今週の注目記事 第1位「今度は『共謀罪』まで言い出した 安倍総理、気分はもう戦争」 (「週刊現代」12月28日号) 第2位「にわかに露出アッキーは官邸のイメージ戦略か」 (「AERA」12月23日号) 第3位「ヌードで赤裸々告白 優希まこと さんまさんのお家で……」 (「週刊現代」12月28日号) 長いことこの欄を受け持っているが、これほど読むべき記事が少ない週は珍しい。中でも文春、新潮は“冬枯れ”どころではなく、木枯らしが吹きすさぶ厳冬期のようだ。 たとえば、両誌がこぞってやっている韓国の朴槿恵(パククネ・61)大統領批判がある。 新潮が「身内に犯罪者『朴槿恵大統領』孤独の夜」、文春が「日本人は知らない 韓国マスコミが突いた朴槿恵大統領の『急所』」。 ともに朴大統領が対日強硬派であることを難じている内容であるが、他国の大統領をここまで批判するのは、何が目的なのであろう。 膠着状態にある日韓関係を憂い、首脳たちの対話を促すなら、こうした記事がマイナスに働くこと間違いない。それとも両誌は、日韓の緊張をさらに高めてほしいのだろうか? ともあれ、新潮から見てみる。大手新聞のソウル特派員はこう話す。 「行政府、立法府から司法府まで、あらゆる勢力がコングロマリットの如く、反日を規範に行動しているのが今の韓国です。朴大統領の父親・朴正熙(パクチョンヒ)は、KCIA(中央情報部)の部長などを側近にして、16年にわたり独裁者として恐怖政治を敷きました。程度の差こそあれ、彼女もそのDNAを受け継ぎ、独断主義を通しているので、怖れられているわけです」 諫言できるブレーンもいなければ、彼女には夫もいない。では兄弟姉妹はどうかというと、これが醜聞だらけだという。 妹の朴槿令育英財団前理事長は、契約金名目で7,000万ウォン(約640万円)を騙し取ったとして、詐欺罪で有罪判決を受けている。また実弟の朴志晩は、覚せい剤使用で保護観察処分。しかも同罪での摘発が89年の初犯以降5回もあるというのである。新潮はこう書いている。 「心から頼れる身内もいない朴槿恵大統領。反日に凝り固まる彼女は、他の多くの政治家とは違い、夜の懇親会の会合は入れず、青瓦台で独りの時間を過ごすという。夜毎、ドラマを見ながら、ひとり酒を傾けつつ……」 さながら、寂しき青瓦台の女王といった趣である。 さらに、朴槿恵大統領が昨年の大統領選で目玉の公約に掲げたのは「国民幸福基金」という現代版徳政令と、「高齢者向け年金の給付」だった。 ジャーナリストの勝又壽良氏が、このように解説する。 「韓国は財閥企業による輸出依存型経済です。結果、個人より企業に富が集中し、貧乏人が増える格差社会になっている。個人消費が落ち込み内需が低迷し、10年ほど前からクレジットカードを利用しようというキャンペーンが起きました」 その影響で、個人債務者が急増してしまった。一般家庭の債務の総額は2002年で464兆ウォン(40兆円)だったのが、12年には963兆ウォン(84兆円)にまで増加したそうだ。勝又氏がこう続ける。 「韓国では04年以降、これまで負債減免政策は3回行われ、今回の『国民幸福基金』で4回目。過去3回の徳政令の元金減免率は30~50%だった。今回は一律50%で、生活保護を受給していれば、なんと70%も減額されるのです。これまでにない大盤振る舞いと言えます」 この非常識な経済政策で国内経済はガタガタだというが、私にはちょっぴりうらやましい気がする。 父は反共だったのに、なぜ朴大統領は中国べったりなのかとも批判している。それは、韓国の今年1月から10月の対中国輸出額が1500億ドル(約15兆3100億円)で、日本を抜いてトップになったから、中国におべっかを使っているというが、致し方ないのではないかと、私は思うのだが。 文春では、早くも朴大統領に退陣を要求するデモが拡がっていると報じている。 12月7日、ソウル中心部は、朴大統領の退陣を求めるデモ隊に埋め尽くされたという。「朴槿恵大統領は退陣せよ」という約2万3000人のデモ隊は、機動隊と衝突し、放水も行われた。 「就任1年目でここまでのデモが起こるのは異常です。任期はあと4年ありますが、レームダック(死に体)も早いかもしれません」(在韓ジャーナリスト) さらには、かつて隠し子報道も飛び出したそうである。40歳年上の崔という牧師との関係がウワサされ、朴大統領は、07年の大統領選候補を選出するハンナラ党予備選挙で、こう言ったという。 「検証聴聞会で自らDNA鑑定の可能性に触れている。それは『わたしに隠し子がいるとの説が出回っている。もし実在するなら、その子どもを連れてきてみてはどうか。そうすればDNA鑑定を受けてもいい』というものだった」(朝鮮日報07年8月3日) 両誌を読み比べて、正直ため息が出た。こうした情報を欲しがり、韓国に対して怒りをもっている読者がいるのであろう。だが、こうして国内の反韓感情を高めれば高めるほど、両国関係は拗れ、歩み寄ることは難しくなる。 韓国も日本に負けず反日情報をまき散らしているのであろうが、それと同じところへ下りていくことはない、そう考える。 安倍政権の反韓・反中路線の核弾頭として批判しているのであれば、両誌が常々辛口で書いている大新聞の政権ベッタリ、大本営発表たれ流しと同じになりはしないか? どちらにしても、このところの強圧的な政権運営で支持率が落ちている安倍政権と同じように、このままいけば部数も落ち込んでいくのではないかと心配している。 ポストは先週合併号なので、今週はお休み。よって、注目記事はどう拾っても上記の3本しかない。困ったものである。 まずは現代のカラーグラビア袋とじ。 先日フライデーされた明石家さんまの自宅お泊まり相手、優希まことがヘアヌードになって、さんまとのことを告白している。彼女はレースクイーンとして活動後、2010年にAVデビュー。瞬く間に人気ヌードルになったそうだ。 といっても、“赤裸々”なのはヌードのほうで、さんまとのことはほんのちょっぴりなのが残念だ。 「さんまさんは本当に優しくて紳士的。肌がきれいで60歳近くとは思えない体のキレが印象的でした。いろんな意味で、まさに大人の魅力、でしたよ(笑)。詳しい内容? うーん……、あまり話すと怒られちゃいそうだからなぁ。でもラブラブな雰囲気が好きみたい。すごくかわいいんです」(優希) 堂々たるヘアに、小ぶりなおっぱいがカワイイ。ベットではいい女だろうなと思わせる肢体。この体をさんまが愛でたというのは、少しうらやましい。 先週、安倍首相の奥さん、安倍昭恵夫人をインタビューした現代の記事を紹介したが、このところの彼女のメディア露出はすごいものがある。 AERAはその「放言」には官邸の陰が見え隠れしていると書いている。これが今週の第2位。 現代以外でもこう言っている。 「“50歳からの人生に向けて、安倍晋三の妻としてより、ひとりの女性・安倍昭恵としてどう生きるかを考えたい”と思ったのです」(「エクラ」14年1月号) 「(安倍首相にとって)一番大きいのが憲法改正なんだと思う。それが国会議員になって最もやりたいことだったんだろうと思う」(12月7日付「ウォールストリート・ジャーナル」電子版) 「自分の国で事故がきちんと収束していないのに、(原発を)海外に売り込むことに対し、私はやはり『どうなんだろうな』と思っている」「主人に『小さいところは本当に大変なので、消費税は上げないでください』と毎晩言っていた」(11月12日の北海道新聞東京懇話会) 現代では、石破茂自民党幹事長が「デモとテロはあまり変わらない」と発言したことに対しても、 「デモができるということは健全な社会である証拠ですから、それをテロと言うことはちょっと許されないと思います。私には原発反対デモをしている知人もいますし」 と、バッサリ斬っていたのは見事だった。 だがAERAによると、彼女の発言に官邸は痛し痒しで、こんなことをしていると官邸関係者が語っている。 「いま官邸にはチームアッキーの部屋があって、専属の女性秘書2人がついています。実質的には監視役。インタビューなどはすべて目を通してますし、官邸がコントロールしようとしているのは明白です。タカ派色を強める安倍首相に対して、アッキーの露出を増やすことでバランスを取ろうという意図も見え隠れします」 私も、アッキーの一連の反原発発言や消費税、特定秘密保護法反対の姿勢は、官邸の「意志」があると思っている。 安倍首相のタカ派路線、国会軽視の強硬路線が国民の反発を招くことは、首相周辺は重々承知しているはずである。 そこで、安倍首相の妻が、首相の考えをちょっぴり批判することで、タカ派イメージを薄め、あの奥さんがいるから安倍首相もそんな変なことをしないのではという「安心感」を与えようとしているのではないか。 特定秘密保護法案が出てきた頃と、多くのメディアに彼女が露出し始めた時期は重なる。彼女のすべての言葉が、自分の意と反する意見を言わされているとは思わないが、安倍首相周辺が黙っていることなどありえない。 そうでなく、現代で「政治家の夫婦って、一緒に外に出るときには仲の悪い素振りなんて見せられませんから」と言っていることが誠なら、この夫婦は「仮面夫婦」で、遠くない将来、小沢一郎のように、奥さんのほうから三行半を突き付けられることになるだろう。 今のところのアッキー発言は眉にツバをつけながら、少し割り引いて聞いていたほうがいいはずである。 編集長が交替して、かなり安倍政権への批判を強めようとしている現代だが、今週も巻頭で「安倍総理、気分はもう戦争」と小気味いい。これを今週の第1位に推す。 鈴木崇之編集長は「音羽の杜から」でこう書いている。 「いま自分たちも猛烈な砂嵐の中にあって、いつの間にかとんでもない事態になっているんじゃないか。特定秘密保護法に続き、共謀罪創設なんて話も聞こえてくる昨今。日本が戦争への道を進み、恐竜たちのように滅びるのは真っ平御免です」 現代によれば、EU(欧州連合)28カ国の在日本大使館の政治担当参事官が毎月1回集まり、世界情勢について意見交換する昼食会を開いているそうである。 その会合に先日、米国の政治参事官が呼ばれた。目的は安倍晋三総理がいま、何を考えてるのかを聞き出すためだったという。欧州の大使館関係者がこう語る。 「そこで米国の参事官が、安倍総理が中国と戦争するつもりではないかとの危惧を示したから会議が騒然としました。会合では今夏の麻生太郎財務相のナチス発言に触れて、いまの安倍政権の特定秘密保護法案への強硬姿勢も、まるでナチスと同じ手口ではないかという声も上がりました。要するに、いま欧米先進国の間では、安倍政権が戦争に突き進むのではないかとの不安が渦巻いてる。それほどまでに、日本は世界から『気分はもう戦争』という危険状態にあると見られているのです」 さらに驚いたのは、12月11日に「政府は共謀罪の新設検討」と朝日、日経新聞などが報じたことだ。共謀罪というのは殺人など重大犯罪の実行行為がなくても、謀議に加わっただけで処罰の対象とされるもので、現代の「治安維持法」として批判されてきたのだ。その悪法が、ここへきて急浮上してきた。 「安倍政権は11月末に『国家安全保障会議(日本版NSC)』創設関連法も成立させている。NSCは総理大臣、官房長官、外相、防衛相をメンバーとする『4者会合』を中核とし、外交・安全保障政策の司令塔となる組織。巨大な権限を持つことから、『戦争司令部』になりうると批判されているものだ。こうした既成事実を列挙すれば、確かに安倍政権は『戦時モード』へ突き進んでいるようにしか映らない」(現代) 現役米大使館幹部もこう話す。 「誤解されていますが、米国は秘密保護法に反対の立場です。東アジア情勢が安倍政権下で悪化する中で、なぜ戦時下の言論統制を連想させるような法案をあえて可決しようとするのかと、頭を抱えているほどです。オバマ大統領は、キャロライン・ケネディ駐日大使を通じて、安倍総理に『靖国だけには参拝するな』『これ以上中国を刺激して尖閣問題が再燃したら、米国は日本を助けない』とのメッセージも届けています。しかし安倍政権の動きを見ていると、忠告が全く響いていないように見える」 さらに現代は、安倍政権はこれに飽きたらず、戦時モードの強化へと突き進もうとしていると追及する。 NSC、秘密保護法はまだ序の口で、来年の通常国会では、本丸である国家安全保障基本法案が提出される見込みだというのである。 「昨年7月に自民党がまとめた法案の概要を見ると、戦争ができる国への一歩を大きく踏み出そうとしているのがよくわかります。例えば第3条では教育、科学技術など各内政分野は、国防を優先しろとの旨が書かれている。さらに第4条では『国民の責務』として『安全保障の確保に寄与』とある。早い話が国民も国防に協力しろという、国家総動員法まがいの内容です。さらに第10条では集団的自衛権を認め、第12条では武器輸出を解禁しようとしています」(弁護士の伊藤真氏) 国家安全保障基本法案がどれほど危険なものか。ビジネス情報誌「エルネオス」(13年10月号)で東京新聞編集委員の半田滋氏と対談したとき、半田さんはこう言っている。 「国家安全保障基本法案というのは去年の7月、自民党が野党だったときに総務会で決定しました。概略しか自民党はつくってませんけど、その中で自衛隊というものを法的に位置づけると言っていて、その中身を読んでいくと憲法とほとんど変わらないような規定なんです。たとえば『国民の責務』という項目があって『国民は、国の安全保障施策に協力し、我が国の安全保障の確保に寄与し、もって平和で安定した国際社会の実現に努めるものとする』と書いてある。 自民党の憲法草案にも似たような文章があって、要するに国防の義務を国民に負わせていくというような趣旨で、憲法九条の二項に『陸海空戦力をこれは保持しない』と書いてあるけれども、この中では『陸上・海上・航空自衛隊を保有する』と書いてあります。戦力という書き方じゃなくて自衛隊と明記した上で保有するとあって、国連には個別的・集団的の区分けがないところをうまく利用して、集団的自衛権の行使をやると書いている。 重要なのは、この法案は憲法よりは下だけれど国家安全保障の全体像を描いた上位法です。この法律だけでは漠然としてるので、下位法として集団自衛事態法をつくる。また自衛隊法を変えて集団自衛出動的任務規定を盛り込むということが書いてあります。それと国連の安保理制裁決議で武力行使が行われる場合には参加できるという項目もあるし、驚くべきことに武器の輸出ができるという規定まであります。 私がこの本(『集団的自衛権のトリックと安倍改憲』(高文研)=筆者注)を書いたときは、自民党の幹部の方が、これは議員立法でやりますと明言していたんです。三権分立ですから立法府としてこの法律をつくります。行政府、内閣はこの法律に従って自衛隊の活動を規定してくださいと要求していく。それによって自ずと自衛隊の海外における集団的自衛権の行使や武力行使ができるようにすると言っていた。 ところが今はシナリオがちょっと変わってきていて、安倍さんは内閣立法でやると言い出している。つまり安全保障は国の責任でやるべきだから閣法提出にすべきだ。それが内閣法制局長官の交代につながっているんです。つまり閣法で出すということは、内閣法制局で今の憲法解釈と齟齬がないか吟味してもらわなければいけません。これは合憲ですよと言ってもらわなければいけないわけで、イエスと言える法制局長官に差し替えて、万全の態勢で出していくという手続きが必要だと変わってきているんです」 内閣法制局長官を替え、体制は着々と整いつつある。これを阻止するには、民意の結集が必要である。 幸い、特定秘密保護法を無理やり通した後の世論調査では、NHKやJNNが10ポイントも下がって50%になり、共同通信などは47.6%にまで落ち込んでいる。 国民の怒りをくみ取り、安倍首相がしようとしている「戦争のできる普通の国」をやめさせるために週刊誌は何ができるのかを、真剣に考え誌面化しなくてはいけないこと、言うまでもない。 (文=元木昌彦)「週刊現代」12月28日号
「29週刊誌スクープ大賞」カテゴリーアーカイブ
「2年で30万円が2000万円に増えた」為末大は“インチキ投資ファンド”の広告塔だった?
今週の注目記事 第1位「安倍総理夫人が夫への『違和感』を告白」 (「週刊現代」12月21日号) 第2位「金正恩は朝鮮人民軍に暗殺される」 (「週刊現代」12月21日号) 第3位「中田英寿が3億円ブチ込んだ“インチキ投資ファンド”」 (「週刊文春」12月12日号) 第4位「中国『防空識別圏』を飛ぶJAL&ANA国際線全便リスト」 (「週刊ポスト」12月20・27日号) 番外1「2013ミステリーベスト10」 (「週刊文春」12月12日号) 番外2「小学校の音楽の先生が出ていた『無修正AV』ちょっと凄いぞ」 (「週刊現代」12月21日号) 今週の週刊新潮は、ちと期待外れ。週刊現代が編集長交代(藤田康雄編集長から鈴木崇之編集長)の御祝儀もあったのか(もっとも今号は前編集長からの引き継ぎ企画だが)、読み応えのある記事が多かった。 まずは、その現代の記事。わいせつ電磁的記録・記録媒体頒布ほう助の疑いで11月30日に逮捕されたA子(27歳)だが、現代によれば「罪名がわかりにくいが、インターネット上で配信するための無修正AVと知りながら、女優としてAV制作を助けた、つまり出演したという容疑である」そうだ。 実名を出すのは酷な気がするが、この容疑者が名門東京藝術大学の声楽家を卒業後、都内の小学校で音楽の先生をしていたというから、大きな話題を呼んだ。 60代男性がこう語る。 「この地区の運動会の開会式で『君が代』を斉唱していました。唄うように頼んだ人は、東京藝大出身と聞いて、『この地区に芸術家がいる』と喜んでいました。綺麗で愛想もよくて、この町のスターです。AV? 何かの間違いじゃないかな」 インターネット上にあるAVの写真まで出されては、先生としてやっていくことはできまい。ハイエナ週刊誌に「藝大出身の元小学校の先生Eカップの“お詫びヘア・ヌード”」なんてグラビアが載るのは近いかもしれない。かわいそうに。 私のようなミステリー好きにはたまらない、文春恒例の今年のベストミステリー。ベスト3と寸評を紹介してみよう。 国内部門の第1位は『教場』(長岡弘樹・小学館) 汐見薫「ある章の登場人物が次の章では全く違った人間像を見せる。その無駄のない文体と鮮やかな展開に感服」 第2位は『祈りの幕が下りる時』(東野圭吾・講談社) 田村良宏「こんなにも悲しい動機を描いたミステリーに出会ったのは初めて。いつまでも忘れられない作品になるだろう」 ちなみに東野氏は10位にも『夢幻花』(PHP研究所)が入っている。この作家の衰えない創作力には脱帽である。 第3位は『ノックス・マシン』(法月綸太郎・角川書店) 千街晶之「マニア気質と遊び心の融合から生まれた至高のパロディー短編集」 海外部門の第1位は『11/22/63』(スティーヴン・キング・文藝春秋) 狩野洋一「ファン待望の長編。ケネディー暗殺に時間を戻し、その後の歴史を織り込んだ読み応えのある力作」 第2位は『緑衣の女』(アーナルデュル・インドリダソン・東京創元社) 岩井志麻子「つらい物語だった。死体の身元を解き明かしながら、家庭内暴力も暴かれていく。心の中ってのが最大のミステリーか」 第3位は『遮断地区』(ミネット・ウォルターズ・創元推理文庫) 芹澤恵「人の弱い所、嫌な所を描くと右に出る者のない作家だが、今作では弱い人間にも骨がある所を丁寧に描く。それでいてこのスピード感」 私がこの中で読んだのは、高村薫の『冷血』、ジェフリー・ディーヴァーの『ポーカー・レッスン』、ローラン・ビネの『HHhH プラハ、1942年 55』だが、キングの本は早速読んでみよう。 さて、11月23日午前10時、中国国防部は、東アジア諸国・地域を震撼させる次のような発表を行った。 「本日、午前10時をもって、魚釣島(尖閣諸島)海域一帯に、防空識別圏を設定する。今後、この空域をわが国に許可なく通行することを禁じ、指示に従わない航空機に対しては防御的緊急措置を講じる」 文春「中国は世界の嫌われ者!」の中で、航空自衛隊幹部がこう懸念している。 「今回の防空識別圏の設定によって、海南島事件のようなケースが起きてしまうことです。日中の制服レベルのホットラインがない現状では、一度何か起きれば、事態がエスカレートしてしまいかねません」 海南島事件とは、2001年に中国南部の海南島から110キロの南シナ海上空で偵察活動を行っていた米軍の電子偵察機と、警戒にあたった中国軍の戦闘機が空中衝突した事件のことで、東シナ海上空に侵入する中国軍機が増えれば、このような事件が起きる恐れが高まるという。 アメリカもこの中国の発表に警戒感を強めているようだし、中国側の出方次第ではきな臭くなってくるかもしれない。 ポストは、民間機の安全がピンチだと、このあたりを飛ぶJALとANAの国際線のリストを掲載している。かつて大韓航空機撃墜事件があったから、客にとっては知りたい情報である。これが今週の第4位。 23日の中国側の設定以降、その空域を国際線の飛行経路とする全日空(ANA)と日本航空(JAL)は、中国政府にフライトプランを提出した。 安全運行を考えれば素直に従うほかなかったのだが、それに待ったをかけたのが日本政府だった。26日には国交省から、業界団体である定期航空協会に「中国にフライトプランを提出しないように」という要請が出たのである。その結果、両航空会社は27日の0時から提出をやめてしまったのである。 しかし、アメリカは民間の航空会社がフライトプランを提出することをやめさせなかった。 ポストで米国国防関係者が言う。 「防空識別圏に設定された区域は、米軍が軍事演習を行う地域でもある。アメリカは軍用機の対応では日本と一致しており、中国政府に対して演習の事前通達をすることはない。だが、民間機は別だ。不測の事態は絶対に避けなければいけない。国民の安全を考え、“中国政府の出した方針に従うべき”というスタンスをとった」 国民の安全を考えればこの措置が当然だと思うが、日本政府は考え方が違うのである。おかしいと思うが、こうなったら自分の身は自分で守るしかない。 ポストによれば「日本から、当該の空域を通るのは原則、『台湾』と『香港』への往復航路になる。実際に、2航路のフライトプランは11月23~25日まで提出されていた。現在、その航路を飛行するのはJALとANA、そしてLCC(ローコストキャリア)のPeachを合わせて、1日に台湾便が28便、香港便が18便の計46便となる」そうだ。 こちらへ行く方は、くれぐれもご覚悟を。 2001年の世界陸上400メートルハードルで銅メダルを取り、侍ハードラーとして名高い為末大が広告塔になっているアジア・パートナーシップ・ファンド(APF)という投資ファンドが、えらいことになっているという記事が文春に載っている。これが第3位。 そもそもは11月1日、証券取引等監視委員会(SESC)がAPFグループの実質的代表である此下益司氏(46)に対して、40億9605万円の課徴金納付命令を出すよう金融庁に勧告したのである。社会部記者がこう話す。 「これまでの課徴金勧告の最高額は法人で約16億円、個人では約1億2000万円でした。個人に約41億円というのは前代未聞です」 APFグループは投資家から資金を集めて、タイなど東南アジアで不動産や企業などに投資し運用してきたそうだ。日本やタイで不動産、証券、食品などの企業を傘下に収め、07年末には運用規模1200億円を超えていたとされる。 「SESCの発表では、APFグループの会社ウェッジホールディングスが、虚偽の情報を公表し、株価を上昇させたとして金融商品取引法違(偽計)の疑いがあるというものでした」(同) APFがメディアで取り上げられるようになったのは、04年3月に為末が所属選手となったことがきっかけだったようだ。 為末は著書『インベストメント ハードラー』(講談社)で、此下氏との出会いについて明かしている。 「此下氏は超小型のファンドを作ってくれ、そのアドバイスに従って運用した結果、2年で30万円が2000万円に増えた。為末は『とても手堅くビジネスを推し進めていました』『怪しいなんて、とんでもない。この人は、本物だ』『此下会長から多くのことを学びました』」(文春) と絶賛しているそうである。確かに、為末の著書の帯には「30万円が2000万円に増えた話」と特筆大書してある。 APFの顧客には元サッカー日本代表の中田英寿や水泳の北島康介、野球の古田敦也。芸能界では美川憲一やうつみ宮土理などのセレブがいるという。 だが、ため息まじりにこう語る70代女性がいる。 「APFの担当者は私のことを『おかあさん、おかあさん』と呼んで、いろんなところに連れ出してくれた。お寿司を食べに行ったり、うつみ宮土理さんの舞台に招待してくれたり。でも、3年前に配当が止まってからは、きちんとした説明もない。一番、後悔しているのは自分の稼ぎだけでなく、夫の分もつぎ込んでしまったことです。夫が亡くなった時に、もっと好きなことをやらせてあげられたのではないか、と。それもこれも上手い話にのせられた自分が悪いんです」 此下氏は、約41億円もの課徴金を課せられる可能性があるほか、今年の5月には、投資家16名から4億6200万円の損害賠償を求めて、大阪地裁に提訴されている。原告弁護団の橋口玲弁護士はこう語る。 「我々は、詐欺的な勧誘をした疑いがあると主張しています。口頭で元本保証をうたって商品を勧誘した疑いがあり、これは出資法違反の疑いがあるのです」 隆盛だったAPFの転機となったのは、10年6月、APFグループの会社に架空増資の疑いがあるとして、SESCが強制調査に入ったことだった。 投資家B氏によると、強制調査の前からAPFには異変が起きていたという。「タイで暴動が起きて事務所がクローズしたので」とか「タイにいる役員が辞めたから」といって、とにかく配当を先延ばしにしようとしたそうである。 そのうち強制調査が入って完全に配当が止まり、内容証明を送ったら、その日から一切連絡が取れなくなったという。 文春は、此下氏に対する「疑惑」には捜査当局も関心を持っていて、情報収集を続けているとある。 約40億円の課徴金を課せられる裏に悪徳商法でもあったら、為末の責任も問われることになるであろう。 12月3日に韓国発で衝撃的なニュースが飛び込んできた。故・金正日総書記の妹・金敬姫書記の夫で、北朝鮮の実質上のナンバー2である張成沢国防委副委員長(党行政部長)が失脚したというのである。加えて、張副委員長の腹心の2人の幹部が、公開処刑に処せられたというのだから、驚いた。 しかし、これは北朝鮮側によって裏付けられるのだ。北朝鮮の朝鮮労働党が8日、政治局拡大会議を開き、張成沢国防委副委員長をすべての職務から解任し。党から除名すると決めたと、朝鮮通信が伝えたのである。 若い金正恩を支え、後見人とまでいわれてきた人物の突然の失脚の裏には何があったのか、現代が詳しい。これが第2位。 中国の外交関係者がこう語る。 「金正恩政権のスローガンは『経済発展と核大国』だが、経済発展の担当責任者が張成沢だった。張は頻繁に訪中し、『わが国も中国を見習って経済発展したい』というのが口癖だった」 そんな張国防委副委員長がこの春以降、勝負に出たという。同じ関係者が続ける。 「中国が経済特区の指導をして、5月に経済開発区法を制定したのに続き、10月下旬には、国内14カ所に、中国式の経済特区を設置することを決めたのだ。この経済特区のポイントは、中国などから外資を誘致し、民間主導で都市の経済発展を図るというものだった。 これに真っ向から噛み付いたのが、120万朝鮮人民軍だった。朝鮮では、インフラ建設は軍の独占的利権だ。それを切り崩されたら、軍の大幅削減は必至なので、軍が焦燥感を募らせたのだ」 そこへ不幸が重なったというのだ。 「それは、金敬姫書記の健康問題だ。2年前の12月に独裁者だった金正日総書記が死去した後、金正恩第一書記が直ちに後継者となったが、黒幕は金敬姫だった。過去2年間の重要人事はすべて、金敬姫の意のままだったと言っても過言ではない。金正恩も張成沢も、金敬姫あってのナンバー1でありナンバー2だった。その金敬姫が、持病の糖尿病を悪化させ、絶体絶命のピンチに陥っているのだ」(同) そんな中で朝鮮人民軍は、経済特区設置によって軍の権益が侵されたとして一気に反撃出たのだという。国情院関係者がこう語る。 「だが、経済改革の旗手を失ったことで、14カ所の経済特区の開発は事実上ストップした。経済はいよいよ破綻し、この冬は再び大量の餓死者と凍死者を出すことになるだろう。そうなると、民衆の反乱が起こる可能性もある」 北朝鮮が内乱状態になり、軍が暴走する事態も考えられるのではないか。いよいよ北朝鮮王朝の断末魔も近いのかも知れないが、日本もそうなれば巻き込まれることになるはずである。北朝鮮からは目が離せない。 今週の第1位は、現代の安倍首相夫人・昭恵さんインタビューである。インタビュアーはジャーナリストの松田賢弥氏。 松田氏はもともと現代に籍を置いて仕事をしていたが、ここ数年は現代を離れ、文春の仕事が多かった。そのエース記者が古巣へ戻って、先日は菅義偉官房長官インタビューをやっていたが、これはどうということはなかった。 だが、今週号の安倍夫人インタビューは面白い。これが今週の第1位。 このインタビューの面白さは、インタビュアーの突っ込みのよさもあるが、ひとえに昭恵夫人の率直な受け答えにある。これほど現役総理夫人が“ホンネ”で語ったことはほとんどなかった。いくつか紹介しよう。 まずは、希代の悪法「特定秘密保護法」を強引に通したことについてどう思うかと聞かれ、こう答える。 「最近、皆さんにそのことを聞かれます。たしかに大きな時代の流れとしては、情報の開示は進めたほうがいいと思うんですね。主人は時代に逆行してるように見えるかもしれない。けれども、国民をだまして戦争しようとか、そういうことではないと信じている。日本という国がきちんと独立していく過程で必要な法案であり、いま通さなくてはいけない理由が、何かあるんだと私は理解しています」 この「いま通さなくてはいけない理由」こそが問題なのだと、私もあちこちでいっているが、彼女もそう感じていることが読みとれる。 石破茂自民党幹事長がデモとテロはあまり変わらないと言ったが、どう思うかと聞かれ、「デモができるということは健全な社会である証拠ですから、それをテロと言うことはちょっと許されないと思います。私には原発反対デモをしている知人もいますし」 亭主の政敵への“批判”もちゃんとするところがいいね。 彼女は反原発派で知られるが、亭主との違いを聞かれてはっきりとこう答えている。 「はい。もし、もう一度事故が起きれば、日本は終わってしまうと思うんです。以前、福島第一原発の20km圏内にも行きましたが、これだけの広範囲に未だに誰一人入ることができないという状況は、やはり普通ではないと感じました。(中略)子どもを持つお母さんたちは不安とストレスを抱え、風評被害は収まらず、除染も進まない。そんな状況で『原発は安全でしかも安い』と言われても。何か起きてしまえば莫大なお金がかかるわけですから、安いとは考えられません」 しかし、亭主は海外に原発を輸出するセールスマンになっているではないか。 「国内の事故が収束していないのに、外国に原発を売るというのは、私個人としてはなかなか心苦しいところがあります。(中略) 主人は『中国製の原発の方が危険なんだから、日本製を買ってもらったほうがいい』と言っています。実際、そうなのかもしれません。でも理想としては、日本が原発に代わる技術を開発して、それを売り込むのが筋なんじゃないか、と思います。なかなか簡単ではないでしょうけれど」 中国の原発なんか買う国があるわけないじゃないか。パチパチパチである。彼女は韓流ファンとしても知られるが、やはり相当プレッシャーがあるらしい。 「この前、日韓交流のイベントに行ったと(Facebookに=筆者注)書き込んだら、炎上するほど批判が寄せられたりして、大変な部分もあります。(中略)私は以前からずっと、日韓関係をよくしたいと考えていましたから、韓国の方々が喜んでくださるならそれでいいかな、と個人的には思います。でも、最近は非常に(日本国民からの批判が)厳しいですね…… 韓国のことについて発言すると」 これを読んでいて、私にはあるアイディアが浮かんだ。 きっかけは、『現代中国悪女列伝』(文春新書)というすこぶる面白い本を書いた、福島香織さんと会ったことだった。 この本には「金欲と情欲にまみれた中国を、ウラで動かす美女たち」という帯が着けられている。薄熙来の妻の谷開来や、温家宝の妻の張培莉などの「悪妻」と並んで、習近平の奥さんの彭麗媛夫人の「あげまん」ぶりが書かれているが、彼女は美人で中国を代表する歌手でありながら、現役将校でもある。彼女のおかげで習が人民解放軍に影響力を持てるといわれているほどだが、彭夫人は親日家でもあるといわれている。 実際、彼女は日本で公演を行い、皇太子ともパイプを持っている超大物だが、彼女と安倍昭恵首相夫人を会わせて「日中の女性問題を考える」というイベントでもしたら、深刻さを増す日中関係がほぐれるきっかけになるのではないか。ついでにミシェル・オバマ大統領夫人も加えたら最高だろう。 外交下手の習近平と安倍首相に任せていたら、両国関係は進まない。男がダメなら女の知恵を借りて、どうにもならないものを動かしてみたらいいのではないか。このインタビューを読みながら、そんな“夢”を描いてみた。 最後に、私が関係している本について紹介させてもらいたい。竹書房から出た三吉眞一郎著『翳りの城』という戦国時代小説である。 武田の大軍勢に囲まれた今川軍の残党が立て籠もった謎の城。そこへ攻め入った者は、二度と生きては戻ってこられない。“驚愕”という形容詞がこれほど当てはまる、手に汗握る小説は珍しいと思います。 ぜひお手にとってご覧下さい。後悔はさせません。 (文=元木昌彦)「週刊現代」12月21日号
週刊ポスト VS 朝日・読売新聞 仁義なき“新聞広告エロタイトル”闘争
今週の注目記事 第1位「子供騙しの言い訳しかない『猪瀬直樹』都知事は首都の恥」(「週刊新潮」12月5日号) 「さらば猪瀬直樹」(「週刊現代」12月14日号) 第2位「本誌VS朝日・読売『エッチなタイトル<珍>闘争』をあえて公開します」 (「週刊ポスト」12月13日号) 第3位「スクープ! でたらめ除染 放射性ごみ民家裏に投棄」 (「週刊朝日」12月13日号) 第4位「『成分も効き方もみな同じ』ではなかった『ジェネリック医薬品』」 (「週刊新潮」12月5日号) 第5位「スクープレポート すわ米中開戦か 習近平は本気で日本の航空機を撃墜する」 (「週刊現代」12月14日号) 次号から週刊現代編集長が、藤田康雄氏から鈴木崇之氏に替わる。今週号、藤田編集長が「音羽の杜から」でお別れの言葉を書いている。 今週号のグラビア企画「墓碑銘2013」を読んでの感想から入り、「長命だった人も、非業の最期を遂げた人も、改めてその人生を振り返ると、誰もが大命をまっとうしたのだなと思った。さよならだけが人生だーー。」として、「次号から編集人が変わります」と続けている。 少しばかり短かった編集長在任期間だったが、大命はまっとうした、やるべきことはやったと言いたいのであろう。ご苦労様でした。 このところ、韓国・中国に対する批判を多くの週刊誌が熱心にやっている。文春は「『中韓同盟』10の虚妄」という大特集。目次を拾ってみると「伊藤博文暗殺テロリストを現地ハルビンの中国人は誰も知らない」「共同研究なんてムリ 中国の歴史は『プロパガンダ』韓国は『ファンタジー』」「朴槿惠は『韓国の土井たか子』習近平は『中国の小沢一郎』」。 新潮は「『朴槿惠大統領』を反日に染め上げた父の捏造教育」とあり、「ソウル近郊『反日スポット』ここまでやるか!」「まもなく石碑建立でも『安重根』の『伊藤博文』射殺に異議あり」「韓国『労働者』は生き地獄」。 ニューズウィーク日本版でも「アメリカも困惑する韓国の世界観」という特集をやっているし、朝日でも「暴走中国 防空識別圏で加速 尖閣諸島“強奪”シナリオ」、ポストでも「世界から嫌われる韓国その沈みゆく経済」をやっている。 その中では現代の、中国の脅威の記事に注目した。 11月23日午前10時、中国国防部は、東アジア諸国・地域を震撼させる発表を行った。 「本日、午前10時をもって、魚釣島(尖閣諸島)海域一帯に、防空識別圏を設定する。今後、この空域をわが国に許可なく通行することを禁じ、指示に従わない航空機に対しては防御的緊急措置を講じる」 というものである。 日本が尖閣列島を国有化したことへの本格的な報復措置が始まったと、現代で日本政府の外交関係者が話している。 また、軍事評論家の世良光弘氏によれば、不法侵入した他国の航空機を撃ち落としてもよいというのは、海岸線から12海里(約22.2km)までに限るというのが国際常識で、今回のような広大な東アジア海域を、いわば“準領空”だと主張したのは非常識も甚だしいという。 これには、安倍晋三首相が怒り狂ったという。25日に開かれた参議院の決算委員会では「中国による力を背景とした現状変更の試みには、わが国の領海領空を断固として守り抜く決意で対応する」と答弁した。 また、中国側も感情をエスカレートさせており、 「これからの日中関係はまったく違う展開になるということです。まず、中国空軍の東シナ海における活動範囲が、これまでの12倍に拡大します。そのため、戦闘機や哨戒機などを大量生産し、防空ミサイルも続々配備する。(中略)逆に日本は、民間航空機が撃墜されるリスクも出てきた。日本側の覚悟が問われます」(産経新聞北京特派員の矢板明夫氏) 撃墜などという事態は考えたくないが、民間航空機が中国側から威嚇を受けるようなことがあれば、集団的自衛権行使を進めたい安倍首相にとって絶好の口実になり、危険なルビコン川を渡ることになるかもしれない。 アメリカもこの中国側の発表に警戒感を強めているようだし、中国側の出方次第ではきな臭くなってくるかもしれない、要注意である。 新潮に、廉価で新薬と同じ効き目のあるジェネリックについての特集がある。これが今週の4位。 近畿大学薬学部教授・松山賢治氏は、ジェネリックのすべてが「先発薬」と同じ効力を持つと考えるのは危険で、注意しなくてはいけない点も多々あるというのだ。 日本でのジェネリック数量シェアはおよそ45%で、欧米各国は軒並み70%前後をキープしているから、まだまだだという。厚労省はそこで、18年3月までに数量シェアを60%以上に引き上げる方針を打ち出した。 だが、薬には薬効のある「主薬」のほかに、主薬の分解を防ぐために用いられる「安定化剤」や、錠剤の嵩を増やして消化液に溶けやすくする「賦形剤」から成り立っているが、ジェネリックに使えるのは特許が失効した主薬だけの場合が多いという。 たとえば「ランソプラゾール」という胃潰瘍の薬は、高温多湿の条件下では分解しやすいため、先発薬では安定化剤には炭酸マグネシウムが用いられているが、ジェネリックではこれが使えない。 そうなると、長期保存が難しく薬効が弱くなる恐れがあるという。そのほかにも、こうした危険薬が出回っているが、それはジェネリックには、極端な条件下における安定性を確保するための「苛酷試験」が義務付けられていないからだというのだ。 高血圧や狭心症に用いられる「ニフェジピン」というのは徐々に溶ける二層錠の形をとるから、副作用を大幅に軽減できるが、特許の関係で二層錠の形をとれないジェネリックでは、ニフェジピンが一気に放出されてしまい、心筋梗塞を引き起こして死に至ることもあるという。従って、先発薬と同じではないジェネリックも多く出回っていることも事実のようである。 近畿大薬学部の研究チームがまとめた、ジェネリックの使用状況が興味深い。ジェネリックを処方された割合が最も多かったのは共済組合を除いた被用者保険に加入している人で、次いで国民健康保険の加入者、次に高齢者医療制度の適用者で、最も低かったのが公務員たちの加入している共済組合だったというのである。 松山教授は「ジェネリックはやはり不安なので、自分や家族に使うとなると、役人もためらってしまう。さらには、そうした実態を彼ら自身も分かっているのでは……」と勘ぐられても仕方ないのでは、と批判する。 ジェネリックをもらうときは、こうしたことを頭に入れておくべきだろう。 朝日に、昨今すっかり忘れられてしまっている、福島の違法除染のことが載っている。ジャーナリストの今西憲之氏と本誌取材班によれば、11月初旬に一通の告発文書が送られてきたという。福島県の田村市東部にある一戸建ての家の庭に、除染業者が無断で放射能に汚染されたガラクタを埋めているというものだった。 今西氏たちが訪れた家は、立ち入り可能地区だが、近くには年間20ミリシーベルト以下の避難指示解除準備区域に指定されているところもあり、ほとんどの人が仮設住宅にいて、帰ってきていないという。それをいいことに現場責任者が独断で指示し、埋めたというのである。 市役所職員立ち会いの下、地図に指定されたところをパワーシャベルで掘り進んでいくと、大きな布きれのようなものが大量に発見されたのだ。連絡した福島県警の警察官は「刑事事件を前提に現状保全して、捜査します」と筆者に告げたという。 今年1月4日にも、朝日新聞が、除染で取り除いた土や木の葉、洗浄で使った水を、作業員たちが周囲の山などに捨てている場面を撮影し、大きな問題になった。 除染費用は今年度までに約1兆3000億円の予算が組まれ、最終的には5兆円かかるといわれている。これだけの巨額な税金を投入しても、除染の効果は疑問視されているのだ。その上、業者が手抜きはする、人の家の庭に勝手に埋めてしまうでは、税金ドロボーといわれても仕方あるまい。 このような悪質業者は実名で告発すべきだと思うが、この記事ではすべてが匿名なのはなぜなのか? そこが気に入らないが、こうした問題を地道に追いかけている朝日にはエールを送りたい。いっそのこと、福島県情報に特化して、福島第一原発や除染問題、仮設で暮らす人たちの暮らしぶり、津波被害の復興の現状などを報じる「専門誌」になったらいいと思う。それだけでも膨大な情報があり、読者もいるに違いない。テレビはもちろん、新聞も週刊誌も福島を忘れてしまったかのような今こそ、そうした雑誌が求められているはずである。朝日編集長、ご一考を。 ポストの業界内幕ものが好きだ。今週はポストが毎回やっている「死ぬまでSEX」シリーズの新聞広告のタイトルをめぐって、朝日新聞と読売新聞との間で交わされた「戦い」の内幕を書いている。 11月25日号の「したことがないSEXをしたい」というタイトルで朝日新聞と揉め、新聞広告ではSEXという文字が小さくされた。先日も朝日新聞を見ていると「動く女●器」というタイトルがあり、ハハー、新聞側と揉めたなと思ったが、案の定だったらしい。 新聞社には「広告倫理綱領」というわけのわからないものがあり、それも各社まちまちに判断するから、めんどくさいことこの上ないのだ。 ポストによればこの1年間で新聞社側から言い換えを求められた言葉は、このようのようなものだったという。 ・潮吹き→快楽の極致へ! ・濡れちゃう→反応しちゃう ・やっぱり入れたい→やっぱりひとつになりたい ・抱いて死にたい→愛し合いたい おかしいのは、煽り文句「オンナの『イクゥ』演技を見破る法」の「イクゥのゥ」に、NGランプが点灯したというのである。結局「いく」で決着したらしいが、これでは編集部の意図が伝わるまい。「イク」「イクゥ」「いく」の違いさえ分からない新聞社には、私もずいぶん腹を立てたものであった。 ひとつ披露すると、「○○のセックス」というのがひっかかったことがある。なぜかと問うと、新聞は子どもも読むからセックスという言葉はやめてほしいというのだ。では、どう変えたらいいのかと聞くと、「SEX」ならいいという。なぜなら、子どもには英語が読めないからだというのである。こんなバカなやりとりがごまんとある。 強精剤の広告さえ堂々と載せるようになった新聞が、週刊誌のセックス記事で新聞の気品が損なわれるなどとよく言えるものだと、私も再び腹が立ってきた。 猪瀬直樹都知事の徳洲会からの選挙資金5000万円受領問題は、収まるどころか爆発寸前のようである。ほとんどの週刊誌が猪瀬辞めろという論調だが、その中で新潮と現代の記事を今週の第1位に推す。 猪瀬氏が、公職選挙法違反で東京地検特捜部の捜査を受けている「徳洲会」から、都知事選挙直前に5000万円もの大金を受け取っていたことが発覚した。つじつまの合わない「言い訳」をしている猪瀬都知事だったが、11月26日の「借用書はこれだ」と見せたことが、より大きな批判を招いてしまった。 新潮に沿って猪瀬発言の変遷の経緯をまとめれば、こうなる。 11月22日午後1時過ぎ、登庁時のメディアによる囲み取材で「資金提供という形で応援してもらうことになった。選挙に使った場合には、収支報告書に書くつもりだった」と説明した。これが午後3時の定例会見では「個人の借入金。選挙資金ではないと断言できる」と変化。 定例会見ではさらに「申し出があれば、断るのも失礼」となり、さらには「(先方が)持ちかけてきたわけでも、こちらからのお願いでもない」と奇妙に変容していく。翌日23日の囲みでは「貸すと申し出があった」に落ち着いた。 借金なら借用証が必要だが、これをめぐっては22日の定例で「受け取る際、借用証を書いた」と発言した。これが23日には「探せば、ある。公開する必要はない」と言っていたのに、11月26日の会見では借用証を公表。だが、徳田様という宛名と、猪瀬氏の名前が記入されているだけで、印鑑すら押されていないために偽造ではないかという声も出ているようだ。 しかも突如「極めて重要なもので、貸金庫に保管していた」と、それまでとは180度違うことを強弁し、恬として恥じないのだから恐れ入ると、新潮は書いている。 元外交官で鈴木宗男事件に絡んで東京地検特捜部に逮捕、起訴されたことのある佐藤優氏が文春でこう語っている。 「当初、ぶら下がり取材で『選挙関連のカネだ』と認めていた時点では、猪瀬氏は『どうやって釈明しよう』と都民と国民の方を見ていたのだと思います。ところが都庁での会見の瞬間から、彼は東京地検特捜部のことしか意識していない。逮捕されないためには何を言えばいいのかという目的から、前言を翻して『個人の借り入れ』と発言したのでしょう。社会通念上は批判されても違法にはならないというラインを狙っての発言です。 それは猪瀬知事がパニック起こしてるからです。正直に『選挙関連のカネ』と言えば法には触れるかもしれないが、みんな政治にカネがかかることはわかってるのだから一定の理解は得られる。社会的な復権は出来るのです。しかし、彼は捕まりたくない一心で社会的な復権の道を自ら閉ざした。冷静な判断ができなくなっているのです。(中略)もはや都知事としての資質がないことは明白。即刻辞任していただきたい」 佐藤氏の言うように、選挙資金として借りたものなら、記載していないから公選法違反か政治資金規正法違反に問われるが、個人の借金とすれば「ゴメン」で済むという腹づもりなのであろう。 しかし、新潮には「徳洲会」の総帥徳田虎雄氏と、次男で選挙違反の捜査を受けている徳田毅氏との、猪瀬氏へのカネをめぐる生々しいやりとりが書かれている。 それは、昨年の11月19日のこと。虎雄氏のいる「奥の院」を尋ねてきた、あおぞら銀行の常務や部長など3人の幹部がいるとき、毅氏から虎雄氏の携帯電話にかかってきた。携帯電話はハンズフリーのスピーカー機能に切り替えられ、その部屋に居合わせた誰の耳にも、相手の声が聞こえる状態になったという。話の概要はこのようだった。 毅代議士が「都知事選の応援で、猪瀬は1億5000万円とか言ってきました。でも結局は1億を先にくれ。残ったら、“返すから”という話になりました」 すると、虎雄氏は「とりあえず5000万円にしろ」と言ったという。 「受け渡しはどうしましょうか」と言う毅代議士に「向こうに取りに来させろ」、毅代議士が「議員会館でやりましょうか」と言うと「議員会館でやれ。足がつかないようにしろ」と指示があったというのだ。 これは決定的な「証言」である。文春で書いているように、一水会の木村三浩代表が仲介して、猪瀬氏は虎雄氏に会い、虎雄氏から都知事選挙の応援をするという約束をもらい、後日5000万円を受け取ったのである。 選挙には意外にカネがかからず、5000万円は手付かずだったようだが、明らかに選挙のための裏金であり、個人的な借金ではないだろう。 新潮で元東京地検公安部長の若狭勝弁護士が、この事件の展望をこう語っている。 「徳洲会の一部幹部が“借用書なんて知らない”“返金の打診を受けていない”と証言しているため、5000万円は寄付と見なせる可能性がある。出納責任者への報告を怠っており、公選法でダイレクトに猪瀬知事の責任を問えます。私はむしろ借用書が出てきた方が面白いと思っていました。特捜はそれが偽造されたものかどうか、必死で調べることになりますから」 現代は、安倍首相が猪瀬切りをすると書いている。現役の東京地検検事がこう語っている。 「上層部は『こうなる前に、猪瀬は辞職表明するはずだった』と漏らしています。一方で、安倍総理が『外聞が悪い』としきりにボヤいているという話も伝わってきている。要するにウチの上層部と官邸の間で、辞職させるから立件は見送るという内々の了解があったんでしょう。だが、猪瀬は辞職すれば、かつての金丸信(副総理)のように逮捕されると考えて、都知事の座にしがみつくことを選んだ。もう官邸は守ってくれない」 なぜ、徳洲会がポンと5000万円もの大金を猪瀬氏に出したのか? 現代は、徳洲会側が知事の許認可権をあてにして出したのではないかと見ている。 東京五輪への悪影響も心配されると現代は書いているが、猪瀬氏が都知事に居座ると、そうしたことも出てくるかもしれない。早くも辞任した後の都知事選挙の予測までしているが、本命は舛添要一元厚労相が有力だそうである。 猪瀬氏は、87年に『ミカドの肖像』で大宅壮一ノンフィクション賞を受賞し、小泉純一郎政権下で道路公団民営化推進委員会の委員になり、政界への足がかりを作る。上昇志向と権力欲が異常なほど強く、あの小さな体で人を威圧する態度をとる彼に、ノンフィクション界の先輩や仲間からも嫌がられていた。だが、400万票以上を集め、東京五輪招致まで決まり、得意の絶頂で事件が発覚してしまった。 新潮で、かつて民営化推進委員会で一緒になった関係者がこう指摘している。 「猪瀬さんという人は、一見、改革派の旗印を掲げているように見えます。しかし、それと権力志向とは二律背反ではありません。つまり、彼は権力を掴むためにはどう行動すべきかを一貫して考えていた。反権力的な動きをし、人気を勝ち取った上で、権力の中枢に食い込んでいく手法です」 猪瀬氏が私淑していたノンフィクション作家の本田靖春さんは、猪瀬氏を嫌っていた。彼とは生き方がまったく違うと『我、拗ね者として生涯を閉ず』(講談社)で書いている。本田さんは「気の弱い人間である」から、いささかでも強くなるために自分に課した禁止事項があると『拗ね者』で書いている。 「欲の第一に挙げられるのが、金銭欲であろう。それに次ぐのが出世欲ということになろうか。それと背中合わせに名誉欲というものがある。これらの欲を持つとき、人間はおかしくなる。いっそそういうものを断ってしまえば、怖いものなしになるのではないか」 5000万円のカネをほとんど面識のない人間からもらって平気な人間には、ノンフィクションを書く資格はないと、本田さんが生きていたら断じたであろう。 都知事という座にしがみついても地獄、離れてもノンフィクション作家には戻れまい。書けるのは『なぜ私は5000万円で都知事の座を棒に振ったのか』という私ノンフィクションぐらいのものであろう。それはそれで読んでみたい気はするが。 (文=元木昌彦) ●もとき・まさひこ 1945年11月生まれ。早稲田大学商学部卒業後、講談社入社。90年より「FRIDAY」編集長、92年から97年まで「週刊現代」編集長。99年インターネット・マガジン「Web現代」創刊編集長を経て、06年講談社退社。07年2月から08年6月まで市民参加型メディア「オーマイニュース日本版」(2006年8月28日創刊)で、編集長、代表取締役社長を務める。現「元木オフィス」を主宰して「編集者の学校」を各地で開催、編集プロデュースの他に、上智大学、法政大学、大正大学、明治学院大学などで教鞭を執る。「週刊新潮」12月5日号 中吊広告
週刊新潮「24億円横領男」報道に見る、週刊誌というメディアの原点
今週の注目記事 第1位「『治安維持法』復活の危険性」 (「週刊朝日」11月29日号) 第2位「ラモス瑠偉と親しかった『24億円横領男』黄金の日々」 (「週刊新潮」11月21日号) 第3位「2013年版 警視庁『天下り』リスト」 (「週刊現代」11月30日号) 第4位「『細木数子』を恐怖していた『島倉千代子』」 (「週刊新潮」11月21日号) 第5位「原発メーカーに金を出させる『小泉純一郎元総理』の脱原発会見」 (「週刊新潮」11月21日号) 注目記事に入れなかったが、新潮に池田大作名誉会長(85)が「復活した」という記事が載っている。 この3年半ほど消息が伝えられなくて、相当重い病気ではないか、死亡説まで流れた池田名誉会長が、11月5日の総本部の「落慶入仏式」で導師を務める姿が、機関紙「聖教新聞」に掲載されたのである。 新潮が取材したところ、復活したのは間違いないとしている。しかも、池田氏の意向で、後継者と見られていた谷川佳樹事務総長が外れて、教団ナンバー3の正木正明理事長が次期後継者に指名されたというのである。 ドンの復活で創価学会がどう変わるのか、注視していきたい。 さて、このところ小泉純一郎元総理の「脱原発発言」が大きく取り上げられているが、新潮は「原発メーカーを連れたツアー」で脱原発とは片腹痛いと批判している。これが今週の5位。 小泉氏はフィンランドの高レベル核廃棄物最終処分場「オンカロ」を視察して、脱原発へと舵を切ったそうだが、同行したのは三菱重工、日立、東芝などの原発メーカーであった。 それは小泉氏が顧問を務める「国際公共政策研究センター」というのが、経団連の奥田碵元会長が呼びかけて、トヨタやキャノン、東電などが出資している団体で、その中に先の原発メーカーも入っているからだ。 原発メーカーに金を出してもらっているのに脱原発とはいかがなものかと言いたいのだろうが、私はそれでも、正しいことは正しいと言える小泉氏のほうを応援する。 だが、この人の難点は、ワンフレーズだけ言って、その後は知らん顔するところである。 新潮では、精神科医で京都大学非常勤講師の片田珠美氏がこう話す。 「昔のようにスポットライトが当たらなくなると、かつての成功が忘れられず、今度は脱原発という新しいワンフレーズでもう一度注目を浴びようとしているように思えます。 一般的にスポットライト症候群と言うのですが、これは常に注目を浴びていないと気が済まず、自己愛が異常に強いことが特徴です。よくあるのが芸能人ですが、このタイプの人が組織にいると、いわゆる“困った人”になるのです」 新潮の考え方は、日本経済のために原発再稼働やむなしというところにあるようだから、小泉氏の発言にケチをつけたいのだろうが、私は、小泉発言を支持したい。 だが、本気でそう考えるのなら、安倍晋三首相に直接会って彼の考えを伝えるべきであろう。安全なところにいて“遠吠え”するだけでは、みのもんたと同じスポットライト症候群だと言われても仕方ないところもある。 今週は、新潮の誌面がほかを圧倒している。お次も同誌の「島倉千代子が細木数子を恐れていた」という記事が面白い。 島倉が亡くなってしまった。享年75歳。彼女のデビュー曲「この世の花」を私は、中野駅近くの映画館で聞いた。1955年、この曲は大ヒットして200万枚を売上げ、同名の映画が作られたからだ。 「想うひとには嫁がれず 想わぬひとの言うまま気まま」という歌詞が、その意味もわからなかった小学生の私の心にとどまり、今も時々口をついて出てくる。 島倉とは何度か会っている。新潮が書いている、細木数子氏との絡みである。 実は、私と細木氏との付き合いはかなり古い。彼女が渋谷の道玄坂あたりでクラブをやっていた頃である。その後、彼女は新潮にあるように、赤坂にクラブ「艶歌」やディスコ「マンハッタン」を作る。そこへも何回か行ったことがある。 だが、経営はうまくいかなかったようで、その後、喫茶店のようになっていたと記憶しているが、定かではない。 当時、細木氏から、島倉の話を聞いた。彼女によれば、ある夜、彼女のマンション近くで島倉が裸足でフラフラしているのを見つけたので、家に連れてきて介抱してあげたという。島倉は精神的にも大きなダメージを負っていて、あのままだったら自殺したかもしれないとも言っていた。 その話を聞いて私は、島倉にインタビューを申し込み、確か細木氏のマンションで話を聞いたと思う。 そこには細木氏の彼氏、小金井一家の堀尾昌志総長も同席していたと記憶している。 島倉は、元阪神タイガースの藤本勝巳と結婚したが、夫婦で経営したクラブがうまくいかずに、6,000万円の借金を引き受けて離婚する。その後も、事務所を任せていた実弟がカネを使い込み、この時もその負債を引き受け、10歳年上の眼科医のところに走る。 彼女は62年にファンが投げたテープの芯が目に当たり重傷を負うが、その治療に当たったのがその眼科医だった。眼科医は、失明の恐れがあると脅し、公演から帰ってくると島倉を真っ黒なカーテンで締め切られた部屋に閉じこめた。その後、眼科医は不動産業に手を出し、手形を島倉に裏書きさせ、十数億円の手形を決済できずに破産し、失踪してしまう。 彼女にはまた3億円近い借財ができ、債権者に追われる身となってしまう。債権者たちが新宿コマ劇場まで押し寄せ、怒号が飛び交ったと新潮が書いている。追い詰められていたとき、島倉は細木と出会ったのである。当時の島倉は、細木さんがいなければどうなっていたかと、感謝の気持ちを私にも話してくれた。 「人生いろいろ」どころではない苦難の人生を歩んできた島倉だが、その表情にも歌う姿にも、そんな陰を見せることはなかった。 だが、だいぶ経ってから、島倉が細木の所を離れたと聞いた。 債権者を説き伏せて返済を引き延ばす一方で、細木氏は島倉の興行権を手に入れた。その後の経緯を、新潮はこう書いている。 「その興行権に、大いなる価値があったという。 『当時の島倉は日建ての稼ぎが800万円。私は松尾和子を扱ったことがあったが、半分の400万円。島倉の稼ぎは破格だった。細木はミュージックオフィスを作り、島倉のマネージャー兼プロダクション代表を務めたのだが、島倉が稼ぎまくる金を、借金の返済に積極的に回したという話を聞かないのは、どいうことだろうか』(ヤクザ組織に詳しい事情通) (中略)細木のことを無二の恩人だと語っていた島倉も、次第にこうこぼすようになったという。 『いくら働いても借金は減らないし、こんなに働いているのに、私には何も残らないのよ』」 新潮によれば、コロンビアレコードが、細木と堀尾側に“手切れ金”として1億数千万円を払って関係を断ち切らせたという。 以来、島倉は細木については自伝の中でも一切触れていないそうである。 文春では、島倉が幼い頃の輸血がもとでC型肝炎になり、子どもへの影響を考えて、子どもを産めなかったと書いている。その子どもが産まれたら「忍」という名前を付けたいと、かわいがっていた歌手の小林幸子に語っていたという。 彼女の墓石には「音の門」と彫られ、その横には「忍」と刻まれている。 戦後を代表する女性歌手といえば、美空ひばりと島倉千代子である。私生活では恵まれなかったところも共通している。幸少なく忍ぶことばかり多かった人生だったが、今度こそ島倉が安らかに眠れることを祈りたい。 警視庁幹部の最新天下りリストを現代が入手した。平成24年4月1日から25年3月31日までの1年間に、警視庁を退職した幹部の再就職先が記されている。 リストにある企業名は「みずほフィナンシャルグループ 上席審議役」「東京電力 部長」「住友不動産 嘱託」「野村證券 参与」「日本マクドナルド 法務部顧問」など、有名企業ばかりである。 公務員の天下りは規制が強まり、厳しく取り締まられているはずなのに、警視庁では人事課主導型の天下りがまかり通っているという。全国紙社会部記者がこう話す。 「確かに、国家公務員の天下りに関してはずいぶん厳しくなりました。しかし、警視庁は霞ヶ関にありながら、実は東京都の組織。そのため、盲点となってマスコミの批判を受けることもなく、今も天下りし放題なのです」 ある銀行に天下っている警視庁OBが、インタビューにこう答えている。 「一応は、コンプライアンス問題や、反社会的勢力の対応が私の主な任務ということになっています。ですがこれまで2年間在籍して、仕事はほとんどありませんでした。そもそも社内には専門の担当者がいるので、私の出番はないんです」 2名の警視庁OBがいる「みずほ」が暴力団への融資問題を起こして追及を受けているのを見れば、天下りは形だけだと思わざるを得ない。 もっと悪いのは、天下り警視庁OBの存在が捜査の中立性を妨げることもあると、ジャーナリストの大谷昭宏氏は言う。 「ある消費者金融には毎年のように警視庁から天下っていて、ついに元警視総監まで籍を置くようになった。その消費者金融に不祥事を持ち上がった際に、警視庁内から『大物OBに恥をかかせるわけにはいかない』という声が出て、なかなか捜査に着手できなかったということが実際にありました。天下りは、このような不正の温存にもつながりかねない」 東京電力は警視庁OBを受け入れてる理由を、こう答えている。 「電気事業を営んでいく上で、当社社員にない警察OBとしての豊富な経験や専門知識を有している者として採用している」 原発反対運動のデモを取り締まらせるつもりなのだろうか? しかも、天下り警視庁OBの待遇は殊の外いいという。公益財団法人・東京タクシーセンターの担当者が明かしている。 「常勤の常務理事として来ていただいています。常勤の場合、週に3日以上の勤務と定めています。報酬は月額65万円でボーナスも出ます。年間の報酬は1100万円です」 先の大谷氏がこう続ける。 「彼らがどこに再就職しようと、能力を買われているなら構いません。問題なのは、警視庁側が事実上『おまえのところは何人引き受けろ』と、企業に採用枠を押しつける形なっている場合です。長年にわたる先輩からの申し送りで、ポストが指定席化しているのに、表向きは『企業側から強い要請があったため』と言ってごまかしている」 猪瀬直樹都知事はこの天下り問題をどう考えるのか。見解を聞いてみたいものである。 週刊誌が事件を追いかけなくなってしまった。金がかかる割りには読者受けがよくない、部数に結びつかないということなのだろう。だが、事件を取材しない週刊誌などメディアと呼べないと、私は思っている。 今週の新潮の事件報道を、編集者はよく読むべきである。週刊誌の原点がここにある。これが今週の2位だ。 「“車が欲しい”と言われればポンと買ってあげるし。“家具が欲しい”と言う子には、平気で海外の800万円もする家具一式を買ってあげたりとかね。今は閉店しているけど、六本木にお店をオープンさせてあげたこともあったそうよ。女に貢ぐ額が一桁違うの。一度でもセックスできると、一人当たり軽く1000万円は貢いでいたと思う。そういう具合で、好きな女の子一人に入れ込むタイプではなく、常時3、4人の女の子と付き合っていて、私が知る限り二十数人の子と関係を持っていた」 新潮で、長野県建設業厚生年金基金元事務局長・坂本芳信(56)容疑者の、かつての酒池肉林の遊びっぷりを語るのは、坂本がよく来ていた銀座クラブのママ、エリ(仮名)さんである。 それにしてもよく見つからずに、これだけの大金を横領できたものだ。気づかなかった年金基金側にも大いに責任ありだが、新潮の記事は、そこには踏み込んでいないのがいささか物足りない。 だが、長野市内の家賃5万5,000円の家に家族と暮らし、週に何日かは東京で豪遊していた坂本を、エリさんは、新橋にある投資ファンドの社長だと信じて疑わなかったという。 200~300万はするオーダースーツを着こなし、時計は1,500万円の海外ブランド品。店を終わって女の子を連れて行く店は、銀座の高級寿司屋「久兵衛」。 エリさんにいわせると、私のような年増は相手にせず、21~25歳ぐらいまでの、銀座ズレしていない女性が好みだったという。20人の女性に1,000万円ずつ貢いだとして、それだけで2億円が消えた計算になると、新潮はいらぬお世話の算術をしてみせる。 エリさんと坂本が出会ったのは六本木のクラブだったが、それから坂本がポンとカネを出して銀座のポルシェビルに「ピノ」というクラブを08年11月に開く。保証金や内装費、スタッフの支度金合わせ1億円はかかったという。 その当時、元Jリーガーのラモスとも知り合い意気投合した。社員旅行はハワイで、ラモスも同行、「久兵衛」の社長らと職人を連れて行き、プールの傍のダイニングキッチンで寿司を握らせたという。 しかし10年9月に事件が発覚し、坂本はタイに逃亡する。そこでも残っていたカネを湯水のように使って遊んでいたそうだが、最後は愛人に家賃を無心して通報されお縄になる。逮捕されたときの所持金は1万円と少しだった。 横領男が女性に貢いでいた事件では、青森県住宅供給公社の経理を担当していた男が14億円以上を横領して逮捕されたが、男がカネのほとんどを貢いでいたのがチリ人の人妻・アニータさんだったことが話題になった。 今回は、坂本が貢いだカネの大半は日本女性らしいが、大枚を払ってセックスしても、女性たちには次々に去られてしまったと、先のエリさんが話している。 約5年間で24億円だから、1年で約5億円、1日で140万円ぐらい使える。オレだったら何に使うだろう。貢ぐ相手はいないし、酒もそんなには飲み切れないし……、とりあえず貯金しておこうか。 貧乏が染みついた身には、空想の世界でも大金の使い道に困るのである。 さて、安倍晋三首相は、なんとしてでも特定秘密保護法を通すつもりである。民主党が修正案を出すと言っているのに無視して、“強行採決”する腹づもりのようだ。 だが、一部の新聞を除いて、この法案に反対を表明しているところは少ない。週刊誌などは、俺たちに国家機密など関係ないと言わんばかり、この問題に触れることもしないのが大半である。もはや、メディアの末期症状と言わないわけにはいかない。 ごく少ない「反対を表明している週刊誌」である朝日は、今週は「ツワネ原則」というものを引き合いに出し、特定秘密保護法がこの原則に違反しているかを報じている。これが今週の第1位だ! ツワネ原則とは、秘密保護法制の作成の際にどこの国でも問題となる「安全保障のための秘密保護」と「知る権利の確保」という対立する2つの課題の両立を図るための原則のものである。 「例えば、ツワネ原則(第47)では『ジャーナリストや市民が秘密を入手し、公開しても罰せられるべきではない』と規定されているが、政府の法案は真逆だ。特定秘密保護法案では『ジャーナリストや市民が特定秘密を不当な方法で入手しようと共謀(相談)をしたり、教唆(そそのかし)をしたり、煽動(呼びかけ)をしだけでも懲役刑を科す』と規定されているのだ」(朝日) ツワネ原則では「すべての秘密に接することができる独立した監視機関を置く」と定めているが、同法案にはどこにも明記されていない。 さらに同原則は「秘密の開示を求める手続きを定めなければならないとする。だが、政府案では秘密の有効期限は最大30年で解除され、国立公文書館に移されるが、内閣の承認さえあれば、永遠に封印できるという内容になっている。 しかも、この法案の担当大臣である森雅子担当相は「(ツワネ原則を)読んだことはないので、確認したい」というお粗末さである。 「内閣府の岡田広副大臣は、国会で特定秘密の提供を受けた国会議員がぶら下がり、飲食しながらの取材を受け、記者らに秘密を漏えいした場合、『最長で懲役5年、500万円以下の罰金が課せられる』という見解を示した。法案が成立すると、メディア、公務員だけでなく、国会議員すらも萎縮する危険性がある」(同) なんとしてでもこの法案成立を阻止しなくてはならないのだが、残された時間は僅かである。日本よ、すべてのメディアよ、総決起せよ! そう叫ばずにはいられない。 (文=元木昌彦) ●もとき・まさひこ 1945年11月生まれ。早稲田大学商学部卒業後、講談社入社。90年より「FRIDAY」編集長、92年から97年まで「週刊現代」編集長。99年インターネット・マガジン「Web現代」創刊編集長を経て、06年講談社退社。07年2月から08年6月まで市民参加型メディア「オーマイニュース日本版」(2006年8月28日創刊)で、編集長、代表取締役社長を務める。現「元木オフィス」を主宰して「編集者の学校」を各地で開催、編集プロデュースの他に、上智大学、法政大学、大正大学、明治学院大学などで教鞭を執る。「週刊朝日」11月29日号 中吊広告より
「次期会長はエビジョンイルの側近」NHKが安倍内閣の御用放送局へ?
今週の注目記事 第1位「怪文書飛び交う『安倍NHK支配』意中の人物」 (「週刊ポスト」11月22日号) 第2位「ノーム・チョムスキー『メガバンクが破綻して世界金融危機がやってきます』」 (「週刊現代」11月23日号) 第3位「山本太郎 天皇『手紙テロ』の罪と罰」 (「週刊文春」11月14日号) 第4位「フジテレビはどうしてこうもダメになってしまったのか」 (「週刊ポスト」11月22日号) 第5位「高島屋でも成型肉!『ニセ和牛肉』はこうやって見分ける」 (「週刊新潮」11月14日号) 第6位「朝日新聞『エロい報告書』」 (「週刊文春」11月14日号) 第7位「本誌は特定秘密保護法案に反対します 原発関連の内部告発も厳罰化で隠蔽される」 (「週刊朝日」11月22日号) 特定秘密保護法案の審議が国会で始まったが、与野党ともに書いた原稿を読み上げるだけの危機感のなさには、あきれ果てるを通り越して恐怖感さえ覚える。 憲法第21条違反が明確で、言論表現の自由を抑圧して国民の知る権利にフタをしてしまうような重大な法律を決めようというのに、反対する国会議員にもメディアにも、本気で成立を阻止しようという気概が見えてこないのはどうしたことだろう。 週刊朝日の発売は火曜日であるが、都内のキオスクでは“堂々”と月曜日に売っているので、朝日が掲載している特定秘密保護法についての特集から紹介しよう。 特定秘密保護法ができれば、防衛や外交はもちろん、TPPの交渉内容や原発事故情報も“特定秘密”に指定されるのは明らかである。そうなれば、内部告発をしようと思っても厳罰の前に躊躇したり、取材者も「著しく不当な方法による取材行為」は処罰対象になり、著しいかどうかを判断するのは行政の長や官僚であるから、自主規制してしまうことが必ず起きてくる。 朝日はこの法案にはっきり反対を表明し、今号では「西山事件」で有名な元毎日新聞記者の西山太吉氏にインタビューして、この法案の危険性を語らせている。 西山事件とは、1971年の沖縄返還協定に関する外務省の“密約電文”が漏洩し、毎日新聞政治部の西山太吉記者と外務省女性事務官が国家公務員法違反で有罪となった事件である。 西山氏は、自民党政権には秘密保護法を提出する資格はないと、厳しく言及している。 「秘密保護法の細目の議論に入る前に、まず自民党の過去の情報犯罪を問題にすることが重要です。イラク戦争についてアメリカ政府は、『大量破壊兵器をつくっている』とデッチ上げて軍事介入したことを認めた。それに比べて日本は、アメリカからあれだけの資料が出てきても沖縄の密約を認めていない。いまだに都合が悪いものを全部隠している。嘘をついたら、つきっぱなしの状態です。だから民主党は新しい情報公開法をつくることを公約に掲げて政権交代し、2011年4月には法案を提出した。それなのに民主党は、その後、国会で努力を全くしなかった。官僚の猛反発で鳩山政権が潰れた後、自民党と大して変わらない民主党右派政権が秘密でも何でもない尖閣ビデオ流出問題を機に秘密保全法制の準備を始め、安倍政権の先鞭をつけてしまったのです。 空文に等しい情報公開法しかない中で、今回の秘密保護法が成立すると、沖縄密約の時と同じように非合法な国家の行為までもが次々と特定秘密に指定され、広がっていく。都合が悪い情報を隠し通す日本の現状をさらに悪化させ、民主主義が機能しなくなることは明らかです」 日本版NSCと特定秘密保護法が成立すれば、日本にはどうでもいい情報だけが溢れ、国民には何も知らされないままアメリカの言いなりに「集団的自衛権」行使ができる国に変容し、いつか来た道をたどることになりはしないか。心底心配である。 文春得意の朝日新聞バッシング。先日更迭された週刊朝日編集長のセクハラよりもエグい、社内の男女の醜聞である。これが今週の第6位。 舞台は大阪・中之島の朝日新聞大阪本社である。2009年春、広島総局勤務から次長待遇として写真部に戻ってきた40代の古田新太似のAデスクは、編集局に派遣されていた20代後半の契約社員、美脚自慢のメガネ美人B子さんと出会って入れあげ、デートをするたびに高価なものをプレゼントしたり、マンションの家賃まで負担してあげたのだそうだ。 結婚へ本気モードだったが、このB子さん、なかなかしたたかで、Aデスクだけではなく、同じ編集局のスポーツ部デスクCさんとも付き合い、こちらが本命だったという。 そしてB子さんから別れを切り出すと、Aデスクはこれまで貢いだ分を返せと要求した。 だが、逆にB子さんはAデスクのことを「ストーカー」として警察に届け出た。Aデスクのほうは、債務不存在確認の民事訴訟を起こすなど泥沼化したのである。 B子さんからはカネを返してもらうものの、Aデスクは、このことを会社に知られ、昨年春に富山総局の一記者として左遷されてしまうのだ。 そのA記者を富山総局前で直撃すると、意外にも事実関係を淡々と認めたという。 「裁判で決着したんで、もういいかなと思っています。B子さんは家賃も水増しした金額を私に払わせていたような性格なので。Cと不倫して私と二股かけていようが、事実を告げてくれたらよかったので『本当のことを言ってくれ』と何度もメールしたのに、彼女は逃げるばかりでしたね。まぁ、返ってきたパソコンの中に全て真実が詰まっていたので、調べるまでもなかったんですけど。彼女はスマートな方なんですけど、IT関係は弱いんでしょうね。(中略) 当初はCにも頭にきたけど、彼も娘が生まれたばかりで家庭を壊すつもりもなかったので、私は何も騒いでいません。富山はいいところ。食べ物もおいしいし、上司にも恵まれていい仕事をさせてもらってる。今は結果オーライかなと思っています。でも文春に書かれちゃったら次はどこに飛ばされるのかな……」 どこか哀れを誘うコメントである。朝日新聞記者がこう言う。 「朝日には社内不倫など乱れた男女関係の話が多い。週刊朝日のセクハラも起こるべくして起きた。今回の件も特に驚きませんね」 昔は「朝日文化人」なる言葉まであった朝日新聞記者だったが、昔日の面影すでになしのようだ。 さて、今週の第5位は新潮の記事。有名ホテルから料亭、デパートまで「偽装表示」が次々に明らかになっている問題である。 芝海老ではなくバナメイエビでした。九条ネギではなくそこらの普通のネギでした。車海老ではなくブラックタイガーでしたとなると、明らかに「偽装」ではなく「詐欺」だと思う。 奈良にある近鉄系の「奈良 万葉若草の宿 三笠」では和牛と称していた肉が、オーストラリア産の成型肉だったというのだ。店を怒るより、そんなものを食べさせられて満足していた客の舌の鈍感さが気になるが、成型肉とは、はて、どんなものなのか? 食の安全を考える会・野本健司代表によれば、成型肉とはこうだ。 「外国産牛のモモ肉などブロック状に細切れになった赤身の肉に、酵素添加物をまぶしてやわらかくし、型に入れ、結着剤で人工的に固めたもの」 米沢牛の10分の1程度の値段だから、店にとってはボロ儲けである。しかし、成型肉には安全性に問題ありだという。野本氏が指摘する。 「成型肉を焼いても、肉の内側に菌が残る可能性は排除できず、O-157が肉の中に残った状態で提供される恐れもある。だから成型肉の調理法はウエルダンしかありえないのに、店側がその危険性を理解せず、焼き加減の好みを客に尋ねてレアで出すことがある」 安いものには、それなりの理由があるのだ。では値段は張るが国産牛を食べたいと思ったら、どうすればいいのか? 店自体を識別する方法を、精肉店が教えてくれる。 「10年ほど前から、農水省は国産牛に個体識別制度を導入しました。畜産農家で牛が生まれると、生後すぐに1頭ずつナンバーが割り振られ、DNAが検体ごとに採取される。そして肉屋もレストランも、和牛を使うメニューを提供する以上、この識別番号を店頭に掲げないと商売ができなくなった」 個体識別番号を店に明示しているかどうか、店側に尋ねればいいというのだ。焼き肉屋でも壁に貼ってあるところも多くなってきたから、そういう店は安心できそうだが、それすら「偽装」だったら、どうしよう? 第4位は、テレビメディアについての特集。少し前までは「民放の絶対王者」といわれたフジテレビの凋落が激しいが、ポストはどうして「ダメになってしまったのか?」と、ストレートに疑問をぶつけている。 「82~93年に12年連続、04~10年に7年連続で、『視聴率三冠』(ゴールデンタイム、プライムタイム、全日)を獲得したが、昨年はテレ朝の躍進で3位に転落。さらに今年8月の平均視聴率では、『半沢直樹』を大ヒットさせたTBSに抜かれ、ついに4位に転落した」(ポスト) 振り向けばテレビ東京が迫ってきているのだ。今年の大みそかは早々と敗北宣言したような「報道番組」に内定したという。NHK『紅白』や日テレの『笑ってはいけない~』とは勝負しないようだ。 だが、より深刻なのは、フジがこれまで得意にしてきたバラエティやドラマに往年の輝きが見られないことだろう。その理由の一端は、亀山千広社長はまだ57歳と若く、フジ系列の番組制作会社の天下り社長たちが、亀山には文句を言わせないと先輩風を吹かせ、企画をゴリ押ししてくることだというのだ。 「そうした“上層部”から押し付けられるのは、大抵がバブル時代のトレンディードラマの焼き直しや、かつて視聴率を取った女優の再起用など『昔取った杵柄』ばかりで、新鮮味は皆無。これでは、視聴者に見捨てられても当然だろう。現場の混乱を招いているのは、ほかならぬ80年代以降の視聴率1位という栄光を築き上げた。“幹部”たちということだ」(同) 今年4月にフジを辞めてフリーに転身した長谷川豊アナウンサーはこう言っている。 「(中略)話題を次々に作ってきたフジテレビのはずですが、いろいろと叩かれ始めたためか、4~5年前からすっかりチャレンジ精神を失ってしまい、“ミスのない”番組作りを目指すようになってしまった。制作会社の持ち込み企画は保身のためか全部ボツになって、新しいものを受け入れなくなってしまったんです。そのボツ企画を、深夜枠で拾って成功してるのが今のテレ朝です」 かつて親しくしていた日テレの氏家齊一郎CEOは、私に、日テレがフジを抜いて成功した理由をこう話してくれた。 「オレは企画には口を出さないが、これだけはいつも言っている。オレがおもしろいと思う番組は作るな。オレがわからないものを作れ」 上の顔色をうかがって保身ばかり考えている現場にいいものができるはずはないこと、テレビでも雑誌でも同じである。 長きにわたってフジテレビを率いてきた日枝久会長が退くだけでも、フジの雰囲気は変わるのではないかと思うのだが。 さて、山本太郎参議院議員が10月30日に赤坂御苑で開かれた園遊会で天皇に手紙を渡したことについて、週刊誌の書き方は、みのもんた攻撃と同じように厳しいものがほとんどである。 文春は「手紙テロ」という表現を使い、新潮は「軽挙妄動のパフォーマンス、浅知恵に基づいた詭弁、有権者を欺くペテン、思考停止の風評妄信、そして大いなる無知」この五拍子揃ったのが山本氏だと酷評している。 この“事件”についてはどれも同工異曲だが、文春にやや分がありと見て、これを3位にした。 文春によれば秋晴れの下、約1,800人の出席者は穏やかに談笑しながら、天皇皇后や皇族のご到着を待っていたという。 その中に、明らかに周囲から浮いている山本太郎参議院議員がいた。皇族の到着直前、蝶ネクタイ姿の山本議員は宮内庁担当記者が集まる取材エリアのすぐ近くまでやってきた。そこは、巨人軍の長嶋茂雄氏や、プロスキーヤーの三浦雄一郎氏ら著名な招待客が並ぶ、いわばVIP席だった。 山本議員は長嶋さんから3~4人挟んだあたりに割り込もうとしたが、入り込めるようなスペースがなく、少しはみ出す状態になっていたのを宮内庁の職員が認め「他の場所へお願いします」といって移動させた。 それから数分後、天皇皇后が到着され、式部館長に先導されながら、両陛下が会場を歩き始められた。 そして、山本議員の前を天皇が横切ろうとした時、 「実は、お持ちしたものがありまして」 と山本議員が手紙を差し出したのだ。戸惑われたような表情の天皇は、その言葉に何度か頷かれ、そして侍従長に手紙を託し、軽く会釈をされてから再び歩み始められた。 手紙の内容は「巻紙に筆で書かれた手紙は<不躾にもお手紙を陛下にお渡しする無礼、お許しください>と始まり、福島の子供たちの健康被害や原発作業員の健康管理がなされていない実情を訴える内容だった」(文春)という。 内容はともかくとして、こうした行為は、山本議員の憲法違反行為で、辞職に値すると言わざるを得ない。即位の際、憲法を遵守すると宣言した天皇が一番当惑しているであろう。 議員は天皇に直訴するのではなく、国会で堂々と意見を述べ、安倍首相を追い詰めるべきである。これでは憲法軽視、議会制民主主義軽視といわれても致し方ないと、私は考える。 東日本大震災以来、福島県三春町で避難民の受け入れを行っている作家で僧侶の玄侑宗久氏は、山本参議院議員のことをこう批判している。 「そもそも山本さんは福島県に住んでいる人の立場で考えていないだろうと感じていました。福島県民で彼の政治活動に期待する人はあまりないと思います。彼の発言の多くは起こりうる最悪の想定をもとに繰り返されるわけですが、最悪の可能性を基準にしては、福島県には住んでいられないということが理解できていない。私は、皇室がこれまで放射能について言及してこなかったことに非常にありがたさを感じています。 天皇陛下は、震災後の夏、いつも通りに那須の御用邸に避暑に行かれ、いつも通りに御料牧場で取れた野菜、鶏、豚、羊を召し上がりました。一方、御用邸や皇居の放射能数値が公表されることはない。山本氏は、国民に心配をかけさせまいという陛下の気持ちを察することができない人物なのでしょう」 山本議員は辞職せずと言っているようだが、それならばパフォーマンスばかりを先行させるやり方ではなく、福島に住み着いて、そこから国会へ通うぐらいのパフォーマンスをするべきである。 現代の「世界の知性に聞く」シリーズが好きである。日本の週刊誌のよさというのは、死ぬまでSEX特集がある中に、こうした硬派記事もしっかり載っているところである。こういう週刊誌は、ほかの国にはないであろう。 今回は第5回。“世界最高の論客”といわれるノーム・チョムスキーMIT名誉教授の登場である。氏はメガバンクが破綻して、再び世界金融危機がやってくると語っている。 「もちろん、再び起きると思います。’08年秋の金融危機に対しては、その場凌ぎの解決策は講じられていますが、根本的な問題は、依然として解決されていないからです。 世界的金融危機の火蓋を切ったアメリカでは、銀行を規制する法案が議会を通過しましたが、ロビイストたちから徐々に骨抜きにされています。『ニューヨーク・タイムズ』によると、ロビイストたちが、金融規制を弱めるために、法案の一部を書き換えさせたそうです。このようなことは、ワシントンでは日常的に起きています。選挙という問題もあります。アメリカの選挙は莫大な企業献金に頼っており、議員は退職後の就職先も考えなくてはならないため、企業の要求をのむ行動をしてしまいます」 中国の軍事的脅威に対してはこう答えている。 「軍事的視点から見た場合、中国は何の脅威もありません。まだ『アメリカの足元にも及ばない』段階です。中国の目的は、交易路である自国周辺の海域をコントロールすることです。この海域は、日本や韓国、台湾、さらにはその背後にいるアメリカという“敵国”に囲まれているため、中国は防衛目的から、海域をコントロールしたいと考えているのです。一方、アメリカは、中国の海域に自由にアクセスしてコントロールしたいと考えています。 しかし、それは不均衡なことではないでしょうか。カリフォルニア沖では、中国沖で起きているようなもめ事は起きていないのですから。 数年前、米中間で対立が起きた時のこと。アメリカは空母ジョージ・ワシントンを中国近海に送りましたが、中国側の主張によれば、空母には北京を攻撃できる核ミサイルが搭載されていました。アメリカは当然そうする権利があると考えていたのです。しかし、もし逆に、中国がワシントンを攻撃するような核ミサイルを搭載した空母をカリフォルニア沖に配備したとしたら、アメリカはどう対応するでしょうか? おそらく戦争を起こすでしょう。このように、アメリカには非常に根強い帝国主義的傲慢さがあるのです」 アベノミクスについては、壮大な実験をやっていると見てはいるが、成功するか失敗するかはまだよく見えてこないと語っている。 今週の第1位は、メディア支配を目指す安倍首相が、NHKを手中に収めようとしているというポストの記事を推す。 NHK会長人事は経営委員が会長を任命し、国会で同意を得た上で首相が任命するのだが、安倍首相はその経営委員たちを自分の息のかかった人間にして、NHK会長に自分の意のままに動く人物を据えようとしているというのである。 「安倍政権が10月25日、国会に提示したNHKの経営委員人事案は、安倍氏と会談したばかりの作家・百田尚樹氏、安倍応援団の代表格である保守派の評論家・長谷川三千子氏、そして安倍氏の元家庭教師だった日本たばこ産業(JT)顧問といった、首相に近い面々。安倍支配が始まったと、NHK局内では早くも悲鳴が上がっている」(ポスト) すでに安倍政権との接近を示すことが起きていたという。 「10月5日に放送されたNHKスペシャル『ドキュメント消費増税 安倍政権2か月の攻防』の冒頭は、『NHKのカメラが、今回初めて総理大臣執務室に入りました』で始まる。安倍首相がどのような覚悟と男気を持って決断したかが描かれた番組だ」(同) 社内から「NHKは政権の広報機関でしかない」という声が上がっているという。 ポストによれば、安倍首相は第一次安倍政権はメディアの偏向報道に潰されたという思いが強く、特にNHKと朝日新聞が最大の天敵だそうだ。 今の松本正之会長の「公平・公正」方針が気に入らないようだ。では誰を据えたいのか? NHK問題を取材するジャーナリストの町田徹氏がこう言っている。 「NHKインターナショナル経営特別主幹の諸星衛氏を推す声が強まっています。諸星氏は、NHK政治部記者出身で、海老沢勝二元会長の側近としても知られた人物です。実は彼は、当時官房副長官だった安倍氏らが従軍慰安婦問題などを扱ったNHKの番組内容に対する政治圧力を疑われた『番組改変問題』で、当時理事として『政治圧力ではなかった』と火消しに回った中心人物。安倍氏にとっては、“自分のために汗をかいてくれた”功労者で適任と考えておかしくない」 よく知られているようにNHKの予算は国会での承認が必要だから、そのためにNHKが政治に弱いというのは定説である。だが、この安倍首相のゴリ押しが通れば、NHKは安倍内閣の御用放送局となり、さらに政権ベッタリの大本営発表を垂れ流すことになる。 「国民には、政権にとって都合の悪いことは何も知らせるな」が安倍首相の“国家観”であること間違いない。やれやれである! (文=元木昌彦) ●もとき・まさひこ 1945年11月生まれ。早稲田大学商学部卒業後、講談社入社。90年より「FRIDAY」編集長、92年から97年まで「週刊現代」編集長。99年インターネット・マガジン「Web現代」創刊編集長を経て、06年講談社退社。07年2月から08年6月まで市民参加型メディア「オーマイニュース日本版」(2006年8月28日創刊)で、編集長、代表取締役社長を務める。現「元木オフィス」を主宰して「編集者の学校」を各地で開催、編集プロデュースの他に、上智大学、法政大学、大正大学、明治学院大学などで教鞭を執る。「週刊ポスト」11月22日号
“ご意見番”テリー伊藤に愛人報道「関係は20年以上」「みんな知ってる」
今週の注目記事 第1位「みのもんた『バカヤロー!』会見の大嘘」 (「週刊文春」11月7日号) 第2位「テリー伊藤『カネと愛人』」 (「週刊文春」11月7日号) 第3位「私を塀の中に落としたバカラ台の悪魔」 (「週刊新潮」11月7日号) 第4位「日本版NSC(国家安全保障会議)の大愚作 機密情報を制するのは外務省か」 (「サンデー毎日」11月17日号) 第5位「天安門爆発!習近平体制はもうボロボロです」 (「週刊現代」11月16日号) 第6位「巨人エース内海が『女性問題』で脅されていた」 (「週刊文春」11月7日号) 私は由緒正しい親子2代の巨人ファンだから言わせもらうが、日本シリーズで楽天が勝てたのは、原巨人軍監督の最低・最悪の采配があったからである。 それがはっきり出たのは第7戦であった。第3戦に先発して2回途中で4失点・降板した杉内を、最も大事な試合で再び先発に起用したことである。 短期決戦では、調子の悪い選手が復調することはない。阿部慎之助、坂本勇人を見ればわかるはずだ。楽天の田中を打ち崩して勢いに乗る巨人だし、投手陣は充実しているのだから、一人1回ずつ投げさせてもいいはずなのに、一番出来の悪い投手を先発させ、早々と先取点を取られたにもかかわらず、交代させなかった原監督の大ボーンヘッドは、巨人ファンにとって“万死に値する”。 巨人9連覇の大監督・川上哲治は草葉の陰で嘆いていることであろう。巨人のフロントは選手の首切りをする前に、原監督を真っ先に切るべきである。 だらしない選手が多かった中で、エースの内海哲也はそれなりに頑張った。だが、文春では、その内海にシリーズ初戦の前日、こんな動きがあったと報じている。これが今週の6位。 読売新聞関係者が絶対匿名を条件に、こう語っている。 「読売グループの法務部長らが内海の女性関係のあるトラブルを相談するため、読売新聞の警視庁担当者のフォローを得て、密かに警視庁を訪れたのです。発端は広島のキャバクラ嬢との過去の交際トラブルだったそうです。まず、昨年の開幕前にこの女性のオトコを名乗る人物が内海に接触をして脅してきた。そこで内海はある知人にこの件の解決を依頼。知人は内海から百万円を受け取って広島に行き、話を付けてきた。この件で、内海は知人に対して直筆の礼状を渡しています。一枚の紙に走り書きのような文字で事の経緯などを記し、最後に自分のサインを書いたものです。しかし、ここから話が拗れ、謝礼を期待していた知人との関係が悪化、今年になって、礼状をネタにした次なるトラブルへと発展してしまったのです」 ここで問題になったのは、内海がトラブルの解決を依頼した知人というのが、山川一郎(仮名)という元暴力団員だったことだ。また、トラブルになった女性は、元山口組幹部の関係者の紹介だったという。 読売巨人軍側は、内海が山川らと会食していた事実があったことを認めた上で、内海が山川から恐喝を受けた事実は一切なく、第三者から恐喝を受けているという事実も一切ないと答えている。 これを読んで、昨年話題になった原辰徳監督の女性問題を思い出した。巨人は球界の紳士たれ、という言葉を覚えている選手などいないのだろうな。 10月28日に北京の中心にある天安門広場で起こった自動車爆破テロは、大きな衝撃を習近平体制に与えたと現代が報じている。 乗っていたウイグル族の実行犯3人を含む5人が死亡し、付近を歩いていた観光客ら40人が負傷するという惨事となった。 ウイグル族は、中国西端の新彊ウイグル自治区に住む、人口約1,100万人の少数民族。敬虔なイスラム教徒だが、中国からの独立志向が強いため、長年にわたって中国政府と対立を繰り返してきた。 現代によれば、新彊ウイグル自治区では、習近平総書記が国家主席に就任した今年3月以降、報道されているだけでも、10人以上の死者を出す事件が3度も起こっているという。 獅子身中の虫であるウイグル民族を弾圧するために、習近平はこんな作戦を考えているというのである。 ウイグル民族の中国からの分離独立を組織する「世界ウイグル会議」副総裁のイリハム・マハムティ氏はこう語る。 「第一に、ウイグルの農民の土地を奪い、その土地を、たっぷり国から手当をもらって移住してきた漢民族に引き渡す。第二に、土地を奪われて生活苦に喘ぐようになったウイグルの子供たちを、学習と就業の機会を与えるという口実で、中国の農村部に移住させる。そうやって、現在の1100万人を500万人にまで半減させようとしています。そうした上で、残った住民に徹底的な弾圧を加え、ウイグル人を羊のように黙らせるという狙いなのです」 習近平総書記にとって、新彊ウイグルは、少数民族問題であると同時に、資源問題、そして地域の覇権を取ることでもあるのだというが、ロシアがチェチェンに対して行った暴挙がウイグルに対して再び繰り返される恐れがあるようだ。 現代の中国情報は貴重なものである。週刊誌の中では数少ない読むべき内容のあるものだと、私は思っている。 特定秘密保護法案とセットになっている日本版NSC(国家安全保障会議)だが、この問題を報じる週刊誌のなんと少ないことか。こうした国の命運を決めかねない重要事項に対して、あまりにも週刊誌は鈍感である。 数少ないNSC問題を、毎日が報じているので取り上げた。 「増長と暴走の止まらない日本と、有効な制御策」 こうしたタイトルのリポートが9月上旬、米国防総省の中枢に届いたという。 安倍首相が靖国参拝をするために周囲とどんな協議しているのか、首相官邸でどのような会話が交わされているのかが書かれているものだという。 文責は米国国家安全保障局(NSA)と中央情報局(CIA)の連名。オバマ米大統領のブレーン機関関係者が、概要をこう語っている。 「堂々とスパイが潜り込んでいるとは思えません。何らかの手段で、通信を傍受していたとみるのが自然でしょう」 これは、日本の官邸で繰り広げられていた打ち合わせが、米国諜報機関に盗聴された可能性がある“衝撃証言”だというのである。 英紙「ガーディアン」などによると、米NSAは2006年頃、同盟国を含む世界の指導者35人の電話を盗聴し、10年には80都市以上で通信を傍受していたと報じている。ドイツのメルケル首相がオバマ大統領に事の真偽を問い、オバマが「知らされてなかった」と謝罪する始末である。 日本を盗聴することなど、アメリカにとっては容易いことであろう。 アメリカの真意は、安倍首相が靖国神社へ参拝することによって、中国との関係がこれ以上悪化するのを避けたい思いがあるからであろう。 毎日はこう書いている。 「米国は『中・韓と同じように靖国神社を“軍国主義の象徴”と捉えている』(外務省関係者) 10月3日、日米安全保障協議委員会のため来日したケリー氏とヘーゲル国防長官は靖国神社に見向きもせず、安倍首相と面会する前に、千鳥ヶ淵戦没者墓苑へ足を運んだ。別の外務省幹部が頭を抱える。『参拝は事前に米国側が伝えてきた。しかし、一方的だったのでウチが止められる余地はありませんでした。安倍首相の側近からは「米国がはっきりと反対のメッセージを出してきた以上、靖国カードは当面切れなくなった。外務省の責任だ」と散々ドヤされましたよ』」 そんな米国の意向を無視するかのように、安倍首相は日本版NSCを11月下旬に関連法案を可決成立させ、年内にも発足する見通しだという。 NSC事務局トップである国家安全保障局長のポスト争奪戦も激しいようだ。現段階でリードしているのは外務省とされる。安倍首相の外交ブレーンである谷内正太郎内閣官房参与がそれである。防衛省幹部は、その意義をこう話す。 「そもそもNSCは、外務省が他省庁のネットワークや権益を組み込んで、活動を拡大するような組織です。それはもはや“新・外務省”“外務省の特殊部隊”と言っていいレベル。そこに、谷内氏が下馬評どおり事務方トップに君臨すれば、機能低下が指摘されて久しい外務省の完全復権を意味するのも同然です」 しかし、軍事ジャーナリスト神浦元彰氏は、NSCができても軍事情報はダダ漏れになると指摘している。 確かに今年5月、元米中央情報局(CIA)職員で、元米国家安全保障局(NSA)勤務経験もあったエドワード・スノーデン氏が、NSAの情報収集をメディアに告発したし、 2010年11月には、内部告発サイト「ウィキリークス」に米国の機密文書が公開された。 漏えいしたのは、陸軍上等兵のブラッドリー・マニング被告であった。今年8月の米軍事法廷で、被告には35年の禁固刑が言い渡されたが、軍や警察官の機密漏洩罪を厳しくしても、高い知識やモラルを持って、国民の不利益になる情報を公にする人間は後を絶たないはずである。 だが、翻って日本を見た場合、公務員はもちろんメディアにいる人間たちに、それほどの良識と実行力を持った者がいるのか。特定秘密保護法ができ、日本版NSCができれば、日本だけが情報鎖国になってしまう恐れは十分あるはずである。 スリルは賭けた金額に比例する。ギャンブル好きには有名な言葉だが、国内シェア3位の製紙メーカー、大王製紙の井川意高前会長(49)は、さぞかし最高のスリルを味わったことだろう。新潮のこの記事が今週の第3位。 彼が東京地検特捜部に逮捕されたのは、2011年11月22日のことだった。 その後の裁判で、カジノの借金を返済するために関連会社7社から計55億3,000万円を不正に借り入れて損害を与えたという会社法違反(特別背任)の罪に問われ、最高裁は今年6月、井川前会長の上告を棄却し、懲役4年の実刑判決が確定した。 彼は今、栃木県の「喜連川社会復帰促進センター」にいるという。 彼の独占手記を新潮が掲載している。よくもまあ書く気になったと思うが、書き方は淡々としている。 彼が国内の違法カジノに顔を出すようになったのは、六本木のクラブで働くママの紹介だという。 それから裏カジノに誘われ、気が付けば数カ月で8億円も負けていたことになっていた。それからしばらくはカジノから遠ざかっていたが、バカラ漬けになるマカオを訪れたのは06年からだった。 彼は集中力が削がれるので、バカラの最中には酒を一滴も飲まない。アドレナリンが出ているから、食欲もあまりなく、サンドウィッチやスパゲッティなどを口にするぐらいだったという。ギャンブルとは臨死体験だ、とも言っている。 「勝てば返し、負ければ借りるを繰り返した揚げ句、11年の3月には、資産管理会社と関連会社を併せて借金総額は50億円に膨れ上がっていた」というからすごい。 遅くとも関連会社が中間決算を迎える9月までには、20億円の借金をなんとか返さねばならなかったそうだ。 「私は主戦場をマカオからシンガポールに移す必要に迫られました。(中略)ここは1回に賭けられる上限が、マカオの1.5倍、3000万円だったからです」 早く取り戻さねばならないと、毎週末、シンガポールに向かったという。 一気に挽回しようとし、3億円からバカラをスタートした。しかし彼のチップはみるみるうちに減り続け、最後には2万5,000シンガポールドル(約150万円)のチップ1枚だけになってしまった。しかしそこから4時間余りの間連勝につぐ連勝で、150万円から一気に22億円まで盛り返したという。 しかし「最後の最後までバクチを打ってしまう私の性格に加え、勝ち続けた高揚感も手伝って、次に倍の40億円に増やすことができれば、即座に借金を返済できると考えてしまったのです。結局のところ、すべてのチップを失うことになってしまいました」 ギャンブルで、カネはもちろん社会的な地位も名声もすべて失った彼のこれからは苦難の道であろう。 だが、こんなケースがあるにもかかわらず、日本にカジノを作ろうという連中が、東京五輪を当て込んで動いているというのだ。 同じ新潮によれば、10月23日に超党派の国会議員で組織する国際観光産業振興議員連盟(通称カジノ議連)が幹事会を開催し、11月にも総会を開いて「特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律」(カジノ基本法案)を、今国会に提出することを確認したというのである。 議連の中心メンバー柿沢未途代議士が、こう語る。 「シンガポールはカジノを中心とした統合型リゾートを2つ作ったら、海外からの観光客が増え、経済成長につながりました。もし東京の臨海部に統合型リゾートを建設すれば、売上げにして5000億円以上のポテンシャルがあると言われています。わが国も成長戦略の一環として早期実現を図るべきです」 カジノや覚せい剤特区を作って、廃人をどんどん増やせばいい。井川のような人間をこれ以上作ってどうする、阿呆! ほかにやることないのか。 みのもんたの息子スキャンダルに続いて、今度はやはりテレビで“ご意見番”として正論を吐いているテリー伊藤の女性問題が、文春によって発覚した。これが今週の第2位。 テリーが代表を務めるテレビ番組制作会社・ロコモーション関係者が語る。 「テリーさんは奥さんとは長らく別居状態にあると聞いています。この女性は、“第二夫人”と呼ばれるAさんですよ。Aさんは会社員で五十代。テリーさんとAさんとの関係は長い。その付き合いは、もう二十年近くなるはずです」 お次はAさんの知人である。 「いわゆる不倫関係ですよね。二人が出会ったのはAさんが三十代の頃。テリーは一目で彼女のことが気に入って『好きだよ、マジだよ、本気だよ』と口説いたのです。Aさんも『面白い人』とテリーを気に入り、ゾッコンになった。出会った当初、テリーはAさんの家に入り浸っていた。テリーは“Aちゃんへfromテリーwith love”という、傍から見ると歯の浮くようなメッセージを送ってくることもあった」 テリーはもともと演出家として『天才たけしの元気が出るテレビ!!』(日本テレビ系)や『浅草橋ヤング洋品店』(テレビ東京系)などの人気番組を手がけてきた。90年代後半からは演出家では飽き足らなくなってきたのか、タレント活動やコメンテーターをやり始める。 みの同様、“正義面”して政治や芸能人のスキャンダルを断罪していたが、自分がその立場になったらどうするのかが見物である。 この不倫関係、テリーの周囲では有名な話で、私も、テリーとかつて一緒に仕事をしたことがある人間からも、Aさんの姉である某作家からも聞いていた。 Aさんの知人がため息をつきながら、こう語る。 「二十年近く不倫関係のまま、Aさんは今も独身。以前は頻繁に会っていたのに、最近は不定期に会うだけだそう。周りからすれば、奥さんとの別居も長いわけですし、テリーにはケジメをつけて欲しい。何しろAさんは三十から四十代の女盛りを全てテリーに捧げたんですから……」 さて、テリーはどう答えるのか? 返答次第ではみのの二の舞になり、コメンテーターの座も危うくなる。 ところがAさんとの関係はと聞かれて、普通の友達ですよと答えたが、最近会っている写真を見せられると、その後はしどろもどろ。 「テリー『あーっ! あれ、それ……。デートじゃないよ。どここれ? ああ、そうだ彼女の飼っている犬が死んでさ……』 ──彼女の犬が死んだ? テリー『いや、全然関係ないと思う(笑)。これ、どこかもわかんないんだよッ。女友達ですよ』」 妻とは別居もしていない、Hも何年もしてないと逃げているが、これではこれから、芸能人の不倫問題にはコメントしづらくなるのは必定だろう。 潔く認めないのは、まだテレビにしがみつきたいからなのだろう。こんな男と袖すりあった女性が哀れではある。 今週の第1位は、まだまだ続く「みのもんた騒動」。みのが記者会見して『みのもんたの朝ズバッ!』(TBS系)などを降板すると言ったが、週刊誌は「まだ許さへんで!」と詰め寄っている。 ポストを除いては、各誌相当なページを割いている。中でも文春は「独占対決120分」、毎日は牧太郎元サンデー毎日編集長を担ぎ出し、みののインタビューを掲載している。 毎日のインタビューにも読みどころは多々あるが、文春の切り口に「まいった!」とばかりにインタビューに応じているほうが内容的に一枚上だと思い、こちらを取り上げた。 可哀想なのは現代で、取材をOKしたのに、「それは僕が最初に聞いていた趣旨と違うよ」と、会ったとたんみのから断られてしまったのである。 「資産のこと、お子さんのことなど、みのさんにとって不利な質問もすることになると思います」と切り出した瞬間、みのは無表情にこう言ったそうだ。 「そういうつもりならば、ここから先はマネージャーと話したほうがいいと思いますよ。そういう(批判を含む)趣旨でということなら、お断りするのが筋ですから」 しかし、毎日のインタビューでもこう答えているのだ。 「牧『会社名義のマンションにして住まわせている、都心の一等地に2億円の宅地を買い与えた、という報道もあったけど』 みの『これはきちんとお金を取ってます。マンションは空き部屋に入れて適正な家賃をもらい、土地は次男名義の貯金から支払いを受けました。しかも競売物件でそんな値段じゃありません。税務署はそんな甘いところじゃないです。きちんとした商取引じゃなければ通りません』 牧『倅さんをテレビ局にコネで入社させたんじゃないかという思いがあった。実際どうなの?』 みの『長男は元々アナウンサー志望でTBSを受けましたがダメで、一般職に切り替えて採用されました。でも、次男の場合は『どうしてもテレビ局へ行きたい、スポーツ関係の仕事がしたい』と言うので、日本テレビのさる方にお願いをした……これは事実です』」 要は、みのは現代には話したくなかったか、虫の居所が悪かったのであろう。文春には思いの丈をぶちまけている。 「いったいどこまで僕の人格否定をすれば気が済むんですか。次男の事件だけならまだしも、私の人品骨柄、収入まで全否定していますよ。もはや“人格否定”ではなく“存在否定”です。私はこの世から消えていなくなればいいんですか。文春さん、なんでここまで書かれなきゃいけないのか教えて下さいよ。普通、何かを論じる場合には“寸止め”をするじゃないですか」 よほど文春に書かれたことが堪えたと見え、こう続ける。 「会見でも語りましたが、活字の批判が厳しくなって、辞めざるをえないような風潮になってきた。(中略)特にひどかったのが文春さん。最初の事件、これは仕方がない。(中略)で、最新号の『みのもんたの品格』、あれが決定的でした。記事に書かれてあるように、そんなに僕は品がないのか、と思い、正直ショックを受けました。あのタイトル、やられたなと思いましたね」 次男には厳しくしてきたと記者会見でも話したが、ここでもこう答えている。 「次男には厳しすぎたくらいだ、と思ってます。ただ、しっかり者の長女やお兄ちゃんがいて、末っ子の次男はヤンチャだったけど、どうしても可愛いんだよね。(中略)僕は命がけでやってきた、一番大事な報道キャスターを辞めたんですから。今でも報道キャスターをやりたいと思っています。いつかまた絶対に、その場所に戻ってくるつもりです」 当人はここへきても「報道バラエティ番組のご意見番」程度ではなく「報道キャスター」だと思っているようである。みのはバラエティ番組は降板しないと強気だが、週刊新潮によれば、その席も危ういというのだ。 日本テレビの幹部社員によれば、 「会見でみのが慰留されたと語った、読売テレビ制作の『秘密のケンミンSHOW』も、スポンサーからの苦情で、これ以上続けるのは難しい。すでに局内では、来年3月までで打ち切るか、大幅にリニューアルすることが内定しています」 新潮はこう結んでいる。 「総理と食事をしたと自慢し、我が世の春を謳歌できなければ、報道になど価値を見出さないのが、みののみのたる所以だろう。もはや八方塞がりでも、方々積み残した思いにとらわれ、成仏は遠そうである」 このあたりで、みのもんた騒動は打ち切りにしたらどうだろう。食傷気味でゲップが出る。 (文=元木昌彦) ●もとき・まさひこ 1945年11月生まれ。早稲田大学商学部卒業後、講談社入社。90年より「FRIDAY」編集長、92年から97年まで「週刊現代」編集長。99年インターネット・マガジン「Web現代」創刊編集長を経て、06年講談社退社。07年2月から08年6月まで市民参加型メディア「オーマイニュース日本版」(2006年8月28日創刊)で、編集長、代表取締役社長を務める。現「元木オフィス」を主宰して「編集者の学校」を各地で開催、編集プロデュースの他に、上智大学、法政大学、大正大学、明治学院大学などで教鞭を執る。「週刊文春」11月7日号 中吊広告より
「人間が近づけば即死──」特定秘密保護法が隠そうとする、福島第一原発4号機の“不都合な真実”
今週の注目記事 ・「専門家が本気で心配する福島第一原発4号機の燃料棒溶融」 (「週刊朝日」11月8日号) ・「目からウロコの大胆提言! サラリーマンの給料に消費税を」 (「週刊ポスト」11月8・15日号) ・「金正日は1兆円で日本に謝罪した」 (「週刊文春」10月31日号) ・「TBS大株主『みのもんた』反撃の倍返し」 (「週刊新潮」10月31日号) ・「本誌が勝訴! ユニクロはやっぱり『ブラック企業』」 (「週刊文春」10月31日号) ・「特定秘密保護法の“ずさんさ”」 (「週刊朝日」11月8日号) 今週の唸らせるタイトル ・「『松本人志』監督『R100』 上映館を埋め尽くす閑古鳥の大群」 (「週刊新潮」10月31日号) 今週はポストが合併号で420円。現代は通常号で400円。朝日もついに400円になってしまった。増大号とうたってあるが、それほど厚くはない。新潮370円、文春は秋の特大号とうたって390円。買ってお得なのはどれか? 読者のシビアな選択眼に耐えられるのはどれか? 来年の消費税アップの時が、週刊誌存亡の正念場になるだろう。 さて、新潮は名編集者の斎藤十一氏が作り上げたものだが、当時からタイトルのうまさは群を抜いていた。その伝統はまだ残っていて、時々だが、うまい! と感心させられるタイトルがある。 今週のワイドの中の1本、お笑い芸人の松本人志が作った映画『R100』の記事に付いたタイトルが「『松本人志』監督『R100』 上映館を埋め尽くす閑古鳥の大群」。中身を読まなくても、タイトルがすべてを表している。天晴れ! である。 今週はどの記事もドングリの背比べだから、順位を付けるに至らなかった。 まずは朝日の特定秘密保護法の記事だが、他誌がこの問題を扱っていないのは、どうしたのだろう。死ぬまでセックスなどと囃し立てているうちに、淫乱ボケにでもなってしまったのだろうか? それとも、自分たちの雑誌は国の機密などに接触することも関心もないから「他人事」だと考えているからだろうか? 厳しい言い方になるが、そんな雑誌は存在価値がない。 朝日もタイトルからして腰が引けていて、読んでいて腹が立つ。特定秘密保護法は“ずさん”なのではなく、危険すぎる法律なのだ。文中で、情報公開に詳しい識者がこう指摘している。 「行政機関の長による指定にチェックが利かない点や、5年ごとに特定秘密の指定期間が更新可能で、30年を超える場合は内閣の承認があれば延長でき、半永久的に情報公開されない可能性がある」 ここで、上智大学の田島泰彦教授や立教大学の服部孝章教授らと私たちが訴えている声明文の1部を引用しておく。 「(中略)広範な国家秘密をお上(官僚)の一存で秘密に指定し、その漏えいや取得をはじめさまざまな行為を犯罪として厳罰に処し、適性評価制度で秘密の管理も厳格にするというまさに『まず秘密ありき』の露骨な法案で、市民の知る権利や情報公開の理念に真っ向から反し、情報公開を広げる世界の潮流にも逆行する挑戦に他ならない。 言論、表現活動に携わり、関わる私たちにとって、取材・報道の自由や創作の自由も含む表現の自由は譲り渡すことのできない貴重な権利であり、市民の知る権利を充足する重要な手段でもある。法案は重要な国家秘密を取り扱う情報源たる公務員等の漏えいに重罰を科し、適性評価制度による選別で内部告発を狭めることによって情報源の萎縮を促進し、取材者が入手できるはずの有用な情報を細らせ、枯渇させることになる(中略)」 まさに、安倍首相がもくろむ「平成の治安維持法」である。ここでメディアが一斉に声を上げないと安倍や官僚たちの思うままになり、特定の名が付けば外交、軍事だけではなく、原発情報なども国民は手にすることができなくなるのだ。声を大にして言いたい。危機感をかき立てろ! お次は文春。ユニクロから訴えられていた文春だが、裁判所が「ブラック企業」と認定してくれたと報じている。 「『原告らのその余の請求をいずれも棄却する』10月18日、東京地裁の法廷に、土田昭彦裁判長の声が響き渡った。ユニクロ側が文藝春秋を訴えた裁判の判決で、本誌が指摘した『過剰労働』について、裁判所は全面的に事実と認定したのだ」(文春) ユニクロ側が問題視したのは、文春(2010年5月6日/13日号)で、国内店舗や中国の工場における過酷な労働環境をレポートした、次のような記述についてである。 <現役店長はこう説明する。(中略)『けれど、仕事量が減ったわけでありませんから、11月や12月の繁忙期となると、今でも月300時間を超えています。そんな時は、タイムカードを先に押して、いったん退社したことにしてから働いています。本部ですか? 薄々は知っているんじゃないですか」>(『ユニクロ帝国の光と影』(文藝春秋・横田増生著より) これを読んだユニクロ柳井正社長の怒りは、すさまじかったようだ。 11年6月6日に行われた部長会議では、文春を訴える旨の報告の後、柳井社長から次のような話があったと文春は書いている。 「高収益を上げ、高成長を遂げているユニクロは、低価格と高品質を両立した商品を実現するために、店舗の社員やお取引先の労働者から搾取している、という内容が書籍に書かれている。しかし、我々は、そのような恥ずべき行為は決してしておらず、万が一、不適切な労働実態などあれば、真摯にそれを正していく企業である」(同社「部長会議ニュース」より) 裁判所は柳井社長やユニクロ側の請求をすべて棄却した。判決のポイントになったのはこうだ。 「判決文では、ユニクロ国内店舗の労働環境について<出退勤管理のシステム上、サービス残業を行うことは物理的には可能であり(中略)、現にサービス残業が行われた事例が発覚していることが認められる><(記事の)重要な部分については真実である>として、著者の横田氏が店長の証言にもとづいて報じた長時間労働の実態を事実と認定している。中国の現地工場における長時間残業などについては<(記事の)重要な部分が真実であると判断したことには相当の理由がある>と内容の正当性が認められている」 10月10日にアパレル業界としては初めて年間売上高が1兆円を突破したユニクロだが、ブラック企業という“汚名”は、まだまだ消えないようである。 新潮のみのもんたの記事はなかなか面白かったのだが、26日にみのが記者会見をして、報道番組から降板することを発表してしまったため、ここに書いてあるような「徹底抗戦」はしないようだ。だが、他誌より内容的に優れているので紹介してみよう。 「みのさんが9月30日までにTBSホールディングスの株を3万株買い増しし、個人筆頭株主に躍り出たというのです。(中略)そもそも、みのさんは、うちの株を5~6万株持つ大株主でした。TBSでは、2005年に始まった楽天による株式の買収騒動の際に、局と縁の深い多数の資産家に安定株主として株を持ってもらう防衛策をとりました。この時、みのさんにも頭を下げて、買っていただいたんです」 このコメントはTBSのある中堅社員である。個人ではかなりの株数になるのだが、それでも全体でいえば少数派である。みのはどんな戦略を考えているのだろうか。同社員がこう続ける。 「これが編成局や報道局の一部の幹部にも知らされ、衝撃が走ったといいます。実際には7~8万株持ったとしても、発行済み株式の0.1%にも満たないし、議決権などを行使できるような影響力はありません。しかし、大株主の一人であることには違いなく、本人にすれば、それを背景に“自分から降板するつもりはない”と徹底抗戦の意思表明を行ったのではないでしょうか。少なくとも、この話を聞いた幹部らはそう受けとめたようです。(中略)あるいは、株購入によって、“楽天騒動の際に協力したことを、よもやお忘れではないでしょうね”と井上弘会長、石原俊爾社長ら経営幹部に訴え、恩義を思い出してもらおうという戦略かもしれません」 彼の知人は「本人は、やはりTBSの『朝ズバッ!』に復帰したい一念ですよ」と語っている。 だが、そのTBSでは、彼の知らないところで重要な決定が下されていたというのである。 「実は、各部署の法令遵守事案を統括するコンプライアンス室で、みのさんの処遇をめぐる問題が議題にかけられていたのです。 こう内情を明かすのはTBSの幹部である。 『それがつい最近、<みのもんた氏の復帰は不都合で、困難である>との結論に達したのです。もちろんこれが即、社全体の決定にはなりませんが、間もなく役員会に上げられる。これを基に、井上会長や石原社長がみのさんと話し合うことになるでしょう』」 最高年棒は一時27億円を超えたと豪語するみのだが、親から引き継いだ水道業「ニッコク」の業績が下がりっぱなしで、7億円ともいわれるギャラがなくなるとそちらへの影響が出るようだし、鎌倉の大豪邸の維持費も毎年数千万円になるというから、そう簡単に「全部辞めます」とは言えないようである。バラエティ番組には出るそうだが、彼が望んでいるように、報道番組から「戻ってきて」という声はかからないと思う。 カネを持てば持っただけ生活が大きくなり、それを縮小するのはなかなか難しい。大変ですな、みのさんは。 文春は小泉純一郎総理(当時)が訪朝した2002年の日朝首脳会談で、北朝鮮の要求に従って1兆円の支援をしていたという張真晟(チャン・ジンソン)氏の証言を取り上げている。 これは同社が出した本のパブ記事ではあるが、これが本当だったら小泉訪朝とはなんだったのかが問われることになる。 「『拉致被害者の横田めぐみさんは2003年に生きていた可能性がある』『故金正日総書記は2002年の日朝首脳会談で、日本が提案した114億ドル(当時のレートで約1兆4000億円)の支援がほしくて、独断で拉致を認めて謝罪した』。こんな衝撃的な内容が書かれた本が出版された。タイトルは『金王朝『御用詩人』の告白──わが謀略の日々』(文藝春秋)。著者は北朝鮮の対南工作機関である『統一戦線事業部(統戦部)』に体制宣伝の詩人として勤務し、その後脱北した張真晟氏だ」(文春) 張氏は、首脳会談後に北朝鮮外務省が作成した参考資料に目を通したという。 「張氏は、記憶をたどって、この参考資料の内容を、著書の中で再現している。それによれば、北朝鮮側は日本による植民地支配の賠償金として400億ドルを提示したが、日本側から『日本が建設した発電所や製鉄所、鉄道などの使用料を払え』と逆襲される。北朝鮮側は、外貨による現金支援を求めるが、日本側は、『独裁国家の支援には、北朝鮮の核開発への支援とみなされ、米国は検証を求めて介入してくる』と、北朝鮮側が最も嫌がるポイントを突いてきた。最終的には日本政府から114億ドルの物的支援を受けることで何とか合意した。政府開発援助(ODA)式支援と推定される」(同) 首脳会談の午前の会議が終了し、休憩時間中に、北朝鮮側が拉致に対する公開謝罪を拒否したため、小泉代表団の中から「帰ろう」という声が上がり、金正日総書記があわてて、独断で謝罪することを決めたのだという。 114億ドルという数字については、当然ながら、そんな数字を提示してはいないと、当時の関係者たちは揃って否定している。 「しかし張氏は、『北朝鮮の政権中枢にいた私以外の脱北者も、この数字を聞いていた』と自信をみせた。また、日本政府の拉致問題担当者の中にも、『その数字を聞いたことがある』という複数の証言があり、信憑性は高い」(同) 金正日総書記の謝罪と拉致被害者の帰国がカネで買われていたとすれば、小泉元総理は国民に経緯を説明する義務がある。だが、ODA式支援だとすれば、どうやってそのカネを捻出したのだろうか。1兆円以上のカネの出を完全に秘密にしておくことなどできるはずないと思うのだが。 ポストはどえらいページを割いて銀行についての大特集を組んでいるが、少し前に確か現代がやっていたが、それと五十歩百歩の記事。大手銀行は3行しかないのだし、庶民の言うことなどハナから聞く気などないのだから、読む気が失せる。 それよりも、サラリーマンの給料に消費税をという記事のほうがへぇーッと思わせるものがあった。そうすれば、サラリーマンも会社も損をしないというのである。 そうなると、月収約47万円のサラリーマンの収入や支出がどう変わるかをポストが試算した。 「会社から支払われる給料に消費税5%=2万3500円が上乗せされるため、月収は約49万3500円に増える。所得税や社会保険料は同じ。また、消費支出も変わらないから、『家計黒字』は約10万3500円に増える。『でも、その貯蓄から自分で消費税を税務署に納めなくちゃならないでしょ?』という疑問は、その通り。しかし、会社から給料に加算される消費税額より、サラリーマンが納付する税額の方が少なくて済む」 税法学者で現役の税理士でもある浦野広明立正大学客員教授は、こう指摘している。 「サラリーマンは労働力を商品として売っているので、消費税が課税される場合、スーツや靴など直接仕事に使うものだけでなく、妻や子供など扶養者の養育費や生活費、住宅購入費も仕入れとして考えるべきです」 ポストによれば、消費支出すべてを仕入れとすれば、そこで支払った消費税負担分1万3,300円が控除され、追加で納めなければならない消費税額は、2万3,500円-1万3,300円=1万200円となる。それを納税しても家計の黒字は、現在より1万3,300円アップするというのだ。 安倍首相、考えてみたらいかがか。 すでに国民の記憶から薄れていっている福島第一原発事故だが、これを風化させてはならじと、朝日が一番心配される4号機について巻頭で特集を組んでいる。 現代も「東電破綻」という巻頭特集を組んでいるが、こちらは東電が破綻したときの経済的な観点からの記事なので、朝日のほうを紹介したい。 これを読んで震えがくるのは、寒くなってきた季節のせいばかりではない。じっくり読んで欲しい記事である。 早ければ11月8日にも始まる、福島第一原発4号機の使用済み燃料プールの燃料棒の取り出し作業だが、ひとつ間違えば大変なことになるのだ。 「東日本大震災当時、停止していた4号機では、1~3号機と違いメルトダウンは起きていない。その代わり、水素爆発でグチャグチャに吹き飛んだ建屋の上部にある燃料プールに、1533体もの燃料棒が残されたままになっている」(朝日)のである。 事故前に燃料棒の移動に携わっていた元大手原発メーカー社員が語っている。 「作業には熟練の技術が必要。まず水中で機器を操作し燃料棒を数十体ずつキャスクという金属容器に詰める。燃料棒をちょっとでも水から露出させたら、作業員は深刻な被曝を強いられる。水中で落下させて燃料を覆う金属の管が破れても汚染は深刻。フロアの全員退避は避けられない」 廃炉工程を検証している「プラント技術者の会」の川井康郎氏もこう指摘する。 「キャスクが落下して破損し、中の燃料が露出したら、大量の放射性物質が放出される。作業員はもう近づけません。燃料棒はまだ崩壊熱を帯びており、本来は常に冷やし続けなければならない。長時間放置すると燃料が溶融する可能性があります。こうなると燃料の回収は困難になり、作業全体が頓挫してしまう」 むき出しになった燃料は、「人間が近づけば即死」(原子力工学の専門家)という凄まじい放射線量である。こうなると、1~3号機のメルトダウンに匹敵する深刻な危機に直面するという。 まだまだ危機など去っていないし、汚染水すらコントロールされていないのだ。それなのに安倍首相と東電は柏崎刈羽原発を再稼働しようと企んでいるのである。 再稼働のキーマンであるv新潟県知事もインタビューで「東電まかせではまた事故は起こる」と言いきっている。 泉田知事が9月25日に東電の広瀬社長と会談した翌日、柏崎刈羽原発6、7号機の再稼働に向けた安全審査を原子力規制委に申請することを認めたため、「知事は心変わりしたのではないか」と受け取った人もいるという問いに、「心変わりではなく、むしろ安全性をいかに高めるかを考えた上での決断です」と答えている。 さらに今の東電は、知事の要求に応えることができるでしょうか、という問いに対しては、 「最大の問題は、東電がお金の問題で首が回らなくなって、きちんとした判断ができなくなっていることです。事故処理のために9600億円の引当金を積んでおきながら、1000億円がもったいないと言って遮水壁を造らなかった。事故処理の費用を電気料金に上乗せして返すという今の形は、もう限界にきています」 東電の破綻処理もあり得るかという質問には、 「日本航空だって破綻処理をして、経営陣が責任をとった上でOBの年金もカットして、V字回復したわけです。東電は負担をすべて電気料金にかぶせていますが、株主や金融機関の責任はゼロでいいんでしょうか。破綻処理をしても電気料金という日銭が入ってくるんですから電気供給は止まりませんし、債権の見直しをすればすぐに料金を値上げする必要はありません」 しかし、原子力規制委の田中俊一委員長に面会を申込んでいるのに、会ってくれないそうですねという問いには、 「規制委に国民の命と安全と財産を本気で守るつもりがあるのか疑問です。守っているのは、電力会社の財産ではないか。規制委には地方自治に明るい人が一人もおらず、断層のチームと原発設備のチームしかいない。新潟県は中越沖地震の時に原発事故との複合災害を身をもって体験しています」 そして最後にこう言っている。 「国民の皆さんは正しい情報さえ与えられれば、的確な判断ができるんです。情報を与えないで誘導するのでは、また同じ過ちを繰り返してしまう。まさに今、日本の民主主義の熟度が試されていると思います」 そうなのだ! 今の安倍自民党政権が目指しているのは、国民に知らせたくない情報をすべて隠すことができる国にしようということなのだ。 国民の多くが原発事故を忘れたわけではない。メディアが報じないから記憶が薄れてしまっているのだ。これだけの大事故が3年も経たずに風化していくとしたら、メディアも日本という国も最低だと、私は考える。 (文=元木昌彦) ●もとき・まさひこ 1945年11月生まれ。早稲田大学商学部卒業後、講談社入社。90年より「FRIDAY」編集長、92年から97年まで「週刊現代」編集長。99年インターネット・マガジン「Web現代」創刊編集長を経て、06年講談社退社。07年2月から08年6月まで市民参加型メディア「オーマイニュース日本版」(2006年8月28日創刊)で、編集長、代表取締役社長を務める。現「元木オフィス」を主宰して「編集者の学校」を各地で開催、編集プロデュースの他に、上智大学、法政大学、大正大学、明治学院大学などで教鞭を執る。「週刊朝日」11月8日号
「人間が近づけば即死──」特定秘密保護法が隠そうとする、福島第一原発4号機の“不都合な真実”
今週の注目記事 ・「専門家が本気で心配する福島第一原発4号機の燃料棒溶融」 (「週刊朝日」11月8日号) ・「目からウロコの大胆提言! サラリーマンの給料に消費税を」 (「週刊ポスト」11月8・15日号) ・「金正日は1兆円で日本に謝罪した」 (「週刊文春」10月31日号) ・「TBS大株主『みのもんた』反撃の倍返し」 (「週刊新潮」10月31日号) ・「本誌が勝訴! ユニクロはやっぱり『ブラック企業』」 (「週刊文春」10月31日号) ・「特定秘密保護法の“ずさんさ”」 (「週刊朝日」11月8日号) 今週の唸らせるタイトル ・「『松本人志』監督『R100』 上映館を埋め尽くす閑古鳥の大群」 (「週刊新潮」10月31日号) 今週はポストが合併号で420円。現代は通常号で400円。朝日もついに400円になってしまった。増大号とうたってあるが、それほど厚くはない。新潮370円、文春は秋の特大号とうたって390円。買ってお得なのはどれか? 読者のシビアな選択眼に耐えられるのはどれか? 来年の消費税アップの時が、週刊誌存亡の正念場になるだろう。 さて、新潮は名編集者の斎藤十一氏が作り上げたものだが、当時からタイトルのうまさは群を抜いていた。その伝統はまだ残っていて、時々だが、うまい! と感心させられるタイトルがある。 今週のワイドの中の1本、お笑い芸人の松本人志が作った映画『R100』の記事に付いたタイトルが「『松本人志』監督『R100』 上映館を埋め尽くす閑古鳥の大群」。中身を読まなくても、タイトルがすべてを表している。天晴れ! である。 今週はどの記事もドングリの背比べだから、順位を付けるに至らなかった。 まずは朝日の特定秘密保護法の記事だが、他誌がこの問題を扱っていないのは、どうしたのだろう。死ぬまでセックスなどと囃し立てているうちに、淫乱ボケにでもなってしまったのだろうか? それとも、自分たちの雑誌は国の機密などに接触することも関心もないから「他人事」だと考えているからだろうか? 厳しい言い方になるが、そんな雑誌は存在価値がない。 朝日もタイトルからして腰が引けていて、読んでいて腹が立つ。特定秘密保護法は“ずさん”なのではなく、危険すぎる法律なのだ。文中で、情報公開に詳しい識者がこう指摘している。 「行政機関の長による指定にチェックが利かない点や、5年ごとに特定秘密の指定期間が更新可能で、30年を超える場合は内閣の承認があれば延長でき、半永久的に情報公開されない可能性がある」 ここで、上智大学の田島泰彦教授や立教大学の服部孝章教授らと私たちが訴えている声明文の1部を引用しておく。 「(中略)広範な国家秘密をお上(官僚)の一存で秘密に指定し、その漏えいや取得をはじめさまざまな行為を犯罪として厳罰に処し、適性評価制度で秘密の管理も厳格にするというまさに『まず秘密ありき』の露骨な法案で、市民の知る権利や情報公開の理念に真っ向から反し、情報公開を広げる世界の潮流にも逆行する挑戦に他ならない。 言論、表現活動に携わり、関わる私たちにとって、取材・報道の自由や創作の自由も含む表現の自由は譲り渡すことのできない貴重な権利であり、市民の知る権利を充足する重要な手段でもある。法案は重要な国家秘密を取り扱う情報源たる公務員等の漏えいに重罰を科し、適性評価制度による選別で内部告発を狭めることによって情報源の萎縮を促進し、取材者が入手できるはずの有用な情報を細らせ、枯渇させることになる(中略)」 まさに、安倍首相がもくろむ「平成の治安維持法」である。ここでメディアが一斉に声を上げないと安倍や官僚たちの思うままになり、特定の名が付けば外交、軍事だけではなく、原発情報なども国民は手にすることができなくなるのだ。声を大にして言いたい。危機感をかき立てろ! お次は文春。ユニクロから訴えられていた文春だが、裁判所が「ブラック企業」と認定してくれたと報じている。 「『原告らのその余の請求をいずれも棄却する』10月18日、東京地裁の法廷に、土田昭彦裁判長の声が響き渡った。ユニクロ側が文藝春秋を訴えた裁判の判決で、本誌が指摘した『過剰労働』について、裁判所は全面的に事実と認定したのだ」(文春) ユニクロ側が問題視したのは、文春(2010年5月6日/13日号)で、国内店舗や中国の工場における過酷な労働環境をレポートした、次のような記述についてである。 <現役店長はこう説明する。(中略)『けれど、仕事量が減ったわけでありませんから、11月や12月の繁忙期となると、今でも月300時間を超えています。そんな時は、タイムカードを先に押して、いったん退社したことにしてから働いています。本部ですか? 薄々は知っているんじゃないですか」>(『ユニクロ帝国の光と影』(文藝春秋・横田増生著より) これを読んだユニクロ柳井正社長の怒りは、すさまじかったようだ。 11年6月6日に行われた部長会議では、文春を訴える旨の報告の後、柳井社長から次のような話があったと文春は書いている。 「高収益を上げ、高成長を遂げているユニクロは、低価格と高品質を両立した商品を実現するために、店舗の社員やお取引先の労働者から搾取している、という内容が書籍に書かれている。しかし、我々は、そのような恥ずべき行為は決してしておらず、万が一、不適切な労働実態などあれば、真摯にそれを正していく企業である」(同社「部長会議ニュース」より) 裁判所は柳井社長やユニクロ側の請求をすべて棄却した。判決のポイントになったのはこうだ。 「判決文では、ユニクロ国内店舗の労働環境について<出退勤管理のシステム上、サービス残業を行うことは物理的には可能であり(中略)、現にサービス残業が行われた事例が発覚していることが認められる><(記事の)重要な部分については真実である>として、著者の横田氏が店長の証言にもとづいて報じた長時間労働の実態を事実と認定している。中国の現地工場における長時間残業などについては<(記事の)重要な部分が真実であると判断したことには相当の理由がある>と内容の正当性が認められている」 10月10日にアパレル業界としては初めて年間売上高が1兆円を突破したユニクロだが、ブラック企業という“汚名”は、まだまだ消えないようである。 新潮のみのもんたの記事はなかなか面白かったのだが、26日にみのが記者会見をして、報道番組から降板することを発表してしまったため、ここに書いてあるような「徹底抗戦」はしないようだ。だが、他誌より内容的に優れているので紹介してみよう。 「みのさんが9月30日までにTBSホールディングスの株を3万株買い増しし、個人筆頭株主に躍り出たというのです。(中略)そもそも、みのさんは、うちの株を5~6万株持つ大株主でした。TBSでは、2005年に始まった楽天による株式の買収騒動の際に、局と縁の深い多数の資産家に安定株主として株を持ってもらう防衛策をとりました。この時、みのさんにも頭を下げて、買っていただいたんです」 このコメントはTBSのある中堅社員である。個人ではかなりの株数になるのだが、それでも全体でいえば少数派である。みのはどんな戦略を考えているのだろうか。同社員がこう続ける。 「これが編成局や報道局の一部の幹部にも知らされ、衝撃が走ったといいます。実際には7~8万株持ったとしても、発行済み株式の0.1%にも満たないし、議決権などを行使できるような影響力はありません。しかし、大株主の一人であることには違いなく、本人にすれば、それを背景に“自分から降板するつもりはない”と徹底抗戦の意思表明を行ったのではないでしょうか。少なくとも、この話を聞いた幹部らはそう受けとめたようです。(中略)あるいは、株購入によって、“楽天騒動の際に協力したことを、よもやお忘れではないでしょうね”と井上弘会長、石原俊爾社長ら経営幹部に訴え、恩義を思い出してもらおうという戦略かもしれません」 彼の知人は「本人は、やはりTBSの『朝ズバッ!』に復帰したい一念ですよ」と語っている。 だが、そのTBSでは、彼の知らないところで重要な決定が下されていたというのである。 「実は、各部署の法令遵守事案を統括するコンプライアンス室で、みのさんの処遇をめぐる問題が議題にかけられていたのです。 こう内情を明かすのはTBSの幹部である。 『それがつい最近、<みのもんた氏の復帰は不都合で、困難である>との結論に達したのです。もちろんこれが即、社全体の決定にはなりませんが、間もなく役員会に上げられる。これを基に、井上会長や石原社長がみのさんと話し合うことになるでしょう』」 最高年棒は一時27億円を超えたと豪語するみのだが、親から引き継いだ水道業「ニッコク」の業績が下がりっぱなしで、7億円ともいわれるギャラがなくなるとそちらへの影響が出るようだし、鎌倉の大豪邸の維持費も毎年数千万円になるというから、そう簡単に「全部辞めます」とは言えないようである。バラエティ番組には出るそうだが、彼が望んでいるように、報道番組から「戻ってきて」という声はかからないと思う。 カネを持てば持っただけ生活が大きくなり、それを縮小するのはなかなか難しい。大変ですな、みのさんは。 文春は小泉純一郎総理(当時)が訪朝した2002年の日朝首脳会談で、北朝鮮の要求に従って1兆円の支援をしていたという張真晟(チャン・ジンソン)氏の証言を取り上げている。 これは同社が出した本のパブ記事ではあるが、これが本当だったら小泉訪朝とはなんだったのかが問われることになる。 「『拉致被害者の横田めぐみさんは2003年に生きていた可能性がある』『故金正日総書記は2002年の日朝首脳会談で、日本が提案した114億ドル(当時のレートで約1兆4000億円)の支援がほしくて、独断で拉致を認めて謝罪した』。こんな衝撃的な内容が書かれた本が出版された。タイトルは『金王朝『御用詩人』の告白──わが謀略の日々』(文藝春秋)。著者は北朝鮮の対南工作機関である『統一戦線事業部(統戦部)』に体制宣伝の詩人として勤務し、その後脱北した張真晟氏だ」(文春) 張氏は、首脳会談後に北朝鮮外務省が作成した参考資料に目を通したという。 「張氏は、記憶をたどって、この参考資料の内容を、著書の中で再現している。それによれば、北朝鮮側は日本による植民地支配の賠償金として400億ドルを提示したが、日本側から『日本が建設した発電所や製鉄所、鉄道などの使用料を払え』と逆襲される。北朝鮮側は、外貨による現金支援を求めるが、日本側は、『独裁国家の支援には、北朝鮮の核開発への支援とみなされ、米国は検証を求めて介入してくる』と、北朝鮮側が最も嫌がるポイントを突いてきた。最終的には日本政府から114億ドルの物的支援を受けることで何とか合意した。政府開発援助(ODA)式支援と推定される」(同) 首脳会談の午前の会議が終了し、休憩時間中に、北朝鮮側が拉致に対する公開謝罪を拒否したため、小泉代表団の中から「帰ろう」という声が上がり、金正日総書記があわてて、独断で謝罪することを決めたのだという。 114億ドルという数字については、当然ながら、そんな数字を提示してはいないと、当時の関係者たちは揃って否定している。 「しかし張氏は、『北朝鮮の政権中枢にいた私以外の脱北者も、この数字を聞いていた』と自信をみせた。また、日本政府の拉致問題担当者の中にも、『その数字を聞いたことがある』という複数の証言があり、信憑性は高い」(同) 金正日総書記の謝罪と拉致被害者の帰国がカネで買われていたとすれば、小泉元総理は国民に経緯を説明する義務がある。だが、ODA式支援だとすれば、どうやってそのカネを捻出したのだろうか。1兆円以上のカネの出を完全に秘密にしておくことなどできるはずないと思うのだが。 ポストはどえらいページを割いて銀行についての大特集を組んでいるが、少し前に確か現代がやっていたが、それと五十歩百歩の記事。大手銀行は3行しかないのだし、庶民の言うことなどハナから聞く気などないのだから、読む気が失せる。 それよりも、サラリーマンの給料に消費税をという記事のほうがへぇーッと思わせるものがあった。そうすれば、サラリーマンも会社も損をしないというのである。 そうなると、月収約47万円のサラリーマンの収入や支出がどう変わるかをポストが試算した。 「会社から支払われる給料に消費税5%=2万3500円が上乗せされるため、月収は約49万3500円に増える。所得税や社会保険料は同じ。また、消費支出も変わらないから、『家計黒字』は約10万3500円に増える。『でも、その貯蓄から自分で消費税を税務署に納めなくちゃならないでしょ?』という疑問は、その通り。しかし、会社から給料に加算される消費税額より、サラリーマンが納付する税額の方が少なくて済む」 税法学者で現役の税理士でもある浦野広明立正大学客員教授は、こう指摘している。 「サラリーマンは労働力を商品として売っているので、消費税が課税される場合、スーツや靴など直接仕事に使うものだけでなく、妻や子供など扶養者の養育費や生活費、住宅購入費も仕入れとして考えるべきです」 ポストによれば、消費支出すべてを仕入れとすれば、そこで支払った消費税負担分1万3,300円が控除され、追加で納めなければならない消費税額は、2万3,500円-1万3,300円=1万200円となる。それを納税しても家計の黒字は、現在より1万3,300円アップするというのだ。 安倍首相、考えてみたらいかがか。 すでに国民の記憶から薄れていっている福島第一原発事故だが、これを風化させてはならじと、朝日が一番心配される4号機について巻頭で特集を組んでいる。 現代も「東電破綻」という巻頭特集を組んでいるが、こちらは東電が破綻したときの経済的な観点からの記事なので、朝日のほうを紹介したい。 これを読んで震えがくるのは、寒くなってきた季節のせいばかりではない。じっくり読んで欲しい記事である。 早ければ11月8日にも始まる、福島第一原発4号機の使用済み燃料プールの燃料棒の取り出し作業だが、ひとつ間違えば大変なことになるのだ。 「東日本大震災当時、停止していた4号機では、1~3号機と違いメルトダウンは起きていない。その代わり、水素爆発でグチャグチャに吹き飛んだ建屋の上部にある燃料プールに、1533体もの燃料棒が残されたままになっている」(朝日)のである。 事故前に燃料棒の移動に携わっていた元大手原発メーカー社員が語っている。 「作業には熟練の技術が必要。まず水中で機器を操作し燃料棒を数十体ずつキャスクという金属容器に詰める。燃料棒をちょっとでも水から露出させたら、作業員は深刻な被曝を強いられる。水中で落下させて燃料を覆う金属の管が破れても汚染は深刻。フロアの全員退避は避けられない」 廃炉工程を検証している「プラント技術者の会」の川井康郎氏もこう指摘する。 「キャスクが落下して破損し、中の燃料が露出したら、大量の放射性物質が放出される。作業員はもう近づけません。燃料棒はまだ崩壊熱を帯びており、本来は常に冷やし続けなければならない。長時間放置すると燃料が溶融する可能性があります。こうなると燃料の回収は困難になり、作業全体が頓挫してしまう」 むき出しになった燃料は、「人間が近づけば即死」(原子力工学の専門家)という凄まじい放射線量である。こうなると、1~3号機のメルトダウンに匹敵する深刻な危機に直面するという。 まだまだ危機など去っていないし、汚染水すらコントロールされていないのだ。それなのに安倍首相と東電は柏崎刈羽原発を再稼働しようと企んでいるのである。 再稼働のキーマンであるv新潟県知事もインタビューで「東電まかせではまた事故は起こる」と言いきっている。 泉田知事が9月25日に東電の広瀬社長と会談した翌日、柏崎刈羽原発6、7号機の再稼働に向けた安全審査を原子力規制委に申請することを認めたため、「知事は心変わりしたのではないか」と受け取った人もいるという問いに、「心変わりではなく、むしろ安全性をいかに高めるかを考えた上での決断です」と答えている。 さらに今の東電は、知事の要求に応えることができるでしょうか、という問いに対しては、 「最大の問題は、東電がお金の問題で首が回らなくなって、きちんとした判断ができなくなっていることです。事故処理のために9600億円の引当金を積んでおきながら、1000億円がもったいないと言って遮水壁を造らなかった。事故処理の費用を電気料金に上乗せして返すという今の形は、もう限界にきています」 東電の破綻処理もあり得るかという質問には、 「日本航空だって破綻処理をして、経営陣が責任をとった上でOBの年金もカットして、V字回復したわけです。東電は負担をすべて電気料金にかぶせていますが、株主や金融機関の責任はゼロでいいんでしょうか。破綻処理をしても電気料金という日銭が入ってくるんですから電気供給は止まりませんし、債権の見直しをすればすぐに料金を値上げする必要はありません」 しかし、原子力規制委の田中俊一委員長に面会を申込んでいるのに、会ってくれないそうですねという問いには、 「規制委に国民の命と安全と財産を本気で守るつもりがあるのか疑問です。守っているのは、電力会社の財産ではないか。規制委には地方自治に明るい人が一人もおらず、断層のチームと原発設備のチームしかいない。新潟県は中越沖地震の時に原発事故との複合災害を身をもって体験しています」 そして最後にこう言っている。 「国民の皆さんは正しい情報さえ与えられれば、的確な判断ができるんです。情報を与えないで誘導するのでは、また同じ過ちを繰り返してしまう。まさに今、日本の民主主義の熟度が試されていると思います」 そうなのだ! 今の安倍自民党政権が目指しているのは、国民に知らせたくない情報をすべて隠すことができる国にしようということなのだ。 国民の多くが原発事故を忘れたわけではない。メディアが報じないから記憶が薄れてしまっているのだ。これだけの大事故が3年も経たずに風化していくとしたら、メディアも日本という国も最低だと、私は考える。 (文=元木昌彦) ●もとき・まさひこ 1945年11月生まれ。早稲田大学商学部卒業後、講談社入社。90年より「FRIDAY」編集長、92年から97年まで「週刊現代」編集長。99年インターネット・マガジン「Web現代」創刊編集長を経て、06年講談社退社。07年2月から08年6月まで市民参加型メディア「オーマイニュース日本版」(2006年8月28日創刊)で、編集長、代表取締役社長を務める。現「元木オフィス」を主宰して「編集者の学校」を各地で開催、編集プロデュースの他に、上智大学、法政大学、大正大学、明治学院大学などで教鞭を執る。「週刊朝日」11月8日号
三鷹ストーカー殺人を詳細に伝えた「週刊文春」に事件取材の真髄を見た

「週刊文春」10月24日号 中吊広告より
「次に何か起こせば確実に休刊?」週刊朝日、ハシシタ問題の次は新編集長がセクハラで更迭
今週の注目記事 第1位「週刊朝日新編集長が“セクハラ常習”で更迭」 (「週刊文春」10月17日号) 第2位「バラまかれた『復讐ポルノ』の残酷」 (「週刊ポスト」10月25日号) 第3位「飛鳥涼独占告白3時間」 (「週刊文春」10月17日号) 第4位「アメリカ発世界同時株安に気をつけよ」 (「週刊現代」10月26日号) 第5位「安倍政権が狙うクビ切り特区 ブラック企業『合法化』の恐怖」 (「週刊朝日」10月25日号) 週刊朝日が大変なことになっているが、それは後述するとして、朝日が、安倍首相が進めようとしている「クビ切り特区」はブラック企業を後押しする政策だと難じている。これが第5位。 日本の経営者側が、従業員を解雇しやすくしてほしい、そうでないと雇用の移動が円滑にできないし、これが経済成長を阻んでいるという“身勝手な”いい分を取り入れ、9月20日、安倍首相が産業競争力会議に指示した考えである。 ワーキンググループの八田達夫座長がこの会合に提出した資料によると、こうである。 「(1)有期契約で5年以上働いても、契約社員が無期契約になれる権利をあらかじめ放棄できる (2)入社時に解雇の要件や手続きを明確にする (3)一定の年収などがある人が希望すれば労働時間の規制を外せる」 こうした憲法違反とも思える特区を作り、全国へ拡げていこうというのが安倍首相の考えのようだが、こんなことが特区といえども許されていいはずはない。クビを切りやすくするすることが景気回復に役立つとでも思っているのだろうか。日本総研の山田久チーフエコノミストが批判する。 「雇用制度の変更は、労使の合意が前提でしょう。そのうえで政府が、企業側には産業振興、労働者側に賃上げと失業対策を講じる。この3点セットで議論しないと、日本経済は活力を取り戻しません」 その通りであろう。だが私は、この特区が成立する可能性はほとんどないと思う。それは反対する側のネーミングのうまさにある。「クビ切り特区」に賛成する議員は、次の選挙で選挙民から見放されるのは確実だからである。 お次は、アメリカが大変だというお話。国家のデフォルトとは、その政府が発行している国債などの借金を返せるなくなることだが、アメリカがその危機に直面しているのである。 現代でニューヨーク市立大学名誉教授霍見芳浩氏がこう言っている。 「もし米国がデフォルト(債務不履行)したら……。現在、10月20日前後が、米国政府のキャッシュフローが尽きる限界点だと言われています。デフォルトすれば、米国債の信用がガタ落ちして買い手が付かなくなるわけですから、一気に金利が上昇して大混乱に陥る。2008年はリーマンブラザーズの破綻によってウォール街が崩壊し、金融危機が起こりましたが、デフォルトはそれ以上の影響が出ることになります」 株式市場ではカタストローフィ(破滅)、ブラックオクトーバー(暗黒の10月)、ブラッドオクトーバー(血の10月)などの言葉が飛び交い始めたそうだ。 リーマンショックを振り返るまでもなく、アメリカの破綻は日本の破綻に結びつく。東京五輪で日本が復活すると騒いでいた現代の“迷走”は、日本の“迷走”の表れである。 ワシントン在住の金融アナリストの伊藤貫氏は、デフォルトの可能性は低いとしながら、現在の米国が抱える問題をこう語ってる。 「米国ではここ30年間で、高卒労働者の生活レベルが2割低下しています。米国の労働者のうち、高卒クラスは6割を占めます。つまり、おおよそ6割の米国人の収入や生活が2割悪化してるというわけで、大きな問題です。その一方で、米国のGDPは同じ期間で2倍になっています。経済規模が2倍になっているのに6割の人の生活が苦しくなっているのは、それだけごく一部の富裕層に富が偏重していることを示しています。この格差に対する国民の怒りは大きく、米国政府に反対する共和党の強硬派=ティーパーティが強気に出る背景になっている」 アメリカの新聞やテレビの報道では、ギリギリまで共和党側は延ばすだろうが、指導力の低下しているオバマ大統領がどこかで譲って決着するのではないか、という見方が多いようであるが。 現代は、米国プリンストン大学教授で、08年にノーベル経済学賞を受賞したポール・クルーグマン氏にインタビューしている。彼は安倍首相の「決める政治」を評価しているとして、こう話す。 「これまで、『金融緩和で日本経済を回復することは不可能だ』という議論が繰り返されてきました。もちろん、金融緩和がすべての問題を解決するわけではないのですが、一定の条件が満たされればインフレが起こり、望ましい状況がもたらされます。その条件とは、『国家の経済は将来的に落ち込まない』『中央銀行が実際に金融緩和を実現に移す』と人々が“信じ”、“期待する”ことです。(中略)一つだけ苦言を呈するのであれば、今回8%の消費増税を決定したことにはがっかりしました。もし私が安倍首相から相談されていたら、『もう少し待て』と言ったでしょうね。97年に消費税を3%から5%に上げた際、景気が後退したことはみなさん知っているでしょう。本来なら、デフレを完全に脱却してからやった方が安全です。いま、ちょうど光が見えかけていたのに、増税によって消費が落ち込む可能性がある。消費税が上がっても消費を落ち込ませないためには賃金アップが必要ですが、景気が良くなってもそれが賃金に反映されるのは最後の段階ですから。急速に少子高齢化が進んでいる日本では、今後さらに所得税よりも消費税のほうが重要になってくることは確かです。そうした状況を踏まえれば、たとえば一定年収以下の所得税を減らすことを提案したい。収入が一定以上ある世帯は、消費税が上がっても消費が極端に減ることはないので、消費が落ち込むこともないでしょう」 やはり、経済学の泰斗も消費税を上げたことには疑問を呈している。 「世界の多くの国が固唾を呑んでその行方を見守っている。いま、世界経済を救うために、日本が必要とされているのです」 こう氏は語るが、日本には重荷なのではないか。 「覚せい剤なんて、僕は一度もやったことはありませんよ。ずっと“無菌状態”で育っていますから。実は、僕が使っていたのはアンナカです。『安息香酸ナトリウムカフェイン』といって通称アンナカと言われる薬なんですけど、2000年頃から病院で処方されて飲んでいました。詞を書く時には本当に助かってる。今日は絶対に寝ちゃいけない時ってあるでしょ。眠かったり、ダルかったり。アンナカを一包飲むと、2~3時間は目が覚めるんですよ。(中略)昨年夏過ぎ、そんな話を山本にしたところ『アンナカなら手に入るよ』って言われたんです。その後、いきなり山本がアンナカをプレゼントで自宅に持ってきてくれて、『ちょうだい、ちょうだい』ってなったんです。どこから入手しているのかはわかりませんけどね。(中略)これが僕の認める唯一の汚点で、薬事法違反ですよね。そこに関しては認めます。でも、病院で処方してもらえる薬ですし、自分としてはそこまで罪悪感はなかった。しかも、毎月受け取っていたわけじゃない」 文春でこう語っているのは、人気大物デュオ「CHAGE and ASKA」のASKA、飛鳥涼(55)である。 2カ月ほど前にここでも紹介した文春の記事「シャブ&飛鳥の衝撃 飛鳥涼は『覚せい剤吸引ビデオ』で暴力団に脅されていた!」は大きな話題を呼んだ。それから2カ月が過ぎた9月30日に、文春記者の携帯電話にASKAから突然電話がかかり、「男と男の話し合いをしよう」と言ってきたのだそうだ。 その夜、自宅に隣接するスタジオでASKA本人がインタビューに答えた。これが今週の第3位。 医者から処方されている合法的な薬だと説明するが、文春記者は納得できないようだ。ASKAの言うようにアンナカであったとしても、それにはこういう効用もあると、元覚せい剤中毒者が解説する。 「われわれの間では、アンナカはシャブの“混ぜ物”という認識。通常、シャブを使用すると男は性的不能になりますが、興奮剤のアンナカを混ぜることにより、勃起が促進され、ドラッグセックスが可能になる。闇ルートでは味の素で増量してある粗悪なジャブも出回っているので、アンナカ入りのものは“上物”とみなされています」 また「ASKAの主張通り、アンナカの吸引シーンを(山本から=筆者注)『覚せい剤吸引』と“捏造”され、多額の金銭を要求されたとすれば、これは悪質な恐喝以外の何物でもない。しかも、相手は小指が欠損した現役の暴力団組員である。しかし、ASKAは山本に対し、『悪い奴には思えない』『憎めない』と庇う様子すら見せるのだ」(文春) そこでASKAの友人が完全匿名を条件に、裏事情をこう明かしている。 「実は最近、ASKAは極秘裏に山本と“手打ち”をしたというのです。ASKAが言うように、そもそも山本とは共犯関係だから、本来ならば盗撮映像が世間に出ることはなかった。だが、山本サイドが映像をマスコミに売り歩き、情報をリークし、ASKAの“シャブ使用”が発覚。で、あの大騒動です。事が事だけに、もし逮捕されるような事態に発展すれば、双方が損をすることになる。しかしお互いが組んでしまえば、容易に言い逃れはできる。山本と話し合いがうまくいったASKAは、安心して『ドラッグをやってない』と声明文を出したのではないか」 なんのことはない、山本という暴力団員の思惑通り、文春を使ってASKAに脅しをかけ、それに震え上がったASKAが要求通りにカネを払ったという図式になるのではないか。 このインタビューで、ASKAの覚せい剤疑惑がすべて晴れたわけではなさそうである。ASKAは、こんな気になる発言もしている。 「クスリで唯一心当たりがあるとしたら、文春でも薬物疑惑が書かれたエイベックス社長の松浦(勝人)君。彼のパーティーなんかに呼ばれて行ったこともあるから、仲間だと思われたりしていたかもしれない。松浦君ともクスリの話はしたことはないけど、彼にそういう噂があるってことは知っていました。だから僕もその一派かと思われたのか、と思いますけど」 こうした芸能界の薬物汚染情報が次々に出てくるが、ASKAの場合も、麻薬取締官が事情聴取したという話は聞かない。事実無根なのか、現行犯逮捕でないと無理なので躊躇しているのだろうか。“火のないところに煙は立たない”のではないかと、私などは思うのだが。 東京・三鷹市でタレントの卵、鈴木沙彩さん(18)が殺された事件は、改めてストーカーからどうやって身を守ったらいいのかを考えさせることになった。現代も同じような視点で特集を組んでいるが、今週のポストは土曜日発売なので、ポストの早いもん勝ち。 ポストはストーカー殺人犯である池永チャールストーマス容疑者(21)が、鈴木さんにさらに卑劣なことをしていたと報じている。 「海外にサーバーが置かれている『ポルノ画像・動画投稿サイト』に10月2日、若い日本人女性の写真がアップされた。投稿したのは、女性の元交際相手。その数日後には、女性の動画も公開された。67枚の写真1つの動画。中には、一切の衣服を身につけていない女性の姿もあった」(ポスト) 事件が起きたのは10月8日16時50分頃、三鷹市の閑静な住宅街に住む私立高校3年の鈴木さんは、自宅内にいるところを、かつての交際相手だった池永容疑者に襲われた。 池永容疑者は昼ごろ、鍵のかかっていなかった2階の窓から鈴木さん宅に侵入、クローゼットに潜んでいた。 ポストで捜査関係者がこう明かす。 「池永容疑者は京都出身。フィリピン人の母親と日本人の父親をもつハーフで、日本国籍を持っている。(中略)身長は約180センチと大柄で、高校時代は柔道部に所属していた。沙彩さんは刃物で首や腹など4、5か所を刺され、首の動脈が斬られたことが致命傷になった。使用された凶器は、9月末に現場からほど近い吉祥寺の雑貨チェーン店『ロフト』で購入したベティナイフだったようだ。犯行は計画的で、残忍なメッタ刺しからは、強い殺意がうかがえる」 沙彩さんは、現代美術画家の母親と映像関係の仕事に携わる父親の一人娘。小学生の頃からタレントとして活動し、将来の夢は女優だった。3年前には映画『冷たい部屋』(平田大輔監督)でスクリーンデビューしている。大伯父は脚本家の倉本聡氏。 別の捜査関係者はこう言っている。 「沙彩さんは事件当日の朝、両親に伴われて悲壮な表情で地元の三鷹署を訪ねてきた。ストーカー被害の相談だった。本人の強い希望で、その場で警察官が署の電話から池永容疑者の携帯電話に連絡した。電話に出なかったので、“三鷹署まで連絡がほしい”と留守番電話を残した。その後、昼と夕方にも池永容疑者に連絡し、同様の留守電を残した」 三鷹署側は、対応に誤りはなかったと言いたいのだろうが、ストーカー被害を受けている若い女性を一人にしてはいけないのは常識であるのに、疑問も残る。 逮捕された池永容疑者は取り調べに対し「交際をめぐり恨んでいた。殺すつもりで刺した」と供述しているという。2人の間にどんなことがあったのか。 事件の6日前にインターネット上にばらまかれた写真は、沙彩さん自身の手で撮影されたものであるという。 「沙彩さんの自宅の部屋のなかで、ベッドの上や大きな鏡の前で撮られていた。背景に写っている壁には、画家である母親の作と思しき絵が飾られている。沙彩さんは、笑顔で、すましたような表情、時には恥ずかしそうな表情を浮かべて写っていた。(中略)いずれにせよ、誰かに見せるとしても、非常に親しい関係にある人にしか見せないようなものばかりだ。不特定多数に向かって写真が公開されるのは、沙彩さんへの脅迫が目的としか考えられない。(中略)さらにその2日後、同じユーザー名から沙彩さんが映る動画が投稿された。撮影された部屋は不明だが、ベッドの上だ。(中略)撮影者はその男だ。時折、男と笑顔を浮かべて会話してることからも、親しい関係がうかがわれる」(同) 池永容疑者は沙彩さんを刺殺し、逃走中の18時29分、ネット上の掲示板に画像のアドレスを掲載した上で、「被害者。無差別ではないです。恨みがありました。」と犯行動機の告白とも読める書き込みを行っていた。 振られた腹いせに元恋人の裸の写真や映像をネットに投稿する行為は「復讐ポルノ(リベンジポルノ)」といわれ、世界的な問題になっているようで、この10月、米カリフォルニア州議会では、嫌がらせを意図してヌード写真をネットに流通させた者には、最大で6カ月の禁固か1000ドルの罰金を科す法案を成立させたという。 桶川女子大生ストーカー殺人事件でストーカー法がつくられたが、その後もストーカー殺人は後を絶たない。法を生かす警察側の積極的な運用が必要なのではないか。 さて今週の第1位は、文春に掲載された朝日の記事である。 週刊朝日にまたまた不祥事が起こり、編集長が更迭されてしまったというのだ。それも文春が取材してから、慌てて処分を発表したのだから、朝日新聞のコンプライアンスはどうなっているのかと心配になる。 朝日は佐野眞一氏の「ハシシタ」で橋下徹大阪市長から猛烈な抗議を受け、当時の編集長が更迭され、朝日新聞出版社長が辞める大騒動になってしまった。 その立て直しを図るべく小境郁也氏が編集長になったが、その小境編集長が「セクハラ常習者」だったというのだから、お粗末すぎて開いた口が塞がらない。 朝日新聞出版関係者がこう話している。 「いまは朝日新聞社と朝日新聞出版に分社化されていますが、08年までは同じ会社だった。社員の行き来がある2つの会社のなかの何人かの女性が、小堺氏と関係を持っていたというのです。小境氏には妻子がいますが、長く別居していて現在は一人暮らし。ある女性記者と不倫関係にあったのは社内では有名だし、過去にも別の女性問題が取り沙汰されたこともありました」 別の朝日新聞出版関係者もこう語る。 「気に入っている女性がいると、『○○と飲んでるからおいでよ』と動誘いだし、女性が来ると同席していた人を帰らせて2人っきりになるのが常套パターン。酔った勢いで抱きついたり、いきなり胸を揉んだり無理やりチューしたり。テーブルの下で強引にスカート内に手を入れ、太ももの奥を触りまくることもありました」 今回はセクハラを受けていた女性が周囲の女性に相談し、これまで関係があった女性の名前などを書いた連判状のようなものを作り、朝日新聞本社に報告したという。 だが、文春の取材に対して朝日新聞側は「現在、事実関係を調査中」と悠長なことを言っていたのだが、文春が発売される前日に「週刊朝日編集長を懲戒解雇 重大な就業規則違反」と紙面で発表したのである。 「朝日新聞出版は、同社が発行する週刊朝日の小境郁也編集長(53)=朝日新聞社から出向=に重大な就業規則違反があったとして編集長を解任し、朝日新聞社は8日付で小境編集長を懲戒解雇処分にした。併せて朝日新聞出版は上司の監督責任を問い、9日付で青木康晋(やすゆき)社長を役員報酬減額、尾木和晴雑誌本部長を減給処分とする」 後任の編集長には、朝日新聞東京本社写真部の長友佐波子(ながとも・さはこ)フィーチャー写真担当部長が9日付で就いたという。女性ならセクハラはないだろうという朝日新聞らしい姑息な考えのように思えるのだが。 その長友新編集長は、今週号の挨拶でこう書いている。 「前編集長は重大な就業規則違反があり、8日付で懲戒解雇処分となりました。昨年、小誌は橋下大阪市長の差別記事を掲載した反省から『家庭で安心して読めるニュース週刊誌』を目指してスタートしたばかりでした。1年にも満たない時期での不祥事に読者の皆様の期待と信頼を再度裏切ることになりました。深くお詫びします。(中略)たいへん厳しい状況ではありますが、1922年発刊、92年目を迎えた週刊朝日が社会から信頼される雑誌となるために、編集部一同、初心に帰って努力していきたいと思います」 先週オフィスへ来た、AERAで働いたことのある人間がこう言っていた。 「小境編集長は以前から女性関係に問題のあることで有名でした。あんな人を橋下の不祥事のあった後に据えるのは問題だと言われていた。今度の長友編集長にも、そうした噂があると聞いています。なぜ朝日はそうした人を据えるのか。人材がいないのでしょうね」 次に何か起こせば確実に休刊となる。長友編集長には相当な覚悟で臨んでもらいたいものだ。それと、もっと面白い読みでのある雑誌にしてほしいと、お願いをしておく。 なんとか創刊100周年までは頑張れ! (文=元木昌彦) ●もとき・まさひこ 1945年11月生まれ。早稲田大学商学部卒業後、講談社入社。90年より「FRIDAY」編集長、92年から97年まで「週刊現代」編集長。99年インターネット・マガジン「Web現代」創刊編集長を経て、06年講談社退社。07年2月から08年6月まで市民参加型メディア「オーマイニュース日本版」(2006年8月28日創刊)で、編集長、代表取締役社長を務める。現「元木オフィス」を主宰して「編集者の学校」を各地で開催、編集プロデュースの他に、上智大学、法政大学、大正大学、明治学院大学などで教鞭を執る。「週刊文春」10月17日号 中吊広告より




「週刊ポスト」11月22日号

