
首から下に違和感。首から上も違和感。
国連事務総長の名を冠した「潘基文(パン・ギムン)平和ランド」(
参照記事)を訪れ、脳もいい感じにフニャフニャになった私が、次に向かった先は隣町の忠州(チュンジュ)市。観光気分で昔ながらの市場、武学(ムハク)市場を歩いていたところ、思いもよらず「潘基文本家」なる看板を発見! まさか、ここでも潘基文スポットに出会うとは……。韓国のみんなは、一体どれだけ国連事務総長が好きなのだろう。
矢印に案内され市場を抜けると、真新しい平屋の家が登場。ここが、かの潘基文本家のようだ。

アーバンな佇まい
なお、前回の平和ランドで訪れた家は、潘基文がおぎゃあと生まれた「生家」であり、今回は「本家」とのことだ。後で調べたところによると、忠州市が土地代含む事業費3億3,000万ウォン(約3,000万円)をかけ、潘基文が少年時代から結婚までの20年以上過ごした家を復元したのがこの「潘基文本家」であり、2013年にオープンした。もちろん、本人が実際にこのピカピカの家に住んでいたわけではない。
敷地内に足を踏み入れると、まずはお約束の潘基文像がお出迎え。像の方は精巧にできているが、微妙に似ておらず、珍スポトラベラーとしてはテンションが上がる。
庭には、金ピカの子どもの像がいくつか設置されていた。説明を読むと、子ども時代の兄弟愛あふれる潘基文を表現した像とのこと。歴史上の偉人を紹介するようなノリに、「本人、まだ生きてるんですけど!」とのツッコミは、韓国では通用しない。前回も同じことを言ったが、大事なので二度言おう。歴代大統領や重要人物の住んでいた家が、在籍中から観光スポット化されるのは韓国の常識だ。

像の前には「人間味あふれる、学生時代の潘基文総長の姿」という説明
次に室内をのぞくと、勉強している潘基文少年の姿があった。どうやらこの本家は、人形を用いて彼のステキなお人柄を伝えるのがテーマのようだ。まあ勉強シーンなんて、どんな偉人の伝記にも登場するから何も面白くないが……。それにしても人形のテラテラした質感、そして焦点のあってない目がトホホ感を増幅させる。

いいテカり具合

親子で何かキメてる?
そんな中でも度胆を抜かれたのが、こちらの部屋。いきなりホームレスっぽい男の登場だ。うつむく不審な男とは対照的に、金持ちっぽいオヤジの口元にはほえみが浮かんでおり、少年は何かにうっとりしている。どうしてこうなった?

なんだ、これ
説明によると「潘基文事務総長の父が、不幸な友達を連れてきて家に泊まらせた場面」であり、潘基文少年にとっては「善を大切にする人生哲学の始まりとなった、象徴的な場面」とのこと。潘基文一家の善行、パネえっす……。

カツオ、善に目覚める
施設はそれほど大きくなく、見学は5分ほどで終了。有名人の若かりし日々を圧縮して(しかも、どこかゆがんだ形で)のぞき見るのは、ちょっとしたパラレルワールドに迷い込んだ気分であった。
ところで潘基文ご本人は、明らかに偏ったシーンばかりの人形を目にした時、一体どんな気持ちだっただろう? 自分だったら……と思うとぞっとする。本家の一角には、この場所で記念撮影した潘基文本人の写真が飾られていた。表情をのぞき込む。

っておい、後ろ! 自分いるで!
●潘基文本家・潘善齋
住所 忠州市武学4路4-9
営業時間 9:00~18:00
定休日 月曜
(文・写真=清水2000)