ドコモ「カケホーダイ&パケあえる」よりおトク!? 通話サービスの価格破壊、月額無料のIP電話サービス

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IP電話アプリ「050 plus」
 ドコモの新料金プラン「カケホーダイ&パケあえる」が6月1日にスタートした。200万件もの事前予約を取るなど、注目を集めている。通話料を抑える目的のユーザーも多数いるはずだが、それならばもっと安く済ませる方法もある。  インターネット回線を利用し、音声通話を行うIP電話だ。050から始まる電話番号を割り当てられ、電話代が割安で済むのが特徴。「LINE電話」や「Skype」などは無料で通信できるが、同じアプリをインストールしている必要があるのがネック。IP電話は電話番号を割り振られるので、普通の電話として利用できるのだ。  IP電話を使うなら、電話回線は不要。MVNOの安価なデータ通信SIMだけを契約すればいい。そうすれば、基本料金1,000円以下でスマホを持つことが可能になる。電話代は別途かかるが、IP電話は通話料も安く設定されている。例えば、「050 plus」というIP電話サービスの場合、固定電話なら3分8.64円、携帯電話なら1分17.28円で通話できる。「SMART」なら、一律30秒8円と、携帯電話への通話料金がさらに安い。一方、例えばauのLTEプランでは、通話料金は30秒20円。料金の差は圧倒的だ。  電話をたくさんかける人なら、IP電話を使わない手はない。電波が届いていれば、通話は安定しているし、従来の電話よりも高音質なくらいだ。電波が弱くネット回線が不安定だと、通話状態も悪くなるが、それは従来のキャリアでも同じこと。  逆に、電話をあまり使わない人でも特になる。ほとんど電話を使わないのに、1,000円近い基本料を払うのはもったいない。月額無料で、使った分だけを支払うIP電話のほうがお得だ。  今のところ、IP電話やMVNOの普及度は低い。自分で情報を調べて、ネットで購入するというハードルが高く感じられるためだ。しかし、毎月6,000~7,000円の支払いで2年縛りもある大手キャリアを負担に感じているなら、MVNO+IP電話をオススメする。通信量や通信速度に制限があるサービスもあるが、その分スマホの維持費が格段に安くなる。  IP電話は、すでに価格破壊のくさびを打ち込んでいる。今後、じわじわと広まっていくことは確実。将来は、IP電話が主流になることは間違いない。少々ネットで情報を収集する必要はあるが、少しでも通信・通話料を抑えたい人ならチャレンジする価値は大きい。 (文=柳谷智宣)

話題の音楽サービスは二極化? 「iTunes Match」VS「Spotify」日本戦がついに開幕か

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Apple公式サイトより
 アップルのiCloudを利用した音楽サービス「iTunes Match」の日本語版が、5月2日にスタートした。米国では3年前からあるサービスで、日本での利用料金は年間3,980円となる。 「iTunes Match」の特長は、ユーザーが持っている楽曲をiCloudで預かってくれる点。ネットにつながっていれば、PCやスマホなどすべての端末で音楽を楽しめるようになる。従来でも、PCに音楽を取り込み、個別の端末と同期すれば可能だったが、その手間がなくなるのだ。加えてユニークなのが、ユーザーがCDから取り込んだ音楽まで対象になる点。これまでレンタルCDなどを利用してiTunesに取り込んだ楽曲も、iCloudにアップロードできるのだ。とはいえ、ここまでなら他のクラウドサービスだけでも実現できるかもしれない。「iTunes Match」で注目を集めているのが、取り込んだ楽曲のマッチング機能。ユーザーの曲を解析し、iTunes Storeで扱っている曲と同じ場合はアップロードしなくて済むのだ。iTunes Storeの音楽ファイルはAAC形式でビットレートは256kbps。以前はもっと音質の悪いMP3で、低ビットレートで取り込んでいた人が多いはず。つまり、CDから取り込んだ曲が、手間をかけずに高音質になるというわけだ。  iTunesで音楽を楽しんでいる人にとって、手持ちの音楽がすべての端末で手軽に利用できるようになり、音質もアップするのであれば、月当たり332円というコストは安いと感じるはず。楽曲を同期することなく、さまざまな端末で音楽ライブラリを再生できるのも楽しい。Apple TVも対応しているので、リビングのBGM再生もはかどることだろう。ストリーミング再生が可能になるので、iPhoneやiPodの容量を圧迫しなくなるのもうれしいところ。あらかじめiCloudからダウンロードしておけば、従来通りオフラインでの再生も可能だ。  ただ注意したいのは、CDから取り込んだ楽曲は2万5,000曲までしか対応しない点。長年音楽を楽しんでいるユーザーだと、オーバーすることもあるだろう。そんな時は、ALACやWAVといったロスレスで取り込んだ楽曲や、256Kbps以上のビットレートの楽曲をライブラリから外す手がある。これらのファイルはiCloudにアップロードされる際には256kbpsのAACファイルになるので音質が下がるためだ。とはいえ、お気に入りの曲であれば、別扱いは面倒。あまり聴かないアルバムを外して、2万5,000曲以下にするといいだろう。
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 これまであまりCDから音楽を取り込んでいないなら、「iTunes Match」はそれほど魅力的に感じられないかもしれない。そこで注目されているのが「Spotify」だ。2008年にスタートしたスウェーデン初の音楽聴き放題サービスで、ユーザー数は2,400万人、有料会員も600万人以上と人気を集めている。楽曲は洋楽を中心に2,000万曲以上を網羅しており、現在55カ国で展開している。著作権処理が面倒な日本では例のごとく遅れているが、それでもそろそろスタートしそう。「Spotify」(https://www.spotify.com/int/why-not-available/)のホームページではメールの登録が可能で、サービス開始を連絡してもらえるようになっている。  無料アカウントでは、数曲再生するたびに広告が流される。有料アカウントは広告なしで、月額はPC向けが4.99ドル(約500円)、PC/モバイル向けが9.99ドル(約1,000円)となる。膨大な音楽ライブラリから好きな音楽を好きなだけ聴けて、月額約1,000円というのは魅力的。無料でもそこそこ楽しめるので、若いユーザー層を多く獲得している。  日本でも低価格で提供し、「LINE」や「Facebook」といったソーシャルメディアに絡めて展開すればブレークする可能性は高い。Spotifyによると「今年に入ってから100万人の新規ユーザーを獲得し、iTunesの売上を超えるのは時間の問題」という。近いうちに、ダウンロード販売と「iTunes Match」でユーザーのライブラリを充実させるAppleと、ライトユーザーや音楽にお金を払わなくなった人たちを取り込む定額の聴き放題サービスの日本戦が始まる。どちらを選ぶかは、自分の音楽ライフのスタイルに合わせて決めよう。 (文=柳谷智宣)

あなたのケータイ代、高すぎない? 注目を集める「LCCスマホ」とは

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「ビックカメラ.com」より
 普段使っているスマホに、毎月いくら支払っているだろうか? 電話をあまり使わなくても6,000~7,000円、端末料金が加算されている場合は、8,000円を超える人もいるだろう。大手キャリアだとそれほど価格差はないが、今注目を集めているのがLCCだ。  LCCとはローコストキャリアの略で、格安で端末や通信回線を提供する事業者のこと。例えば、イオンは8,000台限定で格安スマホを発売。端末料金とデータ通信、音声通信の基本コストを全部合わせて月額2,980円となっている。ビックカメラは1,000台限定で、込み込み月額2,830円と格安だ。  大手キャリアの半額以下という価格を出せる理由はいくつかある。まずは、端末の調達コストが安いのだ。イオンは「Google Nexus 4」を採用している。Googleのリファレンス端末だが、発売は2012年11月。1年半前に登場した端末なのだ。Android OSこそ4.4に対応しているが、1~2世代古いことは確か。ビックカメラは「FleaPhone CP-F03a」。あまりなじみのない、COVIAというメーカーのシンプルな端末だ。  次に、通信機能に制限がある。MVNOと呼ばれる回線を利用しており、接続速度など大手キャリアとは大きく異なるのだ。イオンのスマホは「b-mobile SIM」を搭載し、データ通信速度は200kbpsと遅い。ビックカメラは14.4Mbpsだが、通信量は月に1GBまで。容量を超えると200kbpsに制限される。  4GやLTEをうたうサービスは、最大通信速度が75Mbpsと速い。一部の地域ではさらに高速通信が可能だ。それと比べると、200kbpsは段違いに遅い。動画のストリーミング再生は絶望的だし、アプリのダウンロードはもちろん、大きな画像の表示もつらいかもしれない。とはいえ、ウェブの閲覧やメールの送受信はできるし、LINEやソーシャルゲームのような通信量が少ないアプリなら問題なく利用できる。  ほかには、ドコモやソフトバンクなどのキャリアメールが使えなくなり、留守番電話やキャッチホンなどの機能が利用できないこともある。端末によるのだが、今のところはおサイフケータイも利用できない。  これらのデメリットを納得できるなら、月額コストを大きく抑えられるLCCはオススメ。2台目需要だったり、ウェブの閲覧やメールの送受信といったライトユースであれば問題なし。MNP(番号ポータビリティ)による高額キャッシュバックがなくなった今、LCCの存在感が増している。大手キャリアからLCCへのMNPも可能だ。  今後は、関西電力系の通信会社であるケイ・オプティコムやヨドバシカメラもLCCへの参入を予定している。この夏は、スマホ市場が大きく揺れそうだ。 (文=柳谷智宣)

ソフトバンクユーザーは要注意! 新料金プランは落とし穴あり

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ソフトバンク公式サイトより
 ソフトバンクモバイルは4月21日から、スマホ向けの新料金プランをスタートする。「VoLTE時代の新定額サービス」とうたっているが、落とし穴がいくつかあるので注意が必要だ。  新しい料金プランは、S/M/Lパックの3種類から選べる。大きな特徴としては、音声通話を一定回数追加料金なしでかけられるという点。Sパックなら、3分以内の通話を月に50回までかけ放題。M/Lパックなら、5分以内の通話を月に1000回までかけられる。パケット通信も含まれており、Sパックが2GBまで、Mパックが7GBまで、Lパックが15GBまでとなる。  価格は、Sパックが5,980円、Mパックが6,980円、Lパックが9,980円。パックと言っている割には、それに加えて月額利用料がかかる。通常契約で1,960円/月、2年契約でも980円だ。さらに、通話時間が3分もしくは5分を超えた場合は、30円/30秒の超過料金がかかる。パケット利用量も超過分は100MB当たり、100~250円の料金が発生する。  孫正義社長は、通話のリミットを超えそうな場合はかけ直せばいいと言っているが、用件のある電話の場合、そんなわけにもいかない。長電話をする人にとっては、明らかな値上げとなる。場合によっては、SkypeやLINEなどの無料通話サービスの検討も必要になるだろう。  また、パケット料金も要チェック。Mパックは従来のiPhone料金プラン通り7GBまで利用できるが、Sパックは2GBと少ない。動画を見たら、あっという間に到達してしまう量だ。しかも怖いのが、超過分に自動で課金されてしまう点。Sパックなら100MBごとに250円かかってしまう。通常は、容量オーバーを認識して利用する人はいないはず。Wi-Fiを使っているつもりで、LTEに接続してしまい、ニコニコ動画やYouTubeを見まくってしまうことのほうが多いだろう。そんな時に、青天井で課金されてしまうのは危険だ。  従来は、容量制限をオーバーすると、接続速度が128kbpsに制限されていた。これはこれで厳しいが、少なくとも料金が加算されることはなかった。新しいプランでもこの機能は用意されているのだが、なんと月額300円の有料オプションになっている。  試しに、料金をシミュレーションしてみよう。Mパックの場合、6,980円+基本料980円+ネット接続料300円+オプション300円=8,560円となる。iPhoneの従来プランでは6,434円と、明らかに高くなっている。5分までの通話が無料でできるとはいえ、あまり電話をかけない人にとっては2,000円もの値上げになる。この上げ幅は無視できないレベルだ。  Sパックの場合でも値上げになるのに、パケット通信料2GBは少なすぎる。Lパックならデータ通信量に余裕があるが、パック料金だけで9,980円は高すぎる。しかも、現在直近3日間に通信量が1GBを超えると、速度制限がかけられる。今のままの制限だと、計算して使いまくっても、15GBに到達しない可能性があるのだ。  ソフトバンクらしからぬ強気の値上げプランだが、一体どうしたのだろうか? KDDIの田中孝司社長は、類似プランを出す予定はなく、ソフトバンクの新プランについては「あれ高いよね」と言っていた。ドコモに至っては、6月からスマホの利用料金を値下げすると発表している。SIMフリー端末と組み合わせて超低価格で運用できるMVNOの人気も高まっている。ソフトバンクは4月21にまでに詳細をホームページで発表するとしているが、このままであれば大規模なユーザーの流出が発生しかねない。パックとうたうなら基本料も含め、危険度が大きい青天井システムではなく、速度制限オプションを無料で標準設定にした上、料金据え置きくらいのことをしていただきたいところだ。

MNPのキャッシュバックが終了! 今後のキャリア選びは長期契約が基本になる!?

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ドコモオンラインショップのキャッシュバックキャンペーン
 3月16日、携帯キャリア各社が行っているMNP(携帯電話番号ポータビリティ)の高額キャッシュバックキャンペーンが終了した。一時期は、MNPを利用して契約キャリアを変更すると4万円前後もらえ、条件によっては1台当たり10万円という店も登場。本来であれば、新規の契約が増える3月に終了せざるを得なかったのは、政府の指導が入ったためだ。  総務省は2007年に「1円携帯」を規制した。本来であれば5~10万円する端末を、販売店がキャリアからの報奨金を原資に、割り引いて販売していたためだ。当然、報奨金は通信料金に上乗せされ、長期利用者ほど損をするため不公平感が出ていた。とはいえ、この規制により、各キャリアはキャッシュバックを採用。意味がないどころか、状況を悪化させてしまったという背景がある。  16日までは、MNPをうまく活用すると、毎年最新端末を購入してもほとんどコストがかからないといった状況が発生していた。複数回線を使い回し、利益を出している人さえいたのだ。一般ユーザーの多くは、端末を購入したら2年以上は使い続ける。これでは、長期契約ユーザーから不満が出るのは当たり前だ。キャリア側も当然、この事態を把握していたが、ライバルキャリアがサービスを行っている以上でやめるわけにはいかず、チキンレースが続いていたのだ。総務省からの指導は、キャリアにとってもほっとするところだったことだろう。  現在、超高額のキャッシュバックは中止されているようだが、31日までは各キャリアともに2万円前後のキャッシュサービスを続行している。買い替えを考えている人は、やはりこの時期は見逃せないのだろう。とはいえ、その後は一段落するはずだ。  今後は、長期契約ユーザーへのサービスが徐々に充実していくと予想されている。端末や料金プラン、企業イメージなどで、お気に入りのキャリアを選べばいいだろう。その際、有力候補になりそうなのが、MVNOだ。  MVNO(仮想移動体通信事業者)とは大手キャリアの通信回線を利用し、独自ブランドで通信サービスを提供する事業者のこと。自社で大規模な設備や人員を抱える必要がないため、料金設定が格安になっているのだ。今のところは、ITに詳しい人の2台目といった用途で利用されており、それほど普及していない。しかし、これからは状況が変わりそうだ。MNPのキャッシュバックに規制が入れば、毎月のコストに目が行くようになる。すると、大手キャリアの半額以下、プランによっては3分の1程度のコストに抑えられるMVNOの人気が高まることは確実。もちろん、大手キャリアほどのサポートはないので、通信プランの速度制限や利用端末といった情報は自分でチェックする必要がある。今後は今まで以上に、キャリア選びに悩むことになりそうだ。 (文=柳谷智宣)

被害者が続出! 欺しアダルトサイトの計略にはまって、個人情報がダダ漏れに

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 アダルトサイトを見ていて、再生ボタンを押した途端に「会員登録されました! ○万円払ってください」などと表示されることがある。初めて見た人は驚くのではないだろうか。つい最近も、知人の女性から相談を受けた。  「iPhone エロ」といったキーワードで検索し、見つかったサイトで動画を再生しようとすると、いきなり「有料会員登録完了」と表示されて、3~10万円ほどの請求金額が表示されたのだ。さらに、目立つところにクーリングオフや契約抹消、退会希望といったリンクが用意されている。アダルトサイトを見ていたことを誰にも知られたくない人は焦ってしまい、退会手続きを始めてしまう。実は、これが相手の思うツボなのだ。  ウェブを閲覧しているだけで、個人情報を引き出されることはない。IPアドレスという、ネットワーク上の電話番号のようなものは記録されるが、IPアドレスから個人情報を引き出せるのは警察経由のみ。詐欺をする輩がアクセスできる情報ではないのだ。そこで、彼らはなんらかの方法で個人情報を得ようとする。この手口が、またよく練られているのだ。 「誤操作で登録してしまった人は23時間以内に連絡をください」 「登録から3日までは解約料金は○円ですが、4日目以降は○十万円かかります」 「滞納者は、規約に則って訴えます」 といった文言が並んでいる。ご丁寧に「このウェブページは違法サイトではありません」と書いてあることも。そして、極めつきの脅し文句が、金を払わないなら「自宅」や「勤務先」に連絡する、というもの。恋人や親にバレたくないとか、会社に言われたら恥ずかしいなどと考えて、金額はともかく、なんとかしようとして連絡してしまう人がいるのだ。  相談してきた女性も、すぐにメールでキャンセルを申し込んだ。そうすると、「メールの情報だけでは解約できないので、電話をかけてくれ」という返信が届く。一刻も早く安心したい女性は電話をかけたが、そこで「○○さんですね」と本名を言われて、恐怖でパニックになり電話を切った。そして、筆者に相談の連絡をよこしてきたのだ。  前述の通り、ウェブページが表示されただけでは、そこにどんな脅し文句が書かれていようと、相手は何もできない。しかし、メールを送ってしまうと、メールアドレスと、その発信元として登録している名前が相手に表示される。電話をかけたときに名前を呼ばれたのは、これが理由。そして、電話をかければ、電話番号も渡ってしまう。しかも、リンクから電話をかけると、ご丁寧に「186」が付けられ、電話番号が相手に強制表示されてしまうのだ。本名と電話番号、メールアドレスがそろうと、やる気になれば本人特定は可能になる。そのため、できれば最初から無視するのが正解だ。  もし、メールや電話をしてしまっても対処は同じ。まずは無視すること。相手からのメールや電話番号はすべて拒否する。見知らぬ電話番号からかかってきても出ない、といった具合だ。もちろん、女性にも同じアドバイスをした。すると、相手からすぐにメールが届いた。  文面には、この女性の名前が書かれており、「強制執行の手続き」に移行するという。すでに住所をはじめとする個人情報は入手済み、という脅し付きだ。繰り返しになるが、もちろんこれはウソ。住所は直接伝えない限り、相手にわかるわけがない。そうこうしていると、もう1通メールが届く。相手は毎回送信アドレスを変えているので、着信拒否が効かないのだ。今度のメールは、女性名を名乗り、打って変わって丁寧な口調になっている。その上で、「ユーザー登録されたので、お金を払ってくれ」と説得してくる。文章の隅々まで気が配られており、悪知恵の働かせぶりにはほとほと感心する。  女性はこれ以上メールを受け取りたくないようなので、アドレスを変更することを薦めた。これで、迷惑メールは来なくなる。電話が来るようならまた別の対処をすべきだが、結局これで終了した。電話が来るようなら着信拒否。それでも別番号でかけてくるなら警察に相談すればいい。  ネット詐欺は、とにかく無視するに限る。少々ひっかかっても、無視でOK。詐欺師は、数万人に一人でも手間をかけずに振り込んでもらえれば御の字なのだ。失敗した! と思ったら、脊髄反射で傷口を広げるようなことをせず、深呼吸して落ち着くことが肝心だ。 (文=柳谷智宣)

なんの落ち度がなくてもSNSアカウントを強奪される!? さらに求められるITリテラシー

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Naoki Hiroshima (N) on Twitter
 1月20日、ある日本人のTwitterアカウントが強奪された。とはいえ、ぬるいパスワードを使っていて不正アクセスされたのではない。犯人はさまざまなソーシャルハッキング手法を使い、脅迫して奪取したのだ。その手口の巧妙さは感心するほど。  被害に遭ったのは、Twitterアプリなどを開発しているNaoki Hiroshima氏。当然、ITリテラシーは高く、英語も堪能だ。それなのに被害に遭ってしまった経緯は「My $50,000 Twitter Username Was Stolen Thanks to PayPal and GoDaddy」(私の5万ドルの価値のあるTwitterユーザー名が盗まれた。PayPalとGoDaddy、ありがとう)というブログエントリーで書かれている。とはいえ、英語な上、難しい内容なので、カンタンに紹介しよう。  Hiroshima氏は、「@N」という、とても珍しいTwitterアカウントを所有している。アカウント名は早い者勝ちなので、いち早く獲得したおかげだ。当然、垂涎の的となり、普段から攻撃を受けたり、勝手にパスワードをリセットしようとしたりされている。中には、5万ドルでオファーが来ることもあるという。Hiroshima氏にとっては日常の光景なので、慣れたもの。すべてスルーしていた。  しかし、1月20日は様子が違った。ランチ中にオンライン決済サービス「PayPal」から、パスワード再発行のメッセージが届く。また、誰かが不正アクセスしようとしているようだが、パスワードがわからなければ被害もない、と放置した。その後、レジストラの「GoDaddy」から「Account Settings Change Confirmation(アカウント設定の変更確認)」というメールが届く。レジストラとは、@xxxx.comのようなドメインを管理するサービス。Hiroshima氏は独自ドメインを取得し、メールやホームページの運用にGoogle Appsを利用しているのだ。  当然、変更した覚えはないので、GoDaddyにログインを試みると、すでに不正アクセス者にパスワードを変更されてしまっている。電話をして対処しようとすると、GoDaddyはクレジットカードの下6桁を尋ねる。しかし、その情報も書き換えられており、本人確認ができず。身分証明書によって本人確認をするように手配すると、確認に48時間かかると言われてしまう。  多くのウェブサービスは、本人確認やパスワードリセットにメールを利用する。メールで利用している独自ドメインを奪取されてしまったので、これらのリセットが可能になったのだ。しかし、ここで犯人がミスをする。ドメインの設定を変更しても、新しい設定でメールを受信するには少し時間がかかるのだ。そのため、いつも使っているメールに、Twitterのリセットメールが届く。Hiroshima氏は犯人の思惑に気がつき、Twitterに登録しているメールアドレスを変更する。その間、犯人はTwitterのサポートページに「パスワードのメールが届かないので、手動で送ってくれ」とあつかましくも投稿した。しかしこれは、Twitter側がさらなる情報を求めたために失敗に終わる。  続いて、Hiroshima氏のFacebookに犯人からメッセージが届く。独自ドメインを奪取したことや、@NのTwitterアカウントを求めていること。今のところはHiroshima氏が運営しているホームページは無事だけど、交換しないか?という内容だ。要は独自ドメインを誘拐し、Twitterアカウントという身代金を要求しているのだ。  GoDaddyからの返信は、登録者ではないので対応できないというもの。ひどい対応だ。そして、犯人からは催促のメールが届く。もうあきらめるしかない。Hiroshima氏はアカウント名を@N_is_stolenに変更し、犯人は@Nアカウントを奪取した。その後、GoDaddyの変えられたパスワードが届き、独自ドメインのコントロールは取り戻された。さらに、犯人は「GoDaddyのアカウントを奪取した経緯を知りたいか?」と聞いてきた。  犯人は、PayPalに電話して、Hiroshima氏のクレジットカードの末尾4桁を入手したという。続けて、GoDaddyに電話し、カードは紛失したが末尾4桁は覚えていると伝える。GoDaddyは本人確認に下6桁を求めたが、電話に出た担当者は何度も残りの2桁を推測させてくれたという。これはもう、ユーザーとしては打つ手がない。お金を扱う決済サービスや資産を管理するドメインサービスの担当者が、たかが電話でうまいことを言われただけで、個人情報をダダ漏れにしてしまうのは想定できない。  この事件の教訓としては、ウェブサービスのアカウントに独自ドメインは使わないほうがいいということ。Gmailアカウントであれば、このような事態は起きなかった。また、どんなアカウントであれ、不正アクセスの可能性はあることを肝に銘じておき、致命的な事態にならないように分散するなり対策を講じておこう。ネットは怖いところ。ITが苦手であれ、詳しいと自負しているのであれ、再確認するべし。  ちなみにブログの投稿が多数の人に読まれたためTwitterが動き、2月26日に特別な計らいでHiroshima氏へアカウントが戻された。ハッピーエンドでほっとした。 (文=柳谷智宣)

有名人も引っかかった!「Mステでおっぱいポロリ」騒動に学ぶ、エロスパムへの対策と対抗策

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イメージ画像(「足成」より)
 今月2日、日曜日の午後に「Mステでおっpいポロリ放送事故ww 2chの反応 『まじだったwww』 画像→http://~」といったツイートが投稿され始めた。それが、いつものツイートからは想像もつかないような有名人が投稿したりしているから、大騒ぎに。試しにこのURLを踏んでみると、ニュースアプリへの連携認証画面が開く。ここで、「連携アプリを認証」を選ぶと、ニュースが表示される仕組みだ。落胆してアプリを閉じたユーザーも多いことだろう。  しかし、これには恐怖のワナが仕掛けられていた。アプリ連携を許可する際、「プロフィールを更新する」「ツイートする」といった行為も認めてしまっているのだ。認証画面にはきっちり表示されているのだが、それに気づかず認証してしまった結果、Twitterアカウントから、冒頭のツイートと同じ文章が投稿されてしまったのだ。  有名人にとっては、目の前が真っ暗になる衝撃だろう。実際、フォロワーからの指摘で初めて気づいた人も多い。たかがポロリ画像を見たくらい、男性としてはどうということもないのだが、普段まじめで偉そうなことを言っていたり、ITリテラシーが高いことを自負している人にとっては、恥ずかしいことこの上ない。案の定、アンチがいる人ほど大きく取り上げられ、炎上している。  この手の被害を防ぐには、アカウントを切り替えるしかない。フォロワーが多ければ多いほど、普段使いは別のダミーアカウントを利用すべきだ。アカウント切り替えを忘れそうなら、異なるアプリを使えばいい。メインアカウントは公式Twitterアプリ、ダミーアカウントはほかの無料アプリといった具合だ。そちらなら、極論をツイートしようが、怪しいアプリに連携しようが構わない。FacebookやほかのSNSも同様だ。アプリを連携する際、投稿を許可する場合は、覚悟が必要なことを肝に銘じてほしい。  ちなみに、この連携は必ずしも「Mステでおっpいポロリ放送事故」ツイートだけが感染源ではない。ほかの文面で引っかかっている人もいる。投稿内容は恥ずかしいが、必ずしもおっぱいポロリに興味を持ったと断言できるわけではないのだ。そのため、今回はリカバリーが楽。「スパムを踏んでしまった」と、普通に言えばいいのだ。一番対処がうまかったのが、水道橋博士氏。「スパムなるへんなものを踏んでいたようです。ご迷惑をお掛けしてスイマセンでした。処理しました」と、潔い。糸井重里氏は「日曜日の午後に、なんとアブナイことをしていたのだろうか。『Mステで』ではじまるツイートのワナに、じぶんがはまってました。さらにそこから波及してご迷惑をおかけした方々、もうしわけございませんでした」と、どストレートに謝罪。好感度高く一発で騒動を収められるが、ネット上に情報がずっと残ってしまうのが痛いところだろう。  リカバリーでいただけないのが、自分は何もしていないとか、アカウントの管理を怠っていたなどの陰謀論。責任転嫁もうまくない。認証したのは自分なのだから。あるミュージシャンは「なんか変なんツイートしたことになってる... 即刻削除したけど... ( ^(o)言^(o); )<こわーーー!」とツイート。男らしくないし、ITリテラシーの低さも露呈してしまった。  SNSのメインアカウントでは怪しいアプリと連携しない、ということと、リカバリーは責任転嫁せずシンプルに、というのが今回の騒動の教訓だろう。

冷蔵庫が迷惑メールの送信に悪用される!?  「スマート家電」が抱える、今後の課題

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イメージ画像(「足成」より)
 2013年末から、スマート家電から大量の迷惑メールが送信されている。統合型メッセージサービスを提供する「プルーフポイント」によると、10万以上の家庭用機器が被害に遭い、75万通以上の迷惑メールが送信されたという。PCやスマホではなく、インターネットに接続しているテレビや冷蔵庫といったスマート家電が踏み台にされているため、注目を集めている。  スマート家電とは、さまざまな家電をインターネットに接続することで新たなサービスを提供しようというもの。冷蔵庫であれば開閉回数をカウントしたり、外出先から冷蔵庫内の映像をチェックして重複買いを防ぐといったことが可能になる。エアコンであれば、帰宅途中に動作させて帰るころに暖かくしておくとか、乾燥機のフィルターが目詰まりする前に掃除するようメールが来るといったことが可能。家電の利便性を高め、付加価値を付けるために、今後はどんどん広がっていくことだろう。富士キメラ総研の調査によると、2017年のスマート家電市場は7兆4610億円規模になる目算だという。  しかし最近では、スマート家電が持つセキュリティリスクが取り上げられるようになってきた。冒頭で述べたように、冷蔵庫などが迷惑メールをばらまく足がかりにされてしまうのだ。PCやスマホであれば、ユーザーがセキュリティ対策を取ればいいのだが、家電だと限界がある。こうした家電への不正アクセスに対し、“個人情報が詰まっているわけではないので、問題はない”と考えるのは早計だ。  迷惑メールの踏み台になっているだけとはいえ、犯罪に利用されれば警察に踏み込まれる可能性も出てくる。すぐに疑いが晴れればいいが、昨今の捜査事情を見ていると、冤罪の可能性も拭い切れない。また、スマート家電に不正アクセスされれば、冷蔵庫の中身から使っている電気代、在宅しているかどうかまですぐにわかってしまう。その機器が無線LAN機能を備えているなら、将来ネットワーク上にあるデータを送信されてしまうという被害も出るだろう。  さらに怖いのは、スマート家電に不正アクセスすると、PCなどとは異なり、物理的な被害を与えることができる点だ。イタズラで家電全部を稼働させ、電気代を跳ね上げさせることなどもできる。誰かがトイレを利用している時に、ウォッシュレットから冷たい水を放つことも可能だ。炊飯器やエアコンを誤動作させることができれば、火事だって起きかねない。  事はそれだけにとどまらない。大量のスマート家電をハックしている人間が、同時に炊飯器や暖房の電源を入れたらどうなるだろう? 規模にもよるが、大規模停電だって引き起こしかねない。スマート家電のセキュリティは、PCやスマホなどと同様に重要なのだ。  PCと違って、ユーザーが行える対策は多くない。できることといえば、製品マニュアルに従って、きちんと運用したり、自宅で使っているルーターのセキュリティ設定を見直すといった程度。ネットにつなぐということは、利便性を得る代わりにリスクを抱えるということを把握しておいたほうがいい。デジタル愛好者である筆者でさえ、家の家電すべてをネットにつなぐのはまだ怖くて実現できていないのだから。 (文=柳谷智宣)

「気がつかず、自動更新されている場合も」偽セキュリティソフトによる被害が多発中!

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この画面が出たらご用心!(イメージ画像)
 ネットを閲覧していると、突然「スパイウェアが検出されました!」とか「あなたのPCはクラッシュ寸前です!」と表示されることがある。無視すればいいのだが、その下に表示されている「セキュリティソフトを無料ダウンロード」ボタンをクリックしてしまう人がいる。セキュリティソフトを入れると、システムのチェックが行われ、数百件のトラブルが報告される。そして、有料のセキュリティソフトを購入するように誘導されるのだ。しかし、購入しても特に状況は変わらない。加えて、事あるごとに広告が表示されるようになる。  もうお分かりの通り、これは詐欺。昔ながらの「点検商法」の変形版だ。セキュリティソフトとしての機能など備えず、そもそもその前のシステムチェックからして適当な数字を表示している。まず、エラーで不安にさせて、無料ダウンロードで釣り、ウソの分析結果でさらに不安にさせてお金をだまし取ろうとしているのだ。  自分はだまされない、と思っている人ほどあっけなく引っかかる。例えば、無料ダウンロードのボタンをWindows風にしたり、マイクロソフトのロゴを隣に表示したりして、信頼させようとする。チェック結果は、本物のセキュリティソフトのUI(ユーザインタフェース)を真似して、レジストリエラーやアクティブXのエラーなどをそれらしく表示する。とはいえ、お金を払う段階になって、画面を閉じようとする人もいるだろう。そうすると、さらに脅してきたり、50%オフにしますと引き留めにくる。ここまでくると、狡猾すぎて、感心してしまう。  価格は1000~2000円と手頃なので支払ってしまう人が多く、詐欺に気がついてもあきらめがつく価格だ。しかし、それで被害が止まるわけではない。なんと、この手の支払いは年間自動更新になっていることが多い。つまり、毎年勝手に引き落とされていくのだ。来年気がつけばいいが、発見できないと、たかられ続けることになる。さらに、海外サイトの契約を解除するのはとても面倒で、踏んだり蹴ったりだ。  以前は、この手の詐欺は英語だけだったのだが、今では日本語に完全対応。日本語が怪しい詐欺ソフトもあるが、多くはよくできている。対応策は、信頼のできるセキュリティソフトを入れること。トレンドマイクロやシマンテックといった有名メーカーの製品を選ぼう。無料がいいなら、マイクロソフトが「Security Essentials」というセキュリティソフトを公開している。Windows 8なら、標準で同梱されている。  くれぐれも、突発的に舞い込んできた広告経由で、怪しいプログラムをPCにインストールしないようにしてほしい。ましてや、どんな名目であれ、お金を支払う前には徹底的に調べてほしい。上記のトラブルも、ちょっとGoogleで検索すれば詐欺ということがわかるはず。普段の心がけが重要だ。 (文=柳谷智宣)