
「週刊新潮」9月20日号 中吊り広告より
グランプリ
「『人形遣い』の錬金術 時代の寵児『秋元康』研究」(「週刊新潮」9月20日号)
第2位
「73歳『松下忠洋』金融担当大臣 痴情果てなき電話と閨房」(同)
第3位
「仰天スクープ撮!国民的アイドル前田敦子 深夜の『お姫様抱っこ』」(「週刊文春」9月20日号)
次点
「服用者が自殺していた!有名禁煙薬で意識障害」(「週刊朝日」9月28日号)
中国の反日デモが、日ごとに激しさを増してきている。中国にある日本のスーパーや日本製自動車が壊され、日本領事館や大使館前に群衆が押しかけ、警察や軍隊まで出動する騒ぎになっている。日本レストランは軒並み休業し、日本人と親しい中国人から「日本語は話すな」と忠告され、外出もままならないそうだ。
これでは反日デモではなく、反日テロではないか。竹島をめぐって韓国にも反日気運が高まっている。これだけの非常事態だというのに、政界は代わり映えのしない代表選や総裁選にうつつを抜かして、有効な手を打つことができていない。
こういうときこそ、一時休戦して臨時国会を開き、対応について全党で話し合うべきではないのか。また、野田佳彦首相は国内で犬の遠吠えを繰り返すだけでなく、直接、韓国、中国の首脳に連絡して、事態打開の方策を話し合うべきであろう。
為す術のない大臣たちが、アメリカの威を借りようと来日したパネッタ米国防長官にすがったが、「尖閣諸島への日米安保条約の適用については『我々は条約上の義務を守る』と述べたうえで、『主権に関する対立では特定の立場をとらない』」(朝日新聞9月18日付より)と、体よくあしらわれてしまった。自分の頭のハエは自分でどうにかしろということだ。
中国や韓国のメディアは日本非難の論調で沸き立っているようだが、日本の週刊誌は意外に静かである。
今週めぼしいのは、文春の「李登輝×阿川佐和子『尖閣は日本の領土です』」だけである。
尖閣諸島を政府に売った「地権者」について扱ったものが多い。文春が「尖閣『地権者』の正体」、新潮が「『石原都知事』に恥をかかせた『尖閣地主』が恐れるもの」、サンデー毎日が「地権者の弟・栗原弘行氏激白『恫喝まがいに島売却を迫った政府』」などである。
尖閣諸島は国が20億5,000万円で手に入れるようだが、文春は地権者代表としてメディアにしばしば登場する栗原弘行の娘と元妻が、彼には虚言癖があり、女にだらしなく、尖閣交渉を長引かせたのも高く売りつけるためだと、容赦のない批判をしている。
義兄で尖閣の所有者である國起が尖閣諸島を購入したのは72年のこと。石油などの海底資源があるという噂を耳にし、現金で5,000万円払ったという。
いまの評価額は5億円ぐらいだそうである。それがつり上がり、新潮は、栗原家の手元に残るのは15億1,800万円だと試算している。
これほど多額の税金を使い、中国との関係を悪化させてまで購入する必要があるのか。私にはいまだ疑問に思えてならない。
さて、今週の次点には週刊朝日の記事。私は煙草を吸わないので縁がないが、ファイザーが販売するチャンピックスという禁煙薬は「魔法の薬」と呼ばれるほど売れていて、全世界の年間売上が約7億2,000万ドル(約560億円)にもなるそうだ。
2006年から米国で販売が始まり、08年から日本でも、保険が適用される医師による処方薬として販売がスタートした。俳優の館ひろしがCMに出たことで知名度を上げ、国内での累計服用者は約120万人に上る。
この薬、飲んで脳に直接作用するタイプで、効き目が評価されているようだが、実はかなり危険な副作用があるというのだ。
8月2日、東日本に住む30代の男性会社員が自宅で首をくくって死んでいるのが発見された。警察は自殺と見ているが、その男性の両親が話すには、前の晩の息子の様子がおかしかったというのである。
そして息子の部屋で見つけたのが、チャンピックスと患者に渡される禁煙手帳だった。
今のところ因果関係はハッキリしていないようだが、チャンピックスには、死にたいと思う自殺念慮や攻撃的行動などの副作用の疑いがあり、そのことはファイザーから医療機関に渡される添付文書に記載されている。自殺念慮やうつ、心疾患などを引き起こしたとして、患者1,200人が米ファイザーを相手に訴訟を起こしていると谷直樹弁護士が語っている。
厚労省の独立法人・医薬品医療機器総合機構によれば、08年度から12年度までに「自殺念慮」が18件、「自殺既遂」が2件など、自殺に関わる事例は計28件あるという。これはファイザーに報告された数である。だが、ファイザーが運営するサイト「すぐ禁煙JP」では自殺について一切触れられていない。
朝日はファイザーや国をこう批判している。
「思い起こされるのは『薬害肝炎』や『薬害エイズ』の問題だ。これらの問題では、国がやるべきことをやらない『不作為』によって、多数の犠牲者が生まれた。チャンピックスでは“犠牲者”がどれだけいるか見当もつかないが、注意喚起などの状況を見る限り、『不作為』が現在進行形で行われているように思えてしまう」
この問題は、タバコを吸わない人間にも無関係ではない。厚労省はチャンピックス服用後に起きた『運転中の意識障害』が、2011年9月までに少なくとも12件あったと公表している。
公共機関やトラックの運転手に意識障害が起きたら大惨事は免れない。米国では米連邦航空局や全米トラック協会が、パイロットや運転手に対してチャンピックスの服用を禁止している。
日本の航空業界は、業務前の健康チェックで服用が認められた場合は業務につかせないそうだが、他の業界は手つかずだ。
昔、「私はこれで禁煙しました」というCMが話題になったことがあったが、「私はこれで禁煙しましたが、事故を起こしました」では何もならない。
3位はAKB48を卒業した国民的アイドル・前田敦子(21)の某夜の「事件」をグラビアと記事でねちっこくやっている文春の記事。
9月5日、前田の卒業記念アルバム『前田敦子AKB48卒業記念フォトブック あっちゃん』(講談社)の発売記念のイベントの後、六本木で打ち上げの会が開かれた。
23時半、打ち上げがお開きになった前田は、事務所のクルマで麻布十番の高級カラオケカフェ「M」へ向かう。
そこにはAKB48の大島優子や人気俳優の佐藤健(23)ら5人がいた。6人でテキーラを30杯ほど飲んだあと、午前3時半過ぎ、泣きながら前田がそこを飛び出し、タクシーを捕まえて消えてしまう。
だがその後、再び前田が戻って来る。やがて他の4人が帰り、佐藤と前田の二人が残った。身体を密着させながら二人が部屋から出てくると、前田がまた嗚咽を漏らし始め、次第に声をあげて泣き出したというのである。
しばらくして佐藤は前田を抱きかかえ、待たせていたタクシーに乗り込む。
前田の住んでいるマンションに行き、酔っぱらったのかグッタリしている前田を佐藤が抱きかかえるのだが、支えきれず「国民的アイドルのスカートはまくられ、お尻丸出しのあられもない姿に」なる。このシーンがグラビアに載っているが、一見の価値ありだ。
この後の展開を期待させるが、AKB48の仲間が助けに来て、佐藤が見送り、前田は背負われて中へ入ってしまったのだ。
佐藤という俳優は、07年の『仮面ライダー電王』に主演して人気を集め、いま公開中の映画『るろうに剣心』がヒットしている。
一見草食系に見られそうだが、そうではないと、六本木の飲食関係者がこう語る。
「タケルは西麻布・六本木界隈じゃ有名。海老蔵事件で有名になったバルビゾンビルのバーも常連だったし。(中略)一番派手に遊んでる」
女性関係も相当なものだそうだ。
この記事を読む限り、二人の関係は相当いいところまで進んでいるようだし、前田のほうが佐藤にお熱である。
前田の「ある夜の出来事」をグラビアと記事で逐一見せた、文春の執念を感じさせる記事である。
第2位は新潮が掲載した話題の記事。松下忠洋金融担当相(73)の長年の愛人だった時任玲子(70)の告白である。
この記事が出ることに悩んだのか、松下金融担当相は発売2日前の9月10日に自室で首つり、自殺してしまったのだ。
報道によれば、室内から「密葬にしてくれ」などとする、首相、閣僚、妻宛計3通の遺書が見つかったそうである。
これまでも週刊誌には数多の男女のスキャンダルが掲載されたが、自殺者を出すというケースは稀である。彼が死を選ばなくてはならないほどの内容が新潮に書かれていたということか?
愛人だった時任が松下と初めて会ったのは、91年1月のこと。彼女は鹿児島の高校を出て水商売に入り、神戸の大型キャバレーでトップになって、80年にラウンジバーを始めた。そこへ、当時建設省砂防課長だった松下が二人の共通の知り合いに連れてこられ、同郷ということで意気投合する。
当時の彼女と現在の写真の二枚が載っているが、新潮の書いているように加賀まりこ似の美人である。
二人は10月に「東京で出会った時、ホテルで男女の仲になりました」(時任)
松下に妻子がいたとしても、ここまではよくある男女関係に過ぎない。
だが、続いてそのころ、彼が彼女に出した手紙の全文が載っている。
「玲さま いつもこまやかな心のこもったお便りありがとう いつも3回ほど、繰り返し読んでいます。そして、初めて肌を重ねた熱いニューオータニの朝のベッドを胸キュンで思い出しています。そして加納町のオリエンタルホテルで朝まで過ごしたダブル(×)シングルベッド、いつの間にかおなかを出して、スキだらけで眠ってしまっている玲子姫の白い肌をドキドキして思い出しています」
寝ている彼女の大切なところにキスしていたことなどを書き連ねている。
その後、建設族のドンといわれた金丸信元副総裁のバックアップで、93年の衆院選に自民党候補として出馬し、初当選する。
二人の不倫関係はその後も続く。時任は彼とのSEXをこう語っている。
「松下さんのエッチは品がなく、乱暴でした。自分本位ですごく慌ただしいんです。体位をコロコロ変えるし、動きが素早かったですね。手で激しく責めてくるんです。(中略)
部屋を出る際に、松下さんは“お化粧代”としてお金を渡してくれました。だいたい5万円から10万円、多くて30万円でした」
二人の逢瀬は年に2~3度しかなかったそうだ。
松下は一度落選するも、09年に国民新党から立候補して政界復帰を果たし、鳩山由紀夫内閣で経済産業副大臣になる。
その年、彼女は神戸のラウンジを閉めて鹿児島に戻る。
そのころから、松下がテレホンセックスを求めるようになったと、彼女は語っている。
「松下さんから“電話をちょうだい”というメールが入ると、それが合図になって、しました。だいたい朝4時から5時が多かったですね。(中略)松下さんは電話でエッチをする時はすごく優しくなるんです。口数もいつもより増えますし、何か慣れている様子で、私に対して触る場所を優しく指示してくれました」
彼が彼女に送ったメールを2通載せている。一つにはこうある。
「早く一つに繋がりたいです。いろいろ貴女を探検したいです」
だが、だんだん松下からの連絡がなくなり、地元へ帰って来たときも、翌日の新聞やテレビで知ることが多くなった。
2011年3月11日の東日本大震災が起き、松下は原発現地対策部長として福島に入り、多忙を極めるようになる。
だが、3月30日未明に「電話を下さい」というメールが彼から届く。
彼女は、鹿児島に来たのに知らせてくれなかったのはなぜかと問い質すが、一方的に電話を切られてしまう。
縁あって好きになった二人なのに、別れ話もしないまま自然消滅みたいなやり方をする彼のことが許せない、と彼女は弁護士を通じて手紙を出す。しかし、彼の対応は不誠実だと感じた彼女は、何度かやり取りの末、今年の5月に彼と対面する。
だが、高い金を要求するのはおかしいと難じたり、これまで「化粧代」として払っているじゃないかと言い募り、最後に80万円入りの封筒を差し出したそうだ。
「結局、私は都合の良い女だと思われていたんです。お金を出せとも言わないし、表舞台にも出ようともせず、陰で支えてくれるし、他の男に目移りしないくらいに自分に惚れていてくれる……。私自身、女は男の後ろをついていくのが当然だと思っていたんですよ。でも、いまはそのことにあぐらをかいてきた松下さんが許せないんです。今頃になって、“私は貴女をズッと好いていました。惚れていました。愛している”なんてメールを送ってきますが、私の思いに真摯に向き合っているとは到底思えません。どうにか時間稼ぎをして、逃げようとしているのがミエミエです。たかが女一人のために大臣の座を降ろされたらたまったもんじゃないと思っているんでしょうね」
彼女と会った9日後に、彼は金融・郵政民営化担当大臣に就任する。
松下は新潮の取材を受けてこう語っている。
「私が彼女を無視するようになったと言っているようですが、それは全く違う。福島に打ち込んでいて、全く外界との関係がなくなってしまい、彼女ともそうなってしまった」
男女の関係だったことも認め、今でも愛していると話している。これを読む限り誠実な人柄のようである。
前立腺がんを発症していたそうだが、治療を受けており、命には別状なかったそうだから、病気が自殺の動機ではないようだ。
政治家の女性スキャンダルですぐに思い出すのは、宇野宗佑、中川秀直、山崎拓であろう。宇野はスキャンダルもあって、あっという間に総理の座から滑り落ちた。
中でも愛人に衝撃的な告白をされたのは山拓であろう。その上、愛人が外国特派員協会で記者会見まで開いてしまったのだ。将来の首相候補だった山拓は落選し、その後も出馬するが、当選する可能性はほとんどない。だが、私が彼の元愛人に博多でインタビューしたとき、彼女は「まだやる気満々ですよ、あの人」と笑って話していた。
宇野、中川、山崎は自殺せず、中川衆院議員はいまだに永田町で大きな顔をして生き延びている。彼らと松下金融担当相を分けたのは何だったのか。
時任の模泰吉弁護士が言っているように、「松下氏の女性の扱い方がヘタだったと言われても仕方ない」ところはある。
セックスのテクニックやテレホンセックスのことをバラされ、晩節を汚されたと思ったのかもしれないが、「その歳でよう頑張ってはる」という見方もあるのではないか。
私は、自殺の動機は政治家という職業にあると思う。大野伴睦は「猿は木から落ちても猿だが政治家は選挙に落ちればタダの人だ」といった。
総選挙は間近であるが、松下が所属する国民新党も苦戦が予想されている。ましてやこのスキャンダルが出ては、当選する見込みはほとんどない。
中川、山拓には、もう一度永田町に戻るという強い意欲があったが、松下にはそれが弱かった。このスキャンダルが明るみに出てしまうことで、生きる意欲まで失ってしまったのではないか。
朝日は松下の別の愛人にインタビューしている。二人のことは2003年4月に写真誌「FLASH」で報じられているが、今回の自殺に対して、信じられないとこう疑問を呈している。
「女性問題というのは表のことであって、もっと根深い何かに思い悩んでいたんじゃないでしょうか」
今週のグランプリは新潮の青沼陽一郎と取材班が、AKB48の生みの親・秋元康の研究を始めた連載第1回に贈りたい。
今回は秋元と一緒に「AKS」を立ち上げた窪田康志と芝幸太郎のうち、芝について多くを割いているが、だいたいはこれまで文春が報じてきたことである。
芝と窪田は、六本木にあった芝が経営する「裏カジノ」で知り合った。芝は強引な取り立てで社会問題化した「商工ファンド」に入り、日本一の営業成績を収めるようになった。「貸します詐欺」や「振り込め詐欺」のあくどい仕事に手を染めていたなどである。
今回面白いのは、まず、芝のかつての上司にこう言わせていることである。
「芝の背中には一面に龍の刺青が入っている。赤や青のハデな色合いで、その龍の周りには鯉もからみついている絵柄だ」
AKB48を創り上げた一人がクリカラモンモンを背負っているというのだ。
もう一つは、AKB48の48という数字の謎についてである。この48はメンバーの数ではない。では、何を指すのか?
かつて芝は、芸能関係の仕事を始めるとき「office48」という会社を立ち上げたことがある。ここにも48が使われているが、これは「芝=シバ=48」を指しているというのである。
新潮は「このアイドル発掘プロジェクトに参画した芝の元手は、“振り込め詐欺”や裏カジノの収益ではないのだろうか」と疑問を投げかけている。
芝は取材に対して、詐欺や裏カジノについては否定したが、刺青に関してはプライベートなことだと返答を拒否したという。
秋元はインタビューに対して、「アイデアということでは100%僕。お金ということでは100%窪田君」と答えている。
芝にそういう過去があることはまったく知らなかったと話し、知っていたら一緒にやらなかったという。芝はいまはAKB48から手を引いていて関係がないとも話すが、劇場支配人も衣装担当者も、秋元才加らAKB48数名の所属事務所も芝の会社になっているではないかと、新潮側は指摘する。
こうした闇の人脈と手を組むことになった秋元の謎は、「彼の生い立ちを追う過程で明らかになるだろう」と、次回への含みを持たしている。何だろう? 楽しみである。
文春の前田敦子や新潮の記事を読むと、そろそろAKB48人気にも綻びが出てきたことを感じるのだが。
(文=元木昌彦)

撮影/佃太平
1945年11月生まれ。早稲田大学商学部卒業後、講談社入社。90年より「FRIDAY」編集長、92年から97年まで「週刊現代」編集長。99年インターネット・マガジン「Web現代」創刊編集長を経て、06年講談社退社。07年2月から08年6月まで市民参加型メディア「オーマイニュース日本版」(2006年8月28日創刊)で、編集長、代表取締役社長を務める。現「元木オフィス」を主宰して「編集者の学校」を各地で開催、編集プロデュースの他に、上智大学、法政大学、大正大学、明治学院大学などで教鞭を執る。 【著書】 編著「編集者の学校」(編著/講談社/01年)、「日本のルールはすべて編集の現場に詰まっていた」(夏目書房/03年)、「週刊誌編集長」(展望社/06年)、「孤独死ゼロの町づくり」(ダイヤモンド社/08年)、「裁判傍聴マガジン」(イーストプレス/08年)、「競馬必勝放浪記」(祥伝社/09年)、「新版・編集者の学校」(講談社/09年)「週刊誌は死なず」(朝日新聞社/09年)ほか







