と家来、ポリアモリー
★腐女子eye<"若"とその周辺> ナリ『ヤングコーンの王子様』は、BLにしては珍しく少年マンガ的な描かれ方のバトルシーンがあったり、がっつり血も流れるが、主人公のひとり・ヤクザの若頭を慕う組員たちがそれぞれにキャラが立っており、ギャグ担当である彼らのノリで中和されて楽しく読める。 【キーワード関連作】 流星 ハニー『五人のセフレとカグヤ王子』
■噛み付いて離れない執念 日向+コブラ(達磨一家/山王連合会) コブラが以前所属していたMUGEN時代の因縁から、山王連合会を潰そうと目論む日向。なりふり構わぬファイトスタイルでコブラの腕に思い切り噛み付いたり、とにかく執念深く攻撃を加えた。映画では、敵に攻撃されそうになった日向をコブラがかばう一幕も。日向「俺の獲物に手ぇ出すんじゃねーよ」コブラ「手こずってんじゃねーか」と憎まれ口を叩き合いながらも、共闘した。 タグ:ライバル、狂犬、和モチーフ、寺、執着、ケンカ
★腐女子eye<ケンカップルという正義> タイトルからしていかにもなケンカップルの様相を呈している、宮本リンダの『ケンカ上等!キス上等』。期待通り、しょっぱなから殴りあって鼻血を流しているのだから、たまらない。校内のケンカ王・蜂谷は、何かと因縁をつけてはケンカをふっかけてくる凶暴な涼原に手を焼いていた。しかし、ひょんなきっかけで涼原の意外な一面を目撃してしまい、以降蜂谷は彼を殴れなくなってしまう……。 【キーワード関連作】 紫妲たかゆき『犬猿の恋仲』
■ハイロー世界の最大ヒール 九龍グループ 「九つの龍」と呼ばれる9つの組織からなる反社会的勢力。テレビシリーズと映画では、その中の一つ「家村会」がSWORDを狙って暗躍した。物腰の柔らかさがかえって怖い組長・家村龍美を筆頭に、二階堂、石井、川田、キリンジなど渋い面々が集結。石井と川田の対立や、キリンジの野心など、組内での緊張感漂うマウントの取り合いも反社会的勢力ならではか。 タグ:ヤクザ、極道、おじさん、老け専、スーツ、暴力、ヒール、悪党
★腐女子eye<ヤクザモノBL> 後述でも紹介する『コオリオニ』と並んで、近年のヤクザBLの大傑作として名高いヨネダコウ『囀る鳥は羽ばたかない』。ドMで淫乱、倫理観のぶち壊れたヤクザの若頭・矢代と、彼の付き人を務める元警官でインポの百目鬼。彼らのスリリングな関係ももちろんのことながら、ヤクザの世界に渦巻く男同士の野望と嫉妬のねちっこさがたまらない。
■刑務所での出会いが闇へ誘う 二階堂+ノボル(家村会) 恋人をレイプした犯人への暴行で逮捕されたノボルが、刑務所で出会ったのが二階堂だった。家村会の幹部である二階堂は、 SWORDを治めたいがためにノボルに接触。将来への希望も失いコブラたちの元へも帰れなかったノボルは自暴自棄になり、二階堂の誘いにのってしまう。自分を救い上げてくれた家村会や二階堂に報いるためにも、ノボルはSWORD支配の策を講ずるが結局は上手くいかず、二階堂から散々暴行を受けた挙句に見捨てられた。 タグ:ヤンデレ、ヤクザ、スーツ、刑務所、歳の差
★腐女子eye<人生を狂わす憎き因縁> ヤクザの息子であり長じて組長となった男に、高校時代から利用され続ける愛人兼闇医者というバッドすぎる設定の恋煩シビト『バラ色の時代』。組長の大和は組の問題を解決するために相手方のヤクザに右介を抱かせたり、自分と同じ入れ墨を背負わせたりする。利用される側の右介は「おまえがオレに近寄ってくるときは、いつもオレを利用したいときだ」「君は本当にオレが汚れていくのが楽しいみたいだ」と狂気じみた執着に振り回され続けるが、大和の真意は……。
■音楽とファッションの力で世界を変えたいとかいうチャラさ パール+バーニー(MIGHTY WARRIORS) 湾岸地区で活動する新鋭勢力にして、映画でSWORDの面々に敵対するチームがMIGHTY WARRIORSである。音楽とファッションの力で自分たちの理想郷を作ろうとするICEに手を貸すラッパーのパールと、ハッカーのバーニーはチームのムードメーカー。レースで競い合ったり、アメリカンジョークを言い合ったり、とにかくチャラくてオシャレな名コンビ。 タグ:チャラい系、ファッション、音楽、相棒、親友
★腐女子eye<最高の親友で……我慢できる?> チャラくてテンション高めなBLといえば、おげれつたなかの『エスケープジャーニー』。高校時代に「性欲処理」呼ばわりされて別れた元カレ太一と、大学で再会を果たした直人。最初こそ過去を引きずっていた直人だが、友達としては最高の相性だったことを思い出し、直人と友人関係に戻ろうとする。しかし、互いに恋愛の熾火も燻っており……。「友情」と「恋」の間で揺れ動く青春グラフィティ。
■いっそ潔いほどの女性蔑視にゾクゾク 高野+平井(DOUBT) 女を強引にスカウトしどこかへ売り飛ばす極悪スカウト集団・DOUBTを率いる 2人組。正体不明。主に人身売買を生業としているが、その他のあくどい仕事にも手を出しているとか。映画では「メスブタちゃんたちしっかり働けよ~」という暴言を吐きながら、さらってきた数多くの女たちをどこかへ売り飛ばそうとしていた。女性の扱いがぞんざい過ぎて、逆にそれって……? タグ:悪党、ヒール、外道、水商売、スカウト、男だけの世界
★腐女子eye<薄暗い商売に身を投じる男たち> 男娼というのっぴきならない夜の商売を描いているのが、朝田ねむい『Loved Circus』だ。サラリーマンのケイは惚れた風俗嬢を借金から救おうと全てを投げ打って投資に挑むが、大失敗し金も女も失ってしまう。人生に絶望したケイは自殺を図るがそれにも失敗し、目を覚ますと、そこはゲイ向け風俗店「サーカス」の店内だった。わけありな男娼たちが織りなす笑えて、泣ける1作。 【キーワード関連作】 おげれつたなか『ネオンサイン・アンバー』(「ディアプラス」(新書館)で連載) ナツメカズキ『MODS』
■ヤクザとつるむ悪徳刑事 西郷 ヤクザと裏で手を組む悪徳刑事の西郷は、やたらと山王連合会を挑発する。映画では、なぜかコブラの耳たぶをペロンと触って、ニヤニヤ。今後も SWORDをかき回す予感がむんむんである。 タグ:おっさん、悪徳刑事、暴力、権力、金
★腐女子eye<セクシー悪徳刑事> 悪徳刑事といえば、実際に起こった北海道警察の違法捜査をモデルに描かれた梶本レイカ『コオリオニ』の主人公・鬼戸を思い浮かべるだろう。ヤクザの幹部・八敷をエス(スパイ)として利用しようとする鬼戸だったが、徐々に八敷の心の闇に同調し、いつしか2人は運命を共にするようになる……。倫理観が破綻していて、とことん下衆だが、妙な色気を放つ鬼戸のアンチ・ヒーローぶりに痺れる。
吉本芸人ナマモノBL騒動から見えた問題点 “ローカルルール”と“一般人排除”が暗黒の二次元規制を作る?

ざわざわレボリューション動画 ‐
ニコニコ動画(原宿)
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BL史上初の快挙! 20年続く雑誌「MAGAZINE BE×BOY」の歩み
ついにBL界にも20年越えの雑誌が登場! リブレ出版の発行する月刊誌「MAGAZINE BE×BOY」が3月7日発売の4月号で創刊20周年を迎えた。ボーイズラブを扱う雑誌は数あれど、20年続いたものは初めてとなる。これまでの歩みについて、話を聞いた。 あまりBLには明るくない筆者だが、「MAGAZINE BE×BOY」が歩んできた道のりは、決して楽なものではなかったことは察しがつく。 「MAGAZINE BE×BOY」が創刊されたのは1993年のこと。当時の出版元は青磁ビブロスだった。この会社は97年にビブロスに改称し、「全国統一オタク検定試験」を実施して話題になったが、06年、グループ会社であった自費出版系出版社・碧天舎の自己破産に引きずられて連鎖倒産してしまう。しかし、人気の高かったボーイズラブ系の事業は新会社・リブレ出版に継承されて今日まで続いてきたのである。まさに、苦難を乗り越えて現在があるといっても過言ではない(倒産後にビブロスの社長だったY氏がゴールデン街で女の子をナンパしながら、「俺はすぐ復活してやる」と飲んだくれていたという目撃談が出版業界で話題になった)。 それはさておき、編集の岩本朗子さんは、立ち上げ時の苦労を次のように語る。 「最初は予算的な制約が厳しかったですね。ページ数は180ページを超えたらダメ。それに、原稿料に充てられる金額はわずかでしたし」 そんな厳しい環境でも雑誌作りは楽しかったと語るのは、長らく編集長を務めた現・リブレ出版社長の太田歳子さんだ。 「それまで、おおっぴらに“男同士(の恋愛)が好き”という話ができる友達がいなかったんです。でも、入社してみたら皆さん、隠語で何か話している。それが、カップリング名だと理解できるようになるにつれて、“なんて開放的!”とうれしくなりましたね」 とはいえ、予算はもちろんのこと、業務は過酷。しかし、そんな日々も「神に感謝した」と太田さんは話す。 「深夜に、こんなに好きな本に囲まれて仕事ができるなんて、私はなんて幸せなんだろうと思って、窓を開け月に向かって大声で『ありがとう』って叫んじゃいました。近所の人に怒られましたけれど」 ■アメリカに行ったら万歳三唱で出迎え 2人は読者への感謝も忘れない。かつては、北海道から編集部を訪ねてきたり、毎週2時間電話してくる読者もいたのだという。 「(毎週2時間電話してくる読者は)ずっと入院されている方で病院からお電話を下さっていて、その方の頭の中では『MAGAZINE BE×BOY』のストーリーやキャラクターが現実の世界みたいに展開されていたんです。その時、作品の持つ力を実感しました。『自分はいつ死んでもいいと思っているが、○○作品の続きが気になる』とおっしゃって。BLでしか癒やせない何かがあると感じますよね。BLは愛を描いているから。こんな世の中でも……ちゃんと愛があるんだって思ったんです。そこに、ものすごく救われるんだろうな、と。私自身がそうだったので……。BLを本当に支えているのは読者さんですから。これからも何かあったら、いろいろ言ってきてほしいなと思います。どんな読者さんでもありがたいです。クレームはちょっとつらいんですけどね」(太田さん) いまやリブレ出版の読者は国内だけでなく海外にも広がっており、アメリカのYAOIコン(年1回のBLイベント)を訪れた時には、会場入りした作家と編集部は万歳三唱で出迎えられたのだとか。 「海外の読者さんだと、送料も含めると本の値段は日本の倍以上。それでも買ってくれているのは、信頼してくれているんだなって思います。アメリカだけでなく、中国の読者さんからも感想のお手紙がきますし、すごくいい文化交流ですよね。BLに携わる日本人は、誇りに思っていいんじゃないでしょうか?」(岩本さん) 毎日雑誌を作っていて、気がついたら20年が経っていたと感慨深く語る2人。記念すべき創刊20周年特大号は、創刊から20周年の表紙を一挙公開する企画や、巨匠・魔夜峰央氏も執筆する豪華仕様だ。それにしても、もはや雑誌から「編集部に遊びにおいでよ」の文句がなくなったこの時代に、こんなに読者との距離感が近い雑誌はうらやましい。 (取材・文=昼間たかし)「MAGAZINE BE×BOY」2013年04月号
BL史上初の快挙! 20年続く雑誌「MAGAZINE BE×BOY」の歩み
ついにBL界にも20年越えの雑誌が登場! リブレ出版の発行する月刊誌「MAGAZINE BE×BOY」が3月7日発売の4月号で創刊20周年を迎えた。ボーイズラブを扱う雑誌は数あれど、20年続いたものは初めてとなる。これまでの歩みについて、話を聞いた。 あまりBLには明るくない筆者だが、「MAGAZINE BE×BOY」が歩んできた道のりは、決して楽なものではなかったことは察しがつく。 「MAGAZINE BE×BOY」が創刊されたのは1993年のこと。当時の出版元は青磁ビブロスだった。この会社は97年にビブロスに改称し、「全国統一オタク検定試験」を実施して話題になったが、06年、グループ会社であった自費出版系出版社・碧天舎の自己破産に引きずられて連鎖倒産してしまう。しかし、人気の高かったボーイズラブ系の事業は新会社・リブレ出版に継承されて今日まで続いてきたのである。まさに、苦難を乗り越えて現在があるといっても過言ではない(倒産後にビブロスの社長だったY氏がゴールデン街で女の子をナンパしながら、「俺はすぐ復活してやる」と飲んだくれていたという目撃談が出版業界で話題になった)。 それはさておき、編集の岩本朗子さんは、立ち上げ時の苦労を次のように語る。 「最初は予算的な制約が厳しかったですね。ページ数は180ページを超えたらダメ。それに、原稿料に充てられる金額はわずかでしたし」 そんな厳しい環境でも雑誌作りは楽しかったと語るのは、長らく編集長を務めた現・リブレ出版社長の太田歳子さんだ。 「それまで、おおっぴらに“男同士(の恋愛)が好き”という話ができる友達がいなかったんです。でも、入社してみたら皆さん、隠語で何か話している。それが、カップリング名だと理解できるようになるにつれて、“なんて開放的!”とうれしくなりましたね」 とはいえ、予算はもちろんのこと、業務は過酷。しかし、そんな日々も「神に感謝した」と太田さんは話す。 「深夜に、こんなに好きな本に囲まれて仕事ができるなんて、私はなんて幸せなんだろうと思って、窓を開け月に向かって大声で『ありがとう』って叫んじゃいました。近所の人に怒られましたけれど」 ■アメリカに行ったら万歳三唱で出迎え 2人は読者への感謝も忘れない。かつては、北海道から編集部を訪ねてきたり、毎週2時間電話してくる読者もいたのだという。 「(毎週2時間電話してくる読者は)ずっと入院されている方で病院からお電話を下さっていて、その方の頭の中では『MAGAZINE BE×BOY』のストーリーやキャラクターが現実の世界みたいに展開されていたんです。その時、作品の持つ力を実感しました。『自分はいつ死んでもいいと思っているが、○○作品の続きが気になる』とおっしゃって。BLでしか癒やせない何かがあると感じますよね。BLは愛を描いているから。こんな世の中でも……ちゃんと愛があるんだって思ったんです。そこに、ものすごく救われるんだろうな、と。私自身がそうだったので……。BLを本当に支えているのは読者さんですから。これからも何かあったら、いろいろ言ってきてほしいなと思います。どんな読者さんでもありがたいです。クレームはちょっとつらいんですけどね」(太田さん) いまやリブレ出版の読者は国内だけでなく海外にも広がっており、アメリカのYAOIコン(年1回のBLイベント)を訪れた時には、会場入りした作家と編集部は万歳三唱で出迎えられたのだとか。 「海外の読者さんだと、送料も含めると本の値段は日本の倍以上。それでも買ってくれているのは、信頼してくれているんだなって思います。アメリカだけでなく、中国の読者さんからも感想のお手紙がきますし、すごくいい文化交流ですよね。BLに携わる日本人は、誇りに思っていいんじゃないでしょうか?」(岩本さん) 毎日雑誌を作っていて、気がついたら20年が経っていたと感慨深く語る2人。記念すべき創刊20周年特大号は、創刊から20周年の表紙を一挙公開する企画や、巨匠・魔夜峰央氏も執筆する豪華仕様だ。それにしても、もはや雑誌から「編集部に遊びにおいでよ」の文句がなくなったこの時代に、こんなに読者との距離感が近い雑誌はうらやましい。 (取材・文=昼間たかし)「MAGAZINE BE×BOY」2013年04月号
なぜ「ジャンプ」は変わったのか? フリー化された解釈に見る「ジャンプ」腐女子化の理由
【サイゾーpremium】より
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「『ジャンプ』は腐女子に媚びだしてから終わった」──。マンガ好きなら、こうした論調を耳にする向きも多いだろう。だが、これは果たして正しいのだろうか? 消費社会論と腐女子の消費傾向から、「ジャンプ」作品の変遷を探ってみたい。
「『黒子のバスケ』イベントを中止せよ」
2012年10月、「週刊少年ジャンプ」(以下「ジャンプ」)で連載されている人気マンガ『黒子のバスケ』の作者と、作者の出身校含む関係各所へ脅迫状が送付される事件が発生した。この騒動の中で頻繁に登場するキーワードがある。それが”腐女子”だ。犯人は文書で「パロディ作品をやめろ」「腐女子ども覚えておけ」などと述べ、時期近くしてフジテレビが登場人物に想いを馳せる「仮想カレシに夢中な女子たち」という扇情的な報道をしたことも相まって、ネットで炎上した──。
そもそも近年、業界最大部数を誇る「ジャンプ」が腐女子に媚びてきたという批判を耳にする。”腐女子”という属性については、もはやここで説明するまでもないだろうが、なぜ「ジャンプ」がそうした謗りを受けることになったのだろうか? 本稿では、腐女子の消費傾向から、「ジャンプ」が腐女子に受け入れられるようになった経緯をひもといてみたい。まずは本題に入る前に、80年代以降の日本における消費社会論と腐女子の消費傾向を照らし合わせながら、彼女たちが「ジャンプ」を支持するに至る経緯を見ていこう。
日本では80年代、社会学者ボードリヤールが『消費社会の神話と構造』(原著1970年)で展開した消費社会論がもてはやされていた。これによれば「消費」とは、欲求のままモノを享受することではなく、何かを区別し意味付けする行為として社会構造に組み込まれたものとされる。同時期の日本ではバブルを享受し、高度消費社会に突入したのだが、人々は記号的な消費行動──例えばコム・デ・ギャルソンの服という”記号”を買う──を通じて、社会における自分の立場を確立した時代だったのだ。社会学者のP・ブルデューはこうした記号を用いた”人とは異なる”という区別を「卓越化」と呼んだが、それぞれの世代では記号的消費行動を通じた卓越化ゲームが営まれていた。例えばサブカルチャーの世界でも、83年に中森明夫が「おたく」と命名したのは、性愛の世界でのゲームを降りて、当時流行していたガンダムやマクロスなどのアニメの世界でうんちく競争という名の「卓越化」にいそしむ人々のことだった。
だが90年代以降になると、「このブランドを着ればカッコイイ」「このマンガを読むとオタク」といった記号消費をベタに信奉する振る舞い自体が陳腐化する。そもそも”人と違う”と区別するのが「卓越化」である。皆が記号消費を当たり前に行うようになれば、”あえて記号消費を拒む”ことで「卓越化」を図る振舞いが出てくるのは当然だ。それはバブル文化に対する反動ともいえるだろう。こうしてひとつの記号的価値をベタに頼る「卓越化」よりも、そこから距離を取って戯れるような「自分内的なモード切り替え」(=マイブーム)が散見されるようになった。
そんな90年代には、少女マンガでは『カードキャプターさくら』(講談社)、『ママレード・ボーイ』(集英社)が人気を博し、とりわけ『美少女戦士セーラームーン』の老若男女を巻き込んだ一大ブームを覚えている人も多いだろう。中でも、『セーラームーン』と『さくら』のヒットはすさまじく、いわゆる”大きなお友だち”と呼ばれる成人男性ファンをも獲得。そこでは、あくまで既存の女性読者のみならず、大人から子どもまでが〈マイブーム/非マイブーム〉という自分の基準にのっとり消費した格好だ。
こうして、80年代のロリコンブームなどの影響で”低俗”な文化の一端と見なされていた同人誌文化も、マイブーム的消費の対象になっていった。従来は「おたく」だけの娯楽だと思われていたコミックマーケットだが、「おたく」を自認しない女子も『スラムダンク』(集英社)がマイブームだから、といったノリでコミケに参加するようになったのだ。
コミケは今年で開催35年。90年代には一般参加者が10万人を突破し、2000年以降は参加者40万人以上を突破、今年の「夏コミ」(コミケ82)では参加サークル3万5000、実に一般参加者は約56万人に激増した。また、08年の出展サークルは男性29%、女性71%、コミックマーケット準備会は「世の中の認識と異なり、女性参加者が多い」と発表。コミケで扱われる作品は二次創作が圧倒的に多く、この中で腐女子を中心とした女性参加者は75年頃から、男性同士の恋愛を描いた二次創作物である「やおい」作品を発表、消費していた。
さて、こうした流れの中、コミケ参加者の急増、そして同人誌市場が拡大した90年代末になると、『セーラームーン』の戦闘美少女モノの流れをくみつつも、新しい少女マンガの幕開けを告げる作品が登場した。それが種村有菜による『神風怪盗ジャンヌ』だ。『ジャンヌ』は98年から00年まで小中学生向けの少女マンガ誌「りぼん」で連載された作品である。
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その後も種村は『満月を探して』(集英社)、『紳士同盟†』などのヒット作を飛ばす。ジャンヌダルクの生まれ変わり、日下部まろんが怪盗ジャンヌとして活躍する『ジャンヌ』。延命する代わりに声を失わなければならないという選択を迫られた難病の少女、満月が歌手になる夢を叶える『満月』、元ヤン少女が初恋の相手である資産家の息子との恋を成就させていく『紳士同盟』。過剰なマニエリスム、異世界ファンタジー、学園生活のドタバタギャグとラブコメ、複雑な家庭事情、セックスを彷彿させる描写、性倒錯や同性愛など、種村作品は「恋愛もの」「バトルもの」「ファンタジー」だけにとどまらず、「エロ」「BL」「百合」など二次創作を誘発させる要素を多くちりばめていた。 例えば『ジャンヌ』ではヒロイン怪盗ジャンヌとヒーロー怪盗シンドバッドの「エロ」描写、またシンドバッドと彼にお供する黒天使アクセスのBL的関係や、ジャンヌとお供の準天使フィンの百合関係も同人化されることがあり、『紳士同盟』でその傾向は過激化する。御曹司の影武者、東宮高成と彼を愛するゲイの辻宮真栗の「公式BL」カップル、また真栗を好きな女装男子まおらと真栗の「BL」関係。さらにヒロインの乙宮灰音と彼女を愛する天宮潮の百合関係なども描かれている。 こうした要素の過剰さには、作者の種村自身が『セーラームーン』の同人誌や『ガンダムSEED』のBL同人誌を制作した経験があることも無関係ではないだろう。二次創作は原作の読み手の想像力を通じ、能動的に新しい解釈を生み出す営みだが、多様な解釈余地がある作品ほど同人カルチャーとの親和性が高い。「多様な解釈のうちのひとつを、物語として提示する」同人作家の一面を持つ種村作品が、解釈余地の広い作品となったこともうなずける。このように、種村作品は、「あなたは違うかもしれないが、私はこう読んでいる」と言える余地が大きいのが特徴だが、『ジャンヌ』が生まれた00年以降、こうした多様な解釈の余地を持つ作品は多く生まれた。その特性をここでは〈解釈コードフリー〉と定義したい。実は、腐女子に媚びているとされる現在の「ジャンプ」作品は、一様に〈解釈コードフリー〉を兼ね備えているのだ。 ■腐女子は「ジャンプ」になぜ興味を持つのか? ではなぜ、「ジャンプ」作品は〈解釈コードフリー〉を兼ね備えたのだろうか? それは「ジャンプ」がアンケート至上主義に基づいていたため、前述した消費社会の動向と足並みを揃えた「時代と寝る少年マンガ誌」であったからだ。 「ジャンプ」作品がこの傾向を強めたことで、腐女子を含む女性読者を受け入れる土壌が醸成されたわけだが、ほかにも少女マンガ誌のピンポイントマーケティングに外れた女性読者の支持を得たことも女性読者獲得につながった。 「ジャンプ」に流れることとなる女性読者が生まれた背景には、00年以降「りぼん・ちゃお・なかよし」の三大雑誌の発行部数が激減したことで方向転換を余儀なくされた各誌が、その対象年齢を比較的幼年層向けに限定したことが挙げられる。 『美少女戦士セーラームーン』『カードキャプターさくら』『ママレード・ボーイ』など、90年代の大ヒット作品の連載が終了。その頃から、合理的なターゲティング戦略として、三大雑誌の作品はより幼年向けへとシフトした。 かつては三大雑誌が”恋に恋するお年頃”といった年齢を問わないテーマ性でブームを巻き起こした「乙女ちっく」ものや、『ちびまる子ちゃん』に見られるような世代を問わず楽しめる「日常コメディ」など、中学生含む少女層全般をカバーしていた。しかし、63年に創刊された学園恋愛ものが中心の「別冊マーガレット」(集英社)は例外として、90年代後半以降、矢沢あいでおなじみの「cookie」(集英社/99年~)、エロ要素の強い「デザート」(講談社/96年~)や「ベツコミ」(小学館/06年~、ただし誌名変更しリニューアル)など、中高生向け、ハイティーン向け、成人向けと「次に読むべき雑誌」が出揃った。だが、三大雑誌を卒業した少女が皆ストレートに「次に読むべき雑誌」へ向かったわけではない。 その一因として、学園ラブコメやリアルな男女の恋愛模様に共感できない少女もいたことが挙げられる。ドジでフツウの女の子が”恋に恋する”という「乙女ちっく」モチーフならともかく、これらの雑誌は容姿端麗な女子がイケメンキャラと結ばれる様を描く。”こんな恋愛、今の自分とは無縁だ”と思う女子もいて当然だ。それに引き換え、リアルな私を介入させずにすむ「少年マンガ」のカップリングは無害なものとして受け入れられる。とりわけ「ジャンプ」作品では男女間の恋愛がそこまで描かれないために、好きなキャラクターに「疑似恋愛」もしやすい。「ジャンプ」に掲載されるラブコメ作品も、主人公の男子目線で描かれているので、生々しさがない。 前述の通り消費スタイルの変遷に適応することとなる「ジャンプ」だが、94年にマンガ誌過去最高発行部数の653万部を誇るも、『ドラゴンボール』が連載終了した95年、『スラムダンク』が連載終了した96年を経て、急速に発行部数を落とした。雑誌不況もあって、以降、03年頃から現在まで300万部弱で推移する。とはいえ「週刊少年マガジン」が143万部、「週刊少年サンデー」が52万部(※12年4~6月)であることをみれば、圧倒的部数であることには変わりない。 その半面、冒頭で指摘したように「腐女子に媚び出してから『ジャンプ』は終わった」と言う声を耳にすることも事実だ。例えば、女性受けの良い繊細なタッチでイケメンばかりが登場する『家庭教師ヒットマンREBORN!』や、イケメンでかつギャップのある「真選組」キャラが掛け合う『銀魂』(04年~)などが、そう指摘されがちだ。しかし、「無駄にイケメンキャラを登場させる」という理由だけでは腐女子人気は説明できないだろう。「女性ファン」ウケを狙っていたとしても、それが「腐女子に媚びている」ことに直結するわけではない。確かに『ONE PIECE』(97年~)、『HUNTER×HUNTER』(98年~)、『NARUTO』(99年~)など90年代末からの「ジャンプ」作品については、00年代に入ってすさまじい量のBL同人誌が作られた。中でも『テニスの王子様』(99年~)は同人誌界隈でも驚異的なブームを巻き起こし、その後も『BLEACH』(01年~)、『DEATH NOTE』、テニプリブームを彷彿させる『黒子のバスケ』(09年~)などは現在でも同人界隈で人気を博している。また、今年に入っても『ハイキュー!!』(12年~)は、スポ根マンガとして男性人気を獲得しつつ、同人ショップですでに専用コーナーが設けられるなど腐女子の注目度も高い。だが、こうした人気作品には多様な要素が盛り込まれており、「腐女子に媚びている」というよりは、多様な要素のひとつを「腐女子が勝手に読み替えている」というのが実情だろう。この特性こそが〈解釈コードフリー〉なのだ。 さまざまな層が自由に解釈できる〈解釈コードフリー〉の作品は、その解釈余地の広さ故に腐女子の想像力も掻き立てる。と同時に、間口の広さから男女や世代問わず多くのファンを獲得することができるのだ。近年の「ジャンプ」が〈解釈コードフリー〉な作品を求めたということは、『保健室の死神』の藍本松や『D・Gray-man』の星野桂といった同人経験作家を起用したことも、あながち無関係ではないだろう。 ■あらゆるコンテンツに見られる解釈の自由化少女マンガらしからぬBLシーンが描かれた『紳
士同盟†』の1コマ。
「ジャンプ」以外にも、00年代以降に女性にヒットした作品は、マンガ消費の〈解釈コードフリー〉化を色濃く反映している。元々児童向けだったサッカーゲーム『イナズマイレブン』や『忍たま乱太郎』は、00年代後半から女性にブームとなった。『イナイレ』の場合は、骨太なストーリーとシナリオの完成度の高さから大人も楽しめる作品となっており、「サッカー」だけでなく「バトル」「学園もの」「パラレルワールドもの」など、好きなように解釈できる余地が広い。男性向けか女性向けかだけでなく、対象世代の垣根も超えた〈解釈コードフリー〉な消費傾向があるのだ。 解釈の余地が広い作品群は、原作で描かれていない背景を想像しやすい。そのことを意識して、原作側もその”余地”を積極的に利用する傾向が見られる。具体的には”公式二次創作”の数々だ。例えば『ジョジョの奇妙な冒険』の公式ノベライズは、乙一、西尾維新、舞城王太郎らライトノベル出身者を起用し『ジョジョ』の物語世界を拡張させることに成功した。 もちろん、こうした〈解釈コードフリー〉を兼ね備え、女性向け同人誌ジャンルで盛り上がりを見せるのはマンガだけではない。ジャニーズの人気ユニット関ジャニ∞も同様の消費傾向が散見できる。 今年公開された映画「エイトレンジャー」では、メンバーが戦隊モノを演じたことは記憶に新しいだろう。これは元をたどれば、05年からメンバー自身が始めたコンサート限定の挿入コントで、”公式二次創作”と言ってもいい。ほかにも、丸山と安田の漫才コンビ「山田」、大倉と錦戸の関ジャニ内ユニット曲「torn」などでは時に「BL」を想起させる演出もあり、二次創作を誘発しているとも取れるだろう。普段とは違う一面がほの見えるため、ファンが妄想、つまり能動的にかかわれる仕掛けだ。この傾向を持った女性アイドルには、メンバー同士のカップリングを楽しむAKB48が挙げられる。 ここまで見てきたように、「腐女子に媚びた」というだけで同人誌の人気ジャンルになるとは言い切れない。ジャンルが細分化し、ハイブリッド化した今、かつてのように作り手が「こう読むべし」と解釈コードを提示する作品スタイルはすでに廃れてしまった。そこでは、BL同人誌でいうところの「同性愛コード」、少女マンガ誌における「共感コード」、男性向けの「ラブコメコード」などに留まらず、自分が受け入れやすいように解釈コードを再構成するような読み手の能動性と想像力がマンガ消費を一層楽しくさせてくれるだろう。つまるところ、さまざまな人が好きなように解釈し、意味を与えることができる作品が受容されやすくなる。原作の世界観をズラし、新たな解釈を見つける能動的営みは、腐女子だけでなく今や誰もが多くの事象に対して行っていることだ。 腐女子のマンガ消費に見られる消費動向は、腐女子に限らず00年代以降の消費「全般」を語る上で極めて重要なものといえるのかもしれない。 大尾侑子(おおび・ゆうこ) 1989年生まれ。上智大学総合人間科学部社会学科卒業後、東京大学大学院学際情報学府修士課程在籍。専攻は両大戦間期宗教論、現代社会意識論。 【今なら無料で読める!「サイゾーpremium」では他にも少年ジャンプ関連記事が満載です。】 ・『ワンピース』がついに落ち目に!? 書店員が明かす”ヒット作”の実情と出版社との関係 ・『ワンピース』頼りで後がない!? 増刊を乱発する「ジャンプ」はもう、死んでいる!? ・増刊ラッシュでなんと10誌も!! マンガ界最強の「ジャンプ」ブランド辛口批評 ・「ジャンプ」「マガジン」「サンデー」......エロは読み切り・短期集中連載!? ここがエロいよ、メジャー少年マンガ誌コンサートでのコントから始まり、
映画化もされたエイトレンジャー。
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読者にも好評! 都条例の不安の中で生まれた前代未聞の「18禁BL」がもたらす可能性

リブレ出版公式サイトより
男性同士の恋愛やセックスを描くボーイズラブ(BL)マンガ。従来、男性向けと違い、18禁表示を行ってこなかったこのジャンルに堂々18禁を看板に掲げた書籍が登場し、注目を集めている。
この書籍を発行したのはBLジャンルの大手として知られるリブレ出版だ。話題のアンソロジー形式の単行本『PINK GOLD』は、「BL。なのに18禁。それって…超デンジャラス!!」をキャッチコピーに数量限定発売。BLを数多く取り扱う全国書店のほか、ネットでも販売されている。
まず気になるのは、BLジャンルでは18禁コーナーを設置していない書店の店頭で、どのように区分陳列し、販売しているかというところ。BLジャンルを多く取り扱う都内の某書店を訪れてみたところ、ほかの書籍と同じく平積みにされているが「18歳未満には販売できません」「レジで年齢をお聞きする場合がございます」という文面が記された紙と一緒にシュリンクされた状態。店頭で18歳未満が中身を読むこともできないし、対面販売のため、客が誤って購入する可能性を防ぐ十分な措置を取っていた。
この単行本が企画された契機は、一大騒動の末に改定された東京都青少年健全育成条例が施行された昨年7月のことだ。この条例は改定により「刑罰法規に触れる性交若しくは性交類似行為又は婚姻を禁止されている近親者間における性交若しくは性交類似行為を、不当に賛美し又は誇張するように、描写し又は表現する」雑誌や書籍を規制(東京都青少年健全育成審議会による不健全図書指定)できるよう求めたものだが、「規制される内容が曖昧」「表現を萎縮させる」として大きな反対運動が繰り広げられる中で成立したもの。改定された条例が施行されてから一年を過ぎて、新たな条文に抵触する「不健全図書」が出ていないのは本サイトでも報じている通りだが、やはり現場での不安の声は大きかった。今回、『PINK GOLD』の編集を担当した、岩本朗子氏は語る。
「条例が施行されてから不安は拭えませんでした。作家さんの中からも『不健全指定されたらどうしよう』とか『指定されて書店に置いてもらえなかったらどうしよう』といった不安の声をお聞きしました。編集部のスタッフからも『作家さんには自由に表現してほしい。でも、作家さんに、どんな助言をすればいいのか?』という意見が挙がり、編集部内で何度も話し合いました」
岩本氏の発言からは、条例改定反対の立場の主張の一つである「表現が萎縮する可能性」が、現実のものとなっていることがうかがえる。そうした中で、流れを変えるきっかけになったのは、書店から寄せられた声だ。
「売り場担当の方から作家さん宛にいただいたお手紙の中に、『仮に不健全指定されても、返品しないで区分陳列する道を模索したい(筆者注=不健全図書指定を受けた雑誌・単行本を、即返品する書店は多い。Amazonでも、東京都で不健全図書指定を受けたものは、すぐに消える)。それが、作家さんのために自分たちにできることだから』というメッセージがありました。そんなこともあり、じゃあ18禁本を出せないかなと考えたんです」(岩本氏)
ただ、前例のない(これまで18禁扱いになっていたのは、BLかゲイマンガか判然としないものだけ)、BLに「成年コミック」の黄色い楕円マークをつけて販売することは、簡単ではなかった。まず、書店のBLコーナーに18禁の棚は設けられていない。そのため、書店で売ってもらえない可能性、あるいは店頭に並んでも女性は恥ずかしくて手に取らないのではないかという懸念があったのだ。
「まさに未知の領域ですから、まったく売れないかもしれないけど、それでも出版してみようと決まったんです」(同)
こうして始まった編集作業。18禁だからと躊躇する作家はおらず、「久々に自由に描くことができた」と喜ぶ声が多かったという。
「とにかく作家さんには自由に描いてほしいし、読者さんが望むものを作っていきたいと思っていました。もちろん、全年齢向けでも表現の部分はあまり縛りを設けず、自由なテーマで描いてください、とお願いしていますが、今回はあらためてその部分を強調しました」(同)
問題なのは性器の消しの部分だが、これもやはり未知の領域。そこで、男性向けを参考に30冊あまりを読み込んで「参考」にしたのだとか。これらのエピソードから、誰もやったことがない領域を切り開いていく作家と編集の情熱を伝わってくる。
その情熱は読者に届いているようで、ネット上や編集部に寄せられている反応は「おおむね好評」なのだとか。
「官能的な描写が読めるだけではなく、近親相姦や18歳以下のキャラクターのエッチといった全年齢向けでは描きづらくなっている作品が収録されているので、読み応えがあったという意見もいただいています」(同)
店頭での売り方についても、冒頭で述べたように年齢確認はきちんと行われているようだ。また、どこの書店でもシュリンクはかけて販売するように配慮してくれたり、店頭には並べずに引換券を置き、レジに持ってきたら渡す形で販売という書店もあるという。
また表紙デザインも、女性がレジに持っていく時に恥ずかしくないように配慮したり、男性向けにはない気遣いがなされている。ただ、男性向けと同様の「成年コミック」の黄色い楕円マークは、ちょっと違和感がある。
「女性向けの成年コミックマークを作りたいなと、デザイナーさんとも相談したんですが目立つと目をつけられるのではないかなと不安もあって……。だから、最初は男性向けと同じマークにしてみました」(同)
現在、出版社が利用している「成年コミックマーク」は遡れば、90年代前半に全国的にエロを扱う漫画が「有害」だとバッシングを受けた「有害コミック騒動」を機に、1991年に出版倫理協議会(日本雑誌協会・日本書籍出版協会・日本出版取次協会・日本書店商業組合連合会の4団体による自主規制団体)が導入したもの。賛否はあるだろうが、「18禁BL」が、今後量産されていくならば女性向けの新たなマークを導入するのは、是であると筆者は考える。8月の東京都青少年健全育成審議会ではBLから『愛玩奴隷 クライマーズハイ!』(ジュネット)が不健全図書指定を受けているし(正直、男性向けならマークをつけるレベルである)、BLもマークを導入することで、多彩な表現の場を確保できることになるのではあるまいか。来年以降、書店のBLコーナーにも18禁の棚が出現するかもしれない。
(取材・文=昼間たかし)
読者にも好評! 都条例の不安の中で生まれた前代未聞の「18禁BL」がもたらす可能性

リブレ出版公式サイトより
男性同士の恋愛やセックスを描くボーイズラブ(BL)マンガ。従来、男性向けと違い、18禁表示を行ってこなかったこのジャンルに堂々18禁を看板に掲げた書籍が登場し、注目を集めている。
この書籍を発行したのはBLジャンルの大手として知られるリブレ出版だ。話題のアンソロジー形式の単行本『PINK GOLD』は、「BL。なのに18禁。それって…超デンジャラス!!」をキャッチコピーに数量限定発売。BLを数多く取り扱う全国書店のほか、ネットでも販売されている。
まず気になるのは、BLジャンルでは18禁コーナーを設置していない書店の店頭で、どのように区分陳列し、販売しているかというところ。BLジャンルを多く取り扱う都内の某書店を訪れてみたところ、ほかの書籍と同じく平積みにされているが「18歳未満には販売できません」「レジで年齢をお聞きする場合がございます」という文面が記された紙と一緒にシュリンクされた状態。店頭で18歳未満が中身を読むこともできないし、対面販売のため、客が誤って購入する可能性を防ぐ十分な措置を取っていた。
この単行本が企画された契機は、一大騒動の末に改定された東京都青少年健全育成条例が施行された昨年7月のことだ。この条例は改定により「刑罰法規に触れる性交若しくは性交類似行為又は婚姻を禁止されている近親者間における性交若しくは性交類似行為を、不当に賛美し又は誇張するように、描写し又は表現する」雑誌や書籍を規制(東京都青少年健全育成審議会による不健全図書指定)できるよう求めたものだが、「規制される内容が曖昧」「表現を萎縮させる」として大きな反対運動が繰り広げられる中で成立したもの。改定された条例が施行されてから一年を過ぎて、新たな条文に抵触する「不健全図書」が出ていないのは本サイトでも報じている通りだが、やはり現場での不安の声は大きかった。今回、『PINK GOLD』の編集を担当した、岩本朗子氏は語る。
「条例が施行されてから不安は拭えませんでした。作家さんの中からも『不健全指定されたらどうしよう』とか『指定されて書店に置いてもらえなかったらどうしよう』といった不安の声をお聞きしました。編集部のスタッフからも『作家さんには自由に表現してほしい。でも、作家さんに、どんな助言をすればいいのか?』という意見が挙がり、編集部内で何度も話し合いました」
岩本氏の発言からは、条例改定反対の立場の主張の一つである「表現が萎縮する可能性」が、現実のものとなっていることがうかがえる。そうした中で、流れを変えるきっかけになったのは、書店から寄せられた声だ。
「売り場担当の方から作家さん宛にいただいたお手紙の中に、『仮に不健全指定されても、返品しないで区分陳列する道を模索したい(筆者注=不健全図書指定を受けた雑誌・単行本を、即返品する書店は多い。Amazonでも、東京都で不健全図書指定を受けたものは、すぐに消える)。それが、作家さんのために自分たちにできることだから』というメッセージがありました。そんなこともあり、じゃあ18禁本を出せないかなと考えたんです」(岩本氏)
ただ、前例のない(これまで18禁扱いになっていたのは、BLかゲイマンガか判然としないものだけ)、BLに「成年コミック」の黄色い楕円マークをつけて販売することは、簡単ではなかった。まず、書店のBLコーナーに18禁の棚は設けられていない。そのため、書店で売ってもらえない可能性、あるいは店頭に並んでも女性は恥ずかしくて手に取らないのではないかという懸念があったのだ。
「まさに未知の領域ですから、まったく売れないかもしれないけど、それでも出版してみようと決まったんです」(同)
こうして始まった編集作業。18禁だからと躊躇する作家はおらず、「久々に自由に描くことができた」と喜ぶ声が多かったという。
「とにかく作家さんには自由に描いてほしいし、読者さんが望むものを作っていきたいと思っていました。もちろん、全年齢向けでも表現の部分はあまり縛りを設けず、自由なテーマで描いてください、とお願いしていますが、今回はあらためてその部分を強調しました」(同)
問題なのは性器の消しの部分だが、これもやはり未知の領域。そこで、男性向けを参考に30冊あまりを読み込んで「参考」にしたのだとか。これらのエピソードから、誰もやったことがない領域を切り開いていく作家と編集の情熱を伝わってくる。
その情熱は読者に届いているようで、ネット上や編集部に寄せられている反応は「おおむね好評」なのだとか。
「官能的な描写が読めるだけではなく、近親相姦や18歳以下のキャラクターのエッチといった全年齢向けでは描きづらくなっている作品が収録されているので、読み応えがあったという意見もいただいています」(同)
店頭での売り方についても、冒頭で述べたように年齢確認はきちんと行われているようだ。また、どこの書店でもシュリンクはかけて販売するように配慮してくれたり、店頭には並べずに引換券を置き、レジに持ってきたら渡す形で販売という書店もあるという。
また表紙デザインも、女性がレジに持っていく時に恥ずかしくないように配慮したり、男性向けにはない気遣いがなされている。ただ、男性向けと同様の「成年コミック」の黄色い楕円マークは、ちょっと違和感がある。
「女性向けの成年コミックマークを作りたいなと、デザイナーさんとも相談したんですが目立つと目をつけられるのではないかなと不安もあって……。だから、最初は男性向けと同じマークにしてみました」(同)
現在、出版社が利用している「成年コミックマーク」は遡れば、90年代前半に全国的にエロを扱う漫画が「有害」だとバッシングを受けた「有害コミック騒動」を機に、1991年に出版倫理協議会(日本雑誌協会・日本書籍出版協会・日本出版取次協会・日本書店商業組合連合会の4団体による自主規制団体)が導入したもの。賛否はあるだろうが、「18禁BL」が、今後量産されていくならば女性向けの新たなマークを導入するのは、是であると筆者は考える。8月の東京都青少年健全育成審議会ではBLから『愛玩奴隷 クライマーズハイ!』(ジュネット)が不健全図書指定を受けているし(正直、男性向けならマークをつけるレベルである)、BLもマークを導入することで、多彩な表現の場を確保できることになるのではあるまいか。来年以降、書店のBLコーナーにも18禁の棚が出現するかもしれない。
(取材・文=昼間たかし)




























