
週刊文春2015年2月19日号

週刊文春2015年2月19日号
今週の注目記事・第1位 「『安倍の国民を虐殺する』恐怖ゲームの代償」(「週刊ポスト」2/20号) 「安倍総理の選択は正しかったのだろうか」(「週刊現代」2/21号) 「この『火あぶりの刑』を見よ」(同) 「後藤健二さんが私たちに遺したもの」(同) 「後藤健二さん実兄・後藤純一氏慟哭手記『弟が生きた証を残したい』」(「週刊文春」2/12号) 「ムハンマド侮辱風刺画で警察出動 徳島在住30代男性に『殺害予告』」(同) 「池上彰『イスラム国 後藤さん処刑の論理』」(同) 「日本に宣戦布告!『イスラム国』狂気の残響」(「週刊新潮」2/12号) 第2位 「心に魔物を育てた老女殺害『名大女子学生』19歳の履歴書」(「週刊新潮」2/12号) 第3位 「『山口組百年記念式典』に完全密着!」(「アサヒ芸能」2/12号) 第4位 「『高倉健の最期』養女が始めて綴った!」(「週刊文春」2/12号) 「高倉健さん『伝説の授業』を入手」(「週刊現代」2/21号) 「未発表ヌードを発見 児島美ゆき」(同) 第5位 「酔い潰れた私はみずほ幹部行員にレイプされた」(「週刊ポスト」2/20号) 第6位 「本誌はなぜ『謝罪広告』を掲載するのか」(「週刊文春」2/12号) 今週は各誌、それぞれの特色を生かした記事が出てき始めた。もちろんイスラム国関連が多くページを占めるが、それも各誌の主張が独自色を持ち、読んでいてうなずけるところもあれば、首を傾げざるを得ないものもあるが、それは後で触れる。 さて、文春に1ページ大のお詫びが載っている。幸福の科学の大川隆法氏が、教祖の立場を利用して宗教的儀式を口実に、女性秘書に性的行為を強要していたという記事を平成24年7月19日号に掲載したが、事実に反していたのでお詫びするという文面。 文藝春秋松井清人社長と、週刊文春新谷学編集長名である。 だが、さすが文春。次ページで4ページにわたって「本誌はなぜ『謝罪広告』を掲載するのか」などの問題提起特集を掲載している。 文春側は、記事作成までの経緯をつづり、当事者には所在不明で取材できなかったが、十分に取材を尽くし教団側のコメントも掲載しているとしている。 そして、この記事の掲載後に訴えてきたのは幸福の科学で、大川教祖自身ではなく、その理由も「教団の名誉が毀損された」というものだ。したがって「教団と大川氏は“別異の人格”であるため、原告である教団の名誉を毀損したことにはならない」と裁判で主張したという。 その主張は一審では認められ文春側が勝訴したが、二審では記事の真実性は証明されておらず、「大川の全人格に対する社会的評価は幸福の科学と直結する」として名誉毀損を認め、文春側が敗訴している。 1月23日、最高裁で文春の上告を認めない決定が下され、文春側の敗訴が決定した。 ここからが本題になる。文春が掲載したお詫び広告の文面、見出し、活字の大きさも裁判所の指示通りで「本誌の自発的意思で書かれたものではない」とし、謝罪広告の掲載命令は憲法19条が定める「思想および良心の自由」に反する。自発的意思に基づかない謝罪を国が強制するのはおかしい、と問題提起しているのだ。 民法の権威と呼ばれた幾代通上智大学法学部教授の「ここまでの強制をすることは(略)、人間としての不遜の誹りを免れないと思う」という言葉を引用し、奥平康弘東大名誉教授の「媒体などが心から謝罪する気になって、自発的におこなう希な場合をのぞけば──『良心の自由』に違反すると思う」という言葉を引き、「民主主義的な国で裁判でお詫びを強制している国はほとんどありません」と、田島泰彦上智大学教授に言わせている。 なぜそうなるかといえば、1956年、最高裁大法廷判決が「謝罪広告は憲法に違反しない」という判決を出したからだが、60年も前の判例だし、その時にも2人の裁判官が反対意見を述べているではないかと主張する。 このことから、今の名誉毀損裁判のあり方や賠償額のおかしさへと及んでいくのだが、謝罪広告についてこのように誌上で反論したものは、私が知る限りほとんどないのではないか。 このことは雑誌協会全体で議論を深め、法務省へ申し入れすべきだろう。私の時代は謝罪広告の大きさや文字の指定などはなかったから、仕方なく謝罪するときも、できる限り小さく虫眼鏡で見ないとわからないぐらいの活字にして、風俗記事の下に入れたりしたものである。 してみれば、私には「良心」がなかったということになるのか。今は不自由な時代になったものだ。文春頑張れ! 次は、みずほ銀行の30代の総合職女子行員が、幹部行員にレイプされたと告白しているポストの記事。 都内のみずほ銀行の支店に勤務するAさんは昨年11月の終わり、個人営業をかけていた会社経営者から会食の誘いを受けた。同僚男性と、その上司で40代後半の管理職の男性Bに同席を頼んで高級フレンチの個室で食事をしたが、経営者の飲むピッチに合わせて飲みすぎ、Bに送られて自宅へ帰る途中で記憶を失ってしまった。気がつくと自宅で裸にされていて、Bが覆い被さってきて彼女を犯したというのだ。 翌日、休暇を取り自宅で呆然としている彼女に、Bからショートメールが何通か入る。同日、一緒に仕事をしている先輩から連絡があった際、「実はこんなことがあった」と話すと、「僕に預からせてくれ」と言われた。 以来、人事部から当日の詳細を聞かれ、支店長から「Bと接触するな。会社を休め」と言われ、4日間の休みを取る。 だが、Bへの処分は遅々として進まない。そこでAさんは父親を同行して支店長、人事担当者と面談する。彼らは「銀行として早急に対処する」と断言するが、銀行側が彼女に言ってきたのは「部署を異動しないか」など、彼女を「黙らせる」案を持ってきただけだったという。 やがて彼女は、会社は自分を辞めさせたいのだと気づき、1月末に警察に被害届を出す。ポストは「証言が事実なら、B氏の行為は準強姦罪に問われる可能性があり、それが職務中の出来事である以上、みずほ銀行の対応も問題視されよう」と指摘する。 Aさんは「この事件をきっかけに社内の悪しき体質が変わってくれることを心の底から望んでいます」と話しているが、これを読む限り「臭いものにはフタ」をする銀行という組織の体質は変わっていないと思わざるを得ない。 だが、「事件」から2カ月以上がたっている。警察がこの件をどう処理するのか、気になるところではある。続報を待とう。 文藝春秋が『永久保存版 高倉健 1956-2014』を出したが、その中に、健さんの養女になった小田貴(50)さんが文章を寄せている。 文春がその抜粋を掲載。18年間健さんのそばにいて、最期を看取った貴さんの言葉を紹介してみよう。 悪性リンパ腫が判明し、昨年4月から100日間の入院を余儀なくされたとき。 「高倉は担当医に『先生、何もしないとどうなるんでしょうか?』と、冷静に問いました。教授が答えて下さいました。『死にます』。それまで帰ろう、帰ろうと入院を嫌がった高倉でしたが、『人間いずれは死ぬんだけど、まだ、死ぬわけにはいかないんですよね。仕事があるんです。じゃ、お願いします』とそれまでの抵抗が嘘のようにあっさり治療を承諾したので、皆、拍子抜けしました」 入院中は、 「夕食の献立として最も喜んだのは、大量のガーリックチップを添えたフィレステーキ。グリーンサラダとフルーツとともに満足の笑顔が戻る時でした」 病状が急変したのは11月9日のこと。 「苦しい呼吸の中、一生懸命言葉を発し続けてくれました。最後に聞きとれたのは、『慌てるな、慌てるな』でした」 目を閉じた顔は安らかだったという。 「2014年11月10日午前3時49分。担当医による告知。モルヒネが使われることなく、高倉は自分の力で生き切り旅立って参りました」 先日、現代に載っていた健さんが好きだったというアップルパイを注文して食べてみた。林檎の甘みを生かした、上品な味だった。 現代には、12年11月22日に早稲田大学で高倉健が「授業」をしたときのグラビアが掲載されている。 これは健さんと付き合いのあった、毎日新聞客員編集委員で同大学大学院非常勤講師の近藤勝重氏が受け持つ授業を、健さんが受講したいと言ってきたことから実現したそうだ。 学生の数は15人。幸せな奴らだ。この日は文章論と演技論を絡めて話をしたと近藤氏は話している。 続けて、健さんが学生たちの質問に答える「特別講義」になった。 「近藤さんから(流浪の俳人だった)山頭火の句をいただいて、これがまたいい句でしてね。 〈何を求める風の中ゆく〉 たぶん山頭火はダウンコートをもっていたわけじゃないと思いますから、つらかったと思いますよ。でも、何かを求めて行ったんですよね。何を求めたかということ。これが一番大事なんです」 デ・ニーロ主演の映画『ディア・ハンター』についても熱く語り、こうも言っている。 「国がやった間違いを書かないとジャーナリストはたぶん駄目なんだと思いますよ」 その通りだね、健さん。 その健さんと、一時期付き合っていたと告白した女優・児島美ゆきのヌードを、現代は袋とじにしている。 2003年のものだというから、健さんと付き合っていた時期からだいぶ後になる。50代初めの彼女は、体も顔もやや衰えが目立つ。こういう体が好みだったのか健さんはと、ややガッカリ。 これだったら、ポストの酒井法子のSEXY写真のほうがいい。これは撮り下ろしだというから、彼女は40代半ば。表情、体も魅せる。 お次は、アサ芸ならではの独占カラー撮影。1月25日に開かれた、山口組「創立百周年記念式典」の一部始終だ。 親戚・友好12団体の親分衆を招いて行われた式典は華やかで、司忍六代目は今年の組指針に「温故知新」と「時を翔ぶ」を掲げたという。振る舞われた焼酎には、その言葉の隣に江戸時代の陽明学者、熊沢蕃山の作と伝えられ、田岡一雄三代目組長が座右の銘としていた、「憂きことの尚 この上につもれかし 限りある身の力ためさむ」の歌が描かれていた。 グラビア1ページ目には司六代目が大きく映っているが、さすがに貫禄がある。次のページからは式典の一部始終が掲載されている。 そして式典から2日後の1月27日は、銃撃されて死亡した竹中正久四代目の祥月命日であった。その墓前に手を合わせる司六代目の姿もある。 山口組の今を語る上で欠かせない特撮&特集であろう。 さて、国外だけではなく国内でも暗い事件ばかりが続くのは、日本という国が下り坂を滑り落ちている証拠なのだろうか。 19歳の女が77歳の女性を惨殺した事件は、ノーベル賞受賞者を輩出した名古屋大学の現役大学生という点でも驚かされた。多くの雑誌で特集を組んでいるが、やはり“事件の新潮”と言われているだけあって、新潮の記事が読み応えがある。 それに新潮は、他誌が少年法を遵守して匿名なのことにも異を唱え、名大理学部1年生の実名を出している。2000年2月に出された大阪高裁判決で「社会の正当な関心事であり凶悪重大な事案であれば実名報道が認められる場合がある」との判断が下されているのに、他のメディアはなぜ出さないのかという問題提起だ。 私が現役の編集長だったら、どうしただろう。「人を殺してみたかった」という犯行動機は許されるものではないと私も思うが、各誌を読む限り、この女は以前から相当病んでいたようだ。今のところ、別の殺人事件に関与しているとも思われないから、匿名にするだろう。よって、ここでも実名は伏せておく。 この女と被害者・森外茂子さんとの接点は、森さんが新興宗教「エホバの証人」(ものみの塔聖書冊子協会)の古参信者で、昨年10月に勧誘がきっかけで知り合ったという。 2人は急速に仲良くなったようだが、12月7日、女子大生が自室に森さんを請じ入れ、斧で背後から殴りつけた後、森さんのマフラーで首を絞め、遺体を浴室に置いたそうだ。 森さんの捜索願が出され、仙台市の実家に帰っていた女子大生に県警が連絡し、アパートに戻ってきた彼女に千種署署員が部屋を見せるようにいったところ拒んだため踏み込み、浴室で森さんを発見した。 仙台市青葉区で暮らす両親の家は豊かで、彼女のピアノの腕前は、母親がコンクールにも出られるほどの腕前だと話すほどだという。 だが、中学時代から斧やカッターナイフを所持し、友だちの飼っている猫に向かって「これで尻尾を切ったらどうなるんだろう」と言ったり、彼女の周辺で猫の変死が相次いで起きたことがあったという。 高校ではクラスの男子生徒が突然視力を失い、杖なしでは歩けなくなる状態になった。かろうじて失明は免れたが、今でも障害が残っているそうだ。その症状からタリウム中毒の疑いが濃厚で、今回の事件後の女のアパートからも、タリウムと思われる薬品が押収されたといわれる。 酒薔薇聖斗やタリウムで母親を殺そうとした少女を好きだとツイートし、「日常を失わずに殺人を楽しめることが理想なんだと思う」「名大出身死刑囚ってまだいないんだよな」ともツイートしていたそうだ。 こうした、「殺すのは誰でもよかった」殺人が増えるのはどうしてなのだろうか? だいぶ前に言われた、「衝動殺人」とは違うようだ。こうした犯罪を事前に抑止する意味でも、彼女の取り調べや精神鑑定の結果などを公表し、社会全体で考えていくことは必要であろう。いたずらに少年法で守り、すべてを闇に葬ってしまっては、こうした事件の再発を防ぐことはできないはずだ。 今週も各誌は後藤さんの死について、さまざまな角度から取材している。文春は実兄の後藤純一さん(55)の「慟哭手記」を巻頭に掲載している。 弟の死を受け入れざるを得ない動画を見て「覚悟はしていたはずなのですが、その後は虚無感だけが襲ってきました」と話している。 健二さんが行方不明になっているという連絡(どこからとは書いていない)があったのは、昨年11月7日だったという。 8歳下の弟の子どもの頃は「丸顔で本当に可愛かった」こと、高校時代はアメフトをやっていたが腰を痛めて辞めたこと、法政大学中にアメリカのコロンビア大学に語学留学してジャーナリズムに関心を持つようになったこと、テレビの制作会社を経て自分の会社を作ったが、仕事がなかったため、彼がやっている学習塾で英語を教えていたことなどを語っている。 仲間のジャーナリストに話を聞くと、普段は慎重に綿密な取材計画を立てて行動する弟が、なぜ今回に限って焦ってシリアに行ったのか。「今まで無事でいられたことによる自信過剰というか、慢心があったのではないか」と自らに問いかけている。淡々としてはいるが、兄の悲しみが心にしみ入ってくるインタビューである。 さらに文春は、この事件のさなかに徳島県の30代男性がとんでもない画像をツィッターに投稿して、大きな騒動になっていると報じている。 「十四世紀に編纂されたペルシャ語による歴史書『集史』。ここにはキリスト教三大天使のひとり、ガブリエルがムハンマドに天啓を授けている図を表した絵画が掲載されているのだが、問題画像はこれを加工し、ガブリエルがムハンマドの額を打ち抜いている姿にしてしまっているのだ」(文春) ネット上で「このコラージュはさすがにマズいだろう」という意見が広まり、ハンドルネーム「ゆき氏」の犯人捜しが始まった。あっという間に実名、徳島市内の自宅住所、アルバイト先などが晒されてしまったというのである。 そしてアラビア語のハンドルネームを持つ者たちから怒りを込めた「殺害予告」がTwitter上に投稿されたという。 だが、文春によれば、これはどうやら「ゆき氏」というハンドルネームからたどり、それと共通点のある人間の情報を各々が無責任にネットに投稿したので、真の画像投稿者は別の「30代の男性」(徳島県警警備部公安課)だというのだ。これだからネットは怖い。 文春がさらに取材を進めていくと、このハンドルネームを最近使っていたのは徳島県内の10代の女性だという情報もあり、事態はより複雑だという。だが、それはさておき、このような画像を投稿するバカのおかげで、30代の男性の自宅や、間違われて実名を出されてしまった人の自宅周辺も県警の捜査員が警戒中だという。こういう下劣な画像を上げた人間に、言論・表現の自由を言う資格はない。 新潮は、これから誘拐の危険が高まる海外リゾートや、テロのリスクがある国内施設について触れている。 まず海外では欧州や中東よりも「むしろインドネシアのバリ島など、東南アジアのリゾート地だと思います」と話すのは軍事ジャーナリストの黒井文太郎氏。東南アジアには、狂信的なイスラム原理主義者が多いからだという。 国内では、渋谷のスクランブル交差点など人の多く集まるところは要注意だろうが、警視庁公安部外事三課の捜査員は、02年に都内に住むパキスタン国籍の人間を入管法違反で逮捕したが、その交友関係から大変な資料が出てきたと言っている。 その人間は、アルカイダのナンバー3の指揮下にある米国オフィスと頻繁に連絡を取り合っていたそうだが、出てきたのは0系から800系に至る新幹線の写真だったという。 「やつらがテロ対象として新幹線に強い関心を抱いていたのは間違いありません」(同捜査員) 新潟の柏崎刈羽原発や福井県の大飯原発など、複数の原発施設の写真も出てきたそうだ。 想像したくもないが、日本はテロリストたちにとって、やりやすい国であることは間違いない。そうした日本が、テロリストの標的にならないように「国民の安全と安心」を守るのがトップの役割であるはずだが、安倍首相はそれをわかっているのだろうか。 国会の答弁を聞いている限り、その覚悟は伝わってこない。「テロに屈しない」と言うだけで、今回の人質事件の詳細な経緯も「特定秘密」に当たる恐れがあるからつまびらかにできないのでは、政府がどのような対応をし、どこが間違ったのかの検証すらできないではないか。 第一、湯川遥菜さんはもちろん、後藤さんまでもが人質になっている情報をつかんでおきながら、中東歴訪中に「イスラム国と断固戦う」と強調する演説を行い、資金援助を表明したのはなぜなのか。これがイスラム国側の怒りを駆り立て、要求をエスカレートさせたのではないのか。 まずは安倍首相の責任を国会で明らかにし、野党がそれを十分にできないのであれば、もの言わぬ新聞、もの言えぬテレビに代わって週刊誌が「徹底追及」すべきである。 現代とポストはそこのところを衝いた特集を組んでいる。 現代は今「安倍総理に異を唱える輩は、テロリストの肩を持つのと同じだ」と決めつける空気が生まれつつあることへの危惧を呈し、2人の犠牲に報いるためには、安倍総理の対応の何が間違っていて何が正しかったのかを冷静に分析することだと書いているが、それはその通りである。 だが、安倍総理は13日間も公邸に泊まり続けたが、実際にできることはほとんどなかったはずだとする。 そして安倍が「『テロに屈しない』という信念で行動するなら、それは必ず相応の『結果』を招くことになるでしょう。今回の人質事件が、そのことを証明しています」(フィナンシャル・タイムズのデイヴィッド・ピリングアジア総局長) ピリング氏はさらにこう言う。 「安倍総理の上げる気炎は『口だけ』、それどころか『憲法改正のために今回の悲劇を利用しようとしている』と受け止められても仕方がない」 結局、冷静に考えても「自らの選択によって失われる日本国民の命を、その人の想像を絶する痛みと苦しみを、引き受ける覚悟は安倍総理にはあるのだろうか」(現代)という結論になってしまうのである。 現代は、イスラム国によって火あぶりの刑になったヨルダン軍パイロットの処刑のシーンを、4枚の組み写真で見せている。これを掲載する是非はあるだろうが(ポストも一部を載せてはいるが小さいのでわからない)、これを見ただけでも、この連中の鬼畜のような残酷さを嫌というほど思い知らされる。 こんな奴らと戦うには、口先ではない真の覚悟を示す言葉で国民に語りかけなければ、国民の心を動かすことはできはしない。 ポストは安倍の不用意な言葉がイスラム国を刺激して2人の人質の悲劇につながり、これからは海外在留邦人約126万人、中東にはざっと1万人が生活しているが、その人たちの生命が危険な状況に置かれたと難じている。 ポストは昨年11月中旬時点で外務省関係者から「後藤氏がイスラム国に拘束された疑いが強い」という情報を得ていたのに、岸田外相が拘束されたことを把握したのは12月3日だったと言い張るのは「人質が取られたのを知りながら解散で空白をつくった」という批判をかわすためだと断じる。 安倍が「罪を償わせる」と発言したことで、日本は米英からテロとの戦いのメインプレイヤーに仕立て上げられようとしていると批判している。 カンナクズのように、ペラペラと口だけ番長のような中身のない言葉をまき散らす総理のおかげで、日本人全体がテロの脅威に怯えなくてはならなくなったことは間違いない。 現代は後藤さんが残した言葉を紹介するモノクログラビアを組んでいる。『もしも学校に行けたら』の中にこういう言葉がある。 「“本当の平和”とはいったいどんなものなのでしょうか?」 本当の平和は、積極的平和主義などから出てきはしない。 最後に、池上彰氏のコラムにある言葉を紹介しておこう。 「こうして見ると、単なる無頼の徒に見える『イスラム国』も、彼らなりの法律規範にもとづいて行動していることがわかります。でも、いまから1000年近く前の戦争の規定を、そのまま現代に適用しようという時代錯誤ぶり。それで後藤さんが犠牲になる。悔しい」 戦争は、お互いの正義から生まれる。英米のお仕着せの正義を振りかざしていては、テロとの戦いは永遠に終わらないということを、安倍首相は知るべきだ。 (文=元木昌彦)
今週の注目記事 ・日本人人質関連記事 「よく頑張ったよ、後藤健二さん」(「週刊現代」2/14号) 「安倍官邸と大メディア『政府批判は“非国民”』恐怖の盟約」(「週刊ポスト」2/13号) 「『イスラム国残虐映像にすくんだ平和『日本』」(「週刊新潮」2/5号) 「後藤健二さん書かれざる数奇な人生」(「週刊文春」2/5号) 「完全ドキュメント イスラム国に翻弄された安倍官邸24時」(「フライデー」2/13号) ・「北朝鮮人民軍にゲイ・カップル激増中 衝撃キス写真」(「フライデー」2/13号) ・「母と娘、そして祖母と孫 私たちが家族でAVに出るワケ」(「週刊ポスト」2/13号) ・「すきやばし次郎の次男『尻を握る』セクハラ裁判勃発」(「週刊文春」2/5号) ・「巨人ドラ1小林誠司とポスト・カトパン宮澤智アナ『連泊密愛!』」(「フライデー」2/13号) ・「『ピケティ』来日の折も折『21世紀の資本』重要データに間違い発見」(「週刊新潮」2/5号) ・「錦織圭とコーチが受けた『人種差別』」(「週刊現代」2/14号) 今週もイスラム国の人質事件のニュースでほぼ持ち切りだから、ほかには順位をつけるほど目ぼしいものはない。よってイスラム国関連以外は順位をつけず、「面白い順」に並べてみた。 テニスの全豪オープンは第1シードのノバク・ジョコビッチ(セルビア)が第6シードのアンディ・マリー(英)を7-6、6-7、6-3、6-0で破り、2年ぶり5度目の優勝を飾った。 錦織圭は準々決勝で前回大会の覇者・バブリンカに敗れ、残念ながら4強には入れなかったが、戦いぶりに安定感と自信がついてきたことが見て取れた。 日本では彼の健闘に拍手を惜しまなかったが、現地では少し違う反応だったと週刊現代が報じている。 「アジア人としてはよく頑張ったね」というものだそうである。米スポーツ誌「スポーツ・イラストレイテッド」でテニスを専門に取材しているジョン・ワーサイム記者はこう話す。 「日本では大人気だと聞いていますが、正直に言って、錦織は海外のテニスファンの心はまったく掴んでいません。というより、誰も錦織に興味がないんです。(中略)では、なぜ錦織の試合が喜ばれたか。それは彼が負けたからでしょう。欧米人は自分たちのスターに懸命に立ち向かった末に敗れる、いいアンダードッグ(負け犬)が大好きなんです」 これを「人種差別」だと言っていいのか私には疑問だが、13年の全仏オープンで地元フランス選手と戦った錦織が大ブーイングを浴びたりしたことはあった。 こういうことはテニスだけではなく、サッカーでもよく見られることだ。そうしたアウェイでの戦いに勝ち抜かなくては一流の選手とはいえないだろう。 だが錦織は、これまで性格的におとなしく、格上の相手と対戦すると飲み込まれてしまうことがよくあった。その彼の弱味を見つけ出し、徹底的に精神的にも鍛え上げたのが、今のコーチのマイケル・チャンである。彼はアメリカ生まれだが、両親は台湾からの移民だった。兄のカールがいう。 「悲しいことだが、アメリカではアジア人に限らず、白人以外はみなある程度の差別を受けるんだ。たとえ才能があっても、それは免れない。弟のマイケルも、『絶対に成功しない』と言われ続けたよ」 しかし、そんな偏見がマイケルの闘争心に火をつけ、誰よりも強いメンタルを作り上げ、17歳3カ月という史上最年少で全仏オープンを制覇するのだ。 世界ランクも2位にまで登り詰める。だが、それほどのチャンでも、コートを駆け回る姿についた渾名は「バッタ」「ドブネズミ」だったという。 そんなチャンが錦織に言い含めるのは「たとえフェデラーだろうと、お前の道を邪魔する奴はすべて敵だ」ということだ。自分を信じ、勝つのは自分だという強い気持ちを持たなければ、世界のトップには立てない。 いまやテクニックだけではなく精神的にも強くなった錦織が、些細な偏見や差別にへこたれることなどないはずだ。現代の記事はまったくの杞憂に終わるはずである。 トマ・ピケティ氏(43)が来日した。あちこちで講演会をやっているが、大変な人気だそうだ。『21世紀の資本』(みすず書房)は、5,940円という高額にもかかわらず13万部も売上げ、世界では130万部を超すそうだ。 ノーベル経済学賞を受賞したポール・クルーグマン氏が「この10年で最も重要な経済学書」と絶賛し、甘いマスクがさらに人気を高めている。 私は読む気にさえならないが、新潮によれば「各国で問題化している貧富の格差は、資本主義がもたらす必定で、このままでは格差拡大は止められない」というものだそうな。さほどすごい発見でもなさそうだが、大量のデータをもとに格差拡大を立証したことが評価されたらしい。 この問題の解決策は、富める者の資本に累進課税的な重い税を課して、貧しき者に分配することだというが、当然であろう。 少し前までの日本では「売(う)り家(いえ)と唐様(からよう)で書く三代目」とよくいったものだ。私の子どものころ、家の周りにも「お屋敷」といわれる広い敷地をもつ由緒正しい金持ちたちがいたが、今はそこを切り売りしたか、マンションや同じような戸建てが並んでいる。相続税が払えず、土地を物納した人もいる。今は家屋敷ではなく、紙っぺらが価値を持つから、資産家はますます富み、こちとらビンボー人はいつまでたってもビンボー人のままだ。 このモテモテのピケティ氏だが、彼の本にあるデータに間違いが多くあり、捏造疑惑まで出ていると週刊新潮が書いている。だが、ピケティ氏はひるまず、改善の余地はあるが、広い意味での結論は変わらないとコメントしているそうだ。 霧島和孝城西大教授は、この本は学術界で「ディスカッションペーパー」といわれるもので、間違いを指摘してもらって改定しながら研究に磨きをかけていけばいいという。STAP細胞と違って結論がしっかりしているのだから、いいじゃないかというわけだ。結論が当たり前すぎると思うのは、私だけなのだろうか。 お次は、久しぶりのフライデー。その前にチョッピリ苦言を。表紙は「小さな下着とピッチピチ揺れビキニ」の柳ゆり菜という女の子の、ほぼ裸の写真。私のような厚顔無恥な人間でさえ駅の売店で買うのが恥ずかしくなるのだから、普通のサラリーマンは手を出さないのではないか。 そのくせ、いつも言うようだが、トップ記事は毎週政治批判記事だから、女の子の裸を見たい読者も引いてしまうのではないか? この雑誌の編集長は部数を伸ばしたくないのか、それともどうなってもいいと開き直っているのだろうか。心配だ。 さほど大ネタとは思わないが、14年のドラフト1位で巨人に入団したイケメン人気捕手、小林誠司(25)が美女と連夜のお泊まりだという張り込みが袋とじだ。 深夜、スーパーマーケットで買い物を終えた小林はポルシェを駆って美女をピックアップし、自宅マンションへ。翌日、小林が美女を「後部座席」に乗せてお出かけ。 その美女とは、フジテレビの人気アナ・宮澤智(24)。彼女は早稲田大学時代から『PON!』(日本テレビ系)でお天気お姉さんを務め、セクシーDVDを出すなどタレントとして活躍していたそうで、入社して半年で『すぽると!』に抜擢されるなど、ポスト・カトパン(加藤綾子)の一番手と見られているという。 小林とは取材で知り合ったのだろう。先週の週刊ポストが「読者が好きな女子アナ2015ベスト30発表」をやっていたが、1位は水卜麻美、2位が有働由美子、3位が私が一押しのNHKの井上あさひ、4位が加藤綾子で、5位が夏目三久。残念ながら、宮澤は30位にも入っていない。ポスト・カトパンは看板に偽りあり? さて、寿司好きなら「すきやばし次郎」を知らない人はいないだろう。私も何度かカウンターに座って(小野)二郎さんに握ってもらっているが、魚がいいのはもちろんだが、飯と酢の配合が絶妙で、口に入れたときふわ~っと広がる握り具合も見事である。 しかし二郎さんも89だから、現役で握り続けるのはそう長いことではあるまい。寿司の神様の味を継ぐのは誰なのか? 私は「すきやばし次郎」の味は一代限りだろうと思うが、彼には六本木ヒルズ店をやっている次男がいる。 現在53歳だが、そこそこ寿司の評判はいいようだ。だが週刊文春によれば、そこで働いていた30代の従業員の女性に、執拗なセクハラをしていたとして、訴訟を起こされているというのである。 体を触る、クルマの中でキスや関係を迫るなど、目に余るものがあったという。彼女が「レンジでチンして」と言うと、「チンでもマンでもいいから早くしろ」などと卑猥な冗談を飛ばしていたというし、2人きりの時「オレは自分がイクことをコントロールできる」「仕事で信頼関係を築くために一回は寝てみてもいいんじゃないかなぁ」などと言っていたという。 次男は「セクハラのセの字もない」「一般論としていっただけ」だと反論しているが、読む限りは分が悪そうである。 二郎さんも若いときはモテたと思うが、女遊びはともかくセクハラはしゃれになりませんやね。 だいぶ前になるが、AVビデオを集めていたことがある。日本のものはもちろんだが、海外に行くとその手の店に行き、ごっそり買ってきては友だちに配ってあげた。 その当時は、やはり若い子が中心だったが、しばらくして熟女ブームというのがAVにも押し寄せ、元アイドルのおばちゃんたちが、たるんだ腹をぶるんぶるんさせながらのセックスシーンは、なかなか哀感もあり何本か買い求めて眺めたものである。 だが週刊ポストによると、今は母と娘が共演するAVや祖母と孫が出るAVまで出回っているそうである。 母親・藤本まやさん(53)と娘・さやさん(31)が出ている『奇跡の共演! 本物母と娘。』では、娘の前でM字開脚を強いられ、局部を電動マッサージで攻められるまやさんと、それを切なげな表情で見るさやさんの迫真の演技がいいらしい。 まやさんがAV出演のきっかけをこう話す。 「さやが18歳の時にAVデビューして、その世界のことを聞かされていたのであまり抵抗がなかったんです」 娘のほうもこういう。 「子どもの頃から性にまつわることを母と話すのは普通だったんです。付き合った男は全部紹介したし、中3で処女を喪失したときは一番に報告しました。AVデビューした時も、『プロとして恥ずかしくないように頑張りなさい』っていって背中を押してくれました」 写真で見る限り2人とも「美形」ではないが、フツーの母と娘がセックスするからいいのかもしれない。 もうひと組は、76歳と26歳の組み合わせである。2月20日にリリースされるのは『76歳お婆ちゃんAVデビュー 美月よしの』。祖母のよしのさんは、孫のあやなさんがAVの仕事で楽しそうなので、私も10年若かったら出てみたいなといったことがきっかけだったという。 若い男と騎乗位で腰をくねらせるシーンもあるそうだが、彼女はこれまで正常位しか経験したことがないので、初めてだったそうだ。 ポストによれば、こうした「家族共演」はますます増えていくそうだが、怖いもの見たさで買って見てみようか。 お次はフライデーのちょっと面白い記事。北朝鮮の人民軍に「ゲイのカップルが激増」しているというのだ。 写真は2人の人民軍の兵士と思われる男同士が抱き合って唇を重ね、1人の男の手が相手の下半身に伸びていくところを4枚の組み写真で見せている。 これは、北朝鮮と韓国の境界線に設置された監視カメラが捉えたものだという。デイリーNKジャパンの高英起編集長によれば、北朝鮮には満14歳になると11年間の兵役義務があり、10~20代の青春期を女性と接することのない男社会で暮らすので、性の対象が男に向かっていくのだという。 2010年に韓国で大ヒットしたゲイが題材のドラマ『美しい人生』は北朝鮮でも人気で、人民軍内にも海賊版のDVDが出回っているそうだ。 11年の兵役義務というのはすごく長い。もしそうだとすると、あと何十年かすると北朝鮮の人口も減少に転じるかもしれない。 ところで、朝日新聞で池上彰氏の「新聞ななめ読み」が再開された。慰安婦報道の間違いを朝日新聞が長年正さなかったのは、 「朝日新聞は、日本の大企業にありがちな、典型的な誤りを犯したのではないかと考えています。それは『問題の先送り』です。ここで私が想起するのは、バブルがはじけた後、不良債権が積み上がるのを見ながら、何もしないで処理を先送りしてきた日本の金融機関の失敗の数々です」 と書いている。こうした問題を先送りするやり方は何も大企業だけではなく、日本中に蔓延している日本病とでもいうべきものである。 さて、イスラム国による後藤健二さんと湯川遙菜さん人質事件は、最悪の結末を迎えてしまった。 そうはいっても2人の遺体が発見されたわけではないから、生存の可能性はあるのではないかと考える自分がいるのだが、儚い願いなのであろう。 多額の身代金要求から湯川さん殺害、後藤さんと交換にヨルダンに収監中のサジダ・リシャウィ死刑囚の釈放と、イスラム国側は日本政府の対応のまずさをあざ笑うように要求を次々と変えてきた。 私は1月31日の夜に、ヨルダン政府がイスラム国に拘束されているヨルダン軍パイロット・カサスベ中尉の安否が確認されなければリシャウィ死刑囚を釈放しないと発表した時点で、この交渉は難しい局面に入ったと思わざるを得なかった。 イスラム国対ヨルダンという構図になり、日本が出る幕はなくなった。あるとすれば、後藤さんに対する身代金として多額のカネを払うことしかない。たぶん水面下ではそうした交渉が行われているのだろうと思っていたが、イスラム国はわれわれの願いを無視して、後藤さんの命まで奪ってしまった。 このような理不尽な蛮行が行われる世界を、われわれ日本人も生きているということを、嫌というほど思い知らされた痛恨事である。2人の悲報に接した、ご家族や親類、友人たちの悲しみを思うと、これ以上書き進めることができなくなる。 あのような奴らを人間の皮を被った獣というのであろう。奴らがどんなに高邁な理想に燃えて国づくりをしていようと、この残虐行為を絶対許すわけにはいかない。 それは「テロに屈しない」などという、薄っぺらなお題目からではない。オバマや安倍がどんなに相手を非難しようと、こうしたテロの連鎖を拡大してきた責任は彼らにもある。 湯川さん、後藤さん、2人の霊に跪き、われわれもオバマも安倍も許しを請うべきであろう。そして二度とこのような悲劇が繰り返されないためにはどうしたらいいのか、衆知を集めて考えるべきときである。 週刊誌も多くのページを割いてこの事件を報じているが、事件の進展が早く、後手後手に回ってしまっていて、残念ながらこれはという記事は見当たらない。 わずかに、このところこの事件について核心を突いた報道で気を吐くポストが、メディアの責任と「人質解放交渉」の裏側を報じているのが目についただけだ。 ポストは野党も最初から安倍批判を封印し、「安倍首相の中東歴訪がテロリストを刺激し、今回の事件を招いたかのような、的外れの政権批判が野党の一部などから出ていることだ」(読売新聞1月23日付社説)「事件は首相の歴訪が招いたものとの批判があるとすれば、誤りだ。卑劣なテロによって評価が左右されることはない」(産経新聞1月22付社説)のように、安倍政権の御用新聞が、安倍首相の責任逃れに荷担したことを難じている。 これでは9・11以降、アメリカのメディアがブッシュの戦争に異を唱えることなく、沈黙するか諸手を挙げて賛同したのと同じではないか。 少なくとも、これだけは確かだ。湯川さんはもちろんのこと後藤さんが人質になっていることを、安倍首相は中東歴訪以前に知っていた。しかし、身代金の件を含めて、イスラム国とのパイプ作りや裏交渉を十二分にした形跡はない。 しかも、情報を知りながら中東歴訪で「イスラム国と断固戦う」と強調する演説を行ったのはなぜなのか? これがイスラム国側の怒りを駆り立て、要求をエスタレートさせたのではないのか? 2人だけではなく、今後中東にいる多くの日本人の命を危険にさらすことになるのではないか? こうしたことへの安倍首相の責任を追及することは、政治家としてメディアとしての重要な役割であることは言うまでもない。 一部を除いて、こうした国を揺るがしかねない事態が起こったとき、新聞、テレビが政権批判を自主規制し、何が行われているのかを取材すらしないことが白日の下にさらされたのだ。 また、ポストによれば、一昨年の英国サミットで安倍首相が署名した首脳宣言には「テロリストへの身代金を拒否する」ことが盛り込まれていたため、イスラム国へ直接身代金を払うことはできず、ヨルダンへの経済援助という形をとることが検討されたという。 しかしイスラム国のほうが一枚も二枚も上手で、ヨルダンをかませることで身代金も死刑囚の釈放も手に入れようとしたのだと、国際政治アナリストの菅原出氏は見る。 現代によれば、湯川さんとの交渉で、身代金として払えばFRB(米連邦準備制度理事会)に嗅ぎつけられてしまうから、数億円の金塊を運ぶ案まで出されたという。だが、それは「湯川さんはすでに殺害されている」という情報が出たため、実現しなかったというのだ。真偽の程はわからないが、「カネで済めば」という考え方が日本政府にあったのは間違いないのかもしれない。 だが、日頃からの人的接触もルートもないままの裏交渉が、うまくいくはずはない。 文春ではアルジェリア系フランス人(26)と結婚した日本人女性(29)が2カ月前に出国。トルコ経由でイスラム国へ参加したのではないかと、娘の父親が話している。その他にも5人ほどがイスラム国の支配地域に入っているのではないかと公安関係者が語っている。こうしたイスラム国へ共鳴した人間たちが人質になるケースが、これから出てくるかもしれない。 今回のことで日本という国は外交には未熟で、カネだけで解決しようとする国だというイメージが定着すれば、これから第2、第3の人質事件が出てくるのは間違いない。 国会では安倍首相の責任追及とテロ対策を、徹底的に議論すべきである。 週刊誌に望むのは情緒的な安倍批判ではない。新聞やテレビにできない人質交渉の裏を取材、検証して、安倍首相の責任とイスラム諸国との関係を今後どうしていくのかを考える材料を提供することこそ、やるべきことだと思い定めてほしいものだ。 (文=元木昌彦)「週刊ポスト」2/13号
今週の注目記事 ・第1位「安倍は『イスラム国テロ』に『俺はツイてる』とほくそ笑んだ」(「週刊ポスト」2/6号) 「『イスラム国』から日本人に告ぐ!」(「週刊現代」2/7号) 第2位 「元航空自衛隊空士長が重大証言!『私は戦闘機パイロット試験の集団不正に手を染めた』」(「週刊ポスト」2/6号) 第3位 「被害元力士が壮絶体験を決意の告白『僕が受けた有名関取からのエアガン、乳首イジメ』」(「週刊ポスト」2/6号) 第4位 「本人はご不満!NHKニュースウオッチ9『大越キャスター』突然の交代人事に官邸の気配」(「週刊新潮」1/29号) 第5位 「『アベノミクスで給料が上がる』のはこの会社だ!」(「週刊文春」1/29号) 第6位 「『少年A』の手記出版を企図した『幻冬舎』への風当たり」(「週刊新潮」1/29号) 第7位 「日テレ『内定取り消しアナ』太ももセクシー写真がネット流出!」(「週刊ポスト」2/6号) 第8位「マクドナルド元マネージャーが懺悔告白」(「アサヒ芸能」1/29号) 第9位 「前代未聞大正大学55歳講師が全裸に!」(「アサヒ芸能」1/29号) 第10位 「ジャニーズ女帝 メリー喜多川 怒りの独白5時間」(「週刊文春」1/29号) 今週は、週刊ポストとアサヒ芸能が頑張っている。イスラム国による日本人人質問題が深刻な事態を迎えているが、それ以外にも読むべきものが多い。 まずは、文春のジャニーズ事務所の女帝・メリー喜多川氏のインタビューから。巻頭から「ブチ抜き10ページ」もやっているが、正直、この記事の重要性が私にはわからない。よって最下位の10位。 この内容をひと言で言うなら、事務所の後継者争いが話題になっているが、自分の娘の藤島ジュリー景子氏だと、メリー氏が断言したというのだ。 そんなことどうでもいいと思うのは、私が芸能界に疎いからであろうか。文春にとっては一大事、何しろメリー氏がインタビューに答えるのは約30年ぶり、芸能史に残る貴重な証言だと大声で呼ばわるのだが、何がそんなに貴重なのか読んでもわからない。 文春によれば、ジャニーズ事務所には後継をめぐる2大派閥があり、ひとつは先のジュリー氏、それとSMAPやKis-My-Ft2を担当するマネジメント室長の飯島三智氏だという。 国民的グループに登り詰めたSMAPの育ての親で、SMAPも慕っているそうだから、キャスティングに携わるテレビ局関係者にとっては、飯島氏の存在は大きくなっているそうである。 だが、芸能界きってのやり手であるメリー氏の力は絶大だ。「ジュリー以外に誰かが派閥をつくっているというのなら、許せない。飯島を注意します。今日、(飯島氏を)辞めさせますよ」と言い切る。 早速、メリー氏は飯島氏を呼びつけ、彼女は困惑しながらやってくる。その彼女にメリー氏はこう迫る。 「飯島、私はこう言いますよ。『あんた、文春さんがはっきり聞いているんだから、対立するんならSMAPを連れていっても今日から出ていってもらう。あなたは辞めなさい』と言いますよ」 まるで引責辞任を迫るような厳しい言葉。後継問題にケリがついた瞬間だったと、文春は書いている。 面白いのは文春が、ジュリー派の嵐と飯島派のSMAPが共演しないといわれているがと聞いたとき、じっと耳を傾けていたメリー氏がこう言い放つ。 「だって(共演しようにも)SMAPは踊れないじゃないですか。あなた、タレント見ていて踊りの違いってわからないんですか? それで、そういうことをお書きになったら失礼よ。(SMAPは)踊れる子たちから見れば、踊れません」 天下のSMAPも形無しである。しかも、メリー氏にとって事務所のトップタレントはSMAPではなく、今でも「マッチ(近藤真彦)」なのだ。 この記事は読者へのインパクトは弱いと思うが、事務所内、特に飯島氏とSMAPへ与える影響は大きいのだろう。SMAP独立か、という見出しが立つ日が来るのかもしれない。私にはどっちでもいいことだが。 9位の大正大学は、私が少し前まで客員教授を務めていた学校である。明治14年に天台宗大学が設立され、大正14年に天台宗・真言宗豊山派・浄土宗がこれに賛同し、宗教大学の学生を仏教連合大学(大正大学)に編入して、大正15年に大学令によって大正大学となった由緒正しい大学である。 今は宗教家になる学生は少なく、多くは普通の企業への就職を望む、少しおとなしいがいい子たちの集まる大学である。 アサ芸によれば、1月8日の午後3時、55歳の非常勤講師がキャンパスでいきなり全裸になったというのだ。その写真まで載っている。 このセンセイ、普段は温厚な人らしい。だが、21歳の女子学生と同棲中で、構内で口論しているうちに激高した女子学生に「私に信じてほしいなら、ここで裸になって」と要求され、裸になったというのだ。 この女子学生は情緒不安定なところがあり、従わないとどんなことをするかわからないからだというが、それにしても多くの学生が行き来するところで脱ぐとは、このセンセイの神経も疑いたくなる。 当然ながらこの御仁、学校に即日辞表を出し、受理された。大学側はこの女子学生の処罰は考えていないといい、「(二人には)幸せになってほしい」と話している。なんと優しい学校ではないか。ちなみにここの講師料は、ほかの大学に比べて比較的高い。非常勤講師に優しい大学なのである。 同じアサ芸で、マクドナルドの元マネジャーが「懺悔告白」をしている。彼いわく、厨房内でゴキブリを見るのは当たり前で、見つけるとバイトのスタッフがおしぼりで叩きつぶして、捨てた手を洗わずに仕事を続けていたなど、書くのも気持ち悪くなりそうな仕事現場について話している。 ポテトやナゲットを揚げるフライヤーの中にゴキブリが浮いていたことも珍しくなかったとも言っている。 現役のスーパーバイザーは、元マネジャーがいたころとは使う機械も違っているし、衛生管理を相当厳しく指導されるようになっているから改善されているはずだと答えている。 確かに、食べ物を扱う店にはゴキブリはつきものだ。ラーメン屋などはカウンターの上をゴキブリが這い回る店がいくらでもある。 ポストでビートたけしが、「おいらは浅草育ちだから、ゴキブリ入り焼きそばなんて驚かない」と語っているが、少々の汚さは我慢しなければ外食なんぞはできやしない。フレンチや高級和食店だって、裏に回ってみれば、そうきれいごとばかり言ってはいられないはずだ。 だが、マクドナルドの異物混入“事件”の難しさは、この件に対するトップの対応のまずさと、日本人のハンバーガー離れが進んでいることであろう。どうしても食べたいものではなく、安くて手軽だったから食べていたので、今ではマックがダメならすき家や吉野家があるのだ。マック危うしである。 日テレの女子アナ内定を取り消されたミス東洋英和・笹崎里菜さんは、見事裁判に訴えて和解を勝ち取り入社が決まったが、その彼女のセクシー写真がネットに流出しているというので、慌ててポストを読んでみた。 すわ夏目三久アナの二の舞いかと思ったら、それほどのことはないようだ。彼女を含めた女子学生たちが撮った写真がネットに上げられ、多少セクシーな笹崎さんの写真があったり、彼女と恋人とのアツアツのLINEでのやりとりがあるという話だ。 だが、ポストが突っ込みを入れているのは、彼女が20歳前に日常的に「飲酒」をしていた思われる写真と書き込みがあることだ。ポストで日テレ関係者がこう語る。 「数年前の案件だとしても、こちらは“清廉性”ではなく“違法性”の問題になりかねない。普通の大学生の未成年飲酒と違って、それこそ未成年の飲酒問題や飲酒運転による重大事故などのニュースを読む可能性のある女子アナとなれば事情が違う」 このことは、腹の虫が治まらない日テレ側がリークしたのかもしれない。だが、日テレ入社した後の彼女にとっては、大きなマイナス点になる可能性もある。笹崎さんの前途は、まだまだ多難のようである。 新潮が、幻冬舎が1997年に世の中を震撼させた少年Aの手記を出版しようと企図していると報じている。 神戸市須磨区で小学生が相次いで襲われ2人が死亡し、3人が重軽傷を負った事件だ。土師淳君(享年11歳)殺害容疑で当時14歳の少年Aが逮捕されたが、医療少年院に収容された後、2004年に仮退院している。 「出所後は、法務省OBの人間を中心におよそ10人の支援チームが結成され、彼の生活を支えてきました。現在でもサポート役がそばにおり、被害者の命日には毎年手紙を送っていますが、直接対面しての謝罪は、いまだ果たせていません」(さる司法関係者) 土師君の父親は、(出版のような)商業ベースでやることではない、まずは少年Aが自分の言葉で私たち家族に対して返事をしてくれればいいことで、その内容を人に見せないのは当然の礼儀だと話す。 一方幻冬舎の見城徹社長は、新潮のインタビューにこう答える。 「万万が一、予定があるとして、出したらいけないの? 彼は残虐な殺人を犯したけれど、法に従って少年院に入って、反省して出てきているわけでしょう。新たに犯罪を犯してもいないのに手記がダメなら、何のための法律ですか」 そう言いながらも、戸惑いは隠さない。 「遺族だ、被害者だって言うけれど、屁理屈だよ。元少年は毎年遺族に手紙を書いているわけだし……。君たちだって、いちいち被害者に取材しないでしょう。大体、手記を出したところで、売れないって」 売れないかもしれないが、話題にはなる。話題優先の出版社だけに悩ましいところであろうが、私だったらやめておく。 今週の5位は文春の記事。東京証券取引所に上場している大企業225社(日経平均採用銘柄)を対象に、内部留保の額ではなく、安倍政権が発足した12年からの「2年間の内部留保の増加額」を文春が調べてみたそうだ。 その上で上位50社を対象に、保有するキャッシュ(現預金+換金性の高い有価証券)の増減を調べ、内部留保が増え同時にキャッシュが増えていれば、賃上げ余力がより高いと考えたという。 結果は予想通りで、内部留保が増えた企業としては自動車業界が目立ったそうだ。またメガバンクも上位を占めた。 やや異色なのは、6位にソフトバンクが入ったことか。内部留保とキャッシュが共に1兆円以上増えた。しかし、有利子負債が10兆円もあるから、単純に利益が蓄積されたとはいえないと、金融担当記者が言っているが、その通りであろう。 過去2年間の内部留保の増加が1兆円以上増えた企業を1位から挙げてみよう。トヨタ自動車、三菱UFJFG、三井住友FG、みずほFG、三菱自動車工業、ソフトバンク。それ以降は本田技研工業、KDDI、日産自動車、東海旅客鉄道、日本たばこ産業、NTTドコモと続く。 だが、内部留保が増えたからといって、そこで働く人間たちの給与がすんなり増えているわけではない。安倍首相はアベノミクスで得られた利益を、賃上げやコスト高騰に悩む取引先企業への単価に適切に反映してくれと大手企業の経営者たちに言うが、まだまだ道遠しのようである。 これも朝日新聞1月23日付の藻谷浩介日本総研首席研究員の言葉だが、付記しておきたい。 「『日本では金融緩和が内需を拡大させない』ことをこの20年の現実から学び、中小企業に賃上げを可能ならしめる政策を工夫することこそ、本当の経済成長に向けた第一歩である」 週刊新潮は、NHK『ニュースウオッチ9』の大越健介キャスター(53歳)の3月末降板が内々決定したと報じている。 続投に異論はなかったようだが、昨年末の総選挙以降、雲行きが変わったという。それは大越氏が原発再稼働に「後ろ向き発言」をしたことがあるため、「官邸がこれを嫌気し、NHKに水面下で交代を求めた」(放送ジャーナリストの小田桐誠氏)そうだ。 後任の有力候補は、大越氏の1年後輩に当たる河野憲治国際部長だと新潮は見る。海外支局の経験もあり、マスクもいいそうだ。 だが、経験やマスクより危惧されるのは、安倍首相の言いなりの籾井会長の傀儡キャスターになるのではないかということだ。「視聴者のため」ではなく「安倍首相のため」のNHKに完全衣替えでは、なんのための公共放送なのか?本気で受信料を払うのをやめることを考えるときが来たようだ。 第3位は、ポストお得意の大相撲批判。北の湖理事長も所属する出羽海一門の千賀ノ浦親方(元関脇・枡田山)の部屋の唯一の関取・舛ノ山(十両)が、若い力士を殴ったり、かみついたり、エアガンで撃ったりと、すさまじいイジメをしているというのである。しかも、そうした暴行を受けていたのを親方は知っていたはずなのに、なんの対応もしなかったというのだ。 また、こうした被害を受けた力士の保護者が相撲協会の危機管理委員会に連絡したところ、「息子さんが強くなって、上に上がればそういうこと(イジメ)はなくなりますよ」と言われたそうである。 この委員会は、12年に起きた相撲界の数々の不祥事を予防し、再発防止のために設けられたものだが、これではどこまで真剣に取り組んでいるのかわからない。この保護者が親方に直談判したときも「舛ノ山が次にこのようなことをしたら、すぐに引退させる」と言ったのに、その後、音沙汰なしだという。 白鵬が大鵬の記録を抜いて盛り上がる大相撲だが、相撲界の悪しき体質はいまだ変わっていないということだろう。これでは、07年に起きた時津風部屋の死亡事件のようなことが再び起こるのは間違いない。 お次もポストの記事。ポストによれば、日本領空に接近した軍用機などに対して航空自衛隊戦闘機が緊急発進した回数は、昨年度だけで810回もあったという。 高度な技術を要求されるパイロットだが、その中に「乗る資格があるか疑わしいパイロット」がいると、昨年まで青森県の航空自衛隊三沢基地にいて空士長を勤めていた人間が告発している。 三沢基地は空自唯一の日米共同使用航空作戦基地で、戦闘機F-2が常駐している日本の北部防衛の要だ。 パイロットには年に1度課される試験がある。1つは計器飛行証明試験。もう1つが、特定の戦闘機の装備や操縦方法、整備方法、作戦の把握や管制塔との英語での交信といったパイロットしての基礎能力を確認するための試験だ。しかし、くだんの人間が言うには、試験会場がなく、問題用紙と解答用紙をパイロットに渡して、空いている部屋で問題を解かせるそうだ。 また、佐官クラスなどある程度の幹部には「参考資料」という名目で模範解答のコピーを渡していたという。これでは、落第する人間などほとんどいないのは当たり前であろう。 落第すると、航空手当がなくなる。手当は本給の80%もあるそうだから、死活問題である。だからといって、重大事故につながりかねない試験をおろそかにしていいはずはない。 彼は「国防を担う人間が、不正をしていいわけがない。私は罪の意識に押しつぶされそうになり、昨年、航空自衛隊を辞めることを決意した」という。 だが、警務隊に告発文書を出すと、複数の幹部に囲まれ脅かされたという。そこで、三沢基地を所管する北部航空方面隊に内部通報して辞職する。 ポストの取材に航空幕僚監部は、告発文が来ていることは承知しているが「不正の事実はなかった」と返答している。由々しき問題である。ポストは、この問題はこれからも追及し続けていくべきである。 さて、イスラム国による日本人人質問題は安倍政権が右往左往している間に、湯川遙菜さん殺害というむごい事態となってしまったようだ。 先週発売の文春、新潮はもちろん、月曜日発売の現代、ポストも湯川さん殺害については締め切りの関係で触れられていないが、特にポストには新聞、テレビとは違う情報が載っている。まだ、湯川さん殺害の真偽や、後藤健二さんの映像が本物かどうかなど、謎の部分が多い今、事件を考える上で参考になるので、これを今週の第1位にした。 現代は、安倍首相の中東訪問をこう難じる。 「二人の日本人が人質に取られているであろうことを知ってながら、周辺の敵対国に2億ドルも支援すると発表すれば、イスラム国が騒ぎ出すのは自明の理です。(中略)安倍総理が唱える『積極的平和外交』『地球儀を俯瞰する外交』は、取り返しのつかない過ちを犯した。安倍総理はまさに、まんまと敵のワナにハマってしまった。今回は、日本政府の政策の過失によって日本人が巻き込まれた戦後初めてのケースですよ」(元レバノン大使の天木直人氏) かつてアフガニスタンで傭兵として働いたことのある高部正樹氏も、人質2人が虐待を受けていなかったのは、かなりマシな扱いを受けていたためで、日本を敵視していなかった証拠だと見る。だが、それが安倍総理の中東訪問をきっかけに「本気で身代金が取れると思い至った」というのだ。 また、イスラムに詳しい同志社大学客員教授の中田考氏やジャーナリストの常岡浩介氏が湯川さんを助けようと動いたにもかかわらず、日本政府は邪魔こそすれ、手助けを依頼することすらしなかった。 ポストはもっと手厳しい。安倍首相に「テロと戦う」などと言える資格があるのかと問う。 後藤氏がシリアに向けて出発したのは、昨年10月22日。後藤氏の妻に約10億円の身代金を払えというメールがあったのは11月初めだった。ポストはいち早くその情報を入手して動いたが、外務省が現地のシリア人を仲介役にして解放の交渉中なので、人命のために書かないでくれ、と言われたという。 だが、外務省は誰一人現地に入って救出に動いておらず、仲介者任せにしていたのだから「本気度は疑わしい」とポストは批判する。そして現代も書いているように、中田氏のような有力なパイプを持っている人間も使おうとしなかったのである。 身代金交渉は表に出れば難航するのは、これまでの人質事件でわかっていることだ。解決するなら水面下で敏速にやるしかない。もし多額のカネをテロ組織に払ったということが明らかになれば、国内だけではなく他国からも非難されることになる。 しかし安倍首相は、そうしたことを考えることなく、こう言ったそうだ。 「フランスのテロ事件でイスラム国がクローズアップされている時に、ちょうど中東に行けるのだからオレはツイている」(官邸関係者) さらに、中東支援の総額25億ドルについてもこう言い放ったそうだ。 「日本にとってはたいしたカネではないが、中東諸国にはたいへんな金額だ。今回の訪問はどの国でもありがたがられるだろう」 「テロは対岸の火事で、自国民の人質には一顧だにしないのが『積極平和外交』の実態だったのか」(ポスト)と言っているが、その通りである。 しかし、現地で情勢は一変し、イスラエルで記者会見に臨んだ安倍首相からは、自信の欠片もなかった。たちまち日本へ飛んで戻り、自分の中東訪問が2人の人質の生命を危うくしたかもしれないことなどおくびにも出さず、「テロと戦う」「テロには屈しない」などとうわごとのように言うだけである。 この政権の無策にもかかわらず、国民の多くが日本政府の対応に賛意を表しているのは、新聞、テレビがこの事件への政府の対応について、正確な報道をしていないからである。 国際政治アナリストの菅原出氏は、今回のイスラム国の出方で、他の過激派組織も日本を標的にしていいという認識が広がったとしてこう話す。 「こうなると日本政府が今から要求に応じれば国際社会から批判を浴びるし、中東に滞在する邦人の危険が高まる。日本政府は非常に厳しい状況に陥った」 日本人が人質になっていることを知りながら、その敵国へ行ってカネをばらまくという外交センスのなさと危機管理のできない安倍首相は、万が一、二人とも殺害されるという最悪の事態が起きたら、国民に向かってなんというのだろう。 官邸などにこもっていないで、トルコやヨルダンに乗り込み、自ら交渉役になってはどうか。起死回生は、それしかないのではないかと思うのだが。 (文=元木昌彦)
今週の注目記事 ・フランス銃撃テロ2本 「フランス銃撃テロ9つの禁忌(タブー)」(「週刊文春」1/22号) 「日本人は困惑する仏週刊紙の『下品な風刺画』と表現の自由」(「週刊新潮」1/22号) ・安倍首相もの3本 「安倍首相『がん専門医を主治医に登用』緊迫の舞台裏スッパ抜く」(「週刊ポスト」1/30号) 「新大河『花燃ゆ』と安倍首相&創価学会『ただならぬ関係』」(同) 「桑田佳祐と安倍晋三 どっちが歴史に名を残すか」(「週刊現代」1/31号) ・「マクドナルドの断末魔」(「週刊文春」1/22号) ・「『ジョギングし過ぎるとインポになる』衝撃研究」(「週刊ポスト」1/30号) ・「アベノ円安で大挙襲来 中国人風俗の『トンデモプレイ』」(「週刊ポスト」1/30号) ・「高倉健 菅原文太 あの有名人が眠る墓」(「週刊現代」1/31号) いきなり墓の話で恐縮だが、今週はよくいえばそれなりの読み物がそろっているし、言い方を変えれば突出した記事が見当たらない。 現代、ポストのセクシーグラビア対決も、現代の袋とじが還暦間近の「長谷直美」ではセクシー度はいまいちだし、ポストも40代ラストの「古村比呂」だから、痛み分けというところか。 各誌が予測していた通り、民主党の代表選挙は、代わり栄えしない岡田克也氏が選ばれた。ひ弱な細野豪志氏より私はいいと思うが、どこまで安倍政権と対峙してくれるか、党首討論にはかない期待をしたい。 さて、いまだに人気が衰えない高倉健だが、健さんのお墓は神奈川県鎌倉市の「鎌倉霊園」にあるそうだ。霊園の中でも最も高い場所にあり、晴れた日には富士山が見える。 墓地の右側には、江利チエミとの間に授かったが、彼女が深刻な病気にかかっていたためやむなく中絶した子どものための水子地蔵が佇んでいるという。 菅原文太の墓は、福岡県太宰府市の太宰府天満宮に納骨されているそうだ。ここは神社としては珍しく、納骨堂を備えている。 渥美清は新宿区富久町の源慶寺、立川談志は根津の自宅近くの文京区向丘の浄心寺にある。ここは「本郷さくら霊園」と名付けられているように、桜の季節には満開の大ぶりの桜が墓を覆って見事である。 週刊現代を買って、自分の好きな俳優や作家の墓を巡り歩くのも一興であろう。 週刊ポストによれば、アベノミクスの円安のおかげで中国人旅行者が大挙して日本の風俗店に押しかけ、トラブルも起きているという。なぜ日本の女性がいいのか? 何度も日本に来ている中国人A氏がこう語る。 「一人っ子政策でみんなわがままに育てられたということもあり、中国の女性は気が強い。セックスにも消極的でフェラチオなんてとんでもない。口内射精なんてしたら絶対に殴られます。それに比べて、日本の女性はなんて優しいんでしょうか。私はAVで“勉強”し、初めて来日したときに風俗で『アナル舐め』をお願いしたら本当にやってくれるじゃないですか! 来月は妻と同伴で日本を旅行する予定ですが、ゴルフと嘘をついて吉原に行くつもりです」 だが、こうした単純な人間だけではないようだ。中国人にとっては日本女性とセックスするということは、復讐でもあるらしいと、ソープランドのスタッフが話す。 「女の子に中国のフレーズを意味もわからないまま覚えさせ、プレイ中に何度も復唱させた。あとで中国語がわかる人に聞いたら、『過去の過ちを体で償います』という意味だった。彼らにとっては“自国を侵略した日本に対する復讐プレイ”で興奮するということのようです」 だが、そこで働く女性たちにとっては、ありがたいお客でもあるようだ。 「なんといっても挿入時間がチョー短いんです。お店の女の子と話していても、中国人は日本人に比べればほとんどが早漏といってもいい。5回ぐらい腰を振ったらイッちゃう人も多いし」 しかし、当然ながら深刻な問題も引き起こしている。 「デリヘル嬢などの間でクラミジアや淋病、梅毒の感染などが急増しています。調べてみると『外国人OK』の店の子が陽性である割合が圧倒的に多いといいます。中国人が風俗業界にカネを落としているとしても、そうしたリスクも理解しておくべきです」(奥窪優木氏) これから風俗は、外国人と高齢者ばかりになるかもしれない。 今週のポストは読みでがある。ジョギングが流行だが、あまりやるとインポになるとポストが警鐘を鳴らしている。 横須賀女性泌尿器科・泌尿器科クリニックの奥井識仁院長がこう話す。 「勃起障害(ED)を訴える患者の中にランナーが増えています。その原因は、体内で分泌される男性ホルモンのテストステロンの減少です。ジョギングのやり過ぎによってテストステロンが減少し、元に戻らない状態が続いていると考えられます」 テストステロンは睾丸から分泌され、筋肉の発達や骨格の増強を促す男性ホルモンの一種で、性欲や勃起力の強化・維持などにも影響するそうだ。加齢と共に減少するが、運動すれば体が筋肉や骨格を維持しようとして生産能力が高まるとされる。 ジョギングは、この「男らしさホルモン」を増やしそうなものだが、 「実は、過度の運動は逆効果なのです。テストステロンが消費されるばかりで生産が追いつかない状態になってしまうからです」(奥井氏) しかも数あるスポーツの中でも、ジョギングはテストステロンの消費が激しいというのだ。奥井氏はこうアドバイスしている。 「中高年男性ならば、過度の運動を避け、時速10キロ以下のスロージョギングを約30分程度。それとは別に、下半身の筋力強化のため腰をゆっくり下ろすスクワットを1日10回程度行うといいでしょう。そして、テストステロン値を十分に回復させるために、それらの運動は週2~3回、運動の間には1~2日の休みを入れるのが理想的です」 「男らしさをアップさせるためには突っ走らないことが大切なようだ」とポストは結んでいる。 ところで、日本マクドナルドが深刻な危機を迎えている。日本中をマック・バーガーで埋め尽くしたのに、立て続けて起きている異物混入“事件”での対応のまずさもあって、売上は急降下だと週刊文春が報じている。 ビニール片、プラスチック片、鉄くず、羽虫、歯……。昨年夏には使用期限切れの中国産鶏肉入りナゲットが発覚し、昨年8月には前年同月比25.1%減となってしまった。このままいけば、14年12月期の連結純損益は11年ぶりの170億円の赤字に転落する見込みだと文春は書いている。 そこにこの異物混入“事件”だから、好転しようがない。謝罪会見にサラ・カサノバ社長が姿を見せなかったのも不評だ。だがそれ以上に、いまの崩壊の原因をつくったのは、現在あのベネッセ社長を兼任する原田泳幸現会長にあると、元幹部は難じている。 「原田氏は100円マックなどのデフレ戦略を成功させたといわれていますが、その一方で充実した研修システムは削っていった」 原田氏はアップル日本法人社長から日本マクドナルドのトップに就き、7年間悪化していた業績を8期連続で成長させたことが評価されているようだが、ジャーナリストの有森隆氏によれば、「原田マジックとは、フランチャイズ店(FC)の売却益を利益に計上して、見せかけ上の増益をつくっただけです」と厳しい。 人間落ち目になると世間の見方が変わってくるのはよくあることだが、原田氏はベネッセの顧客情報流出事件でも対応の悪さを露呈して、経営能力に疑問が付くのは致し方ないようだ。 原田氏のことはどうでもいいが、マックはこのままいくと相当な数の店を閉じなくてはならないだろう。 アメリカでは健康志向のハンバーガーチェーンが店を増やしていると聞く。日本でもマックのような安いがカロリー増量の不健康なハンバーガー店は淘汰されていくに違いない。かといって、今さら「体にいい健康マック」を売り出しても、客はそっぽを向くであろう。アメリカの象徴であったコカコーラとマックが世界中から消えていく日が、現実になるかもしれない。 ところで、今井照容氏責任編集【文徒】が面白い。 「KADOKAWAが300人程度の希望退職者を募集する。3月末時点で41歳以上かつ勤続5年以上の正社員を対象に、3月2~20日まで募集する。退職日は4月30日。応募者には特別支援金の支給と再就職支援を行うそうだ。確かに、こういう事態は角川ホールディングスが解消し、同社のもとに結集していた各社が経営統合された際から予想されていた。私は今更驚きはしないが、KADOKAWAの社員が『はい、そうですか』と、このリストラを簡単に受け入れる神経が私にはわからない。角川歴彦よ!佐藤辰男よ!松原眞樹よ!君たちは何故に300人をリストラに至らしめた自らの経営責任を問おうとしないのか。順番が逆だろう。まずもって角川歴彦が最大の『戦犯』ではないのか。角川の私財を没収してでも、経営責任を問うべきではないのか。君たちの労働組合は何をしているのか。(中略)こういう局面において無期限ストライキを断行せずして何の労働組合なのか。他人事ながら腹の底から怒りがこみあげて来る」 KADOKAWAとニコニコ動画のドワンゴは経営統合したが、今のところなぜ両者が一緒になったのか、何をしようとしているのかが見えてこない。図体だけ大きくしていくだけの経営では、いずれ頭打ちになることはわかっていたはずだ。 経営がうまくいかないからリストラでは、社員はやり切れまい。だが、私のいた講談社でも、2,000億円あった売上を700億円も落としても、経営陣は誰も責任を取らなかった。出版不況の元凶のひとつは、こうしたところにあるのだと、私は思う。 次に、安倍首相関連の記事を3本紹介しよう。安倍首相の腰巾着の一人NHKの籾井会長が、今年から始まった大河ドラマ『花燃ゆ』を安倍首相の出身地の山口県にしたのではないかと、ポストが疑問を呈している。 幕末の長州藩士で維新志士の理論的指導者であった吉田松陰の妹・杉文の生涯を描く新大河ドラマ『花燃ゆ』だが、1月4日の第1回の視聴率が関東地区で16.7%、第2回も13.4%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)とまったく振るわない。 関係者の間では、そんな大河ドラマをNHKが製作したのは、NHK側に安倍政権へのおもねりがあると、当初から言われていたそうだ。理由のひとつが、制作発表の遅れだという。 山口県・萩市の商工観光部観光課課長は、こう証言している。 「NHKのチーフ・プロデューサーがこちらに来たのは(2013年=筆者注)9月のことです。脚本家2人を連れて『山口県に何か大河ドラマの題材がありませんか』などと聞かれ、市内の案内も頼まれました」 例年なら製作発表が終わっている時期にもかかわらず、題材も主人公も未定で、しかし、舞台となる場所だけは決まっていたようなのだ。 安倍首相は、かねてから吉田松陰を尊敬していると公言してきた。そして新作発表がなされた後の昨年7月に、地元で開かれた講演会で『来年は長州を舞台にした大河ドラマが放送されると聞いています。松陰先生の妹さんが主人公です』と、莫大な経済効果をもたらす大河ドラマ放送を嬉しそうに語っていたそうである。山口県がメインの舞台となるのは、1977年の『花神』以来38年ぶりのことだそうだ。 このドラマは、創価学会にも関係が深いという。山口県は池田名誉会長が青年室長時代、学会員を10倍に増やす開拓指導をした場所だそうだ。 松陰神社から約1キロの距離にある、創価学会萩会館の関係者が語っている。 「吉田松陰が池田先生のスピーチに出てくる回数は数え切れない。先生は『人材を育てた松陰も素晴らしいが、その弟子である高杉晋作らがいたからこそ松陰の名が世に出た(中略)』との主旨の話をされています」 聖教新聞は今年元旦の紙面で、『花燃ゆ』主演の井上真央のインタビューを掲載している。 会津藩を描いた『八重の桜』をやったことに腹を立てた安倍首相が、「それなら長州ものをやれ」とNHKにねじ込んだのだろうか。 現代は、サザンオールスターズの桑田佳祐が紅白で歌った歌が、安倍政権批判ではないかと騒ぎになっていることを取り上げ、「どっちが歴史に名を残すか」という特集を組んでいる。 サザンオールスターズが1曲目に演奏した「ピースとハイライト」は、紛争の愚かしさや平和的な解決を訴える楽曲で、とくに〈都合のいい大義名分(かいしゃく)で/争いを仕掛けて/裸の王様が牛耳る世は……狂気〉という歌詞は、憲法九条の解釈改憲を皮肉っているともとれる。また、桑田のちょび髭姿や「ビースとハイライト」という選曲は、「安倍晋三総理を独裁者になぞらえた、政権批判ではないか」と、紅白直後からインターネット上で話題になっていた。 その3日前の昨年12月28日にも、サザンの年末ライブを安倍総理と夫人が聞きに行ったが、そこでも曲目が「爆笑アイランド」になったとき、桑田が突然替え歌で「衆院解散なんて無茶をいう」と、昨年末に突然の解散総選挙を行った安倍総理を皮肉るようなアドリブを放ち、安倍総理はすっかり不機嫌になり、早めに会場を出てしまったそうだ。 「桑田は、国民のお祭り行事である紅白という舞台で、自らの武器である歌を使い、総理やNHKという権威に、異議を申し立てたことになる」(現代) 2曲目に歌った「東京VICTORY」の歌詞にもこういう含みがあると、滋賀県立大学の細馬宏通教授はいう。 「この前まで大震災からの復興を考えてたはずなのに、もう忘れてオリンピックですか? そういう問いも感じさせる、陰影のある歌詞なんです」 だが、桑田はこの騒動に対して、ラジオなどで、そんな意図はなかったと釈明している。少なくとも、安倍首相に対する批判のメッセージだったとでも言ってほしかったね。桑田は、ジョン・レノンにはなれなかった。 現代は、2人のうちのどちらが歴史に名をより深く刻むのか? 歌手である桑田より、総理を2度も務めた安倍氏のほうが有力だというが、そうではあるまい。60年安保を思い出すとき、岸信介首相よりも西田佐知子の『アカシアの雨がやむとき』を思い出す人間のほうが、圧倒的に多いと思うのだが。 ポストが安倍首相の気になる情報を載せている。首相の体調管理は主治医で慶応大学医学部教授(同病院消化器内科)だった日比紀文氏(現在は北里大学大学院特任教授)を中心とした医療チームが細心の注意を払ってきたが、昨年末から年始にかけて、その医療体制に大きな変化があったというのである。日比氏に代わって主治医に就任したのは腫瘍の専門医、慶応大学病院腫瘍センター(がん専門初診外来)の高石官均准教授。 注目されているのは、両氏の専門の違いだ。高石氏はがん治療認定医、がん薬物療法指導医などの資格を持ち、大腸炎そのものではなく、病状が悪化して腫瘍ができた場合の治療が専門だそうだ。 安倍首相の持病である潰瘍性大腸炎は、大腸の粘膜に潰瘍ができやすい原因不明の難病だが、専門医の間では、長期間患っている患者は大腸がんになりやすいことが知られている。安倍首相が最初に潰瘍性大腸炎の診断を受けたのは、神戸製鋼のサラリーマン時代。すでに30年が経つそうだ。 安倍首相は首相動静を見ると、秘書官や記者、ブレーンの学者、財界人らと焼き肉、中華、フレンチなどの酒食を共にして健啖家ぶりを発揮しているように見える。しかし、これは健康をアピールするパフォーマンスのようだと、ポストは指摘している。プライベートでは違うようだ。 安倍首相がよく通う店の関係者がこう証言する。 「安倍さんは記者の方といらっしゃるときはお酒を飲まれますが、プライベートの時は一切口にされません。ウーロン茶ばかりです」 記者の前ではよくカクテルの「レッド・アイ」を飲むというが、これはビールにトマトジュースを加えたものなので、実際にはどれだけピールが入っているかわからないそうだ。 潰瘍性大腸炎の治療でアサコールとステロイドを併用することは珍しくない。副作用が出た際は、通常は量を調節する。安倍首相は表向き「健康」と言いながら、実は炎症が悪化してステロイドで抑えており、副作用が強くなっているのに炎症がひどくてステロイドの量を減らすことができず、副作用の対症薬が新たに必要になっている可能性があるとポストは指摘する。 安倍首相は党則を変えて東京五輪まで首相を続けたい意向のようだが、もしこの報道が事実なら、体力が持たない可能性が大であろう。 フランス・パリにある風刺専門週刊紙「シャルリー・エブド」の編集長・ステファン・シャルボニエ氏(47)がモロッコ誌のインタビューで「テロの標的になっているが怖くないか」と聞かれ、こう答えたと文春が報じている。 「報復は怖くない。私には妻も子も車のローンもないからね。ひざまずいて生きるよりは立って死にたい」 1月7日、目出し帽と弾薬ポーチを身に着け、カラシニコフ銃を持った2人が「シャルリー・エブド」の会議室に押し入り、シャルボニエ編集長を含む11人を銃殺した事件は、世界中に大きな衝撃を与えた。 犯人は、アルジェリア系フランス人兄弟、サイド・クアシ容疑者(34)とシェリフ・クアシ容疑者(32)である。2人は襲撃後、シャルル・ドゴール空港から8キロのところにある印刷所に立てこもっていたが、フランス軍治安部隊が突入して射殺された。 この兄弟と呼応して、女性警察官を殺してスーパーを占拠したマリ系フランス人、アメディ・クリバリ容疑者(32)も治安部隊に射殺された。 クアシ兄弟はモスクで知り合った男を師と仰ぐようになり、後にイエメンに渡ってアルカイダの戦闘訓練を受けたという。クリバリとシェリフは収監されていた刑務所で知り合ったそうだ。文春は現地取材を敢行し、モスクの創始者ケシャット師に話を聞いている。師はこう語る。 「自分勝手に“宗教者”を名乗る人物には迷惑している。あのようなテロを起こすのは一部の知識が無い人間や、頭がおかしい人間だけだ」 「バカは隣の火事より怖い」(立川談志)のだが、この事件は「言論表現の自由」がどこまで許されるのかも問われている。「シャルリー・エブド」は発行部数3~4万部程度だが、知名度は高い。それは風刺画がメインでイスラム教だけではなく、キリスト教、ユダヤ教などあらゆるものを批判してしばしば物議を醸すからだ。 同誌ではないが、東日本大震災後、腕や足が三本ある力士が向かい合い、防護服を着たレポーターが「フクシマのおかげで、相撲が五輪競技になった」と実況している風刺画が『カナール・アンシェネ』という雑誌に載り、日本政府が抗議したことがある。 編集長は「フランスでは悲劇をユーモアによって扱うことが出来るが、日本ではそうではないようだ」と突っぱねたそうだが、日本人にとって不快極まりない画であることは間違いない。 これを描いたジャン・カビュ氏も、今回のテロの犠牲になっている。 週刊新潮でS・P・I特派員のヤン・デンマンなる人物がこの問題を取り上げ、日本人記者とフランス人記者とのやりとりを載せているが、これが興味深い。 日本人記者が「僕も、暴力は絶対反対ですよ。でも、“表現の自由”は“何でもアリ”というものではないはずだ」と言い、日本新聞協会が作った倫理綱領には「人に関する批評は、その人の面前において直接語りうる限度に留めるべきである」と書いてあるとフランス人記者に言うのだが、これはあまりにもきれいごとすぎると思う。もしかすると、朝日新聞の記者かな? それに対してフランス人記者は、フランス人は野放図に自由を謳歌しているのではないと反論する。フランスの現憲法には表現の自由に関する規定はないが、フランス人権宣言11条に「すべての市民は、法律によって定められた場合にその自由の濫用について責任を負うほかは、自由に、話し、書き、印刷することができる」とある。自由は法律によって制限され、ナチスを肯定したりホロコーストを否定するような表現は法律で禁止されているというのだ。 だが「シャルリー・エブド」のようなイスラム教徒への挑発風刺画は、法を犯しているわけではないから「それを止める手立てはない」。実際、同誌は何度も訴えられているが、勝訴しているのだ。 表現の自由はどこまで許されるのか。フランスではテロに対する反対運動が大きな広がりを見せているが、イスラム諸国では「シャルリー・エブド」への批判デモが激しさを増して、死傷者まで出ている。 まさに「文明の衝突」だが、こうした対立は今世紀最大の紛争を引き起こし、第三次大戦につながる可能性がある。報道、表現の自由も無制限に許されるはずはないと思うが、日本のように、権力には尻尾を振る大メディアばかりの国では、そんなことを論ずる必要性さえないだろう。悲しいことだが。 シェリフ・クアシ容疑者は、イスラム過激派「アラビア半島のアルカイダ」の元幹部から財政援助を受けていたと語っているが、その組織の機関誌には「暗殺者リスト」なるものが掲載されていて、シャルボニエ編集長のほかにも『悪魔の詩』の著者や米連邦準備制度理事会のバーナキン前議長、マイクロソフトのビル・ゲイツ前会長などの名前があると文春が書いている。 クリバリ容疑者は「イスラム国」への忠誠を誓っているようだが、最近話題の「イスラム国」は資金的にも潤沢で、シリア東部の油田地帯などに拠点を築き自立し始めているというのである。 「歴史上初めて、テロリストが国家を作ることに成功するかもしれません。彼らは恐怖と暴力だけでは支配地域を維持できないことを理解しています。(中略)総資産は二十億ドルとも推定されています。そうしたお金で道路を補修し、内戦で家を失った人々のために食糧配給所を設置し、予防接種まで受けさせている。(中略)彼らの発する『カリフ制国家建設こそがイスラムの新しい黄金時代の幕開け』というメッセージが、多くのイスラム教徒にとって心強く映っているのは紛れもない事実です」(イタリア人エコノミストで『イスラム国 テロリストが国家を作る時』(文藝春秋)を出したロレッタ・ナポリオーニ氏) 文春、新潮は日本が移民を多く受け入れるようになると、フランスのようにテロの標的になると心配しているが、私はこの見方はとらない。フランスだけではなく、イギリスやアメリカ、日本でもわずか数%の富裕層だけが肥え太り、貧富の差はますます広がっていっている。 日本でもこのまま格差が進んでいけば国民の不満はますます募り、外国勢力と手を組んでテロを起こそうと考える人間が出てくるのは必定であろう。 安倍政権のように、格差や貧富の差を広げる政策ではない新政権を作ることこそが最良のテロ対策だと思うのだが。 (文=元木昌彦)
今週の注目記事 ・「画面には映らなかった紅白『舞台裏』」(「週刊新潮」1/15号) ・「紅白歌合戦『楽屋ウラ』全情報」(「週刊文春」1/15号) ・「オリコン第1位アイドル『仮面少女』の性接待」(「週刊文春」1/15号) ・「22歳『大和なでしこ』を1カ月も監禁暴行した『インド人』の無法地帯」(「週刊新潮」1/15号) ・「TBS長嶋茂雄&三奈特番に一茂の姿がなかった理由」(「週刊文春」1/15号) ・「氷の炎上 安藤美姫に元婚約者父が『きちんと説明して』」(「週刊文春」1/15号) 年末年始のテレビに出まくっていた元フィギアスケーター安藤美姫だが、彼女は自分が思っているほど“人気”があるわけではないようだ。 その理由は、新しい恋人のスペイン人を公表したことと、元日にインスタグラムに投稿した愛娘との3ショット写真だと文春は書いている。要は、テレビが起用しているのは、彼女の「スキャンダル」が、今のところ賞味期限内であるからだというのだ。 「正月が終われば減るはず」(放送作家)だというが、さらに不可思議なのは、彼女が一時、一緒に暮らしていた元フィギアスケーターの南里康晴との仲はどうなったのかということだ。 南里はメディアから追いかけられたとき、赤ん坊の父親は私ではないと言い切っていたから、本当の父親が誰か知っていたに違いない。知っていながら彼女をかばっていたのだから、近い将来、結婚するものと周囲も南里の親も思っていたに違いない。 “糟糠”の彼氏をあっさり捨てて外国男に走るなんざあ、大和撫子のやることじゃあるまい。南里の父親がこう話す。 「ひとつのステップにケジメをつける前に次のステップにっていうのは都合が良すぎる。次の人と幸せになりたいんだったら、ちゃんと説明せんと。雲隠れしているならともかく、あんなに自分から表に出てきているのに何も無しってのは大人としてダメでしょうが」 その通り。今度は南里の衝撃告白が文春に載るかもしれないな。 TBSの長嶋茂雄特番が話題だ。長嶋の頑張りは日本中を元気にしたが、そこで息子の一茂のことにまったく触れられなかったのを奇異に感じた方も多いだろう。 以前は一茂の妻が社長を務める「ナガシマ企画」が取り仕切っていたが、父親の記念品や愛用品を売り飛ばしたことが発覚して、亀裂が生じてしまった。 今は、次女の三奈が代表を務める「オフィスエヌ」が仕事や資産を管理している。先の件で、三奈と一茂の仲もこじれて修復できない状態にあると文春が書いている。 そんなこんながあって、ジャイアンツの野球振興アドバイザーをやり、日テレの野球解説を担当している一茂への配慮もあり、三奈は熱心にオファーを出していたTBSに決めたようだ。 文春は「一度こじれた長嶋家の絆が再び戻る日を、誰もが待ち望んでいるのではないか」と結んでいるが、本心ではあるまい。三奈対一茂の第2ラウンドが開始されるのを心待ちにしているのは、文春はもちろん、他の週刊誌も同じだろう。 日本の宝である父親を大切にしなかった、一茂に対する罰である。 年明けの1月3日、インド東部のコルカタで起きた日本人レイプ事件は、大きな衝撃を与えた。 新潮によれば、被害者は22歳の女性で、昨年11月20日にコルカタを訪れ、日本語で旅行ガイドを装ったインド人たちと知り合った。彼らは北部のブッダガヤに彼女を連れて行き、1カ月近くにわたって監禁して集団レイプをしていたのだ。 犯人は5人。現金約14万円も奪っている。その村では「外国人が来ている」とウワサになっていたらしいが、誰も助けに来てくれはしなかった。 彼女の容体が悪くなったので、医者に診てもらうために犯人が連れ出したところ隙を見て逃げ出し、警察に話して事件となった。 痛ましい事件だが、地元では「日本の女性は詐欺師のカモ」だといわれているぐらい、多くの日本人女性が彼らの毒牙にかかっているようだ。 インド在住のジャーナリストがこう語る。 「インドではほぼ毎日、レイプに関する報道があると言っても過言ではない。その中には、外国人が餌食になる例も少なくない。2013年3月には、夫と一緒に自転車で旅行していたスイス人の女性が集団レイプされるという事件もあった。また、警察官が警察署内で女性をレイプするなど、警察機能が欠落した地域も多く存在しているのです」 この背景には、カースト制度と根強い女性蔑視の風潮があると新潮は指摘する。上位のカーストから外され、都会で悪さを働く集団もあるという。 今でもインドでは、夫に先立たれた女性が再婚することは許されない。私は明るくて歌とダンスの素晴らしいインド映画が好きだが、こうした現実を知ると、今までのように無邪気に見てはいられなくなる。 インドにも第2、第3のマララさんの出現が待たれる。 私はまったく知らないが、秋葉原・万世橋のたもとに、アイドルグループ「仮面女子」の常設館があるという。 写真を見ると、仮面をかぶったAKB48のようである。今年元旦に発売されたCD「元気種☆」(デストロイレコード)は、インディーズレーベルながら予約販売枚数が13万枚を超え、週間オリコンチャートの第1位に輝いたという。 AKB48もそうだが、こうした若い娘たちを使って稼ごうとする人間の中には、しばしば彼女たちの性を自分のものにしようとする輩がいるものである。 文春によると、ここの池田せいじ社長ものその一人だという。彼は大阪でホストクラブを立ち上げたが、スキャンダルが相次ぎ、芸能事務所の運営をするようになったそうだ。 今回、社長に肉体関係を迫られ、仕方なく結んだと告白しているのは現役、元の4人の女の子たちだ。生々しい性接待の実態は文春を読んでいただくとして、興味深いのはこうしたグループを無批判に取り上げ、人気グループに押し上げてしまうメディア側の問題が提起されていることである。 NHKは2013年6月21日に『ドキュメント72時間「“地下アイドル”の青春」』を放送して、彼女たちの知名度を全国的にしてしまうのである。だが、ここで描かれている「貧乏生活」は社長からの指示で、“やらせ”だったというのだ。六畳間に4人が共同生活を送り、自炊をしながら成功を夢見て暮らすという、お決まりのパターン。 告白によると、彼女たちは自炊などはせず、元コックのマネジャーがいて、寿司や中華を作ってくれる。メンバーのほとんどが実家暮らし。月収1万円もウソで、月平均10万円、高い子は20万円はあるという。おまけに脱退すると言うと、違約金として数百万円を要求されることもあるというのだ。 それに騙されたのは『スーパーJチャンネル』(テレビ朝日系)、『Nスタ』『有吉ジャポン』(TBS系)などなど。テレビ局に取材力を求めること自体無理なことは承知だが、これでは佐村河内守事件と変わらないではないか。 池田社長は取材に対して、性接待もやらせも否定。違約金の件だけはノーコメント。 現役や元メンバーの訴えを、ファンたちはどう聞くのだろう。もはや、これまで同様に無邪気に聞く気にはなれないと思うが、今のガキたちは「そんなことはこの世界では当たり前じゃん」と、歯牙にもかけないのかもしれないな。 さて、今年の紅白歌合戦は中森明菜や桑田佳祐まで引っ張り出したが、あえなく視聴率は前年より2.3ポイントも下がって42.2%止まり。以下は、文春と新潮から引用したものである。 中森には「録画映像疑惑」が持ち上がり、桑田には歌詞の内容が「安倍首相批判」ではないかという反響が出た。1月6日付の朝日新聞がこう報じている。 「横浜での年越しライブ会場から中継で登場した桑田さんが歌ったのは『ピースとハイライト』だった。 世界各国の言葉で『平和』という文字が映し出された映像が流れる中、桑田さんは少しおどけたように歌った。 ♪都合のいい大義名分(かいしゃく)で 争いを仕掛けて 裸の王様が牛耳る世は……狂気」 この「都合のいい大義名分」を、集団的自衛権行使容認のための憲法解釈変更に重ね合わせて聴いた視聴者らがネットで反応した。曲名を「平和(ピース)と極右(ハイライト)」と読み替えたり、「裸の王様」を安倍晋三首相への揶揄(やゆ)と受けとめたり――。 Twitterなどには、この歌の「解釈」をめぐって賛否の投稿が相次いだ。 「安倍政権の極右旋回へのプロテスト(抗議)と戦争への危惧』『素晴らしい(安倍政権への)カウンターソング』。一方では『今後一切サザンは応援しない』『日本に対するヘイトソング歌う為(ため)に紅白でたわけか』というツイートも」 朝日新聞らしい解釈だが、もし桑田が意識してそう歌ったのだとすれば、日本のジョン・レノンといってもいいかもしれない。 中森明菜の疑惑についてはNHK関係者がこう話す。 「あれは生放送です。ただ、明菜の声量が生中継で出せなかった時のために、流れる曲に録音した明菜の歌声を入れて、その上に彼女の生歌を乗せて中継したのです」 これはバックトラックといって、音楽ライブでよく使われる「声量偽装」ともいわれる技術だそうだ。 やはり明菜は大勢の前で歌える状態にはなく、歌さえも「偽装」しなければならなかったということだ。これで復帰がまだまだ遠いことが全国に知られてしまった。 桑田の出場も直前まで伏せられていたそうだが、新潮によると犬猿の仲の長渕剛がそれを知ると降りてしまうことを慮ったというのである。その意趣返しではないだろうが、長渕は新曲を歌うと言いだし、NHKもさじを投げ、「好きにしてください」と言ったと文春が報じている。 中島みゆきも、AKBなどの若手がガヤガヤうるさいNHKホールで歌うことを嫌がったために、別スタジオから歌ったという。 昔の紅白の威光を知っているわれわれには、信じられないことばかりだ。美空ひばりは例外として、ほかの歌手のわがままなど聞く耳持たなかった紅白の凋落を示すエピソードである。 司会の吉高由里子のひどさは際立っていたが、薬師丸ひろ子も「全くダメだった」(スポーツ紙記者・文春)。ヒドイを通り越して、哀れさを感じさせるステージだった。もう歌など歌わないほうがいい。 もう一人ひどかったのが、大トリの松田聖子。あれだけのタマがプレッシャーで震えていたとは思えないが、トリを飾るには10年早いと思わせるステージだった。 以前は紅白の裏番組は各局捨てていたが、近年はテレビ東京のボクシングのように5~6%を取るものが増えてきている。だが中には、「試合放棄」したテレビ局があると文春が書いている。社員の年収がナンバー1のフジテレビだ。 年末年始の番組は軒並み低視聴率で、31日のバラエティ『ツキたい人グランプリ』はなんと2.5%だった。 こんな番組を作っているテレビ局が給料ナンバー1というのは、どう考えてもおかしいではないか。亀山社長、今春は給与のベースダウンを考えたほうがいいのでは? (文=元木昌彦)「週刊新潮」1/15号 中吊広告より
芸能取材歴30年以上、タブー知らずのベテランジャーナリストが、縦横無尽に話題の芸能トピックの「裏側」を語り尽くす! 木村拓哉主演の人気ドラマ『HERO』(フジテレビ系)シリーズの劇場版第2弾が、今年7月18日に公開予定だが、キムタク自ら、フィギュアスケートの羽生結弦選手に出演オファーしたという情報を映画関係者から入手した。 「キムタクの奥さんの工藤静香が羽生の大ファンだったことから、つてを頼って、羽生に出演オファーしたようです。実現すれば羽生の俳優デビューということで、映画の話題にもつながる。キムタクの劇場版に対する意気込みがうかがえますよ」(映画関係者) フジの“月9ドラマ”として昨年7~9月期に放送された『HERO2』は、初回視聴率26.5%(関東地区、ビデオリサーチ調べ/以下同)を記録。全11話の平均視聴率21.3%で、民放ドラマのトップに立っていた。だが、10月期から放送された米倉涼子主演の人気ドラマシリーズ『ドクターX~外科医・大門未知子~』(テレビ朝日系)が最終回視聴率27.4%、全11話の平均視聴率22.9%を記録したことで、14年度のドラマ視聴率のトップの座を米倉に奪われた。 人一倍プライドが高いキムタクは“ドラマの仇は映画で”とばかりに、撮影がスタートした劇場版第2弾のクランクイン初日、撮影所に約300万円分といわれる食材を持ち込んで、出演者や撮影スタッフに“キムタク鍋”を振る舞ったという。神戸牛を一頭買いし、北海道ほか、全国から特産品を集めたとも。そのほか、冬の撮影に備えて自腹で制作したスタッフ・ジャンパーを配布したという。 これは、『ドクターX』で米倉による豪華な差し入れが現場スタッフの士気を盛り上げ、高視聴率につながったという業界の評判を意識したものだろう。しかし、差し入れ以上に驚かされたのが、これまで夫の仕事の現場に姿を見せたという話を聞いたことがない工藤静香が、キムタクと一緒に撮影所で鍋作りを手伝ったということだ。 さらに、羽生への出演オファー。キムタクは「羽生選手が出演してくれるなら、自分のギャラを削ってもいい」とまで言ったという情報もある。羽生の回答は現時点では不明だが、キムタク本人からのオファーだとしたら断りづらいところ。しかし、そのオファー後、ご存じの通り、羽生選手は尿膜管遺残症で手術・入院してしまったため、出演は相当微妙な状況になったようだ。 万が一、羽生選手が『HERO2』で俳優デビューということになれば、話題性は抜群。すでに9年前の『HERO』第1弾で雨宮舞子役を演じた松たか子が第一子を妊娠中であるにもかかわらず、キムタクの情熱を買って、復活することが決定している。 キムタクの作品に対する意気込みは半端でないゆえ、公開までの間、劇場版の話題は尽きそうもない。 (文=本多圭)
今週の注目記事 ・「有名500社『年収ランキング』」(「週刊ポスト」1/16・23号) ・「2015年まるごと完全予測 景気・株・円安・会社 こう動く!」(「週刊現代」1/17・24号) ・「いま日本で『本当にうまい役者』ベスト100人を決める」 ・「いま日本で『本当に歌がうまい歌手』ベスト50人を決める」(「週刊現代」1/17・24号) ・「現代、ポスト『袋とじセクシー』の勝者はどっちだ!」 明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いいたします。 新年第1弾は現代とポストの合併号。どちらも年末に作り置きした企画だから、新鮮さよりも企画力の勝負になる。まずは、セクシー袋とじ企画から見てみよう。 現代の懐かしい女優シリーズは「風吹ジュンに恋をして」。後半グラビアではハーフのマルチタレント「LiLiCoが脱いだ!」と「平子理沙 超絶ボディ」。袋とじは「シンクロ元日本代表片平あかね『初めてのAV出演』で驚きの体位を連発!」 ポストは袋とじ2本で、またまた大場久美子の54歳と18歳の時の水着姿と、「裸になったアンヌ隊員 ひし美ゆり子」。ほかには内田有紀とポスト専属の「祥子の事。」。ポストは袋とじ2本だからか、定価は440円。現代は430円。ハーフながらLiLiCoの肢体が見事だし、かわいらしさがいつまでも変わらない風吹ジュンが愛くるしい現代のほうが、私にはお得感があったが、それほど圧倒的とは言い難い。よって今週は引き分けじゃ! 現代のうまい歌手、うまい役者という企画自体は褒められたものではない。これまで何度も繰り返されてきた古臭い企画だが、まあ新年ということで許そう。 二昔前なら1位は美空ひばりで決まりだったが、今はよくいえば群雄割拠、悪くいえばドングリの背比べである。 ベスト5まで挙げると、1位から順に桑田佳祐、中島みゆき、山下達郎、小田和正、井上陽水。3位の山下がやや意外だが、そのほかは順当だろう。6位に五木ひろし、7位に沢田研二、8位に都はるみがランクイン。 紅白でニューヨークからライブ中継で出演した中森明菜は12位で、紅組のトリを務めた松田聖子が20位。失礼だが、明菜は目がうつろで、口パクではないかと心配になるほど体調がよくなさそうだった。NHKが強引に口説いたのかもしれないが、歌姫完全カムバックとは当分いかないようである。 意外な低評価は氷川きよし39位、森進一40位、吉幾三41位。氷川は同性愛疑惑やマネジャーへの暴力沙汰が響いたのか? 同じような企画が「うまい役者は誰」だ。すぐに名前が挙がるのは役所広司、佐藤浩市、西田敏行あたりだが、以外によかったのが岡田准一だ。NHKの大河ドラマ『軍師官兵衛』は一度も見ていないが、期待していなかった映画『蜩ノ記』の岡田が、地味な役柄だったがいい味を出していた。 さて、ベスト1には“意外な?”役者が選ばれている。『クライマーズ・ハイ』やNHKの朝の連ドラ『マッサン』で好演した堤真一が、コメディから人情もの、シリアスまで幅広くこなせると評価が高い。 2位以降は、香川照之、藤原竜也、役所広司、浅野忠信、大森南朋、堺雅人、佐藤浩市、渡辺謙、濱田岳と並ぶ。 岡田准一は意外に低評価で15位。中井貴一が18位。三浦友和19位、西田敏行21位、水谷豊が22位だ。反対に高評価だと思うのは、本木雅弘の24位。お茶のCMと映画『おくりびと』しか印象にないが、一つ一つの仕事が丁寧だそうだ。 私は、役所広司はなんの役をやっても役所広司になってしまうところが難だし、普通の格好をしていても不潔な感じがするのはいただけない。佐藤浩市は昔のほうがよかった。オヤジの三國連太郎を意識しすぎるためか、佐藤の良さを殺してしまって、個性を失っているように見える。 田中邦衛のように、画面に出てきたら圧倒的な存在感を示す役者になってもらいたいと思うのだが。 お次は、現代とポストのアベノミクスにまつわる記事を2本。朝日新聞の1月5日付社説で安倍政権の経済政策をこう批判している。 「金融緩和で物価を押し上げることが果たして好ましいのか。企業がきちんと利益をあげて働く人の賃金が増え、その結果、消費が活発になって物価も上がっていく。求められるのはそんな経済の姿だろう。物価が将来どれだけ上がると考えるか、人々の期待(予想)に働きかける政策から、実需を見る政策へ。経済のかじ取りを切り替えるべきではないか」 日本の現実は「年収200万円以下の働き手が1100万人を超え、住民税が非課税となる低所得世帯の人が2400万人を数える。かつて日本経済を支えた中間層が細り、低所得層が増えた。それが、日本経済のいまの姿である」(同)。格差がますます広がり、わずかな富裕層や、アベノミクスで恩恵を受けている一部の大企業だけが「我が世の春」を謳歌しているだけである。 現代は、世界的な投資家ジム・ロジャース氏にこう言わせている。 「日本はすでに多額の政府債務を抱えており、本来であれば財政支出を減らすべきです。そもそも人口減少が急激に進む国に、新しい道路や橋を作る必要がどこにあるのか。大規模な財政支出を止めれば減税することも可能で、そうすれば国民の生活水準は改善されていく。しかし、安倍総理がやっているのはそれとは真逆。アベノミクスは今年も日本を破壊する方向に進んでいくということです」 急激な原油安でロシアがあえいでおり、アメリカもシェールガス景気に水を差された格好だ。欧州は経済不振から抜け出せず、中国の成長率の鈍化がはっきりしてきた。世界的にいつ何があってもおかしくない「90年代末と似てきた」(英エコノミスト)不安定な時代である。 株価も、不安定ながら2万円の大台に乗るのではないかと見られているようだが、現代によれば6月に最大の山が来るというのだ。 それは、アメリカのFRB(米連邦準備理事会)のイエレン議長が9年ぶりに行うといわれる「利上げ」だ。これまでアメリカはゼロ金利政策をとり続けてきた。景気を刺激するアクセルをふかしてきたわけだが、それをやめてブレーキを踏めば、スピンしてアメリカ経済が失速する可能性が出てくるというのである。 そうなれば、投資家たちは株などのリスク資産に投資したカネを引き上げるリスクが高まるという。 また、もし利上げしないという判断をすればアメリカ経済が減速していることを意味するわけだから、アメリカ株の売りにつながる。こうしたアメリカ経済の余波が日本に押し寄せ、株大暴落のシナリオも考えられるというのだ。 ところで今、フランスの経済学者トマ・ピケティ氏が書いた『21世紀の資本』(みすず書房)が世界的ベストセラーになっている。その本が5分でわかるという記事を、現代がやっている。 こうした企画はもっとやるべきである。アメリカでは、こうした重要だが大著には必ず要約本が出て、それが売れるのだ。5分とはいかないが、1時間程度で内容のダイジェストをする記事が、日米の本を問わずもっとあっていいと思う。それが読みたくて週刊誌を買う読者も必ずいるはずだ。 この本の翻訳を手がけた山形浩生氏がこう解説している。 「本書で主張していることは、実はとても簡単なことです。各国で貧富格差は拡大している。そして、それが今後大きく改善しそうにないということです。なぜかというと、財産をもっている人が、経済が成長して所得が上がっていく以上のペースでさらに金持ちになっていくからです。ピケティの功績は、このことをデータで裏付けたことにあります」 この格差を是正するのには相続税の増税が必要だとしているが、これは日本にも当てはまるはずだ。 ポストは、日本の企業間の格差もどんどんアベノミクスで広がっていると、有名500社の企業の平均年収を調べて公表している。 これによるとフジ・メディア・ホールディングスが2012年度の1,479万円から1,506万円にアップして第1位。2位もTBSホールディングスで1,489万円から1,499万円。 3位が野村ホールディングスで1,334万円から1,488万円。4位が日本テレビホールディングスで1,491万円から少し下がって1,454万円。6位が電気機器のキーエンスで1,321万円から1,440万円。 7位が日本M&Aセンターで1,217万円から1,412万円。8位にもメディアでテレビ朝日ホールディングスが1,303万円から1,395万円。20位にもテレビ東京ホールディングスが入り1,210万円から1,221万円。 そのほかにも、20位までに損保や商社がズラッと顔を見せている。アベノミクスの「トリクルダウン」戦略とは、富めるヤツがさらに儲かれば、そヤツらがどんどんカネを使って貧しい人間にも行き渡るというものだが、そんなものは気配も感じられない。 ポストは、財務省の法人企業統計を出して、「アベノミクスが始まった2013年度に『資本金10億円以上の大企業』は経常利益を平均約34%も伸ばしたが、『資本金1000万円未満の中小・零細企業』は平均マイナス2%の減益だった」と言っている。 ポストはさらに「リストをさらに細かく見ていくと、日本の政治が明らかに権力者の取り巻きだけが利益を得る『途上国型』へと大きく退化しつつあることがわかる」としている。 円安でたっぷり利益を上げたトヨタ自動車の平均年収も43万円増の794万円、日産は67万円増の766万円にはなっているが、トヨタは13年度で1兆8,231億円の純利益を上げているのに、社員の給料アップに使った金額は約240億円、純利益の1.3%しか使っていない。 トリクルダウン効果がないことを象徴的に示すのが、自動車業界を中心に人材派遣を行っている東証一部上場の企業「アウトソーシング」で、同社の平均年収は5万円しか上がっていなくて289万円だという。 大企業はまるまる肥え太り、内部留保で貯め込み、社員には雀の涙ほどのベースアップを施し、下請けには涙も出さない。 驚くのはトヨタや新日鐵の大卒事務職や技術職の年収の高さだ。トヨタの大卒は入社7年目の29歳で約650万円、出世の早い人間は40歳課長で約1,200万円になるという。 新日鐵も平均年収569万円だが、これは高給の管理職を排除しているからで、30歳そこそこで管理職に昇格すると年収1,000万円台に近づくという。 大企業と中小とで格差が広がり、社内でも高卒と大卒で格差があり、出世するかしないかで大きく賃金格差が広がっていく。 大手商社では、大きなプロジェクトを成功させれば40代でも3,000万円に届くという。年収200万円しかないワーキングプアは、この数字をどう見るのだろうか。 こうした富める者だけをさらに富ませるアベノミクスは、日本人の大多数の貧しさの上にあることを、安倍首相は気付いてはいまい。 アベノミクスを盲目的に礼賛する大新聞やテレビは、これからますます安倍首相にすり寄っていくことであろう。週刊誌の役割は、常に弱者や貧しい者に寄り添って、政権批判をこれまで以上に強めていかなければならないはずだ。 (文=元木昌彦) 【謹告】私の友人の弟子吉治郎さんが出した『立川談志 鬼不動』(河出書房新社)の刊行記念として、新宿紀伊國屋ホールで、嵐山光三郎さん、立川志らくさん、内田春菊さん、談志さんの娘さん松岡弓子さんたちと、談志さんの「言葉」について語り合います。司会を元木昌彦がやります。本邦初演の落語「鬼不動」と立川志らくさんの落語もありますので、ぜひお越し下さい。 日時 1月16日(金) 18時半開場 19時開演 場所 紀伊國屋ホール(03-3354-0141) 木戸銭 2000円(当日券あり)「週刊ポスト」1/16・23号 中吊広告より
今年もあっという間に1年が過ぎてしまった。今年を振り返れば、なんと週刊誌ネタの多かった年だろうと思う。佐村河内からSTAP細胞、小渕優子や渡辺喜美のカネがらみのスキャンダルが多発した。
ここでは取り上げなかったが、朝日新聞の慰安婦、吉田調書報道問題や、日テレの女子アナ内定取り消しなど、メディアのおかしさが噴出した1年でもあった。
日本人は忘れっぽいといわれる。2014年という年がどんな年であったのか、週刊誌のスクープ記事をもう一度読み直して考えてほしいと思う。(文=元木昌彦)
2014年週刊誌スクープ・番外
「米倉涼子が毎週泊める日本一の幸せ男 何者だ?」(「フライデー」1月10・17日号)
フライデーの張り込みスクープ。平均視聴率23パーセントと大ヒットしたドラマ『ドクターX』(テレビ朝日系)の主役で、いま乗りに乗っている米倉涼子(38)が「結婚間近」だという張り込みネタだ。
12月上旬の夕方、真っ赤な「フォード・マスタング・コンバーチブル」に乗った米倉は、所属事務所での打ち合わせ終えると、南青山の交差点へと向かった。歩道には、ビジネスバックを持った長身の男性が待っていたという。
途中、明治屋などで買い物をした後、2人は米倉の自宅マンションへ入ると、そのまま一夜を明かしたそうだ。
気になる彼氏だが、彼の友人によるとこうだ。
「リクルートの元社員で、12年8月に独立したフリーの編集者です。現在は『ホットペッパー』などの情報誌を手がけています。
同じ8月に『女性セブン』にも二人の密会を報じられましたが、それ以降、本格的に付き合うようになったようです。年齢は30代半ばで米倉さんより年下ですが、入社5年目で『ホットペッパー』の編集長に抜擢されたほど優秀な人ですよ。雰囲気は、俳優の堺雅人さんに似ています」
米倉には『ドクターX』終了後、大きなスケジュールは入っていないという。フライデーは新春早々にも、サプライズ発表があるかもしれないと書いている。
〈元木昌彦の眼〉 年末の週刊文春(1/1・8号)でも「米倉涼子が同棲する会社社長」と報じた。これで観念したのか、米倉は文春発売の翌日に事務所を通じて結婚を発表した。この情報の初出はフライデーである。この記事の正しさが証明された。
第10位
「小保方晴子さんにかけられた『疑惑』」(「週刊現代」3月8日号)
「小保方『STAP細胞』を潰せ!『捏造疑惑』噴出で得する人々」(「週刊ポスト」3月7日号)
第2の佐村河内事件か? 昨夜の友人たちとの酒席では、割烹着の“リケジョ”美人・小保方晴子さん(30・理化学研究所のユニットリーダー)が発表したSTAP細胞の話題で持ち切りだった。
普通の細胞を酸性の液に漬けるだけで、どんな臓器にもできる万能細胞が生まれるという「世紀の大発見」は、彼女がカワイイこともあってメディアが飛びつき、世界的な話題になった。彼女が着ていた割烹着の売れ行きまでがいいという。
科学誌「ネイチャー」に掲載され、世界から称賛を浴びていたが、ネットでは早くから、実験条件が異なるにもかかわらず酷似した画像が出ている「画像使い回し疑惑」が指摘され、捏造ではないかというウワサまで出ているのだ。
やっかみ半分の中傷かと思っていたら、どうもそうとばかりはいえないようである。
文春がいち早く取り上げたが、現代とポストが正反対の記事をやっているので、この2本を今週の第1位とした。
まずは“懐疑的”な現代から。
「素人目に疑問なのは、学会では論文を『間違えました、直します』と言って許されるのかという点だろう」(現代)
そこで、カリフォルニア大学デーヴィス校医学部で再生医療の研究に携わる、ポール・ノフラー准教授に聞いている。
「論文に、誤植などの小さな間違いは比較的よくあります。しかし画像の混同といった手違いは大問題であり、過去には論文撤回の理由になったこともある。本当に全体の結果に影響しないか精査しないといけません」
さらに現代は、小保方さんらが公開すべきデータを正しく公開していないと追及する。
「ネイチャー」に小保方論文のような分子生物学系の論文を投稿する際は「実験に使った遺伝子の情報を、公開の遺伝子情報データベースに登録する」という規定があるという。
だが今回の小保方論文は、正確なデータの公開が行われないまま掲載されてしまった。これでは研究成果が真実なのか、第三者が検証できないと、ケンブリッジ大学シルヴァ博士は厳しく批判する。
「データーの届出を行っていないことは最大の問題です。そのデータがあってこそ、世界中の科学者が論文の主張を確認できるのです。この手違いひとつをとっても、論文は発表されるべきではなかったと思います」
そして人々の疑念を一層深めているのが、発表から1カ月近く経ったいまもなお、世界中のどの研究所でも再現実験(追試)が成功していないことだ。
前出のノフラー准教授も、STAP細胞の発見のニュースを聞いて期待に胸を躍らせ、自ら追試を試みたという。だが、結果は失敗。ならばと自らのHPで世界の研究者に追試の成果を書き込んでくれるよう呼びかけたが、「集まったのは期待に反して『失敗』の報告ばかりだった」(現代)
ノフラー准教授は、こうも言っている。
「もしSTAPが作成されたことが確かなら──私はそう願っていますが──ほとんどの研究室では再現できないような、非常に難しいテクニックだということでしょう。私は小保方さんたちが、STAP細胞を作る『手順(プロトコル)』に特化した、新しい論文を出すことを期待します」
理研も、HPのトップに誇らしげに掲げていた小保方さんとSTAP細胞に関する記述を削除するなど、態度を一変させた世間の風当たりの冷たさは容易ならざるものになっている。
「いずれにしても、ことここに至っては、疑念を払拭する道は限られている。形勢逆転のためには、ミスの経緯を明かし、必要なデータを公表する、小保方さん自身の言葉や理研の誠実な説明が必要だろう」(現代)
これを読むと、何やら「?」がつく研究のように見えるが、ポストはそんなことはないと、小保方さんに代わって反論をしている。
ポストは小保方さんの論文に向けられた疑惑は4つあるとし、ただし、それらを冷静に分析していくと、少なくとも現段階では、『STAP細胞の発見が捏造』という批判は、完全な的外れであることがわかると書いている。
画像の使い回しについては、小保方さんの共同研究者の若山照彦山梨大学教授が、単純ミスで本筋にはまったく影響しないと語っている。
今回の発見の再現性についても、若山教授がこう話す。
「発表があってから、わずか3週間で結果が出るような甘いものではありません。96年、スコットランドの研究グループが、クローン羊の『ドリー』を作ったことを覚えていますか? 1年以上経っても誰も再現できず、ドリーの論文は捏造ではないかとさえいわれた。そんな中、私が約1年後にマウスのクローンを誕生させ、ドリー論文を再現した。 小保方さんが会見で“(STAP細胞の作り方は)手技的には簡単だ”といってしまったから勘違いされているのかもしれないが、世紀の発見がそう簡単に再現されるわけがない」
よってポストは、とにかく現段階でほぼ確定しているのは、補足論文に画像の掲載ミスがあったということだけだから、調査中だという理研や「ネイチャー」の報告が待たれるが、どの疑惑も「大勢に影響なし」といえそうなのであるとしている。
また、これだけの騒動に発展した背景には、一定の「アンチ小保方勢力」の存在が見え隠れするというのだ。
再生医療の分野には、出身学部を異にするグループが存在する。大きく分けると「医学部出身の研究者」と「それ以外(理学部、農学部、工学部出身など)」だ
。
ある医療関係者が、こう話す。
「医学部出身者の中には、遺伝子や細胞の分野とはいえ、人体を扱う医療分野で医学部出身者以外が実績を上げることを面白くないと感じている人は少なくない」
ちなみに小保方さんは早稲田大学理学部出身で、若山教授は茨城大農学部出身だそうだ。
「しかもこのところ医学部出身のグループは肩身の狭い思いをしている。昨年から医薬業界を揺るがせている、いわゆる『ノバルティス問題』である。世界有数の製薬会社『ノバルティスファーマ』(以下、ノバルティス)が販売していた降圧剤は、複数の大学医学部の論文結果を用いて『脳卒中や狭心症にも効果がある』と謳っていたのだが、それが虚偽だった。ノバルティスに都合のいい研究結果をデッチ上げた研究室には、ノバルティスから累計11億円あまりの金銭的支援が流れ込んでいた」
この事件にはとうとう東京地検が動き出し、大がかりな疑獄事件へと発展する可能性が大である。
私の友人の医者が言っていたのだが、この万能細胞が実用化されたら莫大な市場になり、日本は再生医療先進国として力を持ち、一大産業に育つ可能性が高いと、医療関係者の間では大変期待が高いそうである。
当然ながら、そこには考えられないほどのカネが動くことも間違いない。
ポストによれば、政府は13年度から10年間で、再生医療に対し約1,100億円もの支援を決めている。今、この支援金をめぐって、研究機関で争奪戦が行われているという。
「早速、14年度、iPS細胞研究に政府から150億円の支援が下りることが決まっています。そのほとんどは山中伸弥教授のいる京大の研究所に払われる。再生医療で結果を出せば、莫大な研究費が入るわけです。もし、STAP細胞が認められれば、理研や小保方さんグループに大量の研究費が投入されることになり、その分他の研究機関に回らなくなる。それを阻止する動きがあってもおかしくない」(医療関係者)
世紀の大発見か捏造か。小保方さんの愛くるしい笑顔を見ていると捏造などとは思えないが、早く白黒をつけてほしいものではある。
〈元木昌彦の眼〉 ご承知の通り小保方のSTAP細胞発見は世紀の大捏造になってしまった。釈明記者会見で彼女がいった「STAP細胞はありま~す」は流行語にまでなったが、世界中から注目されたSTAP細胞は、小保方の上司である笹井氏の自殺という悲劇と、彼女の理研退職で一応幕を閉じた。週刊誌のスクープからではなく、ネットからSTAP細胞への疑惑が噴出して、世紀の大発見のウソが暴かれていった。あらためてネットの威力を思い知らされた「事件」でもあった。
第9位
「氷川きよしの『ホモセクハラ』『暴力』『創価学会強要』地獄」(「週刊文春」5/8・15号)
氷川がホモではないかということは、かつてフライデーが報じたことがあるが、今度は文春が、氷川のマネジャーだった人物に決定的な「証言」をさせている。
このマネジャーは後藤光雄氏(仮名・20代)で、昨年10月に氷川の所属する長良プロに入り、今年1月に氷川の担当になったという。彼がこう話している。
「氷川さんは自宅では女性物のTシャツにピンクのショートパンツという格好。女性用のパンティも何十枚もあり、基礎化粧品はシャネルで揃えている。私は隅々まで掃除するのが仕事ですから、そういうものも目に入る。どういう生活をしているのかと、不安に思いましたが、氷川さんは意に介していないようでした。それどころか、街中を走っている時、ガチムチ系の外国人や体育会系の男性を見かけると、車のパワーウインドウを目の高さまで下ろして、『イケメーン?』とはしゃいだりして、じっと観察していた。そういう話題の後は、『あんた、本当にノンケなの?』などと訊かれ、ストレートの私はかなり面食らいました。(中略)
ある日、車内で二人きりになったとき、後部座席から身を乗り出した氷川さんが、『ねぇ、サオ(陰茎)が大きいほうがいいよねぇ』と耳元で囁くのです。『外人のって大きいよねぇ』と。正直、気持ちが悪かった。どう答えていいか分かりませんでした」
実は、4月29日付の東京スポーツが「氷川きよし恐喝被害」という見出しで、事務所が元従業員から数億円を揺すられて困っているという「一方的にも見える内容を報じた」(文春)のだ。だが事実は違うというのである。
文春、は後藤氏に接触して先のような談話をものにした。事実関係は、後藤氏は氷川によるセクハラ、暴力によってストレスがたまり、4月20日をもって職場を離れたのだ。だが現在も不眠状態が続き、都内の病院の精神科でうつ状態と診断され、服薬などの治療を続けているそうである。
「就任初日のことです。車の中で、『オトコに興味あるの?』と……。社内で噂は耳にしていましたが、本当にドキッとしました」(後藤氏)
“口撃”もたびたびされたという。
「二月中旬頃には、毎日のように『死ね!』とか『この障害者』とか、罵倒されるようになったのです。氷川さんは、実はかなり口が悪く、ファンの女性のことも『ババア』と呼んでいる。あまりにえげつない“裏の顔”でした」(同)
もう一つ後藤氏を追い詰めたのは、創価学会への執拗な勧誘だったそうだ。公言こそしていないが、氷川が学会員だというのは有名な話だという。13年の元日には、機関紙「聖教新聞」の一面を飾っている。
文春によれば、氷川が暴力を振るうようになった背景には、彼の才能を見出した恩師である長良プロの先代会長長良じゅん氏が一昨年他界したことがあるそうだ。
そして、4月3日の夜、氷川一行が岡山全日空ホテルにチェックインした直後に事件が起きた。
「宿泊するスイートルームのある十四階でエレベーターが停まり、私は氷川さんが降りるのを待つため、エレベーターの『開』ボタンを押そうとしたのです。すると突然、後から頭を殴られた。激痛が走りました。(中略)さらに、『そんなことはどうでもいいんだよ、おめえよぉ!』と叫びながら手にしていたペットボトルを投げつけてきた」
後藤氏は会社に窮状を伝えるための証拠にするため、暴行の様子を録音するようになっていた。文春が確認したが、このときの音声は「まさに“地獄のイジメ現場”そのものだ」ったという。
この日、後藤氏は退職を決意した。
しかし、彼が部長に送った当てつけのメールは“恐喝”と間違われかねないものだった。
「とにかく永川さんに謝罪してもらいたいという一心で、『もう絶対許せませんので、1.2億ぐらいほしいぐらいです』などという突拍子も無いメールを送ってしまったのです」
文春も「確かに後藤氏が会社に送ったメールは、恐喝と間違われかねない軽率な内容だった」と書いている。「しかし、氷川のハラスメントの事実が帳消しになるものでは決してない」(文春)
演歌を再興させた“星の王子さま”氷川きよしは、後藤氏が言っているような“暴君”なのか。芸能界ではありがちな話ではあるが、これまでの演歌歌手にはなかった清々しさを売り物にしてきた彼には、致命傷になりかねないスキャンダルではある。
〈元木昌彦の眼〉 自分が同性愛であることをカミングアウトする芸能人は多くなってきた。それは素敵なことだと、私は思う。愛の形は様々であっていい。だがこの氷川のケースのように、マネジャーへの暴力はいけない。夢を売るのが芸能人の役割のひとつだとすれば、その夢を壊すのは同性愛ではなく、理不尽に弱い者へ振るう暴力であることを、氷川は知ったほうがいい。
第8位
「村上春樹が酩酊した『ドイツ大麻パーティ』の一部始終」(「アサヒ芸能」8/14・21号)
日本でもマリファナを解禁せよという声は以前ほどではないが、一部に根強くある。だが自制心のない連中がマリファナを吸って自動車を運転することを考えると震えがくるのは、私だけではないだろう。
そう思っていたら作家の村上春樹氏がアサヒ芸能の「袋とじ」になっているではないか。表紙にはだいぶ若い村上氏がややトロンとした表情で写り、その下に「『ノルウエーの森』を生んだ『大麻パーティ』を発掘スクープ!」と書いてある。
アサ芸と村上春樹という取り合わせは珍しい。世界的に大麻解禁の流れにある中で、いまさら大麻疑惑でもないだろうとは思うが、取り合わせの妙で今週の第1位に推す。
ときは奇しくも『1Q84』(新潮社)ならぬ1984年。「BRUTUS」(マガジンハウス)の取材のために訪れたドイツ・ハンブルクでのことだそうである。
撮影兼案内係を務めたのがドイツ人元フォト・ジャーナリストのペーター・シュナイダー氏で取材は1カ月ほどだったという。
某日、村上氏たちはハンブルクの郊外にある廃駅を利用したクラブを取材することになった。現地のコーディネーターがアレンジしたもので当初はカメラマンだけが出向くという話だったが、村上氏も同行したいといい出した。
しかし、現地へ行ってみると運悪くリニューアル中で見学させてもらえず、帰ろうとしたところ、クラブのオーナーであるドイツ人妻が、自分の家に寄って行かないかといってくれたので、4名が寄らせてもらったという。
最初はビールで乾杯し、当初はクラブ経営のことなどが話題に上っていたが、やがてオーナーがこう切り出した。
「よかったら一服やらないか?」
この一服はタバコではなくマリファナのことである。当時ドイツでも大麻は違法だったが、クラブ経営者など業界人が自宅でマリファナやハッシシ(大麻を固めた合成樹脂)をプライベートに楽しむのは日常茶飯事だったという。
通訳が村上氏に伝えると、村上氏は事もなげにこう答えた。
「ええ、大麻なら、僕は好きですよ」
そのときシュナイダー氏が撮影した何点かの写真が「袋とじ」の中にある。
彼がフイルムを整理していたところ出てきたのだそうだ。それまで、その日本人がノーベル文学賞候補にまでなった村上春樹と同一人物だったとは気がつかなかったという。
シュナイダー氏はなぜ今、このことを公表しようと思ったのか。
「別に彼を落としめようとか、批判しようとかという気持ちはない。彼の作品にはマリファナを扱う描写も出てくるし、本人もマリファナ好きを公言してるのはファンなら知っている。その彼が若い時にこのようにマリファナを楽しんだということを彼の“ファン”も知りたいと思ったからだ」
たしかに、その経験は彼の作品に存分に生かされている。10年に発表された『1Q84』の中で、主人公、天吾は父の入院先である病院の看護師たちとパーティーをやった後、その中でいちばん若い女性である安達クミにマリファナを勧められる。その感覚をこう表現している。
「秘密のスイッチをオンにするようなかちんという音が耳元で聞こえ、それから、天吾の頭の中で何かがとろりと揺れた。まるで粥を入れたお椀を斜めに傾けたときのような感じだ。脳みそが揺れているんだ、と、天吾は思った。それは、天吾にとって初めての体験だった~脳みそをひとつの物質として感じること。その粘度を体感すること。フクロウの深い声が耳から入って、その粥の中に混じり、隙間なく溶け込んでいった」
『うずまき猫のみつけかた』(新潮社)の中でも村上氏はマリファナについてこう書いている。
「経験的にいって、マリファナというのは煙草なんかよりも遙かに害が少ない。煙草と違って中毒性もない。だからマリファナをちょっと吸ったぐらいで、まるで犯罪者みたいに袋叩きにあうなんていう日本の社会的風潮は、まったく筋が通らないのではないか」
これだけマリファナ擁護論を展開しているのに、アサ芸が村上春樹事務所に事実関係を確認すると、事務所から連絡を受けたという都築響一という編集者が出てきて、
「取材旅行中、僕は常に村上さんと一緒に行動していたので、こちらの知らない場所で大麻というのは、写真を含めてありえないかと思います」
と答えている。
常にいたという都築氏の姿はシュナイダー氏の写真の中には発見できなかったと、アサ芸は書いている。
われわれが若い時はマリファナやハッシシ、LSDなどは簡単に手に入り、新宿の喫茶「風月堂」はそうした連中の溜まり場であったし、罪悪感などなかった。
だから大麻を解禁してもいいとは、私は思わないが、大作家になると、こうした過去の微笑ましい外国での経験でも、認めるわけにはいかないのだろうか。
〈元木昌彦の眼〉 この報道の後を追う週刊誌は当然ながらどこもなかった。いまでも真偽の程はわからない。村上側がこの記事に抗議したという話も、私は聞いていない。やしきたかじんとその妻との純愛ノンフィクション『殉愛』を書いた百田尚樹のその後の「騒動」についても週刊誌は最初ほとんど書かなかった。作家が最大のタブーになってしまっていいいのか? 出版社系週刊誌の最大のウイークポイントはそこにある。
第7位
「ミス東洋英和が日テレの女子アナ内定を取り消された理由」(「週刊現代」11/22号)
NHKの朝のドラマ『花子とアン』でも注目を集めた東洋英和女学院大学の4年生、笹崎里菜さん(22歳)が内定していた日テレから内定取り消しを受け、提訴したというのである。
彼女は平成25年9月12日に日テレから、平成27年度のアナウンサー職の採用内定を受けた。
この笹崎さんの存在は、「女子アナ通」の間ではすでによく知られていたそうだ。彼女は「2011年ミス東洋英和」に輝き、ファッション誌の読者モデルとしても活躍していた。
その彼女がなぜ、日テレの内定を取り消されたのだろうか?
今年3月、すでに内定者として研修を重ねていた笹崎さんが人事担当者に電話で告げたことが騒動のきっかけになった。
「以前、母の知り合いの関係者が経営している銀座の小さなクラブで、お手伝いを頼まれて短期間アルバイトをしていたことがありますが、そういうものは大丈夫なのでしょうか」
こうしたことを言わずに女子アナになる者が多いのに、彼女は正直に「過去」を話したのだ。だが、日テレの人間は笹崎さんにこう告げたという。
「(アルバイトのことを)上に上げたら問題になってしまった。明日は人事部の部長、部次長から話がある。ホステスのバイトをしていたことがバレたら、週刊誌には好きに書かれる。笹崎は耐えられるか。これまで研修でがんばってきたことは知っているけど、それはいったん置いて、よく考えてほしい」
さらに週刊誌などで騒ぎになったら、父親のところにも取材が殺到して、父親が会社を辞めなければならなくなるかもしれないとも言ったそうだ。父親にそのことを話したら、心配するなと言われた。当然である。
しかし4月2日、日テレの部長から内定取り消しが伝えられた。
彼女がホステスのアルバイトをしていた銀座のクラブというのは、スナックのようなこじんまりとした店で、彼女の母親の知人もカウンターの中で働いていた。
特定社会保険労務士の今中良輔氏が疑義を呈する。
「この裁判は彼女一人のものではなく、社会に対する問題提起の側面を持っています。ホステスのアルバイトをしていた過去は、女性の将来を塞ぐことがあっていいのか。個人的にはあってはならないと思う。司法がどのような判断を下すか注目しています」
一読して、何をバカなことを日テレは言っているのかと思わざるを得ない。氏家斉一郞氏が生きていたら、こんなことはなかったに違いない。
今どき、ホステスやキャバクラのアルバイトをしていたから入社させないというのは、そうした職業を差別しているからではないのか? 夏目三久(日テレ→フリー)のように、入社してからコンドームの箱をもった写真が写真誌に載り、騒ぎになったトラウマが日テレにはあるのだろうが、ケツの穴の小さいテレビ局である。
笹崎さんは、アナウンサーになる夢をあきれめることはどうしてもできないと言い、こう続ける。
「この裁判は世間の皆さんに、女子アナという仕事について考えていただく機会にもなると思っています。大学時代にホステスのバイトをしていた女子アナは、受け入れてもらえないのでしょうか? 私の経歴は、裁判によって公になります。その上で、もし私が女子アナになれたとしたら、批判も含めて、過去はすべて引き受けるつもりです」
裁判は11月14日から始まる。これだけ強い意志を持った女性なら、いい女子アナになると思うがね。
〈元木昌彦の眼〉 この話題は日テレ以外のワイドショーも取り上げたが、そのほとんどが日テレ側に厳しいものだった。当然である。どうやら和解が成立しそうで、日テレ側が彼女を受け入れる流れになっているようだ。しかしこの騒動で日テレのイメージダウンは相当なものがある。これで彼女を入社させてもアナウンス局に配属しなかったら、このテレビ局は女性から見放される。重大な判断ミスをした日テレの上層部はそろって辞職すべきではないのか。それほど責任は重い。
第6位
「女優・児島美ゆきが初告白『高倉健さんと暮らした300日』」(「週刊現代」1/3・10号)
女優・児島美ゆきが高倉健と交際していた日々を告白している週刊現代を、MAISON TROISGROSのインスタントコーヒーを飲みながら読み始めた。
「男女の仲になったデートの日の別れ際、彼が、『これからは僕のことを剛ちゃんと呼んでください。本名は小田剛一ですから』と言ったんです。二人の仲を縮めたかったのか、それとも『俳優・高倉健』ではなく、一人の男として私と付き合いたかったのか、それはわかりません」
とうとう出てきたという気持ちと、なぜ児島なんだという気持ちがない交ぜになる。健さんだったら、大原麗子か吉永小百合との「忍ぶ恋」が似合うのに……。
そういえば、歌手の石野真子を熱心に口説き落としたと書いた週刊誌もあった。女性の好みは人それぞれ。健さんはこういうタイプが好きなのかもしれない。
当時、健さん52歳、児島31歳。児島がテレビドラマ『北の国から』で富良野のスナックのホステスを演じたのを健さんが見て、田中邦衛を介して「会いたい」と伝えてきたという。日に何度も電話があり、「うちにコーヒーを飲みに来ませんか」と誘われ、彼のマンションへ行く。結ばれたのは2度目に訪れたとき。
「寝室の大きなダブルベッドで。彼は体は筋骨隆々でしたが、やさしい人でした」(児島)
彼女は彼のためにステーキや生姜焼き、肉じゃがなどを作る。黙々と食べる健さん。終わると、いつの間にか食器を洗ってくれていた。
「とにかく、時間のあるときには、映画を観るか(マンションに小さな映写室があった=筆者注)、腹筋や腕立て伏せをしているか、あとは洋服の整理(笑)。セータを畳んだり、シャツなどを並べたり、整理整頓が趣味のような人でした」(同)
健さんは警察無線や消防無線を聞くのが好きだったという。児島が茶目っ気たっぷりにヌードダンサーの真似をすると、顔をほころばせ手を叩いて子どもみたいに喜んだそうだ。
「ある日、彼に膝枕をしてあげたら、彼はふいに、『幸せだなぁ。こんなに幸せでいいのかなぁ……』驚いて彼の顔を見ると、目に涙まで浮かべていたんです。膝枕ぐらいで泣くなんて、と驚くと同時に、『普通の幸せを、こんなに恋しいほど求めている人なんだ』と、私まで切なくなって……」(同)
スーパーへ一緒に行って、児島が買い物袋を抱えてクルマまで戻ってくると、こう言ったそうだ。
「剛ちゃんはこういうことがしたかったんだ」
それほどまでに彼の生活は孤独で、ストイックだったと児島は話している。
そんな生活が300日続いた。だが2人のことが芸能誌で報じられ、健さんから「しばらく会えない」と言われ、世間体が大事で私を捨てたと怒った児島は、彼のもとから去る。そして30年がたち、「あなたの気持ちをわかってあげられなかった」という詫び状を送った直後、高倉健の悲報が届く。
児島は「人間・小田剛一も、本当に優しく、温かい人だったことを知ってほしい。面白くて気取らず、人間くさい、愛すべき人でした」と語る。
こうした健さんとの思い出を持つ女性はほかにもいるはずだから、名乗り出てほしい。人間・高倉健をもっともっと知りたくなってきた。
〈元木昌彦の眼〉 高倉健の死は日本中に衝撃を与えた。私のように学生時代から『昭和残侠伝』を見てきた熱狂的なファンは、何か体の芯が抜け落ちるような気持ちが未だに続いている。男の生き方を背中で教えてくれた俳優だった。だが昭和の男だった健さんの女性の好みは、以外にも楚々たる美女ではなくどこか三枚目的な女性だったというのも、なにやら健さんらしいなと、思うのだ。
第5位
「林真理子『夜ふけのなわとび』」(「週刊文春」12/11号)
今週の第1位は林真理子の連載コラムに捧げる。
「一ヶ月近くたって巷でこれだけ話題になっても、どの週刊誌も一行も報じないではないか。やしき氏(やしきたかじん=筆者注)の長女がこの本によって、『名誉を傷つけられた』と提訴し、出版差し止めを要求した。が、相変わらずテレビも週刊誌も全く報道しない。私はこのこともすごい不気味さを感じるものである。この言論統制は何なんだ! 大手の芸能事務所に言われたとおりのことしかしない、テレビのワイドショーなんかとっくに見限っている。けれど週刊誌の使命は、こうしたものもきちんと報道することでしょう。ネットのことなんか信用しない、という言いわけはあたっていない。そもそも、『やしきたかじんの新妻は遺産めあてではないか』と最初に書きたてたのは週刊誌ではなかったか」
林真理子が文春の連載「夜ふけのなわとび」で怒る怒る。週刊誌が自分の役割を果たさないのはどういうこっちゃ! と真っ当に怒り狂っている。
この騒動は、百田尚樹という物書きが幻冬舎から出した『殉愛』という本についてである。
先日亡くなったやしきたかじんの闘病の日々と、彼を献身的に介護する新妻との日々を描いた“ベストセラー狙い”のお涙ちょうだいノンフィクションだ。
だが、この新妻というのが実はイタリア人と結婚していて、「重婚」の疑いがあるというのである。
また、やしきの友人でもあり彼の楽曲に詞を提供していた作詞家の及川眠子が『殉愛』の中で資料として提示されているたかじん「自筆」とされるメモの字の筆跡について、真贋を疑問視するツイートをしたのだ。
「『殉愛』の表紙に感じたすっごい違和感。なんでだろーと思っていたが、はたと気付いた。たかじんってあんな字を書いたっけ? もっと読みづらい変ちくりんな字だった記憶が・・・。病気になると筆跡まで変わっちゃうのかな?」
その上、やしきの長女が幻冬舎に対して「出版差し止めと1100万円の損害賠償を求める」訴訟を東京地裁に起こしたのである。
これに対して百田は「裁判は面白いことになると思う。虚偽と言われては、本には敢えて書かなかった資料その他を法廷に出すことになる。傍聴人がびっくりするやろうな」とツイートしたものの削除してしまった。
Web上のまとめサイトでは「百田尚樹氏はほぼ作家生命終了」とまで断定されてしまっている。
これだけ話題になっている本についての「醜聞」は週刊誌の格好のネタであるはずだ。だが、不可解なことに出版社系はどこも取り上げないのだ(『サンデー毎日』と『週刊朝日』はやしき氏の長女のインタビューなどをやっている)。
週刊現代を出している講談社は『海賊とよばれた男』が大ベストセラーになっている。週刊新潮は百田の連載が終わったばかり。タブーは他誌に比べてないはずの文春だが、林によると「近いうちに連載が始まるらしい」から、これまた書かない。
小学館の週刊ポストも、百田の連載をアテにしているのかもしれない。
私がここでも何度か言っているが、いまやメディアにとってのタブーは天皇でも創価学会でも電通でもない。作家なのである。
昔「噂の真相」という雑誌が出ていたときは、毎号作家についてのスキャンダルや批判が載っていたが、いまや作家について、それもベストセラー作家のスキャンダルを読みたくても「サイゾー」以外どこを探しても見つからない。
「私は週刊誌に言いたい。もうジャ-ナリズムなんて名乗らないほうがいい。自分のところにとって都合の悪いことは徹底的に知らんぷりを決め込むなんて、誰が朝日新聞のことを叩けるであろうか」(林真理子)
私も週刊誌OBであるから、恥ずかしくて仕方ない。ネットで現場の記者や編集者は、そんな状況を打破しようとしているというコメントを見つけた。
「文春や現代、ポストの週刊誌編集部には関西生まれの記者や編集者も多く、彼らは子供の頃からたかじんの番組に慣れ親しみ、親近感を持っており、今の状況は許せないと思っている。若手記者たちは『企画を出しても通らない!』と憤っています。中には仕方なく自腹で取材に動いたり、情報収集をしはじめる記者もいます。ある版元の、ノンフィクションが得意の敏腕編集者の下には、こうした情報が続々と集まっていると聞きました。騒動の裏側が本格的に暴かれる日も近いのでは」(夕刊紙記者)
これに似たようなことを私も聞いているが、どこまでやれるかはなはだ心許ない。この本の版元は見城徹という人間がやっている幻冬舎で、彼の裏には芸能界の「ドン」といわれている周防郁雄がいるそうだ。百田はベストセラー作家であり、安倍首相のお友達である。
この程度の「圧力」に屈して、この「事件」を書かないとしたら週刊誌など廃刊したほうがいい。
私は百田の『永遠の0』を30ページほど読んで捨ててしまった程度の読者である。したがって、百田の物書きとしての才能をうんぬんすることはしない。だが、「文は人なり」である。安倍首相のような人間と親しいことをひけらかし、下劣な発言をたびたび繰り返している人間のものなど読むに値するわけはない。
〈元木昌彦の眼〉 ここに書いてあるように週刊文春で百田の連載が年末から始まった。出版不況の中で売れる数少ない作家の存在は、どこの出版社でも貴重である。批判めいたことを書いて連載をやめられたらどうしようと考えるのは無理はない。作家によってはこれまで出していた本をすべて引き上げてしまうケースも多くある。だが、ノンフィクションと銘打ちながら、片方の当事者の一方的な話だけで作り上げた本に対してものをいうことが出来ないとすれば、ジャ-ナリズムの看板は下ろすべきであろう。今年も文春が頑張っていただけに残念である。
第4位
「ユニクロ・柳井が封印した『一族』の物語」(「週刊現代」8/30号)
佐野眞一氏の『あんぽん』(小学館)や橋下徹大阪市長について書いた週刊朝日の記事を持ち出すまでもなく、功成り名を遂げた人の「出自」を暴くというのが、週刊誌ノンフィクションの常道である。
そこには、もはやあなたは公人なんだから出自も含めてすべて開示されても致し方ないという、メディアや書く側の一方的な思い込みがあるのではないか。今回もユニクロ柳井正氏の「地元嫌い」を親族の出自と絡めてルポしているが、柳井氏を知る上でこうした情報がどれだけ役に立つのか、私には読み終わってもよくわからなかった。
柳井家の親族の1人がこう話す。
「土地から離れようとしているだけでなく、一族からも距離を置こうとしているのは寂しい」
正氏の父・等さんがユニクロの前身となった「小郡商事」を作ったが、実は、もう一つの親族が作った「小郡商事」があったというのである。もう一つの「小郡商事」は、等さんの兄で正の伯父・柳井政雄氏が作ったものだという。
この政雄氏は1908年、現在の山口市で牛馬商を営む父柳井周吉氏の4男として生まれた。
「政雄氏の著書『同和運動の歩み』によれば、尋常高等小学校中退後、炭鉱産業が隆盛だった宇部市の炭鉱で働くなどして青年期を過ごす内に、極道の世界に足を踏み入れたという」(現代)
政雄氏の息子、澤田正之氏はこう言う。
「46年に山口市議に当選してから政界にも人脈が広がった。やくざにも警察にも顔が利くので、重宝がられる。だから周囲からいろいろ頼まれごとをするのですが、断らない人だね。(中略)そうこうするうちに様々な事業に関わるようになっていった。地域で困っているような人を自身が経営する会社で引き受けて面倒も見ていました」
親分肌で面倒見がいい、東映任侠映画に出てくるような人物だったのだろう。伯父の政雄氏や父親の等氏は地域に根差した家族的経営を貫いていった。
しかし柳井正氏は、等氏らが行ってきた家族的経営を批判することから実業家の歩みを始めたという。
正氏は著書『一勝九敗』(新潮社)の中で「義理人情に厚く、生業家業といった観点で仕事をし、企業家とか経営者といった観点はなかった」と彼らのやり方を評している。
しかし、そうした正氏の経営姿勢が功を奏し、広島県でユニクロ1号店を誕生させてから今年で30年、当時年商1億円ほどだった「小郡商事」は、今や1兆円を売り上げる世界のユニクロへと成長したのだ。
ユニクロの前身となった紳士服開業の地は今は空き家で、かつてそこに本社が置かれていたことを示す痕跡はないという。どういう理由で正氏が「故郷を捨て」たのかはわからない。それを彼自身の口から聞いてみたいものである。
〈元木昌彦の眼〉 この記事はどう評価するか難しい。ノンフィクション作家の吉田司は私に、柳井の出自を書いた現代はすごい、よくできたなといった。だが、私には柳井という人間を描くのにそこまで必要なのか、考えあぐねている。昔、本田靖春さんに美空ひばりを書いてもらった。私は本田さんに、美空が在日だという「噂」が以前からあるが、それをぜひ彼女に聞いてほしいと頼んだ。その時本田さんは、キミが美空に手紙を書き話してくれと頼んで、彼女がいいといったら聞こう。だが、彼女がそれについては話したくないというのであれば、取材する側は、それを無視してまで聞く権利はない。僕はそういう取材はしたくない私にいった。そういう本田さんの取材方法をとらえて、本田は優しすぎるから突っ込みが足りないのだという批判をする人間もいる。だが、いま私はこの記事を読んで、もう一度本田さんのいった言葉の意味を再び考えている。週刊誌をやる人間たちにも考えてもらいたいテーマである。
第3位
「さらば器量なき政治家『渡辺喜美代』議士」(「週刊新潮」4/3号)
みんなの党・渡辺喜美代表のカネがらみのスキャンダルだ。まずはこのコメントから。
「日本維新の会とみんなの党の連携話が渡辺さんから入ってきたのは12年3月。その頃、私が検査入院していた慈恵医大病院の特別室に、渡辺さんは人目も気にせず一人でやってきて、『次の総選挙で、維新と全面的に選挙協力をすることになりました。両党で100人以上は当選する可能性がある。ついては20億円ほどお借りできませんか』と頼んできたのです。確かに20億円は大金ですが、当時の腐りきった民主党政権に終止符を打ち、この20億円が日本再生のためになるのならと思い、支援するつもりでいました。しかし、ご存知の通り、みんなの党と維新の会の連携はご破算となり、渡辺さんからは『5億円でいいことになりました』と連絡が入ったのです。選挙の1ヵ月前の11月21日、2年前と同じ口座に、5億円を私の個人口座から振り込みました。ただ、前回の3億円の時と違うのは、彼から借用書が送られてこなかったこと、そして18人が当選した後も、礼の一つもなく、連絡まで絶えてしまったことでした。私が彼に幻滅し始めたのは、おそらくこの頃のことです」
こう渡辺代表(62)のことを非難するのは、渡辺のスポンサーだった吉田嘉明DHC会長(73)である。
吉田会長が1972年に創業したDHCは化粧品、サプリメントなどを扱う総合メーカーで、総売上高は約1140億円になる。
このスクープは大新聞が1面で追いかけ、党内からは代表を辞任せよという厳しい意見が相次いでいる。
吉田会長率いるDHCは天下り官僚を1人も受け入れていないそうだ。彼の持論は、霞ヶ関、官僚機構の打破。それこそが今の日本に求められる改革であり、それを託せる人が、彼の求める政治家だから、声高に脱官僚を主張していた渡辺善美に興味を持つのは自然のことだったという。少なくとも5年前までは。
吉田会長は渡辺の土地を買い上げてやったり、10年7月の、結党以来2度目の国政選挙である参院選を控えて「渡辺さんから選挙資金の依頼がありました。『参院選のための資金を貸してもらえないでしょうか。3億円あれば大変助かります』と申し出があった」ため3億円を貸したり、総選挙前には5億円も渡し、しかも借用書も取っていないというのだ。
選挙後はなんの連絡もなかったが、今年2月9日に渡辺が突然訪ねて来て、自宅地下のカラオケルームに招き入れると、彼はいきなり土下座したというのである。そして「会長、いろいろとご迷惑をおかけしました。許してください」と、蚊の鳴くような声で詫びたという。
吉田会長は、自分の怒りを鎮めようという「芝居」だったのではないかと話している。
これを読む限り、渡辺氏はあまりにも身勝手で恩知らずと思わざるを得ないし、政治資金として記載していないというから、政治資金規正法に引っかかるのではないか。
それについては後述するが、渡辺氏といえば、妻の尻に敷かれていることでも有名だが、吉田会長はこんなエピソードを話している。
吉田会長に会うときは大抵、妻のまゆみさんが一緒だったという。
「渡辺さんは心底惚れていて、何かあればいつも白旗を掲げていました。ある時、まゆみさんが渡辺さんと女性番記者との仲を疑って離婚話にまで発展したことがあった。その時、渡辺さんはふらりと一人で私の家にやって来て、うちのカラオケルームで森進一の『冬のリビエラ』を熱唱していったのです。『男って奴は~』という節に力を込め、歌い終わったあと、彼は力なくこう言いました。『今はただ、お怒りが鎮まるのを待つのみです』代表であり夫である渡辺さんがこれですから、党内の議員や秘書も、まゆみ夫人に嫌われたら万事休す、といったところだったのでしょう」
5億円は選挙の1カ月前の11月21日、2年前と同じ口座に、吉田会長の個人口座から振り込んだ。その後、4回にわたって計330万円ほど返金されているから、現在の残高は5億4986万1327円だそうである。
この問題については、朝日新聞(3月27付)朝刊で、元東京地検特捜部副部長の若狭勝弁護士がこう語っている。
「選挙資金だった場合、たとえ借入金だったとしても選挙運動費用の収支報告書に記載がなければ、公職選挙法違反に問われる可能性がある。政治活動の費用だった場合は、政治資金収支報告書に記載がないと政治資金規正法違反にあたる可能性がある。使途が選挙や政治活動に無関係だったとしても、吉田会長は12年の5億円について担保や返済期限が設定されず、借用書もなかったとしており、贈与と認定されて税務上の問題が指摘される可能性が浮上する。これを寄付とみなした場合には政治資金規正法が定める寄付額の制限を超える可能性もある」
政治とカネの話はこれまでも無数にあった。有り余ったカネを使って政治家のスポンサーになり、フィクサー面をする実業家にも辟易するが、カネ欲しさにたかる政治屋は最低である。
こんな人間が官僚打破などできるわけはない。渡辺氏は、仮に法の裁きを受けなかったとしても、代表の座を降り一政治家として再出発するしか残された道はないこと、言うまでもない。それに、今の奥さんとは別れたほうがいいのでは?
〈元木昌彦の眼〉 今年も政治家のカネがらみのスキャンダルが多く出た。なかでも渡辺のは金額的にも大変な額である。その説明も十分にしない(出来ない)ために有権者からも疎んじられ、年末の選挙であえなく落選してしまった。もともと政党を率いる器などなかった男が、父親の七光りで祭り上げられていただけなのだろう。選挙中、渡辺より目立っていた奥さんの尻の下に敷かれているのがお似合いだと、思わざるを得ない。
第2位
「『小渕優子』経産相のデタラメすぎる『政治資金』」(「週刊新潮」10/23号)
昨日(10月20日)2人の大臣が辞任した。どちらも、週刊誌が報じたことがきっかけだった。
安倍首相にとって内閣改造の目玉として指名した小渕優子と、そのデング熱ならぬテングのような振る舞いでひんしゅくを買った松島みどり法相である。
今週のフライデーが、松島の「イヤミな全言動」を報じている。この記事が辞任に追い込んだわけではないが、松島という人間性がよく出ているので取り上げてみた。
松島氏が批判されたのは、以下のようなことである。自らの選挙区の祭りでうちわを配ったことは公職選挙法に触れる。都内に住んでいるのに赤坂の議員宿舎に入居し、週末には自宅に帰っている。襟巻き着用が認められていないのに、ストール着用で参院本会議に出席した。
フライデーいわく「あの非常識の塊のようなアントニオ猪木ですら、議場ではトレードマークの赤いマフラーを外す」というのに、だ。
ご本人は東大出というのが誇りだそうだが、滑り止めで受けた早稲田大学政治経済学部には落ちている。しかも、あの朝日新聞出身だ。
失礼な言い方になるが、もともと法務大臣にはあまりいい人材が配されたことはないが、この人は、歴代の中でもワースト3に入るのではないか。女性登用と意気込んだ安倍首相だが、しょせんは男女問題ではなく、能力あるなしを見極めることが肝要なのだ。
「松島氏をめぐっては、今月7日の参院予算委員会で、民主党の蓮舫氏が松島氏の政策が書かれたうちわを選挙区内のお祭りで配っていたことを『寄付にあたり違法だ』と追及。松島氏は『うちわのような形をしているが、討議資料だ』と反論したが、選挙区内の有権者への寄付を禁じた公職選挙法違反の疑いがあるとして民主党が刑事告発していた」(朝日新聞10月20日付より)
安倍首相、に人を見る目がないことがよくわかる。
さて今週、堂々の第1位は、将来の総理候補と持ち上げられている小渕優子経産相(40)に、週刊新潮がスキャンダルの洗礼を浴びせた巻頭特集である。
それも「政治資金規正法」の疑いありというのだから、読んですぐに、彼女にとっても安倍政権にとっても国会対応は苦しいものになりそうだと思った。
まずは、新潮の内容を紹介しよう。10月8日朝、日本橋浜町にある「明治座」に「小渕優子後援会女性部大会」のご一行様が、次々にバスを連ねて到着したという。その数ざっと1,000人超。
この観劇会は毎年行われていて、明治座側は切符代を3分の2ほどに値下げして出していると話している。S席は通常1万2,000円だから1枚8,000円ほどになる勘定だが、たとえば2010年分の政治資金報告書で、小渕後援会が群馬県選挙管理委員会に届けたのは「観劇会」として372万8,000円だけ。これでは1人あたりの切符代は3,700円程度にしかならない。
「一方で支出を見ると、組織活動費の『大会費』扱いで、844万円余りが『入場料食事代』として明治座に支払われたことになっている。その結果、実に470万円もの差額が生じているのだ」(新潮)
小渕は政党支部として「自民党群馬ふるさと振興支部」という団体があり、そこからも10年10月1日の日付で約844万円が支払われている。新潮が領収書のコピーを取り寄せたところ2枚の領収書は連番だから、合計1,688万円の支出を二等分して届けたとわかる。
これにより、収入との差額は1,316万円に広がってしまうことになるのだ。地元の支援者の票がほしいために送り迎えして観劇させ、飲み食いまでさせて手土産のひとつも持たせることは、昔なら地方のどこでも見られた光景だった。
だが、今は政治資金の使い方に厳しく網がかけられ、政党助成金制度までできているのである。これについて新潮で、神戸学院大学法科大学院の上脇博之教授がこう話す。
「1~2万円なら会計ミスで通るかもしれませんが、これだけ巨額では見逃すわけにはいきません。報告書の不記載ないし虚偽記載にあたり、それを行った者や、場合によっては団体の代表までも罰則を受ける可能性があります」
それ以外にも新潮によれば、実姉のやっているブティックから、10~12年にかけて小渕の各団体から330万円の支払いがなされている。そのほかにも、地元の農業協同組合や地元農家から大量の下仁田ネギやこんにゃくを購入しているが、これらも「組織活動費」や「交際費」に計上されているそうである。
先の上脇教授は「小渕大臣の使い方は、どうも政治資金を私物化しているような印象を受けるのです」と言っているが、これでは先頃話題になった「大泣き兵庫県議」のやっていたこととあまり違いはないのではないか。
とまあ、小渕恵三元首相の忘れ形見のお嬢ちゃんとはいえ、卑しくも現役の議員、それも経産相という重責についている大臣のやることじゃござんせんな。
新潮が小渕大臣を直撃したところ「事務所がお答えすると話しています……」と、我関せずという態度だったそうだ。
現代では松田賢弥氏が、まだほかにもあると、こう語っている。
「小渕氏の地元の群馬県吾妻郡中之条町では、彼女の母親の千鶴子さんが01年10月に約132坪の土地を取得し、2階建てのビルを建てています。この土地はもともと、千鶴子さんの親族が経営していた木材工場の一部。問題は、このビルに事務所を構える『小渕優子後援会』が、不可解な家賃を計上していることです。直近の過去3年間の収支報告書によれば、このビルは千鶴子さんが所有するものであるにもかかわらず、小渕優子後援会が毎月6万3000円の家賃を支払っています。1年間で75万6000円、10~12年の3年間では総額226万8000円。しかも、家賃の受取人は母親ではなく、小渕本人になっているのです」
これでは小渕の後援会が母親のビルを通して、小渕本人に献金をしていたのではないのか、という疑惑である。
蝶よ花よと大事に育てられてきた深窓育ちのお嬢ちゃまが初めて遭遇するスキャンダルだったが、あえなく辞任ということになってしまった。
小渕氏は辞任記者会見で「長年、私が子どものころからずっと一緒に過ごしてきた、信頼するスタッフに管理をお願いしてきた。その監督責任が十分ではなかった」(asahi.com10月20日より)と、悔しさをこらえて話したという。
父親の時代からいたスタッフが、若くて何も知らないお嬢ちゃんに知らせずに、これまで通りにやってきたということだろう。何か聞かれても「私たちにお任せを」と言うだけで、報告義務を果たしていなかった。親の地盤を引き継いだ二世、三世議員にはよくあることだが、何も知らされなかった彼女は悔しかったのだろう。
だが、この程度の人間を「将来の総理大臣」と持ち上げてきた永田町や新聞は、反省すべきである。安倍首相は小渕経産相と松島法相の辞任について「任命したのは私で、任命責任は私にある。こうした事態になったことを国民に深くおわびする」と首相官邸で記者団に語ったというが、当然である。
第一次安倍内閣が潰れたのも、閣僚の不祥事が次々に表面化したためである。同じような道をたどって、第二次も崩壊していくのかもしれない。
〈元木昌彦の眼〉 小渕は年末の総選挙では楽勝した。まるで政治家としては瑕疵がないとでもいうように。だが、事務所の人間が政治資金規制法違反の証拠になるパソコンを電気ドリルで壊していたことが発覚して、検察の怒りを掻き立ててしまった。政治家としての資質に大きな疑問が湧いてくる。このまま小渕議員がお咎めなしなら規制法はザル法だということを満天下に知らしめることになる。検察の威信を賭けて取り組んでほしいものである。
2014年週刊誌スクープ・グランプリ
「全聾の作曲家佐村河内守はペテン師だった」(「週刊文春」2月13日号)
私事で恐縮だが、大雪が降った土曜日(2月8日)の夕方、川崎駅近くにある「ミューザ川崎シンフォニーホール」で開かれた「東京海上フィルハーモニックオーケストラ第21回定期演奏会」へ行ってきた。
ベートーヴェンの交響曲第9番、いわゆる「第九」といわれるものだ。残念ながら2,000人が入る会場は、交通事情悪化のため半分ぐらいの入りだったが、100名近いフルオーケストラと300名近い男女の合唱は、神々しいまでに荘厳で迫力に満ちたものだった。
ドイツが東西に別れていた1956年から64年の間に開かれた五輪に合同選手団を派遣した際、国歌の代わりとして、この第四楽章「歓喜の歌」が歌われたそうである。
恥ずかしいが、この年になるまで「第九」を生で聴く機会がなかった。
ベートーヴェンが初めてこの曲を演奏し、終わったとき、全ての聴衆の目には涙が光り、嵐のような歓呼は永遠に止むことがないように思われたという。外が吹雪のせいもあったかもしれないが、同じような“感動”をこの日私も味わった。「ブラボー」の声があちこちから上がり、拍手は鳴りやまなかった。
その楽聖・ベートーヴェンに比して「現代のベートーヴェン」とTIME誌に言わせしめた日本人作曲家が、実はペテン師だったという文春の記事は衝撃的であった。これが久々のグランプリだ!
作曲家・佐村河内守氏(さむらごうちまもる・50)のゴーストライターを務めていた新垣隆氏(43)が、こう告白している。
「私は18年間、佐村河内守のゴーストライターをしてきました。最初は、ごく軽い気持ちで引き受けていましたが、彼がどんどん有名になっていくにつれ、いつかこの関係が世間にばれてしまうのではないかと、不安を抱き続けてきました。私は何度も彼に、『もう止めよう』と言ってきました。ですが、彼は『曲を作り続けてほしい』と執拗に懇願し続け、私が何と言おうと納得しませんでした。昨年暮れには、私が曲を作らなければ、妻と一緒に自殺するというメールまで来ました。早くこの事実を公表しなければ、取り返しのつかないことになるのではないか。私は信頼できる方々に相談し、何らかの形で真実を公表しなければならない責務があるのではないかと思い始めたのです」
この“事件”、新聞やスポーツ紙、ワイドショーでは数日前から騒ぎになっていたが、時間的にいえば、文春が取材し、その新聞広告を手に入れた新聞社がその事実を知り、新聞社名では出しにくいので共同通信に情報を渡し、共同が書いたということになるのではないか。
佐村氏は広島生まれの被爆2世で、全聾の作曲家として一躍有名になった。
2011年に発表した80分を超える「交響曲第一番 HIROSHIMA」(演奏、東京交響楽団/日本コロンビア)は、クラシック界では異例の約18万枚のセールスを記録したという。
また、昨年3月31日に放送された『NHKスペシャル』の「魂の旋律~音を失った作曲家」では、東日本大震災の被災地の石巻、女川を訪ねながら創作する過程が紹介され、それが元で生まれた「鎮魂のソナタ」(演奏ソン・ヨルム/同)は、番組の反響もあって10万枚の売り上げを記録しているそうだ。
この番組は私も見たが、佐村河内の名前を知らなかった私も、内容に感動して、すぐにAmazonでCDを買って聴いてみた。さほど交響曲には感動しなかったが、被曝2世、全聾者という彼の人生が音楽の隠し味になって、聴く者を感動へと誘っていたことは間違いない。
ソチ五輪の男子フィギュアのショートプログラムで、高橋大輔選手が彼の作曲した「バイオリンのためのソナチネ」で滑ることも話題になっていた。
そこに18年間もの間、佐村河内氏のゴーストライターをやっていたという桐朋学園大学音楽学部作曲専攻で講師を務める新垣氏が、「懺悔実名告白」をしたのだ。
2人が出会ったのは、1996年の夏のことだという。年上の佐村河内氏は、新垣氏にこう切り出した。
「このテープには、とある映画音楽用の短いテーマ曲が入っている。これをあなたにオーケストラ用の楽曲として仕上げてほしい。私は楽譜に強くないので」
新垣氏はこの申し出をあっさり受け入れた。佐村河内氏が提示した報酬は数万円。それが、いびつな二人三脚の始まりとなったと文春は報じている。
新垣氏がこう話す。
「クラシック界では、大家の下でアシスタントが譜面を書いたりオーケストラのパート譜を書いたりすることはままあることです。ところが、その後わかったのですが、佐村河内は楽譜に弱いのではなく、楽譜が全く書けない。正式なクラシックの勉強をした形跡もない。ピアノだって、私たちの常識では『弾けない』レベルです」
新垣氏はお金とか名声がほしくて引き受けたのではなく、自分が作曲した音楽を多くの人に聴いてもらえることがうれしかったからだと動機を語っている。
新垣氏は自分たちを「天才的な大馬鹿コンビ」と自嘲していたというが、まさに奇跡の出会いだったようだ。
楽譜の書けない佐村河内氏は、細かい「構成図」を書いて新垣氏に渡したという。文春によればこうだ。
「『中世宗教音楽的な抽象美の追求』『上昇してゆく音楽』『不協和音と機能調整の音楽的調和』『4つの主題、祈り、啓示、受難、混沌』等々、佐村河内は、ひたすら言葉と図で一時間を超える作品の曲想(コンセプト)を書いている。このコンセプトに沿って新垣は、一音一音メロディーを紡ぎだし、オーケストラ用のパート譜を書き起こしていく。つまり、佐村河内はセルフプロデュースと楽曲のコンセプトワーク(ゼロを一にする能力)に長け、新垣は、それを実際の楽曲に展開する力(一を百にする能力)に長けている」
だが、「新潮45」(13年11月号)に載った音楽家・野口剛夫氏による論考『「全聾の天才作曲家」佐村河内守は本物か』を読んで、新垣氏は不安を持った。
野口氏はこう綴っている。
「時にはバッハ風、ときにはマーラー風の美しい響きの瞬間も随所にあるが、それらは刹那的な感動の域を超えることがない(中略)、『交響曲』の最後で(中略)ほとんどマーラーの交響曲(第3番の終楽章?)の焼き直しのような響き」
講談社から出した自伝『交響曲第一番』の中の記述などもウソが多く、新垣氏はここで打ち切ろうというアドバイスをしたが、佐村河内氏は受け入れなかった。
思いあぐねた新垣氏は、自分の教え子でもあり佐村河内氏が曲を献呈していた義手のヴァイオリニストの少女の家族の前で、これまでの真相を話し、謝罪したというのである。
こうして綻びは大きくなり、砂上の楼閣は崩れ始めた。
驚くことに「全聾」というのもウソだと、新垣氏は言っているのだ。
「実際、打ち合わせをしても、最初は手話や読唇術を使ったふりをしていても、熱がこもってくると、普通の会話になる。彼自身も全聾のふりをするのに、ずっと苦労したんだと思います。最近では、自宅で私と会う時は最初から普通の会話です」
米誌がつけた“現代のベートーベン”という言葉に踊らされ、日本人の多くが騙されていた感動物語は、思ってもみないエンディングを迎えてしまった。
しかし、これだから人生は面白のだ。昔、ロサンゼルスで妻を何者かに撃たれ、悲劇のヒーローになった三浦和義氏に「保険金詐欺の噂がある」と文春が連載し、大騒ぎになったことがあった。
感動秘話の裏にある、どす黒い真実を暴き出すのも週刊誌の役割である。そういう意味でも、日本中を驚かせた文春は見事である。
なぜ、文春にばかりスキャンダル情報が集まるのだろうか? ここでも何度か書いているが、AKB48のスキャンダルをはじめ、タブーに怖じ気づかず数々のスクープをものにしてきた文春だから、ネタを持っていけばやってくれるという「安心感」がネタ元にあるからだろう。
ほかの週刊誌では、「面白い話ですが、うちではコンプライアンスがうるさくて」とか、「あのプロダクションとはケンカできないので」とかいった「言い訳」で断ることが多いが、文春にはそうした断る理由が他誌よりはるかに少ないのだ。
この騒動が起きたとき、ネタ元は文春だとぴーんと来た。文春恐るべしである。
〈元木昌彦の眼〉 見事なスクープである。問題としては小保方晴子のSTAP細胞や小渕優子の政治資金規正法違反疑惑のほうが大きいが、話題性という意味ではダントツである。時代の寵児の仮面を剥ぐのは週刊誌の独壇場だが、中でも文春の情報収集力や取材力は抜きんでている。その文春が百田尚樹の件については、百田の弁明を載せただけというのはいただけない。林真理子も後でいっているように、百田からのいい分けではなく、文春編集長のいい分を聞きたかったというのは正論であろう。AKB48スキャンダルなどフライデーも書けないタブーを次々に打ち破ってきた文春なのだから、ぜひ作家タブーも破ってほしいものだ。

「週刊文春」1/1・8号
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