復帰のシナリオは引退直後から? 紳助「復帰ドキュメンタリー」

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「週刊ポスト」5月25日号 中吊り広告より
グランプリ 「島田紳助『復帰ドキュメンタリー』ただいま極秘撮影中!」(「週刊ポスト」5月25日号) 第2位 「告白『塩谷瞬に、私は歯形が残るほど噛まれました』」(「フライデー」5月25日号) 第3位 「嫁と娘は出て行った 宮沢りえの夫がぼやく不同意別居と離婚」(「週刊新潮」5月17日号)  5月14日の朝日新聞朝刊を開いて仰天した。「6月6日開票 AKB48総選挙」の一面広告が3ページぶち抜きで載っている。  今年が第4回で、前回の総数が約116万票だったとあるが、投票券が欲しくて何枚もCDを買うファンがいることに、金権選挙ではないかという批判があることを朝日が知らないわけはない。  この企画は、朝日グループの日刊スポーツと朝日新聞広告局が製作したとあるから、そんなことは知ったことではないということか。  驚くのはまだ早い。有力メンバー4人が大きく載っている見開きの下には、「日本クレジット協会」の広告があるのだ。篠田麻里子の写真と共に「正しく使って、より安全・安心 クレジットカード」「好きですルールを守る人」と特筆大書してある。  CDを買い込むためにクレジットカードを使う若者も多いはずだ。一時の衝動で大量買いしたが翌月支払えず、トラブルになるケースもあることは間違いない。  クレジットカードは「無理なく計画的に利用することが大切」だと書いてあるのは、悪い冗談としか思えない。投票熱をあおり、大量にCDを買わせるあくどい商法がクレジットカード会社を太らせているのに。  総選挙は、無料かハガキで投票できるようにするべきではないか。そう紙面で論評するのが朝日新聞の良識というものではないのか。  星浩論説委員がコラム「政治考」で消費増税論争について、「メディアは様々な案を吟味して正確に論評する。竹下流(竹下登元首相=筆者注)に言えば、メディアも『歴史の巡り合わせ』を肝に銘じる時である」と、消費税増税をやることが歴史的使命だと野田佳彦首相を全面バックアップしている。  これも、一方的な押しつけではないか。「消費増税よりも行革や経済成長を優先させるべきだという政治家は、行革や成長の中身を具体的に示してくれ」と書いているが、そうした中身を十分に出させてから、議論を詰めるべきではないのか。朝日新聞は消費税に反対している小沢一郎にも真っ正面から論争を挑むべきであろう。  朝日新聞の良識とは、強くて怖い者とは堂々と切り結ばず、世の顰蹙(ひんしゅく) を買っているグループのイベントでも儲かれば「正確な論評もなく」片棒を担ぐ程度のものなのか。  惜しくもベスト3に入り損ねたが、週刊文春の「朝日新聞主筆 若宮啓文氏 女・カネ・中国の醜聞」は、若宮が主筆に就任する前の2008年2月、中国に出張する際、女性秘書を同行させ、しかも会社の経費を使ってビジネスクラスに乗せ、高級ホテルに宿泊していたと書いている。  このことが後日、社の内部監査室による調査で発覚して、若宮もそれを認めて全額を会社に返済したという。読んでみると若宮に同情すべきところもないわけではないが、朝日新聞の社論を決める最高責任者・主筆としては、ややお粗末なミスであることは間違いない。朝日新聞が自信を喪失してきている。そう感じるのは私だけだろうか。  最近、橋下徹大阪市長についての記事が目立つ。それも、週刊現代のように「総理間違いなし」から今週は「橋下徹内閣に『あの男たち』が入るらしいぞ」という気の早い記事まで登場している。  日本を変える真の改革者になるのか、ローカルの裸の王様で終わるのか。言っていることがコロコロ変わる、カメレオンのような言動を見ていると心許ない。  ここは週刊朝日の「橋下徹大阪市長の品格を問う」にあるように、 「あまりの閉塞状況に期待を寄せたい気分はわからないこともない。だが、希代のポピュリストの行く末は、まだまだ、注意深く見守る必要がある」  と、私も思う。  さて、今週は週刊誌発のスキャンダルを3本選んでみた。まずは新潮がスクープして発覚した宮沢りえの離婚騒動。  宮沢が6歳上の男と「デキ婚」したのは3年前。サングラスの有名ブランド「オークリー」のマーケティングを担当していて、「07年に彼女がハワイにCM撮影に訪れた際、彼がコーディネート役を務めたから。その後、りえにもサーフィンを教え、急速に関係を深めていきました」(芸能記者)  しかし、ハワイを中心に活動している亭主とりえの間にすれ違いが生じてきたようだ。  今年2月頃、浅草のフィリピンパブに来ていた亭主がこう嘆いていたという。 「かみさんが……りえがいなくなったんだよ。このまえ、ハワイから帰ってきたら、りえが娘を連れて、家を出て行っちゃったんだ。俺の荷物だけ残して、あとはもぬけの殻さ」  理由は、その店の関係者がこう語っている。 「収入の格差と、ハワイと日本を行き来するヒロさん(亭主=筆者注)の“二重生活”に、彼女の方が嫌気がさしたから、と聞きましたね」  新潮側に宮沢りえから次のような回答が寄せられたという。 「主人と別居中であることは事実です。現在、弁護士を立てて、離婚の交渉をしているところです」  これをスポーツ紙が知り、ワイドショーも動いて騒動になった。  『Santa Fe』(朝日出版社)で素晴らしいヌードを披露してくれたのが18歳。それから20年以上が経った。女優としてもう一皮むけるのにはちょうどいい時期なのかもしれない。  離婚を機に、あれから様々な男を経験してきたアラフォー・りえの熟れたヘア・ヌードをぜひ見たいものだ。  2位には、「二股交際」で一躍有名になった塩谷瞬(29)のきっかけを作ったフライデーの記事。  ビートたけしも「そもそもオイラはこの塩谷ってのが何者だかわかんないし、相手のオネエチャンたちだって初めて聞く名前なんでさ」というように、どうということない俳優とモデル、料理研究家の三角愛のトラブルなのだが、フライデーがモデル・冨永愛(29)とのツーショットをスクープして「大騒動」に発展した。  文春も塩谷と付き合っているときに「歯形が残るほど噛まれた」女たちを登場させて、塩谷とのセックス話をさせているが、フライデーには噛まれた女性のふくらはぎの写真が載っているため、この記事はフライデーの判定勝ち!  この塩谷という男、俳優としてはともかく、“すけこまし”としては一流のようである。  恵比寿のキャバクラで働いていた玲子(27)が、塩谷と別れようと思ったのも噛み癖が原因だった。 「肩、太腿、ふくらはぎに噛み付いて、『痛いからやめて』と懇願しても、なかなか口を離してくれない。歯形が黒く残り、1週間以上消えず、隠すのが大変でした。そんな時、セックスで中出しまでされてしまって」  歩美(29)もセックスの最中に噛まれたという。 「挿入はいつもナマで、下腹部に出してフィニッシュ。セックス自体は淡泊で、いつも1回かぎりだったので、きっと性欲が強いわけではなく、寂しがり屋で一人でいられないタイプなんでしょう」  噛まれたふくらはぎ写真は、歩美のものである。  塩谷は小さい時分に両親が離婚し、母親の名前も知らずに育った。父親も多忙で家に帰ってこなかったために食事も十分にとれず、路上で倒れてしまったこともあるという。  愛情に飢えていた子ども時代を取り戻そうと、せっせと女漁りをしているのだろうか。そう思えば、かわいそうで寂しい奴なのかもしれない。  フライデーは東テレの看板アナ・秋元玲奈(26)が横浜DeNAの主将・石川雄洋(25)と熱々で、お泊まり愛&同伴出勤をしているとも報じている。  秋元は姉がフジテレビの『ニュースJAPAN』でキャスターをしている秋元優里(28)で、父親は外務省のキャリア外交官というエリート一家。  目黒区にある石川の高級マンションに入った秋元は翌日、石川とともに出てきて、車で国道246号を神奈川方面へ走る。  横浜スタジアムの近くで降りた秋元は球場の「関係者入り口」へ向かい、石川も同じ入り口へ。ナイショの同伴出勤である。  今週のグランプリはポストの島田紳助が「復帰ドキュメンタリー」を極秘に撮影しているという記事に贈る。  文春の4月26日号に島田紳助インタビューが掲載されたとき、私はこの欄で、紳助は復帰したいと考えていて、このインタビューがその第一歩だと書いた。  ポストによれば、復帰のシナリオは引退会見直後から描かれていたことになる。 「制作を手がけるのは、これまで吉本興業関係のバラエティ番組を数多く手がけてきた制作会社。これをフジテレビが放送する予定だという。そしてこの番組で世間の反応を見て、大丈夫そうであれば本格復帰するシナリオが描かれており、他にも撮影予定の番組が控えているようだ」  この番組は吉本側が制作し、フジテレビがそれを買ったという体裁を取るという。  この復帰計画を進めているのは複数名おり、そのひとりは大崎洋吉本興業社長ではないかといわれている。  だが、今年1月4日に行われた新春会見の席で、大崎社長は紳助に戻ってきてほしいとラブコールを送ったが、抗議の電話などが殺到して厳しい批判にさらされた。  しかも、紳助は記者会見の時、暴力団と一緒に写っている写真など絶対ないと豪語していたにもかかわらず、フライデーがスクープし、ウソだったことがばれてしまった。  そんな状況の中でも吉本が紳助復帰を画策するのは、吉本側に事情があると業界関係者は語っている。 「紳助の抜けた穴は想像以上に大きく、(中略)経営状態も盤石とはいえず、“稼ぎ頭”に早く戻ってほしいというのは切実なる本音でしょう」  番組制作には紳助自身も参加して行われているという。  暴排条例の全国施行を大いにアピールした紳助の引退宣言だったが、早くもテレビに復帰が実現すれば、警察はどうするのか。  紳助のインタビューによれば引退後、警察には一度も事情聴取されていないと言っている。一部に紳助は冤罪だとの声もある。  しかし、公に暴力団との交際があったことを認めて引退したのだから、ここは警察が任意で紳助に事情を聞き、暴力団との親密交際はクロなのか灰色に近いシロなのかを会見して発表したらどうだろうか。  なかなかの才能を持った芸人であることは間違いないのだから、このままなし崩し的に復帰させるのは本人のためにもよくないと思うのだが、読者諸兄はいかがお考えだろうか。 (文=元木昌彦)
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撮影/佃太平
●元木昌彦(もとき・まさひこ)
1945年11月生まれ。早稲田大学商学部卒業後、講談社入社。90年より「FRIDAY」編集長、92年から97年まで「週刊現代」編集長。99年インターネット・マガジン「Web現代」創刊編集長を経て、06年講談社退社。07年2月から08年6月まで市民参加型メディア「オーマイニュース日本版」(2006年8月28日創刊)で、編集長、代表取締役社長を務める。現「元木オフィス」を主宰して「編集者の学校」を各地で開催、編集プロデュースの他に、上智大学、法政大学、大正大学、明治学院大学などで教鞭を執る。 【著書】 編著「編集者の学校」(編著/講談社/01年)、「日本のルールはすべて編集の現場に詰まっていた」(夏目書房/03年)、「週刊誌編集長」(展望社/06年)、「孤独死ゼロの町づくり」(ダイヤモンド社/08年)、「裁判傍聴マガジン」(イーストプレス/08年)、「競馬必勝放浪記」(祥伝社/09年)、「新版・編集者の学校」(講談社/09年)「週刊誌は死なず」(朝日新聞社/09年)ほか

復帰のシナリオは引退直後から? 紳助「復帰ドキュメンタリー」

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「週刊ポスト」5月25日号 中吊り広告より
グランプリ 「島田紳助『復帰ドキュメンタリー』ただいま極秘撮影中!」(「週刊ポスト」5月25日号) 第2位 「告白『塩谷瞬に、私は歯形が残るほど噛まれました』」(「フライデー」5月25日号) 第3位 「嫁と娘は出て行った 宮沢りえの夫がぼやく不同意別居と離婚」(「週刊新潮」5月17日号)  5月14日の朝日新聞朝刊を開いて仰天した。「6月6日開票 AKB48総選挙」の一面広告が3ページぶち抜きで載っている。  今年が第4回で、前回の総数が約116万票だったとあるが、投票券が欲しくて何枚もCDを買うファンがいることに、金権選挙ではないかという批判があることを朝日が知らないわけはない。  この企画は、朝日グループの日刊スポーツと朝日新聞広告局が製作したとあるから、そんなことは知ったことではないということか。  驚くのはまだ早い。有力メンバー4人が大きく載っている見開きの下には、「日本クレジット協会」の広告があるのだ。篠田麻里子の写真と共に「正しく使って、より安全・安心 クレジットカード」「好きですルールを守る人」と特筆大書してある。  CDを買い込むためにクレジットカードを使う若者も多いはずだ。一時の衝動で大量買いしたが翌月支払えず、トラブルになるケースもあることは間違いない。  クレジットカードは「無理なく計画的に利用することが大切」だと書いてあるのは、悪い冗談としか思えない。投票熱をあおり、大量にCDを買わせるあくどい商法がクレジットカード会社を太らせているのに。  総選挙は、無料かハガキで投票できるようにするべきではないか。そう紙面で論評するのが朝日新聞の良識というものではないのか。  星浩論説委員がコラム「政治考」で消費増税論争について、「メディアは様々な案を吟味して正確に論評する。竹下流(竹下登元首相=筆者注)に言えば、メディアも『歴史の巡り合わせ』を肝に銘じる時である」と、消費税増税をやることが歴史的使命だと野田佳彦首相を全面バックアップしている。  これも、一方的な押しつけではないか。「消費増税よりも行革や経済成長を優先させるべきだという政治家は、行革や成長の中身を具体的に示してくれ」と書いているが、そうした中身を十分に出させてから、議論を詰めるべきではないのか。朝日新聞は消費税に反対している小沢一郎にも真っ正面から論争を挑むべきであろう。  朝日新聞の良識とは、強くて怖い者とは堂々と切り結ばず、世の顰蹙(ひんしゅく) を買っているグループのイベントでも儲かれば「正確な論評もなく」片棒を担ぐ程度のものなのか。  惜しくもベスト3に入り損ねたが、週刊文春の「朝日新聞主筆 若宮啓文氏 女・カネ・中国の醜聞」は、若宮が主筆に就任する前の2008年2月、中国に出張する際、女性秘書を同行させ、しかも会社の経費を使ってビジネスクラスに乗せ、高級ホテルに宿泊していたと書いている。  このことが後日、社の内部監査室による調査で発覚して、若宮もそれを認めて全額を会社に返済したという。読んでみると若宮に同情すべきところもないわけではないが、朝日新聞の社論を決める最高責任者・主筆としては、ややお粗末なミスであることは間違いない。朝日新聞が自信を喪失してきている。そう感じるのは私だけだろうか。  最近、橋下徹大阪市長についての記事が目立つ。それも、週刊現代のように「総理間違いなし」から今週は「橋下徹内閣に『あの男たち』が入るらしいぞ」という気の早い記事まで登場している。  日本を変える真の改革者になるのか、ローカルの裸の王様で終わるのか。言っていることがコロコロ変わる、カメレオンのような言動を見ていると心許ない。  ここは週刊朝日の「橋下徹大阪市長の品格を問う」にあるように、 「あまりの閉塞状況に期待を寄せたい気分はわからないこともない。だが、希代のポピュリストの行く末は、まだまだ、注意深く見守る必要がある」  と、私も思う。  さて、今週は週刊誌発のスキャンダルを3本選んでみた。まずは新潮がスクープして発覚した宮沢りえの離婚騒動。  宮沢が6歳上の男と「デキ婚」したのは3年前。サングラスの有名ブランド「オークリー」のマーケティングを担当していて、「07年に彼女がハワイにCM撮影に訪れた際、彼がコーディネート役を務めたから。その後、りえにもサーフィンを教え、急速に関係を深めていきました」(芸能記者)  しかし、ハワイを中心に活動している亭主とりえの間にすれ違いが生じてきたようだ。  今年2月頃、浅草のフィリピンパブに来ていた亭主がこう嘆いていたという。 「かみさんが……りえがいなくなったんだよ。このまえ、ハワイから帰ってきたら、りえが娘を連れて、家を出て行っちゃったんだ。俺の荷物だけ残して、あとはもぬけの殻さ」  理由は、その店の関係者がこう語っている。 「収入の格差と、ハワイと日本を行き来するヒロさん(亭主=筆者注)の“二重生活”に、彼女の方が嫌気がさしたから、と聞きましたね」  新潮側に宮沢りえから次のような回答が寄せられたという。 「主人と別居中であることは事実です。現在、弁護士を立てて、離婚の交渉をしているところです」  これをスポーツ紙が知り、ワイドショーも動いて騒動になった。  『Santa Fe』(朝日出版社)で素晴らしいヌードを披露してくれたのが18歳。それから20年以上が経った。女優としてもう一皮むけるのにはちょうどいい時期なのかもしれない。  離婚を機に、あれから様々な男を経験してきたアラフォー・りえの熟れたヘア・ヌードをぜひ見たいものだ。  2位には、「二股交際」で一躍有名になった塩谷瞬(29)のきっかけを作ったフライデーの記事。  ビートたけしも「そもそもオイラはこの塩谷ってのが何者だかわかんないし、相手のオネエチャンたちだって初めて聞く名前なんでさ」というように、どうということない俳優とモデル、料理研究家の三角愛のトラブルなのだが、フライデーがモデル・冨永愛(29)とのツーショットをスクープして「大騒動」に発展した。  文春も塩谷と付き合っているときに「歯形が残るほど噛まれた」女たちを登場させて、塩谷とのセックス話をさせているが、フライデーには噛まれた女性のふくらはぎの写真が載っているため、この記事はフライデーの判定勝ち!  この塩谷という男、俳優としてはともかく、“すけこまし”としては一流のようである。  恵比寿のキャバクラで働いていた玲子(27)が、塩谷と別れようと思ったのも噛み癖が原因だった。 「肩、太腿、ふくらはぎに噛み付いて、『痛いからやめて』と懇願しても、なかなか口を離してくれない。歯形が黒く残り、1週間以上消えず、隠すのが大変でした。そんな時、セックスで中出しまでされてしまって」  歩美(29)もセックスの最中に噛まれたという。 「挿入はいつもナマで、下腹部に出してフィニッシュ。セックス自体は淡泊で、いつも1回かぎりだったので、きっと性欲が強いわけではなく、寂しがり屋で一人でいられないタイプなんでしょう」  噛まれたふくらはぎ写真は、歩美のものである。  塩谷は小さい時分に両親が離婚し、母親の名前も知らずに育った。父親も多忙で家に帰ってこなかったために食事も十分にとれず、路上で倒れてしまったこともあるという。  愛情に飢えていた子ども時代を取り戻そうと、せっせと女漁りをしているのだろうか。そう思えば、かわいそうで寂しい奴なのかもしれない。  フライデーは東テレの看板アナ・秋元玲奈(26)が横浜DeNAの主将・石川雄洋(25)と熱々で、お泊まり愛&同伴出勤をしているとも報じている。  秋元は姉がフジテレビの『ニュースJAPAN』でキャスターをしている秋元優里(28)で、父親は外務省のキャリア外交官というエリート一家。  目黒区にある石川の高級マンションに入った秋元は翌日、石川とともに出てきて、車で国道246号を神奈川方面へ走る。  横浜スタジアムの近くで降りた秋元は球場の「関係者入り口」へ向かい、石川も同じ入り口へ。ナイショの同伴出勤である。  今週のグランプリはポストの島田紳助が「復帰ドキュメンタリー」を極秘に撮影しているという記事に贈る。  文春の4月26日号に島田紳助インタビューが掲載されたとき、私はこの欄で、紳助は復帰したいと考えていて、このインタビューがその第一歩だと書いた。  ポストによれば、復帰のシナリオは引退会見直後から描かれていたことになる。 「制作を手がけるのは、これまで吉本興業関係のバラエティ番組を数多く手がけてきた制作会社。これをフジテレビが放送する予定だという。そしてこの番組で世間の反応を見て、大丈夫そうであれば本格復帰するシナリオが描かれており、他にも撮影予定の番組が控えているようだ」  この番組は吉本側が制作し、フジテレビがそれを買ったという体裁を取るという。  この復帰計画を進めているのは複数名おり、そのひとりは大崎洋吉本興業社長ではないかといわれている。  だが、今年1月4日に行われた新春会見の席で、大崎社長は紳助に戻ってきてほしいとラブコールを送ったが、抗議の電話などが殺到して厳しい批判にさらされた。  しかも、紳助は記者会見の時、暴力団と一緒に写っている写真など絶対ないと豪語していたにもかかわらず、フライデーがスクープし、ウソだったことがばれてしまった。  そんな状況の中でも吉本が紳助復帰を画策するのは、吉本側に事情があると業界関係者は語っている。 「紳助の抜けた穴は想像以上に大きく、(中略)経営状態も盤石とはいえず、“稼ぎ頭”に早く戻ってほしいというのは切実なる本音でしょう」  番組制作には紳助自身も参加して行われているという。  暴排条例の全国施行を大いにアピールした紳助の引退宣言だったが、早くもテレビに復帰が実現すれば、警察はどうするのか。  紳助のインタビューによれば引退後、警察には一度も事情聴取されていないと言っている。一部に紳助は冤罪だとの声もある。  しかし、公に暴力団との交際があったことを認めて引退したのだから、ここは警察が任意で紳助に事情を聞き、暴力団との親密交際はクロなのか灰色に近いシロなのかを会見して発表したらどうだろうか。  なかなかの才能を持った芸人であることは間違いないのだから、このままなし崩し的に復帰させるのは本人のためにもよくないと思うのだが、読者諸兄はいかがお考えだろうか。 (文=元木昌彦)
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撮影/佃太平
●元木昌彦(もとき・まさひこ)
1945年11月生まれ。早稲田大学商学部卒業後、講談社入社。90年より「FRIDAY」編集長、92年から97年まで「週刊現代」編集長。99年インターネット・マガジン「Web現代」創刊編集長を経て、06年講談社退社。07年2月から08年6月まで市民参加型メディア「オーマイニュース日本版」(2006年8月28日創刊)で、編集長、代表取締役社長を務める。現「元木オフィス」を主宰して「編集者の学校」を各地で開催、編集プロデュースの他に、上智大学、法政大学、大正大学、明治学院大学などで教鞭を執る。 【著書】 編著「編集者の学校」(編著/講談社/01年)、「日本のルールはすべて編集の現場に詰まっていた」(夏目書房/03年)、「週刊誌編集長」(展望社/06年)、「孤独死ゼロの町づくり」(ダイヤモンド社/08年)、「裁判傍聴マガジン」(イーストプレス/08年)、「競馬必勝放浪記」(祥伝社/09年)、「新版・編集者の学校」(講談社/09年)「週刊誌は死なず」(朝日新聞社/09年)ほか

政治の流れは橋下徹へ? つくづく“角栄になれなかった男”小沢一郎

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第1位 「驚愕スクープ 小沢一郎に隠し子がいた!」(「週刊文春」5月3・10日特大号) 第2位 「弟子を殴って殴って殴る『貴乃花親方』の日常」(「週刊新潮」5月3・10日特大号) 第3位 「なぜ小沢でなくて、橋下なのか――この時代の読み方」(「週刊現代」5月19日号)  ゴールデンウイークは雨に祟られ、最後の日曜日は各地で強風・豪雨・落雷があり、茨城や栃木では竜巻が発生して大きな爪痕を残した。  5月4日(金)に、ジャーナリストの青木理さんに頼まれてTBSラジオの『ニュース探究ラジオ Dig』という番組に出た。『Dig』は、私も何度か出たことのある『アクセス』の後番組で、青木さんが金曜日を担当している。女子アナはカワイイ江藤愛さん。  週刊誌について話してくれ、という。「フライデー」や「週刊現代」の編集長時代の昔話や、張り込みスクープの裏話、後半は報道の自由とプライバシー問題や、AKB48に牛耳られている週刊誌の困った現状、それでも「権力よりも反権力、強者よりも弱者の側に立ち、正義よりも興味」を優先させれば、週刊誌は生き残っていくだろうなどと話してきた。  今日、「現代」「週刊ポスト」「AERA」が発売され、一部のキオスクでは「週刊朝日」と「サンデー毎日」も売っているが、誌面に元気がない。  「毎日」が山田道子編集長から潟永秀一郎編集長に替わった。51歳の単身赴任だと「編集長後記」に書いているが、タイトルを見る限り「誌面が変わる」という雰囲気が漂ってこない。  雑誌は編集長のものだ。思う存分、やりたいようにやったらいい。それが新聞とはまったく違う、雑誌の面白さである。これからに期待しよう。  さて、今週の第3位は「現代」の記事。小沢一郎に無罪判決が出て、各誌「無罪判決でついに小沢一郎『総理への道』」(朝日)的な記事が多いが、どれも似たり寄ったりで読む気が失せる。  ならば「現代」の、「小沢ではなく橋下へ日本の軸は移った」というほうが読む気を起こさせる。  3部構成になっているが、1部の田中秀征×田崎史郎の対談はスルー。2部の石川知裕×後藤謙次のほうがまだいい。  石川は小沢の元秘書で、政治資金規正法違反で一審有罪判決を受け控訴中だが、小沢が無罪判決が出た後、電話一本なかったことを、こう話している。 「『自分は無罪判決を得たけれども、みんなの苦労は決して忘れないから』ぐらいの労いの言葉はあってほしかったですね」  また、小沢が消費税増税に反対していることに対しても、 「93年に著した『日本改造計画』では、消費税を10%にして所得税を半減させるという直間比率の見直しを謳い、細川政権では国民福祉税構想を打ち出した。ではなぜいま、増税に反対するのか。この問いに小沢元代表がどう答えるのかということが大きなポイントです」  と、親分・小沢とは距離を置いているようだ。  橋下と小沢との連携も、組むか組まないかの決定権は橋下にあるという。 「選挙で勝ち上がってきたメンバーを見てからの橋下さんのひと言が決め手になると思います。いずれにしろ、いまの勢いでは、橋下さんのほうが相手を選ぶ立場です」  元秘書の言を、小沢はどう聞くのだろうか。  政治ジャーナリストの後藤も、最後にこういっている。 「小沢氏から橋下氏に、もう『政治の流れ』は変わってしまったんだと思います」  「毎日」は巻頭で「衆議院『300選挙区』当落」を予測しているが、その中で選挙プランナーの三浦博史は、維新の会をブレークさせるための「超サプライズ」は「ズバリ東京1区から橋下氏自らの出馬です」と言っている。  そこにメディアの注目を集めて維新の会を全国的なブームにしていけば、相当な議席を取るというのである。  党派別の議席獲得予測では、大阪維新の会が29、維新の会と近いみんなの党が35議席とると見ている。  「現代」に戻ろう。3部では「好きでも嫌いでも『次の総理』橋下徹」だと言い切っている。  これまでの20年、政界は「小沢か、非小沢か」で動いてきたが、これからは「橋下か、非橋下か」に変わるというのだ。  消費税増税、原発再稼働に走る野田佳彦政権を批判し、首相公選制導入を掲げ、国民にも「自立、自己責任、自助努力」を求める橋下流が、これからの流れになっていくのだろうか。  我こそ日本のリーダーだと胸を張り、わかりやすいキャッチフレーズ、国民にも痛みを分かち合ってもらう改革を訴えているところは、あの小泉純一郎元総理によく似ている。  橋下流は初めに大風呂敷を広げておき、相手が反撃してくると話を小さくさせたり、問題をすり替える手法を使うと、ジャーナリストの大谷昭宏は批判する。 「原発も、自分から『大飯原発を止めろ』と言っておきながら、今になって『府民にも応分の負担をしてもらう』『その痛みを府民は受け入れる覚悟はあるのか』と、今度は責任を府民に押しつけようとしている。たちの悪い酔っ払いのような手口です」  「現代」は、「『一度はこの男に賭けてみたい』そんな期待と不安が、沈滞ムードに沈む日本を揺り動かし、いま大きく変えつつある」と結んでいる。  私は、橋下大阪市長が英雄だとは思わないが、よく言われるように、英雄を求める時代が幸せな時代でないことは間違いない。  「強いリーダー」かもしれないと幻想を抱き、熱狂した小沢一郎や小泉純一郎の化けの皮は剥がれ落ちた。その愚を、今度は橋下で繰り返すのだとすれば、この国の近未来はなおさら暗くなるに違いない。  第2位は相撲界の不祥事を追及してきた「新潮」の告発記事。タイトルがすごい。  貴乃花親方といえば、不祥事続きの角界の中で唯一といってもいい、汚れのない希望の星である。  それが「貴乃花お前もか」と言わざるを得ない“暴行事件”を起こしていたというのだから、驚かざるを得ない。  春場所直前の2月、前途有望といわれていた弟子が脱走してしまっていたのだ。その当人がこう話す。 「1月の初場所で、僕は頑張って頑張って勝ち越しできた。2年前に16歳で入門して以来、初めての勝ち越しでした。もちろん嬉しかったし、親方も喜んでくれると思ってました。それで部屋に帰ってから親方に報告に行くと、いきなり“なんで先輩よりも先に報告に来るんだ!”と怒鳴りつけられ、腹を5、6発、拳骨で力任せにボコボコ殴られた。それで腹を庇うと、今度は顔面もボコボコ。もうこれ以上、親方の暴力には耐えられない。実は、これまでもずっと日常的にそんな暴力を受けていて、しかもその理由がまったく分からない」  このままでは命が危ないと思って部屋を飛び出し、逃げたというのである。  決心を促した理由はもう一つあった。中学3年生の弟が来年、貴乃花部屋へ入門する予定だったので、それを止めるためでもあったのだ。  「新潮」によれば、これまでも貴乃花部屋では、親方による暴行が10人少々の弟子たちに対してほぼ満遍なく行われていたという。  貴乃花部屋は、先代の二子山親方時代から鉄拳制裁が部屋の伝統という環境にあったといわれるが、今の時代、問答無用の暴力で弟子が居着くはずがない。  5年前に時津風部屋で親方や兄弟子たちによる暴行で弟子が死亡し、逮捕される事件に発展した。その後、相撲協会は再発防止を誓い、稽古場に竹刀やバットを置かないよう厳重注意したのだが、以後も、春日野親方のゴルフクラブによる暴行や、芝田山親方が書類送検される事件が続発するなど、角界の体質は変わらない。  そこに、角界の体質を改革すると唱えて理事に就任した貴乃花だったが、裏の顔がこのザマだったとは。  それにしても、異常に激やせした貴乃花が薄ら笑いを浮かべながら弟子を殴るのは、ホラー映画のようで怖いな~。  今週のグランプリは、松田賢弥記者を起用して小沢一郎の隠し子問題を抉った「週刊文春」に捧げる。  これまでも、小沢が総理になるチャンスは何度かあった。彼は、いろいろな理由をつけて断ってきたが、その背景には不透明なカネの問題と、愛人との間にいる“隠し子問題”があるといわれてきた。  よく知られているように、かつて紀尾井町にあった料亭の女将と小沢は相思相愛だった。しかし、結婚したかった二人を田中角栄が許さず、現在の妻である和子と結婚させてしまったのだ。  しかし、結婚後も二人の関係は切れることはなく、現在も続いているというのが大方の永田町住人たちの見方である。  94年、私が「現代」の編集長の時に、松田記者に「小沢に隠し子がいる」というルポを書いてもらったことがある。  その当時、小沢の彼女が3歳の男の子を突如養子として引き取り、手元で育てているというウワサが流布していた。  彼女の子ではないのは間違いないが、父親は誰で、母親は誰なのか。  そのルポでは、父親は小沢一郎で母親は芸能界にいた女性だったと書いた。二人の接点は小沢が幹事長の時、ホテルのスイートルームを貸し切り、小沢たち数名と彼に呼ばれた女性たちが飲み食いするパーティーが何度か開かれたことがあった。  小沢と彼女はそこで知り合い、しばらくして彼女は姿を消してしまうのである。そして90年夏に、彼女は男の子を出産する。  その子を2年半も手元で育てながら、なぜか小沢の彼女にその子どもを渡してしまうのだ。  このあたりまでは、当時の「現代」に書いてある。  松田記者はその後もこの情報を追い続けて、今回、その子を産んだ女性と結婚した男性と親しかったという、Xなる人物に接触することができた。  その当時の詳しい経緯を聞き出すことに成功し、産みの母とその娘の育ての母親にも直撃インタビューしている。  松田記者の執念が、政治家にとって一番嫌な隠し子の存在を白日の下に晒したのである。  妊娠中、彼女は小沢の友人で世田谷区野沢で不動産売買を営む男に、中絶を要求されたこともあったという。  その男が、彼女が出産後、小沢とのメッセンジャー役も担ったと松田記者は推測する。  小沢の彼女(文中では裕子になっている=筆者注)に引き取られた子ども(文中では健太=筆者注)のその後を、こう書いている。 「健太君は小学校を卒業すると、都内でも有数の中高一貫の有名校に進んでいる。直美(産みの母親=筆者注)はそれを大変喜び、一度はその体育祭に足を運んだこともあるという。グラウンドの人混みの中に二歳半で別れた健太君の姿を探していたのだ。その有名校を卒業した健太君は、現在二十一歳になり、すでに裕子の住むマンションを出ているという」  松田記者は、小沢の師・田中角栄とその彼女だった佐藤昭の関係を挙げて、角栄は認知こそしなかったが、娘・佐藤あつ子をわが子のようにかわいがったと書いている。角栄とは違って、子どもの存在をひた隠しにしてきた小沢についてはこう難じている。 「産みの母親から引き離され、裕子のもとに引き取られた建太君は、どんな思いで生きてきたのか。小沢が角栄のような愛情を建太君に注いだことが、果たしてあったのか。(中略)やはり小沢は、つくづく『角栄になれなかった男』と言わざるを得ない」  無罪判決の日(4月26日)に合わせて、小沢が一番嫌がるだろうテーマをぶつけた「文春」と松田記者の「覚悟」に脱帽である。 「報道の自由とプライバシー保護のどちらかを選べといわれて、倫理観に縛られて、プライバシーの保護を選ぶようではマスコミで働く意味はない」。パパラッチ発祥の国・イタリアの有名編集長はこう言った。週刊誌はこうでなくちゃいけない。 (文=元木昌彦)
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撮影/佃太平
●元木昌彦(もとき・まさひこ)
1945年11月生まれ。早稲田大学商学部卒業後、講談社入社。90年より「FRIDAY」編集長、92年から97年まで「週刊現代」編集長。99年インターネット・マガジン「Web現代」創刊編集長を経て、06年講談社退社。07年2月から08年6月まで市民参加型メディア「オーマイニュース日本版」(2006年8月28日創刊)で、編集長、代表取締役社長を務める。現「元木オフィス」を主宰して「編集者の学校」を各地で開催、編集プロデュースの他に、上智大学、法政大学、大正大学、明治学院大学などで教鞭を執る。 【著書】 編著「編集者の学校」(編著/講談社/01年)、「日本のルールはすべて編集の現場に詰まっていた」(夏目書房/03年)、「週刊誌編集長」(展望社/06年)、「孤独死ゼロの町づくり」(ダイヤモンド社/08年)、「裁判傍聴マガジン」(イーストプレス/08年)、「競馬必勝放浪記」(祥伝社/09年)、「新版・編集者の学校」(講談社/09年)「週刊誌は死なず」(朝日新聞社/09年)ほか

「再稼働基準をおおむね満たしている」枝野経産相の“アホの繰り言”再び?

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「週刊ポスト」4月27日号
グランプリ 「原発再稼働の大嘘」(「週刊ポスト」4月27日号) 第2位 「『石川遼』傲岸チンピラ親父の『スポーツ記者』暴行事件」(「週刊新潮」4月19日号) 第3位 「朝日『消費増税』礼賛と、国税調査」(「週刊現代」4月28日号)  東京の桜がようやく散った。桜の散り方が潔いなどと誰が言い出したのだろう。強風が吹いたり豪雨があったりすれば別だが、桜は咲き始めてから散るまで10日は楽しめる。  この時期、心せわしくて仕事が手につかない。あと幾たびの桜かな。そういう思いに急かされて、今日はどこの桜を見ようか、どこで花見の宴を開こうかと、都内を東奔西走する。  今年も向島の桜から始まり、飛鳥山、目黒川、千鳥ヶ淵、江戸川橋、哲学堂と徘徊し、日曜日には近くの植木屋で八重のしだれ桜まで買い込み、食卓の上に乗せて「家de花見」と洒落こんだ。花が散るのは寂しいが、これでようやく仕事に没頭できる。といってもそれほど仕事があるわけではないがね。  君は週刊ポストの新聞広告を見たか! よかったね~。「怒りを忘れた『週刊誌』なんて!」。この文句に痺れました。  ポストに同調したわけではないだろうが、今週は怒りを込めた特集が目立ったような気がする。  まず1本目の怒りは、週刊現代の朝日新聞批判記事。  私も前々から、新聞はなぜ消費税増税に賛成の大合唱なのだろうと不思議に思っていた。それに、次々に発覚する新聞社の申告漏れ。朝日新聞が4,800万円の所得隠し、2億円超の申告漏れがあったと3月30日の読売新聞が報じたし、4月10日には日経新聞が3年間で約3億3,000万円の申告漏れがあったと、自ら報じている。  現代によれば、読売も2009年に修正申告しているし、消費税増税に反対の立場をとっていた産経新聞にも昨年、東京新聞も最近2度の税務調査が入っているという。  東京国税局=国税庁の母体はいわずと知れた増税の総本山、財務省である。なんとしてでも消費税アップをやり遂げたい財務省が、消費税反対などしないように新聞社に“圧力”をかけたと推察する。  新聞社だけではなく、メディアにとって税務調査は鬼門である。取材相手を明らかにできない取材費や謝礼など、当局が叩けばいくらでも埃が出てくるからだ。  私がいた出版社でも税務署対策なのだろう、国税庁の大物OBを顧問のような形で入れていた。国税の人間から依頼された学生は優先的に採用せざるを得ないと、人事担当者が嘆いていたことを思い出す。  そうした圧力が功を奏したのかもしれない。中でも朝日新聞は社を挙げて消費税導入すべしと前のめりの論調が目立つ。  3月31日付の社説「やはり消費税増税は必要だ」では、「増税から逃げ出さずに早く決断することが大切だ」。4月6日付社説「消費税増税と政治――言い訳やめて、本質論を」では、「有権者の審判は消費税増税を決めたあとに仰げばいい。民主党の公約違反の責任はそのときにとってもらおう」と、増税したら民主党などどうなろうと構わないと思える論調である。  朝日の論説委員の一人は社内の空気についてこう語っている。 「消費税増税については『国家財政が傾いているのだから、増税は当然』というのが大前提で、増税に反対だという意見は出たことがありません。(中略)消費税増税による庶民の痛みをどうするか、といったようなことは議論の対象にすらなりませんね」  このときとばかりに、勝栄二郎財務省事務次官を始め、財務省の面々がマスコミ懐柔に走り回っている。その結果、各紙の社説に同じようなフレーズが出てくると、現代は指摘している。 「4月6日付社説に出てきた『決められない政治からの脱却』というフレーズがそうだ。同じ言葉は、3月31日付『日経新聞』社説、同『毎日新聞』社説、4月10日付『産経新聞』主張(社説)にも登場する」  真壁昭夫信州大学教授はこう言う。 「消費増税は、財政の立て直しの段階でいつか必要になります。ただタイミングを誤れば、96年の増税のあと金融危機が起きたように、日本経済にとって致命的な打撃になる。どう見ても、現状では消費税を上げることはリスクが高い」  ことは消費税増税問題だけではない。現代が言っているように、大新聞が一斉に同じ方向を向くことがいかに危険なことかは、これまで数々の忌まわしい過去が証明している。  4月16日付の朝日新聞に世論調査の結果が載っている。 「定期検査で停止中の関西電力大飯原発3、4号機(福井県おおい町)の再稼働を野田内閣が妥当と判断したことについて、賛成は28%にとどまり、反対は55%にのぼった。内閣支持率は25%で、下落傾向が続いている」  その中で消費税増税に賛成かどうかについても聞いている。 「賛成は40%で、反対の51%の方が多かった。法案の国会提出前の3月調査では、消費増税に賛成41%、反対46%で、差がやや開いた」  いくら新聞が大増税キャンペーンを繰り広げても、国民の半数以上は「NO」だといっているのだ。この世論を無視して、増税早くやれとキャンペーンを続けるつもりなのだろうか。「消費税増税を争点にして解散総選挙せよ」というのが民意であるはずだ。  2位は新潮の石川遼の父親批判の記事。遼の「傲岸チンピラ親父」が日刊スポーツの記者に「暴行」を働いたというのだ。  新潮によれば、日刊スポーツが3月22日付けで「遼 米ツアー参戦へ、専用ジェットに家探し」と報じたことに父・勝美氏が怒り、フロリダに来ていた記者に訂正と謝罪文を掲載しろと迫ったとき、暴力を振るったというのである。  現地の大会関係者がこう証言する。 「突然、壮年の男が記者のふくらはぎのあたりを右足で思い切り蹴ったのです。記者は抗議しているようでしたが、男はさらに激昂した様子で続けざまに3回ぐらい、同じ場所を蹴り上げた。(中略)その様子はキャディーやら大会ボランティアなど複数が目撃していますよ」  日本を出て海外を拠点に試合をすることになると、契約している日本の企業にメンツが立たないというのが、怒りの理由なんだそうだ。  こうまでされて抗議しない日刊スポーツもどうかと思うが、同じことを報じている週刊文春によれば、そうまでされた意地が、4月8日付けのスクープ「遼 婚約&今オフ結婚」になったというのだ。  昨年から1勝もできず、マスターズも屈辱の予選敗退。カワイイ婚約者もいるのに、この困った親父のおかげで遼の前途は洋々とはいかないようだ。  と、ここまでなら正直、2位にしなくてもいいかなと思ったのだ。これよりも、同じ新潮の猫ひろしの記事、「『猫ひろし』五輪切符は金で買われた!」は、カンボジアのナンバーワン・マラソンランナー、ヘム・ブンティン(26)に8時間インタビューして、こう言わせているからだ。 「(中略)僕の自己ベストを超えたこともない。どうしてそんな選手がカンボジアの国旗を背負ってオリンピックに出場できるんだ! 簡単なことだろう、お金だ。お金を払って国籍を買い、オリンピック出場権も買ったんだよ」  また、国際陸連は最近、国籍変更後の国際大会出場についての規則を改正し、居住期間が1年を切っている場合は、例外を除いて五輪に出場できないとしている。猫のカンボジア国籍取得は去年の10月で五輪は8月だから1年に満たない。 「今回のような“背景”を国際陸連が知れば、例外適用が認められる可能性は低い」(スポーツ紙デスク)  4月15日に行われたパリ・マラソンでブンティンが猫のタイムを7分近く上回ったため、「昨年10月にカンボジア国籍を取得した猫をめぐって、国際陸連が参加資格を疑問視。五輪参加が認められない可能性も浮上する中での、ライバルの好走。最後は『僕はこの現実をしっかり受け止めます』としている」(4月16日付スポーツニッポン)という。  だが、月曜日(4月16日)発売の現代とサンデー毎日を見て気が変わった。父・勝美氏のインタビューが両誌に掲載されているのだ。  現代の「石川遼の『婚約』家族はこう考えている」を読むと、勝美氏の危機感や焦燥感がうかがえる。中でも今回の婚約について、両親に相談することなく二人だけで出した結論だったことに、苛立ちを隠せないようである。  遼の婚約が早いからといって心配はしていないと言いながら、 「本当に遼が彼女と結婚するのかも分からないし、たとえ結婚せず別れたとしても『どうしたんだ?』と聞くことはないでしょう。(中略)彼女のことだって、いまは『いい子だな』と思っていますよ。でも、それが本当の姿なのか断言する自信はない」  と話している。これを彼女が読んだらどう思うか。  結婚をするということは親離れすることである。掌中の玉がどこの誰かも分からない女に奪われ、捨てていかれるのではないかという焦りが、記者たちへの傲慢な態度や暴力につながっているのではないか。  どこにでもある父と息子の葛藤の物語ではあるが、子離れできない父親ほど哀れなものはない。  今週のグランプリはポストの原発再稼働への怒りのメッセージにした。  ポストが書いているように、原発再稼働に慎重だったはずの野田佳彦首相や枝野幸男経産相が、 「4月3日の関係閣僚会合から、何かに取り憑かれたように再稼働に驀進する。野田首相が会合で『新たな安全基準をつくれ』と命じて新基準ができるまでが2日間、枝野氏が新基準をもとに関電に『安全対策を出せ』と指示してから提出まで3日間。わずか1週間足らずで安全かどうかの判断基準を決め、それに基づいて安全のお墨付きを与えるという離れ業を演じたのである」  そうして枝野は記者会見で「再稼働基準をおおむね満たしている」と言ってのけたことに、「『おおむね』で動かされてはたまらない。あのアホの繰り言『ただちに影響ない』と同じ詐欺的論法である」と怒る怒る。  原発推進の黒幕はあの仙谷由人で、野田や枝野が弱腰にならないかと、監視しているという。  野田や素人大臣を操っているのは経産省の「電力マフィア」で、その中心にいるのが今井尚哉資源エネルギー庁次長。原発再稼働には彼の出世がかかっているというのだ。  新基準は原子力安全・保安院の原子力発電検査課が、原発推進派の学者や東京電力の技術者を集めて開いた「意見聴取会」でまとめられたもので、「“これでも出しておけ”と手元にあった文書をそのまま提出したというのが真相だろう」と容赦ない。  さらに水素爆発の対策として、大飯原発にフィルター付きのベント設備を設置するとしたが、発表された工程表では整備期限は3年後になっているのはおかしいと批判する。  ポストは以前から、原発がなくても電力不足にはならないというキャンペーンをやってきた。  今回も、大飯原発が再稼働できなければ夏に大停電になるという「官製デマ」と、それに無批判に同調する大新聞を難じている。  「デタラメだから安心していい」とまで言い切る。非常時の電力である揚水発電を少なく見積もっている「電力隠し」があり、企業の非常用電源などを入れれば、「この夏の電力各社のピーク時電力使用量が記録的猛暑だった10年と同じだったとしても、『原発再稼働なし』で乗り切れる」とする。  週刊朝日の広瀬隆・緊急寄稿でも、「今年の25%電力不足というデマは、昨年よりひどい大嘘の最大電力需要3138万kWという、あり得ない想定をして、電力不足を煽った結果であった」と書いている。  先に触れた朝日新聞の世論調査でも、大飯原発再稼働には圧倒的に反対が多いのである。福島第一原発事故からまだ1年と少しである。いまだに事故原因の究明も進んでいないのに、再稼働するなどというのは天が許さない。  ポストや広瀬の試算がどれだけ正しいのか、私には判断材料がない。だが、原発再稼働には、国民一人一人が大停電したとしても仕方ないという覚悟をもって反対しないと、ずる賢い役人やそれを後押しする大メディアと闘うことはできまい。  何度も言うが、国の将来を決める「消費税増税」と「原発再稼働か否か」の大問題を争点にして総選挙をするべきである。そのための判断材料として、週刊誌は新聞・テレビが報じない情報を発信し続けてほしいと切に思う。 (文=元木昌彦)
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撮影/佃太平
●元木昌彦(もとき・まさひこ)
1945年11月生まれ。早稲田大学商学部卒業後、講談社入社。90年より「FRIDAY」編集長、92年から97年まで「週刊現代」編集長。99年インターネット・マガジン「Web現代」創刊編集長を経て、06年講談社退社。07年2月から08年6月まで市民参加型メディア「オーマイニュース日本版」(2006年8月28日創刊)で、編集長、代表取締役社長を務める。現「元木オフィス」を主宰して「編集者の学校」を各地で開催、編集プロデュースの他に、上智大学、法政大学、大正大学、明治学院大学などで教鞭を執る。 【著書】 編著「編集者の学校」(編著/講談社/01年)、「日本のルールはすべて編集の現場に詰まっていた」(夏目書房/03年)、「週刊誌編集長」(展望社/06年)、「孤独死ゼロの町づくり」(ダイヤモンド社/08年)、「裁判傍聴マガジン」(イーストプレス/08年)、「競馬必勝放浪記」(祥伝社/09年)、「新版・編集者の学校」(講談社/09年)「週刊誌は死なず」(朝日新聞社/09年)ほか

どうなるロンドン五輪……南キャン・しずちゃん、MRI検査で脳に“影”!?

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第1位 「南海キャンディーズしずちゃんMRI検査で脳に『影』」(「週刊朝日」4月20日号) 第2位 「特別付録 さらば剛毛時代」(「週刊現代」4月21日号) 第3位 「何があった?藤谷美和子が小田原で徘徊生活!」(「フライデー」4月20日号) 佳作 「吉本興業非公開『決算報告書』をスッパ抜く!」(「週刊文春」4月12日号)  週刊朝日がすごいボリュームで、いつもの倍ぐらいはある。どうしたのかと見てとれば、2012年入試速報「全国3232校主要大学合格者数」を130ページにわたって掲載しているのだ。  高校間の格差を助長するような特集を朝日とサンデー毎日のような新聞社系週刊誌が止めないのは、この号が売れるからである。だが、いい加減に止めたらどうかと、私は思うのだがね。  朝日の編集後記で河畠大四編集長が「次号から通常号の定価を20円上げて370円にします」と書いている。いま上げると消費税が10%に上がったときはまた値上げするのかな? ちなみに今週号は、週刊現代400円、週刊ポスト400円、週刊文春380円、週刊新潮370円、フライデー400円である。  今週はまず文春の吉本興業の記事を佳作に推す。  吉本興業の経営がえらいことになっているようだ。2001年4月から9月の決算書によると半年間で売上は237億円で、最終損益は15億2,000万円の赤字で、このままいくと11年3月期と同じように30億円程度の大赤字になるというのである。  原因は成長の源泉だったテレビが頭打ちになり、視聴率が取れるのは明石家さんまぐらいしかいなくなってしまったことと、大崎洋社長が決断した「上場廃止」が響いているというのだ。  この廃止で吉本の資産は激減していった。吉本の決算書を見た銀行担当者はこう言う。 「08年3月時点で二百三十七億円まで積み上げていた現金が、いまは五十億円まで減っています。同じく純資産(返済しなくてもいい資金)は四百八十五億円から百五十億円まで減少。よく言えばスリム化しましたが、要するに小さな会社になってしまったのです」  この銀行担当者は吉本は「この状況が続けばジリ貧です」と見て取る。  超優良会社といわれた吉本だった。私は、中田カウスや島田紳助問題で噴出した暴力団と吉本の癒着構造が、視聴者の嫌気を誘ってしまったのではないかと見る。最大の市場である東京の視聴者が吉本離れをしているのではないか。ことは深刻である。  第3位はフライデーの「元祖プッツン女優」藤谷美和子(49)の近況記事。  彼女を見なくなって久しい。カルビー・ポテトチップスのCMでデビューし、ブルーリボン賞にも輝いた女優だったが、奇矯な振る舞いをたびたびするようになって活躍の場を失った。2005年に結婚したが、その夫とも別居状態だそうだ。  何しろ彼女の格好がすごい。ボサボサの髪にキャップを目深に被り、両耳にはイヤホン、黒いキャリーバッグを引いて歩いてる姿はホームレスかと思わせる。  彼女の目的はネコの世話。空き地にいるネコを世話するために3日と空けずに通ってきている。ブツブツ独り言を言いながら、スマホでネコの写真を撮ったりネコの周りを片付けたりした後、キャリーバッグをガラガラ引きながら、競歩選手のようなスピードで来た道を引き返していく。  フライデーとの一問一答。 ――最近テレビでお見かけしませんが。 「いろんな媒体に『藤谷を画面に出すな』と手紙を書いている人がいるんです」 ――ご主人とは別居しているんですか? 「もうずいぶん前からです。最初から結婚する気がなかったし、(歌唱)印税を全部とられてしまっているので」 ――ネコが顔をケガしていますね。 「このネコちゃんはとっても頭がいいんです。(ケガしているのは)病院へ運ばせようとしている、病気のせいみたい」  母親と2人で生活しているそうだが、彼女がホームレスになっていても不思議はない、そう思わせるところが藤谷の「魅力」なのかもしれない。  第2位は久々の軟派記事が入った。現代はこのところ「無毛ヌード時代」をテーマにしてきているが、今週の袋とじでは「迫り来る無毛時代、その前に」として、日本人女性のヘアはこんなに濃かったと、こちらが心配になるほど「ヘア」を陳列して見せてくれる。  無毛といいながらの「ヘア・ヌード」満載グラビアで、技ありだ。  週刊ポストの活字だけの「世界20か国400人の『女性器展』の制作現場」や「美人女医が課外レッスン SEXの新境地『中戯』を極める」を完全凌駕。「陰毛専用の整毛機『ヒートカッター』」で毛をカットしている写真まである。わいせつ感のない、これぐらい開けっぴろげなヌードグラビアは珍しい。  見てもらうしかないが、アンダーヘアに隠された中までも見えそうな危ういけどアッケラカンとしたカラーグラビアに、今週の準グランプリを進呈する。  入選はしなかったが、ポストの「4・26『小沢一郎判決』で何が裁かれるか」という大特集は賛否あるだろうが、なかなかの力作ではある。  1部で有罪の場合と無罪の場合に「政局と日本の未来」がどうなるかをシミュレーションしている。  第2部では西松建設事件、陸山会事件、検察審査会、秘書裁判に分けて、各疑惑について小沢に成り代わって反論&否定している。  第3部では「政治家失格は明らかだ」(朝日新聞)、「潔く議員辞職すべきだ」(産経新聞)などと責め立てた大新聞の「過ち」を批判し、訂正・謝罪せよと迫っている。  私も、4月26日の判決は「小沢の灰色無罪」だと推定しているが、だからといって小沢の巨額蓄財への疑惑が晴れ、政治家としてまったく問題なしとなるとは思わない。  ポスト飯田昌宏編集長の「覚悟」は買うが、今回は選外にした。  そういう意味では朝日の「しずちゃん」の記事も賛否が分かれる記事であろう。  今年のロンドンオリンピックを目指してトレーニングに励む、お笑いコンビ「南海キャンディーズ」のしずちゃんこと山崎静代(33)は、人気タレントということもあって大きな注目を浴びている。  しかし、2月の全日本女子ボクシング選手権では優勝したものの、3月の女子アジア選手権(モンゴル)では1回戦で格下で17歳年下の韓国人ボクサーにボコボコにされ、レフリーストップで敗退してしまった。  彼女にとってオリンピック出場最後のチャンスは、5月に中国で開かれる世界選手権でベスト8に入ることだが、かなり難しいとの見方が多い。  そこに、数カ月前から「しずちゃんが、頭部の検査で異常が見つかったようだ」とささやかれているというのである。  取材を進めると、日本ボクシングコミッションが指定する病院の医師が、自覚症状はないが頭部のCTスキャンの結果、脳に水がたまったような薄い影が見られたため、別の病院でMRI検査をするように伝えたという話。  結局、MRI検査で脳の影が確認されたため、しずちゃんはプロへの道をあきらめた。その後のMRI検査で影も消えたため、アマチュアでオリンピックを目指すことにしたというのだ。  だが、ボクシングは危険なスポーツである。アマはヘッドギアをつけて試合をするため頭部へのダメージは少ないとはいうものの、安心はできない。  スポーツ医療関係者は、命懸けでやるという選手を止めることはできないが、選手自身が過去にそうしたことがあったと開示するべきで、その都度精密検査を受けて本当に問題がなければ堂々と試合に出たらいいと話す。  だが、しずちゃんはそのことを隠していた。朝日は「これは命にかかわる問題である。しずちゃんが『命懸け』であっても、本誌は知らないふりをすることはできない」と、しずちゃんのトレーナーや彼女の母親、本人に直撃するのである。  母親は元体育教師だったこともあって、ほかのスポーツと違って危険なことは承知しているが、彼女が必死に頑張っているいま、そのことは書かないでくれと話す。  当のしずちゃんは最初落ち着いて答えていたが、次第に語気を強めてこういう。 「ボクシングって、誰がやっても危険じゃないですか。危険を伴うスポーツなので、何が起こるかは誰もわからない。これ、記事になるんですか? (異常は)言いたくないし、そういう目で見られたくない。記事を書かれて、もし世界選手権の出場がダメになったら嫌なんです」  この記事が出ることによって本当に彼女が世界選手権に出られなくなったら。そう考えると朝日編集部も躊躇したのだろう。彼女の夢を奪うことになるかもしれないからだ。  こうしたとき、記事にはせず、彼女にいまいちどMRI検査を受けさせ、もし異常なしとわかればよし、異常が見つかった場合は引退させ、その間の事情をすべて書くという方法もあったとは思う。  私が現場にいたらどうしただろうか。悩ましい問題を抱えた記事だが、みんなで考えてもらいたいということもあって今週の第1位に挙げた。  最後に現代の「わが妻・田中好子の微笑がえし」という記事に違和感を感じたことも書いておこう。  元キャンディーズの田中好子の一周忌を前にして、夫の小達一雄が初めて明かした田中の最後の日々というリードがついている。  こんな言葉がある。 「いま私は、被災地に何回か通っています。ずっと我慢に我慢を重ねてきたご遺族の方々に『田中好子の主人です』と伝えると、多くの方が涙ながらに『あの言葉(田中が死の直前に吹き込んだ被災地を励ます録音テープ=筆者注)に救われました』と私の手をぎゅっと握ってくれました」  「家族を本当に大事にしていて」という言葉もある。だが、田中の死の直後に週刊女性が小達の愛人のことを報じたことを忘れてはいけない。  彼女の葬儀で、死ぬ間際に吹き込んだ田中好子の肉声が流され、気丈にふるまう夫・小達の姿が2,000人を超える参会者の涙を誘った。だが、その小達には10年前ぐらいから続いている愛人(40歳前後)がいて、その彼女との間に小学校高学年くらいの女の子がいるという記事だ。  週刊女性によれば「田中好子さんも勘づいていた」という。だとすれば、悲劇の裏にさらなる悲劇である。  目撃したのは昨年の7月14日、成田空港のハワイ・ホノルル行きのゲート前。「パパ」と駆け寄る女の子に「どれがいい」と小達は優しく声を掛けていた。  2人のことをよく知る関係者は「田中さん、探偵をつけたり、自ら張り込んだりもしたそうです」と話している。  このことを聞かないというのがインタビューの条件だったのだろうか。しかし編集者たる者、これを聞かずしてなんのインタビューぞ。キレイごとだけで終始した不満の残る記事であった。  蛇足。私が仲介をした現代の立川談志師匠の連載「時事放談」が本になった。「立川談志『遺稿』」(講談社刊・1500円)。文は人なり。超人的な記憶力で好きだった旅や昔の芸人たち、映画などについて縦横無尽に書いている。談志ファンならずとも一読の価値ありです。 (文=元木昌彦)
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撮影/佃太平
●元木昌彦(もとき・まさひこ)
1945年11月生まれ。早稲田大学商学部卒業後、講談社入社。90年より「FRIDAY」編集長、92年から97年まで「週刊現代」編集長。99年インターネット・マガジン「Web現代」創刊編集長を経て、06年講談社退社。07年2月から08年6月まで市民参加型メディア「オーマイニュース日本版」(2006年8月28日創刊)で、編集長、代表取締役社長を務める。現「元木オフィス」を主宰して「編集者の学校」を各地で開催、編集プロデュースの他に、上智大学、法政大学、大正大学、明治学院大学などで教鞭を執る。 【著書】 編著「編集者の学校」(編著/講談社/01年)、「日本のルールはすべて編集の現場に詰まっていた」(夏目書房/03年)、「週刊誌編集長」(展望社/06年)、「孤独死ゼロの町づくり」(ダイヤモンド社/08年)、「裁判傍聴マガジン」(イーストプレス/08年)、「競馬必勝放浪記」(祥伝社/09年)、「新版・編集者の学校」(講談社/09年)「週刊誌は死なず」(朝日新聞社/09年)ほか