「演者最低、制作費最低なのに200点!?」宇多丸の人気ラジオ番組がまさかのドラマ化

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 ヒップホップグループ・ライムスターの宇多丸氏がメインパーソナリティーを務めるTBSラジオの人気番組『ライムスター宇多丸のウィークエンド・シャッフル』(毎週土曜 21:30~24:30放送中)。2007年の開始以来、音楽、映画、アイドルなど知識が多岐にわたる宇多丸氏らしい内容で、時にはシャープに切り込み、時にはボンクラトークに花を咲かせ、幅広い世代から支持を得てきた。  そんな同番組から派生したDVD『タマフル THE MOVIE ~暗黒街の黒い霧~』(TCエンタテインメント)が3月28日に発売。ラジオ番組の企画モノDVDといえば、傑作トーク集や番組の裏側など本編に付随した内容が通例だが、今回はなんと番組出演者やスタッフが出演する完全撮りおろしのフェイクドキュメンタリー。しかも『SR サイタマノラッパー』(2008)や『劇場版 神聖かまってちゃん ロックンロールは鳴り止まないっ』(2011)で注目を浴び、若手映画監督ナンバーワンの呼び声も高い入江悠監督が手掛けるという。  ラジオ番組の映画化とは一体どういうことなのか。早速、主演の宇多丸氏を直撃した。 ――『タマフル THE MOVIE ~暗黒街の黒い霧~』について、いろいろうかがいたいのですが。 宇多丸 我ながら「コレは何?」っていうようなDVDの取材に来ていただいて、ホント申し訳ない……。 ――いきなり恐縮しないでください(笑)。ラジオの番組DVDがフェイクドキュメンタリー作品とは、不意をつかれました。 宇多丸 普通ならオフショットを収録したりするんでしょうけど、番組DVDの話が出た時に「うちの番組でそれやってもねえ……」って言ってたんです。それでしばらくしたら、入江悠監督にやってもらえることになって、「えー! いいの!?」「でもちょっと待って、僕らが演技するわけ!?」「素人だけど大丈夫?」ってみんな不安と疑問でザワザワしてましたね。 ――フタを開けてみれば、劇場で公開しないのがもったいないほどしっかりとした娯楽作品になりましたね。 宇多丸 役者として最低レベルの僕たちを使って200点出してますから、あらためて入江監督の才能が証明されましたよね。今回、それぞれのキャラクターを理解して作ってくださっているので、“それをやったら一番面白い人”に、ちゃんとそれをやらせてるんですよ。たとえば古川耕(番組構成作家)と近藤夏紀(プロデューサー&ディレクター)のラブシーンなんかも、ラブシーンを演じさせたら一番ギクシャクしそうな荒唐無稽な2人にやらせてる。それでいてラストは、ファンをイヤな気分にさせないところに着地していて、ファンが買う“アイドルビデオ”としてもちゃんと成立してるんです。 120215bt_0032.jpg ――全編“悪フザケ”ではあるんですが、展開が目まぐるしく変化していく中で、いつの間にかグッと引き込まれました。 宇多丸 とくにアクションに振れ出してからは、たとえ番組を知らなくても普通に楽しめますよね。入江監督は、後半に向けて違うところに行くような流れにしたいとおっしゃっていたんです。たとえば、タイトルを挙げるとハードル上がっちゃうけど『第9地区』(2009/ニール・ブロンカンプ監督)なんかがそうですよね。最初はフェイクドキュメンタリー調に始まって、途中からジャンルが変わっていくっていう。 ――宇多丸さんが超つまらないフリートークをするシーンも印象的でした(笑)。 宇多丸 あれは「番組がおかしなことになってる感を漂わせたトークをしてください」って言われて、意外と大変だったんですよ。ほかにも僕が銃の話をしてるのに、古川さんは文房具の話をしていて、2人とも心ここにあらずで噛み合わないシーンもアドリブなんです。 ――宇多丸さんから見て、演者としてとくに光っていたのはどなたですか? 宇多丸 やっぱりMVPは、橋本名誉プロデューサーですよ。一番負担の大きい役でしたし、学生プロレスラー上がりの彼の資質をすべて投入したんじゃないですかね。でも最近、役同様に「これカネになんの?」とかってカネカネ言うようになっちゃって。役柄との見境いが付かなくなる『ブラック・スワン』(2010/ダーレン・アロノフスキー監督)状態が起きていて恐ろしいです(笑)。 ――橋本P以外の方々も、しまおまほさんのスピリチュアルキャラや、荒井マネジャーの横暴キャラなど、濃い役柄を演じられてましたが。 宇多丸 実際、それぞれにああいう要素があるんですよ。しまおさんもあそこまでではないけど、普段からキテレツなこと言うし。この作品でまったくないのは古川さんと夏紀のラブ要素だけ。それぞれの元々ある嫌な部分を増幅して見せられるから、撮り終わったあとに「しまおさんて普段からああいうこと言ってるよね」とか、「橋本Pってああいうとこあるよね。いつもちょっと怖いもんね」とかってみんな本当にイヤな気分になって。ちょっと番組やりづらくなったんですよ。 ――あらら(笑)。DVDには特典として、出演者らの副音声や、入江監督×宇多丸さんの対談映像が収録されているとか。 宇多丸 副音声は、初見の状態で何人かで見ながら録ったんです。だから「ギャーッ」とか「ワーッ」とか、そんなんばっかのやつです(笑)。その分、対談では映画作りについてや、この作品の意図など解説っぽいことを話してます。 ――ちなみに続編の可能性は? 宇多丸 続編っすか(笑)。まあ、フェイクは今回でやり切ってしまった感があるので、やるとしたら違う手でしょうね。ドキュメントとか、ポルノとか、『風雲!たけし城』のパクリとか、さまざまな手がありますから。素材はそろってますので、いろいろな監督に競作してほしいですね。 ――では最後に「日刊サイゾー」読者へ作品の見どころを! 宇多丸 ファン向けの内輪向け企画ではあるんですけど、演者最低、制作費最低という厳しい条件で、入江監督がちゃんと面白い映画にしちゃってます。なのである意味、門外漢の方も日本映画界の試金石として間違いなく必見です。もちろんこの番組のファンの方は絶対に楽しめますし、逆にアンチ宇多丸の方も、あなたの気に入らないハゲの無様な姿が全編に展開してますので、おすすめです! ――確かに宇多丸さん、劇中でボロボロなってますもんね(笑)。 宇多丸 僕に恨みを持ってる人は、僕が出るたびにワロタワロタ言えていいじゃないですか(笑) (取材・文=林タモツ/撮影=尾藤能暢) ●『タマフル THE MOVIE ~暗黒街の黒い霧~』 『ウィークエンドシャッフル』の放送中、事件が起こる!? TBSの大人気ラジオ番組『ライムスター宇多丸のウィークエンドシャッフル』の舞台裏を、実在の人物とフィクションが入り混じるセミドキュメンタリータッチでドラマ化。監督・脚本は日本映画界の新星・入江悠(「SRサイタマノラッパー」シリーズ)。 出演/宇多丸、しまおまほ、古川耕、妹尾匡夫、高橋芳朗、高野政所、コンバットREC、近藤夏紀、橋本吉史ほか スタッフ/監督・脚本:入江悠、製作・企画:TBSラジオ&コミュニケーションズ 定価/3,675円(税込) 3月28日発売 ●宇多丸(ライムスター) ヒップホップ・グループ「ライムスター」のラッパーでラジオDJ。自身のTBSラジオ番組「ライムスター宇多丸のウィークエンド・シャッフル」で、映画評論の「ザ・シネマハスラー」は単行本化される人気コーナー。最新映写技術「マッピング」を導入したことでも話題となった、ライムスターの全国ツアー『King Of Stage Vol. 9』は、Blu-ray & DVDとなって3月21日待望リリース。
タマフル THE MOVIE ~暗黒街の黒い霧~ まさかまさかの展開。 amazon_associate_logo.jpg
【関連記事】 ・宇多丸さんの至言「人にはだいたい『ちょうどいい』ところがあるんです」Kダブシャインさんの至言「宇多丸は、Kダブをシャインさせない」伊集院光さんの至言「結局、うんこを食うしかない状況になるんです」「ラジオは都落ちだと思ってた」"ラジオの女王"小島慶子、今だから語れるホンネ若手映像作家・入江悠監督の覚悟「メジャーでやれないことをやる」

「演者最低、制作費最低なのに200点!?」宇多丸の人気ラジオ番組がまさかのドラマ化

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 ヒップホップグループ・ライムスターの宇多丸氏がメインパーソナリティーを務めるTBSラジオの人気番組『ライムスター宇多丸のウィークエンド・シャッフル』(毎週土曜 21:30~24:30放送中)。2007年の開始以来、音楽、映画、アイドルなど知識が多岐にわたる宇多丸氏らしい内容で、時にはシャープに切り込み、時にはボンクラトークに花を咲かせ、幅広い世代から支持を得てきた。  そんな同番組から派生したDVD『タマフル THE MOVIE ~暗黒街の黒い霧~』(TCエンタテインメント)が3月28日に発売。ラジオ番組の企画モノDVDといえば、傑作トーク集や番組の裏側など本編に付随した内容が通例だが、今回はなんと番組出演者やスタッフが出演する完全撮りおろしのフェイクドキュメンタリー。しかも『SR サイタマノラッパー』(2008)や『劇場版 神聖かまってちゃん ロックンロールは鳴り止まないっ』(2011)で注目を浴び、若手映画監督ナンバーワンの呼び声も高い入江悠監督が手掛けるという。  ラジオ番組の映画化とは一体どういうことなのか。早速、主演の宇多丸氏を直撃した。 ――『タマフル THE MOVIE ~暗黒街の黒い霧~』について、いろいろうかがいたいのですが。 宇多丸 我ながら「コレは何?」っていうようなDVDの取材に来ていただいて、ホント申し訳ない……。 ――いきなり恐縮しないでください(笑)。ラジオの番組DVDがフェイクドキュメンタリー作品とは、不意をつかれました。 宇多丸 普通ならオフショットを収録したりするんでしょうけど、番組DVDの話が出た時に「うちの番組でそれやってもねえ……」って言ってたんです。それでしばらくしたら、入江悠監督にやってもらえることになって、「えー! いいの!?」「でもちょっと待って、僕らが演技するわけ!?」「素人だけど大丈夫?」ってみんな不安と疑問でザワザワしてましたね。 ――フタを開けてみれば、劇場で公開しないのがもったいないほどしっかりとした娯楽作品になりましたね。 宇多丸 役者として最低レベルの僕たちを使って200点出してますから、あらためて入江監督の才能が証明されましたよね。今回、それぞれのキャラクターを理解して作ってくださっているので、“それをやったら一番面白い人”に、ちゃんとそれをやらせてるんですよ。たとえば古川耕(番組構成作家)と近藤夏紀(プロデューサー&ディレクター)のラブシーンなんかも、ラブシーンを演じさせたら一番ギクシャクしそうな荒唐無稽な2人にやらせてる。それでいてラストは、ファンをイヤな気分にさせないところに着地していて、ファンが買う“アイドルビデオ”としてもちゃんと成立してるんです。 120215bt_0032.jpg ――全編“悪フザケ”ではあるんですが、展開が目まぐるしく変化していく中で、いつの間にかグッと引き込まれました。 宇多丸 とくにアクションに振れ出してからは、たとえ番組を知らなくても普通に楽しめますよね。入江監督は、後半に向けて違うところに行くような流れにしたいとおっしゃっていたんです。たとえば、タイトルを挙げるとハードル上がっちゃうけど『第9地区』(2009/ニール・ブロンカンプ監督)なんかがそうですよね。最初はフェイクドキュメンタリー調に始まって、途中からジャンルが変わっていくっていう。 ――宇多丸さんが超つまらないフリートークをするシーンも印象的でした(笑)。 宇多丸 あれは「番組がおかしなことになってる感を漂わせたトークをしてください」って言われて、意外と大変だったんですよ。ほかにも僕が銃の話をしてるのに、古川さんは文房具の話をしていて、2人とも心ここにあらずで噛み合わないシーンもアドリブなんです。 ――宇多丸さんから見て、演者としてとくに光っていたのはどなたですか? 宇多丸 やっぱりMVPは、橋本名誉プロデューサーですよ。一番負担の大きい役でしたし、学生プロレスラー上がりの彼の資質をすべて投入したんじゃないですかね。でも最近、役同様に「これカネになんの?」とかってカネカネ言うようになっちゃって。役柄との見境いが付かなくなる『ブラック・スワン』(2010/ダーレン・アロノフスキー監督)状態が起きていて恐ろしいです(笑)。 ――橋本P以外の方々も、しまおまほさんのスピリチュアルキャラや、荒井マネジャーの横暴キャラなど、濃い役柄を演じられてましたが。 宇多丸 実際、それぞれにああいう要素があるんですよ。しまおさんもあそこまでではないけど、普段からキテレツなこと言うし。この作品でまったくないのは古川さんと夏紀のラブ要素だけ。それぞれの元々ある嫌な部分を増幅して見せられるから、撮り終わったあとに「しまおさんて普段からああいうこと言ってるよね」とか、「橋本Pってああいうとこあるよね。いつもちょっと怖いもんね」とかってみんな本当にイヤな気分になって。ちょっと番組やりづらくなったんですよ。 ――あらら(笑)。DVDには特典として、出演者らの副音声や、入江監督×宇多丸さんの対談映像が収録されているとか。 宇多丸 副音声は、初見の状態で何人かで見ながら録ったんです。だから「ギャーッ」とか「ワーッ」とか、そんなんばっかのやつです(笑)。その分、対談では映画作りについてや、この作品の意図など解説っぽいことを話してます。 ――ちなみに続編の可能性は? 宇多丸 続編っすか(笑)。まあ、フェイクは今回でやり切ってしまった感があるので、やるとしたら違う手でしょうね。ドキュメントとか、ポルノとか、『風雲!たけし城』のパクリとか、さまざまな手がありますから。素材はそろってますので、いろいろな監督に競作してほしいですね。 ――では最後に「日刊サイゾー」読者へ作品の見どころを! 宇多丸 ファン向けの内輪向け企画ではあるんですけど、演者最低、制作費最低という厳しい条件で、入江監督がちゃんと面白い映画にしちゃってます。なのである意味、門外漢の方も日本映画界の試金石として間違いなく必見です。もちろんこの番組のファンの方は絶対に楽しめますし、逆にアンチ宇多丸の方も、あなたの気に入らないハゲの無様な姿が全編に展開してますので、おすすめです! ――確かに宇多丸さん、劇中でボロボロなってますもんね(笑)。 宇多丸 僕に恨みを持ってる人は、僕が出るたびにワロタワロタ言えていいじゃないですか(笑) (取材・文=林タモツ/撮影=尾藤能暢) ●『タマフル THE MOVIE ~暗黒街の黒い霧~』 『ウィークエンドシャッフル』の放送中、事件が起こる!? TBSの大人気ラジオ番組『ライムスター宇多丸のウィークエンドシャッフル』の舞台裏を、実在の人物とフィクションが入り混じるセミドキュメンタリータッチでドラマ化。監督・脚本は日本映画界の新星・入江悠(「SRサイタマノラッパー」シリーズ)。 出演/宇多丸、しまおまほ、古川耕、妹尾匡夫、高橋芳朗、高野政所、コンバットREC、近藤夏紀、橋本吉史ほか スタッフ/監督・脚本:入江悠、製作・企画:TBSラジオ&コミュニケーションズ 定価/3,675円(税込) 3月28日発売 ●宇多丸(ライムスター) ヒップホップ・グループ「ライムスター」のラッパーでラジオDJ。自身のTBSラジオ番組「ライムスター宇多丸のウィークエンド・シャッフル」で、映画評論の「ザ・シネマハスラー」は単行本化される人気コーナー。最新映写技術「マッピング」を導入したことでも話題となった、ライムスターの全国ツアー『King Of Stage Vol. 9』は、Blu-ray & DVDとなって3月21日待望リリース。
タマフル THE MOVIE ~暗黒街の黒い霧~ まさかまさかの展開。 amazon_associate_logo.jpg
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