『エヴァ』に迫るソフト売り上げを記録 第2期で大ブレークした『ラブライブ!』の快進撃が止まらない!

animematome2014.jpg
 早いもので、2014年もそろそろ終わりが近づいてきました。さまざまな自然災害、事件が日本全体を揺るがした激動の一年でしたが、みなさんが大好きなアニメ業界にとってはどんな一年だったのでしょうか? 独断と偏見で、ざっくりと2014年のアニメ業界を振り返ってみましょう! ■キッズアニメの王者が世代交代か!?  あっちで「ゲラゲラ」、こっちで「ポー」といった具合に、『妖怪ウォッチ』が席巻した今年のキッズアニメシーン。今年5月にバンダイが0~12歳の子どもを持つ親を対象に行った「子どもの好きなキャラクターランキング」によると、1位の『それいけ!アンパンマン』に次いで『妖怪ウォッチ』が2位にランクイン。  一方、比較対象としてしばしば挙げられる『ポケットモンスター』は、なんと8位。この結果を見る限りは完全に、子どもに人気のゲームキャラの座はピカチュウからジバニャンへと世代交代した感があります。  12月20日に公開された『映画 妖怪ウォッチ 誕生の秘密だニャン!』の動員・興行収入も順調な滑り出しを見せており、このペースで行くと今夏公開された『ポケモン・ザ・ムービーXY 破壊の繭とディアンシー/ピカチュウ、これなんのカギ?』の興行収入成績を上回るのでは……といわれています。  しかし、『ポケモン』は20周年を間近に控えた怪物コンテンツ。片や『妖怪ウォッチ』はまだ始まって数年の、新参コンテンツです。世代を超えて愛される『ポケモン』が定番の強さで人気を維持し続けるのか? それとも『妖怪ウォッチ』が、第2のポケモンとして完全にお株を奪ってしまうのか。今後も注目です。 ■『ラブライブ!』、『エヴァ』に迫るソフト売り上げを記録!  アイドルアニメが数多く制作された2014年のアニメシーンですが、その中でもとりわけ多くの支持を集めたのが『ラブライブ!』です。昨年1月より放送された第1期の続編となる第2期が、4月より放送スタート。通常、第2シーズンものは前作よりも人気が落ち着くことが多く、映像ソフトなどの売り上げも縮小しがちなのですが、『ラブライブ!』は第2期で人気が大ブレーク。Blu-ray第1巻は11万枚オーバーの超ヒットを記録! 2015年に開催予定のライブチケット先行抽選券が封入されるというブーストがあるとはいえ、この記録はちょっと尋常ではありません。ちなみに1巻以降も4~5万枚で売り上げは推移。第1期のほぼ倍の売り上げを維持していることから、どうやら単にチケット目的で第1巻のみが売れたわけではないみたいです。  ちなみにこの枚数がどれだけすごいのかというと、テレビシリーズアニメのBD/DVD売り上げランキングで見てみると、2000年代以降に放送された『魔法少女まどか☆マギカ』『機動戦士ガンダムSEED DESTINY』『化物語』などの人気深夜アニメはすべて後方にぶっちぎり、残るは90年代に発売された『新世紀エヴァンゲリオン』数巻と『The World of GOLDEN EGGS』くらいという状態。CDも3枚がゴールデンディスク入りするという快挙を成し遂げた『ラブライブ!』は、来年劇場版の公開も控えており、今後この人気がどこまで伸びるのか非常に気になるところです! ■今年も生まれた! 大量のアニメ流行語  昨年は「にゃんぱすー」「駆逐してやる」といった流行ワードが生まれたアニメ発の流行語ですが、今年も昨年に負けず劣らずのパンチラインが誕生。ファミリー層には「ゲラゲラポー」「もんげー」「妖怪のせい」など、『妖怪ウォッチ』一色な感じだと思うのですが、深夜アニメ大好きクラスタはこんな感じでしょうか? 「あぁ^~心がぴょんぴょんするんじゃぁ^~」 「さすがはお兄様です(さすおに)」 「(^q^)くおえうえーーーるえうおおwww」 「コネクティブヒナアアアアアアアア!!!!!」  2014年秋スタートのアニメ『SHIROBAKO』で登場した「万策尽きた~」も、なかなか汎用性があっていいですよね。ちなみに、個人的には「かしこまっ!」がヒットでした。 ■ロボットアニメは男のロマン! しかし、ロマンだけでは面白くならない……?  近年、妙に増加傾向のあるロボットアニメですが、今年も例年以上に多くのタイトルが発表されました。しかし、それらがきちんとヒットしたかというと……どうなんでしょう。  まずは、今年35周年を迎えたガンダムシリーズは、秋より『ガンダムビルドファイターズトライ』と『ガンダム Gのレコンギスタ』の2作品を同時展開。同時期に、別の局で複数タイトルが本放送されるなんて、ガンダム史上初の試みです。  熱さと発想の自由度が魅力のガンプラバトルが展開する『ビルドファイターズトライ』、富野由悠季監督による独特の言語感覚とドライブ感が癖になる『Gレコ』とそれぞれ魅力あふれる作品なのですが、ネット上では日夜両作品のアンチによる言い合いが繰り広げられています。個人的には、どっちも面白い『ガンダム』作品なんだけどなあ。と思う一方、人類はまだまだニュータイプには程遠いなと再認識させられますね。また、フルCGの硬質なタッチがハードな世界観にマッチした『シドニアの騎士』なんかも、なかなか面白かったように思います。  その一方、『キャプテン・アース』『M3-ソノ黒キ鋼-』『白銀の意思 アルジェヴォルン』『バディコンプレックス』『ノブナガ・ザ・フール』『風雲維新ダイ☆ショーグン』『健全ロボ ダイミダラー』なんかもありましたが……う~む……。「ミリタリー度を強めろ」と言われたり、「もっとエロネタを!」「もっと萌えを!」と言われたり、いろいろと大変かと思いますが、制作者の皆さんも頑張ってください! ■グラビア、結婚、スキャンダル!……そして訃報。激動の声優業界  いまやアイドルに匹敵する人気を誇る声優。アニメに欠かせない裏方である一方、タレントとしての需要も日々高まっています。そんなわけで、今年も声優のメディア露出が大きな話題を呼びました。  グラビア系声優として人気の内田真礼が青年誌に複数回登場! セクシーな水着グラビアを披露し、声優ファンを歓喜させました。無名時代からホテルなどでの個人撮影をしていた経歴のある彼女だけあって、水着の着こなしもセクシーな見せ方も心得たもの。今後も僕らを魅了してください!  そして永遠の17歳声優・ほっちゃんこと堀江由衣が、12月22日発売の週刊誌「FLASH」(光文社)で制服グラビアを披露! 今年でデビュー17周年を迎えながらもいまだにみずみずしさを失わない彼女の姿に、「ホ、ホ、ホァアーーーーーー!」と叫んだファン多いはず!  また、今年も多くの声優さんがご結婚されました。主な女性声優だと南里侑香、椎名へきる、仙台エリ、生天目仁美、本名陽子、MAKO、沢城みゆき、仁後真耶子、長谷川明子、儀武ゆう子、瀧本富士子、阿澄佳奈など。  対する男性声優は、瀧本富士子と入籍した荻原秀樹くらいしか名前が挙がらない。ほかには、一般人が、とある男性声優の結婚式に参加したことをうかがわせるツイートを投下。ネットを騒がせるという事件が起きたが、本当に男性声優の結婚がたまたま少なかったのか。それともタレント的な事情で公表していないだけなのか。どちらにしろ、おめでたいかぎりです。  そんなめでたいニュースが多くあった一方、訃報もまた少なくありませんでした。永井一郎、納谷六朗、家弓家正、中村秀利、仲村秀生など、人気キャラクターを多く演じた声優が続々と他界……。ご冥福をお祈りします。  というわけで、ざっくりと2014年のアニメ業界を振り返ってみました。来年はどんなニュースがアニメ業界を盛り上げてくれるのでしょうか!? 楽しみですね! (文=龍崎珠樹)

パクリ? オマージュ? 人気街道驀進中の『ラブライブ!』に突如降りかかったパクリ騒動

lovelive0520.jpg
『ラブライブ!』公式サイトより
 現在放送中のアニメ『ラブライブ!』にパクリ疑惑が発覚し、ネット上で大炎上中だ。  『ラブライブ!』とは、以前にもこの連載でも取り上げたこともあるアイドルアニメで(記事参照)、美少女総合エンタテインメントマガジン「電撃G’s magazine」(KADOKAWA刊)、アニメソング中心に展開する音楽レーベル・ランティス、アニメーション制作会社・サンライズの3社による合同プロジェクトである。  本作は、アニメ、雑誌連載、Webラジオ、CDリリース、コンサートなど多角的なメディア展開を繰り広げ、今年2月にさいたまスーパーアリーナで開催された2日間のライブは両日とも1万人以上を動員し、大成功。現在放送中のアニメ第2期も好調で、オープニング主題歌「それは僕たちの奇跡」のシングルCDがオリコン週間シングルチャート2位にランクインし、初動で6万枚以上の売上を達成。5月13日には、同シングルがゴールドディスクに認定されるといった具合に、まさに今が旬の話題作である。  5月11日放送の第6話「ハッピーハロウィーン」も、劇中でヒロインたちが自分たちの個性を出すべくアメリカのロックバンド・KISSのコスプレをするシーンが話題となり、ファンがTwitter上に該当シーンをアップ。それを見つけたKISSボーカリストのジーン・シモンズが、自らのアカウントでリツイートしたことから、「ついに『ラブライブ!』が世界に羽ばたいた!」と多くのファンが喝采の声を上げた。  しかしその一方で、ライブ用の衣装を自分で作ることに対して「損な役回り」と不満を漏らすにこに対して、ことりが「それぞれの役割をこなすことが大事だ」という趣旨のセリフで答えるというシーンについて、海外ドラマ『glee』の「パクリでは?」という声も上がり始めた。元ネタといわれている『glee』では、合唱大会に向けてチームがそれぞれ自分の持ち場で仕事を進める中、衣装係をやらされ不満を言うメンバーに、ほかのメンバーが「力を合わせることが大切だ」と諭すシーンが存在。「これはあなたのよ」とメンバーに衣装を見せるシーンやカット割りがそのままであることから、ほどなくしてTwitter上で一気に「パクリ疑惑」が噴出した。  個人的な感想となるが、にこは口は悪いところはあるものの、実はメンバー一面倒見のいいキャラのはず。第2期では弟たちの面倒を見るいいお姉ちゃんというそれまでにない表情を見せるエピソードがあったほか、ドラマCDでもダウンしてしまったメンバーの海未をかいがいしく介護するシーンがあっただけに、該当シーンの言動に違和感を覚えたのは事実である。同エピソードの別のシーンでも、『glee』から引用したと思われる演出が発見されたほか、昨年放送された第1期第1話などにも『glee』を下敷きにしたと思われるシーンが続々と発見され、現在も延焼中。  さらに京極尚彦監督が、過去に「自宅で休んでいましたがコンテは描いてました。どなたかアニメ以外で面白いドラマあれば教えて下さい、うまくパクる…いや引用できる演出があればと…個人的には海外の方がハングリーな作りの作品が多い気がしています」(原文ママ)というツイートをしていたことが発覚。今回のパクリは意図的なものだったのでは、という声も上がっており、鎮火の気配はいまだうかがえない。  ちなみに『ラブライブ!』は今回以外にも、発表されている多数の楽曲が既存のJ-POPや洋楽のパクリではないか、という声が以前から多く上がっていた。しかし、アニメ化のはるか以前に行われていたイベントにおいて、『ラブライブ!』制作プロデューサーは「『ラブライブ!』は、それぞれの時代を彩った音楽やアイドルの元ネタを盛り込んでいる。μ’s(『ラブライブ!』のアイドル・グループのこと)が歌うならこうなる、というのがコンセプト」という趣旨の発言をしていたことがあるほか、アニメソングのクリエイター事情に詳しい関係者によると「『ラブライブ!』は楽曲を発注する際に、“こういうイメージの曲でやってほしい”という非常に詳細なオーダーが来るそうです。そこでは元ネタの名前も具体的に出ることもある」そうだ。  そう考えると、今回の騒動においても「パクリ」というよりも、元ネタを『ラブライブ!』流に料理するとこうなる――。というコンセプトの元に行われていた、ある種のオマージュである可能性も捨てきれない。  ともあれ、「みんなで叶える物語」というテーマの下、ハイペースで急成長してきた本作にとって、今回の騒動は冷や水を浴びせることになりかねない。ちょうど物語は折り返し地点を過ぎたところである。クライマックスに向けて、誰にも文句を言わせないオリジナルの感動を期待したいところである。 (文=龍崎珠樹)

アニソン業界に異変!? 一世を風靡したシンガーが続々と活動休止するワケ

himeka.jpg
HIMEKA 公式サイトより
「2014年4月1日、本日よりフリーになりました」 という一文で始まる、あるアニソンシンガーのTwitter発言が、アニソンファンを驚かせたのはおよそ1カ月前の4月1日。発言者の名はHIMEKA。2008年にカナダより来日。同年に開催されたアニソンシンガーを発掘するための公開オーディション「第2回全日本アニソングランプリ」で優勝を飾り、ソニー・ミュージックエンタテインメントよりメジャーデビューを果たした外国人アニソンシンガーである。  デビュー当初は『戦場のヴァルキュリア』『テガミバチ』などのアニソンを担当し、一躍知名度を上げたものの、10年よりアニソンタイアップはストップ。11年にアルバムを一枚リリースした後に、12年に5pb.へ移籍。ゲーム主題歌を何作か担当したものの、今年4月1日に契約を終了した模様だ。それに伴い、日本での在留資格を喪失。このまま新たな所属事務所が見つからなければ、5月2日に帰国せねばならないそうだ。  このニュースと前後して、14年に開催を予定されていた「第8回全日本アニソングランプリ」の開催中止が発表された。07年より毎年開催され、先述のHIMEKAも輩出した同オーディションは、日本各地で予選大会を開催後に決勝戦を東京で開催。そこ優勝すれば、必ずアニソンシンガーとしてデビューできるという、アニソンブームの盛り上がりを象徴する一大イベントであった。  これまでに喜多修平、佐咲紗花など多くの新人を輩出し、アニソンシンガーを目指す人々の登竜門として君臨していたアニソングランプリだが、12年開催の第6回優勝者・岡本菜摘の歌唱力に対し視聴者の間で物議を醸しだしたほか、大会委員長の水木一郎がその結果について審査員に対する苦言をTwitterで呈したことから、その優勝者の決定過程に業界内外から疑惑の目が投げかけられていた。なお、今回の大会中止に関しては、「中止」以上のコメントは公式発表されていない。このことも、アニソンファンの間で憶測を呼ぶこととなった。  くしくも「アニソングランプリ」関係ニュースが立て続けにメディアを騒がせたこの春だが、それ以外にも昨年末に『アマガミSS』の主題歌など、アニソン中心に活動していたシンガーソングライター・azusaが、今春にはアニソン歌手・麻生夏子、声優・中島愛がそれぞれ歌手活動休止を発表するといったように(麻生はタレント活動に、中島は声優活動に専念するそうだ)、ここ最近はアニソンで一世を風靡したタレントが続々と歌手活動を休止し始めた。  もちろん、各タレントにそれぞれ異なる事情があるのだろうが、アニソン歌手の活動休止の理由の一つとしてアニソン市場の変化が挙げられるのではないだろうか? 例えば、アニソングランプリが開始された年である07年4月スタートアニメの主題歌を見てみるとおよそ88曲のうち、アニソン歌手(もしくはアニソンを主に歌う歌手)による楽曲が26曲。出演声優・もしくは歌手活動を行う声優による楽曲は7曲だったのに対し、今年4月スタートのアニメ主題歌は、(現時点において)およそ90曲のうちアニソン歌手による楽曲は15曲。一方、声優による楽曲は45曲。その比率は大幅に逆転しており、なおかつアニソン歌手の枠は減少している。  実際にCDの売り上げを見ても、声優が歌うアニソンのほうが売れていることから、制作者側も「アイドル的な人気がある声優が主題歌を歌ったほうが、CDも売れる」という判断を下し、声優を主題歌歌手として多く起用しているということなのだろうか?  アニソンブームと言われて久しいが、どうやらアニソン歌手はその恩恵をあまり受けていないようである。アニソンバブルがはじけた……と単純に言うことはできないが、業界全体が「アニソン」というものに対して、一度歩みを止めて考え直すタイミングなのかもしれない。 (文=龍崎珠樹)

春はロボットアニメ大豊作! キーワードは「エロス」「美少女」「童貞」!?

toboanime.jpg  いよいよ4月。春クールのアニメも続々とスタートするということで、待ち遠しいアニメファンも多いのではないでしょうか? さまざまなジャンルのアニメが放送されている現在のテレビアニメですが、今春は例年になくロボット物が多いことで話題です。そこで、今回はどれがどんな話か分からないという皆さんのために、簡単に作品をチェックしてみましょう! ●『キャプテン・アース』  五十嵐卓也監督×シリーズ構成・榎戸洋司×制作・ボンズという『STARDRIVER 輝きのタクト』スタッフが再集結した本作は、公式サイトによると、「(『STAR DRIVER』で)閉鎖空間を打ち破ったあとに、いったいどんな物語を描くことができるのか」というところから企画がスタートした作品。  前作は80年代ロボットアニメリスペクトな、ワカメ影やBL塗りつぶしといった作画や、ケレン味のきいた演出で迫力のバトルを描いてくれましたが、今回はどんな濃いメカアクションを見せてくれるのでしょうか。非常に楽しみです。 ●『ブレイクブレイド』  2010~2011年にかけて劇場公開された全6章のアニメを、テレビシリーズとして再構成した本作。ファンタジックな世界観と、鉄の重みを感じる重厚かつリアルなロボットアクションが大きな話題を呼びました。  OP、EDが一新されるほか、劇場版アニメでは描かれなかった「ジルグ対スペルタ部隊」も新作映像で追加される、との情報がすでに発表されています。原作コミックはまだ続行中ですので、今回の放送が終わったタイミングで「第2期制作決定!」のニュースが流れそうな気もします。 ●『シドニアの騎士』  「月刊アフタヌーン」(講談社)連載中のコミックを原作とする、SFロボットアニメです。太陽系が謎の生命体・奇居士(ガウナ)に破壊された1000年後。人類は、播種船・シドニアに乗って繁殖と生産を維持しながら宇宙を旅していた──という、なかなかハードな設定の本作は、古典SFにも通じる重さを感じさせつつ、いわゆる「学園もの」っぽいライトなノリも併せ持つ、異色のタイトル。  制作を手掛けるのは、これまで海外アニメや映画のCG制作中心に活動してきたスタジオ「ポリゴン・ピクチュアズ」。フル3DCGで制作されるそうですが、すでに公開されている映像を見る限り、原作のタッチを生かしつつ見ごたえあるメカアクションが展開しています。硬質なCGも、世界観にマッチしているような? 今春の期待作筆頭です。 ●『テンカイナイト』  夕方枠で放送される、子ども向けロボットアニメです。言うなれば『ダンボール戦機』系でしょうか。不思議なブロックを手に入れた主人公・大神グレンは、異世界キューブに転送されてしまう。そこで赤いロボット・ブレイヴンに変身してしまう能力を手に入れたグレンは、キューブで出会ったほかの子どもたちと共に戦いを繰り広げるという内容。  レゴブロックっぽいデザインがかわいくもあり、カッコいいロボットがどう活躍するのか注目です。 ●『M3~ソノ黒キ鋼~』  監督・佐藤順一×シリーズ構成・岡田麿里×メカデザイン・河森正治というビッグネームが集った本作。特に岡田・河森コンビは『AKB0048』『アクエリオンEVOL』でも、その強烈な個性のぶつかり合いから、他に類を見ない独特の作品を生み出しました。そんな2人の個性を、『カレイドスター』『ARIA』『たまゆら』の佐藤監督がどうまとめあげるのかに注目です! ちなみにメカデザインは、『バスカッシュ!』的なボディに、『コードギアス』に出たきたランドスピナーがくっついたようなイメージです。 ●『風雲維新ダイ☆ショーグン』  巨大ロボットが存在する江戸時代が舞台という本作は、童貞の主人公・徳川慶一郎が生娘とともに乗り込むことで、さまざまな形態に変化するロボット・スサノオに乗って戦うという内容。  確かに、ロボットは男子の身体の拡張願望を象徴している──とはよく言われますが、そこに生娘をもってくるとは! ストレートな題材に興味が沸きますね!  ちなみに本作は、公式Twitterもなければ公式サイトもしょっちゅう落ちていたりします。そんなわけで、今どきのアニメにしてはなかなか情報が見えない本作。どんな内容になるのか、逆に気になります。 ●『健全ロボ ダイミダラー』  悪の組織・ペンギン帝国とHi-ERo粒子(ハイエロりゅうし)をエネルギーに動くロボット「ダイミダラー」の戦いを描く本作。  一見、王道スーパーロボットアニメっぽい本作ですが、主人公・真玉橋孝一は、女子にエッチな行為をすることで粒子を発生させる能力を持っているということで、ヒロインにエッチな行為をしながら戦いに挑む、というかなりアレな設定だったりします。必殺技の名前も「ガリバーティンポ」とか、ストレートすぎるもの。  って、またエロス×ロボットの組み合わせですか! ***  ともあれ、リアルロボット系からスーパーロボット系。子ども向けからファンタジーものまで、多彩なロボットが出そろう今春の新作アニメ。中でも『ダイミダラー』と『ダイ☆ショーグン』は2ダイ・煩悩ロボットアニメとして注目ですね。 (文=龍崎珠樹)

フルCG映画『聖闘士星矢 Legend of Sanctuary』公開決定! あらためてチェックしたい『星矢』作品

saintmovie.jpg
映画『聖闘士星矢 Legend of Sanctuary』公式サイトより
 伝説的バトルコミック『聖闘士星矢』(原作・車田正美)が、今年6月にフルCG映画『聖闘士星矢 Legend of Sanctuary』として復活するということで、全国のマサミストたちが注目しています。 「聖闘士星矢」とは、1985年から1990年にかけて「週刊少年ジャンプ:(集英社)にて連載された、80年代を代表する少年漫画の一つ。星座をモチーフとしたプロテクター「聖衣(クロス)」をまとった美少年たちが、ギリシア神話の女神アテナの生まれ変わりである城戸沙織を守るべく、命がけのバトルに挑むという内容のアクション大作です。  本作の特徴はなんといっても、神話をベースとしたファンタジックな世界観と、端正なビジュアルのキャラクターたち。女子ウケする要素全開の本作は、メインターゲットの男子のみならず、今でいうところの「腐女子」層に大ウケし、大量の薄い同人誌が即売会で飛び交ったそうです。  ちなみに連載の当時の筆者は、カリカリの鼻たれ小学生。そんな大人の世界の盛り上がりとは別に、玩具メーカー・バンダイから発売されていた聖衣の着脱が可能なアクションフィギュア「聖闘士聖衣体系(セイントクロスシリーズ)」に大ハマりしていました。この玩具も大ヒットを記録したそうで、87年度男子玩具最大のヒット商品となりました。  そんな作品の人気は海外にも波及。特にフランスでの過熱ぶりは格別だったようで、当時、新刊が到着する船便を現地のファンが港で待ち構えていたという都市伝説もささやかれていました。  このようにビッグバン的大ヒットを記録した『星矢』だけあって、現在も玩具やアニメ、コミックなどさまざまなメディアでシリーズが展開中なのです。  しかし、あまりにも多岐にわたるメディア展開のために、「それぞれの作品の関係性や内容がよく分からん!」という人も多いはず。そこで、今回はざっくりと現在進行中の『聖闘士星矢』シリーズをチェックしてみたいとと思います! ●『聖闘士星矢 NEXT DIMENSION 冥王神話』
saintmeiou.jpg
 現在、「週刊少年チャンピオン」(秋田書店)で不定期連載中のコミック。手掛けるのは原作の車田正美。ということで、本作が原作コミックの正統な続編といえます。冥王ハーデスとの決戦で重傷を負った星矢は、ハーデスの呪いで余命3日! そこで、今まで星矢に救われ続けてきた沙織さんは一念発起して、星矢を救うべく立ち上がります。なんだかんだあって、243年前の前聖戦の時代にタイムスリップした沙織さんですが、なんとまたも赤ん坊の姿でアテナ神殿に降臨してしまうのでした! 瞬、紫龍、氷河、一輝といった青銅聖闘士も過去にタイムスリップし、先代ペガサスの聖闘士・天馬とともにハーデス軍との戦いに臨みます。  序盤は車田正美自身も手探りで続編を執筆している感もあった本作ですが、現代とストーリーがリンクするようになったあたりから徐々に筆が乗ってきた様子。ここ最近は「これぞ車田節!」とでもいうべき、ベタながらも熱い展開が続いています。歴史の闇に葬られた十三人目の黄金聖闘士・蛇つかい座の聖闘士が登場したり、劇場用アニメ『聖闘士星矢 天界編~序奏~』の設定やプロットを盛り込みつつ、それをブラッシュアップした先が読めない展開がたまりません。とりあえず『聖闘士星矢』の続編漫画が読みたい! という方には、ぜひ押さえていただきたい作品です。 ●『聖闘士星矢Ω』
91cRezybJJL._AA1500_.jpg
 現在、テレビ朝日系列で放送中の「アニメ版の」続編ともいえるアニメ作品です。ファンなら周知の情報ですが、原作とアニメ版でかなり『聖闘士星矢』の設定は異なっています。  一例を挙げると、原作だと序盤のボスキャラ・教皇の正体は、13年前に当時の教皇であるシオンを暗殺したサガ……という設定でしたが、アニメ版では物語スタート開始の時点で前教皇シオンは存命。しかし、13年前にその弟であるアーレスをサガが暗殺にすり替わり。さらに、物語序盤の銀河戦争開始時にアーレスになりすましたサガが、シオンを暗殺し、アーレスとして教皇の座に就く……という、ややこしい設定になっています。  そのほか、原作には登場しなかった謎の聖闘士・鋼鉄聖闘士(スチールセイント)が出てきたり、「我が師の師は、我が師も同然!」という迷セリフが飛び出したりと、原作とほぼ同時進行で制作されていたがゆえに発生した設定の食い違いが多くあり、アニメ版『星矢』の世界と原作版『星矢』の世界は、パラレルワールドと言ってもいいかもしれません。  そこで、現在放送中の『Ω』は、思い切って「アニメ版」の設定をベースに、数年後の世界の物語を描いています。黄金聖闘士に出世した星矢や紫龍、新生聖衣で登場する氷河、瞬、一輝。ムウのあとを継いで白羊宮を守る貴鬼、後進を育てる二軍青銅聖闘士たち、白銀聖闘士にランクアップするヒドラの市様など、前作ファンには嬉しい要素のほか、まさの鋼鉄聖闘士復活など「アニメ版」愛にあふれる設定や展開が満載。土曜日早朝という、リアルタイムで見るにはなかなかつらい放送時間ではありますが、未見の方はぜひ一度チェックしてみてください! ●『聖闘士星矢 THE LOST CANVAS 冥王神話』 
nn41Y9J6FYPDL._SL500_AA300_.jpg
 「週刊少年チャンピオン」にて連載されたコミックであり、作画を手掛けたのは車田正美作品の大ファンという漫画家・手代木史織。本作はペガサスの聖闘士・テンマと、冥王ハーデスとして覚醒してしまった親友・アローン。女神アテナとして覚醒した幼なじみの少女・サーシャの3人を中心に前聖戦の戦いを描く作品です。当初は、『聖闘士星矢 NEXT DIMENSION 冥王神話』と同じ物語を、異なる視点で描くという触れ込みでスタートした本作ですが、いつしかそれぞれ異なる展開を見せ始め、現在は同じ時代を舞台としながらもまったく異なるパラレルな存在となりました。  すっきりした絵柄と、原作リスペクトに満ちた内容となっており、古参ファンからも好評だったらしくOVAも全26話にわたって制作されました。現在、本作に登場する黄金聖闘士を主人公にしたオムニバス『聖闘士星矢 THE LOST CANVAS 冥王神話 外伝』が、「別冊少年チャンピオン」(秋田書店)にて連載中です。 ●『聖闘士星矢 セインティア翔』
saits.jpg
 本作が、一番新しい「星矢」シリーズ作品です。主人公は、女神アテナを直に守る女性聖闘士である聖闘少女(セインティア)・子馬座(エクレウス)の翔。本来、女性聖闘士は女性であることを捨てるために仮面をかぶっていないといけない、という設定が存在しています。ということは、主人公は仮面女子? と思う熱心なファンもいるかと思いますが、そこはアテナの侍女という性格も持ったセインティアだけに、特別に素顔を出したままでも無問題!  物語は十二宮編後の時系列ということで、どうやらポセイドン編開始までの空白期間が描かれる本作は、現在「チャンピオンRED」(秋田書店)にて久織ちまきの作画で連載中。本編に連なる限りなく正伝に近い内容となっており、新たな聖闘士像をどう描くのか、気になりますね! ***  というわけで、簡単ながら現在進行中の『聖闘士星矢』作品を振り返ってみました。今回紹介したタイトル以外にも、昨年完結した若かりし日の黄金聖闘士の活躍を描いた『英闘士星矢 EPISODE G』というコミックも存在しています。これらの作品をまとめて読めば、より『聖闘士星矢』の世界への理解が深まるはず!  ちなみに『聖闘士星矢 Legend of Sanctuary』は、原作屈指の人気エピソードである十二宮編を劇場用アニメとして再構成したものになるそうです。単純に2時間の映画として考えても、1ステージあたり10分弱でケリをつけないといけない、すさまじいドタバタマラソンになる気もしますが、そこはきっと原作を良改変することできちんとまとめ上げてくれるはず(いや、マジでお願いします)!  公開が今から楽しみですネ! (文=龍崎珠樹)

最新作『トッキュウジャー』も期待大!? 人気声優が顔出し出演する、スーパー戦隊シリーズに注目!

41X3EVCVZDL.jpg
『特捜戦隊デカレンジャー オリジナルアルバム キャラクターソングス』(コロムビアミュージックエンタテインメント)
 先日、特撮好きで知られる男性声優・鈴村健一と神谷浩史が、映画『平成ライダー対昭和ライダー 仮面ライダー大戦feat.スーパー戦隊』に出演することが発表され(配役はシークレット)、声優ファンを驚かせましたが、実は特撮モノでは、声優が顔出しで出演することが多いというのは特撮ファンの間では周知の事実!  特に今回の映画でフィーチャリングしている「スーパー戦隊」シリーズ、大御所からアイドル声優まで出演者は多種多様。そこで今回は、「スーパー戦隊に顔出し出演した声優」を振り返ってみましょう!  スーパー戦隊シリーズに顔出し出演する声優は大別すると、「後に声優に転向、もしくは声優としても活動するようになる俳優」「登場キャラクターに声を当てている声優」の2パターンに分類できます。前者のパターンでいうと、古くは『バトルフィーバーJ』に声優転向前の日高のり子が伊東範子名義で出演していたエピソードや、『電磁戦隊メガレンジャー』メガブルー/並樹瞬役でデビューを果たした松風雅也をはじめ、『特捜戦隊デカレンジャー』にデカピンク/胡堂小梅役として菊地美香が、デカイエロー/礼紋茉莉花役として木下あゆ美が出演していたことを覚えている特撮ファンも少なくはないでしょう。  最近は、『侍戦隊シンケンジャー』のシンケンブルー/池波流ノ介役の相葉裕樹、『海賊戦隊ゴーカイジャー』のゴーカイシルバー/伊狩鎧役の池田純矢が、それぞれアニメ『銀河機攻隊マジェスティックプリンス』の主役キャラで声優デビューを果たしたほか、同じく『海賊戦隊ゴーカイジャー』ゴーカイイエロー/ルカ・ミルフィ役の市道真央も、後にM・A・O名義で声優活動を開始しています。  後者も伝統的に多いパターンです。普段はスーツアクターが中に入って演じる着ぐるみキャラが、人間の姿に変身して街に繰り出す……みたいなシーンは特撮ドラマではよくあるエピソードですが、その際に声を当てる声優が「中の人」として出演することが多いのです。つい先日まで放送されていた『獣電戦隊キョウリュウジャー』でも、賢神トリン役の森川智之、キャンデリラ役の戸松遥、ラッキューロ役の折笠愛がバッチリ顔出し出演し、声優ファンを歓喜させました。(特に戸松遥は、ブルーとの恋愛エピソードや、最終話のエピローグでも出演するなど、たびたび出演するという破格の扱い!)  そのほかにも、『炎神戦隊ゴーオンジャー』ではそれまで味方のメカや敵を演じていた浪川大輔、江川央生、梁田清之、真殿光昭が別キャラとして顔出し出演したほか、『救急戦隊ゴーゴーファイブ』にて『新世紀エヴァンゲリオン』の惣流アスカ・ラングレー役でおなじみの宮村優子が速瀬京子役で、『秘密戦隊ゴレンジャー』『電撃戦隊チェンジマン』などスーパー戦隊シリーズ黎明期から複数タイトルのナレーションを担当した田中信夫が『激走戦隊カーレンジャー』で床屋の親父役で出演。  また、『それいけ!アンパンマン』のばいきんまん、『ドラゴンボールZ』のフリーザ様などで知られる中尾隆聖が、歌手・吹雪豪役で出演した『電子戦隊デンジマン』も忘れられません。劇中で歌った「銀河ハニー」は名曲です! 中でも、個人的にイチオシなのが『侍戦隊シンケンジャー』では敵キャラクター・薄皮太夫の声を演じていた朴ロ美が、化物になる前の人間態を演じたシーンです。恋人に裏切られ、怒りと絶望に狂う花魁という業の深いキャラを熱演する朴の姿は、舞台で鍛えられた役者としての本気ぶりがひしひしと感じられます。  さて、そこで先日から放送がスタートした『烈車戦隊トッキュウジャー』ですが、キャストを見てみると、チケット君役に山口勝平、ワゴン役に堀江由衣、ネロ男爵役に福山潤、ノア夫人役に久川綾、グリッタ嬢役に日高のり子が登板しています。今年は彼らの中から誰が顔出し出演するのか? はたまた、ゲストキャラとしてそれ以外の声優が出演するのか? 今から期待が高まりますね。  思えばもともと声優は、俳優の仕事の一部でした。そう考えると、声優が顔出しで出演することはなんら不思議なことではありません。むしろ、アニメやゲームなどでは味わえない、声優たちの役者としての生身の演技を見られるということで、こういった顔出し出演は非常に貴重なものといえるでしょう。今後も特撮ドラマは要チェックです! (文=龍崎珠樹)

リア充アニメ『ゴールデンタイム』が突きつける、アイデンティティ問題

goldentime.jpg
『ゴールデンタイム』公式サイトより
 現在放送中のアニメの多くがクライマックスに向けて助走を開始した感のある今日この頃ですが、ぶっちぎりで僕の豆腐メンタルを刺激しまくる作品が、『ゴールデンタイム』です。  本作は、テレビアニメ化され、大きな話題を呼んだライトノベル『とらドラ!』原作者・竹宮ゆゆこの最新作。高校生たちの瑞々しい恋愛模様に注目が集まった前作に対し、今回は大学生たちの、ちょっぴり大人な恋愛模様が描かれます。  あらすじは以下の通り。高校時代に交通事故に遭い、記憶喪失となってしまった主人公・多田万里は、東京の大学へ進学。そこで出会ったエキセントリックなお嬢様・加賀香子と、やがて恋人同士となります。しかし、万里は高校時代の同級生にして、現在大学で同じサークルに所属している「リンダ先輩」こと林田奈々のことが好きだったという過去があったのです。万里は、「現在」の自分と「過去」の自分の間で揺れることになる……。というもの。この設定だけでも、なんとも切ないラブストーリーが想像できるのですが、僕にとっては別の部分で切なくなってしまうのです。  というのも、本作の登場人物たちは、そろいもそろってリア充ばかりだからです! 「リア充」とは、「リアル(現実世界)で充実している人たち」を指すネットスラングです。「個人で楽しむ趣味や仕事に没頭していても、それで充実しているならリア充だろ!」という言説もありますが、ここでは広義で捉えられている大学のイベントサークルノリと定義します! 異論は認める!  例えば、「男女問わず友達が多い」「飲み会や合コンをしょっちゅう開いている」「季節のイベントは、みんなで盛り上がる」「なぜかバーベキューをすぐにやりたがる」「コミュニティ内で男女がくっついたり、離れたり」みたいな、それこそ「絵に描いたような理想の大学生活」を送る大学生のノリとでも言いましょうか。『ゴールデンタイム』で描かれる青春像は、まさにこの通りなのです。  いわゆるアニメで描かれる青春ドラマというと、学校とその周辺が世界のほとんどと言える中高生の物語であったり、『げんしけん』のようなオタク趣味を持つ大学サークルの物語がこれまで大半を占めていました。で、実際そういった作品は見ていて非常に楽しいというか、閉じた自分の世界の延長線上にある「理想郷」を思わせて心が落ち着くんですよ。なぜなら、僕は腐れオタクだからね! 「ああ、自分もこういうサークルに参加したいなあ」「こういう学校生活を送りたかったなあ」。これらのアニメは、僕のようなだめなオタク野郎の理想を具現化し、現実逃避させてくれる素晴らしい装置だったのです。『とらドラ!』も同じく、「何か心に闇を抱えている女子を、僕の力で救ってあげたい! でも、心に決めた女子以外はあえてフるけどな!」という、精一杯のマチズモを満たしてくれる最高の作品でした。  しかし、『ゴールデンタイム』はそんな僕らの心の聖域にズカズカと入り込んできて、世の中にはこんなにキラキラと輝く青春を送る若人たちがいるんですよ、男女問わず素晴らしい交友関係を結ぶことができるのですよ、と高らかに歌い上げるのです! うわあああああ! やめてやめてやめてよ! 今まで見ないふりをしていたのに! 気づかないふりをしていたのに! 僕、大学ではボッチだったよ! アニメも本当は一人で見ていたよ! オタクな上にコミュ障だったから、大好きなアニメを誰かと語り合うことすらなかったんだよ!  Twitter上では僕と同じく、「『ゴールデンタイム』見てると、なんかこう胸に来るものがある」「見てるとつらい」「あんなの、大学生いじめだ……」「メンタルがやられる」といった具合に、『ゴールデンタイム』のあまりのキラキラした青春ドラマぶりにダメージを受けている同志もちらほら。  しかし、それでも我々は『ゴールデンタイム』を見続けてしまうのです。それはなぜでしょうか? 非リア充だった僕のような視聴者も、本作を見ていくうちに「ああいう青春を送りたかったなあ」「ちゃんとサークルに入ればよかったなあ」「もっとほかの人と交流すべきだったなあ」などと、自分の過去と向き合い始めている自分に気づくことでしょう。 あるいは「こんな青春なんてないよ!」「やっぱりこういう連中はいけすかない!」と拒絶反応を示す人もいるでしょう。中には「今の大学生活は、こんなに充実していない……」と、逆に現在の自分の姿とのギャップに衝撃を受ける現役大学生もいるかもしれません。 その姿こそ、まさに過去の自分と立ち向かうことになる『ゴールデンタイム』のキャラクターそのもの。  物語も後半に突入した現在、今まさに香子と恋人関係にある万里はリンダが好きだったという過去の記憶と対峙することになりますし、ほかのキャラクターも過去とどう向き合うか、という描写に物語の比重が置かれていきます。過去と現在の相克こそが本作のテーマと捉えるならば、我々視聴者もまた本作を見ることで、否応なくその物語のテーマと向き合わされているのです。一見ただのリア充ラブコメと思わせておいて、ズシンとヘヴィなアイデンティティの問題を我々視聴者に突きつける本作の構成力と描写力は、タダモノではありません。  一本のエンタテインメント作品でありながら、視聴者を巻き込んで考え込ませる問題作『ゴールデンタイム』。その行く末は見逃せません。 (文=龍崎珠樹)

大御所アニソン歌手も激怒! 若手の台頭で問われる、アニソン界の問題点とは

4175pn0H0fL.jpg
『J-アニソン神曲祭り~レジェンド~』(SMAR)
「某大御所アニソン歌手の“もうあの子たちを同じステージ立たせるな!”という声を聞いた時、現場は凍りましたね」 と語るのは、アニメソング系イベントの某スタッフ。事件は、昨年開催されたデビュー直後の若手から、アニソン黎明期から活躍する大御所までが一堂に会するアニソン系ライブイベントの終了後に発生した。先述の某大御所歌手は、あまりにもふがいないパフォーマンスを披露した若手アニソン歌手に対して、怒りをあらわにしたのだという。 「確かに一喝された若手のステージは、褒められたものではありませんでしたね。キーは外す、歌詞は飛ぶ。そのくせ、煽ることだけはしっかりやるもんだから、歌うことに対して真剣な人ほど、そのステージングに納得がいかなかったと思いますよ」(同)  この大御所歌手は、アニメソング黎明期に10代の頃より活躍。シーンの最前線に立ち、今も精力的な活動を繰り広げる伝説的存在だ。日夜、芸の鍛錬を続けてきた氏のデビュー直後のレコードを聞けば、最初から完成された歌唱に誰もが耳を奪われることだろう。しかし、その裏には決して表には見せない日々の努力があったことも、さまざまなインタビューに残されている。  一方、いまだアニソンが「子ども向けの童謡」として扱われていた時代から活躍していただけに、業界内外で多くの苦汁を舐めてきたことも想像に難くない。そんな氏だけに、ビジュアルやアイドル性を重視し、技術的に未熟なままデビューさせられてしまう若手アニソン歌手たちの存在に思うところがあったのだろう。かねてより若手の技術不足を嘆いていたらしく、この日、その惨状を目の当たりにしてついに堪忍袋の緒が切れてしまった、といったところだろうか。  もちろん若手アニソン歌手といっても、ピンからキリまでいる。例えばニコニコ動画出身のGは、その歌唱力はもちろん、業界内でも明るい性格や礼儀正しい姿勢が評判となり、いまや若手アニソン歌手の有望株として人気も業界内の評価も急上昇中である。その一方で、同じくアマチュアバンドのボーカルから、某大ヒットシリーズの主題歌歌手へと大抜擢されたKは、スタッフへの暴言や、ファンに手をつける、多くの金銭問題など、歌からは想像もつかない素行の悪さが問題視されている。  とどまるところを知らない人気と売り上げを記録するアニソンシーンだが、同時にモラルの問題も膨らみつつあるのかもしれない。芸能人は破天荒なほうが芸に魅力が増す……とはよくいわれることだが、最低限、業界内に対しては筋を通せるようにならなければ、遅かれ早かれ干されてしまうのでは? ……というのは、余計なお世話だろうか。 (文=龍崎珠樹)

超豪華エンタメ作からヤマカン最新作まで! 2014年冬クール“極私的”おすすめアニメ

anime127.jpg  1月ももうおしまい! 2014年冬クールアニメも一通り出そろったということで、極私的おすすめアニメを羅列してみたいと思います! 「あれがない」「これがない」というクレームは受け付けません! 極私的だもんね! ■『スペース☆ダンディ』  レトロフューチャーなビジュアルが印象的な本作は、伝説的アニメ『カウボーイビバップ』に参加したスタッフをはじめ、大友克洋、田島昭宇、円城塔、ロマン・トマ、大河原邦夫、宮武一貴など豪華クリエイターが参加。音楽面も菅野よう子、岡村靖幸、やくしまるえつこ、ミト(クラムボン)、川辺ヒロシ(TOKYO No.1 SOUL SET)、☆Taku Takahashi(m-flo)など、そうそうたる面々が集結した超豪華な作品です。  その内容は、絵が動く動く! お話もコミカルで、派手なアクションあり、映画のパロディあり、お色気ありと、なんでもアリな内容。アニメーションの持つ想像力の自由さは無限大だということを再認識させてくれる、エンタテインメント作品となっています。本作を一言で言うなら、「クール」です! ■『バディ・コンプレックス』  来ました来ました来ましたよー! サンライズお得意の、リアルロボットアニメ最新作です。『ガンダム』シリーズをはじめ、多数のロボットアニメを生み出してきた同社の若手スタッフ中心の編成となっており、作品全体にも心なしか勢いが感じられます。  見どころはなんといっても「カップリングシステム」でしょう。渡瀬青葉と隼鷹(じゅんよう)・ディオ・ウェインバーグのイケメン主人公2人が、戦闘中にお互いの乗り込むロボット(劇中ではヴァリアンサーと呼ばれる)を接近させ、「プロポージング!」のセリフを叫ぶと、2人は感覚や操縦技術を共有。さらに機体も変形し、パワーアップしてしまうこのシステム。  ボーイズラブ要素をにおわせる名称が気になりますが、単純にバディものとして見てもなかなか熱い設定です。特に、ピンチのシーンで2人が肩を寄せ合ってからの一発逆転という展開は、ヒーロー物の王道。作画のクオリティも非常に高く、手描きのロボットがグリグリと空中戦を繰り広げる様は痛快です。ロボットアニメ好きなら、チェックして損はありません! ■『いなり、こんこん、恋いろは。』  ふとしたきっかけで変身能力を授かった女子中学生・伏見いなりが、その能力を通じて恋愛や友情を育むというストーリーの本作。本作の魅力を語るなら、とにかく美麗な風景とキャラクターのかわいらしさ。そして、非常に丁寧な人物描写でしょう。二転三転するストーリーの中で、生き生きと動き回るキャラクターたちは、みな素直で優しく、温か。そこで展開するちょっぴり不思議な人間ドラマは、どこか懐かしくもあり、老若男女楽しめる上質なファンタジーです。  この雰囲気は何かに似ているな~と思ったら、80年代にスタジオぴえろが制作していた『魔法少女』シリーズです。あえて言うなら、『魔法のスター マジカルエミ』の空気感に近いのかなあ。  制作を担当するのは、AICから独立したスタッフによって設立された新会社・プロダクションアイムズ。同社初の元請作品となります。 ■『みんなで集まれ!ファルコム学園』  すみません。僕、日本ファルコムのゲームが大好きなんです。『イース』シリーズやら『英雄伝説』シリーズやら、日本ファルコムのゲームキャラたちが集まってドタバタやってるだけで満足なんです。ストーリーとか作画とか、そういうのはどうでもいんです。リリアが、エステルが、ティオが毎週動いてしゃべって、何かワチャワチャやってるだけで感無量なんです。そんな僕らのための作品です。ま、2分枠アニメなんで多くを求めてもね。 ■『となりの関くん』  今期のベスト花澤さんアニメです。毎回、授業中に隣の席で予想外の行動を取る関君に対し、花澤香菜演じる横井るみがすさまじいテンションでツッコミを入れまくる姿は、それだけで笑えます。  また、エンディングテーマ「Set Them Free デスクトップドラムver.」では、カシオペア、熱帯JAZZ楽団で知られるドラマー・神保彰がドラム演奏で参加。関君のコスプレをした神保が、実際に机の前に座り、この曲に合わせて筆箱や茶わんなどを叩いている姿が自身のFacebookで公開され、大きな話題を呼びましたが、とにかく遊び心あふれる本作。一日の最後に、何も考えずゲラゲラと笑えることをお約束します! ■『WakeUp,Girls!』  いろいろな意味で世間に話題を振りまく、ヤマカンこと山本寛監督の最新作です。内容は、東北を舞台にしたローカルアイドルの活躍を描く、といったもの。アイドル物アニメというと、すでに飽和状態と思われていましたが、ヤマカンはどこまでも泥くさく、リアルな「芸能」の姿を描こうとしています。社長の資金持ち逃げから始まり(その後、なし崩し的に元のさやに戻りますが)、スーパー銭湯での水着ライブ&接待、パンチラをも辞さないライブ……。とにかく華やかではなく、露悪的なまでに泥くさい芸能の世界が描かれます。  正直、最初は冷やかし半分で見ていたのですが、第3話まで見た時になぜか感動し「もっと見ていたい」と思っている自分がいました。本作の魅力はどこにあるのでしょうか?  なんの武器も持たず、ビジュアルという時限式の資本だけで芸能界に飛び込んだアイドルたちは、毎回さまざまな「現実」と直面します。芸能界という「現実」、自分たちの知名度という「現実」、男性が自分たちをどう見ているのかという「現実」、そして震災以降の東北という「現実」……。と同時に、そういったシビアでリアルな現実の中で、少女たちは誰かにとっての希望かになれるかもしれないという、自分たち自身の「希望」に気づいていきます。  そういう「少女たちの目覚め」を描こうとしている本作は、ファンがアイドルに何を期待しているのか。アイドルを求める我々は、何に絶望し、何に希望を抱いているのかを浮き彫りにしてくれるのかもしれません。そういったリアルなドラマと、地に足の着いた感動が本作の魅力なのではないでしょうか。  ただ、残念ながら本作が大ヒットに至ることはないかもしれません(だって、作画面が絶望的にダメダメなんです……。これは致命的!)。しかし、だからといって「ダメアニメ」の烙印を押すには惜しすぎる……。本作が内包するテーマとドラマ性に、一抹の期待を感じずにはいられません。 ***  以上、勝手に思うままに書きなぐってみました。ほかにもこんな面白い作品があるよ! という方はぜひ教えてくださいね! ではっ! (文=龍崎珠樹)

効果のほどはいかに? ヒットアニメとヒット祈願の関連性

mikakunin.jpg
『未確認で進行形』TVアニメ公式サイト
 皆さん、あけましておめでとうございます! 今年もアニメ業界の重箱の隅をつついていくのでよろしくね! というわけで、新年一発目の「アニメ時評」は、アニメ作品と神社の関係についてフォーカスしちゃうぞ!  1月7日、放送開始を翌日に控えた新アニメ『未確認で進行形』スタッフ・キャストが、アニメヒット祈願のために日枝神社に参拝したというニュースがアニメ関連媒体にアップされ、ネット上を賑わせた。この「ヒット祈願で神社参り」という一連のプロモーションは本作に限ったものではなく、アニメ以外にもゲン担ぎとしてさまざまなジャンルで行われている、ある種「エンタメ界定番のPR」といえる。  そこで今回は、過去にヒット祈願したアニメを探して、「ヒット祈願とアニメヒットの関係性」についてざっくりと振り返ってみよう! まずはテレビアニメから。 『パパのいうことを聞きなさい!』……神田明神(東京都) 『カンピオーネ!』……新田神社(東京都) 『メガネブ!』……都内某神社 『夏目友人帳』……今戸神社(東京都) 『ゲゲゲの鬼太郎』×『墓場鬼太郎』……赤城神社(東京都) 『有頂天家族』……下鴨神社(京都府) 『魔法少女まどか☆マギカ』……不明 『青の祓魔師』……不明  実際にヒット祈願のために参拝した作品ははるかに多いのだがとりあえず、代表的なものをピックアップ。どことなく和風な世界観の作品、オカルトめいた作品が多い気がするが、やはり厄払い的な意味合いもあるのだろう。『まどマギ』みたいな空前のヒット作もあれば、「あったねえ、そんなアニメも」的な作品もあったりと、あんまりお参りとヒットの間に関係性はなさそうな印象……?  さてさて、お次は劇場用アニメ。 『ドットハック セカイの向こうに』……赤城神社(東京都) 『おおかみこどもの雨と雪』……真田神社(長野県) 『長ぐつをはいたネコ』……今戸神社(東京都) 『劇場版 文学少女』……氷川神社(東京都) 『プレーンズ』……成田神社(千葉県)  こちらもいくつかピックアップ。細田守監督もヒット祈願していたなんて、ちょっと意外! また『長ぐつをはいたネコ』の時は、当時、ロンドン五輪を目指してカンボジア国籍を取得したばかりの猫ひろしも同席。『夏目友人帳』スタッフもお参りした今戸神社は、招き猫発祥の地らしい。そのほか、ピクサー最新作『プレーンズ』が成田神社というのは大変わかりやすい構図である。そんな感じで、よりイベント色が強いのが劇場用アニメの傾向といえる。  といった具合に、かなり乱暴に神社へのヒット祈願とヒットアニメの関係を検証してみると……。よくわからん! というのが正直なところ。ともあれ。アニメがヒットするかどうかなんて、視聴者が見てくれるまでは神のみぞ知ることである。  ただ人事を尽くして天命を待つ、という言葉があるように、ヒット祈願をする作品というのは、スタッフが全力で作品を作り上げて、あとは視聴者が思い切り楽しんでくれるのを期待するばかり、という制作側のアニメにかける本気度の表れともいえる。我々視聴者も、そんな制作者たちの熱い思いをかみしめつつ、アニメを楽しもうじゃないか! (文=龍崎珠樹)