イオン家電、保湿効果やうるおいは無関係?度重なる改善命令でも誇大広告消えないワケ

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「Thinkstock」より
●払拭されていないマイナスイオンのブランドイメージ  2013年6月、テレビショッピング番組で紹介された漬け物容器に関して、消費者庁は販売会社に対し、景品表示法(不当景品類及び不当表示防止法)に基づく措置命令を出した。(http://www.caa.go.jp/representation/pdf/130627premiums.pdf)  「電気石タウマリン」を含んだ陶器から出る遠赤外線と「マイナス電子」が、容器内の乳酸菌の増殖を早め、通常のホーロー容器に比べて、短時間でおいしい漬け物ができるという触れ込みだった。  もちろん、そんな説明に科学的な根拠はない。遠赤外線が菌の増殖を促進するというのも怪しいが、「電気石タウマリン」や「マイナス電子」に至っては、他でほとんど聞かない名前の物質だ。恐らく「トルマリン」と「マイナスイオン」に独自の名称を付けたのだろう。  そもそも「マイナスイオン」も以前から「ニセ科学」の代表的な存在とされてきた。とはいっても、今でも「健康にいい」ものと思っている人がかなりいるのも事実。「ニセ科学批判」の情報が届いていない層は、まだまだ多いのが現状だ。  1990年代末から2000年代前半にかけて、「空気のビタミン」などと呼ばれたこともある「マイナスイオン」は、「健康にいい」とか、「癒し効果がある」などとテレビや雑誌でもてはやされた。だが、人によってその定義すら異なるなど、多くの疑問が呈されていたものだ。発生源も滝や森林、トルマリンから、プラズマ放電・コロナ放電に至るまで多岐にわたっており、結局のところ、喧伝されたような「健康効果」は確認されなかった。  さらに、マイナスイオンの効果を謳って販売された製品には、たびたび行政からチェックが入ってもいる。03年には健康器具が薬事法違反に問われ、06年には複数の会社が景品表示法に基づく指導を受けた。  だが、マイナスイオンは家電製品の機能として生き残った。当初はオールマイティな「健康効果」を宣伝していたメーカーも、次第に放電による「消臭」や「除菌」といった効果に絞っていったのだ。だが、それで十分だった。一時のブームが去ったとはいえ、「マイナスイオンは健康にいい」というイメージは広く消費者に定着していたからだ。  結局、「マイナスイオンとはなんだったのか?」という問題を棚上げにして、昔のイメージのまま定着してしまったというのが実態だ。しかも、日本を代表する大手家電メーカーが堂々と発売しているのだから、まさか「科学的な根拠がない」とは思いもよらない。 ●多様化するイオン式ヘアドライヤー  イオン発生機能を搭載した家電といえば、空気清浄機やエアコンなどの空調機器のイメージも強いが、普及度という点から見るとヘアドライヤーのほうが上だろう。11年度の国内販売台数約580万台のうち、7割以上がイオン機能付きの機種だといわれている。普段、気にせずに使っている機種も、よく見るとイオン機能付きかもしれない。  かつてはトルマリン粉末を混ぜただけのものもあったが、最近のイオン発生機は、プラズマ放電や静電霧化といった技術で空気中の水分子を帯電させるなどの改良が加えられている。さらに、メーカーが開発した発生方式を備えた製品に、「ナノイー」(パナソニック)、「プラズマクラスターイオン」(シャープ)、「ピコイオン」(東芝ホームアプライアンス)、「ナノイオン」(日立リビングサプライ)など、独自の名称をつけているところも多い。これらはイオンの名称ではないし、基本的なメカニズムは、マイナスイオンとさほど変わらない。  それでは、ヘアドライヤーに搭載された「イオン機能」にはどのような効果があるのか? よくいわれているのが「保湿効果と静電気防止効果」だ。さらに、各メーカーのカタログやホームページを見ると、「髪の水分バランスを整える」「キューティクルを引き締め」「艶のある髪に」といった表現が多用されているし、「皮脂をケア」して「地肌にうるおい」を与えるなどとも書かれている。  最近の機種の説明を読むと、放出されたイオンと結合した空気中の水分子が、髪の毛としっかり結びつくのだとか。メーカーによる実証検査のデータも公表されているので、効果は確かにあるようにも見える。だが、そうした「保湿効果」や「うるおい」がイオンによるものかどうか、判然としない面もある。イオンとは関係なく、風量や温度調整などの機能によるものではないかという意見もある。ちなみに、もう一つの「静電気防止効果」については、特に問題視されてはいないようだ。 ●性能表示に東京都が改善要請  結果が出たのは12年7月だった。東京都生活文化局が、国内の大手家電メーカーが製造する複数のイオン機能付きヘアドライヤーに関して、景品表示法に基づいて改善を要請した。対象となったのはパナソニック、シャープ、日立リビングサプライ、東芝ホームアプライアンスの4社。カタログなどに掲載されたデータも、「消費者の一般的な使用方法とは乖離した試験条件等による実証試験に基づいて効能効果を表示していたことが判明したため(中略)より適切な実証試験を行うよう改善を要請」したという。さらに業界関連団体である全国家庭電気製品公正取引協議会に対しても、性能や効能効果について、「消費者の一般的な使用方法に即した試験を行うこと」も要望している。(http://www.metro.tokyo.jp/INET/OSHIRASE/2012/07/20m7b300.htm)  東京都の示した改善点を要約すると、以下のようになる。 (1)「冷風モードで20~30分使用」など、一般的な消費者の使用実態とかい離した設定の実証試験を行って、効果があったと謳っている。(4社中3社) (2)実証試験の被験者が1人だけだったというケースもあり、誰が使用しても同一の効果があるとは言い難い。(4社中3社) (3)使用後に頭皮の皮脂が減少したとしているが、それがイオンによる効果であるかは実証されていない。(4社中2社)  つまり、通常の使用環境で使っても、カタログに表示された性能は発揮されないケースがあるということだ。これまではこうした「イオンの効能効果」を実証するための試験は、JISなどの公的基準も定められていない。各社の判断で独自に検証しているのが実態だった。 ●効果がないことを取り上げないメディア  ただし、こうした措置が取られても、製品そのものが発売中止されるわけではない。景品表示法は広告などの不当表示を防ぐための法律だ。基本的に、担当部局の指示に従って表現を修正すれば問題はない。  とはいえ、問題はこうした情報が一般消費者に承知してもらえるかどうかだ。昨今のツイッターやSNSを見ればわかるように、一度拡散したものは、後で取り消そうとしても手遅れのことが多い。元の投稿を削除・訂正しても、リツイート(RT)されてしまえば、投稿者の手を離れてどんどんと広まってしまうのだ。  メーカーとしてみれば、「こんな効果がある!」ということはどんどん宣伝したいが、「実は効果がなかった」となると積極的になることはない。メディアが独自に報道しなければ正しい情報は伝わらないのだが、それが難しい。  新聞には訂正記事が掲載されるが、ごく小さな扱いだ。テレビでは短いニュースくらいはあるものの、情報番組には登場しそうにない。雑誌も同様だ。健康・美容情報を扱うある雑誌の編集者に、こう聞かされたことがある。 「イオンは効かないだろうなと、個人的には思っていましたが、健康雑誌のテーマとして『効くか効かないか』は取り上げづらいのが実情です。『こんなに効く!』という情報なら取り上げますが、『いかに効かないか』は雑誌としても扱いにくい。人体に悪影響があるということが実証されれば、報道する必然性はありますが……」  このコメントに、「ニセ科学報道」の在り様は要約されている。「こんなに効く!」としてさんざんメディアで紹介された後に「効果はなかった」とわかっても、インパクトがないのだ。結果として消費者の意識には、最初の「こんなに効く!」という情報だけが残ってしまう。  この改善要請を受けた各社は、すぐにカタログやホームページの表示を訂正した。問題の箇所はすでに削除されるか修正されており、今ではどの部分が景品表示法に違反していたのかわからない。問題視される前に宣伝していたままのイメージを保って、同じ製品が売り続けられることになるのだ。  ちなみに、改善要請を受けた4社のうちの某社は、それから4カ月後、同じイオン発生器を搭載した掃除機で、景品表示法に基づく措置命令を消費者庁から受けることになる。 (文=六本木博之/フリーライター) ■おすすめ記事 阪神・和田監督、不倫暴露報道の裏に、“物言う”親会社の圧力と寂しい懐事情 Twitterは何を仕掛けようとしているのか?マーケ、テレビ、政治…日本法人に聞く 分譲マンションの居住者は毎月“無駄なお金”を払っている? 参院選の目玉・ブラック企業政策、各党の政策を検証~企業名公表、取り締まり強化… 森下悠里整形告白に、岡村隆史「顔見た時から怖いと思ってた。注射でもあかんと思う」

パナソニックとシャープの経営危機…銀行管理も待ったなし

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パナソニック
どこもテレビがネック。(「パナソニックHP」より)
「社長 島耕作」が社長辞任――。「モーニング」(講談社)の2012年12月6日号で島社長が2期連続の大幅赤字を計上する責任を取って辞意を伝えたことが、ネット上で反響を呼んでいる。  島耕作シリーズは弘兼憲史氏の代表作。大手家電メーカーのモデルが、弘兼氏が勤めていた松下電器産業(現・パナソニック)であることは有名な話だ。作品にもパナソニックの苦境が投影されている。  13年3月をメドに、プラズマディスプレイパネル(PDP)の新たな研究開発を中止する。プラズマテレビといえばパナソニック。パナソニックといえばプラズマテレビだ。国内メーカーで唯一、PDPを作っているパナソニックが基礎技術の研究開発を断念するというのだ。同社は今後、液晶パネルや有機ELパネルに技術者をシフトする。パナソニックがテレビの世界戦争で完全に敗れたことを示す、歴史的な出来事である。  パナソニックの敗戦の原因を探ることにする。3人の経営トップの時代を経て、パナソニック、ここまで落ちた。  2000年に社長に就任した中村邦夫がプラズマTVへの巨額投資へと経営の舵を切った。03年当時、松下電器(現パナソニック)には「プラズマは液晶より画面が明るい」という、一種のプラズマ神話があった。創業者の松下幸之助にはじまり、常にユーザーの声を聞くことで成長してきた会社なのに、薄型テレビの開発ではプラズマのみに注力して液晶TVにはほとんど見向きもしなかった。日立製作所などプラズマ陣営が次々と撤退する中、中村はプラズマにこだわり続け、6000億円超を注ぎ込んだ。  薄型テレビの顧客ニーズを無視した戦略に、社長の器でない人物の社長就任が追い打ちをかけた。大坪文雄は2006年に社長に就任し、会長になった中村のプラズマ拡大路線を引き継いだ。大坪はグローバル企業を統率できる経営者ではなかった。ここにパナソニックの最大の悲劇がある。  09年末には三洋電機株式のTOB(株式公開買い付け)を実施し子会社にした。三洋は既に国際競争力を失い、経営破綻の危機に陥っていたが、パナ-三洋の両社の強みを生かせばシナジー(相乗)効果を出せると盲信した。三洋電機の買収は完全に、戦略上の失敗であった。6700億円を投じ、ガラクタ会社を手に入れたのである。  12年に社長に就任した津賀一宏は、尼崎のプラズマパネル工場を視察して「戦艦大和だ」と呟いた。津賀は中村-大坪路線の完全否定から出発したが、社長に就任するのが1年遅かった。戦艦大和は太平洋戦争の末期、沖縄に特攻出撃して、米航空機動部隊に撃沈された、戦略上は無用の長物だった。戦艦大和に引っかけて津賀は無謀なプラズマ拡大路線を批判したのだ。もう1年早く津賀が社長に就任していれば、13年3月期の7650億円の赤字は半分に抑え込めただろうとアナリストは指摘している。  ここまでがパナソニックに起こった悲劇のおさらいである。  ここからが、今、起こっていること。そして、これから起こることである、 ●資金確保のため、スポンサーは打ち切り。銀行と融資契約  プロゴルファーの石川遼との所属契約を13年1月で終了する。08年1月から5年間の契約を結んでいたが、延長しない。主催する国内男子ツアーのパナソニックオープンも、13年の第6回大会を最後に打ち切る。三洋電機から引き継いだ女子バドミントン部や男子バスケット部も休部。企業スポーツからも足抜きする。  冠イベントや企業スポーツの中止は、銀行の軍門に下ったことを象徴する出来事といえるだろう。かつて豊富な資金力で「松下銀行」と言われたパナソニックは、銀行からの借り入れに頼ることはなかった。  10月末、今期7650億円の最終赤字を計上すると発表して、社債市場で“パナソニックショック”が起きた。取引開始直後から同社債に売り注文が殺到した。株式市場でも同様のことが起きた。11月2日の東京株式市場でパナソニックの株式時価総額が一時、1兆円を割った。1兆円割れはデータをとることができる86年以降では初めて。06年の時価総額のピーク時から7分の1に目減りした。欧米系の格付け会社フィッチ・レーティングスは、パナソニックの会社格付けを「投機的な水準」に引き下げた。  薄型プラズマテレビの不振に三洋電機の戦略的買収の失敗が重なり、有利子負債は08年3月期の3886億円から12年9月末には1兆5616億円と4倍に膨らんだ。かつて2兆円以上持っていた現金・預金は、12年9月末には4713億円にまで減ってしまった。株価は11月6日に376円まで下げた。もちろん年初来の安値。37年9カ月ぶりの歴史的安値だ。会社格付けが投機的な水準に引き下げられたことにより、社債市場からの資金調達が困難になり、「会社存亡の危機」に立たされたのである。  資金を確保するためパナソニックは銀行と総額6000億円の融資枠契約(コミットメントライン)を結んだ。融資枠を設定すると、あらかじめ決めた期間と金額の範囲内で銀行から資金を借りられる。コミットメントラインの内訳は、主力行の三井住友銀行が2500億円、三菱東京UFJ銀行2000億円、三井住友信託銀行1000億円、りそな銀行500億円である。  これからは株式や社債の資本市場に代わって、銀行の間接融資に全面的に頼らなければならない。銀行に頭を下げて資金を借りたことがなかったパナソニックの経営陣には、屈辱以外のなにものでもなかった。  <主力取引銀行の元首脳は「あれだけ銀行なんか関係ないと言っていたパナさんも、ようやく我々のいうことを聞くようになったわけや」と感慨深げに語った>(日本経済新聞12月13日付)と報じられた。  パナソニックは13年3月28日に、中期経営計画を発表する予定になっている。役員(担当)を含む大量の人事異動、収益の改善が見込めない事業の売却や中止。その前にケータイ事業の中止(撤退)も年内に発表する。今年度中にパナソニック東京汐留ビルを売却するか証券化する方針。汐留ビルは03年にパナソニックが完全子会社にした旧松下電工が東京本社ビルとして完成させたものだ。  パナソニックは他の保有不動産売却も含め、2000億円の資金を捻出する。追加のリストラを含めて単体決算ベースで14年3月期の復配、15年同期の繰り延べ税金資産の復活を目指す。中期経営計画は、銀行の意向を盛り込んだ内容にならざるを得ない。「パナソニックのシャープ化」という厳しい見方もできよう。  シャープはさらに深刻だ。13年3月期に過去最悪の最終赤字、4500億円を見込んでおり、窮地に立たされている。12年9月末時点の現金・預金は2211億円。対して有利子負債は1兆1741億円に上る。シャープも、これまでは銀行からの借り入れは微々たるものだったが、社債市場からの資金調達をシャットアウトされた結果、銀行からの融資に頼らざるを得なくなった。  主力行のみずほコーポレート銀行と三菱東京UFJ銀行が9月末、1800億円を緊急融資し、さらに1800億円の融資枠を設定した。りそな銀行とみずほ信託銀行、三菱UFJ信託銀行の3行は融資枠の一部、400億円程度を肩代わりして、銀行団に加わる方向だ。  続いて、シャープの敗戦について書く。 ●鴻海との提携はすでにネックに……  シャープの失敗は町田勝彦・元社長・会長がオンリーワン経営を貫いたことにある。オンリーワンにこだわり続け、液晶テレビの大成功で、「液晶のシャープ」といわれるまでになった。この、望外な成功体験から、世界一の液晶テレビメーカーを目指した。09年に世界最大の液晶パネル工場が稼働した。関連会社を含めた総投資額は1兆円である。だが、11年以降、3~5割の低稼働率が続く。過大な設備投資のツケで経営が急速に悪化。電子機器受託製造サービス(EMS)の世界最大手、台湾の鴻海精密工業の出資を仰ぐこととなる。  シャープのアキレス腱は、液晶の1本足打法にある。堺工場の稼働率を高めるには鴻海の外販力に頼るしかない。しかし、鴻海との交渉が難航し、提携先を次々に模索しているが主導権は常に、相手側に握られている。中小型液晶の生産拠点である亀山第2工場の稼働率を高めなければ経営が破綻すると、足元を見透かされているのだ。  12年9月中間期の決算短信に、企業継続のリスクとして「継続企業の前提に関する重要な疑義を生じさせる事象の存在」が付け加えられた。倒産予備軍になったということだ。フィッチ・レーティングスは11月2日、シャープの長期信用格付けを「トリプルBマイナス」から一気に6段階引き下げ「非常に投機的な水準」を意味する「シングルBマイナス」にしたと発表した。フィッチは、さらに格下げする可能性があるとしている。シャープの格付けに関しては、米系格付け会社のムーディーズ・ジャパンとスタンダード・アンド・プアーズ(S&P)は既に「投機的な水準」に引き下げている。  投機的水準にまで格付けが下がると、資金調達に大きな困難が生ずる。事実、企業の信用リスクを取引するクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)市場で一時、シャープの保証料率は45%に達していた。この数字はシャープの信用リスクを引き受ける投資家が見当たらないことを意味する。シャープの社債の流通価格は、額面100円に対して40円台に急落した。シャープの株式や社債を持っている上場企業は、減損処理を迫られることとなった。  シャープは3月、鴻海と資本・業務提携した。郭台銘・鴻海董事長個人による堺工場への出資は実行されたものの、鴻海によるシャープ本体への出資交渉は暗礁に乗り上げたままだ。  鴻海は670億円(1株550円で9.9%)を出資する計画だったが、シャープの株価が急落したため、みすみす損失が出る出資に二の足を踏んだのである。台湾の金融当局も、鴻海のシャープへの出資を認可していない。  シャープは鴻海に代わるスポンサー探しに奔走した。半導体大手のインテルやクアルコム、パソコン大手のヒューレット・パッカードなどに出資とセットで共同開発を持ちかけた。  12月4日、米クアルコムから最大100億円の出資を受け入れることで大筋合意した。消費電力を大幅に抑えた、スマートフォン向け次世代パネルを共同開発する。シャープが高精細で省エネ性能が高いIGZO(イグゾー)の技術を提供する見返りに、クアルコムがシャープを支援することになったが、これとても100億円程度の出資では焼け石に水である。  13年3月に、鴻海との契約交渉の期限を迎える。交渉を延期するのか破談になるのか。金融機関は鴻海の出資を前提として、つなぎ資金を融資してきた。破談となれば難しい選択を迫られることになる。融資を継続するのか、法的整理をするのか。刻々と最終局面が迫ってくる。  一つだけいえることは、シャープがどうなるかを決めるのは銀行である。経営陣には、その資格も力量もない。(敬称略) (文=編集部) ■おすすめ記事 グリー、楽天、ワタミetc.サイゾーが"イジってきた"企業記事 “ずさん”格付け会社が窮地へ?S&P行政処分で発覚… 居酒屋で“○○○○○”を頼む人はお金が貯まらない? ハーバード流宴会術とは?劇的感動でビジネスの成功を呼ぶ 電子図書館がたった12館…遅れる日本の電子書籍サービス

凋落の戦犯?パナソニックに巣食う御用記者・学者・コンサル

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パナソニックの赤字決算について報じる
11月1日付日経新聞より
 パナソニックが2011年度と12年度に、計1兆5000億円もの当期赤字に落ち込むことは、多くの新聞やテレビがニュースで報じている。その原因は、中村邦夫相談役や大坪文雄会長が社長時代に薄型テレビ事業への無謀な投資や三洋電機の買収に失敗したことだが、これも産業界では「常識化」している。  このほかにも理由があるのではないかと、現役社員や複数の元取締役、気鋭のジャーナリストらに当たってみると、そこからは「パナソニックに巣食った記者、学者、コンサルタントがいる」との面白い共通の視点が出てきたので紹介する。 「巣食った」の意味は、記者であれば、ヨイショ記事を書いて何か「対価」をもらったという意味だ。「対価」とは直接的な金銭ではなくても、経営戦略などを持ち上げた書籍を書くために優先的に取材をさせてもらって、その書籍を一部買い取ってもらったとか、取材コストを会社側に負担してもらったとか、会社主催の勉強会に呼ばれて講演料をもらったとかである。学者であれば、研究のネタ探しで優遇してもらったとか、コンサルタントであれば、仕事をもらったということである。 「巣食う」のがなぜいけないのかといえば、本来、経営が誤った方向に進んでいればそれをただすのが記者や学者の仕事であるはずだが、その逆に経営が悪化しているのにそれを褒めたたえたり、応援歌を送ったりすれば、経営者も社員も株主も顧客も勘違いするし、誤った判断にもつながるからだ。  コンサルの場合は、その発想や着眼点、ノウハウなど「頭脳」を売る仕事をしており、優劣は実績で決まるはずだが、トップに食い込んだ実力もないコンサルが法外なフィーを巻き上げ、役に立たない戦略を立てて会社を惑わすことになる。要するに「巣食う」とは「たかる」と同義語であり、実力のない無能な取り巻きたちがやっていることとまったく同質なのだ。

●本の内容はヨイショ

 巣食った記者のNo.1は、経済ジャーナリストのT氏であると指摘する声が最も多かった。T氏について調べると、パナソニック(松下電器産業)について、数冊の本を書いている。いずれもパナソニック子会社の出版社であるPHP研究所から出ていた。また、同研究所が発行している月刊誌「Voice」の常連ライターだった。  内容は、ほとんどがヨイショ。パナソニックの元取締役は「中村改革自体、事業部制を解体することやプラズマに過剰投資することが本当に正しいのかと役員の中でも疑問視する見方があったのに、独裁的判断で押し切られました。社長の決断である以上、これは仕方ありません。しかし、T氏の本はジャーナリストを標榜しながらそうした批判的視点に欠けていますので、当時から一部の役員の間では非常に違和感があるといわれていた書籍です。身内であるPHP以外からは、出しづらい書籍ではないでしょうか。そして私が許せないと思っているのは、希望退職者を出しておきながら、トップは経営責任を取らなかった。そのお先棒を担いだのがT氏だと思っています」と語る。  T氏のホームページを見ると、日本を代表する大企業のトップを持ち上げてインタビューし、それを大々的に載せている。 「こうして経営者に食い込み、テレビで特集を組めるように取材を入れてもらうのが彼の手法。テレビによく出演しています。相当に内部までカメラが入り込んでその企業の実態をルポしているかのように見えますが、実際には都合の良い部分だけを見せているにすぎません。でも、ほとんどがスポンサー企業なので、その程度しかできないのが現実です」(テレビ局関係者)

●経営不調の企業にうま味

 さらに付け加えれば、こうしてテレビで有名になり、全国の講演で稼ぐのがビジネスモデルで、講演料は1時間程度で50~100万円が相場だそうだ。電機業界に詳しい別のフリージャーナリストは「T氏は、日産が経営危機の頃は日産のヨイショ記事を書いていました。そして今は、経営の調子があまりよくないトヨタ自動車に食い込もうとしていると、財界の中ではそう見られています」と話す。  前出のパナソニック元取締役は「有名な経済紙の編集委員もよく役員勉強会の講演に呼ばれて講演料をもらっていて、その後に松下電器と中村氏のヨイショ記事を書いていました」とも語った。  どの企業も、業績が悪化すると叩かれるのを恐れる。少しでもよく書いてもらいたい。あるいは、経営責任の追及を恐れて戦略ミスなどを糊塗したい。こうした時に役立つのが、T氏やその編集委員のような「御用記者」ということになる。T氏については、テレビ局にとっては自分たちが頼まなくてもスポンサー会社を持ち上げてくれるので、CMをつくっているのと同じだ。視聴者も企業の暗い話が多い中、T氏の記事や番組を見ていると、なんとなく明るい雰囲気になる。そして、ヨイショしても金にはならない政治家やマクロ経済については辛口のビシッとしたコメントを出すので、日本の将来のことを考えてくれている優れたジャーナリストと見られる。視聴者や読者にも、巧妙に食い込んでいるというわけだ。  しかし、こうして企業の病状は塗り隠され、パナソニックのようにいつも「改革しています!」と言いながら、2年間で1兆5000億円もの巨額損失を出してしまうのである。結果としてスポンサー料も減るだろう。テレビ局も視聴者も、いい加減目を覚ますべきではないか。 (文=編集部) ■おすすめ記事 松本大「巨人ファンの方は絶対に読まないでください」 取引先に一斉に謎の問い合わせが…“制御不能”シャープの内側 東芝幹部「ひどすぎる」、最悪見通し下回るテレビ販売の実態 1年で2億食突破「マルちゃん正麺」ヒットの秘密は役所広司!? 上司も部下も周囲全員「やる気なし」状態に追い込まれたら?