残念というか、やはりと言うべきか……「Windows 10」公開日になってもアップデートできず?

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マイクロソフト公式サイトより
 7月29日、Windows 10が正式にリリースされ、無償アップデートがスタートした……はずなのだが、筆者の環境ではアップデートできていない。昨日深夜から、Windows 8.1PCを2台、Windows 10 IPが2台、仮想OSに入れてあるWindows IPを1台、計5台で待ち構えていた。もちろん、すべての環境はWindows Updateで最新の状態にしてある。  ネットにも公式情報は出ておらず、掲示板などでユーザーが悲鳴を上げている状況。実は、対象ユーザーのPCには「$Windows.~BT」というフォルダが作成され、Windows 10の無償アップデート用のデータがダウンロードされているようだ。これが、なんと6GBを超えるサイズ。これが途中で止まっているユーザーも多いのだ。筆者も12時間以上起動し続けているが、1~5GB程度しかダウンロードできていない。Surface Pro 3にインストールしたWindows 10のビルド10240は、フォルダのダウンロードさえ始まらない。  何がおかしいかというと、今アップデートする予定のないPCにまでダウンロードされている点。まずは、Windows Insider Program参加者からアップデートすると発表しているのだから、Windows 7/8.1ユーザーのダウンロードは後回しでもよかったはず。ネットでは、無償アップデートの予約をキャンセルしたのに、ダウンロードが始まっているという報告もある。もしくは、もっと前からダウンロードを開始し、当日はキーとなる小さなファイルのみをダウンロードさせるようにすればよかったのだ。  まぁ、Windows Insider Program参加者できちんとアップデートした人は、製品版と同等のビルド10240になっていると思うので、機能的にそれほど差はない。しかし、そこは「当日にアップデートしました!」という報告をしたいところ。特にライターなどは、仕事にも差し障りが出てくる。せめて「アップデート終了は●時間後」とか、タイミングを予告してくれるだけでもありがたいのだが……。  マイクロソフトとしては、スタートダッシュを決めて一気に普及させたいところだが、いきなりグダグダの状況。一両日中に挽回しないと、泥沼にはまりそうな気配もある。気合を入れて、アップデートを頑張ってほしい。それにしても、どうして無償アップデート用のISOファイルを公開しないのだろうか? サーバ負担が、ずっと小さく済むと思われるのだが。

超便利機能やゲームのチートが使える! 日本で嫌われる“iPhone脱獄”は違法なのか?

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 iPhoneはAndroidやPCと異なり、ユーザーがシステムをいじることができない。そのため、アップルが許可しない機能は一切利用できないのだ。もちろん初心者保護のため、直感的に操作できるようにするためには重要なポイントだ。しかし、デジタルに詳しいユーザーにとってはちょっと物足りないところもある。とはいえ、必要は発明の母と言う通り、ジェイルブレイクというものが登場した。iPhoneのシステムを自由にいじれるようにするプログラムのことで、日本語に訳して「脱獄」とも呼ばれている。  もちろん、アップルは脱獄を許可していない。2009年には、アメリカで著作権法違反ということで裁判も起こした。しかし、判決は合法というものだった。日本では今のところ裁判は行われていないので、グレーゾーンという扱いだ。ちなみに、現在のアメリカでは通信キャリアによるSIMロックの解除やiPadなどのタブレット端末の脱獄は違法なので覚えておこう。  脱獄に関する情報はネットに多数出回っており、脱獄ツールも無料でゲットできる。今ではさまざまなバージョンのiOS端末を脱獄させられるようになった。しかし、なぜか日本のネットでは、思いっきり叩かれている。前出のように違法ではないのだが、アップルが禁止していることからそう思い込み、「犯罪者」呼ばわりされる。脱獄すると便利だよ、といった書き込みに対しては、「貧乏人」「ガキ」「Android買えよ」といった罵詈雑言が殺到する。実際、日本で脱獄している人は少ない。ジェイルブレイクの情報を扱う海外サイトでは、ジェイルブレイクされた端末の割合を公開しているが、グラフに入っている15カ国の中で、日本はダントツの最下位、3%ほどとなっているのだ。  筆者は仕事柄、不要になった古い端末を脱獄させて、いろいろなツールを触ってはいる。確かに超絶便利なアプリも多数公開されており、感心させられる。しかし、メイン端末を脱獄させるつもりはさらさらない。デメリットが大きすぎるためだ。まず、当たり前だが、何かあった時にアップルのサポートを受けられなくなる。もともとが規約違反の行為なので、脱獄時やその後の脱獄アプリをインストールするときにウイルスやマルウェアを取り込んでしまう可能性も十分に考えられる。トラブルの時は自分で調べて対応するしかないが、最新情報は英語のみの上、情報量が乏しいのがネック。脱獄はハイリスク・ローリターンと感じている。その視点から「脱獄する必要はない」という意見には同意できる。  ただ、過剰反応の中には、情弱の嫉妬も多分に感じられる。デジタルに詳しい人がシステムをいじりたくて脱獄するなら問題ない。しかし、脱獄を望む多くはド素人で、ゲームでチート(ずる)をしたいというのが目的だ。自分で情報を調べることもできないユーザーが脱獄にチャレンジするのは危険極まりないし、チートツールを使いこなすことも難しい。チートできなかったり、脱獄に失敗したユーザーが、逆切れで絡んでいるように見える。今のところ日本でも脱獄は違法行為でないのだから、他人が自分の端末をどうしようと放っておけばいい。  ちなみに、脱獄を代行してくれる業者もあるが、自分で脱獄もできないならその後の運用も無理。気軽にチャレンジするのはお勧めできないので、脱獄するなら覚悟の上で作業してほしい。

予想出荷台数は過去最大! 9月発売がウワサされるiPhone 6s、目玉は「感圧タッチ機能」か!?

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リークされた画像(「9to5Mac」より)
 夏の恒例となったが、今年もiPhoneの次のモデルに関するリーク情報や予測が飛び交い始めた。信ぴょう性のある情報もいくつか出ているので、ここでざっくりとまとめてみよう。 まず、iPhone 6sのデザインは、現行のiPhone 6とほとんど同じとみられている。ちょっと残念だが、iPhone 4と4s、5と5sのことを思い出せば、当然ともいえる。そのため、ナンバリングも7にはならず、順当に6sとなることだろう。背面のダサいDラインも残っているのは残念だ。  製造元から出たとされる写真を見るに、カメラもほぼ同じ感じ。米Appleは今年、LinX Computational Imagingを買収している。LinXは複数のセンサーを利用して、3D画像を撮影する技術を持っていた。そこから、次のiPhoneでは2つのレンズを搭載するのでは、と予想されていたが、タイミング的にiPhone 6sに間に合わせるのは難しいだろう。来年のiPhone 7に搭載されることを期待したい。  外観は変わらないものの、内部はいろいろと変わっているようだ。リークされた写真によると、搭載されているチップはQualcommの「MDM9635M」。これは「LTE Advanced」に対応しており、iPhone 6と比べると2倍の速度で通信できる。電力消費が抑えられるうえ、チップの小型化により、バッテリー容量を増やせる可能性もある。そうすると、バッテリー駆動時間が延びる。  カメラも機能が向上する予定。開発者向けにリリースされているiOSベータを解析したユーザーがツイートした画像によると、1,080pixelでの動画撮影が可能になるようだ。現在は720pixel。さらに、フロントカメラでフラッシュがサポートされるようで、夜間の自撮りも可能になる。同じくフロントカメラに、スローモーションやパノラマといったオプションも見受けられ、活用法が一変しそうだ。解像度も1,200万画素に向上するといわれているが、センサーが変わるという情報はないので、いい話というわけでもない。センサーサイズが同じで解像度が向上すると、画質が落ちるからだ。夜間の撮影にも支障が出ることだろう。  ディスプレイは感圧タッチを採用するとみられている。Apple WatchやMacBook Pro Retinaのトラックパッドに導入された技術だ。ただし、この新しいディスプレイを製造するのは難しそうで、歩留まりによっては生産台数に影響が出かねない。iPhone 6sの予想出荷台数は過去最大規模なので、頑張って作りまくっていただきたい。ちなみに、iPhone 6S Plusのディスプレイサイズは変わらず5.5インチという説が有力だ。  7月中にはiPhone 6sの量産がスタートすると報道されており、その場合は例年通り9月上旬に発表、中旬に発売される可能性が高くなる。今から楽しみだ。 (文=柳谷智宣)

IP電話はネットバンクのアカウントよりも高リスク? すぐにできる“乗っ取り”防御策とは

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 6月12日、総務省から「第三者によるIP電話等の不正利用に関する注意喚起」が公表された。IP電話サービスに不正アクセスされて、勝手に国際電話をかけられ、高額な通話料を請求されるという問題だ。  IP電話はネット回線を利用して通話する仕組みで、通話料が無料~激安になるので人気を集めている。SkypeやLINE電話050 plusなどが有名で、アメリカとは1分当たり2~5円で通話できるのだ。しかし、アカウントを不正アクセスされても、通話が目的であればたいした金額にはならない。通話先の情報から身元がバレて捕まってしまうリスクのほうが大きいだろう。もちろん、IP電話を不正に乗っ取るのは、大金を稼ぐのが目的だ。  乗っ取られたIP電話は、シエラレオネやギニアなどのアフリカや、ラトビアといったヨーロッパにかけられることが多い。もちろん、IP電話なのでリーズナブルではあるのだが、これらの地域だと1分当たり100~200円ほどかかる。そして、プログラムを使って、一晩に数千回というオーダーで発信するのだ。当然、通話料は数十万円から数百万円になる。この通話料はIP電話会社や相手国の電話会社に支払われるが、当然これらの企業が不正を働いているわけではない。しかし、開発途上国の電話会社の中には、国際電話料をキックバックするところがある。つまり、海外からたくさん着信を受ける人や企業が、通話料の一部を受け取れるというわけだ。このキックバックを狙って、不正アクセスをしようとする輩がはびこっている。  実は、この手口は昔からある。一昔前は、電話回線を通してインターネットに接続していたが、そこで、PCにウィルスやマルウェアを感染させ、モデムを介してダイヤルQ2や国際電話に電話させていたのだ。そして、その業者や相手国の電話会社からキックバックをもらっていた。今回は、そのルートがIP電話になっただけ。  さて、不正アクセスされたユーザーは、犯罪の被害に遭っているわけだが、電話は実際にかかっている。IP電話会社から通話料の一部が相手の国の電話会社に支払われているのだ。たいていの場合、被害を訴えても、相手の国は交渉などにまったく応じない。莫大な通話料を請求されたユーザーには同情するが、救済方法がほとんどないのだ。財布を落として現金を抜かれたり、空き巣に入られてタンス預金を盗まれたというのに似ている。ほとんどのケースは、請求額を支払うことになるだろう。  防御策はいくつかある。まず、IPサービスを使わないこと。もしくは海外に発信できないようにすること。しかし、これは本末転倒だ。通話料を安く抑えているユーザーには我慢できないことだろう。次に、パスワードをしっかりと運用すること。本連載で繰り返し述べているが、きちんとアカウントを管理していれば、そうそう不正アクセスの被害に遭うことはない。定期的にパスワードを複雑な文字列に変更するクセさえつけておけば、情報が漏洩しても被害は限定される。  とはいえ、今回の件はIP電話の仕組みにも大いに欠陥がある。まず、外貨獲得を狙い、悪徳業者が跋扈する仕組みを作っている国への発信は止めてしまえばいいのだ。それが無理だとしても、個別に発信を禁止する設定を行えるようにすべき。海外発信でひとくくりにされると、アメリカや台湾など安全で安い通話ができる国にも発信できなくなり、大迷惑。恐ろしいことに、IP電話サービスの中には、海外発信さえ禁止する設定がないところもある。  すべてのIP電話業者は、すぐに怪しい国への発信を制御する仕組みを導入すべきだ。そうしないと「万一が怖いし、解約しておくか」という流れになりかねない。そうすれば、自分で自分の首を絞めることになる。業界の未来を守るなら、いま被害に遭っている人たちへの請求を一部でもいいので補填してあげてはどうだろうか。自分で血を流せば、早急に対応する必要性も感じられることだろう。 (文=柳谷智宣)

使わないなんてもったいない! 「LINE電話」「SkyPhone」無料通話アプリのススメ

sumaho0612.jpgイメージ画像(「Thinkstock」より)
 携帯・スマホの通話料金は30秒で20円前後。大した金額ではないが、頻繁に電話したり、長電話すると、意外と請求がかさんでしまうことがある。そんなものだ、と納得する前に、節約できないかチェックしてみることをお勧めする。「無料通話アプリでしょ、知ってるよ。面倒くさいからやらないけど」という人こそ、ぜひ読み進めていただきたい。  まず、検討してほしいのが、その無料通話アプリだ。使っている人からすると信じられないのだが、「面倒」「怪しい」と触らず嫌いという人が多いのだ。まず、無料の仕組みだが、電話回線ではなく、インターネット回線を使っているのが特徴。アプリは基本無料で公開し、有料オプションを用意したり、他のコンテンツでマネタイズしている。  お互いに同じ無料通話アプリを利用しているなら、アカウント名などを登録し、通話できる。Wi-Fiにつながっているなら、キャリア回線のパケット通信さえ利用せずに通話可能。有名どころでは「LINE」「Skype」「カカオトーク」などのアプリがある。海外では、「Viber」「WeChat」なども使われている。実家と長電話したり、海外から国内の知人に連絡するといった時は、使わないと大損するので覚えておこう。iPhoneに搭載されている「FaceTimeオーディオ」も、同様の仕組みを使った無料通話アプリだ。  通話品質は、通常の携帯電話よりも上。ほんの少し、声が遅れる遅延現象が起きることもあるが、普通は問題なく通話できる。ネットがあればいいので、iPod touchやPCなどの端末で利用できるサービスも多い。  しかし、それでも「アプリを使っていない相手に発信できない」「相手に同じアプリをインストールしてもらうのが面倒」という理由で避ける人も多い。そんな時は、無料通話アプリの有料オプションを利用すればいい。例えば、「LINE電話」なら月額基本料、初期費用などがかからない上、通話料は固定電話宛てが3円/分、携帯電話宛てが14円/分と激安になる。国際通話の場合は、信じられないことにさらに安く、アメリカなら固定電話と携帯電話ともに1円/分となる。「Skype Out」なら固定電話宛てが3.22円/分、携帯電話が17.5円/分、アメリカへは2.66円/分と「LINE電話」よりはちょっと高いが、それでもキャリアの通話料と比べるとはるかに安い。  便利さはわかった。でも「発信と受信を別々のアプリで行うのは面倒だ」という人には、IP電話サービスがお勧め。電話番号を発行してもらい、無料通話も有料通話も同じアプリで通話できるのだ。例えば「050 Plus」なら、050から始まる番号を付与され、携帯電話宛てなら17.28円/分と通話料を2分の1以下に抑えられる。もちろん、「050 Plus」ユーザー同士なら無料通話が可能だ。  着信はアプリを起動せず、普通に端末で受けたい、という人で「無料電話は便利そうだが、アカウントを作ったり管理するのはどうしても面倒」というなら、昨年11月にスタートした「SkyPhone」(クアッドシステム)がイチオシ。メールアドレスなどの登録なしで、アプリを起動してワンタッチで番号を取得。その番号に発信すれば、高音質で通話できる。びっくりするぐらい手軽なので、まずは「SkyPhone」から試してみることをお勧めする。 (文=柳谷智宣)

年金情報125万件流出事件 ITセキュリティを軽視する“情弱”組織は大丈夫か

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 6月1日、日本年金機構が100万件を超える個人情報を流出させて、ニュースになった。大規模な個人情報の漏えいは何度も起きているものの、今回の件はお粗末極まりない。堅牢なセキュリティをクラッカーが破って不正アクセスしたのではなく、重要な個人情報を扱っているのに、情弱の極みのような運用をして、事件発覚の後も悪手を連発。このざまになってしまったのだ。  まずは、一連の流れを追ってみよう。5月8日を皮切りに年金機構の職員に大量のウイルスメールが届いた。件名は、セミナーの案内だったり、研修資料に関するもので、内部事情に詳しい人物からのものに見えたそうだ。しかし、差出人のメールアドレスは誰でも無料で作成できるフリーアドレスだった。  このメールを、年金機構の九州ブロック本部職員が開封してしまう。翌9日にウイルスが検出されたため、セキュリティ会社に依頼するが、情報を流出させるものではないとのことで、事態をスルーしてしまう。その間にもウイルスメールは届きまくり、結局27台のPCが感染してしまう。22日には九州ブロック本部から不審な外部向け通信を検知し、29日にはネット接続を遮断した。しかし、すでに手遅れで、合計125万件に及ぶ個人情報が流出してしまった。それを受けて、6月1日にやっと発表するに至った。  流出したのは、基礎年金番号と氏名の組み合わせが3.1万件、それに生年月日も加えた情報が116.7万件、それに住所まで加わった個人情報が漏れたのは5.2万件となる。住所氏名生年月日もセットで漏えいしたケースは、今後個人情報を利用した被害が発生する可能性があり、警戒が必要だ。  なぜ、フリーメールからの添付ファイルを開くのか? 怪しいファイルは削除するというのがいまや常識なのだが、多数の職員たちがいる環境だと、誰かがやらかしてしまう可能性はあるのかもしれない。次に、流出した125万件のうち、55万件にはパスワードをかけていなかったとのこと。これはもう情弱の極み。重要情報を扱っていない個人のPCでも当たり前のことなのに、頭のねじが飛んでいるとしか考えられない。  対応策もまずい。ウイルスが検出されているのにウイルス対策ソフトをアップデートしただけで事態をスルーしたのはいただけない。まぁ、これはセキュリティ会社の判断ミスだったので仕方がないかもしれない。しかし、その後18日にほかの職員にもウイルスメールが届き始めた段階で、情報が漏えいしたことには気が付くべきだった。29日にネットを遮断するまで、丸々10日間は脅威にさらされ続けたのだ。さらに、所轄である厚生労働省の担当係長が8日と19日に内閣サイバーセキュリティセンターや年金機構から連絡を受けた際も、上司には報告していないという硬直ぶり。  とはいえ、元凶は現場でやらかしてしまった人たちではない。組織の上層部にあるのだ。日本の企業・組織は、なぜかITセキュリティを軽視する傾向にある。確かに、お金のかかることではあるのだが、ITを活用するのなら避けては通れないところなのだ。今回だってエンタープライズ向けのファイアウォールソリューションを導入していれば、こんなことにはならなかった。そもそも、想定外の外部向け通信が遮断されるからだ。しかし、ITセキュリティ製品は利便性が直接向上したり、売り上げが上がるわけではないので、上層部はいい顔をしない。当然、部下もそんな提言をしなくなる。そのスパイラルで、古くからある日本の企業・組織のシステムは非常に脆弱。想像を絶するレベルで、穴だらけなのだ。ここを直さない限り、どんなに「怪しい添付ファイルは開かないようにしましょう」と告知しても被害は減らないだろう。  気になる今回の犯人だが、捕まる可能性は低い。そもそも、ウイルスメールの書式には中国語が使われていたようで、もう真相は闇の中だろう。重要なのは、今後同じような被害を出さないために、重要情報を扱う組織のITリテラシーを向上させること。日本の組織には、もう少しITセキュリティの重要性を認識していただきたいところだ。 (文=柳谷智宣)

中日新聞「出火元誤報騒動」に見る、ネット時代の“対マスコミ”個人戦術

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中日新聞本社(Photo By Gnsin from Wikipedia.
 5月27日、三重県桑名市で住宅や倉庫など5棟が全焼する火災が発生した。翌28日、中日新聞をはじめ複数の新聞が、「○○さん方から出火」と報じた。ここまでなら、数あるニュースの一つだったのだが、Facebookにある書き込みが投稿がされた。  書き込んだ女性は火元と報じられた家の長女。5月29日付で投稿され、火事の詳細がつづられている。住人は運よく無事だったのだが、愛犬3匹中2匹が亡くなり、生き残った1匹もやけどを負ったという。胸の痛い内容が続く後半、中日新聞の朝刊に関する内容となる。彼女の家から出火し、隣の家の倉庫も燃えた、と書かれたというのだ。実際は、裏の家の倉庫が火元で、彼女の家は延焼の被害に遭っていた。彼女の父は自営の建設業ということで、無責任な火元のような書かれ方をすると今後にも支障が出る。そこで彼女は中日新聞に連絡をして、訂正を求める。しかし謝罪はなく、「警察発表を記事にしただけ」との返答があったという。「誤報」ではなく「続報」という形で対応すると言われたそうだ。  この投稿に心を痛めた人たちが、書き込みをシェアして拡散が始まる。あっという間に数万人が関心を寄せ、4日現在では約9万2,000件もシェアされている。朝日新聞はいち早く謝罪文と共に誤報とすると連絡したことも、中日新聞の対応に非難が殺到する要因となった。  このシェアは筆者のタイムラインにも数回表示された。筆者は、この投稿だけでは事実を把握できるわけではないのでシェアはしなかった。そんな中、2日付の中日新聞にお詫びが掲載された。火元に関する情報は誤りでお詫びするとのこと。謝罪文では、「警察への取材を基に記事にしましたが」と未練がましく言い訳もしているが、反省すべきは最初のミスではなく、彼女からのアプローチに真摯に対応しなかった点にあるのだが。とにかく、個人がFacebookでマスコミの方針を撤回させたことに驚いた。これからは、このような事例が増えるのかもしれない。今まで泣き寝入りするしかなかったシチュエーションでも、対応策が増えるのは悪くないところだ。  本件はこれで一段落のようなのでよかったが、逆の切り口からアドバイスも述べておく。今後企業に怒りを覚えた時に、この事例を参考にしてFacebookを使うのは危険極まりないということは覚えておいてほしい。  今回、彼女は実名のFacebookアカウントから投稿しており、家族の写真から自分のキャリア、プライベートな多数の書き込みが全世界に公開されている。これは非常にリスクを伴う行為。もし、過去の書き込みに2ちゃんねらーが飛びつくようなネタがあったら、晒しあげられてしまう。それどころか、2ちゃんねらーは何もないところにも煙を立てることができる。また、直訴相手が匿名で反撃してくる可能性もある。気軽に本名アカウントを使い、投稿を拡散するのは避けることをお勧めする。

スマホで時間をチェックするのはアリ? ナシ? 

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 新生活が始まって1カ月。GWも終わり、五月病にかかっている新入社員も少なくないだろう。ネット上では、毎年恒例の“新入社員あるある”が話題になっているが、今回は「スマホで時間をチェックするのはOKか、NGか」というトピックスを取り上げたい。  スマホはボタンを押せばロックを解除することなく時計が表示されるので、即時間を確認できる。時計以上に忘れることのない携帯アイテムなので、もちろん時間を確認するという目的は達成できる。ソニー生命保険の調査によると、新社会人の50.4%は「腕時計をしない(時間はケータイで確認)」ことを「アリ」と考えているという。  社会人が腕時計を持たず、スマホでチェックするのはOKか、NGか――。結論から言うとケースバイケースだが、そのラインは明確に引くことができる。初めて会うクライアントやお客様の前で、時間を確認することがあるかどうかだ。打ち合わせ時間が決まっており、その後にもアポがある場合、時間を見て話の流れをコントロールする必要がある。その時にスマホでチェックしたらどうなるのか? その人が何かしらの営業を自分にかけているなら、基本的にアウト。商談はまとまらないと考えていい。こちらが弱い立場の場合、何も言うことはないが、「この人はちょっとダメな人だ」というジャッジになるだろう。  理由としては、初めて会って会話しているのにスマホをいじられるのはびっくりする、というのに尽きる。そもそも時計チェックではなく、メールやLINEをチェックしているのかどうかもわからない。さらに、時計を露骨に見ること自体が相手に不快感を与えることも多い。そういう態度に出られると、「お時間大丈夫でしたでしょうか?」と返すしかない。営業をかけられている場合は、「そんなに忙しいなら帰れ!」と言いたくなる。腕時計なら、相手に知られずに時間をチェックできる。  とはいえ、本質はもっと基本的なところにあると思う。スーツを着てビジネスをするなら、時計はセットだ。つまり、常識ということ。「ネクタイをしてもしなくても、私の能力には変わりません」と拒否するようなツワモノなら時計をしなくてもいいかもしれない。「10分遅刻したら10分残業するから、うるさいことを言うな」という常識破りな人にも通じないかもしれない。しかし、スーツを着てクライアントと会う仕事なら、時計はすべき。ビジネス向けのデザインでも、安いものは安い。こんなくだらないことで個性のアピールをする必要はないし、オヤジは頭が固くてうるさい、とぼやく必要もない。ネクタイを締めるように、常識に沿えばいいだけなのだ。 (文=柳谷智宣)

不正アクセス被害は補償されない場合も!? パスワード流用が招く、こわ~いネットトラブル

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 4月中旬、ネットバンキングの不正送金事件に絡み警視庁が押収した中継サーバーから、IDとパスワードなどのアカウント情報が506万件発見された。犯人は、どこからかアカウントリストを入手し、ネットバンクに不正アタックしたのだ。  今回の流出リストにはIDとパスワードに加え、名前や生年月日、電話番号、クレジットカード情報も記載されていた。さらに、この手の巨大流出は海外というケースが多かったのだが、今回はほとんどが日本人のアカウントだった。そのため、日本のショッピングサイトやネットバンキングに、効率的に不正アクセスできたのだ。不正アクセスには、アカウントリストから自動的に次々とログインにチャレンジするハッキングツールが利用される。押収された中継サーバーにも、このツールが入っていたとのこと。  何度も本連載で伝えている通り、不正アクセスを防ぐにはIDとパスワードを使い回さないことが重要。面倒くさいからといって流用しているのは、金をばらまいているのと同じだ。“今のところ被害に遭っていないから……”と、油断するのは情弱すぎる。  また、不正アクセスの被害に遭ったからといって、自動的に誰かが弁償してもらえると考えているなら甘い。確かに、クレジットカードやネットバンクの不正利用の被害に遭った場合、補償してくれるというサービスは多い。ただし、被害に遭っていることに気が付かず、数カ月後に申し出た場合、期限切れになっていることもある。短いところだと期限が30日以内ということもあるので、明細を毎月チェックしなければならない。また、パスワードを生年月日や電話番号などわかりやすいものにすると、過失ということで補償がなくなったり、減額される可能性がある。また、クレジットカードの中には実店舗の不正利用は補償するが、ネットショッピングの不正利用は保証しない、というものも多い。  いまや、どんな大手のサービスでも、大量のアカウントが流出する可能性はある。対策は、前出の通り、サービスごとに異なるアカウントを利用することだ。また、一定期間使い続けたパスワードの変更を促されたら、面倒がらずに対応すること。財布や自宅のカギをきちんと管理するように、アカウント情報もきちんと管理することを心がけよう。 (文=柳谷智宣)

マイクロソフト一世一代の大勝負!? この夏登場「Windows 10」はどうなる?

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Windows 10 - Microsoft Windows
 マイクロソフトによると、次期Windowsとなる「Windows 10」は、この夏に発売されるという。開発スケジュールがギリギリなので、おそらくは8月下旬、筆者としてはパッケージ版が出回るのは秋に差し掛かるのでは? と考えている。Windowsのナンバリングは8から9を飛ばして10になるが、これは新世代のWindows、そしてあらゆるデバイスで包括的に動作する幅広いプラットフォームであることを表しているという。つまりは、気合が入っていると言いたいらしい。「Windows9」と検索すると、Windows 95/98が引っかかってきて紛らわしい、ということもあるだろう。とはいえ、この自信は本当かもしれない。「Windowsは奇数バージョンが当たり」といわれており、Windows 3、98、XP、7は出来がいいと人気のOSで、10は9番目に当たるので期待されているのだ。  Windows 10はテクニカルプレビューという評価版を無償で公開しており、すでに筆者は日常使いしている。Windows 8から大きく変わったのは、スタートメニューが復活したことと、ストアアプリがウィンドウ表示できるようになったこと。Windows 8で不評だったポイントが大きく改善されたというわけだ。もちろん、ほかにも数えきれないくらいの変更点がある。隅から隅まで使い倒した経験から判断すると、テストバージョンでありながらWindows 10は素晴らしいOSに仕上がっている。現状は日本語の翻訳が怪しいところがあったりするが、製品版は完璧になっているはず。Windows 8の評判を気にしてアップグレードできなかった人も、安心してWindows 10に移行できるだろう。  マイクロソフトは、さらに驚くべき決定をした。Windows 7/8.1を利用しているユーザーは、無料でWindows 10にアップグレードできるというものだ。発売から1年間という縛りはあるが、マイクロソフトとしては初の試みで、ユーザーとしてはウェルカム。そのため、PCの買い替えタイミングは別に気にする必要がない。慌ててWindows 8 PCを購入する必要もないし、発売まで待つ必要もない。欲しい時に買えばいい。さらに、日本には少ないと思われるが、海賊版のWindows 7/8.1を利用しているユーザーもWindows 10にアップグレードできるという。この機会に、MicrosoftはWindows 10への移行を一気に進めるつもりなのだ。  マイクロソフトの思惑としては、Windows 10ユーザーを増やすことで、「Windows ストア」を充実させ、利益を上げたいのだ。アップルの「App Store」やAndroidの「Google Play」のようなエコシステムを構築するのが狙いだ。ストアアプリがウィンドウで動作するようになり、開発者も参入しやすくなった。Windows 10は、マイクロソフト一世一代の大勝負となりそうだ。 (文=柳谷智宣)