JFAでいったい何が――? 霜田技術委員の退任はハリル解任への布石か

hariru1123.jpg
「勝利」が続投条件、「引き分け」以下で解任の可能性があった、FIFAワールドカップ2018ロシア大会アジア最終予選第5戦のサウジアラビア代表戦。日本代表は、ヴァヒド・ハリルホジッチ監督の就任以降、最も高いパフォーマンスでゲームをコントロールし、2-1の勝利を収めた。試合後、ハリルホジッチ監督は、本田圭佑や香川真司を先発に起用しなかったことについて、「何人かの選手はトップパフォーマンスではない。ある監督はたとえそうでも(いつもの選手たちを)信頼して使い続けるだろう。ただ、私は躊躇なく、よりよい選手を選んでプレーさせた」と饒舌に語った。  だが先日、そんなハリル監督が解任されるのでは? という情報が再燃した。それは、監督を招へいし、ベンチでも支えていた霜田正浩日本サッカー協会(JFA)技術委員が今年限りで退任することが明らかになったのだ。そもそも霜田技術委員は、今年3月までは技術委員長のポストだった。つまり、降格人事を受け入れている。一体何があったのか? サッカー関係者に訊いた。 「まず、今年1月にJFA会長選挙がありました。ここで田嶋幸三(現JFA会長)さんと原博実さんが争い、田嶋さんが勝った。霜田さんは、原さんの後釜で技術委員長のポストに就いた、いわば原派です。その原さんは、会長選に敗れると、JFAを辞め、Jリーグの副理事長になりました。霜田さんには、後ろ盾がなくなったわけです」  その後、田嶋会長は霜田氏を降格させ、JFA技術委員長にアトランタ五輪で日本代表を率い、ガンバ大阪の黄金期も作った西野朗氏を就任させる。「組織として、技術委員長やダイレクターなど(まとめ役)がたくさんいるのはよくない」と、霜田氏は退任の理由を語ったというが、JFAでは何が起きているのだろうか? 「田嶋さんが会長になり、人事が大きく変わりました。たとえば、審判委員長も田嶋会長と同じ筑波大学出身者に替わりました。ただ、変えるならば、ガラっと変えればいいのですが、田嶋会長は、そういったタイプではない。皆にいい顔がしたい人で、悪く言えば二枚舌なんです。今回の霜田さんが最たる例で、曖昧なポストで残してしまう。その結果が、今回の辞任につながってしまった。これは氷山の一角で、ほかにも軋轢があるというウワサです」(前出サッカー関係者)  会長就任後、「本気で日本サッカーを変える」と語り、“仲間”の重要性を熱弁した田嶋会長。霜田技術委員は“仲間”ではなかったということなのだろうか? 最大の後ろ盾を失ったハリル監督の行く末は、果たして――。 (文=TV Journal編集部)

リオ五輪出場でJFAの体制に変革? 注目の会長選は、原理事長が圧倒的有利か

jfa0129.jpg
JFA公式サイトより
「この世代は、リオ五輪に出場できないのでは?」  多くのサッカー関係者たちが悲観していたサッカーU-23日本代表だが、決勝まで進んだ時点でリオ五輪出場決定となるAFC U-23選手権を、リーグ戦から全勝で決勝まで勝ち上がった。つまり、数字上は余裕でのリオ五輪出場を決めたのだ。もちろん、内容自体は苦しいもので、手放しでは喜べない。それでも、手倉森誠監督の手腕は見事だった。  そんな驚きの戦績を誰よりも喜んでいるのは、手倉森監督を任命した日本サッカー協会(JFA)の原博実専務理事だろう。  というのも、リオ五輪出場を懸けた試合の裏で、原専務理事も戦っていた。相手は、田嶋幸三JFA副会長。今月31日に行われるJFA会長選挙である。  簡単に説明すると、今まではJFA会長になるには、幹部たちの推薦が必要だった。形式上は、幹部が選んだ人物を47名の評議員会が追認する形ではあったが、形骸化していたと指摘するメディアは多い。ゆえに、「評議員47名のほとんどが都道府県のサッカー協会と関わっていることが多いため、クーデターを起こすと、所属する都道府県に迷惑がかかる。それを恐れ、幹部が選んだ人物に反対する人はいなかった」というウワサがあった。その真偽はともかく、不透明だったのは事実であり、国際サッカー連盟(FIFA)から「組織の透明性を高めるように」という指導があった。これを受け、JFA会長は選挙を含む形で決める方式に変更となったのだ。  そして今年から、JFA会長には、7名以上の評議員の推薦があれば(いくつかは条件があるが)立候補でき、投票する評議員も47名から75名に増員された。  選挙制が導入される前であれば、おそらく田嶋副会長が会長になったと思う。田嶋副会長は、現在のJFAを作ってきた一派だ。JFAアカデミー福島にも尽力した人物で、会長になってからも、今まで以上に、普及と育成をJFA主導で行いたいと考えている。  一方の原は、地方主導での育成を主張する。たとえば、JFAはポゼッションサッカーを根付かせたいが、過去の国見高校のような縦1本のサッカーも、ひとつの地域性として日本に必要だという考え方だ。  両者には相異があり、原専務理事がJFA会長になれば、今までのJFAから変化するのは間違いない。それを避けたいJFA幹部も多くいるのではないか。  しかし、リオ五輪出場が決まったいま、有利なのは原専務理事だ(逆に負ければ、責任問題になっただろうが)。約200億円の予算を持つJFAに、リオ五輪出場の切符が、変革を与えようとしている。 (文=TV Journal編集部)

なでしこの快進撃や、香川・長友の海外躍進の裏側で……金と利権にまみれた日本サッカー協会の内紛

【サイゾーpremium】より
1211_az_soccer.jpg
『日本は、サッカーの国になれたか。
電通の格闘。』
(朝日新聞出版)
 香川真司、長友佑都が海外ビッグクラブへ移籍、さらに女子サッカーのW杯優勝などで、ますます高まる日本のサッカー人気。それに呼応して金を求める有象無象も群がってきているようだ。特に日本サッカー協会が持つ権力・利権は莫大なものに膨れ上がっているが、そうした裏面は、ほとんど報道されない。今回は、日本サッカー協会に対する批評やサッカー誌記者座談会、かつて日本代表監督を務めたフィリップ・トルシエ監督へのインタビューなどから、昨今のブームの裏にある日本サッカーの現状を読み解く──。 「1992年当初、JFA(日本サッカー協会)の事務所は渋谷にある岸記念体育館の一室を間借りしており、職員は15人。年間の収入は約40億円で、総資産は14億円ほどでした。それから20年を経た今、職員は200人を超え、年間収入は165億円、総資産は20年前の10倍以上と、JFAは大きく成長しました」(『JFA公式サイトコラムより』)  こう語ったのはJFAの会長職をこの6月に退任した小倉純二氏だ。JFAの中でも国際派といわれた小倉氏はFIFA(国際サッカー連盟)の理事を務めるなど、サッカーの普及に努めてきた。彼の功績は結果として、アルベルト・ザッケローニ監督率いる日本男子代表(ザックジャパン)は2014年W杯ブラジル大会予選で快進撃を続けており、女子代表(なでしこジャパン)もロンドン五輪で銀メダルの快挙を成し遂げた。大仁(だいに)邦彌新会長の新体制になっても、小倉氏は名誉会長として、影響力を発揮すると見られている。 「10年、小倉会長就任直後にザック体制がスタート。ザック体制の5人のイタリア人スタッフに各2名以上の通訳をつけるなど、全面的にバックアップして、支えています。このおかげか、国内の親善試合は毎度満員御礼。満員になると、チケット収入だけで協会には約2億円、またテレビ放映権料は基本的に1試合1億円が協会に入ってくる。運営費用は、5000万円~1億円ですから、親善試合1試合ごとに2億円程度の利益が上がるのです」(スポーツジャーナリスト)  協会の収益も右肩上がり。W杯南アフリカ大会が行われる直前(10年3月期)には142億円(経常利益は9000万円)だった年間収入は、155億円(11年3月期 経常利益は9億円)、165億円(12年3月期 経常利益は14億円)と毎年10億円ずつ増やしている。 「協会の収益の二大柱は、日本代表のスポンサー収入である事業関連収益(12年3月期・47億円)と親善試合の収入などの代表関連事業収益(12年3月期・42億円)です。オフィシャルスポンサーのキリン、オフィシャルサプライヤーのアディダス、サポーティングカンパニーのクレディセゾン、ソニーマーケティング、日本航空、ファミリーマート、三井住友海上、アウディといった数々の企業と、合計して年間数十億円のスポンサー契約を結んでいます。こうしたスポンサー集めには小倉前会長とべったりの広告代理店・電通が動き、利益を上げる構図です」(同)  もちろん、こうした収入も日本サッカーの未来に寄与する支出に回されるのであれば、問題はない。だが、JFAの金の流れには疑問の声が多い。 「10年、日本プロサッカー選手会(JPFA)は協会に対し、代表選手の待遇見直しを要望しました。なにしろ、海外では当たり前の出場給が日本代表には存在せず、日当1万円と対戦相手によって変動する勝利給のみ、国際試合で負傷した場合の選手への補償もないなど待遇が悪い。この見直しを訴えましたが、協会は『相応な報酬を支払っている』として一切聞き入れなかった。しかし、協会には72億7884万円にも上る特定資産があります。企業でいう留保金です。毎年の全収入の50%以上は日本代表の関連収入であるにもかかわらず日本代表へは還元せず、内部にため込んでいます」(同) ■快進撃に隠された、カネのなる木をめぐるドタバタ劇  こうした中、日本サッカー協会の内部は会長をめぐってドタバタ劇が続いている。  世界的には4年に一度のW杯に合わせて、サッカー協会の会長は交代するのが原則とされている。このため、2期4年というのが会長人事の原則。ところが、日本ではここにきて、08年7月~10年7月/犬飼基昭会長、10年7月~12年7月/小倉純二会長、と1期2年で会長が代わるドタバタ劇を繰り返してきた。その裏には、川淵三郎最高顧問の存在が大きいという。 「もともとは川淵が会長時代に地位に固執して、02年から3期6年会長に居座ったことが発端です。川淵氏は、その次の会長職にも自身の影響力を行使しようと、国際派の小倉純二副会長が有力視されるなか、常務理事の犬飼基昭氏を推薦委員会で後継指名。ところが、W杯南ア大会で岡田武史監督の下、日本代表がベスト16に進んだにもかかわらず、犬飼氏の手法が協会内で強引だと問題視されると、一期で切り捨てた。会長を務めた人間はその後名誉会長を務めるのが通例でしたが、犬飼氏には名誉会長に就かせなかったほどでした。犬飼氏の後任には、本来なら定年を迎えて就任できない小倉氏を、FIFAの理事を務めている場合は就任できるという日本協会の規約を利用して会長に据えたのです」(スポーツ紙記者)  そこで就任したのが現会長の大仁邦彌氏だ。 「『機を見るに敏。でも仕事はできない』というのが業界評。本人も就任記者会見で『私は第2(ダイニ)会長です。ほかに第1会長がいるのでは……』と笑えないジョークを飛ばしたほどですから(苦笑)。98年7月には強化委員会の委員長として岡田監督の後任にトルシエ監督を招聘した担当者でしたが、トルシエの言動が協会から問題視されるとすぐさま距離を置くようになった。また、かつては慶應義塾大学、三菱サッカー部(三菱重工所属)で先輩だった犬飼会長にベッタリでしたが、就任前の会長人事の際に、川淵派の反発で犬飼氏に会長再任の可能性がなくなるや、同派に寝返り、不信任を突きつけたのです」(同)  今回の人事は、川淵氏が次期会長候補として念頭に置いている田嶋幸三副会長へのつなぎとしての就任と見られているという。  こうした協会は12年4月、財団法人から公益財団法人に移行した。公益財団法人となると、協会の事業は「サッカー普及活動」という公益目的である限り、非課税になる。社会的に優遇を受けることになるのだ。これまでは役員の報酬なども非公開だったが、徹底した情報公開が求められるだろう。  10年8月以来、快進撃を続けるザックジャパンの陰に隠れているが、次の会長選はW杯ブラジル大会直前の14年3月だ。そのときには協会内の内紛劇も日本代表同様に熱く、話題になっているかもしれない。グレーゾーンが多く、しかもますますその利権が拡大しつつある日本サッカー協会を、ジャーナリストや関係者、そしてフィリップ・トルシエ元日本代表監督の論から、現状を読み取っていこう。 (文/松井克明) 【「サイゾーpremium」では他にも日本サッカー協会の裏側に迫った記事が満載!】作家・佐山一郎がJFAへの「違和感」を批評! JFAハウスにいまだ漂う「二大革命」の逆説協会に抹殺されたジャーナリストも――「圧力」と「赤字」まみれのサッカー関係者匿名座談会「投資やビジョン、育成に批判の余地はない」あのトルシエが日本サッカーをホメ殺し!?
1lineimg.jpg
「サイゾーpremium」とは? 雑誌「サイゾー」のほぼ全記事が、
月額525円読み放題! (バックナンバー含む)