【清野とおるの、キ○チ○ガ○イと呼ばないで】第5話「オモシロイ顔のおじさん」

a_omoshiro.jpg 『東京都北区赤羽』でおなじみの漫画家・清野とおるによる、悶絶必死の爆笑コラム。  飲みの席などで打ち解けた初対面の人に、冗談半分でカメラを向けて 「オモシロイ顔してください」 とか言ってみる。  まあ、大抵の人は「そんなのできないよ~」と照れたり、「カメラ向けないでよ~」と嫌がったりする。 b_omoshiro.jpg  頑張ってオモシロイ顔をしてくれたとしても、さほどオモシロクナイのがこの世の常である。別に俺だって期待なんてしていない。ただ単に、カメラ向けて相手の反応を楽しんでいるだけである。  しかし、ある日のこと、本当にオモシロイ顔をしてくれる、オモシロイおじさんと出会った。 1_1omoshiro.jpg  場末のスナックで隣り合わせた、Sさん。 c_omoshiro.jpg  そんな訳で、Sさんのオモシロイ顔スタート。 1_2omoshiro.jpg 1_3omoshiro.jpg 4omoshiro.jpg 5omoshiro.jpg 6omoshiro.jpg 7omoshiro.jpg 8omoshiro.jpg 9omoshiro.jpg 10omoshiro.jpg d_omoshiro.jpg  Sさんのオモシロイ顔に、思わず爆笑してしまった……。  まさか「オモシロイ顔をしてくれ」と言って、本当にオモシロイ顔をしてくれるとは……。楽しい反面、言い知れぬ悔しさがこみ上げる。  後日、スナックに行くと、またSさんがいた。俺を見るなり、「またオモシロイ顔をするから、見てくれ!」という。  そんなわけで、2回戦目開始!! 2_1omoshiro.jpg 2_2omoshiro.jpg 2_3omoshiro.jpg 2_4omoshiro.jpg 2_5omoshiro.jpg 2_6omoshiro.jpg 2_7omoshiro.jpg 2_8omoshiro.jpg 2_9omoshiro.jpg 2_10omoshiro.jpg 2_11omoshiro.jpg 2_12omoshiro.jpg 2_13omoshiro.jpg 2_14omoshiro.jpg 2_15omoshiro.jpg 2_16omoshiro.jpg e_omoshiro.jpg  Sさんのオモシロイ顔に、再び爆笑してしまった……。 「次はもっと笑わせてあげるよ。金曜にまたこの店で会おう」  笑いながら写真を撮る俺に、Sさんは不敵な笑みを浮かべて、そう言った。正直、もう十分。オナカいっぱいでございます。  一通りオモシロイ顔を拝見させていただいたし、これ以上どう笑わせてくれるというのか。俺も、同じ手(顔)で、三度は笑いませんよ。  ……しかし、このSさんからは、そこらの量産型酔客とは違う、底知れない可能性を感じる。Sさんなら、さらに突拍子もない「何か」をやらかしてくれるのではないか? そんな淡い期待を胸に抱きつつ、指定された日時に再度スナックへ行ってみることにした。  スナックの戸を開けると……。 3_2omoshiro.jpg  そこには、何故かコックに扮したSさんがいた。場末のスナックにコックさん……なんと不条理な光景であろうか。  聞けば、Sさんの本職はコックで、俺を笑わせるために、わざわざこの格好のまま、四谷から電車で赤羽までやってきたという。  3回戦目開始!!! 3_3omoshiro.jpg 3_4omoshiro.jpg 3_5omoshiro.jpg 3_6omoshiro.jpg 3_7omoshiro.jpg f_omoshiro.jpg  なんだこの髪型!!!!!!!!!  コック帽を外したSさんの頭に、俺は驚愕した。 g_omoshiro.jpg  俺を笑わせるためだけに、わざわざ床屋に行って、こんな素っ頓狂な髪型にしてきたという。  数日前にたまたま場末のスナックで居合わせただけの、得体の知れない若輩者を笑わせるためだけに……!!!  床屋のオヤジからは「本当にいいんですか……?」と心配され、職場の上司からは「なんだそのふざけた髪型は!!」と大目玉を食らったらしい。  Sさん……あんたって人は……。さあ、引き続きそのオモシロイ髪型でオモシロイ顔をしてくだせえ!  4回戦目開始!!!! 4_1omoshiro.jpg 4_2omoshiro.jpg 4_3omoshiro.jpg 4_4omoshiro.jpg 4_5omoshiro.jpg 4_6omoshiro.jpg 4_7omoshiro.jpg 4_8omoshiro.jpg  途中から、面白さを通り越して恐ろしくなり、恐ろしさを通り越して再び面白くなった後に、何故だか感動すら覚える自分がいた。 4_9omoshiro.jpg 「Sさん、ご苦労様でした!」  頭をひと撫ですると、Sさんは少年のようなあどけない表情ではにかんだ。  俺も将来、こういうふざけたおじさんになりたい。 (文・イラスト・写真=清野とおる) 1seinoprof.jpg ●せいの・とおる 1980年生まれ。東京都板橋区出身。地元・赤羽に生息する奇妙な人々を生き生きと描いた漫画『東京都北区赤羽』(Bbmfマガジン )が大ヒット中。 Twitter <https://twitter.com/seeeeeeeeeeeeno> ●【キ○チ○ガ○イと呼ばないで】INDEX 【第4話】「ウンコおじさん」 【第3話】「恐怖!‟木曜日の男”」 【第2話】「鳥盗り物語」(後編) 【第2話】「鳥盗り物語」(前編) 【第1話】「ホモビデオの清野さん」

【清野とおるの、キ○チ○ガ○イと呼ばないで】第4話「ウンコおじさん」

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『東京都北区赤羽』でおなじみの漫画家・清野とおるによる、悶絶必死の爆笑コラム。  ノストラダムスの予言に世界中が翻弄されていた、1999年の冬。当時暮らしていた、板橋区の実家にて。  気丈で、滅多に弱い部分を見せない父が、深くため息をつき、明らかに参っているではないか。 「父さん、どうしたの?」  当時の俺は、基本的に家で父とはほとんど会話をしなかったし、父から話しかけられても軽くシカトしたりするような「ザ・内弁慶」だったけど、この時ばかりはさすがに心配になり、思わず声をかけてしまった。 2dappun.jpg 3dappun.jpg 「なんであんなとこでウンコするかなあ~……あんなとこでよお……」  気丈な父がこれほどショックを受けるほどのウンコとは、一体、いかなる状況下でのウンコだったのか。 4dappun.jpg  そして、ほどよく酔った父が、事の真相を詳しく教えてくれた。 5dappun.jpg  血圧&血糖値が超高めの件で、近所の病院に通院していた父。 6dappun.jpg  薬局で薬を受け取り、いざ帰ろうと自動ドアを開けたその刹那……。 7dappun.jpg  なんと、道路のド真ん中で、こちらにケツを向けてもろウンコしているおじさんがいたという。 ※前回に引き続き、今回もウンコの色をピンクに塗らせていただいておりますm(。・ε・。)m 8dappun.jpg  思わず悲鳴を上げてしまった父の元に、若い薬剤師さんたちが駆け寄ってきた。 9dappun.jpg    彼女たちも、もろにおじさんの脱糞姿を見てしまい、絶叫。  その絶叫により、通行人たちも一斉にウンコおじさんの存在に気づき、あたりは悲鳴と絶叫とウンコの飛び交う地獄絵図と化したそうだ。  父は走ってその場を後にしたという。 10dappun.jpg 11dappun.jpg ……思えば、反抗期をこじらせ、内弁慶街道まっしぐらだった俺が、父と面と向かって笑顔でこんなにちゃんと会話したのは、何年ぶりのことだっただろう? 話の内容が「おっさんのウンコ」というのが、いささかアレではあるけれど。  その数日後。 12dappun.jpg  今度は母が「ウンコおじさん」の被害に遭った。  母いわく、最寄の地下鉄駅から地上に上がるべく駅の階段を上っていると、 13dappun.jpg  地上が何やら騒がしいという。何事かと思い駆け上がると、 14dappun.jpg  おじさんがウンコをしていたという。  地下鉄の駅から地上に出る時なんて、人間がもっとも無意識で無防備で「弱い」瞬間である。そんなところをウンコしながら待ち構えるだなんて、確信犯的な悪意すら感じる。  一瞬で気分が悪くなった母は、小走りで帰宅したそうだ。 15dappun.jpg  そんなウンコおじさんのことを、ご近所在住の幼なじみ、山本くんに話した。 「ああ、あのおじさんね」  山本くんは、“何をいまさら?”的な冷めた温度で答えた。  今年(99年)の春くらいから、通学時を始め、数え切れないほどおじさんを目撃しているらしい。ある時は、バス停で待ってる人たちに向かって脱糞。またある時は、歩行者天国真っ只中の人通りの多い車道で脱糞。必ず、人が多いほうに尻を向けるのが特徴だという。 16dappun.jpg  おじさんの不条理な尻の方角に激高し、詰め寄る人もいたという。普通この場合、野グソに怒ると思うのだが、もはや野グソは許容され、尻の方向で怒るというところに、おじさんの常習性とタチの悪さがうかがえる。 17dappun.jpg  また、ヤンキーに絡まれながら脱糞しているところも目撃したそうだ。それでもウンコをやめないおじさんの姿勢に、山本くんは「何か大いなる意志を感じた」という。 18dappun.jpg  俺は、ウンコおじさんとなかなか遭遇できない自分にいら立ちを覚えていた。近所でそんなすごいおじさんがいるんだし、せめて一度くらいは見てみたいと、想いを馳せる日々を送ったのである。今思うと、見る必要もないし、想いも馳せ損だなあとは思うけど。  そんある日。 19dappun.jpg  なにやら近所の公園に人だかりができているではないか。 20dappun.jpg  そこでは、下半身裸のおじさんが、 複数の警察官に取り押さえられているではないか……!  パッと見、ただの露出狂かと思ったけど、すぐにこの人がうわさのウンコおじさんなのだと確信した。 21dappun.jpg  おじさんの足元に、産みたてホヤホヤのウンコが転がっていたからだ。  おそらく、おじさんの行動を見かねた誰かが、ついに通報したのであろう。野グソだけでも犯罪だけど、脱糞の際、同時にチンポもお出しになられていらっしゃるので、罪状は「軽犯罪法違反」及び「公然わいせつ」のダブルパンチだとお察し致す。 「これでおじさんもおしまいだな……。最後の最後に見ることができて、いい記念になった」  俺はそう思った。 22dappun.jpg  命運尽きたと思われたおじさんであったが、数日後、何食わぬ顔をしてその辺でウンコしてるのを、散歩中の父と母が目撃。 23dappun.jpg  最初見た時は狼狽した父と母であったが、この頃には完全に「見慣れたいつもの光景」になっていたそうだ。  人間の適応能力って、つくづくすごいなあと思った。  残念ながらおじさんは、2001年の末に、近所の公園で死んでいるところを発見されたらしいです……。おじさんのご冥福を、心よりお祈り致します。 (文・イラスト=清野とおる) 1seinoprof.jpg ●せいの・とおる 1980年生まれ。東京都板橋区出身。地元・赤羽に生息する奇妙な人々を生き生きと描いた漫画『東京都北区赤羽』(Bbmfマガジン )が大ヒット中。 Twitter <https://twitter.com/seeeeeeeeeeeeno> ●【キ○チ○ガ○イと呼ばないで】INDEX 【第3話】「恐怖!‟木曜日の男”」 【第2話】「鳥盗り物語」(後編) 【第2話】「鳥盗り物語」(前編) 【第1話】「ホモビデオの清野さん」