『ニッポンノワール』大コケの戦犯は脚本家!? その裏に“日テレ特有の体質”か

 賀来賢人主演のドラマ『ニッポンノワールー刑事Yの反乱―』(日曜夜10時半~/日本テレビ系)の最終回が12月15日に放送された。

 プロデューサーの福井雄太、脚本の武藤将吾など、菅田将暉主演ドラマ『3年A組―今から皆さんは、人質です―』(同)のスタッフが再集結し、『3年A組』の半年後の世界を描くということから、放送開始前には大いに期待されていた同作。

 広末涼子、井浦新をはじめ、豪華キャストがそろったことや、篠井英介や細田善彦、栄信の3名が『3年A組』と同名同役でレギュラー出演していることなども、注目のポイントとされた。

 視聴率は初回の7.8%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)から6.5%、6.4%、6.5%、7.1%、6.4%、6.0%、7.1%、6.9%と推移し、最終回には8.1%と、それまでの最高値を記録した。一見、最終回で挽回したかのようでもあるし、衝撃的な結末に対して「鳥肌が立った」などのつぶやきもSNS上の一部では見られた。

 しかし、大多数は「なんで3Aとリンクさせたの?」「最終回で完全に興ざめ」「びっくりするほどつまらなかった」「とりあえず奇をてらっただけのドラマ」「がっかりドラマ」「無駄に話を大きく広げすぎて収拾がつかず無理やりこじつけた感だらけの最終回」などと酷評だらけ。

 Huluに誘うラストに対しても、「どうしても有料サイトのHuluに導きたいのか。最近こういうのばかりで、純粋にテレビだけで楽しみたい人はそっちのけ」「またHulu? いい加減にしろ」という批判が続出していた。

 だが、これらの批判のほとんどは出演者でなく、作り手に向けられているところが、唯一の救いと言っていいかもしれない。

 あるエンタメ誌記者は言う。

「賀来さんや井浦さん、北村一輝さん、工藤阿須加さんなどの熱演ぶりがとにかく気の毒で、観るのがつらくて仕方ありませんでした。それぞれにハイテンションでただうるさく叫ぶだけの演技が目立ちましたが、これは明らかに演出側の指示によるもののはず。井浦さんなどは渋い役柄を多くこなしてきただけに、まだダメージが少ないですが、一番気の毒なのは主演の賀来さん。長く脇役を務めてきた彼が、せっかく『今日から俺は!!』(同)のヒットで主演クラスに昇格したばかりなのに、このドラマでケチがついてしまった印象はあります。ただ、自身が認知度を大きく高めた日テレ「日曜ドラマ」枠に恩返しした形なので、やむを得ないかもしれません。それに、むしろ同情の声が多いので、彼自身の役者としての評価を下げることにはならないと思います」

 また、テレビ誌編集者は言う。

「『ニッポンノワール』は演出もひどいですが、一番ひどいのは、やっぱり矛盾だらけ、大風呂敷を広げるだけ広げた、幼稚で粗い脚本でしょう。このドラマの戦犯は間違いなく『3年A組』も手掛けた、脚本家・武藤将吾さんだと思います。ただ、それも、日テレ特有の“体質”のせいともいえますが……」

 日テレの“体質”とは、囲い込もうとすることだと同氏は指摘する。

「日テレでは『3年A組』をヒットさせた立役者として、武藤さんを“大先生”扱いしてしまうあまり、批評や調整ができない状態になっていました。日テレは一部演出家に対しても同様に、“大先生”扱いしすぎて、視聴者置いてけぼりの自己満足ドラマを作ってしまうケースがこれまで何度もありました。それは、ヒットメーカーを囲い込みたいからこそ。古くはバラエティで『エンタの神様』独自のキャラ芸人を番組側が作っていましたが、今ではモノマネタレントの『りんごちゃん』やYouTuberの『フワちゃん』などを囲い込んで他局にあまり出演させないように、日テレは自局でスターやヒットメーカーを作ろうとするあまり、客観性を失いがちな傾向があるんです」

 テレビ離れが進む若者たちをテレビに引き戻すべく、『3年A組』『あなたの番です』など、さまざまな企画に貪欲に挑んでいる日テレ。その姿勢には評価すべきところがあるが、批評性を失った番組作りを続けていると、それまでの日テレ視聴者たちからそっぽを向かれてしまう日が来るかもしれない。

菅田将暉の業界内評価が急上昇! 『3年A組』の号泣演技は99%アドリブだった

 視聴者の心に刺さったのにはワケがあった!

 3月10日、菅田将暉主演のドラマ『3年A組―今から皆さんは、人質です―』(日本テレビ系)の最終回が放送され、視聴率15.4%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)を記録。日本テレビの日曜ドラマでは最高の最終回視聴率となった。

「公式Twitterのフォロワー数も28万3,000人を突破し、日テレのプライム帯ドラマにおいて、フォロワー数が歴代1位に。最終回の放送直後には動画配信サービス『Hulu』でスピンオフ編が配信され、アクセスが殺到。一時つながりにくい状態になる人気ぶりでした。これまで『続きはHuluで』という手法には視聴者からの抗議が局に殺到するのが常でしたが、今回は1件もなかったようです」(テレビ誌ライター)

 圧巻だったのは、ラストの7分にもわたる菅田の長ゼリフ。「それだよ、それ。そのお前の自覚のない悪意が、景山澪奈を殺したんだよ。つまんねえ生き方してんじゃねえぞ。見苦しいんだよ」などと号泣しながら訴えかける迫真シーンは「演技がヤバイ!」とネット上で大絶賛されているが、その内幕を日テレ関係者が明かす。

「もちろん台本があり、それに準じてはいますが、劇中の菅田のセリフは99%がアドリブ。本人は家族や友人を思い浮かべながら語っていたそうで、だからこそあれほどまで視聴者の心に届いたのでしょう。そのせいで、毎回誰かのセリフが削られ、泣くことになっていようですが(笑)。ドラマの打ち上げで菅田は、『僕が劇中で流している涙とかは、勝手に、ただリアルに出るものなんです。それはドラマ作りとして正しいのか、3カ月間悩んでいました』と打ち明けています。結果は大成功で、役者としの格は1ランクも2ランクも上がった。近いうちにNHK大河ドラマの主演オファーも来るのではないか」

 テレビドラマ史に名を残した菅田が、次はどんな役に挑戦するのか楽しみだ。

菅田将暉に勝てるジャニーズがいない!『3年A組』大ヒットで、進む「ジャニーズ離れ」

 菅田将暉主演の日本テレビ系ドラマ『3年A組 -今から皆さんは、人質です-』の最終回(3月10日放送)が、平均視聴率15.4%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)で自己最高視聴率を記録した。放送終了後には、Huluにてスピンオフドラマ『3年A組 -今から皆さんだけの、卒業式です-』の配信が開始されるも、アクセスが集中し、一時的につながりにくくなるハプニングもあった。

「ネットで話題にされることも多く、そのうえ視聴率も好調だったということで、まさに大ヒットドラマだったといえます。菅田のほか、生徒役で出演していた若手俳優たちのキャリアアップに大きく貢献する作品となったでしょう」(テレビ誌記者)

 今回の『3年A組』の大ヒットを受けて、ドラマ業界における「ジャニーズ離れ」が加速するのではないかとささやかれているという。

「学園モノのドラマだと、ジャニーズのタレントが生徒役で数人出演するというパターンの作品も多いのですが、『3年A組』にはジャニタレは出演していなかった。一応業界的にはジャニーズは“数字を持っている”とされているけど、結果的にジャニーズを出さなくても数字が取れるということなんですよね。正直なところ『数字が取れないなら、わざわざ扱いが面倒なジャニーズを使う必要はない……』と考えるドラマ関係者も増えてますよ」(テレビ局関係者)

 ジャニーズと競合するところでは、GENERATIONS from EXILE TRIBEの片寄涼太が出演していた。

「片寄が踊った『朝礼体操』の動画がSNSで大きく拡散されるなど、片寄にとってはかなりオイシイ作品になったでしょうね。ジャニタレであれば、SNSでの動画拡散もなかっただろうし、日テレ的にもジャニーズではなく、GENERATIONSを選択したのは正解だったといえますね」(同)

 そして、何より『3年A組』のヒットで大きくキャリアアップしたのが、主演の菅田だろう。

「単なる若手イケメン俳優から、深みのある演技もできる俳優にステップアップしたと、評価が上がっているようです。20代半ばの同世代俳優の中では、完全に頭ひとつ抜け出た状態です」(前出・テレビ誌記者)

 菅田は現在26歳。同世代のジャニタレというと、Hey! Say! JUMPやKis-My-Ft2、ジャニーズWESTなどのメンバーが当てはまる。

「30代であれば、嵐や関ジャニ∞もいて、20代前半以下であれば、King & Princeなど勢いのある若手もいる。でも、20代半ばの世代は、ジャニーズ的に最も弱い層なんですよね。残念ながら1人として菅田に勝てるメンバーはいません。そういう部分も含めて、ドラマ界でのジャニーズ離れが進んでいるのかもしれません」(同)

 社内のゴタゴタが報じられることも多いジャニーズ事務所だけに、ドラマ界にもその影響も少なからずあるはず。業界における「脱ジャニーズ依存」は、もはや止められない!?

最終話は15.4%! 菅田将暉主演『3年A組』はなぜ支持されたのか?

 昨日(3月10日)、『3年A組―今から皆さんは、人質です―』(日本テレビ系)の最終話が放送された。

 多くの視聴者の予想通り、柊一颯(菅田将暉)が起こした今回の騒動はSNSに警鐘を鳴らすことが目的だった。

澪奈のさくらへの別れが手紙だった理由

 景山澪奈(上白石萌歌)が自殺した日、茅野さくら(永野芽郁)はビルの屋上で澪奈と会っていた。さくらはクラスでいじめを受ける澪奈を見て見ぬふりし、皆と同じように無視したことを謝罪した。

 ちょうどそのとき携帯が鳴り、さくらは会話を中断。そして、スマホを手に取った。すると、澪奈の耳にだけ「ドーピングの景山澪奈だ」「悲劇のヒロイン気取ってんじゃねえよ」という声が届く。

「やめて……。なんでそんなこと言うの!? なんで私を責めるの!?」(澪奈)

 スマホに文字を打ち込むさくらを見て、様子がおかしくなる澪奈。さくらが味方だとはわかっている。なのに、さくらが敵に見えてしまう。SNSで誹謗中傷にさらされ、澪奈の身には幻覚や幻聴が起こるようになっていた。

「ダメなの。皆が敵に見えて、そんな風に思う自分が嫌で、たまらなく嫌で。だからもう、無理なんだ」(澪奈)

 澪奈は屋上から飛び降り、自らの命を絶った。

 第1話で「もう二度と話しかけないで。さくらとは友達になれない」と、澪奈から手紙をもらったことをさくらは明かした。それを聞いた柊は「なんで手紙だったんだろうな?」と質問した。もう、澪奈はメールも打てないくらいに追い詰められていたのだ。

 SNSで標的にされ、澪奈のように心の病気になった人は現実でも大勢いるはずだ。

 郡司(椎名桔平)を人質に取り、校舎の屋上に上がった柊は、「すべての真相をお話する」とSNSでライブ中継を行った。

 まず、澪奈が亡くなった当日にビルから柊が出てきた映像について。これは相良孝彦(矢島健一)協力のもとに柊が製作したフェイク動画だった。その事実を知り、「俺たちをコケにしたってことかぁぁぁ!」「ワレ、何がしたいんじゃボケッ!」と怒りの書き込みがSNSで相次いだ。

「ハハハッ! 混乱してるねぇ! なのに、けなすことは忘れない。これだよ、これ! これが、俺が立てこもった最大の理由だよ」(柊)

 フェイク動画を使い状況を二転三転させ、いかに不確かな情報に踊らされているかをネット民に自覚させる。これが柊の狙いだ。柊を凶悪犯扱いし、その後にヒーロー扱いし、武智大和(田辺誠一)に矛先を変え、再び柊を糾弾。確かに彼らは信憑性のない情報を元にたびたび態度を翻し、その都度、罵詈雑言を浴びせていた。

「これを娯楽としか思っていないあんたに言ってんだよ! おい! そこの!! 周りに流されて意見を合わせることしかできない、お前に言ってんだよ!」(柊)

 マインドボイスに向き合う柊の視線が、視聴者の視線と合っている。「お前らに言ってんだ!」と叫ぶ柊。彼は、ドラマを見る我々に直接伝えようとしている。明らかに、私たちに向けての言葉だった。

「お前ら、景山の何を知ってたんだよ? 何にも知らねえだろ! 会ったことねえだろ、話したこともねえだろ! 大して知りもしないのに、なんであんなに叩けるんだよ? 『ウザイ』『キモい』『死ね』、よくもまぁそんなゲスなワードがポンポン出てくるもんだわ、恥ずかしい……。それだよ、それ! そのお前の自覚のない悪意が、景山澪奈を殺したんだよ!」

「自分の親や、友だちに面と向かって言えない言葉を、見ず知らずの他人にぶつけんなよ。お前のストレスの発散で他人の心をえぐるなよ」

「右にならって吐いた何気ない一言が、相手を深く傷つけるかもしれない。独りよがりに、偏った正義感が束になることでいとも簡単に人の命を奪えるかもしれないってことを、そこにいる君に! これを見ているあなたに! 一人一人の胸に刻んでほしいんだよ。他人に同調するより、他人を貶すより、まずは自分を律して、磨いて作っていくことが大切なんじゃないのか?」

 こんなに熱弁を振るったとしても、ネット(私たち)はきっと変わらない。このメッセージを受け止め「感動した」と言っている人も、きっと数日後には忘れてしまう。いじめがなくならないのと同じようにゼロ。それが現実だ。3周忌の際、柊の遺影にさくらが語りかけた「あの事件で世の中が大きく変わったなんてことは全然ない」という言葉はリアルだった。

 ドラマはある1人のネットユーザーへフォーカスする。柊のライブ中継開始を待機し「叩く準備はできたぞ、ばっちこーい!」と書き込んだ青年である。数年後、彼は「お前なんか死ねばいいのに」と書き込む寸前に思いとどまり、打ち込んだ文字をdeleteした。

 きっと、ネットは変わらない。でも、誰か1人でも考える機会になればいい。この青年のように。それが制作陣の思いではないだろうか。

 はっきり言ってこのドラマ、細部が雑だった。ストーリーに整合性が取れていない箇所があるし、未回収の伏線も多い(元大臣・牧原の存在、朝の体操が派手な理由、教師時代の郡司の教え子のこと、澪奈の絵画について等)。恐らく、あまり先のことを考えず脚本を作り、熱さのみで突っ走った結果だろう。

 でも、「一時の感情で不用意な行動を起こすな」「自覚なき悪意を見ず知らずの他人にぶつけるな」という真芯だけは、全話通じてぶれていない。

 ネットでは「中高生など若者向けのドラマ」「大人には響かないけど子どもに響けばいい」という視聴者の声が散見された。果たしてそうだろうか? 柊のメッセージを理解していない大人は大勢いる。それどころか、SNSで汚い言葉を発するのはどちらかと言えば大人のほうだ。武智はネットを悪用する大人の象徴のような存在だった。「若者ばかりに向けたメッセージではない」という制作陣の意図を察することができるのだ。

 ライブ配信終了後に柊は屋上から飛び降り(死ぬつもりはなかったが)、寸前で生徒たちに助けられた。

「死ぬのは……怖いな」(柊)

 死を怖がるよりも、ネットの罵詈雑言に耐えられず命を絶った澪奈。彼女のような存在を生み出してはならない。だから、私たちはLet’s Think!しなければならない。

 正直、「ほかに黒幕がいる?」「最終話にどんでん返しがある?」等の予想もしていた。いや。ドラマが発するメッセージは、最後まで愚直なほどにどストレートだったのだ。

(文=寺西ジャジューカ)

『3年A組』菅田将暉の最終目標はやはりSNS? 永野芽郁の告白の真意とは? 伏線を徹底検証!

 3月3日放送『3年A組―今から皆さんは、人質です―』(日本テレビ系)の第9話。正直、今回はほとんど進展がなかった。端的に言えば、まだ回収していない伏線をなぞった程度。

 そこで、本稿では残された未解決箇所で特に気になるものを振り返っていこうと思う。

武智の惨状が暗示する、澪奈の死の真相

 まず気になるのは、景山澪奈(上白石萌歌)の死の真相だ。あのとき、澪奈はどういう状態だったのか。

 柊一颯(菅田将暉)は、騒動を起こした目的の1つとして「武智大和(田辺誠一)に犯した過ちを気づかせ、澪奈が味わった苦痛を追体験させること」を挙げた。ビルから出てくるフェイク動画が拡散されて以降、武智の様子は明らかにおかしい。視界は歪み、幻覚と幻聴が彼を襲っている。ネットで袋叩きに遭ったせいで猜疑心にさいなまれ、世の中すべてが敵に見えてしまっている。

 追体験ということは、澪奈もこんな状況に陥っていたのかもしれない。生前の彼女が発した言葉「私はもう私じゃない」は、レッテルを貼られ、本来とは違う自分(ドーピング疑惑など)がネット上で作り上げられたことに対する嘆きだった気がする。

 そんな彼女が茅野さくら(永野芽郁)にビルへ呼び出され、そこで何かが起こった。武智の身に起こっている視界の歪みは、澪奈が死んだ原因の大きなヒントになっているはずだ。

さくらの告白は自責の念から?

 今回、さくらは意を決して「私が澪奈を殺した」とクラスメートに打ち明けた。 

 第9話のオープニングでは、舞台は数年後の3月9日へ移り、3年A組の生徒たちが亡き柊の三回忌に再び教室へと集まっていた。さくらも出席している。よって、さくらが真犯人ではないことは明らかだ。しかも、「俺の授業」で柊は“本当の犯人”の名を生徒たちに明かしている(放送上は伏せられた)。つまり、さくらの告白は自責の念にかられたフライング発言の可能性が高い。

 柊は逢沢博己(萩原利久)に協力を仰いだ際、「(計画の実行は)茅野のためでもある」と言っていた。この発言から、さくらの抱える“罪の意識”を払拭する狙いが柊にあったと考えられる。

 そもそも、初回でさくらが「私のせいで澪奈は命を絶った」と言った際、柊ははっきりと「お前のせいじゃない」と否定していた。さくらのせいじゃないのだ。

 なぜ、さくらは自責の念にかられたのか?

 澪奈は「強い」と言われることを極度に嫌がっていた。水泳のオリンピック代表を有望視されていた澪奈。プレッシャーの強い日々だ。そんな彼女がさくらと出会い、喜んだ。

「私、本当の友だちができたかもしれない」と。

 しかし、さくらも他の者と同じように澪奈を特別扱いし、崇めた。

「澪奈は、天上天下唯我独尊、『私は私、文句ある?』、タフネスの代名詞じゃん。澪奈は最強だもん」(さくら)

 この言葉を聞き、澪奈は表情を曇らせた。

「さくらが、私は強いって……。たぶん、さくらに一番言われたくなかった言葉。私は強くなんかないから」(澪奈)

 結局、初回でさくらが言った「私は澪奈を被写体としてしか見てなかった」という後悔に集約されるのだ。弱さを見せてもいい“本当の友だち”と思っていたのに、やっぱりさくらも澪奈を偶像崇拝した。澪奈の悲しみに気づいたさくらが「澪奈を追い詰めたのは私」と悔やみ、その感情から「私が澪奈を殺した」と口にしてしまった気がする。

■柊の最終目標はSNSか?

 この仮説に則ったとすると、柊の最終目標はやはりネット民、SNSではないだろうか。他者の投稿で“自分じゃない自分”が独り歩きし、拡散される場でもあるからだ。そうなると、武智をターゲットにしたことが一層腑に落ちる。ネットでの蛮行がブーメランとして襲ってきてからでは、気づいたとしてももう遅い。武智の惨状は、それをわかりやすく表している。

 つまり、このドラマが言っていることは毎回同じだ。不確かな情報に踊らされず、本質を見極めろ。浅はかで愚かな投稿は人を傷つけ、死に追いやることさえある。悪意にまみれたナイフは本人だけでなく家族や友人を巻き込み、食い尽くす。

 現在、『3年A組』が映画化されるというネットニュースが流布されている。最終話で謎が解き明かされず、真のエンディングは劇場に持ち越されるという内容だ。

 この情報そのものが、「ネットに踊らされるな」「本質を見極めろ」というドラマからのメッセージにさえ思えてきた。まさに、ドラマを見てきた視聴者に向けてのLet’s Think!というところか。

(文=寺西ジャジューカ)

黒幕はネット民!? 『3年A組』伏線の回収と見せかけ、風呂敷は大きくなる一方……

 2月17日放送『3年A組―今から皆さんは、人質です―』(日本テレビ系)の第8話。

 前回、景山澪奈(上白石萌歌)のフェイク動画作成を半グレ集団・ベルムズに依頼したのは自分だと認めた教師の武智大和(田辺誠一)。しかし、澪奈殺害に関しては否定していた。なのに、ネット上はすでに「武智が殺人犯とは」「武智サイコ認定!」という声であふれている。加えて、同僚たちも「うさんくさかった」「ざまあみろ」と手のひらを返して武智を責めた。

“推定有罪”の概念が大部分を占めているのが世間。柊一颯(菅田将暉)による「俺の授業」への大いなる前振りである。

■電脳部員の西崎はネット民を体現する存在

 今回、柊がA組に課した授業は「自習」だった。しかも、没収していた携帯電話を返却する大サービスぶりだ。

 思い思いに和やかな時間を過ごす生徒たちの中、「電脳部」部員の堀部瑠奈(森七菜)はパソコンを前に奮闘していた。澪奈と武智が共にビルへ入っていく動画を再チェックしているのだ。そして、解析する。動画は加工されており、ビルに入っていくのは武智じゃなく本当は柊だった事実に彼女はたどり着いた。

 瑠奈と、そして同じ電脳部員の西崎颯真(今井悠貴)は悔やんでいた。澪奈が生きていた頃、彼女のドーピング疑惑のきっかけとなるフェイク動画を見つけ、拡散したのは西崎だった。

瑠奈「ねえねえ、ヤバい。景山さん、ドーピングらしい」

西崎「最っ低だな~。拡散してやるか」

 ニヤつきながら軽い気持ちで拡散した西崎。その後、今回と同様に瑠奈は動画を解析、動画がフェイクだと見破った。

瑠奈「どうする……?」

西崎「……別にどうもしねえよ。ほっとけよ」

 動画を拡散した西崎と、見て見ぬふりをした瑠奈。ある意味、西崎は多くの「ネット民」を体現している。そこに恨みや復讐心のような感情はない。目に飛び込んだ情報をうのみにし、オートマティックに拡散。自分が発信したのではなく、ただ拡散しているだけだから当事者意識もあまりない。フェイク動画だと気づき、まずいとは思っても、自分発信ではないので「俺のせいじゃない」と放置して終了。真実を知っていたのにもかかわらずだ。2人が声を上げれば、澪奈の命は失われなかったかもしれない。

■今日の「自習」は西崎のための授業

 ビルから柊が出てきた動画を前に、A組は騒然。柊はA組に迫った。

「お前たちが決めろ。この動画をどうすべきか、俺をどうしたいか、お前たちが決めろ」(柊)

 西崎は動画をアップしようとする。澪奈への罪悪感を拭いたいからだ。あのとき、自分が放置したせいで澪奈は死んでしまった。そして今、武智の動画がフェイクだと判明した。この動画をアップし、今度こそスルーしない自分でいたい。

 皮肉である。真偽不明のまま澪奈のフェイク動画を拡散したときとやってることが同じなのだ。過去の過ちを悔やみ、改めようとしているのに、同じ轍を踏んでしまっている。

 クラス中が西崎を制した。そして、よく考えるように「グッ、クルッ、パッ」を訴えた。

柊「大事な決断をするときはグッと踏みとどまって、クルっと頭を一周させれば、パッと正しい答えが浮かぶ。グッ、クルッ、パッ、な」(柊)

 今日は西崎のための授業だ。彼は柊からの“説教”がなかった初めての生徒。でも、A組は柊から多くを学んできた。もう、お前たちで答えが出せるだろう? という柊の思いからの「自習」なのだ。

 クラス全体が、この動画が本物かどうか議論している。結果、柊が映る動画そのものがフェイクだとわかった。なんでもかんでも拡散していたあの頃と比べ、生徒たちは変わった。柊作成のフェイク動画に踊らされるマインドボイスユーザーたちとも違う。「自分は傷ついた」を免罪符に他人を傷つけていたA組が、“加害者としての自分”も意識するようになった。「Let’s Think!」ができるようになったのだ。

 柊が作ったフェイク動画は、武智に対してのものでもあり、電脳部に対するものでもあったのだ。

 我々からしても、SNSでの情報の取り扱いは「投稿」より「拡散」のほうが身近だと思う。大きな罪悪感を伴わないから、余計に厄介である。

■椎名桔平(郡司真人)はネット民と正反対の存在

 このドラマが全10話だとすると、残るはあと2話。伏線の回収作業に入っていると見せかけて、風呂敷は大きくなる一方だ。

 初回から一貫してわからないことがある。そもそも、柊の目的はなんなのか? そして、“黒幕”は一体誰なのか?

 柊に手を貸す警視庁理事官の五十嵐徹(大友康平)は、郡司真人(椎名桔平)から事件の目的を問われ、答えた。

五十嵐「俺も柊も、復讐が目的じゃない。俺たちの相手は別にいる」

郡司「牧原丈一郎ですか? 教育委員会も操れる教育界のドン」

五十嵐「その程度の相手なら、犯罪に加担したりしねえよ」

 元文部科学大臣よりも上の存在とは誰か? 実は、ネット上では「黒幕はネット民では?」という説が飛び交っている。澪奈のフェイク動画をうのみにし、楽しみ、澪奈を叩き続けたのは、確かにネットユーザーだ。だから、柊はマインドボイスで注目を集めることを意識している? でも、それだと、相良文香(土村芳)の“育ての父”孝彦(矢島健一)と五十嵐が柊に手を貸した理由としては弱い気がする。

 1つだけ気づいたことがある。郡司のことだ。五十嵐には「誰と戦おうとしてるんですか?」と、柊には「何をしようとしてるのか確かめに来た」と迫った郡司。真意がわからなければ必ず本人に会いに行き、問うのがこの男だ。グッと踏みとどまらず、気軽に投稿、拡散してしまうネット民と対の存在として郡司は描かれている。

(文=寺西ジャジューカ)

『3年A組』化けの皮がはがれた田辺誠一と菅田将暉の演技バトル! 第7話は情報量多すぎ?

 2月10日放送の『3年A組―今から皆さんは、人質です―』(日本テレビ系)の第7話。とにかく、情報量の多い回だった。

■永野芽郁(さくら)は真実を知っている?

 黒幕と断定するつもりはないが、茅野さくら(永野芽郁)の動きがイチイチ怪しい。

 第6話のエンディングで柊一颯(菅田将暉)は、景山澪奈(上白石萌歌)のフェイク動画作成を半グレ集団・ベルムズに依頼したのは武智大和(田辺誠一)であると断言した。

 柊は2つの動画を生徒に公開した。1つは、命を落とした当日の澪奈が「フェイク動画の犯人に会いにいく」と告げているもの。もう1つは、防犯カメラの流出映像。死の当日に澪奈が怪しい男とどこかのビルへ入っていく映像だ。ザワつく教室内。ある生徒が「この男が澪奈を殺した可能性がある」と言い、同調する生徒が現れると、いきなりさくらは「そんなのありえない」と真っ先に否定に掛かった。結局、流れを止められず、クラス中が「この男は武智だ」という意見に染まってしまうのだが。

 美術室に戻る柊をさくらは追い掛けた。

「あの動画はなんなんですか!? あれって、どう考えても……」

 どう考えても、なんなのか?

 動画の男が本当に武智なのか、生徒たちは躍起になって解析する。でも、難しい。解析を担当する生徒が「そんな簡単にわかったら、とっくに誰かが暴いてるよ~」とこぼした後の、さくらの顔。ホッとしているような、どこか意味深な表情なのだ。

 そもそも、あの動画で2人が入ろうとしているビルはどこなのか? 第1話の回想シーンで澪奈とさくらが仲良さげに会話をしていたのは、とあるビルの屋上だった。まさかとは思うが、今回の流出映像とつながっている気がして仕方がない。

 そもそも「犯人に会いに行く」と事前に聞いておきながら、澪奈をノコノコと1人で向かわせる柊の対応も解せない。どう考えても危険である。そういえばあの映像、澪奈の後を男が付いていく形になっていた。「会いに行く」のに犯人を後ろに従わせているのも妙である。

 要するに、「澪奈と犯人の男(武智?)が2人で歩く動画」と断定できない要素が多すぎるのだ。そして、裏にある真実をさくらはきっと知っている。

■第7話で初めての教師への説教

 高校3年生にとって、「進路」ほど大事なものはない。すべてだと言ってもいい。

 瀬尾雄大(望月歩)と魚住華(富田望生)は武智のおかげで大学のスポーツ推薦が決まっていた。武智が問題を起こせば、自分たちの推薦はなくなる。そうはさせまいと、瀬尾は柊を襲撃した。彼らの襲撃は失敗に終わったが、柊は瀬尾の気持ちを理解した。

柊「お前のゴールはどこだ? スポーツ推薦で大学に入ることか? それとも、大学を卒業しても選手を続けることか?」

瀬尾「知らねえよ。……目の前のことにいっぱいいっぱいで、考えたこともねえよ」

「推薦まであと一歩だった。もうちょい力があれば……。でも、そのわずかな差が天才と凡人の差なんだろうな」と諦めていた矢先、降って湧いたように武智から持ち掛けられた推薦の話。「俺にはこれしかねえんだよ。やっとつかんだチャンスなんだ」と高3生がいっぱいいっぱいになってしまう気持ちは、正直わかる。

柊「お前たちはそれでいい。だが……教師はそうはいかない」

 このドラマは、「犯人探し→説教」という流れがフォーマットとしてある。今回は、まさかの教師に対する説教だった。

 毎年、一定数の生徒を豪翔大学に推薦入学させ、選手の活躍に応じ報酬を受け取っていた武智。1年目で結果を出せなかった生徒への処遇はむごい。強制退部と授業料免除撤回だ。 結果、武智の推薦で入学した生徒の9割は1年目に大学を退学していた。

 武智「俺はただ、見込みのありそうな奴においしい環境を与えてやっただけじゃないか。それの何が悪い! できなければ消される、そんなの当然だろ。生徒がどうなろうと自己責任だ、俺には関係ない! 結果が出ずに辞めた奴のことなんか知るか。商品価値のない奴に用はないんだよ」

柊「生徒は物じゃない! 俺たちが導いてやらなきゃならない、脆くて未完成な人間なんだよ! 3歩先しか見えてない彼らに長いレールを敷いてやる! 未来を信じ、 行く先を案じて、どの道を歩めばそれが彼らにとっての最善なのかを考える。寄り添って一緒に答えを探す! それが、教師の務めだろう」

 生徒はいっぱいいっぱいでいい。でも、教師はそうはいかない。最善のレールを敷いてあげるべき。毎回、柊は説教をしている。いつも当たり前のことばかり言っている。当たり前のことすらわからない者が多いからである。

■“映像の男”は本当に田辺誠一(武智)じゃないっぽい

 流出映像に武智の顔が映っていたと知らされ、武智はうろたえた。

武智「僕じゃない! そこに映ってるのは、僕じゃない!!」

 どうも、この男の反応がガチなのだ。「なぜバレた!?」ではなく「自分じゃないのに!」という取り乱し方に見える。本稿序盤で触れた通り、動画に映るあの男は武智じゃない可能性がある。武智は何か大事なことを言おうとしていた。言い終わらなかったが……。

柊「フェイク動画の件は認めるんですね?」

武智「ああ。でも、俺は彼女(澪奈)に会えなかった! 彼女は俺と会う前に……」

柊「(遮って)皆さ~ん、お聞きしましたか? ご覧の通り、武智先生が自分の罪を認めました」

 武智は何を言おうとしていたのか。武智と会う前、澪奈に何があった?

 とにかく、今回で謎は激増した。情報量の多い第7話だった。追い掛けるだけで大変である。

(文=寺西ジャジューカ)

『3年A組』菅田将暉の剣幕に福原遥がガチ泣き! 真犯人は本当に田辺誠一!?

 2月10日放送の『3年A組―今から皆さんは、人質です―』(日本テレビ系)の第6話。

 このドラマには、「犯人探し→説教→改心」という流れが毎回のフォーマットとしてある。今回の“犯人探し”の対象は生徒ではなく魁皇高校の教師だ。景山澪奈(上白石萌歌)を死に追いやった動画の作成を半グレ集団「ベルムズ」に依頼した悪の根源は誰なのか? 柊一颯(菅田将暉)は5人の教師に迫った。

「名乗り出なかった場合、教室を爆破します」(柊)

 教室に監禁されている生徒たちがザワついた。

「お前ら、先生を説得してみるか? 生徒が必死に命乞いをすれば、犯人の心が揺らぐかもしれない。Let’s Think!」(柊)

 こうして、3年A組内で教師を対象とした犯人予想が始まった。みんなの意見を募り、最終的に本命視されたのは水泳部顧問の坪井勝(神尾佑)だ。しかも、A組には個人的に坪井に恨みを持つ生徒がいる。

 水越涼音(福原遥)は、かつては人一倍練習する水泳部員だった。しかしある日、恋人の中尾連(三船海斗)と一緒にいるときの写真を坪井に差し出され、「男とイチャついてる奴が、練習来ても迷惑なんだよ!」と退部させられた過去がある。涼音はSNSを使って坪井を告発せんと動画を撮影した。

「元水泳部の水越涼音です。私は水泳部の顧問・坪井先生に執拗なセクハラとパワハラを受けました。私に付き合っている男性がいるとわかった途端、水泳の練習にすら参加させてもらえず、退部に追い込まれました。きっと、澪奈も同じ目に遭ったんだと思います。フェイク動画を作ったのは坪井先生に違いありません」

 ネットを使って坪井を追い詰める。涼音はそういう腹づもりだ。

 実は、坪井が涼音に退部を強制したのには理由があった。涼音は運動誘発性の致死性不整脈だった。過度な練習によって不整脈を起こし、そのまま運動を続けると命を落とす危険性がある。

「俺はお母さんからお前を説得するように頼まれた。『自分が言えばお前は無理してでも大会に出るだろうから』って。でも、俺が言っても同じだと思った。俺には ああいうやり方しか思いつかなかった。でも、結果的にそれがお前を苦しめていたんだな。本当に申し訳なかった」(坪井)

■5日間の“俺の授業”でも変わらなかった生徒たち

 涼音による告発動画アップは、すんでで柊がストップを掛けていた。坪井の真意を知り、動画の拡散を後悔していた涼音は、膝から崩れ落ちて安堵する。

「なんだ……よかったぁ……」(涼音)

 足元にいる涼音を柊は足蹴にし、引きずり回し、壁に叩きつけた。

「何がよかったんだ。おい、何がよかったんだ。お前が、この動画をネットに流そうとしたことに変わりはない、違うか? この動画が世間に広まったら、坪井先生がどんな目に遭ってたのか、よく考えたのか? なあ! 考えたのか!! お前の不用意な発言で、身に覚えのない汚名を着せられ。本人が! 家族が! 友人が! 傷つけられたかもしれないんだ。お前は取り返しのつかないことをやろうとしたんだ、なあ! わかってんのか!?」(柊)

 大前提として、坪井はやり方がよくない。写真をばらまくという形で部を辞めさせられた涼音は深く傷ついた。本人のためを思うなら、病気と向き合わせるべきである。今さら「実は……」と美談でまとめられても腑に落ちない。坪井は涼音を説得する努力を放棄した。不信感を抱かれるのも当然だ。

 それを踏まえても、柊は行く。今までのどの生徒よりも、涼音を厳しく指導する。あまりの剣幕に、クラスメートが制止に入った。

「もう、いいじゃん! しょうがないでしょ。結果、やってなかったんだからもう許してあげなよ!」

「そうだよ、涼音だって反省してんだ」

 まさに、そういうところだ。

「目を覚ませ! 何がしょうがないんだよ、おい。何を反省してるんだよ! お前ら、いいかげん目を覚ませよ。変わってくれよ! 何がいけなかったのか、上辺だけで物事を見ないで、よく考えるんだよ!」

「目の前の起こっているものをちゃんと目で受け止めて、頭に叩き込んで! 胸に刻むんだよ!! お前ら、それをしないから何回も何回も同じこと繰り返すんじゃねえのか?」

 今まで、3年A組は同じことを繰り返してきた。澪奈が自分を避けていると逆恨みし、感情に任せフェイク動画を拡散した宇佐美香帆(川栄李奈)。自分の不幸な境遇を誰も助けてくれないと決め付け、澪奈の盗撮動画をベルムズに渡した甲斐隼人(片寄涼太)。事実を確かめず、「自分は傷ついたから」と感情に身を任せ、取り返しのつかないことを起こしてしまう。それぞれの安易な思いで動画は投稿され、人生をムチャクチャにされた澪奈は自殺した。香帆も甲斐もそれを後悔している。その姿を目の前で見ていたはずの涼音が、また同じ過ちを繰り返そうとした。「変わろう!」と柊は繰り返し説いてきたのに、まだ感情に任せ後先考えず事を起こしてしまう生徒。今まで、何を見ていた!? まだ変わっていない、伝わっていない涼音だからこそ、他のどの生徒よりもキツく行ったのではないか。

「デジタルタトゥー」という言葉がある。ネット上に公開された書き込みは、一度拡散すると完全な削除は不可能という事実を示す表現だ。告発動画が投稿されたら、後で誤解とわかっても取り消せない。澪奈がフェイクの動画で自殺したように、不正確な情報でも坪井の人生は壊れてしまう。

「この動画が世間に広まったら、坪井先生がどんな目に遭ってたのか、よく考えたのか? なあ! 考えたのか!! お前の不用意な発言で、身に覚えのない汚名を着せられ。本人が! 家族が! 友人が! 傷つけられたかもしれないんだ。お前は取り返しのつかないことをやろうとしたんだ、なあ! わかってんのか!?」(柊)

「結果、やってなかったんだから」で許してしまうわけにはいかない。行動そのものを看過しない。よく考えろ。澪奈のような最期を生まないために。「傷ついた」を大義名分に、衝動的に事を起こしてはダメなのだ。

 第5話で、柊はこう言っていた。

「景山の事件は、誰が死んでいてもおかしくなかった。ターゲットになったのがたまたま景山だっただけで、お前たちの誰かが同じような目に遭う可能性も十分にあった」

 何かの拍子で、誰しもがSNSで標的にされる可能性がある。その意味も含んでの発言だったのではないか? だからこそ、よく考える。「Let’s Think!」なのだ。

 柊は、「不用意な発言で身に覚えのない汚名を着せられる人がいる。取り返しのつかないことだ」と強く説いた。そんな彼が、テレビカメラが入る公の場で「真犯人は武智大和(田辺誠一)」と名指しした。やはり、本当に武智が犯人なのだろうか?

 柊の呼びかけに対し、教師から名乗りは出なかった。予告どおり教室は爆破された。しかし、柊が爆破したのはA組ではなく、武智が受け持つB組だった。これは「もう授業しないでいいですよ」というメッセージであり、武智への挑発か?

 ただ、この教師が“黒幕”というのもひねりがない気もする。次回予告を見ると、郡司真人(椎名桔平)の「柊の狙いは本当にこいつなのか!?」という声も聞こえてくる。

 メッセージは存分に伝わってくる。でも、相変わらず先の読めないドラマである。

(文=寺西ジャジューカ)

『3年A組』今田美桜への説教は強引すぎ? 熱血教師の”正論”がついに破綻……

 2月3日放送の『3年A組―今から皆さんは、人質です―』(日本テレビ系)第5話。今回スポットが当たった生徒は、諏訪唯月(今田美桜)だ。

 半グレ集団「べルムズ」リーダーの喜志正臣(栄信)と交際していた唯月は、海外のファッションショーに出るようなモデルになるのが夢。彼女が喜志と付き合っているのには理由がある。喜志のコネクションによってメジャーなモデル事務所に所属でき、雑誌の表紙も飾ることができた。喜志がいれば、何も言わなくても勝手にライバルを蹴落としてくれる。夢を追う唯月にとって、かけがえのない拠りどころになっていた。

 半グレと芸能界のつながりを描くとは、なかなかに踏み込んでいる……。

 景山澪奈(上白石萌歌)を見た喜志は、不穏なことを口走った。

喜志「あいつ、有名な水泳の選手なんだろ。人気あんの?」

唯月「まあ。私は苦手だけど。なんか鼻につくっていうか。あんな奴いなくなればいいのに」

喜志「本当にいなくなったりして」

 唯月が澪奈にいら立つ理由はわかりやすい。好きでもない男と付き合い、媚び、自らを犠牲にしながら夢に向かっている自分。澪奈はひたむきな練習に励み、誠実に結果を出している。うしろめたさがある唯月は、澪奈に嫉妬したのだ。

 何も言わなくてもライバルを蹴落としてくれる喜志はフェイク動画を製作、澪奈のドーピング疑惑を拡散して澪奈を自殺に追いやった。

唯月「間違ったことくらいわかってる。でも、私はこうやって生きてきたから!」

 そんな彼女に、柊一颯(菅田将暉)が掛けた言葉が意外だった。

「お前は間違ってない」

「迷って、もがいて、途方に暮れて、それでも正解を求めて前を向く。進んで進んで、ダメなら傷付きながら引き返す。で、また歯を食いしばって前を向く。みんなみっともないんだよ! でも、それでいい。それがいい! 恥を繰り返して強くなるんだよ。っていうか、恥もかかずに強くなれると思うな!」

「お前のこれまでは、誰が何と言おうと絶対に間違ってない!」

 これまでの柊が“俺の授業”で伝えてきたメッセージは、至極まっとうな正論ばかりだった。言ってしまえば、彼の説教の内容はありきたりなものばかり。

 でも、今回のそれはいかがなものか。半グレの力を使い、ライバルを陥れる彼氏。未成年の高校生がその力に頼り、知らぬとは言え澪奈を自殺に追い込む片棒を担いだ。それらを全部ひっくるめて「それでいい。それがいい!」と言われても……。「恥もかかずに強くなれると思うな」のメッセージを伝えたいがために、強引がすぎるのだ。その論理は、残念ながら刺さらない。

■田辺誠一は敵か味方か?

 澪奈が喜志から受け取ったペンダントにはUSBメモリーのチップが入っていた。内容はフェイク動画の顧客リストである。依頼人の欄を見たら、魁皇高校教師がいると記されていた。

 これが明らかになるや、Twitterでは「武智先生」がトレンド入りする事態に! 事件そっちのけでテレビに露出、軽薄な態度を取り続ける武智大和(田辺誠一)を多くの視聴者が黒幕視したのだ。

 彼の今までの行動を振り返ると、確かに喜志とのつながりに説明がつく。自己顕示欲の強い武智は、半グレの力を借りることで数多いテレビ露出を成し得たのか? と。ただ、一方でこんな予想も立つ。人質事件のSNS拡散に腐心し、日本中の注目を集めたい柊。もし武智が柊の味方だとすると、異常なほどのメディア露出に合点が行くのだ。自らがテレビに出ることで、魁皇高校への注目を集めている。武智は柊の協力者か? と。

 まあ、今作は伏線とまったく関係ない事柄が正解になったり予測不可能だ。だから、先の展開予想はこの辺でやめておこう。

 このドラマには、犯人探し→説教→改心という流れがフォーマットとしてある。その対象が、生徒から今度は教師へと移る。武智、市村浩一(ベンガル)、佐久間現(バッファロー吾郎A)、森崎瑞希(堀田茜)、坪井勝(神尾佑)の5人の内の誰かがフェイク動画の犯人なのだから、そうなるのは自然。5人の内の誰かの闇があぶり出され、例によって柊が改心させる。そんな次回が来そうである。

 とはいえ、まだ終わりじゃない。犯人が明らかになったとて、その背後には黒幕がいて、その黒幕を別の黒幕が操っていて……と連鎖していくのが今作の定石なのだから。まだまだ先はありそうだ。でも、病に冒される柊は、今にも力尽きてしまいそうである……。

(文=寺西ジャジューカ)

 

 

『3年A組』今田美桜への説教は強引すぎ? 熱血教師の”正論”がついに破綻……

 2月3日放送の『3年A組―今から皆さんは、人質です―』(日本テレビ系)第5話。今回スポットが当たった生徒は、諏訪唯月(今田美桜)だ。

 半グレ集団「べルムズ」リーダーの喜志正臣(栄信)と交際していた唯月は、海外のファッションショーに出るようなモデルになるのが夢。彼女が喜志と付き合っているのには理由がある。喜志のコネクションによってメジャーなモデル事務所に所属でき、雑誌の表紙も飾ることができた。喜志がいれば、何も言わなくても勝手にライバルを蹴落としてくれる。夢を追う唯月にとって、かけがえのない拠りどころになっていた。

 半グレと芸能界のつながりを描くとは、なかなかに踏み込んでいる……。

 景山澪奈(上白石萌歌)を見た喜志は、不穏なことを口走った。

喜志「あいつ、有名な水泳の選手なんだろ。人気あんの?」

唯月「まあ。私は苦手だけど。なんか鼻につくっていうか。あんな奴いなくなればいいのに」

喜志「本当にいなくなったりして」

 唯月が澪奈にいら立つ理由はわかりやすい。好きでもない男と付き合い、媚び、自らを犠牲にしながら夢に向かっている自分。澪奈はひたむきな練習に励み、誠実に結果を出している。うしろめたさがある唯月は、澪奈に嫉妬したのだ。

 何も言わなくてもライバルを蹴落としてくれる喜志はフェイク動画を製作、澪奈のドーピング疑惑を拡散して澪奈を自殺に追いやった。

唯月「間違ったことくらいわかってる。でも、私はこうやって生きてきたから!」

 そんな彼女に、柊一颯(菅田将暉)が掛けた言葉が意外だった。

「お前は間違ってない」

「迷って、もがいて、途方に暮れて、それでも正解を求めて前を向く。進んで進んで、ダメなら傷付きながら引き返す。で、また歯を食いしばって前を向く。みんなみっともないんだよ! でも、それでいい。それがいい! 恥を繰り返して強くなるんだよ。っていうか、恥もかかずに強くなれると思うな!」

「お前のこれまでは、誰が何と言おうと絶対に間違ってない!」

 これまでの柊が“俺の授業”で伝えてきたメッセージは、至極まっとうな正論ばかりだった。言ってしまえば、彼の説教の内容はありきたりなものばかり。

 でも、今回のそれはいかがなものか。半グレの力を使い、ライバルを陥れる彼氏。未成年の高校生がその力に頼り、知らぬとは言え澪奈を自殺に追い込む片棒を担いだ。それらを全部ひっくるめて「それでいい。それがいい!」と言われても……。「恥もかかずに強くなれると思うな」のメッセージを伝えたいがために、強引がすぎるのだ。その論理は、残念ながら刺さらない。

■田辺誠一は敵か味方か?

 澪奈が喜志から受け取ったペンダントにはUSBメモリーのチップが入っていた。内容はフェイク動画の顧客リストである。依頼人の欄を見たら、魁皇高校教師がいると記されていた。

 これが明らかになるや、Twitterでは「武智先生」がトレンド入りする事態に! 事件そっちのけでテレビに露出、軽薄な態度を取り続ける武智大和(田辺誠一)を多くの視聴者が黒幕視したのだ。

 彼の今までの行動を振り返ると、確かに喜志とのつながりに説明がつく。自己顕示欲の強い武智は、半グレの力を借りることで数多いテレビ露出を成し得たのか? と。ただ、一方でこんな予想も立つ。人質事件のSNS拡散に腐心し、日本中の注目を集めたい柊。もし武智が柊の味方だとすると、異常なほどのメディア露出に合点が行くのだ。自らがテレビに出ることで、魁皇高校への注目を集めている。武智は柊の協力者か? と。

 まあ、今作は伏線とまったく関係ない事柄が正解になったり予測不可能だ。だから、先の展開予想はこの辺でやめておこう。

 このドラマには、犯人探し→説教→改心という流れがフォーマットとしてある。その対象が、生徒から今度は教師へと移る。武智、市村浩一(ベンガル)、佐久間現(バッファロー吾郎A)、森崎瑞希(堀田茜)、坪井勝(神尾佑)の5人の内の誰かがフェイク動画の犯人なのだから、そうなるのは自然。5人の内の誰かの闇があぶり出され、例によって柊が改心させる。そんな次回が来そうである。

 とはいえ、まだ終わりじゃない。犯人が明らかになったとて、その背後には黒幕がいて、その黒幕を別の黒幕が操っていて……と連鎖していくのが今作の定石なのだから。まだまだ先はありそうだ。でも、病に冒される柊は、今にも力尽きてしまいそうである……。

(文=寺西ジャジューカ)