3,000体を超える偉人の石像が立っている、とは事前に知っていたが、その数字がどれだけ尋常でないのか、実際に訪れるまではこれっぽっちも理解していなかった。 鄭根喜氏による個人経営のテーマパーク「大岩顔彫刻公園」は、ソウルからバスで2時間の忠清北道・陰城(ウムソン)郡に位置する。畑の横の陰城バスターミナルでタクシーに乗ったら、山の中にある精神病院の中庭に連れていかれた。周囲に石像がちらほらと見えることから、どうやらここも公園の一部であるらしい。どうせだったら、最初からゆっくり見たかった……と思ったが、この時は大岩顔彫刻公園のすさまじさをまだ知らない。いろんな意味でドキッとするマリリンモンロー
自由の女神がお出迎え。奥には別の石像が見える
木々に埋もれるように、クレオパトラ、キリスト、モナリザといった教科書でおなじみの人物たちの石像が次々と登場。まずはよくあるラインナップだが、それぞれに詳細すぎる説明が書かれており、驚かされる。公園のテーマである「歴史学習の場」という意味では素晴らしいが、この調子で3,000体続くのかと思うと、なかなかヘビーだ。なお、こちらが大岩顔彫刻公園の正式な入り口となる
広場を抜けると、生い茂る草の中に韓国の偉人や世界のスポーツ選手の石像が並ぶエリアに。そっくりな石像も時々登場する一方で、全体的にどこかずんぐりしており、そのユルい空気感がたまらない。しかも、ところどころにクマとかエビとかスニーカーとか、偉人とまったく関係ないキャラクターが現れるから油断ならない。なお、これらの石像はすべて、中国の工場で作られているという。カエサルの紹介文。改行なしの小さな文字が側面までびっしり
マリア・シャラポワだそう。脳が揺らぐ
最初はちょっとした面白キャラが出てくるたびにいちいち写真を撮っていたのだが、さらに200メートルほど進むと、野球場ぐらいの大きさの庭園に超密度で石像が乱立。これ全部見てたら、日が暮れるんじゃないか……。あらためて考えると、移動時間含めて1体30秒ずつ見たところで、25時間かかる計算だ。最初のほんわかとした気持ちは、焦燥感に変わる。シュールである
力道山からスタート。後ろのタコはいったい……
もはやカオス
鬼気迫るクリント・イーストウッド
誰かと思ったら、まさかのアントニオ猪木
ナポレオンからブルース・リー、ジャック・ニクラス、大仏まで、歴史上のありとあらゆる偉人が一堂に会するこの場はまさにパラレルワールド。しかも縮尺や何かが、記憶とちょっとずつ違ったりするから、心がぐらぐらしてくる。とんでもないところに来てしまった……と思いながら次のエリアに行くと、そこもまた運動場ほどの大きさがあり、偉人の石像がこれでもかと。石像ひとつひとつが、圧倒的な存在感を発揮
右から金日成、ビンラディン
敷地の奥には更地があり、あふれたものを保管するかのようにハリーポッター、クロマニョン人、フランツ・カフカ等の石像が並ぶ。さらにその奥では拡張工事を行っているのか、ショベルカーが地面を掘っているところだった。いったい、どこまで増殖するんだろう……。 押し寄せる情報量とオーナーの情熱にへとへとになりながら、最初の駐車場に到着。もう終わりかと思いきや、ここまではまだオマケのようなものだった! 公園の出入り口に向かうと、今まで見たものすべてを合わせたようなボリュームの広大な展示空間が出現。どうやらこちらが、大岩顔彫刻公園のメインスポットのようだ。心なしか、作品のクオリティも一段と高い。最後の力を振り絞って、偉人たちと対峙する。スピルバーグ
ひいいい
リアルな石像もずらり。小泉元首相や天皇が並ぶ、日本コーナーも
パク・クネ大統領やPSYといった最新作を確認した後は、やっとのことでパラレルワールドを脱出。最後のほうはひとつひとつの名前を確認する余裕はまったくなかったが、それでも2時間を超えることになった公園見学は(石像1つ当たり2.5秒で見た計算だ)、私にとってあまりに濃密な時間だった。 帰りのタクシーを待つ間、公園のエントランスに掲げられた「夢があれば、誰でも大岩顔の主人公になれる」というメッセージを眺めていた。物量も造形美も過剰な作品群にノックアウトされてしまった私の脳は、果たして自分が大岩顔になりたいのかどうなのか、判断することができなかった。 ●大岩顔彫刻公園 住所 忠清北道陰城郡笙極面イルセン路500(館成里26-1) 営業時間 9:00~18:00 定休日 なし 料金 大人6,000ウォン HP < http://largeface.com> (文・写真==清水2000)ちなみにヨン様

































